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特許7412461ニューラルネットワークに基づくチャネル推定を使用する伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークに基づくチャネル推定を使用する伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/00 20060101AFI20240104BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20240104BHJP
   H04B 1/7107 20110101ALI20240104BHJP
【FI】
H04L27/00 B
H04B7/0413
H04B1/7107
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021577458
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2019067806
(87)【国際公開番号】W WO2021001032
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベセマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イエジアン
(72)【発明者】
【氏名】ビルト,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】モハマディ,ジャファー
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02757750(EP,A1)
【文献】特開平05-048391(JP,A)
【文献】特開2014-187418(JP,A)
【文献】特開2006-101508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/00-27/38
H04B 7/0413
H04B 1/7107
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信するための手段であって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換する送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換する受信機アルゴリズムを含む、受信するための手段と、
正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段と、
推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて、推定チャネル伝達関数を生成するための手段と、
各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供するための手段と
を備える、装置。
【請求項2】
前記正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段が、変調モジュールを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段が、推定送信シンボルをパイロットシンボルと結合するマルチプレクサを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
信ビットが正しいとみなされるか否かを決定するための手段をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
推定チャネル伝達関数を生成するための手段が、チャネル推定器を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
装置であって、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化するための手段であって、伝送システムは、送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換する受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、初期化するための手段と、
記憶されているトレーニングデータペアに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成するための手段であって、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備え、更新パラメータを生成するための手段は損失関数を最小化するための手段を備える、更新パラメータを生成するための手段と、
前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新するための手段と
を備える、装置。
【請求項7】
更新パラメータを生成するための手段を使用した更新パラメータの反復生成と、トレーニング可能パラメータを更新するための手段を使用した前記トレーニング可能パラメータの反復更新とを制御するための手段をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
更新パラメータの反復生成と前記トレーニング可能パラメータの反復更新とを制御するための手段が、更新されたトレーニングデータに応答して動作する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記トレーニングデータペアが、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置を使用して提供される、請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記トレーニングデータペアの第2の要素は無相関化受信データを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記無相関化受信データが、無相関化され、平均化された受信シンボルを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記トレーニングデータペアを記憶するためのデータベースをさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
装置であって、
送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信するための手段であって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、受信するための手段と、
受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離するための手段と、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理するための手段であって、前記チャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備え、トレーニング可能アルゴリズムのパラメータが、記憶されているトレーニングデータペアに基づいて更新され、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備える、受信パイロット信号を処理するための手段と、
前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理するための手段と、
処理された受信データシンボルを受信データビットに変換するための手段と
を備える、装置。
【請求項14】
1つ以上のシンボルが、複数のデータ層に含まれる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
受信データシンボルを処理するための手段が、それぞれの要求されるデータ層からの受信シンボルの処理を可能にするために、複数のデータ層のうちの1つ以上の不要なデータ層に対応するシンボルの受信信号寄与を打ち消すための干渉消去モジュールを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
処理された受信データシンボルを変換するための手段が、復調モジュールおよび/またはデコーダモジュールを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
伝送システムが、多入力多出力(MIMO)伝送システムを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
伝送システムの受信機が、複数の層を含む入力を受信する、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
伝送システムの受信機が、移動体通信基地局の一部を形成する、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
伝送システムの受信機が、ユーザデバイスの一部を形成する、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
方法であって、
1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと、
正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと、
推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて、推定チャネル伝達関数を生成することと、
各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することと
を含む、方法。
【請求項22】
方法であって、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは、送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと、
記憶されているトレーニングデータペアに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含み、更新パラメータを生成するための手段は損失関数を最小化するための手段を備える、ことと、
前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することと
を含む、方法。
【請求項23】
方法であって、
送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと、
受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備え、トレーニング可能アルゴリズムのパラメータが、記憶されているトレーニングデータペアに基づいて更新され、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備える、ことと、
前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと、
処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することと
を含む、方法。
【請求項24】
コンピュータプログラムであって、装置に少なくとも、以下のこと、
1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと、
正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと、
推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて、推定チャネル伝達関数を生成することと、
各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することと
を行わせるための命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項25】
コンピュータプログラムであって、装置に少なくとも、以下のこと、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは、送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと、
記憶されているトレーニングデータペアに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含み、更新パラメータを生成するための手段は損失関数を最小化するための手段を備える、ことと、
前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することと
を行わせるための命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項26】
コンピュータプログラムであって、装置に少なくとも、以下のこと、
送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変化するための受信機アルゴリズムを含む、ことと、
受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと、
伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを含み、トレーニング可能アルゴリズムのパラメータが、記憶されているトレーニングデータペアに基づいて更新され、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、ことと、
前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと、
処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することと
を行わせるための命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、伝送システムのトレーニングおよび使用など、伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単な伝送システムは、送信機と、伝送チャネル(たとえば伝播チャネル)と、受信機とを含む。そのような伝送システムの1つ以上の要素は、たとえば生成されたトレーニングデータに基づいてトレーニングされる場合がある。この分野は、発展を遂げているがさらなる発展の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様では、本明細書は、装置であって:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを(たとえばトレーニングデータ生成器の入力において)受信するための手段であって、受信シンボルは(たとえば伝送システムの受信機端末の基地局において、ユーザデバイスにおいて、制御ノードにおいてなど)伝送システムの受信機において受信され、伝送システムは送信機とチャネル(たとえば1つ以上のチャネル)と受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、受信するための手段と;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段と;推定送信シンボルのうちの1つ以上の推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとに(少なくとも部分的に)基づいて推定チャネル伝送関数を生成するための手段と;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素(たとえば、無相関化され、平均化された受信シンボルなどの無相関化受信データであって、受信シンボルおよび推定送信シンボルに関係し得るデータ)とを含むトレーニングデータペアを提供するための手段とを備える、装置を提供する。伝送システムは多入力多出力(MIMO)伝送システムであってもよい。
【0004】
伝送システムのチャネルは、任意の次元の配列によって記述されてもよい(たとえば複数送信アンテナ、複数受信アンテナ、および複数副搬送波の場合の伝播は、3次元複素配列によって記述可能である)。しかし、チャネル推定器が複数のチャネル間のいかなる関係(共分散など)も利用しない場合、チャネルは別々に、すなわち、多次元配列としてではなく扱われてもよい。
【0005】
前記正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段は、ビット(符号化ビット、たとえばLEDP符号化ビットなど)を変調シンボル(たとえばQAMシンボルまたは他の何らかのシンボル)に変換する変調モジュールなどの変調モジュールを含んでもよい。これに代えて、またはこれに加えて、前記正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するための手段は、変調ビットシンボルをパイロットシンボルと結合するマルチプレクサを備えてもよい。この多重化は、変調シンボルに対して行われてもよい。
【0006】
一部の実施形態は、受信した送信ビットが正しいとみなされるか否かを決定するための手段をさらに備える。前記手段は、パリティチェッキングモジュールであってもよい。
【0007】
推定チャネル伝達関数を生成するための手段は、チャネル推定器を備え得る。
【0008】
いくつかの実施形態は、前記トレーニングデータペアを記憶するためのデータベースをさらに備える。
【0009】
第2の態様では、本明細書は、装置であって:伝送システム(たとえば多入力多出力(MOMO)伝送システム)の受信機のチャネル推定器モジュール(たとえばニューラルネットワークベースのチャネル推定器モジュール)のトレーニング可能パラメータを初期化するための手段であって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換する受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、初期化するための手段と;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成するための手段であって、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素(たとえば、無相関化され、平均化された受信シンボルなどの無相関化受信データであって、受信シンボルと推定送信シンボルとに関係し得るデータ)とを備え、更新パラメータを生成するための手段は(たとえば確率勾配降下または同様の何らかのアルゴリズムを使用して)損失関数を最小化するための手段を備える、更新パラメータを生成するための手段と;前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新するための手段とを備える、装置を提供する。第2の態様のトレーニングデータペアは、第1の態様を参照して前述した装置を使用して提供されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態は、更新パラメータを生成するための手段を使用した更新パラメータの反復生成と、トレーニング可能パラメータを更新するための手段を使用した前記トレーニング可能パラメータの反復更新とを制御するための手段をさらに備える。更新パラメータの生成は、第1の条件に達するまで反復されてもよい。そのような第1の条件の例は、定義された反復回数または定義されたパフォーマンスレベルを含む。これに代えて、またはこれに加えて、アルゴリズムは、新たなトレーニングデータが受信されると反復されてもよい。更新パラメータの反復生成と前記トレーニング可能パラメータの反復更新とを制御するための手段は、更新されたトレーニングデータ(所与の数の追加トレーニングデータ点など)に応答して動作する。
【0011】
第1または第2の態様において、前記トレーニングデータペアの第2の要素は、無相関化受信データを含んでもよい。前記無相関化受信データは、無相関化され、および平均化された受信シンボルを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態は、前記トレーニングデータペアを記憶するためのデータベースをさらに備える。
【0013】
第3の態様では、本明細書は、装置であって:送信機とチャネル(たとえば1つ以上のチャネル)と受信機とを備える伝送システム(たとえば多入力多出力(MIMO)伝送システム)の受信機において1つ以上のシンボルを受信するための手段であって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズム(送信アルゴリズムはパイロットシンボル挿入、符号化または変調のうちの1つ以上を含み得る)を含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズム(たとえばパイロットシンボル抽出、復調、または復号のうちの1つ以上を含む)を含む、受信するための手段と;(たとえばデマルチプレクサを使用して)受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離するための手段と;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュール(たとえばニューラルネットワークベースのチャネル推定器)を使用して受信パイロット信号を処理するための手段であって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備える、受信パイロット信号を処理するための手段と;前記チャネル推定モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理するための手段と;処理された受信データシンボルを受信データビットに変換するための手段とを備える、装置を提供する。
【0014】
伝送システムのチャネルは任意の次元の配列によって記述可能である(たとえば複数送信アンテナ、複数受信アンテナ、および複数副搬送波の場合の伝播は、3次元複素配列によって記述可能である)。しかし、チャネル推定器が複数のチャネル間のいかなる関係(共分散など)も利用しない場合、チャネルは別々に、すなわち、多次元配列としてではなく扱われてもよい。
【0015】
処理された受信データシンボルを変換するための手段は、復調モジュールおよび/またはデコーダモジュールを備えてもよい。
【0016】
伝送システムの受信機は、複数の層を含む入力を受信してもよい。
【0017】
伝送システムの受信機は、移動体通信基地局の一部を形成してもよい。これに代えて、またはこれに加えて、伝送システムの受信機は、ユーザデバイスの一部を形成してもよい。
【0018】
第1から第3の態様において、チャネル推定器は畳み込みネットワークなどのニューラルネットワークを使用して実現されてもよい。畳み込みニューラルネットワークは、複数の層(たとえば2つの層)を含んでもよく、活性化層(たとえばソフトマックスまたはReLu活性化)を含んでもよい。
【0019】
第1から第3の態様において、1つ以上の受信シンボルは、複数のデータ層に含まれてもよい。受信データシンボルを処理するための手段は、干渉消去(interference cancellation)モジュールを備えてもよい。干渉消去モジュールは、それぞれの要求されるデータ層からの受信シンボルの処理を可能にするために、複数のデータ層のうちの1つ以上の不要なデータ層に対応するシンボルの受信信号寄与を打ち消すように構成されてもよい。
【0020】
第4の態様では、本明細書は、方法であって:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと;推定送信シンボルのうちの1つ以上の推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとに基づいて推定チャネル伝達関数を生成することと;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することとを含む、方法を提供する。
【0021】
正しいとみなされる、受信ビットのうちの前記1つ以上の受信ビットを、1つ以上の推定送信シンボルに変換することは、ビット(符号化ビット、たとえばLEDP符号化ビット)を変調シンボル(たとえばQAMシンボルまたは他の何らかのシンボル)に変換することを含んでもよい。あるいは、正しいとみなされる、受信ビットのうちの前記1つ以上の受信シンボルを、1つ以上の推定送信シンボルに変換することは、変調ビットシンボルをパイロットシンボルと結合することを含んでもよい。
【0022】
この方法は、受信した送信ビットが正しいとみなされるか否かを決定することを含んでもよい。前記手段は、パリティチェッキングモジュールであってもよい。
【0023】
前記トレーニングデータペアを記憶するためのデータベースが設けられてもよい。
【0024】
第5の態様では、方法であって:本明細書は、伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は、1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は、1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含み、更新パラメータを生成するための手段は(たとえば確率勾配降下または同様の何らかのアルゴリズムを使用して)損失関数を最小化するための手段を備える、ことと;前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することとを含む方法について記載する。一例では、チャネル推定器モジュールは、畳み込みネットワークなどのニューラルネットワークを使用して実現される。畳み込みニューラルネットワークは、複数の層(たとえば2つの層)を含んでもよく、活性化層(たとえばソフトマックスまたはReLu活性化)を含んでもよい。
【0025】
第5の態様のトレーニングデータペアは、第4の態様を参照して上述した方法を使用して提供されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態は、更新パラメータを生成するための手段を使用した更新パラメータの反復生成と、トレーニング可能パラメータを更新するための手段を使用した前記トレーニング可能パラメータの反復更新とを制御することをさらに含む。更新パラメータの生成は、(定義された反復回数または定義されたパフォーマンスレベルなどの)第1の条件に達するまで反復されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、前記トレーニング可能パラメータの更新は、更新トレーニングデータ(所与の数の追加のトレーニングデータ点など)に応答して反復されてもよい。
【0027】
第6の態様では、本明細書は、方法であって:送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備える、ことと;前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと;処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することとを含む方法について記載する。チャネル推定器モジュールは、ニューラルネットワークとして実現されてもよい。
【0028】
受信シンボルは1つ以上の層に含まれてもよい。
【0029】
受信データシンボルを処理することは、干渉消去モジュール、たとえば、それぞれの要求されるデータ層からの受信シンボルの処理を可能にするために、複数のデータ層のうちの1つ以上の不要なデータ層に対応するシンボルの受信信号寄与を打ち消すための干渉消去モジュールを含んでもよい。
【0030】
伝送システムの受信機は、複数の層を含む入力を受信してもよい。
【0031】
伝送システムの受信機は、移動体通信基地局の一部を形成してもよい。これに代えて、またはこれに加えて、伝送システムの受信機は、ユーザデバイスの一部を形成してもよい。
【0032】
第7の態様では、本明細書は、第4から第6の態様を参照して上述したいずれかの方法を行うように構成された装置について記載する。
【0033】
第8の態様では、本明細書は、コンピューティング装置によって実行されると、コンピューティング装置に、第4から第6の態様を参照して上述したいずれかの方法を行わせる、コンピュータ可読命令について記載する。
【0034】
第9の実施形態では、本明細書は、コンピュータプログラムであって、装置に、少なくとも以下のこと:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと;推定送信シンボルと対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて推定チャネル伝達関数を生成することと;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することとを行わせる命令を含む、コンピュータプログラムについて記載する。
【0035】
第10の態様では、本明細書は、コンピュータプログラムであって、装置に、少なくとも以下のこと:伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含み、更新パラメータを生成するための手段は(たとえば確率勾配降下または同様の何らかのアルゴリズムを使用して)損失関数を最小化するための手段を含む、ことと;前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することとを行わせる命令を含む、コンピュータプログラムを提供する。チャネル推定器モジュールは、ニューラルネットワークとして実現されてもよい。
【0036】
第11の態様では、本明細書は、コンピュータプログラムであって、装置に、少なくとも以下のこと:送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを含む、ことと;前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと;処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することとを行わせる命令を含む、コンピュータプログラムについて記載する。チャネル推定器モジュールは、ニューラルネットワークとして実現されてもよい。
【0037】
第12の態様では、本明細書は、コンピュータ可読媒体であって、少なくとも以下のこと:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと;推定送信シンボルのうちの1つ以上の推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとに基づいて推定チャネル伝達関数を生成することと;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することとを、行うために記憶されたプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体について記載する。
【0038】
第13の態様では、本明細書は、コンピュータ可読媒体であって、少なくとも以下のこと:伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備え、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備え、更新パラメータを生成するための手段は損失関数を最小化するための手段を備える、ことと;前記生成された更新パラメータに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することとを、行うために記憶されたプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体について記載する。
【0039】
第14の態様では、本明細書は、コンピュータ可読媒体であって、少なくとも以下のこと:送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備える、ことと;前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと;処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することとを行うために記憶されたプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体について記載する。
【0040】
第15の態様では、本明細書は、少なくとも1つのプロセッサと;コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって:コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信することであって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを含む伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換することと;推定送信シンボルと対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて推定チャネル伝達関数を生成することと;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供することとを行わせる、装置について記載する。
【0041】
第16の態様では、本明細書は、少なくとも1つのプロセッサと;コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって:コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置に:伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを初期化することであって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備える、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは、前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、ことと;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成することであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備え、更新パラメータを生成するための手段は損失関数を最小化するための手段を備える、ことと;生成された前記更新パラメータに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新することとを行わせる、装置について記載する。
【0042】
第17の態様では、本明細書は、少なくとも1つのプロセッサと;コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって:コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると装置に:送信機とチャネルと受信機とを含む伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信することであって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、ことと;受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離することと;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理することであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを含む、ことと;前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理することと;処理された受信データシンボルを受信データビットに変換することとを行わせる、装置について記載する。
【0043】
第18の態様では、本明細書は、装置であって:1つ以上の受信シンボルと1つ以上の受信ビットとを受信するための入力(たとえば受信機メモリ)であって、受信シンボルは、送信機とチャネルと受信機とを備える伝送システムの受信機において受信され、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、入力と;正しいとみなされる、受信ビットのうちの1つ以上を、1つ以上の推定送信シンボルに変換するためのコンバータモジュール(エンコーダおよび/または変調器)と;推定送信シンボルと、対応する受信シンボルとのうちの1つ以上に基づいて推定チャネル伝達関数を生成するためのチャネル推定器と;各トレーニングデータペアが推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを含む、トレーニングデータペアを提供するための出力とを備える、装置について記載する。
【0044】
第19の態様では、本明細書は、装置であって:伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュール(たとえばニューラルネットワークベースのチャネル推定器モジュール)のトレーニング可能パラメータを初期化するための初期化モジュールであって、伝送システムは送信機と1つ以上のチャネルと受信機とを備える、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含み、受信機のチャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成する、初期化モジュールと;記憶されているトレーニングデータペアに基づいて受信機のチャネル推定器モジュールの更新パラメータを生成するためのパラメータモジュールであって、各トレーニングデータペアは推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素とを備え、パラメータモジュールを更新するための手段は、損失関数を最小化するための手段を備える、パラメータモジュールと;前記生成された更新パラメータに基づいて、受信機のチャネル推定器モジュールのトレーニング可能パラメータを更新するための更新モジュールとを備える、装置を提供する。
【0045】
第20の態様では、本明細書は、装置であって:送信機とチャネルと受信機とを備える前記伝送システムの受信機において1つ以上のシンボルを受信するための入力であって、送信機は1つ以上の送信ビットを1つ以上の送信シンボルに変換するための送信機アルゴリズムを含み、受信機は1つ以上の受信シンボルを1つ以上の受信ビットに変換するための受信機アルゴリズムを含む、入力と;受信シンボルを受信データシンボルと受信パイロットシンボルとに分離するためのデマルチプレクサと;伝送システムの受信機のチャネル推定器モジュールを使用して受信パイロット信号を処理するためのチャネル推定器モジュールであって、前記チャネル推定器モジュールは前記チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを備える、チャネル推定器モジュールと;前記チャネル推定器モジュールの出力に応じて受信データシンボルを処理するための第1のプロセッサ(たとえば干渉除去合成器(interference rejection combiner))と;処理された前記受信データシンボルを受信データビットに変換するための出力モジュールとを備える装置を提供する。
【0046】
次に、以下の概略図面を参照しながら例示の実施形態について非限定的例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】例示の一実施形態による例示のエンド・トゥ・エンド通信システムを示すブロック図である。
図2図1のシステムの使用例を示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
図3図1のシステムで使用可能な例示の送信機を示すブロック図である。
図4図3の送信機の使用例を示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
図5】例示の一実施形態による図1のシステムで使用可能な例示の受信機を示すブロック図である。
図6】例示の一実施形態による、図5の受信機の使用例を示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
図7】例示の一実施形態によるシステムを示すブロック図である。
図8】例示の一実施形態による、図7のシステムにおいて使用可能なニューラルネットワークを示すブロック図である。
図9】例示の一実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図10】例示の一実施形態によるシステムを示すブロック図である。
図11図10のトレーニングデータ生成器の使用例を示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
図12】例示の一実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図13】例示の一実施形態によるシステムを示すブロック図である。
図14】例示の一実施形態によるシステムを示すブロック図である。
図15】例示の一実施形態によるシステムのコンポーネントを示すブロック図である。
図16A】コンピュータによって実行されると実施形態による動作を行うコンピュータ可読コードを記憶する取り外し可能メモリユニットである有形媒体を示す図である。
図16B】コンピュータによって実行されると実施形態による動作を行うコンピュータ可読コードを記憶するコンパクトディスク(CD)である有形媒体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
様々な実施形態について求める保護の範囲は、独立請求項により記載されている。独立請求項の範囲に含まれない本明細書に記載の実施形態および特徴があれば、それらは本発明の様々な実施形態を理解するのに役立つ例と解釈すべきである。
【0049】
説明および図面において、全体を通じて同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0050】
図1は、例示の一実施形態による、参照番号1によって全体が示されている例示のエンド・トゥ・エンド通信システムを示すブロック図である。システム1は、送信機2とチャネル4と受信機6とを含む。システムレベルで見ると、システム1は、送信機2への入力において受信した入力ビットストリームB(t)を、受信機6の出力における出力ビットストリームB(t)に変換する。より具体的には、送信機2は、入力ビットストリームB(t)を、チャネル4上の送信のために送信シンボルX(t)に変換し、受信機6は、チャネル4から受信したシンボルY(t)から出力ビットストリームB(t)を生成する。
【0051】
図2は、通信システム1の使用例を示す、参照番号10によって全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0052】
アルゴリズム10は、動作11で開始し、送信機2によってデータがチャネル4を使用して受信機6に送信される。動作12で、送信データが受信機6で受信される。したがって、動作1でデータシンボルX(t)が送信可能であり、動作12でデータシンボルY(t)が受信され、データシンボルY(t)から元のデータストリームB(t)の推定値が導出可能である。
【0053】
アルゴリズム10の動作13で、受信機6において受信したデータが正しいか否か(たとえば、受信機における推定データビットが送信データストリームのビットと一致しているか否か)の決定が行われる。これはたとえば、パリティチェックまたは同様のアルゴリズムを使用して実現されてもよい。データが正しくないとみなされる場合、データが動作14で拒否されてから、アルゴリズム10は動作16で終了する。データが正しいとみなされる場合、データは動作15で(たとえば他の場所での使用のために)転送され、アルゴリズム10は動作16で終了する。
【0054】
アルゴリズム10の一使用例では、動作14における受信ビットの拒否は、不正確に受信したビットの再送信をトリガする。一部の4Gおよび5G伝送システムの例では、リンク適応のための目標ブロック誤り率(これによって変調次数および符号レートが決まる)は10%である:すなわち、10回のうち9回のアップリンク伝送が正しく復号される必要がある。
【0055】
図3は、上述の通信システム1において使用可能な例示の送信機2を示すブロック図である。図3に示すように、送信機2はエンコーダおよび変調モジュール22とマルチプレクサ24とを含む。
【0056】
図4は、図3の送信機2の使用例を示す、参照番号30によって全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0057】
アルゴリズム30は、動作32で開始し、エンコーダおよび変調モジュール22のエンコーダが(他のチャネル符号化方式も可能であるが、たとえばLDPCチャネル符号化を使用して)情報ビットB(t)のシーケンスを符号化する。動作34で、符号化ビットがエンコーダおよび変調モジュール22の変調器によって送信シンボルにマッピングされる。たとえば、符号化ビットは、QAMシンボルX(t)にマッピング可能である。当然ながら、代替の変調方式が提供されてもよい。
【0058】
動作36で、マルチプレクサ24を使用して変調シンボルX(t)がパイロット信号X(t)と多重化される。その結果の信号X(t)(送信機2の出力)が動作38で受信機6のチャネル4を通して送信される。
【0059】
図5は、例示の一実施形態による、上述の通信システム1において使用可能な、参照番号6で全体が示されている例示の受信機を示すブロック図である。図5に示すように、受信機6はデマルチプレクサ42と、チャネル推定器44と、干渉除去合成器(IRC)46と、復調器およびデコーダモジュール48とを含む。
【0060】
図6は、例示の一実施形態による、図5の受信機6の使用例を示す、参照番号50で全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0061】
動作51で、受信機6がチャネル4から信号Y(t)を受信する。受信信号Y(t)は動作52でデマルチプレクサ42を使用してパイロットシンボルY(t)とデータシンボルY(t)とに多重分離される。
【0062】
動作53で、チャネル伝達関数の推定値
【数1】
を生成するためにチャネル推定器44が使用される。チャネル伝達関数推定値は、(デマルチプレクサ42によってチャネル推定器44に提供される)受信パイロットシンボルY(t)から導出される。
【0063】
チャネル伝達関数の推定値
【数2】
は、動作54で(他の等化構成も使用可能であるが、たとえば干渉除去合成器(IRC)46を使用して)受信データシンボルY(t)を等化するために使用される。動作55で、等化されたデータシンボル
【数3】
が復調器およびデコーダモジュール48によって復調され、復号されて元の情報ビットB(t)の推定値が生成される。
【0064】
復号が成功した場合(たとえばCRCチェックの成功によって決定される)、情報ビットB(t)は(たとえば層2(MAC)に渡され、基地局にデータの正常な受信を肯定応答させることによって)受け入れられる。上述のように、復号が成功しない場合は基地局がデータの再送をトリガしてもよい。
【0065】
チャネル推定器44は、多くの形態をとり得る。チャネル推定の質を改善する考えられる1つの手法は、チャネルモデルに関する想定事項を推定器の設計に組み込むことである。たとえば、3GPPチャネルモデルにおける着信信号パワーの単一のクラスタときわめて大きな配列を想定することができる。その場合、未知のチャネル共分散行列によるチャネルの(最小平均二乗誤差MMSEという意味での)最適推定は、計算的に扱いやすくなり、単純な最小二乗推定器よりも良好な推定値につながり得る。
【0066】
図7は、例示の一実施形態によるチャネル推定器の実施形態を示す、参照番号60によって全体が示されているシステムのブロック図である。システム60は、チャネル推定器モジュール61と、ニューラルネットワーク62と、オフライン学習モジュール63と、標本共分散モジュール64とを含む。
【0067】
チャネル推定器モジュール61は、時刻tにおけるチャネルベクトル推定値
【0068】
【数4】
を計算するために使用することができ、したがって上述の受信機6のチャネル推定器44を実現するために使用することができる。
【0069】
標本共分散モジュール64は、(受信および無相関化/平均化パイロット信号Y(t)に基づいて)ニューラルネットワーク62のための入力信号を生成し、ニューラルネットワークは、チャネル推定器モジュール61によって使用されるチャネル推定器W(t)を生成する。ニューラルネットワーク62は、オフライン学習モジュール63によって提供されるパラメータセットaおよびbによってパラメータ化される。基地局を配備するとき、(実際の配備からのトレーニングデータが通常、入手不可能であるため)一般に(たとえばコンピュータシミュレーションによって得られる)デフォルトのパラメータセットが設定される。しかし、基地局が送信(たとえばアップリンク送信)を成功裏に復号し始めた後は、トレーニングデータベースがコンパイルされ始め、このデータベースが、オフライン学習モジュール63によって新たな/改善されたパラメータセットaおよびbを生成するために使用される。
【0070】
観察時刻t=1、...、Tからの無相関化受信アップリンクパイロットベクトルY(t)が標本共分散モジュール64によってサンプリング可能である。変数
【数5】
は、観察時刻t=1、...、Tからの無相関化受信(アップリンク)パイロットベクトルY(t)の(ベクトル化された)スケーリング標本共分散行列を示し、すなわち、
【数6】
である。
【0071】
図8は、システム60において使用可能なニューラルネットワーク62の例示の一実施形態を示すブロック図である。
【0072】
ニューラルネットワーク62は、第1のCNN層71と、加算モジュール72と、ソフトマックス活性化層73と、第2のCNN層74と第2の加算モジュール75とを含む、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。第1のCNN層71は、ニューラルネットワーク重みaを含み、第1の加算モジュール72はニューラルネットワーク重みbを受け取り、第2のCNN層74はネットワーク重みaを含み、第2の加算モジュール75はニューラルネットワーク重みbを受け取る。ニューラルネットワーク62は、多くの形態をとり得る。たとえば、ニューラルネットワークは、複数の層(たとえば2つの層)と活性化関数(たとえばソフトマックスまたはReLu活性化)を含み得る。しかし、当業者には、使用可能な多くの考えられる代替のニューラルネットワーク構成がわかるであろう。
【0073】
ニューラルネットワーク62の出力
【数7】
は、(MMSE)最適チャネル推定器の(ベクトル化された)重みを含み、これらの重みは時刻tにおけるチャネルベクトル推定値
【数8】
を計算するために使用される。
【0074】
上記のシナリオ(単一クラスタ、きわめて大きいULA/URA)の場合、CNNの定数(たとえば重みベクトルθ=(a,b,a,b))が解析的表現による閉形式で与えられる。
【0075】
しかし、修正モデルパラメータまたはより一般的なチャネルモデルに対しても機能するようにこのモデルベースの手法をロバストにするために、考察している特別な場合の最適推定器において生じるいくつかの定数(たとえば重みベクトルθ(a,b,a,b)が、最適化変数となるように、解かれてもよく、これらの変数が機械学習法によってトレーニングされてもよい。その結果として、大域的に最適な推定器がもはや扱いやすくなくなる、より一般的な3GPP伝播チャネルモデルにおいてよく機能する推定器となる。
【0076】
図9は、例示の一実施形態による、参照番号80で全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム80は、上述のニューラルネットワーク62のトレーニングにおいて使用されてもよい。
【0077】
アルゴリズム80は、動作82で開始し、トレーニングデータが取得される。以下で述べるように、トレーニングデータは、通信システム(上述のシステム1など)の動作中に取得されてもよい。
【0078】
動作84で、取得されたトレーニングデータに応答してニューラルネットワーク(たとえばニューラルネットワーク62)が更新される。動作86で、更新されたニューラルネットワークが(たとえば受信機の一部を形成するチャネル推定器の重みを作り出すために)使用される。
【0079】
アルゴリズム80は動作82に戻ることができ、さらなるトレーニングデータが取得され、ニューラルネットワークがさらに更新される。
【0080】
アルゴリズム80を使用したニューラルネットワーク重みのトレーニングは、変数の(局所)最適解を見つける確率勾配法によって解くことができる学習問題である。ニューラルネットワーク推定器は、変数を最適化するために典型的には(ノイズのない)チャネル実現値と、対応する(ノイズの多い)観察値とのデータセット{H(1),Y(1)},(H(2),Y(2)),…}を必要とする。したがって、「真の」チャネルモデルのNN-MMSE推定器を学習するために測定キャンペーンからチャネルベクトルと観察値とのサンプルを取得することもできる。しかし、これは測定キャンペーン時のSNRが動作時のSNRよりも有意に大きいことを必要とする。
【0081】
図10は、例示の一実施形態による、参照番号90で全体が示されているシステムを示すブロック図である。システム90は、たとえば上述のニューラルネットワークをトレーニングする際に使用するトレーニングデータを生成するための機構を提供する。
【0082】
システム90は、(上述の受信機6とのいくつかの類似点を有する)アップリンク受信チェーン92と、トレーニングデータ生成器100と、トレーニングアルゴリズム108とを含む。以下で詳述するように、トレーニングアルゴリズム108は、トレーニングデータ生成器100によって生成されたトレーニングデータに基づいて、アップリンク受信チェーン92のチャネル推定器95をトレーニングするために使用される。
【0083】
図10に示すように、アップリンク受信チェーン92は、デマルチプレクサ93と、無相関化および平均化モジュール94と、チャネル推定器95と、干渉除去合成器(IRC)96と、復調器およびデコーダモジュール97とを含む。
【0084】
受信機チェーン92は、チャネル4から1つ以上のシンボルY(t)を受信する。
【0085】
受信信号Y(t)はデマルチプレクサ93によって、受信パイロットシンボルY(t)と受信データシンボルY(t)とに多重分離(すなわち分離)される。
【0086】
無相関化および平均化モジュール94は、受信および送信パイロットシンボルY(t)/X(t))のシンボルごとの分割を実施し、それらの値を(たとえば窓関数を使用して)平均化し、チャネル推定器95に提供されるシンボルY(t)を生成する。このシンボルベクトルは、上述の式(1)に示したようなスケーリング標本共分散行列を計算するために使用され、このスケーリング標本共分散行列は次に、時刻tにおけるチャネル推定値
【数9】
を計算するために使用されるニューラルネットワークベースのチャネル推定器95に供給される。
【0087】
このようにして、受信パイロット信号Y(t)がチャネル推定器95を使用して処理される。以下で詳述するように、チャネル推定器モジュール95は、チャネルの伝達関数の推定値を生成するように構成されたトレーニング可能アルゴリズムを含む。
【0088】
チャネル伝達関数の推定値
【数10】
は、IRC96によって、処理されたデータシンボル
【数11】
を生成するために受信シンボルY(t)を等化する(またはその他により処理する)ために使用される。受信データシンボルY(t)が複数のデータ層に含まれる場合、IRC96は、たとえば、それぞれの要求されるデータ層からの受信シンボルの処理を可能にするために、複数のデータ層のうちの1つ以上の不要なデータ層に対応するシンボルの受信信号寄与を打ち消すように構成されてもよい。
【0089】
処理されたデータシンボル
【数12】
は、復調器およびデコーダモジュール97によって復調され、復号される。したがって、データシンボルは受信データビットB(t)に変換される。
【0090】
(たとえばCRCチェックの成功によって決定される)復号が成功した場合、情報ビットB(t)は(たとえば層2(MAC)に渡し、システム90にデータの正常な受信を肯定応答させることによって)受け入れられる。上述のように、復号が成功しない場合は基地局がデータの再送をトリガしてもよい。
【0091】
パリティチェッキングモジュールなどの、受信した送信ビットが正しいとみなされるか否かを決定するための手段が、たとえばアップリンク受信チェーン92の一部として(たとえば復調およびデコーダモジュール97の一部として)または別個のモジュールとして設けられてもよい。
【0092】
図10に示すように、トレーニングデータ生成器100は、入力インターフェース101と、エンコーダおよび変調モジュール102と、マルチプレクサ103と、チャネル推定器104と、無相関化および平均化モジュール105と、データベース106とを含む。データベース106は、トレーニングデータ生成器100の出力インターフェースとして機能する。
【0093】
入力インターフェース101は、成功裏に復号されたアップリンク送信のすべて(またはそのサブセット)について、下記の(グループ化されたデータセットの形態の)情報の一部または全部を記憶する:
・受信シンボルY(t);
・情報B(t);および
・たとえば(符号化および資源マッピングに関する情報を含む)PDCCHを介してUEにシグナリングされるアップリンク制御情報(UCI)。
【0094】
エンコーダおよび変調モジュール102は、情報ビットB(t)を再符号化してデータシンボルX(t)を生成する。データシンボルは、UE送信信号X(t)を再生成するために(マルチプレクサ103)によってパイロット信号X(t)と多重化される。情報ビットB(t)は正しいと決定されたため、UE送信信号X(t)は元々送信された信号と一致するはずであることに留意されたい。
【0095】
X(t)およびY(t)に基づいて、チャネル推定器104がチャネル伝達関数の改善された推定値
【数13】
を作り出す。チャネル推定器104は、従来型最小二乗チャネル推定器などの多くの形態をとり得る。しかし、推定パフォーマンスを改善するために、デコーダ97から取得された信頼性情報(たとえばソフトビット)を利用するチャネル推定器が使用されてもよい。タイプ2のダブルシンボルDMRS構成を有する5Gでは、チャネル推定のために1つの物理リソースブロック(PRB)について12個のパイロットシンボルX(t)しか利用可能でないことにも留意されたい。再生成されたUE送信信号X(t)を使用して、チャネル推定のために1つのPRBについて156個のシンボルを使用することができ、その結果としてチャネル推定における正規化平均2乗誤差NMSEが~11dB低減される。したがって、-20dBから-30dB程度のNMSEのチャネル推定の達成が可能であり、これはそれらの推定値を真のチャネル伝達関数とみなすのに十分な高さである。
【0096】
無相関化および平均化モジュール105はx(t)とY(t)の両方を受け取り、無相関化および平均化された受信シンボル
【数14】
を生成する。モジュール105は多くの方式で実現可能である。たとえば、シンボル
【数15】
はパイロットシンボルのみから得られてもよく(アップリンク受信チェーン92のチャネル推定モジュールにおけるものと同じY(t)が得られる)、あるいは、パイロットと(再生成された)データシンボルとから得られてもよい。後者の場合、
【数16】
は、同じチャネル実現値H(t)について複数のノイズの多い観察値
【数17】
からなる。いずれにしても、シンボル
【数18】
は、アップリンク受信チェーン92におけるチャネル推定器95から見たときの同じ統計値でノイズと干渉を含むことになる。
【0097】
チャネル推定器104によって出力される改善された推定値
【数19】
は、無相関化および平均化モジュール105によって出力される無相関化および平均化受信シンボル
【数20】
とともにデータベース106に記憶される。データベース106は、トレーニングアルゴリズム108に対するトレーニングデータ生成器100の出力インターフェースの役割を果たす。トレーニングアルゴリズム108の動作について以下で詳述する。
【0098】
図11は、図10のトレーニングデータ生成器100の使用例を示す、参照番号110によって全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0099】
アルゴリズム110は、動作112で開始し、1つ以上の受信シンボルY(t)と1つ以上の受信ビットB(t)とがトレーニングデータ生成器100の入力において受信される。上述のように、トレーニングデータ生成器100は、(上述のシステム1の送信機、チャネルおよび受信機のような)送信機とチャネルと受信機とを含む伝送システムの一部を形成し得る。
【0100】
動作114で、正しいとみなされる1つ以上の受信ビットB(t)が1つ以上の推定送信シンボルに変換され、それによって元々送信されたシンボルX(t)を再生成する。動作114は、受信データビットを(モジュール102を使用して)符号化し、変調し、マルチプレクサ103を使用してこれらの変調シンボルを(たとえば5G伝送システムにおける)パイロットシンボルと多重化することによって実施されてもよい。(符号化および変調モジュール102の一部を形成する)変調は、たとえば符号化ビット(たとえばLDPC符号化ビット)を変調シンボル(たとえばQAMシンボルまたはその他の何らかのシンボル)に変換してもよい。したがってマルチプレクサ103は、変調(および符号化)ビットを前記パイロットシンボルと結合してもよい。
【0101】
動作116で、推定送信シンボルX(t)と、対応する受信シンボルY(t)とのうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、(たとえばチャネル推定器104を使用して)推定チャネル伝達関数
【数21】
が生成される。
【0102】
動作118で、トレーニングデータペアが(データベース106に)提供される。各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数
【数22】
に基づく第1の要素と、対応する受信シンボルに基づく第2の要素(たとえばモジュール105によって出力された無相関化および受信データ)を含む。
【0103】
図12は、例示の一実施形態による、参照番号120で全体が示されているアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム120は、上述のシステム90のトレーニングアルゴリズム108の制御下でチャネル推定器95をトレーニングするための例示の構成を提供する。
【0104】
アルゴリズム120は、動作121で開始し、伝送システム(システム1など)のチャネル推定器95のトレーニング可能パラメータが初期化される。伝送システムのチャネルは、最初は未知のチャネルである場合がある。したがって、初期化はチャネル特性の知識なしに行われてもよい。
【0105】
動作122で、データベース106によって記憶されているトレーニングデータペアに基づいてチャネル推定器95の更新パラメータが生成される。トレーニングデータ生成器100によって生成されるトレーニングデータペアは、関連伝送システムによって送信された実際のデータに基づいている。したがって、アルゴリズム120はオンライントレーニングを実施する。上述のように、各トレーニングデータペアは、推定チャネル伝達関数に基づく第1の要素と、対応する受信シンボル(たとえば無相関化および平均化受信シンボル)に基づく第2の要素とを含む。動作122は、損失関数を最小化することによって実施されてもよい。したがって、チャネル推定器95のトレーニング可能パラメータは、機械学習の原理を使用して更新されてもよい。
【0106】
したがって、チャネル推定器のためのニューラルネットワークトレーニングアルゴリズムは、トレーニングデータ生成器100によって提供されるデータベース106内のデータ(たとえば
【数23】
)に基づいてもよい。動作122は、たとえば、確率勾配法を使用して実施されてもよい。たとえば、上述の例示のニューラルネットワーク62のトレーニングにおいて、確率的勾配降下を使用して重みベクトルθ(a、b、a、b)の(局所)最適解を見つけ、それによってチャネル推定器の(更新)パラメータの最適化された値の決定を試みてもよい。
【0107】
動作123で、動作122で生成された前記更新パラメータに基づいて、チャネル推定器95のトレーニング可能パラメータが更新される。
【0108】
動作124で、アルゴリズム120が完了したか否かが決定され、それによって更新パラメータの反復生成を制御するための機構を提供する。アルゴリズム120が完了した場合、アルゴリズムは動作125で終了する。完了していない場合、アルゴリズムは動作122に戻り、さらなる更新パラメータが生成される。
【0109】
動作124は、第1の条件が満たされる場合にアルゴリズムが完了していると決定してもよい。条件の例には、定義された反復回数と定義されたパフォーマンスレベルのうちの1つ以上が含まれる。別の条件の例は、パラメータが定義された反復回数にわたって閾値量を超えて変更されなかったことである。いくつかの実施形態は、アルゴリズム120は、更新されたトレーニングデータが利用可能であることに応答して(たとえば、定義されたの数の追加のトレーニングデータ点が生成された場合に)行われてもよい。
【0110】
稼働している無線ネットワークにおけるニューラルネットワークベースのチャネル推定器95のための現実世界のトレーニングデータ(たとえば実際の配備からの高SNRチャネル実現値)の獲得は単純ではない。アップリンクチャネル推定プロセスは一般に、ノイズおよび干渉により制限され、その結果、取得されたチャネル情報が乱れ、ニューラルネットワークトレーニングのために必要な真のチャネルを表さない。これは、チャネルサウンディング時のパワースペクトル密度が送信パワー制約に起因してきわめて低い可能性がある、セル端のユーザの場合に特に当てはまる。
【0111】
本明細書に記載のオンライントレーニングアルゴリズムは、アップリンクにおける受信信号から高SNRチャネル情報を生成する。これは、先行するチャネル測定キャンペーンの必要なしに、具体的な配備からのチャネル情報を使用したチャネル推定器95のトレーニングを可能にする。また、ニューラルネットワークベースのチャネル推定器は、配備環境の変化に適応することができ、トレーニングデータの増大し続けるプールを収集し、それによって時間の経過とともに改善するチャネル推定パフォーマンスをもたらすことができる。
【0112】
本明細書に記載の原理は、多様な通信システムに適用可能である。たとえば、大規模なMIMO通信システムの全潜在能力を利用するためには、良好なチャネル情報を有することが重要な場合がある。
【0113】
図13は、例示の一実施形態による、参照番号130で全体が示されたシステムを示すブロック図である。システム130は、移動体通信システムのノード132(基地局、eNB、gNodeB、gNBなど)を含む。使用時、ノード132はいくつかのユーザデバイス(図示せず)と通信する。
【0114】
図13に示すように、ノード132は、1つ以上のユーザデバイスとの通信のために使用可能ないくつかのビーム(ビーム133など)を含む。したがって、システム130は、ノード132と1つ以上のユーザデバイスとの間のグリッドオブビーム型通信を実現するために使用可能である。例示の一実施形態では、基地局132とユーザデバイス133は、(たとえば30ギガヘルツから300ギガヘルツ程度の)ミリ波周波数帯の無線周波数を使用して通信する。ただし、他の周波数範囲(たとえばより低い周波数)も使用可能である。
【0115】
正確なチャネル情報が入手可能な場合、基地局は、ユーザ間干渉を回避するためと、大規模アンテナアレイのアレイ利得を活用するために、システム130の所望のユーザに向けて鋭いビームを形成することができる。
【0116】
ビーム形成送信のコンテキストでは、複数の送信アンテナを有するユーザデバイスがアップリンクにおいてそれらのデータ層をビーム形成することができる(たとえば、ビーム形成重みベクトルを使用して、DMRSパイロットおよび関連データシンボルを複数の送信アンテナにマッピングすることができる)。送信ビーム形成は、受信アンテナ相関およびコヒーレンス帯域幅に関して(たとえば基地局におけるアップリンク受信機チェーン92によって見られたときの)有効伝播チャネルの伝播統計値に影響を与える。例示の一実施形態では、非ビーム形成送信のために1つ(送信アンテナ切り替え方式を含み得る)とビーム形成送信のために1つの、別々のデータベース(たとえばDnonBF、DBF)と、ニューラルネットワークトレーニング重みベクトルの別々のセット(たとえばθnonBFおよびθBF)が維持されてもよい。考えられる拡張として、(無線ネットワークにおいて生じる)異なる送信アンテナ構成ごとに専用データベースとニューラルネットワーク重みセットとを実現することもできる。
【0117】
上述のニューラルネットワークベースのチャネル推定器95は、複数のニューラルネットワークトレーニング重みベクトルを記憶してもよい。また、チャネル推定器95には、チャネル推定に使用される必要がある重みベクトル(のインデックス)を示すことになる追加の入力パラメータが与えられてもよい。
【0118】
複数のニューラルネットワークのトレーニングの複雑さに対処するためのより精緻な方式は、複数のニューラルネットワークの重ね合わせを使用することである。本明細書に記載のニューラルネットワークは、チャネルのメタ特徴、たとえば散布のクラスタを学習可能であるため、異なる入力数および出力数を有する同じチャネルについてトレーニングされたニューラルネットワークが多くの情報を互いに共有すると想定することができる。したがって、最大数の複数アンテナ入出力構成に適合する1つの大規模なニューラルネットワークをトレーニングすることが可能である。我々はニューラルネットワークをどのMIMO構成に適応させるかの選択に関与する追加の選択パラメータを導入する。構成は、ユーザデバイスによって、またはコンテキストによって、ニューラルネットワークに対する追加の入力パラメータとして先験的に共有される。
【0119】
簡単にするために、上記の説明は無線ネットワークのアップリンクにおける単一層送信に関する実施形態に限定されていた。以下のさらなる実施形態で概説するように、本明細書に記載の原理はたとえば以下のような他の実施形態にも適用可能である:
・無線ネットワークのダウンリンクにおけるUE側において(考えられる利点は、きわめて複雑度が低いMMSEライクなチャネル推定器であろう。);
・単一または複数のUEから送信される複数の(空間的)層;および/または、
・ビーム形成されたデータ層の有無を問わず、複数アンテナ送信機。
【0120】
例示の一実施形態では、1つ以上の受信シンボルが複数のデータ層、たとえばL個のデータ層に含まれる。L個のデータ層は単一または複数のユーザ(すなわち、単一または複数ユーザMIMO)によって(実質的に同時に)送信可能である。l番目のデータ層の送信信号をX(t)で示すことができる。また、L個の送信信号のそれぞれが異なる(場合によりビーム形成された)伝播チャネルH(t)を通ることができる。
【0121】
(符号/時間/周波数)直交パイロットシーケンスが使用されているため(たとえば、無相関化および平均化動作により異なる層からのパイロット信号を分離する)、複数層送信は(アップリンク受信チェーン92内の)ニューラルネットワークベースのチャネル推定器には透過的であり得る。
【0122】
要求されるデータ層、たとえば層lのデータシンボルの場合、対応する情報ビットB(t)を全送信のことによると90%で成功裏に復号することができるように、受信イコライザ(たとえば干渉除去合成器)が他の不要なデータ層からの干渉を軽減する。これらの情報ビットは、その特定の層の送信シンボルX(t)を再生成するために使用することができる。しかし、受信信号Y(t)に他の不要な(同時スケジュールされた(co-scheduled))データ層からの干渉が含まれるため、(再生成されたデータシンボルX(t)を使用する)高度チャネル推定モジュールは直接適用できない可能性がある(すなわち、
【数24】
の高度チャネル推定の場合、l番目の層からの信号部分のみを含む受信信号Y(t)が必要である)。その干渉を除去するために、干渉消去(IC)モジュールが使用されてもよい。すべての送信層が成功裏に復号された場合、ICモジュールは、要求されるデータ層(層l)からの受信シンボルを含む結果の受信信号Y(t)が処理され得るように、1つ以上の不要なデータ層の受信信号寄与を差し引くことができる。その結果の信号Y(t)をl番目の層の再生成送信信号X(t)とともに使用して(データキャリアを使用する)高度チャネル推定を行って、
【数25】
がもたらされ得る。
【0123】
図14は、例示の一実施形態による、参照番号140で全体が示されているシステムを示すブロック図である。システム140は、2つの(データ)層の場合の上述の機構を例示している。図の機構は、L個の層の一般的な場合に容易に拡張可能である。
【0124】
また、破線は、干渉のない改善された信号を生成するために、改善されたチャネル推定値
【数26】
および
【数27】
が干渉消去モジュールにフィードバックされる、可能な拡張を示している。
【0125】
リアルタイム制約がないため、このトレーニングデータ生成器の計算の複雑さは大きな役割をしないことに留意されたい。これはたとえば汎用プロセッサ上で実行可能である。
【0126】
(ニューラルネットワークトレーニングに使用される)改善されたチャネル推定値の提供に加えて、本明細書に記載のチャネル推定器は、受信信号Y(t)内のノイズプラス(セル間)干渉I(t)の共分散行列R(t)の改善された推定値も提供することができる。ノイズプラス干渉からの信号寄与I(t)は、受信信号Y(t)から再生成受信信号
【数28】
を指し引くことによって;すなわち
【数29】
によって容易に求めることができる。改善された干渉プラスノイズ共分散行列は、たとえば、所与のチャネル実現値
【数30】
の追加のノイズの多い観察値
【数31】
を生成(すなわち合成)するために使用することができ、これによりニューラルネットワークトレーニングを改善することができる。
【0127】
最初のシミュレーション結果は、SNR固有ニューラルネットワーク重みベクトルθを使用して、ニューラルネットワークベースのチャネル推定器のパフォーマンスを改善することができることを示した。したがって、受信SNRに基づいて受信データ送信を分類することを提案する(たとえば、SNRクラスを、SNR上限、たとえば-10dB、0dBおよび10dBによって定義された{低、中、高}とすることができる。)。各SNRクラスsについて、専用データベースDおよびニューラルネットワーク重みベクトルθが実現され、維持される必要がある。
【0128】
上述のアップリンク受信チェーンにおけるニューラルネットワークベースのチャネル推定器モジュールは、複数のニューラルネットワーク重みベクトルを記憶してもよい。また、ニューラルネットワークベースのチャネル推定器は、モジュールが正しいNN重みベクトルθを適用するように、現在の受信のSNRクラスを示すことになる新たな入力パラメータsを取得してもよい。SNRクラスsは、無相関化および平均化パイロットシンボルY(t)の助けをかりて決定することができる。
【0129】
完全を期すために、図15は前述の例示の実施形態のうちの1つ以上の実施形態のコンポーネントの概略図であり、以下、これらの実施形態を処理システム300と総称する。処理システム300は、たとえば、以下の特許請求の範囲で言及されている装置とすることができる。
【0130】
処理システム300は、プロセッサ302と、プロセッサに密結合され、RAM314とROM312とを含むメモリ304と、任意選択でユーザ入力310とディスプレイ318とを有してもよい。処理システム300は、ネットワーク/装置への接続のための1つ以上のネットワーク/装置インターフェース308、たとえば無線または有線であってもよいモデムを含んでもよい。インターフェース308は、ネットワーク側装置ではないデバイス/装置などの他の装置への接続部としても動作可能である。したがって、ネットワーク関与のないデバイス/装置間の直接接続が可能である。
【0131】
プロセッサ302は、他のコンポーネントの動作を制御するために他のコンポーネントのそれぞれに接続される。
【0132】
メモリ304は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などの不揮発性メモリを含んでもよい。メモリ304のROM312は、特にオペレーティングシステム315を記憶し、ソフトウェアアプリケーション316を記憶してもよい。メモリ304のRAM314は、プロセッサ302によってデータの一時記憶のために使用される。オペレーティングシステム315は、プロセッサによって実行されると上述のアルゴリズム10、30、50、80、110および120の態様を実施するコードを含み得る。小型デバイス/装置の場合、メモリは小型用途、すなわちハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)が必ずしも使用されない用途に対して最も適し得ることに留意されたい。
【0133】
プロセッサ302は任意の適切な形態をとり得る。たとえば、プロセッサ302は、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、プロセッサ、または複数のプロセッサであってもよい。
【0134】
処理システム300は、スタンドアロンコンピュータ、サーバ、コンソール、またはこれらのネットワークであってもよい。処理システム300および必要な構造部品はすべて、IoTデバイス/装置などの内部デバイス/装置、すなわちとても小さいサイズに組み込まれてもよい。
【0135】
一部の例示の実施形態では、処理システム300は、外部ソフトウェアアプリケーションに関連付けられてもよい。これらは、リモートサーバデバイス/装置上に記憶されたアプリケーションでもよく、部分的に、またはもっぱらリモートサーバデバイス/装置上で実行されてもよい。これらのアプリケーションはクラウドホステッドアプリケーションと称されることがある。処理システム300は、リモートサーバデバイス/装置に記憶されているソフトウェアアプリケーションを使用するためにリモートサーバデバイス/装置と通信してもよい。
【0136】
図16Aおよび図16Bに、コンピュータによって実行されると上述の例示の実施形態による方法を行うことができるコンピュータ可読コードを記憶する、それぞれ、取り外し可能メモリユニット365およびコンパクトディスク(CD)368である有形の媒体を示す。取り外し可能メモリユニット365は、コンピュータ可読コードを記憶する内部メモリ366を有する、メモリスティック、たとえばUSBメモリスティックであてもよい。内部メモリ366は、コネクタ367を介してコンピュータシステムによってアクセス可能である。CD368はCD-ROMまたはDVDまたは同様のものとすることができる。他の形態の有形記憶媒体も使用可能である。有形媒体は、データ/情報を記憶することができる任意のデバイス/装置とすることができ、そのデータ/情報は、デバイス/装置/ネットワーク間でやり取りすることができる。
【0137】
本発明の実施形態は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションロジック、またはソフトウェアとハードウェアとアプリケーションロジックとの組み合わせで実現することができる。ソフトウェア、アプリケーションロジックおよび/またはハードウェアは、メモリまたは任意のコンピュータ媒体上に常駐してもよい。例示の一実施形態では、アプリケーションロジック、ソフトウェア、または命令セットは、様々な従来型コンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つにおいて維持される。本明細書のコンテキストでは、「メモリ」または「コンピュータ可読媒体」とは、コンピュータなどの命令実行システム、装置またはデバイスによって、または関連して使用するための命令を含み、記憶し、伝達し、伝播し、または搬送することができる、任意の非一過性の媒体または手段とすることができる。
【0138】
必要に応じ、「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータプログラム製品」、「有形に具現化されたコンピュータプログラム」など、または「プロセッサ」または「処理回路」への言及は、シングル/マルチプロセッサアーキテクチャおよびシーケンサ/並列アーキテクチャなどの異なるアーキテクチャを有するコンピュータのみならず、フィールドプログラマブルゲートアレイFPGA、特定用途向け回路ASIC、信号処理デバイス/装置およびその他のデバイス/装置などの特殊回路も包含するものと理解されたい。コンピュータプログラム、命令、コードなどへの言及は、プロセッサのための命令、または固定機能デバイス/装置、ゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス/装置などのために構成された、または構成設定としての、ハードウェアデバイス/装置のプログラム可能な内容などの、プログラム可能プロセッサファームウェアのためのソフトウェアを表すものと理解されたい。
【0139】
所望の場合には、本明細書で論じた異なる機能は異なる順序で、および/または互いに並列して行われてもよい。また、所望の場合には、上述の機能のうちの1つ以上の機能が任意選択でよく、または組み合わされてもよい。同様に、図2図4図6図9図11および図12の流れ図は例示に過ぎないことと、これらの図に示されている様々な動作は省かれてもよく、並べ替えられてもよく、および/または組み合わされてもよいことも理解されたい。
【0140】
上述の例示の実施形態は単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書を読めば、当業者にはその他の変形および変更が明らかであろう。
【0141】
また、本出願の開示は、本明細書で明示的または暗黙的に開示されているあらゆる新規な特徴または特徴のあらゆる新規な組み合わせ、またはそれらのあらゆる一般化を含むものと理解すべきであり、本出願または本出願から派生するあらゆる出願の手続処理中に、あらゆるそのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせをカバーするために新たな特許請求が策定され得る。
【0142】
独立請求項には本発明の様々な態様が記載されているが、本発明の他の態様は、記載されている例示の実施形態、および/または、独立請求項の特徴を有する従属請求項の特徴の他の組み合わせを含み、請求項に明示的に記載されている組み合わせのみではない。
【0143】
また、上記では様々な例を記載しているが、これらの説明は限定的な見方をされるべきではないことにも留意されたい。逆に、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲から逸脱することなく実施可能ないくつかの変形および変更がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B