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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/28 20060101AFI20240105BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20240105BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01R9/28
H01R13/648
H01R13/533 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020188767
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077776
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】兼松 佑多
(72)【発明者】
【氏名】椋野 潤一
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-11816(JP,A)
【文献】特開2017-224541(JP,A)
【文献】特開2018-113119(JP,A)
【文献】中国実用新案第206727375(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/28
H01R 9/16
H01R 13/648-13/6597
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に相手側端子と接続する接続部を有し基端側に固定部を有する端子と、
前記端子の前記接続部の周囲を囲う筒状のフード部と、前記端子の前記固定部の周囲を囲う保持筒部と、外部の放熱対象に熱的に接触する接触部を有する金属製のシールドシェルと、
前記端子の前記固定部と前記シールドシェルの前記保持筒部との対向面間を充填して前記端子の前記固定部を前記シールドシェルの前記保持筒部に一体的に固定する充填樹脂部と、
を備える端子台。
【請求項2】
前記充填樹脂部は、前記保持筒部の前記フード部側の第1開口部から突出して前記フード部の底面を覆って広がるフランジ部を有している、請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記充填樹脂部は、前記保持筒部の前記フード部側と反対側の第2開口部から突出して外部に露出する突出部を有している、請求項1または請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記端子の前記固定部には、外面に開口する凹部が設けられており、前記充填樹脂部が前記凹部を充填する係合凸部を有している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子台。
【請求項5】
前記接続部が、前記端子の長手方向に矩形断面で延びる平板形状を有しており、
前記接続部の少なくとも先端側において、前記接続部の先端面と両側面と上面と下面が、前記充填樹脂部に覆われていない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子台。
【請求項6】
前記端子の前記固定部と前記シールドシェルの前記保持筒部の前記対向面間に配置された前記充填樹脂部の肉厚寸法が1.5mm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の端子台。
【請求項7】
前記シールドシェルは、前記フード部の周囲にフランジ状に広がる固定用突片を有し、前記シールドシェルの前記接触部は、前記固定用突片の前記放熱対象への重ね合わせ面により構成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車等車両に搭載される車載機器には、当該車載機器の外部との電気接続を可能にする端子台が設けられている。例えば、特許文献1には、端子が収容配置された絶縁ハウジングの周囲を遮蔽するシールドシェルを備えたシールド機能を備えた端子台が開示されている。
【0003】
このような端子台では、端子と絶縁ハウジングの間や、絶縁ハウジングとシールドシェルの間に隙間が生じている。それゆえ、それらの間に弾性を有する吸熱シートを設けることで、コネクタ端子から絶縁ハウジングやシールドシェルへの伝熱を促進し、コネクタ端子の温度上昇を抑制する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-258010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような構造では、別体の吸熱シートが必要となり、部品点数や組立工数の増加が避けられない。さらに、複数の部材を介して伝熱経路が構成されるため、熱抵抗が高く、端子台の大型化が避けられないという問題も内在していた。
【0006】
そこで、少ない部品点数で小型化を図りつつ、端子の放熱性を向上することができる、新規な構造の端子台を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の端子台は、先端側に相手側端子と接続する接続部を有し基端側に固定部を有する端子と、前記端子の前記接続部の周囲を囲う筒状のフード部と、前記端子の前記固定部の周囲を囲う保持筒部と、外部の放熱対象に熱的に接触する接触部を有する金属製のシールドシェルと、前記端子の前記固定部と前記シールドシェルの前記保持筒部との対向面間を充填して前記端子の前記固定部を前記シールドシェルの前記保持筒部に一体的に固定する充填樹脂部と、を備える端子台である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の端子台によれば、少ない部品点数で小型化を図りつつ、端子の放熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る端子台が外部の放熱対象である金属製の筐体に取り付けられた状態を示す全体斜視図である。
図2図2は、図1の平面図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図2におけるV-V断面図である。
図6図6は、図5におけるVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子台は、
(1)先端側に相手側端子と接続する接続部を有し基端側に固定部を有する端子と、前記端子の前記接続部の周囲を囲う筒状のフード部と、前記端子の前記固定部の周囲を囲う保持筒部と、外部の放熱対象に熱的に接触する接触部を有する金属製のシールドシェルと、前記端子の前記固定部と前記シールドシェルの前記保持筒部との対向面間を充填して前記端子の前記固定部を前記シールドシェルの前記保持筒部に一体的に固定する充填樹脂部と、を備える端子台である。
【0011】
本開示の端子台によれば、シールドシェルと端子が、端子の固定部とシールドシェルの保持筒部との対向面間を充填する充填樹脂部により一体化されている。それゆえ、シールドシェルと端子との固定構造や絶縁構造が簡素化されて、端子台全体の小型化を図ることができる。しかも、端子の固定部とシールドシェルの保持筒部との間は、充填樹脂部により隙間なく充填されていることから、通電により端子に発生した熱が空気層を介することなく効率よくシールドシェルの保持筒部に伝熱される。さらに、金属製のシールドシェルに設けられた接触部が外部の放熱対象に熱的に接触することにより、端子に発生した熱が充填樹脂部および金属製のシールドシェルを介して、車載機器の金属製筐体等の外部の放熱対象に効率よく伝熱される。その結果、端子台の端子の放熱性が有利に向上される。端子の放熱性が向上された結果、より小型の端子を採用することも可能となり、一層低コストで小型化が可能な端子台を提供することが可能となる。
【0012】
(2)前記充填樹脂部は、前記保持筒部の前記フード部側の第1開口部から突出して前記フード部の底面を覆って広がるフランジ部を有している、ことが好ましい。充填樹脂部が保持筒部のフード部側の第1開口部から突出してフード部の底面を覆って広がるフランジ部を有している。そのため、フランジ部の大きさを適宜調整することで、端子と金属製のシールドシェルの沿面距離を高い設計自由度をもって確保しつつ、充填樹脂部のシールドシェルに対する固着性を有利に向上させることができる。また、フランジ部により充填樹脂部と保持筒部との対向面間が覆われ、フランジ部とフード部の底面が一体化されていることから、充填樹脂部と保持筒部との対向面間の剥離による伝熱性の低下といった不具合の発生が有利に抑制または防止されている。
【0013】
(3)前記充填樹脂部は、前記保持筒部の前記フード部側と反対側の第2開口部から突出して外部に露出する突出部を有している、ことが好ましい。充填樹脂部が保持筒部の第2開口部から突出して外部に露出する突出部を有している。そのため、突出部の長さを適宜調整することで、シールドシェルの保持筒部と車載機器側の部材等との沿面距離を高い設計自由度をもって確保することができる。また、仮に第2開口部付近に水滴が付着した場合でも、水滴が保持筒部内に入り込んで留まる等の不具合の発生も未然に防止できる。
【0014】
(4)前記端子の前記固定部には、外面に開口する凹部が設けられており、前記充填樹脂部が前記凹部を充填する係合凸部を有している、ことが好ましい。端子の固定部の外面に開口する凹部に、充填樹脂部の係合凸部が入り込んだ状態で設けられることから、端子に挿抜力が加えられた場合でも、端子と充填樹脂部との分離を有利に抑制または阻止することができる。
【0015】
(5)前記接続部が、前記端子の長手方向に矩形断面で延びる平板形状を有しており、前記接続部の少なくとも先端側において、前記接続部の先端面と両側面と上面と下面が、前記充填樹脂部に覆われていない、ことが好ましい。接続部の少なくとも先端側において、前記接続部の先端面と両側面と上面と下面が、前記充填樹脂部に覆われていないことから、金型内にシールドシェルと端子を配置して充填樹脂部を射出成形する場合に、端子を金型で安定して保持することができる。その結果、端子のシールドシェルに対する位置決め性が向上し、端子の固定部とシールドシェルの保持筒部の対向面間の隙間寸法を可能な限り小さくすることができる。その結果、例えば、端子の固定部とシールドシェルの保持筒部の対向面間の隙間を充填している部分の充填樹脂部の肉厚を弾性限界まで小さくすることができ、端子から充填樹脂部を介したシールドシェルへの伝熱性を一層有利に向上することができる。
【0016】
(6)前記端子の前記固定部と前記シールドシェルの前記保持筒部の前記対向面間に配置された前記充填樹脂部の肉厚寸法が1.5mm以下である、ことが好ましい。端子の固定部とシールドシェルの保持筒部の対向面間に配置された充填樹脂部の肉厚寸法が1.5mm以下であるため、端子から充填樹脂部を介したシールドシェルへの伝熱性を一層有利に向上することができる。
【0017】
(7)前記シールドシェルは、前記フード部の周囲にフランジ状に広がる固定用突片を有し、前記シールドシェルの前記接触部は、前記固定用突片の前記放熱対象への重ね合わせ面により構成されている、ことが好ましい。シールドシェルに設けられた外部の放熱対象への固定用突片を利用して、シールドシェルの接触部を設けることができ、少ない部品点数で接触部を提供して、小型化と放熱性の両立を図ることができる。
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の端子台の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の端子台10について、図1から図6を用いて説明する。図3に示すように、端子台10は、先端側に相手側端子12と接続する接続部14を有する一対の端子16,16と、端子16の接続部14の周囲を囲う角筒状のフード部18を有するシールドシェル20と、を備えている。端子台10は、例えば、外部の放熱対象であるインバータの金属製の筐体21に取り付けられて使用される。なお、端子台10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上下方向,左右方向,前後方向を、図中に示す上下方向,左右方向および前後方向を基準として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。さらに、相手側端子12は、図3のみに記載し、理解を容易とするため、仮想線で記載している。
【0020】
<端子16>
図3および図6に示すように、端子16は、平板形状を有している。端子16の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの金属材料を適宜用いることができる。端子16は、その構成金属の種類や使用環境に応じて、銀メッキ、錫メッキやアルミニウムメッキ等の表面処理を施していてもよく、例えば、導電性に優れた金属板をプレス打ち抜き加工することによって形成することができる。端子16は、先端側(図3中、前方側)に端子16の長手方向(図3および図6中、前後方向)に矩形断面で延びる平板形状を有する接続部14を有している。また、端子16は、基端側(図3中、後方側)に接続部14の後端に連続して設けられた固定部22を有している。固定部22は、端子16の長手方向に矩形断面で延びる平板形状を有している。さらに、端子16は、固定部22よりもさらに基端側(図3中、後端側)に固定部22の後端に連続して矩形平板状を有する締結部24が形成されている。締結部24は、中央部にボルト挿通孔26が貫設されかつシールドシェル20から突出して外部に露出されており、図示しない車載機器の端子に締結されるようになっている。加えて、図6に示すように、端子16は、固定部22の締結部24側の端部の板幅方向の両端部に、外面すなわち板厚方向に貫通しかつ板幅方向外方に向かって開口する凹部28が設けられている
【0021】
<シールドシェル20>
図1から図6に示すように、端子16は、端子台10のシールドシェル20内に収容されて用いられる。シールドシェル20は、導電性を有する金属によって形成されている。シールドシェル20は、前方側に一対の端子16,16の接続部14を板幅方向に並列して収容する単一のフード部18を有し、後方側に端子16の固定部22の周囲を囲いかつ板幅方向に離隔した一対の角筒状の保持筒部30,30を有している。フード部18は、保持筒部30よりも大きい。また、シールドシェル20は、フード部18と一対の保持筒部30,30との間において、フード部18と一対の保持筒部30,30の長手方向に対して直交する方向にフランジ状に広がる固定用突片32が設けられている。図3に示すように、固定用突片32は、外部の放熱対象である金属製の筐体21に取り付けられており、固定用突片32が筐体21と密着することにより熱的に接触する部位によって接触部33が構成されている。すなわち、シールドシェル20は、フード部18の周囲にフランジ状に広がる固定用突片32を有しており、シールドシェル20の接触部33は、固定用突片32の筐体21への重ね合わせ面により構成されている。ここで、図1および図3に示すように、筐体21の前面には、一対の保持筒部30,30を挿通する挿通孔34が貫設されている。また、固定用突片32には、フード部18と一対の保持筒部30,30の内部を連通する一対の連通孔35,35が設けられており、保持筒部30の底壁の全面に亘って連通孔35が形成されている。図3に示すように、連通孔35は、フード部18の底面36のやや上寄りに形成されている。
【0022】
<充填樹脂部40>
図3および図6に示すように、端子16の固定部22とシールドシェル20の保持筒部30との対向面38,38の間は、合成樹脂が充填されて充填樹脂部40が形成されている。充填樹脂部40により、端子16の固定部22がシールドシェル20の保持筒部30に一体的に固定されている。ここで、端子16の固定部22とシールドシェル20の保持筒部30との対向面38,38の間に配置された充填樹脂部40の肉厚寸法:t(図3参照)は、1.5mm以下に設定されている。本実施形態では、1.5mmである。これにより、端子16から充填樹脂部40を介したシールドシェル20への伝熱性を一層有利に向上できる。また、図6に示すように、充填樹脂部40は、端子16の固定部22の後端に設けられた一対の凹部28,28内にも充填されており、凹部28を充填する係合凸部42を有している。この結果、端子16に挿抜力が加えられた場合でも、端子16と充填樹脂部40との分離を有利に抑制または阻止できる。さらに、図3および図6に示すように、充填樹脂部40は、保持筒部30のフード部18側の第1開口部44から突出してフード部18の底面36を覆って広がるフランジ部46を有している。加えて、充填樹脂部40は、保持筒部30のフード部18側と反対側の第2開口部48から突出して外部に露出する突出部50を有している。これにより、充填樹脂部40が対向面38,38の間に確実に充填され、端子16の固定部22がシールドシェル20の保持筒部30に対して一層強固に固定されるようになっている。以上の結果、図3および図6に示すように、端子16の接続部14の先端側において、接続部14の先端面52と両側面54,54と上面56と下面58が充填樹脂部40によって覆われておらず接続部14が露出している。
【0023】
<端子台10の製造方法>
端子台10の製造方法に関する一実施形態について説明する。まず、所定の形状に形成された単一のシールドシェル20と一対の端子16,16を準備する。なお、端子台10は、例えば図示しない2つの金型を用いて製造される。より詳細には、2つの金型は、前方に配置される金型と後方に配置される金型からなる。次に、単一のシールドシェル20の一対の連通孔35,35に一対の端子16,16を挿通する。この状態で2つの金型を、単一のシールドシェル20に対して一対の端子16,16が所定位置にくるように配置する。すなわち、この状態では、単一のシールドシェル20と一対の端子16,16の充填樹脂部40によって覆われない部分が、2つの金型によってカバーされている。そして、2つの金型によって形成された隙間に樹脂を射出・充填することにより端子台10が完成されるようになっている。
【0024】
このような構造とされた本開示の端子台10によれば、充填樹脂部40により、端子16の固定部22がシールドシェル20の保持筒部30に一体的に固定されている。これにより、端子16とシールドシェル20との固定構造や絶縁構造が簡素化できるので、端子台10全体の小型化を図ることができる。しかも、端子16の固定部22とシールドシェル20の保持筒部30との対向面38,38の間は、充填樹脂部40により隙間なく充填されている。それゆえ、通電により端子16に熱が発生した場合であっても空気層を介することなく効率よくシールドシェル20の保持筒部30に放熱される。さらに、シールドシェル20に設けられた接触部33が外部の放熱対象である筐体21に熱的に接触している。これにより、端子16に発生した熱は、充填樹脂部40およびシールドシェル20を介して、筐体21等の外部の放熱対象に効率よく放熱することができる。したがって、端子台10の端子16の放熱性が有利に向上される。端子16の放熱性が向上された結果、より小型の端子を採用することも可能となり、一層低コストで小型化が可能な端子台を提供することも可能となる。
【0025】
端子16の接続部14の先端側において、接続部14の先端面52と両側面54,54と上面56と下面58が充填樹脂部40によって覆われておらず接続部14が露出している。それゆえ、端子台10の製造時に、端子16を金型で安定して保持することができる。これにより、端子16のシールドシェル20に対する位置決め性を向上できることから、端子16の固定部22とシールドシェル20の保持筒部30の対向面38,38間の隙間寸法を可能な限り小さくすることが可能となる。したがって、対向面38,38の間に配置された充填樹脂部40の肉厚寸法を弾性限界まで小さくすることができ、端子16から充填樹脂部40を介したシールドシェル20への放熱性を一層有利に向上することができる。また、シールドシェル20に設けられた固定用突片32を利用して、外部の放熱対象である筐体21への接触部33を形成することができることから、少ない部品点数で接触部33を提供でき、端子台10の小型化と放熱性の両立を図ることが可能になる。
【0026】
充填樹脂部40は、保持筒部30のフード部18側の第1開口部44から突出してフード部18の底面36を覆って広がるフランジ部46を有している。それゆえ、フランジ部46の大きさを適宜調整することにより、端子16とシールドシェル20の沿面距離を高い設計自由度をもって確保しつつ、充填樹脂部40のシールドシェル20に対する固着性を有利に向上できる。しかも、フランジ部46により固定部22と保持筒部30との対向面38,38間が覆われている。これにより、対向面38,38間において充填樹脂部40が固定部22や保持筒部30から剥離することによる放熱性の低下といった不具合の発生が有利に抑制または防止されている。また、充填樹脂部40は、保持筒部30のフード部18側と反対側の第2開口部48から突出して外部に露出する突出部50を有している。それゆえ、突出部50の長さを適宜調整することで、保持筒部30と筐体21等との沿面距離を高い設計自由度をもって確保することができる。しかも、仮に第2開口部48付近に水滴が付着した場合でも、水滴が固定部22と保持筒部30との対向面38,38間内に入り込んで留まる等の不具合の発生も未然に防止できる。
【0027】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、端子16は一対有していたが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、フード部18についても単一のものに限定されず、複数の接続部14を各別に囲う複数のフード部を用いてもよい。
(2)上記実施形態1では、シールドシェル20が最も外側に配置されていたが、これに限定されない。シールドシェル20の接触部33が外部の放熱対象に接触可能な状態であれば、シールドシェル20が合成樹脂製のハウジングに収容されていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 端子台
12 相手側端子
14 接続部
16 端子
18 フード部
20 シールドシェル
21 筐体(外部の放熱対象)
22 固定部
24 締結部
26 ボルト挿通孔
28 凹部
30 保持筒部
32 固定用突片
33 接触部
34 挿通孔
35 連通孔
36 底面
38 対向面
40 充填樹脂部
42 係合凸部
44 第1開口部
46 フランジ部
48 第2開口部
50 突出部
52 先端面
54 側面
56 上面
58 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6