IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インベンテック ヨーロッパ アーベーの特許一覧

特許7412421排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム
<>
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図1a
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図1b
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図2
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図3
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図4a
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図4b
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図5
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図6a
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図6b
  • 特許-排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム 図6c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】排出デバイスを選択的に配置する機構を備えた有する糸のインライン処理のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   D06B 11/00 20060101AFI20240104BHJP
   D05B 67/00 20060101ALI20240104BHJP
   D05C 11/24 20060101ALI20240104BHJP
   B65H 71/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
D06B11/00 C
D05B67/00
D05C11/24
B65H71/00
D06B11/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021513847
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 SE2019050805
(87)【国際公開番号】W WO2020055302
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】1851094-1
(32)【優先日】2018-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】517441044
【氏名又は名称】カラーリール グループ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】エクリンド マルティン
(72)【発明者】
【氏名】スタベルク ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】レンナルトソン フレデリク
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/044222(WO,A1)
【文献】特開昭63-299930(JP,A)
【文献】特開平06-305129(JP,A)
【文献】特開2002-200379(JP,A)
【文献】特開昭54-100808(JP,A)
【文献】登録実用新案第3000390(JP,U)
【文献】特開昭63-218358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B、D05B、D05C、B65H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸消費デバイス(15)とともに使用するための糸(20)のインライン処理のためのシステム(10)であって、
作動時に1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸(20)に分配するように構成された少なくとも1つの排出デバイス(150)を備える処理ユニット(100)と、
一緒になって、機構(40)を形成するアクチュエータ(34)およびクランク(37)によって前記少なくとも1つの排出デバイス(150)に接続される、駆動ユニット(32)であって、前記アクチュエータ(34)は、湾曲部分(34a)および直線部分(34b)を有するコネクティングロッドを備え、前記湾曲部分(34a)は、前記駆動ユニット(32)の回転軸を収容するように構成される、駆動ユニット(32)と、を備え、
前記駆動ユニット(32)は、
前記少なくとも1つの排出デバイス(150)を、移動軸(A)に沿って配置されたアイドル位置(42)と動作位置(41)との間で移動させるように構成され、
前記移動軸(A)に沿った前記排出デバイス(150)の位置に応じて、前記駆動ユニット(32)と前記排出デバイス(150)との間に異なる伝達比を提供する前記機構(40)によって、前記少なくとも1つの排出デバイス(150)を移動させるように構成され、前記伝達比は、前記クランク(37)または前記駆動ユニット(32)の電気モータ(36)の回転運動と、前記排出デバイス(150)の線形運動との間の相関である、
システム(10)。
【請求項2】
前記機構(40)の前記伝達比は、前記排出デバイス(150)が前記動作位置(4)にあるときの方が、前記排出デバイス(150)が前記アイドル位置(42)と動作位置(41)との間にあるときよりも低い、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記クランク(37)は、前記駆動ユニット(32)の回転運動を前記排出デバイス(150)の線形運動に変換するように構成される、請求項1または2に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記駆動ユニット(32)の動作を制御するように構成された制御ユニット(190)をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記処理ユニット(100)は、前記駆動ユニット(32)の少なくとも1つの位置を決定するように構成された位置センサ(38)をさらに備え、前記制御ユニット(190)は、決定された前記位置に基づいて、前記駆動ユニット(32)の動作を制御するように構成される、請求項4に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記駆動ユニット(32)がモータ(36)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記モータ(36)がステップモータである、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記モータ(36)がDCモータである、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記処理ユニット(100)が、少なくとも2つの排出デバイス(150)および制御ユニット(190)を備え、各排出デバイス(150)が別個の駆動ユニット(32)に関連付けられ、前記制御ユニット(190)が、前記排出デバイス(150)および前記駆動ユニット(32)のそれぞれの選択的起動を制御するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項10】
各排出デバイス(150)が、少なくとも1つの糸(20)の長手方向の延長に対して異なる位置に配置された複数のノズル(152a~f)を備え、前記少なくとも1つの糸(20)が使用中に動いており、各ノズル(152a~f)は、作動時に前記少なくとも1つの糸(20)上に1つまたは複数のコーティング物質を分配するように構成される、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記ノズル(152a~f)がインクジェットノズルである、請求項10に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記コーティング物質が着色物質である、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項13】
糸消費デバイス(15)をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記糸消費デバイス(15)が、刺繍機、縫製機、編み機、織り機、タフティング機、またはそれらの任意の組合せである、請求項13に記載のシステム(10)。
【請求項15】
少なくとも1つの糸(20)のインライン処理のための方法であって、
作動時に、1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸に分配するように構成された少なくとも1つの排出デバイス(150)を備える処理ユニット(100)を提供するステップと、
駆動ユニット(32)を提供するステップであって前記駆動ユニット(32)は、一緒になって、機構(40)を形成するアクチュエータ(34)およびクランク(37)によって前記少なくとも1つの排出デバイス(150)に接続され、前記アクチュエータ(34)は、湾曲部分(34a)および直線部分(34b)を有するコネクティングロッドを備え、前記湾曲部分(34a)は、前記駆動ユニット(32)の回転軸を収容するように構成される、駆動ユニット(32)を提供するステップと、
を含み、
前記駆動ユニット(32)は、
前記少なくとも1つの排出デバイス(150)を、移動軸(A)に沿って配置されたアイドル位置(42)と動作位置(41)との間で移動させるように構成され、前記移動軸(A)に沿った前記排出デバイス(150)の位置に応じて、前記駆動ユニット(32)と排出デバイス(150)との間に異なる伝達比を提供する機構(40)によって、前記少なくとも1つの排出デバイス(150)を移動させるように構成され、前記伝達比は、前記クランク(37)または前記駆動ユニット(32)の電気モータ(36)の回転運動と、前記排出デバイス(150)の線形運動との間の相関である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸消費デバイス、したがって、システムの技術分野に関する。特に、本発明は、そのような糸消費デバイスに関連して使用される処理ユニットを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
刺繍機などの糸消費デバイスに、糸に特定の処理を提供するように設計されたインライン装置を提供することが提案されてきた。そのようなインライン装置は、例えば、糸を着色するために使用され、これにより、刺繍機を使用してマルチカラー刺繍を作成するときに、複数のカラーノズルおよびその制御が複数の事前に着色された糸の現在の使用を置き換えることができる。異なる色の糸が使用される従来技術のシステムでは、第一の指定された色を有する1つの糸が第一の縫い目セットに使用され、第二の指定された色を有する別の糸が他の縫い目セットに使用される。
【0003】
異なる色の複数の糸に対する要件の明らかな欠点を排除するために、本出願人は、特許文献1および特許文献2などの糸のインライン処理の技術に関するいくつかの特許出願を提出してきた。複数のノズルは、1つまたは複数のコーティング物質を糸に高精度で分配するために、糸と正確に整列させる必要がある。上述の文献の解決策は、着色品質の点で改善を提供し、糸消費デバイスの複雑さも軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/204687号パンフレット
【文献】国際公開第2016/204686号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糸のインライン着色の品質をさらに改善するために、例えば、コーティング物質を糸に分配する第一の状態および洗浄セッションを実行する第二の状態などの異なるタスクを実行するために、インライン装置を異なる動作状態に配置することができれば有利である。重要なことに、第一の状態に戻るとき、ノズルは糸と正確に整列されねばならない。なぜなら、動作位置の間に、糸へのコーティング物質の分配が行われるからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述の問題に対処し、従来技術の不利な点を克服する解決策を提供することであるより具体的には、本発明は、糸のインライン処理のためのシステムの排出デバイスが、駆動ユニットによって、動作位置および1つまたは複数のアイドル位置に選択的に配置されるように構成される解決策を提供する。
【0007】
1つまたは複数のアイドル位置は、例えば、保守位置、拭き取り位置、吐き出し位置などに対応し得る。好ましくは、システムは、関連する糸消費デバイスの動作とは独立して動作するように構成され、糸消費デバイスが作動している場合でも、排出デバイスをアイドル位置に配置することができるようになっている。
【0008】
第一の態様では、糸消費デバイスとともに使用するための糸のインライン処理のためのシステムが提供される。このシステムは、作動時に1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸に分配するように構成された少なくとも1つの排出デバイスを有する処理ユニットと、前記少なくとも1つの排出デバイスを、アイドル位置と動作位置との間で、アイドル位置から動作位置への運動中の排出デバイスのアイドル位置から動作位置への運動中に異なる伝達比を有するトランスミッションによって、移動させるように構成された駆動ユニットを備える
【0009】
一実施形態では、システムは、作動時に1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸に分配するように構成された少なくとも1つの排出デバイスを備える処理ユニットと、前記少なくとも1つの排出デバイスを、移動軸に沿って配置されたアイドル位置と動作位置との間で移動させるように構成された駆動ユニットとを備える。駆動ユニットは、移動軸に沿った排出デバイスの位置に応じて、駆動ユニットと排出デバイスとの間に異なる伝達比を提供する機構によって、前記少なくとも1つの排出デバイスを移動させるように構成される。
【0010】
一実施形態では、機構の伝達比は、排出デバイスが動作位置にあるときの方が、排出デバイスがアイドル位置と動作位置との間にあるときよりも低い。これにより、動作位置に近い動きの分解能が向上する。これは、排出デバイスを糸に整列させるための許容誤差が非常に厳しいので有利である。
【0011】
この機構は、本明細書の教示ではトランスミッションとも呼ばれ、同じことを意味するように読まれるべきである。トランスミッションは、駆動ユニットの回転運動を排出デバイスの線形運動に変換するように構成され得る。
【0012】
システムは、駆動ユニットの動作を制御するように構成された制御ユニットをさらに備え得る。
【0013】
一実施形態では、処理ユニットは、駆動ユニットの少なくとも1つの位置を決定するように構成された位置センサをさらに備え、制御ユニットは、決定された位置に基づいて、駆動ユニットの動作を制御するように構成される。
【0014】
機構は、排出デバイスに一端が接続され、駆動ユニットに接続されたクランクに第二の端部が接続されたアクチュエータを備え得、こうして、排出デバイスと駆動ユニットを動作可能に接続するロッドおよびクランク機構を形成する。
【0015】
アクチュエータは、湾曲部分および直線部分を有するコネクティングロッドを備え得、湾曲部分は、駆動ユニットの回転軸を収容するように構成される。アクチュエータのこの特定の形状は、回転運動がπラジアンの回転に対応し得るという点で有利である。
【0016】
前記伝達比は、排出デバイスがアイドル位置と動作位置との間にあるとき、最大の伝達比が達成されるように、クランクの位置に応じて余弦関数に比例し得る。
【0017】
アイドル位置および/または動作位置は、このような実施形態において、排出デバイスがアイドル位置と動作位置との間のほぼ中間にあるとき、クランクの角度位置から測定して、ラジアンπ±π/2近傍に位置し得る。
【0018】
駆動ユニットはモータを備えてもよく、モータは、ステップモータであっても、あるいはDCモータであってもよい。
【0019】
処理ユニットは、少なくとも2つの排出デバイスおよび制御ユニットを備え得、各排出デバイス別個の駆動ユニットに関連付けられ、制御ユニットが、排出デバイスおよび駆動ユニットのそれぞれの選択的起動を制御するように構成される。
【0020】
各排出デバイスは、少なくとも1つの糸の長手方向の延長に対して異なる位置に配置された複数のノズルを備え得、少なくとも1つの糸が使用中に動いており、各ノズルは、作動時に前記少なくとも1つの糸上に1つまたは複数のコーティング物質を分配するように構成される。
【0021】
ノズルは、好ましくは、インクジェットノズルであり得、コーティング物質は、好ましくは、着色物質である。
【0022】
システムは、刺繍機、縫製機、編み機、織り機、タフティング機、糸巻き機、またはそれらの任意の組合せのような糸消費デバイスをさらに備え得る。
【0023】
第二の態様では、少なくとも1つの糸のインライン処理のための方法が提供される。この方法は、i)作動時に、1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸に分配するように構成された少なくとも1つの排出デバイスを備える処理ユニットを提供するステップと、ii)駆動ユニットを提供するステップであって、駆動ユニットが、前記少なくとも1つの排出デバイスを、移動軸に沿って配置されたアイドル位置と動作位置との間で移動させるように構成される、ステップと、を含む。駆動ユニットは、移動軸に沿った排出デバイスの位置に応じて、駆動ユニットと排出デバイスとの間に異なる伝達比を提供する機構によって、前記少なくとも1つの排出デバイスを移動させるように構成される
【0024】
(定義)
この文脈において、「糸消費デバイス」とは、使用時に糸を消費する任意の装置である。例えば、刺繍機、織り機、縫製機、編み機、タフティング機、糸巻き機、または任意の他の糸消費装置であってもよく、これらは、表面処理もしくはコーティング、または染色のように糸を物質にさらすことを含むその他のプロセスから恩恵を受けることができる。
【0025】
この文脈において、「処理」とは、糸の性質を変更するように設計された任意のプロセスである。そのようなプロセスには、着色、湿潤、潤滑、洗浄、固定、加熱、硬化、染色などが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
この文脈において、「糸」とは、幅および高さ方向に薄く、本明細書に記載のシステムの任意のパーツの長手方向延在部よりも、またその幅および高さ寸法よりも極めて長い長手方向延在部を有する可撓性の細長い部材または基材である。典型的には、「糸」は複数のプライが一緒に撚られて構成され得る。したがって、「糸」という用語は、ガラス繊維、羊毛、綿、ポリマーのような合成材料、金属、ポリエステル、ビスコース、あるいは、例えば羊毛、綿、ポリマーまたは金属の混合物、またはこれらの任意の組合せなどの様々な異なる材料から製造された、ヤーン、ワイヤ、ストランド、フィラメントなどを含む。
本明細書において、「上流側」および/または「下流側」に関する言及は全て、糸消費デバイスの通常の動作中に、即ち、デバイス内を通常の動作方向に連続して移動する糸のような細長い基材を処理するように、デバイスが動作しているときの相対位置として解釈されるべきである。したがって、上流側の構成要素は、糸の特定部分が下流側の構成要素を通過する前に、上流側の構成要素を通過するように配置される。
【0027】
本発明の実施形態は、本発明の以下の説明で、本発明の概念をどのように実施することができるかについての非限定的な例を示す添付の図面を参照しながら、記載される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】一実施形態による糸のインライン処理のためのシステムの概略図である。
図1b】一実施形態による糸消費デバイスおよび処理ユニットを有するシステムの斜視図である。
図2】一実施形態によるシステムとともに使用するための処理ユニットの概略図である。
図3】処理ユニットの一部を形成する排出デバイスの概略図である。
図4a】一実施形態による排出デバイスの一部の概略上面図である。
図4b】一実施形態による排出デバイスの一部の概略上面図である。
図5】一実施形態による駆動ユニットを備えた処理ユニットの概略図である。
図6a図4の処理ユニットの概略図で、駆動ユニットが第一の位置にある。
図6b図4の処理ユニットの概略図で、駆動ユニットが中間位置にある。
図6c図4の処理ユニットの概略図で、駆動ユニットが第二の位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のアイデアは、糸消費デバイスと関連して使用するために、制御された方法でコーティング物質を糸に分配するためのシステムおよび方法を提供することである。図1aから始めて、糸のインライン処理のためのシステム10の概略図が示されている。システム10は、1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸に分配するための処理ユニット100を備える。システム10は、駆動ユニットをさらに備え、システム10は、少なくとも1つの糸消費デバイス15とともに使用されるように構成される。糸消費デバイス15は、例えば、1つまたは複数の刺繍機、織り機、縫製機、編み機、タフティング機、糸巻き機などの形態であり得る。これにより、システム10は、糸消費デバイス15および処理ユニット100を含む糸消費ユニットを形成する。
【0030】
糸消費デバイスは、いくつかの実施形態で、複数の糸を同時に消費するように構成され得ることに留意されたい。その結果、処理ユニット100は、1つまたは複数の糸を同時に処理するように構成され得る。
【0031】
以下からさらに理解されるように、全ての実施形態において、糸のインライン処理のためのシステムは、糸消費デバイスとともに使用される処理ユニット100と、処理ユニット100の少なくとも1つの排出デバイス150を移動させるための駆動ユニット32(例えば、図5を参照)とを必要とする。
【0032】
ここで図1bに目を向けると、糸消費デバイス15は、刺繍機15として例示され、ここでは、処理ユニット100備えたシングルヘッド刺繍機として示されている。刺繍機は、刺繍される布を運ぶ可動ステージ2bを備える。動作中、可動ステージ2bは、その位置をX方向およびY方向(すなわち、この特定の例では、水平面)に急速に変化させるように制御される。
【0033】
処理ユニット100は、従来の刺繍機に必要とされるように、独特に事前に着色された糸を提供することなく、刺繍機15が作動することを可能にする。代わりに、処理ユニット100は、着色された刺繍を製造することができるように、所定の着色パターンに従って糸20のインライン着色を提供する。したがって、処理ユニット100は、従来技術のシステムに存在するように、個々の糸リールを置き換える。しかしながら、刺繍機15は、また、上記のようなインライン着色された糸と組み合わせて、従来技術による事前に着色された糸で動作することができる可能性があることに留意されたい。
【0034】
図1bに示されるように、処理ユニット100と刺繍機15との間の唯一の接続は、糸20であり、また電気的接続(図示せず)である。したがって、処理ユニット100は、好ましくは、可動ステージ2bとの機械的接続を有さないか、ほとんど有さないスタンドアロンユニットとして提供される。
【0035】
処理ユニット100の様々な構成要素を図2に示す。図2に見られるように、構成要素の大部分は、ハウジング105の内部に配置される。糸リール120は、好ましくは、未処理(無着色など)の糸、または様々な他の色へのインライン着色および/または着色効果に適した他の任意の標準色の糸を運ぶ。
【0036】
糸リール120のすぐ下流に、処理ユニット100を介して糸を前方に引っ張るように構成された糸フィーダ130を配置することができる。糸フィーダ130を通過した後、糸20は、糸案内デバイス140と係合し得る。糸案内デバイス140は、糸20が少なくとも1つの排出デバイス150の一部を形成する1つまたは複数の処理ノズルと整列することを確実にする。排出デバイス150は、着色物質などの処理物質が排出デバイス150を通過する際に、その物質を糸20上に排出するように構成されている。このため、ノズルは、図3a~cに関連してさらに説明されるように、好ましくは、糸20の長手方向に配置される。以下でさらに説明するように、排出デバイス150は、駆動ユニット32によって移動可能である(例えば、図5を参照)。
【0037】
排出デバイス150の下流には、別の糸案内デバイス160が設けられている。第二の糸案内デバイス160は、排出デバイス150に沿って移動する間、糸20の位置が正しいように、第一の糸案内デバイス140と協働している。
【0038】
次に、糸20は、処理物質を糸20に固定するために提供される1つまたは複数の固定ユニット170を通過するように前方に供給される。
【0039】
ハウジング105を出る前に、糸20は、超音波浴などの洗浄ユニット180を通過し、そこで糸20から不要な粒子を除去する。
【0040】
処理ユニット100は、ハウジング105の内部に配置された潤滑ユニット185をさらに備えてもよい。追加の糸バッファおよび糸フィーダ(図示せず)も、また、糸経路の様々な位置に配置された処理ユニット100に含まれることもある。
【0041】
糸20は、好ましくは、開口部または同様のものを通って処理ユニット100を出て、それによって、糸20は、図1aおよび図1bに示されるように、刺繍機15などの関連する糸消費デバイスに送られる。
【0042】
パワーエレクトロニクス、通信モジュール、メモリなどの関連する電子機器を備えた制御ユニット190が提供される。制御ユニット190は、排出デバイス150に接続される。制御ユニット190は、また、処理ユニット100の1つまたは複数の構成要素から制御信号、例えば、特定の制御をトリガするための制御信号、または、例えば、刺繍機15による糸消費に関連する他の情報を受信するように構成され得る。最も重要なことに、制御ユニット190は、少なくとも1つの排出デバイス150にも、それに関連する駆動ユニット32にも接続されている。
【0043】
制御ユニット190は、任意の市販のCPU(「中央処理装置」)、DSP(「デジタル信号プロセッサ」)または任意の他の電子プログラマブルロジックデバイス、あるいはそのようなプロセッサまたは他の電子プログラマブルロジックデバイスの組合せによって実装され得る。制御ユニット190は、例えば、そのようなプロセッサによって実行されるコンピュータ可読記憶媒体(ディスク、メモリなど)に記憶され得る汎用または専用プロセッサにおいて実行可能なコンピュータプログラム命令を使用することによって、ハードウェア機能を可能にする命令を使用して実装され得る。
【0044】
図3には、上記のように処理ユニット100の一部を形成する排出デバイス150が示されている。使用中の糸20の移動方向は、図3に実線の矢印で示されている。すぐに詳細に説明するように、排出デバイス150は、使用中に処理ユニット100を通過する糸20に沿って、異なる長手方向位置(例えば、距離d1だけ離間)に配置された複数のノズル152a~fを備える。
【0045】
各ノズル152a~fは、ノズルが作動したときに、インクなどのコーティング物質を糸20に分配するように配置される。コーティング物質は、糸20がその長手方向軸の周りでねじれるとき、例えば、糸20の異なる円周方向位置で、糸20によって吸収される。コーティング物質が隣接して分配された2つの液滴の相対位置は、液滴が重なるように選択され得る。
【0046】
処理ユニット100は、1つまたは複数の排出デバイス150を備える。各排出デバイス150は、好ましくは、一連のインクジェットプリントヘッド151a~dとして形成され、各プリントヘッド151a~dは、1つまたは複数のノズルアレイを有する。各ノズルアレイは、通常、数百または数千のノズルを備える。説明のために、1つのプリントヘッド151a~dについて6つのノズル152a~fのみが示されている。しかしながら、各ノズルアレイは、それぞれ数百または数千のノズル152を備えていてもよいことを理解されたい。一例として、各プリントヘッド151a~dは、単一の色に関連付けられ得る。示されている例では、排出デバイス150は、4つのプリントヘッド151a~dを有し、各プリントヘッド151a~dは、CMYK規格に従って特定の色に関連付けられている。しかしながら、他の着色モデルを使用することもできる。
【0047】
処理ユニット100の正確な構成は、変化し得る。例えば、処理ユニット100は、複数のプリントヘッド151a~dを有する単一の排出デバイス150を備えている。次いで、各プリントヘッド151a~dは、複数のノズル152a~fを備えている。
【0048】
別の実施形態では、処理ユニット100は、直列または並列のいずれかに配置されたいくつかの排出デバイス150を備えている。次いで、各排出デバイス150は、複数のプリントヘッド151a~dを備えている。直列に配置された場合、上流の排出デバイス150は、特定の色標準の1つまたは複数の色に関連付けられたプリントヘッド151a~dを有し得、一方、下流の排出デバイス150は、同じ色標準の他の色に関連付けられたプリントヘッド151a~dを有する。並列に配置された場合、各排出デバイス150は、特定の色標準の全ての色に関連付けられるが、異なる糸20に関連付けられたプリントヘッド151a~dを有し得る。そのような実施形態では、2つの別個の糸20を同時にかつ並列に扱うことができる。当然、並列/直列構成の組合せも可能である。
【0049】
さらに別の実施形態では、排出デバイス150は、単一のプリントヘッド151a~dのみを有する。その場合、糸20の動的着色は、処理ユニット100のいくつかの排出デバイス150を必要とするであろう。
【0050】
各ノズル152a~fは、原色がシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックであるCMYKカラーモデルに従った色を有するコーティング物質を分配することができる。したがって、特定の長さの糸20の総着色物質がノズル152a~fによって分配される着色物質の混合物となるように、ノズル152a~fを作動することによって、多種多様な色を糸に分配することが可能であり得る。先に説明したように、これは、好ましくは、いくつかのプリントヘッド151a~dを直列に配置することによって達成され、それによって、特定のプリントヘッド151a~dのノズル152a~fは、単色専用である。
【0051】
別の実施形態では、各ノズル152a~fは、CMYKカラーモデルの2つ以上の原色の混合物を含む色を有するコーティング物質を分配する。
【0052】
制御ユニット190は、コーティング物質が処理ユニット100を通過するとき、特に排出デバイス150を通過するときに、コーティング物質が糸20に排出されるように、ノズル152a~fの作動を制御するように構成される。このような構成により、糸20の非常に正確な着色が可能であり、処理ユニット100によって提供される着色によって、例えば、視覚的に非常に洗練された高度な刺繍パターンを提供することができる。
【0053】
着色動作の場合、制御ユニット190は、所望の色および/または着色効果を指定する1つまたは複数の入力信号を受信する。色入力は、好ましくは、正確な色と、その特定の色の糸20の長手方向の開始位置および停止位置とに関する情報を含む。長手方向の開始位置と停止位置は、糸速度が決定された場合、特定の時間値で、あるいは特定の縫い目数またはそれに関連する任意の値で表すことができる。
【0054】
図4a~図4bは、プリントヘッド151aのそれぞれの上面図を示している。プリントヘッド151aは、ノズル152が配置される平面を有する。上述のように、単一のプリントヘッドのノズル152の総数は、数センチメートルのサイズのプリントヘッド151a上に提供される場合、最大で数千になり得る。示されている例では、はるかに少ない数のノズル152が示されている。ノズル152は、1つまたは複数のノズルアレイ153に分配することができる。図4aでは、ノズル152は、2つの平行なアレイ153に分配される。アレイ153は、1つのアレイ153のノズル152が他のアレイ153のノズル152に隣接して配置されるように、互いに整列する。
【0055】
図4bは同様の例を示しているが、2つのアレイ153の間に長手方向のオフセットがある。
【0056】
例えば、コーティング物質を糸に分配する第一の状態および洗浄セッション、あるいは他の保守またはアイドリングを実行する第二の状態などの異なるタスクを実行するために、排出デバイス150を異なる動作状態に配置することが可能であるべきである。好ましい実施形態では、排出デバイス150は、動作状態に対応する1つまたは複数の印刷状態に配置することができる。1つのノズルアレイ153が糸20と整列する第一の印刷状態、別のノズルアレイ153が糸20と整列する第二の印刷状態、以下同様に続く。排出デバイス150は、また、以下のアイドル状態、すなわち、ホーム位置、キャッピング位置、拭き取り位置(必ずしも位置ではなく、代わりに距離)、および吐き出し位置のいずれかに配置することができる。排出デバイス150の正しい位置決めは非常に重要であり、特に、糸へのコーティング物質の分配が行われる動作位置にある間に、にノズルが糸と正確に整列するので、駆動ユニット32の正確な制御が提供される。
【0057】
図5は、処理ユニット100の駆動ユニット32を示している。駆動ユニット32は、排出デバイス150を動作位置41(図6a)とアイドル位置42(図6c)との間で移動させるように構成される。これは、すぐに詳細に説明されるように、アイドル位置42と動作位置41との間の運動中に異なる伝達比を有するトランスミッション40または機構40によって達成される。
【0058】
異なる位置41、42は、好ましくは、駆動ユニット32の終了位置の近くに配置される。これは、較正の目的で、いくらかの移動が依然として可能であることを意味する。
【0059】
駆動ユニット32は、排出デバイス150を、少なくとも1つの糸20に対して第一の位置41と第二の位置42との間で移動させるように構成される。第一の位置41と第二の位置42は、好ましくは、同じ軸に沿って配置される。軸は、排出デバイスの移動軸Aであり得る。一実施形態では、排出デバイス150の移動軸Aは、糸20の移動に垂直である。
【0060】
第一の位置41は、1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸20に分配するように排出デバイス150が構成される1つまたは複数の動作位置であり得る。一実施形態では、この位置は、ノズル152a~fが少なくとも1つの糸20の上に整列する場合に対応する。
【0061】
第二の位置42は、1つまたは複数のコーティング物質を少なくとも1つの糸20にもはや分配しないように排出デバイス150が構成される1つまたは複数のアイドル位置であり得る。一実施形態では、この位置は、輸送中または保管中などに、空気からノズルを密閉するために、ノズル152a~fに蓋をするときに、使用される。アイドル位置は、輸送目的で機械的にロックすることができる。排出デバイス150を糸20から遠ざけることが望まれ得る他の状況には、洗浄、サービス、保守などが含まれる。
【0062】
図5に見られるように、駆動ユニット32は、アクチュエータ34およびクランク37によって排出デバイス150に接続され得る。アクチュエータ34およびクランク37は、一緒になって、機構40、またはトランスミッション40を形成する。クランク37はレバーアームの形状であり、一端が駆動ユニット32の電気モータ36の回転軸R1に接続され、他端が回転軸R2でアクチュエータ34に枢動可能に接続されている。アクチュエータ34は反対側の端部を有し、これは、次いで、回転軸R3で排出デバイス150に枢動可能に接続される。図5に示される実施形態では、伝達比は、クランク37または駆動ユニット32の電気モータ36の回転運動と、排出デバイス150の線形運動との間の相関として見ることができる。伝達比は、排出デバイス150の出力線形並進に対する入力回転の比である。したがって、伝達比が低いことは、駆動ユニット32またはクランク37からの特定の回転運動入力が、排出デバイス150の小さな線形運動をもたらすことを意味し、伝達比が高い場合は、逆になる。駆動ユニット32/クランク37の回転運動と排出デバイス150の線形運動との関係については、以下でさらに詳しく説明する。
【0063】
糸処理ユニット100は、機構40で起こり得るたるみを低減し、排出デバイス150の線形位置制御の精度を改善するために、排出デバイス150をその動作位置41に向けてバイアスするように配置されたばね部材(図示せず)をさらに備え得る。
【0064】
アクチュエータ34は、モータ36のクランク37を排出デバイス150に接続する。アクチュエータ34は、湾曲部分34aおよび直線部分34bを有するコネクティングロッドを備えることができる。湾曲部分34aはクランク37に接続し、直線部分34bは排出デバイス150に接続する。湾曲部分34aは、図6cに示すようにアクチュエータ34がアイドル位置42に従って配置されるとき、アクチュエータ34は、駆動ユニット32の回転軸を収容することが可能になる。
【0065】
機構40は、前述のように、クランク37の回転運動を排出デバイス150の線形運動に変換するように構成されている。
【0066】
機構40は、アイドル位置41と動作位置42との間の運動中の伝達比が、これらの位置の間よりも終了位置の近くで低くなるように設計されている。これは、非常に正確な動きが有利であるため、排出デバイス150を糸20に整列させるときの動きの精度が高くなる。これにより、運動の解像度の向上が実現する。モータ36は、例えば、ステップモータまたはDCモータであり得る。モータ36がDCモータである実施形態では、駆動ユニット32が位置センサ38をさらに備える場合、有利であり得る。位置センサ38は、駆動ユニット32の位置を決定するように構成される。位置センサ38は、好ましくは、制御ユニット190と通信する。使用されるモータ36のタイプに関係なく、位置センサ38は、システム10の精度を改善するために、特に、排出デバイス150の位置を決定するために、駆動ユニット32の位置を決定するように構成され得る。例えば、モータの特定の角度位置は、排出デバイス150の特定の線形位置と相関させることができる。
【0067】
アイドル位置41から動作位置42への運動中の伝達比は、好ましくは非線形であり、以下のパラメータ、すなわち、クランク37およびアクチュエータ34の位置、それらのそれぞれの寸法、それぞれのピボットジョイントR1、R2、R3の位置、および駆動ユニット32のモータ36の現在の回転位置に依存する。
【0068】
モータ36の動作は、制御ユニット190によって制御することができる。通常、小さな動きの間に発生するスリップスティックを回避するために、制御ユニット190は、常に大きな動きを使用するように構成され得る。例えば、1ステップ進む必要がある場合は、10ステップ戻り、11ステップ進む。このタイプの動きには、モータ36が迅速かつ正確に動くことができることが必要である。
【0069】
移動される構成要素、すなわち、排出デバイス150は、好ましくは、糸20の移動に垂直な移動軸Aに沿って移動可能である。この移動を案内するために、駆動ユニット32は、案内部材39をさらに備え得る。案内部材39は、例えば、ガイドレールまたは溝であり得る。第一の位置41および/または第二の位置42は、移動軸Aの最端部の近くに配置することができる。
【0070】
図6a~cは、駆動ユニット32のアクチュエータ34の動きを示している。機構40の設計および機構40によって強化されたモータ36の回転運動は、モータ36から移動される構成要素への特定の伝達比特性をモータらす。
【0071】
一実施形態では、伝達比は非線形に変化している。伝達比は、例えば、クランク37の位置に応じて、ラジアンπ±π/2の間の余弦曲線にほぼ従うことができ、第一の位置41および/または第二の位置42は、ラジアンπ±π/2の近くに位置する。これは、図5および図6に示される機構40に本質的に当てはまり、排出機構150、したがってクランク37がその2つの端部位置の中間またはその近くにあるとき、伝達比が最大になり、各終了位置に向かって上記で定義された余弦曲線に沿って小さくなり、最小になる。第一の位置41および/または第二の位置42は、機構40のリーチの終了位置の近くに配置され、したがって、特に第一の位置41および/または第二の位置42において、排出機構の正確な制御が可能になる。
【0072】
排出機構150の線形並進位置は、おおよそx=r cosα+lによって与えられ、ここで、xはR1からR3までの距離で、rはR1からR2までの距離で、αは図5に示す位置から測定されたクランク37の角度で、lはR2からR3までの距離である。排出機構150がこれらの2つの位置41、42の間を移動するとき、排出機構150と同じモータの回転角に対して精度が高くなる。これは、クランク37の動きにより、排出機構150が位置間で加速するためである。しかしながら、半周(半回転)に近づくと、精度が向上する。この位置では、導関数がゼロである余弦曲線の最上部にあると見なすことができる。したがって、目的は、排出機構150が半周の終わりに近いか、またはそこのホールウェー(hallway)(1/4周)にあるかに応じて異なる精度を得ることである。したがって、伝達比は非線形である。
【0073】
図6aでは、排出機構150は、位置ラジアン0πにあると見ることができ、一方、図6cでは、位置は、ラジアン1πにあると見ることができる。半回転とは、排出機構150が、モータが提供する角度(回転)に応じて異なる距離を移動することを意味する。目的は、排出機構150上で、終了位置、すなわち、第一の位置41および第二の位置42での動きをできるだけ少なくすることである。
【0074】
図6aでは、排出デバイス150は、その動作位置41に配置され、そのアイドル位置42に向かって移動されるべきである。この最初の移動中、クランク37は、トランスミッション40が非常に低い伝達比を有するような角度にある。アクチュエータ34の特定の角運動は、排出デバイス150の非常に小さな線形運動に対応する。クランク37がさらに回転すると、伝達比が増加し、モータ36は、排出デバイス150が移動軸Aに沿って遠くに移動するために小さな回転のみを必要とする。図6bでは、排出デバイス150は、第一の位置41から離れて移動しており、図6cでは、排出デバイス150は、第二の位置42の近くにある。この極端な位置では、クランク37は、トランスミッション40が低い伝達比を有するような角度にある。こうして、第一の位置41と第二の位置42の近くで高精度を達成しながら、それらの間を迅速に移動できる、効率的で安価で簡単な方法が導かれる。
【0075】
上記を考慮して、本発明は、糸のインライン着色で著しい利点を提供する。例えば、処理ユニット100の各色は、それ自体の駆動ユニット32、およびそれ自体の動きに関連付けることができる。これにより、洗浄プロセスにおいて、特定の色の排出デバイスを、他の色をインライン着色に使用している間に、洗浄することが可能になる。これにより、サービス/保守/洗浄の間の時間を増やすことができる。別の実施形態では、動作位置とアイドル位置に交互に配置することができる2セットの原色を有することも可能である。こうして、中断が不要になる。さらに別の利点は、糸の非常に長い部分を単色で着色する場合であり、それにより、未使用の排出デバイスをアイドル位置に置き、再び必要になるまでキャップを付けることができる。
【0076】
本発明は、特定の実施形態を参照して上で説明されてきたが、本明細書に記載の特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0077】
特許請求の範囲において、用語「備える/備えている」は、他の要素またはステップの存在を除外しない。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれることもあるが、これらは、おそらく有利なように組み合わされてよく、また異なる請求項へに含めることは、特徴の組合せが実現可能でないこと、および/または有利でないことを意味するものではない。さらに、単一の参照は、複数を除外しない。用語「1つの(a、an)」、「第一の」、「第二の」などは、複数を排除しない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確にする例として設けられ、いかなる形であれ、特許請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c