(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】医療支援ロボット及び医療ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240104BHJP
【FI】
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2020071344
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0055415(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0333215(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0100846(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111513861(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61B 50/13
A61B 90/50
A61G 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスを収容可能である収容部と、
前記医療デバイスを扱うことが可能であるエンドエフェクタを先端に有する少なくとも1つのロボットアームと、
前記収容部及び前記少なくとも1つのロボットアームを支持し且つ走行可能である走行装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記走行装置に、医療行為を行うロボットである医療ロボットまで移動させる制御を行う
医療支援ロボット。
【請求項2】
前記制御装置は、前記収容部内の前記医療デバイスを前記医療ロボットに保持させる保持動作、及び、前記医療ロボットに保持されている前記医療デバイスを前記医療ロボットに保持解除させる保持解除動作の少なくとも1つの動作を、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタに実行させる制御を行う
請求項1に記載の医療支援ロボット。
【請求項3】
前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報に基づき、前記保持動作及び前記保持解除動作の少なくとも1つの動作を実行する制御を行う
請求項2に記載の医療支援ロボット。
【請求項4】
前記エンドエフェクタは、医療行為対象者を載せる積載デバイスを保持することが可能であるように構成され、
前記制御装置は、前記医療行為対象者を載せている積載デバイスを前記エンドエフェクタに保持させ、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行う
請求項1~3のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項5】
前記制御装置は、指定された前記積載デバイスの情報と指定された前記医療ロボットの情報とを受け取るように構成され、前記積載デバイスの情報及び前記医療ロボットの情報に基づき、前記走行装置に前記積載デバイスまで移動させ、前記積載デバイスを前記エンドエフェクタに保持させ、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行う
請求項4に記載の医療支援ロボット。
【請求項6】
前記医療支援ロボットの操作入力装置と無線通信する無線通信装置をさらに備える
請求項1~5のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項7】
前記医療支援ロボットの操作入力装置と無線通信する第1無線通信装置と、
前記医療ロボットと無線通信する第2無線通信装置とをさらに備える
請求項1~5のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項8】
音声を出力する音声出力装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記医療支援ロボットの操作入力装置から、音声信号を受け取り、前記音声信号に対応する音声を前記音声出力装置に出力させる制御を行う
請求項1~7のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項9】
音声の入力を受け付ける音声入力装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記音声入力装置によって受け付けられた音声に対応する音声信号を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行う
請求項1~8のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項10】
画像を出力する表示装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記医療支援ロボットの操作入力装置から、画像信号を受け取り、前記画像信号に対応する画像を前記表示装置に出力させる制御を行う
請求項1~9のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項11】
撮像装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された画像の信号を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行う
請求項1~10のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項12】
前記医療支援ロボットの位置を検出する位置検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記位置検出装置によって検出された前記医療支援ロボットの位置の情報を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行う
請求項1~11のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項13】
前記医療支援ロボットの位置を検出する位置検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報と、前記位置検出装置によって検出された前記医療支援ロボットの位置の情報とに基づき、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行う
請求項1~12のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項14】
消毒剤を収容する消毒剤収容部と、
前記エンドエフェクタ又は前記ロボットアームに配置され且つ前記消毒剤を放出する放出部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記放出部に前記医療ロボットへ前記消毒剤を放出させる制御を行う
請求項1~13のいずれか一項に記載の医療支援ロボット。
【請求項15】
前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報に基づき、前記放出部に前記医療ロボットへ前記消毒剤を放出させる制御を行う
請求項14に記載の医療支援ロボット。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の医療支援ロボットと、
前記医療支援ロボットの操作入力装置と、
前記医療ロボットとを備える
医療ロボットシステム。
【請求項17】
前記医療支援ロボットの操作入力装置は、前記医療支援ロボット及び前記医療ロボットが配置される空間から隔離された空間に配置される
請求項16に記載の医療ロボットシステム。
【請求項18】
前記医療ロボットは、手術ロボットをベースとするロボット、又は、前記手
術ロボット以外の汎用ロボットをベースとするロボットである
請求項16又は17に記載の医療ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療支援ロボット及び医療ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場へのロボットの導入が検討されている。例えば、特許文献1は、ロボットX線撮像装置を開示する。ロボットX線撮像装置は、ロボットアームと、ロボットアームによって支えられる支持アームと、支持アームに取り付けられたX線源と、支持アームに取り付けられた放射線検出器とを備える。ロボットX線撮像装置は、医療処置中に、ロボットアームを用いて、複数の異なる投影方向からX線を患者の心臓弁を含む領域に照射し、放射検出器によって、異なる投影方向において患者によって減弱されたX線を検出し、投影方向に関するそれぞれの投影データセットを送出する。さらに、投影データセットから3D画像が構成され、ディスプレイに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な新たな感染症が発生し、そのような感染症の感染者は、自身が発する飛沫等に含まれる感染症源により、感染症を他人に感染させる可能性がある。特に、感染者の診察及び治療に従事する医療従事者は、感染するリスクが高い。さらに、感染者への処置に用いられた医療器具は感染症源に汚染される。このため、処置後の医療器具を扱うような医療行為の支援に従事する人も、感染するリスクが高い。
【0005】
本開示は、医療行為を支援する作業を行うことができる医療支援ロボット及び医療ロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、医療デバイスを収容可能である収容部と、前記医療デバイスを扱うことが可能であるエンドエフェクタを先端に有する少なくとも1つのロボットアームと、前記収容部及び前記少なくとも1つのロボットアームを支持し且つ走行可能である走行装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走行装置に、医療行為を行うロボットである医療ロボットまで移動させる制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、ロボットを用いて医療行為を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る医療ロボットシステムの構成の一例を示す平面図
【
図2】実施の形態に係る医療支援ロボットの構成の一例を示す側面図
【
図3】実施の形態に係る医療支援ロボットの構成の一例を示す平面図
【
図4】実施の形態に係る医療支援ロボットの機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図5】実施の形態に係る医療支援ロボットの動作の一例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
<医療ロボットシステムの構成>
図1は、実施の形態に係る医療ロボットシステム1の構成の一例を示す平面図である。
図1に示すように、医療ロボットシステム1は、ロボットを用いて医療行為を行うシステムである。医療ロボットシステム1は、医療ロボット10と、医療支援ロボット100と、操作入力装置20及び30とを備える。医療ロボット10は、被診察者、被検査者及び患者等の医療行為対象者Pに医療行為を行うロボットであり、
図1では、医療ロボット10A及び10Bが配置されている。医療支援ロボット100は、医療ロボット10A及び10Bの医療行為を支援するロボットである。操作入力装置20は、医療ロボット10A又は10Bを操作するための装置であり、
図1では、医療ロボット10A及び10Bそれぞれに操作入力装置20A及び20Bが配置されている。操作入力装置30は、医療支援ロボット100を操作するための装置である。医療行為は、医療行為対象者への処置を行ういかなる行為であってもよく、例えば、診察、診断、検査、手当、治療、内科的手術及び外科的手術等の行為を含み得る。
【0011】
以下において、医療ロボット10は、医療ロボット10A及び10Bに区別して表される場合には、「医療ロボット10A」及び「医療ロボット10B」と表され、区別されない場合には、「医療ロボット10」と表される場合がある。操作入力装置20は、操作入力装置20A及び20Bに区別して表される場合には、「操作入力装置20A」及び「操作入力装置20B」と表され、区別されない場合には、「操作入力装置20」と表される場合がある。
【0012】
これに限定されないが、本実施の形態では、医療ロボット10Aは、移動可能な産業用ロボット等の汎用ロボットを利用し、これをベースとするロボットであり、本開示の発明者が考案した新規なロボットである。医療ロボット10Aは、ロボットアーム11Aと、ロボットアーム11Aの先端のエンドエフェクタ12Aと、ロボットアーム11Aを支持し且つ走行させる走行装置13Aと、インタフェース装置(図示略)とを備える。医療ロボット10Aは、外部の商用電源から電力の供給を受ける構成を有してもよく、電力源として蓄電池を備える構成を有してもよく、両方の構成を有してもよい。
【0013】
エンドエフェクタ12Aは、医療行為に適した構成を有し、ロボットアーム11Aの先端に着脱可能であるように構成される。例えば、エンドエフェクタ12Aは、検査行為、検体採取、検温、医療行為対象者への医療器具の着脱、医療行為対象者に取り付けられている医療器具同士の接続及び接続解除、把持、並びに、吸引等の様々な医療行為に対応して構成されてもよい。ロボットアーム11Aは、多自由度である多関節ロボットアームである。走行装置13Aは、ロボットアーム11Aを移動させることができる構成を有すればよく、例えば、車輪を備える。例えば、走行装置13Aは、AGV(無人搬送車:Automated Guided Vehicle)であってもよい。インタフェース装置は、カメラ、マイク、モニタ及びスピーカ等を含む。カメラ及びマイクは、医療行為対象者P等の画像及び音声を取得して操作入力装置20Aに送信し、モニタ及びスピーカは、操作入力装置20Aから受信する、操作者である医師D等の画像及び音声を出力する。
【0014】
これに限定されないが、本実施の形態では、医療ロボット10Bは、手術ロボットを利用し、これをベースとするロボットであり、本開示の発明者が考案した新規なロボットである。医療ロボット10Bは、アーム11Bと、アーム11Bの先端のベース12Bと、ベース12Bによって支持される複数のマニピュレータ13Bと、エンドエフェクタ14Bと、走行装置15Bと、インタフェース装置(図示略)とを備える。医療ロボット10Bは、各マニピュレータ13Bの先端に、手術器具の代わりに、エンドエフェクタ14Bを備える。医療ロボット10Bは、外部の商用電源から電力の供給を受ける構成を有してもよく、電力源として蓄電池を備える構成を有してもよく、両方の構成を有してもよい。
【0015】
エンドエフェクタ14Bは、医療ロボット10Aのエンドエフェクタ12Aと同様に、医療行為に適した構成を有し、マニピュレータ13Bの先端に着脱可能であるように構成される。走行装置15Bは、医療ロボット10Bを移動させることができる構成を有すればよく、例えば、手術ロボットに備えられる走行装置であってもよい。インタフェース装置は、カメラ、マイク、モニタ及びスピーカ等を含む。カメラ及びマイクは、医療行為対象者P等の画像及び音声を取得して操作入力装置20Bに送信し、モニタ及びスピーカは、操作入力装置20Bから受信する医師D等の画像及び音声を出力する。
【0016】
例えば、医療ロボット10A及び10Bは、医療行為対象者Pへの医療処置を行うための医療処置室MTR内に配置され、医療処置室MTRの外部の操作室OR内に配置される操作入力装置20A及び20Bと通信する。医療処置室MTRと操作室ORとは、例えば、感染症源等の病原体が互いの間を移動できないように、隔離されている。医療ロボット10A及び10Bはそれぞれ、操作入力装置20A及び20Bと、情報、指令及びデータ等を送受信し、操作入力装置20A及び20Bから受け取る情報及び指令等に従って動作する。つまり、医療ロボット10A及び10Bは、これらから隔離された空間に配置された操作入力装置20A及び20Bによって遠隔操作される。
【0017】
例えば、医療ロボット10Aの操作入力装置20Aとして、産業用ロボットに用いられる操作入力装置と同様の装置が用いられてもよく、医療ロボット10Aのために考案された新規な操作入力装置が用いられてもよい。医療ロボット10Bの操作入力装置20Bとして、コンソール等の手術用ロボットに用いられる操作入力装置と同様の装置が用いられてもよい。医療ロボット10A及び10Bと操作入力装置20A及び20Bとの間の通信は、いかなる有線通信及び無線通信であってもよい。
【0018】
操作入力装置20A及び20Bは、操作者である医師Dからの入力を受け付ける入力装置21と、インタフェース装置22とを備える。インタフェース装置22は、カメラ、マイク、モニタ及びスピーカ等を含む。カメラ及びマイクは、医師D等の画像及び音声を取得して医療ロボット10A及び10Bに送信し、モニタ及びスピーカは、医療ロボット10A及び10Bから受信する医療行為対象者P等の画像及び音声を出力する。よって、医師Dは、医療行為対象者Pから隔離された操作室OR内で、医療行為対象者Pとコミュニケーションを取りつつ、医療ロボット10A及び10Bを用いて医療行為を行うことができる。
【0019】
<医療支援ロボットの構成>
医療支援ロボット100の構成を説明する。
図2は、実施の形態に係る医療支援ロボット100の構成の一例を示す側面図である。
図3は、実施の形態に係る医療支援ロボット100の構成の一例を示す平面図である。
図2及び
図3に示すように、医療支援ロボット100は、ベース101と、ロボットアーム102と、エンドエフェクタ103と、走行装置104と、収容部105と、制御装置106とを備える。ロボットアーム102及び収容部105は、ベース101の上面101a上に配置され、ベース101によって支持される。エンドエフェクタ103は、ロボットアーム102の先端に着脱可能に取り付けられ、医療支援動作に適した構成を有する。走行装置104はベース101の下部に配置され、ベース101を移動させる。つまり、走行装置104は、ロボットアーム102及び収容部105を支持し且つ走行可能である。制御装置106は、ロボットアーム102、エンドエフェクタ103及び走行装置104等の動作を制御する。
【0020】
ロボットアーム102は、その先端のエンドエフェクタ103の位置及び姿勢を自在に変えることができる。ロボットアーム102は、多自由度のロボットアームであり、複数の関節を有する。本実施の形態では、ロボットアーム102は、6つの回転関節を有する6軸の垂直多関節型のロボットアームであるが、ロボットアーム102の形式はこれに限定されない。ロボットアーム102は、6つの関節のそれぞれに、当該関節を回転駆動するアーム駆動装置AM1~AM6を備える。アーム駆動装置AM1~AM6はそれぞれ、電力を動力源とし、例えば、電気モータとしてサーボモータを有する。アーム駆動装置AM1~AM6の動作は、制御装置106によって制御される。
【0021】
エンドエフェクタ103は、医療デバイスMDを扱うことができるように構成される。エンドエフェクタ103の駆動装置であるツール駆動装置103aの動力源は特に限定されないが、例えば、電力、空気圧及び液圧等であってもよい。電力を動力源とするツール駆動装置103aは、例えば、電気モータとしてサーボモータを有する。ツール駆動装置103aの動作は、制御装置106によって制御される。
【0022】
医療デバイスMDは、医療に用いられるいかなるデバイスであってもよい。例えば、医療デバイスMDは、医療器具、医療用具、検査器具、検査用具、検体、薬品類、医療行為対象者を載せる積載デバイス、及び、医療ロボット10A及び10Bのエンドエフェクタ12A及び14B等を含み得るが、これに限定されない。例えば、薬品類は、薬品だけでなく、輸血用血液及び培養液等の医療行為対象者の体内に導入される物品も含む。例えば、積載デバイスは、ベッド、診察台、手術台、ストレッチャ及び車椅子等を含み得るが、これに限定されない。
【0023】
収容部105は、医療デバイスMDを収容可能である。これに限定されないが、本実施の形態では、収容部105は、収容部105A~105Dを含む。第1収容部105Aは、医療行為対象者の処置への未使用又は消毒済みのエンドエフェクタ12A及び14Bを収容する。例えば、第1収容部105Aは、医療ロボット10A及び10Bが様々な処置に対応して使用し得るエンドエフェクタ12A及び14Bを収容する。第2収容部105Bは、医療行為対象者の処置への使用済みのエンドエフェクタ12A及び14Bを収容する。例えば、第2収容部105Bは、医療ロボット10A及び10Bから取り外されたエンドエフェクタ12A及び14Bを収容する。
【0024】
第3収容部105Cは、医療ロボット10A及び10Bのエンドエフェクタ12A及び14Bが扱う医療デバイスMDのうち、医療行為対象者の処置への未使用の医療デバイスMDを収容する。例えば、第3収容部105Cは、医療器具、医療用具、検査器具、検査用具、検体及び薬品類等を収容してもよい。例えば、第3収容部105Cは、医療行為対象者から検体を採取するための検査用具及び検査キット等を収容してもよい。
【0025】
第4収容部105Dは、エンドエフェクタ12A及び14Bが扱う医療デバイスMDのうち、医療行為対象者の処置への使用済みの医療デバイスMDを収容する。例えば、第4収容部105Dは、医療器具、医療用具、検査器具、検査用具、検体及び薬品類等を収容してもよい。例えば、第4収容部105Dは、医療行為対象者から検体を採取した後の検査用具及び検査キット等を収容してもよい。
【0026】
また、エンドエフェクタ103は、収容部105の医療デバイスMDを保持し取り出すこと、及び、保持している医療デバイスMDを収容部105内に収容することができるように構成される。さらに、エンドエフェクタ103は、収容部105から取り出された医療デバイスMDを、医療ロボット10A及び10Bに保持させる保持動作と、医療ロボット10A及び10Bに保持されている医療デバイスMDを医療ロボット10A及び10Bに保持解除させる保持解除動作とのうちの少なくとも1つの動作をできるように構成される。
【0027】
具体的には、エンドエフェクタ103は、エンドエフェクタ12A及び14Bをそれぞれ、ロボットアーム11A及びマニピュレータ13Bに取り付けることができるように構成され得る。エンドエフェクタ103は、ロボットアーム11A及びマニピュレータ13Bに取り付けられているエンドエフェクタ12A及び14Bを取り外すことができるように構成され得る。エンドエフェクタ103は、エンドエフェクタ12A及び14B以外の医療デバイスMDをエンドエフェクタ12A及び14Bに取り付ける又は渡すことができるように構成され得る。エンドエフェクタ103は、エンドエフェクタ12A及び14Bに保持されている医療デバイスMDをエンドエフェクタ12A及び14Bから取り外す又は受け取ることができるように構成され得る。
【0028】
走行装置104は、ベース101を支持し且つ移動させることができる複数の車輪104aと、走行駆動装置104bとを備える。走行駆動装置104bは、少なくとも1つの車輪104aを駆動することができ且つ車輪104aの向きを変えることができる。これにより、走行駆動装置104bは、ベース101を任意の方向に移動させることができる。なお、走行装置104は、動力を用いてベース101を移動させることができればよい。これに限定されないが、本実施の形態では、走行駆動装置104bは、電力を動力源とし、例えば、電気モータとしてサーボモータを有する。例えば、走行装置104はAGVであってもよい。走行駆動装置104bの動作は、制御装置106によって制御される。
【0029】
また、医療支援ロボット100は、ベース101内に、蓄電池107と、通信装置108と、位置検出装置109と、消毒装置110の消毒剤収容部110aとを備える。蓄電池107は、医療支援ロボット100の電気機器の電力源として機能する。蓄電池107は、電力の充放電が可能である二次電池である。二次電池の例は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等である。蓄電池107は、ベース101に配置された電源コネクタ114と電気的に接続されている。蓄電池107は、電源コネクタ114と接続された外部の商用電源等から電力の供給を受け、供給された電力を蓄積し、蓄積した電力を医療支援ロボット100の電気機器に供給する。なお、医療支援ロボット100は、電源コネクタ114と接続された外部の商用電源等から供給される電力を医療支援ロボット100の電気機器に供給するように構成されてもよく、蓄電池107の電力と商用電源等の電力とを選択的に用いる又は併用するように構成されてもよい。
【0030】
通信装置108は、第1通信装置108aと第2通信装置108bとを含む。第1通信装置108aは、医療支援ロボット100の操作入力装置30と無線通信又は有線通信するように構成される。第1通信装置108aは、制御装置106と操作入力装置30との間の情報、指令及びデータ等の送受信を仲介する。第2通信装置108bは、医療ロボット10A及び10Bと無線通信又は有線通信するように構成される。第2通信装置108bは、制御装置106と医療ロボット10A及び10Bとの間の情報、指令及びデータ等の送受信を仲介する。これに限定されないが、本実施の形態では、通信装置108a及び108bは、無線通信するように構成される。通信装置108a及び108bは通信回路等を含んでもよい。通信装置108a及び108bに適用される無線通信及び有線通信は、いかなる無線通信及び有線通信であってもよい。なお、通信装置108a及び108bのうち、第1通信装置108aのみが設けられてもよい。
【0031】
例えば、医療支援ロボット100は、医療ロボット10A及び10Bと同様に医療処置室MTR内に配置され、操作入力装置30は、医療ロボット10A及び10Bの操作入力装置20A及び20Bと同様に操作室OR内に配置される。よって、医療支援ロボット100は、医療ロボット10A及び10B並びに医療支援ロボット100から隔離された空間に配置された操作入力装置30によって遠隔操作される。
【0032】
位置検出装置109は、ベース101の位置を検出し、さらに、ベース101の姿勢を検出するように構成されてもよい。位置検出装置109は、検出結果を制御装置106に出力する。位置検出装置109の構成は特に限定されず、ベース101の位置及び姿勢の少なくとも位置を検出できればよい。
【0033】
例えば、位置検出装置109は、GPS(Global Positioning System)受信機及びIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)等の位置計測装置を含んでもよい。位置検出装置109は、GPS受信機の受信信号及び/又はIMUによって計測された加速度及び角速度等を用いて、ベース101の位置及び姿勢を検出してもよい。例えば、位置検出装置109は、周囲に配置されたセンサから受け取る信号に基づき、ベース101の位置及び姿勢を検出するように構成されてもよい。例えば、位置検出装置109は、周囲に、赤外線、光波及び超音波等を放射し、その反射波を受信することで、ベース101の位置及び姿勢を検出するように構成されてもよい。例えば、位置検出装置109は、カメラで撮像した周囲の画像に基づき、ベース101の位置及び姿勢を検出するように構成されてもよい。例えば、位置検出装置109は、床面に埋設された電線から微弱な誘導電流を検出し、この検出値に基づきベース101の位置及び姿勢を検出するように構成されてもよい。
【0034】
消毒装置110は、消毒剤収容部110aと放出部110bとを備える。消毒剤収容部110aは、消毒剤を収容する容器であり、例えば、アルコール等の消毒液を収容する。放出部110bは、消毒剤収容部110aと配管等を介して接続され、消毒剤収容部110a内の消毒剤を外部に放出する。例えば、放出部110bは、消毒液又は消毒粉体を噴射する装置であってもよく、放出ノズル110baと消毒剤を圧送するポンプ110bbとを備える。放出ノズル110baは、ロボットアーム102又はエンドエフェクタ103に配置され、ロボットアーム102及びエンドエフェクタ103によって任意の位置で任意の向きに消毒剤を放出することができる。本実施の形態では、放出ノズル110baは、ロボットアーム102の先端に配置される。ポンプ110bbはベース101内に配置される。
【0035】
また、医療支援ロボット100は、少なくとも1つの撮像装置121~123と、音声入力装置131と、表示装置141と、音声出力装置151とを備える。これに限定されないが、本実施の形態では、3つの撮像装置121~123が配置される。第1撮像装置121は、ロボットアーム102の先端に配置される。しかしながら、第1撮像装置121は、エンドエフェクタ103又はロボットアーム102の他の部位に配置されてもよい。第1撮像装置121は、ロボットアーム102によって任意の位置及び任意の向きに配置されることができ、例えば、エンドエフェクタ103が作用を与える対象を撮像し、画像の信号の一例である画像データを制御装置106等に出力する。第1撮像装置121は、デジタル画像の静止画及び/又は動画を撮像するカメラであり、さらに、画像内の被写体の位置情報を含む3次元画像を撮像できる3次元カメラであってもよい。
【0036】
第2撮像装置122は、ベース101の側面101bに配置される。側面101bは、走行装置104によるベース101の前進方向である前方向FDの側面であり、側面101bの近傍にロボットアーム102が配置される。例えば、第2撮像装置122は、デジタル画像の静止画及び/又は動画を撮像する広角カメラであり、側面101bから前方向FD及びその放射方向の広範囲にわたる画像を撮像するように構成されてもよい。第2撮像装置122は、撮像した画像データを制御装置106に出力する。
【0037】
第3撮像装置123は、ベース101の側面101cに配置される。側面101cは、走行装置104によるベース101の後進方向である後方向BDの側面であり、側面101cの近傍に収容部105が配置される。例えば、第3撮像装置123は、第2撮像装置122と同様に広角カメラであり、側面101cから後方向BD及びその放射方向の広範囲にわたる画像を撮像するように構成されてもよい。第3撮像装置123は、撮像した画像データを制御装置106に出力する。
【0038】
なお、撮像装置121~123の全てが必須の構成要素ではない。例えば、位置及び向きを変えることができる第1撮像装置121が、撮像装置122及び123の少なくとも1つの代わりに用いられてもよい。
【0039】
音声入力装置131は、ベース101の側面101bに配置される。音声入力装置131は、音声の入力を受け付け、当該音声を音声信号に変換し制御装置106に出力する。音声入力装置131は、音声入力の受け付け及び音声信号への変換が可能であればいかなる装置であってもよく、例えば、マイクである。例えば、音声入力装置131は、医療行為対象者等の音声信号を取得することができる。
【0040】
表示装置141は、画像を出力する装置である。例えば、表示装置141は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)及び有機又は無機ELディスプレイ(Electro-Luminescence Display)等であるが、これらに限定されない。例えば、表示装置141は、操作入力装置30に配置された撮像装置33(
図1参照)によって撮像される操作者等の画像データを、画像として表示することができる。
【0041】
音声出力装置151は、音声を出力する装置である。音声出力装置151は、音声信号を音声に変換し出力する。音声出力装置151は、音声信号から音声への変換が可能であればいかなる装置であってもよく、例えば、スピーカである。例えば、音声出力装置151は、操作入力装置30に配置された音声入力装置34(
図1参照)によって出力される操作者の音声信号を、音声に変換し出力することができる。
【0042】
このように、医療支援ロボット100は、医療ロボット10A及び10Bへの医療デバイスMDの受け渡しと、医療ロボット10A及び10Bの近傍の人と操作入力装置30の操作者との間のコミュニケーションとを可能にする。医療支援ロボット100は、医療行為対象者への直接的な医療行為を行う必要がないため、操作入力装置30の操作者は、医療従事者に限定されない。
【0043】
図1に示すように、操作入力装置30は、操作者Oからの入力を受け付ける入力装置31と、インタフェース装置32とを備える。インタフェース装置32は、撮像装置33と、音声入力装置34と、表示装置35と、音声出力装置36とを含む。撮像装置33、音声入力装置34、表示装置35及び音声出力装置36の構成は、医療支援ロボット100と同様である。撮像装置33は、操作者O等の画像を撮像し、当該画像の画像データは、操作入力装置30によって医療支援ロボット100に送信される。音声入力装置34は、操作者O等の音声を受け付け、当該音声の音声信号は、操作入力装置30によって医療支援ロボット100に送信される。表示装置35は、操作入力装置30が医療支援ロボット100から受信する画像データに対応する画像を表示する。音声出力装置36は、操作入力装置30が医療支援ロボット100から受信する音声信号に対応する音声を出力する。
【0044】
制御装置106の構成を説明する。制御装置106は、医療支援ロボット100の各構成要素の動作を制御する。例えば、制御装置106は、コンピュータ装置を含む。例えば、制御装置106は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、他の装置との情報、データ、情報及び指令等の送受信を行う。演算器は、各種機器からの信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0045】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。コンピュータシステムは、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって、演算器の機能を実現してもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。制御装置106は、単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0046】
例えば、制御装置106の各機能は、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、システムLSI等の回路によって実現されてもよい。制御装置106の複数の機能は、個別に1チップ化されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0047】
制御装置106の機能的な構成を説明する。
図4は、実施の形態に係る医療支援ロボット100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置106は、モード決定部1601、自動操作指令部1602、手動操作指令部1603、走行指令部1604、アーム駆動制御部1605、ツール駆動制御部1606、走行駆動制御部1607、情報処理部1608、経路決定部1609、位置検出部1610、第1画像処理部1611、第2画像処理部1612、第3画像処理部1613、第1音声処理部1614、第2音声処理部1615、放出制御部1616及び記憶部1620を機能的に構成要素として含む。記憶部1620の機能は、メモリによって実現される。記憶部1620以外の機能は、プロセッサ等によって実現される。上記構成要素の全てが必須ではない。
【0048】
記憶部1620は、種々の情報を記憶し、記憶された情報の読出しを可能にする。例えば、記憶部1620は、プログラム及び各種固定データ等を記憶してもよい。記憶部1620は、医療処置室MTRの地図データ、及び医療処置室MTRを含む建物等の構造物内の地図データ等を記憶し、地図データ内の情報に変更があると、地図データの更新を受けるように構成されてもよい。記憶部1620は、医療ロボット10A及び10Bから制御装置106が受信した医療ロボット10A及び10Bの情報を記憶してもよい。記憶部1620は、各撮像装置から制御装置106に送られる画像データ、及び、各音声出力装置から制御装置106に送られる音声信号を記憶してもよい。
【0049】
モード決定部1601は、操作入力装置30から受信する指令に従って、医療支援ロボット100の操縦モードを決定する。動作モードは、プログラムに従って医療支援ロボット100に自動で所定の動作をさせる自動操縦モードと、操作入力装置30から受信する操作指令に従って医療支援ロボット100に当該操作指令に対応する動作をさせる手動操縦モードとを含む。操作指令は、医療支援ロボット100をマニュアル操作するために操作入力装置30に入力される操作に対応する指令である。
【0050】
自動操作指令部1602は、自動操縦モードにおいて機能し、プログラムに設定される所定の動作をロボットアーム102及びエンドエフェクタ103に自動で実行させるための動作指令を、アーム駆動制御部1605及びツール駆動制御部1606に出力する。動作指令は、ロボットアーム102のアーム駆動装置AM1~AM6及びエンドエフェクタ103のツール駆動装置103aを動作させるための指令である。
【0051】
手動操作指令部1603は、手動操縦モードにおいて機能し、操作指令に対応する動作をロボットアーム102及びエンドエフェクタ103に実行させるための動作指令を、アーム駆動制御部1605及びツール駆動制御部1606に出力する。
【0052】
走行指令部1604は、走行装置104の走行駆動装置104bを動作させるための動作指令を、走行駆動制御部1607に出力する。走行指令部1604は、自動操縦モードでは、プログラムに設定される経路に沿って走行装置104に自動で走行させるための動作指令を出力する。例えば、プログラムに設定される経路は、経路決定部1609によって決定される経路であってもよい。走行指令部1604は、位置検出部1610によって検出されるベース101の位置及び姿勢と、経路の情報とを用いて、ベース101の移動方向、向き、速度及び加速度等を含む動作指令を出力する。走行指令部1604は、手動操縦モードでは、操作指令に対応するベース101の移動方向、向き、速度及び加速度等で走行装置104に走行させるための動作指令を出力する。
【0053】
アーム駆動制御部1605は、各操作指令部から受け取る動作指令に従って動作するようにアーム駆動装置AM1~AM6を制御する。アーム駆動制御部1605は、アーム駆動装置AM1~AM6の各サーボモータの回転量等をフィードバック情報として用いて、各サーボモータの回転量及び回転速度等を制御し、各サーボモータの電流値をフィードバック情報として用いて、各サーボモータの回転トルクを制御する。
【0054】
ツール駆動制御部1606は、各操作指令部から受け取る動作指令に従って動作するようにツール駆動装置103aを制御する。ツール駆動制御部1606は、ツール駆動装置103aのサーボモータの回転量及び電流値等をフィードバック情報として用いて、サーボモータの駆動を制御する。
【0055】
走行駆動制御部1607は、走行指令部1604から受け取る動作指令に従って動作するように走行駆動装置104bを制御する。走行駆動制御部1607は、走行駆動装置104bのサーボモータの回転量及び電流値等をフィードバック情報として用いて、サーボモータの駆動を制御する。
【0056】
情報処理部1608は、医療ロボット10A及び10Bから受信する医療ロボット10A及び10Bの情報であるロボット情報を処理し、当該ロボット情報に対応する構成要素に出力する。さらに、情報処理部1608は、ロボット情報の一部又は全部を記憶部1620に記憶させる。例えば、ロボット情報は、医療ロボット10A及び10BのID等の識別情報、医療ロボット10A及び10Bからの指令、医療ロボット10A及び10Bの型式等の種類、装着されているエンドエフェクタ12A及び14Bの型式等の種類、並びに、医療ロボット10A及び10Bの位置及び向き等の情報を含んでもよい。例えば、指令は、医療ロボット10A及び10Bのエンドエフェクタ12A及び14Bの要求又は交換の指令、医療ロボット10A及び10Bのエンドエフェクタ12A及び14B用の医療デバイスMDの要求、回収又は交換の指令、医療ロボット10A及び10Bへの積載デバイスの搬送の指令、医療ロボット10A及び10Bからの積載デバイスMDAの搬送の指令等を含んでもよい。また、情報処理部1608は、ロボット情報の一部又は全部を操作入力装置30に送信する。
【0057】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「位置の情報」及び「位置情報」は、「位置の情報のみ」、「位置及び向きの情報」並びに「位置及び姿勢の情報」のいずれも含み得る。
【0058】
経路決定部1609は、自動操縦モードにおいて機能し、ロボット情報において指令を受けた医療ロボット10A又は10Bまで医療支援ロボット100を移動させるための経路を決定する。経路決定部1609は、医療ロボット10A又は10Bの位置及び向きの情報と、医療支援ロボット100のベース101の位置及び向きの情報と、医療処置室MTRの地図データとを用いて、経路を決定する。
【0059】
例えば、
図1に示すように、医療支援ロボット100は、ロボット情報の指令に従って、収容部105に収容された医療デバイスMDを医療ロボット10A又は10Bに搬送する場合がある。この場合、経路決定部1609は、医療支援ロボット100から医療ロボット10A又は10Bまでに至る経路を決定する。
【0060】
例えば、
図5に示すように、医療支援ロボット100は、ロボット情報の指令に従って、医療デバイスMDとしての積載デバイスの一例である医療行為対象者Pを載せたベッドMDAを、医療ロボット10A又は10Bに搬送する場合がある。
図5は、実施の形態に係る医療支援ロボット100の動作の一例を示す平面図である。この場合、経路決定部1609は、医療支援ロボット100からベッドMDAを経由して医療ロボット10A又は10Bまでに至る経路を決定する。この場合、ロボット情報には、搬送対象のベッドMDAの識別情報及び位置情報等の情報が含まれる。
【0061】
位置検出部1610は、位置検出装置109から受け取る検出結果を用いて、医療支援ロボット100のベース101の位置及び姿勢を検出する。位置検出部1610は、ベース101の位置及び姿勢の情報を操作入力装置30に送信してもよい。これにより、当該情報が、操作入力装置30での走行装置104の操作に用いられ得る。
【0062】
第1画像処理部1611は、医療支援ロボット100の第1撮像装置121によって撮像された画像データを処理し、操作入力装置30に送信する。
【0063】
第2画像処理部1612は、医療支援ロボット100の第2撮像装置122及び第3撮像装置123よって撮像された画像データを処理し、操作入力装置30に送信する。例えば、第2画像処理部1612は、第2撮像装置122及び第3撮像装置123の画像データが同期して表示されるように、合成等の処理を行ってもよい。
【0064】
第3画像処理部1613は、操作入力装置30から受信する画像データを処理して表示装置141に表示させる。例えば、第3画像処理部1613は、操作入力装置30の撮像装置33によって撮像された画像データを受信し、当該画像データを処理して表示装置141に表示させる。
【0065】
第1音声処理部1614は、医療支援ロボット100の音声入力装置131によって取得された音声信号を処理し、操作入力装置30に送信する。
【0066】
第2音声処理部1615は、操作入力装置30から受信する音声信号を処理して音声出力装置151に出力させる。例えば、第2音声処理部1615は、操作入力装置30の音声入力装置34によって取得された音声信号を受信し、当該音声信号を処理して音声出力装置151に出力させる。
【0067】
放出制御部1616は、消毒装置110の放出部110bの動作を制御する。例えば、放出制御部1616は、医療ロボット10A及び10Bのロボットアーム11A及びマニピュレータ13B、並びに、エンドエフェクタ12A及び14Bへの消毒剤の放出を放出部110bに実行させる。放出制御部1616は、ロボット情報の指令に従って自動で放出部110bに放出動作をさせてもよく、操作入力装置30の指令に従って放出部110bに放出動作をさせてもよい。例えば、エンドエフェクタ12A及び14Bの交換、及び、エンドエフェクタ12A及び14Bにおける医療デバイスMDの交換のタイミング等で、放出制御部1616は放出部110bに放出動作をさせてもよい。
【0068】
上述のような制御装置106は、ロボットアーム102、エンドエフェクタ103及び走行装置104を制御することで、医療ロボット10A及び10Bの医療行為を支援するための様々な動作を医療支援ロボット100に実行させることができる
【0069】
例えば、制御装置106は、走行装置104に医療ロボット10A及び10Bまで移動させる制御を行うことができる。この場合、制御装置106は、自動操縦モード及び手動操縦モードのいずれでも制御することができる。
【0070】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の収容部105内の医療デバイスMDを医療ロボット10A又は10Bに保持させる保持動作、及び、医療ロボット10A又は10Bに保持されている医療デバイスMDを医療ロボット10A又は10Bに保持解除させる保持解除動作を、ロボットアーム102及びエンドエフェクタ103に実行させる制御を行うことができる。例えば、医療デバイスMDの交換も可能である。このような場合、制御装置106は、自動操縦モード及び手動操縦モードのいずれでも制御することができる。例えば、制御装置106は、医療ロボット10A又は10Bまでの走行装置104の走行制御を自動操縦モードで実行し、保持動作及び保持解除動作の制御を手動操縦モードで実行してもよい。これにより、保持動作及び保持解除動作が複雑な動作を含む場合でも、確実な実行が可能になる。
【0071】
例えば、保持動作及び保持解除動作を行う場合、まず、制御装置106は、エンドエフェクタ103又はエンドエフェクタ103が保持している医療デバイスMDを、医療ロボット10A又は10Bに近けるように、ロボットアーム102及びエンドエフェクタ103を自動で動作させてもよい。
【0072】
次いで、制御装置106は、操作入力装置30の操作指令に従ってロボットアーム102及びエンドエフェクタ103に動作させることで、手動操縦により保持動作又は保持解除動作を実行してもよい。この場合、制御装置106は、操作入力装置30の操作指令に従ったロボットアーム102及びエンドエフェクタ103の動作指令及び/又は動作情報を記憶部1620に記憶させてもよい。
【0073】
又は、制御装置106は、記憶部1620に記憶されている動作指令及び/又は動作情報に基づき、アーム102及びエンドエフェクタ103に動作させることで、自動操縦により保持動作又は保持解除動作を実行してもよい。
【0074】
さらに、制御装置106は、保持動作及び保持解除動作を学習するように構成されてもよい。例えば、制御装置106は、自動操縦により保持動作又は保持解除動作を実行している際中、操作者Oによる操作入力装置30の操作を受け付け、入力された操作に対応して、ロボットアーム102及び/又はエンドエフェクタ103の実行中の動作を修正するように構成されてもよい。この場合、制御装置106は、ロボットアーム102及び/又はエンドエフェクタ103の修正された動作に対応する動作指令及び/又は動作情報を用いて、記憶部1620に記憶されている動作指令及び/又は動作情報を更新してもよい。
【0075】
その後、制御装置106は、自動操縦で保持動作及び保持解除動作を実行する場合、記憶部1620に記憶されている更新後の動作指令及び/又は動作情報に基づき、アーム102及びエンドエフェクタ103に動作させてもよい。さらに、実行中、再度、操作者Oによる操作入力装置30を用いた動作の修正が行われた場合、制御装置106は、ロボットアーム102及び/又はエンドエフェクタ103の修正された動作に対応する動作指令及び/又は動作情報を用いて、記憶部1620に記憶されている動作指令及び/又は動作情報を再度更新してもよい。このように、動作指令及び/又は動作情報の更新が繰り返されることで、より精度が高い又は熟練した保持動作及び保持解除動作を可能にする動作指令及び/又は動作情報が、記憶部1620に記憶される。つまり、制御装置106は、保持動作及び保持解除動作を学習することができる。制御装置106は、医療支援ロボット100の他の動作の制御についても、上記のような保持動作及び保持解除動作の制御と同様の制御を行ってもよい。
【0076】
さらに、制御装置106は、指定された医療ロボット10A又は10Bの情報を受け取るように構成され、医療ロボット10A又は10Bのロボット情報に基づき、上記の保持動作及び保持解除動作の少なくとも1つの動作を実行する制御を行うことができる。つまり、制御装置106は、自動操縦モードで実行することができる。
【0077】
また、制御装置106は、医療行為対象者を載せているベッド等の積載デバイスMDAをエンドエフェクタ103に保持させ、走行装置104に医療ロボット10A又は10Bまで移動させる制御を行うことができる。この場合、制御装置106は、自動操縦モード及び手動操縦モードのいずれでも制御することができる。
【0078】
例えば、制御装置106は、指定された積載デバイスMDAの情報と指定された医療ロボット10A又は10Bのロボット情報とを受け取るように構成され、積載デバイスMDAの情報及びロボット情報に基づき、走行装置104に積載デバイスMDAまで移動させ、積載デバイスMDAをエンドエフェクタ103に保持させ、走行装置104に積載デバイスMDAを医療ロボット10A又は10Bまで移動させる制御を行うことができる。
【0079】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の操作入力装置30から、音声信号を受け取り、当該音声信号に対応する音声を医療支援ロボット100の音声出力装置151に出力させる制御を行うことができる。
【0080】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の音声入力装置131によって受け付けられた音声に対応する音声信号を、医療支援ロボット100の操作入力装置30に出力する制御を行うことができる。
【0081】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の操作入力装置30から、画像信号を受け取り、当該画像信号に対応する画像を医療支援ロボット100の表示装置141に出力させる制御を行うことができる。
【0082】
また、制御装置106は、撮像装置121~123によって撮像された画像の信号を、医療支援ロボット100の操作入力装置30に出力する制御を行うことができる。
【0083】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の位置検出装置109によって検出された医療支援ロボット100の位置及び姿勢の情報を、医療支援ロボット100の操作入力装置30に出力する制御を行うことができる。
【0084】
さらに、制御装置106は、医療ロボット10A又は10Bのロボット情報と、位置検出装置109によって検出された医療支援ロボット100の位置及び姿勢の情報とに基づき、走行装置104に医療ロボット10A又は10Bまで自動で移動させる制御を行うことができる。
【0085】
また、制御装置106は、医療支援ロボット100の消毒装置110の放出部110bに医療ロボット10A又は10Bへ消毒剤を放出させる制御を行うことができる。この場合、制御装置106は、自動操縦モード及び手動操縦モードのいずれでも制御することができる。例えば、制御装置106は、医療ロボット10A又は10Bのロボット情報に基づき、放出部110bに医療ロボット10A又は10Bへ消毒剤を自動で放出させる制御を行うことができる。
【0086】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0087】
例えば、実施の形態において、医療支援ロボット100と医療ロボット10A及び10Bとが、有線通信又は無線通信するように構成されるが、これに限定されない。例えば、医療支援ロボット100は、医療ロボット10A及び10Bの操作入力装置20A及び20Bと有線通信又は無線通信するように構成されてもよい。医療ロボット10A及び10Bが、医療支援ロボット100の操作入力装置30と有線通信又は無線通信するように構成されてもよい。操作入力装置30と操作入力装置20A及び20Bとが有線通信又は無線通信するように構成されてもよい。また、医療支援ロボット100と医療ロボット10A及び10Bとの間の通信手段として、光、音又はこれらの組み合わせが用いられてもよい。
【0088】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100の位置は、医療支援ロボット100に搭載された位置検出装置109を用いて検出されるように構成されるが、これに限定されない。医療支援ロボット100の外部に配置された装置を用いて、医療支援ロボット100の位置が検出されるように構成されてもよい。例えば、医療支援ロボット100を外部から撮像するカメラの画像を解析することで医療支援ロボット100の位置が検出されてもよい。医療支援ロボット100の外部にレーザセンサ、レーザライダ(Lidar)及び超音波センサ等の測距センサが設けられ、その計測値を用いて、医療支援ロボット100の位置が検出されてもよい。
【0089】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100は、1つのロボットアーム102を備えるが、2つ以上のロボットアームを備えてもよい。この場合、2つ以上のロボットアームは、医療行為対象者の処置への未使用の医療デバイスMDを扱うロボットアームと、医療行為対象者の処置への使用済みの医療デバイスMDを扱うロボットアームとに区分されて用いられてもよい。これにより、未使用の医療デバイスMDが、医療行為対象者の処置への使用済みの医療デバイスMDを扱ったロボットアーム及びエンドエフェクタによって汚染されることが防がれる。
【0090】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100は、収容部105を閉鎖及び開放可能な構造を備えてもよい。例えば、医療支援ロボット100は、収容部105を開閉する扉等を備えてもよい。これにより、収容部105内の汚染されていない医療デバイスMDが汚染されること、及び、汚染されている医療デバイスMDの汚染源が拡散することが抑制される。
【0091】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100は、消毒装置110の放出部110bを用いて、医療支援ロボット100以外の対象物を消毒することができるように構成されるが、これに限定されない。例えば、医療支援ロボット100は、放出部110bを用いて、当該医療支援ロボット100を消毒するように構成されてもよい。
【0092】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100は、消毒装置110の放出部110bをロボットアーム102又はエンドエフェクタ103に備えるが、これに限定されない。例えば、医療支援ロボット100は、ロボットアーム102及びエンドエフェクタ103のそれぞれに、放出部110bを備えてもよい。医療支援ロボット100は、ロボットアーム102又はエンドエフェクタ103の放出部110bの代わりに、又は、当該放出部110bに追加して、ロボットアーム102及びエンドエフェクタ103以外の場所に放出部110bを備えてもよい。これにより、医療支援ロボット100は、当該放出部110bを用いてロボットアーム102及びエンドエフェクタ103を消毒することができる。
【0093】
また、実施の形態に係る医療支援ロボット100は、着脱可能な防護カバーを備えるように構成されてもよい。防護カバーは、医療支援ロボット100の一部又は全体を覆うように構成されてもよい。例えば、一部を覆う防護カバーは、医療支援ロボット100の各部位のうちの消毒に手間及び時間を要する又は消毒困難な部位を覆ってもよい。これにより、医療支援ロボット100に汚染物がした場合でも、防護カバーを交換することで、医療支援ロボット100の消毒と同様の効果が得られる。よって、消毒のための手間が低減される。
【0094】
また、実施の形態に係る医療ロボットシステム1は、医療支援ロボット100並びに医療ロボット10A及び10Bが配置される医療処置室MTR等の空間の外部に、消毒設備を備えてもよい。例えば、医療ロボットシステム1は、医療処置室MTRに隣接して、消毒設備を備える消毒室を備えてもよい。さらに、医療支援ロボット100は、外部から医療処置室MTRに入室する際の医療処置室MTRの入室直前と、医療処置室MTRから外部に退室する際の医療処置室MTRの退室直後とに消毒室を通過し、消毒室において消毒を受けるように構成されてもよい。これにより、医療支援ロボット100に付着した汚染物が、医療処置室MTR内に持ち込まれること及び医療処置室MTR外に持ち出されることが、抑制される、
【0095】
また、実施の形態に係る医療ロボットシステム1は、医療支援ロボット100が医療デバイスMDを医療ロボット10A及び10Bに搬送するように構成されるが、これに限定されない。例えば、医療支援ロボット100が、医師及び看護師等の医療従事者に医療デバイスMDを搬送するように構成されてもよい。
【0096】
また、実施の形態に係る医療ロボットシステム1は、いかなる場所に配置されてもよい。例えば、医療ロボットシステム1は、病院等の建物、テント及びプレハブ等の仮設構造物、並びに、移動体等の内部に配置されてもよく、屋外に配置されてもよい。例えば、移動体は、病院船及び鉄道車両等の医療用移動体であってもよい。
【0097】
また、実施の形態において、医療支援ロボット100のロボットアーム102は、垂直多関節型のロボットアームとして構成されるが、これに限定されない。例えば、ロボットアーム102は、水平多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型又はその他の形式のロボットアームとして構成されてもよい。
【0098】
また、本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、医療デバイスを収容可能である収容部と、前記医療デバイスを扱うことが可能であるエンドエフェクタを先端に有する少なくとも1つのロボットアームと、前記収容部及び前記少なくとも1つのロボットアームを支持し且つ走行可能である走行装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走行装置に、医療行為を行うロボットである医療ロボットまで移動させる制御を行う。
【0099】
上記態様によると、医療支援ロボットは、医療ロボットに医療デバイスを搬送することができる。医療支援ロボットは、医療ロボットの医療行為を支援する作業を行うことができる。例えば、医療ロボットは、医療行為対象者への処置を行うため、感染症源に汚染されやすい。このような医療ロボットが、医療デバイスを取得するために移動する場合、その都度、医療ロボットの消毒が必要になる可能性がある。又は、医療デバイスを保持した人が、医療ロボットに接近すると、感染症源に汚染されるリスクが高い。医療支援ロボットは、医療ロボットの移動の頻度の低減、及び、医療従事者の感染リスクの低減を可能にする。
【0100】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットにおいて、前記制御装置は、前記収容部内の前記医療デバイスを前記医療ロボットに保持させる保持動作、及び、前記医療ロボットに保持されている前記医療デバイスを前記医療ロボットに保持解除させる保持解除動作の少なくとも1つの動作を、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタに実行させる制御を行ってもよい。
【0101】
上記態様によると、例えば、医療ロボットが、単独で医療デバイスを保持及び保持解除する構造、並びに、保持及び保持解除を実行する機能を備えていない場合でも、医療支援ロボットが医療ロボットへの医療デバイスの保持及び保持解除を可能にする。さらに、感染症源に汚染されている医療ロボットが、収容部内の非汚染の医療デバイスと接触し、当該医療デバイスを汚染することが抑えられる。
【0102】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットにおいて、前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報に基づき、前記保持動作及び前記保持解除動作の少なくとも1つの動作を実行する制御を行ってもよい。
【0103】
上記態様によると、医療支援ロボットは、指定された医療ロボットへの医療デバイスの搬送、保持動作及び保持解除動作を自動で実行することができる。
【0104】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットにおいて、前記エンドエフェクタは、医療行為対象者を載せる積載デバイスを保持することが可能であるように構成され、前記制御装置は、前記医療行為対象者を載せている積載デバイスを前記エンドエフェクタに保持させ、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行ってもよい。
【0105】
上記態様によると、医療ロボットが積載デバイスまで移動する必要がない。医療ロボットの移動に起因する感染症源の拡散のリスクが低減される。また、比較的大型である医療ロボットに各積載デバイス間を移動させるためのスペースが不要であり、スペースの効率的な利用が可能になる。
【0106】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットにおいて、前記制御装置は、指定された前記積載デバイスの情報と指定された前記医療ロボットの情報とを受け取るように構成され、前記積載デバイスの情報及び前記医療ロボットの情報に基づき、前記走行装置に前記積載デバイスまで移動させ、前記積載デバイスを前記エンドエフェクタに保持させ、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行ってもよい。
【0107】
上記態様によると、医療支援ロボットは、指定された医療ロボットへ、指定された積載デバイスを自動で搬送することができる。
【0108】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、前記医療支援ロボットの操作入力装置と無線通信する無線通信装置をさらに備えてもよい。
【0109】
上記態様によると、医療支援ロボットは、遠隔の操作入力装置によって操作され得る。これにより、操作入力装置の操作者の感染リスクの低減が可能になる。
【0110】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、前記医療支援ロボットの操作入力装置と無線通信する第1無線通信装置と、前記医療ロボットと無線通信する第2無線通信装置とをさらに備えてもよい。
【0111】
上記態様によると、医療支援ロボットは、遠隔の操作入力装置によって操作され得る。さらに、医療支援ロボットは、医療ロボットと有線で接続されないため、移動の制限を低減し、自在に移動することができる。
【0112】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、音声を出力する音声出力装置をさらに備え、前記制御装置は、前記医療支援ロボットの操作入力装置から、音声信号を受け取り、前記音声信号に対応する音声を前記音声出力装置に出力させる制御を行ってもよい。
【0113】
上記態様によると、医療支援ロボットは、操作入力装置から出力される音声信号に対応する音声を医療行為対象者等に出力することができる。医療支援ロボットは、操作入力装置の操作者と医療行為対象者との間などの医療行為対象者とのコミュニケーションを可能にする。
【0114】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、音声の入力を受け付ける音声入力装置をさらに備え、前記制御装置は、前記音声入力装置によって受け付けられた音声に対応する音声信号を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行ってもよい。
【0115】
上記態様によると、操作入力装置の操作者は、医療支援ロボットを直接視認できないような医療支援ロボットから遠隔の場所において、音声入力装置によって取得された医療対象者等の音声を確認しつつ、操作入力装置を用いて医療支援ロボットを操作することができる。
【0116】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、画像を出力する表示装置をさらに備え、前記制御装置は、前記医療支援ロボットの操作入力装置から、画像信号を受け取り、前記画像信号に対応する画像を前記表示装置に出力させる制御を行ってもよい。
【0117】
上記態様によると、医療支援ロボットは、操作入力装置から出力される画像信号に対応する画像を医療行為対象者等に表示することができる。医療支援ロボットは、操作入力装置の操作者と医療行為対象者との間などの医療行為対象者とのコミュニケーションを可能にする。例えば、表示される画像は、操作者の画像であってもよい。
【0118】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、撮像装置をさらに備え、前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された画像の信号を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行ってもよい。
【0119】
上記態様によると、操作入力装置の操作者は、医療支援ロボットを直接視認できないような医療支援ロボットから遠隔の場所において、撮像装置によって撮像された画像を視認しつつ、操作入力装置を用いて医療支援ロボットを操作することができる。
【0120】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、前記医療支援ロボットの位置を検出する位置検出装置をさらに備え、前記制御装置は、前記位置検出装置によって検出された前記医療支援ロボットの位置の情報を、前記医療支援ロボットの操作入力装置に出力する制御を行ってもよい。
【0121】
上記態様によると、操作入力装置の操作者は、医療支援ロボットの位置を確認しつつ、操作入力装置を用いて医療支援ロボットの移動等の操作をすることができる。
【0122】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、前記医療支援ロボットの位置を検出する位置検出装置をさらに備え、前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報と、前記位置検出装置によって検出された前記医療支援ロボットの位置の情報とに基づき、前記走行装置に前記医療ロボットまで移動させる制御を行ってもよい。
【0123】
上記態様によると、医療支援ロボットは、医療ロボットの情報と医療支援ロボットの位置とに基づき、当該医療ロボットへ自動で移動することができる。
【0124】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットは、消毒剤を収容する消毒剤収容部と、前記エンドエフェクタ又は前記ロボットアームに配置され且つ前記消毒剤を放出する放出部とをさらに備え、前記制御装置は、前記放出部に前記医療ロボットへ前記消毒剤を放出させる制御を行ってもよい。
【0125】
上記態様によると、医療支援ロボットは、医療ロボットを消毒することができる。例えば、医療支援ロボットは、医療ロボットに医療デバイスを保持させる前に、医療ロボットを消毒することで、医療デバイスが医療ロボットに汚染されることを抑制することができる。
【0126】
本開示の一態様に係る医療支援ロボットにおいて、前記制御装置は、指定された前記医療ロボットの情報を受け取るように構成され、前記医療ロボットの情報に基づき、前記放出部に前記医療ロボットへ前記消毒剤を放出させる制御を行ってもよい。
【0127】
上記態様によると、医療支援ロボットは、指定された医療ロボットを自動で消毒することができる。
【0128】
本開示の一態様に係る医療ロボットシステムは、本開示の一態様に係る医療支援ロボットと、前記医療支援ロボットの操作入力装置と、前記医療ロボットとを備える。
【0129】
上記態様によると、本開示の一態様に係る医療支援ロボットと同様の効果が得られる。
【0130】
本開示の一態様に係る医療ロボットシステムにおいて、前記医療支援ロボットの操作入力装置は、前記医療支援ロボット及び前記医療ロボットが配置される空間から隔離された空間に配置されてもよい。
【0131】
上記態様によると、医療支援ロボット及び医療ロボットが配置される空間内に、感染症源等の汚染源が存在する場合でも、操作入力装置の操作者と汚染源との接触が防がれる。よって、操作者の汚染が防がれる。
【0132】
本開示の一態様に係る医療ロボットシステムにおいて、前記医療ロボットは、手術ロボットをベースとするロボット、又は、前記手術用ロボット以外の汎用ロボットをベースとするロボットであってもよい。
【0133】
上記態様によると、医療ロボットとして、既存の手術ロボット、及び、手術用ロボット以外の汎用ロボットを利用することができる。これにより、医療ロボットシステムの配備が必要な場合、新たなロボットの製造が必要でない。よって、医療ロボットシステムの迅速且つ簡易な配備が可能になる。
【0134】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0135】
1 医療ロボットシステム
10,10A,10B 医療ロボット
100 医療支援ロボット
102 ロボットアーム
103 エンドエフェクタ
104 走行装置
105,105A~105D 収容部
106 制御装置
108,108a,108b 通信装置
109 位置検出装置
110 消毒装置
110a 消毒剤収容部
110b 放出部
121~123 撮像装置
131 音声入力装置
141 表示装置
151 音声出力装置
MD医療デバイス
MDA 積載デバイス