(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】特に少なくとも1つの鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム
(51)【国際特許分類】
B60T 17/18 20060101AFI20240104BHJP
B60T 13/36 20060101ALI20240104BHJP
B60T 13/68 20060101ALI20240104BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T13/36
B60T13/68
B60T7/12 D
(21)【出願番号】P 2020558907
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 IB2019052294
(87)【国際公開番号】W WO2019207372
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】102018000004956
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ティオーネ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519678(JP,A)
【文献】特開平10-203346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00-17/22
B60T 13/00-13/74
B60T 7/12-8/1769
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボギー台車を備える少なくとも1つの鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム(300)であって、
それぞれのブレーキグループ(310,310’,~310n)に対して複数のブレーキ圧(309,309’,~309n)をそれぞれ生じるように構成されている供給圧(304)により供給される複数のブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)と、
前記ボギー台車に作用する重量を示す複数の重量信号(302,302’,~302n)、非常ブレーキ要求を伝えるように構成されている非常ブレーキ要求信号(315)、ぞれぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)により生じるそれぞれの前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の圧力の値を示す複数の実圧力信号(313,313’,~313n)を受信するように構成されている非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)とを備えており、
前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)は電子装置であり、
前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)は、それぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に対して非常ブレーキ圧要求の値を示すように経時的に連続している複数の非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)を与えるように構成されており、
前記電気空気圧式制御システムは、
前記供給圧(304)により供給されて、且つ前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に対して供給される非常ブレーキ圧(306)を生じるように構成されている非常圧力モジュール(303)と、
複数の前記重量信号(302,302’,~302n)、前記非常ブレーキ要求信号(315)、常用ブレーキ要求のレベルを示すように構成されている常用ブレーキ要求信号(308)、前記実圧力信号(313,313’,~313n)、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により生じて、且つそれぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に対して非常ブレーキ圧要求の値を示すように構成されている複数の前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)を受信するように構成されているブレーキ制御ユニット(307)とを備えており、
前記ブレーキ制御ユニット(307)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示さないとき、前記常用ブレーキ要求信号(308)が有する値に基づいて、且つ対応する前記重量信号(302,302’,~302n)に基づいて対応する前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)を生じるように、また前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求の状況を示す値を有するとき、前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)が有する値に基づいて、前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)を生じるように、それぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)を制御する複数の制御信号のペア(312,312’,~312n)を与えるように構成されており、
前記ブレーキ制御ユニット(307)は、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)の電子装置から独立している電子装置であり、
前記電気空気圧式制御システムは、
前記ブレーキ制御ユニット(307)と前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)の間において繋がる複数の接点のペア(317,317’,~317n)を有する第1非常スイッチング装置(318)を備えており、
前記第1非常スイッチング装置(318)は、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301により生じる駆動信号(319)により制御されており、
前記接点のペア(317,317’,~317n)は、閉じた状態であるとき、前記ブレーキ制御ユニット(307)からそれぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に向かう前記制御信号のペア(312,312’,~312n)の繋がりができるように構成されているため、前記ブレーキ制御ユニット(307)が、前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の適用、維持、解放を得るように、前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)を制御することが可能であり、
前記接点のペア(317,317’,~317n)は、開いた状態であるとき、前記ブレーキ制御ユニット(307)からそれぞれの前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に向かう前記制御信号のペア(312,312’,~312n)の繋がりを防ぐように構成されているため、前記非常ブレーキ圧(306)を前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)に伝えるように前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)に強いる、ことを特徴とする車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項2】
前記第1非常スイッチング装置(318)の前記接点のペア(317,317’,~317n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示さないとき、また前記非常ブレーキ要求信号(315)が、非常ブレーキ要求と、前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)のそれぞれの値に対応する前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の値を示す前記実圧力信号(313,313’,~313n)の値とを示すとき、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により閉じた状態にあり、
前記第1非常スイッチング装置(318)の前記接点のペア(317,317’,~317n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示すとき、また前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の値を示す少なくとも1つの前記実圧力信号(313,313’,~313n)の値が前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)の値の間のそれぞれの値に対応しないとき、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により通常開いた状態にあることを特徴とする、請求項1に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項3】
車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システムは、複数の接点のペア(330,330’,~330n)を有して、且つ前記非常ブレーキ要求信号(315)により制御される第2非常スイッチング装置(314)を備えており、
前記第2非常スイッチング装置(314)の前記接点のペア(330,330’,~330n)は、前記ブレーキ制御ユニット(307)と前記ブレーキ圧発生モジュール(311,311’,~311n)との間において繋がり、且つ前記第1非常スイッチング装置(318)のそれぞれの前記接点のペア(317,317’,~317n)と平行であり、
前記第2非常スイッチング装置(314)の前記接点のペア(330,330’,~330n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキに対する要求を示さない値を有するとき、閉じた状態にあり、また前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示す値を有するとき、通常開いた状態にあり、
前記第1非常スイッチング装置(318)の前記接点のペア(317,317’,~317n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示さないとき、前記駆動信号(319)により開いて、又は閉じており、
前記第1非常スイッチング装置(318)の前記接点のペア(317,317’,~317n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示すとき、閉じた状態にあり、また前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の値を示す前記実圧力信号(313,313’,~313n)の値はそれぞれの前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)の値に対応しており、
前記第1非常スイッチング装置(318)の前記接点のペア(317,317’,~317n)は、前記非常ブレーキ要求信号(315)が非常ブレーキ要求を示すとき、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により通常開いた状態にあり、また前記ブレーキ圧(309,309’,~309n)の値を示す前記実圧力信号(313,313’,~313n)の値の間の少なくとも1つは前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)の値の間のそれぞれの値に対応しないことを特徴とする、請求項1に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項4】
前記非常圧力モジュール(303)は、一定の前記非常ブレーキ圧(306)の値を生じるように構成されている空気圧の値により得られる空気圧モジュールであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項5】
前記非常圧力モジュール(303)は、制御されているボギー台車に対して可能な最も大きな重量に関連している非常圧力に対応する一定の前記非常ブレーキ圧(306)の値を生じるように構成されている空気圧の値により得られる空気圧モジュールであることを特徴とする、請求項4に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項6】
前記非常圧力モジュール(303)は、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により生じる制御とフィードバック信号(305)に基づいて、前記非常ブレーキ圧(306)の値を生じるように構成されている電気空気圧式モジュールであり、
前記制御とフィードバック信号(305)は、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)と電気空気圧式の前記非常圧力モジュール(303)との間において、やりとりされることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項7】
前記非常ブレーキ圧(306)の値は、前記重量信号(302,302’,~302n)の間の最も大きな重量、及び車輪とレールの間の接触の乾燥状態のμ特性における車輪とレールの好ましい粘着係数に応じて、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により、リアルタイムで計算されることを特徴とする、請求項6に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項8】
前記非常ブレーキ圧(306)の値は、前記重量信号(302,302’,~302n)の間の最も大きな重量、及び速度信号(320)により示す車両の瞬間的な速度の値に基づいて、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により、リアルタイムで計算される乾燥状態のμにおける車輪とレールの粘着係数に応じて、前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)により、リアルタイムで計算されることを特徴とする、請求項6に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項9】
それぞれの前記ブレーキグループ(310,310’,~310n)は、同じ鉄道車両の異なる車軸にブレーキをかけることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項10】
それぞれの前記ブレーキグループ(310,310’,~310n)は、同じ鉄道車両、又は同じ鉄道車両の列車の異なるボギー台車にブレーキをかけることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項11】
前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)は、EN50128及びEN50129規格において参照される、SIL3以上の安全性レベルに応じて開発されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項12】
前記ブレーキ制御ユニット(307)は、EN50128及びEN50129規格において参照される、SIL2以下の安全性レベルに応じて開発されることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項13】
前記第1非常スイッチング装置(318)及び/又は前記第2非常スイッチング装置(314)は、リレー又はソリッドステート部品により形成されていることを特徴とする、請求項
3、又は請求項3に直接もしくは間接的に従属する請求項4~12のいずれか、に記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項14】
前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)は、シリアル通信チャンネルにより、前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)の値を前記ブレーキ制御ユニット(307)に向けて伝えることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【請求項15】
前記非常圧力制御ユニット及びモニタユニット(301)は、アナログ離散電圧信号、アナログ離散電流信号、又はPWMによる変調により、前記非常ブレーキ圧要求信号(316,316’,~316n)の値を前記ブレーキ制御ユニット(307)に向けて伝えることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、鉄道のブレーキシステムの分野である。特に、本発明は、鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システムを参照する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道のブレーキシステムは、空気圧構造、特に非常ブレーキに対して用いられる空気圧部分を単純化するため、高度な電気的方法を用いて、合計の製品原価における全体的な減少、重量の減少、増大した性能、増大した運転安全性をもたらす。
【0003】
例えば、欧州登録特許3148853号は、上記要求を満たす電気空気圧式ブレーキシステムを説明及び請求している。特に、この文献は、空気圧構造と複数の様々な実施形態を説明及び請求している。
【0004】
本願の
図1は、図示するため、欧州登録特許3148853号の
図1を示す。この図の概略的な説明を以下に示す。
【0005】
WAは、電子ユニットWCUにより制御されている電気空気圧式モジュールEPDAから構成されて、非常ブレーキ圧iの持続的準備のために用いられる。この非常ブレーキ圧iの瞬時値は、重量センサ2により読み取られるボギー台車又は車両の重量の瞬時値と関連がある。上記の値は、当業者に知られている方程式に従って、乾燥状態のμにおける予め決められた車輪とレールの粘着係数を考慮することにより計算される。BCA1~BCANは、電気空気圧式モジュール
EPCAから構成されて、電子ユニットBCUにより制御されて、シリンダBC1~BCNに対する常用ブレーキ圧の準備において用いられる。上記常用ブレーキ圧は、当業者に知られているアルゴリズムに従って、ブレーキ要求「a」、及び重量センサ2により伝えられる重量に基づく。EPCAモジュール内において、ソレノイドバルブ10,12は、それぞれ、リレーバルブRVのドライブチャンバdの充填と排出のために用いられる。ソレノイドバルブ10,12に対する制御信号をコード化することにより、電子ユニットBCUは、ドライブチャンバdに対する圧力、及びブレーキシリンダBC1~BCNに対する圧力を増加、維持、減少し得る。上記圧力は、
図1に記載のシステムと関連しているボギー台車又は車両の必要性に従って、異なる値を経時的にとり得る。
【0006】
BCU1~BCUNにより制御されるソレノイドバルブ10,12は非常ブレーキ圧iにより供給されるため、モジュールBCA1~BCANにより生じる圧力は、非常ブレーキ圧iの0値から最大値までの間の範囲において独立して変わり得る。
【0007】
非常ブレーキが、
図1に示さないユニットBCU1~BCUNと繋がる非常ブレーキ入力により要求されるとき、上記ユニットBCU1~BCUNは、ソレノイドバルブ10,12への電気供給の停止、すなわち
図1に示す状態に置くことをもたらす。
【0008】
この状態において、非常ブレーキ圧iは、空気圧バルブRVのドライブチャンバに作用される。この空気圧バルブRVは、ブレーキシリンダBC1~BCNに対して上記非常ブレーキ圧を繰り返す。この場合、常用ブレーキの場合に起こることに反して、シリンダBC1~BCNに対するすべての圧力は、非常ブレーキ圧iと等しく、上記空気圧バルブRVの公差による誤差を引いた同じ値を得る。
【0009】
本願において、以下の欧州規格を参照する。
EN50126「鉄道分野。信頼性、アベイラビリティ、保全性、安全性(RAMS)の仕様と実証」
EN50128「鉄道分野。通信、信号及び処理システム。鉄道の制御及び保護システム用ソフトウェア」
EN50129「鉄道分野。通信、信号及び処理システム。信号用安全関連電子システム」
【0010】
特に、規格EN50126は、安全性解析の結果に基づいて、(最大の安全性レベルを示す安全性レベルSIL4を含む)SIL0/1/2/3/4の安全性レベルを、調査されるシステムを備えるサブシステムに対して与えるための方法を定める。また、規格EN50128,EN50129は、それぞれ、上記安全性解析の結果に基づいて与えられるSILレベルに従って、ソフトウェアとハードウェアの構成要素に対して適用される設計基準を定める。
【0011】
これらの要因は鉄道分野の当業者に知られている。
欧州規格EN50126に従って行われる鉄道車両の非常ブレーキ機能に関する安全性計算は、上記非常ブレーキ機能、及び実行するサブシステムに対するSIL3以上の安全完全性レベルを体系的に与える。
欧州規格EN50126に従って行われる鉄道車両の常用ブレーキ機能に関する安全性計算は、上記常用ブレーキ機能、及び実行するサブシステムに対するSIL2以下の安全完全性レベルを通常与える。
EN50128とEN50129に記載のSIL3以上のレベルに従って、マイクロプロセッサを一般的に備える、又はFPGAに基づく制御ユニットの開発は、設計、検証、及び認証のコストを必然的に伴う。この設計、検証、及び認証のコストは、同じ機能を得る一方、SIL2以下のレベルに従う設計よりもおよそ1桁大きい。
【0012】
上述の要点の最後に関して、極度に限定されるSIL3以上の安全性レベルに従って開発されて、且つ単純な機能を保つことが適切であることが明らかである。
【0013】
図示するように、非常ブレーキ圧を管理するために用いられる電子制御ユニットWCUは、規格EN50128とEN50129に記載のSIL3以上のレベルに従って確実に開発される。一方、この種類の開発は、欧州登録特許3148853号に請求されていることに関して、基本的なマイクロプロセッサ及び/又はFPGAに基づく単純な回路に限定される。上記回路は、単純な閉路制御を通して非常ブレーキ圧iを得るため、非常ブレーキ圧iの計算、2つのソレノイドバルブ5,6の駆動、及びフィードバック圧力センサ9の読み取りに割り当てられる。
【0014】
好ましくないことに、欧州登録特許3148853号に記載のシステムが、様々なブレーキシリンダBC1~BCNのための非常ブレーキ圧の単一で共通の値を生じ得ることは明らかである。
【0015】
非常及び常用ブレーキシステムが、それぞれのブレーキシリンダBC1~BCNに対して異なる非常ブレーキ圧を生じる必要がある鉄道分野がある。例えば、限定しない欧州登録特許3148853号に記載のシステムにおいて、符号BC1~BCNが、BC1,BC2に限定されて、一方のボギー台車が動力を取り付けられて、且つ他方のボギー台車が牽引されるボギー台車である同じボディの2つの異なるボギー台車に与えられる2つの圧力のチャンネルを示すとき、又は2つの隣接するJAKOBSボギー台車がブレーキをかけられる必要があるとき、異なる非常ブレーキの値が要求される。両方の場合、2つのボギー台車は、非常ブレーキの場合を含めて、異なるブレーキ重量を一般的に生じる。この場合、欧州登録特許3148853号に記載のシステムは、それぞれのチャンネルBC1,BC2に対して等しい非常ブレーキの値を生じて、もはや適切でない。
【0016】
ある方法は、それぞれのモジュールBCA1,BC2に対してモジュールWAを複製することである。それぞれのモジュールWA1,WA2は、ボギー台車に関連している重量センサ2から重量の値を受け取り、それぞれのモジュールBCA1,BCA2に対して、それぞれのボギー台車に特有の独立した非常ブレーキ圧を生じる。
【0017】
一方、この方法は、最小のコスト、大きさ、及び重量により特徴づけられているシステムを有する要件に反するため、実行可能でない。
【0018】
第2の方法は、規格EN50128とEN50129に記載のSIL3以上のレベルに従って、モジュールBCA1~BCANを開発して、それぞれのボギー台車に対してそれぞれの非常ブレーキ空気圧を独立して発生及び制御することを上記モジュールBCA1~BCANに任せることである。
【0019】
この方法はまた、ユニットBCA1~BCANが、常用ブレーキ圧を生じることに加えて、様々な機能、すなわちアンチスキッド機能、診断機能、イーサネットのような複雑なプロトコルにおけるシリアル通信機能を制御するために用いられるように極めて複雑であるため、実行可能でない。このハードウェアとソフトウェアの複雑さは、開発が規格EN50128とEN50129に記載のSIL3以上の安全性レベルに従って行われるとき、実現不可能なコストをもたらす。
【発明の概要】
【0020】
したがって、本発明の目的は、特に少なくとも1つの鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システムを提供することである。この電気空気圧式制御システムにより、例えば欧州登録特許3148853号に記載の同様のシステムに比べて、システムの複雑さと全体コストを増すことなく、SIL3以上の安全性レベルに従って、それぞれのチャンネルに対して非常圧力を独立して制御できる。
【0021】
上記システムはまた、上記システムを形成する構成要素における局所的な故障の場合、すべてのチャンネルに対して共通の非常ブレーキ圧を与えることができる。
【0022】
本発明の態様によれば、独立請求項において定められている特性を有する鉄道車両の非常ブレーキのための電子制御システムにより、上述及び他の目的と利点が得られる。本発明の好ましい実施は、従属請求項において定められている。この従属請求項は、本明細書の複合部分として示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明に記載の非常及び常用ブレーキのための電子制御システムの一部の好ましい実施形態の機能的及び構造的特性が説明されている。添付図面に対して参照される。
【
図1】
図1は、先行技術文献欧州登録特許3148853号に記載の常用及び非常ブレーキを統合する空気圧ブレーキシステムの単純な方法を示す。
【
図2】
図2は、限定しないモジュールEPCAのための代替の方法である。
【
図3】
図3は、本発明に記載の非常及び常用ブレーキのための電子制御システムの第1の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、本発明に記載の非常及び常用ブレーキのための電子制御システムの第2の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、単純化された方法において、先行技術文献欧州登録特許3148853号に記載の別の図示する方法に従って製造される空気圧モジュールEPDAを示す。
【
図6】
図6は、単純化された方法において、先行技術文献欧州登録特許3148853号に記載の別の図示する方法に従って製造される空気圧モジュールEPDAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、出願において、以下に記載又は図示する構造の詳細、及び構成要素の構成に対して限定されないことが明らかである。本発明は他の実施形態を得て、特に異なる方法において実行又は達成され得る。また、用語及び専門用語が記述的目的を有して、限定して構成されるべきでないことが分かる。「含む」、「備える」、及びその変形の使用は、後述の要素及び均等なものを含むように理解される。
【0025】
本発明の第1の実施形態によれば、
図3に示すように、複数のボギー台車を備える特に少なくとも1つの鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300を図示する。
【0026】
非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300は、それぞれのブレーキユニット310,310’,~310nに対してブレーキ圧309,309’,~309nをそれぞれ生じるように構成されている複数の電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nを備える。
【0027】
これらのブレーキ圧を発生させるための電気空気圧式モジュール311,311’,~311nは、例えば、
図3に図示しない補助タンクから来る空気供給圧304により作動される。
【0028】
ブレーキ圧を発生させるための電気空気圧式モジュール311,311’,~311nは、それぞれ、限定することなく、例えば、
図1に示す電気空気圧式モジュールEPCAの実施形態を得てもよい。
【0029】
また、それぞれの電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nは、限定することなく、例えば、
図2に示す電気空気圧式モジュールEPCAの実施形態をとり得る。モジュールEPCA内において、ソレノイドバルブ200,201は、それぞれ、シリンダBCを直接充填及び排出するために用いられる。ソレノイドバルブ200,201に対する制御信号を適切にコード化することにより、電子ユニットBCUは、ブレーキシリンダBCに対する直接の圧力を増加、維持、減少し得る。
【0030】
図3において、2つ以上の電気信号のペア312,312’,~312nは、ブレーキ空気圧を生じるそれぞれの電気空気圧式モジュール311,311’,~311n内のソレノイドバルブの駆動もたらす。このソレノイドバルブは、
図3に示さない。上記ソレノイドバルブの機能モードは、
図1及び
図2においてモジュールEPCAに対して記載したものと同様である。
【0031】
非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300はまた、対応するボギー台車に作用する重量を示す複数の重量信号302,302’,~302n、非常ブレーキ要求を伝えるように構成されている非常ブレーキ要求信号315、ぞれぞれのブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nにより生じるそれぞれのブレーキ空気圧309,309’,~309nにより得られる圧力の値を示す複数の実圧力信号313,313’,~313nを受信するように構成されている非常圧力制御及びモニタユニット301を備える。
【0032】
上記実圧力信号313,313’,~313nは、例えば
図3に示さない圧力センサにより生じる。この圧力センサは、それぞれ、ブレーキ圧309,309’,~309nを読み取るように構成されている。
【0033】
非常ブレーキ要求信号315は、例えば、図示しない鉄道車両の非常ループからもたらされ得る。
【0034】
上記非常圧力制御及びモニタユニット301はまた、時間内において連続している複数の非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nを生じるように構成されている。上記非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nは、当業者に知られている方程式に従って、対応するボギー台車に作用する重量を示す、対応する信号302,302’,~302nの瞬時値、及び乾燥状態のμにおける予め決められた車輪とレールの粘着係数に基づいて計算される。
【0035】
好ましくは、非常圧力制御及びモニタユニット301はまた、車両の瞬間的な速度を示す速度信号320、対応するボギー台車に作用する重量を示す複数の重量信号302,302’,~302n、非常ブレーキ要求を伝えるように構成されている非常ブレーキ要求信号315、ぞれぞれのブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nにより生じるブレーキ空気圧309,309’,~309nにより得られる圧力の値を示す複数の実圧力信号313,313’,~313nを受信するように構成され得る。
【0036】
上記非常圧力制御及びモニタユニット301は、時間内において連続している複数の非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nを生じるように構成され得る。それぞれのブレーキ圧要求信号316,316’,~316nは、対応するボギー台車に作用する重量を示す、対応する信号302,302’,~302nの瞬時値、及び乾燥状態のμにおける予め決められた車輪とレールの粘着係数に基づいて計算される。この粘着係数は、非常圧力制御及びモニタユニット301により行われる機能からリアルタイムで得られる。また、この粘着係数は、上記制御及びモニタユニット301の不揮発性メモリにある。上記機能は、速度信号320により示す列車の速度に基づいて、乾燥状態のμにおける車輪とレールの粘着係数の値のマッピングを示す。
【0037】
上記非常圧力制御及びモニタユニット301は電子的構造である。
【0038】
非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300はまた、非常圧力発生モジュール303を備えて、上記供給圧304により作動される。この非常圧力発生モジュール303は、複数の電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに対して供給される非常ブレーキ圧306を生じるように構成されている。
【0039】
例えば、供給圧304は、図示しない補助タンクにより与えられ得る。
【0040】
また、非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300は、重量信号302,302’,~302n、非常ブレーキ要求信号315、常用ブレーキ要求信号308、実圧力信号313,313’,~313n、非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nを受信するように構成されているブレーキ制御ユニット307を含む。常用ブレーキ要求信号308の値は、常用ブレーキ要求のレベルを示す。
【0041】
非常ブレーキ圧制御及びモニタユニット301により生じる非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nは、限定することなく、例えば、シリアル通信手段を通して、又は電圧、電流、若しくはPWMにおける1組のアナログ信号によりブレーキ制御ユニット307に対して送られる。
【0042】
ブレーキ制御ユニット307は、制御信号のペア312,312’,~312nを与えるように構成されている。制御信号のペア312,312’,~312nを適切にコード化することにより、ブレーキ制御ユニット307は、ブレーキ圧309,309’,~309nを増加、維持、減少し得る。
【0043】
ブレーキ圧309,309’,~309nの増加、維持、及び減少は、上述の電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに設けられているソレノイドバルブを駆動することにより得られてもよい。
【0044】
上記ブレーキ制御ユニット307はまた、電子的構造である。ブレーキ制御ユニット307の電子的構造は、非常圧力制御及びモニタユニット301の電子的構造から独立している。
【0045】
図3に戻り、非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システム300は、ブレーキ制御ユニット307とブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nの間において繋がる複数の接点のペア317,317’,~317nを備える第1非常スイッチング装置318を含む。
【0046】
第1非常スイッチング装置318は、非常圧力制御ユニット301により生じる駆動信号319により制御されている。
【0047】
接点のペア317,317’,~317nは、閉じた状態であるとき、ブレーキ制御ユニット307からそれぞれのブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに向けかう制御信号のペア312,312’,~312nの繋がりができるように構成されているため、ブレーキ制御ユニット307が、ブレーキ圧309,309’,~309nの適用、維持、解放を得るように、ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nを制御できる。
【0048】
接点のペア317,317’,~317nは、開いた状態であるとき、ブレーキ制御ユニット307からそれぞれのブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに向かう制御信号のペア312,312’,~312nの繋がりを防ぐように構成されているため、非常ブレーキ圧306の値をブレーキ圧309,309’,~309nに向けて伝えるように上記ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに強いる。
【0049】
ある実施形態において、第1非常スイッチング装置318の接点のペア317,317’,~317nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示さないとき、また非常ブレーキ要求信号315が、非常ブレーキ要求と、前記非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nのそれぞれの値に対応するブレーキ圧309,309’,~309nの値を示す実圧力信号313,313’,~313nの値とを示すとき、非常圧力制御ユニット301により閉じた状態にある。
【0050】
第1非常スイッチング装置318の接点のペア317,317’,~317nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示すとき、またブレーキ圧309,309’,~309nの値を示す少なくとも1つの実圧力信号313,313’,~313nの値が非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nの間のそれぞれの信号に対応しないとき、非常圧力制御ユニット301により通常開いた状態にある。このように、制御信号312,312’,~312nの繋がりは、電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに対するブレーキ制御ユニット307により妨げられる。結果として、ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nのソレノイドバルブは、作動しない状態にされて、非常圧力モジュール303により供給される非常ブレーキ圧306の値をブレーキ圧309,309’,~309nに向けて伝えるように強いられる。
【0051】
別の実施形態において、
図4を参照すると、非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システムはまた、複数の接点のペア330,330’,~330nを有して、且つ非常ブレーキ要求信号315により制御される第2非常スイッチング装置314を備えてもよい。
【0052】
第2非常スイッチング装置314の上記接点のペア330,330’,~330nは、ブレーキ制御ユニット307とブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nとの間において繋がり、且つ上記第1非常スイッチング装置318のそれぞれの接点のペア317,317’,~317nと平行である。
【0053】
第2非常スイッチング装置314の上記接点のペア330,330’,~330nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキに対する要求を示さない値を有するとき、閉じた状態にあり、また非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示す値を有するとき、通常開いた状態にある。
【0054】
図4に示すように、閉じた状態の接点330,330’,~330nにより、ブレーキ制御ユニット307から電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに向かう制御信号のペア312,312’,~312nの繋がりができるため、ブレーキ制御ユニット307は、上述のように、互いに独立して、ブレーキ圧309,309’,~309nを増加、維持、減少し得る。
【0055】
開いた状態の接点330,330’,~330nは、ブレーキ制御ユニット307からブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに向かう制御信号のペア312,312’,~312nの繋がりを防ぐ。このように、ブレーキ制御ユニット307による電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nの制御が防がれる。この状態において、電気空気圧式ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nは、
図4に示す作動しない状態を有して、非常圧力306により得られる圧力の値をブレーキ圧309,309’,~309nに向けて伝える。
【0056】
この実施形態において、第1非常スイッチング装置318の上記接点のペア317,317’,~317nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示さないとき、駆動信号319により開いて、又は閉じている。
【0057】
第1非常スイッチング装置318の上記接点のペア317,317’,~317nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示すとき、閉じた状態にある。また、ブレーキ圧309,309’,~309nの値を示す実圧力信号313,313’,~313nの値はそれぞれの非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nの値に対応している。
【0058】
第1非常スイッチング装置318の上記接点のペア317,317’,~317nは、非常ブレーキ要求信号315が非常ブレーキ要求を示すとき、前記非常圧力制御ユニット301により通常開いた状態にある。また、ブレーキ圧309,309’,~309nの値を示す実圧力信号313,313’,~313nの値の少なくとも1つは非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nの間のそれぞれの信号に対応しない。
【0059】
すなわち、接点のペア317,317’,~317nが閉じているとき、非常ブレーキ圧要求信号316,316’,~316nの値を対応するブレーキ圧309,309’,~309nに向けて伝えるように、ブレーキ制御ユニット307からブレーキ空気圧発生モジュール311,311’,~311nに向かう制御信号のペア312,312’,~312nの繋がりができる。
【0060】
結果として、接点のペア317,317’,~317nが開いているとき、ブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nは、
図4に示す作動しない状態にされて、非常圧力モジュール303により供給される非常ブレーキ圧306の値をブレーキ圧309,309’,~309nに伝えるように強いられる。
【0061】
すべての実施形態において、第1スイッチング装置318、第2スイッチング装置314は、例えば、非常ブレーキ要求信号315と、ブレーキ制御ユニット307から出る信号との間を分離する光遮断器により、リレーである、又はソリッドステート部品を有してもよい。
【0062】
非常圧力306は、すべてのブレーキ圧発生モジュール311,311’,~311nに設けられているソレノイドバルブの共通の供給圧力を備えるため、上記モジュール311,311’,~311nは、非常ブレーキ圧306の値と等しい最大圧力の値を生じ得る。結果として、それぞれのブレーキチャンネルに対する非常圧力の値が、それぞれの上記チャンネルに対する常用ブレーキにより到達され得る最大値を通常示すことを考慮して、非常ブレーキ圧306は、非常圧力要求信号316,316’,~316nの最大値と少なくとも等しい、又は最大値よりも大きい値を常に有する必要がある。
【0063】
この目的は、限定することなく、例えば、
図1、
図5、又は
図6における空気圧モジュールEPDAと同等の形態を非常圧力モジュール303に対して与えることにより、達成され得る。
【0064】
非常圧力モジュール303は、非常圧力制御及びモニタユニット301、
図1においてソレノイドバルブ5,7の制御信号を示す制御とフィードバック信号
305、及び圧力センサ9からもたらされるフィードバック信号により、制御されている。上記制御機能は、経時的に連続的な方法で非常圧力306を準備するように構成されている。非常圧力制御及びモニタユニット301は、非常ブレーキ圧306の非常ブレーキ圧要求316,316’,~316nの値の間において最も大きな値を常に得ることにより、非常圧力モジュール303を制御することをもたらす。上記の値は、速度信号320により示す車両の瞬間的な速度に基づいて、重量302,302’,~302n、及び利用できる粘着の最大値に従って常に計算される。
【0065】
上記非常圧力モジュール303は、一定の非常ブレーキ圧306の値を生じるための空気圧の値により得られる空気圧モジュールであってもよい。
【0066】
非常ブレーキ圧306を生じるための非常に単純な第2の方法は、限定することなく、非常圧力モジュール303を得るための安全弁の値を用いること、最大の重量において予想される非常圧力のより大きな値に対応する圧力の値に対して上記安全弁の値を恒久的に校正することから構成されている。上記の値は、システムの設計の段階において計算される。上述の実施形態の場合、制御とフィードバック信号305は、圧力306を連続的にモニタリングするための単純なフィードバック機能に対して減少する。
【0067】
有利であるように、相対的に単純な非常圧力制御及びモニタユニット301は、規格EN50128とEN50129に記載のSIL3以上の安全性レベルに従って開発され得る。また、ブレーキ制御ユニット307は、極めて複雑に、規格EN50128とEN50129に記載のSIL2以下の安全性レベルに従って開発され得る。
【0068】
したがって、ブレーキ制御ユニット307が、SIL2以下の安全性レベルに従って開発されて、非常ブレーキを独立して扱うことに適していない一方、非常圧力制御及びモニタユニット301により連続的な制御及びモニタリングを受けて、非常圧力の管理を行い得る。この非常圧力制御及びモニタユニット301は、SIL3以上の安全性レベルに従って開発されている。上述のように、非常圧力制御及びモニタユニット301は、非常ブレーキの間、ブレーキ圧309,309’,~309nの値が予想される、すなわち予め決められた公差内において、それぞれの値316,316’,~316nに対応することを確認する。上記ブレーキ圧309,309’,~309nが予想される値に対応しないとき、すなわち上記公差のマージン内において、それぞれの値316,316’,~316nに対応するとき、ブレーキ制御ユニット307の考えられる故障は、非常圧力制御及びモニタユニット301により「安全」であると識別される。この非常圧力制御及びモニタユニット301は、第1スイッチング装置318、第2スイッチング装置314への電気供給の停止により、「安全」に、ブレーキ圧309,309’,~309nを非常ブレーキ圧306の値にする。
【0069】
ブレーキグループ310,310’,~310nは、それぞれ、同じ鉄道車両の異なる車軸にブレーキをかけ得る。その他、ブレーキグループ310,310’,~310nは、それぞれ、同じ鉄道車両又は鉄道車両の列車の異なるボギー台車にブレーキをかけ得る。
【0070】
したがって、上述の実施形態により、一方が、連続的なモニタリングとブレーキ制御ユニット307が故障した場合のバックアップソリューションによるSIL3以上の安全性レベルに従って、非常ブレーキの間、異なるボギー台車の異なる重量に応じるシステムに対する出力圧を識別できる。これは、SIL3以上の安全性レベルにおいて動作するように形成されている非常圧力制御及びモニタユニット301によりもたらされる。
【0071】
本発明によれば、特に少なくとも1つの鉄道車両用の非常及び常用ブレーキのための電気空気圧式制御システムの異なる態様と実施形態が記載されている。それぞれの実施形態が他の実施形態と組み合わせられ得ることが分かる。また、本発明は、記載している実施形態に限定されることなく、添付の請求項により定められている範囲内において変形し得る。