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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】タイヤ保持具とタイヤ保持具の製作方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/26 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
E02B3/26 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023178596
(22)【出願日】2023-10-17
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523392729
【氏名又は名称】株式会社立畠組
(74)【代理人】
【識別番号】100161285
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】立畠 修
(72)【発明者】
【氏名】立畠 卓也
(72)【発明者】
【氏名】立畠 誠也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-071397(JP,U)
【文献】特開昭54-088597(JP,A)
【文献】特開昭54-113193(JP,A)
【文献】特開2001-288729(JP,A)
【文献】特表昭57-501192(JP,A)
【文献】米国特許第05007609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/26
B63B 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの内側上部で該タイヤを支える2箇所の上側端部と、
該2箇所の上側端部から略平行に下げられた位置に設けられる2箇所の係止具の取り付け箇所と、
前記上側端部の少なくとも一方の略垂直下方であって、該2箇所の係止具の取り付け箇所よりも下側に配置された下側端部と、
が設けられたタイヤ保持具において、
前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さが前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さにされ、
前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さが前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さにされ、
前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが前記2箇所の係止具の取り付け箇所を前記タイヤのリム孔の上側半円内にある長さにされ、
前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、
前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具。
【請求項2】
タイヤの内側上部で該タイヤを支える2箇所の上側端部と、
該2箇所の上側端部から略平行に下げられた位置に設けられる2箇所の係止具の取り付け箇所と、
前記上側端部の少なくとも一方の略垂直下方であって、該2箇所の係止具の取り付け箇所よりも下側に配置された下側端部と、
前記2箇所の係止具の取り付け箇所には夫々係止具を留める留め部材と、
が設けられたタイヤ保持具において、
前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さが前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さにされ、
前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さが前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さにされ、
前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが前記2箇所の係止具の取り付け箇所を前記タイヤのリム孔の上側半円内にある長さにされ、
前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、
前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具。
【請求項3】
前記タイヤ保持具の左右の何れか一方を前記タイヤの内側空間に挿入した場合に、前記タイヤ保持具の前記タイヤの内側空間に挿入されてない他方が、前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面において所定の重なりが生じた状態で前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面に押し込むように挿入することで、前記タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状になるように、前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、前記上側端部から下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが決められている請求項1又は請求項2記載のタイヤ保持具。
【請求項4】
前記タイヤの内面半径及び前記タイヤのリム孔の半径を測定し、
その後前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さとする前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、
前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さとする前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、
前記2箇所の係止具の取り付け箇所が前記タイヤのリム孔の上側半円にある長さとする前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さとの、夫々長さを決め、
前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられる請求項1記載のタイヤ保持具の製作方法。
【請求項5】
前記タイヤの内面半径、前記タイヤのリム孔の半径及び前記タイヤの幅を測定し、
その後前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さとする前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、
前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さとする前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、
前記2箇所の係止具の取り付け箇所が前記タイヤのリム孔の上側半円にある長さとする前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さとの、夫々長さを決め、
前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられる請求項1記載のタイヤ保持具の製作方法。
【請求項6】
前記タイヤ保持具の左右の何れか一方を前記タイヤの内側空間に挿入した場合に、前記タイヤ保持具の前記タイヤの内側空間に挿入されてない他方が、前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面において所定の重なりが生じた状態で前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面に押し込むように挿入することで、前記タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状になるように、前記2箇所の上側端部を結ぶ長さと、前記上側端部から下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが決められる請求項4又は請求項5記載のタイヤ保持具の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海、湖、河川の岸壁や、海、湖、河川に設けられた港の岸壁や桟橋及び前記岸壁や桟橋に接岸する船側に設け、船の接岸時の衝撃を和らげるために吊り下げられて用いられる廃タイヤを吊るすためのタイヤ保持具とそのタイヤ保持具製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、廃タイヤを鎖、ワイヤー、ロープ等の吊り具で、岸壁や船側に吊るすためには、廃タイヤに孔を開ける加工をして前記吊り具を取り付けて行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-288729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明の名称「タイヤを利用した防舷材及びその防舷材の連結支持装置」については、前述のように、タイヤ本体2に貫通穴8を開ける必要があった。ところが、現在廃棄されて入手が容易な廃タイヤは、チューブレスのラジアルタイヤがほとんどであるという問題があった。
【0005】
このラジアルタイヤの場合には、表面のゴム層の下に、ベルトと呼ばれる金属の繊維が補強層として設けられており、この金属の繊維があることで、耐久性が向上している。しかしながら、特許文献1のように廃タイヤに貫通穴8を開けて防舷用に用いるとした場合には、前記の金属の繊維の補強層があることで簡単には貫通穴8を開ける加工ができないという問題があった。
【0006】
特に防舷用に用いられる廃タイヤは、大きな船にも対応できることと、入手が容易なことからバス・トラック用の廃タイヤが多く使用されていた。これは、廃タイヤが防舷機能を発揮するためには、廃タイヤは所定の弾力を備えるようにタイヤの幅(断面幅)で、船が接触する面積が大きいタイヤ厚み(断面高さ)を備えている方が良いためであり、バス・トラック用の廃タイヤであることで、乗用車の廃タイヤに比較して大きくなることで、さらに加工が難しいという問題があった。
【0007】
また、廃タイヤに貫通穴8を開ける加工をするため、貫通穴に加工ミスや貫通穴を通過する金属のフック部5によって貫通穴に無理な力が加わり、貫通穴8の部分に亀裂を生じるおそれがあり、耐久性を損なうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
第1発明のタイヤ保持具は、タイヤの内側上部で該タイヤを支える2箇所の上側端部と、該2箇所の上側端部から略平行に下げられた位置に設けられる2箇所の係止具の取り付け箇所と、前記上側端部の少なくとも一方の略垂直下方であって、該2箇所の係止具の取り付け箇所よりも下側に配置された下側端部と、が設けられたタイヤ保持具において、前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さが前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さにされ、前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さが前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さにされ、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが前記2箇所の係止具の取り付け箇所を前記タイヤのリム孔の上側半円内にある長さにされ、前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、前記タイヤが防舷用に用いられる。
第2発明のタイヤ保持具は、タイヤの内側上部で該タイヤを支える2箇所の上側端部と、該2箇所の上側端部から略平行に下げられた位置に設けられる2箇所の係止具の取り付け箇所と、前記上側端部の少なくとも一方の略垂直下方であって、該2箇所の係止具の取り付け箇所よりも下側に配置された下側端部と、前記2箇所の係止具の取り付け箇所には夫々係止具を留める留め部材と、が設けられたタイヤ保持具において、前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さが前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さにされ、前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さが前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さにされ、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが前記2箇所の係止具の取り付け箇所を前記タイヤのリム孔の上側半円内にある長さにされ、前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、前記タイヤが防舷用に用いられる。
第3発明のタイヤ保持具は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記タイヤ保持具の左右の何れか一方を前記タイヤの内側空間に挿入した場合に、前記タイヤ保持具の前記タイヤの内側空間に挿入されてない他方が、前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面において所定の重なりが生じた状態で前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面に押し込むように挿入することで、前記タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状になるように、前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、前記上側端部から下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが決められている。
第4発明のタイヤ保持具の製作方法は、請求項1記載の発明において、前記タイヤの内面半径及び前記タイヤのリム孔の半径を測定し、その後前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さとする前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さとする前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の係止具の取り付け箇所が前記タイヤのリム孔の上側半円にある長さとする前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さとの、夫々長さを決め、前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられる。
第5発明のタイヤ保持具の製作方法は、請求項2記載の発明において、前記タイヤの内面半径、前記タイヤのリム孔の半径及び前記タイヤの幅を測定し、その後前記タイヤに前記タイヤ保持具が挿入可能な最大長さとする前記2箇所の上側端部を結ぶ直線長さと、前記タイヤの内部で前記タイヤ保持具の横方向の回転を防止できる長さとする前記上側端部から前記下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の係止具の取り付け箇所が前記タイヤのリム孔の上側半円にある長さとする前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さとの、夫々長さを決め、前記タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられる。
第6発明のタイヤ保持具の製作方法は、請求項4又は請求項5記載の発明において、前記タイヤ保持具の左右の何れか一方を前記タイヤの内側空間に挿入した場合に、前記タイヤ保持具の前記タイヤの内側空間に挿入されてない他方が、前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面において所定の重なりが生じた状態で前記タイヤのリム孔近傍の前記タイヤ側面に押し込むように挿入することで、前記タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状になるように、前記2箇所の上側端部を結ぶ長さと、前記上側端部から下側端部を結ぶ略垂直方向の長さと、前記2箇所の上側端部から略平行に下げられた前記2箇所の係止具の取り付け箇所までの略垂直方向の長さが決められる。
【発明の効果】
【0010】
以上のような、技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0011】
本発明のタイヤ保持具を用いることにより、現在多く使用される金属繊維で補強されたタイヤを防舷用に用いるために孔開け加工をする必要がなく、前記タイヤが加工されないので、タイヤの耐久性を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具とこれが保持するタイヤの斜視図である。
図2】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具が挿入されたタイヤの斜視図である。
図3】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具とこれが保持するタイヤの関係を説明するための説明図である。
図4】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具を説明するためのリム孔における部材12-13の見え方の説明図である。
図5】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具の長さcを説明するための説明図である。
図6】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具をタイヤに挿入する場合の重なりとその挿入方法についての説明図である。
図7】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具のタイヤに挿入された状態の説明図である。
図8】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ保持具のタイヤへの別の挿入方法についての説明図である。
図9】本発明に係る第1の実施形態における別のサイズのタイヤで製作した場合のタイヤ保持具についての説明図である。
図10】本発明に係る第2の実施形態のタイヤ保持具の説明図である。
図11】本発明に係る第3の実施形態のタイヤ保持具の外観図である。
図12】本発明に係る第4の実施形態のタイヤ保持具の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るタイヤ保持具の実施の形態について図1乃至図12に基づき説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1乃至図9に基づき説明する。図1の斜視図を用いてタイヤ保持具1と、タイヤ保持具1が取り付けられるタイヤ7について説明する。ここで、タイヤ保持具1の構造を説明するために、最初にタイヤ7の形状について説明する。
【0015】
タイヤ7は、円筒状の踏面(トレッド:tread)71と、円筒状の踏面71から円筒の両側の中心方向に略直角に張り出した側面(サイドウォール)72から形成されている。両側の側面72については、ホイール(車輪)を取り付けた場合のホイールの外縁部分であるリム(rim)と接触する箇所の側面72に同心円状に開けられたリム孔73が側面72の両側に設けられている。踏面71については、所謂、トレッドパターンという様々な溝が形成されているが、本発明に用いるタイヤ7はその目的から、廃タイヤを用いるので、トレッドパターンについては、摩耗していることになる。
【0016】
側面72には、タイヤ7の製造時の段階でタイヤのサイズを示す記号が表示されている。このサイズを示す記号については、製品段階の公称の規格サイズであるので、本願においては参考的に説明に用いるが、実際に廃タイヤを測定した例がある場合にはこれで説明する。
【0017】
さらに、タイヤ保持具1との関係を、タイヤ7の各寸法との関係で説明する必要があるため、タイヤ7の対向する踏面71と間隔をタイヤ外径(直径)と呼び、説明上は、タイヤ外面(outside)の半径を記号「Rо」として表示して説明し、前記のタイヤ外径は、「2Rо」となる。また、タイヤ保持具1については、タイヤ7の内側に挿入してタイヤ7を保持する形状になっているので、タイヤ内面(inside)の半径を記号「Ri」として表示して説明する。
【0018】
なお、「Rо-Ri」は、タイヤ肉厚となり、記号「t」として表示して説明する。なお、タイヤ肉厚「t」については、新品時においては、20~15mmであるとされているので、廃タイヤの状態でのタイヤ肉厚「t」は、10mmとして説明する。また、タイヤ幅(width)については記号「w」として表示し説明する。
【0019】
次に、タイヤ7の両側の側面71のリム孔73の半径については、記号「Rr」として表示して説明する。なお、リム孔73に取り付けられるホイールについては、直径をインチ(in)で表示するのが一般的ではあるが、ミリメートル(mm)に換算して説明する。
【0020】
タイヤ保持具1については、金属の直線状の棒を切断、折り曲げ加工、や溶接や棒自体のネジ加工やボルトを使用したネジ止め等の取り付け方法により加工されている。タイヤ保持具1の形状については、端部、曲げ部と分岐部に符号を附して、その形状を説明する。
端部11と曲げ部12を結ぶ部材11-12と、曲げ部12と分岐部13を結ぶ部材12-13と、端部14と端部15を結び中ほどに分岐部13が取り付けられている部材14-15と、部材12-13の中ほどで、所定の間隔で取り付けられている留め部材16、17から形成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、部材11-12、部材12-13及び部材14-15は直径20mmのステンレス製の丸棒を、曲げ部12については、曲げ加工で、分岐部13については溶接により形成されている。留め部材16、17については、直径5mmのステンレス製の丸棒をU字加工したものを部材12-13に溶接で取り付けられている。留め部材16、17については、後述する吊り具8が移動することを規制するためのものである。前述の材料については、海水についての耐蝕性を備えることと、タイヤ7の重さや、船の接岸時の衝撃に耐えることを想定したものであり、その他の金属製や補強材を加えた合成樹脂であっても良い。また、強度が得られるのであれば、棒ではなくパイプであっても良い。
さらには、ステンレス製のアングルや、チャネルなどで、高さや幅が20~50mmなどの鋼材を使用しても良い。
【0022】
図2は、タイヤ保持具1で前述のタイヤ7を保持できる状態にした図であり、タイヤ保持具1には、岸壁などに吊り下げるための吊り具8である鎖が、係止具9(シャックル)でとり付けられている。なお、なお、本実施形態においては、係止具9についてシャックルを使用しているが、リングなどを部材12-13に通してこれに溶接する方法や、所定の太さの針金を加工して取り付けても良い。なお、なお、本実施形態においては、吊り具8や係止具9については海水についての耐蝕性を考慮して、ステンレスを用いているが、前述のように他の金属などでも良いし、耐蝕性を有するロープやワイヤーを使用することによっても実施できる。
【0023】
なお、特許文献1のような従来のタイヤ7の吊下げ方法では、タイヤ7の踏面71に孔を開けて吊るすため、岸壁などに天面に設けられた係船曲柱に鎖などの吊り具8で取り付けると、タイヤ7は岸壁の天面より上に設置することは出来なかった。しかしなから、本発明のタイヤ保持具1でタイヤ7を吊り下げる場合には、部材12-13に吊り具8が取り付けられることになり、これによって、タイヤ7の上部を岸壁などの天面以上に設置することが可能となる。タイヤ7の上部を岸壁などの天面を超えさすことが可能であれば、船の側面上部が外側に張り出している場合においても、防舷の効果を発揮させることができるからである。
【0024】
さらには、特許文献1のような従来のタイヤ7の吊下げ方法においては、複数のタイヤを吊り下げるためには、タイヤ7相互を繋ぐ箇所のタイヤ7の踏面71の相互に孔を開けることが必要であり、前述の作業が困難なタイヤ7の孔開け加工を複数行う必要があった。
しかしながら、タイヤ保持具1をタイヤ7に挿入する方法でタイヤ7を吊り下げる場合においては、吊り具8の鎖を2本垂らし、これの適当な個所に係止具9でタイヤ保持具1と吊り具8を係止させれば、2連以上の吊下げが可能となる。また、吊り具8の鎖の吊り下げ方の配置を様々に変えれば、特許文献1の図1図8の吊下げ方法と同等の吊下げがタイヤ7への孔開け加工を行わずにすることができる。
【0025】
ここで、図2の状態にタイヤ保持具1をタイヤ7の中に入れることでタイヤ保持具1としての機能を発揮できるようにするためには、タイヤ保持具1の各部の大きさと、タイヤ7の各部の大きさの関係を考慮して製作することが必要になる。そのため、最初にタイヤ保持具1を取り付けるタイヤ7の各部の大きさの内、タイヤ内面半径Ri及びリム孔半径Rrを測定して知る必要がある。
【0026】
これらの大きさの関係について、図3を用いて説明する。タイヤ7の正面図である図3(a)と、図3(a)のA-A断面図である図3(b)において、タイヤ7のついての各部の大きさ符号を附して図示している。なお、タイヤ内面半径Riについては、実際に測定することが難しい場合があるので、前述のように、タイヤ外面半径Rоからタイヤ肉厚tである10mmを引いた値を用いても良い。また、タイヤ幅wについては、後述するがリム孔半径Rrとの関係で説明出来るが、タイヤ幅wを測定しても良い。
【0027】
図3(c)に図示したように、タイヤ保持具1の各部の長さの説明を容易にするために、部材12-13の長さに、両側に部材11-12と部材14-15を取り付けた状態の外形最大の長さ、言い換えると、タイヤ保持具1の横方向の最大長さを記号「a」とし、部材14-15の長さを記号「b」とし、部材12-13の中心線を基準として部材11-12の端部11と部材14-15の端部14までの長さを記号「c」とし、留め部材16と留め部材17の左右対称にした取り付け間隔の長さを記号「d」と符号を附して説明する。
【0028】
タイヤ保持具1の各部の長さa~dを求めるに当たって、タイヤ保持具1が取り付けられるタイヤ7のタイヤ内面半径Ri及びリム孔半径Rrを用いてその関係を以下に説明する。説明の順序としては、タイヤ保持具1の長さbを決め、次に長さbとの関係から長さaを決め、さらに、長さaとの関係から長さcを決め、最後に今まで決定した長さa~cとの関係から長さdを決定する。
【0029】
まず、タイヤ7の内部にタイヤ保持具1を入れるためにはリム孔73からタイヤ保持具1に入れることになる。前述のタイヤ7の形状や図2や、図3(b)のように、タイヤ7については、側面72、踏面71と側面72で形成される略「コの字」状の断面になることになり、該略「コの字」状の断面で両側を囲まれた空間にタイヤ保持具1が挿入されていることになる。
よって、タイヤ保持具1の部材14-15の長さbについては、リム孔73の直径である2Rrよりも小さい必要がある。つまり、b<2Rrという関係になる。
【0030】
また、タイヤ保持具1の部材14-15の長さbについては、タイヤ7の内部でタイヤ保持具1が部材12-13を中心とした回転をしないようにするために、タイヤ幅wよりも大きくする必要がある。
よって、「w<b<2Rr」の関係が必要となる。
【0031】
ここで、タイヤ幅wについては、バス・トラック用カタログから特殊なタイヤを除いた一般的に多く使用されるタイヤについては、タイヤ幅wとリム孔半径Rrの関係は、
「タイヤ幅w=0.82Rr~1.11Rr」の範囲にある。
これより、0.82Rr~1.11Rr<b<2Rr となり、
少なくとも、b>1.11Rr であれば良いことになる。
するとbはこの範囲でタイヤ7の内部で回らないという効果が得られれば良いので、
この範囲で出来るだけ小さく、かつ確実に回転を阻止できる値になることを考慮し、リム孔半径Rrとの関係を以下の関係式にする。よって、
「b=1.25Rr」・・・(関係式1)の関係式を用いる。
なお、簡易的にはbの値を、単純に実測したタイヤ幅wよりも若干大きくするとして実施できる。
【0032】
もし、タイヤ保持具1が、部材12-13だけで、タイヤ保持具1の横方向の最大長さである「a」である場合、所謂、タイヤ保持具1が棒状であると仮定した場合には、部材12-13だけで長さaになる場合の最大の長さは、タイヤ7のRi+Rrに等しいものになる。何故なら、タイヤ7のリム孔73に部材12-13を差し込んだ場合には、タイヤ7は内部にタイヤ幅wから2倍のタイヤ肉厚tを引いた分の奥行空間があり、部材12-13を斜めに差し込むことが可能となるからである。厳密には、部材12-13は線ではなく直径20mmの棒であることや、タイヤ幅wとタイヤ内部の踏面71と側面72が接続する箇所は直角ではなく丸みを帯びて変化していることなども考慮しなくてはならなくなるので、簡易的ではあるが、タイヤ保持具1が棒状であれば「a=Ri+Rr」として考えている。
【0033】
ところが、タイヤ保持具1の横方向の最大長さaについては、部材12-13には上述のように、分岐部13には長さbの部材14-15が、曲げ部12には部材11-12が取り付けられている。そのため、タイヤ7の内部に、タイヤ保持具1を部材14-15側から先に挿入した場合には、部材部材14-15がタイヤ7の内面に当たり、タイヤ保持具1の横方向の最大長さaを、「a=Ri+Rr」とした場合には、長さbの部材14-15が取り付けられている関係で曲げ部12付近では長すぎて、リム孔73からタイヤ7の内部に入らなくなる。
【0034】
ここで、タイヤ保持具1の横方向の最大長さaを、Ri+Rrの長さからどれだけ短くすれば良いかを求めるについて説明する。そのため、短くする値を記号「s」と符号を附して説明し、s=Ri+Rr-aの関係になるとして、sの値を求める方法について述べる
単純には、sについては三平方の定理(ピタゴラスの定理)で求めることができる。
s=(Ri+Rr)-√(Ri×Ri-(b/2×b/2))
これを計算すると、RiとRrの比率が、バス・トラック用カタログから特殊なタイヤを除いて多くの場合については、Riは1.5Rr~1.85Rrの範囲にあり、
先ほどの「b=1.25Rr」・・・(関係式1)の関係を考慮すると
でsの値の範囲は、「0.037Ri~0.083Ri」となる。
バス・トラック用カタログのRiの範囲は、「300~550mm」であるので、
sの値の範囲は、「11~46mm」となる。
【0035】
そこでタイヤ保持具1の横方向の最大長さaについて、sを求める式において、
タイヤ内面半径Riの長さによって多く影響を受けるため
sの値から考えられる、「1-s」である「0.963~0.917」の値の範囲から
0.93の係数を決めて実施する。よって、
「a=Ri×0.93+Rr」・・・(関係式2)の関係式を用いる。
ここで、係数0.93については、タイヤ7に挿入する場合に適度な重なりを設けてタイヤ保持具1がタイヤ7から離脱するのを防ぐ必要があるため、前述の「0.963~0.917」の値の範囲の中間的な値で定めている。
なお、簡易的には、バス・トラック用カタログのRiの範囲は、「300~550mm」であることから中間的な値の範囲で、
「a=Ri+Rr-(25~35mm)」として求めても良い。
【0036】
タイヤ保持具1が関係式2で求めた長さaの部材12-13と、関係式1で求めた長さbの部材14-15と、長さbの2分の1の部材11-12で構成され、部材12-13については、部材14-15の中央に取り付けられていると仮定する。
この状態で、タイヤ保持具1をタイヤ7の内部に入れて部材12-13に吊り具8を取り付けてタイヤ7を吊り下げた場合は、部材12-13がタイヤ7のどの位置にあるかを検討しておく必要がある。
【0037】
何故なら、もし、部材12-13についてはタイヤ7の側面72及びリム孔73の直径でタイヤ7を切断したとした面に、部材12-13の中心線が重なる位置にある場合には、部材12-13に吊り具8を取り付けられてタイヤ7が吊り下げられると、理論上はタイヤ7の重心に部材12-13があることになり、タイヤ7は垂直に垂れ下がるのではなく、水平になるか逆に傾くなど、タイヤ7は不安定な状態となる。
【0038】
また、部材12-13がタイヤ7の側面72及びリム孔73の直径でタイヤ7切断したとした面より上方にあったとしても、部材12-13が、タイヤ7のリム孔73の外周の近傍まで上がっているとすれば、タイヤ7の側面72に部材12-13に取り付ける留め部材16、17の箇所がタイヤ7の側面72に隠れることになることと、リム孔73は円形なので、上方に部材12-13があるほど、リム孔73開口部分が小さくなり、留め部材16と留め部材17の左右対称にした取り付け間隔の長さdを小さくする必要があることになる。しかしながら、留め部材16と留め部材17の左右対称にした取り付け間隔dについては、吊り具8を付けて吊下げることを考慮すれば、できるだけ間隔が広い方が良い。何故なら、タイヤ7を安定して吊下げることが可能となるからである。
【0039】
そこで、図4(a)を用いてこの関係について説明する。円形のリム孔73における、リム孔73の直径を基準とし、この線を0(ゼロ)にし、この基準線からリム孔半径Rrとした場合を1(イチ)とした、垂直軸yの位置におけるリム孔半径Rrに対する割合をxとすると、
割合xについては、三平方の定理で求められ
「x=√(Rr×Rr-y×y)/Rr」 となる。
これを計算すると、図4(b)のようになる。そして、yが0.4~0.7の範囲であれば、xは0.917~0.714の範囲となることが判るので、y=0.7としても、
xは0.71以上になり、yを0.7としても、部材12-13の71%は、リム孔73から見えることになる。
【0040】
前述のように、以下の関係式が求められている。
「b=1.25Rr」・・・(関係式1)
「a=Ri×0.93+Rr」・・・(関係式2)
そこで、部材12-13が部材14-15の長さbの半分の位置に分岐部13がある仮定すると、部材12-13の垂直軸yにおける位置については、三平方の定理で求められるので、以下の式となる。
「y=(√(Ri×Ri-a/2×a/2)-b/2)/Rr」
【0041】
前記の式に、関係式1と関係式2の関係を代入すると
「y=(√(Ri×Ri-(Ri×0.93+Rr)/2×(Ri×0.93+Rr)/2)-1.25Rr/2)/Rr」 となる。
前述のように、RiとRrの比率が、バス・トラック用カタログから特殊なタイヤを除いて多くの場合については、Riは1.5Rr~1.85Rrの範囲にあるので、
Ri=1.5Rrの場合は、y=0.278% となり、
Ri=1.85Rrの場合は、y=0.629% となる。
これを図5に表し、Ri=1.5Rrの場合を図5(a)に、Ri=1.85Rrの場合を図5(b)に示す。また、RiのRrに対する比率について、1.4~2までを求めた関係を図5(c)として示す。
【0042】
タイヤ保持具1については、部材12-13の水平方向の位置を下げるため、曲げ部12には上方に部材11-12が取り付けられ、分岐部13には、部材14-15が取り付けられている。部材12-13が水平になるように、部材12-13の中心線を基準として、端部11までの長さと、端部14までの長さを等しくし、長さ「c」としている。このcの長さについては、端部11と端部14が、タイヤ7の踏面71の裏側(タイヤ7の内面)における上部に接することで、部材12-13の位置を下げて、留め部材16、17の位置が、リム孔73から見えるようにするためである。
【0043】
また、cの値については、部材12-13の中心線を基準として、端部11までの長さと、端部14までの長さであるcについては、リム孔73において、部材12-13の水平方向の位置が、リム孔73の水平方向の直径の線を基準とした位置よりも上にあり、かつ、リム孔73の上半分において部材12-13に取り付けられた留め部材16と17の間隔を広く採れる位置にある必要がある。
以上から、図4で説明した、部材12-13の位置であるyの値を、タイヤ7が吊下げて安定するy≧0.4から、y≦0.7までの範囲になるようにすれば、xの値が71%以上であり、かつ、タイヤ7が吊下げて安定する範囲でcの値を定めることになる。
よって、cの値については、「0.4≦y≦~0.7」の範囲に定めることになる。
【0044】
前述の図5で説明した内容は、c=b/2とした内容であった。このため、c=b/2とすると、c=0.625Rrとなるが、Riが1.5Rr~1.85Rrの範囲において、yは0.278~0.629の範囲となり、変化の幅が0.351と大きくなり、単純にcの値を0.125減らして、c=0.5Rrとしただけであると、
変化の幅が0.351のままで、yは0.403~0.754範囲で変化することになる。
よって、Rrとの関係だけでcの値を定めるのではなく、タイヤ7のタイヤ内面半径Riからリム孔半径Rr引いた値で求めた方が良い。何故なら、図5(a)、図5(b)で図示しているように、保持具1がタイヤ7の側面72の内側に隠れる部分にcの値が大きく関係しているからである。よって、タイヤ7のタイヤ内面半径Riからリム孔半径Rr引いた値となる(Ri-Rr)との関係でcを定めた方が良いことになる。
そこで、以下の関係式で、cの値を求めている。
「c=(Ri-Rr)/1.25」・・・(関係式3)の関係式を用いる。
【0045】
この関係式3を用いれば、Riが1.5Rr~1.85Rrの範囲において、yは0.43~0.5の範囲におけるyの変化の幅が0.07と狭い範囲で、部材12-13の位置を定めることができることになり、リム孔73において、留め部材16と留め部材17の間隔が十分にとれる状態とした、部材12-13を水平方向に配置できる。
【0046】
タイヤ内面半径Riについてのリム孔半径Rrを基準とした比率については、バス・トラック用カタログから特殊なタイヤを除いた多くの場合においては、Riは1.5Rr~1.85Rrの範囲にあるので、y値は、図5(c)に示したように、0.903~1.254の範囲にあることになる。
そのため、yの値が1近辺にあることになり、yはリム孔半径Rrに等しいと考えて良いことになる。
そうすれば、部材11-12が、リム孔73の上半部の中間にあるようにすれば良いので、簡易的には、「c=1/2Rr」としても良いが、図5(c)で説明したように、Ri=1.6Rrの値から上下に離れるほど、部材11-12のyの位置は0.5から離れることになる。
【0047】
cの値を決定して、yが0.43~0.5の範囲にあるとすれば、部材12-13のリム孔73から見える範囲の長さは、リム孔半径Rrの2倍の長さの86%以上は見えることになる。よって、留め部材16と17の大きさにもよるが、留め部材16と留め部材17の間隔dについては、リム孔半径Rrの2倍の50~70%とし、好ましくは
「d=2Rr×0.55」・・・(関係式4)の関係式を用いる。
としている。
【0048】
以上から、実際の廃タイヤでタイヤ保持具1aを製作した場合の実施例につて図6を用いて説明する。
タイヤ7aにおいて、各部の寸法について、タイヤ内面半径Ri=350mm及び
リム孔半径Rr=215mmであったとする。なお、関係式には直接関係しないが、参考としてタイヤ幅w=215mmであったとする。
その場合に、関係式1~4を用いると、
a=Ri×0.93+Rr=350×0.93+215=540.5≒540mm
b=1.25Rr=1.25×215=268.75≒270mm
c=(Ri-Rr)/1.25=(350-215)÷1.25=108≒110mm
d=2Rr×0.6=2×215×0.55=236.5≒240mm
で、タイヤ保持具1aを製作すれば良い。
【0049】
この状態で作成したタイヤ保持具1aについて、前述の寸法のタイヤ7aに取り付ける場合を図6(a)、(b)及び(c)で説明する。
図6(a)において、タイヤ保持具1aをタイヤ7aに部材14-15側から差し込むと、部材11-12の端部11については、タイヤ7aの側面72に重なってそのままではタイヤ7aの内部に挿入することが出来ない、この状態について、図6(a)のB-B断面図である図6(b)においても、タイヤ7aにおけるタイヤ保持具1aの関係を図示する。
【0050】
このタイヤ保持具1aの端部11におけるタイヤ7aの中心からの長さRfについて求める。
まず、タイヤ保持具1のタイヤ7aの挿入できる長さ「Ri-s」について求めると、
Ri-s=√(Ri×Ri-b/2×b/2)=322.92mm
Rf=√((a-Ri-s)×(a-Ri-s)+b/2×b/2)=255.64mm
よって、タイヤ7aの側面72に重なっているタイヤ保持具1aの端部11とリム孔73の中心までの長さから、リム孔半径Rrを引いた長さが重なりになり、
「重なり」=Rf-Rr=255.64-215=40.64mm となる。
【0051】
なお、「重なり」については、厳密に考えるならば、タイヤ保持具1aが、タイヤ7aにタイヤ幅wがあるために斜めに入ることになり、「重なり」は短くなるはずであるが、タイヤ7aの内面、特に部材14-15が当たる踏面71の内側の面については、丸みを帯びた内壁で形成されているため、「重なり」が短くなることについては、無視できるものとしている。
【0052】
この、「重なり」があることにより、タイヤ7aの側面72に押し込む概要について、図6(b)と図6(c)で説明する。なお、図6(c)についても図6(b)と同様に図6(a)のB-B断面図である。
【0053】
図6(b)のタイヤ7aの側面72にタイヤ保持具1aが乗り上げた状態で、さらに、タイヤ保持具1aの部材11-12の端部11を押し込むと、タイヤ7aの側面72は内側に変形して内部に部材11-12の曲げ部12の側から徐々に端部11の方向に向かってタイヤ7aの内部に押し込まれる。なお、実際にタイヤ保持具1aをタイヤ7aに押し込む場合には、タイヤ保持具1aの部材12-13を持って押し込むことになるので、押し込み易い箇所に押し込む方向の矢印と力が加わっているとの意味で「P」の記号を附して図示している。
【0054】
図6(a)に図示しているように、タイヤ側面72はリム孔73があることで、曲げ部12から端部11に向かうほど、タイヤ7aの側面12に対して広い幅で、部材11-12が重なっていることになる。この図6(a)の断面図である図6(b)の状態から、さらに、タイヤ保持具1aの部材12-13を押すと、タイヤ保持具1aの曲げ部12は、リム孔73に対して狭く重なっているだけなので、曲げ部12からタイヤ7aの内部に入る。
【0055】
図6(c)で図示しているように、さらにタイヤ保持具1aの部材12-13を押すと、タイヤ保持具1aの曲げ部12からタイヤ保持具1aが斜めになりながら、部材11-12はタイヤ7aの内部に入って行く。そのため、タイヤ保持具1aの端部15についてもタイヤ7aの内側に向かって斜めになる。この状態を図示したものが図6(c)である。図6(c)の状態になれば、部材11-12においては曲げ部12側から半分程度、タイヤ7aの内部に入り、そのまま、部材12-13を押し込むと、タイヤ保持具1aはタイヤ7aの内部に挿入することができる。
【0056】
タイヤ7aも含まれる現在多く使用されているチューブレスタイヤにおいては、タイヤをホイールに密着させるために、タイヤ7aのリム孔73の近傍のゴムの内部には、ビードワイヤーという輪状のピアノ線の束の補強材が入っており、弾性が強化されている。このため、タイヤ7aのリム孔73近傍については、変形し難い構造となっているが、タイヤ保持具1aについては、まだタイヤ7aに入ってない部材11-12の曲げ部12側から、部材11-12が徐々にリム孔73の形状を変形させながら、タイヤ7aの内部に挿入することができる。さらに、タイヤ7aの内部に入ったタイヤ保持具1aについては、簡単にタイヤ7aから取り出すことができないので、タイヤ7aを吊り具8で吊り下げて防舷用に用いて長期間使用する場合においても、タイヤ保持具1aからタイヤ7aが簡単に脱落(離脱)することはない。
【0057】
タイヤ保持具1がタイヤ7aの内部に入った後に、タイヤ保持具1にある留め部材16、17に吊り具8が取り付けられ上方に引っ張り上げられた状態を図7(a)と(b)に図示する。図7(b)は、図7(a)のC-C断面図であり、図7(a)には図を見やすくするために図示してないが、図7(b)については、二点鎖線で、吊り具8と、係止具9を示す。また、タイヤ7aの内面に示した二点鎖線については、タイヤ保持具1aの端部14が当たる箇所を示したものである。図7(a)に示したように、タイヤ保持具1aの部材12-13の位置は、リム孔73の上半部の中ほどに見えることになる。
【0058】
また、図7(b)に示したように、タイヤ保持具1aは、吊り具8で吊り上げられているので、タイヤ7aの内部において、吊り上げられた側に偏った状態となるが、前述のように、タイヤ7aから脱落することはない。さらには、タイヤ7aはタイヤ保持具1aの周りに脱落しない状態で保持されているだけであるので、タイヤ7aが、部分的に損耗、変形した場合には、タイヤ7aをタイヤ保持具1aの周囲で回転させて、防舷効果が発揮できる箇所に位置を変えることも出来る。
【0059】
タイヤ保持具1aについては、前述のように部材14-15から先にタイヤ7aに挿入する方法について説明したが、タイヤ保持具1aは部材11-12から先にタイヤ7aに挿入する方法でも、タイヤ保持具1aの全体をタイヤ7aに入れることができる。この方法について、図8(a)、図8(b)及び図8(c)を用いて説明する。
タイヤ保持具1aを部材11-12から先にタイヤ7aの内部に部材12-13を持って図8(a)の右方向に押しながら挿入した場合には、部材11-12は、部材14-15に比較して短いため。図8(a)のように、タイヤ保持具1aは奥のほうに挿入されることになり、部材14-15についても、リム孔73よりも内側になり、部材14-15の端部14については、リム孔73の中にある状態となる。
【0060】
この状態で、タイヤ保持具1aの部材12-13を図8(b)のように、上方に押してタイヤ7aの内側に端部14も挿入すると、図8(b)の状態になる。図8(b)において、タイヤ保持具1aが上方に押し上げられたことにより、端部11は、タイヤ7aの踏面71の内側の面に沿うようにして、タイヤ保持具1aは左方向に押され、曲げ部12については、タイヤ7aの踏面71の内側の面から離れることになる。また、分岐部13については、リム孔73に接するようになる。
【0061】
さらに、タイヤ保持具1aの部材12-13を図8(b)から、上方に押せば部材14-15、分岐部13付近から端部15がリム孔73を押すようにして、やや斜め内側傾いた端部14がタイヤ7aの内部に徐々に挿入されることになる。このような挿入方法については、図6(b)から図6(c)の挿入方法の重なりが上にある状態と、重なりが下にある状態との違いだけであり基本的には同じであるが、部材11-12から挿入する方法の方が、部材14-15から挿入するのに比較して、挿入する工程が1工程増えることになり、図6で説明した方法の方が判りやすい。
【0062】
次に、実際の廃タイヤ7bでタイヤ保持具1b製作した場合の実施例を説明する。
タイヤ7bにおいて、各部の寸法について、タイヤ内面半径Ri=450mm及びリム孔半径Rr=280mmであったとする。なお、関係式には直接関係しないが、参考としてタイヤ幅w=275mmであったとする。
その場合に、関係式1~4を用いると、
a=Ri×0.93+Rr=450×0.93+280=698.5≒700mm
b=1.25Rr=1.25×280=350mm
c=(Ri-Rr)/1.25=(450-280)÷1.25=136≒140mm
d=2Rr×0.55=2×280×0.55=308≒300mm
で、タイヤ保持具1bを製作すれば良い。
【0063】
この状態で作成したタイヤ保持具1bについて、前述の寸法のタイヤ7bに取り付ける場合を図9で説明する。
タイヤ保持具1bをタイヤ7bに部材14-15側から差し込むと、部材11-12の端部11については、タイヤ7bの側面72に重なってそのままではタイヤ7bの内部に挿入することが出来ない、
このタイヤ保持具1の端部11におけるタイヤ7bの中心からの長さRfについて求めると、
タイヤ保持具1のタイヤ7aの挿入できる寸法「Ri-s」は
Ri-s=√(Ri×Ri-b/2×b/2)=414.58mm
Rf=√((a-q)×(a-q)+b/2×b/2)=334.80mm
よって
重なり=Rf-Rr=334.80-280=54.80mm となる。
【0064】
この、重なりがあることにより、タイヤ7bの側面72に押し込む概要については、タイヤ保持具1aとタイヤ7aとの関係と同様であるので、説明を省略する。
また、タイヤ7bにタイヤ保持具1bを挿入した後に、タイヤ保持具1bが吊下げられた状態を二点鎖線で図示している。この二点鎖線のタイヤ保持具1bの部材12-13の位置についても、タイヤ7bのリム孔73の上側半円のほぼ中央に設けることが出来ている。
【0065】
以上説明した内容については、タイヤ保持具1を取り付けるタイヤ7のタイヤ内面半径Riとリム孔半径Rrの長さからタイヤ保持具1の各部の寸法を求める方法を説明したが、タイヤ7に、型紙や木型など合わせて各部の長さを前述のタイヤ保持具1の機能を考慮して決める方法によってもタイヤ保持具1は作成できる。
【0066】
なお、タイヤ保持具1が、タイヤ7の内部で組み立てられる構造や、関節構造、例えば、曲げ部12の箇所を軸支して曲げることが可能な構造にすることによっても、実施可能である。このような構造にすることにより、タイヤ7へのタイヤ保持具1の挿入時が簡単になるという効果がある。しかしながら、タイヤ7に挿入されたタイヤ保持具1については、長期間使用できる耐久性が求められていることと、タイヤ7が損耗する可能性はあるが、その場合のタイヤ7を交換する際には、タイヤ7の一部を切断すれば良いことを考慮して前述の組立構造等を実施すれば良い。
【0067】
(第2の実施形態)
タイヤ保持具2について、図10(a)、図10(b)を用いて説明する。タイヤ保持具2は、タイヤ保持具1aの部材11-12の曲げ部12で曲げずに分岐部12aとし、部材14-15と同様に延伸させで部材14-15と同じ長さのbとする端部18を設け、略「H字」形状に形成させ、タイヤ7aに挿入するものと仮定する。
【0068】
しかしながら、単純にタイヤ保持具1aで、部材14-15と同じ長さの部材11-18を設けるとした場合に、図10(a)において、二点鎖線で図示した形状にすると、端部11と端部18の2箇所でリム孔73との重なりが生じることになる。この重なりについては、タイヤ保持具1aの場合と同様に、「重なり」=Rf-Rr=40.64mmが、端部11と端部18の2箇所で生じることになる。
【0069】
そうすると、タイヤ保持具1aで説明したように、曲げ部12で先にリム孔73に挿入するということはできなくなり、タイヤ保持具1aの部材14-15と同じ長さの部材11-18を設けたのでは、タイヤ7aには挿入できなくなる。前述のように、タイヤ7aのリム孔73の近傍のゴムの内部には、ビードワイヤーという輪状のピアノ線の束の補強材が入っているからである。
【0070】
なお、図10(a)において、部材11-12を延伸させるのであれば、仮の端部19までであれば、リム孔73との重なりは僅かであるので、このような端部11から仮の端部19まで伸ばした形状ならば、タイヤ保持具1aと同様に挿入することが可能となる。
【0071】
そこで、タイヤ保持具2について図10(b)を用いて説明する。タイヤ保持具2は、端部21、分岐部22、端部28、分岐部23、端部24と端部25各箇所と、各箇所を結んで構成する部材である、部材21-28、部材22-23と部材24-25及び留め部材26と留め部材27で構成されている。部材22-23については、一方が部材21-28の分岐部22に取り付けられており、他方が部材24-25の分岐部23に取り付けられている。また、留め部材26と留め部材27については、左右対称に間隔dで部材22-23に取り付けられている。なお、タイヤ保持具2の材質、材料の断面形状、各部の取り付け方法については、第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様であるので説明を省略する。
【0072】
次に、前述の理由から、タイヤ保持具1aからタイヤ保持具2の長さを変えた部分について説明する。変更した長さについては、タイヤ保持具2の各部の長さのうち、タイヤ保持具2の横方向の最大長さを「a」から、「a」よりも短くした「a1」とし、部材22-23の中心線を基準として部材21-28の端部21と部材24-25の端部24までの長さ「c」については、a1が短くなった関係で、長さ「c」よりも長くした「c1」にしている。
【0073】
「a1」と「c1」を求める方法の詳細については、第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様の方法であるので説明を省略する。横端部21と端部24についても、部材14-15側からタイヤ7の内部に挿入して、部材11-19でタイヤ7の側面72に押し込むことになり、端部11と端部19の二か所が押し込む必要があるので、押し込み易くするために、タイヤ保持具1の「a」を求める場合の「関係式2」の
「a=Ri×0.93+Rr」の係数の「0.93」を「0.87~0.81」にしている。
「c1」については、タイヤ保持具1の「c」を求める場合の「関係式3」の
「c=(Ri-Rr)/1.25」の係数の1.25を「1.1~1.0」として、部材22-23の位置を下げて対応する。
なお、第2の実施形態のタイヤ保持具2においては、a1の係数を0.85として、
a=540mmから、a1=510mmにし、
c=110mmから、c1=130mmにすることで、第1の実施形態における機能を得られるようにしている。
【0074】
タイヤ保持具2を略「H字」の形状にすることにより、タイヤ保持具2は左右対称となり、加工が同一な個所が出来ることから製作が容易になる。
他の関係については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0075】
(第3の実施形態)
第3の実施形態のタイヤ保持具3について、図11に基づき説明する。図11は第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様タイヤ7に取り付けるものとして製作したものであるが、その製造方法を変更したものである。図11(a)は、タイヤ保持具3の正面図、図11(b)はその底面図である。図11(c)については、タイヤ保持具3の部材35を部材35aに変える場合の部材35aについての図である。
【0076】
タイヤ保持具3については、直径20mmのステンレス製の丸棒を略「コの字」形状に形成した部品30と、板厚3~5mmのステンレス板材を後述する形状に加工した部品35を溶接したものである。部品30については、端部31、曲げ部32、曲げ部33と端部34が形成されており、曲げ部32と曲げ部33については、曲げ加工としているが、溶接加工によっても良い。
【0077】
部品30の端部31と端部34を結ぶ長さについては、タイヤ保持具1の「a」の長さになるように形成されており、部材32-33の断面の中心から端部31と端部34までの夫々の長さは、タイヤ保持具1の「c」の長さになるように形成されている。
【0078】
部品35については、略「L字」形状の板で、部品30の端部34から部品35を略直線になるようにした場合に、部品30の端部34から部品35の端部38までの長さを、タイヤ保持具1の「b」の長さになるように加工されている。
また、タイヤ保持具1の留め部材16と留め部材17に対応箇所に略「U字」形状で、留め部材16と留め部材17が囲む空間と同じ大きさの凹み36、37が設けられている。そして、凹み36、37については、タイヤ保持具3において左右対称の位置で、タイヤ保持具1の「d」の間隔になるように形成されている。
【0079】
そのため、第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様の長さの関係に、タイヤ保持具3は形成されており、タイヤ保持具1と同様に、タイヤ7について取り付けることができる。
タイヤ7への取り付け方法や他の関係についての説明については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
なお、タイヤ保持具3については部品点数を少なくすることができるので、製造工程が少なくできる。
【0080】
タイヤ保持具3の部品35については、ステンレス板材を加工して形成したものであるが、部品35aのような、直径5~8mmのステンレスの丸棒や、対辺5~8mmのステンレス角棒を曲げ加工することにより、部品35におけるタイヤ保持具3の部品30に接する部分の形状と、部品35の端部38の位置関係が同様になるように、棒材に凹み36a、凹み37aと端部38aを形成したものである。部品35aとした場合についても、タイヤ保持具1と同様の位置関係を形成しているので、同様にタイヤ7について取り付けることができる。タイヤ7への取り付け方法や他の関係についての説明については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
(第4の実施形態)
第4の実施形態のタイヤ保持具4について、図12に基づき説明する。図12は第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様タイヤ7に取り付けるものとして製作したものであるが、その製造方法を変更したものである。図12(a)は、タイヤ保持具4の正面図、図12(b)はその底面図である。
【0082】
タイヤ保持具4については、板厚3~6mmのステンレス製の板材をプレス加工により形成したものである。タイヤ保持具4については、板材の全周と、タイヤ保持具1の留め部材16、17に対応するためのバーリング加工(立ち上げ付孔加工)46、47の部分には、7~15mmの立ち上げを設けている。なお、板厚を薄くする場合には、適当な個所にリブ加工を施すようにしても良い。
【0083】
タイヤ保持具4の端部41と端部44を結ぶ長さについては、タイヤ保持具1の「a」の長さになるように形成されている。また、端部44と端部45を結ぶ長さについては、タイヤ保持具1の「b」の長さになるように形成されている。バーリング加工46、47については、直径35~60mmのバーリング加工であり、上下に対応する一方のバーリング加工46の組と、他方のバーリング加工47の組については、上下に隙間を20mmの間隔になるように形成している。
【0084】
なお、端部41と端部44を結ぶ線に対して、端部41と端部42を結ぶ線と、端部44と端部45を結ぶ線については、略垂直になるように形成されている。端部42については、後述する「c」の長さに対応させている。端部42と端部45を結ぶ線については、バーリング加工46、47と強度的に問題がない程度に近づけて形成している。
また、端部41、42、44と45については、丸みを帯びさせて(アールを付けて)形成してあるので、その端部とは、その丸み部分の中央の部分を指す。よって、タイヤ保持具4の外形の最大長さについては、第1の実施形態のタイヤ保持具1よりも若干大きくなる。
【0085】
そして、上下に対応する一方のバーリング加工46の組と、他方のバーリング加工47の組の水平に間を通る線を基準として、端部41と端部44までの夫々の長さは、タイヤ保持具1の「c」の長さになるように形成されている。また、上下に対応する一方のバーリング加工46の組と、他方のバーリング加工47の組については、タイヤ保持具4において左右対称の位置で、タイヤ保持具1の「d」の間隔になるように形成されている。
【0086】
そのため、第1の実施形態のタイヤ保持具1と同様の長さの関係に、タイヤ保持具4は形成されており、タイヤ保持具1と同様に、タイヤ7について取り付けることができる。
タイヤ7への取り付け方法や他の関係についての説明については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
タイヤ保持具4については、部品点数を少なくすることができるので、大量生産をすることができる。
【0087】
以上、本発明について、第1~第4の実施形態に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施形態の構成に限定するものではない。前述のタイヤに挿入しタイヤ保持具としての機能を発揮できる形状とすることができれば実施できる。
【0088】
さらには、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]付記1は、タイヤの内面半径及び該タイヤのリム孔の半径との関係から各部の長さを決め、該タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具である。
[2]付記2は、タイヤの内面半径、該タイヤのリム孔の半径及び該タイヤの幅との関係から、該タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで、前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具である。
[3]付記3は、前記タイヤの内側空間に挿入する際に、該タイヤのリム孔近傍の該タイヤ側面を押し込むように挿入し、該タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状に各部の長さが決められている付記1又は付記2記載のタイヤ保持具である。
[4]付記4は、タイヤの内面半径及び該タイヤのリム孔の半径を測定し、その後各部の長さを決め、該タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具の製作方法である。
[5]付記5は、タイヤの内面半径、該タイヤのリム孔の半径及び該タイヤの幅を測定し、
その後各部の長さを決め、
該タイヤの内側空間に挿入し吊り具で吊り下げられることで前記タイヤが防舷用に用いられるタイヤ保持具の製作方法である。
[6]付記6は、前記タイヤの内側空間に挿入する際に、該タイヤのリム孔近傍の該タイヤ側面を押し込むように挿入し、該タイヤの内側空間から簡単に離脱できなくなる形状に各部の長さが決められる付記4又は付記5記載のタイヤ保持具の製作方法である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のタイヤ保持具については、港、岸壁や船に用いられる物であり、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0090】
1、1a、1b、2、3、4:タイヤ保持具
7、7a、7b:タイヤ
8:吊り具
9:係止具
11、14、15、18、19、21、24、25、28、31、34、38、41、42、44、45:端部
12、32、33:曲げ部
13、22、23:分岐部
16、17、26、27:留め部材
30、35:部品
36、36a、37、37a:凹み
46、47:バーリング加工
71:踏面
72:側面
73:リム孔
74a、74b:タイヤ内面
a、b、c、d:タイヤ保持具各部の長さ
Rо:タイヤ外面半径
Ri:タイヤ内面半径
Rr:リム孔半径
t:タイヤ肉厚
w:タイヤ幅
【要約】
【課題】
従来のタイヤを防舷用に使用する場合、現在多く使用されているラジアルタイヤにおいては、表面のゴム層の下に、ベルトと呼ばれる金属の繊維が補強層として設けられており、この金属の繊維があることで、簡単には貫通孔を開ける加工ができないという問題があった。
【解決手段】
タイヤ保持具1は、タイヤ7の内面半径Ri及び該タイヤのリム孔73の半径Rrとの関係から各部の長さを決め、タイヤ7の内側空間に挿入し吊り具8で吊り下げられることで、タイヤ7を防舷用に用いることができる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12