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特許7412694塩分濃度計測装置、頭部装着装置、及び塩分濃度計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】塩分濃度計測装置、頭部装着装置、及び塩分濃度計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20240105BHJP
   A42B 3/04 20060101ALI20240105BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01N27/06 A
A42B3/04
A61B5/00 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019153960
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021032738
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋元 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】組田 良則
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029696(JP,A)
【文献】特開2017-198577(JP,A)
【文献】特開2017-202138(JP,A)
【文献】特開2014-206516(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078308(WO,A1)
【文献】特表2016-533227(JP,A)
【文献】国際公開第2018/112198(WO,A1)
【文献】特開2014-098699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
G01N 33/483-33/98
A61B 5/00-5/398
A42B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、及び前記基板に配置される櫛歯状の一対の電極を備える塩分センサと、
前記一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測部と、
前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する演算部と、
ナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及び乳酸イオンを含み、それぞれのイオン濃度とモル電導度が既知の標準溶液を用いた実験によって予め求められた前記一対の電極に関するセル定数を記憶する記憶部と、
を備え、
前記塩分センサは、前記一対の電極の歯部が対向する領域に汗が流入し、
前記セル定数は、前記塩分センサを用いて測定した前記標準溶液の電気伝導度と各イオン濃度と各モル電導度とから算出された値であり、
前記演算部は、前記電気伝導度及び前記セル定数に基づいて汗の塩分濃度を算出する塩分濃度計測装置。
【請求項2】
前記電気伝導度計測部は、前記一対の電極に交流電圧を印加した時の前記一対の電極の間の交流抵抗に基づいて電気伝導度を計測し、
前記交流電圧の周波数は、0.5kHz以上15kHz以下である
請求項1に記載の塩分濃度計測装置。
【請求項3】
前記汗の温度を計測する温度センサを備える
請求項1又は2に記載の塩分濃度計測装置。
【請求項4】
前記電極は、前記基板とは反対側の表面に、金又は白金を含む皮膜を備える
請求項1から3のいずれか1項に記載の塩分濃度計測装置。
【請求項5】
前記塩分センサは、前記電極の高さより厚いスペーサを備える
請求項1から4のいずれか1項に記載の塩分濃度計測装置。
【請求項6】
前記電極は、一方向に間隔を空けて並べられる複数の歯部と、複数の前記歯部を連結する基部と、を備え、
前記スペーサは、一方の前記電極の前記歯部の先端よりも、他方の前記電極の前記基部側に配置され、
複数の前記歯部が並ぶ方向において、前記スペーサは、前記基部よりも長い
請求項5に記載の塩分濃度計測装置。
【請求項7】
外殻と、
前記外殻の内側に配置され装着者の皮膚に面する内殻と、
塩分濃度計測装置と、
を備え、
前記塩分濃度計測装置は、
基板、及び前記基板に配置される櫛歯状の一対の電極を備え、前記内殻に配置される塩分センサと、
前記一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測部と、
前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する演算部と、
ナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及び乳酸イオンを含み、それぞれのイオン濃度とモル電導度が既知の標準溶液を用いた実験によって予め求められた前記一対の電極に関するセル定数を記憶する記憶部と、
を備え、
前記塩分センサは、前記一対の電極の歯部が対向する領域に汗が流入し、
前記セル定数は、前記塩分センサを用いて測定した前記標準溶液の電気伝導度と各イオン濃度と各モル電導度とから算出された値であり、
前記演算部は、前記電気伝導度及び前記セル定数に基づいて汗の塩分濃度を算出する
頭部装着装置。
【請求項8】
前記塩分センサは、前記内殻のうち前記装着者の額に面することになる位置に配置される
請求項7に記載の頭部装着装置。
【請求項9】
前記電極は、一方向に間隔を空けて並べられる複数の歯部と、複数の前記歯部を連結する基部と、を備え、
前記一対の電極は、複数の前記歯部が並ぶ方向が前記外殻の縁から頂部に向かう方向に沿うように配置される
請求項7又は8に記載の頭部装着装置。
【請求項10】
塩分センサの櫛歯状の一対の電極の歯部が対向する領域に汗が流入し、流入する汗の電気伝導度を計測する電気伝導度計測ステップと、
前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する塩分濃度算出ステップと、
を備え、
前記塩分濃度算出ステップは、
ナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及び乳酸イオンを含み、それぞれのイオン濃度とモル伝導度が既知の標準溶液を用いた実験によって予め求められた前記一対の電極に関するセル定数を記憶し、
前記セル定数は、前記塩分センサを用いて測定した前記標準溶液の電気伝導度と各イオン濃度と各モル電導度とから算出された値であり、
前記電気伝導度及び前記セル定数に基づいて汗の塩分濃度を算出する塩分濃度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩分濃度計測装置、頭部装着装置、及び塩分濃度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱中症を防止するために、発汗量を計測する装置が知られている。例えば、特許文献1には、発汗量を計測できる頭部装着装置の一例が記載されている。熱中症になる可能性の推定精度を向上させるためには、発汗量に加え汗の塩分濃度が計測されることが望ましい。例えば、特許文献2には、尿の塩分濃度を計測できる塩分センサが記載されている。特許文献2の塩分センサは、一対の電極間の導電率に基づいて尿の塩分濃度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/078308号
【文献】特開2004-226273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、汗は、広い面積に亘る多数の汗腺から分泌される。熱中症になる可能性の推定に必要な汗の塩分濃度の計測精度を向上させるためには、多数の汗腺から分泌される汗の平均的な塩分濃度を計測することが望ましい。特許文献2の塩分センサを用いる場合、多数の汗腺から分泌される汗の平均的な塩分濃度を計測することは困難である。このため、特許文献2の塩分センサを用いる場合、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることには限界がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることができる塩分濃度計測装置、頭部装着装置、及び塩分濃度計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の塩分濃度計測装置は、基板、及び前記基板に配置される櫛歯状の一対の電極を備える塩分センサと、前記一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測部と、前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する演算部と、を備える。
【0007】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、標準溶液を用いた実験によって予め求められた前記一対の電極に関するセル定数を記憶する記憶部を備え、前記演算部は、前記電気伝導度及び前記セル定数に基づいて汗の塩分濃度を算出する。
【0008】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、前記電気伝導度計測部は、前記一対の電極に交流電圧を印加した時の前記一対の電極の間の交流抵抗に基づいて電気伝導度を計測し、前記交流電圧の周波数は、0.5kHz以上15kHz以下である。
【0009】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、前記汗の温度を計測する温度センサを備える。
【0010】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、前記電極は、前記基板とは反対側の表面に、金又は白金を含む皮膜を備える。
【0011】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、前記塩分センサは、前記電極の高さより厚いスペーサを備える。
【0012】
塩分濃度計測装置の望ましい態様として、前記電極は、一方向に間隔を空けて並べられる複数の歯部と、複数の前記歯部を連結する基部と、を備え、前記スペーサは、一方の前記電極の前記歯部の先端よりも、他方の前記電極の前記基部側に配置され、複数の前記歯部が並ぶ方向において、前記スペーサは、前記基部よりも長い。
【0013】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の頭部装着装置は、外殻と、前記外殻の内側に配置され装着者の皮膚に面する内殻と、塩分濃度計測装置と、を備え、前記塩分濃度計測装置は、基板、及び前記基板に配置される櫛歯状の一対の電極を備え、前記内殻に配置される塩分センサと、前記一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測部と、前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する演算部と、を備える。
【0014】
頭部装着装置の望ましい態様として、前記塩分センサは、前記内殻のうち前記装着者の額に面することになる位置に配置される。
【0015】
頭部装着装置の望ましい態様として、前記電極は、一方向に間隔を空けて並べられる複数の歯部と、複数の前記歯部を連結する基部と、を備え、前記一対の電極は、複数の前記歯部が並ぶ方向が前記外殻の縁から頂部に向かう方向に沿うように配置される。
【0016】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の塩分濃度計測方法は、櫛歯状の一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測ステップと、前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する塩分濃度算出ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示の塩分濃度計測装置、頭部装着装置、及び塩分濃度計測方法によれば、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態の塩分濃度計測装置を備える頭部装着装置の底面図である。
図2図2は、図1におけるA-A断面図である。
図3図3は、実施形態の塩分濃度計測装置を示す模式である。
図4図4は、実施形態の塩分センサの正面図である。
図5図5は、図4におけるB-B断面図である。
図6図6は、図4におけるC-C断面図である。
図7図7は、実施形態の塩分センサで計測された標準溶液の導電率と、標準溶液の実際の導電率とを比較するグラフである。
図8図8は、実施形態の塩分濃度計測方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
(実施形態)
図1は、実施形態の塩分濃度計測装置を備える頭部装着装置の底面図である。図2は、図1におけるA-A断面図である。図3は、実施形態の塩分濃度計測装置を示す模式である。図4は、実施形態の塩分センサの正面図である。図5は、図4におけるB-B断面図である。図6は、図4におけるC-C断面図である。
【0021】
図2に示すように、頭部装着装置10は、装着者90の頭部に装着される装置である。本実施形態の頭部装着装置10は、ヘルメットである。図1及び図2に示すように、頭部装着装置10は、外殻11と、内殻12と、塩分濃度計測装置100と、を備える。
【0022】
図2に示すように、外殻11は、半球状の部材である。外殻11は、例えば合成樹脂で形成されている。内殻12は、外殻11の内側に配置される。内殻12は、装着者90の皮膚91に面する。内殻12は、バンド部121と、ハンモック部125と、ベルト部123と、を備える。バンド部121は、外殻11の縁に沿う環状の部材である。ハンモック部125は、外殻11の頂部に対応する位置に配置される。ベルト部123は、バンド部121とハンモック部125とを連結している。
【0023】
図3に示すように、塩分濃度計測装置100は、塩分センサ31と、電気伝導度計測部39と、バッテリ101と、温度センサ33と、光電脈波センサ35と、発汗量センサ37と、制御装置50と、出力装置70と、を備える。
【0024】
塩分センサ31は、装着者90の汗の塩分濃度を計測するために必要な情報を検出するセンサである。塩分センサ31は、装着者90の皮膚91に接するように配置される。図1に示すように、塩分センサ31は、内殻12のバンド部121に配置される。図2に示すように、塩分センサ31は、バンド部121のうち装着者90の額95に面することになる位置に配置される。このため、装着者90が頭部装着装置10を装着した状態において、塩分センサ31は、装着者90の額95に接する。
【0025】
図4から図6に示すように、塩分センサ31は、基板40と、第1電極41と、第2電極42と、第1ランド43と、第2ランド44と、第1保護膜45と、第2保護膜46と、第1スペーサ47と、第2スペーサ48と、を備える。
【0026】
基板40は、絶縁体で形成された板である。基板40は、フレキシブル基板である。基板40は、例えばポリイミド(PI)で形成される。第1電極41及び第2電極42は、基板40の表面に設けられる導体である。第1電極41及び第2電極42は、例えば銅で形成される。第1電極41及び第2電極42は、基板40とは反対側の表面に皮膜を備える。皮膜は、金又は白金を含むことが望ましい。皮膜は、例えばNi-Au(ニッケル金)で形成される。第1電極41及び第2電極42は、櫛歯状の電極である。
【0027】
図4に示すように、第1電極41は、複数の歯部411と、基部413と、を備える。複数の歯部411は一方向に向かって等間隔に並べられる。第1電極41は、歯部411の並ぶ方向が外殻11の縁111から頂部113に向かう方向(図2における紙面の上下方向)に沿うように配置される。基部413は、全ての歯部411を連結する。
【0028】
図4に示すように、第2電極42は、複数の歯部421と、基部423と、を備える。複数の歯部421は一方向に向かって等間隔に並べられる。第2電極42は、歯部421の並ぶ方向が外殻11の縁111から頂部113に向かう方向(図2における紙面の上下方向)に沿うように配置される。1つの歯部421が、2つの歯部411の間に配置される。すなわち、歯部411及び歯部421は、交互に配置される。歯部411と歯部421との間には、隙間が設けられる。基部423は、全ての歯部421を連結する。
【0029】
以下の説明において、XYZ直交座標軸が用いられる。X軸は、基板40に対して直交する。Y軸は、歯部411の長手方向と平行である。Z軸は、複数の歯部411が並ぶ方向と平行である。X軸と平行な方向は、単にX方向と記載される。Y軸と平行な方向は、単にY方向と記載される。Z軸と平行な方向は、単にZ方向と記載される。基板40の裏面から第1電極41が配置される表面に向かう方向を、+X方向とする。第1電極41から第2電極42に向かう方向を、+Y方向とする。+X方向を上とし且つ+Y方向を前とした場合の左方向を、+Z方向とする。
【0030】
図4に示すように、第1ランド43は、第1電極41の-Y方向に配置される。第1ランド43は、基部413と接続される。第1ランド43は、リード線等を介して電気伝導度計測部39と接続される。
【0031】
図4に示すように、第2ランド44は、第2電極42の+Y方向に配置される。第2ランド44は、基部423と接続される。第2ランド44は、リード線等を介して電気伝導度計測部39と接続される。
【0032】
第1保護膜45は、第1電極41の+X方向に重ねられる絶縁膜である。第1保護膜45は、例えばポリイミドで形成される。第1保護膜45は、基板40のZ方向の全長に亘って設けられる。第1保護膜45は、第1電極41の基部413の全て、及び歯部411の一部を覆う。歯部411のうち歯部421とZ方向に対向する部分は、露出している。
【0033】
第2保護膜46は、第2電極42の+X方向に重ねられる絶縁膜である。第2保護膜46は、例えばポリイミドで形成される。第2保護膜46は、基板40のZ方向の全長に亘って設けられる。第2保護膜46は、第2電極42の基部423の全て、及び歯部421の一部を覆う。歯部421のうち歯部411とZ方向に対向する部分は、露出している。
【0034】
第1スペーサ47は、装着者90の皮膚91と第1電極41との間、及び皮膚91と第2電極42との間に隙間を設けるための部材である。第1スペーサ47は、例えば合成樹脂等で形成される。第1スペーサ47は、第1保護膜45の+X方向に配置される。第1スペーサ47は、歯部421の先端よりも、-Y方向(基部413側)に配置される。第1スペーサ47のZ方向の長さは、基部413のZ方向の長さよりも大きい。第1スペーサ47のX方向の長さは、第1電極41及び第2電極42のX方向の長さよりも大きい。すなわち、X方向において第1スペーサ47は、第1電極41及び第2電極42よりも厚い。第1電極41及び第2電極42のX方向の長さは、第1電極41及び第2電極42の高さともいえる。第1スペーサ47は、第1電極41及び第2電極42の高さよりも厚い。装着者90が頭部装着装置10を装着した状態において、第1スペーサ47は、装着者90の皮膚91に接する。
【0035】
第2スペーサ48は、装着者90の皮膚91と第1電極41との間、及び皮膚91と第2電極42との間に隙間を設けるための部材である。第2スペーサ48は、例えば合成樹脂等で形成される。第2スペーサ48は、第2保護膜46の+X方向に配置される。第2スペーサ48は、歯部411の先端よりも、+Y方向(基部423側)に配置される。第2スペーサ48のZ方向の長さは、基部423のZ方向の長さよりも大きい。第2スペーサ48のX方向の長さは、第1電極41及び第2電極42のX方向の長さよりも大きい。すなわち、X方向において第2スペーサ48は、第1電極41及び第2電極42よりも厚い。第2スペーサ48は、第1電極41及び第2電極42の高さよりも厚い。装着者90が頭部装着装置10を装着した状態において、第2スペーサ48は、装着者90の皮膚91に接する。
【0036】
電気伝導度計測部39は、塩分センサ31で検出される情報を用いて、装着者90の汗の電気伝導度を計測する。電気伝導度計測部39は、バッテリ101を電源として、塩分センサ31に交流電圧を印加する。電気伝導度計測部39は、第1電極41及び第2電極42に交流電圧を印加する。交流電圧の周波数は、0.5kHz以上15kHz以下であることが望ましい。電気伝導度計測部39は、塩分センサ31に交流電圧を印加した時の交流抵抗(インピーダンス)に基づいて電気伝導度を算出する。電気伝導度は、交流抵抗の逆数である。
【0037】
温度センサ33は、装着者90の汗の温度を検出するセンサである。温度センサ33は、装着者90の皮膚91に接するように配置される。図1に示すように、温度センサ33は、内殻12のバンド部121に配置される。電気伝導度は、温度によって変化することが知られている。このため、標準溶液等を用いて、温度による電気伝導度の補正値が予め計測されることが望ましい。電気伝導度の補正値は、後述する制御装置50の記憶部53に記憶されることが望ましい。これにより、後述する制御装置50の演算部51は、記憶された電気伝導度の補正値に基づいて電気伝導度を補正できる。
【0038】
光電脈波センサ35は、装着者90の脈波を検出するセンサである。光電脈波センサ35は、装着者90の皮膚91に接するように配置される。図1に示すように、光電脈波センサ35は、内殻12のバンド部121に配置される。
【0039】
発汗量センサ37は、装着者90の発汗量を計測するために必要な情報を検出するセンサである。発汗量を計測するために必要な情報は、特に限定されない。例えば、発汗量センサ37は、2つの湿度センサと、風量センサとを備えていてもよい。発汗量センサ37は、湿度センサによって検出された湿度、及び風量を制御装置50に送信する。
【0040】
制御装置50は、コンピュータであり、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力インターフェース、及び出力インターフェースを含む。CPU、ROM、RAM、入力インターフェース、及び出力インターフェースは、内部バスによって接続されている。図3に示すように、制御装置50は、演算部51と、記憶部53と、を備える。演算部51及び記憶部53の各機能は、CPU、ROM、RAM、入力インターフェース、及び出力インターフェースが連携されることによって実現される。制御装置50は、電気伝導度計測部39、温度センサ33、光電脈波センサ35、及び発汗量センサ37と電気的に接続されており、計測値を受信する。
【0041】
演算部51は、電気伝導度計測部39から受信した電気伝導度に基づいて、装着者90の汗の塩分濃度を算出する。演算部51は、下記式(3)に基づいて、塩分濃度を算出する。汗の導電率(S/cm)をκとする。汗に含まれる各イオン(i)の濃度(mol/L)を、Ci(i=1、2、3、・・・)とする。汗に含まれる各イオン(i)のモル伝導率(S・cm/mol)を、λi(i=1、2、3、・・・)とする。汗に含まれる全てのイオンに関するCiとλiの積の和を、ΣCiλiとする。この場合、下記式(1)が成り立つ。なお、汗には、ナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、乳酸イオン等が含まれる。
【0042】
κ=1000×ΣCi×Σλi ・・・(1)
【0043】
汗の電気伝統度(S)をGとする。第1電極41の歯部411と第2電極42の歯部421との間の距離(cm)をdとする。歯部411及び歯部421の表面積(cm)を、Aとする。第1電極41及び第2電極42に関するセル定数(1/cm)を、Kとする。この場合、下記式(2)が成り立つ。
【0044】
κ=G×(d/A)=G×K ・・・(2)
【0045】
式(1)及び式(2)から、下記式(3)が導出される。ΣCiは、汗に含まれる全てのイオンに関するCiの和である。Σλiは、汗に含まれる全てのイオンに関するλiの和である。
【0046】
ΣCi=K×G/(1000×Σλi) ・・・(3)
【0047】
記憶部53は、汗に含まれる全てのイオンに関するλiの和(Σλi)、及びセル定数(K)を記憶している。セル定数(K)は、予め行われる標準溶液を用いた実験によって決められる。標準溶液は、物性が既知の液体である。すなわち、標準溶液に含まれる各イオンの濃度(Ci)、及び標準溶液に含まれる各イオンのモル伝導率(λi)は、既知である。塩分センサ31を用いて標準溶液の電気伝導度(G)が計測される。標準溶液のΣCi、Σλi、及びGを式(3)に代入することによって、第1電極41及び第2電極42に関するセル定数(K)が導出される。このように導出されたセル定数(K)が、記憶部53に記憶される。
【0048】
図7は、実施形態の塩分センサで計測された標準溶液の導電率と、標準溶液の実際の導電率とを比較するグラフである。図7に示すように、電気伝導度計測部39が塩分センサ31に印加する交流電圧の周波数を変化させることによって、電気伝導度計測部39で計測される標準溶液の導電率と、標準溶液の実際の導電率との相関係数(R)は0.9999となる。すなわち、電気伝導度計測部39が塩分センサ31に印加する交流電圧の周波数を変化させることによって、電気伝導度計測部39は、標準溶液の導電率を高精度に計測できる。汗の導電率は、一般的に10mS/cm以上20mS/cm以下程度である。このため、電気伝導度計測部39による汗の電気伝導度(G)の計測精度を高めるためには、電気伝導度計測部39が塩分センサ31に印加する交流電圧の周波数は、0.5kHz以上15kHz以下であることが望ましい。このような最適な計測周波数(電気伝導度計測部39が塩分センサ31に印加する交流電圧の周波数)を予め決めておけば、電気伝導度計測部39の計測周波数を変えられない場合でも、汗の電気伝導度を正確に計測することができる。したがって、電気伝導度計測部39の計測周波数を変えられない場合でも、汗中に含まれる各イオンの濃度(平均イオン換算濃度)が求めることができる。
【0049】
演算部51は、温度センサ33から受信した汗の温度に基づいて、電気伝導度計測部39から受信したGを補正する。演算部51は、記憶部53に記憶されたΣλi、及びK、並びに補正したGを、式(3)に代入することによって、ΣCiを算出する。演算部51は、算出したΣCiを、汗の塩分濃度とみなす。演算部51は、ΣCiを塩分濃度として記憶部53に記憶する。なお、演算部51は、ΣCiと所定の係数とに基づいて、塩分濃度を算出してもよい。
【0050】
演算部51は、発汗量センサ37から受信した情報に基づいて、装着者90の発汗量を算出する。演算部51は、例えば、外殻11に流入する空気の相対湿度、外殻11から流出する空気の相対湿度、及び外殻11に流入する(又は流出する)風量等に基づいて発汗量を算出する。なお、演算部51は、他の方法によって発汗量を算出してもよい。
【0051】
演算部51は、下記式(4)に基づいて、装着者90の喪失塩分量(g)を算出する。このため、塩分濃度計測装置100は、喪失塩分量計測装置ともいえる。式(4)のMは、喪失塩分量である。式(4)のPは、発汗量(L)である。式(4)のCは、塩分濃度(mol/L)である。式(4)の58.5との値は、塩化ナトリウムのモル質量(g/mol)である。
【0052】
M=P×C×58.5 ・・・(4)
【0053】
汗は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、塩素等のイオンの混合物である。塩化ナトリウムが汗の主成分なので、モル質量を塩化ナトリウムで代表させる場合に式(4)が成立する。より詳細には、汗の混合物比によって、モル質量を他の物質(例えば塩化カリウム)等の値で案分して補正すれば、喪失塩分量の値は、より正確に算出することができる。
【0054】
演算部51は、算出した喪失塩分量によって、出力装置70の状態を変化させる。出力装置70は、例えば、音又は光等を発する警報装置である。例えば、演算部51は、算出した喪失塩分量が記憶部53に記憶された閾値を超えた場合に、出力装置70に警報を発生させる。なお、出力装置70は、数値又は画像等を表示する表示装置であってもよい。例えば、演算部51は、算出した喪失塩分量を出力装置70に表示する。これにより、頭部装着装置10は、装着者に自身が熱中症になる可能性があることを認識させることができる。
【0055】
なお、塩分濃度計測装置100は、必ずしも頭部装着装置10に適用されなくてもよい。塩分濃度計測装置100は、例えば衣服に適用されてもよい。塩分濃度計測装置100は、例えばウェアラブル端末に適用されてもよい。また、頭部装着装置10は、ヘルメットに限定されず、帽子であってもよい。
【0056】
第1電極41及び第2電極42に関するセル定数は、必ずしも標準溶液を用いた実験によって計測されなくてもよい。例えば、演算部51は、第1電極41の歯部411と第2電極42の歯部421との間の距離(cm)、及び歯部411及び歯部421の表面積に基づいて、セル定数を算出してもよい。
【0057】
塩分センサ31、温度センサ33、光電脈波センサ35、及び発汗量センサ37は、必ずしも内殻12のバンド部121に配置されなくてもよい。塩分センサ31、温度センサ33、光電脈波センサ35、及び発汗量センサ37が配置される位置は、特に限定されない。
【0058】
塩分センサ31の第1スペーサ47及び第2スペーサ48の配置及び形状は、特に限定されない。第1スペーサ47及び第2スペーサ48は、例えば基板40の表面に配置されてもよいし、歯部411及び歯部421に重なるように配置されてもよい。第1スペーサ47及び第2スペーサ48は、Z方向に延びる形状を有していなくてもよく、例えば略円柱状、略球状等であってもよい。
【0059】
図8は、実施形態の塩分濃度計測方法を示すフローチャートである。図8に示すように、実施形態の塩分濃度計測方法は、上述した塩分センサ31を用いた、汗の塩分濃度の計測方法である。実施形態の塩分濃度計測方法は、ステップS1からステップS4を備える。
【0060】
ステップS1において、塩分センサ31の一対の電極(第1電極41及び第2電極42)に関するセル定数が計測される。セル定数は、例えば標準溶液を用いた実験によって決められる。ステップS1は、セル定数計測ステップともいえる。
【0061】
ステップS1の後、ステップS2において、一対の電極に汗が接した状態で、一対の電極(第1電極41及び第2電極42)の電気伝導度が算出される。第1電極41及び第2電極42に交流電圧を印加した時の交流抵抗に基づいて、電気伝導度が算出される。ステップS2は、電気伝導度計測ステップともいえる。
【0062】
ステップS2の後、ステップS3において、セル定数及び電気伝導度に基づき、汗の塩分濃度が算出される。例えば、上述した式(3)に基づいて、汗の塩分濃度を算出する。ステップS3は、塩分濃度算出ステップともいえる。
【0063】
ステップS3の後、ステップS4において、汗の塩分濃度及び被験者の発汗量に基づき、被験者の喪失塩分量が算出される。例えば、上述した式(4)に基づいて、被験者の喪失塩分量が算出される。ステップS4は、喪失塩分量算出ステップともいえる。実施形態の塩分濃度計測方法は、喪失塩分量計測方法ともいえる。
【0064】
以上で説明したように、本実施形態の塩分濃度計測装置100は、塩分センサ31と、電気伝導度計測部39と、演算部51と、を備える。塩分センサ31は、基板40、及び基板40に配置される櫛歯状の一対の電極(第1電極41及び第2電極42)を備える。電気伝導度計測部39は、一対の電極の間の電気伝導度を計測する。演算部51は、電気伝導度に基づき、一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する。
【0065】
塩分濃度計測装置100によれば、電極が櫛歯状であるため、一対の電極を広い範囲に配置することが容易である。このため、多数の汗腺から分泌される汗が、混合された状態で一対の電極の間に入ることになる。塩分濃度計測装置100は、多数の汗腺から分泌される汗の平均的な塩分濃度を計測できる。したがって、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることができる。
【0066】
塩分濃度計測装置100は、標準溶液を用いた実験によって予め求められた一対の電極(第1電極41及び第2電極42)に関するセル定数を記憶する記憶部53を備える。演算部51は、電気伝導度及びセル定数に基づいて汗の塩分濃度を算出する。
【0067】
これにより、一対の電極の形状及び配置等からセル定数を算出する場合と比較して、セル定数の精度が高くなる。したがって、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0068】
また、塩分濃度計測装置100において、電気伝導度計測部39は、一対の電極に交流電圧を印加した時の一対の電極の間の交流抵抗に基づいて電気伝導度を計測する。交流電圧の周波数は、0.5kHz以上15kHz以下である。
【0069】
これにより、電気伝導度計測部39は、汗の電気伝導度をより高精度に計測できるようになる。このため、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0070】
塩分濃度計測装置100は、汗の温度を計測する温度センサ33を備える。
【0071】
汗の電気伝導度は、汗の温度によって変化する。温度センサ33が設けられることによって、演算部51は、汗の温度に基づいて汗の電気伝導度を補正することができる。このため、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0072】
塩分濃度計測装置100において、電極(第1電極41及び第2電極42)は、基板40とは反対側の表面に、金又は白金を含む皮膜を備える。
【0073】
電極が汗に触れるので、電極の表面が腐食する可能性がある。電極の表面に金又は白金を含む皮膜が設けられることによって、塩分濃度計測装置100は、電極の腐食を抑制できる。
【0074】
塩分濃度計測装置100において、塩分センサ31は、電極(第1電極41及び第2電極42)の高さよりも厚いスペーサ(第1スペーサ47又は第2スペーサ48)を備える。
【0075】
これにより、塩分センサ31を装着者90の皮膚91に当てる時、スペーサが皮膚91に接する。電極と皮膚91との間には、隙間が生じる。このため、一対の電極間において汗が流動しやすくなる。一対の電極間における汗の滞留が抑制される。したがって、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0076】
塩分濃度計測装置100において、電極(第1電極41)は、一方向(Z方向)に間隔を空けて並べられる複数の歯部411と、複数の歯部411を連結する基部413と、を備える。スペーサ(例えば第1スペーサ47)は、一方の電極(第2電極42)の歯部421の先端よりも、他方の電極(第1電極41)の基部413側に配置される。複数の歯部411が並ぶ方向において、スペーサは、基部413よりも長い。
【0077】
これにより、スペーサによって、一対の電極の歯部が対向する領域に汗が導かれやすくなる。一対の電極の歯部が対向する領域に流入する汗の量が増加する。このため、一対の電極に新しい汗が接している状態が保持されやすくなる。したがって、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0078】
本実施形態の頭部装着装置10は、外殻11と、内殻12と、塩分濃度計測装置100と、を備える。内殻12は、外殻11の内側に配置され装着者90の皮膚91に面する。塩分濃度計測装置100は、塩分センサ31と、電気伝導度計測部39と、演算部51と、を備える。塩分センサ31は、基板40、及び基板40に配置される櫛歯状の一対の電極(第1電極41及び第2電極42)を備え、内殻12に配置される。電気伝導度計測部39は、一対の電極の間の電気伝導度を計測する。演算部51は、電気伝導度に基づき、一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する。
【0079】
これにより、塩分センサ31が内殻12に配置されているので、塩分センサ31が皮膚91に押し付けられる。その結果、一対の電極の間に汗がある状態が保持されやすくなる。したがって、塩分濃度計測装置100は、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることができる。
【0080】
頭部装着装置10において、塩分センサ31は、内殻12のうち装着者90の額95に面することになる位置に配置される。
【0081】
これにより、装着者90が頭部装着装置10を装着した状態において、塩分センサ31が額95に接する。汗が生じやすい部分である額95に塩分センサ31が配置されることによって、一対の電極の歯部が対向する領域に流入する汗の量が増加する。このため、一対の電極に新しい汗が接している状態が保持されやすくなる。したがって、頭部装着装置10は、汗の塩分濃度の計測精度をより向上させることができる。
【0082】
頭部装着装置10において、電極(第1電極41)は、一方向(Z方向)に間隔を空けて並べられる複数の歯部411と、複数の歯部411を連結する基部413と、を備える。一対の電極は、複数の歯部411が並ぶ方向が外殻11の縁111から頂部113に向かう方向に沿うように配置される。
【0083】
仮に、歯部411の並ぶ方向が外殻11の縁に沿う方向と同じである場合、電極と接続されるリード線は、装着者90から見て電極の上側及び下側に延びるように配置される。このため、リード線が装着者90の視界を妨げる可能性がある。これに対して、歯部411の並ぶ方向が外殻11の縁から頂部に向かう方向に沿うことによって、リード線は、装着者90から見て電極の右側及び左側に延びるように配置される。したがって、頭部装着装置10は、リード線によって装着者90が視界を妨げられることを抑制できる。
【0084】
本実施形態の塩分濃度計測方法は、櫛歯状の一対の電極(第1電極41及び第2電極42)の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測ステップ(ステップS2)と、電気伝導度に基づき、一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する塩分濃度算出ステップ(ステップS3)と、を備える。
【0085】
本実施形態の塩分濃度計測方法によれば、電極が櫛歯状であるため、一対の電極を広い範囲に配置することが容易である。このため、多数の汗腺から分泌される汗が、混合された状態で一対の電極の間に入ることになる。本実施形態の塩分濃度計測方法は、多数の汗腺から分泌される汗の平均的な塩分濃度を計測できる。したがって、本実施形態の塩分濃度計測方法は、汗の塩分濃度の計測精度を向上させることができる。
【0086】
本実施形態では、塩分センサ31は、片面に電極とランドが形成された基板を備えていたが、ランドにスルーホールを有し且つ基板の裏面からリード線が取り出される構造を有していてもよい。こうすることで、頭部装着装置10は、リード線によって装着者90が視界を妨げられることをより抑制できる。
【符号の説明】
【0087】
10 頭部装着装置
11 外殻
12 内殻
31 塩分センサ
33 温度センサ
35 光電脈波センサ
37 発汗量センサ
39 電気伝導度計測部
40 基板
41 第1電極
42 第2電極
43 第1ランド
44 第2ランド
45 第1保護膜
46 第2保護膜
47 第1スペーサ
48 第2スペーサ
50 制御装置
51 演算部
53 記憶部
70 出力装置
90 装着者
91 皮膚
95 額
100 塩分濃度計測装置
101 バッテリ
111 縁
113 頂部
121 バンド部
123 ベルト部
125 ハンモック部
411 歯部
413 基部
421 歯部
423 基部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8