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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】キャリア付銅箔
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20240104BHJP
   B32B 15/18 20060101ALI20240104BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20240104BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20240104BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B15/18
C25D7/00 J
C23C28/00 B
H05K1/03 630H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022204558
(22)【出願日】2022-12-21
(62)【分割の表示】P 2019562900の分割
【原出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2023033313
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2017251237
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】石井 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】柳井 威範
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宜範
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149811(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/150283(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/043058(WO,A1)
【文献】特開2008-255462(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174970(WO,A1)
【文献】国際公開第2002/024444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C23C 14/00-14/58,
24/00-30/00
C25D 5/00- 7/12
H05K 1/03, 1/09,
3/46
H01L 23/12-23/14
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアと、
前記キャリア上に設けられる中間層と、
前記中間層上に設けられ、金属酸化物層及び炭素層を含む、剥離層と、
前記剥離層上に設けられる極薄銅層と、
を備え、
前記剥離層と前記極薄銅層の間に、Tiで構成されるエッチングストッパー層をさらに備え、
前記金属酸化物層が前記中間層に隣接し、かつ、前記炭素層が前記極薄銅層に近い側に設けられ、
前記中間層が、前記キャリアに隣接するTi含有層と、前記剥離層に隣接するCu含有層とを含み、かつ、前記金属酸化物層が酸化銅層である、又は
前記中間層がAl含有層であり、かつ、前記金属酸化物層が酸化アルミニウム層であり、
前記中間層、前記炭素層、前記金属酸化物層、前記エッチングストッパー層、及び前記極薄銅層はいずれも物理気相堆積(PVD)膜である、キャリア付銅箔。
【請求項2】
前記中間層を構成する金属の標準電極電位が、前記エッチングストッパー層を構成する金属の標準電極電位以上である、請求項1に記載のキャリア付銅箔。
【請求項3】
前記中間層の厚さが10~1000nmである、請求項1又は2に記載のキャリア付銅箔。
【請求項4】
前記金属酸化物層の厚さが100nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項5】
前記炭素層の厚さが1~20nmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項6】
前記エッチングストッパー層の厚さが1~500nmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項7】
前記極薄銅層の厚さが10~1000nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項8】
350℃以上で使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
【請求項9】
前記キャリア上に、前記中間層、前記炭素層、前記金属酸化物層、前記エッチングストッパー層、及び前記極薄銅層をいずれも物理気相堆積(PVD)法によって作製することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア付銅箔に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板の実装密度を上げて小型化するために、プリント配線板の多層化が広く行われるようになってきている。このような多層プリント配線板は、携帯用電子機器の多くで、軽量化や小型化を目的として利用されている。そして、この多層プリント配線板には、層間絶縁層の更なる厚みの低減、及び配線板としてのより一層の軽量化が要求されている。
【0003】
このような要求を満たす技術として、コアレスビルドアップ法を用いた多層プリント配線板の製造方法が採用されている。コアレスビルドアップ法とは、いわゆるコア基板を用いることなく、絶縁層と配線層とを交互に積層(ビルドアップ)して多層化する方法である。コアレスビルドアップ法においては、支持体と多層プリント配線板との剥離を容易に行えるように、キャリア付銅箔を使用することが提案されている。例えば、特許文献1(特開2005-101137号公報)には、キャリア付銅箔のキャリア面に絶縁樹脂層を貼り付けて支持体とし、キャリア付銅箔の極薄銅層側にフォトレジスト加工、パターン電解銅めっき、レジスト除去等の工程により第一の配線導体を形成した後、絶縁材料を積層して熱プレス加工を行う等してビルドアップ配線層を形成し、キャリア付支持基板を剥離し、極薄銅層を除去することを含む、半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法が開示されている。
【0004】
このような多層プリント配線板の製造工程においては、絶縁材料を積層するたびに熱プレス加工を行うため、キャリア付銅箔には高温で長時間加熱されることになる。また、この熱プレス加工の加熱温度は積層する絶縁材料の硬化温度に依存するため、その温度は絶縁材料の種類によって異なり、例えば160~400℃と幅広い。この点、熱プレス加工の加熱温度が高温になるほど、剥離強度が上昇して剥離性が失われることが知られている。
【0005】
加熱に伴う剥離強度の上昇に対処可能なキャリア付銅箔が幾つか提案されている。例えば、特許文献2(特開2007-307767号公報)には、キャリア、接合界面層としての炭素層、及び銅箔を順に備えたキャリア付銅箔が開示されており、180℃を超える高温で加熱された後でも容易にキャリア箔と銅箔との引き剥がしが可能になるとされている。また、特許文献3(特開2006-22406号公報)には、キャリアの表面に、クロム層等の剥離層と、ニッケル層等の拡散防止層と、電気銅メッキ層とをこの順序に積層してなるキャリア付銅箔が開示されており、高温でキャスティング又は熱圧着して製造される銅張積層板からキャリア箔を容易に剥離できるとされている。
【0006】
ところで、キャリア付銅箔における極薄銅層の厚さの更なる低減を実現するため、スパッタリング等の物理気相堆積(PVD)法により極薄銅層を形成することも最近提案されている。例えば、特許文献4(国際公開第2017/150283号)には、キャリア、剥離層、反射防止層、極薄銅層を順に備えたキャリア付銅箔が開示されており、剥離層、反射防止層及び極薄銅層をスパッタリングで形成することが記載されている。また、特許文献5(国際公開第2017/150284号)には、キャリア、中間層(例えば密着金属層及び剥離補助層)、剥離層及び極薄銅層を備えたキャリア付銅箔が開示されており、中間層、剥離層及び極薄銅層をスパッタリングで形成することが記載されている。特許文献3及び4のいずれにおいても、剥離層は炭素層であることが好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-101137号公報
【文献】特開2007-307767号公報
【文献】特開2006-22406号公報
【文献】国際公開第2017/150283号
【文献】国際公開第2017/150284号
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、特許文献2、4及び5に開示されるような接合界面層ないし剥離層として炭素層を含むキャリア付銅箔は、180℃程度の高温では剥離強度が低いレベルで安定するものの、さらなる高温(例えば350℃)で加熱された後においては剥離強度が過度に増加するという問題がある。また、特許文献3に開示されるキャリア付銅箔は、剥離強度がクロムの付着量に大きく影響されることが明示されており、剥離強度を安定して制御することは困難である。このように、従来のキャリア付銅箔は、350℃以上の高温で加熱された際に、安定した剥離性を保持できるものではない。
【0009】
一方、硬化温度は高いが信頼性の高い絶縁材料(例えばポリイミド樹脂)を絶縁層の材料として使用することができれば、より高い信頼性が求められるパッケージ向けの回路形成が可能なキャリア付銅箔として用途を広げることが可能となる。したがって、350℃以上の高温で長時間加熱された後においても、安定した剥離性を保持するキャリア付銅箔が望まれる。
【0010】
本発明者は、今般、キャリア付銅箔の中間層と極薄銅層の間に、金属酸化物層及び炭素層を剥離層として設けることで、350℃以上の高温で長時間加熱された後においても、安定した剥離性を保持することが可能なキャリア付極薄銅箔を提供できるとの知見を得た。
【0011】
したがって、本発明の目的は、350℃以上の高温で長時間加熱された後においても、安定した剥離性を保持することが可能なキャリア付極薄銅箔を提供することにある。
【0012】
本発明の一態様によれば、
所望によりガラス又はセラミックスで構成される、キャリアと、
前記キャリア上に設けられ、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される中間層と、
前記中間層上に設けられ、炭素層及び金属酸化物層を含む、又は金属酸化物及び炭素を含む、剥離層と、
前記剥離層上に設けられる極薄銅層と、
を備えた、キャリア付銅箔が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、前記キャリア上に、前記中間層、前記炭素層、前記金属酸化物層、存在する場合には前記エッチングストッパー層、及び前記極薄銅層をいずれも物理気相堆積(PVD)法によって作製することを特徴とする、前記キャリア付銅箔の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のキャリア付銅箔の一態様を示す模式断面図である。
図2】例3及び4で作製された剥離層のXPSによる半定量分析の結果を示す図である。
図3】従来技術のキャリア付銅箔における、各種温度で1時間加熱した後の剥離強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
キャリア付銅箔
本発明のキャリア付銅箔の一例が図1に模式的に示される。図1に示されるように、本発明のキャリア付銅箔10は、キャリア12と、中間層14と、剥離層16と、極薄銅層18とをこの順に備えたものである。キャリア12は所望によりガラス又はセラミックスで構成される。中間層14はキャリア12上に設けられ、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される層である。剥離層16は、中間層14上に設けられる、金属酸化物層16a及び炭素層16bを含む(あるいは金属酸化物及び炭素を含む)層である。極薄銅層18は、剥離層16上に設けられる、銅からなる層である。所望により、本発明のキャリア付銅箔10は、剥離層16と極薄銅層18の間にエッチングストッパー層17をさらに有していてもよい。また、キャリア12の両面に上下対称となるように上述の各種層を順に備えてなる構成としてもよい。キャリア付銅箔10は、上述した中間層14及び剥離層16を備えること以外は、公知の層構成を採用すればよく特に限定されない。このように、キャリア付銅箔10の中間層14と極薄銅層18の間に、金属酸化物層16a及び炭素層16bを剥離層16として設けることで、350℃以上の高温で長時間(例えば2時間以上)加熱された後においても、安定した剥離性を保持することが可能となる。したがって、本発明のキャリア付銅箔は350℃以上で使用されるのが好ましい。
【0016】
前述のとおり、従来のキャリア付銅箔は、350℃以上の高温で加熱した際に、剥離強度が過度に増加する等の理由から、安定した剥離性を保持できるものではなかった。加熱によって剥離強度が上昇するメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のようなものと推察される。すなわち、中間層14及び極薄銅層18(存在する場合はエッチングストッパー層17)は、いずれも金属で構成されているため、熱プレス加工等によりキャリア付銅箔10に高温で加熱されると、これらの層に由来する金属元素の拡散が生じうる。この点、炭素層16bはキャリアの安定的な剥離に寄与する一方、金属元素の拡散を許容しうる。したがって、特許文献1、3及び4のように、剥離層16を炭素層16bのみで構成した場合、金属元素は剥離層16を通り抜けて中間層14へと拡散しうる。その結果、中間層14及び極薄銅層18(存在する場合はエッチングストッパー層17)間の領域で追加的な金属-金属結合が生じ、この追加的な金属-金属結合に起因して剥離強度が上昇するものと考えられる。一例として、剥離層16を炭素層16bのみで構成した場合のキャリア付銅箔における、各種温度で1時間加熱した後の剥離強度のグラフが図3に示される。図3に示されるように、剥離層16が炭素層16bのみで構成されたキャリア付銅箔では、300℃以上の加熱によって剥離強度が大きく上昇し、350℃では剥離不可となることが分かる。これに対し、本発明のキャリア付銅箔10は、剥離層16を炭素層16b(あるいは炭素)のみならず、金属酸化物層16a(あるいは金属酸化物)も含む構成とすることで、加熱に伴う剥離強度の過度な上昇を抑えることが可能となり、安定した剥離性を保持することができる。すなわち、金属酸化物層16aが優れた金属元素の拡散防止効果を呈するため、350℃以上の高温で長時間加熱された場合においても、金属元素が剥離層16を通り抜けて中間層14へと拡散するのを抑制することができる。その結果、中間層14及び極薄銅層18(存在する場合はエッチングストッパー層17)間の領域における金属-金属結合の追加的形成を効果的に抑制することが可能となる。こうして、本発明のキャリア付銅箔10は、350℃以上の高温で長時間加熱された後においても、安定した剥離性を保持できるものと考えられる。
【0017】
キャリア12は、好ましくはガラス又はセラミックスで構成される。キャリア12の形態はシート、フィルム及び板のいずれであってもよい。また、キャリア12はこれらのシート、フィルム及び板等が積層されたものであってもよい。例えば、キャリア12はガラス板、セラミックス板等といった剛性を有する支持体として機能し得るものであることが好ましい。キャリア12を構成するセラミックスの好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、その他各種ファインセラミックス等が挙げられる。より好ましくは、加熱を伴うプロセスにおけるキャリア付銅箔10の反り防止の観点から、熱膨張係数(CTE)が25ppm/K未満(典型的には1.0~23ppm/K)の材料であり、そのような材料の例としては上述したようなセラミックス及びガラスが挙げられる。また、ハンドリング性やチップ実装時の平坦性確保の観点から、キャリア12はビッカース硬度が100HV以上であるのが好ましく、より好ましくは150~2500HVである。これらの特性を満たす材料として、キャリア12はガラスで構成されるのが特に好ましく、例えばガラス板やガラスシート等である。ガラスをキャリア12として用いた場合、軽量で、熱膨脹係数が低く、絶縁性が高く、剛直で表面が平坦なため、極薄銅層18の表面を極度に平滑にできる等の利点がある。また、キャリア12がガラスである場合、配線層を形成した後、画像検査を行う際に銅めっきとの視認性コントラストに優れる点、電子素子搭載時に有利な表面平坦性(コプラナリティ)を有している点、プリント配線板製造工程におけるデスミアや各種めっき工程において耐薬品性を有している点、キャリア付銅箔10からキャリア12を剥離する際に化学的分離法が採用できる点等の利点がある。キャリア12を構成するガラスの好ましい例としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、アミノシリケートガラス、及びそれらの組合せが挙げられ、より好ましくは無アルカリガラス、ソーダライムガラス、及びそれらの組合せであり、特に好ましくは無アルカリガラスである。無アルカリガラスは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、及び酸化カルシウムや酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物を主成分とし、更にホウ酸を含有する、アルカリ金属を実質的に含有しないガラスのことである。この無アルカリガラスは、0℃から350℃までの広い温度帯域において熱膨脹係数が3~5ppm/Kの範囲で低く安定しているため、加熱を伴うプロセスにおけるガラスの反りを最小限にできるとの利点がある。キャリア12の厚さは100~2000μmが好ましく、より好ましくは300~1800μm、さらに好ましくは400~1100μmである。このような範囲内の厚さであると、ハンドリングに支障を来さない適切な強度を確保しながらプリント配線板の薄型化、及び電子部品搭載時に生じる反りの低減を実現することができる。
【0018】
キャリア12の中間層14側の表面は、JIS B 0601-2001に準拠して測定される、0.1~70nmの算術平均粗さRaを有するのが好ましく、より好ましくは0.5~60nm、さらに好ましくは1.0~50nm、特に好ましくは1.5~40nm、最も好ましくは2.0~30nmである。このように算術平均粗さが小さいほど、極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面(極薄銅層18の外側表面)において望ましく低い算術平均粗さRaをもたらすことができ、それにより、キャリア付銅箔10を用いて製造されるプリント配線板において、ライン/スペース(L/S)が13μm以下/13μm以下(例えば12μm/12μm~2μm/2μm)といった程度にまで高度に微細化された配線パターンを形成するのに適したものとなる。
【0019】
中間層14は、キャリア12と剥離層16の間に介在して、キャリア12と剥離層16との密着性の確保に寄与する層である。中間層14を構成する金属はCu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga、Mo及びそれらの組合せ(以下、金属Mという)であり、好ましくはCu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、Mo及びそれらの組合せ、より好ましくはCu、Ti、Zr、Al、Cr、W、Ni、Mo及びそれらの組合せ、さらに好ましくはCu、Ti、Al、Cr、Ni、Mo及びそれらの組合せ、特に好ましくはCu、Ti、Al、Ni及びそれらの組合せである。中間層14は、純金属であってもよいし、合金であってもよい。中間層14を構成する金属は原料成分や成膜工程等に起因する不可避不純物を含んでいてもよい。また、特に制限されるものではないが、中間層14の成膜後に大気に暴露される場合、それに起因して混入する酸素の存在は許容される。上記金属の含有率の上限は特に限定されず、100原子%であってもよい。中間層14は物理気相堆積(PVD)法により形成された層であるのが好ましく、より好ましくはスパッタリングにより形成された層である。中間層14は金属ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法により形成された層であるのが膜厚分布の均一性を向上できる点で特に好ましい。中間層14の厚さは10~1000nmであるのが好ましく、より好ましくは30~800nm、さらに好ましくは60~600nm、特に好ましくは100~400nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM-EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0020】
中間層14は、1層構成であってもよいし、2層以上の構成であってもよい。中間層14が1層構成である場合、中間層14はCu、Al、Ti、Ni又はそれらの組合せ(例えば合金や金属間化合物)で構成される金属を含有する層からなるのが好ましく、より好ましくはAl、Ti、又はそれらの組合せ(例えば合金や金属間化合物)であり、さらに好ましくはAl含有層又はTi含有層である。一方、キャリア12との密着性が十分高いとはいえない金属又は合金を中間層14に採用する場合は、中間層14を2層構成とすることが好ましい。すなわち、キャリア12との密着性に優れる金属(例えばTi)又は合金で構成した層をキャリア12に隣接させて設け、かつ、キャリア12との密着性に劣る金属(例えばCu)又は合金で構成した層を剥離層16に隣接させて設けることで、キャリア12との密着性を向上することができる。したがって、中間層14の好ましい2層構成の例としては、キャリア12に隣接するTi含有層と、剥離層16に隣接するCu含有層とからなる積層構造が挙げられる。また、2層構成の各層の構成元素や厚みのバランスを変えると、剥離強度も変わるため、各層の構成元素や厚みを適宜調整するのが好ましい。なお、本明細書において「金属M含有層」の範疇には、キャリアの剥離性を損なわない範囲において、金属M以外の元素を含む合金も含まれるものとする。したがって、中間層14は主として金属Mを含む層ともいうことができる。上記の点から、中間層14における金属Mの含有率は50~100原子%であることが好ましく、より好ましくは60~100原子%、さらに好ましくは70~100原子%、特に好ましくは80~100原子%、最も好ましくは90~100原子%である。
【0021】
剥離層16は、キャリア12(これは中間層14を伴う)の剥離を可能とする層であり、金属酸化物層16a及び炭素層16bを含むか、又は金属酸化物及び炭素を含む。こうすることで、炭素層16bがキャリア12の安定的な剥離に寄与するとともに、金属酸化物層16aが中間層14及び極薄銅層18(存在する場合はエッチングストッパー層17)に由来する金属元素の加熱に伴う拡散を抑制することができ、結果として高温(例えば350℃以上)で加熱された後においても、安定した剥離性を保持することが可能となる。金属酸化物層16a及び炭素層16bが積層される順は特に限定されるものではなく、金属酸化物層16aが中間層14に隣接し、かつ、炭素層16bが極薄銅層18に近い側に設けられる(すなわちエッチングストッパー層17又は極薄銅層18に隣接する)ものであってよい。あるいは、炭素層16bが中間層14に隣接し、かつ、金属酸化物層16aが極薄銅層18に近い側に設けられる(すなわちエッチングストッパー層17又は極薄銅層18に隣接する)ものであってもよい。さらに、剥離層16は、金属酸化物層16a及び炭素層16bの境界が明瞭には特定されない混相(すなわち金属酸化物及び炭素を含む層)の状態で存在していてもよい。
【0022】
金属酸化物層16aはCu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga、Mo及びそれらの組合せで構成される金属の酸化物(以下、金属酸化物MOという)を含む層であるのが好ましく、より好ましくはCu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、Mo及びそれらの組合せが挙げられ、さらに好ましくはCu、Ti、Zr、Al、Cr、W、Ni、Mo及びそれらの組合せ、特に好ましくはCu、Ti、Al、Cr、Ni、Mo及びそれらの組合せ、最も好ましくはCu、Ti、Al、Ni及びそれらの組合せである。金属酸化物層16aは物理気相堆積(PVD)法により形成された層であるのが好ましく、より好ましくはスパッタリングにより形成された層である。金属酸化物層16aは金属ターゲットを用い、酸化性雰囲気下でスパッタリングを行う反応性スパッタリング法により形成された層であるのが、成膜時間の調整によって膜厚を容易に制御可能な点から特に好ましい。金属酸化物層16aの厚さは100nm以下であるのが好ましく、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM-EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0023】
金属酸化物層16aは、中間層14を構成する金属の酸化物を含む層であるのが、製造の容易性の観点から好ましい。中間層14及び金属酸化物層16aの組合せの好ましい例としては、(i)中間層14がキャリア12に隣接するTi含有層と、剥離層16に隣接するCu含有層とを含み、かつ、金属酸化物層16aが酸化銅層であるもの、(ii)中間層14がTi含有層であり、かつ、金属酸化物層16aが酸化チタン層であるもの、及び(iii)中間層14がAl含有層であり、かつ、金属酸化物層16aが酸化アルミニウム層であるものが挙げられる。このような態様の金属酸化物層16aは、上述した反応性スパッタリング法のみならず、中間層14の表面を酸化処理することによっても作製することが可能であり、この酸化処理は真空中で形成した中間層14を酸化性雰囲気(例えば大気)に暴露することにより行うことにより行ってもよい。なお、本明細書において「金属酸化物MO含有層」の範疇には、キャリアの剥離性を損なわない範囲において、金属酸化物MO以外の元素も含まれるものとする。したがって、金属酸化物層16aは主として金属酸化物MOを含む層ともいうことができる。
【0024】
炭素層16bは、主として炭素又は炭化水素からなる層であるのが好ましく、さらに好ましくは硬質炭素膜であるアモルファスカーボンからなる。この場合、炭素層16bはXPSにより測定される炭素濃度が60原子%以上であるのが好ましく、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは80原子%以上、特に好ましくは85原子%以上である。炭素濃度の上限値は特に限定されず100原子%であってもよいが、98原子%以下が現実的である。炭素層16bは不可避不純物(例えば雰囲気等の周囲環境に由来する酸素、炭素、水素等)を含みうる。また、炭素層16bにはエッチングストッパー層17又は極薄銅層18の成膜手法に起因して金属原子が混入しうる。炭素はキャリア12との相互拡散性及び反応性が小さく、比較的高温(例えば180℃)でのプレス加工等を受けても、銅箔層と接合界面との間での加熱による金属結合の形成を防止して、キャリア12の引き剥がし除去が容易な状態を維持することができる。この炭素層16bも物理気相堆積(PVD)法により形成された層であるのがアモルファスカーボン中の過度な不純物を抑制する点、前述の中間層14の成膜の連続生産性の点などから好ましく、より好ましくはスパッタリングにより形成された層である。炭素層16bの厚さは1~20nmが好ましく、より好ましくは1~10nmである。この厚さは、層断面を透過型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光分析器(TEM-EDX)で分析することにより測定される値とする。
【0025】
所望により剥離層16と極薄銅層18の間に設けられるエッチングストッパー層17は、極薄銅層18よりも銅フラッシュエッチング液によってエッチングされにくい層である。エッチングストッパー層17を構成する金属の好ましい例としては、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、Mo及びそれらの組合せが挙げられ、より好ましくはTi、Zr、Al、Cr、W、Ni、Mo及びそれらの組合せ、さらに好ましくはTi、Al、Cr、Ni、Mo及びそれらの組合せ、特に好ましくはTi、Mo及びそれらの組合せである。これらの元素は、銅フラッシュエッチング液に対して溶解しないという性質を有し、その結果、銅フラッシュエッチング液に対して優れた耐薬品性を呈することができる。その上、本発明のキャリア付銅箔10は、剥離層16がエッチングストッパー層17に由来する金属元素の拡散を効果的に抑制するため、350℃以上の高温で長時間加熱された後においても、エッチングストッパー層17が劣化することなく所望の耐薬品性を保持することができる。エッチングストッパー層17は、純金属であってもよいし、合金であってもよい。エッチングストッパー層17を構成する金属は原料成分や成膜工程等に起因する不可避不純物を含んでいてもよい。また、上記金属の含有率の上限は特に限定されず、100原子%であってもよい。エッチングストッパー層17は物理気相堆積(PVD)法により形成された層であるのが好ましく、より好ましくはスパッタリングにより形成された層である。エッチングストッパー層17の厚さは1~500nmであるのが好ましく、より好ましくは10~400nm、さらに好ましくは30~300nm、特に好ましくは50~200nmである。
【0026】
中間層14を構成する金属の標準電極電位は、エッチングストッパー層17を構成する金属の標準電極電位以上であることが好ましい。換言すれば、エッチングストッパー層17を構成する金属のイオン化傾向が、中間層14を構成する金属のイオン化傾向と同じか、又はそれより高いことが好ましい。こうすることで、350℃以上の高温で長時間加熱された後におけるキャリア付銅箔10の剥離性をより一層向上させることができる。すなわち、上記態様とすることで、エッチングストッパー層17に由来する金属元素が金属酸化物層16aとの接合界面に拡散してきた際に、この金属元素の酸化が促進され、積極的に金属酸化物となる。その結果、中間層14及びエッチングストッパー層17間の領域における金属-金属結合の追加的形成がさらに抑制されることになり、加熱に伴う剥離強度の過度な上昇をより一層抑制できる。
【0027】
極薄銅層18は銅で構成される層である。極薄銅層18を構成する銅は原料成分や成膜工程等に起因する不可避不純物を含んでいてもよい。極薄銅層18は、いかなる方法で製造されたものでよく、例えば、無電解銅めっき法及び電解銅めっき法等の湿式成膜法、スパッタリング及び真空蒸着等の物理気相堆積(PVD)法、化学気相成膜、又はそれらの組合せにより形成した銅箔であってよい。特に好ましい極薄銅層は、極薄化によるファインピッチ化に対応しやすい観点から、スパッタリング法や真空蒸着等の物理気相堆積(PVD)法により形成された銅層であり、最も好ましくはスパッタリング法により製造された銅層である。また、極薄銅層18は、無粗化の銅層であるのが好ましいが、プリント配線板製造時の配線パターン形成に支障を来さないかぎり予備的粗化やソフトエッチング処理や洗浄処理、酸化還元処理により二次的な粗化が生じたものであってもよい。極薄銅層18の厚さは特に限定されないが、上述したようなファインピッチ化に対応するためには、10~1000nmが好ましく、より好ましくは20~900nm、さらに好ましくは30~700nm、特に好ましくは50~600nm、特により好ましくは70~500nm、最も好ましくは100~400nmである。このような範囲内の厚さの極薄銅層はスパッタリング法により製造されるのが成膜厚さの面内均一性や、シート状やロール状での生産性の観点で好ましい。
【0028】
極薄銅層18の剥離層16と反対側の表面(極薄銅層18の外側表面)が、JIS B 0601-2001に準拠して測定される、1.0~100nmの算術平均粗さRaを有するのが好ましく、より好ましくは2.0~40nm、さらに好ましくは3.0~35nm、特に好ましくは4.0~30nm、最も好ましくは5.0~15nmである。このように算術平均粗さが小さいほど、キャリア付銅箔10を用いて製造されるプリント配線板において、ライン/スペース(L/S)が13μm以下/13μm以下(例えば12μm/12μm~2μm/2μm)といった程度にまで高度に微細化された配線パターンの形成を形成するのに適したものとなる。
【0029】
中間層14、金属酸化物層16a、炭素層16b、エッチングストッパー層17(存在する場合)及び極薄銅層18はいずれも物理気相堆積(PVD)膜、すなわち物理気相堆積(PVD)法により形成された膜であるのが好ましく、より好ましくはスパッタ膜、すなわちスパッタリング法により形成された膜である。
【0030】
キャリア付銅箔の製造方法
本発明によるキャリア付銅箔10は、上述したキャリア12を用意し、キャリア12上に、中間層14、剥離層16(すなわち順不同で金属酸化物層16a及び炭素層16b)、所望によりエッチングストッパー層17、及び極薄銅層18を形成することにより製造することができる。中間層14、剥離層16、エッチングストッパー層17(存在する場合)及び極薄銅層18の各層の形成は、極薄化によるファインピッチ化に対応しやすい観点から、物理気相堆積(PVD)法により行われるのが好ましい。物理気相堆積(PVD)法の例としては、スパッタリング法、真空蒸着法、及びイオンプレーティング法が挙げられるが、0.05nm~5000nmといった幅広い範囲で膜厚制御できる点、広い幅ないし面積にわたって膜厚均一性を確保できる点等から、最も好ましくはスパッタリング法である。特に、中間層14、剥離層16、エッチングストッパー層17(存在する場合)及び極薄銅層18の全ての層をスパッタリング法により形成することで、製造効率が格段に高くなる。物理気相堆積(PVD)法による成膜は公知の気相成膜装置を用いて公知の条件に従って行えばよく特に限定されない。例えば、スパッタリング法を採用する場合、スパッタリング方式は、マグネトロンスパッタリング、2極スパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法等、公知の種々の方法であってよいが、マグネトロンスパッタリングが、成膜速度が速く生産性が高い点で好ましい。スパッタリングはDC(直流)及びRF(高周波)のいずれの電源で行ってもよい。また、ターゲット形状も広く知られているプレート型ターゲットを使用することができるが、ターゲット使用効率の観点から円筒形ターゲットを用いることが望ましい。以下、中間層14、剥離層16(すなわち順不同で金属酸化物層16a及び炭素層16b)、エッチングストッパー層17(存在する場合)及び極薄銅層18の各層の物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜について説明する。
【0031】
中間層14の物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるターゲットを用い、非酸化性雰囲気下でマグネトロンスパッタリングにより行われるのが膜厚分布均一性を向上できる点で好ましい。ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。スパッタリングに用いるガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いるのが好ましい。アルゴンガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、異常放電などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1~20Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05~10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0032】
金属酸化物層16aの物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるターゲットを用い、酸化性雰囲気下で反応性スパッタリング法により行われるのが膜厚を容易に制御可能な点で好ましい。ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。スパッタリングに用いるガスとしては不活性ガス(例えばアルゴンガス)及び酸化性ガス(例えば酸素ガス)の混合ガスを用いるのが好ましい。不活性ガス及び酸化性ガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、異常放電などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1~1.0Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、不活性ガス及び酸化性ガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05~15.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0033】
炭素層16bの物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、カーボンターゲットを用いてアルゴン等の不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。カーボンターゲットはグラファイトで構成されるのが好ましいが、不可避不純物(例えば雰囲気等の周囲環境に由来する酸素や炭素)を含みうる。カーボンターゲットの純度は99.99%以上が好ましく、より好ましくは99.999%以上である。また、異常放電などの稼働不良なく、連続的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1~2.0Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05~10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【0034】
エッチングストッパー層17の物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ法により行われるのが好ましい。ターゲットの純度は99.9%以上が好ましい。特に、エッチングストッパー層17のマグネトロンスパッタ法による成膜は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、圧力0.1~20Paで行われるのが好ましい。スパッタリング圧力は、より好ましくは0.2~15Pa、さらに好ましくは0.3~10Paである。なお、上記圧力範囲の制御は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することにより行えばよい。アルゴンガスの流量はスパッタリングチャンバーサイズ及び成膜条件に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり1.0~15.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。また、製膜時にキャリア温度を一定に保持するのが、安定した膜特性(例えば膜抵抗や結晶サイズ)を得やすい点で好ましい。成膜時のキャリア温度は25~300℃の範囲内で調整することが好ましく、より好ましくは40~200℃、さらに好ましくは50~150℃の範囲内である。
【0035】
極薄銅層18の物理気相堆積(PVD)法(好ましくはスパッタリング法)による成膜は、銅ターゲットを用いてアルゴン等の不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。銅ターゲットは金属銅で構成されるのが好ましいが、不可避不純物を含みうる。銅ターゲットの純度は99.9%以上が好ましく、より好ましくは99.99%、さらに好ましくは99.999%以上である。極薄銅層18の気相成膜時の温度上昇を避けるため、スパッタリングの際、ステージの冷却機構を設けてもよい。また、異常放電などの稼働不良なく、安定的に成膜する観点から成膜時の圧力は0.1~2.0Paの範囲で行うことが好ましい。この圧力範囲は、装置構造、容量、真空ポンプの排気容量、成膜電源の定格容量等に応じ、成膜電力、アルゴンガスの流量を調整することで設定すればよい。また、スパッタリング電力は成膜の膜厚均一性、生産性等を考慮してターゲットの単位面積あたり0.05~10.0W/cmの範囲内で適宜設定すればよい。
【実施例
【0036】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0037】
例1
図1に示されるように、キャリア12としてのガラスシート上に、中間層14(Ti含有層及びCu含有層)、金属酸化物層16a、炭素層16b、エッチングストッパー層17、及び極薄銅層18をこの順に成膜してキャリア付銅箔10を作製した。具体的な手順は以下のとおりである。
【0038】
(1)キャリアの準備
厚さ1.1mmのガラスシート(材質:ソーダライムガラス、算術平均粗さRa:0.6nm、セントラル硝子株式会社製)を用意した。
【0039】
(2)Ti含有層の形成
キャリア12の表面に、Ti含有層として厚さ100nmのチタン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式マグネロトンスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のTiターゲット(純度99.999%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0040】
(3)Cu含有層の形成
Ti含有層の上に、Cu含有層として厚さ100nmの銅層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の銅ターゲット(純度99.98%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ ガス:アルゴンガス(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(6.2W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0041】
(4)金属酸化物層の形成
Ti含有層及びCu含有層が形成された試料を真空中から取り出し、1分間大気暴露することで、Cu含有層の表面酸化処理(自然酸化)を行った。この表面酸化処理により、金属酸化物層16aとして酸化銅層を形成した。これまでの経験によれば酸化銅層の厚さは約0.5~1.0nmと推定される。
【0042】
(5)炭素層の形成
金属酸化物層16a上に、炭素層16bとして厚さ6nmのアモルファスカーボン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の炭素ターゲット(純度99.999%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:250W(0.7W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0043】
(6)エッチングストッパー層の形成
炭素層16bの表面に、エッチングストッパー層17として厚さ100nmのチタン層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のチタンターゲット(純度99.999%)
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
【0044】
(7)極薄銅層の形成
エッチングストッパー層17の上に、膜厚300nmの極薄銅層18を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成して、キャリア付銅箔10を得た。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の銅ターゲット(純度99.98%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:1000W(3.1W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0045】
例2
金属酸化物層16aとして、大気暴露によるCu含有層の表面酸化処理を行う代わりに、酸化銅層を以下のようにして反応性スパッタリングにより形成したこと以外は、例1と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0046】
(酸化銅層の形成)
Cu含有層の表面に、狙いの厚さが約1nmの酸化銅層を以下の装置及び条件で反応性スパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)の銅ターゲット(純度99.98%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ ガス:アルゴンガス(流量:90sccm)及び酸素ガス(流量:10sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:100W(0.3W/cm
‐ 成膜時温度:40℃
【0047】
例3
金属酸化物層16a(酸化銅層)の狙いの厚さを約2nmとしたこと以外は、例2と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0048】
例4(比較)
金属酸化物層16aを形成しなかった(すなわち大気暴露によるCu含有層の表面酸化処理を行わなかった)こと以外は、例1と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0049】
例5
中間層14としてTi含有層及びCu含有層の2層の代わりにAl含有層の単層を以下のようにして形成したこと、及び金属酸化物層16aとして酸化銅層の代わりに酸化アルミニウム層を以下のようにして形成したこと以外は、例1と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0050】
(Al含有層の形成)
キャリア12の表面に、Al含有層として厚さ200nmのアルミニウム層を以下の装置及び条件でスパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のAlターゲット(純度99.9%以上)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ キャリアガス:Ar(流量:100sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:100W
‐ 成膜時温度:40℃
【0051】
(酸化アルミニウム層の形成)
Al含有層を形成した試料を真空中から取り出し、1分間大気暴露することで、Al含有層の表面酸化処理(自然酸化)を行った。この表面酸化処理により、金属酸化物層16aとして酸化アルミニウム層を形成した。
【0052】
例6
金属酸化物層16aとして、大気暴露によるAl含有層の表面酸化処理を行う代わりに、酸化アルミニウム層を以下のようにして反応性スパッタリングにより形成したこと以外は、例5と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0053】
(酸化アルミニウム層の形成)
Al含有層の表面に、金属酸化物層16aとして狙いの厚さが約1nmの酸化アルミニウム層を以下の装置及び条件で反応性スパッタリングにより形成した。
‐ 装置:枚葉式DCスパッタリング装置(キヤノントッキ株式会社製、MLS464)
‐ ターゲット:直径8インチ(203.2mm)のAlターゲット(純度99.99%)
‐ 到達真空度:1×10-4Pa未満
‐ ガス:アルゴンガス(流量:90sccm)及び酸素ガス(流量:10sccm)
‐ スパッタリング圧:0.35Pa
‐ スパッタリング電力:100W
‐ 成膜時温度:40℃
【0054】
例7
金属酸化物層16a(酸化アルミニウム層)の狙いの厚さを約2nmとしたこと以外は、例6と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0055】
例8(比較)
金属酸化物層16aとして酸化アルミニウム層を形成しなかった(すなわち大気暴露によるAl含有層の表面酸化処理を行わなかった)こと以外は、例5と同様にしてキャリア付銅箔の作製を行った。
【0056】
評価
例1~8のキャリア付銅箔について、以下に示されるとおり、各種評価を行った。評価結果は表1に示されるとおりであった。また、表1には中間層14及び剥離層16の組成、並びに金属酸化物層16aの形成条件も併せて示してある。
【0057】
<評価1:剥離層の半定量分析>
例3及び4につき、作製したキャリア付銅箔の深さ方向元素分析を以下の測定条件及び解析条件に基づきXPSにより行った。この分析は、キャリア付銅箔を極薄銅層表面から深さ方向に向かって、以下の条件でArイオンエッチングによって掘り下げながら行った。
【0058】
(Arイオンエッチング条件)
‐ 加速電圧:500V
‐ エッチングエリア:2mm×2mm
‐ エッチング速度:SiO換算で1.4nm/min
【0059】
(測定条件)
‐ 装置:X線光電子分光装置(アルバック・ファイ株式会社製、Quantum2000)
‐ 励起X線:単色化Al-Kα線(1486.6eV)
‐ 出力:100W
‐ 加速電圧:15kV
‐ X線照射径:直径100μm
‐ 測定面積:直径100μm×1mm
‐ パスエネルギー:23.5eV
‐ エネルギーステップ:0.1eV
‐ 中和銃:有
‐ 測定元素及び軌道:(sweep数:Ratio:Cycle数)
O 1s:(5:6:1)
Cu 2p3:(2:6:1)
C 1s:(3:6:1)
Ti 2p:(2:6:1)
Si 2p:(1:6:1)
【0060】
(解析条件)
データ解析ソフト(アルバック・ファイ株式会社製「マルチパックVer9.4.0.7」)を用いてXPSデータの解析を行った。スムージングは9点で行い、バックグラウンドモードはShirleyを使用した。なお、半定量算出における各元素のバックグラウンド範囲は以下のとおりである。
‐ O 1s:528.0~540.0eV
‐ Cu 2p3:927.0~939.0eV
‐ C1 s:280.0~292.0eV
‐ Ti 2p:451.2~464.5eV
‐ Si 2p:ピークが検出下限以下であったため、0とした。
【0061】
剥離層16における、深さ方向の酸素半定量値の結果は図2に示されるとおりであった。図2から明らかなように、反応性スパッタリングによる酸化銅層形成を行った例3では、酸化銅層形成も酸化処理も行わなかった例4に比べて、Cu含有層(中間層14の一部)と剥離層16との界面における酸素量が増加しており、金属酸化物層16aとして酸化銅層が形成されていることが確認された。ここで、例4についても平均して約2Atom%の酸素が確認されているが、これは炭素層16bやエッチングストッパー層17の成膜初期に不純物として混入する酸素を検出しているものと考えられる。なお、図2における横軸(深さ)の数値は、キャリア付銅箔の極薄銅層表面を分析開始位置(0nm)とし、分析位置のキャリア側方向への深さを、SiO換算のエッチング速度から求めた値である。
【0062】
<評価2:キャリア-極薄銅層の剥離性>
キャリア付銅箔10における熱履歴としての真空熱プレスを行った後の剥離強度の測定を以下のように行った。キャリア付銅箔10の極薄銅層18側に、厚さ18μmのパネル電解銅めっきを施した後、熱履歴として350℃で2時間30kgf/cmの圧力でプレスした。得られた銅張積層板に対して、JIS C 6481-1996に準拠して、極薄銅層18と一体となった電気銅めっき層を剥離した時の剥離強度(gf/cm)を測定した。このとき、測定幅は50mmとし、測定長さは20mmとした。こうして得られた剥離強度(平均値)を以下の基準で格付けした。
評価A:自然剥離せず、かつ、剥離強度が50gf/cm以下
評価B:剥離強度が50gf/cm超150gf/cm以下
評価C:自然剥離が起こるか又は150gf/cm超(剥離不可を含む)
【0063】
なお、参考のために、i)真空熱プレスを行わなかった場合(すなわち加熱無しの場合)、ii)熱履歴として250℃で2時間30kgf/cmの圧力でプレスした場合、及びiii)熱履歴として300℃で2時間30kgf/cmの圧力でプレスした場合の剥離強度(gf/cm)も上記同様の手法で測定し、それらの結果も表1に併せて示した。
【0064】
<評価3:エッチングストッパー層の耐薬品性>
各キャリア付銅箔10の極薄銅層18の表面を1.8mol/Lの希硫酸で処理して表面の酸化膜の除去を行い、その後、水洗及び乾燥を行った。その後、極薄銅層18の表面に感光性ドライフィルムを貼り付け、ライン/スペース(L/S)=5μm/5μmのパターンを与えるように露光及び現像を行った。現像は、現像液として1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、25℃で2分間、シャワー方式により行った。こうして得られた配線層付コアレス支持体(パターン形成された配線間に極薄銅層18が露出した状態のもの)を硫酸-過酸化水素混合液を含むエッチング液に23℃で5分間、シャワー圧力0.1MPaにて浸漬することにより銅フラッシュエッチングを行った。こうして、パターン形成された配線間に露出した極薄銅層18を除去した。フラッシュエッチング後の配線層付コアレス支持体を観察することによりエッチングストッパー層17の耐薬品性を評価した。得られた評価結果を以下の基準で格付けした。
評価A:エッチングストッパー層が一切溶解することなく残留していた。
評価B:エッチングストッパー層がわずかに溶解し、後工程に悪影響を及ぼす可能性がある。
評価C:エッチングストッパー層が一部溶解し、後工程に悪影響を及ぼす可能性が高い。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明は以下の態様を包含するものである。
[項1]
ガラス又はセラミックスで構成されるキャリアと、
前記キャリア上に設けられ、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される中間層と、
前記中間層上に設けられ、金属酸化物層及び炭素層を含む、又は金属酸化物及び炭素を含む、剥離層と、
前記剥離層上に設けられる極薄銅層と、
を備えた、キャリア付銅箔。
[項2]
前記剥離層と前記極薄銅層の間に、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成されるエッチングストッパー層をさらに備えた、項1に記載のキャリア付銅箔。
[項3]
前記金属酸化物層が前記中間層に隣接し、かつ、前記炭素層が前記極薄銅層に近い側に設けられる、項1又は2に記載のキャリア付銅箔。
[項4]
前記炭素層が前記中間層に隣接し、かつ、前記金属酸化物層が前記極薄銅層に近い側に設けられる、項1又は2に記載のキャリア付銅箔。
[項5]
前記中間層を構成する金属の標準電極電位が、前記エッチングストッパー層を構成する金属の標準電極電位以上である、項2~4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項6]
前記中間層が、前記キャリアに隣接するTi含有層と、前記剥離層に隣接するCu含有層とからなる2層構成であるか、又はAl、Ti及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する層からなる1層構成である、項1~5のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項7]
前記中間層の厚さが10~1000nmである、項1~6のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項8]
前記金属酸化物層が、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Cr、W、Ta、Co、Ag、Ni、In、Sn、Zn、Ga及びMoからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含む、項1~7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項9]
前記中間層が、前記キャリアに隣接するTi含有層と、前記剥離層に隣接するCu含有層とを含み、かつ、前記金属酸化物層が酸化銅層である、又は
前記中間層がTi含有層であり、かつ、前記金属酸化物層が酸化チタン層である、又は
前記中間層がAl含有層であり、かつ、前記金属酸化物層が酸化アルミニウム層である、項1~8のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項10]
前記金属酸化物層の厚さが100nm以下である、項1~9のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項11]
前記炭素層の厚さが1~20nmである、項1~10のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項12]
前記エッチングストッパー層の厚さが1~500nmである、項2~11のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項13]
前記極薄銅層の厚さが10~1000nmである、項1~12のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項14]
前記中間層、前記炭素層、前記金属酸化物層、存在する場合には前記エッチングストッパー層、及び前記極薄銅層はいずれも物理気相堆積(PVD)膜である、項1~13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項15]
350℃以上で使用される、項1~14のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
[項16]
前記キャリア上に、前記中間層、前記炭素層、前記金属酸化物層、存在する場合には前記エッチングストッパー層、及び前記極薄銅層をいずれも物理気相堆積(PVD)法によって作製することを特徴とする、項1~15のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の製造方法。
図1
図2
図3