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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】乗り物用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20240104BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240104BHJP
【FI】
G01D7/00 K
B60K35/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021574110
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003061
(87)【国際公開番号】W WO2021153677
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/003669
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 政樹
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-197691(JP,A)
【文献】特開昭60-157693(JP,A)
【文献】特開平1-207629(JP,A)
【文献】特開2008-152438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 - 7/12
B60K 35/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に関連するパラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記パラメータ取得部で取得した前記乗り物に関連するパラメータを、前記乗り物の動作中に図形で表示する表示部と、
前記表示部に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、前記乗り物に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、乗り物用表示装置であって、
前記図形は、円形または線対称の図形であり、
前記表示制御部は、全体を変化させた前記図形を前記表示部に表示させ、
前記乗り物に関連する複数種類のパラメータは、前記乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含み、
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む、乗り物用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗り物用表示装置において、
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む、乗り物用表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗り物用表示装置において、
前記表示制御部は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛り無しの程度表示で前記表示部に表示させる、乗り物用表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の乗り物用表示装置において、
前記表示制御部は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータを目盛り無しの程度表示で前記表示部に表示させる、乗り物用表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の乗り物用表示装置において、
前記表示制御部は、前記1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも3つを、前記複数種類のパラメータのうち3つよりも少ない種類の異なるパラメータにおける少なくとも3つの物理量で変化させた前記1つの図形を、前記表示部に表示させ、
前記3つよりも少ない種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む、乗り物用表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の乗り物用表示装置において、
前記乗り物は、左に旋回する際には左に傾斜し且つ右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である、乗り物用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置が提案されている。このような乗り物用表示装置として、例えば特許文献1に開示されるように、物理量の値とその変化の度合いとを表示する表示装置が知られている。
【0003】
前記特許文献1の表示装置は、物理量の値を示すメータ画像に、当該物理量の値とともに、当該物理量の所定時間あたりの変化量を表示させる。
【0004】
具体的には、前記特許文献1の表示装置では、物理量の値としての速度値が、メータ画像における円弧形状の針の先端位置によって表示され、前記物理量の所定時間あたりの変化量としての加速度が、円弧形状の針における腹の部分によって表示される。このように、前記特許文献1には、同じ種類のパラメータ(速度、加速度)を、一つの図形によって表示する例が開示されている。
【0005】
また、前記特許文献1の表示装置では、例えば、前記特許文献1の図9等に開示されるように、計器板部分に対して位置が変化する針の先端位置によって速度を表示するとともに、前記計器板部分を立体的に変化させることにより、エンジン回転数を表示している。このように、前記特許文献1には、種類の異なるパラメータを、それぞれ異なる図形に表示する例も開示されている。
【0006】
一方、種類の異なるパラメータを一つの図形によって表現する表示装置も考えられている。このような表示装置として、例えば特許文献2に開示されるように、複数のパラメータを1つの図形に相関的にリアルタイム表示する多次元量相関表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許4519853号公報
【文献】特開平1-207629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献2に開示されている多次元量相関表示装置は、種類の異なるパラメータを一つの図形によって表現することにより、大局的な傾向をリアルタイムに且つ容易に把握することができる。近年では、乗り物に関連する情報を表示する表示装置において、上述のように大局的な傾向をリアルタイムに且つ容易に把握する点に加えて、表示装置の機能向上が求められている。
【0009】
本発明は、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上する構成について検討した。
【0011】
本発明者が鋭意検討した結果、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置における機能向上として、運転者に動作を促すようなパラメータを前記表示装置によって表示することに想到した。すなわち、運転者に動作を促すようなパラメータを含む2つ以上の種類の異なるパラメータを、1つの図形に表示することにより、乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0012】
以上より、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0013】
本発明の一実施形態に係る乗り物用表示装置は、乗り物に関連するパラメータを取得するパラメータ取得部と、前記パラメータ取得部で取得した前記乗り物に関連するパラメータを、前記乗り物の動作中に図形で表示する表示部と、前記表示部に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、前記乗り物に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータで変化させた前記1つの図形を、前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える。前記乗り物に関連する複数種類のパラメータは、前記乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含む。前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0014】
このように、乗り物に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータを、表示部に1つの図形で表示することにより、乗り物の運転者は、乗り物の状態や環境情報などのように複雑且つ多様に変化する情報を、容易に把握することができる。すなわち、物の状態または状況の複雑な変化を図形で表示することにより、人は容易に認識できる。したがって、上述のように、1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、2つ以上の種類の異なるパラメータで変化させることにより、乗り物の運転者は、乗り物の状態や環境情報の複雑且つ多様な変化を容易に把握できる。
【0015】
ここで、前記乗り物に関連する複数種類のパラメータは、前記乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含む。これらのパラメータのうち、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータは、前記運転者に動作を促すパラメータである。
【0016】
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータを、上述の運転者に動作を促すパラメータにすることにより、前記運転者に動作を促すことができる。このように、前記表示部に表示するパラメータの少なくとも一つを変えることにより、乗り物用表示装置の構成を複雑化することなく、乗り物用表示装置の機能向上を図れる。
【0017】
よって、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の乗り物用表示装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0019】
これにより、表示部に表示される少なくとも2つ以上の種類の異なるパラメータのうち一つのパラメータは、乗り物の運転者に動作を促すパラメータである。よって、前記表示部に表示される図形により、前記運転者に動作をより確実に促すことができる。
【0020】
したがって、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0021】
他の観点によれば、本発明の乗り物用表示装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記表示制御部は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛り無しの程度表示(degree display without scale)で前記表示部に表示させる。
【0022】
これにより、乗り物の運転者は、2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータの変化について、細かな値を認識または理解することなく、大局的な傾向をより容易に把握できる。
【0023】
他の観点によれば、本発明の乗り物用表示装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記表示制御部は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータを目盛り無しの程度表示で前記表示部に表示させる。
【0024】
これにより、乗り物の運転者は、2つ以上の種類の異なるパラメータの変化について、細かな値を認識または理解することなく、大局的な傾向をより容易に把握できる。
【0025】
他の観点によれば、本発明の乗り物用表示装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記表示制御部は、前記1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも3つを、前記複数種類のパラメータのうち3つよりも少ない種類の異なるパラメータにおける少なくとも3つの物理量で変化させた前記1つの図形を、前記表示部に表示させる。前記3つよりも少ない種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0026】
これにより、乗り物の運転者は、乗り物の状態や環境情報のより複雑で且つ多様な変化を容易に把握できる。
【0027】
しかも、3つよりも少ない種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータを、運転者に動作を促すパラメータにすることにより、前記運転者に動作を促すことができる。このように、前記表示部に表示するパラメータの少なくとも一つを変えることにより、乗り物用表示装置の構成を複雑化することなく、乗り物用表示装置の機能向上を図れる。
【0028】
よって、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0029】
他の観点によれば、本発明の乗り物用表示装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記乗り物は、左に旋回する際には左に傾斜し且つ右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である。
【0030】
リーン車両の場合、運転者は、運転時に路面状態や周辺の状況を十分に確認する必要がある。このようなリーン車両において、運転者が周辺視野でも直観的に車両の情報を認識できるようにすることで、運転者は車両の情報をより容易に認識することができる。
【0031】
しかも、前記リーン車両の場合、前記運転者は、周囲の環境、前記運転者の操作及び前記運転者の状態に応じて、前記リーン車両の操作を変更する必要がある。これに対し、上述の各構成のように、周囲の環境情報を示すパラメータ、前記運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含むパラメータを図形で表示することにより、前記運転者は、周辺視野でも、前記運転者に動作を促すパラメータを容易に認識することができる。
【0032】
よって、車両がリーン車両の場合には、本発明の構成がより有効である。
【0033】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0034】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0035】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0036】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0037】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0038】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0039】
本発明の説明においては、いくつもの技術および工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0040】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0041】
本明細書では、本発明に係る乗り物用表示装置の実施形態について説明する。
【0042】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0043】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0044】
[1つの図形]
本明細書において、1つの図形は、形状(線の太さも含む)、大きさ、色、輝度及び位置のうち少なくとも2つの要素を含む。前記1つの図形では、各要素の変化が図形の変化に影響する。前記1つの図形は、運転者が1つであると認識できる図形である。前記1つの図形は、前記少なくとも2つの要素が変化することにより、乗り物の状態や環境情報等を表示することができる。なお、2つ以上の図形では、いずれかの図形で要素が変化した場合でも、その要素の変化は他の図形に影響しない。本明細書では、前記図形は、形状のみに限定されない。
【0045】
[パラメータ]
本明細書において、パラメータとは、乗り物の状態、前記乗り物の周囲の環境、前記運転者の操作に関する情報、前記運転者の状態に関する情報等によって変化する変数を意味する。例えば、前記パラメータには、エンジンやモータの回転に関する値、前記乗り物の周囲の環境に関する値、前記運転者の操作によって変化する値、前記運転者の状態を示す値等が含まれる。例えば、パラメータを取得するセンサの種類が異なる場合には、パラメータの種類が異なる。
【0046】
[乗り物]
本明細書において、乗り物とは、乗員を移動可能な移動体を意味する。乗り物は、例えば、2輪車、3輪車、4輪車などの車両や、船舶、潜水艦、航空機、ヘリコプター、宇宙船、気球、電車、汽車、スノーモービル、ロープウェイ、エレベーター等、人を乗せた状態で移動可能な機器を全て含む。
【0047】
[乗り物に関連するパラメータ]
本明細書において、乗り物に関連するパラメータとは、乗り物に関連して変化する変数を意味する。具体的には、乗り物に関連するパラメータは、乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含む。
【0048】
乗り物の状態に関する情報を示すパラメータは、乗り物の構成、乗り物の動作状況などを示すパラメータである。乗り物の状態に関する情報を示すパラメータは、例えば、乗り物のセンターラインからの距離、乗り物同士の距離、走行距離、走行時間、エンジンの吸気温度、エンジンの排気温度、燃費、エンジン回転数、モータ回転数、エンジン/モータの回転数変化量、トルク、エンジン出力、エンジンブレーキ圧、乗り物の走行速度、乗り物の加速度、減速度、他の乗り物との相対速度、他の乗り物との相対加速度、他の乗り物との相対減速度、ギアポジション、乗り物のピッチ角、乗り物のヨ-角、乗り物のロール角、スリップアングル、スリップ量、変速装置のギア比、バッテリ残量、バッテリ電圧、バッテリ温度、電流量、燃料残量、タイヤ空気圧、吸排気音、前後重量の配分、サスペンション動作範囲、走行モード、冷却水温、乗り物の年式(型式)、TCS介入量、回生ブレーキ量、モータアシスト量、法定速度オーバー量、クルーズコントロール設定車速差異量などである。
【0049】
乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータは、乗り物の周囲の環境に関するパラメータである。乗り物の周囲の環境を示すパラメータは、例えば、乗り物が移動しているエリアの天気、気温、風圧、風速、風向、体感温度、路面状況、路面の摩擦係数、カーブの曲率、乗り物の走行位置によって変わる制限速度、該制限速度と乗り物の速度との関係、周囲の交通状況、前方を移動している乗り物との間の距離、日時などである。
【0050】
乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータは、運転者の乗り物に対する入力操作に関するパラメータである。乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータは、シフトタイミング、変速段、ブレーキ操作、荷重方向/量、アクセル開度、ハンドル切れ角、乗り物のバンク角などである。
【0051】
乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータは、運転者の心拍、運転者の余裕度、視線方向、覚醒度などである。
【0052】
[運転者に動作を促すパラメータ]
本明細書において、運転者に動作を促すパラメータとは、乗り物の運転者が動作の必要性の有無を判断可能なパラメータや、前記運転者がどのような動作を行えばよいかを判断可能なパラメータを意味する。前記運転者に動作を促すパラメータは、例えば、乗り物に関連するパラメータのうち、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含む。前記環境情報が、例えば、乗り物の周囲の温度が低い場合や路面の摩擦係数が小さい場合などの情報である場合には、乗り物の運転者に速度低下や緩やかな操舵動作を促すことができる。前記運転者の操作に関する情報が、例えばアクセル開度に関する情報である場合には、前記運転者に最適なアクセル開度の動作を促すことができる。前記運転者の状態に関する情報が、例えば前記運転者の心拍に関する情報である場合には、前記運転者の状態に応じて前記運転者に乗り物の運転動作(減速や休憩など)を促すことができる。これらは、いずれも、前記運転者に動作を促すパラメータによって前記運転者に動作を促す内容の一例である。よって、前記運転者に動作を促すパラメータによって前記運転者に動作を促す内容は、これらの例に限定されない。
【0053】
[物理量]
本明細書において、物理量とは、物理学で扱われる変数を意味する。すなわち、物理量は、長さ・質量・時間・電流などの量や、それらの演算関係から定義される量を含む。本明細書では、物理量は、例えば、乗り物の状態や環境等の物理的な性質・状態を表現する量である。なお、乗り物に関連するパラメータは、それぞれ、複数の物理量を有していてもよい。
【0054】
[程度表示]
本明細書において、程度表示とは、目盛りや数字によって具体的な数値を表示するのではなく、目盛りのないグラフなどによって割合や傾向などを表示する表示方法を意味する。
【0055】
[リーン車両]
本明細書において、リーン車両とは、傾斜姿勢で旋回する車両である。具体的には、リーン車両は、車両の左右方向において、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。リーン車両は、一人乗りの車両であってもよいし、複数人が乗車可能な車両であってもよい。なお、リーン車両は、2輪車だけでなく、3輪車または4輪車など、傾斜姿勢で旋回する全ての車両を含む。
【発明の効果】
【0056】
本発明の一実施形態によれば、乗り物に関連する情報を表示する乗り物用表示装置において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、実施形態1に係る乗り物用表示装置の概略構成図である。
図2図2は、実施形態2に係る乗り物用表示装置の機能ブロック図である。
図3A図3Aは、実施形態2に係る表示部の図形の表示例を示す図である。
図3B図3Bは、実施形態2に係る表示部の図形の表示例を示す図である。
図4図4は、実施形態3における表示部の図形の表示変化の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態4における表示部の図形の表示変化の一例を示す図である。
図6A図6Aは、実施形態5における表示部の図形の表示例を示す図である。
図6B図6Bは、実施形態5における表示部の図形の表示例を示す図である。
図7図7は、実施形態6における表示部の図形の表示例を示す図である。
図8A図8Aは、実施形態7における表示部の図形の表示例を示す図である。
図8B図8Bは、実施形態7における表示部の図形の表示例を示す図である。
図8C図8Cは、実施形態7における表示部の図形の表示例を示す図である。
図9図9は、その他の実施形態における表示部の図形の表示例を示す図である。
図10図10は、その他の実施形態における表示部の図形の表示例を示す図である。
図11図11は、その他の実施形態における表示部の図形の表示例を示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る乗り物用表示装置と、実施形態2に係る表示部の図形の表示例とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0059】
[実施形態1]
図1に、本発明の実施形態1に係る乗り物用表示装置1の概略構成の一例を模式的に示す。乗り物2は、2輪車、3輪車、4輪車などの車両だけでなく、船舶やスノーモービルなどのように、人を移動させることができる移動体の全てを含む。
【0060】
乗り物用表示装置1は、例えば、乗り物2の前部に配置されている。すなわち、乗り物用表示装置1は、乗り物2の運転者の前に配置されている。これにより、乗り物2を運転する運転者は、乗り物用表示装置1を容易に視認できる。
【0061】
乗り物用表示装置1は、乗り物2に関連するパラメータを、乗り物2の動作中に図形で表示する。乗り物用表示装置1は、表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させる。
【0062】
前記1つの図形は、形状、大きさ、色、輝度及び位置のうち少なくとも2つの要素を含む。すなわち、前記図形は、前記少なくとも2つの要素が変化することにより、乗り物2の状態や環境情報等を表示することができる。このように、本実施形態では、前記図形は、形状のみに限定されない。
【0063】
乗り物2に関連する複数種類のパラメータは、乗り物2に関連して変化する変数を意味する。具体的には、乗り物2に関連するパラメータは、乗り物2の状態に関する情報を示すパラメータと、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータと、乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含む。これらのパラメータのうち、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータは、前記運転者に動作を促すパラメータである。
【0064】
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ乗り物2の運転者に動作を促すパラメータである、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0065】
なお、パラメータは、乗り物2の状態、乗り物2の周囲の環境、前記運転者の操作に関する情報、前記運転者の状態に関する情報等によって変化する変数を意味する。例えば、前記パラメータには、エンジンやモータの回転に関する値、乗り物2の周囲の環境に関する値、前記運転者の操作によって変化する値、前記運転者の状態を示す値等が含まれる。例えば、パラメータを取得するセンサの種類が異なる場合には、パラメータの種類が異なる。
【0066】
運転者に動作を促すパラメータは、乗り物2の運転者が動作の必要性の有無を判断可能なパラメータや、前記運転者がどのような動作を行えばよいかを判断可能なパラメータである。前記環境情報が、例えば、乗り物2の周囲の温度が低い場合や路面の摩擦係数が小さい場合などの情報である場合には、前記環境情報を示すパラメータを図形で表示することにより、乗り物2の運転者に速度低下や緩やかな操舵動作を促すことができる。前記運転者の操作に関する情報が、例えばアクセル開度に関する情報である場合には、前記運転者の操作に関する情報を示すパラメータを図形で表示することにより、前記運転者に最適なアクセル開度の動作を促すことができる。前記運転者の状態に関する情報が、例えば前記運転者の心拍に関する情報である場合には、前記運転者の状態に関する情報を示すパラメータを図形で表示することにより、前記運転者の状態に応じて前記運転者に乗り物2の運転動作(減速や休憩など)を促すことができる。
【0067】
なお、前記環境情報を示すパラメータは、上述の乗り物2の周囲の温度や路面の摩擦係数に限らず、後述のパラメータであってもよい。また、前記運転者の操作に関する情報を示すパラメータは、上述のアクセル開度に限らず、後述のパラメータであってもよい。また、前記運転者の状態に関する情報を示すパラメータも、上述の運転者の心拍に限らず、後述のパラメータであってもよい。
【0068】
乗り物2の状態に関する情報を示すパラメータは、乗り物2の構成、乗り物2の動作状況などを示すパラメータである。乗り物2の状態に関する情報を示すパラメータは、例えば、乗り物2のセンターラインからの距離、乗り物2同士の距離、走行距離、走行時間、エンジンの吸気温度、エンジンの排気温度、燃費、エンジン回転数、モータ回転数、エンジン/モータの回転数変化量、トルク、エンジン出力、エンジンブレーキ圧、乗り物の走行速度、乗り物2の加速度、減速度、ギアポジション、乗り物2のピッチ角、乗り物2のヨ-角、乗り物2のロール角、スリップアングル、スリップ量、変速装置のギア比、バッテリ残量、バッテリ電圧、バッテリ温度、電流量、燃料残量、タイヤ空気圧、吸排気音、前後重量の配分、サスペンション動作範囲、走行モード、冷却水温、自動2輪車20の年式(型式)、TCS介入量、回生ブレーキ量、モータアシスト量、法定速度オーバー量、クルーズコントロール設定車速差異量などの少なくとも一つを含む。
【0069】
乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータは、乗り物2の周囲の環境に関するパラメータである。乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータは、例えば、乗り物2が移動しているエリアの天気、気温、風圧、風速、風向、体感温度、路面状況、路面の摩擦係数、カーブの曲率、乗り物の走行位置によって変わる制限速度、該制限速度と乗り物の速度との関係、周囲の交通状況、前方を移動している乗り物との間の距離、日時などの少なくとも一つを含む。
【0070】
乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータは、乗り物2に対する入力操作に関するパラメータである。乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータは、シフトタイミング、変速段、ブレーキ操作、荷重方向/量、アクセル開度、ハンドル切れ角、乗り物2のバンク角などの少なくとも一つを含む。
【0071】
乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータは、運転者の心拍、運転者の余裕度、視線方向、覚醒度などの少なくとも一つを含む。
【0072】
乗り物用表示装置1は、パラメータ取得部11と、表示部12と、表示制御部13とを有する。
【0073】
パラメータ取得部11は、乗り物2に関連するパラメータを取得する。すなわち、パラメータ取得部11は、乗り物2の状態、乗り物2の周囲の環境、前記運転者の操作に関する情報、前記運転者の状態に関する情報等によって変化する変数を取得する。パラメータ取得部11が取得するパラメータは、上述の乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち、2つ以上の種類の異なるパラメータである。
【0074】
パラメータ取得部11は、乗り物2に関連する複数種類のパラメータを取得可能な複数種類のセンサ及び検出装置を含む。
【0075】
表示部12は、パラメータ取得部11が取得した、乗り物2に関連するパラメータを、乗り物2の動作中に図形で表示する。表示部12は、白黒またはカラーで前記図形を表示可能なディスプレイを含む。前記ディスプレイは、例えば、液晶、プラズマ、LEDなどのように、前記図形を表示可能な表示画面を有する。表示部12は、乗り物2の前部で且つ乗り物2の運転者から運転中に視認可能な位置に取り付けられている。
【0076】
表示部12は、後述の表示制御部13から出力される制御信号に基づいて、乗り物2に関連するパラメータを、乗り物2の動作中に図形で表示する。また、表示部12は、表示制御部13から出力される制御信号に基づいて、表示部12に表示する前記図形を変化させる。図12に、乗り物用表示装置1の表示部12に表示される図形の一例を示す。図12に示す図形は、実施形態2で説明する図形と同じである。この図形は、乗り物2の状態に関する情報を示すパラメータである速度と、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータである、制限速度と速度との関係とが、1つの図形で表示された図形である。図12に示すように、表示部12に表示される図形において、形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つが乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化する。前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ乗り物2の運転者に動作を促すパラメータである、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。前記図形については、実施形態2で詳しく説明する。なお、表示部12に表示される図形は、図12に示す図形以外の図形であってもよい。
【0077】
表示制御部13は、パラメータ取得部11が取得したパラメータに基づいて、表示部12に図形を表示させる制御信号(図形データ)を生成し、該制御信号を表示部12に出力する。前記制御信号は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる信号である。
【0078】
本実施形態の構成では、乗り物用表示装置1は、乗り物2に関連するパラメータを取得するパラメータ取得部11と、パラメータ取得部11で取得した乗り物2に関連するパラメータを、乗り物2の動作中に図形で表示する表示部12と、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる表示制御部13と、を備える。
【0079】
このように、乗り物2に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータを、表示部12に1つの図形で表示することにより、乗り物2の運転者は、乗り物2の状態や環境情報などのように複雑且つ多様に変化する情報を、容易に把握することができる。すなわち、状態または状況の複雑な変化を図形で表示することにより、人は容易に認識できる。したがって、上述のように、1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、2つ以上の種類の異なるパラメータで変化させることにより、乗り物2の運転者は、乗り物2の状態や環境情報の複雑且つ多様な変化を容易に把握できる。
【0080】
また、本実施形態の構成では、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ乗り物2の運転者に動作を促すパラメータである、乗り物2の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物2の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物2の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0081】
このように、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータを、上述の運転者に動作を促すパラメータにすることにより、前記運転者に動作を促すことができる。したがって、表示部12に表示するパラメータの少なくとも一つを変えることにより、構成を複雑化することなく、乗り物用表示装置1の機能向上を図れる。
【0082】
よって、乗り物2に関連する情報を表示する乗り物用表示装置1において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0083】
[実施形態2]
図2は、乗り物用表示装置1の具体的な構成を示す図である。この実施形態における乗り物用表示装置1では、表示制御部13が、物理量演算部14及び図形データ生成部15を有する。以下では、実施形態1と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
本実施形態及び以降の実施形態では、乗り物用表示装置1が配置される乗り物は、例えば、自動2輪車20である。すなわち、本実施形態の乗り物は、左に旋回する際には左に傾斜し且つ右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である。
【0085】
乗り物用表示装置1は、例えば、自動2輪車20の前部に配置されている。すなわち、乗り物用表示装置1は、自動2輪車20の運転者の前に配置されている。これにより、自動2輪車20を運転する運転者は、乗り物用表示装置1を容易に視認できる。
【0086】
図2に示すように、表示制御部13は、物理量演算部14と、図形データ生成部15とを有する。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得した自動2輪車20に関連するパラメータから、表示部12で表示する図形のデータ(図形データ)を生成する。
【0087】
物理量演算部14は、パラメータ取得部11で取得した自動2輪車20に関連するパラメータから、図形の表示に必要な物理量を演算する。物理量演算部14は、2つ以上の種類の異なるパラメータに対し、複数の物理量を演算する。演算された物理量は、図形データ生成部15で図形データを生成する際に用いられる。
【0088】
図形データ生成部15は、物理量演算部14で演算された複数の物理量を用いて、1つの図形を表示するための図形データを生成する。具体的には、図形データ生成部15は、前記1つの図形を前記複数の物理量で変化させる図形データを生成する。すなわち、図形データ生成部15は、1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連するパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させる図形データを生成する。
【0089】
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0090】
なお、図形データ生成部15は、前記図形データを演算によって生成してもよいし、前記2つ以上の種類の異なるパラメータに対して表示する図形データを予め記憶部に格納し、該記憶部から前記パラメータの値に応じて前記図形データを読み出してもよい。
【0091】
図3は、乗り物用表示装置1による表示部12の表示例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20の速度及び制限速度と速度との関係が組み合わせられて1つの図形で表示される。
【0092】
パラメータ取得部11は、自動2輪車20の速度及び制限速度に関するデータを取得する。パラメータ取得部11は、自動2輪車20の走行位置に応じて制限速度に関するデータを取得する。パラメータ取得部11は、例えば、自動2輪車20が外部の機器から送信された制限速度に関するデータを取得してもよいし、自動2輪車20のナビゲーション装置に格納されたデータから、自動2輪車20の走行位置に応じた制限速度に関するデータを取得してもよい。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得した速度及び制限速度のデータに基づいて、液晶ディスプレイなどの表示部12に表示する図形データを生成する。
【0093】
表示制御部13は、前記図形データとして、速度に応じて外径が変化するとともに、速度が制限速度以下の場合と制限速度を越えた場合とで色が異なる円環Rを生成する。なお、表示制御部13は、パラメータ取得部11によって取得した制限速度に関するデータを用いて、表示部12に表示する円形の制限速度線Tを生成する。
【0094】
表示制御部13は、図3Aに示すように、円環Rの外周が円形の制限速度線Tよりも径方向内方に位置する場合には、円環Rを例えば緑色で表示する図形データを生成する。一方、表示制御部13は、図3Bに示すように、円環Rの外周が円形の制限速度線Tよりも径方向外方に位置する場合には、円環Rを橙色で表示する。なお、上述の円環Rの色は、一例であり、他の色であってもよい。
【0095】
本実施形態のように乗り物がリーン車両である自動2輪車20の場合、運転者は、運転時に路面状態や周辺の状況を十分に確認する必要がある。このような自動2輪車20において、運転者が周辺視野でも直観的に車両の情報を認識できるようにすることにより、運転者は自動2輪車20の情報をより容易に認識することができる。しかも、リーン車両である自動2輪車20の場合、前記運転者は、周囲の環境、前記運転者の操作及び前記運転者の状態に応じて、自動2輪車20の操作を変更する必要がある。これに対し、上述の各構成のように、周囲の環境情報を示すパラメータ、前記運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含むパラメータを図形で表示することにより、前記運転者は、周辺視野でも、前記運転者に動作を促すパラメータを容易に認識することができる。よって、乗り物用表示装置1を自動2輪車20に対して適用する場合には、本実施形態の構成がより有効である。
【0096】
[実施形態3]
図4に、自動2輪車20の瞬間燃費及び速度がそれぞれ異なる場合の図形の一例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20の速度及び瞬間燃費が組み合わせられて1つの図形で表示される。なお、乗り物用表示装置1の構成は、実施形態2に開示されている構成と同様である。
【0097】
図4に示すように、瞬間燃費が良いほど、図形の外形は滑らかになる。最も瞬間燃費が良い状態では、図形は円形である。一方、瞬間燃費が悪いほど、図形の凹凸の数が増えて凹凸も大きくなる。また、自動2輪車20の速度が大きいほど、図形の外形は大きくなる。
【0098】
よって、例えば、自動2輪車20の速度が大きく且つ瞬間燃費が良い場合(図4のA)には、図形は大きい円形である。自動2輪車20の速度が大きくても瞬間燃費が悪い場合(図4のD)には、図形は大きく且つ凹凸の多い形状である。自動2輪車20の速度が小さく且つ瞬間燃費が良い場合(図4のB)には、図形は小さい円形であり、自動2輪車20の速度が小さく且つ瞬間燃費が悪い場合(図4のC)には、図形は小さく且つ凹凸の多い形状である。このように、表示部12に表示される図形は、目盛りのない程度表示で表示される。
【0099】
表示制御部13によって生成された図形データは、表示部12に出力されて、表示部12で、図形として表示される。表示制御部13は、自動2輪車20の速度及び瞬間燃費によって、生成する図形データを更新する。よって、表示部12に表示される図形は、外形の大きさ及び形状(凹凸)が変化する。
【0100】
一般的に、車両等の瞬間燃費を表すにはバーグラフが使われる。このようなバーグラフでは、運転者が瞬間の燃費を判断することは可能である。しかしながら、どのような状況であれば燃費のよいアクセルワークができているのかを運転者が判断及び学習することは容易ではない。
【0101】
これに対し、本実施形態の表示例であれば、自動2輪車20の運転者は、いずれの速度域であっても、表示部12に表示される図形が滑らかな形状になるようにアクセルワークを行うことにより、自動2輪車20の省エネ運転を容易に行えるとともに、加速操作による燃費の変動も直感的に感じることができる。よって、自動2輪車20の運転者は、自動2輪車20の燃費が良くなるようなアクセルワークを容易に学習することができる。
【0102】
本実施形態の構成では、表示制御部13は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。
【0103】
これにより、自動2輪車20の運転者は、乗り物の状態や環境情報の複雑且つ多様な変化を容易に把握できる。
【0104】
前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含んでもよい。すなわち、図4に示す図形において、例えば、アクセル開度を色によって表示してもよい。この場合には、例えば、適切なアクセル開度であれば、図形を緑色で表示する一方、不適切なアクセル開度であれば、図形を橙色で表示してもよい。
【0105】
なお、図4に示す図形の色を変えるパラメータは、自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータであれば、アクセル開度以外の他のパラメータであってもよい。また、パラメータによって変化する図形の色も、上述の色以外の色であってもよい。
【0106】
表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛りのない程度表示で表示部12に表示させる。
【0107】
これにより、自動2輪車20の運転者は、2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータの変化について、細かな値を認識または理解することなく、より容易に把握できる。
【0108】
表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータを目盛り無しの程度表示で表示部12に表示させる。
【0109】
これにより、自動2輪車20の運転者は、2つ以上の種類の異なるパラメータの変化について、細かな値を認識または理解することなく、より容易に把握できる。
【0110】
なお、本実施形態では、表示部12に表示される図形の形状が瞬間燃費に応じて変化する。しかしながら、表示部12に表示される図形の形状は、平均燃費に応じて変化してもよい。また、表示部12に表示される図形の形状は、自動2輪車20の速度に応じて変化し、表示部12に表示される図形の大きさは、瞬間燃費や平均燃費に応じて変化してもよい。さらに、表示部12に表示される図形の形状は、アクセル開度に応じて変化し、表示部12に表示される図形の大きさは、瞬間燃費、平均燃費または自動2輪車20の速度に応じて変化してもよい。表示部12に表示される図形の形状は、瞬間燃費、平均燃費または自動2輪車20の速度に応じて変化し、表示部12に表示される図形の大きさは、アクセル開度に応じて変化してもよい。瞬間燃費または平均燃費、及び自動2輪車20の速度のうち、表示部12に表示される図形の形状及び大きさに表示されないパラメータは、図形の色で表示されてもよい。
【0111】
[実施形態4]
図5は、乗り物用表示装置1による表示部12の表示例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)が組み合わせられて1つの図形で表示される。なお、乗り物用表示装置1の構成は、実施形態2に開示されている構成と同様である。
【0112】
パラメータ取得部11は、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)に関するデータを取得する。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得したアクセル開度及び加速度(または減速度)のデータに基づいて、液晶ディスプレイなどの表示部12に表示する図形データを生成する。すなわち、表示制御部13は、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータであるアクセル開度と、自動2輪車20の状態に関する情報を示すパラメータである加速度(または減速度)とを、表示部12に1つの図形として表示する図形データを生成する。
【0113】
表示制御部13は、前記図形データとして、アクセル開度が大きいほど、放射状に配置された複数の線Mの捩れ量が大きく、且つ、加速度(または減速度)の度合いが大きいほど、複数の線Mの回転速度が大きい図形データを生成する。また、表示制御部13は、加速と減速とで、複数の線Mの回転方向を変化させる。
【0114】
図5に、アクセル開度及び加速度(または減速度)がそれぞれ異なる場合の図形の一例を示す。この実施形態の表示例では、図5に示すように、点Zを中心として放射状に延びる複数の線Mが表示部12に表示される。
【0115】
図5に示すように、アクセル開度が大きいほど、放射状に配置された複数の線Mの捩れ量が大きくなる。アクセル開度が最も大きい状態では、複数の線Mの捩れ量が大きい。一方、アクセル開度がゼロの状態では、複数の線Mの捩れ量はゼロである。自動2輪車20が加速している場合には、複数の線Mは、点Zを中心として、時計回りに回転する。自動2輪車20が減速している場合には、複数の線Mは、点Zを中心として、反時計回りに回転する。自動2輪車20が加速または減速している場合に、その度合いが大きいほど、複数の線Mの回転速度は大きくなる。
【0116】
よって、例えば、自動2輪車20のアクセル開度が大きく且つ加速している場合(図5のBU3)には、図形の複数の線Mは、捩れ量が大きい状態で時計方向(図5のBU3における実線矢印方向)に速く回転する。自動2輪車20のアクセル開度が大きく且つ減速している場合(図5のBD3)には、図形の複数の線Mは、捩れ量が大きい状態で反時計方向(図5のBD3における実線矢印方向)に速く回転する。
【0117】
自動2輪車20が加速した状態でアクセル開度を小さくすると、図5のBU3、BU2及びBU1に示すように、図形の複数の線Mの捩れ量が小さくなる。自動2輪車20が減速した状態でアクセル開度を小さくした場合でも、図5のBD3、BD2及びBD1に示すように、図形の複数の線Mの捩れ量が小さくなる。
【0118】
自動2輪車20の加減速がゼロの場合には、図5のB3、B2、B1に示すように、図形の複数の線Mは回転しない。この場合は、自動2輪車20のアクセル開度に応じて、図形の複数の線Mの捩れ量のみが変化する。
【0119】
このように、表示部12に表示される図形は、目盛りのない程度表示で表示される。
【0120】
表示制御部13によって生成された図形データは、表示部12に出力されて、表示部12で、図形として表示される。表示制御部13は、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)によって、生成する図形データを更新する。よって、表示部12に表示される図形は、複数の線Mの捩れ量及び位置(回転速度)が変化する。
【0121】
一般的に、自動2輪車20では、アクセルグリップを捻る量によってアクセル開度を操作することにより、加減速の調整が行われる。そのため、本実施形態のように表示部12に表示する図形の複数の線Mの捩れ量をアクセル開度によって変化させることにより、前記捩れ量と前記アクセル開度とを直観的に結び付けやすい。しかも、複数の線Mの回転を自動2輪車20の加減速によって変化させることにより、自動2輪車20の運転者は、容易に定速度走行や効率の良い加速に対するアクセルワークをイメージすることができる。
【0122】
本実施形態の構成でも、他の実施形態と同様、表示制御部13は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。そして、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0123】
なお、本実施形態において、表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、加速度(または減速度)以外の自動2輪車20の状態に関するパラメータを含んでいてもよい。また、表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、アクセル開度以外の自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータを含んでいてもよい。表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータの全てが自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータであってもよい。
【0124】
また、表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛りのない程度表示で表示部12に表示させる。
【0125】
なお、本実施形態では、表示部12に表示される図形において複数の線Mの捩れ量がアクセル開度に応じて変化する。しかしながら、複数の線Mの捩れ量は、加減速によって変化してもよい。また、複数の線Mの回転は、自動2輪車20の加減速に応じて変化する。しかしながら、複数の線Mの回転は、アクセル開度に応じて変化してもよい。
【0126】
[実施形態5]
図6A及び図6Bは、乗り物用表示装置1による表示部12の表示例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20に関連する3つのパラメータE,F,Gが組み合わせられて1つの図形で表示される。なお、乗り物用表示装置1の構成は、実施形態2に開示されている構成と同様である。
【0127】
パラメータ取得部11は、自動2輪車20に関連する3つのパラメータE,F,Gのデータを取得する。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得したパラメータE,F,Gのデータに基づいて、液晶ディスプレイなどの表示部12に表示する図形データを生成する。パラメータEは、例えばアクセル開度である。パラメータFは、例えばエンジン回転数である。パラメータGは、例えば加速度または減速度である。
【0128】
表示制御部13は、前記図形データとして、パラメータEに応じて図形の形状の凹凸が変化し、且つ、パラメータFに応じて図形の大きさが変化し、且つ、パラメータGに応じて図形が変化する過程での残像の変化幅を変化させる図形データを生成する。
【0129】
図6A及び図6Bに、パラメータE,F,Gがそれぞれ異なる場合の図形の一例を示す。以下では、パラメータE,F,Gを、それぞれ、アクセル開度、エンジン回転数及び加速度として説明する。この実施形態の表示例では、表示部12に表示される図形は、径方向に配置された複数の円C1~C4を有し、後述するようにアクセル開度に応じて径方向に外形が変形している。ここで、円は、滑らかな形状だけでなく、凹凸を有する形状も含む。なお、図6A及び図6Bでは、説明のために、複数の円のうち一部の円のみに、符号C1~C4が付されている。
【0130】
図6Aに示すように、自動2輪車20のアクセル開度が大きいほど、図形の複数の円C1~C4の凹凸が大きくなる。図形の外形は、静止状態ではなく、アクセル開度に応じて決まる径方向の一定範囲内で常に変形している。自動2輪車20のエンジン回転数が高いほど、図形の外形は大きくなる。例えば、自動2輪車20のエンジン回転数が高いほど、図形の最も外側に位置する円C1の径は大きくなる。自動2輪車20の加速度が大きいほど、上述のように図形の複数の円C1~C4が変化する過程での残像の変化幅が大きくなる。
【0131】
よって、例えば、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度が大きく且つエンジン回転数も高い場合(図6A)には、図形の複数の円C1~C4は、大きい凹凸を有し、図形の外形も大きい。また、図形の複数の円C1~C4が変化する過程での残像の変化幅も大きい。一方、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度が小さく且つエンジン回転数も低い場合(図6B)には、図形の複数の円C1~C4は、ほとんど凹凸を有さず、図形の外形も小さい。また、図形の複数の円C1~C4が変化する過程での残像の変化幅も小さい。このように、表示部12に表示される図形は、目盛りのない程度表示で表示される。
【0132】
表示制御部13によって生成された図形データは、表示部12に出力される。これにより、表示部12に図形が表示される。表示制御部13は、自動2輪車20のアクセル開度、加速度及びエンジン回転数によって、生成する図形データを更新する。よって、表示部12に表示される図形において、複数の円C1~C4が径方向に変化する。
【0133】
一般的に、自動2輪車20がエンジン車両の場合、エンジン回転数が上昇すればエンジン音も高く且つ大きくなる。そのため、自動2輪車20の運転者は、エンジン出力が高まって加速度が大きくなることを、音や振動によって感覚的に把握することができる。しかしながら、近年では、エンジンのEV化や静寂化が進んでいるため、上述のように運転者が自動2輪車20の状態を感覚的に把握しにくくなりつつある。
【0134】
これは、自動2輪車20の状態を運転者に感覚的に伝える要素が希薄になるだけでなく、自動2輪車20の魅力でもある「昂り感」をも希薄なものにしてしまう。これに対して、表示部12に本実施形態のような表示を行うことで、従来の音や振動で伝えていた感覚を視覚的に表現することができる。
【0135】
本実施形態の構成でも、他の実施形態と同様、表示制御部13は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。そして、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0136】
また、表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛りのない程度表示で表示部12に表示させる。
【0137】
なお、本実施形態において、パラメータE,F,Gは、自動2輪車20に関連するパラメータであれば、どのようなパラメータであってもよい。ただし、パラメータE,F,Gのうち少なくとも一つのパラメータは、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータのいずれかである。
【0138】
[実施形態6]
図7は、乗り物用表示装置1による表示部12の表示例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20に関連するパラメータH、エンジン回転数及びエンジン回転数の変化速度が組み合わせられて1つの図形で表示される。なお、乗り物用表示装置1の構成は、実施形態2に開示されている構成と同様である。
【0139】
パラメータ取得部11は、パラメータH及び自動2輪車20のエンジン回転数に関するデータを取得する。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得したパラメータH、及びエンジン回転数のデータに基づいて、液晶ディスプレイなどの表示部12に表示する図形データを生成する。パラメータHは、例えばアクセル開度である。
【0140】
表示制御部13は、前記図形データとして、パラメータHに応じて基準線Xの長さが変化し、エンジン回転数が高いほど基準線Xの位置が高く、エンジン回転数の変化速度が大きいほど、基準線Xの残像である線Yの間隔が狭い図形データを生成する。
【0141】
図7に、表示部12に表示する図形の一例を示す。以下では、パラメータHを、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータであるアクセル開度として説明する。この実施形態の表示例では、表示部12に表示される図形は、エンジン回転数に応じて位置が変化する直線状の基準線X(図7に示す太線)と、前記基準線が移動した際に形成され且つ一定時間で消える残像の線Y(図7に示す細線)とを有する。基準線Xの長さは、自動2輪車20のアクセル開度によって変化する。
【0142】
図7に示すように、自動2輪車20のアクセル開度が大きいほど、基準線Xの長さが長くなる。自動2輪車20のエンジン回転速度が高いほど、基準線Xの位置も高くなる。基準線Xが変化すると、その残像である線Yが一定時間、表示部12に表示される。自動2輪車20のエンジン回転数の変化速度が大きいほど、残像の線Yの間隔が狭くなる。このように、表示部12に表示される図形は、目盛りのない程度表示で表示される。
【0143】
表示制御部13によって生成された図形データは、表示部12に出力される。これにより、表示部12に図形が表示される。表示制御部13は、自動2輪車20のアクセル開度、エンジン回転数及びエンジン回転数の変化速度によって、生成する図形データを更新する。よって、表示部12に表示される図形において、基準線Xの長さ及び位置、残像の線Yの間隔及び数が変化する。
【0144】
本実施形態の表示例によれば、実施形態5の表示例と同様、従来のエンジン車両が有するエンジン回転数の上昇感やシフトダウン時の減速感を、視覚的に表現することができる。これにより、自動2輪車20の運転者は、自動2輪車20の動力の動作状況を感覚的に把握することができる。
【0145】
本実施形態の構成でも、他の実施形態と同様、表示制御部13は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。そして、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0146】
また、表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛りのない程度表示で表示部12に表示させる。
【0147】
さらに、表示制御部13は、前記1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも3つを、前記複数種類のパラメータのうち3つよりも少ない種類の異なるパラメータにおける少なくとも3つの物理量で変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。
【0148】
なお、本実施形態において、パラメータHは、自動2輪車20に関連するパラメータのうち自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータのいずれかであれば、どのようなパラメータであってもよい。
【0149】
本実施形態では、図形の形状、大きさ及び位置の3つを、アクセル開度及びエンジン回転数の2つのパラメータにおける、アクセル開度、エンジン回転数及びエンジン回転数の変化速度の3つの物理量で変化させる。
【0150】
これにより、自動2輪車20の運転者は、自動2輪車20の状態や環境情報のより複雑で且つ多様な変化を容易に把握できる。
【0151】
本実施形態では、前記3つよりも少ない種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが、それぞれ前記運転者に動作を促すパラメータである、前記乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、前記乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び前記乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。このように、3つよりも少ない種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータを、運転者に動作を促すパラメータにすることにより、前記運転者に動作を促すことができる。表示部12に表示するパラメータの少なくとも一つを変えることにより、構成を複雑化することなく、乗り物用表示装置1の機能向上を図れる。
【0152】
よって、乗り物用表示装置1において、大局的な傾向を把握可能な構成を、複雑化することなく機能向上することができる。
【0153】
[実施形態7]
図8Aから図8Cは、乗り物用表示装置1による表示部12の表示例を示す。この実施形態の例では、表示部12に、自動2輪車20に関連する2つのパラメータが組み合わせられて1つの図形で表示される。なお、乗り物用表示装置1の構成は、実施形態2に開示されている構成と同様である。本実施形態において組み合わせられる2つのパラメータは、例えば、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータであるアクセル開度と、自動2輪車20の状態に関する情報を示すパラメータである加速度(または減速度)である。
【0154】
パラメータ取得部11は、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)に関するデータを取得する。表示制御部13は、パラメータ取得部11で取得したアクセル開度及び加速度(または減速度)のデータに基づいて、液晶ディスプレイなどの表示部12に表示する図形データを生成する。
【0155】
表示制御部13は、前記図形データとして、複数の点Pが円弧状に並び且つ前記複数の点のうち隣り合う点Pが線Lで結ばれた一対の列D1,D2を有する図形データを生成する。この図形データでは、一対の列D1,D2は、線対称に配置されている。
【0156】
また、表示制御部13は、前記図形データとして、一対の列D1,D2において、それぞれ、複数の点Pが径方向に移動する際に該点Pを頂点とする三角形を形成するような図形データを生成する。表示制御部13は、前記図形データとして、一対の列D1,D2において、それぞれ、自動2輪車20のアクセル開度が大きいほど複数の点Pの位置のばらつきが大きく、自動2輪車20の加速度(または減速度)が大きいほど複数の点Pの移動量が大きい図形データを生成する。
【0157】
図8Aから図8Cに、表示部12に表示する図形の一例を示す。この実施形態の表示例では、図8Aに示すように、表示部12に表示される図形は、複数の点Pが円弧状に並び且つ複数の点Pのうち隣り合う点Pが線Lで結ばれた一対の列D1,D2を有する。
【0158】
図8Bに示すように、自動2輪車20のアクセル開度が大きいほど、一対の列D1,D2における複数の点Pの位置のばらつきが大きくなる。自動2輪車20の加速度(または減速度)が大きいほど、一対の列D1,D2における複数の点Pの基準位置ST1,ST2からの移動量が大きくなる。自動2輪車20が加速している場合には、一対の列D1,D2における複数の点Pは、基準位置ST1,ST2に対して、もう一方の列から遠ざかる方向に移動する。図8Cに示すように、自動2輪車20が減速している場合には、一対の列D1,D2における複数の点Pは、基準位置ST1,ST2に対して、もう一方の列に近づく方向に移動する。
【0159】
表示制御部13によって生成された図形データは、表示部12に出力されて、表示部12で、図形として表示される。表示制御部13は、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)によって、生成する図形データを更新する。よって、表示部12に表示される図形では、複数の点Pの位置及び線Lの長さが変化する。
【0160】
一般的に、自動2輪車20がエンジン車両の場合、エンジン回転数が上昇すればエンジン音も高く且つ大きくなる。そのため、自動2輪車20の運転者は、エンジン出力が高まって加速度が大きくなることを、音や振動によって感覚的に把握することができる。しかしながら、近年では、エンジンのEV化や静寂化が進んでいるため、上述のように運転者が自動2輪車20の状態を感覚的に把握しにくくなりつつある。
【0161】
これは、自動2輪車20の状態を感覚的に運転者に伝える要素が希薄になるだけでなく、自動2輪車20の魅力でもある「昂り感」をも希薄なものにしてしまう。これに対して、表示部12に本実施形態のような表示を行うことで、従来の音や振動で伝えていた感覚を視覚的に表現することができる。
【0162】
本実施形態の構成でも、他の実施形態と同様、表示制御部13は、表示部12に表示する1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、自動2輪車20に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形を、表示部12に表示させる。そして、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0163】
なお、本実施形態において、表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、加速度(または減速度)以外の自動2輪車20の状態に関するパラメータを含んでいてもよい。また、表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、アクセル開度以外の自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータを含んでいてもよい。表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータを含んでいてもよい。表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータは、自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータを含んでいてもよい。表示部12に表示する2つ以上の種類の異なるパラメータの全てが自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータであってもよい。
【0164】
また、表示制御部13は、前記1つの図形として、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを、目盛りのない程度表示で表示部12に表示させる。
【0165】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0166】
前記実施形態2から6に記載されている表示例において、図形をカラー表示にしてもよいし、図形を3D画像で表示してもよい。このように図形を表示することで、自動2輪車20の運転者が自動2輪車20の状態を感覚的に把握しやすくすることができる。
【0167】
前記実施形態2から7に記載されている表示例と、従来のメータ表示とを組み合わせてもよい。前記実施形態4の表示例とメータ表示100とを組み合わせた例を、図9に示す。前記実施形態5の表示例と数字のメータ表示200とを組み合わせた例を、図10に示す。図9において、符号101はメータの針であり、符号102はメータの目盛である。
【0168】
このように、前記各実施形態の表示例とメータ表示とを組み合わせることにより、自動2輪車20の運転者の利便性を向上できる。例えば、自動2輪車20の運転者がメータ表示を視認することで、前記運転者はより正確な情報を把握できる。一方、自動2輪車20の運転者が前方を注視している場合などでは前記運転者の周辺視野で前記各実施形態の表示例を視認することにより、自動2輪車20の状態を感覚的に把握することができる。
【0169】
前記実施形態2から7に記載されている表示例において、一部を目盛ありの表示にしてもよい。また、前記実施形態2から7に記載されている表示例を、目盛の表示と組み合わせてもよい。
【0170】
前記実施形態1、2では、表示部12は、自動2輪車20の前部に配置されている。しかしながら、表示部は、自動2輪車の前部に対して、着脱可能に取り付けられていてもよい。また、表示部は、携帯端末の表示部であってもよい。また、表示部は、自動2輪車に取り付けられる表示装置だけでなく、自動2輪車の運転者が頭部に装着するヘルメットのバイザー、ヘッドマウントディスプレイ、ゴーグル型VR端末、眼鏡型端末などのように、運転者が視認可能な位置に図形を表示する装置であればよい。
【0171】
乗り物用表示装置は、パラメータ取得部、表示制御部及び表示部のうち少なくとも一部が別体で構成されていてもよい。乗り物用表示装置は、携帯通信端末及び携帯演算端末などの携帯端末によって構成されていてもよい。
【0172】
この場合、運転者の視界を遮らないように、表示部に図形を表示するのが好ましい。
【0173】
前記実施形態2では、表示部12に、自動2輪車20の速度及び制限速度と速度との関係が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態2のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車の速度及び制限速度と速度との関係に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0174】
前記実施形態3では、表示部12に、自動2輪車20の速度及び瞬間燃費が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態3のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車の速度及び瞬間燃費に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0175】
前記実施形態4では、表示部12に、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態4のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車のアクセル開度及び加速度(または減速度)に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0176】
前記実施形態5では、表示部12に、自動2輪車20のアクセル開度、加速度(または減速度)及びエンジン回転数が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態5のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車のアクセル開度、加速度(または減速度)及びエンジン回転数に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0177】
前記実施形態6では、表示部12に、自動2輪車20のアクセル開度、エンジン回転数及びエンジン回転数の変化速度が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態6のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車のアクセル開度、エンジン回転数及びエンジン回転数の変化速度に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0178】
前記実施形態7では、表示部12に、自動2輪車20のアクセル開度及び加速度(または減速度)が組み合わせられて1つの図形で表示される。しかしながら、自動2輪車に関連する他のパラメータを複数種類、組み合わせて、実施形態7のような1つの図形を、表示部に表示してもよい。また、自動2輪車のアクセル開度及び加速度(または減速度)に加えて自動2輪車に関連する他のパラメータを組み合わせて、1つの図形を表示部に表示してもよい。
【0179】
前記実施形態2から7に記載されている表示例を、組み合わせて表示部に表示してもよい。
【0180】
図11に示すように、メータ表示100aの針101aの位置、輝度、及び針101aの移動時の残像A1によって、複数のパラメータを表示してもよい。詳しくは、針101aの回転方向の位置は、エンジン回転数(または出力回転数)に応じて変わる。針101aの輝度は、アクセル開度に応じて変わる。針101aの移動時の残像A1の大きさは、エンジン回転数(または出力回転数)の変化量に応じて変わる。
【0181】
これにより、乗り物の運転者は、エンジン回転数(または出力回転数)の変化及びアクセル開度の変化を視覚で感覚的に把握することができる。
【0182】
なお、図11の表示例においても、乗り物に関連する他のパラメータを表示してもよい。例えば、針101aまたは残像A1における色または形状を、それぞれ自動2輪車20の運転者に動作を促すパラメータである、自動2輪車20の周囲の環境情報を示すパラメータ、自動2輪車20の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び自動2輪車20の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つによって変更してもよい。
【0183】
前記実施形態2から7における各表示例には限定されない。1つの図形の形状、大きさ、色、輝度、位置のうち少なくとも2つを、乗り物に関連する複数種類のパラメータのうち2つ以上の種類の異なるパラメータによって変化させた前記1つの図形であれば、どのような図形を表示部に表示してもよい。この場合でも、前記2つ以上の種類の異なるパラメータのうち少なくとも一つのパラメータは、それぞれ乗り物の運転者に動作を促すパラメータである、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータの一つを含む。
【0184】
前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータとを含んでもよい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータとを含んでもよい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の状態に関する情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の状態を示すパラメータとを含んでもよい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータとを含んでもよい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含んでもよい。前記2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータと、乗り物の運転者の状態に関する情報を示すパラメータとを含んでもよい。
【0185】
また、上述の各組み合わせにおいて、前記2つ以上の種類の異なるパラメータとして、乗り物の状態に関する情報を示すパラメータ、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物の運転者の状態を示すパラメータの少なくとも一つがさらに加わっていてもよい。
【0186】
2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータのみであってもよいし、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータのみであってもよいし、乗り物の運転者の状態を示すパラメータのみであってもよい。2つ以上の種類の異なるパラメータは、乗り物の周囲の環境情報を示すパラメータ、乗り物の運転者の操作に関する情報を示すパラメータ及び乗り物の運転者の状態を示すパラメータの少なくとも一つのみを含んでいてもよい。
【0187】
前記各実施形態では、乗り物は、例えば自動2輪車20である。しかしながら、自動2輪車以外の乗り物に対して前記各実施形態の構成を適用してもよい。ここで、乗り物とは、乗員を移動可能な移動体を意味する。乗り物は、例えば、2輪車、3輪車、4輪車などの車両や、船舶、潜水艦、航空機、ヘリコプター、宇宙船、気球、電車、汽車、スノーモービル、ロープウェイ、エレベーター等、人を乗せた状態で移動可能な機器を全て含む。
【0188】
なお、乗り物の動力源は、エンジンであってもよいし、モータであってもよいし、エンジン及びモータを組み合わせたハイブリッドシステムなどであってもよい。
【符号の説明】
【0189】
1 乗り物用表示装置
2 乗り物
11 パラメータ取得部
12 表示部
13 表示制御部
14 物理量演算部
15 図形データ生成部
20 自動2輪車
100 メータ表示
101 針
102 目盛
200 メータ表示
T 制限速度線
R 円環
M 線
C1~C4 円
X 基準線
Y 残像の線
D1、D2 列
ST1、ST2 基準位置
P、Z 点
L 線
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12