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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】収納棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 51/00 20060101AFI20240105BHJP
   A47B 61/04 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A47B51/00 501A
A47B61/04 601
A47B61/04 501E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020164118
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045855
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505166063
【氏名又は名称】有限会社INNOVENTECH
(72)【発明者】
【氏名】高村 晃生
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-009032(JP,U)
【文献】実開昭54-151731(JP,U)
【文献】実開平03-098641(JP,U)
【文献】登録実用新案第3193071(JP,U)
【文献】特開2007-215709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 49/00
A47B 45/00
A47B 61/04
A47B 96/02
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
少なくとも2つ以上の棚板の左右両側と収納棚本体とを揺動可能および前後移動可能に連結する連結部と、前記棚板どうしをリンクさせる少なくとも1つ以上の棚板繋ぎ柱と、前記収納棚本体と前記棚板の後方部との間に少なくとも2つ以上の揺動可能なアームを有する移動機構を備え、前記移動機構は、前記棚板を傾斜させた状態で被収納物を収納可能な収納位置と、前記棚板の被収納物を取り出し可能な使用位置との間で、前記棚板を同時に旋回移動させるとともに前後に移動させることを特徴とする収納棚。
【請求項3】
少なくとも2つ以上の棚板の左右両側の前後中心部分に軸部を設けたことを特徴 とする請求項1ないし請求項2の収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は奥行きを小さくすることが可能な複数の棚板を有する収納棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として例えば、棚板を斜めにする方法(例えば、特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-045245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では棚板を斜めに設置して収納棚の奥行きを小さくする方法があるが、棚板を斜めに設置すると収納物の出し入れがし難く、棚板を1つずつ移動する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、少なくとも2つ以上の棚板の左右両側と収納棚本体とを揺動可能に連結する連結部と、前記棚板どうしをリンクさせる少なくとも1つ以上の棚板繋ぎ柱と有する移動機構を備え、前記移動機構は、前記棚板を傾斜させた状態で収納物を収納可能な収納位置と、前記棚板の収納物を取り出し可能な使用位置との間で、前記棚板を同時に旋回移動させるようにした。
【0006】
例えば、棚板繋ぎ柱が収納棚本体内で移動するようにしても良い。
【0007】
例えば、棚板に滑り止めを設けられるように構成しても良い。
【0008】
例えば、収納位置および/または使用位置の棚板が固定される機構を備えても良い。
【0009】
一例として、棚板に引き出し機能を設けられるようにしても良い。
【0010】
また、扉が収納棚の転倒防止の機能を有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収納棚は、棚板を旋回移動させて傾斜させた状態で収納することにより奥行きを小さくすることが可能で、奥行きの少ない場所でも設置が可能となる。複数の棚板を同時に旋回移動させるこが可能であり、使用位置の棚の間が広がるので収納物の出し入れが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は収納棚の使用位置の斜視図である。
図2図2は収納棚の収納位置の側面図である。
図3図3は収納棚の収納位置の側面図である。
図4図4は棚板の斜視図である。
図5図5は引き出し付き棚板の斜視図である。
図6図6は引き出し付き棚板の使用位置と収納位置を示す側面説明図である。
図7図7は収納棚の使用位置の切断斜視図である。
図8図8は収納棚の収納位置の切断側面図である。
図9図9は収納棚の使用位置の切断側面図である。
図10図10は収納棚の収納位置の切断側面図である。
図11図11は収納棚の使用位置及び収納位置の切断側面図である。
図12図12は収納棚の使用位置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付の図により説明する。なお、本実施形態の説明において示す「前方」、「後方」、「上」、「下」、「左」、「右」などの方向を示す語は、収納棚を正面から見たときの方向とする。収納棚から収納物を取り出す方向が収納棚の前方、収納棚の背板側が収納棚の後方である。これらの方向を示す語は説明のための便宜上のものであり、実際に使用するときの方向はこれに限定されるものではない。
【0014】
まず収納棚の使用位置の状態を示す斜視図を図1に示す。図1の収納棚はその構造を説明しやすくするために収納棚本体1をフレーム状としている。図1では3つの棚板2の左右両側と収納棚本体1とが揺動可能に連結部4で連結されている。図1の連結部4は棚板2の左右両側に設けられた軸が収納棚本体1に設けられた穴に接合されており、棚板2が揺動可能となっている。
【0015】
さらに3つの棚板2は棚板繋ぎ柱3によって揺動可能に連結されている。この構造により3つの棚板2は連結部4を中心にして棚板2の前方部分を上下に揺動可能となっており、各棚板2は棚板繋ぎ柱3でリンクされているので同時に旋回移動させることが可能である。
棚板2が2つ以上であれば棚板繋ぎ柱3で棚板2をリンクさせることが出来る。
【0016】
図1の棚板繋ぎ柱3は棚板2の前方に揺動可能に取り付けられているが、棚板2の左右の前後中央付近に揺動可能に取り付けて、棚板繋ぎ柱3が収納棚本体1の中で移動するようにしても良い。棚板繋ぎ柱3が収納棚本体1の中で移動するようにすると、棚板2の移動時に棚板繋ぎ柱3が邪魔になる事が無く、棚板2と棚板繋ぎ柱3の間に指や手を挟む危険を防ぐことができて安全である。
【0017】
図1では棚板2には履物が収納物30として置かれている。収納物30の収納時には棚板2の前方を下方向に旋回移動させる構造になっている。このとき収納位置の棚板2の傾斜が大きいと収納物30が滑り落ちてしまう可能性がある。そこで棚板2に滑り止め20を設け、収納物30の滑り落ちるのを防ぐようにした。
【0018】
図1の棚板2は使用位置の状態であるが、棚板2が揺動可能であるために収納物30を出し入れするためには棚板2を手で押さえるなどして棚板2の位置を固定する必要がある。そこで棚板2を使用位置に固定するためにストッパー10を設けた。図1のストッパー10は、収納棚本体1の前方側面の外側一部に設けた揺動可能な突起物を収納棚本体1の内側へ突出させる構造になっている。ストッパー10を元の位置に戻せば棚板2は下方向に旋回移動することが出来る。図2に収納棚の収納位置の側面図を示す。
【0019】
棚板2の前方を上方向に旋回移動させて棚板2を収納位置に移動させることも可能である。図3は収納棚の収納位置の側面図である。棚板2は棚板2の後方部分の連結部4を支点として棚板2の前方が上方向に旋回移動して収納されている。3つの棚板2は棚板繋ぎ柱3により揺動可能にリンクされているので、3つの棚板2は同時に旋回移動が可能となっている。収納物30の滑り止め20を棚板2の後方に設けることにより、棚板2の前方を上方向に傾斜させても収納物30の滑り落ちを防ぐことが出来る。
【0020】
収納棚本体1の上部には図1のストッパー10と同じ構造の揺動可能なストッパー11が設けられており、棚板2が収納位置にある場合は、ストッパー11を収納棚本体1の上部から旋回移動させて収納棚本体1の内部に突出させて棚板2の収納位置を維持させる。ストッパー11を元の同じ位置に戻すことにより、棚板2が下方向に旋回移動可能となり、棚板2を使用位置に移動させることが出来る。また、収納棚本体1には内側に突起するストッパー12が設けられており、下方向に旋回移動した棚板2はストッパー12に当たって使用位置が維持される。
収納棚本体1内の3つの棚板2がもっと下に位置していて、一番下の棚板2がその使用位置で収納棚本体1の底面に当たるような場合は、ストッパー12は必要とされない。
【0021】
滑り止め20は収納物が棚板2から滑り落ちるのを防止するものであり、その形状はいろいろと考えられる。図4は滑り止めの一例を示す棚板の斜視図である。図4では収納物として紙類31が収納させている。滑り止め21に溝22が設けられているので、紙類31を取り出しやすい構造になっている。
【0022】
棚板に引き出しを設けることも可能である。図3のように収納位置に棚板2の前方を上方向に移動させる場合は、棚板2の後方に引き出しの滑り止め20を設ければよいので、引き出しを容易に設けることが可能である。しかし、図2の様に収納位置に棚板の前方を下方向に移動する場合は、棚板2の前方に滑り止め20を設ける必要があり、棚板2が使用位置にあるときに引き出しが滑り止め20に当たってしまい、引き出しが引き出せなくなってしまうので工夫が必要である。
【0023】
図5は引き出しが設けられた棚板の斜視図である。図5において引き出し32は棚板5内で前後にスライド可能になっている。棚板5の左右側面に滑り止め23を揺動可能に設けた。滑り止め23には穴が設けられており、棚板5の側面に設けられた軸部24に滑り止め23の穴を接合することにより、滑り止め23は揺動可能となっている。
【0024】
棚板5の使用位置及び収納位置を説明するための側面説明図を図6に示す。収納棚本体の側板内側にはあらかじめ突起11が設けられている。棚板5が使用位置にある場合は、滑り止め23が収納棚本体の側板内側に設けられた突起11に当たる。このことにより滑り止め23が棚板の軸部24を中心に旋回移動して引き出し32の前方から逃れ、引き出し32を引き出すことができる。棚板5の前方を下方向に旋回させて棚板5を収納位置に移動させると、滑り止め23が収納棚本体の突起11から離れて滑り止め23が引き出し32の前方に旋回移動するので引き出し32が滑り落ちない。引き出し32を設けることにより収納物の出し入れが容易になる。
【0025】
今までの説明では棚板の左右後方に連結部を設けて棚板が揺動可能になっている。しかし、棚板の数を増やしたり収納物の重さが増したりした場合、棚板に掛かる荷重により旋回移動の際の負荷が大きくなる。そこで棚板の左右中央部分を揺動可能にして棚板の前後の荷重割合をより均等にさせれば旋回移動が楽になることを考えた。しかし、棚板の中央部分を支点に棚板を旋回移動して傾斜させると、棚板の後方も上下に旋回するので棚板の後方と収納棚本体との間に隙間が生じてしまい、収納棚の奥行きを効率よく小さくすることができない。そこで、棚板を旋回移動すると同時に棚板を後方にスライド移動させて棚板後方と収納棚本体との間にできる隙間を小さくすることを考えた。
【0026】
図7は収納棚の使用位置の切断部分斜視図である。図7では収納棚本体1は図1のようなフレーム状ではなく板状としている。棚板2の左右側面中央部分に軸部7を設け、収納棚本体1の左右側面の溝13に揺動可能に接合させることにより、棚板2の前方および後方が上下に旋回移動可能すると同時に、棚板2全体が前後にスライド移動可能となる。複数の棚板2に棚板繋ぎ柱3を揺動可能に設けることにより、各棚板2が同時に旋回移動およびスライド移動が可能となっている。図7では棚板繋ぎ柱3が棚板2の後方に設けられている。
【0027】
しかしこのままだと棚板2は溝13内のどの位置でも旋回移動が可能なので、棚板2が旋回移動する軌道が確保されない。そこで棚板2の旋回移動の軌道を確保するために、収納棚本体の背板15にガイド6を設け、ガイド6に棚板繋ぎ柱3を通し、棚板繋ぎ柱3を垂直に移動させるようにした。この事により棚板2を毎回同じ軌道で旋回移動させることが可能となる。棚板繋ぎ柱3をガイドする方法は様々考えることが出来る。例えば、2つの棚板繋ぎ柱3を棚板2の左右の後方に連結させて、収納棚本体1の左右の側板の内側に溝を設けてガイドとし、その溝内で棚板繋ぎ柱3をスライド移動させることも可能である。
【0028】
棚板繋ぎ柱3を棚板の後方に設けると、棚板移動時に邪魔になる事が無く、棚板2と棚板繋ぎ柱3の間に指や手を挟む危険を防ぐことができて安全である。
【0029】
図8図7と同じ収納棚の収納位置の切断側面図である。収納位置の棚板2は底板16に当たって収納位置が維持される。収納物は滑り止め20で滑り落ちを防止する。図7のように棚板2の使用位置を維持するために、一例として、棚板本体に磁石14を設けて棚板2の軸部7を鉄材にした。磁石14と軸部7を引きつけることにより棚板2の使用位置を維持することが可能である。
【0030】
棚板2の使用位置を維持する方法は他にも様々考えることができる。例えば、収納棚本体1の天板8の下部と棚板繋ぎ柱3の上部17との間に扉用ラッチのような部材を設けて、棚板繋ぎ柱3を天板8に固定しても棚板2の使用位置を維持することが可能である。また、図1のストッパー10の様に収納棚本体1の一部を揺動可能にして、棚板2の軸部7よりも前方の上部に突出させることにより棚板2の使用位置を維持することも可能である。
【0031】
棚板繋ぎ柱3を収納棚本体1の背板15上でスライド移動させずに棚板2の旋回移動の軌道を確保する方法も様々考えることができる。図9及び図10は収納棚の使用位置及び収納位置を示す切断側面説明図である。例えば、図9図10のように揺動可能なアーム18を棚板2の後方と収納棚本体1の間に設けると、棚板2の旋回移動の軌道を確保できるだけでなく、棚板2の使用位置をより前方に位置することができるので、収納物の出し入れがさらにしやすくなる。
この場合、棚板繋ぎ柱3は棚板2と一緒に前方に移動するので、収納棚本体1上でスライド移動させることは無く、図7のガイド6は必要としない。
【0032】
図7図8図9図10では棚板2を前後にスライド移動させるために連結部に溝13を設けているが、溝13を設けずに棚板2を前後方向に移動させる方法も考えられる。図11は収納棚の使用位置及び収納位置を示す切断側面説明図である。例えば、図11の様に収納棚本体1と棚板2の間にアーム19を揺動可能に設けることにより棚板2を前後方向に移動することが可能である。
【0033】
収納棚の奥行きを小さくすると、使用位置の棚板は収納棚本体よりも前方に突出するので、収納棚が前方に転倒しやすくなる可能性がある。そこで収納棚に扉を設け、扉の底面を利用して転倒し難くさせる方法を考えた。図12は扉を設けた収納棚の斜視図である。扉29は90度開く構造になっており、棚板2が使用位置に位置するときは扉29を閉めることができずに扉29は固定される。扉29の底面を接地面に接触させることにより収納棚の転倒を防止することができる。
【0034】
ここで収納棚本体とは棚板を支えるための収納棚の筐体全体の事をいう。
【0035】
連結部とは軸部と軸部を受ける穴や溝から構成されおり、軸部は棚板もしくは収納棚本体のどちらかに設けられていればよい。また、棚板と収納棚本体の間にアームを連結させた場合は、アームを含めた揺動可能部分全体を連結部とする。連結部の部材構成に関しては特に言及しない。軸部を受ける部分にベアリングなどを使用すると揺動がよりスムーズになる。棚板の連結部の位置は、棚板が揺動可能になるように棚板の左右両側に位置していればよい。
【0036】
滑り止めは収納物が棚板から滑り落ちるのを防ぐ効果があれば良く、その形状や構造に関しては特に限定しない。例えば、棚板の表面を凹凸状にして収納物を滑らないようにしたり、収納物が金属の場合は棚板にマグネットを設けたりしても良い。指輪などのリング状のものを収納する場合は棚板にピンのような突起物を設けることも可能である。
【0037】
棚板に滑り止めを設けた場合は、滑り止め部分を含めたすべてを棚板と呼ぶ。
【0038】
収納位置および使用位置の棚板が固定される機構は様々な方法が考えられ、その機構や部材構成に関しては特に限定しない。また、棚板の固定機構はその目的を果たす位置に設ければ良く、その設置場所も特に限定しない。
【0039】
棚板繋ぎ柱の本数や形状および棚板との連結場所は特に言及しない。棚板同士がリンクして同時に旋回移動すれば良い。
【0040】
各部材の接合方法は特に言及しない。嵌め込みやネジ等による取り付けなど様々な方法が考えられる。
【0041】
各部材の材質に関しては特に言及しない。木材が好ましいと思われるが、プラスチックや金属などでも良い。揺動可能部分にはプラスチックや金属などの滑り軸受けなどを用いても良い。
【0042】
棚板の収納位置および使用位置を保持する方法は様々考えられ、その方法に関しては特に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の収納棚は奥行きを小さくすることが可能なので狭い設置場所でも設置が可能である。また棚板を同時に旋回移動させることが可能なので収納物の出し入れが容易である。
【符号の説明】
【0044】
1 収納棚本体
2 棚板
3 棚板繋ぎ柱
4 連結部
5 棚板
6 ガイド
7 軸部
8 天板
10 ストッパー
11 ストッパー
12 ストッパー
13 溝
14 磁石
15 背板
16 底板
18 アーム
19 アーム
20 滑り止め
21 滑り止め
22 溝
23 滑り止め
24 軸部
30 収納物
31 紙類
32 引き出し
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12