(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】熱可塑性組成物の溶融レオロジーを改質するために管型反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体の用途
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240104BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20240104BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240104BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20240104BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20240104BHJP
C08L 59/00 20060101ALI20240104BHJP
C08L 81/02 20060101ALI20240104BHJP
C08F 10/02 20060101ALI20240104BHJP
C08F 20/12 20060101ALI20240104BHJP
C08F 20/18 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/08
C08L77/00
C08L67/00
C08L69/00
C08L59/00
C08L81/02
C08F10/02
C08F20/12
C08F20/18
(21)【出願番号】P 2020551355
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 FR2019050691
(87)【国際公開番号】W WO2019186056
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】クピロー ポール
(72)【発明者】
【氏名】キネベシェ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブイユー アラン
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-501836(JP,A)
【文献】特開2007-119775(JP,A)
【文献】特表2017-509763(JP,A)
【文献】特表2008-501835(JP,A)
【文献】特開2007-119781(JP,A)
【文献】特開2013-155277(JP,A)
【文献】特表2010-518217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物であって、
-少なくとも一つの熱可塑性重合体
-前記組成物の全重量に対して計算された0.1~20重量%範囲の含量で、エチレンとアクリレートとの間の管型反応器で行われる
50MPa超の高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって得られる少なくとも一つの共重合体を含み、
前記共重合体は、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有し、前記溶融流動指数(MFI)は、2160gの荷重下で190℃の温度で測定される、熱可塑性組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性重合体は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、フェニレンポリスルフィド、ポリアセタールおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性重合体がポリアミドであることを特徴とする、請求項2に記載の熱可塑性組成物。
【請求項4】
下記を混合するステップを含むことを特徴とする熱可塑性組成物を製造する、方法。
-少なくとも一つの熱可塑性重合体および
-混合物の全重量に対して計算された0.1~20重量%範囲の含量で、エチレンとアクリレートとの間の管型反応器で行われる
50MPa超の高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって得られる少なくとも一つの共重合体であって、
前記共重合体は、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有し、前記溶融流動指数(MFI)は、2160gの荷重下で190℃の温度で測定される共重合体。
【請求項5】
混合ステップは、押出ステップであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
熱可塑性組成物の溶融レオロジー(rheology)を改質するためにエチレンとアクリレートとの間の管型反応器で行われる
50MPa超の高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって得られる共重合体を前記熱可塑性組成物に添加するステップを含む方法であって、
前記共重合体は、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有し、前記溶融流動指数(MFI)は、2160gの荷重下で190℃の温度で測定される、方法。
【請求項7】
前記エチレンとアクリレートの共重合体は、300~600g/10分の溶融流動指数(MFI)を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前
記アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリレートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル(メタ)アクリレートは、C1-C30アルキル(メタ)アクリレートを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記(メタ)アクリレートは、エポキシ基を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アクリレートは、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチル-2-ヘキシルアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記エチレンとアクリレートの共重合体は、エチレンとブチルアクリレートの共重合体であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記エチレンの重量基準の含量は、前記共重合体の全重量に対して、50~95重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記エチレンの重量基準の含量は、前記共重合体の全重量に対して、55~80重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記アクリレートの重量基準の含量は、前記共重合体の全重量に対して、5~50重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記アクリレートの重量基準の含量は、前記共重合体の全重量に対して、15~40重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性組成物の溶融流動性を増加させるための請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性組成物の溶融レオロジー(rheology)を改質するために管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合工程によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの共重合体の用途に関する。
【0002】
本発明はまた、0.1~20重量%範囲の含量で、前に定義されているようなエチレンとアクリレートの一つ以上の共重合体および一つ以上の熱可塑性重合体を含む、特に、押出または射出成形される熱可塑性組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、前記熱可塑性組成物を製造する方法および特に射出成形によって部品を製造するためのその用途を扱う。
【背景技術】
【0004】
電子製品(electronics)、自動車、コンピュータ、電気用品(electrical appliances)または電気産業分野において使用可能な熱可塑性部品は、一般的に様々な方法、例えば、押出、射出成形、ブロー成形(例えば、押出-ブロー成形または射出-ブロー成形)、押出成形または熱成形方法によって変形または成形される熱可塑性組成物から製造される。
【0005】
特に、射出成形方法は、複雑な形態を非常に多量で有し得る完成された部品を一回の作業で製造可能にする。かかる方法は、一般的に、熱可塑性組成物を顆粒状に、可能には、添加剤、例えば、着色剤および/または可塑剤の存在下で、ホッパー(hopper)に注ぎ、加熱されたバレルに供給することで行われる。したがって、熱可塑性組成物は、溶融した状態で軟化してから混合され、バレルに収容される無限型のウォームピストン(endless type worm piston)によって生産される部品の形態を有する金型に強制され、冷却され、シール可能に閉鎖される。金型と接触すると、熱可塑性組成物は、これに応じてその形状を取り固形化する。工程が終了すると、成形に使用された金型を開放し、部品を回収する。
【0006】
代案的には、押出方法は、長い長さの部品、例えば、チューブ、パイプまたは半加工製品、例えば、プレート、光ファイバー(optical fibre)およびセクション(section)を製造可能にする。かかる方法は、一般的に、熱可塑性組成物を顆粒状に、可能には、添加剤、例えば、着色剤および/または可塑剤の存在下で、ホッパーに注ぎ、押出機に供給することで行われる。押出機の内部で、組成物を加熱して軟化した後、ウォームスクリューで混合する。スクリューは、熱可塑性組成物を押出機の排出口(output)側に強制する。押出機の排出口ヘッドは、生産される部品にその形状を付与する。部品が排出され続けた後、所望の長さに切断されるように冷却する。
【0007】
熱可塑性組成物は、一般的に、生産された部品の機械的性質に関連して計画された技術適用、生産コストおよび所望の性能水準によって選択される少なくとも一つの熱可塑性重合体および可能には添加剤を含む。
【0008】
実際、冷却されて得られた熱可塑性部品は、例えば、衝撃強度、弾性変形、曲げモジュラス、剛性または破裂応力に関連して考慮される技術分野に比べて十分な機械的性質を有すべきである。強化充填剤、例えば、ガラス繊維は、一般的に熱可塑性組成物に使用され、一旦冷却した部品の機械的性質を向上させる。
【0009】
さらに、使用された熱可塑性組成物はまた、前に言及された形成方法と両立可能な、溶融状態で、レオロジー挙動、すなわち、レオロジー性質を有すべきである。特に、これらの組成物は、混合され、操作され、射出金型のような成形に使用される装置に容易且つ効率的に強制され得るように、溶融状態で十分な流動性を有すべきである。
【0010】
すなわち、熱可塑性組成物は、成形装置の特性およびパラメータに関連する生産コストを大幅に増加させないとともに、変形方法で効率的に使用され得るほど十分低い溶融粘度を有すべきである。
【0011】
しかし、相違する変形工程の間に使用を容易にするために行われる熱可塑性組成物の溶融流動性を増加させることは、熱可塑性部品の機械的性質の減少を引き起こすという欠点があるように思われる。すなわち、高温溶融熱可塑性組成物の粘度を下げることは、一般的に、一旦これらが冷却されると、部品の所望の機械的性質の制御されない低下を伴う。
【0012】
例えば、粘度が低い熱可塑性重合体の使用は、熱可塑性組成物の溶融流動性が増加するようにすることができるが、同時に、得られた部品の機械的性質、特に、衝撃強度の低下を引き起こす。
【0013】
かかる様々な欠点を解消するために、高温溶融熱可塑性組成物の流動性を増加させ、結果的に粘度を下げることができる添加剤を使用することが、先行技術で既に提案されている。
【0014】
一般的に、添加剤の存在は、製造された部品の機械的性質に否定的な影響を与え続け、且つ製造コストの増加の問題をもたらす可能性がある。さらに、添加剤の添加は、成形の前に熱可塑性組成物を製造する間に均質性の問題を引き起こすことがあり、これは、一般的に、部品の表面上に不均一性をもたらす。
【0015】
これに関連して、特許出願第US2006/0189747号および第US2006/0211810号は、半結晶性熱可塑性ポリアミドまたはポリエステルの溶融流動性を増加させるためにオートクレーブ反応器で行われる重合工程によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するオレフィンから誘導された少なくとも一つの単位および脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルから誘導された少なくとも一つの単位を含む共重合体の用途について述べる。
【0016】
同様に、特許出願第US2009/0209697号は、熱可塑性ポリカーボネートの溶融流動性を増加させるためにオートクレーブ反応器で行われる重合工程によって得られた、100g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するオレフィンから誘導された少なくとも一つの単位および脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルから誘導された少なくとも一つの単位を含む共重合体の用途について述べる。
【0017】
しかし、オートクレーブ反応器で重合工程によって得られた、前に述べられているような共重合体を含む熱可塑性組成物は、一旦冷却されると、機械的性質、特に、曲げモジュラスおよび衝撃強度を有する部品を生成し、これは、求めている技術適用に比べて十分でない。
【発明の概要】
【0018】
したがって、本発明の目的の一つは、成形の後に得られた熱可塑性部品の機械的性質の劣化を減衰(attenuating)させるとともに熱可塑性重合体に基づく組成物の溶融レオロジー性質を効果的に改質することができる化合物を使用することである。
【0019】
すなわち、提案された技術適用に比べて優れた機械的性質を有する部品を生成することができ、且つ特に、射出成形によって様々な変形または成形工程で効果的且つ容易に使用され得るように、溶融状態で十分な流動性を有する熱可塑性組成物を提案する実質的な必要がある。
【0020】
上述に照らして、本発明は、さらに、特に、押出または射出成形工程の間に使用される熱可塑性組成物の溶融流動性を増加、すなわち、粘度を減少させ、且つ十分な衝撃強度を有する部品を生成することを目的とする。
【0021】
したがって、本発明の目的は、高温溶融熱可塑性組成物のレオロジーを改質するために、管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの共重合体を使用することであり、前記溶融流動指数(MFI)は、2160グラムの荷重下で190℃の温度で測定される。
【0022】
すなわち、本発明は、特に、少なくとも一つの熱可塑性重合体を含む組成物の溶融レオロジー性質を改質するために、前に述べたようなエチレンとアクリレートの共重合体の用途に関する。
【0023】
したがって、本発明により使用された共重合体は、前に定義されているように、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有し、エチレンと一つ以上のアクリレートとの間の管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって得られる。
【0024】
本発明によるエチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、一つ以上のアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位を含む共重合体は、一方で、熱可塑性組成物の溶融流動性を増加させることで、変形または成形工程の間にその使用を容易にし、他方で、かかる熱可塑性組成物から製造され得る部品の機械的性質の劣化を減衰させる利点を有する。
【0025】
より具体的には、本発明による共重合体の使用は、熱可塑性組成物の溶融粘度を減少させることを可能にし、押出または射出成形工程の間にその使用を大幅に容易にし、且つ得られた部品が現場および計画された技術適用に比べて十分な衝撃強度を有することを保証する。
【0026】
したがって、本発明による共重合体の使用は、添加剤のない、すなわち、一つ以上の熱可塑性重合体から構成された熱可塑性組成物の使用に比べて、部品の機械的パラメータ、特に、衝撃強度の制御されていない劣化を補正し、ある程度まで防止可能にする。
【0027】
さらに、本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体の使用は、同じ単位を有し、オートクレーブ反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合によって得られた共重合体に比べて、生産された部品の機械的性質、特に、衝撃強度をさらによく保存することができる。
【0028】
実際、エチレンと一つ以上のアクリレートとの間の管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合方法は、同じ単量体の間のオートクレーブ反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって付与されたものと相違する物理的性質を有するエチレンとアクリレートの共重合体を生成する。
【0029】
したがって、管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって付与される物理的性質は、オートクレーブ反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合方法よりもさらに効率的に製造される部品の機械的性質だけでなく、熱可塑性組成物の溶融流動性に影響を及ぼすようにする。
【0030】
本発明に使用されているように、「物理的性質」は、エチレンとアクリレートの共重合体が熱可塑性組成物の溶融流動性を増加させ得る一つ以上の機械的特性と結合した一つ以上のレオロジー特性を有するとともに、これらの組成物から得られた部品の優れた機械的性質を保証するということを意味すると理解される。
【0031】
かかる方式で、本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体は、これらの工程に関連する生産コストを増加させず、且つ熱可塑性組成物の変形または成形方法、特に、押出および射出成形工程の実現を容易にするという利点を有する。
【0032】
例えば、本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体の使用は、金型の大きさを変更するか、加熱されたバレルを含む射出ユニットで加えられた圧力を増加させる必要なく、射出成形工程の実現を向上させる。
【0033】
本発明の意味で、「高圧」は、50MPa超の圧力を示す。
【0034】
本発明の目的はまた、下記を含む熱可塑性組成物である:
-一つ以上の熱可塑性重合体、および
-混合物の全重量に対して計算された0.1~20重量%範囲の含量を有する、管型反応器で、高圧下でのフリーラジカル共重合工程によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの一つ以上の共重合体;前記溶融流動指数(MFI)は、2160グラムの荷重下で190℃の温度で測定される。
【0035】
本発明による熱可塑性組成物は、部品を製造するための相違する変形工程での効果的な使用に十分な高い溶融流動性を有する。
【0036】
実際、高温溶融熱可塑性組成物は、成形工程によって求められるせん断速度で高い流動性を有する。
【0037】
より具体的には、高温溶融熱可塑性組成物は、熱可塑性部品を製造するために押出または射出成形工程の間に効率的に成形され得るほど十分低い粘度を有する。
【0038】
したがって、熱可塑性組成物は、部品、特に、成形されたまたは押出された部品が得られるようにし、その機械的性質、特に、衝撃強度が保存される。
【0039】
本発明はまた、下記を混合する少なくとも一つのステップを含み、前に定義されているような熱可塑性組成物を製造する方法に関する:
-一つ以上の熱可塑性重合体、および
-混合物の全重量に対して計算された0.1~10重量%範囲の含量を有する、管型反応器で、高圧下でのフリーラジカル共重合工程によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの一つ以上の共重合体;前記溶融流動指数(MFI)は、2160グラムの荷重下で190℃の温度で測定される。
【0040】
本発明による製造方法は、実現が容易である。
【0041】
混合ステップは、有利には、押出ステップを含むことができる。
【0042】
本発明の他の目的は、部品の製造、特に、押出または射出成形のために前に説明された熱可塑性組成物の用途に関する。
【0043】
本発明はまた、好ましくは、前記熱可塑性組成物の押出または射出成形工程によって前に述べられているような熱可塑性組成物から得られる部品に関する。
【0044】
このように得られた部品は、有利には、十分な衝撃強度を有する。
【0045】
このように得られた部品は、特に、自動車、電気産業、通信、コンピュータまたは電子製品の分野において使用可能である。
【0046】
本発明の他の特徴および利点は、下記の説明および実施例からより明確に分かることができる。
【0047】
また下記に他に示していない限り、本文書に使用された値の範囲は、包括的である。
【0048】
表現「少なくとも一つ」は、表現「一つ以上」と同一である。
【0049】
本発明の観点で、重合体の溶融流動指数は、与えられた温度条件下で与えられた時間の間に、楕円(oblong)ダイ、特に、円筒状の形状により流動する溶融された重合体の重量に相当する。
【0050】
溶融流動指数(MFI)は、2160グラムの荷重下で190℃の温度で標準ISO 1133に準じて説明されたような材料の成形可能性だけでなく、押出性に関する情報を得るために、熱可塑性材料を特性化するために現在使用されている方法によって測定される(g/10分で表された単位)。
【0051】
したがって、以下に言及されたものなどのような溶融流動指数(MFI)は、他に示していない限り、標準ISO 1133に準じて2160gの荷重下で190℃の温度で測定された(g/10分で表された単位)。
【0052】
共重合体の使用
前記示したように、本発明は、熱可塑性組成物の溶融レオロジーを改質するために、管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの共重合体の用途に関する。
【0053】
本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体は、50g/10分以上、好ましくは、50~900g/10分範囲、より優先的に(preferentially)は、300~600g/10分の範囲の溶融流動指数(MFI)を有する。
【0054】
本発明によって使用されたエチレンとアクリレートの共重合体は、優先的には50g/10分超の溶融流動指数(MFI)を有するが、これは、50g/10分の値を除くことを意味するが、すなわち、溶融流動指数は、厳格には、50g/10分超、好ましくは、溶融流動指数(MFI)は、300~600g/10分と様々である。
【0055】
本発明によって使用されたエチレンとアクリレートの共重合体は、エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、少なくとも一つのアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位とを含む共重合体である。
【0056】
したがって、少なくとも一つのアクリレートから誘導された単位は、複数のアクリレートの混合物から誘導され得る。
【0057】
好ましくは、本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体は、エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、少なくとも一つのアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位とを含む。すなわち、本発明による共重合体は、好ましくは、エチレンとアクリレートの共重合体である。
【0058】
特に、アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート、特に、C1-C30アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、エポキシ基を含む(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0059】
アルキルおよびアリールアルキル基は、直鎖状または分岐状であってもよく、1~30個の炭素原子、好ましくは1~24個の炭素原子を含む。
【0060】
アルキルおよびアリールアルキル基はまた、エーテルまたはチオエーテル官能基を含むことができる。
【0061】
好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチル-2-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレートおよびブチルメタアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
好ましくは、エポキシ基を含む(メタ)アクリレートは、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレートおよびこれらの混合物から構成された群から選択される。
【0063】
有利には、アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート、特に、C1-C30アルキル(メタ)アクリレート、およびより特に、C1-C24アルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0064】
より有利には、アクリレートは、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチル-2-ヘキシルアクリレート、またはこれらの混合物、特に、ブチルアクリレートからなる群から選択される。
【0065】
一つの具現例によると、本発明による共重合体は、エチレンとアクリレート以外の一つ以上の追加の共単量体を可能には含むことができる。
【0066】
好ましくは、追加の共単量体は、オレフィン系共単量体からなる群から選択される。
【0067】
特に、オレフィン系共単量体は、カルボン酸の無水物、ビニルエステル、例えば、ビニルアセテートまたはピバレートアセテート、アルファ-オレフィン、例えば、プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび4-メチル-1-ペンテン、不飽和カルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびフマル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、例えば、(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸アミド、ビニルエステル、例えば、ビニルメチルエーテルおよびビニルフェニルエーテルおよびビニル芳香族化合物、例えば、スチレンおよびアルファ-メチルスチレン、またはこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0068】
好ましくは、追加の共単量体の重量基準の含量は、共重合体の全重量に対して、0.01~3重量%と様々である。
【0069】
好ましくは、本発明によって使用された共重合体は、エチレンとアクリレート以外の追加オレフィン共単量体を含有しない。
【0070】
一つの具現例によると、本発明によって使用された共重合体は、以下を含む:
-エチレンから誘導された少なくとも一つの単位、
-少なくとも一つのアルキル(メタ)アクリレート、特に、好ましくは、メチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびエチル-2-ヘキシルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるC1-C24アルキルメタアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位。
【0071】
かかる具現例によると、本発明による共重合体は、好ましくは、エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、ブチルアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位とを含む。
【0072】
したがって、本発明によって使用された共重合体は、有利には、エチレンとブチルアクリレートの共重合体である。
【0073】
エチレンの重量基準の含量は、重合体の全重量に対して、50~95重量%、好ましくは55~80重量%と様々であり得る。
【0074】
アクリレートの重量基準の含量は、重合体の全重量に対して、5~50重量%、好ましくは15~40重量%と様々であり得る。
【0075】
好ましくは、本発明によって使用された共重合体は、以下を含み:
-50~95重量%、好ましくは55~80重量%のエチレン、
-5~95重量%、好ましくは15~40重量%のブチルアクリレート、
重量基準の含量は、共重合体の全重量に対して計算される。
【0076】
一つの具現例によると、本発明によって使用された共重合体は、300~600g/10分の範囲の溶融流動指数を有し、以下を含む:
-エチレンから誘導された少なくとも一つの単位、
-少なくとも一つのアルキル(メタ)アクリレート、特に、好ましくは、メチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびエチル-2-ヘキシルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるC1-C24アルキルメタアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位。
【0077】
かかる具現例によると、本発明によって使用された共重合体は、好ましくは、エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、ブチルアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位とを含む。
【0078】
したがって、本発明によって使用された共重合体は、有利には、300~600g/10分の範囲の溶融流動指数を有するエチレンとブチルアクリレートの共重合体である。
【0079】
好ましくは、本発明によって使用された共重合体は、Arkema France社から商品名Lotryl(登録商標)T35BA320Tとして販売される。
【0080】
本発明によると、エチレンとアクリレートの共重合体は、熱可塑性組成物の溶融されたレオロジー性質を改質するために使用される。
【0081】
好ましくは、エチレンとアクリレートの共重合体は、熱可塑性組成物の溶融流速を増加させるために使用される。
【0082】
すなわち、エチレンとアクリレートの共重合体は、好ましくは、熱可塑性組成物の溶融粘度を下げるために使用される。
【0083】
エチレンとアクリレートの共重合体はまた、熱可塑性組成物、特に、金型で熱可塑性組成物の密度または収縮水準を下げるようにし、得られた部品の可能な変形を減少させることができるようにする。
【0084】
エチレンとアクリレートの共重合体はまた、熱可塑性組成物の流速、特に、垂直流速を改質させるようにすることができる。
【0085】
本発明に使用されているように、「熱可塑性組成物」は、少なくとも一つの熱可塑性重合体を含む組成物を意味する。
【0086】
好ましくは、エチレンとアクリレートの共重合体は、以下で定義される少なくとも一つの熱可塑性重合体、好ましくは、ポリアミドを含む組成物の溶融レオロジー性質を改質するために使用される。
【0087】
共重合体を製造する方法
本発明による共重合体を製造する方法は、管型反応器で行われるエチレンと少なくとも一つのアクリレートの高圧下でのフリーラジカル共重合ステップを含む。
【0088】
フリーラジカル共重合は、一般的に、一つ以上の開始剤の存在下で行われる。
【0089】
開始剤は、エチレンのフリーラジカル共重合を開始するためにフリーラジカルが形成され得るようにする。
【0090】
開始剤は、有機過酸化物、酸素、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0091】
好ましくは、開始剤は、有機過酸化物、酸素およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0092】
さらに優先的には、開始剤は、有機過酸化物からなる群から選択される。
【0093】
好ましくは、有機過酸化物は、ペルオキシエステル、ジアルキル過酸化物、ヒドロ過酸化物またはペルオキシケタールからなる群から選択される。
【0094】
かかる過酸化物は、特に、商品名Luperox(登録商標)としてArkema社が販売している。
【0095】
ペルオキシエステルの例は、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Luperox(登録商標)26)、t-ブチルペルオキシアセテート(Luperox(登録商標)7)、t-アミルペルオキシアセテート(Luperox(登録商標)555)、t-ブチルペルベンゾエート(Luperox(登録商標)P)、t-アミルペルベンゾエート(Luperox(登録商標)TAP)および〇〇-t-ブチル1-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカボネート(Luperox(登録商標)TBEC)を含むことができる。
【0096】
ジアルキル過酸化物の例は、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(Luperox(登録商標)101)、ジクミルペルオキシド(Luperox(登録商標)DC)、1´アルファ-アルファ´-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(Luperox(登録商標)F40)、ジ-t-ブチル-ペルオキシド(Luperox(登録商標)DI)、ジ-t-アミル-ペルオキシド(Luperox(登録商標)DTA)および2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3(Luperox(登録商標)130)を含むことができる。
【0097】
ヒドロペルオキシドの場合、tert-ブチル-ヒドロペルオキシド(Luperox TBH 70)が言及され得る。
【0098】
ペルオキシケタールの例は、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(Luperox(登録商標)231)、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシブチレート)(Luperox(登録商標)233)またはエチル-3,3-ジ-(t-アミルペルオキシブチレート)(Luperox(登録商標)533)を含むことができる。
【0099】
優先的には、有機過酸化物は、ジアルキル過酸化物、特に、Luperox(登録商標)101の商品名として販売されている2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサンからなる群から選択される。
【0100】
有機過酸化物は、一般的に、溶媒または溶媒の混合物に希釈される。溶媒は、C1-C20アルカン、特に、C3-C10、より特に、C5-C8、および優先的にはヘプタンから選択され得る。
【0101】
開始剤は、好ましくは、エチレンの重量基準量に対して、20~1000ppmの重量基準量で存在する。
【0102】
エチレンの共重合は、100~200℃、好ましくは120~160℃の様々な開始温度で行われる。
【0103】
フリーラジカル共重合は、優先的には、500bar(50MPa)~3000bar(300MPa)、好ましくは、1200bar(120MPa)~3000bar(300MPa)、より好ましくは、1200bar(120MPa)~2600bar(260MPa)の様々な圧力で行われる。
【0104】
高圧でフリーラジカル共重合は、150℃~320℃の管型反応器で行われる。
【0105】
前に定義されているように、エチレンとアクリレートの混合物の導入は、好ましくは、管型反応器のヘッドで行われる。開始剤または開始剤の混合物は、エチレンとアクリレートの混合物の挿入場所の後の反応器ヘッドで高圧ポンプによって注入される。
【0106】
エチレンとアクリレートの混合物は。反応器の少なくとも一つの他の地点に注入され得る;この注入に引き続き、多地点(multipoint)注入技術にしたがって開始剤または開始剤の混合物の新たな注入が続く。多地点注入技術が使用される場合、混合物は、好ましくは、注入された全混合物に対する反応器の入口で注入された混合物の重量比が10~90%になるように注入される。
【0107】
一つの具現例によると、前に定義されているように、エチレンとアクリレートの共重合体を製造する方法は、管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合ステップを含む:
-特に、有機過酸化物、酸素およびこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上の開始剤の存在下で、
-エチレン、
-アルキル(メタ)アクリレート、特に、好ましくは、メチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびエチル-2-ヘキシルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるC1-C24アルキルメタアクリレートから選択される少なくとも一つのアクリレート。
【0108】
かかる具現例によると、アクリレートは、ブチルアクリレートである。
【0109】
かかる具現例によると、開始剤は、ジアルキル過酸化物、特に、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサンからなる群から選択される有機過酸化物である。
【0110】
管型高圧重合または共重合の他の方法は、例えば、第US2006/0149004Al号または第US2007/0032614Al号に記載の方法である。
【0111】
熱可塑性組成物
前記言及されているように、熱可塑性組成物は:
-少なくとも一つの熱可塑性重合体、および
-下記を含む50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有する少なくとも一つの共重合体を含み:
■エチレンから誘導された少なくとも一つの単位
■少なくとも一つのアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位、
前記共重合体は、管型反応器で、高圧下でのフリーラジカル共重合方法によって得られ、
前記共重合体は、前記組成物の全重量に対して、0.1~20重量%範囲の含量で熱可塑性組成物に存在し、
共重合体の溶融流動指数(MFI)は、2160gの荷重下で、190℃の温度で測定される。
【0112】
エチレンとアクリレートの共重合体は、前に述べられているとおりである。
【0113】
好ましくは、本発明によるエチレンとアクリレートの共重合体は、前記組成物の全重量に対して、0.25~20重量%範囲の含量で、好ましくは0.25~15重量%範囲の含量で、優先的には1~20重量%範囲の含量で、より優先的には1~15重量%範囲の含量で、また、さらに好ましくは1~10重量%範囲の含量で存在する。
【0114】
熱可塑性重合体は、好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、フェニレンポリスルフィド、ポリアセタールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0115】
一つの具現例によると、熱可塑性重合体は、ポリアミド、特に、半(semi)-芳香族ポリアミドである。
【0116】
半芳香族ポリアミドは、ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重縮合から得られた少なくとも第1半芳香族繰り返し単位を含む。
【0117】
ジアミンは、有利には、4~36個の炭素原子を含む。
【0118】
ジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環族(cycloaliphatic)ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択される。これらのジアミンは、直鎖状であってもよい。これらはまた、分岐状であってもよく、主鎖に少なくとも一つのアルキル分岐を含み;かかるアルキル分岐は、それ自体が直鎖状または分岐状であってもよい。
【0119】
ジアミンが、脂肪族であり、直鎖状である場合、化学式H2N-(CH2)X-NH2である。
【0120】
したがって、ジアミンは、ブタンジアミン(x=4)、ペンタンジアミン(x=5)、ヘキサメチレンジアミン(x=6)とも称するヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン(x=7)、オクタンジアミン(x=8)、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、エイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)および脂肪酸から得られたジアミンから選択され得る。かかるジアミンは、いずれもバイオソースになり得るという利点があり、標準ASTM D6866に準じて決定され得るバイオマスから誘導された有機炭素を含む。
【0121】
ジアミンが脂環族の場合、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)-メタン(BMACMまたはMACM)、p-ビス(アミノシクロヘキシル)-メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選択され得る。脂環族ジアミンはまた、下記の炭素骨格を含むことができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)、ジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。これらの脂環族ジアミンの非-包括的なリストは、刊行物「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer、4th Edition(1992)、pp.386-405)で提供される。
【0122】
ジアミンがアルキル-芳香族の場合、1,3-キシリレンジアミンおよび1,4-キシリレンジアミンから選択され得る。
【0123】
有利には、ジアミンは脂肪族ジアミンである。
【0124】
好ましくは、ジアミンは、直鎖状脂肪族ジアミンである。
【0125】
芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(Tで表される)、イソフタル酸(Iで表される)、フタル酸およびナフタレン酸から選択され得る。ただいま言及された芳香族ジカルボン酸はまた、一つ以上のアルキル分岐を含むことができ、これらのアルキル分岐は、直鎖状または分岐状である。したがって、2-メチル-テレフタル酸が言及され得る。有利には、半芳香族ポリアミドは、240℃超、有利には、240℃~310℃、より特に、260℃~280℃の融点を有する。
【0126】
さらに好ましい方式で、芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(T)である。
【0127】
本発明の特定のバージョンによると、半芳香族ポリアミドは、50mol%超、有利には、60mol%超の半芳香族繰り返し単位を含むことができる。
【0128】
半芳香族ポリアミドは、前に述べられているように、100mol%の一つ以上半芳香族繰り返し単位からなり得る。
【0129】
特に、本発明の第1側面によると、半芳香族ポリアミドは、単独重合体であってもよく、ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から誘導された第1繰り返し単位のみから構成され得る。
【0130】
したがって、半芳香族ポリアミドは、ホモポリアミド6.T、9.T、10.T、11.T、12.T、14.T、18.T、6.I、9.I、10.I、11.I、12.I、14.Iおよび18.Iから選択され得る。
【0131】
本発明の第2側面によると、半芳香族ポリアミドは、ジアミンと2個の芳香族ジカルボン酸の重縮合反応または2個のジアミンと1個の芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から誘導された一つ以上の第1繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。
【0132】
したがって、第1の場合、半芳香族ポリアミドは、コポリアミド6.T/6.I、9.T/9.I、10.T/10.I、11.T/11.Iおよび12.T/12.Iから選択され得る。第2の場合、半芳香族ポリアミドは、コポリアミド 6.T/9.T、6.T/10.T、6.T/11.T、6.T/12.T、9.T/10.T、9.T/11.T、9.T/12.T、10.T/11.T、10.T/12.Tおよび11.T/12.Tから選択され得る。テレフタル酸(T)の代わりにイソフタル酸(I)を使用することで、類似したリストを作成することができる。
【0133】
本発明の第3側面によると、半芳香族ポリアミドは、少なくとも2個のジアミンと少なくとも2個の芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から誘導された第1繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。ただいま詳細に説明され、ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重縮合から得られた第1半芳香族繰り返し単位以外に、本発明による組成物の半芳香族ポリアミドはまた、前に述べられているような第1半芳香族繰り返し単位と相違する少なくとも一つの追加の繰り返し単位(または第2繰り返し単位)を含むことができる。
【0134】
かかる追加の繰り返し単位は、アミノカルボン酸から得られた単位、ラクタムから得られた単位および化学式(Caジアミン)、(Cb二酸)の単位からなる群から選択され得、「a」は、ジアミンの炭素原子数を示し、「b」は、二酸の炭素原子数を示す。
【0135】
有利には、aおよびbは、それぞれ、4~36の一つである。
【0136】
かかる追加の繰り返し単位がアミノカルボン酸から得られる場合、このアミノカルボン酸は、9-アミノノナン酸(9)、10-アミノデカン酸(10)、10-アミノウンデカン酸(11)、12-アミノドデカン酸(12)および11-アミノウンデカン酸(11)から選択され得る。アミノカルボン酸はまた、分岐状であってもよい。例えば、N-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸が言及され得る。
【0137】
かかる追加の繰り返し単位がラクタムから得られる場合、このラクタムは、ピロリジノン、2-ピペリジノン、エナントールラクタム、カプリロラクタム、ペラゴラクタム、デカノラクタム(10)、ウンデカノラクタム(11)およびラウリルラクタム(12)から選択され得る。
【0138】
かかる追加の繰り返し単位が化学式(Caジアミン)、(Cb二酸)の単位である場合、ジアミン、Caジアミン、およびカルボン酸、Cb二酸の重縮合から得られ、かかるジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸ではないということが明示されている。
【0139】
かかるCaジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンからなる群から選択され得る。これらのCaジアミンは、直鎖状であってもよい。これらはまた、分岐状であってもよく、主鎖に少なくとも一つのアルキル分岐を含み、かかるアルキル分岐は、それ自体が直鎖状または分岐状であってもよい。
【0140】
第1半芳香族繰り返し単位を得るために、前記述べられているジアミンはまた、第2繰り返し単位を得るために、Caジアミンとして使用され得る。したがって、Caジアミンは、前に述べられている半芳香族単位を得るために使用されたジアミンから選択され得る。
【0141】
追加の繰り返し単位を得るために使用されるジカルボン酸(Cb二酸)は、脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸から選択され得る。ジカルボン酸は、直鎖状であってもよい。これらはまた、分岐状であってもよく、主鎖に少なくとも一つのアルキル分岐を含み;かかるアルキル分岐は、それ自体が直鎖状または分岐状であってもよい。
【0142】
ジカルボン酸(Cb二酸)が脂肪族および直鎖状の場合、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)、エイコサン二酸(20)、ドコサン二酸(22)および36個の炭素原子を含む脂肪酸の二量体から選択され得る。
【0143】
前記言及された脂肪酸の二量体は、特に、文書第EP0471566号に記載のとおり、炭化水素化した長鎖不飽和モノ塩基性脂肪酸(例えば、リノール酸およびオレイン酸)のオリゴマー化または重合によって得られた二量体化した脂肪酸である。
【0144】
ジカルボン酸(Cb二酸)が脂環族である場合、下記の炭素骨格から選択され得る:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)、ジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0145】
したがって、半芳香族ポリアミドの追加の繰り返し単位は、特に、下記の単位6、11、12、6.10、6.12、6.14、6.18、10.10、10.12、10.14、10.18および12.12を指定することができる。
【0146】
本発明の第4側面によると、半芳香族ポリアミドは、アミンと芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から誘導された第1半芳香族繰り返し単位、アミノカルボン酸、またはラクタムから、または前記述べられているようなCaジアミンとCb二酸の重縮合から誘導された追加の繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。
【0147】
可能な組み合わせのうち、下記コポリアミドが特に重要である:これらは、1/6.T、12/6.T、6.10/6.T、6.12/6.T、10.10/6.T、10.12/6.T、12.12/6.T、11/9.T、12/9.T、6.10/9.T、6.12/9.T、10.10/9.T、10.12/9.T、12.12/9.T、11/10.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/ 10.Tおよび12.12/10.Tから選択される化学式のコポリアミドである。
【0148】
本発明の第5側面によると、半芳香族ポリアミドは、少なくとも一つジアミンと少なくとも一つ芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から誘導された第1半芳香族繰り返し単位と、少なくとも一つアミノカルボン酸、少なくとも一つラクタムおよび/または前記述べられているようなCaジアミンとCb二酸の重縮合から誘導された第2繰り返し単位とを含む共重合体であってもよい。
【0149】
様々な可能な組み合わせのうち、特に、下記から選択される化学式のうち一つに相当するコポリアミドを言及することができる:
-6/11/10.T、6/12/10.T、11/12/10.T、11/6.10/10.T、12/6.10/10.T、11/10.6/10.T、12/10.6/10.T、これらのコポリアミドのすべては、第1半芳香族繰り返し単位10.Tと2個の第2繰り返し単位を含み、
-6/6.T/10.T、11/6.T/10.T、12/6.T/10.T、これらコポリアミドのすべては、2個の第2半芳香族繰り返し単位6.Tおよび10.Tと第2繰り返し単位を含み、
-11/9.T/9.I、12/9.T/9.I、11/10.T/10.I、12/10.T/10.I、これらのコポリアミドのすべては、2個の第1半芳香族繰り返し単位と1個の第2繰り返し単位を含み、
-6/11/6.T/10.T、11/12/6.T/10.T、これらのコポリアミドのすべては、2個の第1繰り返し単位6.Tおよび10.Tと2個の第2繰り返し単位を含む。
【0150】
本発明の範囲内で、第1また適切な場合、第2繰り返し単位を使用することが有利であるが、これは、標準ASTM D6866に準じて決定され得る、バイオソースジアミン、カルボン酸、アミノ-カルボン酸および/またはラクタムから、すなわち、バイオマスから誘導された有機炭素を含んで全体的にまたは部分的に得られるか、得られる。
【0151】
さらに他の具現例によると、熱可塑性重合体は、ポリエステルである。
【0152】
用語ポリエステルは、グリコールおよびジカルボン酸またはその誘導体の飽和縮合生成物である重合体を指す。
【0153】
好ましくは、これらは、8~14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸とネオ-ペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールおよび化学式HO(CH2)nOH(ここで、nは、2~10の整数である)の脂肪族グリコールからなる群から選択される少なくとも一つのグリコールの縮合生成物を含む。最大50mol%のジカルボン酸芳香族酸の代わりに、8~14個の炭素原子を有する少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸が使用されてもよく/または最大20mol%のジカルボン酸芳香族酸の代わりに、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸が使用されてもよい。
【0154】
好ましくは、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,4-ブチレン)テレフタレート(PBT)、1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートおよび芳香族ジカルボン酸、例えば、イソフタル酸、ジ安息香酸、ジカルボン酸ナフタレン、4,4´-ジフェニレンジカルボン酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタン酸、エチレンビスp-安息香酸、1-4テトラメチレンビス(p-オキシ安息香)酸、エチレンビス(パラオキシ安息香)酸、1,3-トリメチレンビス(p-オキシ安息香)酸から誘導されたその他のエステル、およびグリコール、例えば、エチレングリコール、1,3-トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,8-オクタメチレングリコール、1,10-デカメチレングリコールからなる群から選択される。
【0155】
好ましくは、ポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,4-ブチレン)テレフタレート(PBT)、1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートからなる群から選択される。
【0156】
一つの具現例によると、熱可塑性重合体は、ポリカーボネートである。
【0157】
好ましくは、ポリカーボネートは、下記の一般式である:
【0158】
【0159】
ここで、R1は、2価の脂肪族、指環族(alicyclic)または芳香族基であり;脂肪族および指環族(alicyclic)基は、最大8個の炭素原子を含むことができる。
【0160】
R1の例は、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、ドデカメチレン、ポリ-1,4-(2-ブテニレン)、ポリ-1,10-(2-エチルデシレン)、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、m-フェニレン、p-フェニレン、4,4´-ビフェニレン、2,2-ビス(4-フェニレン)プロパン、ベンゼン-1,4-ジメチレンを含むことができる。
【0161】
有利には、ポリカーボネートにおいて、R1基の少なくとも60%および好ましくはすべてのR1基は、下記化学式の芳香族である:
【0162】
―R2―Y―R3―
【0163】
ここで、R2およびR3は、2価の単環芳香族ラジカルであり、Yは、1個または2個の原子がR2とR3を分離するリンカーラジカルである。自由原子価は、一般的に、Yに対してメタ-またはパラ-位にある。
【0164】
R2およびR3は、置換または非置換のフェニレンであってもよく;置換基は、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ニトロおよびアルコキシであってもよい。非置換のフェニレンが好ましい;これらは、ともにまたは個別にメタまたはパラであってもよく、好ましくはパラである。
【0165】
リンカーラジカルYは、好ましくは、1個の原子がR2とR3を分離するようにし、好ましくは、炭化水素化したラジカル、例えば、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2-[2,2、1]ビシクロヘプチルメチレン、エチレン、2,2-プロピレン、1,1-(2,2ジメチルプロピレン)、1,1-シクロヘキシレン、1,1-シクロペンタデシレン、シクロドデシレン、カルボニル、ラジカルオキシ、ラジカルチオおよびスルホンである。
【0166】
好ましくは、R1は、ビフェノールAから遊離した2,2-ビス(4-フェニレン)プロパンであり、すなわち、Yは、イソプロピリデンであり、R2およびR3は、それぞれ、p-フェニレンである。
【0167】
有利には、25℃でメチレンクロライドで測定されたポリカーボネートの固有粘度は、0.3~1dl/グラムである。
【0168】
好ましくは、熱可塑性重合体は、ポリアミド、ポリエステルおよびポリカーボネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0169】
より優先的には、熱可塑性重合体は、ポリアミドである。
【0170】
好ましくは、熱可塑性重合体は、組成物の全重量に対して、99.9~10重量%範囲の含量で、優先的には99~40重量%範囲の含量で、より優先的には80~50重量%範囲の含量で存在する。
【0171】
本発明による熱可塑性組成物はまた、強化充填剤、発火遅延剤、熱安定化剤、UV安定化剤および顔料からなる群から選択される一つ以上の添加剤を含むことができる。
【0172】
好ましくは、本発明による熱可塑性組成物は、以下を含む:
【0173】
-エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、少なくとも一つのアルキル(メタ)アクリレート、特に、好ましくは、メチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびエチル-2-ヘキシルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるC1-C24アルキルメタアクリレートから誘導される少なくとも一つの単位とを含む、前記定義されているような少なくとも一つの共重合体、
-好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、フェニレンポリスルフィド、ポリアセタールおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性重合体。
【0174】
かかる具現例によると、本発明による共重合体は、好ましくは、エチレンから誘導された少なくとも一つの単位と、ブチルアクリレートから誘導された少なくとも一つの単位とを含む。
【0175】
かかる具現例によると、熱可塑性重合体は、好ましくは、ポリアミド、ポリエステルおよびポリカーボネート、フェニレンポリスルフィド、ポリアセタールおよびこれらの混合物、特に、ポリアミドから構成された群から選択される。
【0176】
したがって、本発明による熱可塑性組成物は、優先的に以下を含む:
-ポリアミドから構成された群から選択される少なくとも一つの熱可塑性重合体
-組成物の全重量に対して、0.1~20重量%範囲の含量で50g/10分以上、好ましくは、300~600g/10分の範囲の溶融流動指数(MFI)を有する、管型反応器で行われる高圧下でのフリーラジカル共重合によって得られる、少なくとも一つエチレンとブチルアクリレートの共重合体。
【0177】
組成物を製造する工程
本発明のさらに他の目的はまた、下記を混合する少なくとも一つのステップを含む、前に定義されているような熱可塑性組成物を製造する方法に関する:
-一つ以上の熱可塑性重合体、および
-混合物の全重量に対して計算された0.1~20重量%範囲の含量を有する、管型反応器で、高圧下でのフリーラジカル共重合工程によって得られた、50g/10分以上の溶融流動指数(MFI)を有するエチレンとアクリレートの一つ以上の共重合体。
【0178】
共重合体の溶融流動指数(MFI)は、2160gの荷重下で190℃の温度で測定される。
【0179】
エチレンとアクリレートの共重合体および熱可塑性重合体については、前に記載されている。
【0180】
好ましくは、エチレンとアクリレートの共重合体の含量は、混合物の全重量に対して、0.25~20重量%、好ましくは0.25~15重量%の含量、より優先的には1~15重量%の含量、さらに優先的には1~10重量%範囲の含量と様々であり得る。
【0181】
好ましくは、熱可塑性重合体の含量は、組成物の全重量に対して、99.9~10重量%、優先的には99~40重量%範囲の含量、より優先的には80~50重量%範囲の含量と様々であり得る。
【0182】
有利には、混合ステップは、エチレンとアクリレートの共重合体および熱可塑性重合体の押出ステップである。
【0183】
したがって、顆粒または粉末状の固体である本発明による組成物を得ることが可能である。
【0184】
好ましくは、混合ステップは、改質するマトリックスの融点を超え、分解点未満の温度で行われる。
【0185】
本発明による方法は、部品の製造のための成形または変形の手続きに使用される顆粒または粉末状の固体であり得る熱可塑性組成物が得られるようにする。
【0186】
組成物の用途
本発明による熱可塑性組成物は、部品の製造に使用される。
【0187】
特に、熱可塑性組成物は、部品の全部または一部の製造に使用される。
【0188】
好ましくは、熱可塑性組成物は、部品の押出または射出成形に使用される。
【0189】
より優先的には、熱可塑性組成物は、部品の射出成形に使用される。
【0190】
部品
本発明はまた、前に定義されているような熱可塑性組成物から製造された部品に関する。
【0191】
特に、部品の全部または一部は、前に定義されているような熱可塑性組成物から得られる。
【0192】
本発明に使用されているように、このように製造された部品は、完成された部品または半分-完成された部品に相当し得る。
【0193】
特に、半分-完成された部品は、完成された部品を製造するために、一つ以上の追加の処理を受けることができる製品に相当する。
【0194】
例えば、半分-完成された部品は、プレート、セクションまたは光ファイバーからなる群から選択され得る。
【0195】
完成された部品は、射出されたまたは押出された部品からなる群から選択され得る。
【0196】
好ましくは、熱可塑性組成物から製造された部品は、射出された部品からなる群から選択される。
【0197】
部品は、有利には、機械的性質、特に、十分な衝撃強度を有する。
【0198】
有利には、部品は、特に、金型に射出することで、本発明による熱可塑性組成物を金型に押出または射出することで得られ得る。
【0199】
すなわち、部品は、以降提示される射出成形工程によって得られ得る。
【0200】
特に、部品は、電子製品、コンピュータ、電気用品、自動車または電気産業分野に使用され得る。
【0201】
したがって、本発明はまた、電子製品、コンピュータ、電気用品、自動車および電気産業分野において前記定義されているような部品の用途に関する。
【0202】
射出成形工程
特に、部品は、射出成形工程によって生産され得る。
【0203】
工程は、材料投入口(input)、金型への材料排出口、および材料投入口と排出口との間に材料を強制する一つ以上の手段を含む射出ユニットを使用する。
【0204】
方法は、下記のステップを含む:
-前に述べられているように、固体形態の熱可塑性組成物を射出ユニットの投入口に導入するステップ、
-前記組成物の融点よりも高い温度で組成物を射出ユニットに強制するステップ、
-射出ユニットの排出口から高温溶融熱可塑性組成物を金型に射出するステップ。
【0205】
したがって、射出成形工程は、本発明による部品が得られるようにする。
【0206】
下記の実施例は、本発明の説明に役に立つが、本質的に制限されない。
【発明を実施するための手段】
【0207】
実施例
生成物A:直鎖状ポリアミド-6(Domamid(登録商標)27、イタリアDomo Chemicals社から販売される製品)。
【0208】
生成物B1:65重量%のエチレンを含むエチレンとブチルアクリレートから構成され、320g/10分の流動指数を有してオートクレーブ反応器(Arkema Franceから販売されるLotryl(登録商標)35BA320)で製造される共重合体。
【0209】
生成物B2:65重量%のエチレンを含むエチレンとブチルアクリレートから構成され、320g/10分の流動指数を有して管型反応器(Arkema Franceから販売されるLotryl(登録商標)T 35BA320T)で製造される共重合体。
【0210】
組成物(1)~(3)は、押出工程によって表1の割合で成分を混合することで製造される。押出は、250rpmのスクリュー速度で、4kg/時間の速度で、直径16mmおよびL/D比25(Haake PTW16/25)の2軸同時-回転押出機で行われる。混合物の最大温度は、260℃である。次いで、このように得られた組成物は、<0.08%の水分率を達成するために乾燥する。
【0211】
次いで、組成物は、Krauss Maffei 60-210B1型射出プレスを使用して、40℃の温度に調節された金型に260℃の温度で射出される。2個の金型が使用される。棒(bar)80mm×10mm×4mmを得るための第1金型および第2螺旋形金型(2mm)。
【0212】
衝撃強度性質は、23℃および50%の相対湿度(RH)で80×10×4の棒をコンディショニングした後、標準ISO 179 1eAに準じて測定される。靭性値(kJ/m2として与えられる)が高いほどより優れた衝撃強度を有する。かかる性質は、周辺温度(23℃)と低温で(-30℃)測定された。得られた値は、表1に報告されている。
【0213】
流動性質は、維持圧力が1200barである2mm厚さの螺旋形金型を使用して測定される。流動長さの値(ミリメートル単位で与えられる)が高いほどより優れた流動を有する。得られた値は、表1に報告されている。
【0214】
【0215】
ポリアミドのみを含有する組成物で得られた部品(生成物A)に比べ、ポリアミドおよび管型反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体を含有する組成物(組成物3)で得られた部品(生成物B2)の低温(-30℃)だけでなく、周辺温度(23℃)で衝撃強度の相当な改善を確認することができる。
【0216】
同じ方式で、ポリアミドのみを含む熱可塑性組成物(組成物1)に比べ、(生成物A)、管型反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体を含む熱可塑性組成物(組成物3)(生成物B2)の流動で純粋な改善が観察される。
【0217】
さらに、ポリアミドおよびオートクレーブ反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体を含む組成物(組成物2)で得られた部品(生成物B1)に比べ、ポリアミドおよび管型反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体を含む組成物(組成物3)で得られた部品(生成物B2)の衝撃強度において相当な改善が注目される。
【0218】
結果、管型反応器で製造されたエチレンとアクリレートの共重合体を使用して、ポリアミドを含有する熱可塑性組成物の流動性およびかかる組成物から得られた部品の衝撃強度を向上させることができる。