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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】タイルルーバー
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/00 20060101AFI20240105BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240105BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
E04F19/00 D
E04F13/08 Z
E04F13/14 103F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023188827
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519456169
【氏名又は名称】株式会社ブランドア
(73)【特許権者】
【識別番号】500210372
【氏名又は名称】織部製陶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】細見 雄次
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-138503(JP,A)
【文献】特開2007-308934(JP,A)
【文献】特開2008-38456(JP,A)
【文献】特開2020-159158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
E04F 10/00-10/10
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルルーバーであって、
一方向に並ぶ複数のタイルと、
複数の前記タイルを支持する第1支持部材と、
前記タイルと前記第1支持部材との間に位置する接着剤と、を備え、
前記第1支持部材は、中空部材と、前記中空部材の前面に固定され、前記タイルの後面に挿入されるハンガーと、を含む、タイルルーバー。
【請求項2】
前記ハンガーは、前記中空部材の前記前面に固定されるベース部と、前記中空部材の前記前面に対して傾斜した方向に延びる第1挿入部と、を含み、
前記タイルは、前記タイルの前記後面に形成され、前記第1挿入部が挿入される第1溝を含み、
前記接着剤は、前記タイルの前記後面と前記中空部材の前記前面との間に位置する部分と、前記第1溝に位置する部分と、を含む、請求項1に記載のタイルルーバー。
【請求項3】
前記ハンガーは、前記第1挿入部とは反対の方向において前記中空部材の前記前面に対して傾斜した方向に延びる第2挿入部を更に含み、
前記タイルは、前記タイルの前記後面に形成され、前記第2挿入部が挿入される第2溝を更に含み、
前記接着剤は、前記第2溝に位置する部分を更に含む、請求項2に記載のタイルルーバー。
【請求項4】
前記ハンガーは、隣り合う2つの前記タイルの間に位置する前記ベース部と前記第1挿入部とに形成された孔を含む、請求項2に記載のタイルルーバー。
【請求項5】
隣り合う2つの前記タイルの側面の間に位置する部分を含むシーリング材を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイルルーバー。
【請求項6】
前記シーリング材は、65%以上の弾性復元性を有し、
前記弾性復元性は、JIS A 1439(2016)に基づいて測定される、請求項5に記載のタイルルーバー。
【請求項7】
前記シーリング材は、前記接着剤の上方において前記タイルの前記後面と前記中空部材の前記前面との間に位置する部分を更に含む、請求項5に記載のタイルルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、建物の壁面などに取り付けられるルーバーが知られている。ルーバーは、細長い板状の部材であり、水平方向又は上下方向に間隔を空けて建物に取り付けられる。
【0003】
ルーバーは、化粧部材と、化粧部材を支持する支持構造体と、を備える。例えば特許文献1において、支持構造体は、コ字状の断面を有する中芯部材を含む。化粧部材も、コ字状の断面を有する。化粧部材は、中芯部材の開口を覆い中芯部材と嵌合するよう配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-159158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡易な構成を有するタイルルーバーを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1] タイルルーバーであって、
一方向に並ぶ複数のタイルと、
複数の前記タイルを支持する第1支持部材と、
前記タイルと前記第1支持部材との間に位置する接着剤と、を備え、
前記第1支持部材は、中空部材と、前記中空部材の前面に固定され、前記タイルの後面に挿入されるハンガーと、を含む、タイルルーバー。
【0007】
[2] [1]に記載のタイルルーバーにおいて、前記ハンガーは、前記中空部材の前記前面に固定されるベース部と、前記中空部材の前記前面に対して傾斜した方向に延びる第1挿入部と、を含んでいてもよく、前記タイルは、前記タイルの前記後面に形成され、前記第1挿入部が挿入される第1溝を含んでいてもよく、前記接着剤は、前記タイルの前記後面と前記中空部材の前記前面との間に位置する部分と、前記第1溝に位置する部分と、を含んでいてもよい。
【0008】
[3] [2]に記載のタイルルーバーにおいて、前記ハンガーは、前記第1挿入部とは反対の方向において前記中空部材の前記前面に対して傾斜した方向に延びる第2挿入部を更に含んでいてもよく、前記タイルは、前記タイルの前記後面に形成され、前記第2挿入部が挿入される第2溝を更に含んでいてもよく、前記接着剤は、前記第2溝に位置する部分を更に含んでいてもよい。
【0009】
[4] [2]又は[3]に記載のタイルルーバーにおいて、前記ハンガーは、隣り合う2つの前記タイルの間に位置する前記ベース部と前記第1挿入部とに形成された孔を含んでいてもよい。
【0010】
[5] [1]~[4]のいずれか1つに記載のタイルルーバーは、隣り合う2つの前記タイルの側面の間に位置する部分を含むシーリング材を更に備えていてもよい。
【0011】
[6] [5]に記載のタイルルーバーにおいて、前記シーリング材は、65%以上の弾性復元性を有していてもよい。前記弾性復元性は、JIS A 1439(2016)に基づいて測定される。
【0012】
[7] [5]又は[6]に記載のタイルルーバーにおいて、前記シーリング材は、前記接着剤の上方において前記タイルの前記後面と前記中空部材の前記前面との間に位置する部分を更に含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成を有するタイルルーバーを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】壁面に取り付けられた複数のタイルルーバーの一例を示す正面図である。
図2】タイルルーバーの一例を示す正面図である。
図3図2のタイルルーバーのIII-III断面を示す図である。
図4】ハンガーの一例を示す断面図である。
図5】タイルの一例を示す断面図である。
図6】ハンガーの一例を示す断面図である。
図7】タイルルーバーの一例を示す平面図である。
図8図2のタイルルーバーのVIII-VIII断面を示す図である。
図9】タイルルーバーの第1の変形例を示す断面図である。
図10】タイルルーバーの第2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0016】
図1は、本実施の形態による構造物を示す図である。構造物は、建物1と、建物1に取り付けられている複数のタイルルーバー10と、を備える。タイルルーバー10は、例えば、建物1の壁面2に取り付けられている。壁面2には窓が設けられていてもよい。
【0017】
(タイルルーバー)
タイルルーバー10は、壁面2に固定され、第1方向D1に延びる鉄骨3に取り付けられていてもよい。第1方向D1は、例えば上下方向である。複数のタイルルーバー10が、第1方向D1に並んでいてもよい。
【0018】
タイルルーバー10は、第1方向D1において隣り合う2本の鉄骨3のうちの一方の鉄骨3に取り付けられた第1端部11と、他方の鉄骨3に取り付けられた第2端部12と、を含む。タイルルーバー10は、2本の鉄骨3の間で第2方向D2に延びている。第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向であり、例えば水平方向である。
【0019】
図2は、タイルルーバー10の一例を示す正面図である。タイルルーバー10は、第2方向D2に並ぶ複数のタイル30と、複数のタイル30を支持する第1支持部材20と、を備える。タイルルーバー10は、シーリング材35を備えていてもよい。シーリング材35は、タイルルーバー10の隙間に充填される材料である。例えば、シーリング材35は、図2に示すように、第2方向D2において隣り合う2つのタイル30の側面305の間に位置する部分を含む。このシーリング材35は、2つのタイル30の間に水などの液体が浸入することを抑制できる。
【0020】
図3は、図2のタイルルーバー10のIII-III断面を示す図である。第1支持部材20は、中空部材21及びハンガー22を含む。中空部材21は、鋼などの金属によって構成されている。例えば、中空部材21は、前面211、後面212、上面213及び下面214を構成する鋼板を含む。前面211は、タイル30に向く面である。後面212は、第3方向D3において前面211の反対側に位置する面である。後面212は、建物1の壁面2などの、タイルルーバー10が取り付けられる壁面に向いている。第3方向D3は、建物1の壁面2の法線方向である。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に対して直交している。
【0021】
ハンガー22は、中空部材21の前面211に固定され、タイル30に部分的に挿入される部材である。ハンガー22は、中空部材21の前面211に固定されるベース部23と、タイル30の後面302に挿入される第1挿入部24及び第2挿入部25と、を含む。ベース部23、第1挿入部24及び第2挿入部25は、例えば、鋼板などの金属板を加工することにより作製される。
【0022】
ベース部23は、固定具27によって中空部材21の前面211に固定されている。固定具27は、例えば、ボルト及びナットを含む。
【0023】
第1挿入部24は、ベース部23から、前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向においてタイル30に向かって延びている。第2挿入部25も、ベース部23から、前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向においてタイル30に向かって延びている。第2挿入部25は、第1挿入部24とは反対の方向において前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向に延びている。具体的には、第1挿入部24は、ベース部23からタイル30に向かうにつれて上方に変位するよう傾斜している。一方、第2挿入部25は、ベース部23からタイル30に向かうにつれて下方に変位するよう傾斜している。
【0024】
タイル30は、例えばセラミックスを含むセラミックタイルである。セラミックタイルは、無機材料の粉末を焼結させることによって作製される。タイル30は、前面301、後面302、上面303、下面304及び上述の側面305を含む。後面302は、第1支持部材20に向く面である。前面301は、第3方向D3において後面302の反対側に位置する面である。
【0025】
タイル30は、後面302に形成されている第1溝31及び第2溝32を含む。ハンガー22の第1挿入部24は、第1溝31に挿入される。第1溝31は、第1挿入部24と同様に、中空部材21の前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向に延びている。例えば、第1溝31は、後面302から前面301に向かうにつれて上方に変位するよう傾斜している。ハンガー22の第2挿入部25は、第2溝32に挿入される。第2溝32は、第2挿入部25と同様に、中空部材21の前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向に延びている。例えば、第2溝32は、後面302から前面301に向かうにつれて下方に変位するよう傾斜している。
【0026】
第1溝31は、第1コーナー311を含む。第1コーナー311は、第1溝31のうち第1方向D1においてベース部23から最も離れている部分である。ハンガー22の第1挿入部24は、第3方向D3において第1コーナー311よりも前面301側に位置していてもよい。このことは、第1溝31の深い位置まで適切に第1挿入部24が挿入されていることを意味する。
【0027】
第2溝32は、第2コーナー321を含む。第2コーナー321は、第2溝32のうち第1方向D1においてベース部23から最も離れている部分である。ハンガー22の第2挿入部25は、第3方向D3において第2コーナー321よりも前面301側に位置していてもよい。このことは、第2溝32の深い位置まで適切に第2挿入部25が挿入されていることを意味する。
【0028】
中空部材21は、第1方向D1において寸法S01を有する。タイル30は、第1方向D1において寸法G01を有する。寸法G01は、寸法S01とほぼ同一であるか、寸法S01よりも大きい。これにより、中空部材21の前面211の全体又は大部分がタイル30によって覆われるので、タイルルーバー10のデザイン性が高められる。寸法S01に対する寸法G01の比率であるG01/S01は、例えば0.95以上であり、1.00以上であってもよい。G01/S01は、例えば1.50以下であり、1.30以下であってもよく、1.10以下であってもよい。
【0029】
図3に示すように、タイルルーバー10は、タイル30と第1支持部材20との間に位置する接着剤40を更に備える。接着剤40は、タイル30を第1支持部材20に接着する。接着剤40は、例えば、変成シリコーンを含む。
【0030】
接着剤40は、タイル30の後面302と中空部材21との間、第1溝31、及び第2溝32に充填されている。言い換えると、接着剤40は、タイル30の後面302と中空部材21との間に位置する部分と、第1溝31に位置する部分と、第2溝32に位置する部分と、を含む。接着剤40は、タイル30に力が加えられるときにタイル30がハンガー22に対して動くことを抑制できる。これにより、タイル30とハンガー22の衝突に起因してタイル30に割れなどの破損が生じることが抑制される。
【0031】
タイル30の後面302は、凹凸を含んでいてもよい。すなわち、タイル30の後面302は、粗い面であってもよい。これにより、後面302と接着剤40との接触面積が増加するので、タイル30と接着剤40との間の密着性が高められる。凹凸を含む後面302は、成形されたタイル30の後面302を荒らす工程を実施することによって得られる。
【0032】
図3に示すように、シーリング材35は、接着剤40上にも充填されていてもよい。言い換えると、シーリング材35は、接着剤40の上方においてタイル30の後面302と中空部材21の前面211との間に位置する部分を含んでいてもよい。このシーリング材35は、上方から中空部材21とタイル30との間に雨水などの液体が浸入することを抑制できる。
【0033】
シーリング材35は、柔軟性及び復元性を有する低モジュラスの樹脂を含むことが好ましい。これにより、振動などに起因してシーリング材35と第1支持部材20との間又はシーリング材35とタイル30との間に隙間が生じることが抑制される。例えば、シーリング材35は、高い弾性復元性を有していてもよい。シーリング材35は、例えば、変成シリコーンを含む。
【0034】
シーリング材35の弾性復元性は、例えば65%以上であり、70%以上であってもよく、80%以上であってもよい。シーリング材35の弾性復元性は、接着剤40の弾性復元性よりも高くてもよい。弾性復元性は、JIS A 1439(2016)に基づいて測定される。
【0035】
ハンガー22の寸法を詳細に説明する。図4は、ハンガー22の一例を示す断面図である。θ1は、第1方向D1に対する第1挿入部24の傾斜角度を表す。角度θ1は、例えば30°以上であり、35°以上であってもよく、40°以上であってもよい。角度θ1は、例えば60°以下であり、55°以下であってもよく、50°以下であってもよい。θ2は、第1方向D1に対する第2挿入部25の傾斜角度を表す。角度θ2は、角度θ1と同様に設定される。
【0036】
H1、H2及びH3はそれぞれ、第1方向D1におけるベース部23、第1挿入部24及び第2挿入部25の寸法を表す。寸法H2は、第3方向D3においてタイル30に力が加えられた場合に第1挿入部24が適切な範囲にわたってタイル30に引っ掛かることができるよう、設定される。寸法H2は、タイル30の寸法G01に対して相対的に定められていてもよい。寸法G01に対する寸法H2の比率であるH2/G01は、例えば0.05以上であり、0.10以上であってもよい。H2/G01は、例えば0.30以下であり、0.20以下であってもよい。寸法H3は、寸法H2と同様に設定される。
【0037】
H4は、ハンガー22の厚みを表す。厚みH4は、例えば1.0mm以上であり、1.3mm以上であってもよい。厚みH4は、例えば3.0mm以下であり、2.0mm以下であってもよい。
【0038】
ハンガー22の寸法の一例を以下に示す。
θ1=45°、θ2=45°、H1=8.00mm、H2=8.84mm、
H3=8.84mm、H4=1.5mm
【0039】
タイル30の寸法を詳細に説明する。図5は、ハンガー22の一例を示す断面図である。θ3は、第1方向D1に対する第1溝31の傾斜角度を表す。角度θ3は、例えば30°以上であり、35°以上であってもよく、40°以上であってもよい。角度θ3は、例えば60°以下であり、55°以下であってもよく、50°以下であってもよい。θ4は、第1方向D1に対する第2溝32の傾斜角度を表す。角度θ4は、角度θ3と同様に設定される。
【0040】
G2及びG3はそれぞれ、第1方向D1における第1溝31及び第2溝32の寸法を表す。G1は、第1方向D1における第1溝31と第2溝32との間の距離を表す。寸法G2は、第3方向D3においてタイル30に力が加えられた場合に第1挿入部24が適切な範囲にわたってタイル30に引っ掛かることができるよう、設定される。寸法G2は、タイル30の寸法G01に対して相対的に定められていてもよい。寸法G01に対する寸法G2の比率であるG2/G01は、例えば0.10以上であり、0.15以上であってもよい。G2/G01は、例えば0.35以下であり、0.25以下であってもよい。寸法G3は、寸法G2と同様に設定される。
【0041】
G4及びG5はそれぞれ、第1溝31の幅及び第2溝32の幅を表す。G6は、第3方向D3における第1コーナー311と後面302との間の距離を表す。G7は、第3方向D3における第2コーナー321と後面302との間の距離を表す。距離G6は、第3方向D3においてタイル30に力が加えられた場合に第1挿入部24が適切な範囲にわたってタイル30に引っ掛かることができるよう、設定される。距離G6は、第3方向D3におけるタイル30の寸法G02に対して相対的に定められていてもよい。寸法G02に対する距離G6の比率であるG6/G02は、例えば0.15以上であり、0.20以上であってもよい。G6/G02は、例えば0.40以下であり、0.35以下であってもよい。距離G7は、距離G6と同様に設定される。
【0042】
タイル30の寸法の一例を以下に示す。
G01=60mm、G02=20mm、θ3=45°、θ4=45°、
G1=8.00mm、G2=12.37mm、G3=12.37mm、
G4=5.00mm、G5=5.00mm、
G6=5.30mm、G7=5.30mm
【0043】
図6は、第2方向D2において隣り合う2つのタイル30の間に位置するハンガー22の部分を示す断面図である。ハンガー22は、2つのタイル30の間の位置において、ベース部23及び第1挿入部24に形成された孔26を含んでいてもよい。孔26は、ベース部23及び第1挿入部24に跨るよう形成されていてもよい。孔26は、第1支持部材20とタイル30との間の隙間に浸入した雨水などの液体を下方へ排出するための水抜き孔として機能できる。
【0044】
H5は、孔26のうち第1挿入部24に形成されている部分の寸法を表す。H6は、孔26が形成されていない場合の第1挿入部24の寸法を表す。寸法H5は、例えば4.0mmであり、寸法H6は、例えば12.5mmである。
【0045】
図7は、タイルルーバー10の一例を示す平面図である。図7においては、ハンガー22の孔26が点線で示されている。第2方向D2に沿って複数の孔26が並んでいるので、雨水などの液体が適切にタイルルーバー10の外部に排出される。
【0046】
図8は、図2のタイルルーバー10のVIII-VIII断面を示す図である。タイルルーバー10は、鉄骨3と第1支持部材20との間に位置する第2支持部材50を備えていてもよい。第2支持部材50は、鉄骨3に固定された第1溝形鋼51と、第1支持部材20に固定された第2溝形鋼52と、を含んでいてもよい。第1溝形鋼51及び第2溝形鋼52は、第2溝形鋼52が第1溝形鋼51の開口を覆うように組み合わされていてもよい。
【0047】
第2支持部材50は、鉄骨3の近傍にのみ設けられていてもよい。すなわち、第2方向D2において、第2支持部材50は第1支持部材20よりも短くてもよい。第1支持部材20の中空部材21及びハンガー22は、2つの鉄骨3の間で第2方向D2において連続的に延びている。
【0048】
(タイルルーバーの製造方法)
タイルルーバー10の製造方法の一例を説明する。
【0049】
まず、中空部材21を準備する。続いて、ハンガー22のベース部23を中空部材21の前面211に、固定具27を用いて固定する。続いて、ハンガー22に接着剤40を塗布する。続いて、ハンガー22の第1挿入部24及び第2挿入部25を、タイル30の第1溝31及び第2溝32に挿入する。例えば、第2方向D2におけるハンガー22の端部において、ハンガー22の第1挿入部24及び第2挿入部25をタイル30の第1溝31及び第2溝32に挿入する。続いて、ハンガー22に沿ってタイル30を第2方向D2にスライドさせる。これにより、第1溝31及び第2溝32に接着剤40が充填された状態で、第1挿入部24及び第2挿入部25が第1溝31及び第2溝32に挿入される。
【0050】
続いて、第1溝31及び第2溝32に充填された接着剤40を乾燥させる第1乾燥工程を実施する。第1乾燥工程は、中空部材21の前面211とタイル30の後面302との間にスペーサーを配置した状態で実施されてもよい。これにより、中空部材21の前面211とタイル30の後面302との間の距離を適切に維持できる。スペーサーは、第1乾燥工程の後、取り除かれる。
【0051】
続いて、中空部材21の前面211とタイル30の後面302との間に接着剤40を充填する。続いて、中空部材21の前面211とタイル30の後面302との間に充填された接着剤40を乾燥させる第2乾燥工程を実施する。
【0052】
続いて、シーリング材35を設けるシーリング工程を実施する。例えば、第2方向D2において隣り合うタイル30の側面305の間にシーリング材35を塗布する。例えば、接着剤40の上方において中空部材21の前面211とタイル30の後面302との間にシーリング材35を塗布する。このようにして、タイルルーバー10が製造される。
【0053】
その後、タイルルーバー10を建物1の壁面2の鉄骨3に固定する。このようにして、タイルルーバー10が壁面2に設置される。
【0054】
本実施の形態のタイルルーバー10は、中空部材21の前面211にタイル30を固定することによって構成されている。このような簡易な構成のタイルルーバー10を採用することにより、タイルルーバー10を安価に提供できる。
【0055】
タイル30の後面302には、中空部材21の前面211に固定されたハンガー22の第1挿入部24及び第2挿入部25が挿入されている。第1挿入部24及び第2挿入部25は、前面211及び第3方向D3に対して傾斜した方向に延びている。第3方向D3においてタイル30に力が加えられた場合、ハンガー22の第1挿入部24及び第2挿入部25がタイル30の第1溝31及び第2溝32に引っ掛かることができる。これにより、タイル30の脱落が抑制される。
【0056】
本実施の形態のシーリング材35は、低モジュラスの樹脂を含んでいるので、振動に対するタイルルーバー10の耐性が高められる。シーリング材35を設けることにより、ハンガー22の負担が軽減される。例えば、ハンガー22の第1挿入部24及び第2挿入部25並びにタイル30の第1溝31及び第2溝32の寸法を小さくすることが可能になる。第1溝31及び第2溝32の寸法を小さくすることにより、タイル30に割れなどの欠陥が生じることが抑制される。
【0057】
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0058】
(第1変形例)
図9に示すように、ハンガー22は、第1挿入部24を含むが第2挿入部25を含んでいなくてもよい。タイル30は、第1溝31及び第2溝32を含んでいてもよい。第1溝31には第1挿入部24が挿入され、接着剤40が充填される。第2溝32には、接着剤40が充填されていてもよい。
【0059】
本変形例においては、タイル30の第1溝31をハンガー22の第1挿入部24に上から引っ掛けることにより、第1挿入部24が第1溝31に挿入されてもよい。
【0060】
(第2変形例)
図10に示すように、ハンガー22は、第1挿入部24を含むが第2挿入部25を含んでいなくてもよい。タイル30は、第1溝31を含むが第2溝32を含んでいなくてもよい。第1溝31には第1挿入部24が挿入され、接着剤40が充填される。
【符号の説明】
【0061】
1 建物
2 壁面
3 鉄骨
10 タイルルーバー
20 第1支持部材
21 中空部材
211 前面
212 後面
213 上面
214 下面
22 ハンガー
23 ベース部
24 第1挿入部
25 第2挿入部
26 孔
27 固定具
30 タイル
301 前面
302 後面
303 上面
304 下面
305 側面
31 第1溝
311 第1コーナー
32 第2溝
321 第2コーナー
35 シーリング材
40 接着剤
50 第2支持部材
51 第1溝形鋼
52 第2溝形鋼
【要約】
タイルルーバーは、一方向に並ぶ複数のタイルと、複数のタイルを支持する第1支持部材と、タイルと第1支持部材との間に位置する接着剤と、を備える。第1支持部材は、中空部材と、中空部材の前面に固定され、タイルの後面に挿入されるハンガーと、を含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10