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特許7412546抗老化遺伝子KLOTHOの発現を誘導する化合物およびその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】抗老化遺伝子KLOTHOの発現を誘導する化合物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/423 20060101AFI20240104BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240104BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240104BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240104BHJP
   C12Q 1/6897 20180101ALI20240104BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240104BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20240104BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALN20240104BHJP
   C07D 263/58 20060101ALN20240104BHJP
【FI】
A61K31/423
A61P13/12 ZNA
A61P17/00
A61P9/00
A61K8/49
A61Q19/08
A23L33/10
C12Q1/6897 Z
C12N15/12
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C07D263/58
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022520415
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 KR2020013480
(87)【国際公開番号】W WO2021066608
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0122305
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522129786
【氏名又は名称】克洛索科学公司
【氏名又は名称原語表記】KLOTHO SCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor,172,Dolma-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13605 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ドンジュ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1446301(KR,B1)
【文献】特開2001-139550(JP,A)
【文献】特表2013-510143(JP,A)
【文献】国際公開第2001/083427(WO,A1)
【文献】特表2009-503107(JP,A)
【文献】特表2005-538123(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0024522(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090480(US,A1)
【文献】国際公開第2008/035956(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0198768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0066577(US,A1)
【文献】米国特許第04088770(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0109714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096136(US,A1)
【文献】特表2005-529089(JP,A)
【文献】特表2007-502862(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0079478(KR,A)
【文献】特開2012-208173(JP,A)
【文献】米国特許第05637724(US,A)
【文献】国際公開第2009/029617(WO,A1)
【文献】Jung, Se-Lin et al,An efficient solid-phase parallel synthesis of 2-amino and 2-amidobenzo[d]oxazole derivatives via cyclization reactions of 2-hydroxyphenylthiourea resin,Bulletin of the Korean Chemical Society ,2012年,33(12),4109-4116
【文献】Kim, Beom Joon et al,Synthesis of benzoxazole amides as novel antifungal agents against Malassezia furfur,Bulletin of the Korean Chemical Society ,2010年,31(5),,1270-1274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61Q
A23L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む
細胞老化抑制用組成物
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1において、L
【化2】
であり;
およびRは、それぞれ、-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ、-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルである)。
【請求項2】
前記細胞は、腎近位尿細管上皮細胞であることを特徴とする
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることを特徴とする
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む
皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物
[化学式1]
【化3】
(前記化学式1において、L
【化4】
であり;
およびRは、それぞれ、-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ、-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルである)。
【請求項5】
下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物
[化学式1]
【化5】
(前記化学式1において、L
【化6】
であり;
およびRは、それぞれ、-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ、-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルである)。
【請求項6】
下記の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびアンジオテンシンII受容体拮抗剤(angiotensin II receptor blocker)を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物
[化学式1]
【化7】
(前記化学式1において、L
【化8】
であり;
およびRは、それぞれ、-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ、-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルである)。
【請求項7】
前記血管老化によって誘発される疾患は、高血圧、狭心症、心筋梗塞症、動脈硬化、前立腺肥大症、血管けいれん収縮、血栓症、脳梗塞および脳出血からなる群から選択されることを特徴とする
請求項5又は請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化遺伝子klothoの発現を誘導する化合物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の老化を調節できる遺伝子が存在できるという事実は、1981年に報告されたSAM(senescence-accelerated mice)から知られることになった。AKR/J系マウスを交配する途中に偶然に作られたこのマウスは、同系マウスより非常に老化が速かったが、このマウスは、色々な遺伝子に変異を有していることが確認された。以後、単一グループの老化関連遺伝子の発見は、1990年代に報告された。報告された遺伝子は、RecQ familyであり、DNA helicaseという酵素を発現させる遺伝子であった。この遺伝子に変異が発生すると、早期老化が発生したり、がんが生成される結果が報告されたが、これは、DNAの修復に影響を及ぼして発生すると知られた。単一遺伝子として老化に関連したものは、1997年に報告されたklotho遺伝子である。Klotho遺伝子は、高血圧マウスの形質変更動物モデルを作成している中、偶然に発見されたが、この遺伝子を発現しなくなったマウスでは、早期老化現象が発生し、生命が短くなった。さらに興味深い事実は、以後にこの遺伝子の発現を増加させたマウスは、雄性の場合、寿命が20.0~30.8%が増加し、雌性では、18.8~19.0%増加した。これは、単一遺伝子の発現によってマウスの寿命が増えることも、減ることもできるという事実を初めて世間に知らせることになった契機になった。そして、Klotho遺伝子の塩基配列は、動物間に非常に類似していて、マウスとヒトの場合は、98%程度一致することが報告された。これは、ヒトにおいてもklotho遺伝子の発現によって寿命が調節されうることを示す。
【0003】
ヒトにおいてklotho遺伝子は、13番目の染色体に位置し、β-glucosidaseと塩基配列が類似した膜タンパク質を生産する。Klothoタンパク質は、腎臓の尿細管上皮細胞と脳の脈絡叢(choroid plexus)で主に発現し、一部が副甲状腺で発現することが報告された。Klotho遺伝子は、多様な老化の表現型に関連した遺伝子であり、klotho遺伝子が欠乏したマウスでは、寿命減少、活動性低下、成長遅延、粥状硬化症、動脈の石灰化、骨粗しょう症、生殖器未熟、不妊、皮膚萎縮、肺気腫などの老化過程と類似の症候群が発生する。Klotho変異マウスでは、ヒトにおいて老化によって発生するMonckeberg typeの動脈硬化症と類似した様相の動脈硬化症が大動脈から小動脈まですべての動脈で観察され、angiogenesisとvasculogenesisに障害が発生する。
【0004】
Klotho mRNAは、腎臓組織において他の組織より発現が顕著に高いが、高血圧、2型糖尿病、糖尿病性腎症 、慢性腎不全の疾患モデルマウスの腎臓では、klotho mRNAの発現が減少する。Klotho発現低下マウスでは、血管内皮由来弛緩因子であるNO(Nitric Oxide)の生産が減少し、多くの心血管系疾患の危険因子を同時に有するOtsuka Long-Evans Tokushima fatty rat(OLETF)マウスにklotho遺伝子をウイルス遺伝子伝達体を利用して注入すると、血管内膜の機能異常が好転し、NOの生産を増加させ、血管肥厚と線維化を抑制して血圧を降下させる。また、klotho遺伝子は、マウスにおいて糖とインスリン代謝にも影響を及ぼし、代表的な高コレステロール血症治療剤であるスタチンは、腎近位尿細管細胞でklotho mRNAの発現を増加させる。Klotho発現低下マウスでは、骨芽細胞および破骨細胞両方の分化障害による低い骨交替状態の骨減少症が発生し、これは、ヒトにおいて年齢の増加による骨量の減少および老人性骨粗しょう症の特徴と類似している。また、Klotho変異マウスでは、骨端部位の骨梁の異常な伸長と微細電算化断層撮影で異常な骨梁組織の所見が観察され、これは、骨吸収過程の障害に起因する。ヒトにおいて観察されるKlotho遺伝子突然変異による臨床的表現型の変化は、多様である。Klotho遺伝子exon2の3つの部位の突然変異を有するKL-VS(functional variant of klotho)変形は、脂質代謝、血圧、寿命、認知機能、冠状動脈疾患および脳血管疾患に関連していて、Klotho遺伝子のmicrosatellite多形成と単一塩基遺伝子多形成が骨密度に関連していて、健康な成人女性においてKlotho遺伝子の単一塩基遺伝子多形成が心血管系疾患の危険因子および骨密度と関連していることも発表されたことがある。最近では、Klotho遺伝子とアルツハイマーとの関連性も色々な論文を通じて報告された。アルツハイマー認知症マウスモデルにおいてklothoを過発現させる場合、マウスの寿命が30%増加し、認知機能低下が抑制されることが報告された。また、klotho発現によって脳内でアミロイドベータタンパク質の生成が50%減少することが観察された。ヒトにおいても、klothoの発現量は、アルツハイマー疾患の進行程度と反比例し、klothoタンパク質がアルツハイマー疾患者の血液で炎症性サイトキンの量を減少させるという報告が提出された。
【0005】
このように明確な老化阻害効果を有しているklotho遺伝子の発現を誘導できる物質の開発に対する努力が続いてきた。知られた物質のうちklothoの発現を誘導できると報告されたものには、rapamycin,vitamin D、statinなどがある。2012年にボストン大学校の研究チームは、合計15万個に達する化合物ライブラリーを利用してklotho遺伝子発現を誘導できる化合物をスクリーニングして、3個の化合物を報告した。本発明者は、これらの化合物のうち、医薬品として開発可能性が大きい構造を有するcompound Hという化合物を選定して、実際実験を通じてこの化合物が細胞でklotho遺伝子を発現させることができることを確認し、その作用メカニズムに対する研究結果を論文に発表した。以後、compound H(比較例1)の構造を分析する実験を進めてklotho発現を誘導できる化合物の構造的特性を把握し、これをベースにして10倍以上活性が増加した新しい化合物を作成することになった。
【0006】
老化は、ほぼすべての組織と器官の機能障害と破壊を起こす不可避かつ漸進的な生物学的過程であり、究極的に死を招く。人体の老化は、例えば、細胞機能の低下と関連していて、多様な疾患の発達につながる。老化は、遺伝的および後天的要因間の相互作用によるものと考えられ、老化の増加、幹細胞の定量的および定性的減少、および組織レベルで異常な構造によって一般的に特性化される。
【0007】
これより、本発明者らは、Klotho遺伝子の発現を向上させる化合物を合成し、従来に知られた化合物に比べてKlotho遺伝子の発現をさらに向上させることを確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む細胞老化阻害用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用健康食品組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康食品組成物を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または治療用薬学組成物を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または改善用健康食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、
本発明は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0021】
[化学式1]
【化1】
【0022】
(前記化学式1において、Lは、単一結合または
【化2】
であり;
およびRは、それぞれ-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ、-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルである)。
【0023】
また、本発明は、下記反応式1に示されたように、
化合物2を有機溶媒に溶かした後、化合物3を添加し、10~50℃で12~20時間反応させて化合物4を得る段階(段階1);および
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物4が溶解した有機溶媒を滴加した後、15~30℃で10~16時間反応させて化合物1Aを得る段階(段階2);
を含む化学式1Aで表される化合物の製造方法を提供する:
【0024】
[反応式1]
【化3】
【0025】
(前記反応式1において、
、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Aは、請求項1の化学式1に含まれる)。
【0026】
また、本発明は、下記反応式2に示されたように、
化合物5を有機溶媒に溶かした後、化合物3を添加し、10~50℃で12~20時間反応させて化合物6を得る段階(段階1);
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物6が溶解した有機溶媒を滴加した後、12~24時間反応させて化合物7を得る段階(段階2);および
化合物7を有機溶媒に溶かし、三臭化ホウ素(BBr)を添加した後、常温で20~28時間反応させて化合物1Bを得る段階(段階3);
を含む化学式1Bで表される化合物の製造方法を提供する:
【0027】
[反応式2]
【化4】
【0028】
(前記反応式2において、
、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Bは、請求項1の化学式1に含まれる)。
【0029】
また、本発明は、下記反応式3に示されたように、
化合物8、二硫化炭素(Carbon disulfide)、ヨードメタン(Iodomethane)、および水素化ナトリウム(sodium hydride)を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で2~8時間反応させて化合物9を得る段階(段階1);および
化合物9および化合物2を有機溶媒に溶かした後、2~8時間反応させて化合物1Cを得る段階(段階2);
を含む化学式1Cで表される化合物の製造方法を提供する:
【0030】
[反応式3]
【化5】
【0031】
(前記反応式3において、
、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Cは、請求項1の化学式1に含まれる)。
【0032】
また、本発明は、下記反応式4に示されたように、
化合物10および化合物3を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で20~28時間反応させて化合物11を得る段階(段階1);
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物11が溶解した有機溶媒を滴加した後、10~50℃で12~24時間反応させて化合物12を得る段階(段階2);
化合物12を触媒とともに有機溶媒に添加した後、水素ガスを注入して10~50℃で12~20時間反応させて化合物13を得る段階(段階3);および
化合物13および化合物14を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で12~24時間反応させて化合物1Dを得る段階(段階4);
を含む化合物1Dで表される化合物の製造方法を提供する:
【0033】
[反応式4]
【化6】
【0034】
(前記反応式4において、
、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し;
は、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上であり;
前記化合物1Dは、請求項1の化学式1に含まれる)。
【0035】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む細胞老化抑制用組成物を提供する。
【0036】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0037】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0038】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用健康食品組成物を提供する。
【0039】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0040】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびアンジオテンシンII受容体拮抗剤(angiotensin II receptor blocker)を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0041】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0042】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康食品組成物を提供する。
【0043】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0044】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0045】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または改善用健康食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0046】
本発明による化学式1で表される化合物は、老化に関連した遺伝子であるKlotho遺伝子の発現量を向上させる効果に優れ、これによって、皮膚老化の防止、細胞老化の抑制または血管老化によって誘発される疾患、または腎臓疾患の予防、改善または治療用薬学組成物、化粧料組成物または食品組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1aは、比較例1~4のヒトのklotho遺伝子の開始部位から1.7kbpの前までのプロモーターを含むレポータ遺伝子を利用してルシフェラーゼ発現実験の結果を示す図である。
図1bは、比較例1~4のヒトのklotho遺伝子の開始部位から240bpの前までのプロモーターを含むレポータ遺伝子を利用してルシフェラーゼ発現実験の結果を示す図である。
図2は、実施例1~実施例6のヒトのklotho遺伝子の-2.1kbアップストリームまで含まれたプロモーターを含むレポータ遺伝子を利用してルシフェラーゼ発現実験の結果を示す図である。
図3は、実施例1~3のヒトのklotho遺伝子の-2.1kbアップストリームまで含まれたプロモーターを含むレポータ遺伝子を利用してルシフェラーゼ発現実験の結果を示す図である。
図4は、実施例1および実施例2によるklotho(KL)遺伝子のmRNA発現量をRT-PCRで確認した結果である。
図5は、実施例1~2および実施例7~10の化合物で処理したRPTEC細胞においてklotho遺伝子の発現を確認した結果である。
図6は、実施例1、実施例9および実施例10の化合物で処理したHK2細胞において細胞毒性を確認した結果である。
図7aは、HK-2細胞(ヒト腎細胞)にシスプラチンを処理して疾患モデルを作成するプロトコルを概略的に示す図である。
図7bは、図7aのプロトコルによって収得したHK-2細胞でのKlothoタンパク質発現程度を分析した結果である。
図8aは、片側尿管閉塞動物モデルにKS1化合物を注入して実験サンプルを収得するプロトコルを概略的に示す図である。
図8bは、図8aのプロトコルによって収得された実験サンプルを利用して腎肥大化程度を分析した結果である。
図9は、H&E染色を通じて片側尿管閉塞モデルにおける核と細胞質に対する変化を確認した結果である。
図10は、Sirius Red染色を通じて片側尿管閉塞モデルにおける線維化進行程度を確認した結果である。
図11は、TUNEL染色を通じて片側尿管閉塞モデルにおける細胞死滅程度を確認した結果である。
図12は、片側尿管閉塞モデルにおけるKlothoタンパク質発現変化を分析した結果である。
図13は、片側尿管閉塞モデルにおけるMMP-9タンパク質発現変化を分析した結果である。
図14は、KS1化合物の高血圧減少効果を分析した結果である。
図15は、KS1化合物の細胞老化抑制効果を分析した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0049】
化合物またはその薬学的に許容可能な塩
本発明は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0050】
[化学式1]
【化7】
【0051】
前記化学式1において、Lは、単一結合または
【化8】
であり;
およびRは、それぞれ-H、-OH、C1-10の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-8のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-8のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ-H、ハロゲン、-NOまたはC1-10の直鎖または側鎖アルキルでありうる。
【0052】
本発明による一実施例において、前記Lは、単一結合または
【化9】
であり;
およびRは、それぞれ-H、-OH、C1-5の直鎖または側鎖アルキル、またはC6-7のアリールアミドであり、ここで、前記アリールアミドのアリールには、ハロゲン、-NOおよびC1-5の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにC6-7のアリールを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ-H、ハロゲン、-NOまたはC1-5の直鎖または側鎖アルキルでありうる。
【0053】
本発明による一実施例において、前記Lは、単一結合または
【化10】
であり;
およびRは、それぞれ-H、-OH、-CH、またはフェニルアミドであり、ここで、前記フェニルアミドのフェニルには、-Cl、-NOおよび-CHClのうち1種以上が置換されることができ;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにフェニルを形成することができ;
、R、R、RおよびRは、それぞれ-H、-F、-Cl、-NOまたは-CHCHでありうる。
【0054】
本発明による一実施例において、前記Lは、単一結合または
【化11】
であり;
は、-H、-OH、-CH
【化12】

【化13】
、または
【化14】
であり;
は、-Hであり;
前記RおよびRは、これらが連結された炭素原子とともにフェニルを形成することができ;
は、-Hまたは、-Clであり;
は、-H、-Fまたは、-Clであり;
は、-F、-Cl、-NO、または-CHCHであり;
は、-Hであり;
は、-Hであるものでありうる。
【0055】
本発明による化学式1で表される化合物の好ましい例としては、下記の化合物群が挙げられる。
1)N-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2-クロロ-4-ニトロベンズアミド;
2)8-メチル-2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール;
3)2-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-オル;
4)N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド;
5)N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3,4-ジクロロベンズアミド;
6)N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3-(クロロメチル)ベンズアミド;
7)2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール;
8)N-(3,4-ジクロロフェニル)ナフト[2,3-d]オキサゾール-2-アミン;
9)N-(3,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン;および
10)N-(3,4-ジフルオロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン。
【0056】
本発明の前記化学式1で表される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用でき、塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が有用である。薬学的に許容可能な塩という表現は、患者に比較的非毒性であり、無害な有効作用を有する濃度であり、この塩に起因した副作用が化学式1の塩基化合物の有利な効能を落とさない化学式1の塩基化合物のいずれの有機または無機付加塩を意味する。これら塩は、遊離酸としては、無機酸と有機酸が使用でき、無機酸としては、塩酸、臭素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸などが使用でき、有機酸としては、クエン酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、グルコン酸、コハク酸、タルタル酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、シュウ酸、(D)または(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、サリチル酸、クエン酸、安息香酸またはマロン酸などが使用できる。また、これらの塩は、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)およびアルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)などを含む。例えば、酸付加塩としては、アセテート、アスパルテート、ベンゾアート、ベシレート、バイカーボネート/カーボネート、バイサルフェート/サルフェート、ボラート、カムシレート、シトレート、エジシレート、エシレート、ホルメート、フマラート、グルセプテート、グルコネート、グルクロナート、ヘキサフルオルホスフェート、ハイベンゼート、ハイドロクロリド/クロリド、ハイドロブロミド/ブロミド、ハイドロヨージド/ヨージド、イセチオナート、ラクテート、マレート、マレアート、マロネート、メシレート、メチルサルフェート、ナフチレート、2-ナフシレート、ニコチネート、ナイトレート、ヨロテート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ホスフェート/水素ホスフェート/二水素ホスフェート、サッカレート、ステアレート、スクシネート、タルトレート、トシレート、トリフルオルアセテート、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、亜鉛塩などが含まれ得、これらのうち、ハイドロクロリドまたはトリフルオルアセテートが好ましい。
【0057】
また、本発明の前記化学式1で表される化合物は、薬学的に許容される塩だけでなく、通常の方法によって製造できるすべての塩、異性体、水和物および溶媒和物を全部含む。
【0058】
本発明による付加塩は、通常の方法で製造することができ、例えば、化学式1の化合物を水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルなどに溶かし、過量の有機酸を加えたり、無機酸の酸水溶液を加えた後、沈殿させたり、結晶化させて製造することができる。次に、この混合物から溶媒や過量の酸を蒸発させた後、乾燥させて、付加塩を得たり、または析出された塩を吸引ろ過させて製造することができる。
【0059】
製造方法1
本発明は、下記反応式1に示されたように、
化合物2を有機溶媒に溶かした後、化合物3を添加し、10~50℃で12~20時間反応させて化合物4を得る段階(段階1);および
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物4が溶解した有機溶媒を滴加した後、15~30℃で10~16時間反応させて化合物1Aを得る段階(段階2);
を含む化学式1Aで表される化合物の製造方法を提供する。
【0060】
[反応式1]
【化15】
【0061】
前記反応式1において、
、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Aは、請求項1の化学式1に含まれる。
【0062】
本発明の製造方法において、前記有機溶媒の例としては、メタノール(MeOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジオキサンを単独でまたは混合して使用できる。
【0063】
本発明の製造方法において、前記製造方法によって製造できる化合物の例としては、8-メチル-2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール、2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール、N-(3,4-ジクロロフェニル)ナフト[2,3-d]オキサゾール-2-アミン、N-(3,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンまたはN-(3,4-ジフルオロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンでありうる。
【0064】
製造方法2
本発明は、下記反応式2に示されたように、
化合物5を有機溶媒に溶かした後、化合物3を添加し、10~50℃で12~20時間反応させて化合物6を得る段階(段階1);
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物6が溶解した有機溶媒を滴加した後、12~24時間反応させて化合物7を得る段階(段階2);および
化合物7を有機溶媒に溶かし、三臭化ホウ素(BBr)を添加した後、常温で20~28時間反応させて化合物1Bを得る段階(段階3);
を含む化学式1Bで表される化合物の製造方法を提供する。
【0065】
[反応式2]
【化16】
【0066】
前記反応式2において、
、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Bは、請求項1の化学式1に含まれる。
【0067】
本発明の製造方法において、前記有機溶媒の例としては、メタノール(MeOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジオキサンを単独でまたは混合して使用できる。
【0068】
本発明の製造方法において、前記製造方法によって製造できる化合物の例としては、2-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-オルでありうる。
【0069】
製造方法3
本発明は、下記反応式3に示されたように、
化合物8、二硫化炭素(Carbon disulfide)、ヨードメタン(Iodomethane)、および水素化ナトリウム(sodium hydride)を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で2~8時間反応させて化合物9を得る段階(段階1);および
化合物9および化合物2を有機溶媒に溶かした後、2~8時間反応させて化合物1Cを得る段階(段階2);
を含む化学式1Cで表される化合物の製造方法を提供する。
【0070】
[反応式3]
【化17】
【0071】
前記反応式3において、
、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し、
前記化合物1Cは、請求項1の化学式1に含まれる。
【0072】
本発明の製造方法において、前記有機溶媒の例としては、メタノール(MeOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジオキサンを単独でまたは混合して使用できる。
【0073】
本発明の製造方法において、前記製造方法によって製造できる化合物の例としては、N-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2-クロロ-4-ニトロベンズアミドでありうる。
【0074】
製造方法4
本発明は、下記反応式4に示されたように、
化合物10および化合物3を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で20~28時間反応させて化合物11を得る段階(段階1);
過酸化カリウム(Potassium superoxide)が溶解した有機溶媒に、前記段階1で得られた化合物11が溶解した有機溶媒を滴加した後、10~50℃で12~24時間反応させて化合物12を得る段階(段階2);
化合物12を触媒とともに有機溶媒に添加した後、水素ガスを注入して10~50℃で12~20時間反応させて化合物13を得る段階(段階3);および
化合物13および化合物14を有機溶媒に溶かした後、10~50℃で12~24時間反応させて化合物1Dを得る段階(段階4);
を含む化合物1Dで表される化合物の製造方法を提供する。
【0075】
[反応式4]
【化18】
【0076】
前記反応式4において、
、R、R、RおよびRは、請求項1の化学式1で定義したものと同一のものを表し;
は、ハロゲン、-NOおよびC1-10の直鎖または側鎖ハロゲン化アルキルのうち1種以上であり;
前記化合物1Dは、請求項1の化学式1に含まれる。
【0077】
本発明の製造方法において、前記有機溶媒の例としては、メタノール(MeOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジオキサンを単独でまたは混合して使用できる。
【0078】
本発明の製造方法において、前記製造方法によって製造できる化合物の例としては、N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド、N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3,4-ジクロロベンズアミドまたはN-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3-(クロロメチル)ベンズアミドでありうる。
【0079】
細胞老化抑制用組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む細胞老化抑制用組成物を提供する。
【0080】
本発明の組成物において、前記細胞は、腎近位尿細管上皮細胞であってもよく、これに限定されない。
【0081】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0082】
皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0083】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0084】
本発明の化粧料組成物は、上述した本発明の有効物質の化粧品学的有効量(cosmetically effective amount)および化粧品学的に許容される担体を含んで製造することができる。
【0085】
本発明の一実施例による前記化粧料組成物は、その剤形において特に限定されるものではなく、スキン、スキンソフトナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、アイクリーム、モイスチャクリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレジングフォーム、クレンジングウォーター、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンジャー、ソープまたはパウダーなどの化粧品に剤形化することができる。
【0086】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが用いられ得る。
【0087】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられ得、特にスプレーである場合には、さらに、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
【0088】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶媒和剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタン脂肪酸エステルがある。
【0089】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラガカントなどが用いられ得る。
【0090】
本発明の剤形が界面-活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオナート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシ化グリセリン脂肪酸エステルなどが用いられ得る。
【0091】
皮膚老化の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む皮膚老化の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物を提供する。
【0092】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0093】
食品の種類には、特別な限定はない。本発明の有効物質を添加できる食品の例としては、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、ビスケット、モチ、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、アルコール飲料およびビタミン複合剤、乳製品および乳加工製品などがあり、通常の意味における健康食品および健康機能性食品を全部含む。
【0094】
本発明による有効物質を含有する健康食品および健康機能性食品組成物は、食品にそのまま添加したり、他の食品または食品成分と共に使用でき、通常の方法によって適切に使用できる。有効物質の混合量は、その使用目的(予防または改善用)によって適宜決定できる。一般的に、健康食品および健康機能性食品中の前記組成物の量は、全体食品重量の0.1~90重量部で加えることができる。しかしながら、健康維持を目的としたり、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は、前記範囲以下であってもよく、安全性の面から何の問題もないので、有効物質は、前記範囲以上の量でも使用できる。
【0095】
本発明の健康食品および健康機能性食品組成物は、指示された比率で必須成分として本発明の有効物質を含有する以外には、他の成分には特別な限定がなく、通常の飲料とともに様々な香味剤または天然炭水化物などをさらなる成分として含有してもよい。上述した天然炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えばマルトース、スクロースなど;およびポリサッカライド、例えばデキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。上述したもの以外の香味剤として、天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えばレバウディオサイドA、グリチルリチンなど)および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使用できる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の健康機能性食品組成物100g当たり一般的に約1~20g、好ましくは、約5~12gである。
【0096】
前記の他に本発明の有効物質を含有する健康食品および健康機能性食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。その他、本発明の健康食品および健康機能性食品組成物は、天然果物ジュースおよび果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。
【0097】
このような成分は、独立して、または組み合わせて使用できる。このような添加剤の比率は、あまり重要なことではないが、本発明の有効物質を含有する健康食品および健康機能性食品組成物100重量部当たり0.1~約20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0098】
血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0099】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0100】
また、本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびアンジオテンシンII受容体拮抗剤(angiotensin II receptor blocker)を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。具体的に、前記アンジオテンシンII受容体拮抗剤は、ロサルタン(losartan)、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)イルベサルタン(irbesartan)、アジルサルタン(azilsartan)およびオルメサルタン(olmesartan)からなる群から選択される一つ以上を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0101】
化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と共に従来高血圧治療剤に使用されているアンジオテンシンII受容体拮抗剤(angiotensin II receptor blocker)薬物を併用投与する場合、各薬物を独立して投与した場合より、さらに血圧減少効果を示すことができる。
【0102】
本発明の組成物において、前記血管老化によって誘発される疾患は、高血圧、狭心症、心筋梗塞症、動脈硬化、前立腺肥大症、血管けいれん収縮、血栓症、脳梗塞または脳出血でありうる。
【0103】
本発明の化合物は、臨床投与時に経口および非経口の様々な剤形で投与でき、製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して製造される。
【0104】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤などが含まれ、このような固形製剤は、一つ以上の本発明の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)またはゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤の他にマグネシウム、ステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤またはシロップ剤などが該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。
【0105】
非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁溶剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチンなどが使用できる。
【0106】
また、本発明の化合物の人体に対する効果的な投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態および疾患程度によって異なり、一般的に、約0.001~100mg/kg/日であり、好ましくは、0.01~35mg/kg/日である。体重が70kgの成人患者を基準とするとき、一般的に0.07~7000mg/日であり、好ましくは、0.7~2500mg/日であり、医師または薬剤師の判断によって一定の時間間隔で1日に1回~数回に分割投与することもできる。
【0107】
血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む血管老化によって誘発される疾患の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物を提供する。
【0108】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0109】
本発明の組成物において、前記血管老化によって誘発される疾患は、高血圧、狭心症、心筋梗塞症、動脈硬化、前立腺肥大症、血管けいれん収縮、血栓症、脳梗塞または脳出血でありうる。
【0110】
腎臓疾患の予防または治療用薬学組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0111】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0112】
本発明の組成物において、前記腎臓疾患は、腎炎、腎盂炎、腎症候群、急性腎盂炎、慢性腎盂炎、尿路感染症、糖尿病腎症、慢性糸球体腎炎、急性進行性腎炎、ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性腎症または膜性増殖性糸球体腎炎でありうる。
【0113】
腎臓疾患の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物
本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む腎臓疾患の予防または改善用健康機能食品または健康食品組成物を提供する。
【0114】
本発明の組成物において、前記組成物は、クロトー(Klotho)遺伝子の発現量を向上させることができる。
【0115】
本発明の組成物において、前記腎臓疾患は、腎炎、腎盂炎、腎症候群、急性腎盂炎、慢性腎盂炎、尿路感染症、糖尿病腎症、慢性糸球体腎炎、急性進行性腎炎、ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性腎症または膜性増殖性糸球体腎炎でありうる。
【0116】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0117】
<実施例1>N-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2-クロロ-4-ニトロベンズアミド(N-(Benzo[d]oxazol-2-yl)-2-chloro-4-nitrobenzamide,FCCS-17064)の製造
【化19】
【0118】
段階1:ジメチル(2-クロロ-4-ニトロベンゾイル)カルボニミドジチオエート(Dimethyl(2-chloro-4-nitrobenzoyl)carbonimidodithioate、17064-2-1)の製造
2-クロロ-4-ニトロベンズアミド(2-Chloro-4-nitrobenzamide)(500mg、2.49mmol)、二硫化炭素(Carbon disulfide,CS)(759mg、9.97mmol)、ヨードメタン(Iodomethane)(1.13g、7.97mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(7mL)に溶かした後、60%水素化ナトリウム(sodium hydride)(200mg、4.98mmol)を入れ、室温で5時間撹拌した。
【0119】
反応混合物に氷水(ice-cold water)をゆっくり加え、エチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をシリカ-ゲルカラムクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(10% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、ジメチル(2-クロロ-4-ニトロベンゾイル)カルボニミドジチオエート(Dimethyl(2-chloro-4-nitrobenzoyl)carbonimidodithioate、17064-2-1)を淡黄色の固体(160mg、21%)として得た。
【0120】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ8.34(d、1H、J=2.0Hz)、8.29(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)、8.20(d、1H、J=8.4Hz)、2.65(s、6H)。
【0121】
段階2:N-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2-クロロ-4-ニトロベンズアミド(N-(Benzo[d]oxazol-2-yl)-2-chloro-4-nitrobenzamide,FCCS-17064)の製造
【0122】
前記段階1で得られたジメチル(2-クロロ-4-ニトロベンゾイル)カルボニミドジチオエート(Dimethyl(2-chloro-4-nitrobenzoyl)carbonimidodithioate、17064-2-1)(150mg、0.49mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(15mL)に溶かした後、2-アミノフェノール(2-aminophenol)(53mg、0.49mmol)を入れた。
【0123】
反応混合物を6時間還流した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物にジエチルエーテル(diethyl ether)を入れ、沈殿した固体をフィルターして得られた固体をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(40% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物N-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2-クロロ-4-ニトロベンズアミド(N-(Benzo[d]oxazol-2-yl)-2-chloro-4-nitrobenzamide,FCCS-17064)を茶色の固体(70mg、30%)として得た。
【0124】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ8.36(d、1H、J=2.0Hz)、8.33(dd、1H、J=2.0、8.4Hz)、8.09(d、1H、J=8.4Hz)、7.62-7.56(m、2H)、7.40-7.33(m、2H)。
【0125】
<実施例2>8-メチル-2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(8-Methyl-2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065)の製造
【化20】
【0126】
段階1:1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)チオウレア(1-(3,4-Dichlorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methylphenyl)thiourea、17065-2-1)の製造
2-アミノ-p-クレゾール(2-Amino-p-cresol)(300mg、2.44mmol)をメタノール(methanol)(12mL)に溶かした後、3,4-ジクロロフェニルイソチオシアネート(3,4-dichlolrophenyl isothiocyanate)(497mg、2.44mmol)を入れ、室温で18時間撹拌した。TLC(thin layer chromatography)で反応終結を確認した後、冷蔵庫(0~4℃)で冷却(cooling)した。沈殿した固体をフィルターして、白色固体(346mg)として1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)チオウレア(1-(3,4-Dichlorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methylphenyl)thiourea、17065-2-1)を得、さらなる精製することなく、次のステップに使用した。
【0127】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ7.98(dd、1H、J=0.4,2.0Hz)、7.55-7.50(m、2H)、7.43(br s、1H)、6.94-6.90(m、1H)、6.85(d、1H、J=8.4Hz)2.24(s、3H)。
【0128】
段階2:8-メチル-2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(8-Methyl-2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065)の製造
過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(375mg、5.29mmol)、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(15mL)の溶液に前記段階1で得られた1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)チオウレア(1-(3,4-Dichlorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methylphenyl)thiourea、17065-2-1)(346mg、1.06mmol)をアセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(25mL)に溶かした溶液をゆっくり加えた後、室温で18時間撹拌した。
【0129】
反応混合物にジクロロメタン(dichloromethane)と水を入れて抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(10% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物8-メチル-2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(8-Methyl-2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065)を白色の固体(170mg、24%、2 steps)として得た。
【0130】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ8.29(d、1H、J=2.8Hz)、7.73(dd、1H、J=2.8、8.8Hz)、7.76(d、1H、J=8.8Hz)、7.32-7.20(m、1H)、7.28(d、1H、J=8.0Hz)、7.00-6.970(m、1H)、2.41(s、3H)。
【0131】
<実施例3>2-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-オル(2-((3,4-dichlorophenyl)amino)benzo[d]oxazol-5-ol、FCCS-17066)の製造
【化21】
【0132】
段階1:1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-Dichlorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methoxyphenyl)thiourea、17066-3-1)の製造
2-アミノ-4-メトキシフェノール(2-Amino-4-methoxyphenol)(1.13g、8.12mmol)をメタノール(methanol)(40mL)に溶かした後、3,4-ジクロロフェニルイソチオシアネート(3,4-dichlolrophenyl isothiocyanate)(1.99g、9.74mmol)を入れ、室温で18時間撹拌した。TLC(thin layer chromatography)で反応終結を確認した後、冷蔵庫(0~4℃)で冷却(cooling)した。沈殿した固体をフィルターして、茶色固体(2g)として1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-Dichlorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methoxyphenyl)thiourea、17066-3-1)を得、さらなる精製することなく、次のステップに使用した。
【0133】
H NMR(400MHz、methanol-d);δ7.82(d、1H、J=2.4Hz)、7.48-7.44(m、2H)、7.39(dd、1H、J=1.4、8.8Hz)、6.81(d、1H、J=8.8Hz)、6.66(dd、1H、J=1.6、8.8Hz)、3.73(s、3H)。
【0134】
段階2:N-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メトキシベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-dichlorophenyl)-5-methoxybenzo[d]oxazol-2-amine、17066-3-2)の製造
過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(540mg、7.6mmol)、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(20mL)の溶液に前記段階1で得られた17066-3-1(525mg、1.52mmol)をアセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(30mL)に溶かした溶液をゆっくり加えた後、室温で18時間撹拌した。反応混合物にジクロロメタン(dichloromethane)と水を入れ、抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(20% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、N-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メトキシベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-dichlorophenyl)-5-methoxybenzo[d]oxazol-2-amine、17066-3-2)を茶色の固体(230mg、35%)として得た。
【0135】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ8.29(d、1H、J=2.4Hz)、7.70(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)、7.55(d、1H、J=8.8Hz)、7.30(d、1H、J=8.8Hz)、7.08(d、1H、J=2.8Hz)、7.74(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)、3.84(s、3H)。
【0136】
段階3:2-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-オル(2-((3,4-dichlorophenyl)amino)benzo[d]oxazol-5-ol、FCCS-17066)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階2で得られた17066-3-2(200mg、0.65mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)(15mL、anhydrous)に溶かした後、氷浴(ice-bath)で冷却(cooling)した。三臭化ホウ素(BBr)(3.23mL、1.0M in dichloromethane)をゆっくり入れ、室温まで温度を上げた後、24時間撹拌した。水酸化ナトリウム(NaOH)溶液(8mL、1.0M in water)をゆっくり入れ、反応を終結し、分液漏斗(separatory funnel)に移して、有機層と水層を分離した。水層をエチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、NaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(40% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物2-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-オル(2-((3,4-dichlorophenyl)amino)benzo[d]oxazol-5-ol、FCCS-17066)を茶色の固体(97mg、50%)として得た。
【0137】
H NMR(400MHz、acetone-d);δ8.29(br s、-OH)、8.26(d、1H、J=2.4Hz)、7.72(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)、7.56(d、1H、J=8.8Hz)、7.21(dd、1H、J=2.0、7.2Hz)、6.95(d、1H、J=2.0Hz)、6.66(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)。
【0138】
<実施例4>N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド(N-(2-(4-Ethylphenylamino)benzo[d]oxazol-5-yl)-2-chloro-5-nitrobenzamide、FCCS-17067)の製造
【化22】
【0139】
段階1:1-(4-エチルフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)チオウレア(1-(4-ethylphenyl)-3-(2-hydroxy-5-nitrophenyl)thiourea、Interm-3-1)の製造
【0140】
2-アミノ-4-ニトロフェノール(2-Amino-4-nitrophenol)(1.88g、12.25mmol)と4-エチルフェニルイソチオシアネート(4-ethylphenyl isothiocyante)(2g、12.25mmol)をメタノール(methanol)(80mL)に溶かした後、室温で一日間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した後、クロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(20% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、1-(4-エチルフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)チオウレア(1-(4-ethylphenyl)-3-(2-hydroxy-5-nitrophenyl)thiourea、Interm-3-1)を茶色の固体(2.9g、65%)として得た。
【0141】
H NMR(400MHz、methanol-d);δ9.24(d、1H、J=2.8Hz)、7.88(dd、1H、J=2.0、9.2Hz)、7.36(d、2H、J=8.4Hz)、7.25(d、2H、J=8.8Hz)、6.94(d、1H、J=9.2Hz)、2.66(q、2H、J=7.6Hz)、1.24(t、3H、J=7.6Hz)。
【0142】
段階2:N-(4-エチルフェニル)-5-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(4-ethylphenyl)-5-nitrobenzo[d]oxazol-2-amine、Interm-3-2)の製造
過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(2.8g、39.38mmol)、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(130mL)の溶液を氷浴(ice-bath)で冷却(cooling)した後、前記段階1で得られたInterm-3-1(2.5g、7.88mmol)をアセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(170mL)に溶かした溶液をゆっくり加えた後、室温で18時間撹拌した。反応混合物にジクロロメタン(dichloromethane)と水を入れ、抽出した。有機層を塩水で洗浄して、NaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(10% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、化合物Interm-3-2を茶色の固体(1.78g、80%)として得た。
【0143】
H NMR(400MHz、methanol-d);δ8.20(d、1H、J=1.0Hz)、8.08(dd、1H、J=0.8、9.6Hz)、7.59(d、2H、J=8.8Hz)、7.51(d、1H、J=8.8Hz)、7.22(d、2H、J=8.8Hz)、2.64(q、2H、J=7.6Hz)、1.24(t、3H、J=7.6Hz)。
【0144】
段階3:N-(4-エチルフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2,5-ジアミン(N-(4-ethylphenyl)benzo[d]oxazole-2,5-diamine、Interm-3-3)の製造
Pd/C(Palladium on carbon)(1.70g、0.80mmol、10wt.%、wet support)を丸いフラスコ(round-flask)に称量して入れた後、Arガスでパージング(purging)した。そこへ前記段階2で得られたInterm-3-2(1.58g、5.30mmol)をメタノール(methanol)(80mL)に溶かした溶液をゆっくり入れた後、H(g)で置換した。H(g)をbubblingしながら、室温で18時間撹拌した。TLC(thin layer chromatography)で反応終結を確認後、Celite padでフィルターした後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(40% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、化合物Interm-3-3を淡茶色の固体(1.21g、90%)として得た。
【0145】
H NMR(400MHz、Acetone-d);δ7.71(m、2H)、7.19(m、2H)、7.03(dd、1H、J=0.8、8.4Hz)、6.75(dd、1H、J=0.8、2.0Hz)、6.44(dd、1H、J=2.0、8.4Hz)、2.60(q、2H、J=7.6Hz)、1.19(t、3H、J=7.6Hz)。
【0146】
段階4:N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド(N-(2-(4-Ethylphenylamino)benzo[d]oxazol-5-yl)-2-chloro-5-nitrobenzamide、FCCS-17067)の製造
前記段階3で得られたInterm-3-3(253mg、1mmol)、2-クロロ-5-ニトロベンゾイルクロリド(2-chloro-5-nitrobenzoyl chloride)(220mg、1mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide,DMF)(4mL)に溶かした後、ジイソメチルプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine,DIPEA)(129mg、1mmol)を入れ、室温で18時間撹拌した。18時間後、2-クロロ-5-ニトロベンゾイルクロリド(2-chloro-5-nitrobenzoyl chloride)とジイソメチルプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine,DIPEA)各0.5当量を追加し、8時間さらに撹拌した。反応混合物に10% HCl(aq.)を入れ、エチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、有機層を飽和されたNaHCO水溶液と塩水で順に洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(40% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド(N-(2-(4-Ethylphenylamino)benzo[d]oxazol-5-yl)-2-chloro-5-nitrobenzamide、FCCS-17067)を淡黄色の固体(120mg、27%)として得た。
【0147】
H NMR(400MHz、DMSO-d);δ10.71(s、1H)、10.53(s、1H)、8.48(d、1H、J=2.8Hz)、8.34(dd、1H、J=2.4、8.8Hz)、7.90(d、1H、J=8.8Hz)、7.82(d、1H、J=2.0Hz)、7.64(d、2H、J=8.8Hz)、7.46(d、1H、J=8.8Hz)、7.40(dd、1H、J=2.0、8.4Hz)、7.21(d、1H、J=8.8Hz)、2.58(q、2H、J=7.6Hz)、1.18(t、3H、J=7.6Hz)。
【0148】
<実施例5>N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3,4-ジクロロベンズアミド(N-(2-(4-Ethylphenylamino)benzo[d]oxazol-5-yl)-3,4-dichlorobenzamide、FCCS-17068)の製造
【化23】
【0149】
前記実施例4の段階3で得られたInterm-3-3(253mg、1mmol)、3,4-ジクロロベンゾイルクロリド(3,4-dichlorobenzoyl chloride)(209mg、1mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide,DMF)(4mL)に溶かした後、ジイソメチルプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine,DIPEA)(129mg、1mmol)を入れ、室温で18時間撹拌した。反応混合物に10% HCl(aq.)を入れ、エチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、有機層を飽和されたNaHCO水溶液と塩水で順に洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(40% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物FCCS-17068を淡白色の固体(270mg、64%)として得た。
【0150】
H NMR(400MHz、Acetone-d);δ8.18(d、1H、J=2.4Hz)、7.99(t、1H、J=2.4Hz)、7.97(d、1H、J=2.0Hz)、7.80-7.20(m、3H)、7.70-7.50(m、1H)、7.35(d、1H、J=8.8Hz)、7.24(d、1H、J=8.8Hz)、2.63(q、2H、J=7.6Hz)、1.22(t、3H、J=7.6Hz)。
【0151】
<実施例6>N-(2-(4-エチルフェニルアミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-3-(クロロメチル)ベンズアミド(N-(2-(4-Ethylphenylamino)benzo[d]oxazol-5-yl)-3-(chloromethyl)benzamide、FCCS-17069)の製造
【化24】
【0152】
前記実施例4の段階3で得られたInterm-3-3(253mg、1mmol)、3-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド(3-(chloromethyl)benzoyl chloride)(189mg、1mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide,DMF)(4mL)に溶かした後、ジイソメチルプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine,DIPEA)(129mg、1mmol)を入れ、室温で18時間撹拌した。反応混合物に10% HCl(aq.)を入れ、エチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、有機層を飽和されたNaHCO水溶液と塩水で順に洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(30% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物FCCS-17069を淡白色の固体(170mg、40%)として得た。
【0153】
H NMR(400MHz、Acetone-d);δ8.08(t、1H、J=1.2Hz)、8.03(d、1H、J=2.0Hz)、7.98(dt、1H、J=1.2、7.6Hz)、7.80-7.75(m、2H)、7.69-7.65(m、1H)、7.57-7.52(m、3H)、7.34(d、1H、J=8.8Hz)、7.26-7.22(m、2H)、2.62(q、2H、J=7.6Hz)、1.22(t、3H、J=7.6Hz)。
【0154】
<実施例7>2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065-A)の製造
【化25】
【0155】
段階1:1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-dichlorophenyl)-3-(2-hydroxyphenyl)thiourea、FCCS-17065-A-2-1)の製造
Arガス雰囲気下で2-アミノフェノール(2-Aminophenol)(300mg、2.749mmol)にメタノール(anhydrous MeOH)(8mL)を加えて溶かした後、3,4-ジクロロフェニルイソチオシアネート(3,4-dichlorophenyl isothiocyanate)(0.47mL、3.299mmol)をゆっくり滴加し、14時間常温で撹拌させる。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認し、減圧して、溶媒を除去後、crudeにsilicaを入れて吸着させ、シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(30% EtOAc/hexane、R=0.4)を行うことによって、1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-dichlorophenyl)-3-(2-hydroxyphenyl)thiourea、FCCS-17065-A-2-1)、793mg(light brown foamy solid、92%)を得た。
【0156】
H NMR(400MHz、CD3OD);δ7.82(d、1H、J=2.8Hz)、7.63(d、1H、J=7.6Hz)、7.45(d、1H、J=8.8Hz)、7.39(dd、1H、J=8.6、2.2Hz)、7.11-7.06(m、1H)、6.90(dd、1H、J=8.0、1.2Hz)、6.85(td、1H、J=7.6、1.2Hz)
【0157】
段階2:2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065-A)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階1で得られたFCCS-17065-A-2-1(400mg、1.277mmol)と過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(454mg、6.386mmol)を入れ、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(48mL)を加えて常温で14時間撹拌する。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認後、crudeにsilicaを入れて吸着させ、減圧する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(20% EtOAc/hexane、R=0.4)を行うことによって、目的化合物2-[N-(3,4-ジクロロフェニル)]アミノベンゾオキサゾール(2-[N-(3,4-dichlorophenyl)]aminobenzoxazole、FCCS-17065-A)、231mg(white solid、65%)を得た。
【0158】
H NMR(400MHz、CDOD);δ8.06(d、1H、J=2.8Hz)、7.55(dd、1H、J=8.6,2,6Hz)、7.48-7.45(m、2H)、7.39(d、1H、J=8.0Hz)、7.24(td、1H、J=7.6、1.2Hz)、7.16(td、1H、J=7.8、1.2Hz)
【0159】
<実施例8>N-(3,4-ジクロロフェニル)ナフト[2,3-d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-dichlorophenyl)naphtho[2,3-d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-B)の製造
【化26】
【0160】
段階1:1-(4,5-ジクロロフェニル)-3-(3-ヒドロキシナフタレン-2-イル)チオウレア(1-(3,4-dichlorophenyl)-3-(3-hydroxynaphthalen-2-yl)thiourea,FCCS-17065-B-2-1)の製造
【0161】
Arガス雰囲気下で3-アミノ-2-ナフトール(3-Amino-2-naphthol)(350mg、2.119mmol)にメタノール(anhydrous MeOH)(7mL)とクロロホルム(chloroform,CHCl)(2mL)を加えて5分間常温で撹拌後、3,4-ジクロロフェニルイソチオシアネート(3,4-dichlorophenyl isothiocyanate)(0.38mL、2.638mmol)をゆっくり滴加し、13時間常温で撹拌させる。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認し、減圧して、溶媒を除去後、ジクロロメタン(dichloromethane)(8mL)を加えて、5分間撹拌後、溶けない固体をフィルターして、1-(4,5-ジクロロフェニル)-3-(3-ヒドロキシナフタレン-2-イル)チオウレア(1-(3,4-dichlorophenyl)-3-(3-hydroxynaphthalen-2-yl)thiourea,FCCS-17065-B-2-1)、792mg(white solid、99%)を得た。
【0162】
H NMR(400MHz、DMSO-d);δ10.48(s、1H)、10.34(s、1H)、9.57(s、1H)、8.59(s、1H)、8.05(d、1H、J=2.0Hz)、7.73(d、1H、J=8.0Hz)、7.67(d、1H、J=7.6Hz)、7.60(d、1H、J=8.4Hz)、7.52(dd、1H、J=8.6、2.2Hz)、7.35(t、1H、J=7.2Hz)、7.27(t、1H、J=7.6Hz)、7.24(s、1H)
【0163】
段階2:N-(3,4-ジクロロフェニル)ナフト[2,3-d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-dichlorophenyl)naphtho[2,3-d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-B)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階1で得られたFCCS-17065-B-2-1(400mg、1.101mmol)と過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(391mg、5.505mmol)を入れ、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(42mL)を加えて常温で14時間撹拌する。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認後、crudeにsilicaを入れて吸着させ、減圧する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(20% EtOAc/hexane、R=0.5)を行うことによって、目的化合物N-(3,4-ジクロロフェニル)ナフト[2,3-d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-dichlorophenyl)naphtho[2,3-d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-B)、236mg(white solid、65%)を得た。
【0164】
H NMR(400MHz、DMSO-d);δ11.22(s、1H)、8.20(d、1H、J=2.0Hz)、7.98-7.95(m、4 H)、7.72(dd、1H、J=8.8,2.4Hz)、7.66(d、1H、J=8.4Hz)、7.47-7.41(m、2H)
【0165】
<実施例9>N-(3,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)-5-methylbenzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-C)の製造
【化27】
【0166】
段階1:1-(3,4-ジフルオロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)チオウレア(1-(3,4-difluorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methylphenyl)thiourea、FCCS-17065-C-2-1)の製造
Arガス雰囲気下で2-アミノ-p-クレゾール(2-Amino-p-cresol)(300mg、2.436mmol)にメタノール(anhydrous MeOH)(8mL)を加えて溶かした後、3,4-ジフルオロフェニルイソチオシアネート(3,4-difluorophenyl isothiocyanate)(0.37mL、2.923mmol)をゆっくり滴加し、13時間常温で撹拌させる。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認し、減圧して溶媒を除去後、crudeにsilicaを入れて吸着させ、シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(30% EtOAc/hexane、R=0.4)を行うことによって、1-(3,4-ジフルオロフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)チオウレア(1-(3,4-difluorophenyl)-3-(2-hydroxy-5-methylphenyl)thiourea、FCCS-17065-C-2-1)、710mg(white foamy solid、99%)を得た。
【0167】
H NMR(400MHz、CDOD);δ7.57-7.52(m、1H)、7.40(s、1H)、7.25-7.13(m、2H)、6.91(dd、1H、J=8.0、1.6Hz)、6.79(d、1H、J=8.0Hz)、2.25(s、3H)
【0168】
段階2:N-(3,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)-5-methylbenzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-C)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階1で得られたFCCS-17065-C-2-1(400mg、1.359mmol)と過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(483mg、6.795mmol)を入れ、アセトニトリル(acetonitrile,MeCN)、MeCN)(52mL)を加えて、常温で14時間撹拌する。TLC(thin layer chromatography)で確認して、出発物質が全部消えることを確認後、crudeにsilicaを入れて吸着させ、減圧する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(20% EtOAc/hexane、R=0.45)を行うことによって、目的化合物N-(3,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)-5-methylbenzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-17065-C)、224mg(white solid、63%)を得た。
【0169】
H NMR(400MHz、CDOD);δ=7.83-7.78(m、1H)、7.33-7.29(m、1H)、7.27-7.20(m、3H)、6.97-6.95(m、1H)、2.41(s、3H)
【0170】
<実施例10>N-(3,4-ジフルオロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)benzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-19025)の合成
【化28】
【0171】
段階1:1-(3,4-ジフルオロフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-difluorophenyl)-3-(2-hydroxyphenyl)thiourea、FCCS-19025-2-1)の製造
Arガス雰囲気下で2-アミノフェノール(2-Aminophenol)(150mg、1.37mmol)をメタノール(methanol)(8mL)に溶かした後、3,4-ジフルオロフェニルイソチオシアネート(3,4-difluorophenyl isothiocyanate)(224μl、1.65mmol)をゆっくり加えた後、室温で13時間撹拌した。TLC(thin layer chromatography)で反応終結を確認した後、減圧下でメタノール(Methanol)を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(20% Acetone/n-hexane)で精製して、1-(3,4-ジフルオロフェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)チオウレア(1-(3,4-difluorophenyl)-3-(2-hydroxyphenyl)thiourea、FCCS-19025-2-1)を淡黄色の固体(354mg、92%)として得た。
【0172】
H-NMR(400MHz、MeOH-d)δ7.62(d、J=8.0Hz、1H)、7.55(ddd,J=2.4Hz、1H)、7.25-7.13(m、2H)、7.11-7.05(m、1H)、6.92-6.82(m、2H);ESI-(+)281.3[M+H]
【0173】
段階2:N-(3,4-ジフルオロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)benzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-19025)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階1で得られたFCCS-19025-2-1(224mg、0.80mmol)、過酸化カリウム(Potassium superoxide,KO)(284mg、4.00mmol)をアセトニトリル(acetonitrile,MeCN)(25mL)に溶かした後、常温で14時間撹拌した。TLC(thin layer chromatography)で反応終結を確認した後、減圧下でアセトニトリル(acetonitrile,MeCN)を除去した。反応混合物をクロマトグラフィー(Silica-gel column chromatrography)(10~20% Ethyl acetate/n-hexane)で精製して、目的化合物N-(3,4-ジフルオロフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(N-(3,4-difluorophenyl)benzo[d]oxazol-2-amine、FCCS-19025)を白色の固体(160mg、82%)として得た。
【0174】
H-NMR(400MHz、MeOH-d)δ7.82(ddd,J=2.8Hz、1H)、7.42(d、J=7.6Hz、1H)、7.36(d、J=8.0Hz、1H)、7.34-7.29(m、1H)、7.28-7.18(m、2H)、7.16-7.10(m、1H);ESI-(+)247.2[M+H]
【0175】
下記表1に実施例1~実施例10の化学構造式を示した。
【0176】
【表1】
【0177】
<比較例1>
N-(2-クロロフェニル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(N-(2-chlorophenyl)-1H-indole-3-carboxamide)を比較例1として使用した。
【化29】
【0178】
<比較例2>
2’-クロロアセトアニリド(2’-Chloroacetanilide,C0621)を購入して、比較例2として使用した。
【化30】
【0179】
<比較例3>
N-メチル-1H-インドール-3-カルボキサミド(N-methyl-1H-indole-3-carboxamide,FCCS-16030)を購入して、比較例3として使用した。
【化31】
【0180】
<比較例4>N-(2-((クロロフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(N-(2-((2-chlorophenyl)amino)-2-oxoethyl)-1H-indole-3-carboxamide,FCCS-16031)の製造
【化32】
【0181】
段階1:メチル2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)アセテート(methyl 2-(1H-indole-3-carboxamido)acetate,CCS-16031-3-1)の製造
Arガス雰囲気下でインドール-3-カルボン酸(Indole-3-carboxylic acid)(600mg、3.72mmol)とグリシンメチルエステル(glycine methyl ester)(467mg、3.72mmol)をクロロホルム(Chloroform)(11mL)に溶かし、氷浴(ice-bath)で冷却(cooling)する。トリエチルアミン(Triethylamine)(1.04mL、7.446mmol)とN,N-ジイソプロピルカルボジイミド(N,N-diisopropylcarbodiimide)をさらに入れた後、0℃で14時間撹拌する。10% NaHCO水溶液で洗った後、5%HCl水溶液で洗って、無水NaSO Padに通過させて、残った水分を除去した後、減圧下で溶媒を除去する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(70% ethyl aceate/n-hexane)を行うことによって、メチル2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)アセテート(methyl 2-(1H-indole-3-carboxamido)acetate,CCS-16031-3-1)430mg(white solid、50%)をmixture状態で得た。さらなる精製することなく、次のステップに進めた。ESI-MS:231.2[M-H]
【0182】
段階2:2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)酢酸(2-(1H-indole-3-carboxamido)acetic acid、FCCS-16031-3-2)の製造
前記段階1で得られた2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)アセテート(methyl 2-(1H-indole-3-carboxamido)acetate,CCS-16031-3-1)(220mg、0.947mmol)をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(6mL)に溶かし、そこへ水酸化リチウム水和物(LiOH monohydrate)(131mg、3.126mmol)を水(2mL)に溶かした溶液を入れ、常温で1時間撹拌する。1.0N HCl水溶液を加えてpH2に調整後、エチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した。無水NaSO Padに通過させて、残った水分を除去した後、減圧下で溶媒を除去する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(10% methanol/dichloromehtane)を行うことによって、2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)酢酸(2-(1H-indole-3-carboxamido)acetic acid、FCCS-16031-3-2)147mg(yellow foamy solid、71%)を得た。
【0183】
H NMR(400MHz、CDOD);δ8.10-8.08(m、1H)、7.92(s、1H)、7.43(dt、J=8.0、1.2Hz、1H)、7.17(quint d、J=7.2、1.6Hz、2H)、4.12(s、2H)
【0184】
段階3:N-(2-((2-クロロフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(N-(2-((2-chlorophenyl)amino)-2-oxoethyl)-1H-indole-3-carboxamide,FCCS-16031)の製造
Arガス雰囲気下で前記段階2で得られた2-(1H-インドール-3-カルボキサミド)酢酸(2-(1H-indole-3-carboxamido)acetic acid、FCCS-16031-3-2)(200mg、0.917mmol)とTSTU(N,N,N’,N’-Tetramethyl-O-(N-succinimidyl)uronium tetrafluoroborate)(290mg、0.962mmol)をジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(4mL、anhydorus)に溶かし、N,N-ジイソメチルプロピルエチルアミン(DIEA)(0.4mL、2.293mmol)を加えた後、常温で3時間撹拌する。2-クロロアニリン(2-chloroaniline)(0.29mL、2.751mmol)とN,N-ジイソメチルプロピルエチルアミン(DIEA)(0.64mL、3.668mmol)を入れ、60℃で4時間加熱する。減圧下で溶媒を除去後、ジクロロメタン(dichloromethane)とNHCl飽和水溶液を加えて抽出をして、有機層を得、無水NaSO Padに通過させて、残った水分を除去した後、減圧下で溶媒を除去する。シリカ-ゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Silica-gel Flash Column Chromatography)(70% ethyl acetate/n-hexane)を行うことによって、目的化合物N-(2-((2-クロロフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(N-(2-((2-chlorophenyl)amino)-2-oxoethyl)-1H-indole-3-carboxamide、FCCS-16031)20mg(white solid、6.6%)を得た。
【0185】
H NMR(400MHz、CDOD);δ8.15-8.12(m、1H)、8.04(dd,J=8.0、1.2Hz、1H)、7.97(s、1H)、7.46-7.41(m、2H)、7.33-7.28(m、1H)、7.23-7.12(m、3H)、4.26(s、2H)
【0186】
<実験例1-1>ルシフェラーゼ(Luciferase)発現実験(比較例1~4)
ルシフェラーゼ活性評価を通したklotho遺伝子の発現有無を評価するために、ヒト腎臓の近位尿細管(proximal tubule)の上皮(epithelium)細胞であるRPTEC(human renal proximal tubule epithelial cell,ATCC CRL-4031)細胞を米国のLonza社から購入して使用した。
【0187】
培養のためには、同じLonza社製のRenal Epithelial Growth Medium(REGMTM)Bulletkitを使用し、37℃、5%CO条件で培養した。ルシフェラーゼ発現のためのプラスミドは、ヒトのKL(klotho)遺伝子のプロモーター部位が蛍ルシフェラーゼ(firefly luciferase)遺伝子発現を調節するように配置されたものを使用した。
【0188】
プラスミドは、Roche社のX-treme GENE transfection reagentを使用して細胞内に取り入れた。細胞で発現したルシフェラーゼ活性は、Promega社製のDual-Luciferase reporter assay systemを利用して測定した。各化合物を表示された濃度ずつ培養された細胞に24時間処理した後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼの活性が高い場合は、klotho遺伝子の発現が増加できることを間接的に示す。
【0189】
比較例1~比較例4をRPTEC細胞に5μMの濃度で処理し、ヒトのklotho遺伝子の開始部位から1.7kbpの前までのプロモーターを含むレポータ遺伝子またはヒトのklotho遺伝子の開始部位から240bpの前までのプロモーターを含むレポータ遺伝子を利用してレポータ遺伝子の発現を確認した。
【0190】
その結果、図1に示されたように、比較例1の化合物のルシフェラーゼ活性が最も高いことを確認した。
【0191】
<実験例1-2>ルシフェラーゼ発現実験(実施例1~6)
前記実験例1-1の結果を基盤として、比較例1と類似した化学構造を有する実施例1~6を合成し、本実験例1-2を実施した。
【0192】
ヒト腎臓の近位尿細管(proximal tubule)の上皮(epithelium)細胞であるRPTECに実施例1~6をそれぞれ0.5,1および5μMの濃度で処理し、比較例1は、5μMの濃度で処理して、ヒトのklotho遺伝子の-2.1kbアップストリームまで含まれたプロモーターを含むレポータ遺伝子(pHKP-luc)を利用してレポータ遺伝子の発現を確認した結果を図2および図3に示した。
【0193】
図2に示されたように、実施例1、実施例2の化合物のレポータ遺伝子の発現が比較例1と類似したレベルであることを確認した。
【0194】
図3に示されたように、比較例1および実施例1~3をRPTEC細胞に5μMの濃度で処理し、ヒトのklotho遺伝子の-2.1kbアップストリームまで含まれたプロモーターを含むレポータ遺伝子(pHKP-luc)を利用してレポータ遺伝子の発現を確認した結果、実施例2の化合物が比較例1と類似したレベルであることを確認した。
【0195】
<実験例2>Real-time PCR実験を利用したklotho(KL)遺伝子発現量の定量評価
比較例1および実施例1~2の化合物を6時間処理したヒト腎臓の近位尿細管(proximal tubule)の上皮(epithelium)細胞であるRPTEC細胞からRNA抽出のために、Qiagen社のRNeasy kitを利用した。抽出されたRNAは、Thermo社のSuperscript II kitを利用してcDNAを製造し、KL(klotho)遺伝子特異的キットは、Appliedbiosystem社のTaqman Gene Expression assaysを利用して実施した結果を図4に示した。
【0196】
図4に示されたように、実施例2の化合物が比較例1と類似したレベルであることを確認した。
【0197】
本実験例2の結果をベースとして、実施例2化合物と化学構造が類似した実施例7~10化合物を合成して、次の実験例3に使用した。
【0198】
<実験例3>一般PCR実験を利用したklotho(KL)遺伝子発現量の定量評価
実施例7~10を2.5μMずつ6時間ヒト腎臓の近位尿細管(proximal tubule)の上皮(epithelium)細胞であるRPTEC細胞に処理後、細胞からRNAを抽出し、抽出されたRNAは、Thermo社のSuperscript II kitを利用してcDNAを製造した後、一般PCRを実施した。
【0199】
実験に使用されたプライマーの情報は、下記の通りである。
【0200】
KL-F GATAGAGAAAAATGGCTTCCCTCC(配列番号1)
KL-R GGTCGGTAAACTGAGACAGAGTGG(配列番号2)
GAPDH-F TGACAACTTTGGTATCGTGGAAGG(配列番号3)
GAPDH-R AGGGATGATGTTCTGGAGAGCC(配列番号4)
【0201】
PCRで増幅されたDNAは、アガロースゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイド(Ethidium Bromide)染色を通じて確認し、バンド内のDNA量は、SpeedyQuantプログラムを利用して定量比較して、図5に示した。
【0202】
図5に示されたように、比較例1より実施例8~10のklotho(KL)遺伝子発現量がさらに高いことが確認され、特に実施例10は、比較例1と比べて約10倍向上することが示された。
【0203】
<実験例4>毒性テスト
培養されたHK2(Human kidney-2)細胞に比較例1、実施例2および実施例9~実施例10を25μMまたは12.5μMの濃度で処理し、24時間後にEZ-Cytox kitを利用して細胞毒性を測定した。EZ-Cytoxは、生きた細胞のミトコンドリア酵素によって450nmで吸光度を有するホルマザン(formazan)を生成するので、生きた細胞は、450nmでさらに高い吸光度を示す。処理した化合物の量と同じ体積のDMSOを処理した細胞の毒性を1と見なすとき、化合物サンプル処理によってどれくらい細胞が毒性に減少したかを確認し、その結果を図6に示した。
【0204】
図6に示されたように、12.5μMまたは25μMの濃度で処理した場合、全部実施例10の化合物が最も少ない毒性を示し、比較例1と比べて毒性が20%以上改善されたことを確認した。
【0205】
<実験例5>HK-2細胞におけるKlothoタンパク質発現量分析
図7aのプロトコルのように、HK-2細胞(ヒト腎細胞)にシスプラチン(Cisplatin 20μM)を処理して、疾患モデルを作成した後、KS1化合物(実施例10)(3μM)を処理した。24時間後に細胞を収得して、Klothoタンパク質発現程度を確認した。図7bに示されるように、HK-2細胞においてKlothoタンパク質発現は、シスプラチン(Cisplatin)を処理した群では減少し、KS1化合物(実施例10)を処理した群では増加することが確認された。
【0206】
<実験例6>片側尿管閉塞(Unilateral Ureter Obstruction,UUO)モデルにおけるKS1化合物(実施例10)の効果分析
片側尿管閉塞モデルは、5週齢の雄C56BL/6マウスを利用した。片側尿管閉塞モデルを作成するために、右側尿管を糸で縛った後、24時間後から毎日KS1化合物(20mg/kg/day)を腹腔に注入させた。以後、7日目および14日目に犠牲させて、サンプルを集めて、実験を進めた(図8a)。
【0207】
腎肥大化の有無の確認
実験結果、片側尿管閉塞モデルでは、腎臓が肥大している結果を示し、KS1化合物を処理した腎臓では、サイズの差異がない結果を示した(図8b)。
【0208】
核と細胞質変化の確認
片側尿管閉塞モデルにおける核と細胞質に対する変化を調べてみるために、H&E染色を進め、その結果を図9に示した。KS1非処理の片側尿管閉塞モデルの1週サンプルでは、核の数が多く増加したことが分かり、2週サンプルでは、細胞質が破壊されている結果を示したが、KS1処理したサンプルでは、組織の破壊が多く減少している結果を示した(図9)。
【0209】
線維化進行の有無の確認
また、片側尿管閉塞モデルにおける線維化進行による変化を調べてみるために、Sirius Red染色を進めた。KS1非処理の片側尿管閉塞モデルの組織1週サンプルでは、赤色に線維化が進行され始めることを見ることができ、2週サンプルでは、線維化が1週サンプルよりさらに進行されている結果を示した。しかしながら、KS1処理群では、KS1非処理の片側尿管閉塞モデルより線維化が少なく起こる結果を示した(図10)。
【0210】
細胞死滅の有無の確認
片側尿管閉塞モデルにおける細胞死滅程度を調べてみるために、TUNEL染色を進めた。KS1非処理の片側尿管閉塞モデルの組織1週サンプルでは、細胞死滅が起こり、2週サンプルでは、細胞死滅が1週サンプルより増加している結果を示した。しかしながら、KS1処理群では、KS1非処理の片側尿管閉塞モデルより細胞死滅が顕著に減少する結果を示した(図11)。
【0211】
Klothoタンパク質発現量の確認
片側尿管閉塞モデルの1週サンプルでKlothoタンパク質発現変化を確認した結果、KS1非処理の片側尿管閉塞モデルサンプルでは、Klothoタンパク質が減少したが、KS1化合物を処理した場合、Klothoタンパク質発現が増加する結果を示した(図12)。
【0212】
MMP-9タンパク質発現量分析
片側尿管閉塞モデルで炎症標識マーカーであるMMP-9タンパク質の変化を確認した結果、KS1非処理の片側尿管閉塞モデルの1週と2週サンプルでMMP-9が増加したが、KS1を処理した場合、MMP-9発現量が顕著に減少する結果を示した(図13)。
【0213】
<実験例7>KS1化合物(実施例10)の高血圧減少効果の分析
1.実験用ラット(rat)
正常対照群として6週齢ラット(rat)雄WKY/lzmを使用し、高血圧を発生させる実験群としては、6週齢ラット(rat)雄SHR/lzmを使用した。すべての動物は、中央実験動物から購入し、オソン先端医療産業振興財団の実験動物センター内の再搬入区域飼育施設で実験を進めた。実験用ラットは、入手後7日間検疫および純化期間を有し、この期間中に動物の健康を観察した。
【0214】
2.ラット(rat)飼育環境
(1)環境条件
本実験は、温度22±2℃、相対湿度50±10%、喚起回数10~15回/hr、照明時間12時間(午前8時点灯~午後8時消灯)および照度500Lux以上に設定されたオソン先端医療産業振興財団の実験動物センター内の再搬入区域飼育施設で行った。実験者全部は、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)した作業服と保護装具を着用し、作業を実施した。
【0215】
(2)ケージ(cage)および飼育密度
試験棟物の飼育は、個別喚起ケージ(IVCs)システムでAAALACガイドライン基準のケージ(W200×D310×H150)で純化期間および実験機間に2匹/ケージ(cage)で飼育した。
【0216】
(3)飼料および水の給餌方法
試験に供給された飼料は、放射線照射で滅菌された試験棟水用固形飼料(+40RMM-10,SAFE)を給餌し、飼料の成分分析成績書を検討した結果、飼料組成および汚染物質検査で試験に影響を与えるほどの要因はなかった。水は、RO水(逆浸透蒸留水)製造および供給装置で生産された超純水を次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)およびUV装置を経て殺菌した後、水筒を通じて自由に摂取するようにし、公認機関(忠北保健環境研究院、忠北清原郡オソン邑オソン生命路1路184)に依頼して、定期的な水質検査を実施した結果、「飲水水質基準適合」判定を受けた。
【0217】
(5)検疫純化
搬入時に動物の外観検査を実施した。純化期間中に毎日1回一般症状を観察し、一般症状観察記録紙に記録した。純化期間の終了日に一般症状を確認して、動物の健康状態を評価した。
【0218】
(6)個体および飼育箱子識別
純化期間中には、入手時に動物の尾に赤色油性ペンを利用して個体表示をし、飼育箱子には、検疫純化期間中に個体識別カードを付着した。観察期間中には、群分離時に動物の尾に青色油性ペンを利用して個体表示をし、飼育箱子には、個体識別カードを付着した。
【0219】
(7)群分離
群分離は、一般症状異常がない動物のうち、機器純化終了日(群分離日)に実施した。群分離日に動物を各群平均血圧が均等となるように無作為で各5群、群当たり5匹に群分離した。残余動物は、COを利用して安楽死させた。
【0220】
3.実験群の構成
血圧が上昇するかを判別するために、WKYを正常対照群として使用した。SHRラットは、陰性対照群、試験物質投与群、陽性物質投与群、試験物質+陽性物質投与群に分けて進めた。
【0221】
4.試験物質の調製および投与
(1)試験物質および陽性対照物質を該当濃度に合わせて20mL/kgの液量で賦形剤に溶解した。
【0222】
(2)検疫および純化後、動物の血圧および体重に基づいて群分離後、賦形剤、試験物質および陽性対照物質を投与した。
【0223】
(3)すべての投与群は、週1回測定した体重を基準として20mL/kgの液量で3mL注射器を利用して7回/1週、8週間経口投与する。物質の濃度は、20mg/kg/dayに該当する。
【0224】
5.血圧測定
薬物投与後36日と64日に動物を血圧測定用補正装置に入れ、尾を出るようにして血圧を測定した。血圧測定は、Kent Scientific社のMODA High Throughput Systemを利用して記録した。
【0225】
6.実験結果
ラット(rat)で測定された薬物処理群の収縮期血圧(systolic pressure)を図14に示した。実験結果、高血圧動物モデルである自発性高血圧ラット(SHR)にKS1化合物を処理する場合、収縮期血圧が顕著に減少する結果を示したところ、KS1化合物が、高血圧予防、治療に効果的に用いられ得ることが分かる。また、従来高血圧治療剤として使用されているアンジオテンシンII受容体拮抗剤(angiotensin II receptor blocker)薬物の一つであるロサルタン(losartan)との併用投与時に、各薬物を独立して投与したときより、良好な血圧減少効果を示したので、高血圧治療のための併用投与にもKS1が用いられ得ることが分かる。
【0226】
<実験例5>KS1化合物(実施例10)の細胞老化抑制効果分析
1.細胞培養と化合物処理
腎尿細管上皮細胞であるRPTEC(human renal proximal tubule epithelial cell)は、Lonza社から購入し、培養用培地も、同じ会社で供給するREGM kitを利用した。細胞培養は、37℃培養器で5%CO条件で培養した。細胞は、80%飽和になると、トリプシン(trypsin)処理して、新しい培養皿に移して継代培養した。化合物は、最終濃度が2.5μMとなるように培地に添付し、継代培養時ごとに化合物を入れ、一定の濃度が維持されるようにした。陰性対照のために、溶媒であるDMSOのみを入れた細胞を使用し、老化が進行されない対照群として9回継代培養した細胞(#9)を使用した。老化を誘導した細胞は、全部17回継代培養した細胞(#17)を使用した。
【0227】
2.老化程度の確認
細胞の老化程度を確認するために、Cell Signaling Technology社の「Senescence β-galactosidase staining kit」を使用した。実験当日に細胞に染色液を入れ、8時間後に染色された細胞を確認した。200倍顕微鏡下で観察される全体細胞数のうち、染色された細胞の数を確認して、比率で示し、一つのサンプル当たり互いに異なる三カ所で染色された細胞の数を数えて平均を求めた。細胞の老化が進行されるほどβ-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)酵素の発現が増加するので、染色された細胞は、染色されない細胞より老化がさらに多く進行された細胞と判断することができる。
【0228】
3.実験結果
実験結果、17回継代培養した細胞は、9回継代培養した細胞に比べて老化の程度がかなり増加したことが分かった。顕微鏡下で200倍で観察したとき、17回継代培養した細胞は、細胞の90%程度が全部染色されたが、9回継代培養した細胞は、50%の細胞だけが染色された(図15)。同一に17回継代培養した細胞では、KS1化合物(実施例10)を培地に入れて培養した細胞群において染色の程度が減少して、細胞のうち70%程度が染色された(図15)。すなわち、KS1化合物(実施例10)が存在する状態で培養された細胞は、17回の継代培養期間中にDMSOを入れた培地で成長した細胞より老化の程度が20%程度減少したことが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
【配列表】
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