(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
G01V 1/30 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
G01V1/30
(21)【出願番号】P 2021004489
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 優
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039691(JP,A)
【文献】特許第5762094(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地層モデルをメッシュ化するメッシュ化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記地層モデルは、起伏を有する表面と、垂直面であ
る側面と、水平面である底面とを有し、
前記メッシュ化方法は、
前記地層モデルが、所定の変形ルールで垂直方向に変形されることにより、直方体形状の形状モデルが生成される生成手順と、
前記形状モデルが、直方体形状の複数のブロックに分割される手順と、
前記複数のブロックの各ブロックが、隣接するブロック間の境界面において節点及び結線が一致するようにメッシュ化され、ブロック毎のメッシュが生成される手順と、
前記所定の変形ルールが逆に採用されることで、前記メッシュが垂直方向に変形される変形手順と、を備える、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記所定の変形ルールとして、
最下層以外の各層の層厚を保ったまま前記地層モデルを変形する第一の変形ルールと、
各層の層厚比を保ったまま前記地層モデルを変形する第二の変形ルールと、が選択的に採用される、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記生成手順の前に、前記変形手順による前記メッシュの垂直方向のひずみが、前記第一の変形ルールを採用した場合と、前記第二の変形ルールを採用した場合とについてそれぞれ演算され、その演算結果が表示手段に表示される、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地層モデルのメッシュ化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地層モデルをメッシュ化して地震の波動伝播解析を行う技術が提案されている。特許文献1~3には、地層モデルを複数のブロックに分割してブロック単位でメッシュを生成する技術が開示されている。これらの文献では、隣接するブロック間の境界面において節点及び結線が一致するようにメッシュを生成する。ブロック単位でメッシュを生成することで、一括で行う場合よりもコンピュータの演算負荷を低減することができ、並列処理も可能である。隣接するブロック間の境界面において節点及び結線が一致するようにメッシュを生成することで、任意のブロックを組み合わせた地層モデルのメッシュを簡単に得ることができるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5637956号公報
【文献】特許第5755480号公報
【文献】特許第5762094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~3の技術では、地層モデルとして直方体形状のモデルが対象とされている。地形(陸・海底地形)を反映した地層モデルの解析の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、地形を反映した地層モデルをメッシュ化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
地層モデルをメッシュ化するメッシュ化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記地層モデルは、起伏を有する表面と、垂直面である側面と、水平面である底面とを有し、
前記メッシュ化方法は、
前記地層モデルが、所定の変形ルールで垂直方向に変形されることにより、直方体形状の形状モデルが生成される生成手順と、
前記形状モデルが、直方体形状の複数のブロックに分割される手順と、
前記複数のブロックの各ブロックが、隣接するブロック間の境界面において節点及び結線が一致するようにメッシュ化され、ブロック毎のメッシュが生成される手順と、
前記所定の変形ルールが逆に採用されることで、前記メッシュが垂直方向に変形される変形手順と、を備える、
ことを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地形を反映した地層モデルをメッシュ化する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】演算装置が実行する処理例を示すフローチャート。
【
図5】(A)は変形前の地層モデルを示す図、(B)及び(C)は変形後の地層モデルを示す図。
【
図6】演算装置が実行する処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<情報処理システム>
図1は本発明のプログラムを実行可能な情報処理システムの例を示すブロック図である。情報処理システム1は、演算装置2と、記憶装置5と、ドライブ装置6と、LANインタフェース(I/F)7と、ユーザインタフェース(I/F)8と、表示装置9とを備える。演算装置2は、各種プログラムを実行するCPU3及びCPU3の作業領域として使用されるRAM4を含む。記憶装置5は、例えばハードディスク装置であり、CPU2が実行する各種プログラムやプログラム実行時に使用される各種データを記憶する。地層モデルをメッシュ化するメッシュ化方法をCPU2に実行させるプログラムは記憶装置5に格納することができる。
【0011】
ドライブ装置6は、磁気ディスクや光ディスクなどの記憶媒体に書き込まれたデータを読取可能且つ記憶媒体に対してデータを書込可能な装置である。LANインタフェース7は、LANに接続されたノードと通信可能なインタフェースである。メッシュ化対象の地形モデルは、ドライブ装置6を介して、或いは、LANインタフェース7を介して取得される。CPU2が実行するプログラムは記憶媒体に記憶しておき、ドライブ装置6を介してシステムにインストールされてもよい。
【0012】
ユーザインタフェース8は、キーボードやポインティングデバイス等から構成され、ユーザの指示の入力を受け付ける。表示装置9は例えば液晶表示装置であり、ユーザに情報を提示する。
【0013】
<地層モデルのメッシュ化>
図2はCPU3が実行するプログラムの例を示すフローチャートであり、このプログラムは地層モデルをメッシュ化するメッシュ化方法をCPU3に実行させる。
図3は処理の流れを示す説明図であり、地層モデルMはメッシュ化の対象となるモデルの例である。矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは垂直方向を示す。
【0014】
図2のS1で、解析条件の設定処理を行う。詳細は後述する。S2では地層モデルMから形状モデルS2を生成する。地層モデルMは、起伏を有する表面TSと、垂直面であって角筒形状の四つの側面SS、及び、水平面である底面BSとを有する。表面TSの起伏は、陸地形或いは海底地形を表している。図示の地層モデルMは三層の地層L1~L3を有している。地層の数は三層に限られるわけではない。地層境界GB1は地層L1と地層L2との境界面を示し、地層境界GB2は地層L2と地層L3との境界面を示している。地層モデルMは、例えば、地層モデルMの外形を表す情報と、各地層境界の各地点の位置座標とで定義される。
図3の例では、一例として地層境界GB1が、グリッド状のX座標及びY座標と、Z座標とを有する多数の構成点により定義されている。このようにして地層モデルMは、モデルの外径と各地層の形状とが記述されたデータによって定義することができる。
【0015】
地層モデルMは表面TSが起伏を有しているため、特許文献1~3に開示されたブロック分割とそのメッシュ化をそのまま適用できない。そこで、本実施形態では表面TSの起伏を一旦潰して平坦面とし、メッシュ生成後に起伏が元に戻るようにメッシュを変形する。
【0016】
図2のS2の処理では、地層モデルMの表面TSを平坦な水平面とし、地層モデルMを直方体形状の形状モデルM’に変形する。変形ルールの例については後述するが、S1で設定される形状モデルM’の深さDに表面TS’が揃うように、地層モデルMの全部又は一部の構成点のZ座標を変換する。例えば、各(xn、yn)ごとに係数knが設定され、構成点(x1、y1、z1)→(x1、y1、z1’)、z1’=k1・z1と変換する。これにより、
図3に例示するように、表面TSの山の部分が下げられ、谷の部分が上げられて、表面TS’、四つの側面SS’及び底面BSを有する直方体形状の形状モデルM’が生成される。形状モデルM’は、地層L1~L3に対応するL1’~L3’と、地層境界GB1、GB2に対応する地層境界GB1’、GB2’とを有している。
【0017】
図2のS3では、形状モデルM’を複数のブロックに分割する。
図3では、一例として、同じ直方体形状のB1’~B8’の8つのブロックに分割されている。形状モデルM’の分割は、垂直な平面により区切ることにより行う。分割方向(X、Yの少なくともいずれか一方向)やブロックのサイズ等はS1で設定される。各ブロックの位置情報やブロック間の境界面の位置情報が記憶される。
【0018】
図2のS4では、各ブロックのメッシュ化を行ってブロック毎のメッシュを生成する。処理対象とするブロックの順序は予め定めた規則に従い、例えば、ブロックB1’を最初の処理対象として順次各ブロックのメッシュ化が行われる。ブロックのメッシュ化は、S1で設定された条件(各地層毎のメッシュ要素のサイズ等)で行われる。メッシュ要素としては、四面体要素や六面体要素等を用いることができる。即ち、各地層は、四面体要素や六面体要素によりメッシュ化することができる。ブロック毎のメッシュデータ(メッシュの節点及び結線の配置を示す情報、メッシュの物性情報(S波速度、P波速度、密度、S波Q値及びP波Q値等)が、そのブロックの位置情報と関連付けて記憶装置5に登録(保存)される。
【0019】
一のブロックのメッシュ化が完了すると、次のブロックのメッシュ化を行う。処理対象ブロックが、メッシュ化済みのブロックと隣接する場合、これら隣接するブロック間の境界面において節点及び結線が一致するようにメッシュ化される。すなわち、処理対象ブロックの境界面は、節点及び結線の配置が拘束される拘束面となる。
図4はその一例を示している。メッシュ化済みのブロックBnと、次の処理対象ブロックBn+1とは、境界面Sn、Sn+1を有しており、境界面Sn上の節点及び結線は、境界面Sn+1に転用される。拘束面を有する処理対象ブロックのメッシュ化手法については特許文献1~3の手法を適用することができる。こうして全ブロックB1’~B8’のメッシュ化が行われる。
【0020】
図2のS5では、S2で採用(適用)した変形ルールを逆に採用(適用)することで、S4で作成したブロック毎のメッシュを垂直方向に変形し、元の地層モデルMの形状を反映したブロック毎のメッシュを得る。
図3は、S4で作成したブロックB1’、B2’のメッシュが、元の地層モデルMの形状を反映したブロックB1、B2のメッシュに変換されたことを模式的に示している。変換は、例えば、メッシュの各節点のZ座標に係数kの逆数をかけて、(xn、yn、zn)→(xn、yn、1/kn・zn)と変換し、最終的なメッシュの節点の座標及び結線の配置を示す情報を得る。この情報は記憶装置5に登録される。
【0021】
以上の手順により、地層モデルMの表面TSの起伏を表現した、ブロック単位のメッシュを得ることができる。地層モデルMのメッシュは、ブロック単位で登録されているので、解析に必要な複数のブロックを結合して地層モデルMの部分モデルのメッシュを容易に得ることができる。すなわち、結合対象の各ブロックには、その隣接ブロックとの境界面に、配置が同じ節点及び結線が配置されている。このため、各ブロックのメッシュを結合する際には、重複する節点及び結線の夫々を、一つの節点又は結線の情報としてまとめるだけで、部分モデルのメッシュを得ることができる。地層モデルMとして、広域の地質モデルを採用し、予め各ブロックのメッシュをデータベース化しておけば、様々な地域の地層モデルのメッシュを容易に得られる。このため、様々な震源の地震波動解析に対応することができて、地震波動解析を容易にすることができる。
【0022】
<変形ルール>
上記のメッシュの生成例では、地層モデルMを一旦直方体の形状モデルM’に変形してメッシュを作成し、モデル形状が元の地層モデルに戻るようにメッシュを変形するという手順を採用している。メッシュの変形はZ方向のみであるが、メッシュの変形により、変形後のアスペクト比が高くなってしまう等、メッシュの品質を低下させる場合がある。
【0023】
例えば、地震動の波動伝播解析においては、各地層の地盤中の波の伝播速度に応じて波長の長さが変わる。このため、各地層によって必要なメッシュのサイズは異なる場合がある。一般には、一波長の中に10要素のメッシュが確保されることが好ましい。形状モデルM’を基準としてメッシュ化した場合、メッシュの変形後のメッシュのサイズが大きすぎると波長の長さに応じた要素数を確保できない場合がある。また、波動伝播解析に陽解法を用いる場合、解の安定性を保証するために計算時間ステップを、メッシュのサイズと地盤の固さとから求められる一定の値以下に定める必要がある(クーラン条件:計算時間ステップ<メッシュサイズ/伝播速度)。形状モデルM’を基準としてメッシュ化した場合、メッシュの変形によってこうした条件が満たされなくなることは回避されることが好ましい。
【0024】
そこで、本実施形態では、S2の形状モデルの生成において適用する変形ルールを、2種類の変形ルールの中から選択的に採用可能としている。2種類の変形ルールから、メッシュの変形が許容範囲に収まる変形ルールを選択することができる。
図5(A)~
図5(C)はその説明図である。
図5(A)は変形前の地層モデルMの垂直断面形状を示している。厚さH1、H2、H3は、各地層L1、L2、L3の水平面上の同じ位置(以下、参照位置という)における層厚を示している。深さDは形状モデルM’の深さ(
図3参照)である。
【0025】
図5(B)は一つ目の変形ルールを採用した形状モデルM’を示している。破線は地層モデルMの表面又は地層境界を示している。一つ目の変形ルールは最下層以外の各層の層厚を保ったまま地層モデルを変形するルールである(層厚維持ルールと呼ぶ)。地層L1、L2、L3に対応する地層L1’、L2’、L3’の参照位置における層厚は、H1-1(=H1)、H2-1(=H2)、H3-1である。H3-1=D-(H1+H2)である。地層数を1~nとして、各地層の元の層厚Hと変形後の層厚H’を一般式で表すと、
Hi’(X、Y)=Hi(X、Y)
(i=1~n-1)
Hn’(X、Y)=D-(H1(X、Y)+H2(X、Y)+...+Hn-1(X、Y))
である。
【0026】
S2でのZ座標の変換は、
Z’(X、Y)=Z(X、Y)-(Hn-Hn’)
(最下層以外)
Z’(X、Y)=Z(X、Y)×(Hn’/Hn)
(最下層)
となる。
【0027】
S5でのメッシュのZ座標の変換は、
Z(X、Y)=Z’(X、Y)+(Hn-Hn’)
(最下層以外のメッシュ)
Z(X、Y)=Z’(X、Y)×(Hn/Hn’)
(最下層のメッシュ)
となる(Z’:S4のメッシュ化後の座標、Z:S5の変形後の座標)。
【0028】
図5(C)は二つ目の変形ルールを採用した形状モデルM’を示している。二つ目の変形ルールは各層の層厚比を保ったまま地層モデルを変形するルールである(層厚比維持ルールと呼ぶ)。地層L1、L2、L3に対応する地層L1’、L2’、L3’の参照位置における層厚は、H1-2(=H1×D/(H1+H2+H3))、H2-2(=H2×D/(H1+H2+H3))、H3-2(=H3×D/(H1+H2+H3))である。地層数を1~nとして、各地層の元の層厚Hと変形後の層厚H’を一般式で表すと、
Hi’(X、Y)=Hi(X、Y)×D/(H1(X、Y)+H2(X、Y)+...+Hn(X、Y))
である。
【0029】
S2でのZ座標の変換は、
Z’(X、Y)=Z(X、Y)×D/(H1(X、Y)+H2(X、Y)+...+Hn(X、Y))
となる。
【0030】
S5でのメッシュのZ座標の変換は、
Z(X、Y)=Z’(X、Y)/D×(H1(X、Y)+H2(X、Y)+...+Hn(X、Y))
となる(Z’:S4のメッシュ化後の座標、Z:S5の変形後の座標)。
【0031】
いずれの変形ルールが適当であるかを評価する指標が必要となる。本実施形態の場合、変形前後でのメッシュの垂直方向のひずみを評価指標とする。ひずみ値γは、変形前に対する変形後のメッシュサイズ、つまり変形前に対する変形後の層厚比から、
γi(X、Y)=Hi’(X、Y)/Hi(X、Y)
(i=1~n)
となる。層毎のひずみ値γの最小値をγimin、最大値をγimaxとする。最小ひずみ値、最大ひずみ値が1に近い程、メッシュの変形が小さく抑えられていることを意味する。
図2のS1の段階でひずみ値を計算してユーザに提示することで、ユーザはより望ましい変形ルールを選択することができる。
【0032】
また、地層モデルの解析は、機械や建物といった物体の解析と異なり、明確な境界があるのは表面(上部)のみであり、側面や底面は無限に広がる領域とみなすことができる。そこで、本実施形態では、変形ルールの他、深さDも変数としてユーザが設定可能とすることで、メッシュの変形緩和を図ることができる。なお、深さDを大きくすると、メッシュの変形を抑える傾向にあるが、メッシュの数が増加する傾向にあり、解析時の演算負荷が増加することになる。
【0033】
<条件設定>
図2のS1の条件設定の例について説明する。
図6はそのフローチャートである。S11では各種条件のユーザによる入力を受け付ける。ここでは地盤条件(各地層の層厚・S波速度・P波速度等)、波動伝播解析で予定されている解析条件(解析対象周期T、一波長中のメッシュの要素数)等が入力される。また、深さDとメッシュの基準サイズ(一番小さいサイズ)の初期値も入力される。
【0034】
S12では、層厚維持ルール、層厚比維持ルールのそれぞれについて、地層毎の最大ひずみ値、最小ひずみ値、変形後のメッシュサイズ(メッシュの基準サイズ×最大ひずみ値)、クーラン条件による計算時間ステップ(メッシュの基準サイズ×最小ひずみ値)が演算される。S13ではS12の演算結果が表示装置9に表示される。
図7はその一例を示す。図示の表示例は、地層数が3層の場合が想定されている。
【0035】
表示例のうち、「最大メッシュサイズ」は、地層のS波速度×解析対象周期÷一波長中のメッシュの要素数により演算される。「メッシュサイズ」は、基準サイズが適用される地層以外は、2の倍数(八分木法の採用を前提とし、図示の例では第2層は2倍、第3層は4倍とされている)である。ユーザは演算結果から深さD、メッシュの基準サイズを修正するか否かを検討することになる。
図7の例では、層厚維持ルールの第3層において最大ひずみ値及び最小ひずみ値が許容値(ここでは0.8~1.2)を超えているため、層厚維持ルールの選択は不利となる。また、層厚比維持ルールにおいても最大ひずみ値及び最小ひずみ値が許容値ぎりぎりである。こうした場合、深さDや基準サイズを変更して再試行することで、よりより結果を得ることができる場合がある。
【0036】
図6のS14では、ユーザが再試行を選択したか否かを判定する。ユーザが再試行を選択した場合、S16へ進み、ユーザによる条件変更の入力を受け付ける。ユーザは、深さDと基準サイズの少なくともいずれか一つを変更する。変更後、S12に戻って同様の処理が実行される。
【0037】
S14で、ユーザが再試行を選択しない場合、S15へ進む。ユーザによる変形ルールの選択を受け付け、各種の条件を現在の条件で確定して処理を終了し、
図2のS2以下の処理が実行される。
【0038】
以上により、本実施形態では特許文献1~3における大規模化、並列処理の適用による高速化の利点を生かしたまま、Z方向にメッシュを変形させることで、地形の起伏を反映したメッシュの生成が可能となる。また、メッシュの変形を備えるために変形ルールを2種類のルールから選択可能であり、更に、深さDを調整パラメータに加えることで、より好ましいメッシュを得ることが可能となる。
【0039】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 情報処理システム