(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】造血幹細胞および前駆細胞の増幅のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240104BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240104BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240104BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240104BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240104BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240104BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240104BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240104BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240104BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240104BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240104BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240104BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240104BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240104BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240104BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240104BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240104BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20240104BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240104BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240104BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240104BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20240104BHJP
【FI】
C12N5/10
A61K35/28
A61P7/00
A61P3/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P37/04
A61P19/08
A61P37/02
A61P19/02
A61P25/00
A61P29/00
A61P7/06
A61P9/00
A61P11/00
A61P3/10
A61P31/18
A61P17/14
A61P17/06
A61P27/16
A61P1/16
A61P13/12
A61P1/04
A61P25/16
A61P25/28
A61P29/00 101
A61P25/14
A61P25/08
A61P25/24
A61P15/00
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
C12N15/12
C12N15/09 100
C12N15/09 110
C12N15/86 Z
C12N5/0789
(21)【出願番号】P 2020544356
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 US2018058553
(87)【国際公開番号】W WO2019089826
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-29
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523367048
【氏名又は名称】エディジーン バイオテクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ボイタノ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エイ ゴンカルブス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クック
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0024474(US,A1)
【文献】特表2020-516639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00-28
C12N 15/00-90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む増幅された集団をex vivoで作製する方法であって、前記方法は、
(a)複数の造血幹細胞または前駆細胞における内因性遺伝子を破壊し、それにより遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を作製するステップ;および
(b)前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を、増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させるステップ
を含み、
前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、
化合物(26):
【化1】
またはその塩である、方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)は、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記造血幹細胞または前駆細胞における内因性核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヌクレアーゼはCRISPR関連タンパク質である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヌクレアーゼはカスパーゼ9である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヌクレアーゼは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記導入するステップは、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記ポリヌクレオチドを含むベクターと接触させることを含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記ベクターはウイルスベクターである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルスベクターは、アデノウイルス(Ad)、レトロウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群から選択される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記レトロウイルスは、レンチウイルスまたはγレトロウイルスである、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記ベクターは転移因子である、請求項
7に記載の方法。
【請求項12】
前記転移因子は、ピギーバックトランスポゾンまたはスリーピングビューティートランスポゾンである、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
患者の障害の処置に使用するための組成物であって、
請求項1~12のいずれかに記載の方法に従って調製された、造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫を含む、組成物。
【請求項14】
患者の障害を処置するための医薬品の調製における、
請求項1~12のいずれかに記載の方法に従って調製された、造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫を含む組成物の使用。
【請求項15】
前記患者はヒトである、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項16】
前記障害はヘモグロビン症障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項17】
前記ヘモグロビン症障害は、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、およびウィスコット・アルドリッチ症候群からなる群から選択される、請求項
16に記載の組成物または使用。
【請求項18】
前記障害は免疫不全障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項19】
前記免疫不全障害は先天性免疫不全である、請求項
18に記載の組成物または使用。
【請求項20】
前記免疫不全障害は後天性免疫不全である、請求項
18に記載の組成物または使用。
【請求項21】
前記後天性免疫不全は、ヒト免疫不全ウイルス性または後天性免疫不全症候群である、請求項
20に記載の組成物または使用。
【請求項22】
前記障害は代謝障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項23】
前記代謝障害は、糖原蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴリピドーシス、および異染性白質ジストロフィーからなる群から選択される、請求項
22に記載の組成物または使用。
【請求項24】
前記障害は癌である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項25】
前記癌は血液癌である、請求項
24に記載の組成物または使用。
【請求項26】
前記癌は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、および神経芽細胞腫からなる群から選択される、請求項
24に記載の組成物または使用。
【請求項27】
前記癌は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、請求項
24に記載の組成物または使用。
【請求項28】
前記障害は、アデノシンデアミナーゼ欠損症および重症複合免疫不全、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック・東病、遺伝性リンパ組織球増殖症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵病、サラセミアメジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、および若年性関節リウマチからなる群から選択される障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項29】
前記障害は自己免疫障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項30】
前記自己免疫障害は、多発性硬化症、ヒト全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、処置中の乾癬(treating psoriasis)、I型糖尿病、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアックスプルー・疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、クレスト症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経失調症、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症・線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性および/または急性型血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病、重症筋無力症、神経性筋強直症、オプソクローヌス・ミオクローヌス運動失調、視神経炎、オード甲状腺炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発性動脈炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛、およびウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、請求項
29に記載の組成物または使用。
【請求項31】
前記障害は神経障害である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項32】
前記神経障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、アミロイドーシス、AIDS関連認知症、脳炎、脳卒中、頭部外傷、てんかん、気分障害、および認知症からなる群から選択される、請求項
31に記載の組成物または使用。
【請求項33】
前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に関して自己である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項34】
前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に関して同種である、請求項
13に記載の組成物または請求項
14に記載の使用。
【請求項35】
前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に関してHLA適合である、請求項
34に記載の組成物または使用。
【請求項36】
前記造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫は、前記造血幹細胞または前駆細胞の前記患者への注入から2日以上経過した後、造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを維持する、
請求項13~35のいずれかに記載の組成物または使用。
【請求項37】
前記造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫は、前記造血幹細胞または前駆細胞の前記患者への注入後、造血組織に局在し、かつ/または血球新生を再確立する、請求項
13~36のいずれかに記載の組成物または使用。
【請求項38】
前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に注入されると、巨核球、栓球(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、およびBリンパ球からなる群から選択される細胞集団の回復を引き起こす、
請求項13~37のいずれかに記載の組成物または使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年10月31日に提出された米国出願番号62/579,803、2017年12月8日に提出された米国出願番号62/596,676、2018年1月3日に提出された米国出願番号62/613,383、2018年2月2日に提出された米国出願番号62/625,917、2018年2月23日に提出された米国出願番号2018年2月、62/634,638、および2018年10月17日に提出された米国出願番号62/747,068の優先権および利益を主張し、それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、例えばアリール炭化水素受容体アンタゴニストを用いたex vivoでの処置による、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を発現するように遺伝子改変された造血幹細胞および前駆細胞などの造血幹細胞および前駆細胞の増幅に有用な組成物および方法、ならびに様々な関連する病状を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療技術の進歩にもかかわらず、とりわけ、特定の血液細胞の疾患、代謝障害、癌、および自己免疫状態などの造血系の病状を処置する必要性が残っている。造血幹細胞には大きな治療の可能性があるが、臨床でのそれらの使用を妨げている制約は、造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを維持しながら、移植に十分な量を達成するための造血幹細胞の集団の増幅に関連する困難であった。現在、造血幹細胞および前駆細胞の増幅をもたらすための組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、例えば、目的の遺伝子を破壊するか、または目的の遺伝子の発現を増強するように遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞などの造血幹細胞または前駆細胞の集団を増幅するための組成物および方法が提供される。
【0005】
第一の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む増幅された集団をex vivoで作製する方法であって、
(a)複数の造血幹細胞または前駆細胞における内因性遺伝子を破壊し、それにより遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を作製するステップ;および
(b)前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を、増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニスト(造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを維持しながら、前記集団中の造血幹細胞または前駆細胞の量を、例えば1.1倍~約1,000倍、約1.1倍~約5,000倍、またはそれ以上(例えば、約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、7倍、7.1倍、7.2倍、7.3倍、7.4倍、7.5倍、7.6倍、7.7倍、7.8倍、7.9倍、8倍、8.1倍、8.2倍、8.3倍、8.4倍、8.5倍、8.6倍、8.7倍、8.8倍、8.9倍、9倍、9.1倍、9.2倍、9.3倍、9.4倍、9.5倍、9.6倍、9.7倍、9.8倍、9.9倍、10倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1,000倍、またはそれ以上)増加させるのに十分な量のアリール炭化水素受容体アンタゴニスト)と接触させるステップ
を含む、方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、細胞周期を誘導するのに十分な期間、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、少なくとも約1日間、好ましくは少なくとも約2日間、好ましくは少なくとも約3日間、好ましくは少なくとも約4日間、好ましくは少なくとも約5日間、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0009】
別の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団をex vivoで増幅する方法であって、前記細胞は内因性遺伝子を破壊するように以前に遺伝子改変されていて、前記方法は、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団を増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させるステップを含む、方法が提供される。
【0010】
さらに別の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団を作製する方法であって、前記細胞は以前に、前記集団を増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることによってex vivoで増幅されていて、前記方法は、前記増幅された造血幹細胞または前駆細胞の集団における内因性遺伝子を破壊するステップを含む、方法が提供される。
【0011】
別の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の増幅された集団をex vivoで作製する方法であって、
(a)複数の造血幹細胞または前駆細胞にポリヌクレオチドを導入し、それにより前記ポリヌクレオチドを発現する遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を作製するステップ;および
(b)前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞を含む集団を、増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニスト(造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを維持しながら、前記集団中の造血幹細胞または前駆細胞の量を、例えば1.1倍~約1,000倍、約1.1倍~約5,000倍、またはそれ以上(例えば、約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、7倍、7.1倍、7.2倍、7.3倍、7.4倍、7.5倍、7.6倍、7.7倍、7.8倍、7.9倍、8倍、8.1倍、8.2倍、8.3倍、8.4倍、8.5倍、8.6倍、8.7倍、8.8倍、8.9倍、9倍、9.1倍、9.2倍、9.3倍、9.4倍、9.5倍、9.6倍、9.7倍、9.8倍、9.9倍、10倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1,000倍、またはそれ以上)増加させるのに十分な量のアリール炭化水素受容体アンタゴニスト)と接触させるステップを
を含む、方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、細胞周期を誘導するのに十分な期間、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)の前に、前記複数の造血幹細胞または前駆細胞を、少なくとも約1日間、好ましくは少なくとも約2日間、好ましくは少なくとも約3日間、好ましくは少なくとも約4日間、好ましくは少なくとも約5日間、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させる。
【0015】
別の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団をex vivoで増幅する方法であって、前記細胞は以前に、前記細胞にポリヌクレオチドを導入することによって遺伝子改変されていて、前記方法は、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団を、増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させるステップを含む、方法が提供される。
【0016】
さらに別の態様では、遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団を作製する方法であって、前記細胞は以前に、前記集団を増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることによってex vivoで増幅されていて、前記方法は、前記増幅された造血幹細胞または前駆細胞の集団にポリヌクレオチドを導入するステップを含む、方法が提供される。
【0017】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団は、遺伝子改変されていない造血幹細胞または前駆細胞をさらに含む。
【0018】
前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞は、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストとの最初の接触時に前記集団中に存在する遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の相対量に比例する速度で増幅され得る。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞と、前記遺伝子改変されていない造血幹細胞または前駆細胞とは、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストとの最初の接触時に前記集団中に存在する遺伝子改変されていない造血幹細胞または前駆細胞に対する遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の比率に比例する相対速度で増幅され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変されていない造血幹細胞または前駆細胞は、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストによる増幅について、前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞をアウトコンピート(out-compete)しない。
【0020】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変された前記造血幹細胞または前駆細胞は、遺伝子改変されていない前記造血幹細胞または前駆細胞よりも急速に増幅される。
【0021】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団を患者に移植すると、前記患者から単離されたサンプル(骨髄または末梢血のサンプルなど)における造血幹細胞の総量に対する遺伝子改変された前記造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫の比率は、前記細胞の前記患者への投与時に前記集団中に存在する造血幹細胞または前駆細胞の総量に対する遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の比率の少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)である。
【0022】
いくつかの実施形態では、内因性遺伝子を破壊するように遺伝子改変された前記造血幹細胞または前駆細胞の集団は、前記破壊ステップおよび/または前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストによる初期処置後、前記遺伝子の破壊を少なくとも2日間(例:約2日間~約30日間、例えば、約2日間~約25日間、約2日間~約20日間、約2日間~約16日間、約3日間~約20日間、約3日間~約18日間、約4日間~約20日間、約4日間~約18日間、約5日間~約20日間、約5日間~約18日間、約10日間~約20日間、約12日間~約18日間、約14日間~約18日間、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、16日間、18日間、20日間、25日間、またはそれ以上)維持する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドを発現するように遺伝子改変された前記造血幹細胞または前駆細胞の集団は、前記導入ステップおよび/または前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストによる初期処置後、少なくとも2日間(例:約2日間~約30日間、例えば、約2日間~約25日間、約2日間~約20日間、約2日間~約16日間、約3日間~約20日間、約3日間~約18日間、約4日間~約20日間、約4日間~約18日間、約5日間~約20日間、約5日間~約18日間、約10日間~約20日間、約12日間~約18日間、約14日間~約18日間、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、16日間、18日間、20日間、25日間、またはそれ以上)前記ポリペプチドの発現を示し続ける。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の集団は、前記アリール炭化水素受容体アゴニストで処置されていない造血幹細胞または前駆細胞の集団と比較して、より高い生着ポテンシャルを示す。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)は、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記造血幹細胞または前駆細胞における内因性核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記ヌクレアーゼは、カスパーゼ9などのCRISPR関連タンパク質である。前記ヌクレアーゼは、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼであり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記ステップ(a)は、前記造血幹細胞または前駆細胞を、発現される前記ポリヌクレオチドを含むベクターと接触させることを含む。前記ベクターは、例えば、アデノウイルス(Ad)、レトロウイルス(例えば、レトロウイルスは、γレトロウイルスまたはレンチウイルスである)、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、またはワクシニアウイルスなどのウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態では、前記ベクターは、ピギーバックトランスポゾンまたはスリーピングビューティートランスポゾンなどの転移因子である。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は増幅前に、動員されて、ヒトなどのドナーから単離される。前記動員は、例えば、動員量のプレリキサフォルなどのCXCR4アンタゴニストおよび/またはGro-β、Gro-βT、もしくはそれらの変異体などのCXCR2アゴニストで前記ドナーを処置することによって行われ得る。いくつかの実施形態では、前記Gro-β、Gro-βT、またはそれらの変異体は、これらのペプチドの脱アミド化型と比較して少なくとも約95%(例:約95%~約99.99%、約96%~約99.99%、約97%~約99.99%、約98%~約99.99%、約99%~約99.99%、約95%~約99.9%、約97%~約99.9%、約99%~約99.9%、例えば、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、またはそれ以上)の純度を有する。
【0029】
さらなる態様では、上記の態様または実施形態のいずれかの方法に従って増幅された造血幹細胞または前駆細胞の集団を作製すること、および得られた細胞を前記患者に注入することによって、患者(ヒト患者など)の幹細胞障害を処置する方法が提供される。
【0030】
別の態様では、上記の態様または実施形態のいずれかの方法に従って作製された、増幅された造血幹細胞または前駆細胞の集団を患者に注入することによって、前記患者(ヒト患者など)の幹細胞障害を処置する方法が提供される。
【0031】
さらに別の態様では、造血幹細胞または前駆細胞の集団を、増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させること、および得られた細胞を患者に注入することによって、前記患者(ヒト患者など)の幹細胞障害を処置する方法が提供される。
【0032】
別の態様では、造血幹細胞または前駆細胞の集団を増幅量のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることによって作製された、増幅された造血幹細胞または前駆細胞の集団を患者に注入することによって、前記患者(ヒト患者など)の幹細胞障害を処置する方法が提供される。
【0033】
別の態様では、それを必要とする患者(ヒト患者など)の障害を処置する方法であって、前記方法は増幅された造血幹細胞の集団を前記患者に投与するステップを含み、前記増幅された造血幹細胞の集団は、前記増幅された造血幹細胞の集団を生成するのに十分な時間、第1の造血幹細胞の集団をアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることによって調製される、方法が提供される。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害はヘモグロビン症障害である。前記ヘモグロビン症障害は、例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、またはウィスコット・アルドリッチ症候群であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、幹細胞障害は骨髄異形成障害である。いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、先天性免疫不全または後天性免疫不全(例えば、ヒト免疫不全ウイルス性または後天性免疫不全症候群)などの免疫不全障害である。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、糖原蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー症候群またはハーラー病、スフィンゴリピドーシス、ムコリピドーシスII型、または異染性白質ジストロフィーなどの代謝障害である。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、または神経芽細胞腫などの癌である。前記癌は、例えば、血液癌であり得る。いくつかの実施形態では、前記癌は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、アデノシンデアミナーゼ欠損症および重症複合免疫不全、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック・東病、遺伝性リンパ組織球増殖症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵病、サラセミアメジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、または若年性関節リウマチである。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、多発性硬化症、ヒト全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、処置中の乾癬(treating psoriasis)、I型糖尿病、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアックスプルー・疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、クレスト症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経失調症、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症・線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性および/または急性型血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病、重症筋無力症、神経性筋強直症、オプソクローヌス・ミオクローヌス運動失調、視神経炎、オード甲状腺炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発性動脈炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛、またはウェゲナー肉芽腫症などの自己免疫障害である。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記幹細胞障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、アミロイドーシス、AIDS関連認知症、脳炎、脳卒中、頭部外傷、てんかん、気分障害、または認知症などの神経障害である。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に関して自己である。例えば、自己造血幹細胞はドナーから除去され得、その後、該細胞を前記患者に投与(例えば、注入)して、造血系統の1つ以上の細胞型を再増殖させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に関して同種である。例えば、同種造血幹細胞は、前記患者に関してHLA適合であるドナーなどのドナー、例えば、前記患者の密接に関連する家族のメンバーから除去され得る。いくつかの実施形態では、前記同種造血幹細胞は、前記患者に関してHLA不適合である。同種造血幹細胞をドナーから回収した後、該細胞を続いて前記患者に投与(例えば、注入)して、造血系統の1つ以上の細胞型を再増殖させることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫は、前記造血幹細胞または前駆細胞の前記患者への注入から2日以上経過した後、造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを維持する。いくつかの実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫は、前記造血幹細胞または前駆細胞の前記患者への注入後、造血組織に局在し、かつ/または血球新生を再確立する。例えば、前記造血幹細胞または前駆細胞は、前記患者に注入されると、巨核球、栓球(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、およびBリンパ球からなる群から選択される細胞集団の回復を引き起し得る。
【0044】
別の態様では、ミクログリアを、それを必要とするヒト患者の中枢神経系において産生する方法であって、前記方法は増幅された造血幹細胞の集団を前記患者に投与するステップを含み、前記増幅された造血幹細胞の集団は、前記増幅された造血幹細胞の集団を生成するのに十分な時間、第1の造血幹細胞の集団をアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることによって調製され、前記増幅された造血幹細胞の集団の投与により、前記患者の前記中枢神経系においてミクログリアが形成される方法が提供される。
【0045】
別の態様では、複数の造血幹細胞または前駆細胞と添付文書とを含むキットであって、前記添付文書は、上記の態様または実施形態のいずれかの方法を実施するように使用者に指示する、キットが提供される。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、式(IV)で表される化合物であって、
【化1】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択され、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
2は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
3は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
4は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩である。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、式(V)で表される化合物であって、
【化2】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択され、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
3は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
4は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩である。
【0048】
別の態様では、本開示は、患者の障害の処置に使用するための組成物であって、上記の態様または実施形態のいずれかの方法に従って調製された、造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫を含む、組成物を特徴とする。
【0049】
別の態様では、本開示は、患者の障害を処置するための医薬品の調製における、上記の態様または実施形態のいずれかの方法に従って調製された、造血幹細胞または前駆細胞、またはそれらの子孫を含む組成物の使用を特徴とする。
【0050】
特段の定義のない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本開示の属する技術分野の当業者が共通に理解している意味と同じ意味を有する。本明細書において、文脈から明らかな場合を除き、単数形は複数形をも包含する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、以下に適切な方法および材料を記載する。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の引用文献は、参照により援用される。本明細書に引用する引用文献は、特許の請求の範囲に記載の発明の先行技術であると認めるものではない。矛盾が存在する場合には、定義を含め本明細書の記載が優先する。更に、材料、方法および実施例は例示のみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。本明細書に開示の化合物の化学構造と名称とが一致しない場合、化学構造が優先する。
【0051】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】臍帯血由来造血幹細胞のアリール炭化水素受容体(AHR)アンタゴニスト媒介性増幅の臨床的証拠を示すグラフである。特に、グラフは、増幅された造血幹細胞を移植した患者の好中球回復の発生率(n=17)を、ヒストリカルコホート(n=111)と比較して示している。好中球の回復は、3日連続で0.5×10
9/L以上の絶対好中球数として定義された。
【
図2】以下の実施例2に記載されるように、レンチウイルスベクターで形質導入されたCD34+細胞の増幅を示す一連のグラフである。動員末梢血(mPB)CD34+細胞を解凍し、GFP発現レンチウイルスで形質導入し、AHRアンタゴニストを用いて7日間増幅させた。増幅後の培養物からの細胞数とGFP陽性細胞の割合(%)とが表示されている。形質導入率はGFP陽性細胞の割合(%)として決定された。TD:非形質導入。
【
図3】以下の実施例2で説明するように、NSGマウスへの移植のためのレンチウイルス形質導入動員末梢血(mPB)CD34+細胞の増幅を示す一連の図です。動員末梢血(mPB)CD34+細胞を解凍し、形質導入し、AHRアンタゴニストで7日間増幅させた。モック形質導入またはGFPレンチウイルスベクター形質導入後に各NSGマウスに移植された細胞の絶対数を示す(
図3A~
図3C)。ビヒクル培養または増幅された細胞のフローサイトメトリープロットである(
図3Dおよび
図3E)。バルクにおける形質導入率(GFP+細胞)、およびCD34+細胞集団を示す。
【
図4】以下の実施例2に記載されるように、レンチウイルスで形質導入され、増幅されたmPB CD34+細胞の生着を示す一連のグラフである(
図4A~4C)。
図3A~3Eに示すように増幅された動員末梢血(mPB)CD34+細胞は、NSGマウスに移植され、移植後4週目に評価された。移植後4週目に該細胞を移植したNSGマウスの末梢血における、フローサイトメトリーによって決定された生着率および形質導入率を示している(
図4A~4C)。%生着率は%hCD45/%hCD45+%mCD45として測定された。編集率は%B2M-細胞として決定された。各点は1匹のマウスを表す。棒は中央値を示す。統計的有意性は、スチューデントのt検定に基づいて決定された。
【
図5】以下の実施例2に記載されるように、NSGマウスへの移植のための編集された動員末梢血(mPB)CD34+細胞の増幅を示す一連の図である(
図5A~5E)。動員末梢血(mPB)CD34+細胞を解凍し、編集し、AHRアンタゴニストで7日間増幅させた。示されているように、培養および/または編集した後、各NSGマウスに移植された細胞の絶対数が表示されている(
図5A~5C)。ビヒクル培養または増幅された細胞のフローサイトメトリープロットである(
図5Dおよび5E)。バルク、CD34+細胞、およびCD34+CD90+細胞の編集率が表示されている。各点は1匹のマウスを表す。棒は中央値を示す。統計的有意性は、スチューデントのt検定に基づいて決定された。
【
図6】以下の実施例2に記載されるように、遺伝子編集され、増幅されたmPB CD34+細胞の生着を示す一連のグラフである(
図6A~6I)。
図5A~5Eに示すように増幅された動員末梢血(mPB)CD34+細胞は、NSGマウスに移植され、移植後16週目に評価された。フローサイトメトリーによって決定された、マウス末梢血における生着率および編集率を示している(
図6A~6C)。骨髄の生着率および編集率を示している(
図6D~6F)。hCD45+骨髄(BM)細胞内のCD34+細胞の頻度と対応する編集率とを示している(
図6G~6I)。%生着率は%hCD45/%hCD45+%mCD45として測定された。編集率は%B2M-細胞として決定された。各点は1匹のマウスを表す。棒は中央値を示す。統計的有意性は、スチューデントのt検定に基づいて決定された。
【
図7】以下の実施例2に記載されるように、編集されたBM CD34+細胞の増幅およびNSGマウスへの移植を示す一連のグラフである(
図7A~7N)。BM由来のCD34+細胞を解凍し、編集し、AHRアンタゴニストを用いて7日間増幅させた。示されるように、培養および/または編集後に各NSGマウスに移植された細胞の絶対数を示す(
図7A~7C)。ビヒクル培養または増幅された細胞のフローサイトメトリープロットである(
図7Dおよび7E)。バルク、CD34+細胞、およびCD34+CD90+細胞の編集率が表示されている。移植後12週目のフローサイトメトリーによって決定された、マウス末梢血における生着率および編集率を示している(
図7F~7H)。移植後16週目のフローサイトメトリーによって決定された、マウス末梢血における生着率および編集率を示している(
図7I~7K)。は、移植後16週目のフローサイトメトリーによって決定された、マウス骨髄における生着率および編集率を示している(
図7L~7N)。%生着率は、%hCD45/%hCD45+%mCD45として測定された。編集率は%B2M-細胞として決定された。各点は1匹のマウスを表す。棒は中央値を示す。統計的有意性は、スチューデントのt検定に基づいて決定された。
【
図8】以下の実施例4に記載されるように、造血幹細胞が中枢神経系組織に移動し、NSGマウスの脳におけるミクログリア細胞として生着する能力を調査することを目的とした実験デザインを示すスキームである。
【
図9】新鮮単離された造血幹細胞、ビヒクル、またはMGTA-456でマウスを処置した際の、NSGマウスの脳における、hCD45+CD11b+細胞(
図9A)およびKu80+lba-1+細胞(
図9B)の量を示すグラフであって、造血幹細胞組成物は、アリール炭化水素受容体(AHR)アンタゴニストを使用したex vivoで臍帯血の増幅時に得られた。グラフは、群ごとにn=8の個々のマウスを観察して得られた中央値を示している。
【
図10】NGSマウスにおけるミクログリア生着の第2のフローサイトメトリー定量化が、MGTA-456によるマウス移植後に行われた、第2の独立した実験の結果を示すグラフである。アスタリスクは、新鮮単離された造血幹細胞と比較してp<0.05のp値を示す。「##」表記は、ビヒクル増幅された造血幹細胞と比較してp<0.01のp値を示す。統計は、片側2標本等分散スチューデントのt検定を使用して計算された。
【
図11】ビヒクル増幅された造血幹細胞またはMGTA-456を移植したNSGマウスの脳におけるKu80+lba1+ミクログリアの割合を示すグラフである。ビヒクル増幅された造血幹細胞またはMGTA-456を移植したマウスの脳におけるKu80+Iba1+ミクログリアの頻度は、選択されたセクションからIHCによって定量化された。Ku80+Iba1+ミクログリアの大部分は非血管周囲性である。棒グラフは、n=3マウス/群の観察時に得られた中央値を示している。
【
図12】サイトカインと、ビヒクル(DMSO、破線)またはアリール炭化水素受容体アンタゴニスト(化合物26、実線)のいずれかとの存在下における培養日数の関数としての、G0期、G1期、またはS-G2-M期にあるCD34+CD90+動員末梢血細胞の割合を示すグラフである(
図12A)。サイトカインと、ビヒクル(DMSO、破線)またはアリール炭化水素受容体アンタゴニスト(化合物26、実線)のいずれかとの存在下における培養日数の関数としての、G0期、G1期、またはS-G2-M期にあるCD34+CD90+臍帯血細胞の割合を示すグラフである(
図12B)。
【
図13】遺伝子編集試薬の存在下、およびビヒクル(DMSO)またはアリール炭化水素受容体アンタゴニスト(化合物26)の存在下で、エレクトロポレーションの前に1日、2日、3日、または4日間培養で増殖させたときの、動員末梢血(
図13A)および臍帯血(
図13B)由来の細胞における遺伝子修正率を示すグラフである。
【
図14】予備刺激(Pre-stim)の日数の様々な組み合わせおよびエレクトロポレーション後(post EP)の培養日数の様々な組み合わせについて、動員末梢血(
図14A)および臍帯血(
図14B)の修正された細胞の総数を示すグラフであって、X軸上で、数値の各ペアの最初の数値は予備刺激の日数を示し、数値の各ペアの2番目の数値はエレクトロポレーション後の培養日数を示している。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書では、例えば、内因性遺伝子(主要組織適合複合体遺伝子など)を破壊するかまたは遺伝子(治療用導入遺伝子など)を発現するように遺伝子改変された造血幹細胞および前駆細胞などの造血幹細胞および前駆細胞を増幅するための組成物および方法が提供される。現在、造血幹細胞または前駆細胞の集団を増幅するためのアリール炭化水素受容体アンタゴニストの使用は、目的の導入遺伝子の長期生着ポテンシャルと持続的発現を維持しながら、遺伝子改変され得る細胞集団を生成することが発見されている。
【0054】
骨髄(BM)、動員末梢血(mPB)または臍帯血(CB)などの様々なソースから造血幹細胞を増幅させるための組成物および方法は、生着を早めることで、患者の転帰に大きな影響を与え得、患者が早く退院することを可能にし、使用可能なCBインベントリ(inventory)の増幅を可能にし、それにより、より多くの患者がより適合性の高い移植片を受け取ることが可能になり、編集または形質導入された細胞の数を増やすことによって遺伝子治療の能力を向上させることで、遺伝子治療の結果が改善される。
【0055】
以下のセクションでは、造血幹細胞および前駆細胞の増幅および遺伝子改変を実現するために使用され得る組成物および方法について、さらに詳しく説明する。
【0056】
(定義)
本願で用いられる各種用語の定義を以下に示す。これらの定義は、特定の場合において限定されない限り、本明細書および請求項全体で使用される用語に、個別に、あるいは大きなグループの一部として適用される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「約(about)」という用語は、記載されている値の上下10%以内の値を指す。例えば、「約5nM」という用語は、4.5nM~5.5nMの範囲を示す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「保存的変異(conservative mutation)」、「保存的置換(conservative substitution)」、または「保存的アミノ酸置換(conservative amino acid substitution)」という用語は、極性、静電荷、および立体体積などの同様の物理化学的特性を示す1つ以上の異なるアミノ酸に対する1つ以上のアミノ酸の置換を指す。これらの特性は、以下の表1において、20個の天然アミノ酸のそれぞれについて要約されている。
【0059】
【0060】
この表から、保存的アミノ酸ファミリーには、例えば、(i)G、A、V、L、I、P、およびM;(ii)DおよびE;(iii)C、S、およびT;(iv)H、K、およびR;(v)NおよびQ;(vi)F、Y、およびWが含まれることが理解される。したがって、保存的変異または置換は、1つのアミノ酸で、同じアミノ酸ファミリーのメンバーを置換するものである(例えば、ThrをSerに置換、ArgをLysに置換)。
【0061】
本明細書で使用される場合、「CRU(競合的再増殖単位、competitive repopulating unit)」とは、生体内移植後に検出され得る長期生着幹細胞の測定単位を指す。
【0062】
本明細書でGro-β、Gro-βT、またはそれらの変異体の文脈で使用される場合、これらのペプチドの1つ以上の「脱アミド化型(deamidated version)」という用語は、Gro-βのアミノ酸配列の69位、Gro-βTのアミノ酸配列の65位、および変異ペプチドの同等の位置にあるC末端アスパラギン残基がアスパラギン酸残基に変換されたペプチドの形態を指す。Gro-βおよびGro-βTの脱アミド化型(それぞれGro-β N69DおよびGro-βT N65D)は、本明細書の表2に記載されている。
【0063】
遺伝子に関して本明細書で使用される場合、「破壊する(disrupt)」という用語は、機能的な遺伝子産物の形成を防止することを指す。遺伝子産物は、その正常な(野生型)機能を果たしている場合にのみ機能的である。遺伝子の破壊は、当該遺伝子によってコードされる機能的因子の発現を防ぎ、当該遺伝子および/またはプロモーターおよび/または動物の当該遺伝子の発現に必要なオペレーターによってコードされる配列における1つ以上の塩基の挿入、欠失、または置換を含む。破壊遺伝子は、例えば、動物のゲノムからの遺伝子の少なくとも一部の除去、遺伝子によってコードされる機能的因子の発現を妨げるための遺伝子の改変、干渉RNA、または外因性遺伝子によるドミナントネガティブな因子の発現によって破壊され得る。造血幹細胞/前駆細胞を遺伝子改変するための材料および方法は、米国特許第8,518,701号、米国特許公開第2010/0251395号;および米国特許公開第2012/0222143号に詳述されており、これらのそれぞれの開示は、全体として参照により本明細書に援用される(矛盾する場合、本明細書が支配する)。
【0064】
当技術分野で公知の様々な技術を使用して、遺伝子を不活性化してノックアウト動物を作製し、かつ/または核酸構築物を動物に導入して始祖動物を作製し、ノックアウトまたは核酸構築物がゲノムに組み込まれた動物系統を作製することができる。そのような技術には、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号)、生殖系列へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(Van der Putten et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:6148-6152頁, 1985年)、胚性幹細胞への遺伝子ターゲティング(Thompson et al., Cell, 56:313-321頁, 1989年)、胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol. Cell. Biol., 3:1803-1814頁, 1983年)、精子媒介遺伝子導入(Lavitrano et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:14230-14235頁, 2002年; Lavitrano et al., Reprod. Fert. Develop., 18:19-23頁, 2006年)、および卵丘または乳房細胞などの体細胞、または成体、胎児、もしくは胚性幹細胞のin vitro形質転換とその後の核移植(Wilmut et al., Nature, 385:810-813頁, 1997年;およびWakayama et al., Nature, 394:369-374頁, 1998年)が含まれるが、これらに限定されない。前核マイクロインジェクション、精子媒介遺伝子導入、体細胞核移植は特に有用な技術である。ゲノム改変された動物とは、生殖細胞を含むすべての細胞が遺伝子改変を有する動物である。その遺伝子改変においてモザイクである動物を作製する方法が使用される場合、当該動物は近交系であり得、ゲノム改変された子孫が選択され得る。その細胞が胚盤胞の状態で改変されている場合、例えば、クローン化を使用してモザイク動物を作製することができ、または、単一細胞が改変されている場合、ゲノム改変が起こり得る。性的に成熟しないように改変された動物は、使用される特定のアプローチに応じて、改変に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。特定の遺伝子がノックアウト改変によって不活性化される場合、ホモ接合性が通常必要になる。特定の遺伝子がRNA干渉またはドミナントネガティブ戦略によって不活性化されている場合、多くの場合、ヘテロ接合性で十分である。
【0065】
造血幹細胞に関して本明細書で使用される場合、「前駆細胞(progenitor)」という用語は、細胞分裂によって造血幹細胞を生じさせた親細胞またはその祖先を指す。例えば、造血幹細胞の前駆細胞は、有糸分裂生殖により造血幹細胞を生じさせた親細胞、または親細胞の祖先であり得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ドナー(donor)」という用語は、細胞またはその子孫をレシピエントに投与する前に、1つ以上の細胞が単離される哺乳動物対象(例えば、ヒト対象)などの対象を指す。当該1つ以上の細胞は、例えば、造血幹細胞または前駆細胞の集団であり得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「内因性(endogenous)」という用語は、ヒト患者などの特定の生物に自然に見られる分子、細胞、組織、または器官などの物質(例えば、造血幹細胞、または巨核球、栓球、血小板、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、もしくはBリンパ球などの造血系統の細胞)を表す。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「生着ポテンシャル」は、造血幹細胞および前駆細胞の組織を再構築する能力を指すために使用され、そのような細胞が天然に循環しているかまたは移植によって供給されたかにかかわらない。この用語は、細胞の組織ホーミングおよび目的の組織内の細胞のコロニー形成などの、生着を取り巻くまたは生着に至るまでの全ての事象を包含する。生着効率または生着速度は、当業者に知られている任意の臨床的に許容されるパラメーターを用いて評価または定量化することができ、例えば、競合的再構築単位(CRU)の評価;幹細胞がホーミング、コロニー形成、もしくは生着した組織(単数または複数)へのマーカーの組み込みもしくは発現を含むことができる;または、疾患の進行、造血幹細胞および前駆細胞の生存、もしくはレシピエントの生存による対象の進行の評価による。生着は、移植後期間中の末梢血中の白血球数を測定することによって決定することもできる。生着は、骨髄穿刺液サンプル中のドナー細胞による骨髄細胞の回復を測定することによって評価することもできる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「外因性(exogenous)」という用語は、ヒト患者などの特定の生物では自然に見られない分子、細胞、組織、または器官などの物質(例えば、造血幹細胞、または巨核球、栓球、血小板、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、もしくはBリンパ球などの造血系統の細胞)を表す。外因性物質には、外部源から、生物または生物から抽出された培養物に与えられるものが含まれる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「増幅量(expanding amount)」という用語は、例えば、約1.1倍~約1,000倍、約1.1倍~約5,000倍以上(例えば、約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、7倍、7.1倍、7.2倍、7.3倍、7.4倍、7.5倍、7.6倍、7.7倍、7.8倍、7.9倍、8倍、8.1倍、8.2倍、8.3倍、8.4倍、8.5倍、8.6倍、8.7倍、8.8倍、8.9倍、9倍、9.1倍、9.2倍、9.3倍、9.4倍、9.5倍、9.6倍、9.7倍、9.8倍、9.9倍、10倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1,000倍以上)、CD34+細胞(CD34+CD90+細胞など)の集団の増殖を誘発するのに十分な、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストなどの薬剤の量または濃度を指す。
【0071】
一実施形態では、増幅量は、例えば、約60倍~約900倍、約80倍~約800倍、約100倍~約700倍、約150倍~約600倍、約200倍~約500倍、約250倍~約400倍、約275倍~約350倍、または約325倍、CD34+細胞(CD34+CD90+細胞など)の集団の増殖を誘発するのに十分な、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストなどの薬剤の量または濃度を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「造血前駆細胞(hematopoietic progenitor cells)」という用語は、限定するものではないが、顆粒球、単球、赤血球、巨核球、B細胞およびT細胞などの造血系のいくつかの細胞型に分化することができる多能性細胞を含む。造血前駆細胞は造血細胞系統に関与し、通常、自己再生しない。造血前駆細胞は、例えば、細胞表面抗原の発現パターンにより同定することができ、以下の免疫表現型を有する細胞が含まれる:Lin- KLS+ Flk2- CD34+。造血前駆細胞には、短期造血幹細胞、多能性前駆細胞、骨髄球性共通前駆細胞、顆粒球・単球前駆細胞、および巨核球・赤血球前駆細胞が含まれる。造血前駆細胞の存在は、例えば、完全メチルセルロースアッセイ等でコロニー形成単位細胞を検出することにより機能によって、あるいは、本明細書に記載され、当業界で公知のフローサイトメトリーおよびセルソーティングアッセイを使用して細胞表面マーカーの検出により表現型によって決定することができる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「造血幹細胞(hematopoietic stem cells)」(「HSC」)という用語は、多様な系統を含む自己再生能力および成熟血液細胞に分化する能力を有する未成熟な血液細胞を指し、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、およびリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、T細胞)が含まれるが、これらに限定されない。そのような細胞にはCD34+細胞が含まれ得る。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟な細胞である。ヒトでは、CD34+細胞は、上で定義した幹細胞特性を持つ細胞の亜集団を含むと考えられているが、マウスでは、HSCはCD34-である。さらに、HSCは、長期再増殖HSC(LT-HSC)および短期再増殖HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSCおよびST-HSCは、機能的ポテンシャルおよび細胞表面マーカーの発現に基づいて区別される。例えば、ヒトHSCはCD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、およびlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟系統マーカーが陰性)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、およびlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統マーカーが陰性)であるが、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、およびlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統マーカーが陰性)である。さらに、ST-HSCは、恒常性条件下で、LT-HSCよりも静止性が低く、増殖性が高い。しかしながら、LT-HSCにはより大きな自己再生能力があるが(すなわち、成人期を通じて生存し、連続するレシピエントを通して連続的に移植することができる)、ST-HSCの自己複製は限られている(すなわち、限られた期間のみ生存し、連続移植の可能性はない)。これらのHSCのいずれも、本明細書に記載の方法で使用することができる。ST-HSCは非常に増殖性が高く、したがって分化した子孫をより迅速に発生させることができるため、特に有用である。
【0074】
本明細書で使用される場合、「造血幹細胞としての機能的ポテンシャル(hematopoietic stem cell functional potential)」という用語は、以下を含む造血幹細胞の機能的特性を指す:1)多能性(顆粒球(例、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例:網状赤血球、赤血球)、栓球(例:巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例:単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、リンパ球(例:NK細胞、T細胞、B細胞)を含むがこれらに限定されない複数の異なる血液系統に分化する能力を指す)、2)自己再生(造血幹細胞が母細胞と同等のポテンシャルを持つ娘細胞を生成する能力を指し、さらに、この能力は消耗のない個人の生涯を通じて繰り返し発生し得ることを意味する)、および3)造血幹細胞またはその子孫が移植レシピエントに再導入されて、造血幹細胞のニッチに帰着し、生産的かつ持続的な造血を再確立する能力。
【0075】
本明細書で使用される場合、「主要組織適合性複合体抗原」(「MHC」、ヒトの文脈では「ヒト白血球型抗原」(「HLA」)とも呼ばれる)という用語は、細胞にユニークな抗原アイデンティティを付与する細胞表面上に発現するタンパク質を指す。MHC/HLA抗原は、T細胞およびNK細胞によって、免疫エフェクター細胞と同じ造血幹細胞源に由来する(「自己」)として、または造血再構成細胞の別の供給源に由来する(「非自己」)として認識される標的分子である。HLA抗原の2つの主要なクラスが認識されている:HLAクラスIおよびHLAクラスII。HLAクラスI抗原(ヒトではA、B、C)は各細胞を「自己」として認識可能にするが、HLAクラスII抗原(ヒトではDR、DP、DQ)はリンパ球と抗原提示細胞の間の反応に関与する。両方とも、移植された臓器の拒絶反応に関係している。HLA遺伝子システムの重要な側面は、その多型性である。各遺伝子、MHCクラスI(A、BおよびC)とMHCクラスII(DP、DQおよびDR)は、異なる対立遺伝子に存在する。例えば、2人の無関係な個人は、クラスIのHLA-B、遺伝子B5、およびBw41をそれぞれ保有してよい。対立遺伝子産物は、αおよび/またはβドメイン中の1つ以上のアミノ酸が異なる。特定の抗体または核酸試薬の大きなパネルを使用して、クラスIおよびクラスII分子を発現する白血球を使用して、個人のHLAハプロタイプをタイプする。HLAタイピングに一般的に使用される遺伝子は、6つのMHCクラスIおよびクラスIIタンパク質であり、HLA-A、HLA-BおよびHLA-DRのそれぞれに2つの対立遺伝子がある。HLA遺伝子は、染色体位置6p21に存在する「スーパー遺伝子座」にクラスター化され、これは、6つの古典的な移植HLA遺伝子と、免疫系ならびにいくつかのその他の基本的な分子プロセスおよび細胞プロセスの制御において重要な役割を果たす少なくとも132のタンパク質をコードする遺伝子とをエンコードする。完全な遺伝子座はおよそ3.6Mbで、少なくとも224の遺伝子座がある。このクラスタリングの1つの効果は、「ハプロタイプ」、つまり1人の親から継承される単一の染色体に存在する対立遺伝子のセットが、グループとして継承される傾向があることである。各親から継承された対立遺伝子のセットはハプロタイプを形成し、その中でいくつかの対立遺伝子は一緒に関連付けられる傾向がある。一部の対立遺伝子とハプロタイプは他のものよりも一般的であり、それらは異なる人種および民族グループにおいて異なる頻度で分布しているので、患者のハプロタイプを特定することは、一致するドナーが見つかる確率を予測し、検索戦略の開発を支援するのに役立つ。
【0076】
本明細書で使用される場合、「HLA適合」という用語は、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに対する造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントの間でHLA抗原のいずれも不一致でないドナー-レシピエントのペアを指す。内因性T細胞およびNK細胞が外来移植片を異物として認識する可能性が低く、したがって移植片に対する免疫応答を開始する可能性が低くなるため、HLA適合の(即ち、6つの対立遺伝子すべてが一致する)ドナー-レシピエントのペアは、移植片拒絶のリスクが低下する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「HLA不適合」という用語は、特にHLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLA-DRに関して、少なくとも1つのHLA抗原が、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに対する造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントの間で不一致であるドナー-レシピエントのペアを指す。いくつかの実施形態では、一方のハプロタイプは適合であり、他方は不適合である。HLA不適合のドナー-レシピエントのペアの場合、内因性T細胞およびNK細胞が外来移植片を異物として認識する可能性が高く、したがってそのようなT細胞およびNK細胞は移植片に対する免疫応答を開始する可能性が高くなるため、HLA不適合のドナー-レシピエントのペアは、HLA適合のドナー-レシピエントのペアと比べて、移植片拒絶のリスクが高くなり得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「アリール炭化水素受容体(AHR)モジュレーター」という用語は、AHR受容体によって媒介される1つ以上のプロセス、メカニズム、効果、応答、機能、活性または経路における、定性的または定量的変化、変更、または修正を引き起こすまたは促進する薬剤を指す。本明細書に記載のAHRの阻害剤または非構成的アゴニストなどのAHRモジュレーターによって媒介されるそのような変化は、AHRの構成的活性の減少、阻害、またはダイバージョン(diversion)などの、AHRの活性または機能の減少または増加を指し得る。
【0079】
「AHRアンタゴニスト」とは、AHRポリペプチドまたはAHRをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合してもそれ自体は生物学的応答を引き起こさないが、アゴニスト介在性またはリガンド介在性応答を遮断または抑制するAHR阻害剤を指す。即ち、AHRアンタゴニストは、AHRポリペプチドまたはAHRをコードするポリヌクレオチドに結合することができるが、それらを活性化せず、当該結合は相互作用を破壊し、AHRアゴニストを置換し、および/またはAHRアゴニストの機能を阻害する。したがって、本明細書で使用される場合、AHRアンタゴニストは、AHRに結合した場合、AHR活性の誘導因子として機能しない、即ち、それらは、純粋なAHR阻害剤として機能する。
【0080】
本明細書で使用される場合、造血幹細胞移植を「必要とする」患者には、1つ以上の血液細胞型に欠陥または欠乏を示す患者、ならびに幹細胞障害、自己免疫疾患、癌、または他の本明細書に記載の病状を有する患者が含まれる。造血幹細胞は、一般に、1)多能性を示し、したがって、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、小膠細胞、破骨細胞、およびリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞およびT細胞)を含むが、これらに限定されない複数の異なる血系列に分化することができ、2)自己複製を示し、したがって、母細胞と同等の能力を有する娘細胞を生じさせることができ、ならびに3)移植レシピエントに再導入される能力を示し、そこでそれらが造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的かつ持続的な造血を回復させる。したがって、欠陥または欠乏がある細胞集団をin vivoで再構築するために、造血幹細胞を、造血系統の1つ以上の細胞型に欠陥または欠乏のある患者に投与することができる。例えば、患者は癌を患っている場合があり、該欠乏は、選択的もしくは非特異的に癌性細胞集団を枯渇させる化学療法剤または他の薬剤の投与によって生じ得る。追加的にまたは代替的に、患者は、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、およびウィスコット・アルドリッチ症候群などの異常ヘモグロビン症(例えば、非悪性異常ヘモグロビン症)を患っている場合がある。対象は、アデノシンデアミナーゼ重症複合免疫不全(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイヤモンド-ブラックファン貧血、およびシュワマン-ダイヤモンド症候群を患っている対象であり得る。対象は、遺伝性の血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)または自己免疫障害を患っているか、またはそれらの影響を受ける可能性がある。追加的にまたは代替的に、対象は、神経芽細胞腫または血液癌などの悪性腫瘍を患っているか、またはそれらの影響を受ける可能性がある。例えば、対象は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を患っている場合がある。いくつかの実施形態では、対象は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、骨髄異形成症候群を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、1型糖尿病、または本明細書に記載の別の自己免疫病状などの自己免疫疾患を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、キメラ抗原受容体T細胞(CART)療法を必要としている。いくつかの実施形態では、対象は、代謝性蓄積症を患っているか、そうでなければそれらの影響を受ける。対象は、以下を患っているか、そうでなければそれらの影響を受ける可能性がある:糖原蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー症候群またはハーラー病、スフィンゴリピドーシス、ムコリピドーシスII型、異染性白質ジストロフィーからなる群より選択される代謝障害、または、限定されないが以下が挙げられる、本明細書に開示された処置および療法から利益を得る可能性がある別の疾患もしくは障害:重症複合免疫不全、ウィスコット・アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック・東病、遺伝性リンパ組織球増多症、大理石骨病、骨形成不全症、蓄積症、サラセミアメジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、および“Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant Disease,” ASH Education Book, 1:319-338 (2000)に記載されている疾患または障害であって、その開示は、造血幹細胞移植療法の実施によって処置され得る病理に関連するため、その全体が参照により本明細書に援用される。追加的または代替的に、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、前述の病理のうちの1つを患っているかまたは患っていないが、それでもなお、巨核球、血小板、血小板、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、小膠細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、およびBリンパ球などの造血系統内の1つ以上の内因性細胞型の減少したレベルを(例えば、他の点では健康な対象のレベルと比較して)示す患者であり得る。当業者は、他の点では健康な対象に関して、1つ以上の前述の細胞型または他の血球型のレベルが低下しているかどうかを、例えば、当該技術分野で知られている他の手順の中でも、フローサイトメトリーおよび蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)方法を用いて、容易に決定することができる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「動員する(mobilize)」および「動員(mobilization)」という用語は、造血幹細胞または前駆細胞の集団が、対象の骨髄などの幹細胞ニッチから末梢血中の循環に放出されるプロセスを指す。造血幹細胞および前駆細胞の動員は、例えば、対象から単離された末梢血サンプル中の造血幹細胞または前駆細胞の量または濃度を評価することによって監視することができる。例えば、末梢血サンプルを対象から採取し、造血幹細胞または前駆細胞動員レジメンを対象に投与した後、末梢血サンプル中の造血幹細胞または前駆細胞の量または濃度を評価することができる。動員レジメンには、例えば、本明細書に記載されるCXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホルフォルまたはその変異体)などのCXCR4アンタゴニスト、および本明細書に記載されるCXCR2アゴニスト(例えば、Gro-βまたはその変異体、例えばGro-βの短縮型、例えばGro-βT)などのCXCR2アゴニストが含まれる。動員レジメンの投与後に対象から単離された末梢血サンプル中の造血幹細胞または前駆細胞の量または濃度を、動員レジメンの投与前に対象から単離された末梢血サンプル中の造血幹細胞または前駆細胞の量または濃度と比較してもよい。動員レジメンの投与後に対象の末梢血において造血幹細胞または前駆細胞の量または濃度が増加したという観察は、対象が動員レジメンに応答していること、ならびに、造血幹細胞および前駆細胞が骨髄などの1つ以上の幹細胞ニッチから末梢血循環に放出されたことを示している。
【0082】
本明細書で使用される場合、「サンプル」という用語は、対象から採取した標本(例えば、血液、血液成分(血清または血漿など)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(胎盤または皮膚など)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、および細胞)を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「幹細胞障害(stem cell disorder)」という語句は、患者中の標的組織に造血幹細胞または前駆細胞の集団を生着または移植させることによって処置または治癒され得る任意の疾患、障害、または状態を広く指す。例えば、I型糖尿病が、様々な他の障害と共に、造血幹細胞移植によって治癒されることが示されている。造血幹細胞または前駆細胞の患者への注入より処置され得る疾患としては、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、ウィスコット・アルドリッチ症候群、ADA SCID、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド・ブラックファン貧血、およびシュワッハマン・ダイアモンド症候群が挙げられる。本明細書に記載の造血幹細胞および前駆細胞の移植により処置され得る追加の疾患としては、血液障害(鎌状赤血球貧血など)、ならびに、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、およびクローン病などの自己免疫障害が挙げられる。造血幹細胞および前駆細胞移植療法を使用して処置され得る追加の疾患としては、本明細書に記載の癌などの癌が挙げられる。幹細胞障害には、神経芽細胞腫などの悪性腫瘍、または白血病、リンパ腫、骨髄腫などの血液癌が含まれる。例えば、前記癌は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫であってよい。造血幹細胞の集団を患者に移植することで処置され得る障害には、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、アミロイドーシス、AIDS関連認知症、脳炎、脳卒中、頭部外傷、てんかん、気分障害、または認知症などの神経障害が挙げられる。本明細書に記載するように、メカニズムに制限されることなく、造血幹細胞移植のそのような障害を処置する能力は、一部には、造血幹細胞が中枢神経系に移動してミクログリア細胞に分化し、それによって神経障害のある患者で損傷または欠乏し得る造血細胞株を再配置させる能力によるものであってよい。造血幹細胞または前駆細胞移植療法を使用して処置可能な他の疾患には、骨髄異形成症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、患者は代謝障害を患っているか、またはその影響を受けていてよい。例えば、患者は、糖原蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー症候群またはハーラー病、スフィンゴリピドース、ムコリピドーシスII型、異染性白質ジストロフィー、または本開示の処置および療法の恩恵を受け得る他の疾患もしくは障害からなる群から選択される代謝障害を患っているか、あるいはその影響を受けてよい。このような他の疾患もしくは障害としては、限定するものではないが、重症複合免疫不全、ウィスコット・アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック・東病、遺伝性リンパ組織球増殖症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵病、サラセミアメジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、ならびに、“Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant Disease,” ASH Education Book, 1 :319-338頁(2000年)に記載されている疾患および障害が含まれ、同文献の開示は、造血幹細胞移植療法または前駆細胞の投与により処置され得る病理に関連するため、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0084】
本明細書で使用される場合、「対象(subject)」および「患者」という用語は、本明細書に記載の特定の疾患または状態の処置を受けるヒトなどの生物を指す。例えば、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者などの患者は、本明細書に記載の癌、自己免疫疾患、または代謝障害などの幹細胞障害を処置するために、造血幹細胞の集団を含む処置を受け得る。幹細胞障害を患うヒト患者などの患者は、例えば、約1×106~約1×109個の造血幹細胞の集団などの造血幹細胞の集団の形態の処置を受け得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「レシピエント(recipient)」という用語は、造血幹細胞の集団を含有する移植などの移植を受ける患者を指す。レシピエントに投与される移植細胞は、例えば、自己細胞、同系細胞、または同種細胞であり得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、「トランスフェクション(transfection)」という用語は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなど、外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞内に導入するために一般的に使用される多種多様な技術のいずれかを指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」または「処置(treatment)」という用語は、疾患および/またはそれに付随する症状を緩和または軽減する方法を指す。本明細書で使用される場合、「予防する(preventing)」または「予防(prevent)」という用語は、疾患、状態、または障害の症状または合併症の発症を低減または排除することを指す。本明細書で使用される場合、「疾患(disease(s))」、「障害(disorder(s))」、および「状態(condition(s))」という用語は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、交換可能に使用される。
【0088】
「処置する(treating)」は、不所望の生理的変化または障害を予防または減速(軽減)すること、あるいは処置中の患者の有益な表現型を促進することを目的とする治療的処置を指す。有益または所望の臨床結果には、造血幹細胞または前駆細胞移植療法後の患者における外因性造血細胞の生着を促進することが含まれるが、これに限定されない。追加の有益な結果には、患者に対する外因性造血幹細胞移植片または前駆細胞移植片の投与後の、造血幹細胞または前駆細胞移植を必要とする患者における造血幹細胞の細胞数または相対濃度の増加が含まれる。本明細書に記載の治療の有益な結果には、造血幹細胞移植療法後およびその後の造血幹細胞移植療法後の、巨核球、栓球、血小板、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、またはBリンパ球などの1つ以上の造血系統の細胞の細胞数または相対濃度の増加も含まれ得る。追加の有益な結果には、癌細胞または自己免疫細胞の集団などの、疾患を引き起こす細胞集団の量の減少が含まれ得る。
【0089】
本明細書で使用される場合、「変異体」および「誘導体」という用語は互換的に使用され、化合物、ペプチド、タンパク質、または本明細書に記載の他の物質の天然発生類似体、合成類似体、および半合成類似体を指す。化合物、ペプチド、タンパク質、または本明細書に記載の他の物質の変異体または誘導体は、元の材料の生物学的活性を保持または改善し得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、「ベクター(vector)」という用語は、プラスミド、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、ウイルス、または他の適切なレプリコンなどの核酸ベクターを含む。本明細書に記載の発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、ならびに例えばタンパク質の発現および/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列要素を含み得る。本明細書に記載されているような、ペプチドおよびタンパク質の発現に使用できる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモーターおよびエンハンサー領域などの調節配列を含むプラスミドが含まれる。本明細書に記載されるような、ペプチドおよびタンパク質の発現のための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高めるか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素には、発現ベクターに担持された遺伝子の効率的な転写を指示するために、例えば、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域およびポリアデニル化シグナル部位が含まれ得る。本明細書に記載の発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞の選択のためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含み得る。適切なマーカーの例には、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、およびノーセオスリシン(nourseothricin)などの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「アルキル(alkyl)」という用語は、例えば、鎖内に1~20個の炭素原子、または特定の実施形態では鎖内に1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書で使用される場合、「アルキレン(alkylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価アルキル基を指す。二価の位置は、アルキル鎖内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。アルキレンの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレンなどが含まれる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」という用語は、例えば1~20個の炭素原子を鎖内に有し、さらに1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、または硫黄など)を鎖内に含む直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。
【0094】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキレン(heteroalkylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価ヘテロアルキル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルキル鎖内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1つ以上のヘテロ原子であってもよい。
【0095】
本明細書で使用される場合、「アルケニル(alkenyl)」という用語は、例えば、鎖内に2~20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基を指す。それは、例えば、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する2~6個の炭素原子を含む炭化水素部分に由来する一価の基を意味する。二重結合は、別の基への結合点である場合とそうでない場合がある。アルケニル基の例には、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、tert-ブチレニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、ヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書で使用される場合、「アルケニレン(alkenylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価アルケニル基を指す。二価の位置は、アルケニル鎖内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。アルケニレンの例には、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレンなどが含まれる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルケニル(heteroalkenyl)」という用語は、例えば2~20個の炭素原子を鎖内に有し、さらに1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、または硫黄など)を鎖内に含む直鎖または分岐鎖アルケニル基を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルケニレン(heteroalkenylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価ヘテロアルケニル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルケニル鎖内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1つ以上のヘテロ原子であってもよい。
【0099】
本明細書で使用される場合、「アルキニル(alkynyl)」という用語は、例えば、鎖内に2~20個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基を指す。アルキニル基の例には、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書で使用される場合、「アルキニレン(alkynylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価アルキニル基を指す。二価の位置は、アルキニル鎖内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキニル(heteroalkynyl)」という用語は、例えば、2~20個の炭素原子を鎖内に有し、さらに1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、または硫黄など)を鎖内に含む直鎖または分岐鎖アルキニル基を指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキニレン(heteroalkynylene)」という用語は、直鎖または分岐鎖の二価ヘテロアルキニル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルキニル鎖内の同じまたは異なる原子にあってもよい。二価の位置は、1つ以上のヘテロ原子であってもよい。
【0103】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル(cycloalkyl)」という用語は、飽和しており、例えば3~12個の炭素環原子を有する単環式、または縮合、架橋、もしくはスピロ多環式環構造を指す。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサンなどが含まれる。また、少なくとも1つまたは2つの水素原子を除去することにより、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する単環式または多環式炭素環化合物から誘導される一価の基も企図される。そのような基の例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキレン(cycloalkylene)」という用語は、二価のシクロアルキル基を指す。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。シクロアルキレンの例には、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル(heterocyloalkyl)」または「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」という用語は、飽和しており、例えば、環構造あたり3~12個の環原子を有する単環式、または縮合、架橋、もしくはスピロ多環式環構造を指し、当該環原子は炭素原子およびヘテロ原子から選択され、当該ヘテロ原子は例えば窒素、酸素、および硫黄から選択される。環構造は、例えば、炭素、窒素、または硫黄の環員に1つ以上のオキソ基を含み得る。例示的なヘテロシクロアルキル基には、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾロリジニル、イソチアゾフリジニルおよびテトラヒドロリジニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキレン(heterocycloalkylene)」という用語は、二価のヘテロシクロアルキル基を指す。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。
【0107】
本明細書で使用される場合、「アリール(aryl)」という用語は、例えば、6~19個の炭素原子を含む単環式または多環式の芳香族環系を指す。アリール基には、フェニル、フルオレニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが含まれるが、これらに限定されない。二価の位置は、1つ以上のヘテロ原子であってもよい。
【0108】
本明細書で使用される場合、「アリーレン(arylene)」という用語は、二価のアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール(heteroaryl)」という用語は、単環式ヘテロ芳香族基、または二環式もしくは三環式の縮合環ヘテロ芳香族基を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~10個の環原子を含み、そのうちの1つの環原子は、S、O、およびNから選択される;0、1、または2つの環原子は、S、O、およびNから独立して選択される追加のヘテロ原子である;残りの環原子は炭素である。ヘテロアリール基には、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリーレン(heteroarylene)」という用語は、二価のヘテロアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1つ以上のヘテロ原子であってもよい。
【0111】
個々の置換基の定義によって特に制限されない限り、「アルキル」基、「アルキレン」基、「ヘテロアルキル」基、「ヘテロアルキレン」基、「アルケニル」基、「アルケニレン」基、「ヘテロアルケニル」基、「ヘテロアルケニレン」基、「アルキニル」基、「アルキニレン」基、「ヘテロアルキニル」基、「ヘテロアルキニレン」基、「シクロアルキル」基、「シクロアルキレン」基、「ヘテロシクロアルキル」基、「ヘテロシクロアルキレン」基、「アリール」基、「アリーレン」基、「ヘテロアリール」基、および「ヘテロアリーレン」基などの前述の化学部分は、任意に置換され得る。本明細書で使用される場合、「任意に置換された(optionally substituted)」という用語は、化合物もしくは部分またはそれらの部位の原子価によって許容される、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の置換基を含む化合物または部分を指し、当該置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどからなる群から選択される。置換には、隣接する置換基が閉環、例えばビシナル機能置換基の閉環を受けて、例えば保護基を提供するために、閉環によって形成される、例えば、ラクタム、ラクトン、環状無水物、アセタール、ヘミアセタール、チオアセタール、アミナール、およびヘミアミナールを形成した状況が含まれ得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、「任意に置換された(optionally substituted)」という用語は、原子価が許す限り、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、カルバメート、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどの1つ以上の化学置換基を有してよい化学部分を指す。任意に置換された化学部分は、例えば、ビシナル機能置換基の閉環などの閉環を受けた隣接する置換基を含み得、例えば保護基を生成するために、閉環によって形成されるラクタム、ラクトン、環状無水物、アセタール、チオアセタール、またはアミナールなどを形成する。
【0113】
本出願によれば、本明細書に記載のアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールのいずれも、任意の芳香族基であり得る。
【0114】
本明細書で使用される「ハロ(hal)」、「ハロ(halo)」、および「ハロゲン(halogen)」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0115】
本明細書に記載するように、本願の化合物および該化合物中に存在する部分は、上記に一般的に例示される置換基、または本願の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示される置換基など、1つ以上の置換基で任意に置換されてもよい。「任意に置換された(optionally substituted)」という語句は、「置換されているまたは置換されていない(substituted or unsubstituted)」という語句と交換可能に使用されることが理解されよう。一般に、「置換されている(substituted)」という用語は、先に「任意に(optionally)」という用語が先行するかどうかを問わず、所定の構造内の水素ラジカルが、特定の置換基のラジカルによって置換されていることを指す。特段の断りのない限り、任意に置換された基は、基の置換可能なそれぞれの位置に置換基を有してもよく、任意の所与の構造の複数の位置が特定の群から選択される複数の置換基で置換され得る場合、各位置の置換基は同じでも異なっていてもよい。本明細書で使用される用語「任意に置換された」、「任意に置換されたアルキル」、「任意に置換されたアルケニル」、「任意に置換されたアルキニル」、「任意に置換されたシクロアルキル」、「任意に置換されたシクロアルケニル」、「任意に置換されたアリール」、「任意に置換されたヘテロアリール」、「任意に置換されたアラルキル」、「任意に置換されたヘテロアラルキル」、「任意に置換されたヘテロシクロアルキル」、および任意の他の任意に置換された基は、1、2、または3つ以上の水素原子が、限定するものでないが、以下の置換基による独立した置換によって置換されている、あるいは置換されていない基を指す。
-F、-CI、-Br、-I、-OH、保護されたヒドロキシ、-NO2、-CN、-NH2、保護されたアミノ、-NH-C1-C12-アルキル、-NH-C2-C12-アルケニル、-NH-C2-C12-アルケニル、-NH-C3-C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1-C12-アルキル、-O-C2-C12-アルケニル、-O-C2-C12-アルケニル、-O-C3-C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1-C12-アルキル、-C(O)-C2-C12-アルケニル、-C(O)-C2-C12-アルケニル、-C(O)-C3-C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1-C12-アルキル、-CONH-C2-C12-アルケニル、-CONH-C2-C12-アルケニル、-CONH-C3-C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1-C12-アルキル、-OCO2-C2-C12-アルケニル、-OCO2-C2-C12-アルケニル、-OCO2-C3-C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1-C12-アルキル、-OCONH-C2-C12-アルケニル、-OCONH-C2-C12-アルケニル、-OCONH-C3-C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)-C1-C12-アルキル、-NHC(O)-C2-C12-アルケニル、-NHC(O)-C2-C12-アルケニル、-NHC(O)-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロアルキル、-NHCO2-C1-C12-アルキル、-NHCO2-C2-C12-アルケニル、-NHCO2-C2-C12-アルケニル、-NHCO2-C3-C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(S)NH2、-NHC(S)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、-NHC(NH)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2-C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)-C1-C12-アルキル、-NHC(NH)-C2-C12-アルケニル、-NHC(NH)-C2-C12-アルケニル、-NHC(NH)-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1-C12-アルキル、-C(NH)NH-C2-C12-アルケニル、-C(NH)NH-C2-C12-アルケニル、C(NH)NH-C3-C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1-C12-アルキル、-S(O)-C2-C12-アルケニル、-S(O)-C2-C12-アルケニル、-S(O)-C3-C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル、-SO2NH2、-SO2NH-C1-C12-アルキル、-SO2NH-C2-C12-アルケニル、-SO2NH-C2-C12-アルケニル、-SO2NH-C3-C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1-C12-アルキル、-NHSO2-C2-C12-アルケニル、-NHSO2-C2-C12-アルケニル、-NHSO2-C3-C12-シクロアルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3-C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1-C12-アルキル、-S-C2-C12-アルケニル、-S-C2-C12-アルケニル、-S-C3-C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキル、またはメチルチオメチル。
【0116】
任意の所与の置換基の数が指定されていない場合、1つ以上の置換基があってよい。例えば、「ハロ置換C1-4アルキル」は、同じまたは異なるハロゲン原子を1つ以上含んでよい。
【0117】
本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合、特段の断りのない限り、化合物はEおよびZの幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、カルボニル含有化合物の全ての互変異性型も含まれることが意図される。
【0118】
なお、本明細書に提供される化合物は、キラル中心を有してよい。そのようなキラル中心は、(R)配置または(S)配置のいずれかでも、あるいは両者の混合物であってもよい。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であっても、立体異性体またはジアステレオマーの混合物であってもよい。したがって、生体内でエピマー化を受ける化合物について、当該化合物の(R)形態の化合物の投与は、その化合物の(S)形態の化合物の投与と同等であることを当業者は理解されよう。
【0119】
本明細書に記載の化合物としては、限定するものではないが、上記の化合物、ならびにジアステレオマーおよび鏡像異性体などのその異性体、ならびにその塩、エステル、アミド、チオエステル、溶媒和物、および多形体、上記の化合物のラセミ混合物および純粋な異性体が挙げられる。
【0120】
(幹細胞)
いくつかの実施形態では、記載の組成物および方法によりその集団を改変(例えば、増幅)させた幹細胞は、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることで増幅可能である。いくつかの実施形態では、幹細胞は遺伝子改変された幹細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞は遺伝子改変された幹細胞ではない。
【0121】
いくつかの実施形態では、幹細胞は胚性幹細胞または成体幹細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞は、全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、少能性幹細胞、または単能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞は組織特異的幹細胞である。
【0122】
いくつかの実施形態では、幹細胞は、造血幹細胞、腸幹細胞、骨芽細胞幹細胞、間葉系幹細胞(即ち、肺間葉系幹胞、骨髄由来間葉系間質細胞、または骨髄間質細胞)、神経幹細胞(即ち、神経ドーパミン作動性幹細胞または運動神経幹細胞)、上皮幹細胞(即ち、肺上皮幹細胞、乳房上皮幹細胞、血管上皮幹細胞、または腸上皮幹細胞)、心筋細胞前駆幹細胞、皮膚幹細胞(即ち、表皮幹細胞または卵胞幹細胞(毛包幹細胞))、骨格筋幹細胞、脂肪幹細胞、肝幹細胞、人工多能性幹細胞、臍帯幹細胞、羊水幹細胞、輪部幹細胞、歯髄幹細胞、胎盤幹細胞、筋芽細胞、内皮前駆細胞、剥離歯由来幹細胞、または毛包幹細胞である。
【0123】
いくつかの実施形態では、幹細胞は造血幹細胞である。
【0124】
いくつかの実施形態では、幹細胞は初代幹細胞である。例えば、幹細胞は骨髄、脂肪組織、または血液から得られる。いくつかの実施形態では、幹細胞は培養幹細胞である。
【0125】
いくつかの実施形態では、幹細胞はCD34+細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD90+細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD45RA-細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD34+CD90+細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD34+CD45RA-細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD90+CD45RA-細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞はCD34+CD90+CD45RA-細胞である。
【0126】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞は、骨髄から抽出され、末梢血に動員され、その後、アフェレーシスによって収集されるか、臍帯血単位から単離される。
【0127】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+CD45RA-造血幹細胞である。
【0128】
(造血幹細胞および前駆細胞の遺伝子改変の方法)
本明細書に記載の組成物および方法は、目的の遺伝子を破壊し、造血幹細胞および前駆細胞の集団における標的遺伝子の発現を促進するための戦略、ならびにこれらの細胞を増幅するための戦略を提供する。例えば、造血幹細胞の集団は、本明細書に記載される方法に従って増幅されてもよく、例えば、変化した遺伝子発現パターンを示すように遺伝子改変されてもよい。あるいは、細胞の集団は造血幹細胞で富化されてもよく、または造血幹細胞の集団は多能性状態で維持されてもよく、細胞は当技術分野で既知の確立されたゲノム編集技術を使用してさらに改変されてもよい。例えば、外因性遺伝子の発現を促進するか、または造血幹細胞内の内因性遺伝子の発現を阻害するために、ゲノム編集手順を使用ししてもよい。造血幹細胞の集団は、本明細書に記載された方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持され、その後、所望の標的遺伝子を発現するように遺伝子改変されてもよく、またはこれらの細胞集団は最初に遺伝子改変されててから、その後、多能性状態で増幅、富化、または維持されてもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、(例えば、複数の)造血幹細胞の集団は、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることにより、本明細書に記載の方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持され、その後、所望の標的遺伝子を発現し、造血幹細胞の移植可能な特性を実質的に維持するするように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、(例えば、複数の)造血幹細胞の集団は、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させ、細胞周期を誘導するのに十分な期間、条件にさらすことにより、本明細書に記載の方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持され、その後、所望の標的遺伝子を発現し、造血幹細胞の移植可能な特性を実質的に維持するするように遺伝子改変される。非限定的な一実施形態では、細胞周期を誘導するのに十分な条件は、造血幹細胞を、細胞周期を誘導するのに十分な量の1つ以上のサイトカインと接触させることを含み得る。サイトカインの非限定的な例には、SCF、IL6、TPO、FLT3L、およびそれらの組み合わせが含まれる。他の薬剤または方法を使用して、細胞周期を誘導してもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、細胞周期を誘導するのに十分な期間は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、または少なくとも約5日であり得る。いくつかの実施形態では、細胞周期を誘導するのに十分な期間は、約1日~約5日、約1日~約4日、約2日~約4日、約1日~約3日、または約2日~約3日である。いくつかの実施形態では、細胞周期を誘導するのに十分な時間は、細胞の系統によって異なってよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞をアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることは、細胞周期に影響を与えない。有利には、活発に細胞周期をまわっている細胞は、細胞周期をまわっていない細胞に比べて、所望の標的遺伝子を発現するようにより容易に遺伝子改変され得る。さらに、いくつかの実施形態では、造血幹細胞をアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることは、幹細胞が細胞周期に入ることを妨げず、幹細胞が幹細胞のままであることを可能にし(例えば、実質的に分化することなく、数を増やすための分裂を含む)、アリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させていない細胞(造血幹細胞など)と比較して、分化を遅らせ、生着ポテンシャルを延長する。
【0132】
いくつかの実施形態では、(例えば、複数の)造血幹細胞の集団は、少なくとも細胞周期を誘導するのに十分な期間、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることにより、本明細書に記載の方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持され、その後、所望の標的遺伝子を発現するように遺伝子改変され、その結果、(例えば、複数の)造血幹細胞の集団を、その後で遺伝子改変する前に、少なくとも細胞周期を誘導するのに十分な期間、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させない同等の方法と比べて、遺伝子改変が向上する。
【0133】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞の集団は、細胞周期を誘導するのに十分な期間、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることにより、本明細書に記載の方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持され、その後、所望の標的遺伝子を発現するように遺伝子改変され、その結果、造血幹細胞の集団を、その後で遺伝子改変する前に、細胞周期を誘導するのに十分な期間、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させない同等の方法と比べて、生着ポテンシャルが向上する。
【0134】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞の集団は、実質的にすべての造血幹細胞の細胞周期を誘導するのに十分な期間、本明細書に記載のアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることにより、本明細書に記載の方法に従って多能性状態で増幅、富化、または維持される。
【0135】
いくつかの実施形態では、(例えば、複数の)造血幹細胞の集団は、遺伝子改変された後、増幅される。例えば、造血幹細胞は、遺伝子改変された後、アリール炭化水素受容体アンタゴニストの存在下で増幅されてもよい。遺伝子改変された造血幹細胞の増幅は、例えば、造血幹細胞移植片における移植可能な遺伝子改変細胞の数を増やすために行われ得る。
【0136】
標的遺伝子を細胞(例えば、マウスまたはヒト細胞などの哺乳動物細胞)のゲノムに組み込んで、そのような遺伝子の発現を促進するための幅広い方法が確立されている。
【0137】
<標的遺伝子をコードするポリヌクレオチド>
造血幹細胞における標的遺伝子の発現を促進するために使用され得るプラットフォームの一例は、標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを細胞の核ゲノムに組み込むことによるものである。外因性遺伝子を真核生物ゲノムに導入するための様々な技術が開発されてきた。そのような技術の1つは、ウイルスベクターなどのベクターへの標的遺伝子の挿入を含む。本明細書に記載の組成物および方法で使用するためのベクターは、形質転換、トランスフェクション、直接取り込み、粒子衝撃法(projectile bombardment)を含む様々な方法、およびリポソームへのベクターのカプセル化によって細胞に導入することができる。細胞をトランスフェクトまたは形質転換する適切な方法の例には、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、インフェクション、リポフェクションおよび直接取り込みが含まれる。そのような方法は、例えば、Green, et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbour University出版、ニューヨーク(2014年);およびAusubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、ニューヨーク(2015年)に詳細に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0138】
外因性遺伝子はまた、目的の遺伝子を含むベクターを細胞膜リン脂質に使用することにより、哺乳動物細胞に導入することができる。例えば、すべての細胞膜リン脂質に対する親和性を有するウイルスタンパク質であるVSV-Gタンパク質にベクター分子をリンクすることにより、ベクターを細胞膜の細胞外表面上のリン脂質にターゲティングすることができる。VSV-Gタンパク質を含むウイルスベクターは、例えば、米国特許第5,512,421号;および米国特許第5,670,354号にさらに詳細に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0139】
哺乳動物RNAポリメラーゼによる標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドの認識および結合は、遺伝子発現が発生するための重要な分子イベントである。したがって、RNAポリメラーゼをリクルートし、転写開始部位での転写複合体の構築を促進する転写因子に対して高い親和性を示す配列要素を、ポリヌクレオチド内に含めてよい。そのような配列要素には、例えば、哺乳動物プロモーターが含まれ、その配列は、特定の転写開始因子および最終的にはRNAポリメラーゼによって認識および結合され得る。あるいは、ウイルスゲノムに由来するプロモーターが、哺乳動物細胞における標的遺伝子の安定した発現のために使用され得る。これらの酵素の哺乳動物での発現を促進するために使用され得る機能的ウイルスプロモーターの例には、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、およびサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが含まれる。追加のウイルスプロモーターには、サルウイルス40由来のSV40後期プロモーター、バキュロウイルス多面体エンハンサー/プロモーター要素、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV tk)プロモーター、およびカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターが含まれる。本明細書に記載の組成物および方法での使用に適したファージプロモーターには、限定はされないが、大腸菌(E.coli)T7およびT3ファージプロモーター、ネズミチフス菌(S.typhimurium)ファージSP6プロモーター、枯草菌(B.subtilis)SP01ファージおよび枯草菌(B.subtilis)ファージphi29プロモーター、ならびに米国特許第5,547,892号に記載されているN4ファージおよびK11ファージプロモーターが含まれ、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0140】
標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドが細胞のゲノム(例えば、造血幹細胞の核ゲノム)に組み込まれると、このポリヌクレオチドの転写が、当技術分野で知られている方法によって誘導され得る。例えば、哺乳動物プロモーターへの転写因子および/またはRNAポリメラーゼの結合を調節し、したがって遺伝子発現を調節する薬剤などの外部化学試薬に哺乳動物細胞を曝露することによって、発現を誘導することができる。化学試薬は、例えば、プロモーターに結合したリプレッサータンパク質を除去することにより、RNAポリメラーゼおよび/または転写因子の哺乳動物プロモーターへの結合を促進するのに役立ち得る。あるいは、化学試薬は、RNAポリメラーゼおよび/または転写因子に対する哺乳動物プロモーターの親和性を増強するように働き得、その結果、該プロモーターの下流に位置する遺伝子の転写速度が化学試薬の存在下で増加する。上記のメカニズムによってポリヌクレオチド転写を増強する化学試薬の例には、テトラサイクリンおよびドキシサイクリンが含まれる。これらの試薬は市販されており(Life Technologies、カールスバッド、カリフォルニア州)、確立されたプロトコルに従って遺伝子発現を促進するために哺乳動物細胞に投与でされ得る。
【0141】
本明細書に記載の組成物および方法で使用するためのポリヌクレオチドに含まれ得る他のDNA配列要素には、エンハンサー配列が含まれる。エンハンサーは、DNAが転写開始部位での転写因子およびRNAポリメラーゼの結合にとって好ましい3次元配向を採用するように、目的の遺伝子を含むポリヌクレオチドの構造変化を誘導する別のクラスの調節要素を表す。したがって、本明細書に記載の組成物および方法で使用するためのポリヌクレオチドには、標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドが含まれ、さらに哺乳類のエンハンサー配列が含まれる。現在、哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が知られており、例には、哺乳動物のグロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリンをコードする遺伝子由来のエンハンサーが含まれる。本明細書に記載の組成物および方法で使用するエンハンサーには、真核細胞に感染することができるウイルスの遺伝物質に由来するものも含まれる。例には、複製起点の後期側(100~270bp)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物の遺伝子転写の活性化を誘導する追加のエンハンサー配列は、Yaniv et al. Nature 297:17(1982年)に開示されており、その開示は参照により本明細書に援用される。エンハンサーは、標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含むベクターに、例えば、この遺伝子の5’または3’の位置でスプライシングされ得る。好ましい配向では、エンハンサーはプロモーターの5’側に配置され、該プロモーターは標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドに対して5’側に配置される。
【0142】
転写および翻訳の高速を促進することに加えて、造血幹細胞における外因性遺伝子の安定した発現は、該遺伝子を含むポリヌクレオチドを細胞の核DNAに組み込むことによって達成され得る。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを哺乳動物細胞の核DNAに送達および組み込むための様々なベクターが開発されている。発現ベクターの例は、例えば、WO94/11026に開示されており、その開示は参照により本明細書に援用される。本明細書に記載の組成物および方法で使用するための発現ベクターは、標的遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列、ならびに、例えば、これらの酵素の発現および/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列要素を含む。標的遺伝子の発現に使用され得る特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモーターおよびエンハンサー領域などの調節配列を含有するプラスミドが含まれる。標的遺伝子の発現に有用な他のベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高めるか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外への輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写を指示するために、RNA転写産物内の特徴部、例えば、5’および3’非翻訳領域、内部リボソーム進入部位(IRES)、およびポリアデニル化シグナル部位をしばしばコードし、該特徴部はこれらの分子の核外輸送、細胞質半減期、およびリボソーム親和性を増強する。例示的な発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞の選択のためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含んでよい。適切なマーカーの非限定的な例には、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、またはノウルソスリシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。
【0143】
<標的遺伝子発現用ベクター>
ウイルスゲノムは、哺乳類細胞への外因性遺伝子の効率的な送達に使用され得るベクターの豊富なソースを提供する。ウイルスゲノム内に含まれるポリヌクレオチドは一般に、一般化または特殊化された形質導入によって哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込まれるため、ウイルスゲノムは遺伝子送達に特に有用なベクターである。これらのプロセスは、自然のウイルス複製サイクルの一部として発生し、多くの場合、遺伝子統合を誘導するために追加されたタンパク質または試薬を必要としない。ウイルスベクターの例には、レトロウイルス、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、およびAd48)、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス;オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病および水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹および仙台)などのマイナス鎖RNAウイルス、ピコルナウイルスおよびアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス)およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘およびカナリア痘)などの二本鎖DNAウイルスが含まれる。他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例には、トリ白血病肉腫、哺乳動物のC型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLVグループ、レンチウイルス、スプマウイルスが含まれる(Coffin,J.M.,レトロウイルス科:ウイルスとその複製、ファンダメンタルウイルス学、第3版、B.N.Fieldsら編、Lippincott-Raven出版、フィラデルフィア、1996年;その開示は参照により本明細書に援用される)。ウイルスベクターの他の例には、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内因性ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルスおよびレンチウイルスが含まれる。ベクターの他の例は、例えば、米国特許第5,801,030号に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0144】
<追加のトランスフェクション法>
DNAまたはRNA(例えば、mRNA、tRNA、siRNA、miRNA、shRNA、化学的に修飾されたRNA)などのポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するために使用され得る他の技術は、当技術分野で周知である。例えば、エレクトロポレーションは、静電ポテンシャルを印加することによって哺乳類細胞を透過性にするために使用され得る。このようにして外部電場に曝された造血幹細胞などの哺乳動物細胞は、その後、外因性核酸の取り込みを受けやすくなる。哺乳動物細胞のエレクトロポレーションは、例えば、Chu et al. Nucleic Acids Research 15:1311(1987年)に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。同様の技術であるNucleofection(登録商標)は、真核細胞の核内への外因性ポリヌクレオチドの取り込みを刺激するために、印加電場を利用する。この技術を実行するのに有用なNucleofection(登録商標)およびプロトコルは、例えば、Distler et al. Experimental Dermatology 14:315(2005年)、ならびに米国特許公開第2010/0317114号に詳細に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0145】
造血幹細胞のトランスフェクションに有用な追加の技術には、スクイズポレーション法(squeeze-poration methodology)が含まれます。この技術は、加えられたストレスに応答して形成される膜状の孔を通して外因性DNAの取り込みを刺激するために、細胞の急速な機械的変形を誘導する。この技術は、造血幹細胞などの細胞への核酸の送達にベクターを必要としないという点で有利である。スクイズポレーションは、例えば、Sharei et al. Journal of Visualized Experiments 81:e50980(2013年)に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0146】
リポフェクションは、造血幹細胞のトランスフェクションに有用な別の技術である。この方法は、第四級またはプロトン化アミンなどのカチオン性官能基をリポソーム外部に向かって提示することが多いリポソームへの核酸のローディングを含む。これは、細胞膜のアニオン性の性質により、リポソームと細胞の間の静電相互作用を促進し、最終的には、例えば、リポソームと細胞膜の直接融合または複合体のエンドサイトーシスによって、外因性核酸の取り込みにつながる。リポフェクションは、例えば、米国特許第7,442,386号に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。細胞膜とのイオン相互作用を利用して外来核酸の取り込みを誘発する同様の技術には、細胞をカチオン性ポリマー-核酸複合体と接触させることが含まれる。細胞膜との相互作用に好ましい正電荷を付与するためにポリヌクレオチドと会合するカチオン性分子には、活性化デンドリマー(例えば、Dennig, Topics in Current Chemistry 228:227(2003年)に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される)およびジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストランが含まれ、トランスフェクション剤としてのその使用は、例えば、Gulick et al. Current Protocols in Molecular Biology 40:I:9.2:9.2.1(1997年)に詳細に記載されおり、その開示は参照により本明細書に援用される。磁気ビーズは、核酸の取り込みを指示するために印加された磁場を利用するので、造血幹細胞を穏やかかつ効率的な方法でトランスフェクトするために使用され得る別のツールである。この技術は、例えば米国特許公開第2010/0227406号に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0147】
造血幹細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、レーザーフェクションであり、これは、細胞を穏やかに透過化し、ポリヌクレオチドが細胞膜を透過することを可能にするために、細胞を特定の波長の電磁放射線に曝すことを含む技術である。この技術は、例えば、Rhodes et al. Methods in Cell Biology 82:309(2007年)に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0148】
マイクロベシクル(microvesicle)は、本明細書に記載の方法に従って造血幹細胞のゲノムを改変するために使用され得る別の潜在的なベシクル(vesicle)を表す。例えば、糖タンパク質VSV-Gと、例えば、ヌクレアーゼなどのゲノム改変タンパク質との同時過剰発現によって誘導されたマイクロベシクルを使用して、タンパク質を細胞に効率的に送達することができ、該タンパク質は続いて内因性ポリヌクレオチド配列の部位特異的切断を触媒して、遺伝子または調節配列などの目的のポリヌクレオチドの共有結合組み込みのために細胞のゲノムを準備する。真核細胞の遺伝的改変のためのそのようなベシクル(ジェシクル(Gesicle)とも呼ばれる)の使用は、例えば、Quinn et al. Genetic Modification of Target Cells by Direct Delivery of Active Protein[アブストラクト]、Methylation changes in early embryonic genes in cancer[アブストラクト]、米国遺伝子細胞療法学会の第18回年次会議の議事録;2015年5月13日、アブストラクトNo.122に詳細に記載されている。
【0149】
(遺伝子編集技術を使用した遺伝子発現の変調)
ウイルスベクターに加えて、造血幹細胞への外因性遺伝子の組み込みに使用され得る様々な追加ツールが開発されている。標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを造血幹細胞に組み込むために使用され得るそのような方法の1つは、トランスポゾンの使用を含む。トランスポゾンは、トランスポザーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドであり、5’および3’の切除部位に隣接する目的のポリヌクレオチド配列または遺伝子を含む。トランスポゾンが細胞内に送達されると、トランスポザーゼ遺伝子の発現が始まり、トランスポゾンから目的の遺伝子を切断する活性酵素が生成される。この活性は、トランスポザーゼによるトランスポゾン切除部位の部位特異的認識によって媒介される。特定の場合において、これらの切除部位は、末端反復または逆方向末端反復であってよい。トランスポゾンから切り出されると、目的の遺伝子は、細胞の核ゲノム内に存在する同様の切除部位のトランスポザーゼ触媒切断により、哺乳動物細胞のゲノムに組み込まれ得る。これにより、目的の遺伝子が相補的な切除部位で切断された核DNAに挿入され、その後、目的の遺伝子を哺乳類細胞ゲノムのDNAに結合するホスホジエステル結合の共有結合ライゲーション(covalent ligation)により、組み込みプロセスが完了する。特定の場合において、トランスポゾンはレトロトランスポゾンであり得、その結果、標的遺伝子をコードする遺伝子は、最初にRNA産物に転写され、次いで哺乳動物細胞ゲノムに組み込まれる前にDNAに逆転写される。トランスポゾンシステムには、ピギーバックトランスポゾン(例えば、国際公開第2010/085699号に詳細に記載されている)およびスリーピングビューティートランスポゾン(例えば、米国特許公開第2005/0112764号に詳細に記載されている)が含まれ、それぞれの開示は参照により本明細書に援用される。
【0150】
標的遺伝子の破壊および造血幹細胞ゲノムへの統合のための別の有用なツールは、クラスター化された規則的な間隔の短い回文反復(clustered regularly interspaced short palindromic repeats、CRISPR)/Casシステムであり、元々はウイルス感染に対する細菌および古細菌の適応防御メカニズムとして進化したシステムである。CRISPR/Casシステムには、プラスミドDNA内の回文反復配列と、関連するCas9ヌクレアーゼとが含まれる。このDNAおよびタンパク質の集団は、最初に外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことにより、標的配列の部位特異的DNA切断を指示する。これらの外来配列とCRISPR遺伝子座の反復スペーサー要素とを含むポリヌクレオチドは、宿主細胞で転写されてガイドRNAを生成し、ガイドRNAは次いで標的配列にアニーリングし、Cas9ヌクレアーゼをこの部位に局在化させることができる。この方法では、Cas9を標的DNA分子に近接させる相互作用がRNA:DNAハイブリダイゼーションによって支配されるため、部位特異性の高いcas9を介したDNA切断を外来ポリヌクレオチドに生じさせることができる。その結果、任意の目的の標的DNA分子を切断するCRISPR/Casシステムを理論的に設計することができる。この技術は真核生物のゲノムを編集するために利用されており(Hwang et al. Nature Biotechnology 31:227(2013年);その開示は参照により本明細書に援用される)、標的遺伝子をコードする遺伝子を組み込む前にDNAを切断するために、造血幹細胞ゲノムを部位特異的に編集する効率的な手段として使用され得る。遺伝子発現を調節するためのCRISPR/Casの使用は、例えば、米国特許第8,697,359号に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0151】
CRISPR/Casシステムを使用して、標的DNA配列に1つ以上の二本鎖切断を生成することができ、その後、該二本鎖切断は、相同組換え(HR)および非相同末端結合(NHEJ)DNA修復経路のいずれかによって修復され得る。Cas9酵素は、1つ以上の二本鎖切断を誘導するために、標的DNA(gRNA)に特異的なガイドRNAとともに細胞に供給され得る。Cas9酵素は、タンパク質として、ガイドRNAと複合体を形成したリボ核タンパク質として、またはCas9タンパク質を合成するために細胞によって用いられるCas9タンパク質をコードするRNAまたはDNAとして供給され得る。gRNAは、キメラRNA中にtracrRNAおよびcrRNA配列の両方を含んでよい。上記に代えて、あるいは上記に加えて、gRNAは、Cas9タンパク質に結合するスキャフォールド領域(scaffold region)、およびgRNA Cas9タンパク質複合体を特定のDNA配列に標的化するスペーサーとも呼ばれる相補的塩基対合領域を含み得る。いくつかの場合において、相補的塩基対合領域は、長さが約20ヌクレオチドであり得、プロトスペーサー隣接モチーフ(例えば、PAMモチーフ)に直接隣接する標的DNA配列に相補的である。いくつかの場合において、PAMは一連のNGG、NGAまたはNAGを含む。gRNAの相補的塩基対合領域は標的DNA配列にハイブリダイズし、gRNA Cas9タンパク質複合体を標的配列に導き、次いでCas9エンドヌクレアーゼドメインが標的配列内を切断し、PAMの3~4ヌクレオチド上流にあり得る二本鎖切断を生成する。したがって、相補的塩基対合領域を変更することにより、ほとんどすべてのDNA配列が二本鎖切断の生成のために標的化され得る。適切な相補的塩基対合領域を選択する方法は、当業者に知られているであろう。例えば、標的DNA配列中のgRNAの標的外結合部位の数を最小限にするようにgRNAを選択することができる。いくつかの場合において、例えば、DNA標的化の特異性を高めるために、改変されたCas9ゲノム編集システムを使用してよい。改変されたCas9ゲノム編集システムの一例は、二量体Cas9-Fok1ゲノム編集システムなどのスプリットCas9システム(split Cas9 system)を含む。
【0152】
CRISPR/Cas9ゲノム編集システムによって生成された二本鎖切断(複数可)は、2本鎖切断の末端を連結する非相同末端結合経路(NHEJ)によって修復されてもよい。NHEJは、二本鎖切断部位の周囲または近くのDNAにおける欠失をもたらすかもしれない。あるいは、CRISPR/Cas9ゲノム編集システムによって生成された二本鎖切断は、相同組換え(HR)修復経路とも呼ばれる相同性指向の修復によって修復されてもよい。HR経路では、二本鎖切断は、2つの類似または同一のDNA分子間で配列を交換することによって修復される。したがって、外因性DNA配列をゲノム中に導入するために、HR修復経路を使用することができる。ゲノム編集のためにHR経路を使用する場合、Cas9およびgRNAと共にDNAテンプレートが細胞に供給される。いくつかの場合において、テンプレートは、Cas9によって誘導される二本鎖切断の部位のいずれかの側にDNA配列を含む相同性アームによって隣接される、ゲノム編集を介してゲノム中に導入される外因性配列を含んでよい。これらの相同性アームは、例えば、約50~1000ヌクレオチド、または他の場合には最大数キロベースの長さ、もしくはそれ以上の長さであってよい。テンプレートは、線状DNA、またはプラスミドなどの環状DNAであるか、あるいはウイルスベクターまたは他の送達手段を使用して供給され得る。テンプレートDNAは、二本鎖DNAまたは一本鎖DNAを含み得る。所望のゲノム編集を達成するためにテンプレートDNA、gRNAおよびCas9タンパク質を細胞に送達するあらゆる方法が、本発明の範囲内であると想定される。
【0153】
本開示のCRISPR/Cas9およびHRベースのゲノム編集システムは、外因性DNA配列を目的のゲノムまたはDNA配列に導入する方法だけでなく、遺伝子の変異を修正するためのプラットフォームも提供する。変異配列の変更または修正されたバージョン、例えば、1つ以上の点変異を野生型コンセンサス配列に戻した配列、欠失配列を挿入した配列、または挿入配列を欠失させた配列は、テンプレート配列として細胞に供給され得、当該テンプレート配列は、CRISPR/Cas9によって誘発された二本鎖切断を、HR経路を介して修正するために細胞によって使用される。例えば、変異を引き起こす1つ以上の疾患を有する患者において、造血幹細胞および/または造血幹細胞、例えば、該患者の造血幹細胞および/または前駆細胞を体から除去することができる。次に、これらの造血幹細胞および/または前駆細胞の1つ以上のゲノムにおける変異を、CRISPR/Cas9およびHRを介したゲノム編集によって修正し、修正された造血幹細胞および/または前駆細胞を本開示の方法で増幅してから、編集された細胞集団を患者に注入し、それによって遺伝子の野生型バージョンのソースを提供し、その遺伝子の1つ以上の変異によって引き起こされる疾患から患者を治癒することができる。遺伝性疾患を引き起こし得る変異には、点変異だけでなく、挿入、欠失、および逆位も含まれる。これらの変異はタンパク質コード配列中にあって、該タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えることができ、あるいは、これらの変異は非翻訳領域、プロモーター、遺伝子発現に必要なシス調節要素、スプライシングに必要な配列、またはDNA構造のために必要な配列などの非コード配列中にあってもよい。すべての変異は、本開示のCRISPR/Cas9媒介ゲノム編集方法によって潜在的に編集可能である。いくつかの場合において、患者は、遺伝子の変異体バージョンを有する天然の造血幹細胞および/または前駆細胞を排除または減少するように条件付けられ、したがって、外因的に供給されたゲノム編集された造血幹細胞および/または前駆細胞で富化される。本開示の患者の遺伝性疾患を処置するために、自己ゲノム編集された造血幹細胞および/または前駆細胞と、同種ゲノム編集された造血幹細胞および/または前駆細胞との両方を使用することができる。
【0154】
CRISPR/Cas9システムに加えて、造血幹細胞および/または前駆細胞に目的の遺伝子を組み込む前に、ゲノムDNAを部位特異的に切断することにより標的DNAを破壊する別の方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特定の標的配列に局在するためのガイドポリヌクレオチドを含まない。代わりに、標的特異性はこれらの酵素内のDNA結合ドメインによって制御される。ゲノム編集アプリケーションでのZFNおよびTALENの使用は、例えば、Urnov et al. Nature Reviews Genetics 11:636(2010年);およびJoung et al. Nature Reviews Molecular Cell Biology 14:49(2013年)に記載されており、これらの両方の開示は、参照により本明細書に援用される。CRISPR/Cas9ゲノム編集システムと同様に、TALENSまたはZFNによって導入された二本鎖切断も、HR経路を介して修復され得、この経路は、外因性DNA配列を導入するため、またはDNAの変異を修復するために使用され得る。
【0155】
標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを破壊または造血幹細胞のゲノムに組み込むために使用され得る追加のゲノム編集技術には、ゲノムDNAを部位特異的に切断するように合理的に設計され得るARCUSTM(登録商標)メガヌクレアーゼの使用が含まれる。哺乳類細胞のゲノムへの標的遺伝子をコードする遺伝子の組み込みのためのこれらの酵素の使用は、そのような酵素について確立された所定の構造活性相関の観点から有利である。所望の位置でDNAを選択的に切断するヌクレアーゼを作製するために、単鎖メガヌクレアーゼを特定のアミノ酸位置で修飾することができ、造血幹細胞の核DNAに標的遺伝子を部位特異的に組み込むことができる。これらの単鎖ヌクレアーゼは、例えば、米国特許第8,021,867号および米国特許第8,445,251号に広範囲にわたって記載されており、それぞれの開示は参照により本明細書に援用される。
【0156】
(造血幹細胞の増幅方法)
別の態様では、本開示は、増幅された造血幹細胞の集団をex vivoで作製する方法を特徴とし、当該方法は、造血幹細胞の集団を、増幅された造血幹細胞の集団を作製するのに十分な量の上記の態様または実施形態のいずれか1つの化合物と接触させるステップを含む。
【0157】
別の態様では、本開示は、ex vivoで細胞集団中の造血幹細胞を増やす方法を特徴とし、当該方法は、造血幹細胞の集団を、造血幹細胞に富む細胞集団を作製するのに十分な量の上記の態様または実施形態のいずれか1つの化合物と接触させるステップを含む。
【0158】
別の態様では、本開示は、造血幹細胞の集団の造血幹細胞としての機能的ポテンシャルをex vivoで2日以上維持する方法を特徴とし、当該方法は、第1の造血幹細胞の集団を上記の態様または実施形態のいずれか1つの化合物と接触させるステップを含み、第1の造血幹細胞の集団は、2日以上の後に、第1の造血幹細胞の集団と同一の条件下でかつ同一の期間培養し、上記化合物と接触させなかった対照造血幹細胞の集団よりも高い造血幹細胞としての機能的ポテンシャルを示す。
【0159】
一実施形態において、造血幹細胞を増幅する上記方法は、(a)造血幹細胞を含む開始細胞集団を提供するステップと、(b)上記の態様または実施形態のいずれか1つのAHRアンタゴニスト剤化合物の存在下でex vivoで上記開始細胞集団を培養するステップと、を含む。
【0160】
造血幹細胞を含む開始細胞集団は、想定される用途に応じて当業者が選択する。骨髄、末梢血、新生児の臍帯血、胎盤または肝臓、特に胎児肝臓などの他の供給源といった、造血幹細胞を含む細胞の様々な供給源が当該技術分野において記載されている。
【0161】
細胞集団は、最初に、開始細胞集団を提供するために、特定の細胞マーカーに基づく細胞の陰性および/または陽性選択を含むエンリッチメントまたは精製ステップに供されてもよい。特定の細胞マーカーに基づいて上記開始細胞集団を単離する方法は、フローサイトメトリーとも呼ばれる蛍光活性化セルソーティング(FACS)技術、または特定の細胞表面マーカーと相互作用する抗体またはリガンドが結合している固体または不溶性基質を使用してよい。例えば、細胞を、抗体を含む固体基質(ビーズ、フラスコ、磁性粒子のカラムなど)と接触させてよく、結合していない細胞を除去する。磁気または常磁性ビーズを含む固体基質を使用すれば、ビーズに結合した細胞を磁気分離器で容易に分離することができる。
【0162】
一実施形態では、上記開始細胞集団は、望ましい細胞マーカー表現型(CD34+、CD133+、CD90+など)に富むか、ローダミン、ヘキストまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性などの色素の流出に基づいている。特定の一実施形態では、上記開始細胞集団はCD34+細胞に富む。血球集団のCD34+細胞を増やす方法としては、Miltenyi Biotecによって市販されているキット(CD34+直接分離キット、Miltenyi Biotec、Bergisch、グラッドバッハ、ドイツ)またはバクスターによって市販されているキット(Isolex 3000)が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+CD45RA-造血幹細胞である。
【0164】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト細胞はCD34+細胞であり、例えばCD34+細胞は、CD34+細胞、CD34+CD38-細胞、CD34+CD38-CD90+細胞、CD34+CD38-CD90+CD45RA-細胞、CD34+CD38-CD90+CD45RA-CD49F+細胞、またはCD34+CD90+CD45RA-細胞である。
【0165】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞は、ヒト臍帯血、動員されたヒト末梢血、またはヒト骨髄から取得される。造血幹細胞は、例えば、ヒトから新鮮単離されたものであっても、事前に凍結保存されていてもよい。
【0166】
1回の出生からの臍帯血の量は、多くの場合、成人または高年齢児の処置には不十分である。本発明の化合物、またはアリール炭化水素受容体および/またはアリール炭化水素受容体経路の下流エフェクターの活性および/または発現を下方制御することができる薬剤を使用する増幅方法の1つの利点は、臍帯血1単位のみから十分な量の造血幹細胞を得ることができることにある。
【0167】
このため、一実施形態では、開始細胞集団は、CD34+細胞に富む新生児臍帯血細胞に由来する。関連する一実施形態では、上記開始細胞集団は1または2単位の臍帯血に由来する。
【0168】
別の実施形態では、開始細胞集団は、CD34+細胞に富む動員されたヒト末梢血細胞に由来する。関連する一実施形態では、上記出発細胞集団は、一人の患者のみから単離された動員されたヒト末梢血細胞に由来する。
【0169】
CD34+細胞に富む上記開始細胞集団は、好ましくは少なくとも約50%のCD34+細胞、いくつかの実施形態では、約90%を超えるCD34+細胞を含んでもよく、105~109の有核細胞を含んでよい。
【0170】
開始細胞集団は、増幅のために直接使用されるか、後日の使用のために凍結および保存される。
【0171】
造血幹細胞の増幅のために開始細胞集団を培養するための条件は、特に、開始細胞集団、所望の最終細胞数、および所望のHSCの最終割合に応じて変わる。
【0172】
一実施形態では、培養条件は、造血幹細胞の増幅に関して当該技術分野で一般に知られている他のサイトカインおよび成長因子の使用を含む。このようなサイトカインおよび成長因子としては、限定するものではないが、IL-1、IL-3、IL-6、IL-11、G-CSF、GM-CSF、SCF、FIT3-L、トロンボポエチン(TPO)、エリスロポエチン、およびそれらの類似体が挙げられる。本明細書で使用される場合、「類似体(analogs)」は、天然形態としての生物活性を有するサイトカインおよび成長因子の任意の構造変異体を含み、限定するものではないが、TPO受容体に対するアゴニスト抗体(例えば、国際公開第2007/145227号などに詳述されているVB22B sc(Fv)2)など、天然形態またはサイトカイン受容体アゴニストと比較して、生物活性が向上または低下している変異体を含む。最終分化細胞の生成を制限しつつ、HSCおよび前駆細胞を増幅するためにサイトカインと成長因子との組み合わせが選択される。特定の一実施形態では、1種以上のサイトカインおよび成長因子は、SCF、Flt3-LおよびTPOからなる群から選択される。特定の一実施形態では、HSC増幅に適した条件下で、少なくともTPOが無血清培地で使用される。関連する一実施形態では、HSCの増幅方法において、本開示の化合物と組み合わせてIL6、SCF、Flt3-LおよびTPOの混合物が使用される。
【0173】
HSCの増幅は、サイトカインと成長因子の混合物を添加した基礎培地で行われてよい。基礎培地は通常、アミノ酸、炭素源、ビタミン、血清タンパク質(アルブミンなど)、無機塩、二価カチオン、緩衝液、およびHSCの増幅に使用するのに適した他の元素を含む。HSCの増幅方法に適したそのような基礎培地の例としては、限定されることなく、StemSpan(登録商標)SFEM無血清増殖培地(StemCell Technologies、バンクーバー、カナダ)、StemSpan(登録商標)H3000限定培地(StemCell Technologies、バンクーバー、カナダ)、CellGro(登録商標)SCGM(CellGenix、フライブルク、ドイツ)、StemPro(登録商標)-34 SFM(インビトロジェン)が挙げられる。
【0174】
一実施形態では、本開示の化合物は、HSC増幅に適切な濃度で、上記出発細胞集団の増幅方法中に投与される。特定の一実施形態では、上記化合物またはAHR調節剤は、1pM~100μM、例えば10pM~10μM、または100pM~1μMの濃度で投与される。
【0175】
開始細胞集団が1または2単位の臍帯血に由来するCD34+に富む細胞から本質的になる一実施形態では、細胞は約3日~約90日間(例えば2~7日間)、および/または、指定された倍率の増幅と特徴的な細胞集団が得られるまで、HSC増幅条件下で成長される。特定の一実施形態では、細胞は、21日、14日または7日以下の日数の間、HSC増幅条件下で成長される。
【0176】
一実施形態において、出発細胞集団は、CD34+細胞の絶対数が少なくとも105、106、107、108または109に達するのに十分な時間培養される。別の実施形態において、上記出発細胞集団は、CD34+細胞の10~50000倍の増幅、例えば100~10000倍の増幅、例えば50~1000倍の増幅を得るのに十分な時間培養される。
【0177】
増幅方法の後に得られた細胞集団は、更に精製せずに使用しても、あるいは更なる精製または選択ステップを実施してもよい。
【0178】
次いで、細胞集団を洗浄して、本開示の化合物および/または細胞培養物の他の成分を除去し、短期使用のための適切な細胞懸濁培地、あるいは長期保存培地、例えば、凍結保存に適した培地に再懸濁してもよい。
【0179】
(アリール炭化水素受容体アンタゴニスト)
患者への注入前に、造血細胞および前駆細胞は、例えば、該細胞をアリール炭化水素受容体アンタゴニストと接触させることにより、ex vivoで増幅させ得る。本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なアリール炭化水素受容体アンタゴニストには、米国特許第9,580,426号に記載されているものが含まれ、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0180】
いくつかの実施形態では、アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、式(III)で表される化合物であって、
【化3】
式中、Lは、-NR
17a(CH
2)
2-3-、-NR
17a(CH
2)
2NR
17b-、-NR
17a(CH
2)
2S-、-NR
17aCH
2CH(OH)-、および-NR
17aCH(CH
3)CH
2-から選択され、R
17aおよびR
17bは、水素およびC1-4アルキルからそれぞれ独立して選択され、
R
13は、チオフェニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびチアゾリルから選択され、いくつかの実施形態では、R
13の前記チオフェニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
20a、-S(O)
0-2R
20a、-C(O)OR
20a、および-C(O)NR
20aR
20bからそれぞれ独立して選択される1~3のラジカルで任意に置換され得、R
20aおよびR
20bは、水素およびC1-4アルキルからそれぞれ独立して選択され、
R
14は、-S(O)
2NR
18aR
18b、-NR
18aC(O)R
18b-、-NR
18aC(O)NR
18bR
18c、フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-ピロロピリジン-5-イル、1H-インドリルチオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルおよび1H-インダゾリルから選択され、R
18a、R
18bおよびR
18cは、水素およびC1-4アルキルからそれぞれ独立して選択され、R
14の前記フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルまたは1H-インダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
19aR
19b、-S(O)
2NR
19aR
19b、-OS(O)
2NR
19aR
19bおよび-NR
19aS(O)
2R
19bからそれぞれ独立して選択される1~3のラジカルで任意に置換され、R
19aおよびR
19bは、水素およびC1-4アルキルからそれぞれ独立して選択され、
R
15は、水素、C1-4アルキルおよびビフェニルから選択され、
R
16は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルおよび1-(1-(2-(オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルから選択され、前記アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルまたは1-(1-(2-(オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキルおよびハロ置換C1-4アルキルからそれぞれ独立して選択される1~3のラジカルで任意に置換され得る化合物、
あるいはその塩を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なアリール炭化水素受容体アンタゴニストには、以下の式(1)で表わされるSR-1が含まれる。
【化4】
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なアリール炭化水素受容体アンタゴニストには、以下の式(2)で表わされる化合物2が含まれる。
【化5】
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なアリール炭化水素受容体アンタゴニストには、以下の式(2-ent)で表わされる化合物2-entが含まれる。
【化6】
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なアリール炭化水素受容体アンタゴニストには、以下の式(2-rac)で表わされる化合物2-racが含まれる。
【化7】
【0185】
いくつかの実施形態では、アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、式(IV)で表される化合物であって、
【化8】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nO-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nS-、-O(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-O(CR
8aR
8b)
nO-、-O(CR
8aR
8b)
nS-、-S(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-S(CR
8aR
8b)
nO-、-S(CR
8aR
8b)
nS-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択されるリンカーであって、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
2は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
3は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
4は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を含む。
【0186】
本明細書においてリンカー(式(IV)、式(V)等において「L」で表される)を示すために用いられる「-(リンカー)-」(「リンカー」は、NR7a(CR8aR8b)n、O(CR8aR8b)n、C(O)(CR8aR8b)n、C(S)(CR8aR8b)n、S(O)0-2(CR8aR8b)n、(CR8aR8b)n、-NR7aC(O)(CR8aR8b)n、NR7aC(S)(CR8aR8b)n、OC(O)(CR8aR8b)n、OC(S)(CR8aR8b)n、C(O)NR7a(CR8aR8b)n、C(S)NR7a(CR8aR8b)n、C(O)O(CR8aR8b)n、C(S)O(CR8aR8b)n、S(O)2NR7a(CR8aR8b)n、NR7aS(O)2(CR8aR8b)n、およびNR7aC(O)NR7b(CR8aR8b)nなどのように化学式を用いて表される)との表記において、左のハイフンはイミダゾピリジン環系またはイミダゾピラジン環系の指定された位置への共有結合を表し、右のハイフンはR1への共有結合を表す。
【0187】
いくつかの実施形態では、R1は、-S(O)2NR9aR9b、-NR9aC(O)R9b、-NR9aC(S)R9b、-NR9aC(O)NR9bR9c、-C(O)R9a、-C(S)R9a、-S(O)0-2R9a、-C(O)OR9a、-C(S)OR9a、-C(O)NR9aR9b、-C(S)NR9aR9b、-NR9aS(O)2R9b、-NR9aC(O)OR9b、-OC(O)CR9aR9bR9c、-OC(S)CR9aR9bR9c、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、および-NR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R10aおよびR10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0188】
いくつかの実施形態では、R1は、-S(O)2NR9aR9b、-NR9aC(O)R9b、-NR9aC(S)R9b、-NR9aC(O)NR9bR9c、-C(O)R9a、-C(S)R9a、-S(O)0-2R9a、-C(O)OR9a、-C(S)OR9a、-C(O)NR9aR9b、-C(S)NR9aR9b、-NR9aS(O)2R9b、-NR9aC(O)OR9b、-OC(O)CR9aR9bR9c、および-OC(S)CR9aR9bR9cからなる群から選択される。
【0189】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、および-NR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0190】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、または2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、および-NR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0191】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、フェノール-4-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態では、R
1は、以下からなる群から選択される。
【化9】
いくつかの実施形態では、R
1は、以下からなる群から選択される。
【化10】
【0193】
いくつかの実施形態では、R1は、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される。
【0194】
いくつかの実施形態では、Lは、-NR7a(CR8aR8b)n-および-O(CR8aR8b)n-からなる群から選択される。
【0195】
いくつかの実施形態では、Lは、-NH(CH2)2-および-O(CH2)2-からなる群から選択される。
【0196】
いくつかの実施形態では、R2は水素である。
【0197】
いくつかの実施形態では、R3は、任意に置換されたアリールおよび任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択される。
【0198】
いくつかの実施形態では、R3は、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R11aおよびR11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0199】
いくつかの実施形態では、R3は、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、およびチアゾール-5-イルからなる群から選択され、前記チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、またはチアゾール-5-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0200】
いくつかの実施形態では、R3は、チオフェン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリミジン-5-イル、1H-イミダゾール-1-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、およびイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルからなる群から選択され、前記チオフェン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリミジン-5-イル、1H-イミダゾール-1-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、またはイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0201】
いくつかの実施形態では、R
3は、任意に置換された以下からなる群から選択される。
【化11】
【0202】
いくつかの実施形態では、R3は、ピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0203】
いくつかの実施形態では、前記ピリジン-3-イルは、C5において、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で置換される。
【0204】
いくつかの実施形態では、R
3は、以下からなる群から選択される。
【化12】
【0205】
いくつかの実施形態では、R3は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルであり、前記イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0206】
いくつかの実施形態では、R3は、ベンゾ[b]チオフェン-3-イルであり、前記ベンゾ[b]チオフェン-3-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0207】
いくつかの実施形態では、R3は、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イルであり、前記1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0208】
いくつかの実施形態では、R3は、イソキノリン-4-イルであり、前記イソキノリン-4-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0209】
いくつかの実施形態では、R4は水素である。
【0210】
いくつかの実施形態では、R5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、例えば、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0211】
いくつかの実施形態では、R5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択される。
【0212】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イルである。
【0213】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イルである。
【0214】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-sec-ブチルである。
【0215】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-sec-ブチルである。
【0216】
いくつかの実施形態では、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化13】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択される。
【化14】
【0218】
いくつかの実施形態では、R5は(ii)である。
【0219】
いくつかの実施形態では、R5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される。
【0220】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-4-メトキシブタン-2-イルである。
【0221】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-4-メトキシブタン-2-イルである。
【0222】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-5-メトキシペンタン-2-イルである。
【0223】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-5-メトキシペンタン-2-イルである。
【0224】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-4-エトキシブタン-2-イルである。
【0225】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-4-エトキシブタン-2-イルである。
【0226】
いくつかの実施形態では、R6は水素である。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-a)で表される化合物であって、
【化15】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択されるリンカーであって、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され(例えば、R
1は、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択されてよく、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される)、
Arは、任意に置換されたチオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルなどの任意に置換された単環式アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0228】
いくつかの実施形態では、Arはピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-b)で表される化合物であって、
【化16】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Arは、任意に置換されたチオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルなどの任意に置換された単環式アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0230】
いくつかの実施形態では、Aは、フェニル、フェノール-4-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される。
【0231】
いくつかの実施形態では、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-c)で表される化合物であって、
【化17】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0233】
いくつかの実施形態では、Bは、ピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0234】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-d)で表される化合物であって、
【化18】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、およびNR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0235】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-e)で表される化合物であって、
【化19】
式中、Aは、フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、または2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、およびNR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、およびチアゾール-5-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、またはチアゾール-5-イルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化20】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化21】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0236】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-f)で表される化合物であって、
【化22】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
各Zは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択されるか、あるいは、R5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化23】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化24】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0237】
いくつかの実施形態では、各Zは、それぞれ独立して、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基である。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-g)で表される化合物であって、
【化25】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
Zは、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化26】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、およびC(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化27】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0239】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-h)で表される化合物であって、
【化28】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化29】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、およびC(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化30】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0240】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-i)で表される化合物であって、
【化31】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化32】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、およびC(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化33】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-j)で表される化合物であって、
【化34】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化35】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、およびC(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化36】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(IV-k)で表される化合物であって、
【化37】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
nは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、およびC(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化38】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、およびC(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化39】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0243】
いくつかの実施形態では、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)、化合物(10)、化合物(11)、化合物(12)、化合物(13)、化合物(25)、化合物(27)、または化合物(28)、
【化40】
あるいはその塩である。
【0244】
いくつかの実施形態では、アリール炭化水素受容体アンタゴニストには、式(V)で表される化合物が含まれ、
【化41】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nO-、-NR
7a(CR
8aR
8b)
nS-、-O(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-O(CR
8aR
8b)
nO-、-O(CR
8aR
8b)
nS-、-S(CR
8aR
8b)
nNR
7a-、-S(CR
8aR
8b)
nO-、-S(CR
8aR
8b)
nS-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択されるリンカーであって、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
3は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
4は、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0245】
いくつかの実施形態では、R1は、-S(O)2NR9aR9b、-NR9aC(O)R9b、-NR9aC(S)R9b、-NR9aC(O)NR9bR9c、-C(O)R9a、-C(S)R9a、-S(O)0-2R9a、-C(O)OR9a、-C(S)OR9a、-C(O)NR9aR9b、-C(S)NR9aR9b、-NR9aS(O)2R9b、-NR9aC(O)OR9b、-OC(O)CR9aR9bR9c、-OC(S)CR9aR9bR9c、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、およびNR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R10aおよびR10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0246】
いくつかの実施形態では、R1は、-S(O)2NR9aR9b、-NR9aC(O)R9b、-NR9aC(S)R9b、-NR9aC(O)NR9bR9c、-C(O)R9a、-C(S)R9a、-S(O)0-2R9a、-C(O)OR9a、-C(S)OR9a、-C(O)NR9aR9b、-C(S)NR9aR9b、-NR9aS(O)2R9b、-NR9aC(O)OR9b、-OC(O)CR9aR9bR9c、および-OC(S)CR9aR9bR9cからなる群から選択される。
【0247】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、および-NR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0248】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択され、前記フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、または2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH2)2NR10aR10b、-S(O)2NR10aR10b、-OS(O)2NR10aR10b、および-NR10aS(O)2R10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0249】
いくつかの実施形態では、R1は、フェニル、フェノール-4-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される。
【0250】
いくつかの実施形態では、R
1は、以下からなる群から選択される。
【化42】
【0251】
いくつかの実施形態では、R
1は、以下からなる群から選択される。
【化43】
【0252】
いくつかの実施形態では、R1は、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される。
【0253】
いくつかの実施形態では、Lは、-NR7a(CR8aR8b)n-および-O(CR8aR8b)n-からなる群から選択される。
【0254】
いくつかの実施形態では、Lは、-NH(CH2)2-および-O(CH2)2-からなる群から選択される。
【0255】
いくつかの実施形態では、R3は、任意に置換されたアリールおよび任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択される。
【0256】
いくつかの実施形態では、R3は、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択され、前記フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R11aおよびR11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0257】
いくつかの実施形態では、R3は、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、およびチアゾール-5-イルからなる群から選択され、前記チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、またはチアゾール-5-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0258】
いくつかの実施形態では、R3は、チオフェン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリミジン-5-イル、1H-イミダゾール-1-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、およびイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルからなる群から選択され、前記チオフェン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリミジン-5-イル、1H-イミダゾール-1-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、またはイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0259】
いくつかの実施形態では、R
3は、任意に置換された以下からなる群から選択される。
【化44】
【0260】
いくつかの実施形態では、R3は、ピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0261】
いくつかの実施形態では、前記ピリジン-3-イルは、C5において、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で置換される。
【0262】
いくつかの実施形態では、R
3は、以下からなる群から選択される。
【化45】
【0263】
いくつかの実施形態では、R3は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルであり、前記イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0264】
いくつかの実施形態では、R3は、ベンゾ[b]チオフェン-3-イルであり、前記ベンゾ[b]チオフェン-3-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0265】
いくつかの実施形態では、R3は、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イルであり、前記1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0266】
いくつかの実施形態では、R3は、イソキノリン-4-イルであり、前記イソキノリン-4-イルは、例えば、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R11a、-S(O)0-2R11a、-C(O)OR11a、および-C(O)NR11aR11bからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0267】
いくつかの実施形態では、R4は水素である。
【0268】
いくつかの実施形態では、R5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、例えば、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換される。
【0269】
いくつかの実施形態では、R5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択される。
【0270】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イルである。
【0271】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イルである。
【0272】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-sec-ブチルである。
【0273】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-sec-ブチルである。
【0274】
いくつかの実施形態では、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化46】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0275】
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択される。
【化47】
【0276】
いくつかの実施形態では、R5は(ii)である。
【0277】
いくつかの実施形態では、R5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される。
【0278】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-4-メトキシブタン-2-イルである。
【0279】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-4-メトキシブタン-2-イルである。
【0280】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-5-メトキシペンタン-2-イルである。
【0281】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-5-メトキシペンタン-2-イルである。
【0282】
いくつかの実施形態では、R5は(S)-4-エトキシブタン-2-イルである。
【0283】
いくつかの実施形態では、R5は(R)-4-エトキシブタン-2-イルである。
【0284】
いくつかの実施形態では、R6は水素である。
【0285】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-a)で表される化合物であって、
【化48】
式中、Lは、-NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-O(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
0-2(CR
8aR
8b)
n-、-(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(O)(CR
8aR
8b)
n-、-OC(S)(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-C(O)O(CR
8aR
8b)
n-、-C(S)O(CR
8aR
8b)
n-、-S(O)
2NR
7a(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aS(O)
2(CR
8aR
8b)
n-、-NR
7aC(O)NR
7b(CR
8aR
8b)
n-、および-NR
7aC(O)O(CR
8aR
8b)
n-からなる群から選択されるリンカーであって、R
7a、R
7b、R
8aおよびR
8bは、水素および任意に置換されたC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、各nは独立して2~6の整数であり、
R
1は、-S(O)
2NR
9aR
9b、-NR
9aC(O)R
9b、-NR
9aC(S)R
9b、-NR
9aC(O)NR
9bR
9c、-C(O)R
9a、-C(S)R
9a、-S(O)
0-2R
9a、-C(O)OR
9a、-C(S)OR
9a、-C(O)NR
9aR
9b、-C(S)NR
9aR
9b、-NR
9aS(O)
2R
9b、-NR
9aC(O)OR
9b、-OC(O)CR
9aR
9bR
9c、-OC(S)CR
9aR
9bR
9c、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、R
9a、R
9bおよびR
9cは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され(例えば、R
1は、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択されてよく、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、例えば、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される)、
Arは、任意に置換されたチオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルなどの任意に置換された単環式アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0286】
いくつかの実施形態では、Arはピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0287】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-b)で表される化合物であって、
【化49】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Arは、任意に置換されたチオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルなどの任意に置換された単環式アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0288】
いくつかの実施形態では、Aは、フェニル、フェノール-4-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される。
【0289】
いくつかの実施形態では、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される。
【0290】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-c)で表される化合物であって、
【化50】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
R
6は、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0291】
いくつかの実施形態では、Bは、ピリジン-3-イルであり、前記ピリジン-3-イルは、C5において、例えば、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基で任意に置換される。
【0292】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-d)で表される化合物であって、
【化51】
式中、Aは、フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、および1H-インダゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-ピロロピリジニル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、または1H-インダゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、およびチアゾリルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル、またはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0293】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-e)で表される化合物であって、
【化52】
式中、Aは、フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記フェニル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、2-オキソイミダゾリジン-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、または2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-O(CH
2)
2NR
10aR
10b、-S(O)
2NR
10aR
10b、-OS(O)
2NR
10aR
10b、および-NR
10aS(O)
2R
10bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
10aおよびR
10bは、水素、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、および任意に置換されたヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
Bは、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、およびチアゾール-5-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、前記チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、フラン-3-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、イソキノリン-4-イル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、ピリミジン-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1H-イミダゾール-1-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-2-イル、またはチアゾール-5-イルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換され、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化53】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化54】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0294】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-f)で表される化合物であって、
【化55】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
各Zは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択されるか、あるいは、R5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化56】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化57】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0295】
いくつかの実施形態では、各Zは、それぞれ独立して、エトキシカルボニル、メトキシ、シアノ、メチル、メチルスルホニル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、エチニル、およびシクロプロピルからなる群から選択される置換基である。
【0296】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-g)で表される化合物であって、
【化58】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
Zは、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、イソプロピル、メチル、エチル、プロプ-1-エン-2-イル、イソブチル、シクロヘキシル、sec-ブチル、(S)-sec-ブチル、(R)-sec-ブチル、1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、(R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル、およびノナン-2-イルからなる群から選択されるか、あるいは、R5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化59】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化60】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0297】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-h)で表される化合物であって、
【化61】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化62】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化63】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0298】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-i)で表される化合物であって、
【化64】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化65】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化66】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0299】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-j)で表される化合物であって、
【化67】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化68】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化69】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0300】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(V-k)で表される化合物であって、
【化70】
式中、Aは、フェノール-4-イルおよび1H-インドール-3-イルからなる群から選択される任意に置換された環系であり、
qは0~4の整数であり、
rは0または1であり、
WおよびVは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、シアノ、アミノ、-C(O)R
11a、-S(O)
0-2R
11a、-C(O)OR
11a、および-C(O)NR
11aR
11bからなる群から選択される置換基であり、R
11aおよびR
11bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R
5は、C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、および1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、プロプ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキル、およびハロ置換C1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で任意に置換されるか、あるいは、R
5は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)からなる群から選択され、
【化71】
上記式において、nは1~6の整数、mは0~6の整数、pは0~5の整数であり、各Rはシアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、アミノ、-C(O)R
12a、-S(O)
0-2R
12a、-C(O)OR
12a、および-C(O)NR
12aR
12bからなる群から独立して選択され、R
12aおよびR
12bは、水素およびC1-4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
いくつかの実施形態では、R
5は、以下からなる群から選択され、
【化72】
いくつかの実施形態では、R
5は(ii)であり、
いくつかの実施形態では、R
5は、4-メトキシブタン-2-イル、(S)-4-メトキシブタン-2-イル、(R)-4-メトキシブタン-2-イル、4-エトキシブタン-2-イル、(S)-4-エトキシブタン-2-イル、(R)-4-エトキシブタン-2-イル、5-メトキシペンタン-2-イル、(S)-5-メトキシペンタン-2-イル、(R)-5-メトキシペンタン-2-イル、5-エトキシペンタン-2-イル、(S)-5-エトキシペンタン-2-イル、(R)-5-エトキシペンタン-2-イル、6-メトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-メトキシヘキサン-2-イル、(R)-6-メトキシヘキサン-2-イル、6-エトキシヘキサン-2-イル、(S)-6-エトキシヘキサン-2-イル、および(R)-6-エトキシヘキサン-2-イルからなる群から選択される化合物、
あるいはその塩を特徴とする。
【0301】
いくつかの実施形態では、前記アリール炭化水素受容体アンタゴニストは、化合物(14)、化合物(15)、化合物(16)、化合物(17)、化合物(18)、化合物(19)、化合物(20)、化合物(21)、化合物(22)、化合物(23)、化合物(24)、化合物(26)、化合物(29)、または化合物(30)、
【化73】
あるいはその塩である。
【0302】
(CXCR4アンタゴニスト)
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用するための例示的なCXCR4アンタゴニストは、式(I)で表される化合物、
【化74】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式(I)において、Zは、
(i)9~32個の環員を含む環状ポリアミンであって、前記環員のうち2~8個は、2個以上の炭素原子によって互いに分離された窒素原子であるか、または
(ii)式(IA)で表されるアミンであって、
【化75】
式(IA)において、Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式または二環式の縮合環系を含み、Bは、Hまたは1~20個の原子の置換基であり、
式(I)において、Z’は、
(i)9~32個の環員を含む環状ポリアミンであって、前記環員のうち2~8個は、2個以上の炭素原子によって互いに分離された窒素原子であるか、または
(ii)式(IB)で表されるアミンであって、
【化76】
式(IB)において、A’は、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式または二環式の縮合環系を含み、B’は、Hまたは1~20個の原子の置換基であるか、または
(iii)式(IC)で表される置換基であって、
【化77】
式(IC)において、各Rは、それぞれ独立して、HまたはC1-C6アルキルであり、nは1または2であり、Xはアリールもしくはヘテロアリール基またはメルカプタンであり、
式(I)において、linkerは、結合、任意に置換されたアルキレン(任意に置換されたC1-C6アルキレンなど)、任意に置換されたヘテロアルキレン(任意に置換されたC1-C6ヘテロアルキレンなど)、任意に置換されたアルケニレン(任意に置換されたC2-C6アルケニレンなど)、任意に置換されたヘテロアルケニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレンなど)、任意に置換されたアルキニレン(任意に置換されたC2-C6アルキニレンなど)、任意に置換されたヘテロアルキニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレンなど)、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または任意に置換されたヘテロアリーレンである。
【0303】
いくつかの実施形態では、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、9~32個の環員を含む環状ポリアミンであり得、そのうち2~8個は、2個以上の炭素原子によって互いに分離された窒素原子である。いくつかの実施形態では、ZおよびZ’は、同一の置換基である。一例として、Zは、10~24個の環員を含む環状ポリアミンであり得る。いくつかの実施形態では、Zは、14個の環員を含む環状ポリアミンであり得る。いくつかの実施形態では、Zは4つの窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、Zは、1,4,8,11-テトラアゾシクロテトラデカンである。
【0304】
いくつかの実施形態では、linkerは式(ID)で表され、
【化78】
式中、環Dは、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基、任意に置換されたシクロアルキル基、または任意に置換されたヘテロシクロアルキル基であって、
XおよびYは、それぞれ独立して、任意に置換されたアルキレン(任意に置換されたC1-C6アルキレンなど)、任意に置換されたヘテロアルキレン(任意に置換されたC1-C6ヘテロアルキレンなど)、任意に置換されたアルケニレン(任意に置換されたC2-C6アルケニレンなど)、任意に置換されたヘテロアルケニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレンなど)、任意に置換されたアルキニレン(任意に置換されたC2-C6アルキニレンなど)、または任意に置換されたヘテロアルキニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレンなど)である。
【0305】
一例として、linkerは式(IE)で表され得、
【化79】
式中、環Dは、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基、任意に置換されたシクロアルキル基、または任意に置換されたヘテロシクロアルキル基であって、
XおよびYは、それぞれ独立して、任意に置換されたアルキレン(任意に置換されたC1-C6アルキレンなど)、任意に置換されたヘテロアルキレン(任意に置換されたC1-C6ヘテロアルキレンなど)、任意に置換されたC2-C6アルケニレン(任意に置換されたC2-C6アルケニレンなど)、任意に置換されたヘテロアルケニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレンなど)、任意に置換されたアルキニレン(任意に置換されたC2-C6アルキニレンなど)、または任意に置換されたヘテロアルキニレン(任意に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレンなど)である。いくつかの実施形態では、XおよびYは、それぞれ独立して、任意に置換されたC1-C6アルキレンである。いくつかの実施形態では、XおよびYは同一の置換基である。いくつかの実施形態では、XおよびYは、それぞれ、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、またはn-ヘキシレン基であり得る。いくつかの実施形態では、XおよびYはそれぞれメチレン基である。
【0306】
linkerは、例えば、1,3-フェニレン、2,6-ピリジン、3,5-ピリジン、2,5-チオフェン、4,4’-(2,2’-ビピリミジン)、2,9-(1,10-フェナントロリン)などであり得る。
【0307】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なCXCR4アンタゴニストには、式(II)で表されるプレリキサフォル(本明細書では「AMD3100」および「Mozibil」とも呼ばれる)1,1’-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン、またはその薬学的に許容される塩が含まれる。
【化80】
【0308】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得る追加のCXCR4アンタゴニストには、米国特許第5,583,131号に記載の化合物などのプレリキサフォルの変異体が含まれ、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:1,1’-[1,3-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン;1,1’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカンのビス亜鉛またはビス銅錯体;1,1’-[3,3’-ビフェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;11,11’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,11’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2,6-ピリジン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1-[3,5-ピリジン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2,5-チオフェン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[4,4’-(2,2’-ビピリジン)-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2,9-(1,10-フェナントロリン)-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[1,3-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン;1’-[5-ニトロ-1,3-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1’、1’-[2,4,5,6-テトラクロロ-1,3-フェニレン(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[1,4-ナフチレン-ビス-(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[1,3-フェニレンビス-(メチレン)]ビス-1,5,9-トリアザシクロドデカン;1,1’-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-1,5,9-トリアザシクロドデカン;1,1’-[2,5-ジメチル-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1,1’-[2-ブロモ-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;および1,1’-[6-フェニル-2,4-ピリジンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン。
【0309】
いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、米国特許公開第2006/0035829号に記載されている化合物であり、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:3,7,11,17-テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;4,7,10,17-テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン;1,4,7-トリアザシクロテトラデカン;および4,7,10-トリアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン。
【0310】
CXCR4アンタゴニストは、国際公開第2001/044229号に記載されている化合物であり得、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:N-[4-(11-フルオロ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11,11-ジフルオロ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(1,4,7-トリアザシクロテトラデカン-2-オニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[12-(5-オキサ-1,9-ジアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11-オキサ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11-チア-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11-スルホキソ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11-スルホノ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;およびN-[4-(3-カルボキソ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン。
【0311】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用な追加のCXCR4アンタゴニストには、国際公開第2000/002870号に記載の化合物が含まれ、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-N-メチル-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-(アミノメチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-3-(アミノメチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-(2-アミノメチル-5-メチル)ピラジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノエチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)チオフェン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)メルカプタン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-アミノベンジルアミン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-アミノベンジルアミン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-(アミノエチル)イミダゾール;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ベンジルアミン;N-[4-(1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[7-(4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[7-(4,7,10-トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[1-(1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-[4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル]-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-[4,7,10-トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル]-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-プリン;1-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビクス(メチレン)]-4-フェニルピペラジン;N-[4-(1,7-ジアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;およびN-[7-(4,10-ジアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン。
【0312】
いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物である:1-[2,6-ジメトキシピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2-クロロピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2,6-ジメチルピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2-メチルピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2,6-ジクロロピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2-クロロピリド-5-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;および7-[4-メチルフェニル(メチレン)]-4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン。
【0313】
いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、米国特許第5,698,546号に記載されている化合物であり、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:7,7’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;7,7’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス[15-クロロ-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン];7,7’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス[15-メトキシ-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン];7,7’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]-ヘプタデカ-13,16-トリエン-15-オン;7,7’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]-ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;8,8’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-4,8,12,19-テトラアザビシクロ[15.3.1]ノナデカ-1(19),15,17-トリエン;6,6’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6,9,15-テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン;6,6’-[1,3-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6,9,15-テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン;および17,17’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6,14,17,23,24-ヘキサアザトリシクロ[17.3.1.18,12]テトラコサ-1(23),8,10,12(24),19,21-ヘキサエン。
【0314】
いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、米国特許第5,021,409号に記載されている化合物であり、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:2,2’-ビシクラム,6,6’-ビシクラム;3,3’-(ビス-1,5,9,13-テトラアザシクロヘキサデカン);3,3’-(ビス-1,5,8,11,14-ペンタアザシクロヘキサデカン);メチレン(またはポリメチレン)ジ-1-N-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;3,3’-ビス-1,5,9,13-テトラアザシクロヘキサデカン;3,3’-ビス-1,5,8,11,14-ペンタアザシクロヘキサデカン;5,5’-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;2,5’-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;2,6’-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;11,11’-(1,2-エタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;11,11’-(1,2-プロパンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;11,11’-(1,2-ブタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;11,11’-(1,2-ペンタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;および11,11’-(1,2-ヘキサンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン。
【0315】
いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、国際公開第2000/056729号に記載されている化合物であり、その開示は、CXCR4アンタゴニストに関連するため、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群から選択される化合物であり得る:N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-7-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(2-ピリジニルメチル)アミノ]エチル]-N’-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N’-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N’-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N、N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[(2-アミノ-3-フェニル)プロピル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-4-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-キノリニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-(2-ナフトイル)アミノエチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[(S)-(2-アセチルアミノ-3-フェニル)プロピル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[(S)-(2-アセチルアミノ-3-フェニル)プロピル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[3-((2-ナフタレニルメチル)アミノ)プロピル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-(S)-ピロリジニルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-(R)-ピロリジニルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[3-ピラゾリルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-ピロリルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-チオフェンイルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-チアゾリルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-フラニルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(フェニルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-アミノエチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-3-ピロリジニル-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-4-ピペリジニル-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(フェニル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(7-メトキシ-3,4-ジヒドロナフタレニル)-1-(アミノメチル)-4-ベンズアミド;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロナフタレニル)-1-(アミノメチル)-4-ベンズアミド;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-7-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-7-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(2-ナフタレニルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-(イソブチルアミノ)エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(2-ピリジニルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(2-フラニルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-グアニジノエチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[ビス-[(2-メトキシ)フェニルメチル]アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(1H-イミダゾール-4-イルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-(フェニルウレイド)エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[[N’’-(n-ブチル)カルボキサミド]メチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(カルボキサミドメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[(N’’-フェニル)カルボキサミドメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(カルボキシメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(フェニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(5,6-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン(臭化水素酸塩);N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(5-ニトロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;
N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[(1H)-5-アザベンズイミダゾール-2-イルメチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N-(4-フェニル-1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-ベンゾオキサゾリル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(トランス-2-アミノシクロヘキシル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(2-フェニルエチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(3-フェニルプロピル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N’-(トランス-2-アミノシクロペンチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-グリシンアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-アラニンアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-アスパルタミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ピラジンアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-プロリンアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-リジンアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ベンズアミド;N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ピコリンアミド;N’-ベンジル-N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-尿素;N’-フェニル-N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-尿素;N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-4-[[((2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]ベンズアミド;N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノールイニル)-4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]ベンズアミド;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[バクテリアピリジン-7-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)メチル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N’[(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[バクテリアピリジン-7-イル)メチル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N-(2-メトキシエチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ピリジニルメチル)-N-[2-(4-メトキシフェニル)エチル]-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)ベンゼンジメタンアミン;N-[(2,3-ジメトキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-(N’’-フェニル-N’’-メチルウレイド)-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[N’’-p-トルエンスルホニルフェニルアラニル)-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-[3-(2-クロロフェニル)-5-メチル-イソキサゾール-4-オイル]-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-ヒドロキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-シアノフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-シアノフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-アセトアミドフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-フェノキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1-メチル-2-カルボキサミド)エチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-ベンジルオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(チオフェン-2-イル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(ベンジル)-3-ピロリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[[1-メチル-3-(ピラゾール-3-イル)]プロピル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(フェニル)エチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3,4-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-ベンジル-3-カルボキシメチル-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3,4-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(3-ピリジニルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[[1-メチル-2-(2-トリル)カルボキサミド]エチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1,5-ジメチル-2-フェニル-3-ピラゾリノン-4-イル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-プロポキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-フェニル-3,5-ジメチルピラゾリン-4-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[H-イミダゾール-4-イルメチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3-メトキシ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3-シアノフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3-シアノフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(5-エチルチオフェン-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(5-エチルチオフェン-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-ジフルオロメトキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-ジフルオロメトキシフェニルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1,4-ベンゾジオキサン-6-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-(N’’-フェニル-N’’-メチルウレイド)-4-ピペリジニル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン;
N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[N’’-p-トルエンスルホニルフェニルアラニル)-4-ピペリジニル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン;
N-[1-(3-ピリジンカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(シクロプロピルカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(1-フェニルシクロプロピルカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1,4-ベンゾジオキサン-6-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-[3-(2-クロロフェニル)-5-メチル-イソキサゾール-4-カルボキサミド]-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(2-チオメチルピリジン-3-カルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-メチルピロール-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-ヒドロキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3-メトキシ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(3-ピリジニルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[2-(N’’-モルホリノメチル)-1-シクロペンチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1-メチル-3-ピペリジニル)プロピル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(ベンジル)-3-ピロールイジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[[((1-フェニル-3-(N’’-モルホリノ)]プロピル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(イソ-プロピル)-4-ピペリジニル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(エトキシカルボニル)-4-ピペリジニル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1-メチル-3-ピラゾリル)プロピル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-メチル-2-(N’’,N’’-ジエチルカルボキサミド)エチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1-メチル-2-フェニルスルホニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-クロロ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-メチル-2-[N’’-(4-クロロフェニル)カルボキサミド]エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-アセトキシインドール-3-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(3-キノリルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(8-ヒドロキシ)-2-キノリルメチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-キノリルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-アセトアミドフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1H-イミダゾール-2-イルメチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(3-キノリルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(2-チアゾリルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(4-ピリジニルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(5-ベンジルオキシ)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-メチルピラゾール-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-メチル)-1H-イミダゾール-5-イルメチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[[((4-ジメチルアミノ)-1-ナフタレニル]メチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1,5-ジメチル-2-フェニル-3-ピラゾリノン-4-イルメチル]-N,N’-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-[(1-アセチル-2-(R)-プロリニル]-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-[2-アセトアミドベンゾイル-4-ピペリジニル]-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-シアノ-2-フェニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(N’’-アセチルトリプトファニル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(N’’-ベンゾイルバリニル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(4-ジメチルアミノフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(4-ピリジニルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(1-メチルベンズイマダゾール-2-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-ブチル-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-ベンゾイル-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(ベンジル)-3-ピロリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(1-メチル)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1H-イミダゾール-4-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-(ベンジル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[1-メチルベンズイミダゾール-2-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-フェニル)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-[(6-メチルピリジン-2-イル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;N-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルメチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-メトキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-エトキシフェニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-(ベンジルオキシエチル)-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(2-エトキシ-1-ナフタレニル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;N-[(6-メチルピリジン-2-イル)メチル]-N’-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン;1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]グアニジン;N-(2-ピリジニルメチル)-N-(8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;
1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]ホモピペラジン;1-[[3-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]ホモピペラジン;
トランスおよびシス-1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,5-ピペリジンジアミン;N,N’-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-4-(2-ピリミジル)ピペラジン;1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-1-(2-ピリジニル)メチルアミン;2-(2-ピリジニル)-5-[[((2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン;1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,4-ジアミノピロリジン;1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,4-ジアセチルアミノピロリジン;8-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-2,5,8-トリアザ-3-オキサビシクロ[4.3.0]ノナン;および8-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-2,5,8-トリアザビシクロ[4.3.0]ノナン。
【0316】
本明細書に記載される組成物および方法と組み合わせて使用され得るさらなるCXCR4アンタゴニストには、国際公開第2001/085196号、国際公開第1999/050461号、国際公開第2001/094420号、および国際公開第2003/090512号に記載されているものが含まれ、これらのそれぞれの開示は、CXCR4の活性または発現を阻害する化合物に関連するため、参照により本明細書に援用される。
【0317】
(CXCR2アンタゴニスト)
<Gro-β、Gro-βT、およびそれらの変異体>
本明細書に記載される組成物および方法と組み合わせて使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、Gro-βおよびその変異体である。Gro-β(成長制御タンパク質β、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド2(CXCL2)、マクロファージ炎症性タンパク質2-α(MIP2-α)とも呼ばれる)は、例えば、末梢好中球からのプロテアーゼ、特にMMP9の放出を刺激することによって、造血幹細胞および前駆細胞を動員することができるサイトカインである。メカニズムに制限されることなく、MMP9は、幹細胞因子、その対応する受容体、CD117、およびCXCL12など(これらはすべて骨髄に固定された造血幹細胞および前駆細胞を維持する)のタンパク質の分解を刺激することによって、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血への造血幹細胞および前駆細胞の動員を誘導し得る。
【0318】
Gro-βに加えて、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、Gro-βの短縮型、例えば、Gro-βのN末端での1~8アミノ酸の欠失を特徴とするもの(例えば、1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、または8アミノ酸のN末端欠失を特徴とするペプチド)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得るCXCR2アゴニストは、Gro-βのN末端からの最初の4アミノ酸の欠失を特徴とするGro-βTを含む。Gro-βおよびGro-βTは、例えば、米国特許第6,080,398号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0319】
さらに、本明細書に記載される組成物および方法と組み合わせて使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、配列番号1の69位のアスパラギン残基の代わりにアスパラギン酸残基を含むGro-βの変異体である。このペプチドは、本明細書ではGro-β N69Dと呼ばれる。同様に、本明細書に記載の組成物および方法で使用され得るCXCR2アゴニストには、配列番号2の65位のアスパラギン残基の代わりにアスパラギン酸残基を含むGro-βTの変異体が含まれる。このペプチドは、本明細書ではGro-βT N65D Tと呼ばれる。Gro-β N69DおよびGro-βT N65Dは、例えば、米国特許第6,447,766号に記載されている。
【0320】
Gro-β、Gro-βT、Gro-β N69D、およびGro-βT N65Dのアミノ酸配列を以下の表2に示す。
【0321】
【0322】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得る追加のCXCR2アゴニストには、Gro-βと比較して1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を有するペプチドなど、Gro-βの他の変異体が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得るCXCR2アゴニストには、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するペプチド)が含まれる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号1のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20以下、15以下、10以下、5以下、または1以下の非保存的アミノ酸置換により、配列番号1のアミノ酸配列と異なる。
【0323】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なCXCR2アゴニストのさらなる例は、Gro-βTと比較して1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を有するペプチドなどのGro-βTの変異体である。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するペプチド)であり得る。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号2のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20以下、15以下、10以下、5以下、または1以下の非保存的アミノ酸置換により、配列番号2のアミノ酸配列と異なる。
【0324】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なCXCR2アゴニストのさらなる例は、Gro-β N69Dと比較して1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を有するペプチドなどのGro-β N69Dの変異体である。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するペプチド)であり得る。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号3のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20以下、15以下、10以下、5以下、または1以下の非保存的アミノ酸置換により、配列番号3のアミノ酸配列と異なる。
【0325】
本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有用なCXCR2アゴニストのさらなる例は、Gro-βT N65Dと比較して1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を有するペプチドなどのGro-βT N65Dの変異体である。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有するペプチド)であり得る。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号4のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20以下、15以下、10以下、5以下、または1以下の非保存的アミノ酸置換により、配列番号4のアミノ酸配列と異なる。
【0326】
<アゴニスト性抗CXCR2抗体およびその抗原結合フラグメント>
いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、CXCR2に結合し、CXCR2シグナル伝達を活性化する抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、例えば、競合CXCR2結合アッセイによって評価したときに、Gro-βまたはその変異体もしくは短縮型、例えばGro-βT、と同じCXCR2上のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストは、CXCR2への結合について、Gro-βまたはその変異体もしくは短縮型、例えばGro-βT、と競合する抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0327】
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、ポリクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント、二重可変免疫グロブリンドメイン、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャフォールド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab’)2分子、タンデムdi-scFvからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEからなる群から選択されるアイソタイプを有する。
【0328】
(合成CXCR2アゴニスト)
本明細書に記載のペプチドCXCR2アゴニスト、例えば、Gro-β、Gro-βT、およびそれらの変異体は、例えば、固相ペプチド合成技術を使用して合成的に調製してよい。固相ペプチド合成を実施するためのシステムおよびプロセスには、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第9,169,287号;米国特許第9,388,212号;米国特許第9,206,222号;米国特許第6,028,172号;および米国特許第5,233,044号に記載されているものが含まれ、これらのそれぞれの開示は、固体支持体上におけるペプチド合成のプロトコルおよび技術に関連するため、参照により本明細書に援用される。固相ペプチド合成は、高分子樹脂(例えば、ポリエチレングリコール含有樹脂などの親水性樹脂、またはポリスチレンベースの樹脂などの疎水性樹脂)などの固体支持体に固定化されたペプチドにアミノ酸残基が付加されるプロセスである。
【0329】
ペプチド、特にアミノ、ヒドロキシ、チオール、およびカルボキシ置換基に保護基を含むペプチドは、ペプチドが固体支持体上に効果的に固定化されるように、固体支持体に結合され得る。例えば、ペプチドはそのC末端を介して固体支持体に結合され得、それにより、樹脂-液体界面での後続の反応のためにペプチドを固定化する。
【0330】
アミノ酸残基を固定化ペプチドに付加するプロセスは、脱保護試薬を固定化ペプチドに曝露して、固定化ペプチドの少なくとも一部から保護基の少なくとも一部を除去することを含み得る。脱保護試薬の曝露工程は、例えば、N-末端保護基が除去されている間、側鎖保護基が保持されるように構成され得る。例えば、例示的なアミノ保護は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)置換基を含む。ピペリジン(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)などの適切な有機溶媒中のピペリジン溶液)などの強塩基性物質を含む脱保護試薬は、Fmoc保護基が固定化ペプチドの少なくとも一部から除去されるように、固定化ペプチドに曝露され得る。アミノ置換基の保護に適した他の保護基には、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)部分が含まれる。トリフルオロ酢酸(TFA)などの強酸を含む脱保護試薬は、イオン化プロセスによってBoc保護基を除去するために、Boc保護アミノ置換基を含む固定化ペプチドに曝露され得る。このようにして、固定化ペプチドの1つ以上の側鎖またはN末端もしくはC末端などの特定の部位でペプチドを保護および脱保護し、これらの位置の1つ以上に位置選択的に化学官能基を付加することができる。これは、例えば、固定化ペプチドの側鎖を誘導体化するために、または例えばC末端からN末端へとペプチドを合成するために使用することができる。
【0331】
固定化ペプチドにアミノ酸残基を付加するプロセスは、例えば、活性化アミノ酸の少なくとも一部が固定化ペプチドに結合して新たに結合したアミノ酸残基を形成するように、保護された活性化アミノ酸を固定化ペプチドに曝露することを含み得る。例えば、ペプチド鎖を1アミノ酸だけ延長するために、ペプチドを、ペプチドの脱保護されたN末端と反応する活性化アミノ酸に曝露し得る。アミノ酸と、アミノ酸の主鎖カルボニル炭素の求電子性を増強する薬剤との反応によって、アミノ酸を脱保護されたペプチドとの反応のために活性化することができる。例えば、ホスホニウム塩とウロニウム塩は、三級塩基(とりわけ、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)およびトリエチルアミン(TEA)など)の存在下で、保護されたアミノ酸を活性種に変換する(例えば、BOP、PyBOP、HBTU、およびTBTUはすべてHOBtエステルを生成する)。塩基の存在下で誘発される可能性のあるラセミ化を防ぐために、他の試薬を使用することができる。これらの試薬には、補助求核試薬(例えば、1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、またはHOSu)またはその誘導体が追加されたカルボジイミド(例えば、DCCまたはWSCDI)が含まれる。ラセミ化を防ぐために利用することができる別の試薬はTBTUである。この試薬はラセミ化が低いため、アジド法と同様に、追加の補助求核試薬有り又は無しでクロロギ酸イソブチルを使用する混合無水物法も使用することができる。これらのタイプの化合物は、カルボジイミドを介したカップリングの速度を高め、AsnおよびGln残基の脱水を防ぐこともできる。典型的な追加試薬には、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン(TEA)、またはN-メチルモルホリン(NMM)などの塩基も含まれる。これらの試薬は、例えば、米国特許第8,546,350号に詳細に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に援用される。
【0332】
水溶液中でのGro-βおよびGro-βTの組換え発現およびフォールディング中に、特定のC末端アスパラギン残基(Gro-β内のAsn69およびGro-βT内のAsn65)は、脱アミド化される傾向がある。このプロセスは、アスパラギン残基のアスパラギン酸への変換を実現する。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、Gro-βおよびGro-βTの化学合成は、例えば、このアスパラギン残基の求核溶媒への曝露を低減する条件を提供することによって、この問題を克服し得る。例えば、上記の固相ペプチド合成技術を使用して合成的に調製される(即ち、化学的に合成される)場合、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得る合成Gro-β、合成Gro-βT、およびそれらの変異体は、これらのペプチドの脱アミド化型と比較して、例えば、少なくとも約95%の純度を有し得る(即ち、対応する脱アミド化ペプチドを5%未満含む)。例えば、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて使用され得る合成Gro-β、合成Gro-βT、およびそれらの変異体は、これらのペプチドの脱アミド化型(例えば、配列番号1のAsn69脱アミド化型または配列番号2のAsn65脱アミド化型)と比較して、約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.99%、またはそれ以上の純度を有し得る。例えば、合成Gro-β、合成Gro-βT、およびそれらの変異体は、例えば、これらのペプチドの脱アミド化型(例えば、配列番号1のAsn69脱アミド化型または配列番号2のAsn65脱アミド化型)と比較して、約95%~約99.99%の純度、例えば、約95%~約99.99%、約96%~約99.99%、約97%~約99.99%、約98%~約99.99%、約99%~約99.99%、約99.9%~約99.99%、約95%~約99.5%、約96%~約99.5%、約95%~約99%、または約97%~約99%の純度を有し得る。
【0333】
(増幅方法および治療用組成物により得られた、増幅された造血幹細胞を有する細胞集団)
別の態様では、本開示は、造血幹細胞の集団を含む組成物を特徴とし、当該造血幹細胞またはその前駆細胞は上記の態様または実施形態のいずれか1つの化合物と接触され、これにより造血幹細胞またはその前駆細胞が増幅されている。
【0334】
本発明は更に、上記の増幅方法により得ることができるまたは得られた増幅された造血幹細胞を含む細胞集団を提供する。一実施形態では、そのような細胞集団は、哺乳動物宿主への投与に適した薬学的に許容される媒体に再懸濁され、それにより治療用組成物が提供される。
【0335】
本開示で定義される化合物は、例えば1または2単位の臍帯血のみからのHSCの増幅を可能にし、それを必要とするヒト患者における効率的な短期および長期の生着に定量的および定性的に適した細胞集団を提供する。一実施形態では、本開示は、1または2単位以下の臍帯血に由来する増幅HSCを有する細胞集団を含む治療用組成物に関する。一実施形態では、本開示は、総量で少なくとも約105、少なくとも約106、少なくとも約107、少なくとも約108、または少なくとも約109の細胞を含み、全細胞の約20%~100%、例えば全細胞の約43%~約80%がCD34+細胞である治療用組成物に関する。特定の実施形態では、上記組成物は、全細胞の20~100%、例えば43~80%がCD34+CD90+CD45RA-である。
【0336】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD90+CD45RA-造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、造血幹細胞はCD34+CD90+CD45RA-造血幹細胞である。
【0337】
いくつかの実施形態では、治療用組成物の造血幹細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト細胞はCD34+細胞であり、例えばCD34+細胞は、CD34+細胞、CD34+CD38-細胞、CD34+CD38-CD90+細胞、CD34+CD38-CD90+CD45RA-細胞、CD34+CD38-CD90+CD45RA-CD49F+細胞、またはCD34+CD90+CD45RA-細胞である。
【0338】
いくつかの実施形態では、治療用組成物の造血幹細胞は、ヒト臍帯血、動員されたヒト末梢血、またはヒト骨髄から取得される。造血幹細胞は、例えば、ヒトから新鮮単離されても、事前に凍結保存されてもよい。
【0339】
(処置方法)
本明細書に記載するように、造血幹細胞移植療法は、幹細胞障害を患う患者において欠乏または欠陥のある血球系統などの1種以上の血液細胞型を配置または再配置するために、処置を必要とする対象に実施することができる。造血幹細胞および前駆細胞は多能性を示し、このため、限定するものではないが、顆粒球(前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球など)、赤血球(網状赤血球、赤血球など)、栓球(巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板など)、単球(単球、マクロファージなど)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、リンパ球(NK細胞、B細胞およびT細胞など)を含む複数の異なる血液系統に分化することができる。造血幹細胞は、更に自己再生が可能であり、このため母細胞と同等のポテンシャルを有する娘細胞を生じさせることができると共に、移植レシピエントに再導入されて、造血幹細胞のニッチにホーミングし、生産的かつ持続的な血球新生を再確立する能力を特徴とする。したがって、造血幹細胞および前駆細胞は、患者において造血系統の細胞型が欠乏または欠陥のある広範な障害の処置に有用な療法となる。欠乏または欠陥は、例えば、化学療法用薬剤の投与に起因する内因性造血系細胞の集団の枯渇によって引き起こされ得る(本明細書に記載の血液癌などの癌を患う患者の場合など)。欠乏または欠陥は、例えば、自己抗原と交差反応するTリンパ球またはBリンパ球などの自己反応性免疫細胞の活性に起因する内因性造血系細胞の集団の枯渇によって引き起こされ得る(本明細書に記載の自己免疫障害などの自己免疫障害を患う患者の場合など)。上記に加えて、あるいは上記に代えて、細胞活性の欠乏または欠陥は、酵素の異常な発現によって引き起こされ得る(例えば、本明細書に記載の代謝障害などの様々な代謝障害を患う患者の場合など)。
【0340】
このため、造血幹細胞は、欠陥または欠乏のある細胞集団を生体内で再構築するために、1種以上の造血系統の細胞型の欠陥または欠乏のある患者に投与し、これにより内因性の血球集団の欠陥または枯渇に関連する病理を処置することができる。造血幹細胞および前駆細胞は、例えば、非悪性異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、およびウィスコット・アルドリッチ症候群からなる群から選択される異常ヘモグロビン症)の処置に使用することができる。この場合、例えば、CXCR4アンタゴニストおよび/またはCXCR2アゴニストは、ドナー、例えば、そのような処置に応答して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中への造血幹細胞および前駆細胞の集団の放出を示す可能性が高いと特定されたドナーに投与され得る。このように動員された造血幹細胞および前駆細胞は、ドナーから取り出されて、患者に投与され、そこで該細胞は造血幹細胞ニッチにホーミングし、該患者において損傷または欠乏している細胞の集団を再構築する。
【0341】
対象の末梢血に動員された造血幹細胞または前駆細胞は、任意の適切な技術により対象から取り出され(例えば、ハーベストまたは収集され)得る。例えば、造血幹細胞または前駆細胞が、採血により回収され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で意図されるように対象の末梢血に動員された造血幹細胞または前駆細胞が、アフェレーシスを使用してハーベスト(すなわち、収集)され得る。いくつかの実施形態では、ドナーの血液中の動員された造血幹細胞または前駆細胞を増やすために、アフェレーシスが使用され得る。
【0342】
疾患の徴候または症状が緩和された場合、本開示の増幅された造血幹細胞組成物の用量が治療効果を達成したとみなされる。疾患の徴候または症状には、疾患に関連する1種以上のバイオマーカー、または疾患の1以上の臨床症状が含まれ得る。
【0343】
例えば、増幅された造血幹細胞組成物の投与により、疾患を患う人で上昇していたバイオマーカーが低下するか、あるいは疾患を患う人で低下していたバイオマーカーのレベルが上昇し得る。
【0344】
例えば、本開示の増幅された造血幹細胞組成物の投与は、代謝障害を患う人において低下している酵素のレベルを上昇させ得る。バイオマーカーのレベルのこの変化は、部分的なものであってもよく、またはバイオマーカーのレベルが健康な人で通常見られるレベルに戻ってもよい。
【0345】
一実施形態では、疾患が、例えば、神経学的要素を有する遺伝性代謝障害である場合、増幅された造血幹細胞組成物は、当該遺伝性代謝障害の1つ以上の臨床症状を部分的または完全に軽減し得る。本開示の増幅された造血幹細胞組成物の投与により影響を受け得る例示的であるが非限定的な症状は、運動失調、ジストニア、運動障害、てんかん、および末梢神経障害を含む。
【0346】
いくつかの場合において、神経学的要素を有する遺伝性代謝障害の徴候または症状は、心理学的徴候または症状を含む。例えば、上記障害の徴候または症状は、急性精神病性障害、幻覚、抑うつ症候群、その他の症状または症状の組み合わせを含む。神経学的要素を有する代謝障害に関連する心理的徴候または症状を評価する方法は、当業者に知られているであろう。
【0347】
遺伝性代謝障害の発症は、成人であっても小児であってもよい。
【0348】
遺伝性代謝障害は、神経系の変性を引き起こし得る。
【0349】
障害の徴候または症状を緩和することは、神経変性の速度または疾患の進行速度を遅くすることを含み得る。
【0350】
障害の徴候または症状を緩和することは、神経変性を逆転させること、または疾患の進行を逆転させることを含み得る。神経変性の例示的な症状は、記憶喪失、無関心、不安、興奮、抑制の喪失、および気分変化を含む。神経変性およびその進行を評価する方法は、当業者に知られているであろう。
【0351】
例えば、ハーラー症候群を患っている患者では、ヘパランおよびデルマタン硫酸の蓄積は、α-L-イズロニダーゼの欠乏から起こる。これらの蓄積された基質をよりよく取り除く処置は、根本的な障害をよりよく修正するであろう。
【0352】
上記に加えて、あるいは上記に代えて、先天性免疫不全などの免疫不全を処置するために、造血幹細胞および前駆細胞を使用することができる。上記に加えて、あるいは上記に代えて、本明細書に記載の組成物および方法は、後天性免疫不全(例えば、HIVおよびAIDSからなる群から選択される後天性免疫不全)を処置するために使用できる。この場合、例えば、CXCR4アンタゴニストおよび/またはCXCR2アゴニストは、ドナー、例えば、そのような処置に応答して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中への造血幹細胞および前駆細胞の集団の放出を示す可能性が高いと特定されたドナーに投与され得る。このように動員された造血幹細胞および前駆細胞は、ドナーから取り出されて、患者に投与され、そこで該細胞は造血幹細胞ニッチにホーミングし、該患者において損傷または欠乏している免疫細胞(Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、または他の免疫細胞など)の集団を再構築し得る。
【0353】
造血幹細胞および前駆細胞は、代謝障害(例えば、糖原蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー症候群またはハーラー病、スフィンゴリピドーシス、スライ症候群、α-マンノシドーシス、X-ALD、アスパルチルグルコサミン尿症、ウォルマン病、乳児後期型異染性白質ジストロフィー、ニーマン・ピック病C型、ニーマン・ピック病B型、若年型テイ・サックス病、幼児型テイ・サックス病、若年型サンドホフ病、幼児型サンドホフ病、GM1-ガングリオシドーシス、ムコ多糖症IV型(モルキオ症候群)、発症前または軽症型グロボイド細胞白質ジストロフィー、新生児および無症候性の場合の乳児クラッベ病、早期診断型フコース蓄積症、ファブリー病、MPSI S型、MPS IH/S型、MPS II型、酵素補充療法(ERT)を伴う場合、または同種抗体がERTの効果を低下させる場合のMPS VI型、同種抗体がERTの効果を低下させる場合のポンペ病、ムコリピドーシスII型、および異染性白質ジストロフィーからなる群から選択される代謝障害)の処置にも使用することができる。この場合、例えば、CXCR4アンタゴニストおよび/またはCXCR2アゴニストは、ドナー、例えば、そのような処置に応答して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中への造血幹細胞および前駆細胞の集団の放出を示す可能性が高いと特定されたドナーに投与され得る。このように動員された造血幹細胞および前駆細胞は、ドナーから取り出されて、患者に投与され、そこで該細胞は造血幹細胞ニッチにホーミングし、該患者において損傷または欠乏している造血細胞の集団を再構築し得る。
【0354】
上記に加えて、あるいは上記に代えて、血液癌または骨髄増殖性疾患などの悪性疾患または増殖性疾患を処置するために、造血幹細胞または前駆細胞を使用することができる。癌の処置の場合、例えば、CXCR4アンタゴニストおよび/またはCXCR2アゴニストは、ドナー、例えば、そのような処置に応答して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中への造血幹細胞および前駆細胞の集団の放出を示す可能性が高いと特定されたドナーに投与され得る。このように動員された造血幹細胞および前駆細胞は、ドナーから取り出されて、患者に投与され、そこで該細胞は造血幹細胞ニッチにホーミングし、該患者において損傷または欠乏している細胞の集団、例えば、患者への1つ以上の化学療法剤の投与により損傷または欠乏している造血細胞の集団を再構築する。いくつかの実施形態では、全身への化学療法の際など、癌細胞を根絶させる際に枯渇した細胞集団を再配置させるために、造血幹細胞または前駆細胞が患者に注入され得る。本明細書に記載の組成物および方法に従って造血幹細胞および前駆細胞を投与することにより処置され得る例示的な血液癌としては、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキンリンパ腫、ならびに神経芽細胞腫を含む他の癌性状態が挙げられる。
【0355】
造血幹細胞および前駆細胞を患者に投与することにより処置され得る他の疾患としては、限定するものではないが、アデノシンデアミナーゼ欠損症および重症複合免疫不全、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック・東病、遺伝性リンパ組織球増殖症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵病、サラセミアメジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、および若年性関節リウマチが挙げられる。
【0356】
更に、自己免疫障害の処置に、造血幹細胞および前駆細胞の投与を用いることができる。いくつかの実施形態では、患者に注入されると、移植された造血幹細胞および前駆細胞は、骨髄などの幹細胞ニッチにホーミングし、生産的な血球新生を確立し得る。この結果、自己反応性リンパ球(自己反応性Tリンパ球および/または自己反応性Bリンパ球など)の活性により自己免疫細胞が根絶されて枯渇した細胞集団が再構築され得る。造血幹細胞および前駆細胞を患者に投与する方法により処置可能な自己免疫障害としては、限定するものではないが、乾癬、乾癬性関節炎、I型糖尿病(1型糖尿病)、関節リウマチ(RA)、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、リンパ球性大腸炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアックスプルー・疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、クレスト症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経失調症、子宮内膜症、本態性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛症・線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性および/または急性型血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、神経性筋強直症、オプソクローヌス・ミオクローヌス運動失調(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発性動脈炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」とも呼ばれる)、潰瘍性大腸炎、膠原線維大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(「外陰部前庭炎」)、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0357】
更に、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、軽度認知障害、アミロイドーシス、AIDS関連認知症、脳炎、脳卒中、頭部外傷、てんかん、気分障害、または認知症などの神経障害の処置に造血幹細胞移植療法が使用されてよい。本明細書に記載するように、造血幹細胞は、患者に移植されると中枢神経系に移動して、例えばミクログリア細胞に分化し、それにより、神経障害を患う患者で損傷または欠乏し得る細胞集団を再構築する。この場合、例えば、造血幹細胞の集団は、神経障害を患う患者に投与され、そこで該細胞は患者の脳などの中枢神経系にホーミングし、該患者において損傷または欠乏している造血細胞(ミクログリア細胞など)の集団を再構築し得る。
【0358】
(遺伝性代謝障害の処置方法-脳におけるミクログリア移植のための増幅CD90+幹細胞の投与)
本明細書に記載するように、造血幹細胞移植療法は、幹細胞障害を患う患者において欠乏または欠陥のある血球系統などの1種以上の血液細胞型を配置または再配置するために、処置を必要とする対象に投与することができる。造血幹細胞および前駆細胞は多能性を示し、このため、一実施形態ではミクログリアを含む複数の異なる血液系統に分化することができる。
【0359】
一実施形態では、遺伝性代謝障害の造血幹細胞移植療法または造血幹細胞移植は、交差修正(cross-correction)を使用して達成されてよい(Wynn, R. “Stem Cell Transplantation in Inherited Metabolic Disorders” Hematology 2011年、285-291頁)。交差修正は、患者またはホスト組織における増幅されたHSCの生着を含み、移植された細胞は欠乏酵素を分泌し、次いで、前記欠乏酵素は、その酵素が欠乏している患者の細胞によって取り込まれる。
【0360】
一実施形態では、処置対象の遺伝性代謝障害は、ハーラー症候群(ハーラー病)、ムコ多糖障害(マロトー・ラミー症候群など)、リソソーム蓄積症、ペルオキシソーム病(Xリンク型副腎白質ジストロフィーなど)、糖原蓄積症、ムコ多糖症、ムコリピドーシスII型、ゴーシェ病、スフィンゴリピドーシス、異染性白質ジストロフィーから選択される。
【0361】
特定の実施形態では、患者または健康なドナーのHSCは、本開示のCXCR2アゴニストおよび/またはCXCR4アンタゴニストを使用して動員される。CXCR4アンタゴニストは、プレリキサフォルまたはその変異体であり得、CXCR2アゴニストは、Gro-βまたはその変異体、例えばGro-βの短縮型、例えばGro-βTであり得る。次に、動員されたHSCが対象の末梢血サンプルから分離される。HSCを単離する方法は、当業者には容易に明らかであろう。HSCが遺伝性代謝障害のある対象から分離された場合、障害につながる遺伝的欠陥を修正するためにHSCを遺伝子改変し、本開示の方法を使用して増幅し、その後、修正かつ増幅された細胞を患者に移植して戻すことができる(自己移植)。任意に、HSCは、遺伝子改変の前に増幅させてもよい。あるいは、HSCは、(1)遺伝性代謝障害を患っておらず、かつ(2)遺伝性代謝障害を患っている対象に適合するドナーである健康な個人において、本開示のCXCR2アゴニストおよび/またはCXCR4アンタゴニストを使用して動員され得る。HSCは、動員後に収集されたこの健康な個人から採取した血液サンプルから分離され得、HSCは、本開示の増幅方法を使用して増幅され得、増幅された細胞は、遺伝性代謝障害のある対象に移植され得る。
【0362】
本開示の方法で調製されたHSCは、新鮮な細胞またはサイトカインの存在下で培養された細胞よりも多くのミクログリアの生着をもたらすことが見出された。これは、増幅された細胞集団に、より多くのCD90+細胞が存在するためである。
【0363】
必要とする対象において遺伝性代謝障害を処置するための本明細書に開示の方法は、それを必要とする対象に増幅された造血幹細胞の集団を投与することを含む。一実施形態では、対象に投与される増幅された造血幹細胞の数は、治療効果を達成するために必要な造血幹細胞の量以上である。一実施形態では、対象に投与される増幅された造血幹細胞の数は、治療効果を達成するために必要な造血幹細胞の量を超える。一実施形態では、達成される治療効果は、投与する増幅された造血幹細胞の数に比例する。
【0364】
疾患の徴候または症状が緩和された場合、本開示の増幅された造血幹細胞組成物の用量が治療効果を達成したとみなされる。疾患の徴候または症状には、疾患に関連する1種以上のバイオマーカー、または疾患の1以上の臨床症状が含まれ得る。
【0365】
例えば、増幅された造血幹細胞組成物の投与により、疾患を患う人で上昇していたバイオマーカーが低下するか、あるいは疾患を患う人で低下していたバイオマーカーのレベルが上昇し得る。
【0366】
例えば、本開示の増幅された造血幹細胞組成物の投与は、代謝障害を患う人において低下している酵素のレベルを上昇させ得る。バイオマーカーのレベルのこの変化は、部分的なものであってよく、またはバイオマーカーのレベルが健康な人で通常見られるレベルに戻ってもよい。
【0367】
一実施形態では、疾患が、例えば、神経学的要素を有する遺伝性代謝障害である場合、増幅された造血幹細胞組成物は、当該遺伝性代謝障害の1つ以上の臨床症状を部分的または完全に軽減し得る。本開示の増幅された造血幹細胞組成物の投与により影響を受け得る例示的であるが非限定的な症状は、運動失調、ジストニア、運動障害、てんかん、および末梢神経障害を含む。
【0368】
いくつかの場合において、神経学的要素を有する遺伝性代謝障害の徴候または症状は、心理学的徴候または症状を含む。例えば、上記障害の徴候または症状は、急性精神病性障害、幻覚、抑うつ症候群、その他の症状または症状の組み合わせを含む。神経学的要素を有する代謝障害に関連する心理的徴候または症状を評価する方法は、当業者に知られているであろう。
【0369】
遺伝性代謝障害の発症は、成人であっても小児であってもよい。
【0370】
遺伝性代謝障害は、神経系の変性を引き起こし得る。
【0371】
障害の徴候または症状を緩和することは、神経変性の速度または疾患の進行速度を遅くすることを含み得る。
【0372】
障害の徴候または症状を緩和することは、神経変性を逆転させること、または疾患の進行を逆転させることを含み得る。神経変性の例示的な症状は、記憶喪失、無関心、不安、興奮、抑制の喪失、および気分変化を含む。神経変性およびその進行を評価する方法は、当業者に知られているであろう。
【0373】
例えば、ハーラー症候群を患っている患者では、ヘパランおよびデルマタン硫酸の蓄積は、α-L-イズロニダーゼの欠乏から起こる。これらの蓄積された基質をよりよく取り除く処置は、根本的な障害をよりよく修正するであろう。
【0374】
<ドナーおよび患者の選定>
いくつかの実施形態では、患者はドナーである。この場合、採取した造血幹細胞または前駆細胞が患者に再注入され、患者の体内で、細胞が造血組織にホーミングし、生産的な血球新生を確立し、欠陥または欠乏のある細胞株(巨核球、栓球(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、およびBリンパ球の集団など)を配置または再配置し得る。この場合、注入された細胞は患者に由来し、患者で発現されているのと同じHLAのクラスI抗原およびクラスII抗原を発現するため、移植された造血幹細胞または前駆細胞は移植片拒絶を受ける可能性が極めて低い。
【0375】
あるいは、患者とドナーとが異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、患者とドナーとは関連していて、例えば、HLA適合であってよい。本明細書に記載するように、HLA適合のドナー・レシピエントペアにおいては、移植レシピエントの内因性のT細胞およびNK細胞が、造血幹細胞または前駆細胞移植片を異物と認識する可能性が低く、このため、移植に対する免疫応答を開始する可能性が低く、移植片拒絶のリスクが低い。HLA適合のドナー・レシピエントペアの例としては、家族ドナー・レシピエントペア(兄弟のドナー・レシピエントペア等)など、遺伝的に関連するドナーとレシピエントとが挙げられる。
【0376】
いくつかの実施形態では、患者およびドナーはHLA不適合であり、これは、特にHLA-A、HLA-BおよびHLA-DRに関して、少なくとも1種類のHLA抗原がドナーとレシピエントの間で不適合である場合に発生する。例えば、移植片拒絶の可能性を低減させるために、ハプロタイプの一方がドナーとレシピエントの間で適合であって、他方が不適合であってよい。
【0377】
(造血幹細胞または前駆細胞の投与および投与量)
本明細書に記載の造血幹細胞および前駆細胞は、1以上の投与経路によって、本明細書に記載の疾患、状態、または障害を患う哺乳動物対象(ヒト対象等)などの対象に投与され得る。例えば、本明細書に記載される造血幹細胞は、静脈内注入により対象に投与され得る。造血幹細胞は、任意の適切な投与量で投与され得る。投与量の非限定的な例には、レシピエントの体重1kgあたり、約1×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg(例えば、約2×105個のCD34+細胞/kg~約9×106個のCD34+細胞/kg、約3×105個のCD34+細胞/kg~約8×106個のCD34+細胞/kg、約4×105個のCD34+細胞/kg~約7×106個のCD34+細胞/kg、約5×105個のCD34+細胞/kg~約6×106個のCD34+細胞/kg、約5×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg、約6×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg、約7×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg、約8×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg、約9×105個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kg、または約1×106個のCD34+細胞/kg~約1×107個のCD34+細胞/kgなど)が含まれる。
【0378】
本明細書に記載される造血幹細胞または前駆細胞および薬学的組成物は、対象に1回以上投与され得る。複数回の投与が行われる場合、次回の投与は、最初の投与から1日以上、数週間、数ヶ月、または数年後に行われてよい。
【実施例】
【0379】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物および方法をどのように使用、作製、および評価することができるかを当業者に説明するもので、純粋に例示を意図するものであって、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0380】
(実施例1)
アリール炭化水素受容体アンタゴニストを用いた処置による遺伝子改変された造血幹細胞または前駆細胞の増幅
<方法>
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、およびUM171[式(VI)]とともに、SR1を含む一連のアリール炭化水素受容体アンタゴニストをサイトカインの存在下で評価し、ex vivoで初代(primary)ヒトCD34+細胞を増幅させた。細胞数と免疫表現型をフローサイトメトリーで評価し、HSC機能をin vitroでの細胞および分子アッセイで評価した。増幅した細胞を、致死量以下の放射線を照射されたNSGマウスに移植して、in vivoでの生着ポテンシャルを評価した。編集研究のために、mPBおよびBM CD34+細胞を、β2ミクログロブリン(B2M)細胞表面タンパク質を標的とするCRISPR/Cas9 RNPでエレクトロポレーションした。編集率は、タンパク質発現のロスとTIDE分析とに基づいて、フローサイトメトリーによって評価された。編集された細胞は、AHRアンタゴニストまたはビヒクルの存在下で増幅され、NSGマウスに移植された。この実施例に記載される実験で使用されるAHRアンタゴニストは、本明細書の化合物26である。生着率および編集率は、末梢血および骨髄のフローサイトメトリーによって評価された。
【化81】
【0381】
<結果>
これらの実験の結果に基づいて、AHRでアンタゴニストを用いて増幅された培養物は、操作されていない細胞と比較して、NSG生着レベルについて最大の改善を示した。SR1または別のAHRアンタゴニストである化合物26を使用したCD34+細胞の培養は、CD34+数の6倍の増加と、ビヒクル培養されたCB由来のCD34+細胞に比べてNSGマウスにおける生着の有意な増加をもたらした。アリール炭化水素受容体アンタゴニストAは、ダイオキシン応答要素ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて完全なAHR拮抗作用を示し、SR1と比較してより強力なアンタゴニストであった(12倍の効力の増加)。AHRアンタゴニスト化合物が遺伝子編集細胞を効果的に増幅する能力を評価するために、mPBおよびBM由来のCD34+細胞をビヒクルまたはAHRアンタゴニストで処理し、翌日、B2Mを標的とするCRISPR/Cas9 RNPで編集した。増幅の7日後、ビヒクルまたはAHRアンタゴニストで処理した細胞は、それぞれ、標的タンパク質の87%および84%のロスを示した。増幅された培養物は、ビヒクルで処理された細胞よりも3.4倍多いCD34+CD90+細胞を含んでいた。移植時に、増幅された細胞を受け取ったマウスは、ビヒクル処理された細胞を受け取ったマウスと比較して、2倍を超える生着の増加を示した。重要なことに、増幅された細胞の編集率はin vivoで維持され、マウスの末梢中のヒト細胞の平均75%超が標的タンパク質のロスを示す。
【0382】
<結論>
これらの研究は、AHR拮抗作用が機能的なHSCを増幅するための効果的な戦略であること、およびAHRを阻害する小分子がmPBおよびBM由来の遺伝子改変HSCを増幅できることを実証している。
【0383】
(実施例2)
CRISPR/Cas9を介した遺伝子サイレンシングとレンチウイルスを介した遺伝子発現とによって改変された造血幹細胞または前駆細胞の増幅および移植
造血幹細胞、例えば、遺伝子改変された造血幹細胞の高用量を達成することは、遺伝子治療を成功させるために重要である。造血幹細胞のex vivo増幅は、治療用途のために細胞の量を増やすことができる方法を表している。患者が、AHRアンタゴニストの存在下で細胞を培養することによってex vivoで増幅された臍帯血(CB)由来の造血幹細胞を受け取った臨床試験は、
図1に示すように、生着までの時間の改善を示した。この例は、遺伝子改変された造血幹細胞をex vivoで増幅するAHRアンタゴニストの能力と、in vivoでそのような細胞の遺伝子改変の生着および保持を促進するAHRアンタゴニストの能力とを実証している。
【0384】
これらの活性を調べるために、造血幹細胞および前駆細胞がレンチウイルス形質導入またはCRISPR/Cas9を介した遺伝子編集のいずれかによって遺伝子改変され、続いてAHRアンタゴニストを用いた処置によってex vivo増幅が行われた一連の実験が行われた。この実施例に記載される実験で使用されるAHRアンタゴニストは、本明細書の化合物26である。次に、細胞はNSGマウスに注入され、生着率と遺伝子改変の保持とが評価された。以下のセクションでは、これらの研究で利用された方法を説明し、これらの実験からの様々な発見を詳述する。
【0385】
<方法>
レンチウイルス形質導入:動員末梢血(mPB)由来の凍結保存されたCD34+細胞を解凍し、サイトカインとビヒクル(DMSO)またはAHRアンタゴニスト(増幅)を含む培地で一晩培養した。翌日、細胞をレトロネクチンでコーティングしたプレートに播種し、MNDプロモーターの制御下にある緑色蛍光タンパク質(GFP)導入遺伝子を含むレンチウイルスベクターを用いて、ビヒクルまたはAHRアンタゴニストの存在下、MOI50で形質導入した。24時間後、細胞を回収し、洗浄し、サイトカインおよび適切な化合物を含む培地に再懸濁した。
【0386】
CRISPR/Cas9編集と増幅:mPBおよび骨髄(BM)由来の凍結保存されたCD34+細胞を解凍し、サイトカインとビヒクルまたはAHRアンタゴニストを含む培地で一晩培養した。リボヌクレオチドタンパク質(RNP)としてのCas9タンパク質(Aldevron)と、β2ミクログロブリン(B2M)を標的とする化学修飾された合成gRNA(Synthego)とを細胞にエレクトロポレーションした。
【0387】
NSGマウスへの移植:培養細胞からのすべての子孫を、致死量以下の放射線を照射された、6~8週齢のメスのNSGマウスに移植した。生着率と形質導入/編集率は、フローサイトメトリーによって毎月監視された。「最小限に操作された」コントロールは、編集の1日後に、2日間の合計培養時間で移植された。
【0388】
<結果>
末梢血由来のCD34+細胞の動員および凍結保存の後、細胞はレンチウイルスGFP-MNDベクターで形質導入されるか、またはB2M細胞表面タンパク質のCRISPR/Cas9を介したサイレンシングに供された。次に、細胞をAHRアンタゴニストの存在下で7日間培養し、その時点で細胞を定量化し、遺伝子改変の保持を評価した。
図2A~2Dに示すように、AHRアンタゴニストによる処理は、ビヒクル処理細胞と比較して、細胞の総量の増加をもたらした。さらに、AHRアンタゴニストによる処理は、ビヒクル処理細胞および未処理細胞と比較して、CD34+CD90+細胞の量の大幅な増加を促進した。AHRアンタゴニストによる増幅はまた、GFP+CD34+CD90+細胞の量を、ビヒクル処理または処理が全くない場合よりも大幅に増加させた。レンチウイルス形質導入を受けた細胞に目を向けると、AHRアンタゴニストによる処理は、
図3A~3Eに示されるように、ビヒクル処理細胞および未処理細胞と比較して、総細胞、CD34+細胞、およびCD34+CD90+細胞の実質的により高い量をもたらした。CRISPR/Cas9を介したB2M編集を受けた細胞に目を向けると、AHRアンタゴニストによる処理は、
図5A~5Eに示されるように、ビヒクル処理細胞および未処理細胞と比較して、実質的に大量の総細胞、CD34+細胞、およびCD34+CD90+細胞の実質的により高い量をもたらした。これらの図はまた、形質導入/編集され、かつ増幅されたmPB細胞が、ビヒクル培養細胞よりも高い生着率を提供することを実証している。
【0389】
遺伝子改変および増幅の後、CD34+細胞をNSGマウスに移植し、細胞の生着を移植後に毎月評価した。
図4A~4Cおよび
図6A~6Iに示すように、移植前にex vivo増幅のためにAHRアンタゴニストで処理された細胞は、一般的に、ビヒクル処理された細胞と比較してより高い生着率を示した。さらに、AHRアンタゴニストで処理された細胞は、ビヒクルで処理された細胞と比較して、移植後により高いB2M表現型の保持を示した。増幅され、編集されたmPBおよびBM細胞はさらに、
図7A~7Nに示されるように、最小限に操作された細胞より高い生着率を示すことが見出された。
【0390】
<結論>
まとめると、これらの実験から収集されたデータは、AHRアンタゴニストによるmPBおよびBM造血幹細胞の増幅は、最小限に操作されたコントロールおよびビヒクルコントロールと比較して、NSGマウスへの移植後の生着の増加をもたらすことを実証している。80%の編集率がmPBとBM CD34+細胞の両方で達成され、NSGマウスへの移植後も維持された。さらに、編集および増幅された細胞の移植は、16週間後のマウスのPBおよびBMの両方において、ビヒクル培養細胞と比較して2倍を超える生着の改善をもたらした。したがって、AHRアンタゴニストを用いた処理による遺伝子改変細胞の増幅は、遺伝子編集および形質導入の高効率を維持しながら、生着率の増加を同時に可能にする。
【0391】
(実施例3)
造血幹細胞または前駆細胞移植片の投与による血液障害の処置
本明細書に記載される組成物および方法を使用して、造血幹細胞または前駆細胞移植片を患者に投与することによって、本明細書に記載される血液学的病理などの幹細胞障害を処置することができる。例えば、造血幹細胞または前駆細胞の集団をドナーから単離することができる。単離プロセスに続いて、患者は、動員および単離された造血幹細胞または前駆細胞の注入(例えば、静脈内注入)を受けてもよい。患者はドナーであっても、ドナーとHLAが一致している患者であってもよく、それにより移植片拒絶の可能性が低減される。患者は、例えば、本明細書に記載される血液癌などの癌を患っている患者であり得る。上記に加えて、あるいは上記に代えて、患者は、本明細書に記載される自己免疫疾患または代謝障害を患っている患者であり得る。
【0392】
造血幹細胞移植の生着は、例えば、患者から血液サンプルを採取し、移植の投与後の造血幹細胞または造血系統の細胞(巨核球、血小板、血小板、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、Bリンパ球など)の濃度の増加を決定することによって監視され得る。この分析は、例えば、造血幹細胞移植療法の1時間~6ヶ月後、またはそれ以上の後に実施され得る(例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間以上)。造血幹細胞または造血系統の細胞の濃度が、移植療法前の対応する細胞型の濃度と比較して移植療法後に(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、500%、またはそれ以上)増加しているという所見は、造血幹細胞または前駆細胞移植療法は幹細胞障害の処置に有効であることを示す1つの指標を提供する。
【0393】
(実施例4.造血幹細胞移植後のNSGマウスの脳におけるミクログリア細胞の生着)
症状の発生を防ぎ、疾患の進行を抑制し、患者の転帰を改善するために、過去30年間にわたって様々な遺伝性代謝障害の処置のために約1,000の同種造血細胞移植(HSCT)が行われた。これらの疾患におけるHSCTの目標は、遺伝性代謝障害を有する患者で欠乏している機能性酵素を産生する細胞を提供することである。機構的に、これは、ドナー由来細胞による脳ミクログリアを含む骨髄コンパートメントの再増殖を通じて達成される。ミクログリアは組織内の貯蔵物質を異化する;正常細胞による欠陥のあるミクログリアの置換は、遺伝性代謝障害を有する患者において欠陥のある重要なスカベンジ機能(scavenging function)を再確立する。さらに、これらの正常細胞はリソソーム酵素を分泌し、該リソソーム酵素は隣接する細胞によって取り込まれ得、それによって代謝障害を交差修正(cross correct)する。HSCTは疾患の進行を効果的に停止するが、中枢神経系の安定化にはHSCT後6~12か月かかり、これはおそらく、ドナー由来細胞によるミクログリア置換のキネティクスが遅いことを反映している。
【0394】
未操作の臍帯血、またはアリール炭化水素受容体(AHR)アンタゴニストを使用してex vivoで増幅された臍帯血が、脳ミクログリアコンパートメントMGTA-456に生着する能力を比較した。この実施例に記載される実験のデザインを
図8に示す。この実施例に記載される実験で使用されるAHRアンタゴニストは、本明細書中の式(2)によって表される化合物2である。AHR拮抗作用は、臍帯血由来のCD34+細胞を増幅する効果的な戦略であり、移植の失敗を減らし、好中球の回復を加速し、安定した長期生着を可能にする(Wagner et al, Cell Stem Cell, 2016年)。
【0395】
この研究では、MGTA-456を移植したマウスは、非増幅の新鮮な臍帯血またはビヒクル処理CD34+細胞を移植したマウスと比較して、13週目に末梢血において2.8倍高いヒトCD45の生着を示した(
図9Aおよび9B)。
図10に示すように、MGTA-456を移植したNSGマウスの脳内において、ヒトCD45+CD11b+骨髄細胞の約10倍の増加が観察された(n=15、p<0.0001)。脳におけるミクログリアの生着を確認するために、移植後の形態学的評価および免疫組織化学によって脳切片におけるKu80+Iba1+ミクログリアの存在も評価し、その結果は、例えば、
図11に示されている。
【0396】
これらのデータは、ex vivoで増幅されたヒト臍帯血CD34+細胞であるMGTA-456が、NSGマウスの脳におけるヒトミクログリアの生着を大幅に改善することを実証している。これらの発見は、アリール炭化水素受容体アンタゴニストを用いてex vivoで増幅された造血幹細胞、例えば、化合物2を用いて増幅されたMGTA-456が、神経障害および遺伝性代謝障害を有する患者の回復を加速する効果的な方法であることを実証している。
【0397】
<材料および方法>
[臍帯血の増幅および移植]
T25フラスコに、約60,000の臍帯血CD34+細胞を、HSC成長培地(Pen/Strep、50ng/mL FLT3L、TPO、SCF、およびIL-6を添加したSFEM)において最終体積が12mLとなるよう播種した。このフラスコを、37℃/5%CO2で10日間インキュベートした。AHRアンタゴニスト存在条件では、細胞を500nMのAHRアンタゴニストの存在下で培養した。培養中に細胞を1×106細胞/mL未満の濃度に維持する必要がある場合、細胞を大型のフラスコに移した。
【0398】
注入の24時間前に亜致死的照射(200cGy)を行い、解凍の時点で、出発細胞培養物と同数の細胞をNSGマウスに注入した。培養10日後、培養の全子孫をNSGマウスに注入した。末梢血を、約4週および第8週の時点で眼窩後出血によりハーベストすると共に、第12週の時点で心臓穿刺によりハーベストし、hCD45、mCD45、hCD33、hCD19、hCD3の抗体および生存色素を用いたフローサイトメトリーによりキメリズムを評価した。
【0399】
[脳のハーベストおよび処理]
3ヶ月の時点で脳をハーベストした。一方の半球を、ホルマリンで固定包埋し、免疫組織化学法に使用した。残り半球をDounceバッファー(15mM HEPES/フェノールレッドを含まないHBSS中の0.5%グルコース)中で粉砕し、40μMのフィルターでろ過して単一細胞の懸濁液としたのち、0.5%BSA/PBS 900μLに再懸濁した。製造元の指示に従って、ミエリン除去ビーズ(ミルテニーバイオテク社製)100μLでインキュベートし、4℃で15分間インキュベートして、PBSで洗浄し、MACSバッファー1mLに再懸濁してAutoMAC Proで枯渇させることにより、ミエリンを枯渇させた。
【0400】
[ミクログリアのフローサイトメトリー検出]
ミエリン枯渇サンプルをPBS 100μLに再懸濁し、hCD45、mCD45、CD11b、CD19、CD3の抗体、および7-AAD生存色素で染色した。細胞をPBSで1回洗浄し、最終体積が300μLとなるよう再懸濁した。サンプル全体をフローサイトメトリー(BD Celesta)で取得し、脳半球あたりのミクログリアの数を定量した。
【0401】
[ミクログリアの免疫組織化学的検出]
包埋した脳を約5ミクロンに切断し、Ku80(茶色)およびIba-1(赤色)一次抗体で染色した。移植したマウスのそれぞれのマウス脳を解析し、それぞれ5つのレベルを解析した。Aperio AT2全スライドスキャナーを使用して、スライドガラスを20倍でスキャンした。Visiopharmソフトウェアによりデジタルスライド画像の画像解析を実行した。
【0402】
(実施例5)
遺伝子修正された生着可能な細胞の増幅
<結果>
図12Aは、サイトカインの存在下、アリール炭化水素アンタゴニスト(AHRアンタゴニスト)化合物26有りまたは無しで、培養日数の関数としてのG0期、G1期、S-G2-M期の動員末梢血細胞中のCD34+CD90+の割合を示す。データは、動員末梢血中の実質的にすべてのCD34+CD90+細胞が、アリール炭化水素受容体アンタゴニストの存在下および非存在下の両方で、培養約3日後にG0期を終了し、複製細胞周期に入ることを実証している。
【0403】
図12Aは、サイトカインの存在下、アリール炭化水素アンタゴニスト(AHRアンタゴニスト)化合物26有りまたは無しで、培養日数の関数としてのG0期、G1期、S-G2-M期の臍帯血細胞中のCD34+CD90+の割合を示す。データは、臍帯血中の実質的にすべてのCD34+CD90+細胞が、アリール炭化水素受容体アンタゴニストの存在下および非存在下の両方で、培養約3日後にG0期を終了し、複製細胞周期に入ることを実証している。
【0404】
図13Aは、動員末梢血細胞が遺伝子編集試薬によるエレクトロポレーションの前に、化合物26の存在下で4日間(4-day)予備刺激(Pre-stim)(即ち、培養で増殖)されたとき、遺伝子編集試薬によるエレクトロポレーションの前に1日間(1-day)予備刺激された動員末梢血細胞と比較して、より高い率の遺伝子修正が得られたことを示す。
図13Aのデータを
図12のデータと比較すると、これらの結果は、活発に細胞周期をまわっている細胞でより高い率の遺伝子修正を得ることができること示唆している。
【0405】
図13Bは、臍帯血細胞が遺伝子編集試薬によるエレクトロポレーションの前に、4日間予備刺激されたとき、遺伝子編集試薬によるエレクトロポレーションの前に1日間予備刺激された臍帯血細胞と比較して、同様の率の遺伝子修正が得られたことを示す。
図13Aと
図13Bのデータを比較すると、動員末梢血細胞の1日間の予備刺激と比較して、臍帯血細胞の1日間の予備刺激後に、より高い率の遺伝子修正が観察された。これらのデータは、動員末梢血細胞と比較して、より高い割合の臍帯血細胞が予備刺激の1日後に活発に細胞周期をまわっていることを示唆している。
【0406】
図14Aおよび
図14Bにおいて、2+2(予備刺激の日数+EP後の培養日数)のデータを4+4のデータと比較すると、修正された動員末梢血細胞と修正された臍帯血細胞の両方で、遺伝子修正された細胞の総数について有意な増加が観察された。
【0407】
<材料および方法>
動員された末梢血(mPB)CD34+細胞または臍帯血(CB)CD34+細胞を解凍して、化合物26(500nM)の存在下または非存在下、無血清培地(サイトカインSCF、IL6、TPO、およびFLT3Lを添加したSFEM培地)中で予備刺激、即ち、培養した。細胞は、gRNA/Cas9およびオリゴヌクレオチドドナーによるエレクトロポレーションの1、2、3、または4日前に予備刺激された。細胞はエレクトロポレーション後、さらに8日間培養され、CD34、CD90、およびCD45RAのHSC定量化のTrucountベースの方法を使用して、エレクトロポレーションの2、4、6、または8日後にプロファイリングされた。細胞を継代培養して、細胞密度を1×106細胞/mL未満に維持した。8日目に、バルク細胞培養からゲノムDNAが抽出され、修正率がqPCRによって評価された。修正された細胞の数は、示された時点での総細胞数に、その予備刺激条件の修正率を掛けることによって決定された。
【0408】
(他の実施形態)
本明細書に記載した全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの刊行物または特許出願が個々に参照により援用されることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0409】
本発明をその特定の実施形態に関して説明したが、更なる変更が可能であり、本願は一般に、本発明のあらゆる変形例、使用、または適用を網羅することを意図していることが理解されよう。本発明は、本発明が関係し、特許請求の範囲に記載された必須の特徴に適用され得る、当該技術分野の公知のあるいは慣例の範囲内での本発明の逸脱を包含する。
【0410】
他の実施形態は特許請求の範囲に包含される。
【配列表】