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特許7412236不正検知ラベルが取り付けられた被検知体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】不正検知ラベルが取り付けられた被検知体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20240104BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G09F3/03 E
G09F3/03 M
B65D25/20 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020046512
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021148866
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-061777(JP,U)
【文献】特開2014-227207(JP,A)
【文献】特開2004-012552(JP,A)
【文献】特開2003-255838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151204(US,A1)
【文献】米国特許第05225162(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/03
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知体に取り付けられ、前記被検知体の不正開封を検知する不正検知ラベルであって、
不正検知部と、前記不正検知ラベルが前記被検知体に取り付けられる際に当該被検知体の一部を巻き込んで一部が前記不正検知部に貼着される巻き込み部とが、長手方向に連接してなる帯状のシート基材と、
前記不正検知部の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記不正検知部の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された粘着層と、を有する不正検知ラベル、が取り付けられた被検知体において、
前記被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、
前記2つの部材のそれぞれは、前記離間する部分に設けられ、前記巻き込み部が挿通される孔部を有し、
前記巻き込み部が、前記2つの孔部に挿通され、該孔部に挿通された部分から前記不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも一部が前記不正検知部と前記被検知体との間に挟み込まれ、前記不正検知部が前記粘着層によって前記被検知体に貼着されている、被検知体
【請求項2】
請求項1に記載の被検知体において、
前記巻き込み部は、前記シート基材の短手方向の幅が、前記不正検知部の前記短手方向の幅よりも狭い、被検知体
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の被検知体において、
前記不正検知ラベルは、前記巻き込み部が前記被検知体の表面に沿う状態となって前記被検知体に貼着されている、被検知体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知体に取り付けられ、被検知体の不正開封を検知する不正検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース等が不正に開封されてしまうことを回避するために結束バンドが用いられている。結束バンドは、例えば、小さな歯が連続して形成されたバンド部と、孔を具備する頭部とが連接して構成されている。そして、頭部に設けられた孔にバンド部を挿通させることにより、孔の内部に設けられた係止部がバンド部の歯と係合して、バンド部が挿入方向と逆方向に抜けなくなるロック状態となる。ロック状態となった後は、バンド部や頭部を切断しないと、ロックを解除できないようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような結束バンドを用い、ケースの本体部と蓋部のそれぞれに設けられた孔部に結束バンドのバンド部を挿通した後に、結束バンドの孔にバンド部を挿通することで、ケースの不正な開封を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-252169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような結束バンドは、湾曲可能に構成されているものの、バンド部に形成された歯によってロック状態を維持するため、ある程度のコシが必要となる。そのため、一般には、バンド部は一定の厚みを有するプラスチックから構成されている場合が多く、さらに歯の高さによってもバンド部の厚みが厚くなり、コシが強くなる。そのため、結束バンドが取り付けられて不正な開封を回避するための被検知体を積み重ねて保管する場合等において、結束バンドが嵩張って邪魔となり被検知体をきれいに積み重ねることができず、被検知体を保管する場合等において被検知体を取り扱いにくくなってしまうという問題点がある。
【0006】
また、バンド部の歯や頭部の係止部の形状によっては、バンド部を挿入方向と逆方向に強い力で引っ張った場合、バンド部を切断せずに頭部から抜き出すことができてしまう虞がある。その場合、結束バンドが取り付けられた被検知体が不正に開封されてしまい、その後、被検知体から取り外した結束バンドを被検知体に再度取り付けることができてしまい、不正に開封された痕跡が残らないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被検知体に取り付けられた場合に、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる不正検知ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
被検知体に取り付けられ、前記被検知体の不正開封を検知する不正検知ラベルであって、
不正検知部と、前記不正検知ラベルが前記被検知体に取り付けられる際に当該被検知体の一部を巻き込んで一部が前記不正検知部に貼着される巻き込み部とが、長手方向に連接してなる帯状のシート基材と、
前記不正検知部の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記不正検知部の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された粘着層と、を有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、巻き込み部が被検知体の一部を巻き込んで巻き込み部の一部が不正検知部に貼着されることで、被検知体に取り付けられることになる。その後、被検知体を開封するためには、不正検知部に貼着されていた巻き込み部の一部を不正検知部から剥離しなければならない。巻き込み部の一部が不正検知部から剥離されると、不正検知部の一方の面に積層された剥離層が粘着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することになり、それにより、被検知体が開封されたことが検知されることになる。その際、不正検知部と巻き込み部とがシート基材からなり、被検知体の不正開封を検知するための構成が、巻き込み部の一部を不正検知部から剥離した際に剥離層によって潜像パターンが発現することによるものであるため、被検知体に取り付けられた場合に、不正検知ラベルが嵩張って邪魔とならず、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる。
【0010】
また、巻き込み部が、シート基材の短手方向の幅が、不正検知部の同方向の幅よりも狭ければ、巻き込み部の一部を不正検知部に貼着した際に巻き込み部の一部を不正検知部によってくるむことができる。
【0011】
また、上記のような不正検知ラベルが取り付けられた被検知体としては、被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、2つの部材のそれぞれが、離間する部分に設けられ、巻き込み部が挿通される孔部を有し、巻き込み部が、2つの孔部に挿通され、孔部に挿通された部分から不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも一部が不正検知部と被検知体との間に挟み込まれ、不正検知部が粘着層によって被検知体に貼着されている構成が考えられる。そのような構成においては、不正検知ラベルが、巻き込み部が被検知体の表面に沿う状態となって被検知体に貼着されていれば、不正検知ラベルが被検知体から大きく突出することがなく、保管等において邪魔とならず、かつ、他の物品等に引っ掛かってしまうことがない。
【0012】
また、上記のような不正検知ラベルが取り付けられた被検知体としては、被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、2つの部材のそれぞれが、離間する部分に設けられ、巻き込み部が挿通される孔部を有し、巻き込み部が、2つの孔部に挿通され、孔部に挿通された部分から不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも一部が不正検知部にくるまれている構成が考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被検知体の不正開封を検知するための不正検知部と、不正検知ラベルが被検知体に取り付けられる際に被検知体の一部を巻き込んで一部が不正検知部に貼着される巻き込み部とが帯状のシート基材として長手方向に連接しており、被検知体の不正開封を検知するための構成が、被検知体を開封するために巻き込み部の一部を不正検知部から剥離した際に剥離層によって潜像パターンが発現することによるものであるため、被検知体に取り付けられた場合に、不正検知ラベルが嵩張って邪魔とならず、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる。
【0014】
また、巻き込み部が、シート基材の短手方向の幅が、不正検知部の同方向の幅よりも狭いものにおいては、巻き込み部の一部を不正検知部によってくるみやすくなる。
【0015】
また、上記のような不正検知ラベルが取り付けられた被検知体としては、被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、2つの部材のそれぞれが、離間する部分に設けられ、巻き込み部が挿通される孔部を有し、巻き込み部が、2つの孔部に挿通され、孔部に挿通された部分から不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも一部が不正検知部と被検知体との間に挟み込まれ、不正検知部が粘着層によって被検知体に貼着されている構成が考えられるが、そのような構成においては、不正検知ラベルを、巻き込み部が被検知体の表面に沿う状態となって被検知体に貼着することができ、それにより、不正検知ラベルが被検知体から大きく突出することがなく、保管等において邪魔とならず、かつ、他の物品等に引っ掛かってしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の不正検知ラベルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材の裏面における剥離層の形状を示す図である。
図2図1に示した不正検知ラベルによって不正な開封が検知される被検知体の一例を示す外観斜視図である。
図3図1に示した不正検知ラベルが図2に示したコンテナに取り付けられた状態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知ラベルが取り付けられた領域近傍を示す図である。
図4図1に示した不正検知ラベルが図3に示したようにコンテナに貼着された後にコンテナから剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図5図1に示した不正検知ラベルの不正検知部が蓋及び巻き込み部から剥離された状態を示す表面図である。
図6図1に示した不正検知ラベルが図2に示したコンテナに取り付けられた状態の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知ラベルが取り付けられた領域近傍を示す図である。
図7】本発明の不正検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材の裏面における剥離層の形状を示す図である。
図8】本発明の不正検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材の裏面における剥離層の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の不正検知ラベルの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材10の裏面における剥離層20の形状を示す図である。
【0019】
本形態は図1に示すように、フィルム基材10の一方の面に剥離層20が積層されるとともに、剥離層20を覆って粘着層30が積層され、さらに、粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面にフィルム基材40及び剥離紙50が積層、貼着されている不正検知ラベル1である。
【0020】
フィルム基材10は、本願発明にてシート基材となるものであって、透明または半透明のフィルムからなり、一方の面から他方の面の色が視認可能となっている。フィルム基材10は、不正検知部1aと巻き込み部1bとが長手方向に連接した帯状形状を有している。フィルム基材10は、帯状形状を有しているものの、短手方向の幅については、巻き込み部1bの幅W2が不正検知部1aの幅W1よりも狭い略T字状となっている。
【0021】
シート基材10の一方の面には、図1(b)及び図1(c)に示すように、その全面において、不正検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されること剥離層20が部分的に積層されている。
【0022】
そして、シート基材10の剥離層20が積層された面の全面に剥離層20を覆って粘着剤が塗布されることで粘着層30が積層されている。粘着層30は、青、赤、黒等の任意の色からなり、伸縮性を有するものである。
【0023】
さらに、粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面には、シート基材10の巻き込み部1bに対向する領域にフィルム基材40が積層、貼着されており、また、シート基材10の不正検知部1aに対向する領域に剥離紙50が剥離可能に貼着されている。なお、図1(b)に示すように、剥離紙50の大きさを、その一部がフィルム基材40の一部と重なるような大きさとすることで、不正検知ラベル1の使用時に剥離紙50を剥離しやすくすることが考えられるが、剥離紙50の大きさは、粘着層30のうち少なくともフィルム基材40に覆われていない領域を覆うものであればよい。また、フィルム基材40の代わりに粘着層30上にニスを塗布することで、粘着層30による貼着力を失わせる構成としてもよい。
【0024】
このように構成された不正検知ラベル1は、シート基材10が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、粘着層30の色がシート基材10側の表面から視認可能となっており、それにより、不正検知ラベル1が被着体から不正に剥離された際に、後述する剥離層20による潜像パターンが視認可能なものとなる。
【0025】
以下に、上記のように構成された不正検知ラベル1の使用方法について説明する。
【0026】
まず、不正開封を検知する被検知体への不正検知ラベル1の取り付け方法について説明する。
【0027】
図2は、図1に示した不正検知ラベル1によって不正な開封が検知される被検知体の一例を示す外観斜視図である。
【0028】
図1に示した不正検知ラベル1によって不正な開封が検知される被検知体としては、図2に示すように、開口部を有し、物品等が収容される容器4と、容器4の開口部に開閉自在に取り付けられた蓋3とからなるコンテナ2が挙げられる。図2に示すコンテナ2は、蓋3と容器4のそれぞれに、蓋3を閉じた場合に互いに対向し、蓋3を開いた場合に離間する領域に、図1に示した不正検知ラベル1を取り付けるため孔部3a,4aが設けられている。
【0029】
図3は、図1に示した不正検知ラベル1が図2に示したコンテナ2に取り付けられた状態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知ラベル1が取り付けられた領域近傍を示す図である。
【0030】
図1に示した不正検知ラベル1を用いて図2に示したコンテナ2の不正開封を検知する場合は、図3に示すように、まず、蓋3が閉じた状態において、不正検知ラベル1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通させる。そして、巻き込み部1bの孔部3a,4aに挿通した部分から不正検知部1aとは反対側の端部までの一部の領域を不正検知部1aと蓋3との間に挟み込み、不正検知部1aを粘着層30によって蓋3に貼着することが考えられる。このように、巻き込み部1bによってコンテナ2の蓋3及び容器4の一部を巻き込み、巻き込み部1bの一部を不正検知部1aに貼着することで、不正検知ラベル1をコンテナ2に取り付けることになる。さらに、本例においては、不正検知部1aが、コンテナ2の蓋3との間に巻き込み部1bの一部を挟み込んだ状態で蓋3に貼着された状態となっている。
【0031】
このようにして、図1に示した不正検知ラベル1がコンテナ2に取り付けられた状態では、不正検知ラベル1を破断したり、不正検知部1aを蓋3から剥離して不正検知部1aと巻き込み部1bとを剥離したりしなければ、コンテナ2を開封することができない状態となる。
【0032】
その際、不正検知ラベル1が、フィルム基材10の一方の面に剥離層20が積層されるとともに、剥離層20を覆って粘着層30が積層され、巻き込み部1bにおいては、フィルム基材10の剥離層20及び粘着層30が積層された面にこれら剥離層20及び粘着層30を覆ってフィルム基材40が積層、貼着されている構成であることにより、上述したようにしてコンテナ2の不正開封を検知するためにコンテナ2に取り付けられた場合に、結束バンドと比べて不正検知ラベル1が嵩張って邪魔とならず、コンテナ2が取り扱いにくくなってしまうことが回避される。
【0033】
また、巻き込み部1bの不正検知部1aと蓋3との間に挟み込まれる長さや領域を変えることで、不正検知ラベル1がコンテナ2から突出する長さを調節することができるが、図3に示すように、不正検知ラベル1の両端部を引っ張るようにして不正検知部1aを蓋3に貼着することで、巻き込み部1bがコンテナ2の表面に沿うようにして不正検知ラベル1をコンテナ2に貼着すれば、不正検知ラベル1が、コンテナ2から大きく突出することがなく、保管等において邪魔とならず、かつ、他の物品等に引っ掛かってしまうことを回避できる。
【0034】
次に、上記のようにして不正検知ラベル1が取り付けられたコンテナ2を不正に開封するために不正検知部1aをコンテナ2や巻き込み部1bから剥離した際の作用について説明する。
【0035】
図4は、図1に示した不正検知ラベル1が図3に示したようにコンテナ2に貼着された後にコンテナ2から剥離されていく状態を説明するための断面図である。なお、不正検知部1aはその一部にて蓋3との間に巻き込み部1bを挟み込んでいるが、説明をわかりやすくするために、図4においては不正検知部1aが蓋3に直接貼着されている部分のみを示している。
【0036】
図4(a)に示すように不正検知ラベル1の不正検知部1aが蓋3に貼着された状態から剥離されていくと、図4(b)に示すように、剥離層20が積層されていない領域においては、粘着層30がフィルム基材10とともに蓋3から剥離し、また、剥離層20が積層された領域においては、粘着層30が剥離層20との貼着力よりも強い貼着力で蓋3に貼着されていることで粘着層30が剥離層20から剥離する。そして、剥離層20から剥離した部分は、その後、粘着層30が伸縮性を有するものであることで、フィルム基材10とともに蓋3から剥離し、剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断し、フィルム基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20に対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0037】
不正検知ラベル1の不正検知部1aが蓋3から完全に剥離されると、図4(c)に示すように、粘着層30は剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0038】
この際、不正検知部1aの巻き込み部1bが貼着されていた領域においては、上述したように不正検知部1aを蓋3から剥離すると同時に、巻き込み部1bのうち不正検知部1aと蓋3との間に挟み込まれて不正検知部1aに貼着されていた部分を不正検知部1aから剥離した場合、不正検知部1aの巻き込み部1bが貼着されていた領域においても、上記同様に、粘着層30は剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0039】
また、上述したように不正検知部1aを蓋3から剥離した際に、巻き込み部1bのうち不正検知部1aと蓋3との間に挟み込まれて不正検知部1aに貼着されていた部分が不正検知部1aに貼着されたままである場合は、その後、コンテナ2を開封するために、不正検知部1aと巻き込み部1bとを剥離することで、不正検知部1aの巻き込み部1bが貼着されていた領域においても、粘着層30は剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0040】
図5は、図1に示した不正検知ラベル1の不正検知部1aが蓋3及び巻き込み部1bから剥離された状態を示す表面図である。
【0041】
上記のようにして図1に示した不正検知ラベル1の不正検知部1aが蓋3及び巻き込み部1bから剥離されると、フィルム基材10側から不正検知ラベル1を見た場合、不正検知部1aの剥離層20に対向しない領域においては粘着層30が存在することで粘着層30の色がフィルム基材10を介して視認される一方、不正検知部1aの剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなったことで粘着層30の色が視認されなくなる。これにより、図5に示すように、剥離層20による潜像パターン21が発現することになる。
【0042】
一方、不正検知ラベル1の巻き込み部1bにおいては、粘着層30が積層された面の全面にフィルム基材40が積層されていることで蓋3には貼着されておらず、それにより、上述したような剥離層20による潜像パターン21は発現しない。
【0043】
なお、フィルム基材10の全面または一部に印刷が施された場合であっても、不正検知部1aの剥離層20に対向する領域においてはその印刷による色が視認される一方、不正検知部1aの剥離層20に対向しない領域においては、フィルム基材10の印刷色と粘着層30の色とに応じた色が視認されることになり、剥離層20による潜像パターン21が発現することになる。例えば、フィルム基材10に赤色で印刷が施され、粘着層30の色が緑色である場合、赤色と緑色と混合されたことによる黒色の背景内に赤色の潜像パターン21が発現することになる。
【0044】
その後、このように潜像パターン21が発現した不正検知ラベル1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通し、不正検知部1aを、コンテナ2との間に巻き込み部1bを挟み込んでコンテナ2に再度貼着したとしても、剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなっているため、潜像パターン21が発現したままとなり、不正検知ラベル1がコンテナ2から剥離されてコンテナ2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0045】
また、不正検知ラベル1の不正検知部1aがコンテナ2及び巻き込み部1bに貼着された後に剥離された場合に、粘着層30のうち剥離層20に対向する領域が、剥離層20から剥離して剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断することにより、不正検知ラベル1がコンテナ2から剥離された場合に、粘着層30が全てフィルム基材10とともにコンテナ2から剥離されることとなり、それにより、不正検知ラベル1の不正検知部1aをコンテナ2から剥離した後に、コンテナ2に不正検知ラベル1の一部が残存することがない。
【0046】
このように、本形態の不正検知ラベル1においては、巻き込み部1bを挟み込んでコンテナ2の蓋3に貼着されていた不正検知部1aが蓋3及び巻き込み部1bから不正に剥離された場合に、剥離層20による潜像パターン21が発現することとなることにより、コンテナ2を開封するためにコンテナ2から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる。
【0047】
図6は、図1に示した不正検知ラベル1が図2に示したコンテナ2に取り付けられた状態の他の例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知ラベル1が取り付けられた領域近傍を示す図である。
【0048】
図1に示した不正検知ラベル1を用いて図2に示したコンテナ2の不正開封を検知する場合は、図6に示すように、まず、蓋3が閉じた状態において、不正検知ラベル1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通させる。そして、不正検知ラベル1を輪っか状とし、巻き込み部1bの孔部3a,4aに挿通した部分から不正検知部1aとは反対側の端部までの一部の領域を粘着層30によって不正検知部1aに貼着することも考えられる。このように本例においても、巻き込み部1bによってコンテナ2の蓋3及び容器4の一部を巻き込み、巻き込み部1bの一部を不正検知部1aに貼着することで、不正検知ラベル1をコンテナ2に取り付けることになる。
【0049】
その際、上述したように、フィルム基材10の短手方向の幅が、不正検知部1aよりも巻き込み部1bの方が狭くなっているため、図6に示すように、巻き込み部1bの不正検知部1aに貼着された領域を、不正検知部1aを不正検知ラベル1の短手方向に曲げることで不正検知部1aによってくるむことができる。この際、不正検知部1aは、巻き込み部1bの一部の領域をくるむことで不正検知部1a同士も互いに貼着される部分が生じる。
【0050】
このようにして、図1に示した不正検知ラベル1の巻き込み部1bが、コンテナ2の蓋3及び容器4の孔部3a,4aに挿通され、不正検知部1aにくるまれた状態で不正検知部1aに貼着されることで、その後は、不正検知ラベル1を破断したり、不正検知部1aを開いて不正検知部1aから巻き込み部1bを剥離したりしなければ、コンテナ2を開封することができない状態となる。
【0051】
その際、不正検知ラベル1が、フィルム基材10の一方の面に剥離層20が積層されるとともに、剥離層20を覆って粘着層30が積層され、さらに、粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面の一部にフィルム基材40が積層、貼着されている構成であることにより、上述したようにしてコンテナ2の不正開封を検知するためにコンテナ2に取り付けられた場合に、結束バンドと比べて不正検知ラベル1が嵩張って邪魔とならず、コンテナ2が取り扱いにくくなってしまうことが回避される。また、本例においては、巻き込み部1bの不正検知部1aに貼着される長さや領域を変えることで、不正検知ラベル1によって形成される輪っかの大きさを調節することができる。
【0052】
上記のように不正検知ラベル1をコンテナ2に取り付けた場合においても、不正検知ラベル1が取り付けられたコンテナ2を不正に開封するために不正検知部1aを開いて不正検知部1aから巻き込み部1bを剥離した場合、図4に示したものと同様の作用によって剥離層20による潜像パターンが発現し、コンテナ2が不正に開封された旨を検知することができる。その際、不正検知部1aにおいては、巻き込み部1bの一部の領域をくるむことで不正検知部1a同士も互いに貼着される部分が生じているため、その領域においても、剥離層20による潜像パターンが発現することになる。
【0053】
(他の実施の形態)
図7は、本発明の不正検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材110の裏面における剥離層120の形状を示す図である。
【0054】
本形態は図7に示すように、図1に示したものに対して、フィルム基材110の短手方向について巻き込み部1bの幅W2が不正検知部1aの幅W1よりも狭いものの、L字状となっている点が異なる不正検知ラベル101である。
【0055】
上記のように構成された不正検知ラベル101においても、図1に示したものと同様に、図3図6に示したようにしてコンテナ2に取り付けることで、コンテナ2が不正に開封された旨を検知することができる。また、図6に示したようにしてコンテナ2に取り付ける場合は、図1に示したもののように巻き込み部1bの不正検知部1aに貼着された領域を不正検知部1aにくるんで不正検知部1a同士においても互いに貼着される部分を生じさせるのではなく、不正検知部101aを折り部111を中心として二つ折りし、巻き込み部101bを不正検知部101aの二つ折りされた領域で挟み込むようにすることが考えられる。
【0056】
図8は、本発明の不正検知ラベルの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材210の裏面における剥離層220の形状を示す図である。
【0057】
本形態は図8に示すように、図1に示したものに対して、フィルム基材210の短手方向について不正検知部201aと巻き込み部201bとの幅が互いに等しい点が異なる不正検知ラベル201である。
【0058】
上記のように構成された不正検知ラベル201においても、図1に示したものと同様に、図3図6に示したようにしてコンテナ2に取り付けることで、コンテナ2が不正に開封された旨を検知することができる。ただし、本形態の不正検知ラベル201は、フィルム基材210の短手方向について不正検知部201aと巻き込み部201bとの幅が互いに等しいため、図3に示したようにしてコンテナ2に取り付ける場合、不正検知ラベル201の長手方向にて不正検知部201aの一部が巻き込み部201bと重ならないように不正検知部201aと蓋3との間に巻き込み部201bの一部を挟み込んで不正検知部201aを蓋3に貼着する必要がある。また、図6に示したようにコンテナ2に取り付ける場合は、巻き込み部201bの一部が不正検知部201aに貼着されるだけで不正検知部201aにくるまれていない状態となる。
【0059】
なお、上述した実施の形態においては、粘着層30,130,230が伸縮性を有するものであることにより、不正検知ラベル1,101,201の不正検知部1a,101a,201aが巻き込み部1b,101b,201bや蓋3から剥離された場合に、粘着層30,130,230が、剥離層20,120,220上に積層された領域においても巻き込み部1b,101b,201bや蓋3から剥離して巻き込み部1b,101b,201bや蓋3に残存しないものを例に挙げて説明したが、粘着層が伸縮性を有さないものであることで、不正検知ラベルの不正検知部が巻き込み部や蓋3から剥離された場合に、粘着層のうち剥離層上に積層された領域が、巻き込み部や蓋3に残存するものであってもよい。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、フィルム基材10,110,210が透明または半透明のフィルムから構成されていることで、剥離層20,120,220及び粘着層30,130,230が積層された面とは反対側の面から視認した場合、粘着層30,130,230の色が視認可能となるものを例に挙げて説明したが、フィルム基材10,110,210のうち、剥離層20,120,220に対向する領域のみを透明または半透明とし、その他の領域を、粘着層30,130,230と同じ色に着色したものであってもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態においては、粘着層30,130,230が、青、赤、黒等の任意の色からなるものを例に挙げて説明したが、粘着層30,130,230として透明なものを用いることも考えられる。その場合、ベース基材10,110,210の剥離層20,120,220が積層された面の全面に剥離層20,120,220を覆って、有色のクッション層を積層し、このクッション層上に粘着層30,130,230を積層することが考えられる。そのような構成においては、図3図6に示したようにコンテナ2に取り付けた後に不正検知部1a,101a,201aをコンテナ2の蓋3や巻き込み部1b,101b,201bから剥離した場合、クッション層が剥離層20,120,220から剥離することで、剥離層20,120,220及び粘着層30,130,230が積層された面とは反対側の面から視認すると、剥離層20,120,220に対向しない領域においてはクッション層の色がベース基材10,110,210を介して視認される一方、剥離層20,120,220に対向する領域においては、クッション層と剥離層20,120,220との間に隙間が生じていることでクッション層の色がベース基材10,110,210を介して視認されにくくなっていることから、剥離層20,120,220による潜像パターンが発現することになる。 また、上述した実施の形態においては、コンテナ2の蓋3と容器4のそれぞれに、不正検知ラベル1,101,201をコンテナ2に取り付けるために孔部3a,4aが設けられ、この孔部3a,4aに巻き込み部1b,101bが挿通されるものを例に挙げて説明したが、蓋3や容器4が網状のもの等、巻き込み部1b,101b,201bが挿通可能であって、被検知体の一部を巻き込むことができる構成を有するものであれば、あえて孔部を設ける必要はない。
【0062】
また、上述した実施の形態においては、図1図7、あるいは図8に示した不正検知ラベル1,101,201を図2に示したコンテナ2に取り付け、コンテナ2の不正開封を検知するものについて説明したが、2つの引手を具備するファスナーによって開閉される鞄に、図1図7、あるいは図8に示した不正検知ラベル1,101,201を取り付け、鞄の不正開封を検知する構成としてもよい。その場合、鞄が閉められた状態にて2つの引手にそれぞれ設けられた孔部に巻き込み部1b,101b,201bを挿通させ、図6に示したものと同様に、巻き込み部1b,101b,201bの孔部に挿通した部分から不正検知部1a,101a,201aとは反対側の端部までの一部の領域を粘着層30,130,230によって不正検知部1a,101a,201aに貼着することが考えられる。
【符号の説明】
【0063】
1,101,201 不正検知ラベル
1a,101a,201a 不正検知部
1b,101b,201b 巻き込み部
2 コンテナ
3 蓋
3a,4a 孔部
4 容器
10,40,110,140,210,240 フィルム基材
20,120,220 剥離層
21 潜像パターン
30,130,230 粘着層
50 剥離紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8