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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】回路基板用電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20240104BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240104BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R12/71
H01R13/41
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022165320
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2018085155の分割
【原出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2022179756
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】堀井 崇生
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079214(JP,A)
【文献】特表2001-501354(JP,A)
【文献】特開2004-311044(JP,A)
【文献】特開2014-222576(JP,A)
【文献】米国特許第05139446(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0106949(US,A1)
【文献】国際公開第2016/042625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の実装面に配され、前記実装面に対して直角な上下方向で上方から相手接続体が接続される回路基板用電気コネクタであって、
前記実装面に対して平行な一方向を端子配列方向として配列された複数の端子と、
前記複数の端子を保持するハウジングとを有し、
前記ハウジングは、前記端子を介して前記回路基板に取り付けられる固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して可動な可動ハウジングとを有し、
前記複数の端子は、金属板製であり、前記端子の長手方向の一端側で前記固定ハウジングに保持されているとともに他端側で前記可動ハウジングに保持されている回路基板用電気コネクタにおいて、
前記固定ハウジングは、端子配列方向での両端部に、前記可動ハウジングの上方への移動を規制する規制部を有し、
前記可動ハウジングは、端子配列方向での両端部に、前記規制部に対して下方から当接可能な被規制部を有し、
前記複数の端子は、端子配列方向での前記ハウジングの中間部に配列して設けられた信号端子と、端子配列方向での前記ハウジングの両端部に設けられた電源端子とを有し、
前記電源端子は、前記固定ハウジングの端子配列方向に延びる側壁に保持される固定側被保持部と、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、固定側被保持部と可動側被保持部との間に位置する弾性変位可能な弾性部とを有し、
前記弾性部は、その長手方向における一端部で前記固定側被保持部の上部に連結され、その長手方向における他端部で前記可動側被保持部の下部に連結されており、
前記固定側被保持部は、前記固定側被保持部の板厚方向に対して直角な端子幅方向で前記弾性部の前記一端部よりも大きく形成されていて、端子幅方向での両側縁で前記固定ハウジングにより圧入保持されており、
前記固定側被保持部は、端子幅方向で前記弾性部の前記一端部とは異なる位置に係止部を有しており、
前記側壁は、端子幅方向で前記係止部と対応する位置に、前記係止部に対して下方から係止可能な段状の被係止部を有していることを特徴とする回路基板用電気コネクタ。
【請求項2】
前記係止部は、前記固定側被保持部の板面から切り起こされた弾性片として形成されていることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項3】
前記電源端子は、板厚方向に屈曲した形状をなしており、前記固定側被保持部の板厚方向が前記固定ハウジングの前記側壁の壁厚方向と一致するようにして前記側壁に保持されていることとする請求項1又は請求項2に記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項4】
前記係止部は、前記固定側被保持部に複数形成されていることとする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回路基板用電気コネクタ。
【請求項5】
前記端子は、前記端子の長手方向の一端側に回路基板の実装面への接続のための接続部が形成されているとともに、他端側に前記相手接続体との接触のための接触部が形成されており、
前記接続部と前記接触部とは、前記固定ハウジングの前記側壁の壁厚方向で異なって位置しており、
前記電源端子の接続部は、前記信号端子の接続部よりも、前記側壁の壁厚方向で前記信号端子の接触部側に位置していることとする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の回路基板用電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の実装面に配される回路基板用電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板用コネクタとして、例えば、特許文献1のプラグコネクタが知られている。該プラグコネクタは、上方からレセプタクルコネクタが嵌合接続されるとともに、上記実装面に対して平行な方向で相手コネクタとの位置ずれを端子の弾性変位により許容する、いわゆるフローティングコネクタである。
【0003】
該プラグコネクタのハウジングは、端子を介して回路基板に固定される固定ハウジングと、該固定ハウジングとは別部材として形成され該固定ハウジングに対して可動な可動ハウジングを有している。該可動ハウジングは、その長手方向(端子の配列方向)での両端部に、後述の抜止金具へ下方から当接可能な抜止突起が形成されている。
【0004】
また、複数の端子は、ハウジングの長手方向を配列方向として配列された幅狭端子(プラグコンタクト)と上記配列方向での該幅狭端子の配列範囲の両側に一つずつ設けられた幅広端子(幅広プラグコンタクト)とを有している。これらの端子は、該端子の長手方向の一端側に上記実装面に半田接続される接続部(テール部)と、他端側にレセプタクルコネクタとの接触のためのU字状部が形成されている。さらに、該端子の中間部には、上記接続部から上方へ延び固定ハウジングに保持される被保持部(固定部)と、該被保持部と上記逆U字状部との間で湾曲して延びる弾性変位可能な弾性部(弾性変形部)とを有している。上記逆U字状部そして上記固定部は、その両側縁でそれぞれ可動ハウジングそして固定ハウジングに圧入されて保持されている。
【0005】
また、上記端子の配列方向でのプラグコネクタの両端部には、上記可動ハウジングの所定量以上の上方への移動を規制するための抜止金具が設けられている。該抜止金具は、上記可動ハウジングの抜止突起の上方に位置する抜止板部と、該抜止板部の両端から下方へ延び固定ハウジングに保持される固定部と、該固定部の下端で屈曲されて延び回路基板の実装面に半田接続されるテール部とを有している。
【0006】
一般に、回路基板用コネクタにおいては、相手コネクタが抜出される際に、端子には、相手端子との摩擦等に起因して抜出方向へ向けた外力が作用する。この外力が大きいと、端子の接続部が回路基板の実装面からの剥離してしまうおそれがあるので、回路基板用コネクタは、上記接続部の剥離を防止すべく、上記外力に対抗するための構成を有していることが望ましい。
【0007】
例えば、特許文献1のプラグコネクタでは、端子の配列範囲外に上述の抜止金具を設けることで上記実装面からの端子の剥離を防止している。具体的には、コネクタ抜出時、レセプタクルコネクタが上方へもち上げられると、プラグコネクタでは、端子の弾性部の弾性変位を伴いながら可動ハウジングが上方へ移動することとなるが、この移動は、可動ハウジングの抜止突起が抜止金具の抜止板部へ下方から当接することにより所定量に規制される。この結果、固定ハウジングひいては端子がそれ以上もち上げられることはなく、回路基板の実装面から端子の接続部が剥離してプラグコネクタが外れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-120696
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、回路基板用コネクタにおいては、端子の配列方向での小型化が要求されることが多い。しかし、特許文献1のプラグコネクタは、上述のように端子の配列範囲外に抜止金具を設けたことにより、その分、コネクタが上記配列方向に大型化してしまう。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑み、コネクタの大型化を伴うことなく、回路基板の実装面からの端子の接続部の剥離ひいてはコネクタの外れを良好に防止できる回路基板用電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る回路基板用電気コネクタは、回路基板の実装面に配される回路基板用電気コネクタであって、上記実装面に対して平行な一方向を配列方向として配列される金属板製の複数の端子と、該複数の端子を配列保持するハウジングとを有し、上記ハウジングは、上記実装面に対して直角なコネクタ高さ方向に起立するとともに上記配列方向に延びる側壁を有し、上記複数の端子は、信号端子と電源端子とを有し、該電源端子は、上記側壁に保持される被保持部を有し、該被保持部は、該被保持部の板厚方向に対して直角な端子幅方向での両側縁で上記側壁により圧入保持されている。
【0012】
かかる回路基板用電気コネクタにおいて、本発明では、上記側壁は、上記電源端子の被保持部と対応する位置に段状の被係止部を有し、上記電源端子の被保持部は、上記被係止部に対してコネクタ高さ方向で係止可能な係止部を有していることを特徴としている。
【0013】
本発明では、電源端子の被保持部は、ハウジングの側壁の被係止部に対してコネクタ高さ方向で係止可能な係止部を有している。このように電源端子の被保持部に係止部を設けることにより、コネクタ抜出時にて、該係止部が上記被係止部に対してコネクタ高さ方向で係止し、その係止力で、コネクタが相手コネクタから受けるコネクタ抜出方向での外力に対抗する。また、上記係止部は電源端子に設けられているので、従来のように、コネクタ抜出方向での外力に対抗するための金具を、端子配列範囲外に別途設ける必要がなく、コネクタが端子の配列方向で大型化することはない。
【0014】
本発明において、上記係止部は、上記被保持部の板面から切り起こされた弾性片として形成されていてもよい。このように被係止部を弾性片として形成することにより、該係止部は、被保持部の幅方向で該被保持部の範囲内に形成されることとなる。したがって、該幅方向で被保持部を大きくすることなく、十分な係止面積をもつ被係止部を形成できる。
【0015】
本発明において、上記電源端子は、板厚方向に屈曲した形状をなしており、上記被保持部の板厚方向が上記ハウジングの側壁の壁厚方向と一致するようにして該側壁に保持されていてもよい。側壁の壁厚方向での被保持部の寸法は該被保持部の板厚寸法であり小さい。したがって、上記被保持部の板厚方向が上記側壁の壁厚方向と一致していることにより、該側壁の壁厚を大きくすることなく該壁厚の範囲内に被保持部を位置させることができるので、コネクタが上記壁厚方向で大型化することがない。
【0016】
本発明において、上記被保持部は、端子幅方向での該被保持部の範囲内に複数形成されていることとしてもよい。このように、端子幅方向で被保持部を複数形成することにより、ハウジングの被係止部との係止面積を大きくすることができ、コネクタ抜出方向での外力に対してより強固に対抗できる。
【0017】
本発明において、上記端子は、該端子の長手方向の一端側に回路基板の実装面への接続
のための接続部そして他端側に相手接続体との接触のための接触部が形成されており、上記接続部と上記接触部とは、上記ハウジングの側壁の壁厚方向で異なって位置しており、上記電源端子の接続部は、上記信号端子の接続部よりも、上記側壁の壁厚方向で該信号端子の接触部側に位置していることとしてもよい。電源端子の接続部をこのように位置させることにより、コネクタが上記壁厚方向で大型化することを回避できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように、ハウジングの側壁の被係止部に対してコネクタ高さ方向で係止可能な係止部を電源端子の被保持部に設け、該係止部と該被係止部との係止により、コネクタ抜出時にコネクタ抜出方向で端子に作用する外力に対抗することとした。したがって、従来のように、該外力に対抗するための金具を端子配列範囲外に別途設ける必要がないので、端子の配列方向でのコネクタの大型化を伴うことなく、回路基板の実装面からの端子の接続部の剥離ひいてはコネクタの外れを良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るプラグコネクタとこれに嵌合接続されるレセプタクルコネクタとを有するコネクタ組立体の外観斜視図であり、(A)は嵌合接続前、そして(B)は嵌合接続後の状態を示している。
図2図1の両コネクタの信号端子の位置での断面斜視図であり、図2(A)は図1(A)に対応する嵌合接続前、図2(B)は図1(B)に対応する嵌合接続後の状態を示している。
図3図1の両コネクタの信号端子の位置における断面図であり、図1(A)に対応する嵌合接続前の状態を示している。
図4図1の両コネクタの信号端子の位置における断面図であり、図1(B)に対応する嵌合接続後の状態を示している。
図5図1(A)に示されるコネクタ嵌合接続前の両コネクタのそれぞれから一対の信号端子を抽出して示す斜視図である。
図6図1(A)に示されるコネクタ嵌合接続前の両コネクタのそれぞれから一対の電源端子を抽出して示す斜視図である。
図7】レセプタクルコネクタの電源端子の位置における一部を拡大して示した断面斜視図であり、該電源端子の被保持部の近傍を示している。
図8】(A)は、レセプタクルコネクタの一対の信号端子を示す斜視図であり、図5の信号端子とは端子配列方向で反対側から見た状態で示しており、(B)は、(A)に示される一対の端子のうちの一方の信号端子がハウジングに保持された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1(A),(B)は、本発明の実施形態に係るプラグコネクタとこれに嵌合接続されるレセプタクルコネクタとを有するコネクタ組立体の外観斜視図であり、図1(A)は嵌合接続前、そして図1(B)は嵌合接続後の状態を示している。図2(A),(B)は、両コネクタ(プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタ)の端子配列方向での信号端子の位置における断面斜視図であり、図2(A)は嵌合接続前、図2(B)は嵌合接続後の状態を、端子配列方向に対して直角な断面で示している。図3及び図4は、両コネクタの端子配列方向での信号端子の位置における断面図であり、図3は嵌合接続前、図4は嵌合接続後の状態を、端子配列方向に対して直角な断面で示している。
【0022】
本実施形態では、プラグコネクタ1と該プラグコネクタに嵌合接続される相手コネクタ(相手接続体)としてのレセプタクルコネクタ2とでコネクタ組立体が構成されている。プラグコネクタ1及びレセプタクルコネクタ2は、それぞれ異なる回路基板へ実装される回路基板用電気コネクタである。
【0023】
図1に見られるように、プラグコネクタ1は、上下方向(Z軸方向)に直角な実装面をもつ回路基板P1上の該実装面に配され、レセプタクルコネクタ2は、コネクタ幅方向(X軸方向)に直角な実装面をもつ回路基板P2上の該実装面に配される。両コネクタは、図1(A),(B)に見られるように、回路基板P1と他の回路基板P2の実装面同士が互いに直角をなす姿勢のもとで、上下方向(Z軸方向)を接続方向として嵌合接続される。具体的には、図1(A),(B)に見られるように、プラグコネクタ1の上方からレセプタクルコネクタ2が嵌合接続されるようになっている。本実施形態では、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ1の相手コネクタ(相手接続体)であるとしているが、レセプタクルコネクタ2からするとプラグコネクタ1が相手コネクタ(相手接続体)となることは言うまでもない。
【0024】
プラグコネクタ1は、上下方向(Z軸方向)をコネクタ高さ方向としており、回路基板P1の実装面に対して平行な一方向(Y軸方向)を長手方向として延びるプラグハウジング10と、該長手方向を端子配列方向としてプラグハウジング10に配列保持されるプラグ信号端子40およびプラグ電源端子50(以下、両者を区別する必要がないときは単に「プラグ端子40,50」という)とを有している。プラグ信号端子40は、端子配列方向(Y軸方向)でのプラグハウジング10の中間範囲に複数配列されており、プラグ電源端子50は、端子配列方向でのプラグ信号端子40の配列範囲の両側に設けられている。
【0025】
プラグハウジング10は、プラグ端子40,50を介して回路基板へ取り付けられる固定ハウジング20と、該固定ハウジング20とは別部材として形成され該固定ハウジング20に対して可動な可動ハウジング30とを有している。
【0026】
本実施形態では、プラグコネクタ1は回路基板P1の実装面に平行な方向をなし端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(X軸方向)で対称に作られている。電気絶縁材料で作られた固定ハウジング20は、プラグコネクタ1の高さ方向である上下方向にて可動ハウジング30の下半部と重複する範囲をもって位置し、上下方向に見て可動ハウジング30の後述の嵌合部31を囲むように設けられており、端子配列方向(Y軸方向)を長手方向として延びる略直方体外形をなしている。
【0027】
固定ハウジング20は、図1(A),(B)に見られるように、端子配列方向で可動ハウジング30を含む範囲にわたって延びる二つの固定側側壁21と、コネクタ幅方向に延び固定側側壁21の端部同士を連結する二つの固定側端壁22とを有している。
【0028】
固定側側壁21は、図1(A),(B)に見られるように、端子配列方向での両端部(プラグ電源端子50を含む範囲に位置する部分)が中間部(プラグ信号端子40の配列範囲を含んで位置する部分)よりも、外側面がコネクタ幅方向で外側に位置している。該固定側側壁21は、プラグ信号端子40の固定側被保持部42を圧入保持するための固定側信号端子保持部21A(図3参照)及びプラグ電源端子50の固定側被保持部52を圧入保持するための固定側電源端子保持部21B(図7参照)が、該固定側側壁21の内壁面に形成されている。
【0029】
固定側信号端子保持部21Aは、図3に見られるように、固定側側壁21の下半部の内壁面から没するとともに下方へ開放された溝部として形成されている。また、固定側電源端子保持部21Bは、図7に見られるように、固定側側壁21の内壁面から没するとともに上下方向で固定側側壁21の全域にわたって延びる溝部として形成されている。また、固定側側壁21は、図7に見られるように、固定側電源端子保持部21Bの下部の両側縁部から端子配列方向(Y軸方向)で互いに近づくように突出する二つの被係止部21Cが形成されている。該被係止部21Cは、コネクタ幅方向及び端子配列方向に見て段状をなしており、その上面が、プラグ電源端子50の後述する係止部52Bに対して下方から係止可能な被係止面21C-1を形成している。
【0030】
固定側端壁22は、コネクタ幅方向(X軸方向)中央域でその下半部が切り欠かれており、その壁厚方向(Y軸方向)に貫通するとともに下方へ開口した切欠部22Aが形成されている。固定側端壁22は、切欠部22Aの上方位置でコネクタ幅方向に延びる部分が、固定側側壁21の端部同士を連結する規制部22Bを形成している。該規制部22Bは、可動ハウジング30の後述する被規制部36の上方に位置しており、該規制部22Bの下面が、該被規制部36の上方への所定量以上の移動を規制する規制面22B-1として形成されている。
【0031】
可動ハウジング30は、固定ハウジング20と同様に電気絶縁材料で作られていて、レセプタクルコネクタ2との嵌合のための嵌合部31と、該固定ハウジング20から移動の規制を受ける被規制部36とを有している。嵌合部31は、端子配列方向に延びる二つの可動側側壁32と、コネクタ幅方向に延び可動側側壁32の端部同士を連結する二つの可動側端壁33とを有している。また、可動側側壁32及び可動側端壁33によって囲まれ上方へ開口する空間は、レセプタクルコネクタ2の後述の突壁65を受け入れるためのプラグ側受入部34として形成されている。該プラグ側受入部34の下端部は、図2(A),(B)及び図3に見られるように、端子配列方向で受入部34の全域にわたって延びる底壁35によって閉塞されている。
【0032】
可動側側壁32は、端子配列方向におけるプラグ信号端子40の配列範囲では、プラグコネクタ1の上半部に対応する範囲で上下方向に延びており(図2(A),(B)参照)、端子配列方向での両端部(上記配列範囲よりも外側の部分)では、上下方向でのプラグコネクタ1のほぼ全域にわたる範囲で上下方向に延びている(図7参照)。
【0033】
可動側側壁32には、プラグ信号端子40の後述の信号用接触部43を収容するための収容溝部32Aが該可動側側壁32の内壁面に沿って形成されているとともに(図3参照)、プラグ電源端子50の後述の電源用接触部53を圧入保持するための収容溝部32B(図1(A)参照)が該可動側側壁32の外壁面に沿って形成されている。該収容溝部32Aは、可動側側壁32の内壁面から没するとともに上下方向に延びる直状の溝部として形成されている。一方、収容溝部32Bは、端子配列方向での可動側側壁32の両端部に位置しており、可動側側壁32の外壁面から没するとともに上下方向に延びる直状の溝部として形成されている。
【0034】
可動側端壁33は、可動側側壁32の端子配列方向両端部と上下方向でほぼ同じ範囲、換言すると、上下方向でのプラグコネクタ1のほぼ全域にわたる範囲に延びている。底壁35は、プラグ信号端子40の可動側被保持部44を圧入保持する可動側信号端子保持部35Aが可動側側壁32の収容溝部32Aの直下に形成されているとともに、プラグ電源端子50の可動側被保持部54を圧入保持する可動側電源端子保持部(図示せず)が可動側側壁32の収容溝部32Bの直下に形成されている。可動側信号端子保持部35A及び可動側電源端子保持部は、上下方向に延びて底壁35を貫通する孔状をなしており、該可動側信号端子保持部35Aが収容溝部32Aと連通し、該可動側電源端子保持部が収容溝部32Bと連通している。
【0035】
被規制部36は、可動ハウジング30の下部の端子配列方向両端面(端子配列方向に対して直角な面)から端子配列方向外方へ向けて突出している。該被規制部36は、図1(A),(B)に見られるように、角柱状をなしており、固定ハウジング20の固定側端壁22の切欠部22A内に端子配列方向内方から突入している。したがって、該被規制部36は、固定側端壁22の規制部22Bの直下に位置している。該被規制部36の上面(上下方向に対して直角な面)は、規制部22Bの下面である規制面22B-1と対面しており、該規制面22B-1と当接可能な被規制面36Aとして形成されている。該被規制面36Aは、上下方向で規制面22B-1に対して間隔をもって位置しているが、後述するように、可動ハウジング30が上方へ移動した際には、規制面22B-1に下方から当接(接面)する。その結果、可動ハウジング30の上方へ向けた所定量以上の移動が規制されるようになっている。
【0036】
図1(A),(B)に見られるように、プラグコネクタ1では、プラグ端子40,50が二列をなして配列されており、各列において、複数のプラグ信号端子40が等間隔に配されているとともに、該プラグ信号端子40の配列範囲の両側にプラグ電源端子50が一つずつ配されている(図2(A),(B)をも参照)。
【0037】
プラグ信号端子40は、図2(A),(B)、図3及び図5に見られるように、金属帯状片をその板厚方向に屈曲して作られており、その端子幅方向(プラグ信号端子40の板厚方向に対して直角な方向)が端子配列方向(Y軸方向)と一致するように配されている。プラグ信号端子40は、プラグコネクタ1を端子配列方向に見たとき、図3に見られるように、下方に位置する一端部に形成された信号用接続部41と、該信号用接続部41から上方へ向けて延びる固定側被保持部42と、信号用接続部41よりも上方かつコネクタ幅方向内方に位置する他端部に形成された信号用接触部43と、該信号用接触部43から下方へ向けて延びる可動側被保持部44と、固定側被保持部42と可動側被保持部44とを連結する信号用弾性部45とを有している。該プラグ信号端子40は、コネクタ幅方向(X軸方向)で対称をなすように対をなして設けられていて、この対が端子配列方向(Y軸方向)に複数配列されている。
【0038】
信号用接続部41は、図3に見られるように、固定ハウジング20の底面より下方位置で、回路基板P1(図1(A),(B)参照)の実装面(上面)に位置するようにコネクタ幅方向外方に延びており、該実装面の対応回路部に半田接続されるようになっている。固定側被保持部42は、信号用接続部41のコネクタ幅方向での内側の端部で屈曲され上方へ向けて延びており、図3に見られるように、固定ハウジング20の固定側信号端子保持部21A内で圧入保持されている。具体的には、該固定側被保持部42は、図5に見られるように、端子幅方向(Y軸方向)での両側で上下方向に延びる側縁に複数の圧入突起42Aが形成されており、該圧入突起42Aが固定側信号端子保持部21Aの内壁面に喰い込むことにより保持されている。
【0039】
一方、信号用接触部43は、図3に見られるように、可動ハウジング30の可動側側壁32の収容溝部32A内で該可動側側壁32の内壁面に沿って上下方向に延びている。該信号用接触部43は、一方の板面(板厚面に対して直角な面)がプラグ側受入部34へ向けて露呈しており、該板面が後述のレセプタクル信号端子70,80との接触のための接触面43Bを形成している。
【0040】
可動側被保持部44は、図3に見られるように、信号用接触部43から連続して可動側信号端子保持部35A内で下方へ延びており、該可動側信号端子保持部35Aによって圧入保持されている。具体的には、該可動側被保持部44は、図5に見られるように、端子幅方向(Y軸方向)での両側で上下方向に延びる側縁に複数の圧入突起44Aが形成されており、該圧入突起44Aが可動側信号端子保持部35Aの内壁面に喰い込むことにより保持されている。
【0041】
信号用弾性部45は、図3ないし図5に見られるように、該信号用弾性部45の下端部
で略U字状をなして湾曲する下側湾曲部45Aと、該信号用弾性部45の上端部で略逆U字状をなして湾曲する上側湾曲部45Bと、直状をなし該下側湾曲部45Aと上側湾曲部45Bとを連結する連結部45Cとを有しており、コネクタ幅方向(X軸方向)で弾性変位可能となっている。
【0042】
下側湾曲部45Aは、図5に見られるように、固定側被保持部42の上端で屈曲されて下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方に傾斜するように延びる下側外腕部45A-1と、該下側外腕部45A-1の下端で折り返された下側折返部45A-2と、該下側折返部45A-2から上方へ向かうにつれてコネクタ幅方向外方に傾斜するように延びる下側内腕部45A-3とを有している。つまり、下側湾曲部45Aは、図3に見られるように、コネクタ幅方向で外側に傾斜した斜め上方へ開口する略U字状をなしている。該下側湾曲部45Aは、下側外腕部45A-1と下側内腕部45A-3とが互いの間隔を増減させるようにしてコネクタ幅方向で弾性変位可能となっている。
【0043】
上側湾曲部45Bは、図5に見られるように、可動側被保持部44の下端で屈曲されて上方へ向かうにつれてコネクタ幅方向外方に傾斜するように延びる上側内腕部45B-1と、該上側内腕部45B-1の上端で折り返された上側折返部45B-2と、該上側折返部45B-2から下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方に傾斜するように延びる上側外腕部45B-3とを有している。つまり、上側湾曲部45Bは、図3に見られるように、コネクタ幅方向で内側に傾斜した斜め下方へ開口する略逆U字状をなしている。該上側湾曲部45Bは、上側内腕部45B-1と上側外腕部45B-3とが互いの間隔を増減させるようにしてコネクタ幅方向で弾性変位可能となっている。
【0044】
連結部45Cは、図3に見られるように、下側内腕部45A-3の上端と上側外腕部45B-3の下端とを連結して、下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方に傾斜するように延びている。このように上下方向に対して傾斜して延びる連結部45Cは、図3に見られるように、コネクタ幅方向で下側湾曲部45Aの下側外腕部45A-1及び上側湾曲部45Bの上側内腕部45B-1と重複する範囲を有して位置している。したがって、この重複する範囲の分だけ、コネクタ幅方向で信号用弾性部45の寸法が小さくなるので、その結果、コネクタ幅方向でプラグコネクタ1を小型化することができる。
【0045】
プラグ信号端子40では、信号用弾性部45の下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bがコネクタ幅方向で弾性変位することによりフローティングが行われるようになっている。また、本実施形態では、このように信号用弾性部45に下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bが設けられている分、該信号用弾性部45の全長が長くなり、フローティング量が大きくなる。
【0046】
図5に見られるように、下側湾曲部45Aの下側折返部45A-2は、その端子幅方向での中央域にて板厚方向に貫通するとともに該下側折返部45A-2の長手方向に延びるスリット状の下側孔部45A-2Aが形成されている。したがって、下側折返部45A-2は、下側外腕部45A-1及び下側内腕部45A-3よりも幅狭な二つの帯条片をなしており、これによって十分に大きい弾性が確保されている。また、上側湾曲部45Bの上側折返部45B-2においても、図5に見られるように、上述の下側折返部45A-2と同様のスリット状の上側孔部45B-2Aが形成されており、上側内腕部45B-1及び上側外腕部45B-3よりも幅狭な二つの帯条片によって十分に大きい弾性が確保されている。
【0047】
本実施形態では、図3及び図5に見られるように、プラグ信号端子40の下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bのそれぞれは、上下方向で重複して位置する部分をもつように湾曲している。具体的には、図5に見られるように、下側湾曲部45Aにおける下側外腕部45A-1と下側内腕部45A-3とが、そして、上側湾曲部45Bにおける上側内腕部45B-1と上側外腕部45B-3とが、互いに上下方向で重複する範囲をもって位置している。したがって、その重複している範囲の分だけ、上下方向における信号用弾性部45の寸法ひいてはプラグコネクタ1の寸法が小さくなり、プラグコネクタ1の低背化が図られる。
【0048】
本実施形態では、信号用弾性部45は、二つの湾曲部、すなわち下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bを有していることとしたが、これに代えて、下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bの一方のみを有していることとしてもよい。また、本実施形態では、湾曲部は信号用弾性部45の長手方向での端部に形成されていることとしたが、これに代えて、湾曲部は信号用弾性部45の長手方向での中間部に形成されていてもよい。このように信号用弾性部の一部に湾曲部を設けることにより、その分だけ、プラグコネクタ1の低背化が図られる。
【0049】
また、本実施形態では、信号用弾性部45はその全体で湾曲しているのではなく、プラグ信号端子40の長手方向での信号用弾性部45の一部、すなわち信号用弾性部45の下端部に形成された下側湾曲部45A及び上端部に形成された上側湾曲部45Bで湾曲している。したがって、信号用弾性部45全体を湾曲させる場合と比べて、湾曲部分(下側湾曲部45A及び上側湾曲部45B)における上下方向での重複部分の範囲が小さい。この結果、信号用弾性部45にてクロストークが生じにくくなり、高速伝送特性の低下を最小限に留めることができる。
【0050】
本実施形態では、信号用弾性部45は、二つの湾曲部、すなわち下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bを有していることとしたが、これに代えて、下側湾曲部45A及び上側湾曲部45Bの一方のみを有していることとしてもよい。また、本実施形態では、湾曲部は信号用弾性部45の長手方向での端部に形成されていることとしたが、これに代えて、湾曲部は信号用弾性部45の長手方向での中間部に形成されていてもよい。このように信号用弾性部の一部に湾曲部を設けることにより、その分だけ、プラグコネクタ1の低背化が図られる。
【0051】
プラグ電源端子50は、図6に見られるように、金属帯状片をその板厚方向に屈曲して作られており、その端子幅方向(プラグ信号端子40の板厚方向に対して直角な方向)が端子配列方向(Y軸方向)と一致するように配されている。該プラグ電源端子50は、プラグ信号端子40よりも端子幅方向での寸法が大きく形成されている。
【0052】
プラグコネクタ1を端子配列方向に見たときに、プラグ電源端子50は、図6に見られるように、下方に位置する一端部に形成された電源用接続部51と、該電源用接続部51から上方へ向けて延びる固定側被保持部52と、電源用接続部51よりも上方かつコネクタ幅方向内方に位置する他端部に形成された電源用接触部53と、該電源用接触部53から下方へ向けて延びる可動側被保持部54と、固定側被保持部52と可動側被保持部54とを連結する電源用弾性部55とを有している。該プラグ電源端子50は、コネクタ幅方向(X軸方向)で対称をなすように対をなして設けられていて、この対が端子配列方向(Y軸方向)でのプラグコネクタ1の両端部で保持されている。
【0053】
電源用接続部51は、固定ハウジング20の底面より下方位置で、上下方向で直状に延びている。該電源用接続部51は、プラグコネクタ1が回路基板P1(図1(A),(B)参照)の実装面に配された状態で、該回路基板P1に形成されたスルーホールH(図1(A),(B)参照)を上方から貫通して位置し、該スルーホールHに半田接続されるようになっている。該電源用接続部51は、図3に見られるように、プラグ信号端子40の信号用接続部41よりも、コネクタ幅方向での内側、換言すると、固定ハウジング20の固定側側壁21の壁厚方向(X軸方向)でプラグ信号端子40の信号用接触部43側に位置している。本実施形態では、電源用接続部51がこのように位置しているので、プラグコネクタ1がコネクタ幅方向で大型化することを回避できる。
【0054】
固定側被保持部52は、電源用接続部51に連続して上方へ向けて延びており、固定ハウジング20の固定側電源端子保持部21B内で圧入保持されている(図7参照)。具体的には、図6に見られるように、該固定側被保持部52は、端子幅方向(Y軸方向)での両側で上下方向に延びる側縁に複数の圧入突起52Aが形成されており、該圧入突起52Aが固定側電源端子保持部21B(図7参照)の内壁面に喰い込むことにより保持されている。
【0055】
本実施形態では、固定側被保持部52は、その板厚方向が固定ハウジング20の固定側側壁21の壁厚方向(X軸方向)と一致するように保持されているので、該固定側側壁21の壁厚方向での固定側被保持部52の寸法は該固定側被保持部52の板厚寸法であり小さい。したがって、固定側側壁21の壁厚を大きくすることなく該壁厚の範囲内に固定側被保持部52を位置させることができるので、プラグコネクタ1が上記壁厚方向で大型化することがない。
【0056】
また、固定側被保持部52は、端子幅方向での二位置にて、固定ハウジング20の被係止部21C(図7参照)に対して上方から係止可能な係止部52Bが設けられている。該係止部52Bは、固定側被保持部52の板面からコネクタ幅方向内方へ切り起こされた弾性片として形成されている。つまり、該係止部52Bは、下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方へ向けて若干傾斜して延び、下端を自由端とする片持ち梁状をなしている。図7に見られるように、該係止部52Bの下端面は、上記被係止部21Cの上面である被係止面21C-1に対して直上に位置し、該被係止面21C-1に係止可能な係止面52B-1をなしている。
【0057】
後述するように、コネクタ抜出時にて固定ハウジング20に上方(コネクタ抜出方向)へ向けた外力が作用したとき、上方へもち上がった固定ハウジング20の被係止部21Cの被係止面21C-1に対して係止部52Bの係止面52B-1が上方から係止する。この結果、固定ハウジング20の上方へ向けた所定量以上の移動が規制されて、回路基板P1からプラグコネクタ1が外れることが良好に防止される。
【0058】
本実施形態では、既述したように、係止部52Bは固定側被保持部52の板面から切り起こされた弾性片として形成されている。つまり、係止部52Bは、端子幅方向(Y軸方向)で該固定側被保持部52の範囲内に位置しているので、該端子幅方向で固定側被保持部52を大きくすることなく、係止部52Bにて十分な係止面積を確保できる。また、係止部52Bは端子幅方向での固定側被保持部52の範囲内に二つ形成されているので、係止部52Bを一つだけ形成する場合と比べて、上記係止面積を大きくすることができる。
【0059】
電源用接触部53は、可動ハウジング30の可動側側壁32の収容溝部32B内で該可動側側壁32の外壁面に沿って上下方向に延びている(図1(A)参照)。該電源用接触部53は、一方の板面(板厚面に対して直角な面)がコネクタ幅方向での外方へ向けて露呈しており、該板面がレセプタクル電源端子90,100との接触のための接触面53Aを形成している(図1(A)参照)。
【0060】
可動側被保持部54は、電源用接触部53から連続して可動側電源端子保持部(図示せず)内で下方へ延びており、該可動側電源端子保持部によって圧入保持されている。具体的には、図6に見られるように、該可動側被保持部54は、端子幅方向での両側で上下方向に延びる側縁に複数の圧入突起54Aが形成されており、該圧入突起54Aが可動側信号端子保持部の内壁面に喰い込むことにより保持されている。
【0061】
電源用弾性部55は、図6に見られるように、該電源用弾性部55の上端部で略逆U字状をなして湾曲する上側湾曲部55Aと、該電源用弾性部55の下端部で略U字状をなして湾曲する下側湾曲部55Bと、直状をなし該上側湾曲部55Aと下側湾曲部55Bとを連結する連結部55Cとを有しており、コネクタ幅方向で弾性変位可能となっている。
【0062】
略逆U字状をなす上側湾曲部55A及び略U字状をなす下側湾曲部55Bは上下方向に沿って延びる二つの腕部を有している。該上側湾曲部55A及び該下側湾曲部55Bのそれぞれが該二つの腕部同士の間隔を増減させるようにしてコネクタ幅方向で弾性変位可能となっている。この結果、電源用弾性部55がコネクタ幅方向で弾性変位してフローティング可能となっている。
【0063】
連結部55Cは、図6に見られるように、上側湾曲部55Aのコネクタ幅方向内側の腕部の下端と下側湾曲部55Bのコネクタ幅方向外側の腕部の上端とを連結して、下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方に傾斜するように延びている。
【0064】
電源用弾性部55は、図6に見られるように、上側湾曲部55Aのコネクタ幅方向外側の腕部及び折り返し部分(上端部)が幅狭に形成されているとともに、その他の部分が幅広に形成されている。幅狭の部分には、電源用弾性部55の長手方向に延びるスリット部55Dが形成されている。該スリット部55Dは電源用弾性部55の端子幅方向(Y軸方向)での中央域にて板厚方向に貫通している。つまり、上記幅狭の部分は二つの細条片で形成されている。また、幅広の部分には、電源用弾性部55の長手方向に延びる二つのスリット部55Eが形成されている。該二つのスリット部55Eは電源用弾性部55の端子幅方向(Y軸方向)での中間域における二位置で板厚方向に貫通している。つまり、上記幅広の部分は三つの細条片で形成されている。このように、電源用弾性部55は二つの細条片及び三つの細条片で形成されているので、十分に大きい弾性が確保されている。
【0065】
このような構成のプラグコネクタ1は、次の要領で製造される。まず、可動ハウジング30の可動側信号端子保持部35A及び可動側電源端子保持部35Bに、プラグ信号端子40の可動側被保持部44及びプラグ電源端子50の可動側被保持部54を上方へ向けて、すなわち可動ハウジング30の下側から圧入して、プラグ端子40,50を可動ハウジング30に保持させる。この結果、プラグ信号端子40の信号用接触部43及びプラグ電源端子50の電源用接触部53は、可動ハウジング30の収容溝部32A及び収容溝部32Bに収容される。
【0066】
本実施形態では、プラグ電源端子50の電源用弾性部55は、端子配列方向に見たときの形状がプラグ信号端子40の信号用弾性部45と異なっているが、これに代えて、電源用弾性部を信号用弾性部45と同じ形状で形成してもよい。また、プラグコネクタにグランド端子を設ける場合には、該グランド端子に設けるグランド用弾性部を上記信号用弾性部45と同じ形状で形成してもよい。
【0067】
次に、固定ハウジング20の固定側信号端子保持部21A及び固定側電源端子保持部21Bに、プラグ信号端子40の固定側被保持部42及びプラグ電源端子50の固定側被保持部52を上方へ向けて、すなわち固定ハウジング20の下側から圧入して、プラグ端子40,50を固定ハウジング20に保持させる。このように、プラグ端子40,50を固定ハウジング20及び可動ハウジング30のそれぞれに取り付けることにより、プラグコネクタ1が完成する。
【0068】
レセプタクルコネクタ2は、回路基板P2(図1(A),(B)参照)の実装面に対して平行な一方向(Y軸方向)を長手方向として延びるレセプタクルハウジング60と、該長手方向を端子配列方向としてレセプタクルハウジング60に配列保持されるレセプタクル信号端子70,80およびレセプタクル電源端子90,100(以下、両者を区別する必要がないときは単に「レセプタクル端子70,80,90,100」という)とを有している。レセプタクル信号端子70,80は、端子配列方向でのレセプタクルハウジング60の中間範囲に複数配列されており、レセプタクル電源端子90,100は、端子配列方向でのレセプタクル信号端子70,80の配列範囲の両側に設けられている。
【0069】
レセプタクルハウジング60は、端子配列方向での該レセプタクルハウジング60の両端位置で端子配列方向に対して直角な板面をもつ端壁61と、二つの該端壁61の間で端子配列方向に延びレセプタクル端子70,80,90,100を配列保持する中間部62とを有している。
【0070】
中間部62は、図1ないし図4に見られるように、その上端が端壁61の上端よりも下方に位置している。該中間部62は、図3におけるコネクタ幅方向(X軸方向)での略右半部(X1側の部分)に、レセプタクル信号端子70,80を収容して保持するためのレセプタクル信号端子収容部63が端子配列方向に配列形成されているとともに、該中間部62の両側位置でレセプタクル電源端子90,100を収容して保持するためのレセプタクル電源端子収容部(図示せず)が形成されている。また、図3におけるコネクタ幅方向(X軸方向)での略右半部(X1側の部分)は、その下半部に、プラグコネクタ10の嵌合部31を受け入れるためのレセプタクル側受入部64が下方に開口して形成されている(図3及び図4参照)。また、レセプタクル側受入部64内には、下方(Z2方向)へ向けて突出するとともに、端子配列方向(Y軸方向)へ延びる島状の突壁65が形成されている。
【0071】
レセプタクル信号端子収容部63及びレセプタクル電源端子収容部(図示せず)の形状の説明に先立ち、まず、レセプタクル信号端子70,80及びレセプタクル電源端子90,100の形状について説明する。
【0072】
レセプタクル信号端子70,80は、互いに形状の異なる第一レセプタクル信号端子70と第二レセプタクル信号端子80とを有している。本実施形態では、複数の第一レセプタクル信号端子70及び複数の第二レセプタクル信号端子80が、レセプタクルハウジング60の中間部62にて一列ずつ保持されている。
【0073】
第一レセプタクル信号端子70は、図5に見られるように、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、上下方向に延びる被保持部71と、該被保持部71の一方の板面から突出する第一当接部としての突部72と、該被保持部71の側縁にて他方の板面側に折り返されてコネクタ幅方向に延びる第二当接部としての舌片73と、該被保持部71の上部に連続する移行部74と、該移行部74の上端で屈曲されてコネクタ幅方向で回路基板P2側(X2側)へ向けて直状に延びる延長部75と、該延長部75の回路基板P2側の端部で屈曲されて上方へ向けて延びる信号用接続部76と、被保持部71の下端から下方へ向けて延びる接触腕部77,78とを有している。
【0074】
被保持部71は、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60の上端寄りに位置しており、該被保持部71の板厚方向が端子配列方向(図3の紙面に直角なY軸方向)と一致するように配されている。つまり、複数の第一レセプタクル信号端子70は、被保持部71同士の板面が端子配列方向で互いに対面するような姿勢で配列されている。該被保持部71は、上下方向に延びる二つの側縁のうちコネクタ幅方向でX1側に位置する側縁から突出する圧入突起71Aを、該被保持部71の上端寄り位置及び下端寄り位置に一つずつ有している。該被保持部71は、後述するように、レセプタクルハウジング60の第一信号端子保持部63Aの内壁面に圧入突起71Aが喰い込むことにより、該第一信号端子保持部63Aで保持されるようになっている。
【0075】
突部72は、上下方向での二位置、具体的には圧入突起71Aとほぼ同位置にて、二つずつ形成されており、二つの該突部72はコネクタ幅方向(X軸方向)に配列されている。該突部72は、図5に見られるように、被保持部71の二つの板面のうち端子配列方向(Y軸方向)でのY2側に位置する一方の板面から突出するように、例えばエンボス加工により形成されている。つまり、該突部72は、該被保持部71の一方の板面よりもY2側に位置しており、Y軸方向で該一方の板面に対面する第一信号端子保持部63Aの内壁面(一方の内壁面)に対して近接して位置し、該突部72の突出頂面で当接可能となっている(図8(B)参照)。
【0076】
舌片73は、上下方向での圧入突起71A同士間の位置、換言すると上下方向での突部72同士間の位置に一つ形成されている。該舌片73は、被保持部71のX1側に位置する側縁、すなわち圧入突起71Aが形成されている側縁で該被保持部71の他方の板面側(Y1側)に折り返されて、コネクタ幅方向でX2側へ向けて延びている(図8(A)参照)。つまり、該舌片73は、上記被保持部71の他方の板面よりもY1側に位置しており、Y軸方向で該他方の板面に近接して対面する第一信号端子保持部63Aの内壁面(他方の内壁面)に対して近接して位置し、該舌片73の板面で当接可能となっている(図8(B)参照)。なお、本実施形態では、舌片73は、被保持部71の圧入突起71Aが形成されている側縁で折り返されて形成されていることとしたが、これに代えて、反対側の側縁で折り返されて形成されていてもよい。
【0077】
移行部74及び延長部75は、レセプタクル信号端子収容部63の後述する上方収容部63E内に位置している。該移行部74は、図5及び図8(A)に見られるように、被保持部71の上部のX2側に位置する側縁でY1側へ直角に屈曲されてから上方へ向けて延びており、該移行部74の上端が被保持部71の上端よりも上方に位置している。また、延長部75は、移行部74の上端でX2側へ直角に屈曲されてX2側へ向けて延びている。
【0078】
信号用接続部76は、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60外に位置しており、レセプタクルコネクタ2が回路基板P2の実装面に配された状態(図1参照)にて、該実装面上の対応信号回路部に接面し、半田接続されるようになっている。
【0079】
二つの接触腕部77,78は、図5及び図8(A)に見られるように、長接触腕部77と、該長接触腕部77よりも腕長が短い短接触腕部78とを有しており、長接触腕部77の板面と短接触腕部78との板面が端子配列方向(Y軸方向)で板面が対面するように位置している。
【0080】
長接触腕部77は、被保持部71の下端に連結された基部77Aと、該基部77Aから下方へ向けて延びる弾性腕部77Bとを有している。該弾性腕部77Bは、コネクタ幅方向(X軸方向)で、換言するとXZ平面内で弾性変位可能となっており、図3に見られるように、該弾性腕部77Bの下端部にてX1側へ突出してレセプタクルハウジング60のレセプタクル側受入部64内に位置する信号用接触部77B-1で、プラグコネクタ1のプラグ信号端子40に接圧をもって接触可能となっている(図4をも参照)。
【0081】
短接触腕部78は、長接触腕部77の基部77AのX1側の側縁で折り返された基部78A(図8(A)参照)と、該基部78Aから下方へ向けて延びる弾性腕部78Bとを有している。該弾性腕部78Bは、長接触腕部77の弾性腕部77Bから独立してコネクタ幅方向(X軸方向)で、換言するとXZ平面内で弾性変位可能となっており、該弾性腕部
78Bの下端部にてX1側へ突出してレセプタクルハウジング60のレセプタクル側受入部64内に位置する信号用接触部78B-1で、プラグコネクタ1のプラグ信号端子40に接圧をもって接触可能となっている(図4をも参照)。
【0082】
弾性腕部78Bは、図5に見られるように、長接触腕部77の弾性腕部77Bよりも腕長が短く、弾性腕部78Bの信号用接触部78B-1が弾性腕部77Bの信号用接触部77B-1よりもよりも若干上方に位置している(図8(A)をも参照)。したがって、レセプタクル信号端子70は、上下方向で互いに異なって位置する二つの信号用接触部77B-1,78B-1で、プラグ信号端子40に接触可能となっており、これによって、該プラグ信号端子40との接触の信頼性の向上が図られている。
【0083】
第二レセプタクル信号端子80は、図3に見られるように、コネクタ幅方向(X軸方向)で第一レセプタクル信号端子70の被保持部71及び接触腕部77,78よりも回路基板P2側(X2側)に位置しているとともに、上下方向(Z軸方向)で第一レセプタクル信号端子70の延長部75よりも下方に位置している。
【0084】
第二レセプタクル信号端子80は、図5に見られるように、上下方向に延びる被保持部81と、該被保持部81の一方の板面から突出する第一当接部としての突部82と、該被保持部81の側縁にて他方の板面側に折り返されてコネクタ幅方向に延びる第二当接部としての舌片83と、該被保持部81の上部に連続する移行部84と、該移行部84の上端で屈曲されてコネクタ幅方向で回路基板P2側(X2側)でクランク状に延びる延長部85と、該延長部85の回路基板P2側の端部で屈曲されて下方へ向けて延びる信号用接続部86と、被保持部81の下端から下方へ向けて延びる接触腕部87,88とを有している。
【0085】
被保持部81は、図3に見られるように、第一レセプタクル信号端子70の被保持部71よりも上下方向が小さく形成されており、該被保持部81の下端が該被保持部71の下端と上下方向でほぼ同じ高さに位置している。該被保持部81は、該被保持部81の板厚方向が端子配列方向と一致するように配されている。つまり、複数の第二レセプタクル信号端子80も、第一レセプタクル信号端子70と同様に、被保持部81同士の板面が端子配列方向で互いに対面するような姿勢で配列されている。該被保持部81は、上下方向に延びる二つの側縁のうちコネクタ幅方向でX2側に位置する側縁から突出する圧入突起81Aを、該被保持部81の上端寄り位置及び下端寄り位置に一つずつ有している。該被保持部81は、後述するように、レセプタクルハウジング60の第二信号端子保持部63Bの内壁面に圧入突起81Aが喰い込むことにより、該第二信号端子保持部63Bで保持されるようになっている。
【0086】
突部82は、図8(A)に見られるように、上下方向での二位置、具体的には圧入突起81Aとほぼ同位置にて、二つずつ形成されており、二つの該突部82はコネクタ幅方向(X軸方向)に配列されている。該突部82は、被保持部81の二つの板面のうち端子配列方向(Y軸方向)でのY1側に位置する一方の板面から突出するように、例えばエンボス加工により形成されている。つまり、該突部82は、該被保持部81の一方の板面よりもY1側、すなわち第一レセプタクル信号端子70の突部72(図5参照)とはY軸方向にて反対側に位置しており、Y軸方向で該一方の板面に対面する第二信号端子保持部63Bの内壁面(一方の内壁面)に対して該突部82の突出頂面で当接可能となっている。
【0087】
舌片83は、図8(A)に見られるように、上下方向での圧入突起81A同士間の位置、換言すると上下方向での突部82(図5参照)同士間の位置に一つ形成されている。該舌片83は、被保持部81のX2側に位置する側縁、すなわち圧入突起81Aが形成されている側縁で該被保持部81の他方の板面側(Y2側)に折り返されて、コネクタ幅方向でX1側へ向けて延びている。つまり、該舌片83は、上記被保持部81の他方の板面よりもY2側、すなわち第一レセプタクル信号端子70の舌片73とはY軸方向にて反対側に位置しており、Y軸方向で該他方の板面に対面する第二信号端子保持部63Bの内壁面(他方の内壁面)に対して該舌片83の板面で当接可能となっている。なお、本実施形態では、舌片83は、被保持部81の圧入突起81Aが形成されている側縁で折り返されて形成されていることとしたが、これに代えて、反対側の側縁で折り返されて形成されていてもよい。
【0088】
移行部84は、レセプタクル信号端子収容部63の第二信号端子保持部63B内に位置している。該移行部84は、図5に見られるように、被保持部81の上部のX2側に位置する側縁でY2側へ直角に屈曲されて形成されており、該移行部84の上端が上下方向で第一レセプタクル信号端子70の被保持部71の上端とほぼ同位置にある。
【0089】
延長部85は、図5に見られるように、移行部84の上端で直角に屈曲されてX2側へ向けて延びる上横部85Aと、該上横部85AのX2側の端部で直角に屈曲されて下方へ延びる縦部85Bと、該縦部85Bの下端で直角に屈曲されてX2側へ延びる下横部85Cとを有している。上横部85Aは、レセプタクル信号端子収容部63の後述する上方収容部63E内に位置しており、その長手方向(X軸方向)で第一レセプタクル信号端子70の延長部75よりも短くなっている(図3をも参照)。縦部85Bは、レセプタクル信号端子収容部63の後述する側方収容部63F内に位置している。下横部85Cは、図5に見られるように、X2側の端部がレセプタクルハウジング60外へ延出している。
【0090】
信号用接続部86は、図3(A),(B)に見られるように、レセプタクルハウジング60外にて、レセプタクル信号端子70の信号用接続部76とX軸方向で同位置にあり、レセプタクルコネクタ2が回路基板P2の実装面に配された状態にて、該実装面上の対応信号回路部に接面し、半田接続されるようになっている。
【0091】
二つの接触腕部87,88は、図5及び図8(A)に見られるように、長接触腕部87と、該長接触腕部87よりも腕長が短い短接触腕部88とを有している。該接触腕部87,88は、既述したレセプタクル信号端子70の接触腕部77,78を、上下方向(Z軸方向)に延びる軸線まわりに180°回転させたような形状をなしている。接触腕部87,88自体の形状は、既述した接触腕部77,78の形状と同じなので、接触腕部87,88の各部については、接触腕部77,78で対応する部分の符号に「10」を加えた符号を付す(例えば、弾性腕部には符号「87B」、「88B」を付す)。
【0092】
長接触腕部87の信号用接触部87B-1は長接触腕部77の信号用接触部77B-1と、そして短接触腕部88の信号用接触部88B-1は短接触腕部78の信号用接触部78B-1と、上下方向で同位置に位置しておりX2方向へ向けて突出している。信号用接触部77B-1,78B-1は、レセプタクルハウジング60の受入部64内に位置しており、プラグコネクタ1のプラグ信号端子40に接圧をもって接触可能となっている(図4参照)。
【0093】
レセプタクル電源端子90,100は、互いに形状の異なる第一レセプタクル電源端子90と第二レセプタクル電源端子100とを有している。本実施形態では、一つの第一レセプタクル電源端子90及び一つの第二レセプタクル電源端子100とから成る対が、レセプタクルハウジング60の中間部62の端子配列方向両側位置で一対ずつ保持されている。具体的には、レセプタクル電源端子90,100は、上記中間部62に形成されたレセプタクル電源端子収容部(図示せず)で収容保持されている。
【0094】
第一レセプタクル電源端子90は、図6に見られるように、金属板部材を板厚方向に屈
曲して作られており、第一レセプタクル信号端子70よりも端子幅寸法(Y軸方向での寸法)が大きくなっている。該第一レセプタクル電源端子90は、上下方向に延びる被保持部91と、該被保持部91の上端から上方へ延びてから直角に屈曲されてコネクタ幅方向で回路基板P2側(X2側)へ向けて直状に延びる延長部92と、該延長部92の回路基板P2側の端部で屈曲されて上方へ向けて延びる電源用接続部93と、被保持部91の下端から下方へ向けて延びる二つの接触腕部94とを有している。第一レセプタクル電源端子90は、その端子幅方向が端子配列方向(Y軸方向)と一致するように配されている。
【0095】
被保持部91は、レセプタクルハウジング60の上端寄りに位置しており、該被保持部91の板厚方向がコネクタ幅方向と一致するように配されている。該被保持部91は、上下方向に延びる端子幅方向(Y軸方向)での両側の側縁から突出する圧入突起91Aを、各側縁につき二つずつ有している。該被保持部91は、後述するように、レセプタクルハウジング60のレセプタクル電源端子収容部(図示せず)の一部をなす第一電源端子保持部(図示せず)の内壁面に圧入突起91Aが喰い込むことにより、該第一電源端子保持部で保持されるようになっている。
【0096】
延長部92は、図6に見られるように、その長手方向全体にわたって被保持部91よりも端子幅方向(Y軸方向)で幅狭に形成されている。該延長部92は、その長手方向にて被保持部91側に位置し横L字状に延びる部分が幅狭となっており、上記長手方向にて電源用接続部93側に位置し直状に延びる部分が幅広となっている。
【0097】
電源用接続部93は、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60外に位置しており、レセプタクルコネクタ2が回路基板P2の実装面に配された状態(図1参照)にて、該実装面上の対応電源回路部に接面し、半田接続されるようになっている。
【0098】
二つの接触腕部94は、図6に見られるように、互いに同形状で形成されており、端子配列方向(Y軸方向)に配列されている。該接触腕部94は、下端寄り位置でX2側へ向けて突出するように屈曲されており、その突出した部分が、プラグコネクタ1のプラグ電源端子50に接圧をもって接触可能な電源用接触部94Aとして形成されている。図6に見られるように、二つの接触腕部94の電源用接触部94Aは上下方向で同位置に設けられている。また、該電源用接触部94Aは、図3に見られるように、第一レセプタクル信号端子70の信号用接触部77B-1,78B-1よりも上方でレセプタクルハウジング60のレセプタクル側受入部64内に突出して位置している。
【0099】
第二レセプタクル電源端子100は、図6に見られるように、コネクタ幅方向(X軸方向)で第一レセプタクル電源端子90の被保持部91及び接触腕部94よりも回路基板P2側(X2側)に位置しているともに、上下方向(Z軸方向)で第一レセプタクル電源端子90の延長部92のコネクタ幅方向に延びる部分よりも下方に位置している。
【0100】
第二レセプタクル電源端子100は、図6に見られるように、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、第二レセプタクル信号端子80よりも端子幅寸法(Y軸方向での寸法)が大きくなっている。該第二レセプタクル電源端子100は、上下方向に延びる被保持部101と、該被保持部101の上端からコネクタ幅方向で回路基板P2側(X2側)へ向けて直角に屈曲されてから下方へ向けて屈曲され直状に延びる延長部102と、該延長部102の回路基板P2側の下端で屈曲されて回路基板P2側(X2側)へ向けて延びる電源用接続部103と、被保持部101の下端から下方へ向けて延びる二つの接触腕部104とを有している。
【0101】
被保持部101及び接触腕部104は、既述した第一レセプタクル電源端子90の被保持部91及び接触腕部94と同じ上下方向位置で、該被保持部91及び該接触腕部94を
コネクタ幅方向(X軸方向)で反転させた形状をなしている。該被保持部101及び接触腕部104の各部については、被保持部91及び接触腕部94の各部の符号に「10」を加えた符号を付すこととする(例えば、電源用接触部には符号「104A」を付す)。接触腕部104の電源用接触部104Aは、図3に見られるように、第二レセプタクル信号端子80の信号用接触部87B-1,88B-1よりも上方位置、かつ、第一レセプタクル電源端子90の電源用接触部94Aと同位置で、レセプタクルハウジング60のレセプタクル側受入部64内に突出している。
【0102】
延長部102は、図6に見られるように、逆L字状に屈曲されており、その長手方向全体にわたって被保持部101よりも端子幅方向(Y軸方向)で幅狭に形成されている。該延長部102は、コネクタ幅方向(X軸方向)に延びる横部102Aと、上下方向(Z軸方向)に延びる縦部102Bとを有しており、該縦部102Bが上記横部102Aよりも幅広に形成されている。
【0103】
電源用接続部103は、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60外に位置しており、レセプタクルコネクタ2が回路基板P2の実装面に配された状態(図1参照)にて、該回路基板P2に形成されたスルーホール(図示せず)を貫通して位置し、該スルーホールに半田接続されるようになっている。
【0104】
レセプタクルハウジング60の説明に戻る。レセプタクルハウジング60のレセプタクル信号端子収容部63は、図3に見られるように、レセプタクル信号端子70,80の被保持部71,81を保持するレセプタクル信号端子保持部63A,63B(第一信号端子保持部63A及び第二信号端子保持部63B)と、該レセプタクル信号端子70,80の接触腕部77,78の一部を収容する弾性変位許容溝部63C,63D(第一弾性変位許容溝部63Cと第二弾性変位許容溝部63D)と、第一レセプタクル信号端子70の延長部75及び第二レセプタクル信号端子80の延長部85の上横部85Aを収容する上方収容部63Eと、第二レセプタクル信号端子80の延長部85の縦部85Bを収容する側方収容部63Fとを有している。
【0105】
レセプタクル信号端子保持部63A,63Bは、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60の中間部62におけるコネクタ幅方向(X軸方向)での略右半部(X1側の部分)の上半部に形成されている。該レセプタクル信号端子保持部63A,63Bは、図3の紙面に対して直角な方向に拡がるとともに上下方向に延びて貫通するスリット状の孔部として形成されている。
【0106】
レセプタクル信号端子保持部63A,63Bのうち、図3にてX1側に位置する第一信号端子保持部63Aは、図8(B)に見られるように、端子配列方向(Y軸方向)での幅寸法S1、換言すると、第一信号端子保持部63Aの内壁面同士の距離が、第一レセプタクル信号端子70の被保持部71の板厚寸法S2よりも大きく形成されている。また、該第一信号端子保持部63Aの上記幅寸法S1は、端子配列方向における第一レセプタクル信号端子70の突部72の突出頂面と舌片73の外側の板面(Y1側の板面)との距離S3よりも若干大きくなっている。
【0107】
レセプタクル信号端子保持部63A,63Bのうち、図3にてX2側に位置する第二信号端子保持部63Bも、既述した第一信号端子保持部63Aと同様に、その幅寸法、換言すると、第二信号端子保持部63Bの内壁面同士の距離が、第二レセプタクル信号端子80の被保持部81の板厚寸法よりも大きく形成されている。また、上記幅寸法は、端子配列方向における第二レセプタクル信号端子80の突部82の突出頂面と舌片83の外側の板面(Y2側の板面)との距離よりも若干大きくなっている。
【0108】
上述のような寸法関係のもとで、端子配列方向において、突部72,82の突出頂面とこれに対面する信号端子保持部63A,63Bの内壁面との間、そして、舌片73,83の上記板面とこれに対面する信号端子保持部63A,63Bの内壁面との間には、隙間が形成されている。このように、信号端子保持部63A,63Bの端子配列方向での寸法を若干大きく設定しておくことにより、レセプタクルハウジング60へのレセプタクル信号端子70,80の取付けの際に、被保持部71,81、突部72,82及び舌片73,83を信号端子保持部63A,63B内に容易にもたらすことができる。
【0109】
既述したように、本実施形態では、レセプタクル信号端子70,80の突部72,83及び舌片73,83が、信号端子保持部63A,63Bの内壁面に当接可能となっているので、突部72,83の突出頂面及び舌片73,83の板面と信号端子保持部63A,63Bの内壁面との間に隙間が存在していても、該信号端子保持部63A,63B内で被保持部71,81がその板厚方向(X軸方向)でほとんど傾斜することがなく正規位置で保持される。この結果、レセプタクル信号端子70,80全体も傾斜することがなく正規位置に維持されるので、プラグ信号端子40との良好な接触状態が確保され、信号伝送特性の低下を回避できる。
【0110】
また、本実施形態では、突部72,82は被保持部71,81における上下方向での二位置に設けられている。このように突部72,82を上下方向での複数位置に設けることにより、信号端子保持部63A,63B内にて被保持部71,81をより安定させて正規位置に維持することができる。また、舌片73,83は、上下方向にて、互いに隣接する突部72,82の間の位置に設けられている。したがって、突部72,82及び被保持部71,81が上下方向で交互に配置され、これによって、信号端子保持部63A,63B内にて被保持部71,81をさらに確実に安定させて正規位置に維持することができる。
【0111】
弾性変位許容溝部63C,63Dのうち、図3にてX1側に位置する第一弾性変位許容溝部63Cは、第一信号端子保持部63Aの下方にて上下方向に延びており、該第一信号端子保持部63Aと連通している。該第一弾性変位許容溝部63Cは、コネクタ幅方向にて突壁65のX1側に位置する側面から没するとともに上下方向に延びて貫通する溝状に形成されており、第一レセプタクル信号端子70の接触腕部77,78のX2側の部分を収容している。
【0112】
第一弾性変位許容溝部63Cの溝底は、図3に見られるように、該第一弾性変位許容溝部63Cの上端から上下方向中間位置までの範囲では、下方へ向かうにつれてX2側へ傾斜するように延びており、該中間位置から下端までの範囲にでは、傾斜することなく下方へ延びている。したがって、上記溝底と接触腕部77,78との間には、コネクタ幅方向にて隙間が形成されている。第一弾性変位許容溝部63Cは、上記隙間によって接触腕部77,78の弾性変位を許容している。
【0113】
弾性変位許容溝部63C,63Dのうち、図3にてX2側に位置する第二弾性変位許容溝部63Dは、既述した第一弾性変位許容溝部63Cをコネクタ幅方向で対称をなす形状で形成されている。該第二弾性変位許容溝部63Dは、第二レセプタクル信号端子80の接触腕部87,88のX1側の部分を収容している。また、該第二弾性変位許容溝部63Dは、コネクタ幅方向で第二弾性変位許容溝部63Dの溝底と接触腕部87,88との間に形成される隙間によって該接触腕部87,88の弾性変位を許容している。
【0114】
上方収容部63Eは、端子配列方向(Y軸方向)でのレセプタクル信号端子70,80の位置にて、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60の中間部62の上面から没するとともに、コネクタ幅方向(X軸方向)で第一信号端子保持部63Aの位置から上記中間部62の左端(X2側の端部)まで延びる範囲にわたって形成されている。端子
配列方向で隣接する上方収容部63Eの間には、コネクタ幅方向での中間部62の左端側の位置で中間部62の上面から上方へ起立する上方隔壁66が形成されている。中間部62に形成された全ての上方収容部63Eは、端子配列方向に見て上方隔壁66を除いた範囲で端子配列方向に連通している。該上方収容部63E内に収容された第一レセプタクル信号端子70の延長部75及び第二レセプタクル信号端子80の延長部85の上横部85Aは、図3に見られるように、上下方向にて上方隔壁66の範囲内に位置している。その結果、延長部75及び上横部85Aは、上方隔壁66によって端子配列方向での移動が規制されている。
【0115】
側方収容部63Fは、端子配列方向でのレセプタクル端子70,80の位置にて、図3に見られるように、レセプタクルハウジング60の中間部62のX2側の側面から没するとともに、上下方向にて上方収容部63Eの下端から上記中間部62の下端寄り位置まで延びる範囲にわたって形成されている。端子配列方向で隣接する側方収容部63Fの間には、中間部62の下端側の位置で中間部62の側面からX2側へ起立する側方隔壁67が形成されている。中間部62に形成された全ての側方収容部63Fは、端子配列方向に見て側方隔壁67を除いた範囲にて端子配列方向に連通している。該側方収容部63F内に収容された第二レセプタクル信号端子80の延長部85の縦部85Bは、図3に見られるように、コネクタ幅方向(X軸方向)にて側方隔壁67の範囲内に位置している。その結果、縦部85Bは、側方隔壁67によって端子配列方向での移動が規制されている。
【0116】
レセプタクルハウジング60のレセプタクル電源端子収容部(図示せず)は、レセプタクル電源端子90,100の被保持部91,101を保持するレセプタクル電源端子保持部と、該レセプタクル電源端子90,100の接触腕部94,104の一部を収容する弾性変位許容溝部と、第一レセプタクル電源端子90の延長部92及び第二レセプタクル電源端子100の延長部102の横部102Aを収容する上方収容部と、第二レセプタクル電源端子100の延長部102の縦部102Bを収容する側方収容部とを有している。
【0117】
上記レセプタクル電源端子保持部及び該レセプタクル電源端子保持部の下方に位置する上記弾性変位許容溝部は、レセプタクルハウジング60のレセプタクル側受入部64を形成する内壁面のうち、コネクタ幅方向(X軸方向)にて突壁65の両側面と対面する二つの壁面(コネクタ幅方向で突壁65の両側に位置する壁面)から没して、上下方向に延びる溝状に形成されている。つまり、該二つの壁面のそれぞれにて、上記レセプタクル電源端子保持部と上記弾性変位許容溝部とが、上下方向に連続する一つの溝部をなしている。コネクタ幅方向でX1側に位置する該溝部では、第一レセプタクル電源端子90の被保持部91が圧入保持されるとともに、第一レセプタクル電源端子90の接触腕部94が弾性変位可能に収容される。一方、コネクタ幅方向でX2側に位置する該溝部では、第二レセプタクル電源端子100の被保持部101が圧入保持されるとともに、第二レセプタクル電源端子100の接触腕部104が弾性変位可能に収容される。
【0118】
上記レセプタクル電源端子収容部の上記上方収容部及び上記側方収容部は、既述した上記レセプタクル信号端子収容部63の上方収容部63E及び側方収容部63Fを端子配列方向で幅広としたような形状をなしている。また、上記上方収容部及び上記側方収容部に収容されたレセプタクル電源端子90,100の延長部92,102は、既述したレセプタクル信号端子70,80と同様に、中間部62に設けられた隔壁によって端子配列方向での移動が規制されている。
【0119】
このような構成のレセプタクルコネクタ2は、次の要領で製造される。まず、レセプタクルハウジング60のレセプタクル信号端子収容部63へ第二レセプタクル信号端子80を上方から挿入する。この結果、第二レセプタクル信号端子80の被保持部81が第二信号端子保持部63Bに圧入され、該第二レセプタクル信号端子80がレセプタクル信号端
子収容部63で収容保持される。
【0120】
また、レセプタクルハウジング60のレセプタクル電源端子収容部(図示せず)へ第二レセプタクル電源端子100を上方から挿入する。この結果、第二レセプタクル電源端子100の被保持部101がレセプタクル電源端子保持部に圧入され、第二レセプタクル電源端子100が上記レセプタクル電源端子収容部に収容保持される。
【0121】
次に、レセプタクルハウジング60のレセプタクル信号端子収容部63へ第一レセプタクル信号端子70を上方から挿入する。この結果、第一レセプタクル信号端子70の被保持部71が第一信号端子保持部63Aに圧入され、該第一レセプタクル信号端子70がレセプタクル信号端子収容部63で収容保持される。
【0122】
また、レセプタクルハウジング60のレセプタクル電源端子収容部(図示せず)へ第一レセプタクル電源端子90を上方から挿入する。この結果、第一レセプタクル電源端子90の被保持部91がレセプタクル電源端子保持部に圧入され、第一レセプタクル電源端子90が上記レセプタクル電源端子収容部に収容保持される。
【0123】
このようにして、レセプタクル端子70,80,90,100をレセプタクルハウジング60に取り付けることによりレセプタクルコネクタ2が完成する。
【0124】
次に、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合接続動作について説明する。まず、プラグコネクタ1を回路基板P1の実装面に半田接続して実装するとともに、レセプタクルコネクタ2を回路基板P2の実装面に半田接続して実装する。次に、図1及び図3に見られるように、プラグコネクタ1の嵌合部31が上方へ向いた姿勢で配置し、レセプタクルコネクタ2をレセプタクル側受入部64が下方に開口した姿勢にして、プラグコネクタ1の上方にもたらす。そして、レセプタクルコネクタ2を下方へ移動させることによりプラグコネクタ1との嵌合接続を開始する。
【0125】
コネクタ嵌合過程では、プラグコネクタ1の嵌合部31がレセプタクルコネクタ2のレセプタクル側受入部64内へ下方から進入するとともに、レセプタクルコネクタ2の突壁65がプラグコネクタ1のプラグ側受入部34内へ上方から進入する。この結果、プラグコネクタ1のプラグ信号端子40の信号用接触部43が、レセプタクル信号端子70,80の信号用接触部77B-1,78B-1に当接して接触腕部77,78を弾性変位させる(図4参照)。また、プラグコネクタ1のプラグ電源端子50の信号用接触部53が、レセプタクル電源端子90,100の電源用接触部94A,104Aに当接して接触腕部94,104を弾性変位させる。
【0126】
さらに、コネクタ嵌合過程が進行し、図4に見られるように、プラグコネクタ1の嵌合部31がレセプタクルコネクタ2のレセプタクル側受入部64の奥部に到達するとともに、レセプタクルコネクタ2の突壁65がプラグコネクタ1のプラグ側受入部34の奥部に到達することにより、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合接続状態となり、コネクタ嵌合接続動作が完了する。コネクタ嵌合接続状態にて、レセプタクル信号端子70,80の接触腕部77,78の弾性変位状態は維持されており、プラグ信号端子40の信号用接触部43とレセプタクル信号端子70,80の信号用接触部77B-1,78B-1とが接圧をもって接触する。また、レセプタクル電源端子90,100の接触腕部94,104の弾性変位状態は維持されており、プラグ電源端子50の信号用接触部53とレセプタクル電源端子90,100の電源用接触部94A,104Aとが接圧をもって接触する。この結果、プラグ端子40,50とレセプタクル端子70,80,90,100とが電気的に導通する。
【0127】
コネクタ嵌合直前やコネクタ嵌合接続状態において、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合位置が必ずしも端子配列方向及びコネクタ幅方向で正規位置となるとは限らず、これらの方向でずれることがある。本実施形態では、コネクタ1,2同士のずれは、プラグ端子40,50の弾性部45,55の弾性変位のもとで、可動ハウジング30がずれの方向へ向けて移動する、いわゆるフローティングにより吸収される。
【0128】
また、コネクタ抜出時にて、プラグコネクタ1に対して嵌合接続状態にあるレセプタクルコネクタ2をコネクタ抜出方向、すなわち上方(Z1方向)へもち上げると、プラグ端子40,50には、レセプタクル端子70,80,90,100との摩擦等に起因して上方へ向けた外力が作用する。この結果、プラグコネクタ1の可動ハウジング30は、プラグ端子40,50の弾性部45,55の弾性変位を伴いながら上方へ所定量移動するが、該可動ハウジング30の被規制部36の被規制面36Aが固定ハウジング20の規制部22Bの規制面22B-1に下方から当接することにより、該所定量以上の移動が規制される。したがって、固定ハウジング20ひいてはプラグ端子40,50がそれ以上もち上げられることはなく、回路基板P1の実装面からプラグ端子40,50の接続部41,51が剥離してプラグコネクタ1が外れることが防止される。
【0129】
しかし、可動ハウジング30の被規制部36の被規制面36Aが固定ハウジング20の規制部22Bの規制面22B-1に下方から当接する力が過剰に大きい合、固定ハウジング20が上方へもち上がってしまうおそれがある。本実施形態では、プラグ電源端子50の被保持部52が、固定ハウジング20の被係止部21Cに対して上下方向で係止可能な係止部52Bを有している。したがって、固定ハウジング20がもち上がってしまった場合であっても、プラグ電源端子50の係止部52Bの係止面52B-1が固定ハウジング20の被係止部21Cの被係止面21C-1に対して上方から当接して係止することにより、その係止力で、上方へ向けた上記外力に対抗することができる。この結果、回路基板P1の実装面からのプラグ端子40,50の接続部41,51の剥離ひいてはプラグコネクタ1の外れをより確実に防止できる。
【0130】
また、上記係止部52Bはプラグ電源端子50に設けられているので、従来のように、コネクタ抜出方向での外力に対抗するための金具を、端子配列範囲外に別途設ける必要がなく、プラグコネクタ1が端子配列方向で大型化することはない。
【0131】
本実施形態では、プラグ電源端子50の係止部52Bは端子幅方向にて二つ設けられることとしたが、係止部の数はこれに限られず、例えば、三つ以上であってもよく、また、係止面の面積を十分に確保できるのであれば一つであってもよい。
【0132】
本実施形態では、レセプタクル信号端子70,80において、被保持部71,81の一方の板面側に設けられる第一当接部を突部72,82とし、他方の板面側に設けられる第二当接部を舌片73,83としたが、第一当接部及び第二当接部の形態はこれに限られない。例えば、第一当接部及び第二当接部の両方を突部としてもよく、また、第一当接部及び第二当接部の両方を舌片としてもよい。
【0133】
また、本実施形態では、上下方向での各位置につき二つずつ設けられていることとしたが、突部の数はこれに限られず、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、上下方向での各位置に突部を一つだけ設ける場合には、該突部を被保持部の幅方向(X軸方向)に延びた形状としてもよい。このような形状とすることにより該突部の突出頂面の面積、換言すると、端子保持部の内壁面に当接可能な面積を大きくすることができ、レセプタクル信号端子の姿勢をより安定させやすくなる。
【0134】
本実施形態では、突部72,82が上下方向での二箇所に設けられ、舌片73,83が上下方向での一箇所に設けられることとしたが、突部及び舌片を設ける上下方向での位置の数はこれに限られず、さらに増やしてもよい。これによって、レセプタクル信号端子の姿勢をよりさらに安定させやすくなる。
【符号の説明】
【0135】
1 プラグコネクタ 53 電源用接触部
2 レセプタクルコネクタ 60 レセプタクルハウジング
10 プラグハウジング 63A 第一信号端子保持部
20 固定ハウジング 63B 第二信号端子保持部
21C 被係止部 70 第一レセプタクル信号端子
22 固定側端壁 71 被保持部
30 可動ハウジング 72 突部(第一当接部)
40 プラグ信号端子 73 舌片(第二当接部)
41 信号用接続部 77 長接触腕部
42 固定側被保持部 77B-1 信号用接触部
43 信号用接触部 78 短接触腕部
44 可動側被保持部 78B-1 信号用接触部
45 信号用弾性部 80 第二レセプタクル信号端子
45A 下側湾曲部 81 被保持部
45B 上側湾曲部 82 突部(第一当接部)
50 プラグ電源端子 83 舌片(第二当接部)
51 電源用接続部 P1 回路基板
52 固定側被保持部 P2 回路基板
52B 係止部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8