(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】自転車用ドライブレコーダ及びこれを備えたイベント撮像情報記録システム
(51)【国際特許分類】
B62J 27/00 20200101AFI20240105BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20240105BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240105BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20240105BHJP
【FI】
B62J27/00
B62J45/41
B62J45/00
B62M6/45
(21)【出願番号】P 2022192103
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2023-01-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522499597
【氏名又は名称】株式会社大阪シゲオー
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】保呂 和孝
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 将司
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-10350(JP,A)
【文献】特開2013-164869(JP,A)
【文献】特開2017-154653(JP,A)
【文献】中国実用新案第206107437(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 27/00
B62J 45/00
B62M 6/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電源により走行駆動力がアシストされる電動アシスト型の自転車に装備されるドライブレコーダであって、前記自転車の進行方向前方を撮像するカメラ手段と、前記カメラ手段からの撮像情報を記録するための記録手段と、前記自転車の進行方向の加速度を検知する第1加速度検知手段と、前記自転車の横方向の加速度を検知する第2加速度検知手段と、前記自転車に対してイベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段と、イベント発生信号を生成するイベント発生信号生成手段と、イベント撮像情報を生成するイベント撮像情報生成手段
と、走行駆動力がアシストされる電動アシスト走行モードと走行駆動力がアシストされない通常走行モードに切り換える電動アシストスイッチとを備えており、
前記電動アシストスイッチにより前記電動アシスト走行モードを設定すると、前記カメラ手段が作動するとともに、前記第1加速度検知手段が前記自転車の進行方向の加速度を検知し、前記第2加速度検知手段が前記自転車の横方向の加速度を検知し、そして、前記第1加速度検知手段による第1検知加速度が第1加速度基準値より大きくなる及び/又は前記第2加速度検知手段による第2検知加速度が第2加速度基準値よりも大きくなる
と、前記イベント発生判定手段はイベント発生と判定し、前記イベント発生信号生成手段は、前記イベント発生判定手段によるイベント発生の判定に基づき前記イベント発生信号を生成し、前記イベント撮像情報生成手段は、前記イベント発生信号生成手段からの前記イベント発生信号に基づき前記イベント撮像情報を生成し、
生成された前記イベント撮像情報が前記記録手段に記録されることを特徴とする自転車用ドライブレコーダ。
【請求項2】
前記第1加速度基準値は1.2~1.5Gであり、前記イベント発生判定手段は、前記第1加速度検知手段による前記第1検知加速度が前記第1加速度基準値を越えるとイベント発生と判定し、また前記第2加速度基準値は1.2~1.5Gであり、前記イベント発生判定手段は、前記第2加速度検知手段による前記第2検知加速度が前記第2加速度基準値を越えるとイベント発生と判定することを特徴とする請求項1に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項3】
前記記録手段を収容する収容ケースとを更に備え、前記カメラ手段は、カメラ支持取付構造によって前記自転車のハンドルに取り付けられ、前記収容ケースは、ケース取付構造によって前記自転車の後荷台、前記後荷台に配設された後収納ボックス又は自転車の前部に配設された前カゴに取り付けられていることを特徴とする
請求項1に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項4】
前記収容ケースは、前記
ケース取付構造によって前記後荷台の下側に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項5】
前記収容ケースは、上方が開放された収容ケース本体と、前記収容ケース本体の上方を覆う保護カバーとを備え、前記収容ケース本体及び前記保護カバーによって、前記記録手段を収容する収容空間が規定され、前記記録手段は、前記保護カバーの下面に取り付けられて前記収容ケースに収容され、前記記録手段と前記収容ケース本体の底壁との間には、前記記録手段の下面全域にわたって間隙が存在することを特徴とする請求項
4に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項6】
前記収容ケース本体の前記底壁の内面には、水分を吸収する吸水部材が配設され、前記記録手段と前記吸水部材との間には、前記記録手段の前記下面全域にわたって間隙が存在することを特徴とする請求項
5に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項7】
前記保護カバーの一端側には、前記収容ケース本体の一端側を覆うように
ハーネス収容部が設けられ、前記ハーネス収容部を覆うようにハーネスカバーが取り付けられ、また前記収容ケース本体の一端側と前記保護カバーの前記ハーネス収容部との間に吸水閉塞部材が装着されることを特徴とする請求項5に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項8】
前記カメラ支持取付構造は、
ハンドルバーをハンドルポストに取り付けるためのハンドル取付ねじ又はハンドル引上げ棒によってハンドル取付部に装着されるカメラ取付金具と、前記カメラ手段を上下方向に揺動自在に支持するカメラ支持手段とを備え、前記カメラ取付金具のカメラ取付部に前記カメラ支持手段が取り付けられ、更に、前記カメラ取付金具には、前記カメラ手段の上下方向の角度位置を調整するための角度位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の自転車用ドライブレコーダ。
【請求項9】
バッテリ電源により走行駆動力がアシストされる電動アシスト型の自転車の進行方向前方を撮像するカメラ手段と、前記自転車の進行方向の加速度を検知する第1加速度検知手段と、前記自転車の横方向の加速度を検知する第2加速度検知手段と、前記自転車に対してイベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段と、イベント発生信号を生成するイベント発生信号生成手段と、イベント撮像情報を生成するイベント撮像情報生成手段と、前記
イベント撮像情報を記録するためのイベント情報記録装置
と、走行駆動力がアシストされる電動アシスト走行モードと走行駆動力がアシストされない通常走行モードに切り換える電動アシストスイッチとを備え、前記カメラ手段、前記第1加速度検知手段、前記第2加速度検知手段、
前記電動アシストスイッチ、前記イベント発生判定手段及び前記イベント撮像情報生成手段は、前記自転車側に搭載され、前記イベント情報記録装置はイベント管理側に設置され、更に前記自転車側に
は前記イベント撮像情報を送信するための第1送受信手段が設けられ、前記イベント管理側には前記イベント撮像情報を受信するための第2送受信手段が設けられており、
前記自転車側において、
前記電動アシストスイッチにより前記電動アシスト走行モードを設定すると、前記カメラ手段が作動するとともに、前記第1加速度検知手段が前記自転車の走行方向に加速度を検知し、前記第2加速度検知手段が前記自転車の横方向の加速度を検知し、そして、前記第1加速度検知手段による第1検知加速度が第1加速度基準値より大きくなる及び/又は前記第2加速度検知手段による第2検知加速度が第2加速度基準値よりも大きくなる
と、前記イベント発生判定手段がイベント発生と判定し、前記イベント発生信号生成手段は、前記イベント発生判定手段によるイベント発生の判定に基づき前記イベント発生信号を生成し、前記イベント撮像情報生成手段は、前記イベント発生信号生成手段からの前記イベント発生信号に基づき前記イベント撮像情報を生成し、生成された前記イベント撮像情報は、前記第1送受信手段及び前記第2送受信手段を介して前記自転車側から前記イベント管理側に送信されて前記イベント管理側の前記イベント情報記録装置に記録されることを特徴とするイベント撮像情報記録システム。
【請求項10】
前記イベント管理側には前記イベント撮像情報を取得するイベント撮像取得信号を生成するイベント
撮像取得信号生成手段が設けられ、前記イベント撮像取得信号生成手段が前記イベント撮像取得信号を生成すると、前記イベント撮像取得信号が前記第2送受信手段及び第1送受信手段を介して前記自転車側に送信され、前記自転車側にて、前記イベント撮像情報生成手段は、前記イベント管理側からの前記イベント撮像取得信号に基づき前記イベント撮像情報を生成し、生成された前記イベント撮像情報は、前記第1送受信手段及び前記第2送受信手段を介して前記自転車側から前記イベント管理側に送信されて前記イベント管理側の前記イベント情報記録装置に記録されることを特徴とする請求項
9に記載のイベント撮像情報記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行方向前方を撮影して記録する自転車用ドライブレコーダ及びこれを備えたイベント撮像情報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用ドライブレコーダとして、種々のものが市販されており、それらの1つとしてアクションカメラを自転車用ドライブレコーダとして用いるものがある(例えば、非特許文献1参照)。この自転車用ドライブレコーダは、自転車のハンドルに取り付けられる円筒状ハウジングを備え、この円筒状ハウジングの一端側内部にカメラ手段が配設され、撮像情報を記録する記憶手段(例えば、microSDHCカード)及び電源としてのバッテリがこの円筒状ハウジング内に内蔵される。
【0003】
このドライブレコーダでは、内蔵バッテリにより駆動され、カメラ手段による撮像情報がメモリ手段に記録される。そして、カメラ手段による録画時間が長くなると、メモリ手段に記録された古い撮像情報の上に上書きするように新しい撮像情報が記録され、このように記録することによって、メモリ手段を交換することなく長時間にわたって記録することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ECサイト「モノタロウ」自転車用アクションカメラ・ドライブレコーダー(https://www.monotaro.com/g/05141923/ )
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この自転車用ドライブレコーダは、アクションカメラを自転車用ドライブレコーダとして用いるために、進行方向前方の状況を全てメモリ手段に記録するようになり、それ故に、イベント撮像情報毎にまとめられたものではなく、衝突事故、転倒事故などのイベント撮像情報を容易に見つけ出すことが難しいという問題がある。また、録画時間が長くなると、重要なイベント撮像情報が上書きされる新しい撮像情報により消去されてしまい、重要なイベント撮像情報の記録管理を確実に行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、衝突事故、転倒事故などのイベント撮像情報を確実に記録管理することができる自転車用ドライブレコーダを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、衝突事故、転倒事故などのイベント撮像情報を発生と同時に管理者側に伝送することができるイベント撮像情報記録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自転車用ドライブレコーダは、バッテリ電源により走行駆動力がアシストされる電動アシスト型の自転車に装備されるドライブレコーダであって、前記自転車の進行方向前方を撮像するカメラ手段と、前記カメラ手段からの撮像情報を記録するための記録手段と、前記自転車の進行方向の加速度を検知する第1加速度検知手段と、前記自転車の横方向の加速度を検知する第2加速度検知手段と、前記自転車に対してイベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段と、イベント発生信号を生成するイベント発生信号生成手段と、イベント撮像情報を生成するイベント撮像情報生成手段と、走行駆動力がアシストされる電動アシスト走行モードと走行駆動力がアシストされない通常走行モードに切り換える電動アシストスイッチとを備えており、
前記電動アシストスイッチにより前記電動アシスト走行モードを設定すると、前記カメラ手段が作動するとともに、前記第1加速度検知手段が前記自転車の進行方向の加速度を検知し、前記第2加速度検知手段が前記自転車の横方向の加速度を検知し、そして、前記第1加速度検知手段による第1検知加速度が第1加速度基準値より大きくなる及び/又は前記第2加速度検知手段による第2検知加速度が第2加速度基準値よりも大きくなると、前記イベント発生判定手段はイベント発生と判定し、前記イベント発生信号生成手段は、前記イベント発生判定手段によるイベント発生の判定に基づき前記イベント発生信号を生成し、前記イベント撮像情報生成手段は、前記イベント発生信号生成手段からの前記イベント発生信号に基づき前記イベント撮像情報を生成し、生成された前記イベント撮像情報が前記記録手段に記録されることを特徴とする。
【0010】
このような自転車用ドライブレコーダでは、第1加速度基準値を1.2~1.5Gとするのが好ましく、このような範囲に設定することによって、自転車の進行方向における衝突事故などのイベントを所望のとおりに検知することができ、また第2加速度基準値を1.2~1.5Gとするのが好ましく、このような範囲に設定することによって、自転車の転倒事故などのイベントを所望のとおりに検知することができる。
【0012】
このような自転車用ドライブレコーダにおいては、記録手段を収容する収容ケースを設け、この収容ケースをケース取付構造によって自転車の後荷台、この後荷台に配設された後収納ボックス又は自転車の前部に配設された前カゴに取り付けるのが好ましく、このように収容して取り付けることによって記録手段を安全に取り付けることができる。
【0013】
このような自転車用ドライブレコーダにおいては、収容ケースを自転車の後荷台の下側に取り付けるのが好ましく、この後荷台の下側にすることによって、安全に且つ後荷台の邪魔にならずに取り付けることができる。
【0014】
また、この自転車用ドライブレコーダにおいては、上方が開放された収容ケース本体及びこの収容ケース本体の上方を覆う保護カバーから収容ケースを構成し、記録手段を保護カバーの下面に取り付け、記録手段と収容ケース本体の底壁との間に間隙を設けるようにするのが好ましく、このように構成することによって、仮に収容ケース本体の底壁に水滴が浸入したとしてもこの水滴により記録手段が濡れることを防止し、記録手段を収容ケース内に安全に収容することができる。また、収容ケース本体の底壁の内面に吸水部材を配設するのが好ましく、このように構成することにより、仮に収容ケース内に水滴が浸入しても吸水部材により吸水することができる。この場合、記録手段と吸水部材との間に間隙が存在するように構成される。
【0015】
また、保護カバーの一端側に収容ケース本体の一端側を覆うようにハーネス収容部を設け、このハーネス収容部を覆うようにハーネスカバーを取り付け、この収容ケース本体の一端側と保護カバーのハーネス収容部との間に吸水閉塞部材を装着するのが好ましく、このように構成することによって、記録手段に関連する余分のハーネスをハーネス収容部に収容することができ、また吸水閉塞部材によって収容ケース内への水滴などの浸入を防止することができる。
【0016】
また、カメラ支持取付構造のカメラ取付金具を、ハンドルバーをハンドルポストに取り付けるためのハンドル取付ねじ又はハンドル引上げ棒を利用してハンドル取付部に装着することによって、カメラ手段を自転車のハンドル取付部に確実取り付けることができる。また、カメラ手段を上下方向に揺動自在に支持し、このカメラ手段に関連して、カメラ手段の上下方向の角度位置を調整するための角度位置調整手段を設けるのが好ましく、このように構成することによって、角度位置調整手段を調整してカメラ手段の上下方向の撮像範囲を調整することができる。
【0017】
また、本発明のイベント撮像情報記録システムは、バッテリ電源により走行駆動力がアシストされる電動アシスト型の自転車の進行方向前方を撮像するカメラ手段と、前記自転車の進行方向の加速度を検知する第1加速度検知手段と、前記自転車の横方向の加速度を検知する第2加速度検知手段と、前記自転車に対してイベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段と、イベント発生信号を生成するイベント発生信号生成手段と、イベント撮像情報を生成するイベント撮像情報生成手段と、前記イベント撮像情報を記録するためのイベント情報記録装置と、走行駆動力がアシストされる電動アシスト走行モードと走行駆動力がアシストされない通常走行モードに切り換える電動アシストスイッチとを備え、前記カメラ手段、前記第1加速度検知手段、前記第2加速度検知手段、前記電動アシストスイッチ、前記イベント発生判定手段及び前記イベント撮像情報生成手段は、前記自転車側に搭載され、前記イベント情報記録装置はイベント管理側に設置され、更に前記自転車側には前記イベント撮像情報を送信するための第1送受信手段が設けられ、前記イベント管理側には前記イベント撮像情報を受信するための第2送受信手段が設けられており、
前記自転車側において、前記電動アシストスイッチにより前記電動アシスト走行モードを設定すると、前記カメラ手段が作動するとともに、前記第1加速度検知手段が前記自転車の走行方向に加速度を検知し、前記第2加速度検知手段が前記自転車の横方向の加速度を検知し、そして、前記第1加速度検知手段による第1検知加速度が第1加速度基準値より大きくなる及び/又は前記第2加速度検知手段による第2検知加速度が第2加速度基準値よりも大きくなると、前記イベント発生判定手段がイベント発生と判定し、前記イベント発生信号生成手段は、前記イベント発生判定手段によるイベント発生の判定に基づき前記イベント発生信号を生成し、前記イベント撮像情報生成手段は、前記イベント発生信号生成手段からの前記イベント発生信号に基づき前記イベント撮像情報を生成し、生成された前記イベント撮像情報は、前記第1送受信手段及び前記第2送受信手段を介して前記自転車側から前記イベント管理側に送信されて前記イベント管理側の前記イベント情報記録装置に記録されることを特徴とする。
【0018】
このようなイベント撮像情報記録システムにおいては、イベント管理側にイベント撮像情報を取得するイベント撮像取得信号を生成するイベント撮像取得信号生成手段を設け、このイベント撮像取得信号生成手段にてイベント撮像取得信号が生成されると、このイベント撮像取得信号を自転車側に送信してこのイベント管理側からのイベント撮像取得信号に基づきイベント撮像情報を生成するようにするのが好ましく、このように構成することによって、イベント管理側からの遠隔操作による要求でもって自転車のイベント撮像情報を取得してイベント情報記録装置に記録することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の自転車用ドライブレコーダによれば、自転車の進行方向の加速度を検知する第1加速度検知手段と、自転車の横方向の加速度を検知する第2加速度検知手段と、自転車に対してイベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段とを備え、第1加速度検知手段による第1検知加速度が第1加速度基準値より大きくなると、イベント発生判定手段がイベント発生と判定するので、自転車の衝突事故などのイベント発生を検知することができる。また、第2加速度検知手段による第2検知加速度が第2加速度基準値よりも大きくなると、イベント発生判定手段がイベント発生と判定するので、自転車の転倒事故などのイベント発生を検知することができる。そして、イベント発生と判定されると、イベント発生信号が生成され、このイベント発生信号に基づき生成されたイベント撮像情報が記録手段に記録されるので、自転車による衝突事故、転倒事故などのイベント発生の際のイベント撮像情報を自動的に記録手段に記録することができる。
また、電動アシスト走行モードの設定とドライブレコーダの作動とが連動されるので、電動アシスト走行モードによる走行中はドライブレコーダが作動し、この電動アシスト走行モード中において衝突事故、転倒事故などのイベントが発生したときに、発生したイベントの撮像情報をドライブレコーダの記録手段に自動的に記録することができる。
【0021】
また、本発明のイベント撮像情報記録システムによれば、自転車の進行方向前方の状況、即ちイベント撮像情報を撮像するカメラ手段、第1加速度検知手段、第2加速度検知手段、イベント発生判定手段及びイベント撮像情報生成手段が自転車側に搭載され、イベント情報記録装置はイベント管理側に設置されるので、自転車側にて生成されたイベント撮像情報は、第1送受信手段及び第2送受信手段を介して自転車側からイベント管理側に送信され、このイベント管理側のイベント情報記録装置に自動的に記録することができる。
また、電動アシスト走行モードの設定とドライブレコーダの作動とが連動されるので、電動アシスト走行モードによる走行中はドライブレコーダが作動し、この電動アシスト走行モード中において衝突事故、転倒事故などのイベントが発生したときに、発生したイベントの撮像情報を自転車側からイベント管理側に送信してイベント情報記録装置に自動的に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に従う自転車用ドライブレコーダの一実施形態を搭載した自転車の一例を示す側面図。
【
図3】
図1の自転車用ドライブレコーダのカメラ手段を取り付けるカメラ支持取付構造を分解して示す側面図。
【
図4】
図3のカメラ支持取付構造のカメラ取付金具を示す平面図。
【
図5】
図3のカメラ支持取付構造における角度位置調整手段及びそれに関連する構成を示す正面図。
【
図6】
図1の自転車用ドライブレコーダにおける収容ケースの取付状態を示す側面図。
【
図7】
図6の収容ケースを分解して示す分解斜視図。
【
図8】
図6の収容ケースの組付け手順を説明するための説明図。
【
図9】
図6の収容ケースから延びるハーネスの収容手順を説明するための説明図。
【
図11】
図1の自転車用ドライブレコーダの制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図12】
図11の制御系による制御の流れを示すフローチャート。
【
図13】本発明に従うイベント撮像情報記録システムの一実施形態における制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図14】
図13のイベント撮像情報記録システムの制御系による制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う自転車用ドライブレコーダ及びこれを備えたイベント撮像情報記録システムの一実施形態について説明する。まず、
図1~
図12を参照して、自転車用ドライブレコーダの一実施形態について説明する。
【0024】
図1及び
図2において、図示の自転車2は、サドル4を支持するシートチューブ部6及びハンドル8を支持するヘッドチューブ10部を有するフレーム本体12を備えている。ヘッドチューブ部10の下端部からは一対のフロントフォーク14(
図2参照)が下方に延び、一対のフロントフォーク14の下端部間に前輪16が回転自在に支持されている。また、シートチューブ部6の下部にはボトムブラケットシェル(図示せず)が配置され、このボトムブラケットシェルに一対のクランク18が回転自在に支持され、かかるクランク18の先端部にペダル20が装着されている。
【0025】
更に、ボトムブラケットシェルから後方に一対のチェーンステイ22(
図1において一方のみ示す。)が延び、またシートチューブ部6の上部から一対のシートステイ24が後方に延び、片側のチェーンステイ22及びシートステイ24と他側のチェーンステイ22及びシートステイ24との間に後輪26が回転自在に支持されている。更にまた、サドル4の後側には後荷台28が配設され、この後荷台28の前端部とシートステイ24との間に固定ステイ30が設けられ、その後部が一対の荷台ステイ32を介してチェーンステイ24に取り付けられている。
【0026】
この自転車2は、後輪26に電動アシストによって駆動力が付与されるように構成された電動アシスト自転車であり、このことに関連して、この実施形態ではシートチューブ部6と一対のチェーンステイ22を利用してバッテリ34が着脱自在に取り付けられ、また後輪ハブ(図示せず)にモータ駆動部が内蔵されている。人による踏力は一対のペダル20、一対のクランク18及びチェーン36を経て後輪26の駆動部に伝達される。また、バッテリ34により付勢されるモータ駆動部からの電動アシスト力は後輪26の駆動部に伝達され、モータ駆動部からの駆動力が後輪26にアシスト力として作用する。
【0027】
例えば、人力によるトルクの大きさに応じてモータ駆動部の駆動力を変化させ、例えば時速15kmまでは1対1の比率に維持し、例えば時速15kmを超えて時速24kmまではゼロ(零)に至るまで漸減するように変化させ、人力による力をモータ駆動部の力によってアシストして走行させる。
【0028】
この自転車2(電動アシスト自転車)には、自転車用ドライブレコーダ42が搭載され、このドライブレコーダ42は、電動アシスト用のバッテリ34からの電力を用いて作動される。更に説明すると、図示の自転車用ドライブレコーダ42は、イベント情報を撮像するカメラ手段44を備え、このカメラ手段44がカメラ支持取付構造46を介して自転車2のハンドル8に取り付けられている。また、このドライブレコーダ42は、カメラ手段44からのイベント撮像情報を記録する記録手段50(
図11参照)を備え、この記録手段50が収容ケース52に収容され、この収容ケース52が自転車2の後荷台28の下側にケース取付構造54により取り付けられている。尚、カメラ手段44は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの撮像素子から構成することができ、また記録手段50は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)などから構成することができる。
【0029】
次に、
図1及び
図2とともに
図3~
図5を参照してカメラ手段44を取り付けるカメラ支持取付構造46について説明する。図示のカメラ支持取付構造46は、カメラ手段44を取り付けるカメラ取付金具56を備え、このカメラ取付金具56がハンドル8に取り付けられている。ハンドル8は、人が操作するハンドルバー58と、ヘッドチューブ10(
図1参照)に挿入して取り付けられるハンドルポスト60とを備え、ハンドルバー58がハンドルポスト60のハンドル取付部62に取り付けられ、この実施形態では、カメラ取付金具56は、このハンドルポスト60のハンドル取付部62に取り付けられている。
【0030】
主として
図3を参照して、この実施形態の自転車2では、ハンドルポスト60のハンドル取付部62にハンドル取付ねじ74を螺着する雌ねじ孔66が設けられ、またこの雌ねじ孔66の開口部に凹部68が設けられている。カメラ取付金具56をハンドル8に取り付けるには、ハンドル取付部62の凹部68にスリーブ70を挿入し、この凹部68から突出するスリーブ70の先端部にカメラ取付金具56を位置付け、ワッシャ72、カメラ取付金具56及びスリーブ70を通してハンドル取付ねじ74の雄ねじ部76をハンドル取付部62の雌ねじ孔66に螺着すればよく、このように螺着することによって、カメラ取付金具56がハンドル取付部62に取り付けられる。尚、ハンドル取付ねじ74を用いて取り付けることに代えて、ハンドル引き上げ棒(図示せず)を用いてハンドル取付部62に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
このカメラ取付金具56は、その一端(下端)から上方に向けて逆くの字形状に延び、その上部は逆L字形状に延び、その他端部にカメラ取付部78が設けられている。このカメラ取付部78は、
図1に示すように、カメラ取付金具56をハンドル取付部62に取り付けた状態では水平状態となるように構成され、このカメラ取付部78にカメラ手段44が後述するように取り付けられる。このような構成により、カメラ手段44は、ハンドル44の長手方向中央部(即ち、自転車2の幅方向中央部)であって、自転車2に乗る人の前方側に配置されるようになり、自転車を運転する人の安全性を確保しながら前方側をきれいに撮像することができる。
【0032】
この実施形態では、カメラ取付金具56をハンドル8のハンドル取付部62に取り付けているが、このような場所に代えて、ハンドルバー58(ハンドル取付部62に近い位置が好ましい。)に取り付けるようにしてもよく、この場合、カメラ取付金具56の形状も取付部位に対応するように適宜変更するようになる。
【0033】
この実施形態では、カメラ手段44はカメラ支持手段80に支持され、このカメラ支持手段80がカメラ取付金具56のカメラ取付部78に取り付けられる。カメラ取付部78には取付プレート82が設けられ、この取付プレート82の両端部に取付孔84が設けられ、またカメラ取付部78の先端部に調整ねじ孔86が設けられている。
【0034】
また、カメラ支持手段80は、カメラ取付金具56に対応して設けられた支持プレート88を備え、この支持プレート88に一対の取付ブラケット90が設けられている。更にカメラ手段44のカメラ本体92には一対の旋回ブラケット94が設けられ、かかる旋回ブラケット94が支持プレート88側の一対の取付ブラケット90の両外側に位置付けられ、これら旋回ブラケット94及び取付ブラケット90を通してピン部材91が装着され、このように取り付けることによって、カメラ手段44(そのカメラ本体92)は、ピン部材91を中心として上下方向に旋回自在に支持プレート88に装着される(
図5参照)。
【0035】
カメラ支持手段80の支持プレート88には、カメラ取付金具56側の取付プレート82の取付孔84に対応して貫通孔96が設けられ、これら取付孔84及び貫通孔96を通してボルト及びナット(図示せず)が螺着され、このようにしてカメラ取付金具56のカメラ取付部78にカメラ支持手段80を介してカメラ手段44が取り付けられ、この取付状態においては、カメラ手段44はピン部材91(横方向に延びる旋回軸を構成する。)を中心として上下方向に旋回自在となる。
【0036】
この実施形態では、カメラ取付金具56のカメラ取付部78に、カメラ手段44の角度位置を調整するための角度位置調整手段としての角度調整ねじ100が取り付けられている。この角度調整ねじ100はカメラ取付部78の調整ねじ孔86に螺着され、この角度調整ねじ100を例えば締付け方向(又は緩み方向)に回動させることによって、角度調整ねじ100がカメラ取付部78から突出する方向(又は引っ込む方向)に移動し、これによって、カメラ手段44を上下方向上方(又は下方)に旋回させてカメラ手段44の撮像方向(換言すると、撮像範囲)を調整することができる。尚、このカメラ手段44の角度位置を確実に固定するには、ピン部材91に代えて、例えばボルト及びナットを用いて固定するようにすることができる。
【0037】
また、記録手段60を収容した収容ケース52は、自転車2の後荷台28に取り付けられ、この後荷台28の下側に取り付けるのが好ましい。尚、自転車2の後荷台28に代えて、後荷台28に取り付けられた後収納ボックス(図示せず)内に内蔵する(例えば、側壁の内面に取り付ける)ようにしてもよく、或いは自転車の前部に配設される前カゴの例えば裏面側(運転者側)に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
図1とともに
図6~
図10を参照して、この実施形態では、収容ケース52は、上方が開放された収容ケース本体102と、この収容ケース本体102の上方を覆う保護カバー104と、この保護カバー104のハーネス収容部106を覆うハーネスカバー108と、収容ケース本体102の後側開口を覆う後カバー110とを備えている。
【0039】
収容ケース本体102は、底壁112と、この底壁112の両側端から立ち上がる一対の側壁114を有し、一対の側壁114間に収容空間116を規定する。また、一対の側壁114の上端には両外側に突出する取付フランジ118が設けられている。保護カバー104の両側部は、収容空間116を覆うように収容ケース本体102の一対の取付フランジ118に載置され、仮止めされた後に後述するようにして取り付けられる。
【0040】
この保護カバー104の一端側(前側)にはハーネス収容部106が設けられ、収容ケース本体102に保護カバー104を取り付けた状態では、このハーネス収容部106が収容ケース本体102の一端側開口の外側に位置し、保護カバー104の他端部は収容ケース本体102の他端側より後方に突出する。また、後カバー110はコ字形状に形成され、その両端部に折曲取付部120が設けられ、一対の折曲取付部120が収容ケース本体102の一対の側壁114の外側に位置付けられて取付ボルト(図示せず)により固定される。この取付状態においては、後カバー110は収容ケース本体102の他端側開口(後側開口)を閉塞し、水滴などが収容空間116に侵入するのを防止する。
【0041】
更に、ハーネスカバー108は、保護カバー104のハーネス収容部106の上方を覆うように取り付けられ、ハーネスカバー108の折曲部122がハーネス収容部106の外壁124に外側から当接するように装着され、この状態でハーネスカバー108が保護カバー104の上面に取り付けられる。
【0042】
この収容ケース52は、次のように組み立てられて自転車2の後荷台28に取り付けられる。主として
図8及び
図9を参照して、収容ケース52を組み付けるには、記録手段50が内蔵されたレコーダ本体126を保護カバー104の内面に取り付ける。この取付けは、例えば両面テープ、接着剤などにより取り付けることができる(
図10も参照)。尚、図示していないが、例えばGPSマウス、LTEアンテナなども保護カバー104の内面又は収容ケース本体102の内面に取り付ける。
【0043】
次いで、収容ケース本体102の一対の取付フランジ118に収容空間116を覆うように保護カバー104を載置し、更にこの保護カバー104の上側にハーネス収容空間128を覆うようにハーネスカバー108を載置し、
図8に示すように、収容カース本体102に保護カバー104及びハーネスカバー108を固定ねじ(図示せず)により仮止めする。
【0044】
次に、収容ケース本体102の他端側開口を覆うように後カバー110を収容ケース本体102の一対の側壁114に取り付ける。そして、レコーダ本体126から延びる複数本のハーネス130を、収容ケース本体102と保護カバー104のハーネス収容部124との間の間隙を通して外側に導出させ、余分のハーネス130を開放された横側開口からハーネス収容部124のハーネス収容空間128に収容する。
【0045】
その後、収容ケース本体102と保護カバー104のハーネス収容部124との間の間隙に吸水閉塞部材132を装着し、このように装着することにより、ハーネス収容部124から収容ケース52内への水滴などの浸入を防止することができる。この吸水閉塞部材としては、例えば吸水性を有する弾性ウレタン、弾性スポンジなどから形成することができる。
【0046】
更にその後、
図6、
図8及び
図10に示すように、ケース取付構造の一部を構成する一対の止め金具134を用いて収容ケース本体102、保護カバー104及びハーネスカバー108を後荷台28の下面に取り付ける。即ち、後荷台28(例えば、複数の棒状部材136を溶接により固着することにより形成される。)の下側に、レコーダ本体126を内蔵して仮止めされた収容ケース本体102、保護カバー104及びハーネスカバー108を位置付け、またこの後荷台28の上側に一対の止め金具134を位置付け、保護カバー104の前部においては、止め金具134、ハーネスカバー108、保護カバー104及び収容ケース本体102(具体的には、そのフランジ118)の取付孔を通して取付ねじ138及びナット140を螺着することにより取り付け、また保護カバー104の後部においては、止め金具134、保護カバー104及び収容ケース本体102の取付孔を通して取付ねじ138及びナット140を螺着することにより取り付ける。
【0047】
この装着状態においては、
図6及び
図10に示すように、ハーネスカバー108、保護カバー104及び収容ケース本体102と止め金具134により後荷台28(具体的には、その棒状部材136)を挟持するようにして取り付けられる。また、この取付状態においては、レコーダ本体126の下面と収容ケース本体102の底壁112の内面との間には、このレコーダ本体126の下面全域において間隙が存在しており、このように間隙を設けることにより、仮に収容ケース本体102の収容空間116に水滴が浸入したとしてもこの底壁112の内面に溜まるようになり、このレコーダ本体126が水に濡れるのを防止することができる。
【0048】
この収容ケース本体102の底壁112の内面には、水分を吸水する吸水部材142を設けるのが好ましく、この吸水部材として例えば吸水性ウレタン、吸水性フェルトなどを用いることができ、この底壁112内面に接着剤により取り付けることができる。このように吸水部材142を設けることにより、仮に収容空間116内に水滴などが侵入したとしても侵入した水滴を吸水部材142により吸水することができる。尚、このように吸水部材142を設けた場合には、レコーダ本体126の下面と収容ケース本体102の底壁112に設けた吸水部材142の表面との間に、このレコーダ本体126の下面全域において間隙が存在するように構成される。
【0049】
この自転車用ドライブレコーダ42は、
図11に示す制御系により制御される。
図11を参照して、この実施形態では、自転車2は、アシスト力を利用する電動アシスト走行モードと電動アシスト力を利用しない通常走行モードに切り換える電動アシストスイッチ152を備え、この電動アシストスイッチ152は、例えば自転車2のハンドル部58に取り付けられる。例えば、電動アシストスイッチ152をオンにすると電動アシスト走行モードに設定され、この電動アシスト走行モードにおいて、例えば、アシスト力が弱い弱駆動モード、アシスト力が中程度である中駆動モード及びアシスト力が大きい強駆動モードに選択的に設定可能なように構成される。
【0050】
また、自転車2に発生するイベント(例えば、衝突事故、転倒事故など)を検知するために加速度検知手段154が用いられ、この加速度検知手段154はレコーダ本体126に内蔵される。加速度検知手段154は、自転車の進行方向、即ち
図1においてX方向の加速度を検知する第1加速度センサ156(第1加速度検知手段を構成する。)と、自転車の横方向、即ち
図2においてY方向の加速度を検知する第2加速度センサ158(第2加速度検知手段を構成する。)とを含んでいる。
【0051】
自転車2が進行方向に衝突するということは進行方向に大きな衝撃、換言するとX方向に大きな加速度が生じ、第1加速度センサ156によりこの加速度を検知することにより、衝突事故などのイベントが発生したことを検知することができる。第1加速度センサ156によるイベント検知の加速度は、例えば1.2~1.5G程度であって、例えば1.3G程度に設定され、フロントフォーク14やフレーム本体12などに歪みが生じる程度の大きさに設定するのが好ましい。この進行方向の検知加速度が1.5Gより大きくなると、非常に大きな衝突事故などしか検知することができなくなって安全上好ましくなく、またこの進行方向の検知加速度が1.2G未満になると、障害物に当たったような衝突も検知するようになって事故発生の誤検知が生じるおそれがある。
【0052】
また、自転車2が横方向に転倒するということは、前輪16及び後輪26を支点として自転車2が横方向に勢いよく大きく傾く、換言するとY方向にある程度大きな加速度が生じ、第2加速度センサ158によりこの加速度を検知することにより、転倒事故などのイベントが発生したことを検知することができる。第2加速度センサ158によるイベント検知の加速度は、例えば1.2~1.5G程度であって、例えば1.3G程度に設定され、自転車2が横方向に勢いよく傾いて立て直すことができない程度の大きさに設定するのが好ましい。この横方向の検知加速度が1.5Gを越えると、大きな転倒事故などしか検知できなくなって安全上好ましくなく、またこの横方向の検知加速度が1.2G未満になると、自転車2の右左折やカーブ走行なども検知するようになって事故発生の誤検知が生じるおそれがある。
【0053】
この加速度検知手段154(第1及び第2加速度センサ156,158)からの検知信号は、例えばマイクロプロセッサなどから構成されるコントローラ160に送給される。この実施形態では、コントローラ160は、撮像情報処理手段162、加速度比較手段164、イベント発生判定手段166、イベント発生信号生成手段168及びイベント撮像情報生成手段170を備えている。また、記録手段50は、常時連続的に撮像情報を記録する常時記録域及びイベント記録域を含み、常時記録域では撮像情報が常に上書きされて記録され、イベント記録域では撮像情報は上書きされずに残り、消去操作をすることによって撮像情報が消去され、自動的に消去されるのを防止している。
【0054】
撮像情報処理手段162は、カメラ手段44が撮像した撮像情報を所要の通りに処理し、この雑像情報処理手段162により処理された撮像情報は、通常の撮像情報として記録手段50の常時記録域に記録される。加速度比較手段164は、第1加速度センサ156の第1検知加速度と第1加速度基準値とを比較するとともに、第2加速度センサ158の第2検知加速度と第2加速度基準値とを比較する。
【0055】
コントローラ160は、メモリ手段171を含んでおり、このメモリ手段171に第1加速度基準値及び第2加速度基準値が登録されており、加速度比較手段164は、メモリ手段171に登録された第1加速度基準値及び第2加速度基準値を読み出して第1検知加速度及び第2検知加速度と比較する。尚,第1加速度基準値としては、例えば1.3Gの値が設定され、第2加速度基準値としては、例えば1.3Gの値が設定される。
【0056】
また、イベント発生判定手段166は、第1加速度センサ156の第1検知加速度が第1加速度基準を超えると衝突事故などのイベントが発生したと判定するとともに、第2加速度センサ158の第2検知加速度が第2加速度基準値を超えると転倒事故などのイベントが発生したと判定する。イベント発生信号生成手段168は、イベント発生判定手段166がイベント発生と判定するとイベント発生信号を生成し、イベント撮像情報生成手段170は、このイベント発生信号に基づいてイベント撮像情報を生成する。
【0057】
この実施形態では、イベント撮像情報生成手段170は、イベント発生信号生成手段168からのイベント発生信号に基づいて、このイベント発生信号の生成時点を基準にして発生前の例えば15秒間の撮像画像と発生後の例えば10秒間の撮像画像とを合わせたイベント撮像情報を生成し、このイベント撮像情報は、記録手段50のイベント記録域に登録される。尚、イベント撮像画像を構成するイベント信号発生前の撮像画像及びイベント信号発生後の撮像画像における取得時間については適宜設定することができ、発生前時間として例えば20~30秒程度に、また発生後時間として15~25秒程度に設定するようにしてもよい。
【0058】
この自転車用ドライブレコーダ42においては、カメラ手段からの撮像画像は、例えば、次のようにして記録手段50に登録される。
図11とともに
図12を参照して、カメラ手段44からの画像を録画するときには、電動アシストスイッチ152をオンにして電動アシスト走行モードを設定し、弱駆動モード、中駆動モード及び強駆動モードのいずれかを選択する(ステップS1)。かくすると、ドライブレコーダ42が作動状態となり、カメラ手段44は進行方向前方を撮像し(ステップS2)、カメラ手段44からの撮像情報がコントローラ60に送給される。この実施形態では、電動アシストスイッチ152をドライブレコーダ42の起動スイッチとしても機能させているので、ドライブレコーダ42を起動させるための専用スイッチを省略することができる。
【0059】
このようにカメラ手段44からの撮像情報が送給されると、撮像情報処理手段162はこの撮像画像を所要の通りに処理し(ステップS3)、例えば撮像場所の位置情報と組み合わせた撮像情報を生成し、この撮像情報が記録手段50の常時記録域に記録される(ステップS4)。
【0060】
また、この撮像画像の処理中においては、加速度比較手段164は、第1加速度センサ156の第1検知加速度値とメモリ手段171に登録された第1加速度基準値とを比較し(ステップS5)、この第1検知加速度値が第1加速度基準値を超えると、ステップS6からステップS7に進む。
【0061】
また、この第1加速度センサ156の第1検知加速度値が第1加速度基準値以下であると、ステップS6からステップS8に移り、次に加速度比較手段164は、第2加速度センサ158の第2検知加速度値とメモリ手段171に登録された第2加速度基準値とを比較し(ステップS8)、この第2検知加速度値が第2加速度基準値を超えると、ステップS9からステップS7に移る。
【0062】
第1加速度センサ156の第1感知加速度値が第1加速度基準値より大きくなる及び/又は第2加速度センサ158の第2検知加速度値が第2第2加速度基準値よりも大きくなってステップS7に進むと、イベント発生信号生成手段168はイベント発生信号を生成し、イベント撮像情報生成手段170は、このイベント発生信号に基づいて上述したイベント撮像情報を生成し(ステップS10)、生成されたイベント撮像情報が記録手段50のイベント記録域に記録される。このように、自転車2に発生した衝突事故、転倒事故などのイベント発生を加速度検知手段154により検知し、そのイベント撮像情報を記録手段50に自動的に記録することができる。
【0063】
このカメラ手段44による撮像取得は、電動アシストスイッチ44をオフ(OFF)にするまで継続して行われ、自転車による走行を終了して電動アシストスイッチ152をオフ(OFF)にすると、ステップS12からステップS13に進み、カメラ手段44の作動が終了し、カメラ手段44による画像録画が終了する。
【0064】
この実施形態においては、記録手段50の常時記録域に通常撮像情報を記録し、イベント記録域にイベント撮像情報を記録しているが、イベント撮像情報のみを記録して残すようにするときには、記録手段50の通常記録域を省略することができる。
【0065】
次に、
図13及び
図14を参照して、本発明によるイベント撮像情報記録システムの一実施形態について説明する。尚、この記録システムにおいては、上述した自転車用ドライブレコーダを用いており、このドライブレコーダと同様の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0066】
このイベント撮像情報記録システム202においては、自転車用ドライブレコーダ42を備え、このドライブレコーダ42の構成は上述したと同様であり、その具体的な説明を省略する。このドライブレコーダ42は、上述した構成に加えて、メインスイッチ204及び第1送受信手段206を備え、更にコントローラ160Aは、撮像情報送信手段208を含んでいる。
【0067】
このイベント撮像情報記録システム202は、システムコンピュータ210を含み、このシステムコンピュータ210はイベント管理側、例えば自転車を管理する管理会社、自転車保険を管理する保険会社などに設置される。このシステムコンピュータ210に代えて、パーソナルコンピュータ、サーバーコンピュータなどを用いるようにしてもよい。
【0068】
システムコンピュータ210は、データ書込み手段212、データ読出し手段214、制御手段216、信号処理手段218、警報信号生成手段220及びメモリ手段222を含んでいる。また、このシステムコンピュータ210に関連して、入力操作する入力手段224、出力手段226、表示装置228及び記憶装置230が設けられる。入力手段224は例えばキーボード、マウスなどから構成され、出力手段226は例えばレーザープリンタなどから構成され、表示装置228は例えば液晶表示装置などから構成され、記憶装置230は例えばサーバーなどから構成される。システムコンピュータ210には、更に、自転車側ドライブレコーダ42との間で各種信号を送受信する第2送受信手段232が設けられる。
【0069】
システムコンピュータ210のデータ書込み手段212は、例えばドライブレコーダ42からのイベント撮像情報を記憶装置230に書き込み、データ読出し手段2214は、例えば記憶装置230に記憶されたイベント撮像情報を読み出し、制御手段216は、出力手段226、表示装置228及び記憶装置230を所要の通りに制御する。また、信号処理手段218は入力手段224からの操作信号などを所要の通りに処理し、警報信号生成手段220は、後述するようにして警報信号を生成する。
【0070】
このイベント撮像情報記録システム202による画像録画は、例えば次のようにして行われる。
図13及び
図14を参照して、この
イベント撮像情報記録システム202を用いて撮像情報を記録するには、自転車側のメインスイッチ204をオン(ON)にする(ステップS21)。かくすると、この作動信号が第1送受信手段206及び第2送受信手段232を介してシステムコンピュータ210に送給され、これにより、自転車側のドライブレコーダ42とイベント管理側のシステムコンピュータ210との間の通信状態が確立される(ステップS22)。
【0071】
その後、自転車側の電動アシストスイッチ152をオンにする(ステップS23)と、ドライブレコーダ42が作動状態となり、カメラ手段44は進行方向前方を撮像し(ステップS24)、カメラ手段44からの撮像情報がコントローラ60に送給される。かくすると、上述したように撮像情報処理手段162は、この撮像画像を所要の通りに処理し(ステップS25)、この撮像情報が自転車側の記録手段50の常時記録域に記録される(ステップS26)。
【0072】
また、この撮像画像の処理中おいて、イベント発生判定手段166がイベント発生と判定すると、ステップS27からステップS28に進み、イベント発生信号生成手段168がイベント発生信号を生成する。イベント発生の判定に当たっては、上述したと同様に、加速度比較手段164は、第1加速度センサ156の第1検知加速度値とメモリ手段171に登録された第1加速度基準値とを比較し、この第1検知加速度値が第1加速度基準値を超えると、ベント発生と判定するとともに、第2加速度センサ158の第2検知加速度値とメモリ手段171に登録された第2加速度基準値とを比較し、この第2検知加速度値が第2加速度基準値を超えると、イベント発生と判定する。
【0073】
このようにしてイベント発生信号が生成されると、イベント撮像情報生成手段170は、このイベント発生信号に基づいて上述したと同様にしてイベント撮像情報を生成し(ステップS29)、生成されたイベント撮像情報が記録手段50のイベント記録域に記録される(ステップS30)。
【0074】
このイベント撮像情報記録システム202においては、自転車側で生成されたイベント撮像情報がイベント管理側のシステムコンピュータ210に送給されて記憶装置230にも記録されるように構成されている。即ち、自転車側のイベント撮像情報は、撮像情報送信手段208によって第1送受信手段206及び第2送受信手段232を介してイベント管理側のシステムコンピュータ210に送給される(ステップS31)。かくすると、警報信号生成手段220は警報信号を生成し、この警報信号に基づいて表示装置228にイベント発生の警報を表示し(ステップS32)、この警報表示によって、イベント管理側の管理者は、自転車側に衝突事故、転倒事故などのイベントが発生したことを知ることができる。また、このイベント撮像情報は、データ書込み手段212によって記憶装置230に記録される(ステップS33)。
【0075】
カメラ手段44による撮像画像の取得は、電動アシストスイッチ152がオフ(OFF)になるまで継続して行われ、電動アシストスイッチ152をオフにすると、ステップS34からステップS35に進み、カメラ手段44による録画が終了する(ステップS35)。その後、メインスイッチ204をオフにする(ステップS36)と、自転車側のドライブレコーダ42とイベント管理側のシステムコンピュータ210との通信状態が遮断され(ステップS37)、このようにしてイベント管理側による自転車の管理が終了する。
【0076】
この実施形態のイベント撮像情報記録システムにおいては、自転車側にて発生した衝突事故、転倒事故などのイベント発生の撮像情報を、記録手段50のイベント記録域に加えてイベント管理側の記憶装置230に記録しているが、自転車側での記録を省略し、イベント管理側の記録装置230にのみ記録するようにしてもよい。
【0077】
また、この実施形態では、イベント撮像情報をイベント管理側の記憶装置230に記録しているが、この記憶装置230を省略し、システムコンピュータ210のメモリ手段222に記録するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、衝突事故、転倒事故などのイベントが発生したとき自転車側からイベント管理側にイベント撮像情報が送信されるように構成されているが、イベント管理側からの要求に応じてイベント撮像情報を自転車側からイベント管理側に送るように構成することもできる。この場合、例えば、次のように構成することができる。
【0079】
イベント管理側のシステムコンピュータ210に、イベント撮像取得信号を生成するイベント撮像取得信号生成手段を含ませ、イベント撮像情報を取得するために入力手段224を入力操作すると、このイベント撮像取得信号生成手段がイベント撮像取得信号を生成し、生成されたイベント撮像取得信号がイベント管理側から自転車側に第2送受信手段232及び第1送受信手段206を介して送信される。このようにイベント撮像取得信号が送給されると、自転車側にて、イベント撮像情報生成手段170は、このイベント撮像取得信号に基づきイベント撮像情報を生成し、生成されたイベント撮像情報は、第1送受信手段206及び第2送受信手段232を介して自転車側からイベント管理側に送信されてイベント管理側のイベント撮像情報を記録する記録装置230に記録される。このとき、イベント撮像情報生成手段170は、イベント管理側からのイベント撮像取得信号に基づいて、このイベント撮像取得信号の受信時点を基準にして受信前の例えば15秒間の撮像画像と受信後の例えば10秒間の撮像画像とを合わせたイベント撮像情報を生成し、このイベント撮像情報が、イベント管理側のシステムコンピュータ210に送給される。
【0080】
以上、本発明に従う自転車用ドライブレコーダ(及びこれを備えたイベント撮像情報記録システム)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0081】
2 自転車
8 ハンドル
12 フレーム本体
28 後荷台
42 自転車用ドライブレコーダ
44 カメラ手段
46 カメラ支持取付構造
50 記録手段
52 収容ケース
54 ケース取付構造
100 角度調整ねじ(角度位置調整手段)
126 レコーダ本体
142 吸水部材
152 電動アシストスイッチ
154 加速度検知手段
160,160A コントローラ
166 イベント発生判定手段
168 イベント発生信号生成手段
170 イベント撮像情報生成手段
202 イベント撮像情報記録システム
210 システムコンピュータ
230 記憶装置
【要約】 (修正有)
【課題】交通事故などのイベント撮像情報を確実に記録管理することができる自転車用ドライブレコーダを提供すること。
【解決手段】自転車の進行方向前方を撮像するカメラ手段44と、撮像情報を記録する記録手段50と、進行方向の加速度を検知する第1加速度センサ156と、横方向の加速度を検知する第2加速度センサと、イベントが発生したことを判定するためのイベント発生判定手段166と、イベント撮像情報を生成するイベント撮像情報生成手段170とを備えた自転車用ドライブレコーダ。イベント発生判定手段166は、第1及び第2加速度センサ156,158による第1及び第2検知加速度が第1及び第2加速度基準値より大きくなるとイベント発生と判定し、イベント撮像情報生成手段170はイベント撮像情報を生成し、生成されたイベント撮像情報が記録手段50に記録される。
【選択図】
図11