(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークによる負荷予測方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06N 3/08 20230101AFI20240104BHJP
【FI】
G06N3/08
(21)【出願番号】P 2021514399
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2019107945
(87)【国際公開番号】W WO2020082973
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】201811227348.9
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521101789
【氏名又は名称】新智数字科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ENNEW DIGITAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 105, 1/F, Building 1, 0388 Qiu, Huaxiang Road Economic and Technological Development Zone Langfang, Hebei 065001, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】黄 信
(72)【発明者】
【氏名】劉 勝偉
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103729685(CN,A)
【文献】RAZA, M. Q. et al.,"A review on short term load forecasting using hybrid neural network techniques",2012 IEEE International Conference on Power and Energy (PECon) [online],IEEE,2012年12月,p. 846-851,[2023年08月22日検索],インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/6450336>,Electronic ISBN:978-1-4673-5019-8,DOI: 10.1109/PECon.2012.6450336
【文献】LU, Ning et al.,"Particle Swarm Optimization-Based RBF Neural Network Load Forecasting Model",2009 Asia-Pacific Power and Energy Engineering Conference [online],IEEE,2009年03月,[2023年08月22日検索],インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/4918588>,Electronic ISSN: 2157-4847,DOI: 10.1109/APPEEC.2009.4918588
【文献】花田一磨,"ラジアル基底関数ネットワークを用いた八戸工業大学の毎時電力需要予測",電気学会全国大会講演論文集,2010年03月05日,Vol. 6,p. 70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/02- 3/10
G06N 20/00-99/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークによる負荷予測方法において、
予測すべき時間帯を受信するステップと、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するステップであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFであるステップと、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測するステップと、
を含むことを特徴とするニューラルネットワークによる負荷予測方法。
【請求項2】
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力する前に、前記方法は、
第三者から前記ニューラルネットワークモデルを取得するステップと、
サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得するステップは、
初期モデルのトポロジーを決定するステップであって、前記トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含むステップと、
前記初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るステップであって、前記パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子であるステップと、
初期粒子群を復号化し、前記初期モデルの初期パラメータを得るステップと、
前記初期パラメータを前記初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るステップと、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するステップと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するステップは、
トレーニングサンプルとテストサンプルをそれぞれ前記RBFネットワークモデルに入力し、テスト値と期待値を得るステップと、
予測値と前記期待値とからなる誤差行列のノルムを適応度値として選択するステップと、
群れ内の粒子を、適応度値を用いて更新するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記適応度値を用いて前記群れ内の粒子を更新するステップは、
群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップと、
前記適応度値を用いて群れ中の粒子のPbestを更新し、前記適応度値を用いて群れ中の粒子のGbestを更新するステップと、
群れ中の粒子に対して変異操作を行い、新しい粒子の適応度値が古い粒子よりも良い場合に、粒子を更新するステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップは、
下記の式により、群れ中の粒子の速度及び位置を反復更新するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
d= 1,2,…D, i=1,2,…n, kは現在の反復回数であり、V
idは粒子の速度であり、c1、c2は非負の定数で、加速度係数であり、r1、r2は[0、1]に分布する乱数である。)
【請求項7】
ニューラルネットワークによる負荷予測装置であって、
予測すべき時間帯を受信する受信モジュールと、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するものであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFである入力モジュールと、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測する予測モジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測ためのニューラルネットワークモデルに前記入力
モジュールで入力する前に、初期モデルのトポロジーを決定するためのものであって、前記トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含む決定モジュールと、
前記初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るためのものであって、前記パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子である符号化モジュールと、
初期粒子群を復号化し、前記初期モデルの初期パラメータを得るための復号化モジュールと、
前記初期パラメータを前記初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るための割当モジュールと、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するための最適化モジュールと、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するように設けられるコンピュータプログラムが記憶されることを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
メモリとプロセッサとを含む電子装置であって、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、前記プロセッサは、前記請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するように、前記コンピュータプログラムを実行するように設けられることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、特に、ニューラルネットワークによる負荷予測方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術では、エネルギー(例えば蒸気)の供給需要家は工業、商業、住民、事務などに分けられ、異なる需要家の蒸気負荷、負荷レベル、負荷の特徴がすべて異なる。負荷予測の正確性は、スケジューリングの最適化、運用戦略に関わる。エネルギー予測を事前に行うことで、ユーザーの実ユーザーを保証するとともに、エネルギーの無駄を減らすことができる。
【0003】
従来技術において、負荷予測の方法は多く、例えば指数平滑化、Arima、ニューラルネットワークなどであるが、単一の負荷予測アルゴリズムは予測の正確性がよくなく、予測の偏差が大きく、後期のスケジューリングの最適化に不利である。
【0004】
上記のような従来技術の問題について、有効な解決策は見出されていないのが現状である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例はニューラルネットワークによる負荷予測方法及び装置を提供する。
【0006】
本発明の一実施例によれば、ニューラルネットワークによる負荷予測方法を提供し、
予測すべき時間帯を受信するステップと、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するステップであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFであるステップと、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測するステップと、
を含む。
【0007】
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力する前に、前記方法は、
第三者から前記ニューラルネットワークモデルを取得するステップと、
サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得するステップと、をさらに含んでもよい。
【0008】
サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得するステップは、
初期モデルのトポロジーを決定するステップであって、前記トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含むステップと、
前記初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るステップであって、前記パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子であるステップと、
初期粒子群を復号化し、前記初期モデルの初期パラメータを得るステップと、
前記初期パラメータを前記初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るステップと、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するステップと、を含んでもよい。
【0009】
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するステップは、
トレーニングサンプルとテストサンプルをそれぞれ前記RBFネットワークモデルに入力し、テスト値と期待値を得るステップと、
前記予測値と前記期待値とからなる誤差行列のノルムを適応度値として選択するステップと、
群れ内の粒子を、適応度値を用いて更新するステップと、を含んでもよい。
【0010】
前記適応度値を用いて前記群れ内の粒子を更新するステップは、
群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップと、
前記適応度値を用いて群れ中の粒子のPbestを更新し、前記適応度値を用いて群れ中の粒子のGbestを更新するステップと、
群れ中の粒子に対して変異操作を行い、新しい粒子の適応度値が古い粒子よりも良い場合に、粒子を更新するステップと、を含んでもよい。
【0011】
群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップは、
下記の式により、群れ中の粒子の速度及び位置を反復更新するステップを含んでもよい。
d= 1,2,…D, i=1,2,…n, kは現在の反復回数であり、V
idは粒子の速度であり、c1、c2は非負の定数で、加速度係数であり、r1、r2は[0、1]に分布する乱数である。
【0012】
本発明の他の実施例によれば、ニューラルネットワークによる負荷予測装置を提供し、
予測すべき時間帯を受信する受信モジュールと、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するものであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFである入力モジュールと、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測する予測モジュールと、を含む。
【0013】
前記装置は、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測ためのニューラルネットワークモデルに前記入力モジュールで入力する前に、初期モデルのトポロジーを決定するためのものであって、前記トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含む決定モジュールと、
前記初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るためのものであって、前記パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子である符号化モジュールと、
初期粒子群を復号化し、前記初期モデルの初期パラメータを得るための復号化モジュールと、
前記初期パラメータを前記初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るための割当モジュールと、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するための最適化モジュールと、をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の他の実施例によれば、運転時に上記方法実施例のいずれかの一項におけるステップを実行するように設けられるコンピュータプログラムが記憶される記憶媒体をさらに提供する。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、メモリとプロセッサとを含む電子装置をさらに提供し、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、前記プロセッサは、上記方法実施例のいずれかの一項におけるステップを実行するように、前記コンピュータプログラムを実行するように設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ得られたラジアルベースニューラルネットワークを用いてエネルギー負荷値を予測し、ハイブリッド粒子群やラジアルベースニューラルネットワークの汎化能力が強く、ネットワーク近似精度が高いなどの利点を取り入れることで、ニューラルネットワークモデルの最適な初期重み及びバイアスを最適化し、従来技術において単一の負荷予測アルゴリズムを採用してエネルギー負荷を予測する際の精度が低いという技術問題を解決し、予測偏差を縮小し、エネルギー負荷を予測する精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで説明される図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本願の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態およびその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不当に限定するものを構成することではない。図面において、
【
図1】本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測ネットワーク端末のハードウェア構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方案を当業者により良く理解させるために、以下、本発明の実施例における添付図面と合わせて、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は、単に本発明の一部の実施例に過ぎなく、全ての実施例ではない。本発明の実施例により、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる他の全ての実施例は、ともに本発明の範囲に属するものとする。
【0019】
なお、本発明の明細書及び特許請求の範囲並びに上記図面中の「第一」、「第二」等の用語は、類似のものを区別するためのものであり、特定の順序又は前後の順序を記載するために用いられる必要がない。このように使用されるデータは、ここで説明される本発明の実施例が、ここで図示または説明されるもの以外の順序で実施され得るように、適宜に交換可能であることを理解されたい。さらに、用語「含む」および「有する」、ならびにそれらの任意の変形は、排他的でない包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は装置は、必ずしも明確に列挙されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、むしろ、明確に記載されていないもの、またはこれらのプロセス、方法、製品や装置に固有の他のステップまたはユニットを含むことができる。
【0020】
実施例1
本出願の実施例1によって提供される方法実施例は、サーバ、ネットワーク端末、コンピュータ端末、または同様の演算装置において実行されてもよい。
図1は、ネットワーク端末上で稼働する例として、本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測ネットワーク端末のハードウェア構成ブロック図である。
図1に示すように、ネットワーク端末10は、1つ以上(
図1で1つのみ図示)のプロセッサ102(プロセッサ102は、マイクロプロセッサMCUまたはプログラマブル論理デバイスFPGAなどの処理装置を含むことができるが、これらに限定されない)と、データを格納するためのメモリ104とを含んでもよい。あるいは、上記ネットワーク端末は、通信機能のための伝送装置106および入出力装置108をさらに含むことができる。
図1に示す構成は単なる例示であり、上述ネットワーク端末の構成を限定するものではないことは当業者に理解される。例えば、ネットワーク端末10は、
図1に示す構成よりも多くまたは少ない部材を含んでもよいし、
図1に示す構成とは異なる構成を有してもよい。
【0021】
メモリ104は、コンピュータプログラムを格納するために用いられ、例えば、本発明の実施例におけるニューラルネットワークによる負荷予測方法に対応するコンピュータプログラムのようなアプリケーションのソフトウェアプログラム及びモジュール等であり、プロセッサ102は、メモリ104に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実行する。メモリ104は、高速ランダムメモリを含んでもよいし、1つ以上の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、または他の不揮発性固体メモリなどの不揮発性メモリを含んでもよい。いくつかの例では、メモリ104は、プロセッサ102に対して遠隔的に設置されたメモリをさらに含むことができ、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してネットワーク端末10に接続されることができる、。上記ネットワークの例としては、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネット、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
伝送装置106は、ネットワークを介してデータの送受信を行うために用いられる。上述ネットワークの具体例としては、ネットワーク端末10の通信プロバイダによって提供される無線ネットワークを含んでもよい。一例では、伝送装置106は、基地局を介して他のネットワークデバイスと接続されることでインターネットと通信可能なネットワークアダプタ(Network Interface Controller,NICと略称する)を含む。一例では、伝送装置106は、無線でインターネットと通信するためのラジオ周波数(Radio Frequency,RFと略称する)モジュールであってもよい。
【0023】
本実施例では、ニューラルネットワークによる負荷予測方法を提供し、
図2は、本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測方法のフローチャートである。
図2に示すように、この流れは、
予測すべき時間帯を受信するステッS202プと、
時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するステップであって、ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBF(Radial Basis Function,RBF)であるステップS204と、
ニューラルネットワークモデルを用いて、時間帯におけるエネルギー負荷値を予測するステップS206と、を含む。
【0024】
以上の手順により、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ得られたラジアルベースニューラルネットワークを採用してエネルギー負荷値を予測し、ハイブリッド粒子群やラジアルベースニューラルネットワークの汎化能力が強く、ネットワーク近似精度が高いなどの利点を取り入れることで、ニューラルネットワークモデルの最適な初期重み及びバイアスを最適化し、従来技術において単一の負荷予測アルゴリズムを採用してエネルギー負荷を予測する際の精度が低いという技術問題を解決し、予測偏差を縮小し、エネルギー負荷を予測する精度を向上させる。
【0025】
上記ステップの実行主体は、データ処理装置、サーバ、端末等であってもよく、具体的には、プロセッサ、アルゴリズムモジュール等であってもよいが、これらに限定されない。
【0026】
本実施例の適用シーンとしては、エネルギー予測、流量予測等の人工知能のシーンに適用することができ、エネルギーは具体的に、熱エネルギーであってもよいし、水、電気、ガス等の消耗性エネルギーであってもよい。本実施例のモデルは、以下のように想定される。
【0027】
天気や温度、発停状態などの負荷への影響を考慮せず、
負荷データは時系列、変数1は時間(入力)、変数2は負荷値(出力)である。
【0028】
本実施例では、時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力する前に、このニューラルネットモデルを設置する必要があり、例えば、サプライヤーから購入するように、第三者からニューラルネットワークモデルを取得すること、サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得することと、を含む。
【0029】
本実施例の他の実施形態では、サンプルデータを用いてトレーニングされ、ニューラルネットワークモデルを取得するステップは、
初期モデルのトポロジーを決定するステップであって、トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含むステップS11と、
初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るステップであって、パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子であるステップS12と、
初期粒子群を復号化し、初期モデルの初期パラメータを得るステップS13と、
初期パラメータを初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るステップS14(この際のRBFネットワークモデルは初級のネットワークモデルで、さらにトレーニング及び最適化が行われることができる)と、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いてRBFネットワークモデルを最適化するステップS15と、を含む。まずトレーニングサンプルを用いてRBFネットワークモデルをトレーニングしてから、テストサンプルを用いてRBFネットワークモデルをテストする。
【0030】
ニューラルネットワークのアルゴリズムの重みとバイアスは、[-0.5,0.5]区間の乱数をランダムに初期化することである。このような初期化パラメータは、ネットワークトレーニングに与える影響が大きく、これらのパラメータを如何に適当かつ正確に取得または設定するのは、本実施例の一実施形態である。本実施例ではハイブリッド粒子群とラジアルベースニューラルネットワークを導入することにより、汎化能力が強く、ネットワーク近似精度が高いなどの利点を有し、それによって最適な初期重みとバイアスを最適化する。
【0031】
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いてRBFネットワークモデルを最適化するステップは、トレーニングサンプルとテストサンプルをそれぞれRBFネットワークモデルに入力し、テスト値と期待値を得るステップと、予測値と期待値とからなる誤差行列のノルムを適応度値として選択するステップと、群れ内の粒子を、適応度値を用いて更新するステップと、を含んでもよい。
【0032】
本実施例において、パーティクルアルゴリズム更新に関わるパラメータは、速度、位置、Pbest、群れのGbestなどである。適応度値を用いて前記群れ内の粒子を更新するステップは、
群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップS21と、
(一つの選択可能な実施案のうち、群れ中の粒子の速度及び位置を更新するステップは、
下記の式により、群れ中の粒子の速度及び位置を反復更新するステップを含む。
d= 1,2,…D, i=1,2,…n, kは現在の反復回数であり、V
idは粒子の速度であり、c1、c2は非負の定数で、加速度係数であり、r1、r2は[0、1]に分布する乱数である。)
適応度値を用いて群れ中の粒子のPbestを更新し、適応度値を用いて群れ中の粒子のGbestを更新するステップS22と、
(群れの中の個体に対して最適なクロスオーバーを行い、個体粒子はPbest粒子とクロスオーバーを行うことで更新し、クロスオーバー方法として整数クロスオーバーが用いられ、まず2つのクロスオーバー位置を選定してから、個体とPbestをクロスオーバーし、得られた新個体に対して優れた個体を保留する戦略を採用し、新粒子の適応度値が元粒子の適応度値よりも大きい場合のみに粒子を更新する。一方、適応度値を用いて群れ中の粒子のGbestを更新する場合に、群れを最適にクロスオーバーする手順は、第8操作と類似するが、ただPbestをGbestに置き換える。)
群れ中の粒子に対して変異操作を行い、新しい粒子の適応度値が古い粒子よりも良い場合に、粒子を更新するステップS23と、を含む。
(群れ中の粒子操作に対して変異操作を行い、変異操作として個体内の2桁入れ替え方法が用いられ、まず変異位置pos1とpos2をランダムに選択してから、2つの変異位置を入れ替える。得られた新個体に対して優れた個体を保留する戦略を採用し、新粒子は元粒子よりも適応度値が良い場合のみに粒子を更新する。)
【0033】
新たな群れが得られた後、例えば、最大反復回数に達し、限定未満の誤差を満たしたかどうかなどの終了条件を判断する。
【0034】
実際の作業では、本実施例のエネルギー予測モデルを検証するために、30日間の熱負荷予測値(1日24時間、1時間あたり1つの熱負荷値に対応し、合計720点を実験データとし、このうち20日間のデータをトレーニングセットデータとし、残りの10日間のデータをテストデータセットとした。実験効果の評価指標として平均相対誤差MAPE、ルート平均二乗誤差RMSE、偏差率DR(deviationrate)を選んだ。
【0035】
平均相対誤差MAPE:
ルート平均二乗誤差RMSE:
偏差率DR:
ただし、y
tは真の値を表し、y
dは予測値を表し、nはサンプル数を表す。
【0036】
【0037】
以上のデータ指標から、本実施例のアルゴリズムモデルの効果は明らかであり、ラジアルベースニューラルネットワークのみを用いたアルゴリズムの提案よりも優れていることがわかる。
【0038】
なお、前述した各方法実施例については、説明を簡単にするため、一連の動作の組み合わせとして説明したが、当業者であれば、本発明によれば、特定のステップを他の順序で、または同時に実施することができるので、本発明は説明された動作順序に限定されない。次に、本明細書に記載されている実施例の全てが好ましい実施例に属し、関わる動作およびモジュールが本発明に必要であるとは限らないことも当業者には理解されるであろう。
【0039】
以上の実施の形態の説明から当業者には明らかなように、上述した実施例の方法は、ソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを付加して実現することも可能であるし、もちろん、ハードウェアによって実現してもよいが、前者の方がより好ましい実施形態である場合が多い。このような理解によれば、本発明の技術案は、本質的または先行技術に寄与する部分が、ソフトウェア製品として具現化することができる。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスクなど)に格納され、いくつかの命令を含んで、1台の端末装置(携帯電話、コンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスなどであってもよい)が、本発明の様々な実施例の方法を実行する。
【0040】
実施例2
本実施例では、上述した実施例および好適な実施形態を実現するためのニューラルネットワークによる負荷予測装置も提供されている。説明したのでここで省略する。以下で使用されるように、用語「モジュール」は、所定の機能のソフトウェアおよび/またはハードウェアの組み合わせを実現することができる。以下の実施例に記載される装置は、ソフトウェアでよく実現されるが、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせの実現も可能であり、想定される。
【0041】
図3は、本発明の実施例に係るニューラルネットワークによる負荷予測装置の構成ブロック図であり、
図3に示すように、この装置は、
予測すべき時間帯を受信する受信モジュール30と、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するものであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFである入力モジュール32と、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測する予測モジュール34と、を含む。
【0042】
前記装置は、前記時間帯を、エネルギー負荷を予測ためのニューラルネットワークモデルに前記入力モジュールで入力する前に、初期モデルのトポロジーを決定するためのものであって、前記トポロジーが、入力層、隠れ層、出力層を含む決定モジュールと、前記初期モデルのパラメータを符号化し、初期粒子群を得るためのものであって、前記パラメータは、ラジアルベース関数の中心パラメータ、分散パラメータ、隠れ層の重みパラメータ、出力層の重みパラメータを含み、各パラメータが1つの粒子である符号化モジュールと、初期粒子群を復号化し、前記初期モデルの初期パラメータを得るための復号化モジュールと、前記初期パラメータを前記初期モデルに割り当て、RBFネットワークモデルを得るための割当モジュールと、
トレーニングサンプルおよびテストサンプルを用いて前記RBFネットワークモデルを最適化するための最適化モジュールと、をさらに含んでもよい。
【0043】
なお、上記各モジュールは、ソフトウェアまたはハードウェアにより実現することができ、後者については、以下のように実現することができるが、これらに限定されるものではない。上記モジュールは、いずれも同一のプロセッサに存在する。あるいは、上記各モジュールは、任意の組み合わせでそれぞれ異なるプロセッサに存在する。
実施例3
【0044】
本発明の実施例は、運転時に上記方法実施例のいずれかの一項におけるステップを実行するように設けられるコンピュータプログラムが記憶される記憶媒体をさらに提供する。
【0045】
本実施例において、上記記憶媒体は、
予測すべき時間帯を受信するステップS1と、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するステップであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFであるステップS2と、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測するステップS3と、
を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されるように設置されてもよい。
【0046】
本実施例において、上記記憶媒体は、限定するものではないが、Uディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROMと略称する)、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory,RAMと略称する)、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、または光ディスクなど、コンピュータプログラムを記憶可能な各種媒体であってもよい。
【0047】
本発明の実施例は、メモリとプロセッサとを含む電子装置をさらに提供し、該メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、該プロセッサは、上記方法実施例のいずれかの一項におけるステップを実行するように、前記コンピュータプログラムを実行するように設けられる。
【0048】
上記電子機器は、上記プロセッサに接続された伝送装置と、上記プロセッサに接続された入出力装置とをさらに備えてもよい。
【0049】
本実施例において、上記プロセッサは、
予測すべき時間帯を受信するステップS1と、
前記時間帯を、エネルギー負荷を予測するためのニューラルネットワークモデルに入力するステップであって、前記ニューラルネットワークモデルは、ハイブリッド粒子群アルゴリズムに基づいてトレーニングされ取得されたラジアルベースニューラルネットワークRBFであるステップS2と、
前記ニューラルネットワークモデルを用いて、前記時間帯におけるエネルギー負荷値を予測するステップS3と、
をコンピュータプログラムにより実行するように設置されてもよい。
【0050】
本実施例における具体例については、上述した実施例および他の実施の形態において説明した例を参照してもよいので、ここで説明を省略する。
【0051】
当業者には明らかなように、上述した本発明の各モジュールまたは各ステップは、汎用な演算装置で実施されることができ、単一の演算装置に集中してもよく、あるいは、複数の演算装置で構成されるネットワーク上に分散されてもよい。演算装置で実行可能なプログラムコードで実現されることができ、よって、記憶装置に記憶されて演算装置で実行されるようにしてもよい。また、図示または説明されたステップは、場合によって、本明細書とは異なる順序で実行されてもよいし、各集積回路モジュールとして個別に作製されてもよいし、それらうちの複数のモジュールまたはステップを単一の集積回路モジュールとして作製され実現されてもよい。このように、本発明は、何ら特定のハードウェアとソフトウェアの組み合わせに限定されない。
【0052】
以上の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者には様々な変更及び変化が可能である。本発明の原理の範囲内であれば、行った何ら補正、同等置換、改良などが、いずれも本発明の保護範囲内であるべきである。