(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】特徴量データ生成装置、無線利用予測システム、特徴量データ生成方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240104BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20240104BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240104BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W16/14
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2021040433
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-02-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省「異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長尾 竜也
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/061586(WO,A1)
【文献】長尾 竜也 ,機械学習を用いた将来の空き周波数リソース検出に関する一検討,電子情報通信学会2020年通信ソサイエティ大会講演論文集1,2020年09月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置であって、
前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出部と、
前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成部と、
を備える特徴量データ生成装置。
【請求項2】
前記重要度算出部は、
前記利用状態時系列データと前記全区域特徴量時系列データとから前記無線通信の将来の利用状態の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデルの学習を行い、
各区域が前記学習に寄与した寄与度から前記重要度を算出する、
請求項1に記載の特徴量データ生成装置。
【請求項3】
前記特徴量は、前記電波の伝搬に影響を及ぼす物体の個数である、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の特徴量データ生成装置。
【請求項4】
前記重要度算出部は、前記利用状態時系列データと、複数種類の前記特徴量に関する前記全区域特徴量時系列データとに基づいて、前記複数種類の前記特徴量毎に、各区域の前記特徴量の重要度を算出し、
前記特徴量時系列データ生成部は、前記複数種類の前記特徴量毎の前記重要度に基づいて、前記複数種類の前記特徴量毎に重要区域の特徴量時系列データを生成する、
請求項1に記載の特徴量データ生成装置。
【請求項5】
前記重要度算出部は、
前記利用状態時系列データと前記複数種類の前記特徴量に関する前記全区域特徴量時系列データとから前記無線通信の将来の利用状態の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデルの学習を行い、
前記複数種類の前記特徴量毎に、各区域が前記学習に寄与した寄与度から前記重要度を算出する、
請求項4に記載の特徴量データ生成装置。
【請求項6】
前記複数種類の前記特徴量は、ミクロ情報とマクロ情報とである、
請求項4又は5のいずれか1項に記載の特徴量データ生成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の特徴量データ生成装置と、
無線通信の将来の利用状態の予測を示す無線利用予測データを生成する無線利用予測データ生成装置と、を備え、
前記無線利用予測データ生成装置は、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記特徴量データ生成装置が生成した重要区域の特徴量時系列データとに基づいて、前記無線利用予測データを生成する、
無線利用予測システム。
【請求項8】
前記利用状態時系列データは、前記電波の受信点における前記電波の受信電力の過去の時間的変化を示すデータであり、
前記無線利用予測データは、前記電波の受信点における前記電波の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データである、
請求項7に記載の無線利用予測システム。
【請求項9】
無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置が実行する特徴量データ生成方法であって、
前記特徴量データ生成装置が、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出ステップと、
前記特徴量データ生成装置が、前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成ステップと、
を含む特徴量データ生成方法。
【請求項10】
無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置のコンピュータに、
前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出ステップと、
前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特徴量データ生成装置、無線利用予測システム、特徴量データ生成方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる複数の無線通信システムが同じ周波数帯を共用することが検討されている。例えば、既存の無線通信システム(1次事業者システム)に割り当てられている周波数帯(共用周波数帯)を他の無線通信システム(2次事業者システム)が二次的に利用することが検討されている。この異システム間の周波数共用においては、1次事業者システムの運用に支障をきたさないように、2次事業者システムが共用周波数帯を利用可能な時間や場所等には制約が生じる。このため、2次事業者システムの投資判断や利用計画策定等の観点から、1次事業者システムの共用周波数帯の利用状況の将来予測ができることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態の時系列データから確率的ニューラルネットワークを使用して無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態の時系列データの将来のデータを予測する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された技術に対して将来のチャネル状態(ビジー状態およびアイドル状態)の予測精度を向上させるために、過去のチャネル状態の時系列データに加えて、さらに、チャネル状態の変動要因になる特徴量を追加して将来のチャネル状態を予測することが考えられる。しかし、チャネル状態の変動には無関係な特徴量が予測に使用されると、かえって予測精度が劣化してしまうという課題がある。このため、無線通信の将来の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)の予測処理に使用される特徴量の時間的変化を示す特徴量時系列データを精度よく生成することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量の時間的変化を示す特徴量時系列データの精度向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置であって、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出部と、前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成部と、を備える特徴量データ生成装置である。
(2)本発明の一態様は、前記重要度算出部は、前記利用状態時系列データと前記全区域特徴量時系列データとから前記無線通信の将来の利用状態の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデルの学習を行い、各区域が前記学習に寄与した寄与度から前記重要度を算出する、上記(1)の特徴量データ生成装置である。
(3)本発明の一態様は、前記特徴量は、前記電波の伝搬に影響を及ぼす物体の個数である、上記(1)又は(2)のいずれかの特徴量データ生成装置である。
(4)本発明の一態様は、前記重要度算出部は、前記利用状態時系列データと、複数種類の前記特徴量に関する前記全区域特徴量時系列データとに基づいて、前記複数種類の前記特徴量毎に、各区域の前記特徴量の重要度を算出し、前記特徴量時系列データ生成部は、前記複数種類の前記特徴量毎の前記重要度に基づいて、前記複数種類の前記特徴量毎に重要区域の特徴量時系列データを生成する、上記(1)の特徴量データ生成装置である。
(5)本発明の一態様は、前記重要度算出部は、前記利用状態時系列データと前記複数種類の前記特徴量に関する前記全区域特徴量時系列データとから前記無線通信の将来の利用状態の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデルの学習を行い、前記複数種類の前記特徴量毎に、各区域が前記学習に寄与した寄与度から前記重要度を算出する、上記(4)の特徴量データ生成装置である。
(6)本発明の一態様は、前記複数種類の前記特徴量は、ミクロ情報とマクロ情報とである、上記(4)又は(5)のいずれかの特徴量データ生成装置である。
【0008】
(7)本発明の一態様は、上記(1)から(6)のいずれかの特徴量データ生成装置と、無線通信の将来の利用状態の予測を示す無線利用予測データを生成する無線利用予測データ生成装置と、を備え、前記無線利用予測データ生成装置は、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記特徴量データ生成装置が生成した重要区域の特徴量時系列データとに基づいて、前記無線利用予測データを生成する、無線利用予測システムである。
(8)本発明の一態様は、前記利用状態時系列データは、前記電波の受信点における前記電波の受信電力の過去の時間的変化を示すデータであり、前記無線利用予測データは、前記電波の受信点における前記電波の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データである、上記(7)の無線利用予測システムである。
【0009】
(9)本発明の一態様は、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置が実行する特徴量データ生成方法であって、前記特徴量データ生成装置が、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出ステップと、前記特徴量データ生成装置が、前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成ステップと、を含む特徴量データ生成方法である。
【0010】
(10)本発明の一態様は、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データを生成する特徴量データ生成装置のコンピュータに、前記無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、前記電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の前記特徴量の重要度を算出する重要度算出ステップと、前記重要度に基づいて重要区域を求め、前記全区域特徴量時系列データから前記重要区域の前記特徴量を抽出し、前記特徴量の前記重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データを生成する特徴量時系列データ生成ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量の時間的変化を示す特徴量時系列データの精度向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る特徴量データ生成装置及び無線利用予測システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る特徴量データ生成方法の概略説明図である。
【
図3】一実施形態に係る特徴量データ生成方法の詳細な説明図である。
【
図4】一実施形態に係るメッシュ・特徴量種別の重要度データの構成例を示す図表である。
【
図5】一実施形態に係る特徴量データ生成方法の具体例1の説明図である。
【
図6】一実施形態に係る特徴量データ生成方法の具体例2の説明図である。
【
図7】一実施形態に係る重要度算出方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る特徴量データ生成装置及び無線利用予測システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、無線利用予測システム1は、特徴量データ生成装置10と、無線利用予測データ生成装置30とを備える。
【0014】
無線利用予測システム1は、無線通信の将来の利用状態を予測するシステムである。無線通信の利用状態は、例えば、無線通信に利用される電波のチャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)や無線通信に利用される電波の受信電力等である。
【0015】
特徴量データ生成装置10は、入力データ110,120に基づいて、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量時系列データ130を生成する。特徴量時系列データ130は、無線通信の利用状態の変動要因になる特徴量についての過去の時間的変化を示す時系列データである。
【0016】
無線利用予測データ生成装置30は、無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データ140と、特徴量データ生成装置10が生成した特徴量時系列データ130とに基づいて、無線通信の将来の利用状態の予測を示す無線利用予測データ150を生成する。無線利用予測データ生成装置30は、例えば機械学習を利用して無線通信の将来の利用状態の予測を行う。
【0017】
例えば、無線利用予測データ生成装置30は、無線通信に利用される電波の過去のチャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の時間的変化を示すチャネル状態時系列データ(利用状態時系列データ)140と、特徴量データ生成装置10が生成した特徴量時系列データ130とに基づいて、将来のチャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の時間的変化の予測を示すチャネル状態予測時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。
【0018】
例えば、無線利用予測データ生成装置30は、無線通信に利用される電波の受信点における当該電波の過去の受信電力の時間的変化を示す受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と、特徴量データ生成装置10が生成した特徴量時系列データ130とに基づいて、当該電波の受信点における当該電波の将来の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。
【0019】
特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30の各機能は、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は、特徴量データ生成装置10及び無線利用予測データ生成装置30の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
【0020】
(特徴量データ生成装置)
特徴量データ生成装置10は、重要度算出部11と、特徴量時系列データ生成部12とを備える。
【0021】
重要度算出部11は、無線通信に利用される電波の過去の利用状態の時間的変化を示す利用状態時系列データと、当該電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の各区域の過去の時間的変化を示す全区域特徴量時系列データとに基づいて、各区域の当該特徴量の重要度を算出する。入力データ110は、利用状態時系列データである。入力データ120は、全区域特徴量時系列データである。重要度算出部11は、入力データ110(利用状態時系列データ)と入力データ120(全区域特徴量時系列データ)とに基づいて、各区域の当該特徴量の重要度を算出する。
【0022】
全区域特徴量時系列データは、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域について区域毎に、無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量の過去の時間的変化を示す時系列データである。無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量は、例えば、当該電波の伝搬に影響を及ぼす物体の個数である。当該電波の伝搬に影響を及ぼす物体は、例えば、歩行者や車両である。なお、電波の伝搬に影響を及ぼす物体である歩行者や車両等をブロッカーと称する場合がある。無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす特徴量は、例えば、都市構造である。都市構造は、建物の高さや広さ等の建物に関するものや、道路の幅等の道路に関するものである。
【0023】
特徴量時系列データ生成部12は、重要度算出部11が算出した重要度に基づいて重要区域を求め、入力データ120(全区域特徴量時系列データ)から重要区域の特徴量を抽出し、当該特徴量の重要区域の過去の時間的変化を示す重要区域の特徴量時系列データ130を生成する。この重要区域の特徴量時系列データ130が無線利用予測データ生成装置30へ供給される。無線利用予測データ生成装置30は、利用状態時系列データ140と、特徴量データ生成装置10が生成した重要区域の特徴量時系列データ130とに基づいて、無線通信の将来の利用状態の予測を示す無線利用予測データ150を生成する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る特徴量データ生成方法の概略説明図である。
図2には、無線通信の利用状態の予測の一例として受信電力の予測を行う場合が示されているが、チャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の予測を行う場合も同様である。
【0025】
図2において、送信局31(送信点)が送信する電波は、様々な電波伝搬経路33を通って電波センサ32(受信点)へ到達する。電波センサ32は、送信局31(送信点)が送信する電波を受信し、受信した電波の受信強度を検出する。受信強度として、例えば受信電力強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)が検出される。送信局31が送信する電波は、直接に電波センサ32へ到達したり、建物41で反射されてから電波センサ32へ到達したりする。
【0026】
送信局31(送信点)から送信された電波が電波センサ32(受信点)へ到来するまでの電波の到来範囲には、歩行者43や車両42が存在する。電波の到来範囲に存在する歩行者43や車両42は、送信局31が送信する電波の伝搬に影響を及ぼす物体である。したがって、電波の到来範囲に存在する歩行者43や車両42の個数は、送信局31が送信する電波の利用状態の変動要因になる特徴量である。例えば、電波の到来範囲に存在する歩行者43や車両42の個数は、送信局31が送信する電波のチャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の変動要因になる。例えば、電波の到来範囲に存在する歩行者43や車両42の個数は、送信局31が送信する電波の電波センサ32での受信電力の変動要因になる。
【0027】
このため、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域のうち電波の到来範囲に存在する歩行者43や車両42の個数を特徴量として抽出することは好ましい。しかし、送信局31が送信する電波の到来範囲内の区域であっても、当該電波の利用状態の変動に対する重要度は様々であると考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態に係る特徴量データ生成方法では、送信局31が送信する電波の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)に対して各区域の特徴量がどのくらい重要であるかを示す重要度を求め、当該重要度に基づいて重要区域を求め、求められた重要区域を、特徴量(例えば、歩行者43や車両42の個数(ブロッカー数))を抽出する対象の区域にする。なお、重要度は、送信局31が送信する電波の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)の予測に対して各区域の特徴量がどのくらい重要であるかを示す重要度として求められてもよい。
【0029】
これにより、送信局31が送信する電波の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)に対して特に重要な区域(重要区域)の特徴量(例えば歩行者43や車両42の個数)が抽出されるので、送信局31が送信する電波の利用状態の変動要因になる特徴量を効率的に抽出することができる。
【0030】
これにより、無線通信の将来の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)の予測処理に使用される特徴量(例えば歩行者43や車両42等のブロッカーの個数(ブロッカー数))の時間的変化を示す特徴量時系列データ130の精度が向上し、無線通信の将来の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)の予測精度の向上に寄与することができる。
【0031】
図3は、本実施形態に係る特徴量データ生成方法の詳細な説明図である。
図3には、無線通信の利用状態の予測の一例として受信電力の予測を行う場合が示されているが、チャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の予測を行う場合も同様である。
【0032】
図3を参照して本実施形態に係る特徴量データ生成方法を詳細に説明する。なお、以下、区域のことをメッシュと称する場合がある。
【0033】
特徴量データ生成装置10には、入力データ110,120が入力される。入力データ110は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)である。受信電力時系列データは、無線通信に利用される電波の受信点における当該電波の過去の受信電力の時間的変化を示す時系列データである。受信電力時系列データは、例えば、時刻と受信電力強度(RSSI)との組から構成される。受信電力時系列データは、例えば、受信点に設置された電波センサ32が検出したRSSIを利用して生成される。受信電力時系列データが取得される受信点は、無線通信の将来の受信電力の予測を行いたい場所である。
【0034】
入力データ120(120-1,・・・,120-M、Mは1以上の整数)は、全区域特徴量時系列データである。全区域特徴量時系列データは、特徴量の種類毎にある。例えば、入力データ120-1は、第1特徴量についての全区域特徴量時系列データであって、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域について区域毎に、無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす第1特徴量の過去の時間的変化を示す時系列データである。例えば、入力データ120-Mは、第M特徴量についての全区域特徴量時系列データであって、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域について区域毎に、無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす第M特徴量の過去の時間的変化を示す時系列データである。
【0035】
無線利用予測データ生成装置30には、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140が入力される。受信電力時系列データ140は、上記した入力データ110の受信電力時系列データと同様である。
【0036】
(ステップS1) 特徴量データ生成装置10の重要度算出部11は、M種類の特徴量の全区域特徴量時系列データ(入力データ120-1,・・・,120-M)の各々について、区域(メッシュ)毎に特徴量を集計する。この集計結果として、M種類の特徴量毎に、全メッシュの特徴量時系列データ200-1,・・・,200-Mが生成される。例えば、重要度算出部11は、第1特徴量についての全区域特徴量時系列データ(入力データ120-1)に対してメッシュ毎に第1特徴量をタイムスタンプ毎に集計し、全メッシュについてメッシュ毎に各タイムスタンプの第1特徴量の集計値を有する時系列データ(全メッシュの第1特徴量時系列データ)200-1を生成する。例えば、重要度算出部11は、第M特徴量についての全区域特徴量時系列データ(入力データ120-M)に対してメッシュ毎に第M特徴量をタイムスタンプ毎に集計し、全メッシュについてメッシュ毎に各タイムスタンプの第M特徴量の集計値を有する時系列データ(全メッシュの第M特徴量時系列データ)200-Mを生成する。
【0037】
(ステップS2) 重要度算出部11は、受信電力時系列データ(入力データ110)と、M種類の特徴量毎の全メッシュの特徴量時系列データ200-1,・・・,200-Mとに基づいて、各メッシュの各特徴量の重要度を算出する。
【0038】
重要度算出方法について説明する。重要度算出部11は、受信電力時系列データ(入力データ110)とM種類の特徴量毎の全メッシュの特徴量時系列データ200-1,・・・,200-Mとから、無線通信の将来の受信電力の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデル(予測モデル)の学習を行う。機械学習モデルは、例えばランダムフォレスト法である。重要度算出部11は、当該予測モデルの学習において、M種類の特徴量毎に、各メッシュが当該学習に寄与した寄与度から重要度を算出する。M種類の特徴量毎に、各メッシュの寄与度はタイムスタンプ毎に存在する。重要度算出部11は、M種類の特徴量毎に、各メッシュについて一定期間(一定数のタイムスタンプ)分の寄与度から重要度を算出する。例えば、一定期間(一定数のタイムスタンプ)分の寄与度の合計値を重要度にしてもよい。例えば、一定期間(一定数のタイムスタンプ)分の寄与度の平均値を重要度にしてもよい。例えば、一定期間(一定数のタイムスタンプ)分の寄与度のうち最大値を重要度にしてもよい。
【0039】
重要度算出部11は、算出した重要度からメッシュ・特徴量種別の重要度データ210を生成する。メッシュ・特徴量種別の重要度データ210は、特徴量時系列データ生成部12へ送られる。
【0040】
図4に、本実施形態に係るメッシュ・特徴量種別の重要度データ210の構成例が示される。
図4に例示されるように、メッシュ・特徴量種別の重要度データ210は、M種類の特徴量(第1特徴量、第2特徴量、・・・第M特徴量)毎に、各メッシュ(第1メッシュ、第2メッシュ、・・・、第Nメッシュ、Nはメッシュの総数)の重要度を有するデータである。
【0041】
説明を
図3に戻す。
(ステップS3) 特徴量時系列データ生成部12は、重要度算出部11が生成したメッシュ・特徴量種別の重要度データ210に基づいて、M種類の特徴量毎に重要区域(重要メッシュ)を求める。
図4の例では、所定の閾値以上である重要度(
図4中、下線で示される重要度)のメッシュが重要メッシュとして求められる。このとき、所定の閾値以上である重要度のメッシュが存在しない特徴量については、重要メッシュが存在しない(重要メッシュが求められない)。
【0042】
特徴量時系列データ生成部12は、M種類の特徴量についての全メッシュの特徴量時系列データ200-1,・・・,200-Mから重要メッシュの特徴量の集計値を抽出し、抽出した特徴量の種類毎に重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)を生成する。このとき、所定の閾値以上である重要度のメッシュが存在しない特徴量については、重要メッシュが存在しないので、当該特徴量については重要メッシュの特徴量時系列データが生成されない。
【0043】
例えば、M種類の特徴量のうち第1特徴量については重要メッシュが存在するので、特徴量時系列データ生成部12は、全メッシュの第1特徴量時系列データ200-1から重要メッシュの第1特徴量の集計値を抽出し、第1特徴量の重要メッシュの過去の時間的変化を示す重要メッシュの第1特徴量時系列データ130-1を生成する。一方、例えば、M種類の特徴量のうち第2特徴量については重要メッシュが存在しないので、第2特徴量についての重要メッシュの第2特徴量時系列データは生成されない。
【0044】
特徴量データ生成装置10は、特徴量時系列データ生成部12が生成した重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)を無線利用予測データ生成装置30へ送信する。
【0045】
なお、重要メッシュの特徴量時系列データ130は、無線利用予測データ生成装置30の予測タイミングに合わせて(同期して)更新されてもよく、又は無線利用予測データ生成装置30の予測タイミングとは非同期で例えば一定の周期で更新されてもよい。入力データ110,120は、重要メッシュの特徴量時系列データ130の更新タイミングに合わせて最新データが特徴量データ生成装置10に入力される。
【0046】
(ステップS4) 無線利用予測データ生成装置30には、予測タイミングに合わせて最新の受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140が入力される。無線利用予測データ生成装置30は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と、特徴量データ生成装置10から受信した重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)とに基づいて、無線通信に利用される電波の受信点における当該電波の将来の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。
【0047】
無線利用予測データ生成装置30は、例えば機械学習を利用して将来の受信電力の時間的変化の予測を行う。学習段階では、学習段階における受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)とを学習データに使用して、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)とから将来の受信電力の予測値を時系列データとして出力するように機械学習モデルの学習を行う。機械学習モデルは、例えばニューラルネットワークである。予測段階では、予測段階における受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュの第x特徴量時系列データ130-x、・・・、重要メッシュの第y特徴量時系列データ130-y)とを入力データとして学習済みの機械学習モデルへ入力し、当該入力の結果として機械学習モデルから出力される将来の受信電力の予測値の時系列データを得る。無線利用予測データ生成装置30は、機械学習モデルから出力された将来の受信電力の予測値の時系列データを使用して受信電力予測値時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。
【0048】
なお、上記したステップS2で使用される機械学習アルゴリズムと、ステップS4で使用される機械学習アルゴリズムとは、同じであってもよく、又は異なってもよい。
【0049】
(特徴量データ生成方法の具体例1)
図5は、本実施形態に係る特徴量データ生成方法の具体例1の説明図である。
図5には、無線通信の利用状態の予測の一例として受信電力の予測を行う場合が示されているが、チャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の予測を行う場合も同様である。特徴量データ生成方法の具体例1では、特徴量は、歩行者43や車両42等のブロッカーの個数(ブロッカー数)である。
【0050】
特徴量データ生成装置10には、入力データ110,120が入力される。入力データ110は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)である。
【0051】
入力データ120は、ブロッカー情報(全区域特徴量時系列データ)である。ブロッカー情報は、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域(メッシュ)について区域(メッシュ)毎に、無線通信に利用される電波の伝搬に影響を及ぼす物体である歩行者43や車両42等のブロッカーの個数(ブロッカー数)の過去の時間的変化を示す時系列データである。ブロッカー情報は、例えば、時刻とブロッカーの位置(緯度、経度)との組から構成される。各メッシュの範囲(緯度、経度)は予め設定される。ブロッカー情報は、例えば、スマートフォン等の携帯端末がGPS(Global Positioning System)等により取得した位置情報を利用して生成される。また、ブロッカー情報は、基地局に接続したスマートフォン等の携帯端末の個数(接続端末数)を示す接続端末数データを利用して生成されてもよい。
【0052】
(ステップS1) 特徴量データ生成装置10の重要度算出部11は、ブロッカー情報(入力データ)120に対してメッシュ毎にブロッカー数をタイムスタンプ毎に集計し、全メッシュについてメッシュ毎に各タイムスタンプのブロッカー数の集計値を有する時系列データ(全メッシュのブロッカー数時系列データ)200を生成する。
【0053】
(ステップS2) 重要度算出部11は、受信電力時系列データ(入力データ110)と、全メッシュのブロッカー数時系列データ200とに基づいて、各メッシュの重要度を算出する。重要度算出方法は上述した方法と同様である。但し、本具体例1では、特徴量が1種類(ブロッカー数のみ)である。
【0054】
重要度算出部11は、算出した重要度からメッシュの重要度データ210を生成する。但し、本具体例1では、ブロッカー数についてのメッシュの重要度データ210のみが生成される。メッシュの重要度データ210は、特徴量時系列データ生成部12へ送られる。
【0055】
(ステップS3) 特徴量時系列データ生成部12は、重要度算出部11が生成したメッシュの重要度データ210に基づいて、重要区域(重要メッシュ)を求める。特徴量時系列データ生成部12は、全メッシュのブロッカー数時系列データ200から重要メッシュのブロッカー数の集計値を抽出し、重要メッシュのブロッカー数時系列データ130を生成する。重要メッシュのブロッカー数時系列データ130は、重要メッシュ毎にブロッカー数の過去の時間的変化を示す時系列データである。
【0056】
特徴量データ生成装置10は、特徴量時系列データ生成部12が生成した重要メッシュのブロッカー数時系列データ130を無線利用予測データ生成装置30へ送信する。
【0057】
(ステップS4) 無線利用予測データ生成装置30には、予測タイミングに合わせて最新の受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140が入力される。無線利用予測データ生成装置30は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と、特徴量データ生成装置10から受信した重要メッシュのブロッカー数時系列データ130とに基づいて、無線通信に利用される電波の受信点における当該電波の将来の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。受信電力予測値時系列データの生成方法は、上述した方法と同様である。但し、本具体例1では、特徴量時系列データが1種類(ブロッカー数のみ)である。
【0058】
(特徴量データ生成方法の具体例2)
図6は、本実施形態に係る特徴量データ生成方法の具体例2の説明図である。
図6には、無線通信の利用状態の予測の一例として受信電力の予測を行う場合が示されているが、チャネル状態(無線チャネルのビジー状態およびアイドル状態)の予測を行う場合も同様である。特徴量データ生成方法の具体例2では、特徴量は、ミクロ情報とマクロ情報とである。ミクロ情報は、歩行者43や車両42等のブロッカーの個数(ブロッカー数)である。マクロ情報は、都市構造である。
【0059】
特徴量データ生成装置10には、入力データ110,120が入力される。入力データ110は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)である。
【0060】
特徴量データ生成装置10には、ミクロ情報としてブロッカー情報120-1が入力される。また、特徴量データ生成装置10には、マクロ情報として衛星画像時系列データ120-2が入力される。衛星画像時系列データ120-2は、無線利用予測システム1がサービス対象にする全ての区域を含む衛星画像(衛星から撮影された画像)の時系列データである。当該衛星画像は、都市構造を解析することができる解像度を有する画像である。本具体例2では、当該衛星画像は、少なくとも、区域内における建物の面積率(建物面積率)を算出することができる解像度を有する画像である。
【0061】
(ステップS1) 特徴量データ生成装置10の重要度算出部11は、ブロッカー情報(入力データ)120-1に対してメッシュ毎にブロッカー数をタイムスタンプ毎に集計し、全メッシュについてメッシュ毎に各タイムスタンプのブロッカー数の集計値を有する時系列データ(全メッシュのブロッカー数時系列データ)200-1を生成する。
【0062】
また重要度算出部11は、衛星画像時系列データ(入力データ)120-2に対してメッシュ毎に建物面積率をタイムスタンプ毎に算出し、全メッシュについてメッシュ毎に各タイムスタンプの建物面積率を有する時系列データ(全メッシュの建物面積率時系列データ)200-2を生成する。
【0063】
(ステップS2) 重要度算出部11は、受信電力時系列データ(入力データ110)と、2種類の特徴量(ブロッカー数、建物面積率)毎の全メッシュの特徴量時系列データ(全メッシュのブロッカー数時系列データ200-1、全メッシュの建物面積率時系列データ200-2)とに基づいて、各メッシュの各特徴量(ブロッカー数、建物面積率)の重要度を算出する。重要度算出方法は上述した方法と同様である。但し、本具体例2では、特徴量が2種類(ブロッカー数、建物面積率)である。
【0064】
重要度算出部11は、算出した重要度からメッシュ・特徴量種別の重要度データ210を生成する。当該メッシュ・特徴量種別の重要度データ210は、2種類の特徴量(ブロッカー数、建物面積率)毎に、各メッシュの重要度を有するデータである。メッシュ・特徴量種別の重要度データ210は、特徴量時系列データ生成部12へ送られる。
【0065】
(ステップS3) 特徴量時系列データ生成部12は、重要度算出部11が生成したメッシュ・特徴量種別の重要度データ210に基づいて、2種類の特徴量(ブロッカー数、建物面積率)毎に重要区域(重要メッシュ)を求める。
【0066】
特徴量時系列データ生成部12は、ブロッカー数の重要メッシュについて、全メッシュのブロッカー数時系列データ200-1から重要メッシュのブロッカー数の集計値を抽出し、重要メッシュのブロッカー数時系列データ130-1を生成する。重要メッシュのブロッカー数時系列データ130-1は、ブロッカー数の重要メッシュ毎にブロッカー数の過去の時間的変化を示す時系列データである。
【0067】
また特徴量時系列データ生成部12は、建物面積率の重要メッシュについて、全メッシュの建物面積率時系列データ200-2から重要メッシュの建物面積率を抽出し、重要メッシュの建物面積率時系列データ130-2を生成する。重要メッシュの建物面積率時系列データ130-2は、建物面積率の重要メッシュ毎に建物面積率の過去の時間的変化を示す時系列データである。
【0068】
なお、重要度のメッシュが存在しない特徴量については、重要メッシュが存在しないので、当該特徴量については重要メッシュの特徴量時系列データが生成されない。例えば、重要メッシュが存在するブロッカー数については重要メッシュのブロッカー数時系列データ130-1が生成されるが、重要メッシュが存在しない建物面積率については重要メッシュの建物面積率時系列データ130-2が生成されない等である。
【0069】
特徴量データ生成装置10は、特徴量時系列データ生成部12が生成した重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュのブロッカー数時系列データ130-1、重要メッシュの建物面積率時系列データ130-2)を無線利用予測データ生成装置30へ送信する。
【0070】
(ステップS4) 無線利用予測データ生成装置30には、予測タイミングに合わせて最新の受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140が入力される。無線利用予測データ生成装置30は、受信電力時系列データ(利用状態時系列データ)140と、特徴量データ生成装置10から受信した重要メッシュの特徴量時系列データ130(重要メッシュのブロッカー数時系列データ130-1、重要メッシュの建物面積率時系列データ130-2)とに基づいて、無線通信に利用される電波の受信点における当該電波の将来の受信電力の時間的変化の予測を示す受信電力予測値時系列データ(無線利用予測データ)150を生成する。受信電力予測値時系列データの生成方法は、上述した方法と同様である。但し、本具体例2では、特徴量時系列データが2種類(ブロッカー数、建物面積率)である。
【0071】
(重要度算出方法)
本実施形態に係る重要度算出方法を説明する。重要度算出部11は、予測モデル(機械学習モデル)の学習において、M種類の特徴量毎に、各メッシュが当該学習に寄与した寄与度から重要度を算出する。予測モデルの機械学習アルゴリズムとして、例えばランダムフォレスト(RandomForest)法や勾配ブースティング法が利用可能である。ランダムフォレスト(RandomForest)法や勾配ブースティング法は、複数の決定木(CART:Classification and Regression Tree)を学習し、全体のモデルを構築する「アンサンブル学習」と呼ばれる機械学習アルゴリズムである。これらの機械学習アルゴリズムは、入力した特徴量が学習にどれくらい寄与したかを示す寄与度を数値化して出力することができる。その寄与度として、
図7に示されるようにCARTにおいて、ある特徴量により分岐する前後での誤差の改善度ΔGがGini係数を用いて次の(1)式により算出される。
【0072】
【0073】
本実施形態によれば、無線通信の利用状態(例えばチャネル状態や受信電力)の変動要因になる特徴量をデータサイエンスの観点から的確に抽出することができるので、無線通信の将来の利用状態の予測処理に使用される特徴量の時間的変化を示す特徴量時系列データの精度を向上させる効果が得られる。これにより、無線通信の将来の利用状態の予測精度の向上に寄与することができるようになる。
【0074】
また、本実施形態によれば、特徴量時系列データが無線通信の将来の利用状態の予測処理に適切な入力データから構成されるので、当該予測処理への入力データの次元数の削減に寄与することができる。これにより、当該予測処理の処理量が削減され処理時間の短縮効果が得られる。
【0075】
また、本実施形態によれば、利用状態時系列データ(例えば受信電力時系列データ)や特徴量の実測データがあれば実施可能であるので、その他の予測に無関係なデータを準備する必要がない。
【0076】
なお、これにより、例えば異システム間の周波数共用における総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0078】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0079】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…無線利用予測システム、10…特徴量データ生成装置、11…重要度算出部、12…特徴量時系列データ生成部、30…無線利用予測データ生成装置