(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】回転電機装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
H02K5/24 Z
(21)【出願番号】P 2020058964
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 智樹
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154418(JP,A)
【文献】特開2010-215233(JP,A)
【文献】特開2009-235965(JP,A)
【文献】特開2012-060805(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K5/00-5/26
11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられるとともに前記回転電機に接続された電力変換装置と、
前記電力変換装置を覆うように前記ハウジングに取り付けられる筐体と、を含む回転電機装置であって、
前記筐体
は、
前記ハウジングに前記筐体を固定するための複数の固定部と、
前記電力変換装置に対して部品の取り付け作業を行うための開口部と、前記開口部の周囲に配置され、前記開口部を閉止するための蓋部を締結するための複数の締結部と、を含む第1天板部と、
平面視で前記第1天板部と重なる位置から離間した位置に配置され前記第1天板部と高さが異なる第2天板部と、
前記第1天板部と前記第2天板部とを接続する段差部と、
を含み、
複数の前記固定部は、
前記筐体の一方の側壁と、前記一方の側壁に対向する他方の側壁に設けられるとともに互いに対向する一対の前記固定部を含み、
前記締結部は、
平面視で前記筐体において前記一対の前記固定部の間に挟まれる領域に複数配置され
、
前記段差部は、平面視で前記領域の内側に配置されている
回転電機装置。
【請求項2】
前記固定部は、前記側壁から突出するとともに前記ハウジングに固定される突出部と、前記側壁から突出して前記突出部に接続するリブ部と、を含む請求項1に記載の回転電機装置。
【請求項3】
前記領域は、前記一対の前記固定部を互いに結ぶ方向を長手方向とし、
前記締結部は、前記長手方向に沿って複数配列されている請求項1または2に記載の回転電機装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記開口部及び前記締結部を含むとともに前記筐体の天板から突出するように配置されたボス部を含み、
前記ボス部の少なくとも一部が平面視で前記領域に含まれる請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の回転電機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータを収容するハウジングと、ハウジングを取り付けられるとともにモータに接続するインバータと、インバータを覆うようにハウジングに取り付けられる筐体を備える回転電機装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す回転電機装置では、起振源であるモータからの振動が筐体に伝播し、筐体で異音が発生し得る。
【0005】
そこで、本発明は、モータを収容するハウジングに取り付けられた筐体で発生し得る異音を低減する回転電機装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における回転電機装置は、回転電機を収容するハウジングと、ハウジングに取り付けられるとともに回転電機に接続された電力変換装置と、電力変換装置を覆うようにハウジングに取り付けられる筐体と、を含む回転電機装置である。筐体は、ハウジングに筐体を固定するための複数の固定部と、電力変換装置に対して部品の取り付け作業を行うための開口部と、開口部の周囲に配置され、開口部を閉止するための蓋部を締結するための複数の締結部と、を含む第1天板部と、平面視で第1天板部と重なる位置から離間した位置に配置され第1天板部と高さが異なる第2天板部と、第1天板部と第2天板部とを接続する段差部と、を含み、複数の固定部は、筐体の一方の側壁と、一方の側壁に対向する他方の側壁に設けられるとともに互いに対向する一対の固定部を含み、締結部は、平面視で筐体において一対の固定部の間に挟まれる領域に複数配置され、段差部は、平面視で領域の内側に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様であれば、固定部は、ハウジング(モータ)から最初に振動が伝播する部分となるが、筐体において平面視で一対の固定部に挟まれる領域の剛性が締結部により向上するので、筐体(特に天板)で発生し得る異音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の回転電機装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の回転電機装置の斜視図(
図1の斜視図をXY面内で90度程度回転させたもの)である。
【
図3】
図3は、本実施形態の回転電機装置を構成する筐体の斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の回転電機装置を構成するインバータの模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の回転電機装置を構成する筐体の平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の回転電機装置を構成する筐体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[本実施形態の基本構成]
図1は、本実施形態の回転電機装置100の斜視図である。
図2は、本実施形態の回転電機装置100の斜視図(
図1の斜視図をXY面内で90度程度回転させたもの)である。
図3は、本実施形態の回転電機装置100を構成する筐体3の斜視図である。なお、図においてX軸、Y軸、Z軸は互いに直行するものとする。
【0011】
図1、
図2に示すように、回転電機装置100は、三相交流のモータ(回転電機、不図示)を収容するハウジング1と、ハウジング1に取り付けられたインバータ2(電力変換装置、
図4参照)と、インバータ2を覆うようにハウジング1に取り付けられる箱型の筐体3と、を含み、機電一体型の構造を有している。
【0012】
ハウジング1は、前記のようにモータ(不図示)を収容するが、モータ(不図示)を構成するロータシャフト9がハウジング1から露出している。図に示すように、ロータシャフト9はX軸方向を軸方向としている。
【0013】
図1乃至
図3に示すように、筐体3は、例えば金属で形成され、X軸方向を長辺方向とし、Y軸方向を短辺方向とする矩形の箱型形状を有し、-Z軸方向の端部が開放されている(
図6参照)。また、筐体3は、締結ボルト6によりハウジング1に固定されている。
【0014】
筐体3の、-Y軸側(長辺)の側壁、+Y軸側(長辺)の側壁には、それぞれ固定部31(固定部31A,31B,31C,31D)が配置されている。固定部31Aは、-Y軸側(長辺)の側壁において中央から+X軸側に偏った位置に配置され、固定部31Bは、-Y軸側(長辺)の側壁において中央から-X軸側に偏った位置に配置されている。固定部31Cは、+Y軸側(長辺)の側壁において中央から+X軸側に偏った位置に配置され、固定部31Dは、+Y軸側(長辺)の側壁において中央から-X軸側に偏った位置に配置されている。
【0015】
また、固定部31Aと固定部31Cは、筐体3を挟んでY軸方向で互いに対向し、固定部31Bと固定部31Dは、筐体3を挟んでY軸方向で互いに対向している。なお、固定部31A,31Cは、筐体3の側壁の+X軸方向の端部に配置してもよく、固定部31B,31Dは、筐体3の側壁の-X軸方向の端部に配置してもよい。
【0016】
固定部31(固定部31A,31B,31C,31D)は、突出部311(
図3参照)とリブ部313を備える。突出部311は、筐体3の側壁の-Z軸方向の端部からY軸方向に延出する部材であり、その中央部には、締結ボルト6を挿通する挿通孔312(
図5等参照)が配置されている。
【0017】
リブ部313は、突出部311と筐体3の側壁との間の剛性を高めるために形成されており、例えば突出部311に対して一対で配置されている。
【0018】
リブ部313は、筐体3の側壁であって、平面視で突出部311をX軸方向から挟む位置からY軸方向に延出し、-Z軸方向の端部が突出部311に接続している。またリブ部313は、Z軸方向に延びる部材であるが、+Z軸方向に向かうにつれてY軸方向に延出する長さが短くなるテーパー形状を有している。
【0019】
筐体3の+X軸側の側壁には、挿通孔32A,32Bが形成されている。挿通孔32Aには、インバータ2に接続するバスバー4N(
図4参照)が挿通され、挿通孔32Bにはインバータ2に接続するバスバー4P(
図4参照)が挿通される。
【0020】
筐体3の上部(天板)には、挿通孔32A,32Bに隣接する第1天板部33と、第1天板部33よりも-X軸方向側に配置された第2天板部38が配置されている。第1天板部33には、2つの開口部35A,35B(
図3)が形成され、さらに当該開口部35A,35Bを閉止する蓋部5が取り付けられている。
【0021】
図3に示すように、蓋部5には、締結ボルト7を挿通する挿通孔51(本実施形態では8個)と、開口部35A,35Bの周囲に配置された位置決め用の突起341を挿通する挿通孔52が形成されている。また、第1天板部33には締結ボルト7が螺合するネジ穴36と、蓋部5の位置決めを行うための突起341が配置されているが、これらについては後述する。
【0022】
図4は、本実施形態の回転電機装置100を構成するインバータ2の模式図である。
図4に示すように、インバータ2(電力変換装置)は、基板21上にパワーモジュール22と平滑コンデンサ25が配置されたものである。
【0023】
パワーモジュール22は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワートランジスタや帰還ダイオードにより構成され、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、直流電流を交流電流に変換し、また交流電流を直流電流に変換するものである。パワーモジュール22は、モータ側に接続する端子として、バスバー23U,23V,23Wを有し、平滑コンデンサ25側に接続する端子として、バスバーP(不図示)、バスバーN(不図示)を有する。
【0024】
平滑コンデンサ25は、パワーモジュール22から出力される直流電流(直流電圧)を平滑化するものであり、パワーモジュール22のバスバーP(不図示)に接続するバスバー26Pと、パワーモジュール22のバスバーN(不図示)に接続するバスバー26Nと、外部(バッテリ)に電気的に接続するバスバー27P,27Nを備える。
【0025】
基板21には、バスバー27Pとバスバー4P、及びバスバー27Nとバスバー4Nを固定するための端子台28が配置されている。端子台28には、締結ボルト29と螺合するネジ穴(不図示)が形成されている。またバスバー27P,27N、バスバー4P,4Nの先端には締結ボルト29を挿通する挿通孔(不図示)が形成されている。
【0026】
本実施形態の回転電機装置100の組み立て工程としては、まずハウジング1にインバータ2を取り付ける。その際、基板21をハウジング1に取り付けるとともに、インバータ2のバスバー23U,23V,23Wをモータ側に接続する。次に、筐体3をハウジング1に取り付ける。その際、固定部31(突出部311)に締結ボルト6(
図1、
図2)を挿通し、ハウジング1に形成されたネジ穴(不図示)に締結ボルト6を螺合させることで、筐体3をハウジング1に固定する。
【0027】
上記のように、ハウジング1にインバータ2及び筐体3を取り付けると、
図4に示すように、端子台28(締結ボルト29)が平面視で視認できるように筐体3の開口部35A,35B(破線で表示)が配置される。また、バッテリ(不図示)に電気的に接続するバスバー4P,4Nは、前記の筐体3に形成された挿通孔32A,32B(
図1-3,8参照)からそれぞれ挿通して端子台28にアクセスすることができる。よって、開口部35A,35Bから締結ボルト29を締結するための工具を挿入して締結作業を行うことができる。
【0028】
したがって、バスバー27Pの挿通孔とバスバー4Pの挿通孔を端子台28の一方のネジ穴(不図示)に連通させ、バスバー27Nの挿通孔とバスバー4Nの挿通孔を端子台28の他方のネジ穴(不図示)に連通させた状態で、締結ボルト29を端子台28の2つのネジ穴(不図示)に螺合させる。これにより、バスバー27Pとバスバー4Pとを互いに固定させ、バスバー27Nとバスバー4Nとを互いに固定させ、パワーモジュール22(及び平滑コンデンサ25)と外部のバッテリ(不図示)とを互いに電気的に接続させることができる。
【0029】
締結作業後は、蓋部5で開口部35A,34Bを閉止し、締結ボルト7(締結部)を用いて蓋部5を筐体3に固定する。これにより、組み立て工程は終了する。なお、開口部35A,35Bを用いる他の作業としては、例えば、インバータ2にヒューズ(不図示)が搭載されている場合に、当該ヒューズを交換する作業がある。
【0030】
ところで、モータを駆動させると、回転による振動がハウジング1を介して筐体3に伝播するが、その際に筐体3から異音が発生する場合がある。しかし、本実施形態では、以下に説明するように、その異音を低減する構成を有している。
【0031】
図5は、本実施形態の回転電機装置100を構成する筐体3の平面図である。
図6は、本実施形態の回転電機装置100を構成する筐体3の底面図である。
図7は、
図5のA-A線断面図である。
図8は、
図5のB-B線断面図である。
【0032】
図5に示すように、第1天板部33は、ボス部34と接続部37を含む。ボス部34は、前記の開口部35A,35Bの周囲に配置されたネジ穴36(締結部)と、突起341を包含する。開口部35A,35Bは、それぞれ例えばY軸方向を長手方向とする長円形を有しており、Y軸方向に並んで配置されている。ネジ穴36は、開口部35A及び開口部35Bの周囲をそれぞれ周回するように複数(図では8個)配置されている。突起341は、開口部35Aに隣接する位置と、開口部35Bに隣接する位置に配置されている。
【0033】
本実施形態では、筐体3の側壁であって+X軸側に配置された一対の固定部31A,31Cに平面視で挟まれた筐体3上の特定領域8(領域)にネジ穴36(締結部)が複数(
図5等では4個)配置されている。
【0034】
モータで発生する振動はハウジング1と筐体3の固定箇所、すなわち固定部31に伝播し、これが側壁を伝って筐体3の天板(第1天板部33、第2天板部38)に伝播し、天板において振動に起因する異音が発生し得る。特に、平面視で筐体3において前記の一対の固定部31A,31Cの間となる特定領域8に伝播した振動の成分により、第2天板部38(若しくは第1天板部33)における異音が顕著になる虞がある。
【0035】
しかし、本実施形態では、特定領域8にネジ穴36(締結部)が形成されている。このネジ穴36には締結ボルト7(締結部)と蓋部5が固定される。したがって、一対の固定部31A,31Cの間となる特定領域8の剛性(例えば、天板のZ方向の振幅の振動に対する剛性)が向上するので、異音の発生を抑制することができる。特に、ネジ穴36(締結部)をY軸方向(特定領域8の長手方向)に並ぶように配置することで、特定領域8の剛性が向上し、異音の発生をさらに抑制することができる。
【0036】
ここで、特定領域8とは、例えば、
図5-
図8に示すように筐体3において一点鎖線で囲まれた矩形若しくは直方体の内側部分に該当する。また、特定領域8としては、一対の固定部31A,31C(リブ部313)の+X軸方向の端部から-X軸方向の端部までの位置を短辺としてY軸方向に長手方向を有する領域とすることもできるが、当該短辺の長さをさらに一定の割合(例えば20%)でX軸方向に拡張してもよい。
【0037】
特定領域8を
図5に示す矩形として考えた場合は、平面視で特定領域8にネジ穴36(締結部)が配置されていることが要件となる。また特定領域8を
図5-
図8に示す直方体として考えた場合は、ネジ穴36が実際に特定領域8の内側に配置されていることが要件となる。
【0038】
図7、
図8に示すように、第1天板部33と第2天板部38の間には段差部39が配置され、当該段差部39と第1天板部33の接続部37が接続している。ここで、段差部39は、ネジ穴36(締結部)と同様に特定領域8に含まれるように配置される。また、第2天板部38は第1天板部33(接続部37)よりも高くなるように配置されており、段差部39は、その主面が+X軸側に対向している。
【0039】
ボス部34は、少なくとも一部(
図5では、開口部35A,35Bよりも-X軸側であってネジ穴36を含む領域)が特定領域8に含まれるように配置される。またボス部34は、接続部37よりも高くなるように配置されている。
【0040】
これにより、図中の特定領域8において、筐体3の天板にY軸方向に延びる段差部39(折り目)が形成され、筐体3の剛性が天板に折り目がない場合よりも向上するので、筐体3で発生し得る異音を低減できる。また、特定領域8においてボス部34が配置された部分の剛性が向上し、これにより筐体3で発生し得る異音を低減できる。
【0041】
なお、本実施形態では、段差部39、及びボス部34のいずれか一方を形成する構成、また両方とも形成しない構成でもよい。また、第2天板部38の高さが第1天板部33の高さよりも低くなってもよい。この場合、段差部39は、その主面が-X軸側に対向する。
【0042】
さらに、
図6-
図8に示すように、特定領域8であって筐体3の内側(天板の裏側)には、Y軸方向(特定領域8の長手方向に沿った方向)に延びる内部リブ391が形成されている。この内部リブ391によっても特定領域8の剛性を向上させ、異音の発生を抑制することができる。
【0043】
[本実施形態の効果]
本実施形態の回転電機装置100によれば、回転電機(モータ)を収容するハウジング1と、ハウジング1に取り付けられるとともに回転電機(モータ)に接続された電力変換装置(インバータ2)と、電力変換装置(インバータ2)を覆うようにハウジング1に取り付けられる筐体3と、を含む回転電機装置100であって、筐体3には、電力変換装置(インバータ2)に対して部品(バスバー4P,4N、ヒューズ)の取り付け作業を行うための開口部35A,35Bが形成されるとともに、ハウジング1に筐体3を固定するための複数の固定部31と、開口部35A,35Bの周囲に配置され、開口部35A,35Bを閉止するための蓋部5を締結するための複数の締結部(ネジ穴36)と、を含み、複数の固定部31は、筐体3の一方の側壁と、一方の側壁に対向する他方の側壁に設けられるとともに互いに対向する一対の固定部31A,31Cを含み、締結部(ネジ穴36)は、平面視で筐体3において一対の固定部31A,31Cの間に挟まれる領域(特定領域8)に複数配置されている。
【0044】
上記構成により、固定部31(固定部31A,31C)は、ハウジング1(モータ)から最初に振動が伝播する部分となるが、筐体3において平面視で一対の固定部31A,31Cに挟まれる領域(特定領域8)の剛性が締結部(ネジ穴36)により向上するので、筐体3(特に天板)で発生し得る異音を低減できる。
【0045】
本実施形態において、固定部31は、側壁から突出するとともにハウジング1に固定される突出部311と、側壁から突出して突出部311に接続するリブ部313と、を含む。これにより、固定部31と筐体3の側壁との間の剛性を向上させ、筐体3で発生し得る異音を低減できる。
【0046】
本実施形態において、領域(特定領域8)は、一対の固定部31A,31Cを互いに結ぶ方向(Y軸方向)を長手方向とし、締結部(ネジ穴36)は、長手方向に沿って複数配列されている。これにより、固定部31A,31Cを介して伝播してくる振動が集中する領域(特定領域8)の剛性を効果的に向上させ、筐体3で発生し得る異音を低減できる。
【0047】
本実施形態において、筐体3は、開口部35A,35B及び締結部(ネジ穴36)を包含する第1天板部33と、第1天板部33と高さが異なる第2天板部38と、第1天板部33と第2天板部38とを接続する段差部39を含み、段差部39は、平面視で領域(特定領域8)の内側に配置される。これにより、領域(特定領域8)において筐体3の天板にY軸方向に延びる段差部39(折り目)が形成され、筐体3の剛性が天板に折り目がない場合よりも向上するので、筐体3で発生し得る異音を低減できる。
【0048】
本実施形態において、筐体3は、開口部35A,35B及び締結部(ネジ穴36)を含むとともに筐体3の天板(第1天板部33)から突出するように配置されたボス部34を含み、ボス部34の少なくとも一部が平面視で領域(特定領域8)に含まれる。これにより、領域(特定領域8)においてボス部34が配置された部分の剛性が向上し、これにより筐体3で発生し得る異音を低減できる。
【符号の説明】
【0049】
1 ハウジング
2 インバータ
3 筐体
31 固定部
31A 固定部
31C 固定部
36 ネジ穴
4P バスバー
4N バスバー
5 蓋部
8 特定領域