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  • 特許-経口用組成物及びその調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】経口用組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/65 20060101AFI20240104BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A61K31/65
A61K9/20
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/46
A61P31/04 171
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020508442
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018072297
(87)【国際公開番号】W WO2019034763
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】17306078.1
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519003572
【氏名又は名称】セバ・サンテ・アニマル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロシータ・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・シャルル
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536821(JP,A)
【文献】特表2014-532041(JP,A)
【文献】特表2005-538128(JP,A)
【文献】特表2011-528702(JP,A)
【文献】特表2013-539772(JP,A)
【文献】国際公開第2017/007654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00-45/08
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-31/80
A61K 38/00-38/58
A23K 40/00-40/35
A23K 10/00-10/40
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有効成分、少なくとも1つの嗜好性材料、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの崩壊剤、及び、少なくとも1つの滑沢剤を含む少なくとも1つの賦形剤、並びに、保湿剤を含む固形組成物を調製するための方法であって、
i)前記少なくとも1つの有効成分、前記少なくとも1つの賦形剤、及び、前記保湿剤を造粒機中で混合し、湿潤顆粒を得る工程であって、前記有効成分がドキシサイクリン塩酸塩であり、前記嗜好性材料が酵母抽出物及びチキン風味を含み、前記結合剤がマルトデキストリン、アルファ化デンプン、グアーゴム、及び、キサンタンゴムを含み、前記充填剤がブドウ糖及び微結晶性セルロースを含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースを含み、前記滑沢剤がPEG 6000を含み、前記保湿剤が、ソルビトール、グリセリン、及びダイズ油を含む、工程と、
ii)得られた湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
ii')前記顆粒を微結晶性セルロース、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムとブレンドする工程と、
iii)工程ii')の後に得られた顆粒を、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含み、
得られる固形組成物が、以下の成分を含む、
【表1】
方法。
【請求項2】
前記固形組成物が、少なくとも1つの保存剤、少なくとも1つの抗酸化剤、及び/又は、少なくとも1つのキレート剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)a)前記少なくとも1つの有効成分、前記少なくとも1つの嗜好性材料、前記少なくとも1つの結合剤、前記少なくとも1つの充填剤、前記少なくとも1つの滑沢剤、及び前記少なくとも1つの崩壊剤を造粒機中で混合する工程と、
i)b)前記保湿剤を工程i)a)のブレンドに噴霧し、混合して湿潤顆粒を得る工程と、
ii)a)工程i)b)の後に得られた湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
ii)b)工程ii)a)の後に得られた顆粒を、振動造粒機を用いてミリングし、次いで800~2000μmのふるいにかける工程と
iii)a)工程ii)b)の後に得られた顆粒を、少なくとも1つの滑沢剤とブレンダーでブレンドする工程と、
iii)b)工程iii)a)の後に得られたブレンドを、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣医学の分野に関する。より詳細には、本発明は、治療目的のための組成物の調製に関し、組成物は、動物に投与するため、より詳細には、経口投与を改善するため、及び治療のコンプライアンスを保証するために、固形剤形に製剤化する。
【背景技術】
【0002】
経口経路は現在、医療専門家又は所有者によって動物及び通常家畜に医薬を投与するための優先経路である。実際に、非経口経路(筋肉内、皮下、皮内、及び静脈内)には多くの欠点がある。この非経口経路は動物に血腫及び脳腫を引き起こすことがあり、専門家を必要とすることが多い。したがって、医薬を投与するためのこのような非経口経路は、動物にとって好ましくなく、所有者にかなりの束縛を強いる。
【0003】
しかし、経口経路によって投与する医薬組成物又は機能性食品組成物は、必ずしも動物によって広く受け入れられるとは限らず、その受け入れは、例えば、嗜好性、食感、形状、及び大きさ等の、このような組成物の主要な特性に基づくことがよく知られている。これらのパラメーターに加えて、組成物中の有効成分の量を十分に調節すること、及び、好ましくはこのような組成物を最低コストで調製することは極めて重要である。
【0004】
市販されている経口製剤が多く存在する。このような製剤は、例えば、錠剤、丸剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、チュアブルガム又はソフトチュー、及びペレットである。しかし、固形製剤を使用される経口経路による治療は、動物に十分な治療を投与することが困難という理由で必ずしも常に適切に順守されるとは限らず、そのため治療のコンプライアンスが低下することが主に確認されている。実際に、固形組成物の動物への経口投与は、いくつかの有効成分及び賦形剤の不快な風味、並びに動物の非常に発達した嗅覚及び味覚等の理由で、困難なことが多い。したがって、動物において、経口治療を適切に順守することを困難にし、不可能にさえする主な理由は、固形組成物の嗜好性の欠如であることが認められている。
【0005】
経口経路によって投与する固形組成物の嗜好性は、動物による固形組成物の受け入れ及び自発的摂取に相当する。嗜好性は、固形組成物の異なる特性によって決まる。例えば、味は、嗜好性の改善にとって極めて重要な要因であり、多くの風味又は嗜好性材料が固形組成物に添加される。硬度、脆性、柔らかさ、弾性、色に特徴づけられる固形組成物の食感が、更に考慮されなければならない。また、固形組成物の形状及び大きさも、動物による固形組成物の受け入れを促進し得る。
【0006】
これに関連して、ソフトチューは、成形を伴う方法及び押出を伴う方法の2つの主要な方法によって開発及び製造される。
【0007】
成形を伴う方法は、材料をブレンドし柔らかい生地を成形する第1の工程を含み、次いで生地は機種Formax F6等の成形機を用いて、圧縮又は加熱せずに特異的に規定された型で成形される。このような方法は、以下の出願、Bayer名義のWO2009/06485及びWO2012/049156、生地が35~45℃の間に加熱されるIntervet名義のWO2014/079825、並びにMerial名義のWO2013/119442、によってより詳細に開示されている。しかし、成形を伴う方法は、ソフトチュー錠がより容易に取り扱い及び包装できるようにソフトチュー錠を硬化するために、室温で又は窯の中で型から取り出した後に熟成の長い工程を必要とする。
【0008】
押出を伴う方法はスクリューを必要とし、混合した材料がオリフィスを通して押し出され、ブレードによって特定の大きさに切断される。このような方法はまた、圧力及び温度の調節を必要とする。この方法は以下の出願、Novartis名義のWO2005/013714及び押出成形物が等しい断片に切断されるJurox名義のWO2008/134819でより詳細に開示されている。
【0009】
成形及び押出を伴う方法は、柔らかいチュアブル組成物を特殊な形状及び特殊な大きさにしか製造できない。実際に、押出を伴う方法では、射出量を規定する必要があり、これは必ずしも常に極めて正確にはならず、成形を伴う方法では、特定の型が必要である。更に、このような方法によって得られた柔らかいチュアブル組成物は、長い熟成工程の結果、硬化されている必要があるが、それでもそれらが取り扱い及び包装される場合には、もろいままである。別の欠点は、有効成分が均一に分散されず、これは治療の良好なコンプライアンスに適していない。
【0010】
Friulchem SPA社がソフトチューの調製方法を開発した。この方法は、国際出願WO2013/037650によって開示され、ソフトチュー「FC-CUBES」を提供する。Friulchem SPA社の方法は、乾燥成分及び液状成分を混合する工程に続いて、動物性脂肪又は植物性脂肪の気化による造粒工程を含む。次いで、顆粒を特殊なストックキューブプレス機(stock cube press)を用いて直接キャリブレーション及び圧縮して、ソフトチュー「FC-CUBES」を得る。ソフトチュー「FC-CUBES」は、脂肪や風味等の使用される嗜好性成分の割合が高いため、どちらかといえば美味である。しかし、「FC-CUBES」は、脂肪成分の割合が高いために動物の体重によって2等分又は4等分することができないことから、全部を動物に投与しなければならない。また、Friulchem SPA社の方法は、使用されるプレス機により、得られるソフトチューは特殊な形状になる。
【0011】
上記の観点から、治療のコンプライアンスを保証及び改善すると同時に、経口経路による動物への投与が意図された固形組成物の製造のための新しい方法を開発する必要がなおある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】WO2009/06485
【文献】WO2012/049156
【文献】WO2014/079825
【文献】WO2013/119442
【文献】WO2005/013714
【文献】WO2008/134819
【文献】WO2013/037650
【文献】WO2009/000843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これに関連して、本発明者らは、驚くべきことに、治療のコンプライアンスを改善する新しい経口投与剤形を得ることが可能になる固形組成物を調製するための方法を実行した。このような方法、詳細には、湿潤顆粒を室温で延ばす工程を含む方法は、通常の錠剤と柔らかいチュアブル剤の間の中間の剤形の固形組成物を提供し、この剤形を「軟質錠剤」と名付けることができる。したがって、本明細書に開示される「軟質錠剤」という用語は、錠剤プレス機を使用される本発明の方法によって得られた固形組成物を指す。
【0014】
本明細書に開示される方法によって調製された固形組成物又は「軟質錠剤」は、動物に経口投与されるいずれの有効成分にも適切であり、典型的なソフトチュー及び錠剤に比べて大きな利点を示す。より詳細には、「軟質錠剤」は少なくとも1つの有効成分を含み、典型的な柔らかいチュアブル剤に含まれる有効成分に比べて均一に分散される。「軟質錠剤」は、粘着性でもなく、ソフトチューよりも取り扱い及び包装しやすい。「軟質錠剤」は更に、典型的な錠剤のように、2等分又は4等分することができる。また、典型的な錠剤プレス機の使用の結果、考えられるいくつもの形状に製造できる利点もある。生産コストもまた、従来技術の方法と比べた場合、本発明による方法が従来の錠剤生産と同様の速さであることから、かなり減少した。したがって、本明細書に開示される方法は、精巧で高価な機器を必要とせず、典型的なソフトチュー及び錠剤の両方の利点を有する「軟質錠剤」を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも1つの有効成分、及び少なくとも1つの賦形剤を含む固形組成物を調製するための方法に関し、この方法は、
i)前記少なくとも1つの有効成分及び前記少なくとも1つの賦形剤を造粒機中で混合し、湿潤顆粒を得る工程と、
ii)得られた湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
iii)工程ii)の後に得られた顆粒を、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含む。
【0016】
第1の実施形態では、前記固形組成物は、抗生剤及びサルファ剤(sulfonamide)等の抗感染剤、強心剤、内用駆虫剤及び外用駆虫剤、殺虫剤、昆虫成長阻害剤、抗関節炎剤、ステロイド系かどうかに関わらず抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、プロスタグランジン等のホルモン剤、胃腸包帯剤及び鎮静剤、抗潰瘍剤及び代用細菌叢、下痢止め剤、肝保護剤、鎮痙剤、緩下剤、腸内殺菌剤等の消化器治療のための物質、呼吸器蘇生剤(respiratory analeptic)、鎮咳剤、気管支拡張剤、気管支及び粘液溶解流動化剤(bronchial and mucolytic fluidifier)並びに呼吸器殺菌剤等の呼吸器治療のための物質、鎮痛剤、鎮静剤及び精神安定剤、抗てんかん剤、麻酔剤、食欲促進剤、食欲減退剤等の神経系に作用する物質、インターロイキン及びインターフェロン等の免疫治療のための物質、抗有糸分裂剤及び細胞増殖阻害剤等の抗がん治療のための物質、主要栄養素、微量栄養素及び微量元素、ビタミン、植物の抽出物、動物器官からの抽出物、並びにそれらの混合物の中から選択される少なくとも1つの有効成分を含む。
【0017】
第2の実施形態では、前記固形組成物は、有効機能性食品成分又は栄養補助食品成分の中から選択される少なくとも1つの有効成分、好ましくは、植物の抽出物、動物の抽出物、代用細菌叢、主要栄養素、微量栄養素及び微量元素、並びにそれらの混合物の中から選択される少なくとも1つの有効成分を含む。
【0018】
特定の実施形態では、前記固形組成物は、嗜好性材料、保湿剤、結合剤、滑沢剤、充填剤、崩壊剤、及びそれらの混合物の中から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む。
【0019】
好ましい実施形態では、前記固形組成物は、前記固形組成物の全体の質量に対して、
- 0.01~20.00質量%の間、好ましくは1.00~10質量%の間の前記少なくとも1つの有効成分と、
- 15.00~30.00質量%の間、好ましくは約20質量%の前記少なくとも1つの嗜好性材料と、
- 15.00~35.00質量%の間、好ましくは20.00~30.00質量%の間の前記少なくとも1つの保湿剤と、
- 20.00~40.00質量%の間、好ましくは約24.50質量%の前記少なくとも1つの結合剤と、
- 0.10~10.00質量%の間、好ましくは約5.00質量%の前記少なくとも1つの滑沢剤と、
- 10.00~30.00質量%の間、好ましくは15.00~25.00質量%の間の前記少なくとも1つの充填剤と、
- 0.10~10.00質量%の間、好ましくは約4.00質量%の前記少なくとも1つの崩壊剤と
を含む。
【0020】
特定の実施形態では、前記固形組成物は、少なくとも1つの保存剤及び/若しくは少なくとも1つの抗酸化剤、並びに/又は少なくとも1つのキレート剤を更に含む。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明は
i)a)前記少なくとも1つの有効成分、前記少なくとも1つの嗜好性材料、前記少なくとも1つの結合剤、前記少なくとも1つの充填剤、前記少なくとも1つの滑沢剤、及び前記少なくとも1つの崩壊剤を造粒機中で混合する工程と、
i)b)前記少なくとも1つの保湿剤を工程i)a)のブレンドに噴霧し、混合して湿潤顆粒を得る工程と、
ii)a)工程i)b)の後に得られた湿潤顆粒を延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
ii)b)工程ii)a)の後に得られた顆粒を、振動造粒機を用いてミリングし、次いで800~2000μmのふるい、好ましくは1250μmのふるいにかける工程と、
ii)c)任意選択により、顆粒を室温で2~24時間放置する工程と、
iii)a)任意選択により、工程ii)b)又はii)c)の後に得られた顆粒を、少なくとも1つの崩壊剤及び/又は少なくとも1つの充填剤とブレンダーでブレンドする工程と、
iii)b)工程ii)b)、ii)c)、又はiii)a)の後に得られた顆粒を、少なくとも1つの滑沢剤とブレンダーでブレンドする工程と、
iii)c)工程iii)b)の後に得られたブレンドを、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続した工程を含む方法に関する。
【0022】
本発明の別の目的は、本明細書に開示される方法によって得られた固形組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の方法によって得られた4等分の「軟質錠剤」の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明はここに、少なくとも1つの有効成分及び少なくとも1つの賦形剤を含む固形組成物を調製する方法であって、
i)前記少なくとも1つの有効成分及び前記少なくとも1つの賦形剤を造粒機中で混合し、湿潤顆粒を得る工程と、
ii)湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
iii)工程ii)の後に得られた顆粒を、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含む、方法を提供する。
【0025】
本発明は、本明細書に開示される方法によって得られた固形組成物を更に提供する。
【0026】
固形組成物
本発明による方法によって得られた固形組成物は、典型的な錠剤とソフトチューの間の中間の剤形と考えることができ、「軟質錠剤」に相当する。
【0027】
このような「軟質錠剤」は、均一に分散され正確に投与される少なくとも1つの有効成分、及び少なくとも1つの賦形剤を含む。「有効成分」とは、治療効果若しくは生物学的活性、又は非治療効果も有する、医薬品、機能性食品又は栄養補助食品の成分を意味する。
【0028】
典型的なソフトチューと対照的に、「軟質錠剤」は、粘着性でなく、もろくなく、取り扱い及び包装するのに十分な硬さである。また、「軟質錠剤」は、経口投与される動物の種類、大きさ及び体重によって2等分又は4等分することができ、錠剤プレス機で使用される型によって、様々な形状になり得る。例えば、「軟質錠剤」は、使用される型によって、円形、楕円形、立方体、四角形、三角形、クローバー形、及びその他の形にもなり得る。また、「軟質錠剤」は、いくつかの大きさで得ることができる。円形では、「軟質錠剤」の直径は、5~30mm、5~25mm、5~20mm、5~15mmの間、好ましくは10~15mmの間で変動し得る。「軟質錠剤」の直径は、約14mmであることがより好ましい。本発明による「軟質錠剤」の独自の特性は、動物に適用した治療の改善された観察に関するパラメーター要因に必要な条件を満たすことが可能になる。
【0029】
典型的な錠剤と対照的に、「軟質錠剤」の硬度は、その柔らかさのために、典型的な機器では測定することができない。錠剤の硬度の数値を求める従来の方法は、通常、分析者が錠剤を繰り返しが可能な方向に整列し、錠剤を2つのジョー(jaw)で圧縮する圧縮試験である。バネ及びねじ山を用いて、錠剤が壊れ始めるまで連続的な力を与える。錠剤が破砕したとき、スライドする目盛で硬度を読み取る。しかし、本発明による軟質錠剤の場合、軟質錠剤は曲がり、力はゼロである。
【0030】
本発明の固形組成物又は「軟質錠剤」は、動物に経口投与するいずれの治療にも適し、当業者は、得ようとする生物学的効果によって、含量及び少なくとも1つの有効成分の性質を選択することができる。
【0031】
例えば、少なくとも1つの有効成分は、抗生剤及びサルファ剤等の抗感染剤、強心剤、内用駆虫剤及び外用駆虫剤、殺虫剤、昆虫成長阻害剤、抗関節炎剤、ステロイド系かどうかに関わらず抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、プロスタグランジン等のホルモン剤、胃腸包帯剤及び鎮静剤、抗潰瘍剤及び代用細菌叢、下痢止め剤、肝保護剤、鎮痙剤、緩下剤、腸内殺菌剤等の消化器治療のための物質、呼吸器蘇生剤、鎮咳剤、気管支拡張剤、気管支及び粘液溶解流動化剤並びに呼吸器殺菌剤等の呼吸器治療のための物質、鎮痛剤、鎮静剤及び精神安定剤、抗てんかん剤、麻酔剤、食欲促進剤、食欲減退剤等の神経系に作用する物質、インターロイキン及びインターフェロン等の免疫治療のための物質、抗有糸分裂剤及び細胞増殖阻害剤等の抗がん治療のための物質、主要栄養素、微量栄養素及び微量元素、ビタミン、植物の抽出物、動物器官からの抽出物、並びにそれらの混合物の中から選択される。
【0032】
少なくとも1つの有効成分は、ひどく不快な臭い及び/又は風味を有する物質であることが好ましい。これらは例えば、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIのAT-1受容体拮抗剤、強心剤、強心性血管拡張剤、血管拡張剤、利尿剤、ジギタリス剤、ベータ遮断剤、及び/又はカルシウム拮抗剤である。この方法はまた、前記医薬有効物質が湿気に対して不安定及び敏感である場合、有利である。
【0033】
アルドステロン拮抗剤の中で、スピロノラクトン及びエプレレノン、又はとりわけカンレノン、カンレノ酸、1513-0Hカンレノン、21-0Hカンレノン、カンレノ酸カリウム、7α-チオ-スピロノラクトン、7α-チオメチル-スピロノラクトン、若しくは6-β-ヒドロキシ-7-α-チオメチルスピロノラクトンを含むこれらの化合物の代謝物が挙げられる。
【0034】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤の中で、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、イミダプリル、イドラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、酢酸サララシン、テモカプリル、トランドラプリル、セラナプリル、モエキシプリル、スピラプリル、並びにとりわけ塩及びエステル等のこれらの化合物の薬学的に許容される誘導体が挙げられる。
【0035】
強心性血管拡張剤の中で、ピモベンダン又はレボシメンダンが挙げられる。
【0036】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの有効成分は、スピロノラクトン及び/又はベナゼプリル及び/又はエナラプリルである。
【0037】
本明細書に開示される固形組成物は、とりわけ国際公開WO2009/000843に記載のとおり、先天性心疾患又は後天性心疾患等の心不全を患っている非ヒト動物を治療するのに特に有用である。また、本発明の目的は、非ヒト動物における心不全の治療及び/又は予防に使用するための、本明細書に開示される固形獣医学組成物である。
【0038】
本発明の更なる目的は、非ヒト動物に本明細書に開示される固形獣医学組成物を投与することを含む、非ヒト動物における心不全を治療及び/又は予防するための方法である。
【0039】
本発明の更なる目的は、非ヒト動物における心不全の治療及び/又は予防用薬剤の製造のための、本明細書に開示される固形獣医学組成物の使用である。
【0040】
したがって、本発明による固形獣医学組成物は、例えば、約0.88~5.00mg/kg/日の間(好ましくは約2.00mg/kg/日)のスピロノラクトン及び/又はそれらの誘導体若しくは代謝物等のアルドステロン受容体拮抗剤の治療効果のある1日用量、並びに0.10~0.60mg/kg/日の間(好ましくは約0.25mg/kg/日)のベナゼプリル等のアンジオテンシン変換酵素阻害剤の用量を含むことができる。
【0041】
他の有効成分は、例えば、内部寄生虫及び/又は外部寄生虫に対する駆虫活性を有する化合物である。これらとしては、大環状ラクトン、好ましくは、イベルメクチン、エプリノメクチン、セラメクチン、モキシデクチン及びミルベマイシンオキシム等のアベルメクチン及びミルベマイシン、ベンズイミダゾール、イミダゾチアゾール、テトラヒドロピリミジン、有機リン酸エステル、ピペラジン、抗微生物剤又は好ましくはアモキシリン等の抗生剤も挙げられるが、それだけには限定されない。
【0042】
他の有効成分は、胃酸の分泌を減少させることをねらいとするオメプラゾール等の有機硫黄化合物から選択され得る。
【0043】
更に好ましい実施形態では、本発明による固体獣医学組成物は、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、ミルベマイシンオキシム及びプラジカンテルの両方、プラジカンテル、ルフェヌロン、イベルメクチン、イベルメクチン及びピランテルの両方、ルフェヌロン、レバミゾール、ドキシサイクリン又はイヌ鎮静フェロモンを含む。
【0044】
本発明の「軟質錠剤」は更に、動物福祉を改善するためのいずれの経口治療にも適している。これに関連して、「軟質錠剤」は、有効機能性食品成分及び栄養補助食品成分の中から選択される少なくとも1つの有効成分を含む。詳細には、有効機能性食品成分又は栄養補助食品成分は、コンドロイチン硫酸、キトサン及びその誘導体S-アデノシルメチオニン(SAMe)等の抗関節炎作用のための抽出物、発酵ダイズ抽出物等の抗潰瘍作用及び/又は抗ストレス作用のための抽出物、除虫菊等の殺虫作用又は防虫作用のための抽出物、ビタミンC、ビタミンD3等のビタミン、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等の代用細菌叢、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株によってもたらされるセレニウム等の微量栄養素、例えばAdaptil等鎮静フェロモン等の鎮静効果のための抽出物の中から選択される。有効機能性食品成分又は栄養補助食品成分は、植物の抽出物、動物の抽出物、代用細菌叢、主要栄養素、微量栄養素及び微量元素、並びにそれらの混合物の中から選択されることが好ましい。
【0045】
本発明の固形組成物又は「軟質錠剤」は、少なくとも1つの賦形剤、及び、とりわけ「軟質錠剤」の所望の特性をもたらす特定の賦形剤の混合物を更に含む。少なくとも1つの賦形剤は、嗜好性材料、保湿剤、結合剤、滑沢剤、充填剤、崩壊剤、及びそれらの混合物の中から選択され得る。
【0046】
嗜好性材料によって、軟質錠剤に風味及び匂いがもたらされ、したがって軟質錠剤は動物によってより受け入れられ、それによってコンプライアンスを改善することが可能になる。嗜好性材料は、甘くてもよく、及び/又は肉成分、又はあらゆる天然物質、又はネイチャーアイデンティカル香味物質若しくは人工香味物質に由来していてもよい。嗜好性材料はまた、精油、テルペン誘導体(メントール)、フラネオール等の風味、グルタミン酸ナトリウム等のテストエンハンサー、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、マルトール等の甘味料、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、マンニトール、及びラクチトール等のポリオールも含む。好ましい実施形態では、「軟質錠剤」は、肉、肉粉末、魚粉、チーズ粉末、乳派生物、レバー粉末、これらの動物物質の抽出物又はそれらの誘導体、酵母、ビール酵母等の酵母抽出物、植物性繊維、野菜製品及び麦芽抽出物等の野菜副製品、コロハ、リンゴ、ニンジン、飼料用ビート、テンサイ、タイム、アルファルファ、サトウキビ、オートムギ、コムギ、コメ、トウモロコシ、ダイズ等の穀類、小麦粉等のそれらの誘導体及びそれらの混合物、結晶化砂糖、粉砂糖、グルコース、転化糖、糖蜜、カラメル、蜂蜜及びその誘導体、塩化ナトリウム、並びにそれらの混合物の中から選択される少なくとも1つの嗜好性材料を含むが、それだけには限定されない。好ましい実施形態では、嗜好性材料は、ブタレバー粉末、チキンレバー風味、チキン風味、酵母抽出物、麦芽抽出物、及びそれらの混合物である。
【0047】
保湿剤、結合剤、滑沢剤、充填剤、及び崩壊剤によって、良質な破砕性に適した硬化、良質な取り扱い及び包装に適したもろさ、並びにいくつもの形状に製造される柔らかい形態等の「軟質錠剤」の特異的な物理的特性がもたらされる。
【0048】
好ましい形態では、保湿剤は、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、及びダイズ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ラッカセイ油、ナタネ油、ヒマワリ油、ヤシ油、ココナツ油、ピーナッツ油、魚油等の液体油、並びにそれらの混合物の中から選択される。
【0049】
更に好ましい実施形態では、結合剤は、ポリビニルアルコールポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、その塩及び誘導体、アルギン酸及びその塩、ゼイン、ペクチン、アラビアゴム、アカシアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、キサンタンゴム、グアーゴム、カラギーナン、ゼラチン、プルランポリマー、寒天ポリマー、デンプン及びそれらの誘導体、カルボマー、ポリアルケニルエーテルと架橋したアクリル酸、ポリカルボフィル、並びにそれらの混合物の中から選択される。より好ましい実施形態では、結合剤は、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、キサンタンゴム、グアーゴム、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0050】
更に好ましい実施形態では、滑沢剤は、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、植物油、水素化グリセリルパルミトステアレート、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの混合物、好ましくはポリエチレングリコール6000、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0051】
更に好ましい実施形態では、充填剤は、マルトデキストリン、シクロデキストリン、ラクトース、タルク、シリカ、シリケート、ホスフェート、セルロース、セルロース粉末、微結晶性セルロース、クロスカルメロース、マイカ、炭酸塩、糖(ポリサッカライド)、及びそれらの混合物の中から選択される。より好ましい実施形態では、充填剤は、セルロース、微結晶性セルロース、ラクトース、糖、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0052】
更に好ましい実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロース、クロスポビドン、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム及びそれらの混合物である。
【0053】
本発明の固形組成物又は「軟質錠剤」は、上記のような賦形剤の他にも賦形剤を更に含み得る。例えば、「軟質錠剤」は、少なくとも1つの保存剤、少なくとも1つの抗酸化剤、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの着色剤、及び/又は少なくとも1つのpH調節剤を更に含み得る。
【0054】
好ましい実施形態では、保存剤は、パラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0055】
更に好ましい実施形態では、抗酸化剤は、アスコルビン酸、その塩及び誘導体、メタ重亜硫酸ナトリウム又はメタ重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸及び没食子酸プロピル等のその誘導体、並びにそれらの混合物の中から選択される。
【0056】
更に好ましい実施形態では、キレート剤は、EDTA及びその塩、酒石酸及びその塩、並びにそれらの混合物の中から選択される。
【0057】
更に好ましい実施形態では、少なくとも1つの着色剤は、酸化鉄、酸化チタン、クルクミン、カラメル、カロチン、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0058】
更に好ましい実施形態では、pH調節剤は、クエン酸、その塩及び誘導体、炭酸ナトリウム、デルタグルコノラクトン、並びにそれらの混合物の中から選択される。
【0059】
上記のように、賦形剤はいくつかの機能を有し得ることが理解されると予想される。例えば、ポリエチレングリコールは保湿剤及び滑沢剤の両方であってもよく、糖は嗜好性材料及び充填剤の両方であってもよく、クロスカルメロースは充填剤及び崩壊剤の両方であっても良い、等である。
【0060】
より好ましい実施形態では、「軟質錠剤」は、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、ミルベマイシンオキシム及びプラジカンテルの両方、プラジカンテル、ルフェヌロン、イベルメクチン、イベルメクチン及びパモ酸ピランテルの両方、ルフェヌロン、レバミゾール、ドキシサイクリン又はイヌ鎮静フェロモン、ブタレバー粉末、チキンレバー風味、チキン風味及び酵母の中から選択される嗜好性材料、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ダイズ油、及びピーナッツ油の中から選択される保湿剤、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、キサンタンゴム、及びグアーゴムの中から選択される結合剤、ポリエチレングリコール6000、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸の中から選択される滑沢剤、糖、セルロース、及びラクトースの中から選択される充填剤、並びに崩壊剤としてクロスカルメロースを含む。
【0061】
更により好ましい実施形態では、固形組成物又は「軟質錠剤」は、固形組成物の全体の質量に対して、0.01~20.00質量%の間、好ましくは1.00~10.00質量%の間の前記少なくとも1つの有効成分と、15.00~30.00質量%の間、好ましくは約20.00質量%の前記少なくとも1つの嗜好性材料と、15.00~35.00質量%の間、好ましくは20.00~30.00質量%の間の前記少なくとも1つの保湿剤と、20.00~40.00質量%の間、好ましくは約24.50質量%の前記少なくとも1つの結合剤と、0.10~10.00質量%の間、好ましくは約5.00質量%の前記少なくとも1つの滑沢剤と、10.00~30.00質量%の間、好ましくは15.00~25.00質量%の間の前記少なくとも1つの充填剤と、並びに0.10~10.00質量%の間、好ましくは約4.0質量%の前記少なくとも1つの崩壊剤とを含む。
【0062】
本明細書では、「約」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈である程度変化する。それが使用される状況で、当業者にとって明確でない用語の使用があった場合、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス20%まで、好ましくはプラス又はマイナス10%を意味するものである。
【0063】
本明細書では、「動物」は、カナリヤ、フィンチ、ラブバード、シロハラインコ及びコカトゥー等の鳥類、並びに、例えばイヌ、キツネ、コヨーテ、及びオオカミ等のイヌ科動物、例えばネコ、ライオン、及びヒョウ等のネコ科動物、例えばウシ及び乳牛等のウシ科動物、例えばウマ等のウマ科動物、例えばラクダ等のラクダ科動物等の非ヒト哺乳動物を含むが、それだけには限定されない。特定の実施形態では、動物はコンパニオンアニマル、好ましくはイヌ又はネコ、好ましくはイヌである。
【0064】
方法
本明細書に開示される固形組成物又は「軟質錠剤」の調製方法は、i)造粒工程と、ii)顆粒を放置する工程と、iii)圧縮工程と、及びiv)収集する工程とを含む。より詳細には、この方法は、
i)前記少なくとも1つの有効成分及び前記少なくとも1つの賦形剤を造粒機中で混合し、湿潤顆粒を得る工程と、
ii)得られた湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
iii)工程ii)の後に得られた顆粒を、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含む。
【0065】
好ましい実施形態では、造粒工程i)を2回行い、前記少なくとも1つの有効成分、前記少なくとも1つの嗜好性材料、前記少なくとも1つの結合剤、前記少なくとも1つの充填剤、前記少なくとも1つの滑沢剤、前記少なくとも1つの崩壊剤を含む粉末成分を造粒機中で最初に混合する第1の工程i)a)と、油性保湿剤を含む前記少なくとも1つの保湿剤を工程i)a)のブレンドに噴霧し、次いで混合し湿潤顆粒を得る第2の工程i)b)とを含む。
【0066】
任意選択により、粉末成分は造粒工程前にふるいにかけてもよい。
【0067】
少なくとも1つの有効成分は、粉末として、顆粒若しくは被覆した顆粒として添加してもよく、マルトデキストリン若しくはシクロデキストリンと組み合わせてもよく、又は液状であってもよい。
【0068】
湿潤顆粒をトレー上に延ばし、例えば15~25℃の間の室温で2~24時間放置する又は待つことからなる、放置する工程ii)により、液体成分が顆粒に吸収され、それによってこのような方法によって得られた「軟質」錠剤の特異的な物理的特性をもたらすことが可能になる。温度はどのような場合でも、非常に粘着性なペーストが生成されるのを防ぐために、25~30℃を超えるべきではない。工程i)、iii)を含む方法の実行に続いて、すなわち、工程ii)の実行をしないで形作る工程により、典型的なソフトチューが自動的に成形され、典型的なソフトチューは、本発明の「軟質錠剤」に比べてより柔らかく、よりもろく、及び有効成分が正確に分散されない。
【0069】
本発明に関連して、「トレー」という用語の意味には、湿潤顆粒を室温で放置することが可能なあらゆる道具も含まれるが、それだけには限定されない。例えば、湿潤顆粒は、室温で、実験台、テーブル、箱、又は皿の上に放置することが可能である。
【0070】
好ましい実施形態では、放置する工程ii)の後の顆粒を、振動造粒機を用いてミリングし、次いで好ましくは800~2000μmのふるい、好ましくは1250μmのふるいにかける(工程ii)b))。任意選択により、顆粒を次いで室温で2~24時間放置する(工程ii)c))。
【0071】
圧縮工程iii)は、典型的な錠剤プレス機、すなわち、特に医薬の分野又は獣医学の分野における典型的な工具を用いて行う。実際に、工程ii)又は工程ii)b)又はii)c)の後に得られた顆粒は、現在従来の錠剤の製造に用いられているプレス機中で使用されるためにかなり硬化及び固形化している。したがって、圧縮工程は、顆粒を圧縮するための特定の機械を必要とせず、それは規模拡大及び経済的な方法には非常に重要なことである。本発明の「軟質錠剤」の形状は、圧縮工程で用いられる型によって決まり、2等分又は4等分における破砕性は、用いられる穿孔機によって決まる。
【0072】
任意選択により、方法は、圧縮工程の前に、顆粒を少なくとも1つの崩壊剤及び/又は少なくとも1つの充填剤とブレンダーでブレンドする工程iii)a)を含む。特定の実施形態では、方法は、顆粒を少なくとも1つの滑沢剤とブレンダーでブレンドする工程iii)b)を更に含む。
【0073】
したがって、本発明のより好ましい実施形態は、
i)a)前記少なくとも1つの有効成分、前記少なくとも1つの嗜好性材料、前記少なくとも1つの結合剤、前記少なくとも1つの充填剤、前記少なくとも1つの滑沢剤、及び前記少なくとも1つの崩壊剤を造粒機中で混合する工程と、
i)b)前記少なくとも1つの保湿剤を工程i)a)のブレンドに噴霧し、混合して湿潤顆粒を得る工程と、
ii)a)工程i)b)の後に得られた湿潤顆粒をトレー上に延ばし、15~25℃の間で2~24時間放置する工程と、
ii)b)工程ii)a)の後に得られた顆粒を、振動造粒機を用いてミリングし、次いで好ましくは800~2000μmのふるい、好ましくは1250μmのふるいにかける工程と、
ii)c)任意選択により、顆粒を室温で2~24時間放置する工程と、
iii)a)任意選択により、工程ii)b)又は工程ii)c)の後に得られた顆粒を、少なくとも1つの崩壊剤及び/又は少なくとも1つの充填剤とブレンダーでブレンドする工程と、
iii)b)工程ii)b)、ii)c)、又はiii)a)の後に得られた顆粒を、少なくとも1つの滑沢剤とブレンダーでブレンドする工程と、
iii)c)工程iii)b)の後に得られたブレンドを、錠剤プレス機を用いて圧縮する工程と、
iv)固形組成物を収集する工程と
の連続する工程を含む方法である。
【0074】
詳細には、放置する工程ii)の後、及び任意選択により800~2000μmのふるいに通して振動造粒機を用いてミリングする工程ii)b)の後、及び任意選択により放置する工程ii)c)の後に得られた顆粒は、
- 0.01~20.00質量%の間の範囲、好ましくは1.00~10.00質量%の間の範囲の前記少なくとも1つの有効成分と、
- 15.00~30.00質量%の間の範囲、好ましくは約20.00質量%の前記少なくとも1つの嗜好性材料と、
- 15.00~35.00質量%の間の範囲、好ましくは20.00~35.00質量%の間の範囲の前記少なくとも1つの保湿剤と、
- 20.00~40.00質量%の間の範囲、好ましくは約24.50質量%の前記少なくとも1つの結合剤と、
- 0.01~10.00質量%の間の範囲、好ましくは0.10~5.00質量%の間の範囲の前記少なくとも1つの滑沢剤と、
- 0.10~20.00質量%の間の範囲の前記少なくとも1つの充填剤と、
- 0.10~10.00質量%の間の範囲、好ましくは約4.00質量%の前記少なくとも1つの崩壊剤と
を顆粒の全体の質量に対して含む。
【0075】
詳細には、固形組成物又は「軟質錠剤」は、固形組成物の全体の質量に対して、
- 83.50~99.98質量%の間の範囲、好ましくは約90.75質量%の放置する工程ii)、並びに任意選択によりミリングする工程ii)b)及びii)c)の後に得られた顆粒と、
- 0.01~15.00質量%の間の範囲、好ましくは約7.50質量%の前記少なくとも1つの充填剤、好ましくはセルロース、ラクトース、糖、クロスカルメロース、及びそれらの混合物と、
- 0.01~2.50質量%の間の範囲、好ましくは約1.75質量%の前記滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物と
を含む。
【0076】
より詳細には、固形組成物又は「軟質錠剤」は、固形組成物の全体の質量に対して、
- 0.01~20.00質量%の間、好ましくは1.00~10.00質量%の間の前記少なくとも1つの有効成分と、
- 15.00~30.00質量%の間、好ましくは約20.00質量%の前記少なくとも1つの嗜好性材料と、
- 15.00~35.00質量%の間、好ましくは20.00~30.00質量%の間の前記少なくとも1つの保湿剤と、
- 20.00~40.00質量%の間、好ましくは約24.50質量%の前記少なくとも1つの結合剤と、
- 0.10~10.00質量%の間、好ましくは約5.00質量%の前記少なくとも1つの滑沢剤と、
- 10.00~30.00質量%の間、好ましくは15.00~25.00質量%の間の前記少なくとも1つの充填剤と、
- 0.10~10.00質量%の間、好ましくは約4.00質量%の前記少なくとも1つの崩壊剤と
を含む。
【0077】
本発明の更なる態様及び利点を以下の実験項で開示する。以下の実施例は、本発明を説明し、非限定的な例示として示す。
【実施例
【0078】
(実施例1)
(ドキシサイクリン)を含む軟質錠剤を製造する方法
造粒機中で、全ての粉末成分を、以下に規定する量で混合する。
【0079】
【表1】
【0080】
次いで、保湿剤(予め混合したソルビトール30.21g及びグリセリン26.47g)、続いて油性保湿剤のダイズ油(20.24g)をブレンドに噴霧する。得られた物質を混合し、湿潤顆粒を生成する。
【0081】
湿潤顆粒を次いでトレー上に延ばし、約20℃の温度で24時間放置する。
【0082】
次いで顆粒を1250μmのふるいに通し、振動造粒機を用いてミリングする。
【0083】
顆粒を延ばし、室温で6時間おいた。
【0084】
得られた顆粒を最初に17.27gの微結晶性セルロースとブレンダーでブレンドし、続いて6.80gのステアリン酸、及び1.36gのステアリン酸マグネシウムを添加した。
【0085】
顆粒を次いで錠剤プレス機で圧縮して、軟質錠剤と呼ばれる錠剤にした。
【0086】
340mg及び1530mgの錠剤を生成した。20mgのドキシサイクリンを含有する340mgの軟質錠剤は、12.7mmの穿孔サイズを有する長方形であり、一方で90mgのドキシサイクリンを含有する1530mgの軟質錠剤は、16mmの穿孔サイズを有する円形であった。
【0087】
得られた錠剤組成物は以下の成分を含有する。
【0088】
【表2】
【0089】
更に、実施例1で生成した錠剤は、測定できる硬度を有していない。硬度は、錠剤を壊すのに必要な力である(Kgで表される)。本実施例によるこれらの軟質錠剤の硬度は、圧力をかけることで錠剤が曲がるので、測定することはできない。
【0090】
もろさは、従来のタンブラー試験の間の機械的な作用に起因する錠剤の質量減少%と定義される。20錠の錠剤をタンブラーの中に置き、装置の中で回転毎に錠剤を6インチ落下させると同時に、回転を与え、衝撃を繰り返した。この処理の4分後(100回転)、錠剤の質量を量り、この質量と初期質量を比較した。質量が変わっていなかったことから、測定したもろさはであった。
【0091】
本発明により生成した錠剤に、薬局方0478 2.9.5に準拠して2等分及び4等分の割線を入れることができた。
【0092】
(実施例2)
ミルベマイシン及びプラジカンテルを含む軟質錠剤組成物
造粒機中で、全ての粉末成分を、以下に規定する量で混合する。
【0093】
【表3】
【0094】
次いで、保湿剤(予め混合したソルビトール30.21g及びグリセリン24.91g)、続いて油性保湿剤のダイズ油(20.24g)をブレンドに噴霧する。得られた物質を混合し、湿潤顆粒を生成する。
【0095】
湿潤顆粒を次いでトレー上に延ばし、約20℃の温度で24時間放置する。
【0096】
次いで顆粒を1250μmのふるいに通し、振動造粒機を用いてミリングする。
【0097】
顆粒を延ばし、室温で6時間おいた。
【0098】
得られた顆粒を最初に20.40gの微結晶性セルロースとブレンダーでブレンドし、続いて6.80gのステアリン酸、及び1.36gのステアリン酸マグネシウムを添加した。
【0099】
顆粒を次いで錠剤プレス機で圧縮して、錠剤にした。
【0100】
4mgのミルベマイシン及び16mgのプラジカンテルを含有する340mgの錠剤を生成した。これらの錠剤は、12.7mmの穿孔サイズを有する長方形であった。
【0101】
得られた錠剤組成物は以下の成分を含有する。
【0102】
【表4】
図1