(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】検眼装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/103 20060101AFI20240104BHJP
A61B 3/08 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A61B3/103
A61B3/08
(21)【出願番号】P 2022062617
(22)【出願日】2022-04-04
(62)【分割の表示】P 2020002273の分割
【原出願日】2015-05-29
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 智弘
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-166903(JP,A)
【文献】特開2014-028070(JP,A)
【文献】特開2002-010978(JP,A)
【文献】特開平05-237060(JP,A)
【文献】特開平11-113845(JP,A)
【文献】特開平5-317253(JP,A)
【文献】特開平6-142043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームに懸架された移動機構系と、
前記移動機構系により互いに独立に移動される左右の検眼ユニットと、
検者が自覚測定中の被検者の顔を観察できるように少なくとも自覚測定中に被検者の表情を撮像可能な撮像装置と、
を含み、
前記移動機構系は、
前記左右の検眼ユニットを上下方向に移動する上下動機構と、
前記上下動機構により上下方向に移動される左用の検眼ユニットを右用の検眼ユニットとは独立に水平方向に移動する第1水平動機構と、
前記第1水平動機構により水平方向に移動される前記左用の検眼ユニットを回動する第1回動機構と、
前記上下動機構により上下方向に移動される前記右用の検眼ユニットを前記左用の検眼ユニットとは独立に水平方向に移動する第2水平動機構と、
前記第2水平動機構により水平方向に移動される前記右用の検眼ユニットを回動する第2回動機構と、
を含み、
前記第1水平動機構は、被検者から見て左右方向及び前記左用の検眼ユニットの奥行方向に前記第1回動機構を移動することにより前記左用の検眼ユニットを移動し、
前記第2水平動機構は、前記被検者から見て前記左右方向及び前記右用の検眼ユニットの奥行方向に前記第2回動機構を移動することにより前記右用の検眼ユニットを移動し、
前記左右の検眼ユニットのそれぞれは、
複数の光学素子を選択的に被検眼に適用する光学素子適用部と、
複数の視標を選択的に被検眼に呈示する視標呈示部と、
被検眼の他覚屈折測定を行うための他覚測定部と、
を含む検眼装置。
【請求項2】
前記アームと、
前記アームを上下動するアーム上下動機構と、
を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。
【請求項3】
前記アームと、
前記アームを上下方向に伸縮するアーム伸縮機構と、
を含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検眼装置。
【請求項4】
前記移動機構系と前記左右の検眼ユニットとを制御する制御部を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の検眼装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記左右方向及び前記左用の検眼ユニットの奥行方向に前記第1回動機構を移動し、前記左右方向及び前記右用の検眼ユニットの奥行方向に前記第1回動機構を移動することにより、前記左右の検眼ユニットの向きを相対的に変更する
ことを特徴とする請求項4に記載の検眼装置。
【請求項6】
前記他覚測定部による測定結果に基づいて他覚値を求める演算部を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の検眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検眼装置は、光学素子を通して被検眼に視標を呈示することにより視力や視機能などを検査するための装置である。
【0003】
このような検眼装置には、自覚測定と他覚測定とを組み合わせて被検眼を検査することが可能なものが知られている。たとえば、特許文献1に記載の検眼装置は、台座部と、台座部上に配設された駆動機構ボックスと、測定光学系を内蔵する左右一対の光学ヘッド部と、検査時に検者の顔を固定配置させるための顔受け装置とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の検眼装置は、台座部上に配置された状態で被検眼の測定を行うものであるため、台座部を占有してしまうという問題がある。
【0006】
また、一般的な自覚測定では、検者が被検者の表情などを観察しつつ、被検眼に視標を呈示し、その見え方に関する被検者からの応答に基づいて検査を行うことで、検査の精度を向上させることが可能になる。しかしながら、従来の検眼装置では、顔受け装置に被検者の顔を正対させた状態で検査が行われるため、検者が被検者の表情を観察しつつ検査を行うことができない。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、省スペースで、被検者の表情などを観察しつつ自覚測定および他覚測定が可能な検眼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る検眼装置は、移動機構系と、左右の検眼ユニットと、検者が自覚測定中の被検者の顔を観察できるように少なくとも自覚測定中に被検者の表情を撮像可能な撮像装置とを含む。移動機構系は、アームに懸架される。左右の検眼ユニットは、移動機構系により互いに独立に移動される。移動機構系は、左右の検眼ユニットを上下方向に移動する上下動機構と、上下動機構により上下方向に移動される左用の検眼ユニットを右用の検眼ユニットとは独立に水平方向に移動する第1水平動機構と、第1水平動機構により水平方向に移動される左用の検眼ユニットを回動する第1回動機構と、上下動機構により上下方向に移動される右用の検眼ユニットを左用の検眼ユニットとは独立に水平方向に移動する第2水平動機構と、第2水平動機構により水平方向に移動される右用の検眼ユニットを回動する第2回動機構と、を含む。第1水平動機構は、被検者から見て左右方向及び左用の検眼ユニットの奥行方向に第1回動機構を移動することにより左用の検眼ユニットを移動する。第2水平動機構は、被検者から見て左右方向及び右用の検眼ユニットの奥行方向に第2回動機構を移動することにより右用の検眼ユニットを移動する。左右の検眼ユニットのそれぞれは、光学素子適用部と、視標呈示部と、他覚測定部とを含む。光学素子適用部は、複数の光学素子を選択的に被検眼に適用する。視標呈示部は、複数の視標を選択的に被検眼に呈示する。他覚測定部は、被検眼の他覚屈折測定を行うために用いられる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る検眼装置によれば、省スペースで、被検者の表情などを観察しつつ自覚測定および他覚測定が可能な検眼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る検眼装置の外観構成を示す概略図。
【
図2】実施形態に係る検眼装置の構成を示す概略図。
【
図3】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成を示す概略図。
【
図4】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成を示す概略図。
【
図5】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成を示す概略図。
【
図6】実施形態に係る検眼装置の制御系の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態に係る検眼装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
[構成]
図1に、実施形態に係る検眼装置1の外観構成の概略を模式的に示す。実施形態に係る検眼装置1は、有線または無線の通信路を介して図示しない検者用コントローラ(たとえば、タブレット端末)や被検者用コントローラ(たとえば、コントロールレバーユニット)などと通信接続が可能である。検眼装置1は、検者用コントローラや被検者用コントローラに対する操作に基づいて制御される。以下では、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、被検者から見て測定ヘッド100の奥行き方向をZ方向として説明する場合がある。
【0013】
検眼装置(眼科装置)1は、測定ヘッド(レフラクタ、フォロプタ)100と、制御装置200とを含む。検眼装置1は、自覚測定と他覚測定とが可能な装置である。自覚測定は、被検者の眼(被検眼)に視標を呈示し、その見え方に関する被検者からの応答に基づいて被検眼に関する情報を取得する測定である。他覚測定は、被検者からの応答を参照することなく、主として物理的な手法を用いて被検眼に関する情報を取得する測定である。
【0014】
検眼装置1は、検眼用テーブル3を備える。検眼用テーブル3は、測定ヘッド100の支持や検者用コントローラまたは被検者用コントローラの載置などのための机である。検眼用テーブル3は、支持部4によって床の上に支持された状態で設置される。検眼用テーブル3は、高さを上下に調節可能である。
【0015】
検眼用テーブル3には、支柱5が立設される。支柱5の先端部には、横アーム6の基端部が保持される。横アーム6の先端部には、測定ヘッド100が懸架される。たとえば、支柱5は、アーム移動機構7により軸回り方向(矢印方向j、矢印方向k)に回動可能である。それにより、横アーム6は、軸回り方向に回動される。すなわち、測定ヘッド100は、軸回り方向に回動される。したがって、検眼用テーブル3の上方の検査空間から測定ヘッド100を退避させることが可能になり、検眼用テーブル3上の空きスペースを利用して効率的に検査を進めることができるようになる。
【0016】
また、アーム移動機構7は、アーム上下動機構として、支柱5の先端部を上下方向(矢印方向h)に移動させるようにしてもよい。それにより、横アーム6は、上下方向に移動される。すなわち、測定ヘッド100は、上下方向に移動される。また、アーム移動機構7は、アーム伸縮機構として、検眼用テーブル3から上方に突出する支柱5を伸縮させることにより横アーム6を上下方向に移動させてもよい。この場合でも、検眼用テーブル3の上方の検査空間から測定ヘッド100を退避させることが可能になる。
【0017】
なお、測定ヘッド100を保管するための台などを別途に設け、前述の回動や上下方向の移動により測定ヘッド100を安定した位置に配置するようにしてもよい。この場合、測定ヘッド100の重さに起因した横アーム6への継続的な負荷の低減が可能になる。
【0018】
アーム移動機構7は、操作者による操作を受け、手動により軸回り方向や上下方向に横アーム6を移動させることが可能である。また、アーム移動機構7は、電気的な機構で横アーム6を移動させてもよい。この場合、アーム移動機構7を移動させるための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、たとえばパルスモータにより構成される。伝達機構は、たとえば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。
【0019】
支持部4の側面には格納部9が設けられ、制御装置200などが格納される。なお、検眼用テーブル3の構成は、
図1に示す構成に限定されるものではない。
【0020】
〔測定ヘッド〕
測定ヘッド100は、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rを含む。左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rには、それぞれ検眼窓130L、130Rが形成されている。被検者の左眼(左被検眼)は、検眼窓130Lを通じて検査が行われる。被検者の右眼(右被検眼)は、検眼窓130Rを通じて検査が行われる。
【0021】
図2および
図3に、実施形態に係る測定ヘッド100の構成例のブロック図を示す。測定ヘッド100は、移動機構系110と、左眼用検眼ユニット120Lと、右眼用検眼ユニット120Rとを含む。移動機構系110は、横アーム6に懸架される。左眼用検眼ユニット120L、120Rは、移動機構系110により独立にまたは連動して3次元的に移動される。左眼用検眼ユニット120Lは、被検者の左眼(左被検眼)の検査用の光学系を収容する。右眼用検眼ユニット120Rは、被検者の右眼(右被検眼)の検査用の光学系を収容する。
【0022】
(移動機構系)
移動機構系110は、上下動機構111と、水平動機構112L、112Rと、回動機構113L、113Rとを含む。なお、移動機構系110は、アーム移動機構7をさらに含んでもよい。
【0023】
上下動機構111は、水平動機構112L、112R、回動機構113L、113R、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rを上下方向(Y方向)に移動させる。それにより、被検眼の配置位置に応じて、検眼窓130L、130Rの高さ方向の位置を調整することができる。上下動機構111は、たとえば、パルスモータや送りネジなどを用いた公知の構成を備え、制御装置200からの制御信号を受けて前述の水平動機構112Lなどを上下方向に移動させる。なお、上下動機構111は、操作者による操作を受け、前述の水平動機構112Lなどを上下方向に手動で移動させることも可能である。
【0024】
水平動機構112Lは、回動機構113Lおよび左眼用検眼ユニット120Lを水平方向(横方向(X方向)、前後方向(Z方向))に移動させる。水平動機構112Lは、たとえば、パルスモータや送りネジなどを用いた公知の構成を備え、制御装置200からの制御信号を受けて回動機構113Lおよび左眼用検眼ユニット120Lを水平方向に移動させる。なお、水平動機構112Lは、操作者による操作を受け、前述の回動機構113Lなどを水平方向に手動で移動させることも可能である。
【0025】
水平動機構112Rは、回動機構113Rおよび右眼用検眼ユニット120Rを水平方向に移動させる。水平動機構112Rは、水平動機構112Lの移動に連動して前述の回動機構113Rなどを移動させてもよいし、水平動機構112Lの移動とは独立に前述の回動機構113Rなどを移動させてもよい。水平動機構112Rは、水平動機構112Lと同様の公知の構成を備え、制御装置200からの制御信号を受けて回動機構113Rおよび右眼用検眼ユニット120Rを水平方向に移動させる。なお、水平動機構112Rは、操作者による操作を受け、前述の回動機構113Rなどを水平方向に手動で移動させることも可能である。
【0026】
水平動機構112L、112Rにより前述の回動機構113L、113Rなどを水平方向に移動させることにより、左眼用検眼ユニット120Lと右眼用検眼ユニット120Rとの間隔を変更することが可能である。それにより、被検者の瞳孔間距離に応じて左眼用検眼ユニット120Lと右眼用検眼ユニット120Rとの間隔を変更することができる。また、被検者から見て測定ヘッド100の奥行き方向(Z方向)に左眼用検眼ユニット120Lまたは右眼用検眼ユニット120Rを移動することもできる。
【0027】
回動機構113Lは、所定の第1軸を中心に左眼用検眼ユニット120Lを回動させる。回動機構113Lは、たとえば、パルスモータや回動軸などを用いた公知の構成を備え、制御装置200からの制御信号を受けて第1軸を中心に左眼用検眼ユニット120Lを回動させる。なお、回動機構113Lは、操作者による操作を受け、第1軸を中心に左眼用検眼ユニット120Lを手動で回動させることも可能である。
【0028】
回動機構113Rは、所定の第2軸を中心に右眼用検眼ユニット120Rを回動させる。第2軸は、第1軸から所定の距離だけ離間した位置に配置された軸である。第1軸と第2軸との間の距離は、調整可能である。回動機構113Rは、回動機構113Lの回動に連動して右眼用検眼ユニット120Rを回動させてもよいし、回動機構113Lの回動とは独立に右眼用検眼ユニット120Rを回動させてもよい。回動機構113Rは、回動機構113Lと同様の公知の構成を備え、制御装置200からの制御信号を受けて第2軸を中心に右眼用検眼ユニット120Rを回動させる。なお、回動機構113Rは、操作者による操作を受け、第2軸を中心に左眼用検眼ユニット120Lを手動で回動させることも可能である。
【0029】
回動機構113L、113Rにより左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rを回動させることにより、左眼用検眼ユニット120Lと右眼用検眼ユニット120Rとの向きを相対的に変更することが可能である。たとえば、左眼用検眼ユニット120Lと右眼用検眼ユニット120Rとが、被検者の左右眼の眼球回旋点を中心にそれぞれ逆方向に回転される。それにより、被検眼を輻輳させることができる。
【0030】
(各検眼ユニットの構成)
左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rは、個別に動作可能である。
【0031】
左眼用検眼ユニット120Lは、第1光学素子適用部121Lと、第1視標呈示部122Lと、第1他覚測定部123Lとを含む。第1光学素子適用部121Lは、複数の光学素子を選択的に左被検眼に適用する。第1視標呈示部122Lは、複数の視標を選択的に左被検眼に呈示する。第1他覚測定部123Lは、左被検眼の他覚屈折測定を行うために用いられる。
【0032】
右眼用検眼ユニット120Rは、第2光学素子適用部121Rと、第2視標呈示部122Rと、第2他覚測定部123Rとを含む。第2光学素子適用部121Rは、複数の光学素子を選択的に右被検眼に適用する。第2視標呈示部122Rは、複数の視標を選択的に右被検眼に呈示する。第2他覚測定部123Rは、右被検眼の他覚屈折測定を行うために用いられる。
【0033】
<光学素子適用部>
第1光学素子適用部121Lおよび第2光学素子適用部121Rのそれぞれは、複数の光学素子と駆動機構とを含む。
【0034】
各検眼ユニットに含まれる複数の光学素子は、被検眼の視機能を検査するための各種レンズからなる集合であり、たとえば、球面レンズ、円柱レンズ、累進レンズおよびプリズムレンズのうち少なくとも1つを含む。複数の光学素子は、検眼パラメータの種別ごとに組分けされる。
【0035】
検眼パラメータは、被検眼の視機能を検査するための検査条件を示すものである。たとえば、検眼パラメータの種別は、球面度数、乱視度数、乱視軸角度、加入度数、瞳孔間距離、プリズム度数およびプリズム方向のうち少なくとも1つを含む。検眼パラメータの種別ごとの組分けとして、球面度数の組は、複数の球面レンズを含み、それぞれ異なる球面度数の球面レンズにより構成される。乱視度数の組は、複数の円柱レンズを含み、それぞれ異なる乱視度数の円柱レンズにより構成される。なお、乱視度数の組は、さらに乱視軸角度ごとに組分けされてもよい。加入度数の組は、複数の累進レンズを含み、それぞれ異なる加入度数の累進レンズにより構成される。プリズム度数の組は、複数のプリズムレンズを含み、それぞれ異なるプリズム度数のプリズムレンズにより構成される。なお、プリズム度数の組は、さらにプリズム方向ごとに組分けされてもよい。瞳孔間距離は、被検眼の瞳孔間距離に合わせて設定される検査条件である。瞳孔間距離は、左眼用検眼ユニット120Lと右眼用検眼ユニット120Rの一方または双方が、水平方向(
図1の矢印方向m)にスライドすることにより設定される。
【0036】
各検眼ユニットが含まれる駆動機構は、複数の光学素子のそれぞれを検眼窓に配置させ、且つ、検眼窓から退避させることが可能に構成される。たとえば、駆動機構は、複数のターレット板を有する。ターレット板は、円板形状である。ターレット板は、駆動機構において、円の中心を軸として円周回りに回動可能に構成される。ターレット板は、縁の近傍に複数の孔を有し、孔には、光学素子が嵌め込まれている。駆動機構は、ターレット板を回動させることにより、複数の光学素子のそれぞれを検眼窓に配置させ、且つ、検眼窓から退避させる。
【0037】
第1光学素子適用部121Lおよび第2光学素子適用部121Rのそれぞれは、制御装置200から制御信号を受けて光学素子を切り替える。それにより、球面度数、乱視度数、乱視軸角度、加入度数、瞳孔間距離、プリズム度数およびプリズム方向のうち少なくとも1つを切り替えて被検眼に適用することが可能である。
【0038】
<視標呈示部、他覚測定部>
左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rには、
図3~
図5に示すような光学系が収容されている。左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rは、その光学系を動作させることで、被検者の両眼に対して、視標呈示部を用いた自覚屈折測定と他覚測定部を用いた他覚屈折測定とを実行するように構成されている。検者や被検者は、コントローラを適宜操作することにより検査を行う。
【0039】
〔光学系の構成〕
左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rに収容された測定光学系の構成について
図3~
図5を用いて詳細に説明する。なお、
図3~
図5は、光学素子適用部により光学素子が被検眼に適用されていない場合を表し、
図3~
図5では、光学素子適用部により被検眼に適用される光学素子の図示が省略されている。
【0040】
左被検眼ELの測定を行う左眼用検眼ユニット120Lには、
図3~
図5に示すように、前眼部撮影光学系30Lと、XYアライメント光学系31Lと、視標投影光学系32Lと、屈折力測定光学系33Lとが設けられている。また、右被検眼ERの測定を行う右眼用検眼ユニット120Rには、前眼部撮影光学系30Rと、XYアライメント光学系31Rと、視標投影光学系と、屈折力測定光学系とが設けられている(
図3参照)。左眼用検眼ユニット120Lの測定光学系と右眼用検眼ユニット120Rの測定光学系とは左右対称に構成されている。以下、特に指摘しない限り、左眼用検眼ユニット120Lの測定光学系について説明することとする。
【0041】
左眼用検眼ユニット120L内に設けられた前眼部撮影光学系30Lは、前眼部照明光学系34と撮影光学系35とを含む。
【0042】
前眼部照明光学系34は、
図4、
図5に示すように、光源36と、絞り36aと、投影レンズ37とを備えている。光源36は、左被検眼ELの前眼部を照明するために用いられる。絞り36aは、光源36から出射された光束の断面領域を制限する。投影レンズ37は、絞り36aを通過した光束を左被検眼ELの前眼部に投影する。
【0043】
また、撮影光学系35は、プリズムPと、対物レンズ38と、ダイクロイックミラー39と、絞り40と、ダイクロイックミラー41と、リレーレンズ42、43と、ダイクロイックミラー44と、CCDレンズ45とを備えている。プリズムPには、前眼部照明光学系34により照明された左被検眼ELの前眼部からの反射光が入射される。対物レンズ38には、プリズムPの反射面にて反射された光束が入射される。CCDレンズ45は、CCD46の受光面に光束を結像させる。
【0044】
XYアライメント光学系31Lは、左被検眼ELに対する左眼用検眼ユニット120Lの光学系のXY方向のアライメントを行うための光学系である。XYアライメント光学系31Lは、アライメント照明光学系47と、撮影光学系35とを含む。アライメント照明光学系47は、アライメント用の光束を左被検眼ELに投射する。撮影光学系35は、左被検眼ELに投射されたアライメント用の光束の反射光をアライメント受光光学系として受光する。
【0045】
アライメント照明光学系47は、
図3、
図4に示すように、照明光源48と、アライメント視標としての絞り49と、リレーレンズ50と、ダイクロイックミラー41と、絞り40と、ダイクロイックミラー39と、対物レンズ38と、プリズムPとを備えている。照明光源48は、XY方向のアライメント用の光束を出射する。
【0046】
視標投影光学系32Lは、液晶表示器53と、ハーフミラー54と、コリメータレンズ55と、ロータリープリズム55A、55Bと、反射ミラー56と、移動レンズ57と、リレーレンズ58、58´と、バリアブルクロスシリンダレンズ(VCCレンズ)59と、反射ミラー60と、ダイクロイックミラー61、39と、対物レンズ38と、プリズムPとを備えている。液晶表示器53は、検眼用の各種の視標(チャート)を表示する。ハーフミラー54は、液晶表示器53からの光を反射する。ロータリープリズム55A、55Bは、斜位検査においてプリズム度数およびプリズム基底方向を調整するために用いられる。移動レンズ57は、左被検眼ELを固視雲霧するときなどに用いられる。VCCレンズ59は、クロスシリンダテストにより左被検眼ELの乱視度数および乱視軸角度を調整するために用いられる。
【0047】
液晶表示器53には、風景チャートからなる固視標、視力検査用のランドルト環等の視力チャート、クロスシリンダテストチャート、乱視検査用の放射チャート、斜位検査用の十字チャート、レッドグリーンテストチャートなどの視標が選択的に表示される。なお、この液晶表示器53に代えて、複数の視標が形成されたターレット盤を後方から照明して視標を提示する公知の視標呈示手段を用いてもよい。
【0048】
ロータリープリズム55A、55Bは、パルスモータ等の駆動によってそれぞれ独立に回転される。ロータリープリズム55A、55Bが互いに逆方向に回転されるとプリズム度数が連続的に変更され、同じ方向に一体的に回転されるとプリズム基底方向が連続的に変更される。
【0049】
VCCレンズ59は、凸状の面(正の度数)を有する円柱レンズ59Aと、凹状の面(負の度数)を有する円柱レンズ59Bとを含んで構成される。円柱レンズ59A、59Bは、パルスモータ等の駆動装置により駆動され、視標投影光学系32Lの光軸を中心としてそれぞれ独立に回動される。円柱レンズ59A、59Bが互いに逆方向に回転されると乱視度数が変更され、同じ方向に一体的に回転されると乱視軸角度が変更される。
【0050】
移動レンズ57は、パルスモータ等の駆動装置により駆動されて、視標投影光学系32Lの光軸方向に移動されることにより、左被検眼ELに付加される球面度を変更する。たとえば、左被検眼ELの屈折力に応じた移動量だけ移動レンズ57を光軸方向に移動させることにより、左被検眼ELに対する固視雲霧を行う。
【0051】
図5に示すように、視標投影光学系32Lのハーフミラー54の透過方向には、融像視標投影光学系32L´が設けられている。この融像視標投影光学系32L´は、照明光を出射するLED53Aと、コリメータレンズ53Bと、融像枠チャート53Dと、全反射ミラー53Eとを含んで構成されている。融像枠チャート53Dは、たとえば、正方形状の透過窓(融像枠)が形成された遮光部材により構成される。また、コリメータレンズ53Bには拡散面が設けられており、LED53Aからの光を拡散して融像枠チャート53Dを一様に照明するようになっている。
【0052】
なお、本実施形態では、視標投影光学系32Lから独立した融像視標投影光学系32L´を設けているが、液晶表示器53に融像枠を表示させるようにしてもよい。
【0053】
屈折力測定光学系33Lは、
図5に示すように、他覚測定用の光束を左被検眼ELに投影する測定光束投影光学系62と、その投影光の左被検眼ELからの反射光を受光する測定光束受光光学系63とを備えている。
【0054】
測定光束投影光学系62は、赤外LED等の測定用光源64と、コリメータレンズ65と、円錐プリズム66と、リング視標67と、リレーレンズ68と、リング状絞り69と、中央に透孔70aが形成された穴あきプリズム70と、ダイクロイックミラー61、39と、対物レンズ38と、プリズムPとを含んで構成されている。
【0055】
また、測定光束受光光学系63は、左被検眼ELの眼底Efからの反射光が入射されるプリズムPと、対物レンズ38と、ダイクロイックミラー39、61と、穴あきプリズム70の透孔70aと、反射ミラー71と、リレーレンズ72と、移動レンズ73と、反射ミラー74と、ダイクロイックミラー44と、CCDレンズ45と、CCD46とを含んで構成されている。
【0056】
測定ヘッド100は、後述の制御系の制御により、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rのそれぞれの光学系のアライメント、他覚式検眼測定、自覚式検眼測定などを自動的に実行するようになっている。測定ヘッド100は、さらに、両眼バランステストを自動的に実行するようにしてもよい。自覚式検眼測定においては、他覚式検眼測定にて得られた値(他覚値)が利用される。特に、自覚式検眼測定のうちのクロスシリンダテストにおいては、他覚式検眼測定にて得られた乱視度数および乱視軸角度が利用される。
【0057】
〔制御系〕
次に、
図6を参照しながら、実施形態の検眼装置1の制御系について説明する。
図6に示すブロック図は、検眼装置1の制御系の主要部分の概略構成を表している。
図6において、
図1~
図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0058】
検眼装置1の制御系は、
図6に示すように、装置各部を制御する制御装置200を中心に構成されている。制御装置200は、たとえば、格納部9に格納されている。制御装置200は、後述するような処理の制御プログラムを含む検眼用のコンピュータプログラムを記憶したROM等の不揮発性記憶装置と、このコンピュータプログラムを実行するCPU等の演算制御用プロセッサとを含む。
【0059】
検眼装置1にはコンピュータ装置(図示せず)が接続されていてもよい。この場合、コンピュータ装置は、検眼装置1のコンソールとして用いられるとともに、検眼装置1による検査結果を蓄積して管理するために用いられる。なお、このコンピュータ装置のCPUや記憶装置を制御装置200として構成することも可能である。
【0060】
制御装置200は、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rの動作制御を行う。具体的には、制御装置200は、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rを上下動させる上下動機構111を制御する。制御装置200は、左眼用検眼ユニット120Lを水平動させる水平動機構112Lと、左眼用検眼ユニット120Lを回動させる回動機構113Lとをそれぞれ制御する。同様に、制御装置200は、右眼用検眼ユニット120Rを水平動させる水平動機構112Rと、右眼用検眼ユニット120Rを回動させる回動機構113Rとをそれぞれ制御する。制御装置200は、横アーム6を上下動させたり回動させたりするアーム移動機構7を制御するようにしてもよい。
【0061】
また、制御装置200は、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120Rに格納された光学系の動作を制御する。制御装置200は、たとえば、複数の光学素子125Lを選択的に左被検眼ELに適用するための駆動機構126Lの制御、複数の光学素子125Rを選択的に右被検眼ERに適用するための駆動機構126Rの制御などを実行する。また、制御装置200は、液晶表示器53の表示制御、移動レンズ57を光軸方向に駆動する移動レンズ駆動部83L、83Rの動作制御などを実行する。さらに、制御装置200は、視標投影光学系32L、32Rの光軸を中心にVCCレンズ59を回転駆動するVCCレンズ駆動部84L、84Rの動作制御、光軸を中心にロータリープリズム55A、55Bを回転駆動するプリズム駆動部85L、85Rなどの動作制御などを実行する。
【0062】
制御装置200は、演算部210を制御する。演算部210は、左眼用検眼ユニット120Lまたは右眼用検眼ユニット120Rを用いた他覚屈折測定による測定結果に基づいて他覚値を求める。たとえば、演算部210は、測定光束投影光学系62により眼底Efに投影されたリング状の測定光束をCCD46により受光することにより取得されたリング視標像の形状を公知の手法で解析することにより他覚値を求めることが可能である。制御装置200は、演算部210を含んでもよい。
【0063】
制御装置200は、以上のような制御の他に、光源36、照明光源48、LED53Aなどの点灯/消灯動作の制御、検眼装置1のあらゆる動作制御やデータ処理を実行する。
【0064】
また、各検眼ユニットは、ケラトリング光源を含んでもよい。演算部210は、各被検眼の角膜に投影された角膜形状測定用リング状光束の角膜による反射光束をCCD46により受光することにより取得された像に対して所定の演算処理を施すことにより、角膜の形状を表すパラメータを他覚値として算出する。
【0065】
制御装置200は、検者用コントローラ300と被検者用コントローラ310とそれぞれ有線または無線の通信路を介して接続可能である。制御装置200は、検者用コントローラ300や被検者用コントローラ310に対する操作内容に対応した操作信号を受けて、検眼装置1の各部を制御する。制御装置200は、操作画面や測定を行うための各種情報などを検者用コントローラ300や被検者用コントローラ310の表示部に表示させることが可能である。
【0066】
なお、前述の光学系を用いたアライメントの動作原理、自覚測定の測定原理、他覚測定の測定原理、角膜形状の測定原理などは既に公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0067】
第1光学素子適用部121Lの機能は、光学素子125Lと、駆動機構126Lとにより実現される。第2光学素子適用部121Rの機能は、光学素子125Rと、駆動機構126Rとにより実現される。
【0068】
第1視標呈示部122Lの機能は、左眼用検眼ユニット120Lに含まれる視標投影光学系32Lにより実現される。第2視標呈示部122Rの機能は、右眼用検眼ユニット120Rに含まれる視標投影光学系32Rにより実現される。
【0069】
第1他覚測定部123Lの機能は、左眼用検眼ユニット120Lに含まれる屈折力測定光学系33Lにより実現される。第2他覚測定部123Rの機能は、右眼用検眼ユニット120Rに含まれる屈折力測定光学系33Rにより実現される。
【0070】
回動機構113Lおよび回動機構113Rは、実施形態に係る「第1機構」の一例である。水平動機構112Lおよび水平動機構112Rは、実施形態に係る「第2機構」の一例である。上下動機構111は、実施形態に係る「第3機構」の一例である。アーム移動機構7は、実施形態に係る「第4機構」、「アーム上下動機構」または「アーム伸縮機構」の一例である。制御装置200は、実施形態に係る「制御部」の一例である。
【0071】
[効果]
実施形態に係る検眼装置の効果について説明する。
【0072】
実施形態に係る検眼装置(たとえば、検眼装置1)は、移動機構系(たとえば、移動機構系110)と、左右の検眼ユニット(たとえば、左眼用検眼ユニット120Lおよび右眼用検眼ユニット120R)とを含む。移動機構系は、アーム(たとえば、横アーム6)に懸架される。左右の検眼ユニットは、移動機構系により移動される。左右の検眼ユニットのそれぞれは、光学素子適用部(たとえば、第1光学素子適用部121L、第2光学素子適用部121R)と、視標呈示部(たとえば、第1視標呈示部122L、第2視標呈示部122R)と、他覚測定部(たとえば、第1他覚測定部123L、第2他覚測定部123R)とを含む。光学素子適用部は、複数の光学素子(たとえば、光学素子125L、125R)を選択的に被検眼(たとえば、左被検眼EL、右被検眼ER)に適用する。視標呈示部は、複数の視標を選択的に被検眼に呈示する。他覚測定部は、被検眼の他覚屈折測定を行うために用いられる。
【0073】
このような構成によれば、左右の検眼ユニットのそれぞれが光学素子適用部、視標呈示部および他覚測定部を備え、移動機構系により移動することができるため、省スペースで自覚測定や他覚測定が可能な検眼装置を提供することができる。しかも、アームに懸架された移動機構系により左右の検眼ユニットを移動することができるため、検者は被検者の表情(鼻、口、頬など)などを観察しつつ自覚測定を行うことができ、自覚測定の検査精度の向上を図ることが可能になる。たとえば、別途に撮像装置を設け、検眼ユニットを用いて自覚測定や他覚測定を行う被検者の表情などを撮影することにより取得された被検者の画像を取得するようにしてもよい。
【0074】
また、実施形態に係る検眼装置では、移動機構系は、左右の検眼ユニットの向きを相対的に変更する第1機構(たとえば、回動機構113Lおよび回動機構113R)を含んでもよい。
【0075】
このような構成によれば、第1機構により被検眼を輻輳させた状態で検査を行うことが可能な検眼装置を提供することができる。
【0076】
また、実施形態に係る検眼装置では、移動機構系は、左右の検眼ユニットの間隔を変更する第2機構(たとえば、水平動機構112Lおよび水平動機構112R)を含んでもよい。
【0077】
このような構成によれば、第2機構により被検者の瞳孔間距離に応じて左右の検眼ユニットの間隔の調整が可能な検眼装置を提供することができる。
【0078】
また、実施形態に係る検眼装置では、移動機構系は、左右の検眼ユニットを上下動する第3機構(たとえば、上下動機構111)を含んでもよい。
【0079】
このような構成によれば、被検眼の配置位置に応じて検眼ユニットの高さ方向の位置を調整することが可能な検眼装置を提供することができる。
【0080】
また、実施形態に係る検眼装置では、移動機構系は、左右の検眼ユニットを一体的に回転させる第4機構(たとえば、アーム移動機構7)を含んでもよい。
【0081】
このような構成によれば、回動により左右の検眼ユニットを所定の検査空間から退避可能な検眼装置を提供することができる。
【0082】
また、実施形態に係る検眼装置は、アーム(たとえば、横アーム6)と、アームを上下動するアーム上下動機構(たとえば、アーム移動機構7)とを含んでもよい。
【0083】
このような構成によれば、上下方向の移動により左右の検眼ユニットを所定の検査空間から退避可能な検眼装置を提供することができる。
【0084】
また、実施形態に係る検眼装置は、アーム(たとえば、横アーム6)と、アームを上下方向に伸縮するアーム伸縮機構(たとえば、アーム移動機構7)とを含んでもよい。
【0085】
このような構成によれば、伸縮による上下方向の移動により左右の検眼ユニットを所定の検査空間から退避可能な検眼装置を提供することができる。
【0086】
また、実施形態に係る検眼装置は、移動機構系と左右の検眼ユニットとを制御する制御部(たとえば、制御装置200)を含んでもよい。
【0087】
このような構成によれば、省スペースで、被検者の表情などを観察しつつ、自動で自覚測定および他覚測定が可能な検眼装置を提供することができる。
【0088】
また、実施形態に係る検眼装置は、他覚測定部による測定結果に基づいて他覚値を求める演算部(たとえば、演算部210)を含んでもよい。
【0089】
このような構成によれば、他覚測定により得られた他覚値を自覚測定で自動で利用することが可能な検眼装置を提供することができる。
【0090】
[変形例]
なお、前述の実施形態は、
図3~
図5で説明した光学系の構成や
図6で説明した制御系の構成や制御内容に限定されるものではない。たとえば、他覚測定には、被検眼に関する値を測定するための他覚測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれてよい。このような他覚測定には、たとえば、他覚屈折測定、角膜形状測定、眼圧測定、眼底撮影、OCTの手法を用いたOCT(Optical Coherence Tomography)計測などがある。また、自覚測定には、たとえば、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレアー検査などの自覚屈折測定や、視野検査などがある。
【0091】
また、実施形態に係る検眼装置は、自覚測定として、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレアー検査などを実行可能であり、且つ、他覚測定として、他覚屈折測定、角膜形状測定、OCT計測などを実行可能な装置であってよい。OCT計測では、眼軸長、角膜厚、前房深度、水晶体厚などの被検眼の構造を表す眼球情報の取得が行われてもよい。
【0092】
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加など)を適宜に施すことが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 検眼装置
3 検眼用テーブル
6 横アーム
7 アーム移動機構
100 測定ヘッド
110 移動機構系
111 上下動機構
112L、112R 水平動機構
113L、113R 回動機構
120L 左眼用検眼ユニット
120R 右眼用検眼ユニット
121L 第1光学素子適用部
121R 第2光学素子適用部
122L 第1視標呈示部
122R 第2視標呈示部
123L 第1他覚測定部
123R 第2他覚測定部
200 制御装置