(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板
(51)【国際特許分類】
C08G 59/62 20060101AFI20240104BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240104BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240104BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240104BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20240104BHJP
B32B 15/092 20060101ALI20240104BHJP
H01G 4/06 20060101ALI20240104BHJP
H05K 1/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C08G59/62
C08L63/00 Z
C08L77/00
C08K3/22
C08K5/13
B32B15/092
H01G4/06
H05K1/00
(21)【出願番号】P 2021508203
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2020004882
(87)【国際公開番号】W WO2020195236
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2019059816
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】細井 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】福田 堅志郎
(72)【発明者】
【氏名】米田 祥浩
(72)【発明者】
【氏名】石野 友宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲朗
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-123232(JP,A)
【文献】特開2011-219674(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003590(WO,A1)
【文献】特開2017-193655(JP,A)
【文献】特開2014-012751(JP,A)
【文献】特開平05-208469(JP,A)
【文献】特開平09-291473(JP,A)
【文献】特開2002-064111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
C08L 77/00
C08K 5/13
C08K 3/22
B32B 15/092
H01G 4/06
H05K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物であって、
ビスフェノールS、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤、及びエポキシ樹脂を含むバインダー成分と、
誘電体フィラーと、
を含
み、
前記バインダー成分中におけるポリマー含有量が、前記バインダー成分100重量部に対して、0重量部以上10重量部以下である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤が、1分子あたり3つ以上のフェノール系水酸基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記バインダー成分は、前記バインダー成分100重量部に対して、前記ビスフェノールSを20重量部以上40重量部以下含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記誘電体フィラーが、前記樹脂組成物の固形分100重量部に対して、70重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記複合金属酸化物が、BaTiO
3、SrTiO
3、Pb(Zr,Ti)O
3、PbLaTiO
3、PbLaZrO及びSrBi
2Ta
2O
9からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項
5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記複合金属酸化物を75重量部以上85重量部以下含む、請求項
5又は
6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に設けられた請求項1~
7のいずれか一項に記載の樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の樹脂組成物が、硬化された層である、誘電体層。
【請求項10】
前記誘電体層の厚さが、0.2μm以上30μm以下である、請求項
9に記載の誘電体層。
【請求項11】
第一の銅箔と、請求項
9又は
10に記載の誘電体層と、第二の銅箔とを順に備えた、銅張積層板。
【請求項12】
請求項
9又は
10に記載の誘電体層を有する、キャパシタ素子。
【請求項13】
請求項
9又は
10に記載の誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅張積層板やプリント配線板の製造に用いられる樹脂組成物として、キャパシタ内蔵プリント配線板用樹脂組成物が知られている。かかる樹脂組成物は硬化されることでキャパシタにおける誘電体層として機能するものである。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2002-164253号公報)には、第1誘電体層及び第2誘電体層からなる誘電体層が第1導電性層と第2導電性層との間に狭持されたキャパシタ材料が開示されており、第1誘電体層及び/又は第2誘電体層が、チタン酸バリウム等のフィラーを含む、ポリイミド樹脂等の高分子樹脂で構成されることが記載されている。
【0004】
特許文献2(特許5716033号公報)には、約10重量%以上約60重量%以下のエポキシ樹脂と、約20重量%以上約90重量%以下の誘電体フィラーと、約0.1重量%以上約10重量%以下のジアミノジフェニルスルホン硬化剤とを含む高分子誘電体組成物を有する電気物品が開示されている。
【0005】
特許文献3(特開2002-309200号公報)には、(A)1分子中に2以上のエポキシ基を有する常温で液状の芳香族系エポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、(C)重量平均分子量が5000以上100000以下であるフェノキシ樹脂及び(D)高誘電率無機充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物が支持ベースフィルム上に層形成された接着フィルムが開示されており、上記(C)成分がビスフェノールS骨格を有すること、及び上記(D)成分がチタン酸バリウムでありうることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-164253号公報
【文献】特許5716033号公報
【文献】特開2002-309200号公報
【発明の概要】
【0007】
プリント配線板は携帯用電子機器等の電子通信機器に広く用いられている。特に、携帯用電子通信機器等の軽薄短小化及び高機能化に伴い、プリント配線板におけるノイズの低減等が課題となっている。ノイズ低減を可能にするにはキャパシタが重要となるが、高性能化を実現するために、このようなキャパシタには、プリント配線板の内層に組み込まれる程の小型化及び薄型化が望まれる。それに伴い、高い静電容量が望まれる。したがって、携帯用電子機器等の電子通信機器の高性能化にあたり、プリント配線板内蔵キャパシタをその厚みを増すことなく高い静電容量を確保することが望まれる。また、キャパシタには、樹脂層(誘電体層)と回路の密着性(すなわち回路密着性)及び耐電圧性を確保することも望まれる。
【0008】
ところで、特許文献1(特開2002-164253号公報)に開示されるような誘電体層用樹脂はポリイミド樹脂等のポリマーを含んでおり、このようなポリマー成分は分子量が大きいが故に流動性が低い。このため、プレス成型時に高い圧力をかける必要があり、その結果、加工装置の負荷が大きくなる。一方で、ポリマー成分を排除すると、回路密着性が低下しやすい。その上、回路密着性と耐電圧性とはトレードオフの関係にあり、本来的に両立が難しい。そのため、ポリマー無しでも(あるいはポリマー含有量が少なくても)、高い静電容量、優れた回路密着性及び優れた耐電圧性を実現可能な樹脂組成物が望まれる。
【0009】
本発明者らは、今般、ビスフェノールS、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤、及びエポキシ樹脂を、誘電体フィラーと共に含む樹脂組成物を、キャパシタの誘電体層として用いることで、高い静電容量及び優れた回路密着性を確保しながら、耐電圧性を大幅に向上できるとの知見を得た。
【0010】
したがって、本発明の目的は、キャパシタの誘電体層として用いられた場合に、高い静電容量及び優れた回路密着性を確保しながら、耐電圧性を大幅に向上可能な樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の一態様によれば、樹脂組成物であって、
ビスフェノールS、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤、及びエポキシ樹脂を含むバインダー成分と、
誘電体フィラーと、
を含む、樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に設けられた前記樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、前記樹脂組成物が、硬化された層である、誘電体層が提供される。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、第一の銅箔と、前記誘電体層と、第二の銅箔とを順に備えた、銅張積層板が提供される。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、前記誘電体層を有する、キャパシタ素子が提供される。
【0016】
本発明の他の一態様によれば、前記誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】例1~11における、樹脂付銅箔、銅張積層板及び評価用回路の作製工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、バインダー成分と、誘電体フィラーとを含む。このバインダー成分は、ビスフェノールS、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤、及びエポキシ樹脂を含む。このように、ビスフェノールS、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤、及びエポキシ樹脂を誘電体フィラーと共に含む樹脂組成物を、キャパシタの誘電体層として用いることで、高い静電容量及び優れた回路密着性を確保しながら、耐電圧性を大幅に向上することができる。
【0019】
前述のとおり、ポリマーを含む従来の樹脂組成物は流動性が低く、プレス成型時に高い圧力をかける必要があり、その結果、加工装置の負荷が大きくなる。一方で、ポリマーを排除すると、回路密着性が低下しやすい。その上、回路密着性と耐電圧性とはトレードオフの関係にあり、本来的に両立が難しい。この点、本発明の樹脂組成物では、ビスフェノールSを(予めポリマー化することなく)そのまま未反応モノマーとしてエポキシ樹脂等と配合することで、ポリマーの使用に伴う上記問題を解消することができる。その結果、本発明の樹脂組成物によれば、ポリマー無しでも(あるいはポリマー含有量が少なくても)、高い静電容量、優れた回路密着性及び優れた耐電圧性を呈するキャパシタを実現することができる。
【0020】
ビスフェノールSは、本発明の樹脂組成物に未反応モノマーとして配合される化合物であり、本発明の上述した諸特性をポリマー無し又は低いポリマー含有量で実現できるとの利点をもたらす。すなわち、ビスフェノールSは、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂等の形態にポリマー化して樹脂組成物に配合されるのが一般的であるが、本発明の樹脂組成物においては敢えてそのままモノマーとして配合される。ビスフェノールSが上述した諸特性の実現に寄与するメカニズムは必ずしも定かではないが、ビスフェノールSの分子内に含まれる硫黄原子が銅との密着性に優れることから、樹脂組成物にポリマーを加えなくとも、銅箔との優れた回路密着性を実現できるものと考えられる。なお、ビスフェノールSとエポキシ樹脂とを予め反応させたポリマーを樹脂組成物に用いた場合には、エポキシ樹脂の軟化点が高くなるため、溶剤に対する溶解性が悪くなるだけでなく、プレス成型時の加工性に劣るものとなる(例えば装置負荷の増大やボイドの発生)。
【0021】
樹脂組成物におけるビスフェノールSの含有量は、バインダー成分100重量部に対して、20重量部以上40重量部以下であるのが好ましく、より好ましくは20重量部以上37重量部以下、さらに好ましくは25重量部以上37重量部以下、特に好ましくは25重量部以上35重量部以下である。これらの範囲内であると、上述した諸特性(特に回路密着性)をより効果的に実現できる。本発明の樹脂組成物には、ビスフェノールSのフェノール性水酸基濃度に見合った量のエポキシ樹脂が配合されることが望まれる。この点、ビスフェノールSの含有量が40重量部を超える場合、ビスフェノールSのフェノール性水酸基濃度に見合った量のエポキシ樹脂を添加するためには、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂等の一般的なエポキシ樹脂では絶対量が不足するため、エポキシ基濃度の高い脂肪族のエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂を使用する必要がある。しかしながら、脂肪族のエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂は分子内に芳香環を有していないため、そのようなエポキシ樹脂を用いた樹脂組成物は耐熱性に劣り、一般的なプリント配線板の生産工程で行われるハンダ加工においてフクレ等の問題が発生しやすい。
【0022】
フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として機能するものであり、電気及び電子材料用途に使用可能なものであれば特に限定されないが、好ましくは1分子あたり3つ以上のフェノール系水酸基を有するものである。フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤を用いることで、樹脂組成物を硬化して得られる誘電体層の耐電圧性を大幅に向上させることができる。フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤の例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAのノボラック樹脂、ビニルフェノール共重合樹脂等が挙げられる。フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤の更なる例としては、上述のフェノール類と、アルデヒド類と、トリアジン環を有する化合物との重縮合物であるトリアジン環含有ノボラック樹脂等が挙げられ、好ましくはナフトール/クレゾール型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH-7000)、トリスフェノールメタン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH-7500)、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEHC-7851)、フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、TD-2090)、ポリパラビニルフェノール樹脂(丸善石油化学株式会社製、マルカリンカーM)等であり、特に好ましくは、トリスフェノールメタン型フェノール樹脂である。また、樹脂組成物におけるフェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、バインダー成分100重量部に対して、好ましくは1重量部以上25重量部以下であり、より好ましくは2重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上18重量部以下である。なお、フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、ビスフェノールSの含有量及びそれとの兼ね合いで決定されるエポキシ樹脂の含有量に応じて適宜決定されうる。
【0023】
エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有し、電気及び電子材料用途に使用可能なモノマー又はオリゴマーであれば特に限定されない。前述のとおり、エポキシ樹脂はビスフェノールSと未反応のまま、本発明の樹脂組成物に配合される。樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有量は、ビスフェノールSの含有量との兼ね合いで適宜決定すればよく、特に限定されないが、バインダー成分100重量部に対して、30重量部以上80重量部以下であるのが好ましく、より好ましくは40重量部以上70重量部以下である。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びそれらの任意の組合せが挙げられる。プレス成型時の加工装置の負荷を小さくする点からは、常温(例えば25℃)で液状の低分子量のエポキシ樹脂が好ましい。硬化物の耐熱性を保持する点からは、芳香族エポキシ樹脂又は多官能エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はビフェニルノボラック型エポキシ樹脂である。
【0024】
前述のとおり、本発明の樹脂組成物は、ポリマー無しでも(あるいはポリマー含有量が少なくても)、高い静電容量、優れた回路密着性及び優れた耐電圧性を呈するキャパシタを実現できるものである。したがって、本発明の樹脂組成物はポリマー成分を含まないものであることができる。特に、本発明の樹脂組成物の構成成分はいずれも分子量が大きいポリマーと比較して低分子量であるため、樹脂組成物の流動性が高い。このため、樹脂組成物を硬化する際のプレス成型時に高い圧力をかける必要がなく、加工装置の負荷を小さくすることができる。例えば、ポリマー成分の排除により、本発明の好ましい形態による樹脂組成物は、5kgf/cm2、70℃で5分間のプレス成型に真空引きなしで付されてもボイドを発生させることなく加工を行うことができる。
【0025】
もっとも、必要に応じて、本発明の樹脂組成物は、硬化前において、ポリマー成分をさらに含んでいてもよい。ポリマー成分をさらに含むことで、回路密着性を向上させることができる。したがって、樹脂組成物におけるポリマー成分の含有量は、バインダー成分100重量部に対して、0重量部以上30重量部未満であるのが好ましく、より好ましくは0重量部以上25重量部以下、さらに好ましくは0重量部以上20重量部以下、特に好ましくは0重量部以上15重量部以下、最も好ましくは0重量部以上10重量部以下である。上記範囲内であると、回路密着性を向上させつつ、樹脂組成物のプレス成型時に高い圧力をかける必要がなく加工装置の負荷を小さくすることができる。
【0026】
ポリマー成分は、電気及び電子材料用途に使用可能なものであれば、特に限定されない。好ましいポリマー成分の例としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0027】
ポリイミド樹脂は、所望の誘電特性、密着性及び耐熱性が得られるかぎり特に限定されないが、エポキシ樹脂と良好に相溶されたワニス及び塗膜を形成できる点から、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(以下、有機溶剤可溶性ポリイミドという)が好ましい。ポリイミド樹脂が可溶とされるこの有機溶剤は溶解度パラメータ(SP値)が7.0以上17.0以下のものが好ましい。そのような有機溶剤の好ましい例としては、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。特に、硬化後の耐熱性を保持する点からは、分子末端ないし側鎖にエポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有するポリイミド樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂は、その末端ないし側鎖の官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、及びフェノール性水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するのが好ましい。このような官能基を有することで、ポリイミド樹脂の有機溶剤可溶性及びエポキシ樹脂との相溶性が向上する。また、熱処理時にエポキシ樹脂との重合反応が促進され、更にはポリイミド樹脂同士の重合反応が促進されることによって、より耐熱性が高い硬化物を得ることができる。この点から、末端又は側鎖の官能基としてカルボキシル基を有するポリイミド樹脂を用いるのがより好ましい。
【0028】
ポリアミド樹脂の例としては、芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられる。例えば、芳香族ポリアミド樹脂は樹脂層の耐熱性の向上に寄与する。芳香族ポリアミド樹脂は、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。上記縮重合に用いる芳香族ジアミンの例としては、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-キシレンジアミン、3,3’-オキシジアニリン等及びそれらの任意の組合せが挙げられる。また、上記縮重合に用いるジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸及びそれらの任意の組合せが挙げられる。芳香族ポリアミド樹脂に回路密着性に加えて耐熱性を付与するためには、ジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸であるのが好ましく、芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。特に、分子内にフェノール性水酸基を含有する芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。また、この芳香族ポリアミド樹脂は、耐熱性を損なわない範囲で、柔軟鎖として芳香族ポリアミド樹脂に可とう性を付与する化学結合を分子内に適宜有していてもよく、ポリアミド樹脂との架橋性ポリマーアロイとして一部が凝集状態で存在するものであってもよい。柔軟鎖として芳香族ポリアミド樹脂に可とう性を付与する化学結合をもたらす化合物の例としては、例えばブタジエン、エチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、カルボン酸ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、ポリクロロプレン、シロキサン等が挙げられる。上述したような芳香族ポリアミドを用いることで、エポキシ樹脂硬化物の柔軟性を確保して剥離強度信頼性を高めることができるとともに、耐熱性をも向上することができる。
【0029】
ポリアミドイミド樹脂の例としては、東洋紡株式会社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」、並びに日立化成株式会社製の「HPC-5000」及び「HPC―3010」等が挙げられる。
【0030】
誘電体フィラーは、誘電体層としての樹脂組成物に所望の高い静電容量をもたらす成分であり、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物であるのが好ましい。複合金属酸化物の好ましい例としては、静電容量が高く、かつ本発明の樹脂組成物に混入が可能なBaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、PbLaTiO3、PbLaZrO、SrBi2Ta2O9及びそれらの任意の組合せの粒子が挙げられ、より好ましくはBaTiO3である。なお、Pb(Zr,Ti)O3は、Pb(ZrxTi1-x)O3(式中0≦x≦1、典型的には0<x<1である)を意味する。樹脂組成物における誘電体フィラー(複合金属酸化物)の含有量は、樹脂組成物の固形分100重量部に対して、70重量部以上85重量部以下が好ましく、より好ましくは75重量部以上85重量部以下、さらに好ましくは77重量部以上82重量部以下である。なお、常温で液状のバインダー成分(例えばエポキシ樹脂)であっても、硬化により固化するものは、上述した樹脂組成物の固形分として算入されるものとする。また、誘電体フィラーの粒径は特に限定されないが、樹脂組成物と銅箔との密着性を維持する観点から、レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定される平均粒径D50が0.01μm以上2.0μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.05μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。
【0031】
所望により、樹脂組成物はフィラー分散剤をさらに含んでいてもよい。フィラー分散剤をさらに含むことで、樹脂ワニスと誘電体フィラーを混練する際、誘電体フィラーの分散性を向上させることができる。フィラー分散剤は、公知のものが適宜使用可能であり、特に限定されない。好ましいフィラー分散剤の例としては、イオン系分散剤である、ホスホン酸型、カチオン型、カルボン酸型、アニオン型分散剤の他、ノニオン系分散剤である、エーテル型、エステル型、ソルビタンエスエル型、ジエステル型、モノグリセライド型、エチレンオキシド付加型、エチレンジアミンベース型、フェノール型分散剤等が挙げられる。その他、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
【0032】
所望により、樹脂組成物はエポキシ樹脂用の硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。エポキシ樹脂硬化促進剤の例としては、イミダゾール系硬化促進剤、トリフェニルホスフィンに代表される燐化合物、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールに代表される3級アミン化合物、尿素系エポキシ樹脂硬化促進剤等が挙げられる。
【0033】
樹脂付銅箔
本発明の樹脂組成物は樹脂付銅箔の樹脂として用いられるのが好ましい。予め樹脂付銅箔の形態とすることで、樹脂層ないし誘電体層を別途形成することなく、キャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板の製造を効率良く行うことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の面に設けられた樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔が提供される。典型的には、樹脂組成物は樹脂層の形態であって、樹脂組成物を、銅箔に乾燥後の樹脂層の厚さが所定の値となるようにグラビアコート方式を用いて塗工し乾燥させ、樹脂付銅箔を得る。この塗工の方式については任意であるが、グラビアコート方式の他、ダイコート方式、ナイフコート方式等を採用することができる。その他、ドクターブレードやバーコータ等を使用して塗工することも可能である。樹脂付銅箔における樹脂組成物は、2枚の樹脂付銅箔を樹脂組成物が互いに向かい合うように積層して誘電体層を形成させる観点から、半硬化されているのが好ましい。
【0034】
樹脂層の厚さは、誘電体層としてキャパシタに組み込まれた場合に所望の静電容量を確保できる限り特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上15μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上10μm以下、特に好ましくは0.5μm以上5μm以下、最も好ましくは1μm以上4μm以下である。これらの範囲内の厚さであると、高い静電容量を実現しやすい、樹脂組成物の塗布により樹脂層の形成がしやすい、銅箔との間で十分な密着性を確保しやすいといった利点がある。
【0035】
銅箔は、電解製箔又は圧延製箔されたままの金属箔(いわゆる生箔)であってもよいし、少なくともいずれか一方の面に表面処理が施された表面処理箔の形態であってもよい。表面処理は、金属箔の表面において何らかの性質(例えば防錆性、耐湿性、耐薬品性、耐酸性、耐熱性及び基板との密着性)を向上ないし付与するために行われる各種の表面処理でありうる。表面処理は金属箔の少なくとも片面に行われてもよいし、金属箔の両面に行われてもよい。銅箔に対して行われる表面処理の例としては、防錆処理、シラン処理、粗化処理、バリア形成処理等が挙げられる。
【0036】
銅箔の樹脂層側の表面における、JIS B0601-2001に準拠して測定される十点平均粗さRzjisが2.0μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。このような範囲内であると、樹脂層の厚さをより薄くすることができる。銅箔の樹脂層側の表面における十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、樹脂層との密着性向上の観点からRzjisは0.005μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。
【0037】
銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5μm以上70μm以下であり、さらに好ましくは2μm以上70μm以下、特に好ましくは5μm以上70μm以下、最も好ましくは10μm以上35μm以下である。これらの範囲内の厚さであると、プリント配線板の配線形成の一般的なパターン形成方法である、MSAP(モディファイド・セミアディティブ)法、SAP(セミアディティブ)法、サブトラクティブ法等の工法が採用可能である。もっとも、銅箔の厚さが例えば10μm以下となる場合等は、本発明の樹脂付銅箔は、ハンドリング性向上のために剥離層及びキャリアを備えたキャリア付銅箔の銅箔表面に樹脂層を形成したものであってもよい。
【0038】
誘電体層
本発明の樹脂組成物は硬化されて誘電体層とされるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、本発明の樹脂組成物が硬化された層である、誘電体層が提供される。樹脂組成物の硬化は公知の手法に基づき行えばよいが、熱間真空プレスにより行うのが好ましい。誘電体層の厚さは、所望の静電容量を確保できる限り特に限定されないが、好ましくは0.2μm以上30μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上20μm以下、特に好ましくは1μm以上10μm以下、最も好ましくは2μm以上6μm以下である。これらの範囲内の厚さであると、高い静電容量を実現しやすい、樹脂組成物の塗布により樹脂層の形成がしやすい、銅箔との間で十分な密着性を確保しやすいといった利点がある。
【0039】
銅張積層板
本発明の樹脂組成物ないしそれを含む誘電体層は銅張積層板に適用されるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、第一の銅箔と、上述した誘電体層と、第二の銅箔とを順に備えた、銅張積層板が提供される。銅張積層板の形態とすることで、本発明の樹脂組成物を誘電体層として含むキャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板を望ましく作製することができる。銅張積層板の作製方法は特に限定されないが、例えば、2枚の上述した樹脂付銅箔を樹脂層が互いに向かい合うように積層して高温で真空プレスすることにより銅張積層板を製造することができる。
【0040】
キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板
本発明の樹脂組成物ないしそれを含む誘電体層はキャパシタ素子に組み込まれるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、上述した誘電体層を有する、キャパシタ素子が提供される。キャパシタ素子の構成は特に限定されず、公知の構成が採用可能である。特に好ましい形態は、キャパシタないしその誘電体層がプリント配線板の内層部分として組み込まれた、キャパシタ内蔵プリント配線板である。すなわち、本発明の特に好ましい態様によれば、上述した誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板が提供される。特に、本発明の樹脂付銅箔を用いることで、キャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板を公知の手法に基づき効率良く製造することができる。
【実施例】
【0041】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0042】
例1~11
(1)樹脂ワニスの調製
まず、樹脂ワニス用原料成分として、以下に示されるバインダー成分、硬化促進剤、誘電体フィラー及び分散剤を用意した。
‐ エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製、jER828(エポキシ当量189g/eq)
‐ エポキシ樹脂2:DIC株式会社製、EXA-4850-150(エポキシ当量450g/eq)
‐ エポキシ樹脂3:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製、YDPN-638(エポキシ当量180g/eq)
‐ ビスフェノールS:試薬(富士フィルム和光純薬株式会社製)
‐ ビスフェノールA:試薬(富士フィルム和光純薬株式会社製)
‐ フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤1:明和化成株式会社製、MEH-7000(フェノール当量143g/Eq)
‐ フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤2:明和化成株式会社製、MEH-7500(フェノール当量97g/Eq)
‐ フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤3:明和化成株式会社製、MEHC-7851(フェノール当量210g/Eq)
‐ フェノール系水酸基を有するエポキシ樹脂硬化剤4:丸善石油化学株式会社製、マルカリンカーM S-1(フェノール当量120g/Eq)
‐ フェノール系水酸基を有しないエポキシ樹脂硬化剤(アミン系)1:和歌山精化工業株式会社製、BAPP(2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、活性水素基当量102g/Eq)
‐ フェノール系水酸基を有しないエポキシ樹脂硬化剤(アミン系)2:和歌山精化工業株式会社製、BAPS、活性水素基当量108g/Eq
‐ 芳香族ポリアミド樹脂(ポリマー):日本化薬株式会社製、BPAM-155(フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性芳香族ポリアミド樹脂)
‐ ポリイミド樹脂(ポリマー):荒川化学工業株式会社製、PIAD-301
‐ エポキシ樹脂硬化促進剤:日本曹達株式会社製、2P4MHZ
‐ 誘電体フィラー:BaTiO3、日本化学工業株式会社製、AKBT-S レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定される平均粒径D50=0.3μm
‐ 分散剤:チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製、KR-44
【0043】
表1に示される配合比(重量比)で上記樹脂ワニス用原料成分を秤量した。その後、シクロペンタノン溶剤を秤量し、樹脂ワニス用原料成分及びシクロペンタノンをフラスコに投入し、60℃で攪拌した。樹脂ワニスが透明であることを確認した後、樹脂ワニスを回収した。
【0044】
(2)フィラーとの混練
シクロペンタノン溶剤、誘電体フィラー及び分散剤をそれぞれ秤量した。秤量した溶剤、誘電体フィラー及び分散剤を分散機でスラリー化した。このスラリー化が確認できた後、樹脂ワニスを秤量し、分散機で誘電体フィラー含有スラリーとともに混練して、樹脂組成物を得た。
【0045】
(3)樹脂塗工
図1に示されるように、得られた樹脂組成物4を、銅箔2(三井金属鉱業株式会社製、厚さ18μm、表面粗さRzjis=0.5μm)に乾燥後の樹脂層の厚さが1.5μmとなるようにバーコータを用いて塗工し、その後130℃に加熱したオーブンにて3分間乾燥させ、樹脂を半硬化状態とした。こうして樹脂付銅箔6を得た。
【0046】
(4)プレス
図1に示されるように、2枚の樹脂付銅箔6を樹脂組成物が互いに向かい合うように積層し、圧力40kgf/cm
2、200℃で90分間の真空プレスを行い、樹脂組成物を硬化状態とした。こうして硬化された樹脂組成物を誘電体層として含み、誘電体層の厚さが3.0μmの銅張積層板8を得た。
【0047】
(5)回路形成及び評価
得られた銅張積層板8の片面にエッチングを施して各種評価用の回路10を形成し、以下の各種評価を行った。
【0048】
<評価1:剥離強度(回路密着性)>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して3mm幅の直線状の回路10を作製した後、オートグラフにて引き剥がし速度50mm/分で回路10を引き剥がし、その剥離強度を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.4.8に準拠して行った。結果は表1に示されるとおりであった。
【0049】
<評価2:静電容量>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路を作製した後、LCRメーター(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3532-50)にて周波数1kHzにおける静電容量を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.2に準拠して行った。結果は表1に示されるとおりであった。
【0050】
<評価3:耐電圧性>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路を作製した後、耐電圧試験機(Associated Research,Inc.製、HypotULTRA(R)III MODEL 7650)にて直流での絶縁破壊電圧を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.6.3に準拠して行った。結果は表1に示されるとおりであった。
【0051】