IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司の特許一覧 ▶ シージー レール ヒネーズィッシュ ドイチェス フォルシュングス ウント エントヴィックルングスツェントルム フュール バーン ウント フェアケーアステクニーク ドレスデン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7412649台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置
<>
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図1
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図2
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図3
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図4
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図5
  • 特許-台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】台車用の動力学的キット及びバネレバーからなる装置
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/30 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
B61F5/30 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023537116
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2021085927
(87)【国際公開番号】W WO2022129191
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】102020133694.2
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(73)【特許権者】
【識別番号】519204766
【氏名又は名称】シージー レール ヒネーズィッシュ ドイチェス フォルシュングス ウント エントヴィックルングスツェントルム フュール バーン ウント フェアケーアステクニーク ドレスデン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】CG Rail - Chinesisch-Deutsches Forschungs- und Entwicklungszentrum fuer Bahn- und Verkehrstechnik Dresden GmbH
【住所又は居所原語表記】Freiberger Str. 33, 01067 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】ディン サンサン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】リン ハオボ
(72)【発明者】
【氏名】シエ ジンル
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ペン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ソン
(72)【発明者】
【氏名】スン ホウリ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジョンユー
(72)【発明者】
【氏名】ウルブリヒト アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フーフェンバッハ ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイドラー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ハウシルト ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ハラタ マイク
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ベルト
(72)【発明者】
【氏名】イルクナー イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ソルティシアク シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】イルムシャー パトリック
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-509958(JP,A)
【文献】特開2013-177097(JP,A)
【文献】特開2009-35201(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3584137(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのホイールセット(130)を有する台車(1)用の、動力学的キット(300)及びバネレバー(200)からなる装置であって、前記ホイールセットは軸(131)によって接続される2つのホイール(132)をそれぞれ有し、前記バネレバー(200)の第1端部領域(201)は台車(1)の一次サスペンションのバネ部材(121)に接続可能であり、前記バネレバー(200)の第2端部領域(202)は前記動力学的キット(300)によって前記台車(1)のホイールセット(130)のうちの1つのホイールセットに作用する軸受(140)を構成する装置であって、前記動力学的キット(300)は少なくとも1つのダンパ素子(306)、摩擦ライニング(304)及び関節軸受(302)を有し、中空キャビティ型材として構成されるバネレバー(200)の少なくとも1つの中空キャビティの内部体積に部分的に配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記バネレバー(200)は、繊維プラスチック複合材からなる中空キャビティ型材として構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バネレバー(200)の第1端部領域(201)は、前記台車(1)の一次サスペンションのバネ部材としてのねじりバネ素子(121)の端部領域にねじり抵抗するように接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記動力学的キット(300)は前記バネレバー(200)及び前記軸受(140)に離脱可能に接続されることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記動力学的キット(300)は環境に対して密閉されるハウジング(308)を有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記動力学的キット(300)は、前記関節軸受(302)と前記バネレバー(200)との間に配置されるとともに、前記関節軸受(302)に接合される浮き上がり防止装置(301)をさらに有することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記動力学的キット(300)は、前記動力学的キット(300)のダンパ素子(306)に関連付けられる少なくとも1つの補償ディスク(307)を有することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記動力学的キット(300)のダンパ素子(306)はゴム金属素子であることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
鉄道車両用の台車(1)であって、前記台車は軸受(140)に支持される少なくとも2つのホイールセット(130)、及び少なくとも1つの横梁(100)を有し、ホイールセット(130)の2つの軸受(140)のうちのそれぞれは軸レバー(111)によって前記横梁(100)にヒンジ連結されるように接続され、前記台車は前記ホイールセット(130)に平行するように配置される少なくとも2つのねじりバネ素子(121)を有し、前記ねじりバネ素子は少なくとも1つの領域をそれぞれ有し、前記領域において、前記ねじりバネ素子は前記横梁(100)にねじり抵抗するように接続され、各軸受(140)には、請求項1~8の何れか1項に記載の動力学的キット(300)及びバネレバー(200)からなる装置が関連付けられ、前記装置のバネレバー(200)の第1端部領域(201)は、前記ねじりバネ素子(121)の、前記横梁(100)から張り出した端部領域にねじり抵抗するように接続され、前記バネレバー(200)の、前記ねじりバネ素子(121)に接続されていない第2端部領域(202)は前記動力学的キット(300)によって前記軸受(140)に作用する台車(1)。
【請求項10】
前記軸受(140)は前記動力学的キット(300)に接合される少なくとも1つの案内素子(141)を有することを特徴とする請求項9に記載の台車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の序文に記載の台車用の動力学的キット(Kinematikpaket)及びバネレバーからなる装置、及び請求項9の序文に記載の動力学的キット及びバネレバーからなる装置を有する台車に関している。
【背景技術】
【0002】
伝統の鋼構造形態の鉄道車両用の台車は高い自重以外、別の欠陥を有し、即ち、前記台車は複数の単一の部材から構成され、組込み部材、例えば駆動装置、制御装置及びブレーキ装置のための構成空間が小さく、前記台車において、一次サスペンション、即ち、ホイール又はホイール軸の、台車に対するサスペンションは一般的に板バネ、コイルバネ或ゴム金属バネによって付与される。
【0003】
自重を軽減するために、従来技術によれば、繊維プラスチック複合体構造形態の台車は既知であり、前記台車において、一次サスペンションは例えば、DE2952182A1に記載の台車フレーム、又は、例えばUS2012/0279416A1から既知になる、繊維プラスチック複合材(FKV)からなる板バネによって実現される。
【0004】
FKVはトーションバーバネ、トーションバー又はトルクロッドとも呼ばれるねじりバネの構造中の使用は、荷重の繊維配向の可能性に合うため、特別な利点を提供し、これによって、FKVからなるねじりバネのねじり剛性に対して、繊維の縦方向上の弾性率Eを配慮しなければならなく、例えば、金属バネの場合と異なって、小さなせん断率Gを配慮する必要がない。
【0005】
また、前記原因のため、ねじりバネによって一次サスペンションを実現する状況での台車は、高い軽型構造潜在力及び組込み部材のための十分な構成空間を有する。ねじりバネ一次サスペンションを有する台車は、例えばDE735080Aから既知になり、前記台車において、ホイール軸は高さ方向で振動するガイドロッドによって台車フレームに締結され、各ガイドロッドは、走行方向に対して横方向に配置されるねじりバネの端部領域に締結される。類似の構成形態についてDE838897Bにおいて記載され、ここで、ガイドロッドはねじりバネの、台車中心での調節可能なアンカリングによって高さを調節できる。
【0006】
DE69917159T2はホイールにマッチングするように共同に支持される台車を開示し、前記台車は少なくとも2つのホイール軸、軸から少なくとも台車の中心長さでのセグメントに略位置するように延在する少なくとも1つの縦梁、及び軸回転可能に取り付けられる軸箱を含み、縦梁は一次サスペンション部材を形成する少なくとも1つの弾性ロッドを含み、樹脂に嵌め込まれる繊維による複合材から形成される。
【0007】
また、EP2733041A1は台車(鉄道車両用)を開示し、前記台車は鉄道車両の車体を支持するための横ばりと、前記横ばりを挟んで車両長手方向の前方及び後方において車幅方向に沿って配置された前後一対の車軸と、前記車軸の車幅方向両側に設けられて、前記車軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を収容する軸箱と、鉄道車両の縦方向に延びる板バネと、前記横ばりの車幅方向両端部に設けられて、前記板バネに対して上下方向に固定されない状態で前記板バネの車両縦方向中央部に載せられて前記板バネの前記車両長手方向中央部に離隔可能に接触している当接部材と、前記軸箱に設けられて、前記板バネの車両縦方向両端部を支持する支持部材と、を備え、板バネのうちの各板バネの鉄道車両縦方向中央部に位置する上部面は、側面視で下方に向けて凸である略円弧形状を有する。
【0008】
DE102016123784A1に記載の、ねじりバネ一次サスペンションを有する台車は、ホイールセットの各軸受に1つの湾曲したバネレバーをそれぞれ備え、前記バネレバーは台車のねじりバネの端部領域にそれぞれ接続されて上方から軸受に作用する。示されるバネレバーは中実の鋼部材である。軸受での取付はバネレバーの軸受側の端部領域の平らなディスクによって行われる。ホイールセットの軸受は軸レバーによって台車フレーム、例えば横梁にヒンジ連結されるように接続される。ここで、台車において、軸レバーを有する軸受と、バネレバーを有するねじりバネとは、異なるねじりポイントを備え、これによって、弾む時、部材の間の相対運動を取得する。
【0009】
既知するように、ダンパ素子を使用して前記相対運動を補償し、DE102016123784A1に記載の構成形態において、約50mmの高さを有するゴム金属素子を使用する。ここで、硬いゴム金属素子を使用すると、優れるダンパ特性を有し、軟らかいゴム金属素子は相対運動のよい補償に有利である。悪いダンパは、乗り心地に悪影響を与え、相対運動の欠陥がある補償は、関する部材の摩耗を速める恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は従来技術の欠陥を克服して、台車用の装置を製造することを目的とし、前記装置はよいダンパ特性を実現する上に、台車の部材の摩耗を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、請求項1の特徴を有する装置、及び請求項9の特徴を有する台車によって実現される。本発明の改良解決策は従属請求項から与えられる。
【0012】
本発明による動力学的キット及びバネレバーからなる装置は台車に適用され、前記台車は少なくとも2つのホイールセットを有し、前記ホイールセットは軸によって接続される2つのホイールを有し、軸の各端部領域は軸受に支持される。軸受は、例えば軸レバーによって台車フレームにヒンジ連結されるように接続される。
【0013】
前記装置のバネレバーは、台車の一次サスペンションのバネ部材に接続される第1端部領域と、動力学的キットによって台車のホイールセットのうちの1つのホイールセットに作用する、前記第2端部領域に関連付けられる軸受を構成する第2端部領域とを有する。
【0014】
前記装置は、ホイールセットの、台車に対する力及び運動を一次サスペンションに伝達し及び/又は吸收し、及び/又は補償する。好ましくは、バネレバーの第2端部領域は、バネレバーを上方から関連の軸受に作用させるように配置され、「上方」及び「下方」という位置名称は、装置の台車における位置決めとして理解されるため、「下方」は、より地面に近接する位置決めを意味する。
【0015】
本発明によれば、動力学的キットは少なくとも1つのダンパ素子、少なくとも1つの摩擦ライニング及び少なくとも1つの関節軸受を有する。
【0016】
好ましくは、本発明による装置の動力学的キットの本発明による実施形態によれば、ダンパ要求を満たすために、ダンパ素子は標的に配置され、なぜならば、例えば、ピボット軸受として実施される関節軸受は部材の間の角度オフセットを補償し、摩擦ライニングは部材の間の並進運動オフセットを補償するためである。
【0017】
従来技術よりも、本発明による動力学的キットはより多くの構成空間を必要とするため、本発明によれば、バネレバーは少なくとも1つの中空キャビティを有する中空キャビティ型材として構成され、動力学的キットは少なくとも1つの中空キャビティの内部体積に部分的に配置され、即ち、バネレバーの内部体積に入り込む。そのため、バネレバーの外壁部における第1外壁部は空き部を有し、動力学的キットは前記空き部を介してバネレバーの内部体積に入り込んで、第1壁部と対向する第2壁部は動力学的キットに接続される。
【0018】
好ましくは、バネレバーはちょうど1つの中空キャビティを有する中空キャビティ型材である。動力学的キットの軸受上方での好適な位置決めにおいて、中空キャビティ型材の下壁部、即ち、軸受に面する壁部は、動力学的キットを収容する空き部を備える。そうすれば、動力学的キットの締結は中空キャビティ型材の上壁部で行われる。
【0019】
好ましくは、動力学的キットのダンパ素子は軸受側、即ち、動力学的キットの、軸受に面する側に配置され、関節軸受はバネレバー側、即ち、動力学的キットの、バネレバー壁部に面する側に配置され、前記バネレバー壁部は、動力学的キットを収容する空き部を備えていない。好ましくは、ダンパ素子は関節軸受の下方に配置される。摩擦ライニングはダンパ素子と関節軸受との間に配置される。
【0020】
例えば、摩擦ライニングはPTFEによる摩擦ライニングである。
【0021】
前記装置の1つの実施形態において、バネレバーは、FKVからなる中空キャビティ型材として構成される。FKVバネレバーは、その下壁部が空き部を有するように構成され、動力学的キットは前記空き部を介してFKVバネレバーの内部体積に入り込む。動力学的キットはFKVバネレバーの上壁部の、内部体積に面する側に貼り付けられる。従って、動力学的キットによって伝達される力は、FKVバネレバーの上壁部に吸収され又は伝達され、或いはFKVバネレバーの上壁部によって吸収され又は伝達される。伝統の鋼型材に対して、バネレバーを繊維複合体構造形態として実施することで、同じ機械的特性の場合、著しい重量の低減を実現できる。好ましくは、炭素繊維は補強繊維として機能する。
【0022】
前記装置の別の実施形態において、バネレバーの第1端部領域は、台車の一次サスペンションのバネ部材としてのねじりバネ素子の端部領域にねじり抵抗するように接続される。従って、本発明による装置は、ねじりバネ一次サスペンションを有する台車に適用される。
【0023】
本発明による装置の別の実施形態において、動力学的キットは環境に対して密閉されるハウジングを有する。例えば、ハウジングは軸受側でOリング密閉部材によって密閉される。バネレバー側で、ハウジングは、その包被面と離間できる覆い部材を備える。好ましくは、ハウジングは保護を提供することで、摩耗を招致する外部の影響を受けていない。
【0024】
本発明による装置の別の実施形態において、動力学的キットはバネレバーに離脱可能に接続されて、軸受に離脱可能に接続される。好ましくは、例えば、メンテナンスのために、動力学的キットは装置から取り外されることができる。例えば、動力学的キットは、例えば動力学的キットに接合されてスライドキーを有するスリーブ連結部材によってバネレバーに締められる。
【0025】
本発明による装置の別の実施形態において、動力学的キットは関節軸受とバネレバーとの間に配置されるとともに、関節軸受に接合される浮き上がり防止装置(Abhebesicherung)を有する。例えば、前記実施形態において、スライドキーを有するスリーブ連結部材は浮き上がり防止装置に接合されることで、動力学的キットとバネレバーとを離脱可能に接続する。
【0026】
好ましくは、軸受側で動力学的キットは、その位置を保障するために、軸受との形状合わせが設けられるように実施され、例えば軸受用の、動力学的キットに接合される案内素子、例えば軸頚として構成される収容部には、軸受との形状合わせが設けられる。
【0027】
別の実施形態において、本発明による装置の動力学的キットは少なくとも1つの補償ディスクを有する。好ましくは、前記補償ディスクはダンパ素子に関連付けられるように配置され、特に好ましくは、軸受側に配置される。補償ディスクは基本的に、公差補償及び台車の各バネレバーの間の水平調節に用いられ、これによって、好ましくは、台車の各バネレバーは、強度が同様である荷重を有する。
【0028】
本発明による装置の別の実施形態において、動力学的キットのダンパ素子はゴム金属素子である。ゴム金属素子の特定のダンパ特性は、例えばゴム混合物の選択及び素子の造型によって定義される。
【0029】
本発明の別の態様は鉄道車両用台車に関し、前記台車は軸受に支持される少なくとも2つのホイールセット、及び少なくとも1つの横梁を有し、ホイールセットの2つの軸受のうちのそれぞれは軸レバーによって横梁にヒンジ連結されるように接続される。一次サスペンションとして、台車はホイールセットの軸に平行して配置される少なくとも2つのねじりバネ素子を有し、前記ねじりバネ素子はその側に少なくとも1つの領域をそれぞれ有し、前記領域において、前記ねじりバネ素子は横梁にねじり抵抗するように接続される。ここで、ねじりバネ素子には、ホイールセットのうちのそれぞれのホイールセットが関連付けられる。台車の各軸受には、記載の実施形態又は記載の実施形態の組み合わせの、本発明による動力学的キット及びバネレバーからなる装置が関連付けられ、本発明による装置のバネレバーの第1端部領域は、ねじりバネ素子の、横梁から張り出した端部領域にねじり抵抗するように接続され、バネレバーの、ねじりバネ素子に接続されていない第2端部領域は動力学的キットによって軸受に作用する。ここで、動力学的キットは目的に合うように軸受の上方に配置される。
【0030】
本発明による台車の実施形態は、重量を節約するように、FKVによって台車の複数の部材、特に横梁、ねじりバネ素子の形態の一次サスペンション、及び装置のバネレバーを実施することを許容する。
【0031】
1つの実施形態において、本発明による台車の軸受は少なくとも1つの案内素子、例えば軸頚を有し、前記案内素子は動力学的キットに形状合わせるように接合されることで、位置を保障する。
【0032】
本明細書の範囲において、簡潔のために、「少なくとも1つ」という用語は、1つ、ちょうど1つ、複数(例えば、ちょうど2つ又は2つ超)、多い(例えば、ちょうど3つ又は3つ超)などを指す。ここで、「複数」又は「多い」は、複数又は多くの同じ素子が存在することを意味していなく、同じ基本機能を有する複数又は多くの素子を意味する。
【0033】
本発明は、示されて記載される実施形態に限定されず、本発明の意味内にある、同じ効果を有する全ての実施形態をさらに含む。また、本発明は具体的に記載される特徴組み合わせにも限定されず、全体的に開示される全ての単一の特徴の特定特徴のそれぞれの任意の他の組み合わせによって定義され、単一の特徴は互いに排除されず、又は単一の特徴の具体的な組み合わせは明らかに排除されていなければよい。
【0034】
本発明は前記実施例に限定されず、以下、実施例によって図面に基づいて記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】透視図法で本発明による台車を示す模式図である。
図2】細部Dを有する平面図で図1の本発明による台車を示す模式図である。
図3】本発明による台車の、図2による細部Dの模式図である。
図4】細部Aを有する側面図で図1の本発明による台車を示す模式図である。
図5図4による細部Aの横断面の模式図で本発明による装置を示す。
図6図5における細部Cの横断面で本発明による装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は透視図法で本発明による鉄道車両用の台車1を示す。他の部材、例えば伝動装置、モータ、ブレーキ装置、車室などのための中心取付として、台車1は横梁100を有する。横梁100には、対応する収容部を有する4つの軸レバー関節110が配置される。軸レバー関節110における各軸レバー関節によって軸レバー111と横梁100とをヒンジ連結するように接続し、前記軸レバーは軸受140に接続される。2つの軸受140には1つのホイールセット130がそれぞれ積載され、各ホイールセット130は軸131によって互いに接続される2つのホイール132を有する。鉄道車両の一次サスペンションに対して、2つのねじりバネ素子121はホイールセット130の軸131に平行するように横梁100の内部体積に配置され、各ねじりバネ素子121の略軸中心の領域(覆われる)において横梁100にねじり抵抗するように接続される。ねじりバネ素子121の、横梁100から張り出した端部領域にはねじりバネ収容部材120がそれぞれ配置され、前記ねじりバネ収容部材はねじりバネ素子121をねじり抵抗するように収容する。例えば、ねじりバネ素子121は1つのねじりバネを有してもよい。ところが、ねじりバネ素子121は、例えば軸方向で整合するように配置される2つのねじりバネを有してもよく、前記ねじりバネの、横梁100の内部体積に配置され、横梁100から張り出した端部領域と異なる端部領域は横梁100にねじり抵抗するように接続される。基本的に、ホイール軸131に対して横方向に配向されるバネレバー200の第1端部201は、各ねじりバネ収容部材120に接続される。バネレバー200の第2端部202は動力学的キット(覆われる)を介して上方から関連の軸受140に作用する。
【0037】
図2は平面図で図1における本発明による台車1を示す。以下、示される細部Dをより詳しく記載する。
【0038】
図3図2の細部Dを示す。平面図はバネレバー200の第2端部領域202を示し、動力学的キット(覆われる)は締結素子210によって前記バネレバーに接続される。また、軸レバー111の、横梁100に接続される軸レバー関節110、軸受140及びホイールセット130のホイール132をさらに示す。
【0039】
図4は側面図で図1の本発明による台車1を示す。左軸受140の領域による細部Aは図5において横断面で示されて、以下、より詳しく記載される。
【0040】
図5は、動力学的キット300を有する位置での横断面を示し、本発明によるバネレバー200及び動力学的キット300からなる装置の横断面の図4による細部Aを備える。ホイール132のホイール軸131は軸受140に支持され、前記軸受は軸レバー111に接続される。動力学的キット300は軸受140の上側で軸受140に作用する。下壁部203における空き部によって、動力学的キット300は、中空キャビティを有するFKV中空キャビティ型材として実施されるバネレバー200の内部体積中に部分的に配置される。動力学的キット300のハウジング308はFKV中空キャビティ型材の形態のバネレバー200の上部内側に貼り付けられるとともに、締結素子210によってバネレバー200の上壁部204に接続される。与えられた細部Cについて図6において示して、以下、より詳しく記載している。
【0041】
図6図5の本発明による、バネレバー200及び動力学的キット300からなる装置の細部図面Cを示す。動力学的キット300は下壁部203における空き部を介してFKV中空キャビティ型材として実施されるバネレバー200の内部体積に入り込む。動力学的キット300は、ハウジング密閉部材309を有するハウジング308によって環境の影響、例えば汚物の影響から保護される。ハウジング308は覆い部材310を有し、前記覆い部材はバネレバー200の上壁部204の内側に貼り付けられ、締結装置210、例えばスライドキー及びボルトを有するスリーブ連結部材によって、上壁部に離脱可能に接続される。締結装置210は浮き上がり防止装置301に接続され、前記浮き上がり防止装置301は関節軸受302に接合されて、前記関節軸受をその位置に保障する。関節軸受302にはバネレバー側のアダプタ板303が設けられ、前記アダプタ板は摩擦ライニング304にマッチングする。摩擦ライニング304はバネレバー200と軸レバー111(図示せず)との間の相対運動を補償し又は実現する。摩擦ライニング304には軸レバー側のアダプタ板305が接続され、前記アダプタ板はゴム金属素子306に用いられ、前記ゴム金属素子には、軸受140に収容される少なくとも1つの補償ディスク307が配置されることで、例えば公差を補償する。少なくとも1つの補償ディスク307とゴム金属素子306とは形状合わせるように軸受軸頚141に位置し、前記軸受軸頚は軸受140に固定されて接続されることで、動力学的キット300の、軸受140に対する位置を制限するように保持する。
【符号の説明】
【0042】
1 ・・・台車;
100 ・・・横梁;
110 ・・・軸レバー関節;
111 ・・・軸レバー;
120 ・・・ねじりバネ収容部材;
121 ・・・ねじりバネ素子;
130 ・・・ホイールセット;
131 ・・・ホイール軸;
132 ・・・ホイール;
140 ・・・軸受;
141 ・・・軸受軸頚;
200 ・・・バネレバー;
201 ・・・バネレバーの第1端部領域;
202 ・・・バネレバーの第2端部領域;
203 ・・・下壁部;
204 ・・・上壁部;
210 ・・・動力学的キットの締結装置;
300 ・・・動力学的キット;
301 ・・・浮き上がり防止装置;
302 ・・・関節軸受;
303 ・・・バネレバー側のアダプタ板;
304 ・・・摩擦ライニング;
305 ・・・軸レバー側のアダプタ板;
306 ・・・ゴム金属素子;
307 ・・・補償ディスク;
308 ・・・ハウジング;
309 ・・・ハウジング密閉部材;
310 ・・・ハウジングの覆い部材;
A ・・・図4における細部;
C ・・・図5における細部;
D ・・・図2における細部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6