(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ゴルフのパッティング練習装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
A63B69/36 533A
A63B69/36 502D
A63B69/36 531D
(21)【出願番号】P 2023568189
(86)(22)【出願日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2023016169
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022071241
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520486812
【氏名又は名称】姜 鎬雲
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】姜 鎬雲
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5207429(US,A)
【文献】国際公開第00/40308(WO,A1)
【文献】実開昭60-195066(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフのパッティング練習装置であって、平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備える、ゴルフのパッティング練習装置。
【請求項2】
前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内で角度変更可能な構造を更に備える、請求項1記載のゴルフのパッティング練習装置。
【請求項3】
前記本体部(A)が、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、前記支持部(B)が備える角度変更可能な構造が、前記支持部(B)と前記保持部(2)との結合部(3)を備え、かつ、該結合部(3)を回転中心として前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を、前記結合部(3)と相対する側のミラー面(4)の端部を前記支持部(B)の設置面(g)に対して上下方向に移動して角度変更する構造である、請求項2記載のゴルフのパッティング練習装置。
【請求項4】
前記支持部(B)が、前記ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造を備える、請求項1~3のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置。
【請求項5】
前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、その長辺が5~60cmであり、その短辺が2~30cmである、請求項1~3のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置。
【請求項6】
平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備え、前記本体部(A)が、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、前記保持部(2)が、前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行かつミラー面(4)に対して垂直な二枚の平板(10)を少なくとも備え、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)は、いずれも同一平面上に存在しかつ前記ミラー面(4)に略平行な長方形である、ゴルフのパッティング練習装置(I)、及び、
前記保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺に略平行であって、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)より大きな内側の間隔(d2)を有し、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の対応する各長方形の幅(d3,d3’)より大きい幅(d4,d4’)を有する二つの平行な長方形状の直線(12)を備えるパッティング練習用マット(II)
を備える、組み合わせ式パッティング練習装置。
【請求項7】
前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内で角度変更可能な構造を更に備える、請求項6記載の組み合わせ式パッティング練習装置。
【請求項8】
前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)が、20~60mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)が、50~70mmであり、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の幅(d3,d3’)が、いずれも3~10mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の各直線(12)の幅(d4,d4’)が、いずれも8~12mmである、請求項6又は7記載の組み合わせ式パッティング練習装置。
【請求項9】
前記支持部(B)の設置面(g)が、ゴルフボールが置かれる面である、請求項1~3のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのパッティング練習装置に関し、更に詳しくは、平板状のハーフミラーを少なくとも備える本体部と、該本体部を空中に保持する支持部とを備える、ゴルフのパッティング練習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフのパッティング練習装置としては、種々のものが知られている。例えば、人工芝マットの末端付近にボールカップを設置し、該ボールカップからマット上に白色の直線を引いて、パットしたゴルフボールが該白線上を通るように誘導するパターマットと称される装置、更には、該人工芝マットに勾配を設けた装置等が知られている。また、2枚のプレート間に幅5mm深さ9mm程度の溝を持つ形状を特徴とする、パッティングのアドレスチェック用プレートであって、前記プレート溝側面は、プレート平面に対して90度の方向であり、前記プレート溝底面色は、視認性の高い明るい色で構成された構造を有するものが知られている(特許文献1)。該アドレスチェック用プレートは、ゴルフのパッティングにおいて、正確に両目をボール及びパッティングラインの真上に構えることができるようすることを目的とするものである。更には、ゴルフにおける姿勢やスイングの正確性を確認するためのミラーであって、所定の縦方向寸法、横方向寸法で構成されるミラー部材と、前記ミラー部材上に施した数本のアライメント確認用の直線ラインと、前記ミラー部材上に施した、体の各部位の位置確認やスイング幅等の確認のためのスケールと、ゴルフパッティング練習用に、前記ミラー部材上に開けられたボールの軌道確認用のティーペグ挿込穴とを備えることを特徴とするアライメント確認用ミラーが知られている(特許文献2)。該考案は、特許文献1記載の考案を改良してプレートをミラー様にしてプレイヤー自身が映り込むようにして、より効果的な練習を可能としたものである。
【0003】
ゴルフボールの直径にほぼ等しい又は直径よりも小さい内径を持つ筒とそれを鉛直に支持する機構を持つパット練習具が知られている(特許文献3)。該発明は、プレー用のパターを利用して、プレイヤーの利き目とゴルフボールの位置を正確に合わせ、その位置を保持したままでパターを引き、ゴルフボールを打ち、打った後も利き目の位置を保持し続けることが簡単な構造で確認でき、更に反復練習することにより、正しい姿勢を体に覚えさせることを可能とするパット練習具を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3196203号公報
【文献】実用新案登録第3200271号公報
【文献】特開2014-233618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、平板状のハーフミラーを少なくとも備える本体部と、該本体部を空中に保持する支持部とを備える、新規なゴルフのパッティング練習装置であって、プレイヤーが、ゴルフボールを、ゴルフボールが置かれている面(例えば、グリーン面)に対して90度方向、即ち、ゴルフボールの真上方向から確実に見ながら、パターヘッドのフェースをゴルフボールのセンターに90度方向から確実に当てることを可能とするばかりではなく、パターヘッドのフェースがゴルフボールに当たる瞬間、そして、それに続くゴルフボールの転がり等の一連の流れ(ターゲットライン)をもはっきりと確認しつつ、繰り返しパッティング練習をすることを可能とし、更には、ハーフミラーに映るプレイヤー自身の両眼、好ましくは、更に、顔、体の一部を視認することができることから、パッティングの前後で、ターゲットライン上にプレイヤー自身の両眼を一致させ、かつ、顔、体をターゲットラインに平行に合わせる練習をもすることができ、好ましくは、個々のプレイヤーがゴルフボールを見るときのグリーン面に対する自らの最適な角度を見つけ出すことができると共に、その角度で繰り返しパッティング練習をすることを可能とする、ゴルフのパッティング練習装置を提供するものである。本発明のゴルフのパッティング練習装置によれば、上記の繰り返しパッティング練習により実際のグリーン上でも精度よくプレイヤー自身のパッティングフォームを再現することができてパッティングの成功率を著しく高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ゴルフのパッティングにおいては、プレイヤーは、ゴルフボールを、ゴルフボールが置かれている面(グリーン面)に対して90度方向、即ち、ゴルフボールの真上方向から見ながらパッティングするというのが基本とされている。従って、上記従来のパターマット、パッティングのアドレスチェック用プレート及びミラー式のゴルフパッティング練習装置等においても、基本的にはゴルフボールを真上から見てパッティング練習をすることが原則である。しかし、これら従来の装置を使用して相当程度の練習を積んでも、なかなかパッティング練習の成果が上がらず、実際のグリーン上では思うようなパッティングができないというのが実情である。
【0007】
上記従来のパターマットでは、パットしたゴルフボールが白線上を通るように繰り返し練習することによりパッティング技術を向上させようとするものである。しかし、実際のグリーン上にはパターマット上に引かれているような白線は存在しない故に、プレイヤーはグリーン上に存在するボールとカップとの間に想像上の白線を頭の中に描き、それに合わせてパッティングすることになる。従って、プレイヤーは、ややもするとカップ方向にばかり気持ちを奪われてしまい、目線がボールから離れ、また、パット自体もおろそかになりがちであり、ミスを生じやすいという問題があった。また、上記のミラー式のゴルフパッティング練習装置では、基本的には、ゴルフボールが置かれている面(グリーン面)に対して90度方向、即ち、ゴルフボールの真上からゴルフボールを見ながらパットして、その際に、アドレス時の膝、腰、肩、目線のアライメントをミラーに映すことにより、アライメントをプレイヤー自身が確認してボールに対して正しく構えて、パッティング技術の向上を図ろうとするものである。既に述べたように、該装置での練習においては、ゴルフボールの真上からゴルフボールを見るということが基本となる。従って、一般的な欧米人のように身長の高いプレイヤーにとっては、グリーン上で比較的容易に再現できても、伸長が余り高くないプレイヤー、例えば、日本人等の東洋人にとっては、グリーン面に対して90度方向から常にゴルフボールを見ることは、パターシャフトの長さ等との関係からグリーン上で繰り返し再現することは容易ではないと考えられる。その結果、実際のパッティングの際には、グリーン面に対して90度より小さな角度でゴルフボールを見ることが多く、ミラー式のゴルフパッティング練習装置において練習した成果が殆んど得られなくなっているというのが実情である。このことは、上記のパッティングのアドレスチェック用プレートでも同様である。また、該ミラー式練習装置は、パッティング練習時に破損してしまうという問題も多々あった。
【0008】
上記のような全ての従来の練習装置においてパッティング練習の成果が上がらない大きな理由としては、これら従来の装置では、セットしたゴルフボールを、真上以外のあらゆる方向及び角度からでも自由に見ることができることから、プレイヤーがゴルフボールを真上から見て練習していると思っていても、実際には、真上以外の種々の角度からゴルフボールを見ていることが多く、加えて、ゴルフボールを見る角度も一定していない可能性があるということが挙げられる。プレイヤーがゴルフボールを確実に真上から見て練習することができる装置としては、上記特許文献3記載のパット練習具が知られている。しかし、該パット練習具は、鉛直方向に存在する、ゴルフボールの直径にほぼ等しい又は直径よりも小さい内径を持つ筒を通してゴルフボールを見ることから、利き目は確実にゴルフボールの真上に位置することはできるが、該筒の存在により死角が生じ、パターヘッドのフェースがゴルフボールに当たる瞬間、そして、それに続くゴルフボールの転がり等の一連の流れ(ターゲットライン)、即ち、パターによる打撃から打ち出しラインを明確に確認することができないという問題があった。更には、該筒により利き目とそれ以外の目が分断されていることから、利き目以外の目がターゲットライン上に確実に存在するか否かを十分に確認できない。また、実際にグリーン上でパッティングする際に該練習具との相違が大きく違和感を生じ、練習の成果が十分に発揮できないという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明者は、可能な限り実際のグリーンと同じ条件で、死角も生ずることなくかつ違和感なくパッティング練習をすることを可能にするには如何にすればよいかについて種々検討した。その結果、下記所定のハーフミラーを備えたゴルフのパッティング練習装置によれば、プレイヤーはパッティングの際にハーフミラーを通してゴルフボール及び打撃の瞬間からターゲットラインを確認することができる一方、ハーフミラー上にプレイヤー自身の眼、好ましくは、更に、顔、肩等の体の一部を視認することができることから、ハーフミラーを通して見えるゴルフボール上に、ハーフミラーに反射して見える自らの効き眼を一致させることにより、容易に、ゴルフボールの真上方向からゴルフボールを見ながらパッティングすることができて、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
更に、本発明者は、身長があまり高くないプレイヤーは、実際のプレーでは、グリーン面に対して90度より小さな角度でゴルフボールを見ていることが多いことに着目した。そこで、平板状のハーフミラーの角度を水平方向から種々変更することができるような構造にしておけば、プレイヤーは、ゴルフボールをグリーン面に対して90度方向、即ち、ゴルフボールを真上方向から見ながらパッティング練習することができるのみならず、個々のプレイヤーに応じた最適の角度を探して、その角度で繰り返し練習することができることを見出し、本発明の好ましい態様を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
(1)ゴルフのパッティング練習装置であって、平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備える、ゴルフのパッティング練習装置である。
【0012】
好ましい態様として、
(2)前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内で角度変更可能な構造を更に備える、上記(1)記載のゴルフのパッティング練習装置、
(3)前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して15度以内で角度変更可能な構造を更に備える、上記(1)記載のゴルフのパッティング練習装置、
(4)前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられたハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して10度以内で角度変更可能な構造を更に備える、上記(1)記載のゴルフのパッティング練習装置、
(5)前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられたハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して7度以内で角度変更可能な構造を更に備える、上記(1)記載のゴルフのパッティング練習装置、
(6)前記本体部(A)が、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、前記支持部(B)が備える角度変更可能な構造が、前記支持部(B)と前記保持部(2)との結合部(3)を備え、かつ、該結合部(3)を回転中心として前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を、前記結合部(3)と相対する側のミラー面(4)の端部を前記支持部(B)の設置面に対して上下方向に移動して角度変更する構造である、上記(2)~(5)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(7)前記支持部(B)が、前記ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造を備える、上記(1)~(6)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(8)前記ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)が、10~160cmである、上記(1)~(7)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(9)前記ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)が、20~100cmである、上記(1)~(7)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(10)前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、その長辺が5~60cmであり、その短辺が2~30cmである、上記(1)~(9)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(11)前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、その長辺が8~16cmであり、その短辺が2~6cmである、上記(1)~(9)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置、
(12)前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、その長辺が40~60cmであり、その短辺が15~25cmである、上記(1)~(9)のいずれか一つに記載のゴルフのパッティング練習装置
を挙げることができる。
【0013】
また、本発明者は、上記本発明のゴルフのパッティング練習装置を使用して、繰り返しパッティング練習をすることによりプレイヤー自身が身に着けた適切なパッティングフォームを、実際のグリーン上で更に精度よく再現するためには如何にすればよいかについて更に着目し種々検討を重ねた。その結果、本発明のゴルフのパッティング練習装置と共に、該パッティング練習装置に専ら使用する所定のパターマットを使用してパッティング練習をすれば、実際のグリーン上でもパッティングの成功率を著しく高めることができることを見出し、更に、本発明の好ましい態様を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は
(13)平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備え、前記本体部(A)が、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、前記保持部(2)が、前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行かつミラー面(4)に対して垂直な二枚の平板(10)を少なくとも備え、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)は、いずれも同一平面上に存在しかつ前記ミラー面(4)に略平行な長方形である、ゴルフのパッティング練習装置(I)、及び、
前記保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺に略平行であって、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)より大きな内側の間隔(d2)を有し、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の対応する各長方形の幅(d3,d3’)より大きい幅(d4,d4’)を有する二つの平行な長方形状の直線(12)を備えるパッティング練習用マット(II)
を備える、組み合わせ式パッティング練習装置である。
【0015】
好ましい態様として、
(14)前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内で角度変更可能な構造を更に備える、上記(13)記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(15)前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)が、20~60mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)が、50~70mmである、上記(13)又は(14)記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(16)前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)が、30~50mmmmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)が、50~70mmである、上記(13)又は(14)記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(17)前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)が、35~45mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)が、55~65mmである、上記(13)又は(14)記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(18)前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の幅(各長方形の短辺長)(d3,d3’)が、いずれも3~10mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の各直線(12)の幅(各長方形の短辺長)(d4,d4’)が、いずれも8~12mmである、上記(13)~(17)のいずれか一つに記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(19)前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の幅(各長方形の短辺長)が、いずれも3~7mmであり、前記パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の各直線(12)の幅(各長方形の短辺長)が、いずれも9~11mmである、上記(13)~(17)のいずれか一つに記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(20)前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行な二枚の平板(10)の一方の側が、支持部(B)により保持される、上記(13)~(19)のいずれか一つに記載の組み合わせ式パッティング練習装置、
(21)前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺が、打撃後のゴルフボールの転がり方向に沿って存在する、上記(13)~(19)のいずれか一つに記載の組み合わせ式パッティング練習装置
(22)前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行な二枚の平板(10)の一方の側が、支持部(B)により保持される、上記(13)~(19)のいずれか一つに記載の組み合わせ式パッティング練習装置
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のゴルフのパッティング練習装置によれば、パッティングにおいて、プレイヤーが、ゴルフボールが置かれている面(グリーン面)に対して90度方向、即ち、ゴルフボールを真上方向から確実に見ながら、パターヘッドのフェースをゴルフボールのセンターに90度方向から確実に当てることを可能とするばかりではなく、パターヘッドのフェースがゴルフボールに当たる瞬間、そして、それに続くゴルフボールの転がり等の一連の流れ(ターゲットライン)をも確認しつつ、繰り返しパッティング練習をすることを可能とし、更には、プレイヤーは、ハーフミラーに映るプレイヤー自身の両眼、好ましくは、更に、顔、体の一部を視認することができることから、パッティングの前後で、ターゲットライン上にプレイヤー自身の両眼を一致させ、かつ、顔、体をターゲットラインに平行に合わせる練習をすることができる。また、パターヘッドのフェースがゴルフボールに当たる瞬間を両眼で確実に確認することができるので、パターヘッドのフェースがゴルフボールに直角に当たっているか否かを確認することができる。好ましくは、個々のプレイヤーがゴルフボールを見るときのグリーン面に対する最適な角度を見つけ出すことができると共に、その角度で繰り返しパッティング練習をすることができることから、個々のプレイヤーが自らに適した独自のパッティング姿勢及び動作を会得して常に一定のものとして再現することができる。また、本発明の組み合わせ式パッティング練習装置によれば、上記の繰り返しパッティング練習をすることにより実際のグリーン上でも更に精度よくプレイヤー自身のパッティングフォームを再現することができてパッティングの成功率を著しく高めることができる。これらのことにより、個々のプレイヤーのパッティング技術の著しい向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のゴルフのパッティング練習装置の一実施態様の概略を示した側面図(I)及び平面図(II)である。
【
図2】
図2は、本発明のゴルフのパッティング練習装置の支持部(B)と保持部(2)との結合部(3)の一実施態様を示した概略図である。
【
図3】
図3は、実施例1において使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置の概略図である。
【
図4】
図4は、実施例1において、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)及びパターヘッド(PH)、並びに、ハーフミラー(1)のミラー面(4)上に映るプレイヤーの両眼(e)、顔、肩等の体の一部を示した概略図である。
【
図5】
図5は、ターゲットライン上での両眼の移動を模式的に示した図面である。
【
図6】
図6は、実施例4において使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置の概略図である。
【
図7】
図7は、実施例4において、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)及びパターヘッド(PH)、並びに、ハーフミラー(1)のミラー面(4)上に映るプレイヤーの両眼(e)を示した概略図である。
【
図8】
図8は、実施例4において使用したゴルフのパッティング練習装置に、ミラー面(4’)をゴルフボールの移動方向(ターゲットライン)に向かって角度変更可能なハーフミラー(1’)を更に備える、本発明のゴルフのパッティング練習装置の概略の平面図(I)及び側面図(II)である。
【
図9】
図9は、実施例5で使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、実施例5で使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置のハーフミラー(1’)の拡大図である。
【
図11】
図11は、本発明の組み合わせ式パッティング練習装置の一実施態様を示した斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11で示した組み合わせ式パッティング練習装置におけるゴルフのパッティング練習装置(I)が備える、ハーフミラー(1)とそれを保持する保持部(2)の一実施態様の平面図(A)、及び、パッティング練習用マット(II)の一実施態様の平面図(B)を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のゴルフのパッティング練習装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のゴルフのパッティング練習装置の一実施態様の概略を示した側面図(I)及び平面図(II)である。
図1に示した本発明のゴルフのパッティング練習装置は、本体部(A)と支持部(B)とを備え、本体部(A)は、少なくとも平板状のハーフミラー(1)を備えており、かつ、支持部(B)により、空中に保持されている。
図1に示した本発明のゴルフのパッティング練習装置においては、本体部(A)は、平板状のハーフミラー(1)のみを備えているが、該ハーフミラー(1)の破損防止等のためにミラーの外周全体又は一部に保護枠等を備えることもできる。また、支持部(B)が、ハーフミラー(1)を直接保持するのではなく、本体部(A)がハーフミラー(1)とそれを保持する保持部(2)、例えば、上記のハーフミラー(1)の破損防止等のためのミラー外周に設けられた保護枠等とを備えることにより、支持部(B)が、保持部(2)を保持することもできる。また、該ハーフミラー(1)のミラー面(4)は、ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から所定の高さ(h)で略水平方向に保持されている。本体部(A)を空中に保持し、ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造は、
図1に示した構造に限定されるものではなく、従来公知のあらゆる構造を採用することができる。ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)から前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)までの高さ(h)、即ち、重力方向の距離は、本発明のパッティング練習装置を使用する者、即ち、プレイヤーが、ハーフミラー(1)のミラー面(4)を通してゴルフボール(GB)を見ることができ、同時に、ハーフミラー(1)のミラー面(4)に映った自らの眼(e)、好ましくは、更に、顔、体の一部、例えば、肩等を見ることができて、更には、ハーフミラー(1)にパターが触れることなくゴルフボール(GB)を打つことができれば、特に制限はない。一般的なプレイヤー(人間)の身長を考慮すれば、好ましくは10~160cmであり、より好ましくは20~100cmである。ここで、ハーフミラーとは、入射した光を一定の比率で透過光と反射光とに分ける鏡を言い、透過光と反射光との比率は、およそ1:1であってよいが、本発明においては、ゴルフのパッティング練習をするプレイヤーが、ハーフミラーを通して、ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)に置かれているゴルフボール(GB)を見ることができると同時に、ハーフミラー上にプレイヤー自身の眼(e)、好ましくは更に、顔、肩等が映ることにより、これらを見ることができるものであれば、該比率に特に制限はない。ハーフミラーとしては、市販品を使用することができ、例えば、三菱ケミカルインフラテック株式会社製アクリルミラーMS001(商標)等が挙げられる。
【0019】
本発明のゴルフのパッティング練習装置において、ハーフミラー(1)のミラー面(4)の形状及び寸法は、該装置を使用してパッティング練習をするプレイヤーの眼(e)、好ましくは、更に、顔、肩等がミラー面(4)に映し出され得るものであれば、特に制限はない。好ましくは正方形又は略長方形であり、より好ましくは略長方形である。ミラー面(4)の形状が略長方形であるとき、その長辺が好ましくは5~60cmであり、その短辺が好ましくは2~30cmである。また、一態様においては、その長辺が、好ましくは8~16cmであり、その短辺が、好ましくは2~6cmであり、他の一態様においては、その長辺が、好ましくは40~60cmであり、その短辺が、好ましくは15~25cmである。プレイヤーが、ハーフミラー(1)のミラー面(4)にほぼ眼(e)のみを映して、映った眼(e)を、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)と重ねて、ゴルフボールの真上からゴルフボールを見ながらパッティングを行う練習をする際には、前者の寸法を持つミラー面(4)であれば十分であり、更に、プレイヤーが眼(e)ばかりではなく、更に、顔、肩等をミラー面(4)に映して、パッティングにおける姿勢等をも確認しながらパッティング練習をする場合には、後者の寸法であることが好ましい。また、ハーフミラー(1)のミラー面(4)には、必要に応じて、両眼をターゲットライン上に合わせることを容易にするための目印となる直線をゴルフボールの打ち出し方向に描くこともできる。その他の用途に応じて他の目印となる線を描くこともできる。この際、描かれる直線の幅は、好ましくは1~3mmである。該幅が余りに太過ぎると、ハーフミラー(1)の下に存在するゴルフボール(GB)が見え難くなり、一方、余りに細過ぎるとプレイヤーが該線を確認し難くなる。
【0020】
本発明のゴルフのパッティング練習装置においては、
図1に示すように、支持部(B)は、該パッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造(5)を備えることが好ましい。該構造(5)としては従来公知の構造を採用することができる。例えば、支持部(B)の高さ方向の部分、好ましくは、パイプの下側部分に上側部分がぴたりと嵌まるように下側部分の内径と上側部分の外径を調整し、あるいは、下側部分の外径と上側部分の内径を調整し、パイプの上側部分を上下させて高さを調節しネジ止めして固定する構造が挙げられる。高さ(h)の調節は、既に述べた通り、好ましくは10~160cm、より好ましくは20~100cmの範囲で可能であればよい。該距離(高さ)(h)を変更することにより、ハーフミラー(1)のミラー面(4)に映る眼(e)等の大きさを調節し得ることから、個々のプレイヤーに適合した高さに調節することができ、また、練習の種類に適した高さに調節することができる。例えば、パッティング前後に、プレイヤーは、首を回してゴルフボールとボールカップとの間のターゲットラインを見極めるが、その際、目線はターゲットライン上を移動させることが基本であり、これは非常に重要な動作である。しかし、目線をターゲットライン上に移動させることは、非常に難しい動作であり、プレイヤー自身は、目線はターゲットライン上を移動していると思っていても、実際には目線がターゲットラインより手前、即ち、プレイヤー側に来てしまっていることが殆どである。本発明のパッティング練習装置においては、好ましくは、ハーフミラー(1)のミラー面(4)の高さ(h)を高くして、プレイヤーの両眼をミラー面(4)に比較的大きく映し出してパッティング練習をすることにより、眼の移動をよりはっきりと確認し得ることから、非常に効果的な練習をすることができる。また、場合により、パッティングはせずに、首のみを回して目線をターゲットライン上に移動させる動作の練習をすることもでき、これによっても大きな効果を上げることができる。
【0021】
本発明のゴルフのパッティング練習装置は、好ましくは、支持部(B)が、本体部(A)に備えられたハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内、好ましくは15度以内、より好ましくは10度以内、更に好ましくは7度以内で角度変更可能な構造を更に備えている。これにより、プレイヤーは自らがゴルフボールを見るときのグリーン面に対する最適な角度を見つけ出すことができると共に、その角度で繰り返しパッティング練習をすることが可能となる。ここで、ミラー面(4)の水平方向に対する角度とは、水平方向に対して上下いずれの方向の角度をも意味し、通常、水平方向から支持部(B)の設置面(ゴルフボールが置かれる面)方向(下方向)への角度を意味する。該最適な角度は、例えば、プレイヤー自身が一番楽な姿勢で一番目標に対してまっすぐ打てる角度を見つけ出すことにより決定し得る。更には、プレイヤー自身が見つけ出した角度が真に最適なものかをプロゴルファーに助言を求めることも好ましい。支持部(B)が備える角度変更可能な構造としては、通常、公知の構造を採用することができる。一例として、該支持部(B)が備える角度変更可能な構造が、支持部(B)と、ハーフミラー(1)の保持部(2)との結合部(3)を備え、かつ、該結合部(3)を回転中心として、前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を、前記結合部(3)と相対する側(前記結合部(3)から離れた側)のミラー面(4)の端部(例えば、結合部(3)側のミラー面の端部とは反対の側のミラー面の端部)を支持部(B)の設置面に対して上下方向に移動して角度変更する構造が挙げられる。
図2には、上記の一例として挙げた結合部の一実施態様の概略図を示した。
図2に記載の結合部(3)は、ボルトとナットから成り、通常、角度指示針(6)を90度方向(水平方向)に合わせて固定してある。そして、ミラー面(4)の角度はナットを緩めて所定の角度に設定した後、再度固定することより自由に変更することができる。変更後の角度は角度目盛(7)(
図2においては細かい目盛及び数値は図示していない。)により確認することができる。
【0022】
本発明の組み合わせ式パッティング練習装置は、平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備え、かつ、前記本体部(A)が、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)が、略長方形であり、かつ、前記保持部(2)が、前記略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行な二枚の平板(10)を少なくとも備え、ここで、通常、該平行な二枚の平板(10)は、ミラー面(4)に対して垂直であり、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)は、いずれも同一平面上に存在しかつ前記ミラー面(4)に略平行な長方形である、ゴルフのパッティング練習装置(I)、及び、前記保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺に略平行であって、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)より大きな内側の間隔(d2)を有し、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の対応する各長方形の幅(d3,d3’)より大きい幅(d4,d4’)を有する二つの平行な長方形状の直線(12)を備えるパッティング練習用マット(II)を組み合わせたものである。好ましくは、前記ゴルフのパッティング練習装置(I)は、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられた前記ハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内、好ましくは15度以内、より好ましくは10度以内、更に好ましくは7度以内で角度変更可能な構造を更に備える。組み合わせ式パッティング練習装置に用いるゴルフのパッティング練習装置(I)は、基本的には上記で説明した本発明のゴルフのパッティング練習装置と同様である。
【0023】
図11は、本発明の組み合わせ式パッティング練習装置の一実施態様を示した斜視図であり、
図12は、
図11で示した組み合わせ式パッティング練習装置におけるゴルフのパッティング練習装置(I)が備える、ハーフミラー(1)とそれを保持する保持部(2)の一実施態様の平面図(A)、及び、パッティング練習用マット(II)の一実施態様の平面図(B)を示した概略図である。ハーフミラー(1)は保持部(2)により保持されており、ハーフミラー(1)の形状は略長方形である。ハーフミラー(1)の長辺及び短辺の寸法は、既に述べた通りであり、長辺が好ましくは8~16cmであり、短辺が好ましくは2~6cmである。本体部(A)が備える、ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)は、ハーフミラー(1)の略長方形のミラー面(4)の二つの長辺に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向する平行な二枚の平板(10)を少なくとも備える。該平行な二枚の平板(10)は、通常、ミラー面(4)に対して垂直である。また、該平行な二枚の平板(10)の上面(11)の形状はいずれも長方形であり、二つの長方形の面は、同一平面上に存在しかつ前記ミラー面(4)に略平行である(前記の二つの長方形の面(11)と前記ミラー面(4)とが同一平面上に存在する場合も含む。)。好ましくは、該二つの長方形は、合同の関係にあり、より好ましくは、二枚の平板(10)は合同の関係にある。これら二つの略長方形の上面(11)の幅(長方形の短辺長)(d3,d3’)は、いずれも、好ましくは3~20mm、より好ましくは3~10mm、更に好ましくは3~7mmである。また、二つの略長方形の上面(11)の長さ(長方形の長辺長)は、保持するハーフミラー(1)の長辺長以上であることが好ましく、好ましくは、ハーフミラー(1)の長辺長の2~5倍程度である。前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)は、20~60mmであり、好ましくは35~45mmであり、該間隔(d1)は、好ましくは、略長方形のハーフミラー(1)のミラー面(4)の短辺の長さに等しい。
【0024】
本発明のゴルフのパッティング練習装置と組み合わせて使用するパッティング練習用マット(II)は、二つの平行な長方形状の直線(12)を備える。該二つの直線(12)は、いずれも、前記保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺に略平行であり、かつ、前記二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)より大きな内側の間隔(d2)を有する。二つの平行な長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)は、このましくは50~70mmであり、より好ましくは55~65mmである。また、二つの平行な長方形状の各直線(12)の幅(各長方形の短辺長)(d4,d4’)が、いずれも、好ましくは8~12mmであり、より好ましくは9~11mmである。該パッティング練習用マットは、帯状で略長方形の形状を有し、その長さ(長辺長)は、特に限定されるものではなく、上記の二つの略長方形の上面(11)の長さ(長方形の長辺長)の2~3倍以上であればよく、最大でも50倍程度であり、使用方法及び使用場所等に応じて適宜決定することができる。一方、幅(長方形の短辺長)は、上記の二つの平行な長方形状の直線(12)を備えることができる寸法であればよい。
【0025】
本発明の組み合わせ式パッティング練習装置において、ゴルフのパッティング練習装置(I)の保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺と、パッティング練習用マット(II)に備えられている互いに平行な二つの長方形状の直線(12)とを略平行となるように両者を組み合わせる方法に特に制限はなく、使用者が任意の方法で容易に組み合わせることができる。一例を挙げれば下記の通りである。ゴルフのパッティング練習装置(I)の本体部(A)が備えるハーフミラー(1)のミラー面(4)は、好ましくは長方形であり、かつ、該ミラー面(4)には、通常、その短辺及び長辺の夫々の中点から、夫々、長辺及び短辺に平行に上記所定幅の直線が設けられており、この両者の直線は直交することにより十字を形成している。一方、パッティング練習用マット(II)には、二つの長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺(14)の間隔(d2)、即ち、該二つの長辺(14)に垂直に交わる直線の該二つの長辺の間の長さの二等分点を通り、二つの長方形状の直線(12)と平行に任意の寸法、好ましくは、長さ20~50cm及び幅は2~10mmの直線(13)、及び、該直線(13)とその中点近傍で直交する任意の寸法、、好ましくは、長さが、二つの長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺(14)の間隔(d2)を超え該マット(II)の幅未満であり、かつ、幅が2~10mmの直線(13’)が設けられており、この両者の直線は直交することにより十字を形成している。使用者は、ハーフミラー(1)のミラー面(4)が水平になるように設定した後、ミラー面(4)に写る自らの眼と、ミラー面(4)に描かれている十字の中心とパッティング練習用マット(II)に描かれている十字の中心とが一直線上になり、かつ、両者の十字を形成する対応する直線同士が重なり合うように、例えば、ゴルフのパッティング練習装置(I)を移動して設置することにより容易に組み合わせることができる。
【0026】
以下、実施例において本発明のゴルフのパッティング練習装置及びその使用方法について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
図3には、実施例1において使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置を示した。該パッティング練習装置は
図1に示した装置と同様であり、支持部(B)が備える角度変更可能な構造として、
図2に示した構造を採用したものである。本体部(A)は、平板状のハーフミラー(1)とそれを保持する保持部(2)とを備え、ハーフミラー(1)の長辺側の一方を保持部(2)で挟みつけて保持するものである。ハーフミラー(1)のミラー面(4)の形状は、略長方形であり、その寸法は、長辺(8)が50cmであり、短辺(9)が20cmであった。ミラー面(4)には、そのほぼ中心において直交し、かつ、ミラー面(4)の長辺及び短辺に夫々平行な幅約2mmの二つの直線が長辺及び短辺方向全長に亘って印刷により描かれていた。また、該パッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造(5)により、高さ(h)を50~100cmの範囲で調節可能であった。
【0028】
ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に設置し、かつ、プレイヤーKの身長(168cm)に合わせるとともに、プレイヤーK自身の両眼(e)がミラー面(4)に大きくかつはっきりと映し出されるように、ミラー面(4)の高さ(h)を70cmに調節した。次いで、市販のパターマット(帯状の人工芝の末端にボールカップが備えられているものであり、白線等のボールガイドラインは描かれていない。)を使用して、目視にて、ミラー面(4)の長辺方向に描かれている直線の延長上にボールカップが来るように該パターマットを設置した。本実施例では自宅室内での練習であることから、上記のようにパターマットを使用したが、このような市販のパターマットは使用してもしなくてもよく、使用の有無は本発明とは何ら関係がない。
【0029】
図3に示したようにプレイヤーKはアドレスした。次いで、ゴルフボール(GB)の略中心がミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点のほぼ真下に来るようにゴルフボール(GB)を置いた。このとき、プレイヤーKは左眼が効き目であることから、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボールの真上にプレイヤーKの左眼(e)がミラー面(4)上に映るようにした。この状態において、ゴルフボール(GB)の略中心、ミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点(十字の中心)及び左眼(e)を結ぶ直線が一直線になり、プレイヤーKの左眼(e)はゴルフボール(GB)の真上に存在することになる。次いで、右眼(e)をミラー面(4)の長辺方向に描かれている直線上に置いて両眼がミラー面(4)の長辺にほぼ平行になるようにした。そして、パターヘッド(PH)のフェースをゴルフボールに近接させて静止した。
図4には、このときの、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)及びパターヘッド(PH)並びにミラー面(4)上に映るプレイヤーの両眼(e)、顔、肩等の体の一部を示した。プレイヤーKはこの状態を基本とし、該状態を維持したまま、即ち、眼(e)の位置を動かすことなく、パッティングを行った。この動作を繰り返すことにより、パッティング練習を実施した。
【0030】
これにより、パッティングにおいて、プレイヤーKが、ゴルフボール(GB)が置かれている面(グリーン面)に対して90度方向、即ち、ゴルフボール(GB)を真上方向から確実に見ながら、パターヘッド(PH)のフェースがゴルフボール(GB)に当たる瞬間、そして、それに続くゴルフボール(GB)の転がり等の一連の流れ(ターゲットライン)をも確認しつつ、繰り返しパッティング練習をすることが可能となった。加えて、プレイヤーKは、ハーフミラー(1)に映るプレイヤーK自身の両眼(e)、及び顔、肩等の体の一部を視認することができることから、パッティングの前後で、ターゲットライン上にプレイヤーK自身の両眼(e)を一致させ、かつ、顔、肩等の体の一部をターゲットラインに平行に合わせる練習をすることができた。また、パターヘッド(PH)のフェースがゴルフボール(GB)に当たる瞬間を両目で確実に確認することができるので、パターヘッド(PH)のフェースがゴルフボール(GB)に直角に当たっているか否かも明確に確認することができた。
【0031】
(実施例2)
実施例2においても実施例1と同一の装置を使用した。プレイヤーKは、実施例1のパッティング練習装置を使用して、実施例1に記載した姿勢をとって練習すれば、上記効果が得られることを体験した。しかし、該プレイヤーKは身長が168cmで比較的低いことから、パッティングにおいて、この姿勢を反復継続することが容易ではないことをも実感した。そこで、ハーフミラー(1)のミラー面(4)の角度を略水平方向(90度)から80度まで1度ずつ変化させて実施例1と同一のパッティング練習を繰り返し、プレイヤーK自身が一番楽な姿勢で一番目標に対してまっすぐ打てる角度を探した。その結果、ミラー面(4)の角度を85度、即ち、ゴルフボールを見る角度(プレイヤーKの左眼、ミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点及びゴルフボールの略中心を結ぶ線とゴルフボールの接地面との角度)を85度にすると、実施例1に記載したパッティング練習を無理なく継続することが可能となった。これにより、プレイヤーKは、自らに適合したパッティングフォームを体得し、かつ、繰り返し練習によりその再現性を高めることができた。また、この角度に適合したライ角度を備えるパターをプレイヤーK専用に誂えて使用したところ、該パッティング練習装置での練習により、パッティング技術を更に著しく向上させることができた。
【0032】
(実施例3)
実施例3においては、実施例1と同一のプレイヤーKが、実施例1と同一の装置を使用して、パッティングの前後においてターゲットラインを確実に見極める練習を実施した。但し、プレイヤーK自身の両眼(e)がミラー面(4)に、より大きくかつよりはっきりと映し出されるように、ミラー面(4)の高さ(h)を100cmに調節した。ターゲットラインの見極めは、
図5(I)に示した通りに、両眼(e)をターゲットライン上に移動するように首を回すのが基本である。しかし、基本通りに両眼を移動することは非常に難しく、プレイヤー自身は基本通りに両眼(e)を移動していると考えていても、現実には、
図5(II)のように両眼(e)を移動しているのが実情である。プレイヤーKは、ゴルフボールを打つことなく、ハーフミラー(1)のミラー面(4)上に描かれた長辺方向の線に合わせて両眼(e)を移動するように首を回転する練習を繰り返した。次いで、ミラー面(4)の角度を85度に調節して同様な練習を繰り返した。
【0033】
本発明のゴルフのパッティング練習装置では、ミラー面(4)に、プレイヤーK自身の両眼(e)を大きくかつはっきりと映し出すことが可能であることから、ターゲットライン上に両眼(e)を移動する練習を効果的に実施することができた。また、従来知られているゴルフのパッティング練習装置では、このように両眼(e)をはっきりと映し出すことができる装置は存在せず、このようなパッティング練習を効果的に実施することはできなかった。
【0034】
(実施例4)
図6には、実施例4において使用した本発明のゴルフのパッティング練習装置を示した。支持部(B)が備える角度変更可能な構造として、
図2に示した構造を採用したものである。本体部(A)は、平板状のハーフミラー(1)とそれを保持する保持部(2)を備える。ハーフミラー(1)のミラー面(4)の形状は、略長方形であり、その寸法は、長辺(8)が50cmであり、短辺(9)が5cmであった。ミラー面(4)には、そのほぼ中心において直交し、かつ、ミラー面(4)の長辺及び短辺に夫々平行な幅約2mmの二つの直線が長辺及び短辺方向全長に亘って印刷により描かれていた。また、該パッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造(5)により、高さ(h)を20~50cmの範囲で調節可能であった。
【0035】
ハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に設置し、かつ、ミラー面(4)の高さ(h)を40cmに調節した。使用したパッティング練習装置は比較的コンパクトで軽量であることから持ち運びが簡便であり、実際にグリーン上に設置してパッティング練習を実施した。パッティング練習は、実施例1と同一の方法にて実施した。
図7には、静止時の、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)及びパターヘッド(PH)並びにミラー面(4)上に映るプレイヤーKの両眼(e)を示した。プレイヤーKはこの状態を基本とし、該状態を維持したまま、即ち、眼(e)の位置を動かすことなく、パッティングを行った。この動作を繰り返すことにより、パッティング練習を実施した。これに続いて、プレイヤーKはゴルフボール(GB)にパターヘッド(PH)が当たる瞬間まで、眼(e)の位置を動かすことなく、パッティングを行い、その後、ターゲットライン上に両眼が動くように首を回して、ゴルフボール(GB)がターゲットライン上を確実に移動しているか否かを確認するパッティング練習を実施した。該パッティング練習においてミラー面(4)の短辺は5cmと短く、ゴルフボールの直径である43mmと大きく変わらない寸法であることから、パットした後にゴルフボール(GB)がターゲットライン上を進んでいるか否かをより明確に確認することができた。更に、プレイヤーKは、上記の実施例2で見つけた角度、即ち、85度にハーフミラー(1)のミラー面(4)の角度を調節して、上記と同様の練習を行った。
【0036】
(実施例5)
本実施例は、
図8に記載の本発明のゴルフのパッティング練習装置を使用してパッティング練習をしたものである。
図8に記載の本発明のゴルフのパッティング練習装置は、
図6及び7に記載した、実施例4において使用したゴルフのパッティング練習装置に、更に、ゴルフボールの移動方向(ターゲットライン)に向かってミラー面(4’)の角度を変更可能なハーフミラー(1’)を更に備えるゴルフのパッティング練習装置である。ハーフミラー(1’)のミラー面(4’)の形状及び寸法は、長辺(8’)が10cmであり、短辺(9’)が5cmであった。ミラー面(4’)には、そのほぼ中心において直交し、かつ、ミラー面(4’)の長辺及び短辺に夫々平行な幅約2mmの二つの直線が長辺及び短辺方向全長に亘って印刷により描かれていた。ハーフミラー(1’)のミラー面(4’)は、水平方向に対して0~90度で変更可能であった。このパッティング練習装置は、プレイヤーがゴルフボール(GB)を打つターゲットを予め見るとき又はゴルフボール(GB)を打ったときに、その両眼(e)がターゲットライン上を移動しているかを確認し、また、ターゲットライン上を移動するように自らの首の動きを矯正し正しいパッティングフォームを体得するための装置である。
図9には、ここで使用したゴルフのパッティング練習装置の斜視図を示した。また、
図10には、ここで使用したゴルフのパッティング練習装置のハーフミラー(1’)の拡大図を示した。
【0037】
プレイヤーKは、実施例4と同一の方法にてパッティング練習を実施した。
図8(I)の右側には、静止時の、ハーフミラー(1)を通して見えるゴルフボール(GB)及びパターヘッド(PH)並びにミラー面(4)上に映るプレイヤーKの両眼(e)を示した。プレイヤーKはまず、この状態を基本とし、該状態を維持したまま、即ち、眼(e)の位置を動かすことなく、パッティングを行った。この動作を繰り返すことにより、パッティング練習を実施した。これに続いて、プレイヤーKはゴルフボール(GB)にパターヘッド(PH)が当たる瞬間まで、眼(e)の位置を動かすことなく、パッティングを行い、その後、ターゲットライン上に両眼が動くように首を回して、ゴルフボール(GB)がターゲットライン上を確実に移動しているか否かを確認しつつ、ゴルフボールの移動方向(ターゲットライン)に向かってミラー面(4’)が所定の角度(ここでは、水平方向に対して約60度)を持つハーフミラー(1’)のミラー面(4’)に写る自らの両眼を確認した。このとき、ミラー面(4’)に写った自らの両眼がミラー面(4’)の長手方向の中心線(ターゲットライン)上にあるか否かを確認した。
図8(I)の左側のミラー面(4’)に描かれているように、該中心線(ターゲットライン)上に両眼が存在すれば、ゴルフボール(GB)を打った後の首の回転は良好であるが、該中心線(ターゲットライン)上に両眼が存在しなければ首の回転は良好ではない。プレイヤーKは、ゴルフボール(GB)を打った後の首の回転が良好になるように繰り返しパッティング練習を実施し、より良好なパッティングフォームを取得することができた。
【0038】
実施例1~5のパッティング練習を繰り返すことにより、プレイヤーKは自らのパッティングフォームを見つけ出し、そして、それを再現性良く繰り返すことができるようになったことから、パッティング技術は飛躍的に向上した。しかし、この練習を通してプレイヤーKは、ゴルフボール(GB)を見る際に多少違和感を持った。そして、この違和感がどこから来るものかを知るために、
図6のパッティング練習装置を用いて反復練習を実施した。その結果、ゴルフボール(GB)の中心をミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点(十字の中心)の下において、その真上に効き目である左眼(e)を置くと、パターヘッド(PH)がゴルフボール(GB)に当たる瞬間が多少見難くなることに気が付いた。そこで、パターヘッド(PH)がゴルフボール(GB)に当たる位置、即ち、ゴルフボール(GB)の右端が、ミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点と接するようにゴルフボール(GB)をセットすれば、パターヘッド(PH)がゴルフボール(GB)に当たる瞬間をより明確かつ確実に確認することができるのではないかということに思い当たった。そして、そのような位置にボールを置いて該装置でパッティング練習を繰り返したところ、それまで感じていた違和感がなくなり、更に、パッティング技術を向上させることができた。このようにプレイヤーKは、自身にとって最も好適なボールを置く位置をも見つけ出すことができてパッティング技術の向上を図ることができたのである。また、ゴルフボール(GB)を置く位置は、各プレイヤーにより、また、効き目が左眼か右眼かによっても多少異なることから、プレイヤーごとに本発明のゴルフのパッティング練習装置を使用して見つけ出すことが必要であり、かつ、本発明のゴルフのパッティング練習装置を使用すれば容易に見つけ出すことができる。そして、本発明のゴルフのパッティング練習装置を使用すれば、パッティングの際にはハーフミラー(1)のミラー面(4)には必ずプレイヤー自身の両眼が映る。従って、ミラー面(4)上に描かれている二つの直線が交差する点(十字の中心)に拘ることなく、上記のようにして見つけ出したプレイヤー自身のゴルフボールを置く最適な位置に、ミラー面(4)に映ったプレイヤー自身の眼を基準にして常にゴルフボールを置くことが可能となる。これにより、プレイヤーごとにゴルフボールを置く最適な位置が微妙に異なっていても、プレイヤー自身の眼を基準にして常に正確な位置にゴルフボールを置くことが可能となる。そして、各プレイヤーは、自らの最適な位置にゴルフボールを置いて、かつ、そのような最適な位置に置いたゴルフボールを見ながら繰り返しパッティング練習をすることができる。そして、それにより、本発明のパッティング練習装置がなくても、自らに最も適したパッティングフォームを再現性良く繰り返すことができるようになるのである。
【0039】
(実施例6)
図11には、実施例6において使用した本発明の組み合わせ式パッティング練習装置を示し、
図12には、該組み合わせ式パッティング練習装置が備える、ハーフミラー(1)及びそれを保持する保持部(2)の平面図(A)、及び、該パッティング練習装置(I)と組み合わせて使用したパッティング練習用マット(II)の平面図(B)を示した。ここで使用したゴルフのパッティング練習装置(I)は、その全体的な構成は基本的には
図6に示した装置と同様であるが、角度変更はいわゆるダイヤル式であり、より簡単かつ正確に角度変更及び設定できる構造となっていた。ハーフミラー(1)のミラー面(4)の形状は、略長方形であり、その寸法は、長辺(8)が12cmであり、短辺(9)が4cmであった。ミラー面(4)には、そのほぼ中心において直交し、かつ、ミラー面(4)の長辺及び短辺に夫々平行な幅約2mmの二つの直線が長辺及び短辺方向全長に亘って印刷により描かれていた。また、該パッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節する構造(5)により、高さ(h)を20~100cmの範囲で調節可能であった。ゴルフのパッティング練習装置(I)の本体部(A)は、前記ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)を更に備え、該保持部(2)は、略長方形のミラー面(4)の二つの長辺(8)に沿って、ミラー面(4)を挟んで互いに対向し、かつ、ミラー面(4)に対して略垂直な、互いに略平行な二枚の平板(10)を備えていた。また、該二枚の平板(10)の上面(11)はいずれも略長方形であり、その寸法は、いずれも短辺(幅)5mm(d3,d3’)、長辺(長さ)500mmであった。また、該二枚の平板(10)の上面(11)は、同一平面上に存在し、かつ、ミラー面(4)に対して略平行であった。更に、二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d1)は、40mmであった。
【0040】
一方、パッティング練習装置(I)と組み合わせて使用したパッティング練習用マット(II)は、略長方形の帯状であり、幅(短辺)約20cm、長さ(長辺)約5mであった。該パッティング練習用マット(II)は、互いに平行な二つの長方形状の直線(12)を該マット(II)の全長に亘って、かつ、該マット(II)の長辺に略平行に備えられていた。該互いに平行な二つの長方形状の直線(12)は、いずれもその幅(長方形の短辺)(d4,d4’)は、10mmであり、二つの長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)は、60mmであった。また、二つの長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺の間隔(d2)の1/2の箇所を中心として幅約4mm、長さ約35cmの直線(13)が直線(12)に平行に設けられており、かつ、該直線(13)の長さ方向のほぼ中心に該直線(13)に直交する幅約4mm、長さ約35cmの直線(13’)が設けられており、この両者の直線(13,13’)により十字が形成されていた。ここで使用したパッティング練習用マット(II)には、マットの長手方向のほぼ中央とそこから前後に十字の中心が約60cm間隔を置いて、二つ、合計三つのこの十字を形成する二本の直線が設けられていた。
【0041】
本発明の組み合わせ式パッティング練習装置の使用に際しては、該パッティング練習用マット(II)が、該マット(II)に備えられている互いに平行な二つの長方形状の直線(12)が、前記ゴルフのパッティング練習装置(I)の保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形の長辺に略平行となるように両者が組み合わされた。両者を組み合わせる方法に特に制限はないが、該実施例で使用した組み合わせ式パッティング練習装置の場合には、パッティング練習装置(I)の支持部(B)により、平板状のハーフミラー(1)のミラー面(4)が略水平になるようにセットし、ミラー面(4)に描かれた直交する二つの直線から成る十字と、マット(II)に備えられた三つの十字のうちの中央の十字とが一致するように組み合わせた。即ち、パッティング練習装置(I)とパッティング練習用マット(II)との両者を組み合わせる人、この場合はプレイヤーKが、ハーフミラー(1)のミラー面(4)に写る自らの眼と上記二つの十字の中心が一直線上に重なるようにし、更に、上記二つの十字を構成する各対応する線が重なるようにした。次いで、プレイヤーKはパターを持ってアドレスし、ゴルフボール(GB)の右端がこの十字の中心に接するようにして、二つの長方形状の直線(12)に平行な、前記十字を形成する直線上にゴルフボール(GB)をセットした。次いで、プレイヤーKは、保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形と、該マット(II)上に備えられている互いに平行な二つの長方形状の直線(12)とが、アドレスした状態で目視によりぴたりと一直線状になるように、パッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)(h)を調節した。プレイヤーKの場合には、その高さ(h)は約49cmであった。そして、このように設定した組み合わせ式パッティング練習装置を使用して、プレイヤーKの両眼(目線)が常に、ハーフミラー(1)のミラー面(4)に描かれた直交する直線の長辺上、そしてその延長上、即ち、上記のようにして一直線状となった、保持部(2)が備える二枚の平板(10)の上面(11)の各長方形と、該マット(II)上に備えられている互いに平行な二つの長方形状の直線(12)とで形成される二つの直線に挟まれた部分に存在するように首を回して、繰り返してパッティング練習を実施した。これにより、プレイヤーKは自らに適合したパッティングフォームを体得するとともに、該組み合わせ式パッティング練習装置を使用しなくても、そのフォームを再現性良く繰り返すことができるようになった。
【0042】
次いで、プレイヤーKは、上記の組み合わせ式パッティング練習装置を使用して、実施例2と同様にして、パッティング練習装置(I)のハーフミラー(1)のミラー面(4)の角度を略水平方向(90度)から変化させて、プレイヤーK自身が一番楽な姿勢で目標に対してまっすぐ打てる角度を探した。その結果、実施例2の場合と同じくミラー面(4)の角度を85度にすると、パッティング練習を無理なく継続し得ることを確認した。プレイヤーKは、パッティング練習装置(I)の平板状のハーフミラー(1)のミラー面(4)が角度85度になるようにセットし、上記と同様にしてパッティング練習装置(I)とパッティング練習用マット(II)とを組み合わせて組み合わせ式パッティング練習装置を作成した。この際、ミラー面(4)の角度が85度である状態で、ミラー面(4)に映った自らの眼と上記二つの十字の中心が一直線上に重なるようにし、更に、上記二つの十字を構成する各対応する線が重なるようにした。次いで、上記と同様にして繰り返してパッティング練習を実施した。これにより、プレイヤーKは自らに適合したパッティングフォームを体得するとともに、該組み合わせ式パッティング練習装置を使用しなくても、そのフォームを再現性良く繰り返すことができるようになった。以後、プレイヤーKは、このようにして体得したパッティングフォームを崩すことがないように、該組み合わせ式パッティング練習装置をしばしば用いて、繰り返し練習を重ね、ほぼ完ぺきに自らのパッティングフォームを再現できるようになった。また、
図8~10に示したパッティング練習装置(I)を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のゴルフのパッティング練習装置によれば、ゴルフプレイヤーのパッティング技術の著しい向上を図ることができることから、今後、多くのゴルフプレイヤーに利用されることが期待され、結果として、ゴルフ産業に多大な貢献をすることが期待される。
【符号の説明】
【0044】
A ゴルフのパッティング練習装置の本体部
B ゴルフのパッティング練習装置の支持部
GB ゴルフボール
PH パターヘッド
e プレイヤーの目
g ゴルフのパッティング練習装置の設置面
h ゴルフのパッティング練習装置の設置面(g)からハーフミラー(1)のミラー面(4)までの重力方向の距離(高さ)
1 平板状のハーフミラー
2 ハーフミラー(1)の保持部
3 支持部(B)とハーフミラー(1)の保持部(2)との結合部
4 ハーフミラー(1)のミラー面
5 高さ調節構造
6 角度指示針
7 角度目盛
8 ハーフミラー(1)のミラー面(4)の長辺
9 ハーフミラー(1)のミラー面(4)の短辺
10 ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)が備える二枚の平板
11 ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)が備える二枚の平板の上面
12 パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線
13,13’ パッティング練習用マット(II)が備える十字を形成する直線
14 パッティング練習用マット(II)が備える二つの長方形状の直線(12)同士の内側で対向する二つの長辺
I 組み合わせ式パッティング練習装置のゴルフのパッティング練習装置
II 組み合わせ式パッティング練習装置のパッティング練習用マット
d1 ハーフミラー(1)を保持する保持部(2)が備える二枚の平板上面(11)の長方形の互いに隣り合う長辺(8)同士の間隔
d2 パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の直線(12)のの互いに隣り合う長辺(14)同士の間隔
d3,d3’ 平行な二枚の平板(10)の二つの略長方形の上面(11)の幅(長方形の短辺長)
d4,d4’ パッティング練習用マット(II)が備える二つの平行な長方形状の各直線(12)の幅
【要約】
本発明は、平板状のハーフミラーを少なくとも備える本体部と、該本体部を空中に保持する支持部(B)とを備える、新規なゴルフのパッティング練習装置を提供する。
本発明はゴルフのパッティング練習装置であり、平板状のハーフミラー(1)を少なくとも備える本体部(A)と、該本体部(A)を空中に保持する支持部(B)とを備え、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられたハーフミラー(1)のミラー面(4)を略水平方向に保持する構造を備え、好ましくは、前記支持部(B)が、前記本体部(A)に備えられたハーフミラー(1)のミラー面(4)を水平方向に対して20度以内で角度変更可能な構造を更に備える、ゴルフのパッティング練習装置である。