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特許7412557骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲット
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240104BHJP
   A61B 90/90 20160101ALI20240104BHJP
   A61B 17/15 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B90/90
A61B17/15
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022529267
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2020095218
(87)【国際公開番号】W WO2021098194
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】201911157719.5
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522124758
【氏名又は名称】蘇州微創暢行機器人有限公司
【氏名又は名称原語表記】MICROPORT NAVIBOT (SUZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Plant 3,No.151 Fengli Street, SIP Suzhou, Jiangsu 215000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】孫 騰
(72)【発明者】
【氏名】孫 峰
(72)【発明者】
【氏名】邵 輝
(72)【発明者】
【氏名】何 超
(72)【発明者】
【氏名】劉 鵬飛
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109998682(CN,A)
【文献】特開2005-013737(JP,A)
【文献】特開平04-231034(JP,A)
【文献】特開2014-097220(JP,A)
【文献】特表2016-516471(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
A61B 90/90
A61B 17/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
取得した前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値とを比較することにより、前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと前記標準値との誤差値を求めるステップと、
を含み、
前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイドが変形していると判定し、
前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を含み、
前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
骨切りガイドの骨切りガイドブロックのすべての表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
すべての前記表面の位置および姿勢パラメータに基づいて、すべての前記表面のうちそれぞれ対向する2つの表面の間の中間平面を算出するステップと、
すべての前記中間平面の交差点を前記骨切りガイドブロックの幾何学的中心点として決定し、前記骨切りガイドブロックの前記幾何学的中心点の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを計算するステップと、
を含む、骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項2】
骨切りガイドの骨切りガイドブロックのすべての表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
検出用ターゲットを用いて、前記骨切りガイドブロックの各表面においてそれぞれ複数の特徴点または特徴線の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
各表面上の前記複数の特徴点の位置および姿勢パラメータまたは前記特徴線の位置および姿勢パラメータに基づいて、前記表面の位置および姿勢パラメータを決定するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項3】
いずれかの表面において取得された前記複数の特徴点のうち、少なくとも3つの点が共線しておらず、または、いずれかの表面において取得された前記特徴線は曲線である、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項4】
前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝および/またはガイドホールの内表面を含み、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
検査端に前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝および/または前記ガイドホールの検出用ターゲットを挿入することにより、前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝および/または前記ガイドホールの前記内表面の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項5】
前記特徴部分は、前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝を含み、前記検出用ターゲットの前記検査端に前記ガイド溝が挿入された後、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項6】
前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が各前記ガイド溝の2つの開口端のそれぞれに沿ってそれぞれ1回スライドする情報を取得することにより、各前記ガイド溝の内表面の2つの開口端のそれぞれにおける位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項7】
前記検出用ターゲットの前記検査端の幅は、前記ガイド溝の幅に適合され、前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が各前記ガイド溝の延在方向に沿って1回スライドする情報を取得することにより、各前記ガイド溝の内表面の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項8】
取得した前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値とを比較するステップは、
2つの前記開口端における前記ガイド溝の内表面の位置および姿勢パラメータが同一平面上にあるか否かを判断するステップと、を含み、
同一平面上にない場合は、前記ガイド溝が変形していると判断し、
同一平面上にある場合は、2つの前記開口端における前記内表面の位置および姿勢パラメータと、前記ガイド溝の標準値とを比較する、ことを特徴とする請求項6に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記骨切りガイドは、ロボットアームの先端に設けられ
前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
前記骨切りガイドブロックの所定の幾何学的中心点の周りを回転するように、前記ロボットアームにより前記骨切りガイドを駆動するステップと、
前記骨切りガイドに接続されたガイド基準マーカの回転中に形成された点群情報に基づいて、前記ガイド基準マーカ座標系における前記骨切りガイドブロックの前記幾何学的中心点の位置および姿勢パラメータを算出するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記骨切りガイドブロックの所定の幾何学的中心点の周りを回転するように、前記ロボットアームにより前記骨切りガイドを駆動する間、前記ロボットアームと前記骨切りガイドとの接続点を運動点とすれば、すべての前記運動点が1つの運動面において1つの運動中心点の周りを円周運動し、いずれかの前記運動点と前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を運動接続線とし、前記運動中心点と前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を中心接続線とすれば、前記運動接続線と前記中心接続線との間の角度は、30°以上である、ことを特徴とする請求項に記載の骨切りガイドのキャリブレーション方法。
【請求項11】
骨切りガイドブロックおよび前記骨切りガイドブロックに接続されるターゲット取付部を備える骨切りガイドと、
前記ターゲット取付部に接続するガイド基準マーカと、
前記ガイド基準マーカと通信接続され、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置と通信接続され、取得した前記骨切りガイドの前記特徴部分の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータと、対応する標準値と比較することにより、前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと前記標準値との誤差値を求める制御装置と、
含み、
前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイドが変形していると判定し、
前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を含み、
前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得することは、
骨切りガイドの骨切りガイドブロックのすべての表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得することと、
すべての前記表面の位置および姿勢パラメータに基づいて、すべての前記表面のうちそれぞれ対向する2つの表面の間の中間平面を算出することと、
すべての前記中間平面の交差点を前記骨切りガイドブロックの幾何学的中心点として決定し、前記骨切りガイドブロックの前記幾何学的中心点の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを計算することと、
を含む、キャリブレーションシステム。
【請求項12】
検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの検査端は、尖端部を含み、前記尖端部は、前記骨切りガイドの特徴部分に当接している、ことを特徴とする請求項11に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項13】
検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの検査端は、挿入ロッドを含み、前記挿入ロッドの幅は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝の幅に適合され、前記挿入ロッドは、前記ガイド溝内に挿入される、ことを特徴とする請求項11に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項14】
検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの検査端は、挿入カードおよび/またはピンを含み、前記挿入カードの長さは、前記骨切りガイドの前記骨切りガイドブロックのガイド溝の長さに適合され、前記ピンの外郭寸法は、前記骨切りガイドの前記骨切りガイドブロックのガイドホールの内側寸法に適合されている、ことを特徴とする請求項11に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項15】
検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの検査端と前記検出用ターゲットの位置決めターゲットとは着脱自在に接続されている、ことを特徴とする請求項11に記載のキャリブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット支援手術システムおよび方法の技術分野に関し、特に骨切りガイド(osteotomy guides)のキャリブレーション(検証)方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲット(detection target)に関する。
【背景技術】
【0002】
人工関節置換術においては、骨切り術の精度を出すために、人工関節を取り付ける前に、様々なロケーターやガイドなどを使用して骨切り術を行う必要がある。現在、人工膝関節置換術(TKA)における外科医の骨切りガイドの位置決めに役立つ多くの方法が提案されている。通常、従来のロボット支援手術システムにおいては、ロボットアームの先端に骨切りガイドを設け、ロボットアームにより骨切りガイドの動作を制御することによって人工膝関節手術時における骨切りガイドの位置決めを行っている。しかしながら、ロボットアームを登録する際、ロボットアームシステムおよび位置決めシステムはともに骨切りガイドの幾何学的中心点を得る必要があり、ロボットアームシステムおよび位置決めシステムで取得したガイドブロックの幾何学的中心点が同じ点であるときだけ、ロボットアーム登録で取得した変換行列が正しいことになる。そこで、骨切りガイドに変形が生じた場合、位置決めシステムがその変形を識別することができないため、手術における位置決め精度、ひいては手術の結果に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、従来のロボット支援手術システムにおいて、骨切りガイドの変形を識別できないという問題を解決できる骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の第一態様に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法は、
骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
取得した前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値とを比較することにより、前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと前記標準値との誤差値を求めるステップと、
を含み、
前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイドが変形していると判定する。
【0005】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を含み、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
骨切りガイドの骨切りガイドブロックのすべての表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
すべての前記表面の位置および姿勢パラメータに基づいて、すべての前記表面のうちそれぞれ対向する2つの表面の間の中間平面を算出するステップと、
すべての前記中間平面の交差点を前記骨切りガイドブロックの幾何学的中心点として決定し、前記骨切りガイドブロックの前記幾何学的中心点の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを計算するステップと、
を含む。
【0006】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、骨切りガイドの骨切りガイドブロックのすべての表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
検出用ターゲットを用いて、前記骨切りガイドブロックの各表面においてそれぞれ複数の特徴点または特徴線の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
各表面上の前記複数の特徴点の位置および姿勢パラメータまたは前記特徴線の位置および姿勢パラメータに基づいて、前記表面の位置および姿勢パラメータを決定するステップと、
を含む。
【0007】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、いずれかの表面において取得された前記複数の特徴点のうち、少なくとも3つの点が共線しておらず、または、いずれかの表面において取得された前記特徴線は曲線である。
【0008】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝および/またはガイドホールの内表面を含み、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
検査端に前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝および/または前記ガイドホールの検出用ターゲットを挿入することにより、前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝および/または前記ガイドホールの前記内表面の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む。
【0009】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記特徴部分は、前記骨切りガイドブロックの前記ガイド溝を含み、前記検出用ターゲットの前記検査端に前記ガイド溝が挿入された後、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップと、
を含む。
【0010】
さらに、前記骨切りガイドの前記キャリブレーション方法において、前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が各前記ガイド溝の2つの開口端のそれぞれに沿ってそれぞれ1回スライドする情報を取得することにより、各前記ガイド溝の内表面の2つの開口端のそれぞれにおける位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む。
【0011】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記検出用ターゲットの前記検査端の幅は、前記ガイド溝の幅に適合され、前記検出用ターゲットの前記検査端が前記ガイド溝の延在方向に沿って前記ガイド溝内をスライドする情報を取得するステップは、
前記検出用ターゲットの前記検査端が各前記ガイド溝の延在方向に沿って1回スライドする情報を取得することにより、各前記ガイド溝の内表面の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
を含む。
【0012】
さらに、前記骨切りガイドの前記キャリブレーション方法において、取得した前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値とを比較するステップは、
2つの前記開口端における前記ガイド溝の内表面の位置および姿勢パラメータが同一平面上にあるか否かを判断するステップと、を含み、
同一平面上にない場合は、前記ガイド溝が変形していると判断し、
同一平面上にある場合は、2つの前記開口端における前記内表面の位置および姿勢パラメータと、前記ガイド溝の標準値とを比較する。
【0013】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記骨切りガイドは、ロボットアームの先端に設けられ、前記特徴部分は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を含み、
前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップは、
前記骨切りガイドブロックの所定の幾何学的中心点の周りを回転するように、前記ロボットアームにより前記骨切りガイドを駆動するステップと、
前記骨切りガイドに接続されたガイド基準マーカの回転中に形成された点群情報に基づいて、前記ガイド基準マーカ座標系における前記骨切りガイドブロックの前記幾何学的中心点の位置および姿勢パラメータを算出するステップと、
を含む。
【0014】
さらに、前記骨切りガイドのキャリブレーション方法において、前記骨切りガイドブロックの所定の幾何学的中心点の周りを回転するように、前記ロボットアームにより前記骨切りガイドを駆動する間、前記ロボットアームと前記骨切りガイドとの接続点を運動点とすれば、すべての前記運動点が1つの運動面において1つの運動中心点の周りを円周運動し、いずれかの前記運動点と前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を運動接続線とし、前記運動中心点と前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を中心接続線とすれば、前記運動接続線と前記中心接続線との間の角度は、30°以上である。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第二態様に係る検出用ターゲットは、
前記骨切りガイドの特徴部分に接触する検査端と、
前記検査端に接続され、前記骨切りガイドの前記特徴部分のガイド基準マーカの座標系における位置および姿勢パラメータを提供する位置決めターゲットと、
を含む。
【0016】
さらに、前記検出用ターゲットにおいて、前記検査端は尖端部を含み、前記尖端部は、前記骨切りガイドの前記特徴部分に当接している。
【0017】
さらに、前記検出用ターゲットにおいて、前記検査端は挿入ロッドを含み、前記挿入ロッドの幅は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝の幅に適合され、前記挿入ロッドは、前記ガイド溝内に挿入される。
【0018】
さらに、前記検出用ターゲットにおいて、前記検査端は、挿入カードおよび/またはピンを含み、前記挿入カードの長さは、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝の長さに適合され、前記ピンの外郭寸法は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイドホールの内側寸法に適合されている。
【0019】
さらに、前記検出用ターゲットにおいて、前記検査端は前記位置決めターゲットに着脱自在に接続されている。
【0020】
上記目的を達成するための本発明の第三態様に係るキャリブレーションシステムは、
骨切りガイドブロックおよび前記骨切りガイドブロックに接続されるターゲット取付部を備える骨切りガイドと、
前記ターゲット取付部に接続するガイド基準マーカと、
前記ガイド基準マーカと通信接続され、前記骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置と通信接続され、取得した前記骨切りガイドの前記特徴部分の前記ガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータと、対応する標準値と比較することにより、前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと前記標準値との誤差値を求める制御装置と、
含み、
前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイドが変形していると判定する。
【0021】
さらに、前記キャリブレーションシステムは、検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの前記検査端は、尖端部を含み、前記尖端部は、前記骨切りガイドの特徴部分に当接している。
【0022】
さらに、前記キャリブレーションシステムは、検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの前記検査端は、挿入ロッドを含み、前記挿入ロッドの幅は、前記骨切りガイドの骨切りガイドブロックのガイド溝の幅に適合され、前記挿入ロッドは、前記ガイド溝内に挿入される。
【0023】
さらに、前記キャリブレーションシステムは、検出用ターゲットを含み、前記検出用ターゲットの前記検査端は、挿入カードおよび/またはピンを含み、前記挿入カードの長さは、前記骨切りガイドの前記骨切りガイドブロックのガイド溝の長さに適合され、前記ピンの外郭寸法は、前記骨切りガイドの前記骨切りガイドブロックのガイドホールの内側寸法に適合されている。
【0024】
以上のとおり、本発明に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットによれば、まず、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータを取得し、続いて、取得した骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値と比較することにより、骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと標準値との誤差値を求め、当該誤差値が期待値より大きい場合、骨切りガイドが変形していると判定する。このようにすれば、骨切りガイドをキャリブレーションでき、骨切りガイドの繰り返し使用時や運搬時に生じる変形を避け、位置決め精度へ影響を与えてしまい、手術に影響を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
いわゆる当業者であれば、以下の図面は、本発明をより理解しやすくするために用いられ、本発明の保護範囲を限定するものではないことを理解できる。
図1】本発明の実施形態1に係る整形外科手術システムを使用して人口膝関節置換術を行うことを説明するために示す図である
図2】本発明の実施形態1に係る骨切りガイドの構造を示す図である。
図3図2に示す骨切りガイドを線A-Aに沿って切断して得られる断面図である。
図4】本発明の実施形態1の第1の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態1の骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を取得することを説明するための図である
図6】本発明の実施形態1の第2の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態2の第1の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図8】本発明の実施形態2の第2の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図9】本発明の実施形態2の第3の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図10】本発明の実施形態2の第4の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図11】本発明の実施形態2の第5の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図12】本発明の実施形態2の第6の好ましい例に係る骨切りガイドのためのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図13】本発明の実施形態2の第7の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
図14】本発明の実施形態3に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である
図15】本発明の実施形態3に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムのキャリブレーション処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的、利点および特徴をより明確にするために、以下、図面を参照しながら、具多的な実施形態を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。以下の図面は、非常に簡略化された形態であり、特定の縮尺はなく、本発明の実施形態の技術的思想を説明するために便利で明確な補助の意図で用いられていることに留意されたい。さらに、以下の図面に示される構造は、実際の構造物の一部であることが多い。特に、各図面に示される要点は様々であり、異なる縮尺が用いられることもある。
【0027】
本明細書の説明において、単数形の「一」、「1つ」および「当該」などの用語は、明確に示さない限り、複数形のものも含む。本明細書の説明において、「または」の用語は、明確に示さない限り、「および/または」の意味を含む。本明細書の説明において、「複数」の用語は、明確に示さない限り、「少なくとも1つ」の意味として使用される。本明細書の説明において、「少なくとも2つ」の表現は、明確に示さない限り、通常は「2つ以上」の意味として使用される。なお、本明細書の説明において、「第一」、「第二」および「第三」などの用語は、わかりやすく説明することを目的としており、相対的な重要性を示すまたは示唆するものとして、または説明する技術的特徴の数量を暗黙的に示すものとして解釈されるべきではない。このため、「第一」、「第二」または「第三」の技術的特徴は、1つまたは少なくとも2つの当該技術的特徴の存在を明示的または暗黙的に示すことである。
【0028】
本発明は、従来のロボット支援手術システムにおいて、骨切りガイドの変形を識別できないという問題を解決するための骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットを提供するものである。
【0029】
上記骨切りガイドのキャリブレーション方法は、
骨切りガイドの特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
取得した前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと、対応する標準値とを比較することにより、前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータと前記標準値との誤差値を求めるステップと、を含み、前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイドは変形していると判断する。
【0030】
この構成では、骨切りガイドの繰り返し使用時や運搬時に骨切りガイドが変形してしまい、位置決め精度に影響を与えることによる操作の中断を避けるために、骨切りガイドをキャリブレーションできる。
以下、図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1図6を参照する。図1は、本発明の実施形態1に係る整形外科手術システムを使用して人口膝関節置換術を行うことを説明するために示す図である。図2は、本発明の実施形態1に係る骨切りガイドの構造を示す図である。図3は、図2に示す骨切りガイドを線A-Aに沿って切断して得られる断面図である。図4は、本発明の実施形態1の第1の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。図5は、本発明の実施形態1の骨切りガイドブロックの幾何学的中心点を取得することを説明するための図である。図6は、本発明の実施形態1の第2の好ましい例に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
【0032】
本発明の実施形態1は、図1に示す整形外科手術システムを提供する。当該整形外科手術システムを用いて膝関節置換術を行うが、本発明の整形外科手術システムは、特に適用環境を限定するものではなく、他の整形外科手術にも適用することが可能である。以下の説明では、整形外科手術システムを膝関節置換術に使用する例として説明するが、これを本発明の限定とみなすべきではない。
【0033】
図1に示すように、前記整形外科手術システムは、制御装置、ナビゲーション装置、ロボットアーム2、骨切りガイド4を含む。前記制御装置は、コンピュータである。当該コンピュータは、コントローラ、マスターモニタ8およびキーボード10を含み、さらに好ましくは、スレーブモニタ7を含む。本実施形態において、スレーブモニタ7およびマスターモニタ8は、たとえば、骨切り位置の画像を表示するためのものであり、共に同じ内容を表示する。ナビゲーション装置は、電磁式位置決めナビゲーション装置、光学式位置決めナビゲーション装置、電磁式位置決めナビゲーション装置のいずれであってもよい。好ましくは、前記ナビゲーション装置は、光学式位置決めナビゲーション装置であり、他のナビゲーション方法と比較して高い測定精度が得られ、骨切りガイドの位置決め精度を効果的に向上できる。以下の説明では、光学式位置決めナビゲーション装置を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記ナビゲーション装置は、特にナビゲーションマーカと追跡装置6を含み、前記ナビゲーションマーカは、ベース基準マーカ15およびガイド基準マーカ3を含み、ベース基準マーカ15は固定され、たとえばベース基準マーカ15は、ベース座標系(またはベース基準マーカ座標系)を提供するために手術用カート1に固定され、ガイド基準マーカ3は骨切りガイド4に取り付けられて骨切りガイド4の位置が追跡できるようになっている。前記骨切りガイド4は、ロボットアーム2の先端に取り付けられており、ロボットアーム2が骨切りガイド4を支持し、骨切りガイド4の空間位置および姿勢を調整するようになっている。
【0035】
実際には、ガイド基準マーカ3によって反射された信号(好ましくは光学的信号)を捕捉し、ガイド基準マーカ3の位置(すなわち、ベース座標系におけるガイド基準マーカの位置および姿勢)を記録するために追跡装置6が用いられ、これは、ガイド基準マーカの現在および所望の位置に応じて、コントローラに格納されているコンピュータプログラムによって制御される。
【0036】
したがって、整形外科手術システムの用途としては、骨切りガイド4の自動位置決めを実現し、手術中に骨切りガイド4のリアルタイム位置および姿勢パラメータをガイド基準マーカ3が追跡してフィードバックし、ロボットアームの動きを制御することにより骨切りガイド4の位置と姿勢を調整することができる。
【0037】
一般に、前記整形外科手術システムは、手術用カート1とナビゲーションカート9とを更に備え、前記制御装置および前記ナビゲーション装置の一部は、ナビゲーションカート9に取り付けられ、たとえば前記コントローラはナビゲーションカート9内に取り付けられ、前記キーボード10は操作用にナビゲーションカート9外に置かれ、前記マスターモニタ8、スレーブモニタ7および追跡装置6はスタンドに取り付けられ、前記スタンドは垂直方向ではナビゲーションカート9に固定され、前記ロボットアーム2は手術用カート1に搭載されている。手術用カート1とナビゲーションカート9を使用することで、手術全体の利便性が向上する。いくつかの実施形態では、前記制御装置は、手術用カート1に搭載されている。
【0038】
人工膝関節置換術を行う場合、本実施形態の整形外科手術システムを用いた処理は、大別すると以下の操作で構成される。
【0039】
まず、手術用カート1とナビゲーションカート9を患者用ベッドの横の適切な位置に移動させる。
【0040】
続いて、ナビゲーションマーカ(ナビゲーションマーカには、大腿骨基準マーカ11、脛骨基準マーカ13も含まれる)、骨切りガイド4、その他の関連部材(たとえば滅菌バッグ)を装着する。
【0041】
続いて、オペレータ18は、患者17の骨のCT/MRスキャンモデルを前記術前計画用コンピュータに取り込み、たとえば、骨切り面の座標、プロテーゼの種類、プロテーゼの装着方向等の情報を含む骨切り計画を得る。骨切り計画の最終出力は、骨切り面の座標、骨切り量、骨切り角度、プロテーゼのサイズ、プロテーゼの装着位置、手術用補助具などの一連の参考データ、特に骨切り角度の選択理由などの一連の理論説明を含む手術報告書の形態であり、手術オペレータの参考のために使用される。ここで、膝関節の3次元デジタルモデルは、マスターモニタ8に表示され、オペレータは、術前計画のためにキーボード10を介して手術パラメータを入力することができ、この場合、オペレータは、手術パラメータを入力することができる。
【0042】
続いて、術前評価の後、次に、オペレータ18は、ターゲティングペンを用いて患者の大腿骨および脛骨上の特徴点をマークし(すなわち、オペレータは、患者の固体大腿骨上に複数の大腿骨解剖学的特徴点および固体脛骨上に複数の脛骨解剖学的特徴点をマークする)、ベース基準マーカ15を基準としてナビゲーション装置により患者の脛骨14および大腿骨12上の全ての特徴点の位置を記録して前記コントローラへ送り、コントローラでは特徴マッチングアルゴリズムにより大腿骨12および脛骨14の実際の方向が得られて前記CT/MR画像上の方向と対応させられ、大腿骨12と脛骨14の向きは、このように決定する。
【0043】
その後、大腿骨と脛骨の実際の向きは、ナビゲーション装置によって大腿骨と脛骨に取り付けられた対応するターゲットにリンクされるので、大腿骨基準マーカ11と脛骨基準マーカ13は骨の実際の位置をリアルタイムで追跡でき、ターゲットと骨の間の相対位置が手術中に固定されている限り、骨の動きは手術結果に影響しない。
【0044】
そして、術者は、骨切りガイド4を用いて、振り子鋸やドリルなどの手術用具5を用いて、骨切りおよび/またはホールあけ作業を行うことができる。骨切りとホールあけが終わったら、プロテーゼの装着やその他の外科手術の準備が整う。
【0045】
本実施形態において、前記ナビゲーションマーカは、さらに、大腿骨基準マーカ11と脛骨基準マーカ13とを備える。ここで、大腿骨基準マーカ11は、大腿骨12の空間的位置および姿勢を特定するために用いられ、脛骨基準マーカ13は、脛骨14の空間的位置および姿勢を特定するために用いられる。前述のように、前記ガイド基準マーカ3は、骨切りガイド4に取り付けられているが、いくつかの実施形態では、前記ガイド基準マーカ3は、ロボットアーム2の端部ジョイントに取り付けられている。
【0046】
上記の整形外科手術システムに基づいて、術者が骨切りを行うことができるように、骨切りを行う骨の位置を特定することを支援するロボット支援手術を実現することができる。本実施形態に係る骨切りガイド4を示す図2および図3に示すように、当該骨切りガイド4は、骨切りガイドブロック40と、ガイド基準マーカ3を取り付けるためのターゲット取付部30を含み、骨切りガイドブロック40には、ガイド溝41またはガイドホール42、またはガイド溝41およびガイドホール42を含むガイド機能が設けられている。つまり、骨切りガイドブロック40上のガイド機能は、ガイド溝41とガイドホール42の1つ以上の組み合わせとすることができ、したがって、人工膝関節の骨切り操作のための1つ以上のガイド、好ましくは、遠位大腿骨、前大腿骨、後大腿骨、前大腿骨ベベル、後大腿骨ベベル、スライド溝、人工股関節装着ホール、脛骨プラトー、脛骨キール取扱い作業位置決定ホールのために提供することである。これにより、同じ骨切りガイドを使って、さまざまな骨切りやホールあけ加工を行うことができる。実際には、骨切りガイド4の位置は、ガイド基準マーカ3の位置によって特徴付けられ、ガイド基準マーカ3と骨切りガイド4の特徴との間の位置および姿勢パラメータの対応付けは、予め定義されている。ガイド基準マーカ座標系におけるガイドフィーチャーの位置および姿勢パラメータ(位置と姿勢を含む)を取得し、それにより、ガイド基準マーカ3に対するガイドフィーチャーの位置および姿勢パラメータのマッピングを形成する。
【0047】
骨切りガイドを適用できる人工関節の範囲を広げるために、図2に示すように、骨切りガイドブロック40のガイド溝41には、0°ガイド溝(407、411)、45°ガイド溝(408、410)、右脚滑車溝のための骨切りガイド溝405、左脚スライド骨切り溝412がある。このようにすると、骨切りガイドブロック40上に位置するガイド基準マーカ3は、位置および姿勢パラメータが大きく変化しないので、ロボットアーム2の伝達誤差やターゲット位置の追従誤差を低減し、位置決め精度を向上させることができる。図3は、0°ガイド溝411の延在方向の断面図であるが、このように、0°ガイド溝411の2つの開口端(図では上端と下端)は大きさが異なっており、0°ガイド溝411全体がフレア形状をなすことにより、ガイド溝における振り子鋸等の手術器具の揺動範囲が広がり、より多くの種類の人工関節に対応することが可能である。
【0048】
しかしながら、前述したように、整形外科手術システムは、手術操作のために骨切りガイド4上の特徴部分の位置および姿勢パラメータに基づく位置決めを必要とするので、骨切りガイド4上の特徴部が変形すると、整形外科手術システムは骨切りガイド4上の特徴部分の変形を識別できなくなり、位置決め精度に影響を及ぼすことになる。したがって、本実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法は以下のステップを含む。
【0049】
(ステップS1)
骨切りガイド4の特徴部分のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得する。
【0050】
(ステップS2)
取得した骨切りガイド4の前記特徴部分の位置および姿勢パラメータを対応する標準値と比較し、骨切りガイド4の前記特徴部分の位置および姿勢パラメータの前記標準値との誤差値を求める。前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイド4が変形していると判断する。骨切りガイド4の特徴部分の位置および姿勢パラメータをキャリブレーションすることにより、骨切りガイド4の繰り返し使用時や運搬時の変形が位置決め精度に影響を与えることを防止し、手術を行うことができる。
【0051】
以上の考えに基づいて、本実施形態は、骨切りガイド4をキャリブレーションするための検出用ターゲット100を提供する。前記検出用ターゲット100は、検査端101と位置決めターゲット102とを備え、前記検査端101は前記骨切りガイド4の特徴部分に接触し、前記位置決めターゲット102は前記検査端101に接続されて前記骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータを提供し、前記骨切りガイド4の特徴部分には、前記検査端101に接続されている。位置決めターゲット102は、前記検査端101に接続され、ツール座標系における前記骨切りガイドの特徴部分の位置決めパラメータを提供する。位置決めターゲット102は、ナビゲーション装置6による追跡および位置決めのための光反射器であってもよく、前記ナビゲーション装置6は、位置決め情報を制御装置に送り、制御装置は、ガイド基準マーカ座標系における前記特徴部分の位置および姿勢パラメータを計算し、前記位置および姿勢パラメータが対応する標準値からの予想よりも大きい誤差を有する場合に、前記骨切りガイド4が変形していると判断する。好ましくは、前記検査端101は、尖端部を含み、前記尖端部は、前記骨切りガイド4の前記特徴部分に対して使用される。
【0052】
好ましくは、前記特徴部分は、前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40の幾何学的中心点Pを含み、前記ステップS1は、以下を含む。
(ステップSA1)
骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40の全表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得する。
(ステップSA2)
全ての前記面の位置および姿勢パラメータに基づいて、前記対向する面間の中間平面を算出する。
(ステップSA3)
全ての前記中間平面の交差点を前記骨切りガイドブロック40の幾何学的中心点Pとして決定し、前記ガイド基準マーカ座標系における前記骨切りガイドブロック40の幾何学的中心点Pの位置および姿勢パラメータを算出する。
【0053】
図4に示すように、本実施形態の第1の好ましい例では、前記ステップSA1は、検出用ターゲット100を用いて前記骨切りガイドブロック40の各表面における複数の特徴点の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、前記各表面における複数の特徴点の位置および姿勢パラメータに基づいて前記表面の位置および姿勢パラメータを決定するステップとを含む。
【0054】
具体的には、ステップSA1において、検出用ターゲット100の検査端の尖端部101を用いて骨切りガイド4の各表面に複数の特徴点を取得し、検出用ターゲット100による特徴点の取得の過程で、ナビゲーション装置6がガイド基準マーカ3を検出して検出情報を制御装置に送り、この情報に基づいて制御装置が前記特徴点のガイド基準マーカの座標系での姿勢を算出する。このように、骨切りガイドブロック40の表面はナビゲーションシステムにおける姿勢パラメータRt を有し、ガイド基準マーカ3はナビゲーションシステムにおける姿勢パラメータRt を有し、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドブロック40の表面の位置および姿勢パラメータRt =Rt -Rt は座標変更により求めることができる。
【0055】
好ましくは、任意の1つの表面で取得された前記複数の特徴点のうち、少なくとも3つの特徴点は、共線していない(共線性がない)。一般に、平面は、3つの非同期な特徴点によって決定することができるので、ステップSA1では、好ましくは3つの特徴点を取得して骨切りガイドブロック40の面を決定する。もちろん、当業者は実際のニーズに応じてより多くの特徴点を選択することができ、より多くの特徴点はいくつかの冗長な特徴点を持つことになり、計算により得られる表面の精度をさらに向上できる。
【0056】
図5を参照して、ステップSA2では、ステップSA1で測定された骨切りガイドブロック40の全表面の位置および姿勢パラメータに基づいて、対向面の中間平面を取得する。オステオトーム40の全表面の位置および姿勢パラメータを求めた結果、対向する2つの表面それぞれについて中間平面を算出することができる。骨切りガイドブロック40が長方形の例であれば、6面に対して3つの中間平面を得ることができる。さらに、ステップSA3では、3つの中間平面の交差点を骨切りガイドブロック40の幾何学的中心点Pとしたが、骨切りガイドブロック40は直方体に限定されず、当業者は上記の考え方に基づいて骨切りガイドブロック40の他の形状の幾何学的中心点Pを決定することが可能である。また、先のステップSA1において、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドブロック40の表面の変換関係が決定されているので、ガイド基準マーカ座標系における幾何学的中心点Pを求めることも容易である。
【0057】
さらに、ステップS2において、座標キャリブレーション器を用いて求めた、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドブロック40の予想中心点P’の位置および姿勢パラメータを標準値とする。すなわち、標準値は、変形を伴わない骨切りガイドブロック40の予想中心点P’であり、工場で三次元測定機により求めるか、骨切りガイドブロック40の設計値から求めることが可能である。誤差値が期待値より大きい場合は、骨切りガイドブロック40の変形が大きすぎて手術の精度に適応できないため、骨切りガイド4が変形していると判断し、作業者は実際の状況に応じて変形した骨切りガイド4を交換等の処置を行うことができる。さらに、誤差値が期待値より大きくなければ、骨切りガイドブロック4の変形は十分に小さく、操作の精度要求を満たすことができるので、ステップS1で実際に取得した骨切りガイドブロック4の特徴部分の位置および姿勢パラメータ値に標準値を更新するかどうかをさらに選択し、その後の操作をより正確に行えるようにすることができる。
【0058】
図6に示すように、本実施形態の第2の好ましい例において、前記ステップSA1は、
検出用ターゲット100を用いて、前記骨切りガイドブロック40の各表面における特徴線の位置および姿勢パラメータを取得するステップと、
前記各表面上の前記特徴線の位置および姿勢パラメータに基づいて、前記表面の位置および姿勢パラメータを決定するステップと、
を含む。一部の実施形態において、いずれかの面上に取得された前記特徴線は曲線であり、前記曲線は、たとえば、「S」字形等であってもよい。実際には、検出用ターゲット100の尖端部101を骨切りガイド4の各面上でS字状にスライドさせればよい。特性線は曲線であるため、固有の平面を決定することができるため、ステップSA1において骨切りガイドブロック40の一面を決定することができる。もちろん、当業者は、実用上の必要性に応じて、折り返し線のような他の形態の特徴線を選択することができる。本実施形態の第2の好ましい例の残りの方法ステップは、本実施形態の第1の好ましい例のものと同じであり、上記の説明で見つけることができる。
【0059】
以上の方法により、骨切りガイドブロック40の表面の位置および姿勢パラメータを求め、骨切りガイドブロック40の幾何中心の位置および姿勢パラメータを算出し、算出した幾何中心の位置および姿勢パラメータを標準値と比較して誤差値を求め、前記誤差値が期待値より大きい場合に骨切りガイドブロックの変形を判定することが可能である。
この構成では、骨切りガイドの繰り返し使用時や運搬時に骨切りガイドが変形し、位置決め精度に影響を与え、ひいては手術に影響を与えることを回避するために、骨切りガイドをキャリブレーションすることができる。
【0060】
(実施形態2)
図7から図13に示すように、図7は本発明の実施形態2の第1の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図であり、図8は本発明の実施形態2の第2の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図、図9は本発明の実施形態2の第3の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図であり、図10は、本発明の実施形態2の第4の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図であり、図11は、本発明の実施形態2の第5の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図であり、図12は、本発明の実施形態2の第6の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図であり、図13は、本発明の第7の好ましい実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
【0061】
本発明の実施形態2に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットは、実施形態1に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットと基本的に同じであり、同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
本実施形態では、前記特徴は、前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイド溝および/またはガイドホールの内表面を含み、前記ステップS1は、前記骨切りガイドブロック40の前記ガイド溝41および/またはガイドホール42に検査端で挿入した検出用ターゲット100に基づいてガイド基準マーカ座標系における前記骨切りガイドブロック40のガイド溝41および/またはガイドホール42の内表面位置を求めることから構成されている。ガイド基準マーカ座標系での位置および姿勢パラメータ。特に、ステップS1は、以下のステップを含む。
【0063】
(ステップSB1)
前記骨切りガイドブロック40のガイド溝41および/またはガイドホール42に検出用ターゲット100の検査端101を挿入する。
【0064】
(ステップSB2)
前記検出用ターゲット100に基づいて、前記骨切りガイドブロック40のガイド溝41および/またはガイドホール42の内表面のガイド基準マーカ座標系における位置および姿勢パラメータを取得する。
【0065】
図7に示すように、いくつかの実施形態において、前記特徴部は、前記骨切りガイドブロック40のガイド溝41を構成し、ステップSB1において前記ガイド溝41に検出用ターゲット100を挿入した後、前記ステップS1は、前記検出用ターゲット100の検査端101が前記ガイド溝41内で前記ガイド溝41の延在方向に沿ってスライドする情報を取得することをさらに含む。
【0066】
本実施形態の第1の好ましい例では、検出用ターゲット100の検査端101は、図7に示すように、先細りの尖端部を含み、位置決めターゲット102に接続される端部のサイズは、ガイド溝41の開口端より大きいことが好ましく、これにより、尖端部の先端はガイド溝41の開口端に延び、検出用ターゲット100の残りの部分はガイド溝41の開口端の外にはみ出すことが可能である。検査端101の尖端をガイド溝41の開口端に配置し、当該ガイド溝41内で当該ガイド溝41の延在方向にスライドさせることにより、ナビゲーション装置6は、位置決めターゲット102によりガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータを取得することが可能である。ガイド溝41の開口端が歪んでいる場合などは、ターゲット100のスライドを検出することでこれを検知することができる。実際には、各ガイド溝41は2つの開口端を含むので、実際には、2つの開口端のそれぞれにおける各ガイド溝41の内表面の位置および姿勢パラメータを求めるために、各ガイド溝41の2つの開口端のそれぞれに沿った検出用ターゲット100の検査端101のスライドに関する情報を得ることが必要である。例示的な実施形態では、骨切りガイドブロック40は、それぞれが骨切りガイドブロック40の2つの対向面を通過する6つのガイド溝41を含む。このように、6つのガイド溝41の12個の開口端のそれぞれを検査する必要がある。任意に、検出用ターゲット100は、全てのガイド溝41の同じ側の開口端に沿ってスライドさせ、その後、全てのガイド溝41の反対側の開口端に沿ってスライドさせることができる。任意に、他の実施形態において、検出用ターゲット100は、所定の順序に従って各ガイド溝41の対向する2つの開口端を対で確認してもよいし、全てのガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータを一度に取得し、全ての位置および姿勢パラメータの特徴点を分類することによって対応する各ガイド溝41を特定することも可能である。
【0067】
さらに、一方のガイド41の2つの開口端が同一平面上にない場合、対応するガイド41は大きく変形しており、骨切りガイド4が変形したことを作業者に示すことができる。各ガイド溝41の位置および姿勢パラメータが2つの開口端に対して同一平面上にある場合、さらに各ガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータが対応する標準値と比較される。なお、ガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータに対応する標準値は、工場で予め設定された設計値など、ガイド溝41の開口端の期待される姿勢パラメータであることが理解されよう。ガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータを対応する標準値と比較して取得した誤差値が期待値より大きい場合、ガイド溝41の変形が大きい、すなわち当該骨切りガイド4の変形が判定され、作業者は状況に応じて変形した骨切りガイド4を交換等の処置をすることができる。さらに、誤差の値が想定より大きくない場合、その後、より正確に手術操作を行うために、ステップS1で実際に取得したガイド溝41の開口端の位置および姿勢パラメータの値に標準値を更新するか否かをさらに選択することができる。
【0068】
図8に示すように、本実施形態の第2の好ましい例において、検出用ターゲット100の検査端101は挿入ロッドを含み、その幅は前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイド溝41の幅に適合され、前記挿入ロッドは前記ガイド溝41に挿入される。この構成では、ロッドをガイド溝41の一方側の開口端から挿入して他方側の開口端まで伸ばすことができ、ロッドはガイド溝41の側壁全体を高さ方向にフルカバーするように形成されている。実際には、前記ガイド溝41における前記検出用ターゲット100の検査端101の前記ガイド溝41の延在方向に沿った摺動に関する情報を取得するステップは、前記検出用ターゲット100の検査端101が各前記ガイド溝41の延在方向に沿って1回摺動する情報を取得して各前記ガイド溝41の内表面の位置および姿勢パラメータを得ることから構成される。実際には、挿入カードロッドをガイド溝41に挿入した後、ガイド溝41の延在方向に沿って一端から他端までゆっくりと移動させ、1回のキャリブレーションで1つのガイド溝41の2つの内表面を得ることができるように構成される。この好ましい例の他の構造および原理は、この実施形態の第1の好ましい例のものと同様であり、この実施形態の第1の好ましい例の説明の中に見出すことができる。なお、挿入ロッドをガイド溝41に挿入できない場合は、ガイド溝41が変形しており、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイド4の特徴量の位置および姿勢パラメータが得られないと考えることができ、特徴量の位置および姿勢パラメータが対応する標準値と期待値以上の誤差があり、骨切りガイド4が変形したと直接判断することができることに留意すべきである。他の実施形態では、検出用ターゲット100の検査端101は2つ以上の挿入物を含み、2つ以上の挿入物の分布は骨切りガイドブロック40のガイド溝41の分布に対応し、全てのガイド溝41は延在方向に同じ長さを有する。2つ以上のガイド溝41の位置および姿勢パラメータは、1つのスライドで得ることができる。
【0069】
図9に示すように、本実施形態の第3の好ましい例において、検出用ターゲット100の検査端101は、挿入カードを含み、その長さは、前記骨切りガイドの骨切りガイドのガイド溝の長さに適合される。図9に示すように、骨切りガイドブロック40は、長さの異なる3つの直線状のガイド溝41を含み、3つのガイド溝41のそれぞれの長さに3つの挿入カードの長さが適合していることに対応する。任意選択で、検出用ターゲット100の検査端101は、位置決めターゲット102に取り外し可能に接続される。この構成では、キャリブレーションすべきガイド溝41の違いに応じて、キャリブレーションプロセス中に異なるカードを交換することができる一方、検出用ターゲット100のキャリブレーションは1回で済む。他のいくつかの実施形態では、カードの数および形状がガイド溝41に対応する限り、ガイド溝41の数は3つに限定されず、形状は直線状に限定されないことが理解されよう。実際には、ガイド溝41の位置および姿勢パラメータは、ガイド溝41に挿入カードカードを挿入することによって得ることができる。他の実施形態では、検出用ターゲット100の検査端101は2つ以上の挿入カードを含み、2つ以上の挿入カードの分布は骨切りガイドブロック40のガイド溝41の分布に対応し、すなわち全ての挿入カードを対応するガイド溝41に同時に挿入して2つ以上のガイド溝41の位置および姿勢パラメータを同時に取得することが可能である。この好ましい例の他の構造および原理は、この実施形態の第1の好ましい例のものと同様であり、この実施形態の第1の好ましい例の説明の中に見出すことができる。
【0070】
図10に示すように、本実施形態の第4の好ましい例では、検出用ターゲット100の検査端101はピンを含み、当該ピンは、前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイドホール42の内側寸法に適合した外郭寸法を有している。図10に示すように、ガイドホール42は丸孔であり、これに対してピンは、外径がガイドホール42の内径に適合した円柱状であり、好ましくは貫通孔であり、ピンの軸方向長さはガイドホール42の深さ以上とする。この構成では、ピンをガイドホール42の一方側の開口端から挿入して他方側の開口端まで延ばし、ピンがガイドホール42の軸方向全体をフルカバーするように形成することが可能である。実際には、ガイドホール42の位置および姿勢パラメータは、ピンをガイドホール42に挿入することによって取得される。任意で、ピンは位置決めターゲット102に取り外し可能に取り付けられる。この構成では、骨切りガイドブロック40が複数の異なるサイズのガイドホール42を同時に、またはガイドホール42とガイド溝41の両方を含む場合、異なるサイズのピンの取り外しと交換、またはピンの取り外しと交換により、1回のキャリブレーション工程で検出用ターゲット100のキャリブレーションを1回のみ実現することが可能である。他の実施形態では、検出用ターゲット100の検査端101は2つ以上のピンを含み、2つ以上のピンの分布は骨切りガイドブロック40のガイドホール42の分布に対応し、すなわち2つ以上のガイドホール42の位置および姿勢パラメータを同時に得るために全てのピンは対応するガイドホール42に同時に挿入することが可能である。この好ましい例の他の構造および原理は、この実施形態の第1の好ましい例のものと同様であり、この実施形態の第1の好ましい例の説明の中に見出すことができる。
【0071】
図11および図12を参照して、本実施形態の第5の好ましい例および第6の好ましい例において、ピンはそれぞれ三角形および四角形である。ガイドホール42が円形の場合、ピンは本実施形態の第4の好ましい例で説明したように円柱状であってもよいが、ピンの断面はガイドホール42の内径を外径とする多角形でもよいので、ピンは三角柱や四角柱に限らず、他の多角柱であってもよい。たとえば、ピンが三角柱の場合、ガイドホール42は三角形または六角形等とすることができ、当業者であれば、上記の考え方に沿ってピンをガイドホール42に適合させることができる。本実施形態の第4の好ましい例と同様に、本実施形態の第5の好ましい例および第6の好ましい例におけるピンも、位置決めターゲット102に着脱自在に接続されている。
【0072】
図13に示すように、本実施形態の第7の好ましい例では、前記検査端101はカードとピンの両方を含み、前記カードの長さは前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイド溝41の長さに適合され、前記ピンの外郭寸法は前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイドホール42の内法寸法に適合される。図13に示すように、骨切りガイドブロック40は、3本の直線状のガイド溝41と複数のガイドホール42を含み、これに対応して、検査端101は、3枚のカードと複数のピンの両方を含み、3枚のカードと複数のピンの分布は、骨切りガイドブロック40のガイド溝41とガイドホール42の分布に対応している。この構成では、すべてのカードとピンを、対応するガイド溝41とガイドホール42に同時に挿入することができる。この好ましい例の他の構造および原理は、この実施形態の第1の好ましい例のものと同様であり、この実施形態の第1の好ましい例の説明の中に見出すことができる。また、本実施形態の第3から第7の好ましい例において、カードまたはピンのいずれかが対応するガイド溝41およびガイドホール42に挿入できない場合、ガイド溝41またはガイドホール42が変形しており、骨切りガイド4の特徴部分の位置および姿勢パラメータがガイド基準マーカ座標系で利用できないと仮定でき、次に特徴部分の位置および姿勢パラメータが直接決定できることに留意されたい。この場合、特徴量の位置および姿勢パラメータと対応する標準値との誤差が期待値より大きいことから、骨切りガイド4の変形を直接判断することができる。
【0073】
本実施形態2に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットでは、骨切りガイドブロック40のガイド溝41および/またはガイドホール42の内表面の位置および姿勢パラメータを求め、求めた位置および姿勢パラメータを対応する標準値と比較して誤差値を求め、前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイド4が変形したと判定される。この構成では、骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のガイド溝41および/またはガイドホール42をキャリブレーションすることができるので、繰り返し使用や運搬時に骨切りガイド4のガイド溝41および/またはガイドホール42が変形してその位置精度に影響を与えることがなく、手術に支障がない。
【0074】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る骨切りガイドのためのキャリブレーションシステムの構成を示す図である図14を参照されたい。本発明の実施形態3に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットは、実施形態1に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットと基本的に同じであり、同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図14に示すように、本実施形態では、実施形態1と異なり、骨切りガイドのキャリブレーションシステムは、骨切りガイド4、ガイド基準マーカ3、ナビゲーション装置6および制御装置のみを含み、検出用ターゲット100は含まない。前記骨切りガイドは、ロボットアーム2の先端にセットされるもので、前記特徴部分は、前記骨切りガイドブロック40の幾何中心点から構成されるものである。
【0076】
本実施形態では、骨切りガイドのキャリブレーション方法において、ステップS1は、以下のステップを含む。
(ステップSC1)
前記骨切りガイド4を前記骨切りガイドブロック40の所定の幾何学的中心点の周りにロボットアーム2で駆動する。この所定の幾何学的中心点のロボットアーム座標系における座標は、工場で3座標キャリブレーション器により決定してもよいし、骨切りガイド4の設計値から得てもよい。
(ステップSC2)
前記骨切りガイド4に接続されたガイド基準マーカ3の回転中に形成された点群に基づいて、前記ガイド基準マーカ座標系における前記骨切りガイドブロック40の幾何学的中心点の位置および姿勢パラメータが計算される。ナビゲーション装置6により、制御装置は、ガイド基準マーカ3の回転経路(すなわち点群情報)を取得し、これをさらに演算して、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドブロック4の回転中心の位置、すなわちガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドブロック40の幾何学的中心の位置を取得する。
【0077】
さらにステップS2により、取得した前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40の幾何学的中心の位置および姿勢パラメータを、対応する標準値(たとえば、3座標キャリブレーション器により決定されたガイド基準マーカの座標系における骨切りガイドブロック40の幾何学的中心の位置および姿勢パラメータ)と比較して、前記標準値を有する前記骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40の幾何学的中心の位置および姿勢パラメータを取得する。前記誤差値が期待値より大きい場合、前記骨切りガイド4が変形していると判断する。誤差値と期待値の比較を得た後、さらなる操作や方法については、実施形態1に記載されているので、本実施形態では繰り返さない。
【0078】
本実施形態に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法は、骨切りガイド4の骨切りガイドブロック40のロボットアーム座標系における幾何学的中心点を動作軌跡によって算出し、検出用ターゲット100を用いて他の実施形態で検出した構造物とキャリブレーションすることが可能である。
【0079】
好ましくは、ステップSC1において、前記ロボットアーム2の前記骨切りガイド4への取り付け点を動作点とし、全ての前記動作点は、動作面において動作中心の周りを円運動し、前記動作点のいずれかと前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を動作線とし、前記動作中心と前記所定の幾何学的中心点とを結ぶ線を中心接続線とし、前記動作線と前記中心接続線とのなす角度、すなわち、図15に示すように、任意のガイド基準マーカのボールとガイドブロックの中心点との間の線Aを現在の姿勢として、空間内の選択された回転軸Rに対して30°以上の角度で、たとえば1週間、回転することである。説明の便宜上、ロボットアーム2と骨切りガイド4との接続点を移動点として、骨切りガイド4を駆動するロボットアーム2の動きを抽象化したが、その軌跡は、実際には、所定の幾何中心点を中心とする球状とすることができる。回転中心の算出精度を向上させるために、ロボットアーム2は、所定の幾何学的中心点を通る回転軸の周りに骨切りガイド4を駆動するように設定することができ、このとき、前記回転軸に直交する運動面上の運動中心の周りを円運動し、前記運動中心は回転軸に位置する。動作点と所定の幾何学的中心点を結ぶ線を動作線、動作中心と所定の幾何学的中心点を結ぶ線を中心接続線とし、動作線と中心接続線のなす角度を30°以上に制限し、回転中心点の算出精度を向上させた。ロボットアーム2が骨切りガイド4を所定の幾何学的中心点を通る回転軸の周りに駆動するとき、移動点と所定の幾何学的中心点は実際には円錐形に見え、円錐の頂角が小さすぎると、計算された回転中心の精度は低くなることが理解されるであろう。
【0080】
なお、本明細書における各実施形態は、他の実施形態との相違点を中心に順次説明し、各実施形態間の同一や類似部分については相互に参照することで十分である。
【0081】
以上のとおりで、本発明に係る骨切りガイドのキャリブレーション方法、キャリブレーションシステムおよび検出用ターゲットにおいて、まず、ガイド基準マーカ座標系における骨切りガイドの特徴部分の位置および姿勢パラメータが求められ、次に、求められた骨切りガイドの前記特徴部分の位置および姿勢パラメータが対応する標準値と比較され、骨切りガイドの前記特徴部分の位置および姿勢パラメータの前記標準値との誤差値が求められる。前記誤差値が前記期待値よりも大きい場合、前記骨切りガイドが変形していると判定され この構成では、骨切りガイドの繰り返し使用時や運搬時に骨切りガイドが変形し、その位置精度に影響を与え、ひいては手術に影響を与えることを回避するためのキャリブレーションを行うことができる。
【0082】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態の説明に過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者が、上記の開示に従って行ういかなる変更または修正も、特許請求の範囲の保護範囲に含まれるものである。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の保護範囲は決して上記実施形態に限定されない。たとえば、本発明は、骨切りガイドブロック上のガイド特徴の数または種類について限定しない。整形外科手術システムを他の種類の整形外科手術に使用する場合、上記以外のガイドおよびホールが含まれていてもよい。さらに、本発明は、キャリブレーション用ホールの位置を限定せず、また、補正用ホールの位置も限定しない。さらに、正確なガイドを確保し、骨切りガイドブロックの厚みを薄くすることを可能にするため、ガイドホールは、骨切りガイドブロックの同一面に設けられていることが好ましい。さらに、基準マーカは、光信号を発することができる光学式基準マーカであることが好ましい。
【0084】
上述の説明は、単に本発明の好ましい実施形態を示すものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記の内容に基づいていわゆる当業者によってなされるすべての変更および改良は、特許請求の範囲の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 手術用カート、
2 ロボットアーム、
3 ガイド基準マーカ、
4 骨切りガイド、
5 手術用具、
6 追跡装置、
7 スレーブモニタ、
8 マスターモニタ、
9 ナビゲーションカート、
10 キーボード、
11 大腿骨基準マーカ、
12 大腿骨、
13 脛骨基準マーカ、
14 脛骨、
15 ベース基準マーカ、
16 キャリブレーション基準マーカ、
17 患者、
18 オペレータ、
30 ターゲット取付部、
40 骨切りガイドブロック、
41 ガイド溝、
42 ガイドホール、
405 右脚滑車溝のための骨切りガイド溝、
407、411 0°ガイド溝、
408、410 45°ガイド溝、
412 左脚滑車溝のための骨切りガイド溝、
100 検出用ターゲット、
101 検査端、
102 位置決めターゲット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15