(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】光プラグイン接続のためのコネクタ部
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20240104BHJP
G02B 6/40 20060101ALI20240104BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20240104BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20240104BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/40
G02B6/255
G02B6/32
H01R13/46 D
(21)【出願番号】P 2020573505
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019066641
(87)【国際公開番号】W WO2020002213
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509079466
【氏名又は名称】ダイアモンド・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】DIAMOND SA
(73)【特許権者】
【識別番号】520512867
【氏名又は名称】ノイトリック・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】NEUTRIK AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】コッジ,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ファンティーニ,ディオニージ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003776(WO,A1)
【文献】特表2012-517033(JP,A)
【文献】実開昭60-107906(JP,U)
【文献】特開2010-217854(JP,A)
【文献】国際公開第2017/129289(WO,A1)
【文献】米国特許第04611887(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1513190(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/255
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光プラグイン接続のためのコネクタ部(1)であって、
- ピンホルダ(2)と、
- 前記ピンホルダに収容される少なくとも2つのピンスリーブ(3,3′)とを備え、前記少なくとも2つのピンスリーブ(3,3′)の各々において、光導波路を有するコネクタピン(4,4′)が締結されており、前記コネクタ部(1)はさらに、
- 前記ピンホルダに接続されたコネクタハウジング(8)を備え、前記コネクタハウジング(8)は、前記コネクタピンを完全にまたは部分的に囲んでおり、嵌合コネクタ部への係止接続をもたらすための係止手段(9)を有し、前記コネクタ部(1)はさらに、
- ロック解除スライド(11)を備え、前記ロック解除スライド(11)は、前記嵌合コネクタ部への係止接続を解除するために前記コネクタハウジング(8)上に摺動可能に装着されており、
- 前記ピンホルダは、互いに係止可能であるかまたは互いに係止する2つのハーフシェル(12,12′)で構成されており、
- 前記コネクタハウジング(8)は同様に前記ピンホルダ(2)に係止可能であるかまたは係止され、
- 前記ロック解除スライド(11)は、前記少なくとも2つのピンスリーブ(3,3′)を囲む閉じスリーブとして設計されて
おり、
前記ロック解除スライド(11)は、前記ピンホルダ(2)の前記コネクタピン(4,4′)の側に配置されている、コネクタ部(1)。
【請求項2】
前記コネクタ部(1)がIEC61754-7に準じたMPOマルチファイバー・プッシュオン製造規格に対応するとともに前記製造規格の嵌合コネクタ部と互換性をもつように、前記コネクタハウジング(8)、前記係止手段(9)および前記ロック解除スライド(11)が設計される、請求項1に記載のコネクタ部。
【請求項3】
前記ピンスリーブ(3,3′)が、前記コネクタピンを内部に保持するピン収容部分(13)と、光導波路ケーブル(7)への接続のためのケーブル収容部分(14)とを有し、前記ケーブル収容部分は、互いに接続可能であるかまたは互いに接続された2つのシース部(15,15′)を有しており、光導波路スタブ(6)が前記コネクタピンに保持され、前記光導波路スタブのうち前記光導波路ケーブル(7)に面する自由端は、接続された前記2つのシース部の領域において前記光導波路ケーブルの光導波路(5)に継ぎ合わせ可能であるかまたは継ぎ合わされる、請求項1または2に記載のコネクタ部。
【請求項4】
前記ピンスリーブ(3,3′)がばね予張力を受けて前記ピンホルダ(2)上に支持される、請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項5】
圧縮コイルばね(16)が各々のピンスリーブ(3,3′)上に装着され、前記圧縮コイルばねが
、前記ピンスリーブ上に押当て可能であるとともに固定スリーブ(17)によって固定され、前記固定スリーブ(17)
が押圧されて前記ピンスリーブに係止可能であ
り、前記固定スリーブ(17)が前記圧縮コイルばね(16)と前記コネクタピン(4,4′)との間に配置されている、請求項4に記載のコネクタ部。
【請求項6】
球面レンズ(19)が各々のコネクタピン(4,4′)の端面(18)に取付けられており、クランプスリーブ(20)の自由端(21)が前記コネクタピンの長手方向中心軸(22)に対して前記球面レンズの外面を越えて突出るように、前記球面レンズが前記コネクタピン上に押当てられた前記クランプスリーブ内に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項7】
前記コネクタピン(4,4′)はソケット部(23)内に押込まれ、前記ソケット部(23)は前記コネクタハウジング(8)に係止され、前記ソケット部内に嵌合コネクタ部の前記コネクタピンを差込むことができる、請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項8】
浮動するように装着されたセンタリングスリーブ(24)が、各々のコネクタピンのための前記ソケット部に配置されている、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ピンホルダ(2)の前記2つのハーフシェル(12,12′)が構造的に同一となるように設計されているとともに、前記2つのハーフシェルの各々が少なくとも1つの係止用舌部(25)および少なくとも1つの係止用開口部(26)を有するように設計されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項10】
前記ピンホルダ(2)は、各々のピンスリーブのための別個の保持チャンバ(27)を有し、前記保持チャンバは中間ウェブ(28)によって互いから分離されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項11】
前記ピンホルダは(2)、前記コネクタハウジング(8)内に押込むことができるかまたは押込まれる接続部分(29)を有し、前記接続部分の上に少なくとも1つの係止用突起(30)が配置されており、前記少なくとも1つの係止用突起は、前記コネクタハウジングにおける相補的な係止用開口部(31)内に係止することができる、請求項1から10のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項12】
前記コネクタハウジング(8)は、各々のピンスリーブ(3,3′)のための別個の収容チャンバ(32)を有する一体型構成要素であり、前記収容チャンバは、互いに対して長手方向に開いている、請求項1から11のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項13】
前記ロック解除スライド(11)は、2つの圧縮コイルばね(33,33′)によってコネクタ端面(40)に抗して予め張力がかけられており、前記圧縮コイルばねは、前記コネクタハウジング(8)上のそれぞれの肩部(34)上において支持されている、請求項1から12のいずれか1項に記載のコネクタ部。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のコネクタ部(1)と、嵌合コネクタ部とを備えたプラグイン接続であって、前記嵌合コネクタ部は、ハウジング壁に締結可能なシャーシソケットとして、または、ケーブル端プラグインコネクタとして設計されている、プラグイン接続。
【請求項15】
前記嵌合コネクタ部が、前記コネクタ部に対して相補的な2つの光入力に加えて、電気的なプラグイン接続をもたらすための少なくとも1つの電気接点を有する、請求項14に記載のプラグイン接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プラグイン接続のためのコネクタ部に関する。多種多様なこのようなコネクタ部が公知であり、一般に光データ送信に用いられている。用途に応じてさまざまなコネクタタイプが用いられている。この場合、特に、個々の光導波路の端面連結の種類とプラグイン接続の機構とは区別されている。
【背景技術】
【0002】
いわゆるプッシュ・プル原理の接続機構が広く用いられているとともに時には標準化されていることもある。この場合、接続されるべきコネクタ部は、嵌合コネクタ部に押込まれるとロックする。プラグイン接続は、ケーブルまたはコネクタハウジングを引張っても破壊することはできない。ロック動作は、コネクタハウジングに装着されたロック解除スライドを引張ることによって解除される。この機械接続の原理は、複数の光導波路が互いに直に隣接して一列に配置されている多芯コネクタに用いることができる。しかしながら、プッシュ・プル原理は、光導波路がコネクタピン内に極めて正確に中心に保持されている単式コネクタまたは二重コネクタにも用いられる。このようなコネクタ部が、たとえばEP156397B1に既に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種類の公知のコネクタ部の重大な欠点は、組立ておよび分解が複雑で時間がかかる点である。したがって、コネクタ部は現場で使用するのに適していない。その理由は、たとえば、プラグイン接続または光導波路ケーブルが破損した場合、多大な労力を払わないと修復できないからである。これによりデータ送信が比較的長く中断されることは明らかであり、このことは、端末装置につながっており現在一般に用いられている光ファイバネットワークでは、もはや許容されない。また、特に緊急事態時に、悪化した現場条件下で不良接続を再確立できるようにすることも望まれている。
【0004】
したがって、本発明の目的は、光プラグイン接続のためのコネクタ部を提供することであり、その外側部分は、最小の送信ロスで高精度のプラグイン接続を確保しながらも迅速に、好ましくは工具なしで組立てることができる。しかしながら、特に、当該目的は、マルチファイバー・プッシュオン(multi-fiber push on:MPO)製造規格のコネクタハウジング内に空間的に最適化された態様で高精度の光導波路フェルールを2つ収容するためのオプションを提供することである。さらに、コネクタ部は、経済的に製造できるとともに容易に取扱いできるものでなければならない。この目的は、請求項1の特徴を有するコネクタ部によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この場合、コネクタ部は、ピンホルダと、当該ピンホルダに収容される少なくとも2つのピンスリーブとを備える。当該少なくとも2つのピンスリーブの各々において、光導波路を有するコネクタピンが締結されている。当該コネクタ部はさらに、当該ピンホルダに接続されたコネクタハウジングを備える。当該コネクタハウジングは、当該コネクタピンを完全にまたは部分的に囲んでおり、嵌合コネクタ部への係止接続をもたらすための係止手段を有する。ロック解除スライドが、当該嵌合コネクタ部への係止接続を解除するために当該コネクタハウジング上に変位可能に装着されている。当該ピンホルダは、互いに係止可能であるかまたは互いに係止する2つのハーフシェルで構成されており、当該コネクタハウジングは同様に当該ピンホルダに係止可能であるかまたは係止される。ここで、嵌合コネクタ部は、単に当該コネクタ部を別の光学部品に接続するための役割を果たすだけである純粋に受動的な中心部であるかまたは連結手段自体を有する別の能動的なコネクタ部であると理解される。
【0006】
全ての必須な構成要素を互いに係止することができることは明らかであり、これにより、組立ておよび分解が大幅に簡略化される。ねじまたはねじナットの使用が完全に不要になる。それでもなお、破損し易いコネクタピンを有するピンスリーブは交換可能である。製造上の理由から、2つのハーフシェルは、たとえばフィルムヒンジによって、または別の態様で互いに接続することができる。
【0007】
本発明のコネクタ部は、当該コネクタ部がIEC61754-7に準じたMPOマルチファイバー・プッシュオン製造規格に対応するとともにこの製造規格の嵌合コネクタ部と互換性をもつように、当該コネクタハウジング、当該係止手段および当該ロック解除スライドが設計されていれば、特に最適な態様で用いることができる。この製造規格は特に多芯コネクタに広く用いられており、このため、多芯コネクタおよび二重コネクタが既存のデバイス接続に対して代替的に使用可能となる。この場合、当該規格は、とりわけ、コネクタ部の外形寸法および係止に関連している。
【0008】
当該ピンスリーブが、当該コネクタピンを内部に保持するピン収容部分と、光導波路ケーブルへの接続のためのケーブル収容部分とを有していれば、現場組立てに関してさらに重要な利点を達成することができる。この場合、ケーブル収容部分は、互いに接続可能であるかまたは互いに接続された2つのシース部を有しており、光導波路スタブが当該コネクタピンに保持される。この光導波路スタブは、当該コネクタピンに既に据付けられており、好ましくは、工場で高精度にセンタリングされる。当該光導波路スタブのうち当該光導波路ケーブルに面する自由端は、接続された当該2つのシース部の領域において当該光導波路ケーブルの光導波路に継ぎ合わせ可能であるかまたは継ぎ合わされる。この技術は、EP1516215B1またはEP2394191B1から既に公知である。有意な利点は、コネクタピンを現場で組立てる場合、破損し易い光導波路がコネクタピン内に既に締結されてセンタリングされていることである。光導波路ケーブルへの接続は継ぎ合わせによって後方領域において行われ、継ぎ合わせ個所は、互いに接続された2つのシース部によって被覆および保護されている。ピンホルダにおける取付けおよび実際のコネクタハウジングの組立ては後になるまで行われない。しかしながら、この継ぎ合わせ技術の代わりに、他の技術を光導波路の組付けのために任意に用いてもよい。
【0009】
光プラグイン接続は、コネクタピンの互いに対向する端面間の距離の変化に特に敏感に反応する。したがって、当該ピンスリーブがばね予張力を受けて当該ピンホルダ上に支持されていれば、有利である。これにより、互いに対向するコネクタピンがばね予張力を受けて互いに押し合うことが確実にされ、許容可能なばねの撓みにより、反対方向に作用する力の橋渡しがなされる。
【0010】
このばね機構の迅速かつ容易な組立ても可能にするために、圧縮コイルばねが各々のピンスリーブ上に装着され、当該圧縮コイルばねが、当該コネクタピンを越えて当該ピンスリーブ上に押当て可能であるとともに固定スリーブによって固定され、当該固定スリーブが当該コネクタピンを越えて押圧されて当該ピンスリーブに係止可能であれば、特に好都合である。このため、圧縮コイルばねは、コネクタ端面から組付けおよび固定することができ、これにより、組立てが簡略化されることは明らかである。コネクタピンは、設定された規格に対応して2.5mmの直径を有し得る。
【0011】
さらなる利点は、球面レンズが各々のコネクタピンの端面に取付けられており、クランプスリーブの自由端が当該コネクタピンの長手方向中心軸に対して当該球面レンズの外面を越えて突出るように、当該球面レンズが当該コネクタピン上に押当てられたクランプスリーブ内に配置されていれば、達成され得る。球面レンズにより、送信される光線の断面が大きくなり、次に、当該光線の断面は、嵌合コネクタ部上の同一の球面レンズによって小さくなる。この方策により、互いに対向するコネクタピン同士の間の距離が長くなった場合または異物混入があった場合でも、十分なデータ送信が可能となる。クランプスリーブが球面レンズの外面を越えて突出ているので、互いに対向する球面レンズ同士が直接接触することが防止される。当然、球面レンズの代わりに他のタイプのレンズが用いられてもよい。さらに、異なるフェルールまたはレンズ(特に1.25mmの直径を有するフェルール)の使用が想到される。
【0012】
当該コネクタピンはソケット部内に押込むことができ、当該ソケット部は当該コネクタハウジングに係止され、当該ソケット部内に嵌合コネクタ部の当該コネクタピンを差込むことができる。この単純な方策の結果、雄型コネクタまたは雌型コネクタとしてのソケット部の有無に関わらず、同じタイプの2つのコネクタ部を設計することができる。この場合、浮動するように装着されたセンタリングスリーブが、各々のコネクタピンのための当該ソケット部に配置されていれば有利である。このセンタリングスリーブにより、その中に配置された互いに対向するコネクタピンが、確実に、ピンの外側シースに対して正確にセンタリングされることとなる。したがって、コネクタピンの組付け中に最適な角度アライメントを確保するための複雑な幾何学的形状を不要にすることができる。
【0013】
製造および組立てに関するさらなる利点は、当該ピンホルダの当該2つのハーフシェルが構造的に同一となるように設計されているとともに、当該2つのハーフシェルの各々が少なくとも1つの係止用舌部および少なくとも1つの係止用開口部を有するように設計されていれば、達成することができる。したがって、ピンホルダは2つの同一の構成要素で構成されているが、これらは、互いに面するように互いに対して係止することができる。より優れた安定性を得るために、この場合、各々のハーフシェルが2つの係止用舌部および2つの係止用開口部を有していれば有利である。この場合、係止用舌部および係止用開口部は、相対する長手方向側に配置されており、これらハーフシェル上でずらされている。これらハーフシェルは、プラスチック材料でできた射出成形部品として特に簡単に費用効率よく製造することができる。
【0014】
当該ピンホルダは、好ましくは、各々のピンスリーブのための別個の保持チャンバを有しており、当該保持チャンバは中間ウェブによって互いから分離されている。当該中間ウェブは、長手方向の安定性を向上させるとともに、各々のピンスリーブのために大きな軸受面を可能にする。2つの上述のハーフシェルの横方向アライメントは、位置決め用突起が中間ウェブに係合するように配置されているので、さらに向上させることができる。ピンホルダまたは2つのハーフシェルにおいて、それぞれ別個の圧着スリーブ軸受がさらに設けられて、張力緩和のために圧着スリーブを収容する。不所望な捩じり力が伝わるのを防止するために、圧着スリーブ軸受の個々の部分を平坦にして捩じれを防止することができる。
【0015】
当該ピンホルダは、有利には、当該コネクタハウジング内に押込むことができるかまたは押込まれる接続部分をさらに有しており、当該接続部分の上に少なくとも1つの係止用突起が配置されており、当該少なくとも1つの係止用突起は、当該コネクタハウジングにおける相補的な係止用開口部内に係止することができる。ピンホルダとコネクタハウジングとをこの方策によって容易に組付けることができる。この場合、接続部分により、横方向力に対抗する十分な安定性が確保される。当然、場合によっては、係止用突起をコネクタハウジング上に配置するとともに係止用開口部をピンホルダに配置することも想到可能であるだろう。他の係止手段、たとえば戻り止めなども想到可能であり得る。差込み式クロージャも、代替的なタイプの相互係止機構として実現可能であるだろう。
【0016】
当該コネクタハウジングは、有利には、各々のピンスリーブのための別個の収容チャンバを有する一体型構成要素であり、当該収容チャンバは、互いに対して長手方向に開いている。当該コネクタハウジングは、主として破損し易いコネクタピンを保護する役割を果たし、その端面は、コネクタハウジングの端面をほんのわずかに越えて突出している。収容チャンバ同士の間が長手方向に開口していることにより、材料を節約することができる。コネクタハウジングが射出成形手順でプラスチック材料から製造されていれば、金型からの取外しがさらに容易になる。当該ロック解除スライドは、有利には、2つの圧縮コイルばねによってコネクタ端面に抗して予め張力がかけられており、当該圧縮コイルばねは、当該コネクタハウジング上のそれぞれの肩部上において支持されている。この場合、圧縮コイルばねは、コネクタハウジングの長手方向側において特に有利かつ省スペースな態様で収容することができる。嵌合コネクタ部との噛合いを無効にするのに必要な引張り力をばね特性に応じて設定することができる。
【0017】
本発明はまた、上述のコネクタ部と嵌合コネクタ部とを含むプラグイン接続に関する。当該嵌合コネクタ部は、ハウジング壁に締結可能なシャーシソケットとして、またはケーブル端プラグインコネクタとして設計されている。したがって、用途に応じて、ハウジング壁上で、または2つの可動式ケーブル端プラグインコネクタ間で、プラグイン接続が可能となる。本発明のコネクタ部が雄型コネクタ部として設計されているかまたはソケット部が雌型コネクタ部として設計されているかに応じて、シャーシソケットまたはケーブル端プラグインコネクタも雄型コネクタ部または雌型コネクタ部にすることができる。
【0018】
このようなプラグイン接続の場合のさらなる利点は、当該嵌合コネクタ部が、当該コネクタ部に対して相補的な2つの光入力に加えて、電気的なプラグイン接続をもたらすための少なくとも1つの電気接点を有していれば、達成され得る。このようなハイブリッドのプラグイン接続は、たとえば、WO2017/129289A1またはEP3196684A1から既に公知である。
【0019】
上述のコネクタ部または従来技術に従った代替的なコネクタ部の現場組立てについてのさらなる利点は、コネクタ部のコネクタピンがばね予張力を受けて保持されることを確実にするばね要素の特定のパッケージングによって達成され得る。これは、好ましくは、複数のばね要素を収容するための深絞り凹部を備えたブリスタパッケージングに関する。各々のパッケージングは少なくとも1つのばね要素を備える。少なくとも1つのばね要素は、一端に固定スリーブを備えた圧縮コイルばねを有する。この場合、ばね要素は収容凹部内に配置される。当該収容凹部は、長手方向中心軸に対して係留する態様でばね要素を収容する。この場合、圧縮コイルばねは好ましくは完全に緩んでいる。圧縮コイルばねのうち固定スリーブから遠い側では、収容凹部は、コネクタピンを圧縮コイルばね内に挿入してさらに固定スリーブ内に挿入するかまたは当該固定スリーブを通じて挿入するために開口しているかまたは開口可能である。固定スリーブの側では、収容凹部は、好ましくは、挿入されたコネクタピンを収容することができる程度にまで細長くなっている。パッケージングはさらに、少なくとも1つの組付け凹部を備える。この組付け凹部は、収容凹部内の挿入されたコネクタピンによって収容されるばね要素が、組付け凹部への挿入後にコネクタピンに係止され得るように、収容凹部と比べて短くなっている。この係止は、圧縮コイルばねに対してピンホルダが軸方向圧力を加えた結果、行われる。この場合、圧縮コイルばねにも張力が加えられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のさらなる利点および個々の特徴は、例示的な実施形態についての以下の説明および添付の図面において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に従ったコネクタ部を、コネクタハウジングがピンホルダから分離されて2つのピンスリーブに面する状態で示す図である。
【
図3】組立て前の圧縮コイルばねおよび組立て後の圧縮コイルばねとともに、ピンホルダを開いた状態で示す斜視図である。
【
図4】
図3に従った閉じたピンホルダを示す側面図である。
【
図5】
図4に従ったピンホルダを示す断面図である。
【
図6】光導波路ケーブルへの接続後のピンスリーブを示す斜視図である。
【
図7】
図6に従ったピンスリーブを光導波路ケーブルへの接続前の別の視野角から示す斜視図である。
【
図8】
図3に従ったピンホルダのハーフシェルの代替的な実施形態の例を示す平面図である。
【
図9】
図8に従ったハーフシェルを示す端面図である。
【
図10】
図8に従ったハーフシェルを示す部分的な側断面図である。
【
図11】ロック解除スライドを組付ける前の、
図2に従ったコネクタハウジングを示す斜視図である。
【
図12】
図11に従ったコネクタハウジングを示す側面図である。
【
図13】
図12に従ったコネクタハウジングの断面を示す図である。
【
図14】
図12に従ったコネクタハウジングの長手方向断面を示す図である。
【
図15】ソケット部が据付けられた代替的なコネクタハウジングを示す斜視図である。
【
図16】ロック解除スライドの組付け前であってソケット部が取外されている、
図15に従ったコネクタハウジングを示す斜視図である。
【
図17】
図16に従ったソケット部を、センタリングスリーブが取外された状態で示す斜視図である。
【
図18】連結ソケットを両側のコネクタ部が抜かれた状態で示す斜視図である。
【
図19】
図18に従ったコネクタ構成を差込まれた状態で示す図である。
【
図20】
図18に従ったコネクタ部1′を、ソケットが据付けられた状態で示す長手方向断面図である。
【
図21】
図19に従ったプラグイン接続の長手方向断面を示す図である。
【
図22】追加の電気接点を備えたシャーシソケットを示す斜視図である。
【
図23】
図22に従ったシャーシソケットの長手方向断面を示す図である。
【
図24】追加の電気接点を備えた嵌合ケーブル端コネクタ部を示す斜視図である。
【
図25】コネクタ部、シャーシソケットおよび嵌合コネクタ部からなる構成を組立て前の状態で示す斜視図である。
【
図26】
図25に従った構成を組立てられた状態で示す図である。
【
図27】複数のばね要素のためのブリスタパッケージングを示す斜視図である。
【
図29】コネクタピンへのばね要素の係止中の状態を示す一連の図のうちの1つである。
【
図30】コネクタピンへのばね要素の係止中の状態を示す一連の図のうちの1つである。
【
図31】コネクタピンへのばね要素の係止中の状態を示す一連の図のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および
図2から分かるように、コネクタ部1は、実質的に、ピンホルダ2と、当該ピンホルダ2内に保持されたピンスリーブ3および3′と、ロック解除スライド11が変位可能に装着されている実際のコネクタハウジング8とで構成されている。図示された具体的な実施形態においては、係止手段が上に配置されているとともにロック解除スライドを備えたコネクタハウジング8は、IEC61754-7に準拠するMPOコネクタ系の製造基準に対応している。したがって、コネクタハウジング8は、実質的に、幅狭側がわずかに丸みを帯びている略長方形の断面を備えた略立方体構成を有する。
【0023】
ピンホルダ2は、接続部分29がコネクタハウジング8に差込まれている。ピンホルダ上の横方向の係止用突起30は、コネクタハウジングにおける対応する係止用開口部31に係止する。この場合、コネクタハウジング8は、2つのピンスリーブ3,3′と、球面レンズ19(
図5)が設置されているコネクタピン4(
図1および
図2には図示せず)とを保護する。球面レンズを位置決めするのに用いるクランプスリーブ20とその端部21とだけが見えている。当該端部21はコネクタ端面40をわずかに越えて突出している。
【0024】
捩じれ防止装置35は、ケーブル側からピンホルダに押当てることができる。当該捩じれ防止装置は、光導波路ケーブル7が、許容できない曲げ半径でコネクタ部から遠ざかるように引き回されるのを防止する。
【0025】
ピンホルダ2およびその内部に配置されたピンスリーブ3,3′のさらなる詳細を
図3、
図4および
図5に見ることができる。特に
図3から分かるように、ピンホルダ2は、構造的に同一の2つのハーフシェル12,12′で構成されている。これら2つのハーフシェル12,12′はピンスリーブ3′,3′の挿入後に互いに係止させることができる。この目的のために、2つの係止用舌部25,25′および2つの係止用開口部26,26′は横方向に配置されて、各々のハーフシェル上でずらされている。ハーフシェルが互いに重なって配置される場合、各々の係止用舌部が対向するシェルの対応する係止用開口部に係合することで、安定しているが解放可能である接続がもたらされることとなる。
【0026】
各々のピンスリーブ3,3′は別個の保持チャンバ27を有する。2つの保持チャンバは中間ウェブ28によって互いから分離されている。光導波路ケーブル7の歪みは圧着スリーブ41を介して緩和される。このために、別個の圧着スリーブ軸受42がピンホルダ内または2つのハーフシェル12,12′内に設けられている。
【0027】
図5から分かるように、従来技術において公知の構造原理(たとえば、E-2000(登録商標))に対応するコネクタピン4が各々のピンスリーブ3,3′に据付けられている。クランプスリーブ20は各々のコネクタピンに押当てられており、当該クランプスリーブは、球面レンズ19をコネクタピンの端面端部に位置決めするが、より正確には、球面レンズの中心がコネクタピンの長手方向中心軸22上に正確に位置するように位置決めする。この場合、クランプスリーブの端部21は、球面レンズの外面をわずかに越えて突出ており、これにより、球面レンズは、クランプスリーブ内でいくらか後方に配置される。ピンスリーブのさらなる詳細を、
図6および
図7を参照しながら以下に説明する。工場で組立てられたピンスリーブは、現場でピンホルダ2に据付けることができる。各々のピンスリーブには同時に圧縮コイルばね16が備え付けられている。
図3の右側に示されるように、圧縮コイルばねは、コネクタピンを覆った状態で、またはクランプスリーブ20を覆った状態で、より厳密には、円周溝39に係止する爪を備えた固定スリーブ17とともに押し進められる。組立てられた状態では、各々の圧縮コイルばね16はピンホルダ上において支持される。これにより、各々のピンスリーブ3,3′は、力が圧縮コイルばねの予張力に抗して長手方向中心軸22の方向に作用した場合に、一定のばね撓みをカバーすることができる。したがって、それ自体公知の態様でプラグイン接続に作用する引張力および振動負荷を補償することができる。コネクタピンを覆う圧縮コイルばねの組付けは、光導波路ケーブル7の接続後に行うこともできるので、特に有利であることが明らかである。以下においてより詳細に説明するように、圧縮コイルばねの特殊構成のパッケージングを組立て補助として用いることができる。
【0028】
従来技術から既に公知であるピンスリーブ3のさらなる詳細を
図6および
図7に見ることができる。このピンスリーブは、円周溝39を備えたピン収容部分13で構成されている(
図3も参照)。コネクタピン4はその端面18がピン収容部分13に挿入される。ピンスリーブ3は、2つのシース部15,15′によって形成されるケーブル収容部分14をさらに含む。これら2つのシース部は、
図7に見られるように、左右に観音開き式に開くことができるようにそれぞれのフィルムヒンジ37を介してピン収容部分13に接続されている。各々のシース部の接触面には接着層36が設けられており、当該接着層は保護箔38によって保護されている。
【0029】
光導波路スタブ6は、コネクタピン4内の中心を通って高精度に端面18にまで予め挿入されている。このようにして予め組立てられたピンスリーブセットは、この時点で、光導波路ケーブル7に現場で接続することができる。この目的のために、光導波路ケーブル7のうち保護シースから解放された光導波路導体5は、継ぎ合わせ電極43によって、記号により象徴的に図示されるように、光導波路スタブ6の端部に継ぎ合わされる。継ぎ合わせの手順は、従来技術から当業者にとって同様に既に公知である可動継ぎ合わせ装置において行われる。継ぎ合わせ手順の後、保護箔38が接着層36から除去され、2つのシース部15,15′がフィルムヒンジ37の周りで互いに対して押圧されることにより、
図6に示されるピンスリーブが製造される。圧着スリーブ41を設置した後、これらのピンスリーブは、上述したように、ピンホルダに据付けることができる。
【0030】
図3と比べていくらか変更が加えられたハーフシェル12を
図8~
図10に示す。組立てられた2つのハーフシェルの横方向アライメントを改善するために、位置決め用突起54が、対称軸に対してずらされた状態で中間ウェブ28に配置される。この位置決め用突起は、対向するハーフシェルにおいて同様に偏心して配置された対応する切欠き56に係合する。したがって、一緒に配置された2つのハーフシェル間の横方向力が2つの係止用舌部25,25′によってのみ吸収される必要がないことは明らかである。
【0031】
ここで図示される例示的な実施形態のさらなる相違点は、2つの圧着スリーブ軸受42がそれぞれ平坦部分55を有することである。これは、対応する表面上で当該挿入された圧着スリーブのねじれ防止保護の役割を果たす。したがって、ケーブルから発生する不所望な捩じり力を吸収することができる。
【0032】
コネクタハウジング8の詳細を
図11~
図14に見ることができる。実際のコネクタハウジング8は、ピンホルダ2に面する側において各々の幅狭側に肩部34が設けられている一体型構成要素である。これらの肩部上において圧縮コイルばね33が支持されており、当該圧縮コイルばねは、コネクタハウジング8に押当てられたロック解除スライドに対してコネクタ端面40の方向に予め張力を加える。ロック解除スライド11は、コネクタハウジング8を完全に囲む閉じスリーブとして設計されている。予め張力が加えられた状態では、ロック解除スライド11は、同様に横方向に配置された凹部9を覆う。これら凹部9は嵌合コネクタ部に係止するための係止手段としての役割を果たす。圧縮コイルばね33の予張力に抗してロック解除スライド11を引戻すことにより、係止手段9が露出され、これにより、コネクタハウジングの係止接続を解除することができる。ピンホルダを係止するための係止用開口部31は、支持肩部34の背後でコネクタハウジングの幅広部に配置される。
【0033】
コネクタハウジング8は、複数のピンスリーブをそれぞれ収容するための収容チャンバ32を形成する。しかしながら、特に
図13から分かるように、断面が円形であるこれらの収容チャンバは互いから分離しておらず、互いに対して長手方向に開いている。
【0034】
図15~
図17は、ソケット部23が端面40からコネクタハウジング8内に挿入されている雌型のコネクタ部を示す。ロック解除スライド11が設置されているコネクタハウジングの構造は
図11に示されるものと完全に同一である。しかしながら、コネクタピンまたはこれらコネクタピンを囲むクランプスリーブは、コネクタハウジング内に自由に配置されているわけではなく、ソケット部23内に半分まで差込まれている。スロット付きのセンタリングスリーブ24は、各々のコネクタピンのためのソケット部内で浮動するように装着されている。ソケット部23は、コネクタハウジング8内に係止することができる。この場合、ソケット部上のナブ44が、コネクタハウジング上の係止用開口部45内に係止する。
【0035】
据付けられたソケット部23は、とりわけ、予備センタリングユニットとして機能するものであって、コネクタピンまたはクランプスリーブが嵌合コネクタ部を収容することを可能にする。この場合、ソケット部23を使用するかどうかは、それぞれのコネクタ部が連結される嵌合コネクタ部に応じて任意である。
【0036】
図18および
図19は、
図11に従った雄型コネクタ部1に連結された、
図15に従った雌型コネクタ部1′を示す。中心部46は、それぞれのコネクタハウジングの引込み防止ロックの役割を果たす。当該中心部は、たとえば、横方向フランジ47によって装置壁上に組付けることができる。中心部は貫通開口部48を有しており、当該貫通開口部48内に、2つのコネクタ部1および1′のコネクタハウジングを両側から差込むことができる。
図18から分かるように、貫通開口部48は、その入口の両側に弾力性のある戻り止め49が配置されている。各コネクタ部の差込み中、これらの戻り止めは、コネクタハウジング(
図11)の横方向凹部9内に係止するまで互いから離れるように広がる。これにより、係止手順の後、最終的な係止に至るまで、ロック解除スライドは、戻り止め49を覆ってこれによりこれら戻り止め49を凹部に固定するまで、圧縮コイルばね33の予張力に対抗して押し戻される。ロックされた状態は、ケーブルまたはコネクタハウジングを引張ることによっても解除することができない。一方、ロック解除スライドを引張ることによって戻り止め49が解放され、これにより、プラグイン接続を解除することができる。
【0037】
さらに良く理解するために、
図18に従った雌型コネクタ部1′は、
図20において長手方向断面図にも示されている。特に、ここでは、ピンホルダ2とコネクタハウジング8との間、およびコネクタハウジング8とソケット部23との間のコネクタピン側の係止機構を見ることができる。ここでは、ロック解除スライド11に予め張力を加えるための複数の圧縮コイルばね33を1つだけ図示している。ロック解除スライド11によって覆われている横方向の係止手段凹部9は明瞭に視認できる。
【0038】
図21は、
図19に従ったプラグイン接続の長手方向断面を示す。戻り止め49は、それぞれのコネクタハウジングの係止手段凹部内に係止されて、ロック解除スライド11によって覆われており、これにより、戻り止め同士が離れるように広がる。したがって、もはや係止を解除することはできない。雄型コネクタ部1のクランプスリーブは雌型コネクタ部1′のソケット部23内に押込まれる。ここで、クランプスリーブの端部21同士は互いに接触している。この場合、
図21に示される上側の光導波路接続においては、2つの球面レンズの間に間隙が残ることが明確に示されているが、幅広い光線によってこの間隙は容易に埋められる。図中の下側の光導波路接続では、仮説に基づいた状況が示されており、いずれの場合も、各球面レンズの最大限可能な一方向への動きを示している。
【0039】
図22~
図24は、嵌合コネクタ部10の代替的な実施形態を示す。
図22および
図23に従うと、これは、
図21に従った中心部46と同様に、装置壁に締結可能なシャーシソケットに関する。コネクタ受け部50は、シャーシソケットの実質的に回転対称なハウジング53内に保持されており、当該コネクタ受け部は上述のコネクタ部を収容する役割を果たす。この場合、係止は、
図21を参照して説明したのと同じ態様で戻り止め51において行われる。しかしながら、加えて、コネクタ受け部50は電気接点ソケット52も支持する。この電気接点ソケット52を介して電気接点を設けることができる。
【0040】
嵌合境界の領域において、
図24に従った嵌合ケーブル端コネクタ部10′は、
図22に従ったシャーシソケットと同様に設計されている。唯一の相違点は、嵌合コネクタ部が、ハウジング壁上にプラグイン接続を確立するように意図されているのではなく、2つの自由に移動可能なケーブル端コネクタ部同士の間にプラグイン接続を確立するよう意図されている点である。
【0041】
図25および
図26は、それぞれ、コネクタ部1、シャーシソケット57および嵌合コネクタ部10からなる構成を解除された状態および組立てられた状態で示す。詳細については、前述の図、特に
図22~
図24を参照されたい。
【0042】
図27および
図28は、本発明のコネクタ部において用いることができるような、ばね要素63をパッケージングするための特に有利なパッケージング60を示す。この場合、各々のばね要素は圧縮コイルばね16で構成されており、その一端に固定スリーブ17を備えている。このようなばね要素は、たとえば
図3に示されるとともに本明細書中に説明されている。しかしながら、本発明の特徴を有するこのようなパッケージングは、従来のコネクタ部とともに用いられてもよい。このパッケージングの目的は、当該パッケージングが、想定される現場での使用前にばね要素を保護すること、および、同時に組立て補助として使用できることである。この目的のために、パッケージング60は、たとえばプラスチック材料でできた凹型プレート61で構成されており、この凹型プレート61には、個々のばね要素63をそれぞれ収容する収容凹部64が形成されている。凹型プレートは、典型的なブリスタパッケージング原理に対応して、たとえば透明なプラスチック箔によって閉止することができる。例示的な実施形態に従うと、凹型プレート61には所定の破断点62が設けられており、これに沿って、凹型プレートを2つに対称的に二等分する。組付け凹部56は、各々の収容凹部64に対応付けられている。
【0043】
図28に従った部分図から分かるように、各々の収容凹部64は、圧縮コイルばね16のうち露出された部分のための支持肩部66と、固定スリーブ17のための支持肩部67とを有する。したがって、個々のばね要素は、収容凹部64の長手方向中心軸に対して係留する態様で保持される。収容凹部には、固定スリーブ17側に延長部68が設けられている。平行に配置された組付け凹部65は、収容凹部64よりも短く、いくらか幅広に設計されている。当接肩部71は、以下に記載するように、ピンスリーブ上にばね要素を実際に係止することを可能にする。
【0044】
図29は、所定の破断点62に沿って右側部分が破断された後の
図28に示す部分の左側部分を示す。この結果、軸方向にアクセス可能な開口部69が収容凹部64内に形成されるとともに、これに対応するより幅広の開口部70が組付け凹部65内に形成される。
図30から分かるように、コネクタハウジング8のピンスリーブ3は、ここで、開口部69を通じて押込まれる。このとき、コネクタピン4は圧縮コイルばね16および固定スリーブ17を貫通する。この点に関して、
図3に従った同様の状況を再び参照されたい。力の方向が矢印xによって示されている。この場合、ばね要素63は、凹型プレート61に対して常に同じ位置に留まる。
【0045】
ばね要素が収容凹部64内に収容された後、ユニット全体が、
図31に従って、収容凹部から矢印方向yに持ち上げられ、開口部70から組付け凹部65内へと矢印方向xに挿入される。この場合、固定スリーブ17が当接肩部71に当接し、さらに、固定スリーブ17がピン受け部の対応する溝(
図3の溝39)に係止するまで矢印方向xへの送り運動が続けられる。この場合、圧縮コイルばね16にも予め張力が加えられていることは明らかである。固定スリーブ17の係止後、パッケージング部分を取外すことができる。構成要素と直接接触する必要のないように、組立て補助が常にこのようなパッケージングとともに利用可能であることは明らかである。
【0046】
さらに、比較的小さいばね要素が係留する態様で別個に収容され、これにより、特に現場での使用の際に作業が実質的に容易になる。