(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】水抜き装置付き花立
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20240105BHJP
A47G 7/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
E04H13/00 H
A47G7/02 E
(21)【出願番号】P 2023114622
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521124043
【氏名又は名称】▲高▼松 隆士
(73)【特許権者】
【識別番号】500328079
【氏名又は名称】▲高▼松 六男
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 隆士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 六男
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-336311(JP,A)
【文献】実開昭58-165161(JP,U)
【文献】実開昭60-072679(JP,U)
【文献】実開昭55-118670(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
A47G 7/02-7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
花立台に置かれ、かつ、水が溜まる水溜め空間を有する容器と、
前記水溜め空間に溜まる水を前記容器の外部へ排出する水抜き装置と、
を有する、水抜き装置付き花立であって、
前記水抜き装置は、
前記容器に設けられた水抜き穴と、
前記水抜き穴を開閉する弁体と、
前記水溜め空間に設けられて前記弁体に接続され、かつ、前記弁体が前記水抜き穴を閉じた状態を保つ吊り下げ具と、
を有
し、
鉛直方向で前記水抜き穴より上で前記容器を貫通して設けられ、かつ、前記水溜め空間に溜まる水の水位の上限を定める水位設定口を、更に有し、
前記吊り下げ具のうち、鉛直方向で前記水位設定口より下に位置する箇所が、前記水溜め空間に溜まる水に接触されて劣化が促進される水溶性材料で構成されている、水抜き装置付き花立。
【請求項2】
請求項
1記載の水抜き装置付き花立であって、
前記容器は、
花が立てられ、かつ、第1空間を有する本体と、
前記本体の外部に設けられて前記本体に接続され、かつ、第2空間を有する補助容器と、
を有し、
前記水溜め空間は、前記第1空間及び前記第2空間を含み、
前記補助容器は、前記水抜き穴及び前記水位設定口を有し、
前記吊り下げ具は、前記第2空間に配置されている、水抜き装置付き花立。
【請求項3】
請求項
2記載の水抜き装置付き花立であって、
前記補助容器は、
前記第1空間及び前記第2空間につながる第1通路と、
前記第1空間及び前記第2空間につながる第2通路と、
を有し、
前記第2通路は、鉛直方向で前記第1通路より下に配置され、
前記水位設定口及び前記第1通路は、鉛直方向で同じ高さに配置され、
前記水抜き装置は、前記鉛直方向で前記第2通路より下に配置されている、水抜き装置付き花立。
【請求項4】
請求項
3記載の水抜き装置付き花立であって、
前記吊り下げ具における鉛直方向の上端は、前記補助容器により支持されている、水抜き装置付き花立。
【請求項5】
請求項
1記載の水抜き装置付き花立であって、
前記容器は、花が立てられる本体であり、
前記水溜め空間は、前記本体の内部に設けられ、
前記本体は、前記水抜き穴及び前記水位設定口を有し、
前記吊り下げ具は、前記水溜め空間に配置されている、水抜き装置付き花立。
【請求項6】
請求項
5記載の水抜き装置付き花立であって、
前記吊り下げ具における鉛直方向の上端は、前記本体により支持されている、水抜き装置付き花立。
【請求項7】
請求項
6記載の水抜き装置付き花立であって、
前記本体は、
筒部と、
前記筒部に設けられた底板と、
を備え、
前記水抜き穴は、前記底板を鉛直方向に貫通して設けられ、
前記弁体は、鉛直方向で前記底板より下に配置される、水抜き装置付き花立。
【請求項8】
請求項
6記載の水抜き装置付き花立であって、
前記本体は、
筒部と、
前記筒部に設けられた底板と、
を備え、
前記水抜き穴は、前記筒部を半径方向に貫通して設けられている、水抜き装置付き花立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、墓地に設けられる花立に関し、特に、水抜き装置を備えた花立に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、墓地に設けられて水抜き装置を備えた花立の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている花立は、花立本体の底部側側面に、本体内部の花挿入部に連通して水抜き孔を開孔し、この開孔部に開閉弁が回動自在に取付けられている。また、開閉弁を回動させるスライド板が上下動自在に設けれて、スライド板上部にチェーンが連結されている。さらに、チェーンの先端側に、花挿入部に挿入した生花の葉に取付ける連結部となる鈎形の引っ掛け部が設けられている。そして、葉が枯れて落ちる時に、引っ掛け部に連結したスライド板が自重によって下降して、開閉弁を回動させて水抜き孔が開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されている花立は、花立の外部の物体がチェーンに接触されると、葉が枯れて落ちる前にスライド板が自重によって下降し、開閉弁を回動させてしまう可能性があり、水抜き装置の機能が不安定である、という課題を認識した。
【0005】
本開示の目的は、水抜き装置の機能を安定させることの可能な花立を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
花立台に置かれ、かつ、水が溜まる水溜め空間を有する容器と、前記水溜め空間に溜まる水を前記容器の外部へ排出する水抜き装置と、を有する、水抜き装置付き花立であって、前記水抜き装置は、前記容器に設けられた水抜き穴と、前記水抜き穴を開閉する弁体と、前記水溜め空間に設けられて前記弁体に接続され、かつ、前記弁体が前記水抜き穴を閉じた状態を保つ吊り下げ具と、を有する、水抜き装置付き花立を構成した。
【発明の効果】
【0007】
本開示の水抜き装置付き花立は、弁体に接続された吊り下げ具が、水溜め空間に設けられている。したがって、容器の外部の物体が吊り下げ具に接触することを抑制でき、水抜き装置の機能を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】水抜き装置付き花立の実施例1を示す正面断面図である。
【
図2】
図1のII-II線における平面断面図である。
【
図3】
図1の一部を拡大して示した正面断面図である。
【
図4】水抜き装置付き花立の実施例2を示す正面断面図である。
【
図5】水抜き装置付き花立の実施例3を示す正面断面図である。
【
図6】水抜き装置付き花立の実施例4を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
本開示における水抜き装置付き花立は墓地に置かれ、花立内に溜まっている水を、花立の外部に排水する水抜き装置を有する。水抜き装置付き花立のいくつかの実施例が、図を参照して説明されている。なお、実施例を説明するための図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(実施例1)
水抜き装置付き花立10は、貯められている水を排水することができる。水抜き装置付き花立10は、花立台11に置かれる。花立台11は、墓石の周囲に設けられている。花立台11の材質は、例えば、花崗岩、閃緑岩、斑レイ岩、安山岩等である。花立台11は、上面12が略平坦であり、かつ、上面12に開口された収容穴13及び補助穴14を有する。収容穴13及び補助穴14は、鉛直方向、つまり、重力の作用方向で所定の深さを有する。収容穴13及び補助穴14内に敷設物15、例えば、砂利が敷かれている。ここでは、
図2に示すような花立台11の平面視で、収容穴13の内周形状が、略円形であり、補助穴14の内周形状が、略円形である例を説明する。また、花立台11の平面視で、収容穴13の配置領域の一部と、補助穴14の配置領域の一部とが重なっている。なお、収容穴13及び補助穴14は、底があってもよいし、底が無くてもよい。
【0011】
収容穴13に支持台16が置かれている。支持台16は、水抜き装置付き花立10を支持する要素であり、支持台16の材質は、石、コンクリート、金属、等のうちの何れであってもよい。支持台16は、プレート形状であり、支持台16は、上面が略水平になるように、敷設物15の上に置かれる。
【0012】
水抜き装置付き花立10は、本体17及び水抜き装置18を有する。本体17の材質は、金属製、例えば、耐食性に優れたステンレス製である。なお、本体17の材質は、合成樹脂製(プラスチック製)でもよい。本体17は、円筒部19と、円筒部19の長手方向の第1端部に接続された差し込み部20と、円筒部19の長手方向の第2端部を塞ぐ底板21と、を有する。円筒部19は、収容穴13へ配置された状態で、鉛直方向に沿って延ばされている。ここでは、円筒部19の中心線A1を中心とする内径及び外径が、中心線A1に沿った方向の何れの箇所でも同一である例を説明する。
【0013】
差し込み部20は、中心線A1を中心として環状に設けられている。差し込み部20は、中心線A1に沿った方向における断面内において、円筒部19の第1端部から離間することに伴い、内径及び外径が拡大する向きで傾斜されている。中心線A1に沿った方向で、円筒部19は、差し込み部20と底板21との間に設けられている。底板21は円板形状であり、底板21が支持台16へ載せられる。底板21が支持台16へ載せられると、中心線A1は略鉛直方向に沿って配置される。
【0014】
円筒部19は、第1取り付け孔22及び第2取り付け孔23を有する。第1取り付け孔22及び第2取り付け孔23は、共に円筒部19を半径方向に貫通している。第1取り付け孔22の内径と、第2取り付け孔23の内径とが同じである。第1取り付け孔22及び第2取り付け孔23は、中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。第1取り付け孔22は、中心線A1に沿った方向において、差し込み部20と第2取り付け孔23との間に設けられている。第1取り付け孔22及び第2取り付け孔23は、中心線A1を中心とする円周方向で同じ位置に設けられている。
【0015】
水抜き装置18は、補助容器24、第1取水管25、第2取水管26、水抜きバルブ27、吊り下げ具28、水位設定口29を有する。補助容器24は、金属製、例えば、ステンレス製であり、補助容器24は、補助穴14に配置される。補助容器24は、本体17の外部に設けられており、かつ、本体17へ接続されている。補助容器24は、中心線B1を中心とする筒部材、具体的には円筒部材であり、補助容器24の中心線B1に沿った方向の第1端部に開口部30及びフック31が設けられている。
【0016】
補助容器24における中心線B1に沿った方向の第2端部に水抜きバルブ27が設けられている。補助容器24の中心線B1に沿った方向において、第1取水管25及び第2取水管26は、開口部30と水抜きバルブ27との間に配置されている。第1取水管25及び第2取水管26は、本体17内の水を補助容器24内へ導く通路を形成する。補助容器24の中心線B1に沿った方向において、第1取水管25は、開口部30と第2取水管26との間に配置されている。
【0017】
開口部30は、補助容器24の第2空間24Aと補助穴14とをつなぐ貫通孔である。開口部30には、吊り下げ具28の一部が配置される。第1取水管25及び第2取水管26は、補助容器24の第2空間24Aへ接続され、かつ、第1取水管25及び第2取水管26は、補助容器24の外面から突出されている。第1取水管25の第1通路25Aは、補助容器24の第2空間24Aへつながっている。第1取水管25は、第1取り付け孔22へ挿入され、第1取水管25の先端が、円筒部19の第1空間19Aに配置されている。このため、円筒部19の第1空間19Aは、第1取水管25の第1通路25Aを介して、補助容器24の第2空間24Aへつながっている。水位設定口29は、補助容器24を半径方向に貫通して設けられている。
【0018】
第2取水管26の第2通路26Aは、円筒部19の第1空間19Aへつながっている。第2取水管26は、第2取り付け孔23へ挿入され、第2取水管26の先端が、円筒部19の第1空間19Aへ配置されている。このため、円筒部19の第1空間19Aは、第2通路26Aを介して補助容器24の第2空間24Aへつながっている。第1取水管25の先端及び第2取水管26の先端に、異物捕捉部材32がそれぞれ取り付けられている。異物捕捉部材32は、異物、例えば、枯れ葉、木の枝、等を捕捉する。このため、円筒部19の第1空間19Aの異物が、補助容器24の第2空間24Aへ移動することを阻止できる。異物捕捉部材32は、例えば、金属製または合成樹脂製の網である。
【0019】
水位設定口29は、中心線B1に沿った方向で、第1取水管25と同じ位置に設けられている。円筒部19の中心線A1及び補助容器24の中心線B1が略垂直に配置された状態において、第1取水管25の最低位置と、水位設定口29の最低位置とが、鉛直方向で同じ高さにある。
【0020】
水抜きバルブ27は、水抜き管33及び弁体34を有する。水抜き管33は、中心線B1に沿った方向で補助容器24の第2端部24Bに接続されている。水抜き管33は、第2端部24Bから鉛直方向で下向きに突出されている。水抜き管33は、鉛直方向で第2取水管26より下に位置する。水抜き管33は、第2端部24Bから離間することに伴い拡大する傾斜部33Aを有する。第2端部24Bに水抜き穴35が設けられ、水抜き穴35は、補助容器24の第2空間24Aと、水抜き管33の内部とをつなぐ役割りを果たす。水抜き穴35は円形の通路である。水抜き穴35は、鉛直方向で開口部30の真下に設けられている。弁体34は、水抜き管33内で移動できるように設けられている。
【0021】
弁体34は、水抜き穴35を開閉する要素である。弁体34は、耐食性に優れた金属製、例えば、ステンレス製、ゴム製、合成樹脂製(プラスチック製)、等である。弁体34は、球体であり、弁体34の直径は、水抜き穴35の内径を超えている。水抜き管33は、排水穴36を有する。排水穴36は、鉛直方向で弁体34より下に位置する。水抜き管33の内面は、水抜き穴35から排水穴36に近づくことに伴い内径が拡大する向きに傾斜されている。弁体34が水抜き管33の内面へ押し付けられていると、水抜き穴35が閉じられる。したがって、第2空間24Aの水W1は、外部へ排出されない。これに対して、弁体34が水抜き管33の内面から離れると、水抜き穴35が開かれる。したがって、第2空間24Aの水W1は、外部へ排出される。このように、水抜き管33の内面は、弁座の役割を果たす。
【0022】
吊り下げ具28は、補助容器24の第2空間24A、開口部30、補助容器24の外部に亘って配置され、吊り下げ具28は、弁体34に接続されている。弁体34は、吊り下げ具28により吊り下げられている状態で、水抜き穴35を閉じている。吊り下げ具28は、補助容器24の第2空間24Aで水W1に浸漬される箇所の少なくとも一部が、水W1に接触されて劣化が促進される材質、または水W1に接触されて溶ける材質により構成されている。吊り下げ具28の一例を説明すると、吊り下げ具28は、第1線材37、第2線材38及び輪ゴム39を有する。第1線材37に係止具40が取り付けられ、係止具40は、フック31へ掛けられる。係止具40がフック31へ掛けられていると、吊り下げ具28は、本体17により支持される。
【0023】
第2線材38は、補助容器24の第2空間24Aに設けられ、第2線材38は、輪ゴム39によって第1線材37に接続されている。そして、第1線材37の端部にフック41が設けられ、フック41が輪ゴム39に係合される。第1線材37及び第2線材38の材質は、共に、金属製、合成樹脂製等のうちの何れであってもよい。また、第1線材37または第2線材38の一部が、チェーンにより構成されていてもよい。鉛直方向で、輪ゴム39は、水位設定口29より下に配置されている。輪ゴム39は、天然ゴムを原料としており、水W1に接触されて所定期間、例えば、7日間から10日間が経過すると、劣化が促進される水溶性材料で構成されている。なお、輪ゴム39は、太さが設計されることにより、所定期間を変更できる。輪ゴム39の太さが相対的に大きくなるほど、所定期間が相対的に長くなる。
【0024】
水抜き装置付き花立10の使用例を説明する。利用者は、
図1及び
図2のように、円筒部19を収容穴13へ配置し、かつ、水抜き装置18を補助穴14へ配置する。底板21は、支持台16へ載せられ、水抜き管33は、敷設物15の上に配置される。水抜き装置付き花立10は、中心線A1,B1が略垂直に配置されるように置かれる。花42は、花軸(茎)43と、花軸43の先端にある花冠44とを有する。花42の花冠44は、本体17の外部に配置される。花軸43は、本体17の外部から、本体17の内部、具体的には円筒部19の第1空間19Aに亘って配置される。花軸43の先端は、底板21へ接触された状態で、花42が立てられる。
【0025】
利用者は、本体17の内部、具体的には円筒部19の第1空間19Aへ水W1を注入する。また、第1空間19Aへ雨水が溜まることもある。第1空間19Aの水W1の一部は、第2通路26Aを通って補助容器24の第2空間24Aへ進入する。吊り下げ具28は、補助容器24の第2空間24A、開口部30、補助容器24の外部に亘って配置されている。第1線材37及び第2線材38は、自重、及び弁体34の質量により、鉛直方向に垂れ下がる。弁体34は、吊り下げ具28により吊り下げられている状態で、水抜き穴35を閉じている。
【0026】
このため、水W1が、第1空間19A及び第2空間24Aに亘って溜められ、花軸43の一部が水W1に浸漬される。第2空間24Aの水W1の水位が、鉛直方向で水位設定口29の最低位置を超えると、第2空間24Aの水の一部は、水位設定口29から補助容器24の外部、つまり、補助穴14へ排出される。したがって、第1空間19A及び第2空間24Aに溜められる水W1の水位は、鉛直方向で水位設定口29の最低位置よりも下に制限される。つまり、水位設定口29は、第1空間19A及び第2空間24Aに溜まる水W1の水位の上限を定める機構である。
【0027】
吊り下げ具28の一部である第2線材38及び輪ゴム39が、水W1に接触、つまり、浸漬されている。そして、輪ゴム39は、水W1に接触されると劣化及び溶解が促進され、第2空間24Aに水W1が溜まった時点から、所定期間が経過すると輪ゴム39が破断される。すると、弁体34は、重力及び弁体34が受ける水圧により下方へ移動して停止し、
図3のように、水抜き穴35が開く。このため、第1空間19A及び第2空間24Aの水W1が、水抜き穴35を通り、かつ、排水穴36から排水される。
【0028】
このようにして、第1空間19A及び第2空間24Aに溜まっている水W1の量が減少する。したがって、第1空間19A及び第2空間24Aで孑孑が湧くことを抑制できる。弁体34に接続された吊り下げ具28の少なくとも一部が、第2空間24Aに設けられている。したがって、本体17及び補助容器24の外部の物体が吊り下げ具28に接触することを抑制でき、水抜きバルブ27の機能を安定させることが可能である。また、利用者は、吊り下げ具28を第2空間24Aに配置すれば、輪ゴム39が水W1に接触されて劣化促進し、水W1を水抜き穴35から排水することができる。したがって、専用の調整作業、または、数の変更作業、等、面倒な作業及び操作を行わずに済み、水抜き装置付き花立10の利便性が向上する。
【0029】
さらに、寒冷地域に設けられている花立台11に水抜き装置付き花立10を使用すると、第1空間19A及び第2空間24Aに溜まった水W1が凍結し、水W1の容積が拡大することを、未然に防止できる。したがって、本体17及び補助容器24に亀裂が生じること、及び破損することを防止できる。
【0030】
さらに、第1取水管25及び第2取水管26には、異物捕捉部材32がそれぞれ取り付けられている。異物捕捉部材32は、第1空間19Aの異物が第2空間24Aへ移動することを阻止する。したがって、水抜き穴35が異物で塞がれることを抑制でき、水抜き穴35が開かれた場合の排水性能を確保できる。
【0031】
(実施例2)
図4には、水抜き装置付き花立10の実施例2が示されている。
図4に示す花立台11は、収容穴13を有し、前述した補助穴14を備えていない。吊り下げ具28は、本体17の内部に設けられる。水抜き装置付き花立10は、差し込み部20に取り付け孔51が設けられている。取り付け孔51には、第1線材37が通されている。第1線材37の端部には抜け留め52が設けられ、抜け留め52は、本体17の外部に配置されている。抜け留め52は、球体であり、抜け留め52の直径は、取り付け孔51の内径より大きい。抜け留め52は、第1線材37が取り付け孔51から抜けることを防止する要素である。抜け留め52が、差し込み部20に係合されて、吊り下げ具28が本体17により支持される。
【0032】
円筒部19に水位設定口50が設けられている。水位設定口50は、円筒部19を半径方向に貫通している。水位設定口50は、中心線A1に沿った方向で差し込み部20と底板21との間に配置されている。底板21は、円筒部19の第2端部から所定間隔をおいて設けられている。底板21に水抜きバルブ27が設けられている。水抜き管33は底板21から突出され、底板21に水抜き穴35が設けられている。水抜き管33内に弁体34が移動できるように設けられている。
【0033】
円筒部19の第1空間19Aには、異物捕捉部材32が設けられている。異物捕捉部材32は、底板21と水位設定口50との間に設けられている。異物捕捉部材32は、第1空間19A内で中心線A1に沿った方向に移動しないように設けられている。異物捕捉部材32は、板形状であり、異物捕捉部材32の外周端と、補助容器24の内周面との隙間に、第2線材38の一部が配置されている。第2線材38は、異物捕捉部材32と外周端と、補助容器24の内周面のとの隙間で、第2線材38の長さ方向に移動可能である。なお、異物捕捉部材32の外周面に切り欠きが設けられ、第2線材38が切り欠きに通されていてもよい。
【0034】
水抜き装置付き花立10の実施例2では、花42が本体17へ入れられると、花軸43の先端が異物捕捉部材32に接触した状態で、花42が立てられる。第1空間19Aに溜まる水W1の水位が、鉛直方向で水位設定口50の最低位置を超えると、水W1の一部は、水位設定口50から本体17の外部、つまり、収容穴13へ排出される。したがって、第1空間19Aに溜まる水W1の水位は、鉛直方向で水位設定口50の最低位置よりも下に制限される。つまり、水位設定口50は、円筒部19の第1空間19Aに溜まる水W1の水位の上限を定める機構である。
【0035】
吊り下げ具28の一部、具体的には第2線材38及び輪ゴム39は、水位設定口50の最低位置より下に位置する。このため、第2線材38及び輪ゴム39は、水W1に浸漬されている。そして、輪ゴム39は、水W1に接触されると劣化及び溶解が促進され、第1空間19Aに水W1が溜まった時点から、所定期間が経過すると輪ゴム39が破断される。すると、弁体34は、重力及び弁体34が受ける水圧により下方へ移動して停止し、水抜き穴35が開く。このため、第1空間19Aの水W1が、水抜き穴35を通り、かつ、排水穴36から排水される。
【0036】
このようにして、第1空間19Aに溜まっている水W1の量が減少する。したがって、第1空間19Aで孑孑が湧くことを抑制できる。また、利用者は、吊り下げ具28を第1空間19Aに配置すれば、輪ゴム39が水W1に接触されて劣化促進し、水W1を水抜き穴35から排水することができる。したがって、専用の調整作業、または、数の変更作業、等、面倒な作業及び操作を行わずに済み、水抜き装置付き花立10の利便性が向上する。
【0037】
さらに、寒冷地域に設けられている花立台11に水抜き装置付き花立10を使用すると、第1空間19Aに溜まった水W1が凍結し、水W1の容積が拡大することを、未然に防止できる。したがって、本体17に亀裂が生じること、及び本体17が破損することを防止できる。
【0038】
さらに、円筒部19の第1空間19Aには、異物捕捉部材32が設けられている。異物捕捉部材32は、第1空間19Aの異物が水抜き穴35を塞ぐことを阻止する。したがって、水抜き穴35が開かれた場合の排水性能を確保できる。さらに、水抜きバルブ27は、円筒部19の内側に設けられている。具体的に説明すると、水抜きバルブ27は底板21の真下に配置されている。このため、水抜き装置付き花立10を平面視すると、水抜き装置付き花立10の専有面積が拡大することを抑制できる。
【0039】
(実施例3)
図5には、水抜き装置付き花立10の実施例3が示されている。
図5に示す水抜き装置付き花立10の構成において、
図4に示す水抜き装置付き花立10の構成と同様の構成については、
図4と同様の符号を付してある。
図5に示す水抜きバルブ27は、円筒部19から、円筒部19の半径方向に突出されている。水抜きバルブ27は、鉛直方向で異物捕捉部材32と底板21との間に配置され、かつ、本体17の外部に配置されている。また、水抜き穴35は、円筒部19を半径方向に貫通して設けられている。
図5に示す水抜き装置付き花立10の実施例3の効果は、
図4に示す水抜き装置付き花立10の実施例3の効果と同様である。
【0040】
(実施例4)
図6には、水抜き装置付き花立10の実施例4が示されている。
図6に示す水抜き装置付き花立10の構成において、
図1に示す水抜き装置付き花立10の構成と同様の構成については、
図1と同様の符号を付してある。水抜き管33に弁体34が設けられている水抜き管33の内面は、第2空間24Aから排水穴36へ近づくことに伴い、内径が縮小する向きに傾斜されている。弁体34には、吊り下げ具45の第1端部が接続されている。吊り下げ具45は、例えば、金属製、合成樹脂製のように、可撓性を有する線材である。吊り下げ具45は、第2空間24A、開口部30、及び補助容器24の外部に亘って配置されている。
【0041】
吊り下げ具45は、補助容器24の上端に掛けられており、かつ、吊り下げ具45のうち、補助容器24の外部に位置する箇所が、補助容器24の上端から下方へ自重で垂れ下がる。吊り下げ具45の第2端部は、補助容器24の外部に配置されている。吊り下げ具45の第2端部に錘47が取り付けられている。錘47は、吊り下げ具45のうち第2空間24A内に配置されている箇所、及び弁体34を、弁体34の自重、及び弁体34が受ける水圧に抗して、鉛直方向で上に移動させる機能を有する。弁体34が水W1から受ける水圧の最大値は、水W1の水位の上限に応じたものとなる。
【0042】
さらに、本体17の外面から支持具46が突出して設けられている。支持具46は、鉛直方向で補助容器24より上に位置し、かつ、補助穴14の外部に配置される。支持具46は、例えば、金属製であり、支持具46は、本体17へ溶接により固定されている。支持具46には線材48が吊り下げられ、かつ、線材48の下端に輪ゴム49を介して線材53が接続されている。線材48,53は、例えば、金属製または合成樹脂製である。輪ゴム49は、天然ゴムを原料としており、空気または日光に晒されて所定期間、例えば、7日間から10日間が経過すると、劣化が促進される材料で構成されている。線材53は、錘47に接続されている。つまり、錘47は、線材53、輪ゴム49、及び線材48を介して支持具46により支持される。円筒部19が収容穴13内へ置かれていると、錘47、線材53、輪ゴム49は、補助穴14に位置する。線材48の一部は、補助穴14に位置する。水抜き装置18は、補助容器24、第1取水管25、第2取水管26、水抜きバルブ27、吊り下げ具45、水位設定口29、錘47、線材48,53、輪ゴム49により構成されている。
【0043】
図6には、水抜き装置付き花立10の実施例4の利用例を説明する。輪ゴム49の劣化が進行しておらず、輪ゴム49が破断されていなければ、錘47は、線材53、輪ゴム49、及び線材48を介して支持具46により吊り下げられた状態に保持される。つまり、錘47の自重は、吊り下げ具45に伝達されず、吊り下げ具45は引っ張られない。このため、弁体34が、自重及び水W1の圧力で水抜き管33の内面に接触されて停止され、第2空間24Aと排水穴36とが遮断される。したがって、排水穴36が閉じられ、第2空間24Aの水W1は、外部へ排出されない。
【0044】
これに対して、輪ゴム49が劣化して破断されると、錘47の自重で吊り下げ具45が引っ張られる。このため、弁体34が鉛直方向で上に向けて移動され、かつ、水抜き管33の内面から離れ、第2空間24Aと排水穴36とが接続される。つまり、排水穴36が開かれ、第2空間24A内の水W1が、排水穴36から外部へ排出される。したがって、第1空間19A及び第2空間24Aに溜まっている水W1の量が減少し、第1空間19A及び第2空間24Aで孑孑が湧くことを抑制できる。このように、水抜き管33の内面は、弁座の役割を果たす。
図6に示す水抜き装置付き花立10の実施例4においては、吊り下げ具45の一部が、第2空間24Aに配置されている。このため、吊り下げ具45の一部へ、補助容器24の外部に存在する物体が接触することを抑制できる。したがって、水抜きバルブ27の機能を安定させることが可能である。
【0045】
(その他の説明)
本実施形態で説明された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。水抜き装置付き花立10は、水抜き装置付き花立の一例である。水抜き装置18は、水抜き装置の一例である。実施例1における本体17及び補助容器24は、容器の一例である。実施例2における本体17は、本体の一例である。補助容器24は、補助容器の一例である。第1空間19A及び第2空間24Aは、水溜め空間の一例である。第1空間19Aは、第1空間の一例であり、第2空間24Aは、第2空間の一例である。吊り下げ具28,45は、吊り下げ具の一例である。水抜き穴35及び排水穴36は、水抜き穴の一例である。弁体34は、弁体の一例である。水位設定口29,50は、それぞれ水位設定口の一例である。輪ゴム39及び第2線材38が、「吊り下げ具のうち、鉛直方向で水位設定口より下に位置する箇所」の一例である。第1通路25Aは、第1通路の一例である。第2通路26Aは、第2通路の一例である。底板21は、底板の一例である。円筒部19は、筒部の一例である。錘47は、錘の一例である。線材48,53及び輪ゴム49は、支持機構の一例である。
【0046】
本実施形態で説明した水抜き装置付き花立10は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、実施例1~実施例3では、第2線材38が、水に接触されて所定期間が経過すると、劣化が促進される水溶性材料、例えば、天然ゴムを原料とする輪ゴム、水溶性樹脂材料製の糸、等で構成されていてもよい。水溶性樹脂材料は、例えば、アクリルアミド系樹脂やアクリレート系樹脂等のアクリル酸系樹脂及びその他のカルボン酸基含有樹脂、スルホン酸系樹脂、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂などの親水性官能基を有するものが挙げられる。
【0047】
実施例4では、線材48,53、及び輪ゴム49の少なくとも1つの要素が、空気または日光により劣化が促進されて破断される材質、たとえば、発泡樹脂、発泡スチロール、または天然ゴムで構成されていてもよい。また、支持台16は、設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
図4の実施例2において、支持台16が設けられていてもよい。さらに、本体17を平面視した場合における外周形状は、円形に代えて、楕円形、四角形、五角形、六角形、等であってもよい。また、本体17の内部に、吸水性を有する部材、例えば、木材(割り箸)、水取り紙、スポンジ等を置くこともできる。さらに、水、空気、日光の何れかに晒されて劣化が促進される材質の要素は、何れも、要素の太さを変更することにより、利用を開始した時点から破断に至るまでの所定期間を調整できる。要素の太さが相対的に減少されることに伴い、利用を開始した時点から破断に至るまでの所定期間が、相対的に短くなる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示の水抜き装置付き花立は、墓地で利用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…水抜き装置付き花立、17…本体、18…水抜き装置、19…円筒部、19A…第1空間、21…底板、24…補助容器、24A…第2空間、25A…第1通路、26A…第2通路、28…吊り下げ具、29,50…水位設定口、34…弁体、35…水抜き穴、38…第2線材、39,49…輪ゴム、47…錘、48,53…線材
【要約】
【課題】水抜き装置の機能を安定させることの可能な花立を提供する。
【解決手段】水が溜まる水溜め空間を有する容器と、容器に設けられ、かつ、水溜め空間に溜まる水を容器の外部へ排出する水抜き装置18と、を有する、水抜き装置付き花立10であって、水抜き装置18は、容器に設けられた水抜き穴35と、水抜き穴35を開閉する弁体34と、弁体34を水溜め空間で吊り下げて支持する吊り下げ具28と、を有する水抜き装置付き花立10を構成した。
【選択図】
図1