(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】保護システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/44 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
H02H3/44 D
(21)【出願番号】P 2020146132
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】小川 航生
(72)【発明者】
【氏名】細川 雄治
(72)【発明者】
【氏名】守田 俊也
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-50465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H1/00-3/07
H02H3/32-3/52
H02H99/00
H02J3/00-5/00
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所から多相交流により送出されて送電線により送電される各相の電流を計測する複数の電流センサと、
前記発電所と前記送電線との間の電流の流れを遮断可能な遮断器と、
前記複数の電流センサの計測結果に基づいて、前記遮断器を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数の電流センサがそれぞれ計測した電流の時間微分の全てが予め定めた第一閾値よりも大きく、かつ、前記電流の零相成分の時間平均の絶対値が予め定めた第二閾値よりも大きい場合に、前記発電所と前記送電線との間の電流の流れを遮断するように前記遮断器を制御することを特徴とする保護システム。
【請求項2】
請求項1記載の保護システムにおいて、
前記制御装置は、前記複数の電流センサがそれぞれ計測した電流の時間微分が前記第一閾値よりも大きく、かつ、前記電流の零相成分の時間平均の絶対値が前記第二閾値よりも大きく、かつ、前記電流の各相の電流値の大きさの比が予め定めた範囲内である場合に、前記発電所と前記送電線との間の電流の流れを遮断するように前記遮断器を制御することを特徴とする保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の電気的保護装置に関する技術として、例えば、特許文献1には、変圧器を含む交流系統で使用する接地回路であって、(a)変圧器の変圧器中性点とアースとの間に接続されるスイッチ集合体であって、(i)前記スイッチ集合体は、第一スイッチ機構と第二スイッチ機構とを備え、前記第二スイッチ機構は前記第一スイッチ機構が前記変圧器中性点における高電圧が原因で損傷するのを保護するようになっており、(ii)前記スイッチ集合体は、前記第一スイッチ機構および前記第二スイッチ機構の少なくとも一つが開位置にある開位置と、前記第一スイッチ機構および前記第二スイッチ機構の両方が閉位置にある閉位置と、を有し、前記開位置にすると電気的接続とアース接続との間の前記スイッチ集合体を通る経路を遮断し、前記閉位置にすると電気的接続とアース接続とを前記スイッチ集合体を介して接続する経路を確立し、(iii)前記スイッチ集合体は、電子制御入力に応じて動作するようになっており、(iv)前記交流系統の通常動作時には前記スイッチ集合体は閉位置の状態になっている、スイッチ集合体と(b)前記スイッチ集合体と並列に接続され、前記変圧器中性点と前記アースとの間に接続された遮断部と、を備え、前記スイッチ集合体は、前記電子制御入力を介して前記閉位置と前記開位置との間を移行可能であることを特徴とする、接地回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、磁気嵐(太陽風)などによる発生するDC電流、或いは、発生したDC電流により変圧器が飽和することで発生する高調波などが閾値を超えた場合に、電磁障害が発生していると判定してスイッチ集合体を開位置に作動させることで、機器の損傷を回避しようとしている。
【0005】
しかしながら、高調波はDC電流によって変圧器が飽和領域に達しなければ発生しないため、電流値が閾値に到達しない程度のDC電流が発生した場合には、当然ながら高調波も発生せず、スイッチ集合体が作動せずに接地線を介して異常電流が流れ続けることになってしまう。電力系統への電磁障害は場合によっては長時間継続することもあり、電磁障害と判定されない低い電流値の異常電流であっても、長時間流れ続けることによって機器の熱損傷を招いてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、電磁障害をより確実に検知することがきる保護システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、発電所から多相交流により送出されて送電線により送電される各相の電流を計測する複数の電流センサと、前記発電所と前記送電線との間の電流の流れを遮断可能な遮断器と、前記複数の電流センサの計測結果に基づいて、前記遮断器を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記複数の電流センサがそれぞれ計測した電流の時間微分の全てが予め定めた第一閾値よりも大きく、かつ、前記電流の零相成分の時間平均の絶対値が予め定めた第二閾値よりも大きい場合に、前記発電所と前記送電線との間の電流の流れを遮断するように前記遮断器を制御するものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁障害をより確実に検知することがき、機器の損傷をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電力システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る損傷防止制御装置を関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
【
図3】損傷防止制御装置の処理内容を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施の形態に係る損傷防止制御装置を関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態について
図1~
図3を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、電力システムの全体構成を概略的に示す図である。
【0013】
図1において、本実施の形態に係る電力システムは、電力を生成する(すなわち、発電を行う)発電所100と、発電所100で生成された電力を需要施設に送電する電力系統110と、発電所100と電力系統110とを接続する遮断器103と、遮断器103の動作を制御する損傷防止制御装置200とから概略構成されている。電力系統110は、所謂、商用電力系統である。
【0014】
発電所100には、発電を行う発電設備を含む所内回路101や、所内回路101で生成された電力を変圧して電力系統110に出力する変圧器102などが設けられている。なお、本実施の形態においては、三相電力を扱う場合を例示して説明する。したがって、変圧器102は、例えば、三相変圧器(以降、三相変圧器102と称する)である。
【0015】
三相変圧器102は、所内回路101側に接続される一次巻線102aと、電力系統110側に接続される二次巻線102bとを有している。本実施の形態では、一次巻線102aにΔ結線、二次巻線102bにY結線を採用した、所謂、Δ-Y結線により、所内回路101で生成した電力を昇圧して電力系統110に供給する場合を例示する。
【0016】
発電所100と電力系統110の間には、発電所100と電力系統110の間の電力の授受を遮断可能な遮断器103が配置されている。遮断器103は、閉状態においては、発電所100と電力系統110の間の電力の授受(電流の流れ)を許容し、開状態においては、電力の授受(電流の流れ)を遮断する。遮断器103の開状態/閉状態の切り換えは、損傷防止制御装置200により制御される。
【0017】
電力系統110の送電線104は、発電所100から送出される三相電力の各相に対応する線路を有している。例えば、本実施の形態では、三相電力がR相、S相、T相の三相から成るとし、送電線104がR相電路104r、S相電路104s、T相電路104tを有するものとする。送電線104のR相電路104r、S相電路104s、T相電路104tには、それぞれ、電流を計測する電流センサ105(R相電流センサ105r、S相電流センサ105s、T相電流センサ105t)が設けられている。
【0018】
なお、本実施の形態においては、送電線104に電流センサ105を設けた場合を図示および例示して説明したが、電流センサ105は送電線104で送電される三相電力の各相の電流を計測可能であれば良く、必ずしも送電線104に設置される必要はない。
【0019】
図2は、損傷防止制御装置を関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
【0020】
図2において、損傷防止制御装置200は、電流センサ105の計測結果に基づいて電磁障害を検知し、遮断器103を開状態に制御して発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断することで機器の損傷を防止するものであり、微分判定部210、直流判定部220、時限制御部230、遮断器制御部240、及び、AND回路201,202を備えている。
【0021】
微分判定部210は、電流センサ105で計測された送電線104(R相電路104r、S相電路104s、T相電路104t)の各相の電流をそれぞれ微分器211r、211s、211tによって微分し、比較器212r,212s,212tによって電流の微分値が予め定めた閾値xd(第一閾値)よりも大きいか否かを判定する。比較器212r,212s,212tは、電流の微分値が閾値xdよりも大きい場合には論理値「1」の信号を、小さい場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を出力する。電流の微分は、電流の変化率を意味しており、微分判定部210では、各相の電流の変化率が予め定めた閾値xdよりも大きいか否かを判定することにより、各相の電流の変化率に異常がないか否かを判定している。
【0022】
AND回路201は、微分判定部210から入力された各相に対応する信号の論理値について、三相全ての信号の論理値が「1」である場合にのみ論理値「1」の信号を出力し、三相の信号の論理値のうち何れか1つでも「0(ゼロ)」である場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を出力する。
【0023】
直流判定部220は、電流センサ105で計測された送電線104(R相電路104r、S相電路104s、T相電路104t)の各相の電流を加算器221によって加算することで零相電流を算出し、平均値演算器222によって零相電流の平均値を算出し、絶対値演算器223によって零相電流の平均値の絶対値を算出し、比較器224によって零相電流の平均値の絶対値が予め定めた閾値xi(第二閾値)よりも大きいか否かを判定する。比較器224は、零相電流の平均値の絶対値が閾値xiよりも多き場合には論理値「1」の信号を、小さい場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を出力する。三相電力において、各相のバランスが正常な場合に零相電流はほぼ0(ゼロ)となるため、直流判定部220では、零相電流の平均値の絶対値を閾値xiと比較することで、各相の電流に異常が無いか否か、すなわち、零相電流の主成分がDC(直流)であるか否かを判定している。
【0024】
時限制御部230は、直流判定部220から入力された信号の論理値が「0(ゼロ)」から「1」に時間t1[sec]間変化し続けた場合に出力する。尚、時間t1[sec]は遅延器(タイムスイッチ)231で設定した時間であり、電力系統110において指定される商用周波数の半サイクルである。
【0025】
AND回路202は、AND回路201から入力された信号の論理値が「1」であり、かつ、時限制御部230から入力された信号の論理値が「1」である場合にのみ論理値「1」の信号を出力し、入力された信号の論理値のうち何れか1つでも「0(ゼロ)」である場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を出力する。
【0026】
遮断器制御部240は、AND回路202から入力された信号の論理値に応じて、遮断器103を開状態または閉状態に制御する指令信号を出力するものであり、論理値「1」の信号が入力された場合には開状態に制御する指令信号を遮断器103に出力して発電所100と電力系統110の間の電力の授受(電流の流れ)を遮断し、論理値「0(ゼロ)」の信号が入力された場合には閉状態に制御する指令信号を遮断器103に出力して発電所100と電力系統110の間の電力の授受(電流の流れ)を許容する。
【0027】
ここで、発電所100から多相交流により送出されて送電線104により送電される各相の電流を計測する複数の電流センサ105、発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断可能な遮断器103、及び、複数の電流センサ105の計測結果に基づいて、遮断器103を制御する損傷防止制御装置200は、複数の電流センサ105がそれぞれ計測した電流の時間微分の全てが予め定めた第一閾値xdよりも大きく、かつ、電流の零相成分の時間平均の絶対値が予め定めた第二閾値xiよりも大きい場合に、発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断するように遮断器103を制御する保護システムを構成している。
【0028】
以上のように構成した本実施の形態における動作を説明する。
【0029】
図3は、損傷防止制御装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0030】
図3において、損傷防止制御装置200は、まず、微分判定部210によって各相の電流の微分値を算出し(ステップS100)、全相の微分値が第一閾値xdよりも大きいか否かを判定する(ステップS110)。
【0031】
ステップS110での判定結果がNOの場合には、電磁障害が生じていない、或いは、許容可能な程度に軽微であると判定し、各相の電流の微分値を再度算出する(ステップ100)。
【0032】
また、ステップS110での判定結果がYESの場合には、直流判定部220によって零相電流の平均値の絶対値を算出し(ステップS120)、算出値が第二閾値diよりも大きいか否かを判定する(ステップS130)。
【0033】
ステップS130での判定結果がNOの場合には、電磁障害が生じていない、或いは、許容可能な程度に軽微であると判定し、各相の電流の微分値を再度算出する(ステップ100)。
【0034】
また、ステップS130での判定結果がYESの場合には、時間t1[sec]が継続したか否かを判定し(ステップS140)、判定結果がNOの場合には、電磁障害が生じていない、或いは許容可能に軽微であると判定して各相の電流の微分値を再度算出する(ステップ100)。
【0035】
また、ステップS140での判定結果がYESの場合には、遮断器制御部240から遮断器103に開状態の制御信号を出力(ステップS150)。
【0036】
損傷防止制御装置200では、ステップS100~S150の処理を常時繰り返している。
【0037】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0038】
従来技術においては、磁気嵐(太陽風)などによる発生するDC電流、或いは、発生したDC電流により変圧器が飽和することで発生する高調波などが閾値を超えた場合に、電磁障害が発生していると判定してスイッチ集合体を開位置に作動させることで、機器の損傷を回避しようとしている。しかしながら、高調波はDC電流によって変圧器が飽和領域に達しなければ発生しないため、電流値が閾値に到達しない程度のDC電流が発生した場合には、当然ながら高調波も発生せず、スイッチ集合体が作動せずに接地線を介して異常電流が流れ続けることになってしまう。電力系統への電磁障害は場合によっては長時間継続することもあり、電磁障害と判定されない低い電流値の異常電流であっても、長時間流れ続けることによって機器の熱損傷を招いてしまうおそれがある。
【0039】
また、従来技術においては、スイッチ動作時に静電容量による接地となるが、国内の特別高圧の接地系では直接接地方式で統一されており、自動的に接地方式を変更するような装置を設けることは系統運用上許容されにくい。
【0040】
これに対して本実施の形態においては、発電所100から多相交流により送出されて送電線104により送電される各相の電流を計測する複数の電流センサ105と、発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断可能な遮断器103と、複数の電流センサ105の計測結果に基づいて、遮断器103を制御する損傷防止制御装置200とを備え、損傷防止制御装置200は、複数の電流センサ105がそれぞれ計測した電流の時間微分の全てが予め定めた第一閾値xdよりも大きく、かつ、電流の零相成分の時間平均の絶対値が予め定めた第二閾値xiよりも大きい場合に、発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断するように遮断器103を制御するように構成したので、電磁障害をより確実に検知することがき、機器の損傷をより確実に抑制することができる。
【0041】
特に、損傷防止制御装置200の微分判定部210は、電磁障害の影響をより早期に検知することに寄与し、また、直流判定部220及び時限制御部230は、電磁障害の誤判定を防止して遮断器103の不要な遮断を防止することに寄与している。
【0042】
なお、時限制御部230で設定した時間t1[sec]は、電磁障害の判定を早急に行いたい場合には0(ゼロ)[sec]のように短い時間を設定しても良い。
【0043】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態について
図4を参照しつつ説明する。
【0044】
本実施の形態は、第1の実施の形態の損傷防止制御装置200に、各相の電流を比較する電流比較部250を備え、電磁障害を他の障害と区別してより確実に検知できるようにしたものである。
【0045】
図4は、本実施の形態に係る損傷防止制御装置を関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図4において、損傷防止制御装置200Aは、電流センサ105の計測結果に基づいて電磁障害を検知し、遮断器103を開状態に制御して発電所100と送電線104との間の電流の流れを遮断することで機器の損傷を防止するものであり、微分判定部210、直流判定部220、時限制御部230、遮断器制御部240、電流比較部250、及び、AND回路201,202Aを備えている。
【0047】
電流比較部250は、絶対値演算器251によって三相電力のうちの一相の電流(例えば、T相電流センサ105tの計測値)の絶対値を算出し、倍率器252によって算出した絶対値の3倍の値を算出し、除算器253によって直流判定部220の絶対値演算器223の出力値と倍率器252の出力値とを除算し、比較器254によって除算器253の算出値が予め定めた範囲内であるか否かを判定する。比較器254は、除算器253の算出値、すなわち、電流センサ105の各相の電流値を合算したもの(絶対値)と、一層だけの電流値(絶対値)を相数倍(3倍)したものとの比率が、1に対して予め定めた誤差範囲を加味した範囲内にある場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を、範囲外にある場合には論理値「1」の信号を出力する。電磁障害は、3相ともに同程度の電流が流れるが、その他の故障では各相で電流値が異なる(例えば、一相のみ大きい電流が流れる)ことが考えられるため、この事象を区別することで、電磁障害を他の障害と区別してより確実に検知できる。なお、比較器254に設定する誤差範囲は、回路定数の誤差などを加味して設定する。
【0048】
AND回路202Aは、AND回路201から入力された信号の論理値が「1」であり、かつ、時限制御部230から入力された信号の論理値が「1」であり、かつ、電流比較部250から入力された信号の論理値が「1」である場合にのみ論理値「1」の信号を出力し、入力された信号の論理値のうち何れか1つでも「0(ゼロ)」である場合には論理値「0(ゼロ)」の信号を出力する。
【0049】
遮断器制御部240は、AND回路202Aから入力された信号の論理値に応じて、遮断器103を開状態または閉状態に制御する指令信号を出力するものであり、論理値「1」の信号が入力された場合には開状態に制御する指令信号を遮断器103に出力して発電所100と電力系統110の間の電力の授受(電流の流れ)を遮断し、論理値「0(ゼロ)」の信号が入力された場合には閉状態に制御する指令信号を遮断器103に出力して発電所100と電力系統110の間の電力の授受(電流の流れ)を許容する。
【0050】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0051】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、発電所100を電力系統110から隔離する、すなわち、遮断器103によって電流を遮断することは、需要施設への影響や発電所100の運用上、可能な限り避ける必要がある。そこで、本実施の形態においては、電磁障害は三相ともに同程度の電流が流れるが、その他の故障では各相で異なる直流電流が流れている場合がある(例えば、一相のみ大きい電流が流れている場合がある)ことに鑑み、この事象を区別することで、電磁障害を他の障害と区別してより確実に検知できる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、三相のうちの一相の電流値を相数倍して、三相の合計値と比較する場合を例示したが、例えば、各相の電流値を直接的に比較するように構成しても良い。
【0054】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【0055】
例えば、上記の実施の形態においては、送電線104に電流センサ105を設ける場合を例示したが、電圧センサで同様の機能を実現するように構成しても良い。
【0056】
また、電流センサとしては、巻線型CTの他、光CT、ホール素子等の検知器を適用しても良い。
【0057】
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0058】
100…発電所、101…所内回路、102…三相変圧器、102a…一次巻線、102b…二次巻線、103…遮断器、104…送電線、104r…R相電路、104s…S相電路、104t…T相電路、105…電流センサ、105r…R相電流センサ、105s…S相電流センサ、105t…T相電流センサ、110…電力系統、200,200A…損傷防止制御装置、201,202,202A…AND回路、210…微分判定部、211r,211s,211t…微分器、212r,212s,212t…比較器、220…直流判定部、221…加算器、222…平均値演算器、223…絶対値演算器、224…比較器、230…時限制御部、231…遅延器(タイムスイッチ)、240…遮断器制御部、250…電流比較部、251…絶対値演算器、252…倍率器、253…除算器、254…比較器