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特許7412320フェンフルラミン組成物およびその調製法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】フェンフルラミン組成物およびその調製法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/28 20060101AFI20240104BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240104BHJP
   C07C 211/29 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C07C209/28
A61K31/137
A61P3/04
A61P25/00
A61P25/08
C07C211/29
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020199969
(22)【出願日】2020-12-02
(62)【分割の表示】P 2018532740の分割
【原出願日】2016-12-20
(65)【公開番号】P2021054831
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/271,172
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515314845
【氏名又は名称】ゾゲニクス インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ロンデスボロー デレク
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン マーク ダブリュー.
【合議体】
【審判長】瀬良 聡機
【審判官】野田 定文
【審判官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3198834(US,B1)
【文献】特開昭64-66116(JP,A)
【文献】PORRA,R.et al.,Chromatographia,Vol.41,No7/8,1995,p.383-388
【文献】SU,Jingyu et al.,Chemical Journal of Chinese Universities,中国,1988,Vol.9,No.2,p.134-139
【文献】平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック-原理とノウハウ-,丸善株式会社,2008年7月25日,p.57-84
【文献】厚生省医薬安全局審査管理課長,医薬品の残留溶媒ガイドラインについて,医薬審,第307号,1998,p.1-11
【文献】実験化学講座(続)2 分離と精製,丸善株式会社,1967年1月25日,p.159-162,184-193
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬学的成分のフェンフルラミンまたはその塩、
ゼロより大きく0.2重量%未満のフェンフルラミンのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体またはその塩、および
ゼロより大きく1重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成物
を含む、組成物であって;
下記
金属触媒;
アセトニトリル、ベンゼンおよび置換ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジメトキシエタン、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、メチルブチルケトン、N-メチルピロリジノン、ピリジン、トルエン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、およびキシレンから選択される溶媒
を含まない、組成物。
【請求項2】
求項1に記載の組成物において、下記の条件を満たす組成物。
少なくとも80重量%のフェンフルラミンまたはその塩;
0.01重量%未満の2-フェンフルラミンまたはその塩;
0.01重量%未満の4-フェンフルラミンまたはその塩;および
0.5重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成
【請求項3】
0.01重量%未満の4-フェンフルラミンまたはその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
0.01重量%未満の2-フェンフルラミンまたはその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
フェンフルラミンの少なくとも一つのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体が、フェンフルラミン活性薬学的成分の0.1重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
フェンフルラミンの少なくとも一つのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体が、フェンフルラミン活性薬学的成分の0.05重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
フェンフルラミンの少なくとも一つのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体が、フェンフルラミン活性薬学的成分の0.01重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記フェンフルラミンの塩がフェンフルラミンHClである、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
35 U.S.C. § 119 (e)に従い、本出願は、2015年12月22日提出の米国特許仮出願第62/271,172号に対する優先権の恩典を主張し、その出願の開示は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】

フェンフルラミンは、以前に肥満を処置するための食欲抑制剤として広く処方された、アンフェタミン薬物である。フェンフルラミンは、D-アンフェタミンの精神運動刺激および乱用の可能性がなく、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン、5-HT)受容体と相互作用して、ニューロンから5-HTを放出する。フェンフルラミンは、まれで悪性のてんかん症候群である、ドラベ症候群、または乳児重症ミオクロニーてんかんの処置において抗痙攣活性を有するとして調査されてきた。この種のてんかんはそれまで健康であった小児で早期発症する。
【0003】
フェンフルラミンによる食欲低下処置は、心臓線維化の状態を含む、心弁膜症および肺高血圧症の発生に関連づけられており、これは世界中の市場からのフェンフルラミンの撤退につながった。フェンフルラミンの主要な代謝物ノルフェンフルラミンの5-HT2B受容体との相互作用は、心臓弁肥大に関連する。てんかんの処置において、フェンフルラミンの公知の心血管リスクは有益な抗痙攣活性と比較検討される。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、フェンフルラミン活性薬学的成分の調製法を提供する。本方法の局面は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を生成する段階;2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階;ならびに1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物をエチルアミンにより水素化ホウ素還元剤を用いて還元的アミノ化して、フェンフルラミン組成物を生成する段階を含む。同様に提供されるのは、不純物または反応副生成物などの1つまたは複数の少量構成要素の低減された量を含む、本方法に従って生成したフェンフルラミン組成物および薬学的成分である。いくつかの場合に、組成物は、合計0.2重量%未満のトリフルオロメチル位置異性体を有する、フェンフルラミンの薬学的に許容される塩を含む。
【0005】
[本発明1001]
フェンフルラミン活性薬学的成分の調製法であって、以下の段階を含む方法:
(a)2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を生成する段階;
(b)2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階;ならびに
(c)1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物をエチルアミンにより水素化ホウ素還元剤を用いて還元的アミノ化して、フェンフルラミン組成物を生成する段階。
[本発明1002]
2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物が少なくとも0.2重量%のトリフルオロメチル-フェニル位置異性体を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物がトリフルオロメチルベンゼンから調製される、本発明1001の方法。
[本発明1004]
段階(b)の前に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を精製して、1つまたは複数のトリフルオロメチル-フェニル位置異性体を実質的に含まず且つトリフルオロメチルベンズアルデヒドおよびベンズアルデヒドを実質的に含まない組成物を生成する段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記精製が、前記組成物からの2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸の結晶化を含む、本発明1004の方法。
[本発明1006]
段階(b)が、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物のケトン亜硫酸水素塩付加体を介した精製を含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
段階(b)が、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸を未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸存在下で選択的に反応させることを含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
段階(b)が、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物から未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸位置異性体を除去することをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
フェンフルラミン組成物が粗製であり、下記を実質的に含まない、本発明1001の方法:
フェンフルラミンのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体またはその塩;
金属触媒;
クラスI溶媒(ICH Q3C);および
還元アルコール副生成物。
[本発明1010]
フェンフルラミン組成物が粗製であり、合計1重量%未満のフェンフルラミンのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体またはその塩を有する、本発明1001の方法。
[本発明1011]
フェンフルラミン組成物が粗製であり、10重量%未満の還元アルコール副生成物を有する、本発明1001の方法。
[本発明1012]
フェンフルラミン組成物からフェンフルラミンまたはその塩を結晶化させる段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1013]
段階(b)を、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を約0.5当量の1-メチルイミダゾールおよび約5当量以上の無水酢酸と適切な溶媒中で接触させることを含む条件下で実施する、本発明1001の方法。
[本発明1014]
段階(c)を、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を70重量%のエチルアミン水溶液および約2.25当量以上のトリアセトキシボロヒドリドとメタノール溶媒中で接触させることを含む条件下で実施する、本発明1001の方法。
[本発明1015]
フェンフルラミン組成物が以下の特性を有する、本発明1001の方法:
少なくとも80重量%のフェンフルラミンまたはその塩;
1重量%未満の2-フェンフルラミンまたはその塩;
1重量%未満の4-フェンフルラミンまたはその塩;および
10重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。
[本発明1016]
以下の段階をさらに含む、本発明1001の方法:
フェンフルラミン組成物中のフェンフルラミンをフェンフルラミンの薬学的に許容される塩に変換する段階;
フェンフルラミン組成物からフェンフルラミンの薬学的に許容される塩を結晶化させる段階であって、該フェンフルラミンの薬学的に許容される塩が以下の純度特性を有する、段階:
少なくとも90%以上のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;
1重量%未満の2-フェンフルラミン;
5重量%未満の4-フェンフルラミン;および
5重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。
[本発明1017]
フェンフルラミン組成物からフェンフルラミン遊離塩基を精製する段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1018]
ラセミフェンフルラミン組成物のキラル分離を実施して、フェンフルラミンの主要立体異性体を含む非ラセミフェンフルラミン組成物を生成する段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1019]
フェンフルラミンの薬学的に許容される塩を含み且つ合計0.2重量%未満のトリフルオロメチル位置異性体を有する、フェンフルラミン活性薬学的成分。
[本発明1020]
以下の特性を有する、本発明1019のフェンフルラミン活性薬学的成分:
少なくとも90重量%のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;
0.2重量%未満の2-フェンフルラミン;
0.2重量%未満の4-フェンフルラミン;および
1重量%未満のフェンフルラミンアルコール。
本発明のこれらおよび他の目的、利点、および特徴は、当業者には、以下により詳細に記載する、代謝抵抗性フェンフルラミン類縁体およびその使用法の詳細を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、以下の詳細な記載を添付の図面と共に読めば、最もよく理解されよう。一般的な方法に従い、図面の様々な特徴は一定の縮尺で示されていないことが強調される。むしろ、様々な特徴の寸法は、明確にするために、任意に拡大または縮小される。図面に含まれるのは以下の図である。
図1図1は、酸(4)への例示的逆合成解析におけるフェンフルラミン(1)の構造に対する様々な前駆体材料の寄与を示す。
図2図2は、フェンフルラミン塩酸塩の粗製調製物の例示的HPLCクロマトグラムを示す(210nm UV吸収)。
図3図3は、結晶化フェンフルラミン塩酸塩組成物の例示的HPLCクロマトグラムを示す(210nm UV吸収)。
図4図4は、ケトン(2)の調製のための様々な合成経路を示す。本方法において用いる例示的方法は、酸(4)を介したニトリル(5)からのケトン(2)の調製である。
図5図5は、ジアゾニウム中間体を介してアリールニトロ出発原料からケトン(2)を調製する経路を示す。ジアゾニウム経路は、囲み内の化合物(例えば、N-ヒドロキシアリール、N-ニトロソアミンおよびニトロ化合物)として示す遺伝毒性中間体の生成の可能性による欠点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書において用いられる「対象」なる用語は、哺乳動物を意味する。例示的哺乳動物には、ヒト、家庭内動物(例えば、イヌ、ネコなど)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)または実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が含まれるが、それらに限定されない。一定の態様において、対象はヒトである。「患者」とは、ヒトおよび非ヒト対象、特に哺乳動物対象を意味する。
【0008】
本明細書において用いられる「処置」、「処置すること」などの用語は、所望の薬理および/または生理効果を得ることを意味する。効果は、疾患もしくはその症状を完全もしくは部分的に防止するという観点から予防的であってもよく、且つ/または疾患および/もしくは疾患に起因し得る有害作用に対する部分的もしくは完全治癒の観点から治療的であってもよい。本明細書において用いられる「処置すること」、「処置」、「治療的」、または「治療」なる用語は、必ずしも疾患または状態の完全な治癒または消滅を意味しない。疾患または状態の任意の望まれない徴候または症状の、任意の程度までの任意の軽減を、処置および/または治療と考えることができる。さらに、処置は、患者の全体的な満足感または外観を悪化させ得る行為を含むこともある。本明細書において用いられる「処置」は、哺乳動物、いくつかの場合にはヒトにおける疾患の任意の処置を対象とし:(a)対象の予防的処置などの、疾患または医学的状態の出現を防止すること;(b)患者の疾患または医学的状態を除去すること、またはその退行を引き起こすことなどの、疾患または医学的状態を改善すること;(c)例えば、患者の疾患または医学的状態の発生を遅延または停止させることにより、疾患または医学的状態を抑制すること;または(d)患者の疾患または医学的状態の症状を軽減することを含む。
【0009】
本明細書において用いられるpKaなる用語は、酸の酸解離定数(Ka)の負の対数(p)を意味し、溶液中に等しい濃度の酸とその共役塩基型が存在するpH値に等しい。
【0010】
「塩」なる用語は、酸と塩基との中和反応から生じるイオン性化合物を意味し、少なくとも1つのカチオン(正に荷電したイオン)および少なくとも1つのアニオン(負イオン)からなる。いくつかの態様において、塩は電気的に中性(正味の電荷なし)である。該当する場合、塩は薬学的に許容される塩であるが、これは患者への投与が意図されない中間化合物の塩には要求されない。例として、本化合物の塩には、塩基性化合物が無機または有機酸によってプロトン化されて共役酸カチオンを生成する場合の、塩のアニオン成分としての無機または有機酸の共役塩基との塩が含まれる。関心対象の塩には、塩酸塩が含まれるが、それらに限定されない。本明細書において示す任意の構造について、そのような構造は任意の好都合な塩形態も含み得ることが理解される。
【0011】
「薬学的に許容される」なる用語は、ヒトなどの哺乳動物で用いるために、連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されている、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に収載されていることを意味する。
【0012】
「薬学的に許容される塩」なる用語は、哺乳動物などの患者への投与のために許容される塩(所与の投薬法に対して許容される哺乳動物の安全性を有する対イオンとの塩)を意味する。そのような塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基および薬学的に許容される無機または有機酸から誘導することができる。「薬学的に許容される塩」は、その塩が、当技術分野において周知で、例にすぎないが、ナトリウムなどを含む、様々な有機および無機対イオンから誘導される、化合物の薬学的に許容される塩;ならびに分子が塩基性官能基を含む場合は、塩酸塩などの有機または無機酸の塩を意味する。関心対象の薬学的に許容される塩には、塩酸塩が含まれるが、それらに限定されない。
【0013】
「活性薬学的成分」(API)なる用語は、薬物製品の製造において使用されることが意図される物質または物質の混合物および、薬物の生産において用いられる場合、薬物製品中の活性成分となるものを意味する。そのような物質は、疾患の診断、治癒、緩和、処置もしくは予防において、または体の構造および機能に影響をおよぼすための、薬理活性または他の直接効果を提供することが意図される。
【0014】
「溶媒和物」とは、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせによって生成される複合体を意味する。溶媒は、有機化合物、無機化合物、または両方の混合物であり得る。溶媒のいくつかの例には、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が含まれるが、それらに限定されない。溶媒が水の場合、生成される溶媒和物は水和物である。
【0015】
「立体異性体」とは、同じ原子連結性を有するが、空間の原子配列は異なる化合物を意味する。立体異性体には、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、鏡像異性体、ならびにジアステレオマーが含まれる。
【0016】
「互変異性体」とは、エノール-ケトおよびイミン-エナミン互変異性体などの、原子の電子結合および/もしくはプロトンの位置のみ異なる分子の交互の型、またはピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾールなどの、-N=C(H)-NH-環原子配列を含むヘテロアリール基の互変異性型を意味する。当業者であれば、本明細書に記載の基の他の互変異性配列も可能であることを理解するであろう。
【0017】
「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」なる用語は、本化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物などの、塩、溶媒和物および立体異性体のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解されるであろう。「またはその塩」なる用語は、塩のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解される。「またはその薬学的に許容される塩」なる用語は、塩のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解される。「またはその溶媒和物」なる用語は、溶媒和物のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解される。「またはその立体異性体」なる用語は、立体異性体のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解される。「またはその互変異性体」なる用語は、互変異性体のすべての並べ替えを含むことが意図されることが理解される。したがって、例えば、本化合物の立体異性体の互変異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことが意図されることになる。
【0018】
「薬学的有効量」および「治療的有効量」とは、指定の障害もしくは疾患またはその症状の1つもしくは複数を処置するため、および/あるいは疾患または障害の出現を防止するために十分な化合物の量を意味する。腫瘍原性増殖性障害に関して、薬学的または治療的有効量は、特に、腫瘍の収縮を引き起こす、または腫瘍の成長速度を低減させるのに十分な量を含む。
【0019】
「媒体」なる用語は、哺乳動物への投与のためにそれと共に本発明の化合物を製剤する、希釈剤、補助剤、賦形剤、または担体を意味する。
【0020】
値の範囲が提供される場合、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までのそれぞれの介在値も、具体的に開示されることが理解される。指定の範囲における任意の指定の値または介在値と、その指定の範囲における任意の他の指定の値または介在値との間のより小さい範囲はそれぞれ、本発明の範囲内に含まれる。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立に範囲に含まれ、または除外されてもよく、指定の範囲において任意の具体的に除外される限界があるとの条件で、限界のいずれか、もしくは両方がより小さい範囲に含まれる、またはいずれも含まれない、それぞれの範囲も本発明の範囲内に含まれる。指定の範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか、または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0021】
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または等価の任意の方法および材料を本発明の実施または試験において用い得るが、いくつかの可能性のある好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書において言及するすべての出版物は、出版物が引用されるものと関連して方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み入れられる。本開示は、矛盾がある範囲までの組み入れられた出版物のいかなる開示にも取って代わることが理解される。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの化合物(a compound)」への言及はそのような化合物の複数を含み、「その方法(the method)」への言及は当業者には公知の1つまたは複数の方法およびその等価物への言及を含み、他も同様である。
【0023】
本明細書に記載される出版物は、本出願の出願日より以前にそれらが開示されているためだけに提供される。本明細書における如何なるものも、先行発明によりそのような出版物に先行する権利が本発明にはないと自認したと解釈されるべきではない。さらに、提供される出版物の日付は実際の出版日とは異なることもあり、これらは独立に確認する必要がある。
【0024】
本化合物および方法を記載する前に、記載する特定の化合物および方法は、当然のことながら、変動し得るため、本発明はそれらに限定されないことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる用語は特定の態様を記載するためにすぎず、限定的であることを意図しないことも理解されるべきである。
【0025】
詳細な説明
上に概要を示したとおり、本開示は、フェンフルラミン活性薬学的成分の調製法を提供する。本開示の局面は、本方法に従って生成したフェンフルラミン組成物および薬学的成分を含み、ここで関心対象の特定の望ましくない少量構成要素は組成物から実質的に除去される。本方法は、精製が難しい位置異性体、反応副生成物および試薬などの、望ましくない少量構成要素に対する望ましい最小閾値を達成する、粗生成物を生成する段階の組み合わせを提供する。薬学的製剤のための活性薬学的成分を、活性物質の高純度の組成物を達成するための制御された再現性のある方法を介して調製し、これは得られる薬学的製剤において高レベルの安全性、有効性および品質を提供する。いくつかの場合に、薬学的組成物中の不純物または望ましくない少量構成要素は、薬物製品の不安定性、効力の消失および毒性を引き起こし得る。本フェンフルラミン組成物からのそのような少量構成要素の実質的除去は、活性薬学的成分(API)としての薬学的組成物中での使用に適した組成物を提供する。本組成物は、精製の必要性が低く、効率的に生成することができ、除去が難しいフェンフルラミンの位置異性体の除去を含む段階などの、精製段階を除去する、または方法段階の結果を改善する。
【0026】
「組成物」なる用語は、本方法の文脈において用いられる場合、本方法の1つまたは複数の段階の出発原料または生成物であり、構成要素の混合物を含み得る、材料を記載する。組成物は、その主要な、または標的構成要素により、例えば、フェンフルラミン組成物と呼ぶことができる。一般論として、組成物は、主要な標的構成要素に加えて、標的異性体(例えば、立体異性体または位置異性体)、不純物、反応副生成物、出発原料、前の段階からの持ち越し構成要素、試薬、溶媒などの、他の構成要素の混合物を含み得る。本明細書において用いられる「粗製組成物」なる用語は、化学反応手順の実施において生成する材料であって、さらなる精製段階、例えば、クロマトグラフィまたは再結晶段階などの別の反応後手順段階にかけていない材料を意味する。粗製組成物の調製において、材料は、例えば、水洗浄、溶媒抽出および/またはろ過などの単純な段階にかけることができ、そのような段階は一般には化学反応を停止するため、および/または反応生成物を「後処理する」ために用いられるため、これらは反応手順の不可欠な部分と考えられる。そのような反応後処理段階は、前述のさらなる精製段階とは考えられず、粗製組成物の調製の単なる一部である。
【0027】
フェンフルラミン組成物の調製法
本方法の局面は、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-プロパン-2-オン前駆体組成物からの還元的アミノ化を介したフェンフルラミン組成物の調製を含む(スキーム1)。
スキーム1:1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-プロパン-2-オン(2)からの還元的アミノ化を介したフェンフルラミン(1)の調製。
【0028】
還元的アミノ化の任意の好都合な方法を用いて、ケトン(2)をフェンフルラミン(1)にイミン中間体(1a)を介して、例えば、エチルアミン(例えば、Et-NH2)とケトン(2)との間で形成されるシッフ塩基を介して変換してもよい。関心対象の方法および試薬には、Abdel-Magid et al. (''Reductive Amination of Aldehydes and Ketones with Sodium Triacetoxyborohydride. Studies on Direct and Indirect Reductive Amination Procedures'', J. Org. Chem., 1996, 61 (11), pp 3849-3862によって記載された方法および試薬が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、還元的アミノ化反応を、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物をエチルアミン/水の70重量%溶液および溶媒としてのメタノールに溶解した約2.25当量以上のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドと接触させる段階を含む条件下で実施する。一定の場合に、反応(例えば、スキーム1)を、工業的規模(例えば、本明細書に記載のとおり)で実施する。一定の場合に、反応(例えば、スキーム1)の収率は80%以上、例えば、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、または99%以上である。
【0029】
任意の好都合な還元剤を本方法の還元的アミノ化段階で用いて、例えば、シッフ塩基中間体を二級アミン生成物、フェンフルラミンに還元することができる。いくつかの場合に、還元剤は水素化ホウ素還元剤である。本明細書において用いられる「水素化ホウ素還元剤」なる用語は、BH-基を含む任意の還元剤、例えば、任意の好都合な、式MBR3Hを有する水素化ホウ素、シアノ水素化ホウ素またはトリアセトキシボロヒドリド還元剤を含むことになり、ここで各Rは独立にH、アルキル、シアノまたはアセトキシであり、且つMはNa、LiまたはKなどの金属である。いくつかの場合に、還元剤はシアノ水素化ホウ素還元剤である。いくつかの場合に、還元剤はトリアセトキシボロヒドリド還元剤である。いくつかの場合に、還元剤は水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ホウ素ニッケル、水素化ホウ素カリウムおよび水素化ホウ素カルシウムから選択される。一定の場合に、水素化ホウ素還元剤はナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB;Na(CH3COO)3BH)である。
【0030】
1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-プロパン-2-オン(2)組成物を任意の好都合な前駆体組成物から調製することができる。いくつかの場合に、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-プロパン-2-オン(2)組成物を2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)から、例えば、スキーム2に従い、Daikin-West反応を介して調製する。したがって、本方法の局面は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階を含む。
スキーム2:酸(4)からのDaikin-West反応を介したケトン(2)の調製。
【0031】
Daikin-west反応は、アセチル化剤(例えば、無水酢酸および触媒)との反応による、エノール化可能なカルボン酸の対応するメチルケトンへの変換を提供する。いくつかの場合に、触媒は求核性触媒である。スキーム2を介したケトン(2)の調製において、任意の好都合な求核性触媒を無水酢酸と共に用いることができる。いくつかの態様において、触媒はN-メチルイミダゾール(すなわち、1-メチルイミダゾール)である。触媒および無水酢酸を組み合わせて、アセチル化剤をインサイチューで生成してもよい。様々な他のアセチル化剤およびアセチル化剤をインサイチューで生成するための前駆体試薬を、反応段階において用いてもよい。いくつかの場合に、方法段階はあらかじめ生成したアセチル化剤の酸(4)への直接添加を含む。ケトン(2)の調製において用いられる関心対象の方法および試薬には、Buchanan in ''The Dakin-West reaction'', Chem. Soc. Rev., 1988, 17, 91-109によって記載されたものが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、反応を、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を約0.5当量の1-メチルイミダゾールおよび約5当量以上の無水酢酸を、任意に溶媒中で接触させる段階を含む条件下で実施する。一定の場合に、反応(例えば、スキーム2)の収率は80%以上、例えば、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上または99%以上である。
【0032】
ケトン(2)を、スキーム1に概要を示す段階での使用の前に、任意の好都合な方法を用いて、任意に精製することができる。いくつかの場合に、ケトン(2)を亜硫酸水素塩付加体の生成を介して精製する。本明細書において用いられる「亜硫酸水素塩付加体」および「亜硫酸水素塩付加化合物」なる用語は、交換可能に用いられて、亜硫酸水素イオンのケトン化合物への付加生成物を意味する。ケトン(2)の亜硫酸水素塩付加体は、対応する親ケトン組成物から可能な除去よりも、付加体組成物からの不純物の容易な除去を提供する固体であり得る。
スキーム3:ケトン亜硫酸水素塩付加体(3)の生成を介したケトン(2)の精製。
【0033】
本方法の局面は、本明細書に記載の個々の段階の組み合わせ、例えば、スキーム4に示す段階の組み合わせを含む。記載する任意の段階の前または後に、任意のさらなる精製段階(例えば、結晶化段階)を実施してもよい。いくつかの態様において、方法は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階;および1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物をエチルアミンにより水素化ホウ素還元剤を用いて還元的アミノ化して、フェンフルラミン組成物を生成する段階を含む。
スキーム4:酸(4)からのケトン(2)を介したフェンフルラミン(1)の調製。
【0034】
2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を任意の好都合な前駆体組成物から調製することができる。いくつかの場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物から、例えば、スキーム5の反応に従って調製する。したがって、本方法の局面は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル(5)組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を生成する段階を含む。
スキーム5:ニトリル(5)の酸(4)への加水分解。
【0035】
ニトリル(5)の酸(4)への加水分解を任意の好都合な方法を用いて達成することができる。いくつかの場合に、ニトリル(5)の加水分解を酸触媒加水分解を介して達成することができる。一定の場合に、ニトリル(5)の加水分解を塩基触媒加水分解を介して達成することができる。加水分解は水性酸性条件下でアミド中間体(4a)を介して進行し得る。方法のいくつかの態様において、ニトリル(5)の酸(4)への加水分解を水性酸性条件下で実施する。一定の場合に、反応(例えば、スキーム5)の収率は80%以上、例えば、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上または99%以上である。
【0036】
いくつかの場合に、方法は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル(5)組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を生成する段階;および2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン(2)組成物を生成する段階を含む(例えば、スキーム6参照)。
スキーム6:ニトリル(5)からの酸(4)を介したケトン(2)の調製。
【0037】
本方法の局面は、本明細書に記載の段階の組み合わせ、例えば、スキーム7に記載の段階の組み合わせを含む。記載する任意の段階の前または後に、任意のさらなる精製段階(例えば、結晶化段階)を実施してもよい。いくつかの態様において、方法は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル(5)組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を生成する段階;2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(4)組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン(2)組成物を生成する段階;および1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン(2)組成物をエチルアミンにより水素化ホウ素還元剤を用いて還元的アミノ化して、フェンフルラミン(1)組成物を生成する段階を含む。
スキーム7:ニトリル(5)からの酸(4)およびケトン(2)を介したフェンフルラミン(1)の調製。
【0038】
方法のいくつかの態様において、生成したフェンフルラミン組成物(例えば、粗製フェンフルラミン組成物)は以下の特性を有する:80重量%以上のフェンフルラミンまたはその塩、例えば、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、またはさらに多くのフェンフルラミンまたはその塩;1重量%以下の2-フェンフルラミン位置異性体またはその塩、例えば、0.5重量%以下、0.2重量%以下、または0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはさらに少ない2-フェンフルラミン位置異性体またはその塩;1重量%以下の4-フェンフルラミン位置異性体またはその塩、例えば、0.5重量%以下、0.2重量%以下、または0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはさらに少ない4-フェンフルラミン位置異性体またはその塩;および10重量%以下のフェンフルラミン還元アルコール副生成物、例えば、5重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。
【0039】
いくつかの態様において、方法は、フェンフルラミン遊離塩基の調製法である。したがって、フェンフルラミン組成物はフェンフルラミン遊離塩基を含み得る。本方法に従って調製したフェンフルラミン遊離塩基は、任意の好都合な塩形態、例えば、フェンフルラミンの二級アミノ基の共役酸の塩(フェンフルラミン.H+X-)に、様々な方法を用いて変換してもよい。フェンフルラミン塩の生成を、スキーム1の還元的アミノ化段階の一部として(例えば、インサイチューで)実施することができ、または塩生成を任意のその後の段階で実施することもできる。いくつかの場合に、塩形態はフェンフルラミンの薬学的に許容される塩である。関心対象の塩には、塩酸塩が含まれるが、それに限定されない。一定の場合に、フェンフルラミンの薬学的に許容される塩形態は塩酸塩である。
スキーム8:フェンフルラミンの塩の調製。
【0040】
本方法は、最終のさらなる精製段階を高効率および/または高収率で容易に達成して、高品質の活性薬学的組成物を生成し得るような、粗製フェンフルラミン組成物またはフェンフルラミン塩組成物からの1つまたは複数の望ましくない少量構成要素の実質的除去を提供する。
【0041】
1つまたは複数のさらなる精製段階を、本方法に従って調製した粗製フェンフルラミン組成物(例えば、フェンフルラミンの遊離塩基または塩形態を含むもの)に対して実施してもよい。一定の場合に、精製段階は、粗製組成物からのフェンフルラミンまたはフェンフルラミンの塩形態の結晶化を含む。結晶性フェンフルラミン塩形態は、望ましい多形性、高い結晶性、水溶性および/または安定性を有し得る。いくつかの場合に、本方法は、流動性、非吸湿性であり、且つ高い融点を有する単一の多形である、結晶性フェンフルラミン塩酸塩を提供する。
【0042】
方法のいくつかの態様において、生成した組成物はフェンフルラミンの薬学的に許容される塩を含み、以下の純度特性を有する:90重量%以上のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩、例えば、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、99.8重量%以上、99.9重量%以上、またはさらに多くのフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;1重量%以下の2-フェンフルラミン;1重量%以下の2-フェンフルラミン位置異性体またはその塩、例えば、0.5重量%以下、0.2重量%以下、または0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはさらに少ない2-フェンフルラミン位置異性体またはその塩;1重量%以下の4-フェンフルラミン位置異性体またはその塩、例えば、0.5重量%以下、0.2重量%以下、または0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはさらに少ない4-フェンフルラミン位置異性体またはその塩;および5重量%以下のフェンフルラミン還元アルコール副生成物、例えば、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。一定の態様において、本方法に従って生成した組成物は、フェンフルラミンの薬学的に許容される塩を含み、且つ合計0.2重量%以下のトリフルオロメチル位置異性体、例えば、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.03重量%以下、0.01重量%以下、またはさらに少ないトリフルオロメチル位置異性体を有する、フェンフルラミン活性薬学的成分である。一定の態様において、フェンフルラミン活性薬学的成分は、下記を含む純度特性を有する:少なくとも90重量%(例えば、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.8重量%、少なくとも99.9重量%、またはそれよりも多く)のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;0.2重量%未満(例えば、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.03重量%未満、0.01重量%未満)の2-フェンフルラミン;0.2重量%未満(例えば、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.03重量%未満、0.01重量%未満)の4-フェンフルラミン;および1重量%未満(例えば、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満)のフェンフルラミンアルコール。
【0043】
本方法は、フェンフルラミンの鏡像異性体のラセミ混合物の調製を提供する。フェンフルラミンの鏡像異性体は以下と呼んでもよい:デクスフェンフルラミン(すなわち、(S)-N-エチル-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-プロパン-2-アミン、(+)-フェンフルラミンまたは(S)-フェンフルラミン);およびレボフェンフルラミン(すなわち、(2R)-N-エチル-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロパンアミン、(-)-フェンフルラミンまたは(R)-フェンフルラミン)。フェンフルラミン鏡像異性体またはその塩は互いから、任意の好都合な方法を用いて分離することができる。フェンフルラミン鏡像異性体の分離および精製のための関心対象の方法には、結晶化によるキラル分割およびキラルカラムクロマトグラフィが含まれるが、それらに限定されない。したがって、いくつかの態様において、方法はラセミフェンフルラミン組成物、またはその塩のキラル分離を実施して、フェンフルラミンの主要立体異性体を含む非ラセミフェンフルラミン組成物を生成する段階をさらに含む。非ラセミとは、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の1つの立体異性体、例えば、主要立体異性体の鏡像異性体過剰率を有する組成物を意味する。本明細書において用いられる「主要立体異性体」なる用語は、1つの立体異性体だけを含む組成物または立体異性体混合物を含む組成物を含むことになる。
【0044】
いくつかの場合に、活性薬学的成分組成物は、主要立体異性体として(S)-フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む非ラセミ組成物である。いくつかの場合に、活性薬学的成分組成物は、主要立体異性体として(R)-フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む非ラセミ組成物である。いくつかの場合に、生成した非ラセミ組成物は1つの立体異性体だけを含む。
【0045】
少量構成要素
上に概要を示したとおり、本方法の組成物、例えば、出発原料組成物、中間体組成物および最終フェンフルラミン組成物は、1つまたは複数の少量構成要素の実質的除去を提供し得、これは薬学的組成物のための活性薬学的成分(API)、またはその前駆体として使用される組成物を生成するために本方法によって達成される。本方法は、望ましくない少量構成要素の実質的除去を様々な様式で提供する。本明細書において用いられる「実質的に除去する」とは、少量構成要素が存在する場合、それが閾値以下のレベルで存在するような、関心対象の少量構成要素の望ましい最小閾値の達成を意味する。本明細書において用いられる「実質的に含まない」なる用語は、関心対象の少量構成要素が存在しないか、または最小閾値以下のレベルで存在する組成物を意味する。関心対象の少量構成要素の望ましい最小閾値は、構成要素の性質、および組成物が中間体組成物または関心対象のフェンフルラミン組成物のいずれかによって変動し得る。いくつかの場合に、達成される関心対象の少量構成要素の望ましい最小閾値は、10重量%以下、例えば、5%以下、4%以下、または3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.09%以下、0.08%以下、0.07%以下、0.06%以下、0.05%以下、0.03%以下、または0.01%以下である。一定の場合に、関心対象の少量構成要素は関心対象の組成物から完全に除去され、すなわち、組成物は少量構成要素を含まない(例えば、構成要素が検出されないか、または検出限界未満である)。
【0046】
いくつかの場合に、本方法において用いる段階の特定の組み合わせは、関心対象の少量構成要素を除去するようにはたらく。一定の場合に、中間体組成物の、例えば、結晶化を介した精製は、少量構成要素、例えば、位置異性体が合成の後の段階に持ち越された場合、除去が難しい少量構成要素の実質的除去を達成する。一定の場合に、主要構成要素は、例えば、反応または特定の方法段階の生成物よりも出発原料の位置異性体であり、したがって容易に除去され得るため、特定の方法段階の実施は反応の選択性を提供し、それにより関心対象の少量構成要素は反応条件により変換されない。いくつかの場合に、本方法において用いる段階の特定の組み合わせは、通常の方法では必要とされ、生成物組成物中の望ましくない少量構成要素をもたらす、1つまたは複数の化学試薬、溶媒および/または反応物質の使用を回避する。実質的に除去され得る関心対象の少量構成要素には、生成物異性体、副生成物、アルデヒド、ケトン、過酸化物、金属(例えば、重金属および金属触媒)、硝酸塩/亜硝酸塩、痕跡溶媒、および有機酸が含まれるが、それらに限定されない。様々な少量構成要素および本組成物からのそれらの実質的除去の詳細を、以下にさらに詳しく記載する。本方法に従って実質的に除去し得る関心対象の少量構成要素には、酢酸エステル不純物、二量体不純物、アセトアミド不純物、1-((3-トリフルオロメチル)フェニル)アセトン、フェンフルラミン位置異性体、フェンフルラミンアルコール、N-(3-(トリフルオロメチル)-ベンジル)エタンアミン、ノルフェンフルラミンおよび表7の不純物の任意の1つを含むが、それらに限定されない、本明細書に記載の任意の不純物、副生成物、出発原料および少量構成要素が含まれる。
【0047】
位置異性体
いくつかの場合に、フェンフルラミンの位置異性体、またはその前駆体が、本方法において使用される本組成物の任意の1つの少量構成要素として存在し得る。フェンフルラミンおよびその合成前駆体は、3-トリフルオロメチル置換フェニル基を含み得る。本明細書において用いられる「トリフルオロメチル位置異性体」および「トリフルオロメチル-フェニル位置異性体」なる用語は交換可能に用いられて、本明細書に記載のフェンフルラミンの異性体、または合成前駆体の任意の1つを意味し、ここでトリフルオロメチル置換基は、フェンフルラミンに対応する3位ではなく、置換フェニル環の2位または4位のいずれかに位置する。したがって、「2-トリフルオロメチル位置異性体」および「4-トリフルオロメチル位置異性体」なる用語は、本明細書において、本方法において使用される任意の中間体組成物または最終組成物の特定の少量構成要素を記載するために用い得る。
【0048】
本方法の2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物出発原料は、位置異性体を含み得る。いくつかの場合に、位置異性体は2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリルのトリフルオロメチルベンゼンからの調製法に由来する。いくつかの場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物は、少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、またはさらに多くのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体(例えば、2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリルおよび2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリルを合わせた合計)を含む。いくつかの場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物は、少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、またはさらに多くの2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル)を含む。いくつかの場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物は、少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、またはさらに多くの2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル)を含む。一定の場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物は、次の組成物、例えば、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物に持ち越される少量の位置異性体構成要素を含む。したがって、本方法において中間体として生成された2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物も、位置異性体(例えば、2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸および2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸)を2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物出発原料について本明細書に記載するのと同じレベルで含み得る。
【0049】
本方法は、中間体組成物の少量構成要素としての2-および/または4-位置異性体の様々な様式での除去を提供する。いくつかの態様において、方法は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を精製してトリフルオロメチル-フェニル位置異性体の一方または両方を実質的に含まない組成物を生成する段階を含む。一定の場合に、組成物はアセトニトリル出発原料中に存在するベンズアルデヒドも実質的に含まない。一定の場合に、組成物はアセトニトリル出発原料中に存在するトリフルオロメチル-ベンズアルデヒドも実質的に含まない。一定の場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を精製して少量の位置異性体構成要素の一部またはすべてを除去する段階は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸の結晶化を介して達成することができる。本明細書において用いられる「トリフルオロメチル-フェニル位置異性体を実質的に含まない」なる用語は、0.5重量%未満、例えば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.03%未満、またはさらに少ないことを意味する。結晶化または再結晶の任意の好都合な方法を、本方法において用いることができる。
【0050】
2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物の精製、例えば、結晶化の後、組成物は、0.5重量%未満、例えば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.03%未満、またはさらに少ない2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸を含み得る。2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物の精製、例えば、結晶化の後、組成物は、0.5重量%未満、例えば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.03%未満、またはさらに少ない2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸を含み得る。2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物の精製、例えば、結晶化の後、組成物は、0.5重量%未満、例えば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.03%未満、またはさらに少ないベンズアルデヒドを含み得る。
【0051】
いくつかの態様において、方法は、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階を含み、ここで2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸はケトンに未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸存在下で選択的に変換される。存在する2-位置異性体は標的3-トリフルオロメチル化合物と同じ速度で反応を遂行しないため、本方法は、この位置異性体の容易な除去を提供する。いくつかの場合に、方法は、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物から未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸位置異性体を除去する段階をさらに含む。したがって、いくつかの場合に、粗製1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物はケトン生成物の2-位置異性体を実質的に含まない(例えば、0.5重量%未満、例えば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.03%未満、またはさらに少量を含む)。
【0052】
アセトニトリル出発原料中に存在する位置異性体少量構成要素の除去は、合成法の実施中のステージにおいて達成してもよい。いくつかの態様において、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物から、出発原料中に存在する位置異性体少量構成要素の第1の部分を、例えば結晶化を介して除去する。一定の場合に、本方法の中間体組成物を通過する、存在する位置異性体少量構成要素の第2の部分を、例えば、本明細書に記載のとおりに、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸の選択的反応を介して除去する。一定の場合に、本方法の中間体組成物を通過する、存在する位置異性体少量構成要素の第3の部分を、フェンフルラミン組成物の精製を介して除去する。
【0053】
ベンズアルデヒドおよびトリフルオロベンズアルデヒド
2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリルの調製法に応じて、出発原料組成物はベンズアルデヒドまたはトリフルオロベンズアルデヒドを少量構成要素として含み得る。薬学的活性成分中に存在するそのような少量構成要素を有することは望ましくない。いくつかの場合に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物は、少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、またはさらに多くのベンズアルデヒドまたはトリフルオロベンズアルデヒドを少量構成要素として含む。いくつかの場合に、少量構成要素として存在する任意のベンズアルデヒドまたはトリフルオロベンズアルデヒドは、本明細書に記載の組成物からの2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸の精製、例えば、結晶化中に実質的に除去される。一定の場合に、ベンズアルデヒドは、その調製法ゆえに、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-アセトニトリル出発原料組成物中に存在しない。
【0054】
ケトン(2)の調製法
本方法は、他の可能な方法を超える1つまたは複数の利点を提供する、ケトン(2)の調製のための段階の特定の組み合わせを含み得る。図4は、ケトン(2)の調製のために使用し得る様々な合成経路を示す。一定の場合に、本方法において用いる特定の方法は、ニトリル(5)からの酸(4)を介したケトン(2)の調製である。
【0055】
本方法において、Dakin-West反応(例えば、スキーム2に記載のとおり)中に生成する少量構成要素(例えば、酢酸エステルおよび二量体不純物)を続いて実質的に除去することができる。一定の場合に、これらの少量構成要素を蒸留手順を用いて除去する。一定の場合に、これらの少量構成要素を、生成物ケトン(2)の亜硫酸水素塩(例えば、本明細書に記載のとおり)としての単離を含む手順を介して除去する。酢酸エステルおよび二量体不純物を以下に示す。
いくつかの場合に、亜硫酸水素塩単離手順の使用は、これらおよび他の不純物を除去することにより、ケトンの純度を少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上)の倍率で改善する。いくつかの態様において、本方法は、酢酸エステル不純物のケトン(2)組成物からの実質的除去を提供する。いくつかの態様において、本方法は、二量体不純物のケトン(2)組成物からの実質的除去を提供する。
【0056】
図5は、アリールニトロ出発原料からケトン(2)を調製するためのジアゾニウム経路を示す。ジアゾニウム経路は、囲み内の化合物(例えば、N-ヒドロキシアリール、N-ニトロソアミンおよびニトロ化合物)として示す遺伝毒性中間体の生成の可能性による欠点を有する。いくつかの場合に、そのような不純物の除去および/またはそれらの欠損を示すことは、費用と時間がかかり、時には技術的に達成が難しい。本方法の局面は、図5に示す経路を介して可能性のある望ましくない少量構成要素を実質的に除去し、それによってそのような毒性および/または望ましくない化合物が本組成物中に存在する可能性を回避する、合成経路を含む。
【0057】
いくつかの場合に、本方法は、図5に記載する3-トリフルオロアニリン出発原料の異性体(例えば、位置異性体)副生成物の除去を提供する。そのような副生成物は3-トリフルオロアニリン組成物中に存在し、合成段階を通過し、下流の組成物から実質的に除去するのが困難であり得る。本方法のいくつかの場合に、ニトリル(5)の加水分解から生じる酸(4)の結晶化は、合成の早期にそのような異性体の容易な除去を提供する結晶性酸(4)を提供する。合成の最後での最終生成物の精製は、原材料を工程に沿って投入する前の合成の早期にそのような少量構成要素を除去するよりも、費用がかかり(例えば、貴重な生成物の損失において)、物品の費用に大きい影響を与えるため、合成の早期に不純物および/または望ましくない異性体を除去することは、特にそのような不純物が最終生成物組成物へと通過する場合には、好ましい。
【0058】
除去される毒性試薬
本方法は、一定の望ましくない試薬および/または溶媒(例えば、公知の発癌活性もしくは強く疑われる発癌活性を有する、および/または環境ハザードである、クラス1またはクラス2溶媒)の除去を提供する、特定の合成経路および化学反応物質(例えば、前述のとおり)の組み合わせを含む。本方法を実施することによってフェンフルラミン組成物から除去し得る、関心対象のクラス1および2溶媒には、アセトニトリル、ベンゼンおよび置換ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジメトキシエタン、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、メチルブチルケトン、N-メチルピロリジノン、ピリジン、トルエン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、およびキシレンなどの、International Conference on Harmonization (ICH) Q3C list and guidance for Industry (February 2012, Revision 2, US Dept. HHS)に掲載されている任意の溶媒が含まれるが、それらに限定されない。本方法は、本方法を実施することによって生成するフェンフルラミン組成物からの、様々な望ましくないおよび/または毒性試薬の除去も提供する。例えば、スキーム1に示す方法の還元的アミノ化段階を含むことにより、毒性の可能性がある金属触媒の使用を必要とする代替合成経路が回避される。そのような試薬および/または溶媒の使用を本方法の合成経路から除去することにより、毒性の可能性がある少量構成要素がフェンフルラミン組成物から除去される。したがって、本フェンフルラミン組成物は、関心対象の少量構成要素を実質的に含まないということができる。いくつかの場合に、Pb、As、Cd、Hg、Pb、Co、Mo、SeおよびVなどの、1つまたは複数の可能性のある重金属構成要素を実質的に除去する。一定の場合に、1つまたは複数のクラス1溶媒を実質的に除去する(例えば、ICH Q3Cの下で採用される許容される閾値限界未満)。一定の場合に、ベンゼン溶媒を、例えば、2ppmの濃度限界未満に、実質的に除去する。一定の場合に、四塩化炭素溶媒を、例えば、4ppmの濃度限界未満に、実質的に除去する。一定の場合に、1,2-ジクロロエタン溶媒を、例えば、5ppmの濃度限界未満に、実質的に除去する。一定の場合に、1,2-ジクロロエタン溶媒を、例えば、8ppmの濃度限界未満に、実質的に除去する。一定の場合に、1,1,1-トリクロロエタン溶媒を、例えば、1500ppmの濃度限界未満に、実質的に除去する。少量構成要素がいかなる合成段階でも使用されない、または出発原料中に存在しない方法を介してフェンフルラミンを生成する場合、少量構成要素は本組成物から完全に除去されたと考えることができる。
【0059】
フェンフルラミンアルコール
本明細書において用いられる「フェンフルラミンアルコール」および「還元アルコール副生成物」なる用語は、交換可能に用いられて、以下に示す、スキーム1の還元的アミノ化段階において起こり得る、ケトンのアルコールへの還元生成物を意味する。
【0060】
本方法は、本組成物からのフェンフルラミンアルコールの実質的除去を提供する。いくつかの場合に、粗製フェンフルラミン組成物は、10重量%未満の還元アルコール副生成物、例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満またはさらに少量を有する。いくつかの場合に、粗製フェンフルラミン組成物は、10重量%以下の還元アルコール副生成物、例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、またはさらに少量を有する。
【0061】
ノルフェンフルラミン
ノルフェンフルラミンは、フェンフルラミンを含む組成物の可能性のある不純物である。本方法は、本組成物からのノルフェンフルラミンの実質的除去を提供する。いくつかの場合に、粗製フェンフルラミン組成物は、10重量%未満のノルフェンフルラミン、例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満またはさらに少量を有する。いくつかの場合に、粗製フェンフルラミン組成物は、10重量%以下のノルフェンフルラミン、例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、またはさらに少量を有する。
【0062】
使用法
本明細書に記載のフェンフルラミンおよびフェンフルラミン組成物を様々な方法において用いてもよい。本開示の局面は、それを必要としている対象に、関心対象の疾患または状態を処置または予防するためのフェンフルラミン薬学的組成物(例えば、本明細書に記載のとおり)の治療的有効量を投与する段階を含む方法を含む。「治療的有効量」とは、所望の生物効果(例えば、てんかんの処置または予防)を誘発するのに十分な化合物の濃度を意味する。関心対象の疾患および状態には、てんかん、神経関連疾患、肥満および肥満関連疾患が含まれるが、それらに限定されない。
【0063】
いくつかの態様において、本方法は、神経関連疾患を処置するために、対象に本組成物を投与する段階を含む。関心対象の神経関連疾患には、てんかん、およびドラベ症候群が含まれるが、それらに限定されない。一定の態様において、対象はヒトである。一定の場合に、対象はドラベ症候群を患っている。一定の態様において、化合物を薬学的製剤として投与する。
【0064】
したがって、本開示のさらなる局面に従って、フェンフルラミン組成物の有効用量を患者に投与することにより、該患者の脳内の1つまたは複数の5-HT受容体を刺激する方法であって、該1つまたは複数の5-HT受容体は、特に5-HT1、5-HT1A、5-HT1B、5-HT1C、5-HT1D、5-HT1E、5-HT1F、5-HT2、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT3、5-HT4、5-HT5、5-HT5A、5-HT5B、5-HT6、および5-HT7の1つまたは複数から選択される方法を提供する。いくつかの場合に、5-HT受容体は5-HT2Bである。本発明の本局面の一定の態様において、患者はドラベ症候群と診断されている。いくつかの場合に、方法は、フェンフルラミン組成物の有効用量を患者に投与することにより、該患者の脳内の1つまたは複数の5-HT受容体を刺激する段階を含む、ドラベ症候群の処置法であって、該1つまたは複数の5-HT受容体は、特に5-HT1D、5-HT2Aおよび5-HT2Cの1つまたは複数から選択される方法である。
【0065】
ドラベ症候群を示すいくつかの遺伝子変異がある。SCNlA(例えば、電圧またはポア領域S4~S6における部分もしくは全欠失変異、切断変異および/またはミスセンス変異などの)、SCNlB(ナトリウムチャンネルβ1サブユニットをコードする領域などの)、SCN2A、SCN3A、SCN8A、SCN9A、GABRG2(γ2サブユニットをコードする領域などの)、GABRD(δサブユニットをコードする領域などの)および/またはPCDH19遺伝子における変異がドラベ症候群に関連づけられている。
【0066】
したがって、本発明のさらなる局面に従って、前記遺伝子の1つ、いくつか、またはすべてにおいて変異を示す患者の処置法であって、フェンフルラミン化合物の有効用量をその患者に投与することによる方法を提供する。本発明の本局面の一定の態様において、患者はドラベ症候群と診断されている。
【0067】
本発明の態様において、フェンフルラミン組成物の任意の有効用量を用いることができる。しかし、驚くほど低用量のフェンフルラミン組成物が、特にてんかん患者の発作を阻害または除去するために有効であることが本発明者らにより見出されている。したがって、いくつかの場合に、本発明の好ましい態様において、約10mg/kg/日未満、例えば、約9mg/kg/日未満、約8mg/kg/日未満、約7mg/kg/日未満、約6mg/kg/日未満、約5mg/kg/日未満、約4mg/kg/日未満、約3mg/kg/日未満、約2mg/kg/日未満、約1mg/kg/日未満、例えば、約1.0mg/kg/日、約0.9mg/kg/日、約0.8mg/kg/日、約0.7mg/kg/日、約0.6mg/kg/日、約0.5mg/kg/日、約0.45mg/kg/日、約0.4mg/kg/日、約0.3mg/kg/日、約0.25mg/kg/日または約0.2mg/kg/日から約0.1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日、または約0.01mg/kg/日の1日用量を用いる。言い換えるなら、好ましい用量は約10mg/kg/日~約0.01mg/kg/日未満である。いくつかの場合に、用量は約5mg/kg/日~約0.1mg/kg/日未満、例えば、約5mg/kg/日~約0.5mg/kg/日未満、約4mg/kg/日~約0.5mg/kg/日未満、約3mg/kg/日~約0.5mg/kg/日未満、約2mg/kg/日~約0.5mg/kg/日未満、または約1.7mg/kg/日~約0.9mg/kg/日未満である。
【0068】
上に示したとおり、投薬は患者の体重に基づく。しかし、便宜的に、投薬量は、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、または50mgの量などにあらかじめ設定してもよい。一定の場合に、投薬量は、約0.25mg~約5mg、例えば、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.75mg、約2.0mg、約2.25mg、約2.5mg、約2.75mg、約3.0mg、約3.25mg、約3.5mg、約3.75mg、約4.0mg、約4.25mg、約4.5mg、約4.75mg、または約5.0mgの量などにあらかじめ設定してもよい。本明細書に記載の投薬量は、1日投薬量を提供するために1日に1回または複数回、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回もしくはそれ以上の回数などで投与してもよい。一定の態様において、投薬量は30mg以下、例えば、30mg、約29mg、約28mg、約27mg、約26mg、約25mg、約24mg、約23mg、約22mg、約21mg、約20mg、約19mg、約18mg、約17mg、約16mg、約15mg、約14mg、約13mg、約12mg、約11mg、約10mg、約9mg、約8mg、約7mg、約6mg、約5mg、約4mg、約3mg、約2mg、または約1mgの1日用量である。一般に、特定の患者のために有効な最低用量を用いるべきである。いくつかの場合に、用量は一般に体重減少において用いる投薬のはるかに低い量である。
【0069】
本薬学的組成物の投与は、全身でも局所でもよい。一定の態様において、哺乳動物への投与はフェンフルラミンの全身放出(例えば、血流中への)を引き起こす。投与法には、経口、口腔、舌下、および直腸などの経腸経路;経皮および皮内などの局所投与;ならびに非経口投与が含まれる得る。適切な非経口経路には、皮下針またはカテーテルを介した注射、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、動脈内、心室内、くも膜下腔内、および前房内注射ならびに膣内、直腸、または鼻投与などの非注射経路が含まれる。一定の態様において、本開示の組成物を経口投与する。一定の態様において、本発明の1つまたは複数の化合物を処置を必要としている領域に局所投与することが望ましいこともある。これは、例えば、局所適用中の局所注入により、注射により、カテーテルにより、坐剤により、または埋込物により達成され得、該埋込物は、シアラスティック(sialastic)膜などの膜、または線維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状の材料である。
【0070】
本発明の方法において投与するフェンフルラミンの用量は、経口崩壊錠を含む錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、経口液剤もしくはシロップ剤、経口乳剤、経口ゲル、経口フィルム、口腔液剤、例えば懸濁剤用の散剤などの経口剤形;注射用剤形;経皮パッチ、軟膏、クリームなどの経皮剤形;吸入剤形;および/または鼻、直腸、膣投与剤形が含まれるが、それらに限定されない、任意の薬学的に許容される剤形に製剤することができる。そのような剤形は、1日1回投与、または1日複数回投与(例えば、1日に2、3または4回投与)用に製剤することができる。
【0071】
いくつかの態様において、本方法は、肥満を処置するために、対象に本化合物の食欲抑制量を投与する段階を含む。本組成物の任意の投与法および剤形を、肥満を処置する際に用いてもよい。
【0072】
併用療法には、本組成物および1つまたは複数の追加の作用物質を含む単一の薬学的剤形の投与;ならびに本組成物および1つまたは複数の追加の作用物質の、それ自体の別々の薬学的剤形中での投与が含まれる。例えば、本組成物および食欲抑制活性を有する追加の活性作用物質(例えば、フェンテルミンまたはトピラマート)を患者に、組み合わせ製剤などの単一投薬組成物中で一緒に投与することもでき、または各作用物質を別々の剤形中で投与することもできる。別々の剤形を用いる場合、本組成物および1つまたは複数の追加の作用物質を同時に、または別々の食い違う時間、例えば、順次に投与することができる。
【0073】
いくつかの態様において、本方法は、試料を本組成物と接触させる段階を含む、インビトロ法である。これらの方法において用い得るプロトコルは多く、ニューロン細胞からのセロトニン放出検定、無細胞検定、結合検定(例えば、5HT2B受容体結合検定);細胞表現型を測定する細胞検定、例えば、遺伝子発現検定;および関心対象の状態(例えば、ドラベ症候群)の特定の動物モデルを含む検定が含まれるが、それらに限定されない。
【0074】
薬学的製剤
同様に提供されるのは、本方法に従って調製したフェンフルラミン活性薬学的成分組成物を含む薬学的製剤である。薬学的製剤は、薬学的に許容される媒体中に存在する化合物(単独または1つもしくは複数の追加の活性作用物質存在下のいずれかで)を含む組成物である。いくつかの態様において、薬学的組成物は薬学的に許容される賦形剤中で製剤したフェンフルラミン組成物(例えば、本明細書に記載のとおり)を含む。
【0075】
賦形剤の選択は、部分的には、組成物を投与するために用いる、特定の化合物ならびに特定の方法によって決定されることになる。したがって、本発明の薬学的組成に適した多様な製剤がある。
【0076】
本発明の方法において用いるフェンフルラミンの剤形は、フェンフルラミン組成物を1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、担体、補助剤などと、薬学的製剤の当業者には公知の様式で組み合わせることにより調製することができる。
【0077】
本組成物を、植物油または他の同様の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの、水性または非水性溶媒中に;望まれる場合は、可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの通常の添加剤と共に、溶解、懸濁または乳濁することにより、注射用の製剤へと製剤することもできる。
【0078】
いくつかの態様において、経口投与に適した製剤には、(a)水、または食塩水などの希釈剤中に溶解した有効量の化合物などの、液剤;(b)それぞれ所定の量の活性成分(フェンフルラミン)を、固体または顆粒として含む、カプセル剤、サシェまたは錠剤;(c)適切な液体中の懸濁剤;および(d)適切な乳剤が含まれ得る。錠剤の剤形は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝化剤、保湿剤、保存剤、着香剤、および薬理学的に適合性の賦形剤の1つまたは複数を含み得る。ロゼンジの剤形は、活性成分に加えて、本明細書に記載のものなどの賦形剤を含む、香料、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカント中の活性成分、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシア、乳剤、ゲルなどの不活性基剤中に活性成分を含む香錠を含み得る。
【0079】
本製剤は、吸入によって投与するためのエアロゾル製剤へと作製することができる。これらのエアロゾル製剤を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの、加圧許容噴射剤中に配置することができる。これらは、ネブライザーまたはアトマイザーでの使用のためなどの、非加圧製剤用の薬剤として製剤してもよい。
【0080】
いくつかの態様において、非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を所期の受容者の血液と等張にする溶質を含み得る、水性および非水性、等張滅菌注射液剤、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る、水性および非水性滅菌懸濁剤が含まれる。製剤は、アンプルおよびバイアルなどの、単位用量または多用量密閉容器中で提供することができ、使用直前に、注射用の滅菌液体賦形剤、例えば、水の添加だけを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することもできる。即時注射液剤および懸濁剤は、前に記載した種類の滅菌散剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。
【0081】
局所投与に適した製剤は、活性成分に加えて、適切な担体などを含む、クリーム、ゲル、ぺースト、またはフォームとして提供してもよい。いくつかの態様において、局所製剤は、構造化剤、増粘剤またはゲル化剤、および保湿剤または潤滑剤から選択される1つまたは複数の構成要素を含む。よく用いられる構造化剤には、ステアリルアルコールなどの長鎖アルコール、ならびにそのグリセリルエーテルまたはエステルおよびオリゴ(エチレンオキシド)エーテルまたはエステルが含まれる。増粘剤およびゲル化剤には、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸およびそのエステルのポリマー、ポリアクリルアミド、ならびに寒天、カラゲナン、ゼラチン、およびグアーゴムなどの天然の増粘剤が含まれる。保湿剤の例には、トリグリセリドエステル、脂肪酸エステルおよびアミド、蜜ろう、鯨ろう、またはカルナウバろうなどのろう、レシチンなどのリン脂質、ならびにステロールおよびその脂肪酸エステルが含まれる。局所製剤は、他の構成要素、例えば、収斂剤、香料、色素、皮膚浸透増強剤、サンスクリーン(例えば、サンブロック剤)などをさらに含んでもよい。
【0082】
経口薬学的製剤のために、適切な賦形剤には、マンニトール、ラクトース、グルコース、ショ糖、デンプン、セルロース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、および/または炭酸マグネシウムなどの、薬学的等級の担体が含まれる。経口液体製剤において用いるために、組成物を、例えば、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、またはエタノールなどの水性担体、好ましくは水または生理食塩水中での水和に適した、固体または液体型のいずれかで供給する、液剤、懸濁剤、乳剤、またはシロップ剤として調製してもよい。望まれる場合には、組成物は、湿潤剤、乳化剤、または緩衝剤などの、少量の非毒性補助物質を含んでもよい。
【0083】
例として、フェンフルラミン組成物を通常の薬学的に許容される担体および賦形剤(すなわち、媒体)と混合し、水性液剤、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーファーなどの形で用いることができる。そのような薬学的組成物は、一定の態様において、約0.1重量%~約90重量%の活性化合物、より一般的には約1重量%~約30重量%の活性化合物を含む。薬学的組成物は、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、デキストロース、ショ糖、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸2カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸などの、一般的な担体および賦形剤を含んでもよい。本発明の製剤中で一般に用いる崩壊剤には、クロスカルメロース、微結晶セルロース、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウムおよびアルギン酸が含まれる。
【0084】
本開示の特定の製剤は液体剤形である。液体は液剤または懸濁剤であってもよく、所与の量の溶液で得られる、ミリグラム量で目盛りをつけたピペット付きの瓶に含まれる、経口液剤またはシロップ剤であってもよい。液剤は、小児用に液剤を調節することを可能にし、これは0.5mg~15mgのどこか、およびその間の任意の量を、0.5ミリグラムずつ増やして投与することができ、したがって0.5、1.0、1.5、2.0mgなどで投与することができる。
【0085】
液体組成物は一般には、適切な液体担体、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒、例えばポリエチレングリコール、油または水中の化合物または薬学的に許容される塩、および懸濁化剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、着香または着色剤の懸濁液または溶液からなる。または、液体製剤は、再構成可能な粉末から調製することもできる。
【実施例
【0086】
以下の実施例は、当業者に本発明をいかに作製し、使用するかを完全に開示および記載するために示すものであり、本発明者らがその発明であると考えるものの範囲を限定する意図はなく、また以下の実験が実施したすべてまたは唯一の実験であることを表す意図もない。用いる数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するために努力したが、いくらかの実験誤差および偏差は考慮されるべきである。特に記載がないかぎり、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、且つ圧は大気圧または大気圧付近である。「平均」とは、算術平均を意味する。標準的な略語、例えば、sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;i.m.、筋肉内;i.p.、腹腔内;s.c.、皮下などを用いることもある。
【0087】
一般合成手順
開示する化合物を合成するために有用な一般に公知の化学合成スキームおよび条件を提供する、多くの一般的参照文献が利用可能である(例えば、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, Fifth Edition, Wiley-Interscience, 2001;またはVogel, A Textbook of Practical Organic Chemistry, Including Qualitative Organic Analysis, Fourth Edition, New York: Longman, 1978参照)。
【0088】
本明細書に記載の化合物を、HPLC、分取薄層クロマトグラフィ、フラッシュカラムクロマトグラフィおよびイオン交換クロマトグラフィなどのクロマトグラフィを含む、当技術分野において公知の任意の精製プロトコルによって精製することができる。順相および逆相ならびにイオン樹脂を含む、任意の適切な固定相を用いることができる。一定の態様において、開示する化合物をシリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィを介して精製する。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography, 2nd Edition, ed. L. R. Snyder and J. J. Kirkland, John Wiley and Sons, 1979;およびThin Layer Chromatography, ed E. Stahl, Springer-Verlag, New York, 1969参照。
【0089】
本化合物の調製のための任意の工程中に、関与する任意の分子上の感受性または反応性基を保護することが必要および/または望ましいこともある。これは、J. F. W. McOmie, ''Protective Groups in Organic Chemistry'', Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, ''Protective Groups in Organic Synthesis'', Third edition, Wiley, New York 1999、''The Peptides''; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、''Methoden der organischen Chemie'', Houben-Weyl, 4th edition, Vol. 15/l, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jescheit, ''Aminosauren, Peptide, Proteine'', Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982、および/またはJochen Lehmann, ''Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate'', Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974などの、標準的研究において記載される通常の保護基によって達成され得る。保護基は好都合なその後のステージで当技術分野において公知の方法を用いて除去してもよい。
【0090】
本化合物を、市販の出発原料および/または通常の合成法によって調製した出発原料を用い、様々な異なる合成経路を介して、合成することができる。本明細書に開示の化合物を合成するために用い得る合成経路の様々な例を、以下のスキームにおいて記載する。
【0091】
実施例1
1. フェンフルラミン命名法&構造
Chemical Abstract Service(CAS)Registry Number(RN):404-82-0(HCl塩)、458-24-2(親遊離塩基)
【0092】
化学名:N-エチル-α-メチル-3-(トリフルオロメチル)-ベンゼンエタンアミン塩酸塩(1:1)。他の名称:フェンフルラミンHCl、DL-フェンフルラミン、(±)-フェンフルラミン
【0093】
塩酸塩の構造:
【0094】
立体化学:フェンフルラミンHClは1つのキラル中心を有し、ラセミ体として開発中で、デクスフェンフルラミンおよびレボフェンフルラミンを含む。
【0095】
塩酸塩の分子式:C12H16F3N・HCl
【0096】
分子質量/分子量:267.72g/mol
【0097】
2. 一般特性
表1はフェンフルラミンHClの化学および物理的特性の概要を示す。
【0098】
(表1)フェンフルラミンHCl原薬の一般特性
【0099】
3. フェンフルラミン原薬の合成
スキーム3.1は、ケトン(2)からフェンフルラミンHClの初期臨床供給物を製造するために用いる合成の2段階経路を示す。バッチサイズは4kgで、実験用ガラス器具(kilo lab)で実施する。クロマトグラフィの必要はなく、工程段階はスケールアップに適合している。工程1において、市販の1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトン(ケトン2)から出発して1つの中間体フェンフルラミン遊離塩基(1)が単離される。すべての段階はケトン(2)から出発してcGMPの下で実施する。
【0100】
スキーム3.1 フェンフルラミンHCl合成フロースキーム(経路1)
MTBE=メチル-tert-ブチルエーテル、EtOAc=酢酸エチル。
【0101】
スキーム3.2は、商業的供給のために使用し得る、フェンフルラミンHClへの合成の4段階経路を示す。経路2は、ケトン(2)をフェンフルラミンHClに変換するために経路1により用いたものと同じ2段階工程を使用するが、例外としてケトン(2)を3-(トリフルオロメチル)-フェニル酢酸(酸4)から出発してcGMP条件下で合成する。硫酸水素塩複合体(3)は単離可能な固体で、ケトン(2)への脱複合体前に精製することができる。油であるインサイチュー中間体を括弧内に示す。10Kgのバッチサイズを実施する。20kgの商業的バッチサイズを、据え付けのパイロットプラント設備で実施する。ケトン(2)を製造するためのスキーム3.2の段階1~2は、100g規模で>99.8%(GC&HPLC)の高純度のケトン(2)を提供することが示された。ケトン(2)のフェンフルラミンへの、経路1または2のいずれかを用いての変換は、同様の純度特性を提供した。
【0102】
スキーム3.2 フェンフルラミンHCl合成フロースキーム(経路2)
出発原料を囲み内に示す。括弧内および括弧なしの化合物はそれぞれ提唱されるインサイチューおよび単離中間体を示す。NMI=N-メチルイミダゾール。
【0103】
4.1. 叙述的記載(経路1)
段階1:還元的アミノ化(フェンフルラミン遊離塩基1の調製)
エチルアミン、水、メタノール、および1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトン(ケトン2)の溶液をナトリウムトリアセトキシボロヒドリドで処理して25℃で16時間撹拌し、この時点でHPLC分析(IPC-1;In Process Control No. 1)により反応の完了が示され、水酸化ナトリウム溶液をpH>10まで加えた。トルエンを加えて相を分離し、水相(IPC-2)および有機相(IPC-3)の残存フェンフルラミンおよびフェンフルラミンアルコールをチェックし、有機相を減量させた。精製水を加え、濃HClを用いてpHを<2に調節し、相を分離した。水相をトルエンで洗浄し、トルエン相(IPC-4)および水相(IPC-5)のフェンフルラミンおよびフェンフルラミンアルコール含有量をチェックした。生成物を含む水相のpHを水酸化ナトリウム溶液を用いて>10に調節する。塩基性の水相をMTBEで、水相からのフェンフルラミンの除去がHPLCにより観察されるまで(<0.5mg/ml)抽出した(IPC-6)。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、中間体生成物フェンフルラミン遊離塩基1を淡黄色油状物で得、本明細書に記載の明細に従って試験し、NMRにより材料は2.93%のトルエンを含み、HPLCにより有効収率(active yield)88.3%および純度98.23%(0.67%フェンフルラミンルコール)であることが示された。
【0104】
段階2:塩の生成(フェンフルラミンHClの調製)
フラスコにエタノールおよび塩化アセチルを加えた。溶液を終夜ゆっくり撹拌した後、酢酸エチルを加えた。生成したHCl/酢酸エチル溶液を清浄なカーボイ中にポリッシュろ過し(polish filtered)、その後の使用のために保持した。容器にフェンフルラミン遊離塩基1およびMTBEを加えた。MTBE中のフェンフルラミン溶液を2つのカーボイ中に回収した後、容器を洗浄し、粒状残渣についてチェックした。フェンフルラミン溶液を容器中にポリッシュろ過して冷却し、HCl/酢酸エチル溶液を加えて、最終pH 6~7とした。バッチを1時間撹拌し、ろ過した。生成物を40℃で減圧乾燥した。生成物(収率96.52%)をIPC-7により試験して、HPLCにより99.75%の純度を有し、GCヘッドスペース分析によりMTBE(800ppm)およびEtOAc(150ppm)の存在が示された。次いで生成物を本明細書に示す明細に従って試験した。
【0105】
4.2. 叙述的記載(経路2)
段階1:ケトン亜硫酸水素塩付加体の調製
【0106】
手順:無水酢酸(2.8体積、3.0重量、5.0当量)を容器に加え、撹拌を開始する。溶液を、-4℃を標的として-5~5℃に冷却する。1-メチルイミダゾール(0.2体積、0.21重量、0.5当量)を混合物に-5~5℃で加える。警告:非常に発熱性。必要があれば、温度を0~5℃に調節する。ZX008酸(1.00重量、1.0当量)を混合物に0~5℃で加える。警告:発熱性。混合物を0~5℃で、HPLC分析によりZX800酸面積≦2.1%まで、典型的には7~9時間撹拌する。15重量%塩化ナトリウム溶液(2.0体積)を混合物に0~5℃で、60~90分間で加える。警告:非常に発熱性で、わずかに遅れて発生する。混合物を18~23℃まで45~60分間かけて加温し、18~23℃でさらに30~45分間撹拌を続ける。TBME(5.0体積、3.7重量)を混合物に加え、18~23℃で10~15分間撹拌する。水層を分離し、有機層を保持する。水層をTBME(2×3.0体積、2×2.2重量)により18~23℃で逆抽出し、各有機層を保持する。合わせた有機層のpHを、20重量%水酸化ナトリウム溶液(5.3~8.3体積)を18~23℃で加えることにより、pH7.0を標的として6.5~9.0に調節する。警告:発熱性。水層を分離し、有機層を保持する。有機層を4重量%炭酸水素ナトリウム溶液(2×3.0体積)により18~23℃で洗浄する。有機層中の残存ZX008酸含有量をHPLC分析により判定し、通過基準はZX008酸面積≦0.10%である。有機層を精製水(2×3.0体積)により18~23℃で洗浄する。有機層を減圧下で約2体積まで、43℃を標的として40~45℃で濃縮する。
【0107】
混合物中のZX008ケトン(WIP)の重量検定を1H-NMR分析により情報のためだけに判定し、混合物中のZX008ケトン(WIP)の含有収率を計算する。注:工程は強固で、80~90%thの収率を一貫して提供するため、この段階は工程から除去することができる。達成された収率はその後の段階の投入量の計算に入れた。
【0108】
n-ヘプタン(4.0体積、2.7重量)を混合物に、43℃を標的として40~45℃で加える。混合物を43℃を標的として40~45℃で約2体積に濃縮する。混合物中のTBME含有量を1H-NMR分析により判定する(通過基準はZX008ケトンに対して≦5.0重量%TBMEである)。n-ヘプタン(2.4体積、1.6重量)を、43℃を標的として40~45℃で容器Aに加える。容器Bに、二亜硫酸ナトリウム(0.82重量、0.88当量)を18~23℃で加える。容器Bに、精製水、コードRM0120(2.0体積)中の炭酸水素ナトリウム(0.16重量、0.4当量)溶液を18~23℃で加え、続いて精製水、コードRM0120(0.4体積)により18~23℃でライン洗浄する。警告:ガス発生。容器Bの内容物を、43℃を標的として40~45℃に加熱する。容器Aからの内容物を容器Bに加え、続いてn-ヘプタン(0.8体積、0.5重量)により、43℃を標的として40~45℃でライン洗浄する。混合物を、43℃を標的として40~45℃で1~1.5時間撹拌する。n-ヘプタン、コードRM0174(3.2体積、2.2重量)を混合物に加え、温度を添加終了時に18~45℃まで冷却させる。混合物を18~23℃まで45~60分かけてほぼ一定の速度で冷却する。混合物を18~23℃で1.5~2時間撹拌する。
【0109】
1H-NMR分析により残存ZX008ケトン含有量を判定するために、混合物を採取する(通過基準はZX008ケトン亜硫酸水素塩付加体に対して≦10.0%モル、標的5.0%モルZX008ケトンである)。混合物をろ過し、ろ過ケークをn-ヘプタン(2×2.0体積、2×1.4重量)により18~23℃でスラリー洗浄する。固体を23℃までで、AKX試薬に従ってKF分析により水含有量が≦10.0重量%の水分になるまで乾燥する。少なくとも16時間。単離ZX008ケトン亜硫酸水素塩付加体の重量検定を1H-NMR分析により判定し、ZX008ケトン亜硫酸水素塩付加体の含有収率を計算する。
【0110】
収率および特性:ステージ1デモンストレーションバッチの収率の概要を以下の表に示す。投入量:分取法により、1700.0g未修正、酸、99.50面積%(QC、HPLC)、2-異性体検出されず、4-異性体0.02面積%、RRT1.58(前は観察されず)0.48面積%。分析データの概要を以下の表1Aに示す。
【0111】
(表1A)段階1デモンストレーションバッチの単離収率の表
【0112】
段階2:ケトンの調製
【0113】
手順:トルエン(5.0体積、4.3重量)および精製水(5.0体積)を容器に加え、撹拌を開始する。必要があれば、温度を18~23℃に調節し、ZX008ケトン亜硫酸水素塩付加体(検定物重量%で修正した1.00重量)を混合物に18~23℃で加える。20重量%水酸化ナトリウム溶液を混合物に18~23℃で加えて、混合物のpHを、pH9.0を標的として8.0~12.0に調節する(0.5~1.0体積)。
下の水層を分離し、上の有機層を保持する。有機層を精製水(3.0体積)により18~23℃で洗浄する。有機層を減圧下、48℃を標的として45~50℃で約2体積まで濃縮する。メタノール(5.0体積、4.0重量)を混合物に、48℃を標的として45~50℃で加える。混合物を減圧下、48℃を標的として45~50℃で約2体積まで再濃縮する。段階7および8を1回くり返した後、段階9に進める。混合物を18~23℃に冷却する。混合物を、風袋を量った、適切なサイズのドラムに移した後、18~23℃でメタノール(1.0体積、0.8重量)ライン洗浄する。混合物中のZX008ケトン(WIP)の重量検定を1H-NMR分析により判定し、混合物中のZX008ケトン(WIP)の含有収率を計算する。混合物中のトルエン含有量を1H-NMR分析により判定する。
【0114】
収率および特性:段階2デモンストレーションバッチの収率の概要を以下の表1Bに示す。投入量:投入量計算のために、1200.0g修正、ケトン亜硫酸水素塩付加体、76.0重量%検定物(NMR、d6-DMSO中、内部標準としてDMBを用いて)(重量検定のために1.00当量、1.00重量修正)。
【0115】
(表1B)段階2デモンストレーションバッチの単離収率の表
【0116】
段階3:粗製フェンフルラミンHClの調製
【0117】
手順:ZX008ケトン(検定のために修正、1.00重量、1.00当量 ステージ2においてMeOH溶液として単離)を容器に加える。メタノール、コードRM0036(5.0体積、4.0重量)を混合物に18~23℃で加える。溶液を0~5℃に冷却する。70重量%エチルアミン水溶液(1.3体積、1.6重量、4.0当量)を混合物に0~10℃で15~30分かけて加え、続いてメタノール(1.0体積、0.8重量)によりライン洗浄する。混合物を15~20℃に加温し、混合物を15~20℃でさらに60~70分間撹拌する。必要があれば、混合物を、15℃を標的として15~18℃に調節する。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.4重量、2.25当量)を混合物に、約10分割で、混合物を17℃を標的として15~20℃に維持しながら加える。添加時間は1.5~2時間。警告:発熱性。混合物を15~20℃で、HPLC分析により完了まで、すなわち通過基準≦3.0面積%のZX008ケトン、典型的には2~3時間撹拌する。混合物のpHを、20重量%水酸化ナトリウム水溶液(5.0~6.0体積)を混合物に15~40℃で加えることにより、pH>12に調節する。添加時間は10~30分間。警告:発熱性。必要があれば、温度を18~23℃に調節する。混合物をトルエン(3×3.0体積、3×2.6重量)により18~23℃で抽出し、各抽出後の上の有機層を保持して合わせる。合わせた有機層を精製水(1.0体積)により18~23℃で洗浄する。混合物を、48℃を標的として40~50℃に加熱する。有機層を、48℃を標的として40~50℃で蒸留速度とほぼ同じ速度で加えることにより、約5体積を維持しながら一定の量で、混合物を減圧下で濃縮する。混合物を18~23℃に冷却する。精製水(10.0体積)を混合物に18~23℃で加える。混合物のpHを、濃塩酸、0.5体積を加えることにより、18~23℃で0.1≦pH≦1.5に調節する。中和するまでこの段階から遅延してはならない。
【0118】
層を18~23℃で分離して、下の水層を保持する。水層をトルエン(3.0体積、2.6重量)により18~23℃で洗浄して、水層を保持する。水層のpHを、20重量%水酸化ナトリウム溶液を18~23℃で加えることにより、pH>12に調節する。0.8~0.9体積。警告:発熱性。TBME、コードRM0002(2.0体積、1.5重量)を塩基性の水層に加える。層を18~23℃で分離し、上の有機層を保持する。水層をTBME(2×2.0体積、2×1.5重量)により18~23℃で逆抽出し、有機層を保持する。合わせた有機層を精製水(2×1.0体積)により18~23℃で洗浄する。合わせた有機層を減圧下、48℃を標的として40~50℃で約3体積まで濃縮する。混合物の残存トルエン含有量を1H-NMR分析により判定する。KF分析、AKX試薬による残存水分含有量の判定のために試料採取する。TBME(8.7体積、6.4重量)を混合物に40~50℃で加える。溶液を、2℃を標的として0~5℃に冷却する。濃塩酸(0.54体積、0.46重量)を加え、温度を<15℃に維持する。警告:発熱性。TBME(1.0体積、0.7重量)によるライン洗浄。必要があれば、温度を0~10℃に調節し、混合物を0~10℃でさらに2~3時間撹拌する。混合物をろ過し、ろ過ケークをTBME(2×4.4体積、2×3.3重量)により0~10℃で洗浄する。固体を40℃までで、1H-NMR分析によりTBME含有量が≦0.5重量%TBMEとなるまで乾燥する。4~8時間。
【0119】
収率および特性:段階3デモンストレーションバッチの収率の概要を以下の表1Cに示す。投入量:投入量計算のために、856.8g修正、ケトン、44.2重量%検定物(NMR、CDCl3中、内部標準としてTCNBを用いて)(重量検定のために1.00当量、1.00重量修正)。図2および表1Dはフェンフルラミン塩酸塩の粗製調製物の例示的HPLCクロマトグラムを示す(210nm UV吸収)。
【0120】
(表1C)段階3デモンストレーションバッチの単離収率の表
【0121】
(表1D)HPLCによる粗製フェンフルラミン塩酸塩の純度(図2参照)
【0122】
段階4.2:フェンフルラミン塩酸塩の結晶化
【0123】
手順:フェンフルラミンHCl(粗製)(1.00重量、1.0当量)およびTBME(10.0体積、7.4重量)を容器に加え、撹拌を開始する。懸濁液を加熱還流する(50~58℃)。エタノール(5.0体積、3.9重量)を加え、温度を50~58℃に維持する。添加時間20分。50~58℃で5~10分間撹拌し、溶解をチェックする。溶液を、54~58℃を標的として50~58℃で5~10分間撹拌する。反応混合物を0.1μmインラインフィルターを54~58℃で通して澄明化し、続いてTBME(1体積、0.7重量)によりライン洗浄する。溶液を48~50℃に冷却する。フェンフルラミンHCl、コードFP0188(0.01重量)を加える。結晶化をチェックする。懸濁液を、17℃を標的として15~20℃に5~5.5時間かけてほぼ一定の速度で冷却する。混合物を、17℃を標的として15~20℃で2~3時間撹拌する。混合物をろ過し、ろ過ケークを澄明化TBME(2×3.0体積、2×2.2重量)により5~15℃で洗浄する。固体を40℃までで、1H-NMR分析によりTBME含有量が≦0.5重量%TBMEとなり、エタノール含有量が<0.5重量%EtOHとなるまで乾燥する。4~8時間。単離フェンフルラミンHClの1H-NMR分析による重量検定を実施する。
【0124】
収率および特性:ステージ4デモンストレーションバッチの収率の概要を以下の表1Eに示す。投入量:投入量計算のために、750.0g未修正、粗製フェンフルラミンHCl(1.00当量、1.00重量未修正)。図3は結晶化フェンフルラミン塩酸塩試料の例示的HPLCクロマトグラムを示す(210nm UV吸収)。
【0125】
(表1E)ステージ4デモンストレーションバッチの単離収率の表
【0126】
5. 工程内対照
表2は、工程1のために用いる上記叙述的手順において引用される、IPC番号による工程内対照(IPC)の概要を示す。
【0127】
(表2)工程1中に実施する工程内対照
【0128】
6. 出発原料
本項は、本明細書に示す経路に従ってフェンフルラミンの臨床供給物を生成するために用いる出発原料の情報および明細対照を提供する。
【0129】
(表3)経路1の出発原料
【0130】
(表4)経路2の出発原料
【0131】
表5は、経路2合成のための中間体のリストを提供する。いずれの経路も同じ中間体フェンフルラミン遊離塩基(1)を有する。フェンフルラミン遊離塩基(1)を経路1では単離中間体として処理したが、経路2工程は、いずれも単離不可能な油であるケトン(2)およびフェンフルラミン遊離塩基1の両方を溶液としてはめ込み、インサイチュー中間体として制御する、固定装置を使用する。硫酸水素塩複合体(3)は固体として単離され、したがって単離中間体としての処理に適合し、それとして放出される。粗製フェンフルラミンHClは再結晶前に中間体として単離することができる。
【0132】
中間体のための明細および試験戦略を用いる。さらなる試験および許容基準は、一次安定性バッチおよび工程検証臨界パラメーター試験からのデータの検討に基づいて追加する。分析参照標準を各中間体の全特徴付けにおいて用いる。検定物および不純物を判定するためのHPLC法は、原薬放出法と同じで、正確度、精度:再現性、中間精度、選択性/特異性、検出限界、定量限界、直線性、範囲、および頑健性について検証する。
【0133】
(表5)インサイチューおよび単離中間体
【0134】
7. 特徴付け
原薬の物理化学的特徴。
【0135】
フェンフルラミンHClを単一の多形1型として開発する。多形性および予備製剤試験を実施した。広範囲の溶媒および条件下で、明確なXRPDパターンおよびDSC分析による一貫した再現性のある吸熱に基づいて、同じ多形1型の結晶性材料を生成する。この試験からのフェンフルラミンHClの物理化学的特性の概要を以下に提供する。表のデータは例としてのディフラクトグラム、DSC、および顕微鏡写真を含む。
【0136】
投入フェンフルラミンHCl(沈澱による単離から)を特徴付けて、参照データを提供し、同時に塩が以前の塩形成から特定したものと同じ形態がどうかも決定した。塩のXRPDパターンは、フェンフルラミンHClの正式な結晶化から得た反射パターンに目視によりマッチする結晶性固体を示し、任意に1型と命名した。様々なバッチからの塩のμATR-FTIRデータの比較により、99.95%マッチを有する特性が得られた。
【0137】
熱データ分析は、DSC温度記録計で172.3℃にピークを有する唯一の大きい吸熱を示した以前のデータとマッチし、これはTGA温度記録計で示された分解の始まりの可能性とマッチする。これは、参照標準について引用した融点の報告値ともマッチする。
【0138】
非晶形の単離は、3つの一般的方法(急速溶媒蒸発、貧溶媒沈澱および凍結乾燥)を用いて試行し、すべてで投入1型と同じXRPDパターンを非常に密接に共有する高度結晶性固体を生じて、難しいことが明らかにされている
【0139】
40℃/0%RHで1週間、40℃/75%RHで3週間、および光安定性条件下での塩の安定性分析は、投入1型が0.1%の閾値で観察される新しい不純物なしに維持されたことを明らかにした。
【0140】
フェンフルラミンHClのDSC温度サイクル分析からの結果は、材料を170℃で保持した時に得られた結果と同等である。結晶化事象は認められず、非晶形は生成しなかったが、1型が戻った。
【0141】
フェンフルラミンHClを約170℃で数時間保持すると、融解および蒸発事象を引き起こし、再結合および冷却により白色固体を得る。白色固体のXRPD、DSCおよび1H NMRによる分析は、化学的および物理的形状、純度、または解離に変化がないことを示す。
【0142】
実施した強制分解試験は、フェンフルラミンHClが一連の条件下で安定であることを証明した。フェンフルラミンHClの熱的変調は、投入1型を繰り返し生成した。
【0143】
8. 不純物
原薬中の不純物は有機不純物(工程不純物または原薬関連の分解物)、無機不純物(塩残渣または金属)および残存溶媒であり得;これらの不純物のいくつかは、遺伝毒性物質であるか否かについて評価しなければならない。これらの不純物を考慮に入れ、フェンフルラミンHCl調製中に概論もしくは検証された分析法のいずれかを明細に従って用いることにより、または別の「情報のためだけ」の試験により、制御する。以下の項はフェンフルラミンHCl中の実際の、および可能性のある不純物について記載する。
【0144】
合成バッチの実際の不純物および適格性
ヒトにおける使用が意図されるcGMP原薬バッチ中で報告された不純物はいずれも、0.15%のICHQ3A適格性閾値を超えなかった(表8)。>0.1%のすべての不純物は、遺伝毒性不純物でないかぎり、ICH Q3Aに記載のとおりに同定し、処理する。
【0145】
工程不純物
表6は、合成経路から生じる可能性がある公知の不純物を示す。これらの不純物はすべて、工程の変更および/または出発原料投入純度の制御のいずれかにより、0.15%のICHQ3A適格性閾値未満に制御する。
【0146】
(表6)フェンフルラミンHClの公知の可能性がある工程不純物(経路1)
1)ICH Q3A同定閾値。HPLC法の報告閾値(LOQ)は0.05%である。
【0147】
分解不純物
熱(固体、溶液)、酸、塩基、酸化のICH Q1A(R2)条件、およびICH Q1B光安定性条件(固体、溶液)下での強制分解試験に基づく長期保存後に、不純物特性の変化は観察されない。フェンフルラミンHClは、150℃で固体として(99.90親面積%)、70℃で水-アセトニトリル中の溶液として(99.73親面積%)、周囲温度で酸、塩基、または光増感条件での溶液として、7日間安定である。1日後に酸化条件(過酸化物条件)だけがフェンフルラミンHClの94.42%への分解を生じ、それぞれLC-MSにより+16酸化副生成物に一致するいくつかの新しい関連物質を約1%で生じた。
【0148】
有機揮発性物質/残存溶媒
バッチ分析の項の表11は、工程において用いる溶媒および結果として原薬中で見られる量の概要を示す。GMP段階において用いるすべての溶媒を、適切に限定されたヘッドスペース(HS)GC法を用いてICH Q3A限界で制御する。
【0149】
無機不純物
重金属はUSP<231>またはICP法USP<233>ならびにICH Q3Dのいずれかに適合している。
【0150】
遺伝毒性不純物
ICHガイドラインQ3AおよびQ3Bは、DNA反応性の不純物に対する指針を提供するには十分でない。European Medicines Agency (EMA) guideline (2006) ''Guideline on the Limits of Genotoxic Impurities'' (EMA 2006)およびICH Guideline M7 (2014) ''Assessment and Control of DNA Reactive (Mutagenic) Impurities in Pharmaceuticals to Limit Potential Carcinogenic Risk'' (ICH Guideline M7)を、遺伝毒性の可能性がある不純物を制御する際に考慮に入れる。図5に記載のケトン(2)を調製するためのジアゾニウム経路は、囲み内の化合物(例えば、N-ヒドロキシアリール、N-ニトロソアミンおよびニトロ化合物)として示す遺伝毒性中間体の生成の可能性があるため、欠点を有する。Muller et al. (Regulatory Toxicology and Pharmacology 44 (2006) 198-211)は、遺伝毒性であり得る警戒官能基の一覧を示す。安全性指針および規制は、工程の分析および遺伝毒性の可能性がある物質の同定、ならびにそのような不純物の10ppm以下のレベルでの制御が安全性のために重要であることを示す。しばしば、そのような不純物の除去および/またはそれらの欠損を示すことは、費用と時間がかかり、時には技術的に達成が難しい。これらの理由により、そのような毒性中間体の可能性を回避する合成経路を選択することが重要である。前述のジアゾ経路で可能性のある問題、ならびにジアゾ(ショック感受性)中間体を用いる場合に可能性のある安全性の問題、ならびにこの経路の低い純度特性ゆえに、この経路はニトリル(5)から出発するケトン(2)への好ましい経路に比べてあまり好ましくない。この経路は遺伝毒性の可能性がある物質を生成せず、蒸留または亜硫酸水素塩付加体による単離-加水分解を続けて行った後に高純度のケトン(2)をもたらす。
【0151】
加えて、アニリンの商業的供給物中に存在する異性体副生成物を単離する試みはうまくいかなかったが、ニトリル(5)の加水分解から生じる酸(4)の結晶化は、合成の早期に異性体を除去するために精製しうる結晶性酸(4)を提供する。合成の最後で最終生成物を結晶化する必要性は、原材料を工程に沿って投入する前の合成の早期に除去するよりも、損失における費用がかかり、物品の費用に大きい影響を与えるため、合成の早期に不純物および/または異性体を除去することは、そのような不純物が最終生成物までついてくることが公知である場合には、好ましい。
【0152】
(表7)フェンフルラミン合成における可能性のある不純物
【0153】
(表8)フェンフルラミンHCl原薬のバッチ分析
a)これらの試験は明細に最近加えられ、したがって最近のロットしかこの試験を用いて試験していない。
b)これらの試験は明細から削除され、したがって過去のロットしかこの試験を用いて試験していない。
【0154】
実施例3
ニトリル(5)の酸への加水分解の方法
【0155】
(表9)
予想収率:60~90%th未修正68~103重量%
予想純度:HPLCにより93.00~99面積%
【0156】
実施例4
ケトン(2)の調製におけるDakin-West反応中に生成する少量構成要素の評価
Dakin-West化学中に生成する不純物、および蒸留を用いての、または生成物ケトンの亜硫酸水素塩としての単離による、それらその後の除去を記載する。見出された2つの主な不純物を以下に示す。
【0157】
表10は、亜硫酸水素塩精製の前および後にDakin-West反応から単離した粗製ケトン(2)についての分析データの表を示す。項目1では、Dakin-West段階(亜硫酸水素塩処理前)から直接単離した粗製ケトンは61.66%純度(例えば、約62%)で、それぞれ1.98%(例えば、約2%)および4.64%(例えば、約5%)のRRT 1.20および1.34を有する不純物を含み、これらはそれぞれ酢酸エステルおよび二量体不純物(例えば、上に示す)であると提案される。亜硫酸水素塩処理後の項目2では、これらは他の不純物であり、除去されて、全純度95.55%(例えば、約96%)をもたらす。表10に示す他の項目は、粗製Dakin-Westケトンの亜硫酸水素塩処理によるこの不純物増大の他の例を提供する。最後の2つの項目は、ケトンの塩生成段階および再単離への投入物として純粋なFluorchemケトンを用い、したがって塩生成および再単離はそれ自体いかなる不純物も生成しないことを示す。加えて、反応後処理中の炭酸水素塩抽出手順の使用は、任意の未反応の酸を除去するのに役立つため、得られる組成物の純度の改善を提供する。ジアゾ経路で作製した粗製ケトン(2)は、亜硫酸水素塩で処理して単離した場合に、同様の純度の改善を示した。
【0158】
(表10)亜硫酸水素塩精製の前および後にDakin-West反応から単離した粗製ケトン(2)の分析純度データ。RRTはクロマトグラムにおける相対保持時間(分)である。
項目1(経路1からの粗製ケトン);項目2(亜硫酸水素塩放出後の経路1ケトン);項目3(粗製酸を用いての粗製ケトン);項目4(亜硫酸水素塩後の粗製酸を用いてのケトン);項目5(結晶酸を用いての粗製ケトン);項目6(亜硫酸水素塩後の結晶酸を用いての粗製ケトン);項目7(結晶酸を用いての粗製ケトン);項目8(Fluorochemケトン);項目9(亜硫酸水素塩後のFluorochemケトン)。
【0159】
実施例5
1-(3-トリフルオロメチル)フェニル-プロパン-2-オンの調製のためのさらなる方法
35mLの水および45gの37重量%塩酸水溶液を、撹拌機および滴加漏斗を備えたフラスコに入れる。氷浴で10℃まで冷却した後、24.25g(0.151モル)のm-トリフルオロメチルアニリンを加え、次いで、5℃で150mlの水中に12.43g(0.180モル)の亜硝酸ナトリウムを含む水溶液をゆっくり加える。反応混合物を30分間撹拌し、次いで30分の間に90mlの水、1.35g(0.014モル)の塩化第一銅、2.30g(0.013モル)の塩化第二銅二水和物、50mlのアセトン、40.8g(0.300モル)の酢酸ナトリウム三水和物および23g(0.230モル)の酢酸イソプロペニルで作製した混合物中に、反応混合物を30℃に維持しながら加える。さらに30分間撹拌した後、反応混合物を20℃にし、50mlの塩化メチレンを加え、二層を分離する。水層を廃棄する一方で、有機層を油が得られるまで減圧下で濃縮し、これを35gの二亜硫酸ナトリウム、70mlの水および150mlのヘプタンにより室温で撹拌しながら12時間処理する。懸濁液をろ過し、亜硫酸水素塩複合体をフィルター上で50mlのヘプタンにより洗浄し、次いで100mlの塩化メチレンおよび150mlの10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液で作製した二相混合物に懸濁する。室温で1時間撹拌した後、層を分離し、水層を廃棄する一方で有機層を水で洗浄し、減圧下で蒸発させて、純粋なケトンを得る。
【0160】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に示す開示は以下の条項によっても規定される:
【0161】
第1条 フェンフルラミン活性薬学的成分の調製法であって、以下の段階を含む方法:
(a)2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物を加水分解して、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を生成する段階;
(b)2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を無水酢酸および触媒と反応させて、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を生成する段階;ならびに
(c)1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物をエチルアミンにより水素化ホウ素還元剤を用いて還元的アミノ化して、フェンフルラミン組成物を生成する段階。
【0162】
第2条 2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物が少なくとも0.2重量%のトリフルオロメチル-フェニル位置異性体を含む、第1条記載の方法。
【0163】
第3条 2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル組成物がトリフルオロメチルベンゼンから調製される、第1および2条のいずれか一条記載の方法。
【0164】
第4条 段階(b)の前に、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を精製して、1つまたは複数のトリフルオロメチル-フェニル位置異性体を実質的に含まず且つトリフルオロメチルベンズアルデヒドおよびベンズアルデヒドを実質的に含まない組成物を生成する段階をさらに含む、第1~3条のいずれか一条記載の方法。
【0165】
第5条 前記精製が、前記組成物からの2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸の結晶化を含む、第4条記載の方法。
【0166】
第6条 段階(b)が、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物のケトン亜硫酸水素塩付加体を介した精製を含む、第1~5条のいずれか一条記載の方法。
【0167】
第7条 段階(b)が、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸を未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸存在下で選択的に反応させることを含む、第1~6条のいずれか一条記載の方法。
【0168】
第8条 段階(b)が、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物から未反応2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸位置異性体を除去することをさらに含む、第1~7条のいずれか一条記載の方法。
【0169】
第9条 フェンフルラミン組成物が粗製であり、下記を実質的に含まない、第1~8条のいずれか一条記載の方法:フェンフルラミンのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体またはその塩;金属触媒;クラスIおよび/またはクラスII溶媒(ICH Q3C)(例えば、ベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエタンおよび/または1,1,1-トリクロロエタン);および還元アルコール副生成物。
【0170】
第10条 フェンフルラミン組成物が粗製であり、合計1重量%未満のフェンフルラミンのトリフルオロメチル-フェニル位置異性体またはその塩を有する、第1~9条のいずれか一条記載の方法。
【0171】
第11条 水素化ホウ素還元剤がナトリウムトリアセトキシボロヒドリドである、第1~10条のいずれか一条記載の方法。
【0172】
第12条 フェンフルラミン組成物が粗製であり、10重量%未満の還元アルコール副生成物を有する、第1~11条のいずれか一条記載の方法。
【0173】
第13条 フェンフルラミン組成物からフェンフルラミンまたはその塩を結晶化させる段階をさらに含む、第1~12条のいずれか一条記載の方法。
【0174】
第14条 段階(a)を水性酸性条件下で実施する、第1条記載の方法。
【0175】
第15条 段階(a)の収率が80%以上である、第14条記載の方法。
【0176】
第16条 段階(b)を、2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸組成物を約0.5当量の1-メチルイミダゾールおよび約5当量以上の無水酢酸と適切な溶媒中で接触させることを含む条件下で実施する、第1条記載の方法。
【0177】
第17条 段階(b)の収率が80%以上である、第16条記載の方法。
【0178】
第18条 段階(c)を、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-オン組成物を70重量%のエチルアミン水溶液および約2.25当量以上のトリアセトキシボロヒドリドとメタノール溶媒中で接触させることを含む条件下で実施する、第1条記載の方法。
【0179】
第19条 段階(c)の収率が80%以上である、第18条記載の方法。
【0180】
第20条 フェンフルラミン組成物が以下の特性を有する、第1条記載の方法:少なくとも80重量%のフェンフルラミンまたはその塩;1重量%未満の2-フェンフルラミンまたはその塩;1重量%未満の4-フェンフルラミンまたはその塩;および10重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。
【0181】
第21条 フェンフルラミン組成物中のフェンフルラミンをフェンフルラミンの薬学的に許容される塩に変換する段階をさらに含む、第1~20条のいずれか一条記載の方法。
【0182】
第22条 フェンフルラミン組成物からフェンフルラミンの薬学的に許容される塩を結晶化させる段階をさらに含む、第21条記載の方法。
【0183】
第23条 フェンフルラミンの薬学的に許容される塩が以下の純度特性を有する、第22条記載の方法:少なくとも90%以上のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;1重量%未満の2-フェンフルラミン;5重量%未満の4-フェンフルラミン;および5重量%未満のフェンフルラミン還元アルコール副生成物。
【0184】
第24条 フェンフルラミンの薬学的に許容される塩がフェンフルラミン塩酸塩である、第20~22条のいずれか一条記載の方法。
【0185】
第25条 フェンフルラミン組成物からフェンフルラミン遊離塩基を精製する段階をさらに含む、第1~20条のいずれか一条記載の方法。
【0186】
第26条 ラセミフェンフルラミン組成物のキラル分離を実施して、フェンフルラミンの主要立体異性体を含む非ラセミフェンフルラミン組成物を生成する段階をさらに含む、第1~25条のいずれか一条記載の方法。
【0187】
第27条 フェンフルラミンの主要立体異性体が(S)-N-エチル-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-プロパン-2-アミンである、第26条記載の方法。
【0188】
第28条 フェンフルラミンの主要立体異性体が(R)-N-エチル-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-プロパン-2-アミンである、第26条記載の方法。
【0189】
第29条 第1~28条のいずれか一条記載の方法に従って生成した、フェンフルラミン組成物。
【0190】
第30条 フェンフルラミンの薬学的に許容される塩を含み且つ合計0.2重量%未満のトリフルオロメチル位置異性体を有する、フェンフルラミン活性薬学的成分。
【0191】
第31条 以下の特性を有する、第30条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分:少なくとも90重量%のフェンフルラミンの薬学的に許容される塩;0.2重量%未満の2-フェンフルラミン;0.2重量%未満の4-フェンフルラミン;および1重量%未満のフェンフルラミンアルコール。
【0192】
第32条 重金属構成要素が組成物から実質的または完全に除去される、第30~31条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分。
【0193】
第33条 クラス1および/またはクラス2溶媒が組成物から実質的または完全に除去される(例えば、クラス1および/またはクラス2溶媒を実質的に含まない)、第30~31条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分。
【0194】
第34条 フェンフルラミンアルコールが組成物から完全に除去される、第30~33条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分。
【0195】
第35条 ベンズアルデヒドおよびトリフルオロベンズアルデヒドが組成物から実質的または完全に除去される、第30~34条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分。
【0196】
第36条 組成物が未精製である、第30~35条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分。
【0197】
第37条 第30~36条のいずれか一条記載のフェンフルラミン活性薬学的成分および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【0198】
前述の記載は単に本発明の原理を示すにすぎない。当業者であれば、本明細書に明白に記載または示していないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる、様々な配置を考案し得ることが理解されよう。さらに、本明細書において列挙するすべての例および条件の用語は、主として読者が本発明の原理および本発明者らによる技術の促進に寄与する概念を理解する際の助けとなることが意図され、そのような具体的に列挙する例および条件に対する制限はないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、局面、および態様、ならびにその具体例を記載する、本明細書におけるすべての言明は、その構造的および機能的等価物の両方を含むことが意図される。加えて、そのような等価物は、現在公知の等価物および将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を果たす任意の開発される要素の両方を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書において示し、記載する、例示的態様に限定されると意図されない。それよりも、本発明の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって具体化される。
図1
図2
図3
図4
図5