(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】埋設管路の線形の計測装置
(51)【国際特許分類】
G01C 7/06 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
G01C7/06
(21)【出願番号】P 2019173710
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】片山 諒一
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-073107(JP,A)
【文献】特開2004-198222(JP,A)
【文献】特開2011-169705(JP,A)
【文献】特表2006-522926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中(B)に
鉛直方向(D)に沿って打ち込まれて埋設された埋設管路(A)の線形計測を、ケーブル(11)によって移動する計測部(100)により計測するようにした埋設管路の線形の計測装置において、
前記埋設管路(A)内に挿入された中空剛性部材(200)を有し、前記計測部(100)は、前記中空剛性部材(200)内を移動するようにし
、
前記中空剛性部材(200)の外径(D1)は、前記埋設管路(A)の内径(D2)の半分又は半分以下であ
り、
前記地中(B)内の前記埋設管路(A)に埋設管路変形部(300)が形成されている状態で、前記計測部(100)は前記中空剛性部材(200)内を鉛直方向(D)に沿って移動できるようにした構造であることを特徴とする埋設管路の線形の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設管路の線形の計測装置に関し、特に、埋設管路の中に中空剛性部材を挿入し、この中空剛性部材の中に計測部を挿入して降下することによって、安全かつ確実に管路全体の管路計測を行うための新規改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の管路計測装置としては、例えば、特許文献1の管路計測装置を
図2及び
図3として挙げることができる。
図2において、符号Aで示されるものは管路であり、この管路A内には
図3で示される管路走行体101が、前輪車輪2及び後輪3を介して管路A内を自在に走行できるように構成されている。
【0003】
前記管路走行体101には、ケーブル11が接続され、このケーブル11を巻取り機103によって巻取り及び緩めることにより、前記管路走行体101は前記管路A内を自在に走行できるように構成されている。
前記巻取り機103には、前記ケーブル11の巻取り量を距離に換算して示す距離計102が設けられ、この距離計102からのアナログ出力は演算装置104によってディジタル出力に変換された後、ディスプレイ105にてディジタル表示されるように構成されている。
【0004】
尚、前記管路走行体101は、
図3で示されるように構成されている。
すなわち、全体形状がほぼオーバル形をなす筐体1内には、入出力端子8、演算部7、三軸加速度センサ5、及び三軸ジャイロセンサ6が設けられ、さらに、距離Lを介して前輪2及び後輪3が設けられている。
【0005】
従って、
図2の管路A内でケーブル11を介して管路走行体101を往復走行させることによって、前記管路走行体101の三軸加速度センサ5及び三軸ジャイロセンサ6からの出力データが演算部7を介して入出力端子8に送られるように構成されている。
【0006】
前述の従来構成は、水平方向に形成された管路A内で、管路走行体101を走行させる例について述べたが、例えば、図示しない垂直形の管路内で管路走行体101をケーブルを介して上下動させて、管路Aの状態を検出する方法も本出願人によって開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の管路計測装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、
図2及び
図3で示される従来構成は、ほぼ水平に設けられた管路A内を横方向に走行する管路走行体101を用いる構成であるため、地中の鉛直方向に形成された堅穴に対しては、適用することが極めて困難であった。
また、前述の垂直形の埋設管路に対して、計測部を垂直に降下させて埋設管路の線形計測を行う従来構成においては、地中に埋設した埋設管路に対して大きい土圧がかかっているため、状況に応じて、この土圧によって埋設管路の一部に凹部、すなわち、埋設管路変形部が発生することがある。
この埋設管路変形部は、埋設管路の内側に大きく出張ることがあり、その場合には、計測部がこの埋設管路変形部に衝突し、そこから下方には降下不能となり、埋設管路変形部より下方部分の管路計測は続行不能となっていた。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、埋設管路の中に中空剛性部材を挿入し、この中空剛性部材の中に計測部を挿入して降下することによって、安全かつ確実に管路全体の計測を行うようにした埋設管路の線形の計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による埋設管路の線形の計測装置は、地中に鉛直方向に沿って打ち込まれて埋設された埋設管路の線形計測を、ケーブルによって移動する計測部により計測するようにした埋設管路の線形の計測装置において、前記埋設管路内に挿入された中空剛性部材を有し、前記計測部は、前記中空剛性部材内を移動するようにし、前記中空剛性部材の外径は、前記埋設管路の内径の半分又は半分以下であり、前記地中内の前記埋設管路に埋設管路変形部が形成されている状態で、前記計測部は前記中空剛性部材内を鉛直方向に沿って移動できるようにした構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明による埋設管路の線形の計測装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、地中に埋設された埋設管路の線形計測を、ワイヤケーブルによって移動する計測部により計測するようにした埋設管路の線形の計測装置において、前記埋設管路内に挿入された中空剛性部材を有し、前記計測部は、前記中空剛性部材内を移動するようにした構成からなることにより、計測部は中空剛性部材内を安定して移動でき、かつ埋設管路の変形部の有無に関係なく安定した計測を行うことができる。
また、前記中空剛性部材の外径は、前記埋設管路の内径の半分又は半分以下である構成としたことにより、前述の中空剛性部材の内径以内の大きさの計測部であれば、自在に中空剛性部材の中を上下動することができ、埋設管路変形部に関係なく埋設管路の線形計測を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態による埋設管路の線形の計測装置の全体構成を示す構成図である。
【
図3】
図2の従来構成における管路走行体の具体的構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による埋設管路の線形の計測装置は、埋設管路の中に中空剛性部材を挿入し、この中空剛性部材の中に計測部を挿入して降下することにより、安全かつ確実に管路全体の管路計測を行うことである。
【実施例】
【0014】
以下、図面と共に本発明による埋設管路の線形の計測装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号Aで示されるものは、地中B内に埋設された埋設管路であり、この埋設管路Aには、通常、鉄管が採用されている。
前記埋設管路Aは、地中Bにおいて鉛直方向に沿って深く埋設されており、埋設後に、地中Bの土圧Cが、埋設管路Aの周面Aa全体に対して掛る状態である。
【0015】
前記埋設管路Aの中には、中空剛性部材200が挿入されており、前記地中Bの表面Baには、巻取り機103、ケーブル11、及び複数の滑車201、202からなるケーブル移動装置203が設けられている。
前記巻取り機103からのケーブル11は、前記各滑車201、202を経て、前記埋設管路A内に挿入された中空剛性部材200内の計測部100の上部100aに接続されている。
【0016】
前記中空剛性部材200の外径D1は、前記埋設管路Aの内径D2の半分又は半分以下となるように設定されており、前記中空剛性部材200の材質は、鉄、ステンレス、アルミニウム、硬質樹脂等の何れか1つの材料を用いている。
【0017】
前述の構成において、前記埋設管路Aが地中B内に鉛直方向Dに沿って打ち込まれて挿入された後、そのままの状態では、地中Bの土圧Cによって、埋設管路Aの周面Aaに凹部形の埋設管路変形部300が形成されることがある。
【0018】
前述の状態となって、前記埋設管路変形部300が形成された後でも、前記中空剛性部材200には何らの変形等は発生していないため、無傷を保つことができる。
従って、この状態で、計測部100を前記ケーブル11を介して前記中空剛性部材200内に挿入した場合でも、計測部100は、前記埋設管路変形部300の影響を受けることなく、前記中空剛性部材200内を自在に上下動することができる。
前記中空剛性部材200の長さは、前記埋設配管Aの長さよりも長く設定されているため、前記計測部100を前記中空剛性部材200内を前述のように上下動することによって、前記埋設管路A内の線形の状態を自在に正確に迅速に計測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による埋設管路の線形の計測装置は、埋設管路の中に中空剛性部材を介して計測装置が上下動することができるように構成されているため、埋設管路Aに埋設管路変形部300が形成されている状態でも、計測部100は、鉛直方向Dに沿う上下動を行うことができる。また、埋設管路に形成された土圧による埋設管路変形部の存在の有無に拘わらず、安定して埋設管路Aの線形計測を行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
11 ケーブル
100 計測部
100a 上部
103 巻取り機
200 中空剛性部材
201、202 滑車
203 ケーブル移動装置
300 埋設管路変形部
A 埋設管路
Aa 周面
B 地中
Ba 表面
C 土圧
D 鉛直方向
D1 外径
D2 内径