(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】車両の運転制御システム、及び、車両の運転制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 40/04 20060101AFI20240104BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20240104BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240104BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240104BHJP
B60T 7/18 20060101ALI20240104BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W30/08
B60W60/00
G08G1/16 A
B60T7/18
B60T7/12 C
(21)【出願番号】P 2022573047
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021048013
(87)【国際公開番号】W WO2022145351
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2020219596
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康宏
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】中西 優
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080452(WO,A1)
【文献】特開2008-186082(JP,A)
【文献】特開2017-194913(JP,A)
【文献】特開2020-147092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、第1の道路交通検出情報を取得する第1の道路交通検出情報取得手段と、
前記移動体に設けられた第1の通信機と、
管制エリア毎に配置された管制装置に設けられた第2の通信機と、
前記管制装置に設けられ、前記第1の通信機を通じて前記第2の通信機が受信した前記第1の道路交通検出情報に基づいて道路交通情報を認識する道路交通情報認識手段と、
前記管制装置に設けられ、前記管制エリア内に存在する車両の制御情報として、少なくとも、前記車両と障害物との衝突を緊急回避するための制御の目標値或いは制御指示値を、前記道路交通情報に基づいて演算する制御情報演算手段と、
前記車両に搭載され、前記第2の通信機を通じて前記第1の通信機が受信した前記制御情報に基づいて運転制御を行う運転制御実行手段と、を備えたことを特徴とする車両の運転制御システム。
【請求項2】
道路交通検出情報を取得する道路交通検出情報取得手段と、
管制エリア毎に配置された管制装置に対して前記道路交通検出情報を送信するとともに、少なくと
も車両が障害物との衝突を緊急回避するための制御の目標値或いは制御指示値を含むように前記管制装置において演算された制御情報を受信する通信機と、
前記制御情報に基づいて運転制御を行う運転制御実行手段と、を備えたことを特徴とする車両の運転制御装置。
【請求項3】
前記制御情報演算手段は、前記制御情報として、前記車両と前記障害物との衝突を緊急制動制御により回避させるための目標減速度を算出し、前記緊急制動制御による前記車両と前記障害物との衝突回避が不可能である場合に、さらに、前記車両と前記障害物との衝突を緊急操舵制御により回避させるための目標舵角を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両の運転制御システム。
【請求項4】
前記制御情報演算手段は、前記制御情報を演算した前記車両の挙動によって、他の車両が影響を受ける場合、前記他の車両に対しても、必要に応じて衝突回避のための前記制御情報を演算することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の運転支援システム。
【請求項5】
前記運転制御実行手段は、前記第2の通信機を通じて前記第1の通信機が受信した前記制御情報を、前記車両において別途演算したドライバの利便性向上に係る制御情報よりも優先させて前記運転制御を行うことを特徴とする請求項1、請求項3または請求項4の何れか1項に記載の車両の運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物との衝突回避制御等の運転制御を行う車両の運転制御システム、及び、車両の運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両においては、ドライバの運転操作の負担を軽減するとともに、安全性の向上を実現することを目的として、ドライバの運転操作を支援するための運転制御装置が実用化されている。この種の運転制御装置では、ドライバによる主体的な運転操作を前提として操舵支援制御や加減速制御を行う走行制御モードや、ドライバの運転操作を必要とすることなく車両を走行させるための走行制御モード(所謂、自動運転モード)についての各種技術が開発されている(例えば、日本国特開2019-172113号公報参照)。
【0003】
運転制御装置による走行制御は、基本的には、追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)機能と車線中央維持(ALKC:Active Lane Keep Centering)制御機能等とを備えることによって実現される。そして、このような走行制御により、先行車との車間を維持しつつ走行車線に沿って車両を自動走行させることができる。
【0004】
また、運転制御装置においては、障害物との衝突を回避するための緊急ブレーキ(AEB(Autonomous Emergency Braking):衝突被害軽減ブレーキ)制御が実用化されている。この緊急ブレーキ制御では、カメラやレーダ等の自律センサを用いた走行環境認識装置によって自車両の前方に車両や歩行者等の障害物を認識したとき、自車両と障害物との相対速度が零になるまで減速を行う。
【0005】
さらに、運転制御装置においては、緊急ブレーキ制御では障害物との衝突を回避できないと判断したとき、当該障害物との衝突を回避するための緊急操舵制御を行う技術が実用化されている。
【0006】
これら各種の運転制御は、緊急時等においてもドライバの運転操作を必要としない自動運転制御の完全化に向けて、高度化する傾向にある。
【0007】
しかしながら、運転制御を高度化するためには、複数の自律センサ等を用いて自車両周辺の情報を多角的に取得する必要がある。また、多角的に取得した情報から自車両周辺の走行環境を認識し、運転制御のための制御情報を高い精度で演算するためには、演算能力の高い制御ユニットを用いる必要がある。
【0008】
その一方で、各種運転制御のうち、特に、障害物との衝突回避制御のような安全性に係る運転制御については、各種仕様の車両に対して広く展開することが望ましい。さらに、このような安全性に係る運転制御等の制御情報の演算については、日夜開発される最新の制御プログラム等を随時適用することが望ましい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両に複雑なシステムを搭載することなく、最新の運転制御を各種仕様の車両に展開することができる車両の運転制御システム、及び、車両の運転制御装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による車両の運転制御システムは、移動体に設けられ、第1の道路交通検出情報を取得する第1の道路交通検出情報取得手段と、前記移動体に設けられた第1の通信機と、管制エリア毎に配置された管制装置に設けられた第2の通信機と、前記管制装置に設けられ、前記第1の通信機を通じて前記第2の通信機が受信した前記第1の道路交通検出情報に基づいて道路交通情報を認識する道路交通情報認識手段と、前記管制装置に設けられ、前記管制エリア内に存在する車両の制御情報として、少なくとも、前記車両と障害物との衝突を緊急回避するための制御の目標値或いは制御指示値を、前記道路交通情報に基づいて演算する制御情報演算手段と、前記車両に搭載され、前記第2の通信機を通じて前記第1の通信機が受信した前記制御情報に基づいて運転制御を行う運転制御実行手段と、を備えたものである。
【0011】
本発明の一態様による車両の運転制御装置は、道路交通検出情報を取得する道路交通検出情報取得手段と、管制エリア毎に配置された管制装置に対して前記道路交通検出情報を送信するとともに、少なくとも車両が障害物との衝突を緊急回避するための制御の目標値或いは制御指示値を含むように前記管制装置において演算された制御情報を受信する通信機と、前記制御情報に基づいて運転制御を行う運転制御実行手段と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係り、車両の運転制御システムを示す概略構成図
【
図2】同上、高速無線通信により管制装置に接続された車両の運転制御装置及び監視装置を示す説明図
【
図3】同上、ステレオカメラの監視領域を示す説明図
【
図4】同上、車両の運転制御装置から送信される道路交通検出情報を示す説明図
【
図5】同上、監視装置から送信される道路交通検出情報を示す説明図
【
図6】同上、運転制御装置の通信制御ユニットにおける通信制御ルーチンを示すフローチャート
【
図7】同上、管制装置の通信制御ユニットにおける通信制御ルーチンを示すフローチャート
【
図8】同上、管制装置の道路交通情報認識制御ユニットにおける道路交通情報認識ルーチンを示すフローチャート
【
図9】同上、管制装置の走行制御ユニットにおける制御情報演算ルーチンを示すフローチャート(その1)
【
図10】同上、管制装置の走行制御ユニットにおける制御情報演算ルーチンを示すフローチャート(その2)
【
図11】変形例に係り、通信端末の要部を示す構成図
【
図12】同上、高速無線通信により管制装置に接続された車両の運転制御装置、通信端末、及び監視装置を示す説明図
【
図13】同上、通信端末を用いた車両の運転制御システムを示す概略構成図
【
図14】本発明の第2の実施形態に係り、車両の運転制御システムを示す概略構成図
【
図15】同上、管制装置の通信制御ユニットにおける通信制御ルーチンを示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。
図1~
図10は本発明の第1の実施形態に係り、
図1は車両の運転制御システムを示す概略構成図、
図2は高速無線通信により管制装置に接続された車両の運転制御装置及び監視装置を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態における運転制御システム1は、移動体である車両5に搭載された運転制御装置10と、道路沿いに設けられた監視装置50と、ネットワーク環境NWに設けられる狭域サーバからなる複数の管制装置70と、を備えて構成されている。
【0015】
運転制御装置10は、車外の走行環境を検出するための自律センサとして、例えば、カメラユニット11を有する。また、運転制御装置10は、通信制御ユニット(以下、「通信_ECU」と称す)21と、走行制御ユニット(以下、「走行_ECU」と称す)22と、エンジン制御ユニット(以下、「E/G_ECU」と称す)23と、パワーステアリング制御ユニット(以下、「PS_ECU」と称す)24と、ブレーキ制御ユニット(以下、「BK_ECU」と称す)25と、警報制御ユニット(以下、「警報_ECU」と称す)と、を備える。これら各制御ユニット21~26は、CAN(Controller Area Network)等の車内通信回線を介して接続されている。
【0016】
カメラユニット11は、例えば、車室内前部の上部中央に固定されている。このカメラユニット11は、例えば、メインカメラ11a及びサブカメラ11bからなる車載カメラ(ステレオカメラ)と、画像処理ユニット(IPU)11cと、を有している。
【0017】
メインカメラ11a及びサブカメラ11bは、例えば、車両5の前方の実空間をセンシングする。すなわち、メインカメラ11a及びサブカメラ11bは、例えば、車両5の車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配置され、車両5の前方領域Af(
図3参照)を異なる視点からステレオ撮像する。
【0018】
IPU11cは、両カメラ11a,11bでステレオ撮像した車両5の前方走行環境の画像情報を所定に処理する。これによりIPU11cは、左右の画像において対応する対象を示す画素の位置ズレ量から距離情報を求め、距離情報を含む画像情報(距離画像情報)を生成する。
【0019】
通信_ECU21には、管制装置70及び他車両5の運転制御装置10との間で無線通信を行うための送受信機13が接続されている。送受信機13は、高信頼・低遅延通信システム(例えば、第5世代移動通信システム)に適合している。
【0020】
また、通信_ECU21の入力側には、カメラユニット11が接続されるとともに、加速度センサ14、速度センサ15、ジャイロセンサ16、及び、GNSS受信機17など、車両5の位置(自車位置)を推定するに際して必要とする各種センサ類が接続されている。ここで、加速度センサ14は、車両5の前後加速度及び横加速度を検出する。また、速度センサ15は、例えば、前後左右各車輪の回転速度を検出する。また、ジャイロセンサ16は、車両5の角速度または角加速度を検出する。また、GNSS受信機17は、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信する。
【0021】
通信_ECU21は、上述のカメラユニット11、加速度センサ14、速度センサ15、ジャイロセンサ16、及び、GNSS受信機17などから入力された各種情報を含む道路交通検出情報(第1の道路交通検出情報)を生成する。また、通信_ECU21は、生成した第1の道路交通検出情報を、予め設定された制御周期毎に、管制装置70に対して送信する。
【0022】
具体的には、通信_ECU23は、例えば、
図4に示すように、車両5の車両ID、送信日時、距離画像、車両5の位置(緯度、経度)、車両5の加速度、車両5の速度、及び、車両5の進行方向等を含む道路交通検出情報(第1の道路交通検出情報)を生成する。そして、通信_ECU21は、生成した第1の道路交通検出情報を、送受信機18を通じて管制装置70に送信する。
【0023】
また、通信_ECU21は、管制装置70から適宜送信される道路地図情報(後述する)を、送受信機18を通じて受信する。
【0024】
ここで、管制装置70から送信される道路地図情報とは、時々刻々と変化する道路交通情報をリアルタイムで反映させた地図情報である。この道路地図情報は、所定の管制エリア内に存在する各車両5及び各監視装置50等から収集した情報に基づき生成される。
【0025】
さらに、通信_ECU21は、管制装置70から適宜送信される制御情報(後述する)を、送受信機18を通じて受信する。この制御情報には、例えば、障害物と衝突する可能性のある緊急時に車両5の減速制御を行うための目標減速度が含まれている。目標減速度を受信すると、通信_ECU21は、受信した目標減速度をE/G_ECU23及びBK_ECU25に出力する。これにより、E/G_ECU23及びBK_ECU25は、目標減速度に基づく減速制御を割り込み制御として実行することが可能となっている。
【0026】
また、制御情報には、例えば、緊急時に車両5の操舵制御を行うための目標舵角が含まれている。目標舵角を受信すると、通信_ECU21は、受信した目標舵角をPS_ECU24に出力する。これにより、PS_ECU24は、目標舵角に基づく操舵制御を割り込み制御として実行することが可能となっている。
【0027】
すなわち、本実施形態において、管制装置70から送信される各制御情報は、車両5側の走行_ECU23において演算された制御情報(後述する)よりも優先される。
【0028】
このように、本実施形態において、カメラユニット11、加速度センサ14、車輪速センサ15、ジャイロセンサ16、及び、GNSS受信機17等は、第1の道路交通検出情報取得手段としての一具体例に相当する。また、送受信機18は、第1の通信機としての一具体例に相当する。なお、通信_ECU21は、第1の道路交通検出情報を、送受信機18を通じて車両5の周辺に存在する他車両5に対して送信することも可能である(
図2参照)。
【0029】
走行_ECU22は、管制装置70から受信された道路地図情報に基づいて、車両5(自車両)に対する制御情報を演算する。ここで、本実施形態において、走行_ECU22は、主として、ドライバの利便性向上に係る制御情報を演算する。
【0030】
例えば、走行_ECU22は、道路地図情報に基づき、追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)のための制御情報として、目標加減速度を演算する。すなわち、走行_ECU22は、道路地図情報に基づいて自車走行レーンの前方に先行車が存在することを認識した場合、当該先行車に対して所定の車間距離を維持しつつ自車両を追従走行させるための目標加減速度を演算する。また、走行_ECU22は、道路地図情報に基づいて自車走行レーンの前方に先行車が存在しないことを認識した場合、自車両を設定車速で定速走行させるための目標加減速度を演算する。そして、走行_ECU22は、演算した目標加減速度をE/G_ECU23及びBK_ECU25に出力する。これにより、E/G_ECU23及びBK_ECU25は、目標加減速度に基づく加減速制御を実行することが可能となっている。
【0031】
また、例えば、走行_ECU22は、道路地図情報に基づき、車線中央維持(ALKC:Active Lane Keep Centering)制御のための制御情報として、目標舵角を演算する。すなわち、走行_ECU22は、道路地図情報に基づいて、自車両を自車走行レーンの中央に維持するための目標舵角を演算する。そして、走行_ECU22は、演算した目標舵角をPS_ECU24に出力する。これにより、PS_ECU24は、目標舵角に基づく操舵制御を実行することが可能となっている。
【0032】
E/G_ECU23の出力側には、スロットルアクチュエータ27が接続されている。このスロットルアクチュエータ27は、エンジンのスロットルボディに設けられている電子制御スロットルのスロットル弁を開閉動作させるものである。すなわち、スロットルアクチュエータ27は、E/G_ECU23からの駆動信号によりスロットル弁を開閉動作させて吸入空気流量を調整する。これにより、スロットルアクチュエータ27は、所望のエンジン出力を発生させる。
【0033】
PS_ECU24の出力側には、電動パワステモータ28が接続されている。この電動パワステモータ28はステアリング機構にモータの回転力で操舵トルクを付与するものである。すなわち、電動パワステモータ28は、PS_ECU24からの駆動信号により所望の舵角を発生させる。
【0034】
BK_ECU25の出力側には、ブレーキアクチュエータ29が接続されている。このブレーキアクチュエータ29は、各車輪に設けられているブレーキホイールシリンダに対して供給するブレーキ油圧を調整するものある。すなわち、ブレーキアクチュエータ29は、BK_ECU25からの駆動信号により駆動されると、ブレーキホイールシリンダを通じて各車輪に対してブレーキ力を発生させる。これにより、ブレーキアクチュエータ29は、車両5を強制的に減速させる。
【0035】
警報_ECU26の出力側には、警報装置30が接続されている。この警報装置30は、ドライバに対し、所定の警報を発するものである。ここで、警報装置30としては、例えば、インストルメントパネルに設けられたマルチインフォメーションディスプレイやスピーカ等によって構成されている。すなわち、警報装置30は、警報_ECU26からの駆動信号により、ドライバに対して所定の警告表示或いは警報音を発生させる。
【0036】
このように、本実施形態において、E/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25は、運転制御実行手段としての一具体例に相当する。
【0037】
監視装置50は、例えば、走行環境を観察するための路側インフラである。監視装置50は、路側に沿って所定の間隔毎に定点配置されている。この監視装置50は、例えば、カメラユニット51と、通信_ECU52と、を備えて構成されている。
【0038】
カメラユニット51は、例えば、単眼カメラによって構成されている。このカメラユニット51は、例えば、路側の上方から路面に向けて光軸が所定の俯角にて傾斜するように配置されている。これにより、カメラユニット51は、道路上を走行する車両等を含む画像情報を検出する。
【0039】
通信_ECU52には、管制装置70との間で無線通信を行うための送受信機53が接続されている。送受信機53は、高信頼・低遅延通信システム(例えば、第5世代移動通信システム)に適合している。また、通信_ECU52の入力側には、カメラユニット51が接続されている。
【0040】
通信_ECU52は、上述のカメラユニット51から入力された画像情報を含む道路交通検出情報(第2の道路交通検出情報)を生成する。また、通信_ECU53は、生成した第2の道路交通検出情報を、予め設定された制御周期毎に、管制装置70に対して送信する。
【0041】
具体的には、通信_ECU52は、例えば、
図5に示すように、監視装置50のID、送信日時、画像、監視装置50の位置(緯度、経度)等を含む道路交通検出情報を生成する。そして、通信_ECU52は、生成した道路交通検出情報を、送受信機53を通じて管制装置70に送信する。
【0042】
このように、本実施形態において、カメラユニット51は、第2の道路交通検出情報取得手段としての一具体例に相当する。また、送受信機53は、第3の通信機としての一具体例に相当する。
【0043】
管制装置70は、例えば、エッジコンピューティングによるネットワーク環境のエッジサーバ(所謂MECサーバ)であり、所定の管制エリア毎に配置されている。この管制装置70は、例えば、通信_ECU71と、道路交通情報認識制御ユニット(以下、情報認識_ECU」と称す)72と、走行制御ユニット(以下、「走行_ECU」と称す)73と、を備えて構成されている。これら各制御ユニット71~73は、所定の通信回線を介して接続されている。ここで、各制御ユニット71~73は、車両5に搭載される各制御ユニットよりも高性能なスペックを有する。なお、各制御ユニット71~73は、単一の制御ユニットによって構成することも可能である。
【0044】
通信_ECU71には、各車両の運転制御装置10及び各監視装置50との間で無線通信を行うための送受信機74が接続されている。送受信機74は、高信頼・低遅延通信システム(例えば、第5世代移動通信システム)に適合している。
【0045】
通信_ECU71は、送受信機74が各車両5の運転制御装置10及び各監視装置50から道路交通検出情報を受信すると、受信した道路交通検出情報を情報認識_ECU72に出力する。
【0046】
また、通信_ECU72は、走行_ECU73から車両の制御情報(後述する)が入力されると、入力された制御情報を、送受信機74を通じて該当する車両5に送信する。
【0047】
さらに、通信_ECU72は、情報認識_ECU72から道路地図情報が入力されると、入力された道路地図情報を、送受信機74を通じて各車両5に送信する。
【0048】
このように、本実施形態において、送受信機74は、第2の通信機としての一具体例に相当する。
【0049】
情報認識_ECU72には、高精度道路地図データベース75が接続されている。高精度道路地図データベース75は、HDDなどの大容量記憶媒体である。高精度道路地図データベース75には、道路上を走行する各車両5の走行制御を行う際に必要とする情報として、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)が記憶されている。高精度道路地図情報は、主として道路情報を構成する静的情報と、主として交通情報を構成する準動的情報予備動的情報と、からなる3層の情報を有する。
【0050】
静的情報は、例えば、道路や道路上の構造物、車線情報、路面情報、恒久的な規制情報等、1ヶ月以内での更新頻度が求められる情報によって構成されている。
【0051】
準動的情報は、例えば、観測時点における実際の渋滞状況や走行規制、落下物や障害物等、一時的な走行障害状況、実際の事故状態、狭域気象情報など、1分以内での更新頻度が求められる情報によって構成されている。
【0052】
動的情報は、例えば、移動体の間で送信・交換される情報や現在示されている信号の情報、交差点内の歩行者・二輪車情報、交差点を直進する車両情報等、1秒以内での更新頻度が求められる情報によって構成されている。
【0053】
このような道路地図情報は、各車両5の運転制御装置10及び各監視装置50から次の情報を受信するまでの周期で維持・更新される。更新された情報は、通信_ECU71及び走行_ECU73に適宜出力される。なお、通信_ECU71に出力する道路地図情報としては、管制エリア内の道路地図情報の全てを出力することも可能である。但し、車両5側の通信_ECU21との間の通信負荷を考慮した場合、各車両5が走行_ECU23において制御情報を演算するために必要な道路地図情報のみを抽出し、各車両5のIDに対応付けた個別の道路地図情報としてそれぞれ出力することが望ましい。
【0054】
この道路地図情報の更新に際し、情報認識_ECU72は、各車両5の運転制御装置10及び各監視装置50から受信した道路交通検出情報を解析する。これにより、情報認識_ECU72は、道路交通情報の認識処理を行う。
【0055】
例えば、運転制御装置10からの道路交通検出情報を受信すると、情報認識_ECU72は、道路地図上における車両5の現在位置を認識するとともに、車両5の移動方向及び移動速度等を認識する。
【0056】
また、情報認識_ECU72は、受信した距離画像情報などに基づき、該当車両5の周辺の道路を区画する車線区画線を求める。また、情報認識_ECU72は、走行路の左右を区画する各区画線の道路曲率[1/m]、および各区画線間の幅(車線幅)を求める。
【0057】
さらに、情報認識_ECU72は、距離画像情報に対して所定のパターンマッチング等を行う。これにより、情報認識_ECU72は、道路に沿って存在するガードレール、縁石、及び、道路上に存在する歩行者、二輪車、二輪車以外の車両等の立体物認識を行う。ここで、情報認識_ECU72における立体物認識では、例えば、立体物の種別、立体物までの距離、立体物の速度等の認識が行われる。
【0058】
同様に、監視装置50からの道路交通検出情報を受信すると、情報認識_ECU72は、受信した画像情報などに基づき、周知の画像認識処理等を行う。これにより、情報認識_ECU72は、道路交通情報の認識処理を行う。
【0059】
このようにして運転制御装置10及び監視装置50からの道路交通検出情報に基づいて道路交通情報を認識すると、情報認識_ECU72は、認識した道路交通情報に基づいて、高精度道路地図データベース75に格納されている道路地図情報を随時更新する。この情報更新は、静的情報のみならず、準動的情報、及び、動的情報についても行われる。これにより、道路地図情報は、管制装置70の外部との通信により取得した最新の道路交通情報を含んで構成され、道路上を走行する車両等移動体の情報がリアルタイムで更新される。
【0060】
このように、本実施形態において、情報認識_ECU72は、道路交通情報認識手段としての一具体例に相当する。
【0061】
走行_ECU73は、管制装置70の管制エリア内に存在する各車両5に対する制御情報を演算する。この制御情報として、走行_ECU73は、少なくとも、各車両5が障害物との衝突を緊急回避するための制御情報を演算する。ここで、走行_ECU73において制御情報等を演算するための各種プログラムは、例えば、ネットワーク環境NWを通じて、随時、最新のプログラムに更新することが可能となっている。
【0062】
具体的に説明すると、走行_ECU73は、道路交通情報が反映された道路地図情報に基づき、当該車両5の走行路前方に当該車両5と衝突する可能性の高い障害物を検出した際には、当該障害物の手前に車両を停車させるための緊急ブレーキ(AEB(Autonomous Emergency Braking):衝突被害軽減ブレーキ)制御のための制御情報を演算する。
【0063】
ここで、本実施形態における障害物とは、当該車両5と衝突の可能性がある立体物をいう。具体的には、本実施形態における障害物とは、当該車両5の走行路前方において、少なくとも一部が車両5とラップ(Rap)している立体物をいう。この障害物には、路肩付近に停車している他車両5等は勿論のこと、当該車両5の前方で急減速或いは急停車した先行車両5、及び、走行路を横切る歩行者等も含まれる。
【0064】
緊急ブレーキ制御のための制御情報は、情報認識_ECU72で認識した障害物に基づいて設定される。この緊急ブレーキ制御のための制御情報としては、例えば、一次ブレーキ制御用の制御情報と二次ブレーキ制御用の制御情報とが順次段階的に設定される。
【0065】
一次ブレーキ制御は、ドライバに対して障害物との衝突回避操作を促すための警報ブレーキ制御である。この一次ブレーキ制御は、比較的小さい減速度a0を用いて車両5を減速させる緩ブレーキ制御である。
【0066】
二次ブレーキ制御は、一次ブレーキ制御に対してドライバが適切な衝突回避操作を行わなかった場合に行われる本ブレーキ制御である。この二次ブレーキ制御は、一次ブレーキ制御よりも大きな減速度apを用いて障害物との相対速度が「0」となるまで車両5を減速させる強ブレーキ制御である。
【0067】
これらのブレーキ制御のための制御情報は、車両5と障害物との相対速度Vrelと相対距離Dとの関係が閾値以下となったとき設定される。
【0068】
本実施形態において、具体的には、走行_ECU73は、車両5と障害物との相対速度Vrelとラップ率Rapとの関係から距離閾値であるブレーキ制御開始距離D1th,D2thを算出する。これらの距離閾値D1th、D2thを算出するため、走行_ECU73には、一次ブレーキ制御開始距離設定用のマップと二次ブレーキ制御開始距離設定用のマップが、実験やシミュレーション等に基づいて予め設定され格納されている。これらのマップは、基本的には、相対速度Vrelが低くなるほど距離閾値を小さな値に設定して減速開始タイミングを遅らせ、且つ、ラップ率Rが低くなるほど距離閾値を小さな値に設定して減速開始タイミングを遅らせるように設定されている。すなわち、各マップは、相対速度Vrelが低く、且つ、ラップ率Rが低くなるほど、ドライバ自らの運転操作によって障害物との衝突回避を行う余地を残す設定となっている。
【0069】
そして、相対距離Dが一次ブレーキ制御開始距離D1th以下となったとき、走行_ECU73は、当該車両5に対する制御情報として目標減速度a0を設定する。
【0070】
さらに、一次ブレーキ制御中にドライバによる適切な回避操作等が行われず、相対距離Dが二次ブレーキ制御開始距離D2th以下となったとき、走行_ECU73は、当該車両5に対する制御情報として目標減速度apを設定する。
【0071】
なお、後述する衝突余裕時間TTC(Time To Collision)は、ブレーキ制御において実質的に相対距離Dと同義のパラメータである。従って、相対速度Vrelと相対距離Dとの関係を示すパラメータとして衝突余裕時間TTCを用いることも可能である。
【0072】
また、二次ブレーキ制御の実行中において、走行_ECU73は、車両5が障害物に衝突するまでの時間である衝突余裕時間TTC(Time To Collision)を算出する。この衝突余裕時間TTCとしては、例えば、車両5と前方障害物との相対距離Dを、車両5と前方障害物との相対速度Vrelにより除算した値((相対距離D)/(相対速度Vrel))が算出される。
【0073】
そして、衝突余裕時間TTCが予め設定された閾値Tth以下であるとき、走行_ECU73は、制動制御によって障害物との衝突を回避することが困難であると判断する。これにより、走行_ECU73は、操舵による障害物に対する緊急衝突回避を行うべく、緊急操舵(AES(Autonomous Emergency Steering):自動操舵回避)制御に対する制御情報の演算を行う。ここで、閾値Tthは、車両5と障害物との衝突を緊急ブレーキ制御によって回避するための時間的余裕があるか否かを、衝突余裕時間TTCとの関係において判定するための閾値である。
【0074】
この操舵制御に際し、走行_ECU73は、車両5が障害物との衝突を回避するための目標横位置を算出する。また、走行_ECU73は、例えば、衝突余裕時間TTCが設定閾値Tth以下となった時点の車両位置を制御開始位置として設定する。また、走行_ECU73は、緊急操舵制御のための目標経路として、制御開始位置から当該制御開始位置と目標横位置との中間位置までの第1の目標経路、及び中間位置から目標横位置までの第2の目標経路を算出する。これら第1の目標経路及び第2の目標経路は、車速に応じて許容される横加加速度(加速度の時間変化率)を用いて算出される。そして、走行_ECU73は、車両5を目標経路に沿って車両を走行させるための目標舵角を制御情報として設定する。
【0075】
さらに、走行_ECU73は、制御情報を設定した車両5の挙動によって他の車両5が影響を受ける場合、当該他の車両5に対しても、必要に応じて適宜、衝突回避のための制御情報を演算する。
【0076】
このようにして演算された各制御情報は、走行_ECU73から通信_ECU71に出力される。通信_ECU71は、送受信機74を通じて該当車両5に対する各制御情報の送信を行う。このように、本実施形態において、走行_ECU73は、制御情報演算手段としての一具体例に相当する。
【0077】
ここで、走行_ECU73は、制御情報として、各種制御の目標値に代えて、各車両5の各種アクチュエータ類に対する直接的な制御指示値を設定することも可能である。すなわち、走行_ECU73は、緊急ブレーキ制御における一次ブレーキ制御のための制御情報として、例えば、目標減速度a0に代えて、E/G_ECU23及びBK_ECU25からスロットルアクチュエータ27及びブレーキアクチュエータ29に対して出力される制御指示値(フィードバック補正量等を加味した制御指示値)を算出することも可能である。また、走行_ECU73は、緊急ブレーキ制御における二次ブレーキ制御のための制御情報として、例えば、目標減速度apに代えて、E/G_ECU23及びBK_ECU25からスロットルアクチュエータ27及びブレーキアクチュエータ29に対して出力される制御指示値(フィードバック補正量等を加味した制御指示値)を算出することも可能である。また、走行_ECU73は、緊急操舵制御のための制御情報として、例えば、目標舵角に代えて、PS_ECU24から電動パワステモータ28に対して出力される制御指示値(フィードバック補正量等を加味した制御指示値)を設定することも可能である。
【0078】
次に、運転制御装置10の通信_ECU21における通信制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、通信_ECU21において、設定周期毎に繰り返し実行されるものである。
【0079】
ルーチンがスタートすると、通信_ECU21は、ステップS101において、当該車両5が管制装置70の通信圏(管制エリア)内に存在するか否かを調べる。
【0080】
そして、ステップS101において、当該車両5が通信圏外に存在すると判定した場合(ステップS101:NO)、通信_ECU21は、そのままルーチンを抜ける。
【0081】
一方、ステップS101において、当該車両5が通信圏内に存在すると判定した場合(ステップS101:YES)、通信_ECU21は、ステップS102に進む。ステップS102において、通信_ECU21は、第1の道路交通検出情報を前回送信してから設定時間(例えば、200msec)が経過しているか否かを調べる。
【0082】
そして、ステップS102において、設定時間が経過していると判定した場合(ステップS102:YES)、通信_ECU21は、ステップS103に進む。ステップS103において、通信_ECU21は、送受信機18を通じて第1の道路交通検出情報を送信した後、ステップS104に進む。
【0083】
一方、ステップS102において、設定時間が経過していないと判定した場合(ステップS102:NO)、通信_ECU21は、そのままステップS104に進む。
【0084】
ステップS102或いはステップS103からステップS104に進むと、通信_ECU21は、現在車両5が存在する管制エリアに対応する管制装置70から、送受信機18を通じて制御情報を受信しているか否かを調べる。
【0085】
そして、ステップS104において、制御情報を受信していないと判定した場合(ステップS104:NO)、通信_ECU21は、ステップS109に進む。
【0086】
一方、ステップS104において、制御情報を受信していると判定した場合(ステップS104:YES)、通信_ECU21は、ステップS105に進む。ステップS105において、通信_ECU21は、受信した制御情報に目標減速度が含まれているか否かを調べる。
【0087】
そして、ステップS105において、受信した制御情報に目標減速度が含まれていると判定した場合(ステップS105:YES)、通信_ECU21は、ステップS106に進む。ステップS106において、通信_ECU21は、E/G_ECU23、BK_ECU25、及び、警報_ECU26に対して目標減速度を出力した後、ステップS107に進む。これにより、E/G_ECU23及びBK_ECU25では、入力された目標減速度に基づき、障害物に対する緊急制動制御が行われる。また、警報_ECU26では、目標減速度に応じた所定の警報制御が適宜行われる。
【0088】
一方、ステップS105において、受信した制御情報に目標減速度が含まれていないと判定した場合(ステップS105:NO)、通信_ECU21は、そのままステップS107に進む。
【0089】
ステップS105或いはステップS106からステップS107に進むと、通信_ECU21は、受信した制御情報に目標舵角が含まれているか否かを調べる。
【0090】
そして、ステップS107において、受信した制御情報に目標舵角が含まれていると判定した場合(ステップS107:YES)、通信_ECU21は、ステップS108に進む。ステップS108において、通信_ECU21は、PS_ECU24、及び、警報_ECU26に対して目標舵角を出力した後、ステップS109に進む。これにより、SP_ECU24では、入力された目標舵角に基づき、障害物に対する緊急操舵制御が行われる。また、警報_ECU26では、目標舵角に応じた所定の警報制御が適宜行われる。
【0091】
一方、ステップS107において、受信した制御情報に目標舵角が含まれていないと判定した場合(ステップS107:NO)、通信_ECU21は、そのままステップS109に進む。
【0092】
ステップS107或いはステップS108からステップS109に進むと、通信_ECU21は、現在車両5が存在する管制エリアに対応する管制装置70から、送受信機18を通じて道路地図情報を受信しているか否かを調べる。
【0093】
そして、ステップS109において、道路地図情報を受信していないと判定した場合(ステップS109:NO)、通信_ECU21は、そのままルーチンを抜ける。
【0094】
一方、ステップS109において、道路地図情報を受信していると判定した場合(ステップS109:YES)、通信_ECU21は、ステップS110に進む。ステップS110において、通信_ECU21は、受信した道路地図情報を走行_ECU22に出力した後、ルーチンを抜ける。
【0095】
なお、詳細な説明は省略するが、監視装置50の通信_ECU52においても、上述のステップS102及びステップS103と同様の処理が行われる。これにより、管制装置70に対して、第2の道路交通検出情報の送信が行われる。
【0096】
次に、管制装置70の通信_ECU71において実行される通信制御について、
図7の通信制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、通信_ECU71において、設定周期毎に繰り返し実行されるものである。
【0097】
ルーチンがスタートすると、通信_ECU71は、ステップS201において、外部からの情報を受信したか否かを調べる。すなわち、通信_ECU71は、管制エリア内に存在する車両5の運転制御装置10からの第1の道路交通検出情報、或いは、監視装置50からの第2の道路交通検出情報の少なくとも何れか一方を受信したか否かを調べる。
【0098】
そして、ステップS201において、外部からの情報を受信したと判定した場合(ステップS201:YES)、通信_ECU71は、ステップS202に進む。ステップS202において、通信_ECU71は、受信情報を情報認識_ECU72に出力した後、ステップS203に進む。
【0099】
一方、ステップS201において、外部からの情報を受信していないと判定した場合(ステップS201:NO)、通信_ECU71は、そのままステップS203に進む。
【0100】
ステップS201或いはステップS202からステップS203に進むと、通信_ECU71は、走行_ECU73から制御情報が入力されたか否かを調べる。
【0101】
そして、ステップS203において、制御情報が入力されたと判定した場合(ステップS203:YES)、通信_ECU71は、ステップS204に進む。ステップS204において、通信_ECU71は、入力された制御情報に該当するIDの車両5に対し、送受信機74を通じて制御情報を送信した後、ステップS205に進む。
【0102】
一方、ステップS203において、制御情報が入力されていないと判定した場合(ステップS203:NO)、通信_ECU71は、そのままステップS205に進む。
【0103】
ステップS203或いはステップS204からステップS205に進むと、通信_ECU71は、情報認識_ECU72から新たに更新された道路地図情報が入力されたか否かを調べる。
【0104】
そして、ステップS205において、道路地図情報が入力されたと判定した場合(ステップS205:YES)、通信_ECU71は、ステップS206に進む。ステップS205において、通信_ECU71は、入力された道路地図情報を管制エリア内の各車両5に送信した後、ルーチンを抜ける。
【0105】
一方、ステップS205において、道路地図情報が入力されていないと判定した場合(ステップS205:NO)、通信_ECU71は、そのままルーチンを抜ける。
【0106】
次に、情報認識_ECU72において実行される道路交通情報認識処理について、
図8に示す道路交通情報認識ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、情報認識_ECU72において、設定時間毎に繰り返し実行されるものである。
【0107】
ルーチンがスタートすると、情報認識_ECU72は、通信_ECU71を通じて外部からの情報が入力されたか否かを調べる。
【0108】
そして、ステップS301において、外部からの情報が入力されていない判定した場合(ステップS301:NO)、情報認識_ECU72は、そのままルーチンを抜ける。
【0109】
一方、ステップS301において、外部からの情報が入力されたと判定した場合(ステップS301:YES)、情報認識_ECU72は、ステップS302に進む。ステップS302において、情報認識_ECU72は、入力された情報が車両5からの情報であるか否かを調べる。すなわち、情報認識_ECU72は、入力された情報が第1の道路交通検出情報であるか否かを調べる。
【0110】
そして、ステップS302において、入力された情報が車両5からの情報であると判定した場合(ステップS302:YES)、情報認識_ECU72は、ステップS303進む。そして、情報認識_ECU72は、ステップS303において、第1の道路交通検出情報に基づき、道路地図上における車両5の現在位置、車両5の進行方向、及び、車両5の速度等を認識した後、ステップS304に進む。
【0111】
一方、ステップS302において、入力された情報が車両5からの情報でないと判定した場合(ステップS302:NO)、すなわち、入力された情報が第2の道路交通検出情報であると判定した場合、情報認識_ECU72は、そのままステップS304に進む。
【0112】
ステップS302或いはステップS303からステップS304に進むと、情報認識_ECU72は、入力された道路交通検出情報に基づく道路交通情報の認識を行う。
【0113】
例えば、第1の道路交通検出情報に基づく道路交通情報の認識を行う場合、情報認識_ECU72は、ステップS303において認識した車両位置及び進行方向等を基準として、道路上の車線区画線、車線間幅、他車両や歩行者等の立体物等の各種情報の認識を行う。さらに、情報認識_ECU72は、車両5との相対速度に基づいて各種立体物の移動速度等を認識する。
【0114】
また、例えば、第2の道路交通検出情報に基づく道路交通情報の認識を行う場合、情報認識_ECU72は、監視装置50の座標及びカメラユニット51の光軸方向を基準として、道路上の車線区画線、車線間幅、他車両や歩行者等の立体物等の各種情報の認識を行う。さらに、情報認識_ECU72は、各種立体物の移動速度等を認識する。
【0115】
そして、ステップS304からステップS305に進むと、情報認識_ECU72は、ステップS304等において認識した道路交通情報を用いて道路地図情報を更新した後、ステップS306に進む。
【0116】
そして、ステップS305からステップS306に進むと、情報認識_ECU72は、ステップS305において更新した道路地図情報を、通信_ECU71及び走行_ECU73に出力した後、ルーチンを抜ける。
【0117】
次に、管制装置70の走行_ECU73において実行される各車両5に対する制御情報の演算処理について、
図9,10に示す制御情報演算ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、走行_ECU73において、設定時間毎に繰り返し実行されるものである。
【0118】
ルーチンがスタートすると、走行_ECU73は、ステップS401において、道路交通情報に基づいて(より具体的には、最新の道路交通情報が反映された道路地図情報に基づいて)、管制エリア内に存在する各車両5が障害物と衝突する可能性があるか否かの判定を行う。
【0119】
続くステップS402において、上述のステップS401の判定の結果、障害物と衝突する可能性のある車両5が存在するか否かを調べる。
【0120】
そして、ステップS402において、障害物と衝突する可能性のある車両5が存在しないと判定した場合(ステップS402:NO)、走行_ECU73は、そのままルーチンを抜ける。
【0121】
一方、ステップS402において、障害物と衝突する可能性のある車両5が存在すると判定した場合(ステップS402:YES)、走行_ECU73は、ステップS403に進む。ステップS403において、走行_ECU73は、管制エリア内に存在する車両5の中から衝突可能性のある車両5を抽出する。
【0122】
続くステップS404において、ステップS403で抽出した各車両5に対する制御情報として、各車両5が障害物との衝突を緊急制動制御により回避させるための目標減速度をそれぞれ算出する。
【0123】
続くステップS405において、走行_ECU73は、各車両5について、緊急制動制御による障害物との衝突回避が可能であるか否かを調べる。
【0124】
そして、ステップ405において、緊急制動制御による障害物との衝突回避が可能であると判定した場合(ステップS405:YES)、走行_ECU73は、そのままステップS407に進む。
【0125】
一方、ステップS405において、緊急制動制御による障害物との衝突回避が不可能であると判定した場合(ステップS405:NO)、走行_ECU73は、該当する車両5に対する制御情報として、各車両5が緊急操舵制御による障害物との衝突を回避するための目標舵角(目標操舵量)をそれぞれ算出する。
【0126】
そして、ステップS405或いはステップS406からステップS407に進むと、走行_ECU73は、各車両5について算出した制御情報を通信_ECU71に出力した後、ステップS408に進む。
【0127】
ステップS407からステップS408に進むと、走行_ECU73は、上述の制御情報に基づいて該当する車両5の衝突回避制御を行った際に、影響のある他車両5が管制エリア内に存在するか否かを調べる。すなわち、走行_ECU73は、上述の制御情報に基づいて車両5の衝突回避制御を行った際に、当該衝突回避制御を行った車両5に対して衝突する可能性がある他車両5が新たに発生するか否かを調べる。
【0128】
そして、ステップS408において、影響のある他車両5が存在しないと判定した場合(ステップS408:NO)、走行_ECU73は、そのままルーチンを抜ける。
【0129】
一方、ステップS408において、影響のある他車両5が存在すると判定した場合(ステップS408:YES)、走行_ECU73は、ステップS409に進む。ステップS409において、走行_ECU73は、衝突可能性が生じた新たな車両5を抽出する。
【0130】
そして、ステップS409からステップS410に進むと、抽出した各車両5に対し、ステップS410~ステップS413までの処理において、上述のステップS404~ステップS407と同様の処理を行った後、ステップS408に戻る。
【0131】
このような実施形態によれば、車両の運転制御システム1は、車両5に搭載されたカメラユニット11と、車両5に搭載された送受信機18と、路側に定点配置された監視装置50に設けられたカメラユニット51と、監視装置50に設けられた送受信機53と、所定の管制エリア毎に配置された管制装置70に設けられた送受信機74と、管制装置70に設けられ、送受信機18を通じて送受信機74が受信した第1の道路交通検出情報、及び、送受信機53を通じて送受信機74が受信した第2の道路交通検出情報に基づいて道路交通情報を認識する情報認識_ECU72と、管制装置70に設けられ、管制エリア内に存在する車両5の制御情報を道路交通情報に基づいて演算する走行_ECU73と、車両5に搭載され、送受信機74を通じて送受信機18が受信した制御情報に基づいて運転制御を行うE/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25とを備えて構成されている。これにより、車両5に複雑なシステムを搭載することなく、最新の運転制御を各種仕様の車両5に展開することができる。
【0132】
すなわち、管制装置70の情報認識_ECU72は、各車両5の運転制御装置10及び各監視装置50から送信される第1,第2の道路交通検出情報に基づいて管制エリア内の道路交通情報を複合的に認識する。このため、情報認識_ECU72は、車両5の周辺の道路交通情報を精度よく効率的に認識することができる。そして、情報認識_ECU72において認識した道路交通情報に基づき、管制装置70の走行_ECU73が各車両5の制御情報(制御パラメータ)の演算を行う。このため、個々の車両5に多重の自律センサ等を設ける必要がなく、個々の車両5に高性能な制御ユニット等を搭載する必要もない。従って、車両5側のシステムを格段に簡素化することができる。
【0133】
また、管制装置70の走行_ECU73において各車両5の制御情報の演算を行うため、制御情報を演算するためのプログラム等のバージョンアップ等が容易であり、最新の運転制御を各仕様の車両5に展開することができる。
【0134】
この場合において、各車両5はカメラユニット11等の少なくとも1つの自律センサを有する。このため、監視装置50では捉えることが困難な場合がある歩行者の急な飛び出し等についても、情報認識_ECU72において的確に認識することができる。
【0135】
また、各送受信機18,53,74に高信頼・低遅延通信システム(第5世代移動通信システム等)に適合した送受信機を採用することにより、通信による遅延を極めて小さな遅延に抑制することができる。このため、道路交通情報をリアルタイムで認識することができ、さらに、リアルタイムで認識した道路交通情報に基づく制御情報を各車両5に対してリアルタイムで反映させることができる。
【0136】
また、走行_ECU73は、制御情報を設定した当該車両5の挙動によって影響を受ける他の車両5に対しても衝突回避等のための制御情報を必要に応じて演算する。このため、他の車両5に対する衝突回避等のための制御を速やかに実行することができる。すなわち、管制エリア内に存在する各車両5に対する制御情報の演算が、管制装置70内の走行_ECU73において一括して行われる。これにより、例えば、制御情報を設定した当該車両5が実際に衝突回避等のための挙動を起こす前に、当該車両5が他の車両5に及ぼす影響を、当該車両5に対する制御情報から事前に把握することができる。従って、他の車両5に対する制御情報を事前に演算することができ、他の車両5に対する衝突回避等のための制御を応答性よく実現することができる。
【0137】
ここで、上述の実施形態において、通信_ECU21、走行_ECU22、E/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25、警報_ECU26、通信_ECU52、通信_ECU71、情報認識_ECU72、走行_ECU73等は、CPU,RAM,ROM、不揮発性記憶部等を備える周知のマイクロコンピュータ、及びその周辺機器で構成されている。ROMにはCPUで実行するプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。なお、プロセッサの全部若しくは一部の機能は、論理回路あるいはアナログ回路で構成してもよい。また各種プログラムの処理を、FPGAなどの電子回路により実現するようにしてもよい。
【0138】
以上の実施の形態に記載した発明は、その形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。
【0139】
例えば、上述の実施の形態においては、車両5にステレオカメラからなるカメラユニット11を搭載した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ステレオカメラからなるカメラユニットに代えて、単眼カメラからなるカメラユニット、ミリ波レーダ、ライダー(Lidar:light detection and ranging)等を適用することも可能である。同様に、監視装置50においても、単眼カメラからなるカメラユニット51に代えて、ステレオカメラからなるカメラユニット、ミリ波レーダ、ライダー等を適用することも可能である。
【0140】
さらに、例えば、
図11に示すように、管制装置70に対して第1の道路交通検出情報を提供するための移動体としては、スマートフォンや携帯電話機等の通信端末80を採用することが可能である。
【0141】
この場合、通信端末80は、第1の道路交通検出取得手段として、通信_ECU82に接続された、カメラユニット81、加速度センサ84、速度センサ85、ジャイロセンサ86、及び、GNSS受信機87等を有する。また、通信端末80は、第1の通信機として、通信_ECU82に接続された送受信機88を有する。
【0142】
なお、カメラユニット81、加速度センサ84、速度センサ85、ジャイロセンサ86、及び、GNSS受信機87等は、上述の実施形態におけるカメラユニット11、加速度センサ14、速度センサ15、ジャイロセンサ16、及び、GNSS受信機17等に対応する構成である。また、通信_ECU82は、上述の実施形態における通信_ECU21に対応する構成である。さらに、送受信機88は、上述の実施形態における送受信機18に対応する構成である。従って、これらの各構成については、詳細な説明を省略する。
【0143】
このような通信端末80は、例えば、
図12に示すように、管制エリア内において歩行者100等が保持することにより、第1の道路交通検出情報を取得し、取得した第1の道路交通検出情報を管制装置70に送信することが可能である。
【0144】
また、例えば、
図13に示すように、通信端末80は、カメラユニットや送受信機等を備えていない運転制御装置10を搭載した車両5に適用することが可能である。この場合、車両5のダッシュボード等に固定した通信端末80を、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の通信ケーブルを介して、運転制御装置10に接続することが可能である。これにより、通信端末80は、第1の道路交通検出情報を取得し、取得した第1の道路交通検出情報を管制装置70に送信することが可能である。また、通信端末80は、管制装置70から受信した制御情報を、各ECU23~26に出力することが可能である。
【0145】
また、上述の実施形態においては、各車両の安全に係る制御情報のみを管制装置において演算し、クルーズコントロール等の利便性のための制御の制御情報については、各車両に別途設けた走行制御ユニットにおいて演算する構成について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、利便性のための制御情報等を管制装置において演算するようにしてもよい。この場合、各車両の運転制御装置に設けられた走行_ECU等については、適宜省略することが可能である。
【0146】
次に、
図14乃至
図15を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
【0147】
本実施形態は、管制装置70の送受信機74から運転制御装置10の送受信機18に送信される情報を削減するための実施形態である。
【0148】
具体的には、本実施形態において、管制装置70の送受信機74から運転制御装置10の送受信機18に送信される情報は、車両5の安全性確保に関する制御情報(例えば、障害物に対する緊急制動制御及び緊急操舵制御)のみとなっている。
【0149】
すなわち、本実施形態において、送受信機74から送受信機18に対する道路地図情報の送信は、基本的には行われない。例えば、
図15に示すように、管制装置70の通信_ECU71は、上述の第1の実施形態におけるステップS201~ステップS204の処理のみを行う。
【0150】
このため、例えば、利便性向上のための運転支援制御機能を備えた車両5では、カメラユニット11には、IPU11cにおいて生成した距離画像情報に基づいて道路交通情報を認識するための情報認識部11dが設けられている。
【0151】
情報認識部11dは、例えば、距離画像情報等に基づき、車両5の周辺の道路を区画する車線区画線の算出、走行路の左右を区画する各区画線の道路曲率、及び、車線幅の算出等を行う。また、情報認識部11dは、例えば、距離画像情報に対して所定のパターンマッチング等を行うことにより各種立体物の認識処理を行う。
【0152】
このように情報認識部11dにおいて認識された道路交通情報は、走行_ECU22に出力される。そして、走行_ECU22は、情報認識部11dから入力された道路交通情報に基づき、例えば、追従車間距離制御、及び、車線中央維持制御等のための制御情報を演算する。
【0153】
なお、管制装置70からの道路交通情報が送信されない本実施形態においては、道路交通情報を認識するための構成として、カメラユニット11に加えて或いはカメラユニット11に代えて、ミリ波レーダやレーザレーダ等の自律センサ、及び、管制装置72の道路地図情報とは独立した道路地図情報を備えたロケータユニット等を適宜設けることも可能である。
【0154】
このような実施形態によれば、管制装置70の送受信機74から車両5の送受信機18に送信する情報を、車両5の安全性確保のための制御情報に限定する。これにより、送受信機74から送受信機18への通信負荷を大幅に軽減することができる。従って、管制装置70の走行_ECU73において高精度に演算された制御情報を対象車両5に対して瞬時に送信することができ、車両5の安全性確保のための制御をより高いレベルで実現することができる。
【0155】
すなわち、例えば、運転制御装置10の走行_ECU22において演算された制御情報に基づく走行制御が実行されている場合にも、管制装置70から送信された制御情報に基づく衝突回避制御を割り込み制御として速やかに実行することができる。
【0156】
なお、上述の各実施形態及び変形例に示した構成については、適宜組み合わせることが可能である。また、上述の各実施の形態及び変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。例えば、上述の各実施形態においては、運転制御装置10に走行_ECU25が設けられた車両5を例示したが、走行_ECU25が設けられていない車両5に対しても、管制装置70からの制御情報に基づいて安全性確保のための制御を行うことが可能である。
【0157】
本出願は、2020年12月28日に日本国に出願された特願2020-219596号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。