(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】スプレーされたコーティングの流れの評価
(51)【国際特許分類】
B05D 3/00 20060101AFI20240104BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20240104BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240104BHJP
G01P 5/20 20060101ALI20240104BHJP
G01P 13/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05D1/02 Z
B05D7/24 303A
G01P5/20 F
G01P13/00 D
(21)【出願番号】P 2022531456
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020082606
(87)【国際公開番号】W WO2021104972
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ジマイェフ,イェフゲン
(72)【発明者】
【氏名】ラカ,ファトミール
(72)【発明者】
【氏名】ミルバイアー,イゴール
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-356130(JP,A)
【文献】国際公開第2005/095993(WO,A1)
【文献】特開2014-071078(JP,A)
【文献】特表2004-534354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0081039(US,A1)
【文献】特表2010-503832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
B05B12/00-12/14
13/00-13/06
B05C 7/00-21/00
G01P 5/00- 5/26
13/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーされたコーティングの流れを評価する方法であって、以下のステップ:
・複数のトレーサー粒子(22、32)をコーティングに提供するステップと;
・提供された前記コーティングを表面(14)にスプレーするステップと;
・所定の時間間隔内で所定の頻度でスプレーされた前記表面(14)の複数の画像(20)をキャプチャするステップと;
・キャプチャされた前記画像(20)のそれぞれを処理するステップと;
・複数の処理された画像(30)によって画像化された前記トレーサー粒子(22、32)から前記スプレーされたコーティングの少なくとも1つの流れパラメータを導出するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
各画像(20)の処理は、前記画像(20)内の少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)をハイライトすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各画像(20)の処理は、画像処理のための既存のソフトウェアツールを使用することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの流れパラメータの導出は、パターン認識アルゴリズムを適用することによって、前記画像(20、30)内の少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)を認識することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの流れパラメータの導出は、各画像(20、30)内の少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)の位置(43)を決定することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)の位置(43)の時間依存性が、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数のトレーサー粒子(22、32)の位置(43)の時間依存性が、前記トレーサー粒子(22、32)に関して平均化され、前記平均化された位置の時間依存性が、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの流れパラメータの導出は、複数の画像(20、30)内の少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)の速度(63)を決定することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのトレーサー粒子(22、32)の速度(63)の時間依存性が、少なくとも1つの流れパラメータとして導き出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数のトレーサー粒子(22、32)の速度(63)の時間依存性が、トレーサー粒子(22、32)に関して平均化され、前記平均化された速度(63)の時間依存性が、少なくとも1つの流れパラメータとして導き出される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の時間間隔は、300s~1000sの範
囲であり、前記所定の
頻度は、0.05s
-1~1s
-1の範
囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法を実装するプログラムコードを実行するプロセッサによって行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されるプログラムコードを格納するデータキャリアを備え、前記プログラムコードは、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法を実装する、スプレーされたコーティングの流れの評価するためのコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーされたコーティングの流れを評価する方法に関する。該方法は、表面にコーティングをスプレーするステップと、所定の時間間隔内で所定の頻度でスプレー表面の複数の画像をキャプチャするステップとを含む。本発明は、さらに、スプレーされたコーティングの流れを評価するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の表面は、主に美観及び保護のためにコーティングされている。コーティングは、一方では意図された色又は質感を装置に与えることができる。他方、コーティングは、装置の磨耗を防ぎ、特に装置の表面が金属のような腐食性材料で作られている場合には、腐食を防ぐことができる。両方の効果は、車体部品のほとんどがコーティングされている自動車製造において特に重要である。
【0003】
表面は通常、表面に液体コーティングをスプレーすることによってコーティングされる。コーティングは、最初は、コーティングをスプレーするために液状にさせる揮発性溶媒を含有している。表面にスプレーされた後、溶媒は、コーティングを表面に固着させながら、スプレーされたコーティングから徐々に蒸発する。最後に、コーティングは、紫外線及び/又は熱をスプレーされたコーティングに加えることによって硬化されることができる。
【0004】
コーティングされた表面の品質は、たるみ(sagging)及びレベリングと呼ばれるコーティングの2つのパラメータに依存する。たるみは、コーティングの隣接する層が互いに対して変位する能力を示す。コーティングのたるみが大きいほど、コーティングの層が互いに接着しにくく、結果としてコーティングの品質がより悪くなる。レベリングは、コーティングの表面の滑らかさを示す。コーティングのレベリングが高いほど、コーティングの表面はより滑らかであり、その結果、コーティングはより良好である。このように、少ないたるみと、高いレベリングを有するコーティングが狙いである。
【0005】
しかし、スプレーされたコーティングは、溶媒が徐々に蒸発する間、重力に継続的にさらされる。重力は、硬化時に、未だ液体のコーティングをして表面を流れさせることができ、及び、通常は流れさせ、該コーティングは、表面の形状及び重力に対する表面の配向によって規定される方向に流れる。
【0006】
重力は、したがって、スプレーされたコーティングのたるみを引き起こすことによって、及びスプレーされたコーティングのレベリングを妨げることによって、コーティングの品質を容易に低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、コーティングのたるみを減少させ、かつ、コーティングのレベリングを向上させることができる、スプレーされたコーティングの流れを評価する方法を提案することにある。本発明の別の目的は、スプレーされたコーティングの流れを評価するためのコンピュータプログラム製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、スプレーされたコーティングの流れを評価する方法であって、表面にコーティングをスプレーするステップと、所定の時間間隔内で所定の頻度でスプレーされた表面の複数の画像をキャプチャするステップと、を含む方法である。複数の画像は、所定の時間間隔の間のスプレーされたコーティングの時間的変動を表す画像の順序付けられたシーケンスを形成する。
【0009】
本発明によれば、本方法は、複数のトレーサー粒子をコーティングに提供するステップと、提供されたコーティングを表面にスプレーするステップと、各キャプチャされた画像を処理するステップと、複数の処理された画像によって画像化されたトレーサー粒子からスプレーされたコーティングの少なくとも1つの流れパラメータを導出するステップと、を含む。トレーサー粒子は、評価のためだけにコーティングに添加され、すなわち、トレーサー粒子はコーティングのオリジナルの成分ではない。
【0010】
トレーサー粒子の色、反射率、サイズ等は、トレーサー粒子がコーティングから視覚的に区別可能なように、選択され得る。スプレーされたコーティングが表面上を流れる場合、トレーサー粒子は、流れるスプレーされたコーティングによって駆動される。トレーサー粒子は、評価の正確な結果を得るために、それ自体でスプレーされたコーティングに対して移動するように選択されてはならない。
【0011】
好ましい実施形態では、各画像は、光軸がコーティングされた表面に延びるカメラによってキャプチャされる。言い換えれば、カメラの位置及び配向きは、スプレーされた表面の画像をキャプチャすることをサポートする。
【0012】
有利には、線パターンを有するホワイトボードが白色光源によって照射され、該ホワイトボードがカメラの光軸に平行にスプレーされた表面によって反射される。言い換えれば、キャプチャされた画像は、相対的に暗い領域の形で反射された線パターンを含む。線パターンは、複数の線、特に複数の平行線、より具体的には等距離に配置された複数の平行線を含み得る。あるいは、線パターンは、グリッド、すなわち複数の交差する線、特に別の等間隔の平行線に垂直に延びる複数の等間隔の平行線を有する規則的な矩形グリッドを含み得る。反射された線パターンは、キャプチャされた画像内のトレーサー粒子の位置測定をサポートする。
【0013】
各画像の処理は、画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子をハイライトすることを含むことが好ましい。ハイライトは、画像のコントラストを上げること、少なくとも1つのトレーサー粒子を異なるように着色すること、画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子のサイズを大きくすることなどを含み得る。ハイライトは、画像の前処理の一部と考えることができ、少なくとも1つのトレーサー粒子の自動認識を容易にする。
【0014】
各画像の処理は、既存の画像処理用のソフトウェアツールを使用することを含み得る。したがって、画像処理は、専用のカスタマイズを必要とせず、標準的なソフトウェアによって行われることができる。
【0015】
有利な実施形態では、少なくとも1つの流れパラメータの導出は、パターン認識アルゴリズムを適用することによって、画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子を認識することを含む。トレーサー粒子は、周囲のコーティングとは異なる、画像内の離散した点状物体であるように見える。その結果、トレーサー粒子は、パターン認識によって容易に認識されることができる。
【0016】
少なくとも1つの流れパラメータの導出は、好ましくは、各画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子の位置を決定することを含む。位置は、画像座標によって、又は、該当する場合は、線パターンによって規定される座標によって決定されてよい。
【0017】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのトレーサー粒子の位置の時間依存性は、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される。位置の時間依存性は、画像の順序付けられたシーケンスを分析し、各画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子及びその変動し得る位置を特定することによって導出される。
【0018】
複数のトレーサー粒子の位置の時間依存性は、有利にはトレーサー粒子に関して平均化され、平均化された位置の時間依存性は、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される。それによって、平均化は、画像の同じ順序付けられたシーケンスにおける複数のトレーサー粒子に関して、及び/又は画像の異なる順序付けられたシーケンスにおける複数のトレーサー粒子に関して達成され得る。平均化された時間依存性は、単一のトレーサー粒子の位置の時間依存性よりも高い信頼性を提供することができる。
【0019】
代替的に又は追加的に、少なくとも1つの流れパラメータの導出は、複数の画像における少なくとも1つのトレーサー粒子の速度を決定することを含んでよい。速度は、連続する画像中のトレーサー粒子の位置差に所定の頻度を乗算することによって、計算され、すなわち近似され得る。
【0020】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのトレーサー粒子の速度の時間依存性は、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される。速度の時間依存性は、画像の順序付けられたシーケンスを分析し、各画像内の少なくとも1つのトレーサー粒子及びその変動し得る速度を特定することによって導出される。
【0021】
複数のトレーサー粒子の速度の時間依存性は、有利にはトレーサー粒子に関して平均化され、及び平均化された速度の時間依存性は、少なくとも1つの流れパラメータとして導出される。平均化された時間依存性は、単一のトレーサー粒子の時間依存性よりも高い信頼性を提供し得る。
【0022】
多くの実施形態では、所定の時間間隔は300s~1000sの範囲、好ましくは450s~625sの範囲、最も好ましくは500sであり、及び/又は、所定の頻度は0.05s-1~1s-1の範囲、好ましくは0.1s-1~0.5s-1の範囲、最も好ましくは0.2s-1である。例えば、500s以内に100枚の画像をキャプチャすることが好ましい。
【0023】
多くの実施形態では、本方法は、本方法を実装するプログラムコードを実行するプロセッサによって行われる。このようにして、スプレーされたコーティングの流れの評価は、少なくとも部分的に自動化され得、これは評価プロセスの効率及び精度を高める。
【0024】
本発明の別の態様は、スプレーされたコーティングの流れを評価するためのコンピュータプログラム製品であって、該製品はプロセッサによって実行されるプログラムコードを格納するデータキャリアを備える。データキャリアは、格納されたプログラムコードをインストールするため、及び/又は、インストールされたプログラムコードを格納されたプログラムコードによってアップグレードするために使用され得る。
【0025】
本発明によれば、プログラムコードは、本発明の方法を実装する。格納されたプログラムコードは、コーティングのたるみ及び/又はレベリングを効率的に評価することができ、それによって、コーティングの品質を最適化することができる。
【0026】
本発明による方法の本質的な利点は、スプレーされたコーティングの流れが非常に簡単かつ正確に評価されることである。本方法では、既存する装置の単純な構成及び画像処理の確立されたアルゴリズムを使用することによって、スプレーされたコーティングのさまざまな流れパラメータを導出することができる。
【0027】
本発明のさらなる利点及び構成は、以下の説明及び添付の図面から明らかになる。
【0028】
先に説明した特徴及びこの後に説明する特徴は、示された組み合わせだけでなく、本発明の範囲を離れることなく、異なる組み合わせ又はそれ自体で使用され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態による方法を実行するための構成の斜視図を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による方法でキャプチャされた画像を概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示されているキャプチャされた画像に対応する処理された画像を概略的に示す図である。
【
図4】トレーサー粒子の位置のグラフを示す図である。
【
図5】トレーサー粒子の平均化された位置のグラフを示す図である。
【
図6】トレーサー粒子の速度のグラフを示す図である。
【
図7】トレーサー粒子の平均化された速度のグラフを示す図である。
【発明を実施する形態】
【0030】
図面の詳細な説明
図1は、本発明の実施形態による方法を実行するための構成10を概略的に示す斜視図である。構成10は、スプレーされた表面14と、スプレーされた表面14に延びる光軸を有するカメラ13を備えている(すなわちカメラ13はスプレーされた表面14に向けられている)。構成10は、線パターンを有するホワイトボード12と、ホワイトボード12を照射するように配置される光源11とをさらに備えてよい。
【0031】
カメラ13、スプレーされた表面14及びホワイトボード12は、ホワイトボード12の線パターンが、カメラ13の光軸に平行にスプレーされた表面14によってカメラ13に反射されるように、互いに相対的に配置されることが好ましい。線パターンは、複数の等間隔の平行線を含んでよく、又は好ましくは等間隔の平行線の矩形グリッドを含んでよい(
図2及び
図3参照)。
【0032】
スプレーされたコーティングの流れは、以下の方法ステップを適用することによって評価される。コーティングは、複数のトレーサー粒子を提供され、表面14上にスプレーされる。次に、カメラ13は、所定の時間間隔内で所定の頻度でスプレーされた表面14の複数の画像20をキャプチャする。
【0033】
所定の時間間隔は300s~1000sの範囲、好ましくは450s~625sの範囲、例示的には500sである。所定の頻度は0.05s-1~1s-1の範囲、好ましくは0.1s-1~0.5s-1の範囲、例示的には0.2s-1である。キャプチャされた画像20は、したがって、画像20の順序付けられたシーケンスを形成する。
【0034】
図2は、本発明の実施形態による方法でキャプチャされた画像20を概略的に示している。画像20は、複数の点状のトレーサー粒子22及び等間隔の平行線の反射された矩形グリッド21を含む。
【0035】
それぞれのキャプチャされた画像20は、画像処理用の既存のソフトウェアツールを用いて処理される。各画像20の処理は、画像20中の少なくとも1つのトレーサー粒子22、好ましくは複数のトレーサー粒子22をハイライトすることを含んでよい。
【0036】
図3は、
図2に示すキャプチャされた画像20に対応する処理された画像30を概略的に示している。該画像は、複数のハイライトされたトレーサー粒子32及び線の矩形グリッド31を含む。
【0037】
スプレーされたコーティングの少なくとも1つの流れパラメータは、複数の処理された画像30によって画像化された複数のトレーサー粒子32から導出される。少なくとも1つの流れパラメータの導出は、パターン認識アルゴリズムを適用することによって、画像30内の複数のトレーサー粒子32を認識することを含む。少なくとも1つの流れパラメータの導出は、各画像30内の複数のトレーサー粒子32のそれぞれの位置43を決定することをさらに含む。トレーサー粒子32の位置43は、グリッド31に対して、又は画像30の座標系に対して、すなわち画像座標において決定され得る。
【0038】
複数のトレーサー粒子32の位置43の時間依存性は、複数の処理された画像30から第1流れパラメータとして導出されてよい。
【0039】
図4は、トレーサー粒子32の位置43のグラフ40を示している。グラフ40は、3つのセグメントV1、V2、V3を含み、スプレーされたコーティングの第1たるみプロファイルを表すと考えられ得る。各セグメントは、画像30の時間を示す横座標41と、トレーサー粒子32のたるみ位置43を示す縦座標42とを有する。横座標41は、それぞれ、500sの時間間隔をカバーしている。縦座標42は、0mm~3mmの範囲の位置をカバーしている。セグメントV1、V2は、5つのトレーサー粒子32のたるみ位置を示し、セグメントV3は、6つのトレーサー粒子32のたるみ位置を示している。グラフ40から、トレーサー粒子32の位置43が、第1画像30によって示され、各トレーサー粒子32について均等にゼロに設定された位置から始まって、たるみ、すなわち低くなること、及び、それぞれの位置の変動はコーティングが定着されるにつれて減少すること、が観察され得る。別の観察は、トレーサー粒子32の間の位置的な広がりである。
【0040】
複数のトレーサー粒子32の位置43の時間依存性は、トレーサー粒子32に関して平平均化され得、平均化された位置の時間依存性は第2流れパラメータとして導出され得る。
【0041】
図5は、トレーサー粒子32の平均化された位置53のグラフ50を示す図である。グラフ50は、画像30の時間を示す横座標51と、トレーサー粒子32の平均化されたたるみ位置53を示す縦座標52とを有している。横座標51は、500秒の時間間隔をカバーしている。縦座標52は、0mmから2.8mmまでの範囲のたるみ位置をカバーしている。
【0042】
少なくとも1つの流れパラメータの導出は、複数の画像30における複数のトレーサー粒子32の速度63を決定することをさらに含み得る。
【0043】
複数のトレーサー粒子32の速度63の時間依存性は、第3の流れパラメータとして導出されてよい。
【0044】
図6は、トレーサー粒子32の速度63のグラフ60を示している。グラフ60は、3つのセグメントV1、V2、V3を含み、スプレーされたコーティングの第2たるみプロファイルを表すと考えられ得る。各セグメントは、画像30の時間を示す横座標61と、トレーサー粒子32のたるみ速度63を示す縦座標62とを有している。横座標61は、それぞれ、500sの時間間隔をカバーしている。縦座標62は、0.03mms
-1~0mms
-1の範囲の速度をカバーしている。セグメントV1、V2は、5つのトレーサー粒子32のたるみ速度63を示し、一方、セグメントV3は、6つのトレーサー粒子32のたるみ速度63を示している。グラフ60から、トレーサー粒子32のたるみ速度63及びそれぞれのたるみ速度の変動が、コーティングの定着に伴って減少していることが観察される。別の観察は、トレーサー粒子32の間の速度の広がりである。
【0045】
複数のトレーサー粒子32の速度63の時間依存性はトレーサー粒子32に関して平均化され得、平均化された速度63の時間依存性は第4流れパラメータとして導出され得る。
【0046】
図7は、トレーサー粒子32の平均化された速度73のグラフ70を示している。グラフ70は、画像30の時間を示す横座標71と、トレーサー粒子32の平均化されたたるみ速度73を示す縦座標72とを有する。横座標71は500sの時間間隔をカバーしている。縦座標72は0.02mms
-1~0mms
-1の範囲のたるみ速度をカバーしている。
【0047】
本方法は、好ましくは、本方法を実装するプログラムコードを実行するプロセッサによって行われ、該プログラムコードは、スプレーされたコーティングの流れを評価するためのコンピュータプログラム製品のデータキャリアに格納されてよく、該データキャリアからインストールされてよい。
【符号の説明】
【0048】
10 構成
11 光源
12 ホワイトボード
13 カメラ
14 スプレーされた表面
20 キャプチャされた画像
21 グリッド
22 トレーサー粒子
30 処理された画像
31 グリッド
32 トレーサー粒子
40 グラフ
41 横座標
42 縦座標
43 トレーサー粒子の位置
50 グラフ
51 横座標
52 縦座標
53 トレーサー粒子の平均化された位置
60 グラフ
61 横座標
62 縦座標
63 トレーサー粒子の速度
70 グラフ
71 横座標
72 縦座標
73 トレーサー粒子の平均化された速度