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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置及び光センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240105BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/10 A
H01L31/10 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019224963
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021097056
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】川本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】竹山 幸利
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 とし恵
(72)【発明者】
【氏名】平田 舞
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩之
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-086751(JP,A)
【文献】特開昭56-045086(JP,A)
【文献】特開2013-145933(JP,A)
【文献】特開昭61-127165(JP,A)
【文献】特開2008-066497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路装置において、
半導体基板と、
前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う処理回路領域と、
第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する第1領域と、
第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する第2領域と、
を備え、
前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有し、
前記第2領域と前記半導体基板が前記ダミーフォトダイオードとして機能し、
前記第1領域は、電気的に浮遊状態にあり、
前記第2領域は、第1導電型の前記半導体基板に接合しており、
前記半導体基板は、第1電位に電気的に接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
半導体集積回路装置において、
半導体基板と、
前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う処理回路領域と、
第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する第1領域と、
第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する第2領域と、
を備え、
前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有し、
少なくとも前記第1領域と前記第2領域が前記ダミーフォトダイオードとして機能し、
前記第1領域は、第1電位に電気的に接続されており、
前記第2領域は、前記第1導電型の前記半導体基板に接合していることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
半導体集積回路装置において、
半導体基板と、
前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う処理回路領域と、
第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する第1領域と、
第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する第2領域と、
前記第1導電型であり、前記半導体基板と前記第2領域の間に位置して双方に接合するとともに、前記第2領域の周囲の少なくとも一部を覆うように位置する第3領域と、
を備え、
前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有し、
少なくとも前記第2領域と前記第3領域が前記ダミーフォトダイオードとして機能し、
前記第1領域は、電気的に浮遊状態にあり、
前記第3領域は、第1電位に電気的に接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項又はに記載の半導体集積回路装置であって、
前記ダミーフォトダイオードは、前記パッドを透過した光、又は、当該パッドの周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項に記載の半導体集積回路装置であって、
前記第1領域の厚みが、前記第2領域のうち当該第1領域の厚み方向一側に接合されている部分の厚みよりも薄いことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項に記載の半導体集積回路装置であって、
視線の方向と前記第1領域の厚み方向とを揃えて前記第1領域及び前記第2領域を見たときに、
前記第1領域と前記第2領域の境界線に、当該境界線の長さを長くするための繰返しパターンが含まれていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項に記載の半導体集積回路装置であって、
視線の方向と前記第1領域の厚み方向とを揃えて、前記第1領域と、前記パッド又は前記表示体と、を見たときに、
前記パッド又は前記表示体と重なる位置、及び、前記パッド又は前記表示体の外側の位置の両方に前記第1領域が位置していることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の半導体集積回路装置であって、
外部からの光を遮る遮光部と、当該光を透過させる開口部と、が形成された遮光膜を更に備え、
前記開口部によって外部に露出した箇所に前記パッド又は前記表示体が位置していることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項1からまでの何れか一項に記載の半導体集積回路装置であって、
前記ダミーフォトダイオードは、p型領域側に接続される電位がn型領域側に接続される電位以下になるように電気的に接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項1からまでの何れか一項に記載の半導体集積回路装置と、
外部からの光を案内する光学系と、
を備え、
前記半導体集積回路装置は、外部からの光を検出するためのフォトダイオードを備えることを特徴とする光センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ダミーフォトダイオードを備える半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置に外部から光が入射された場合、内部で光電流が発生し、半導体集積回路装置の内部の信号処理回路が誤動作を起こす可能性がある。ダミーフォトダイオードは、半導体集積回路装置の内部に設けられている。ダミーフォトダイオードは、所定の電位に接続されたn型領域とp型領域が接合している構成である。ダミーフォトダイオードにより不要な光電流が回収されるので、信号処理回路の誤動作を軽減できる。特許文献1から3は、ボンディングパッドの周囲で発生する不要な光電流を回収するためのダミーフォトダイオードを開示する。
【0003】
特許文献1は、ボンディングパッドの直下に、電気的に浮遊状態のn型領域が位置する半導体集積回路装置を開示する。n型領域の下側には、GND電位に接続されたp型基板が接合している。n型領域の周囲には、p型領域で分離しつつ、当該n型領域を囲むn型ダミーアイランドが位置している。p型基板とn型ダミーアイランドにより、ダミーフォトダイオードが構成されている。
【0004】
特許文献2及び3は、ボンディングパッドの直下にダミーフォトダイオードが設けられた半導体集積回路装置を開示する。ボンディングパッドの直下のn型領域は、所定の電位に電気的に接続されている。n型領域の下側には、所定の電位に電気的に接続されたp型基板が位置している。このn型領域とp型基板によりダミーフォトダイオードが構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-78720号公報
【文献】特開昭61-127165号公報
【文献】特開平9-186307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のダミーフォトダイオードは、ボンディングパッドの直下のn型領域が浮遊状態なので、多くの光電流が基板に到達する。その結果、光電流が基板を介して信号処理回路に到達する可能性がある。また、特許文献2及び3のダミーフォトダイオードは、ボンディングパッド直下のn型領域が電位に接続されているが、その下側にp型基板が接合しているので、僅かな光電流が基板を介して信号処理回路に到達する可能性がある。また、この課題は、ボンディングパッドの直下に限られない。例えば、ボンディングされないパッドの直下であったり、文字等を表示するための表示体の直下でも同様の課題が存在する。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、光電流が信号処理回路に到達する可能性が非常に低いダミーフォトダイオードを備える半導体集積回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の半導体集積回路装置が提供される。即ち、この半導体集積回路装置は、半導体基板と、処理回路領域と、第1領域と、第2領域と、を備える。前記処理回路領域は、前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う。前記第1領域は、第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する。前記第2領域は、第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する。前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有する。前記第2領域と前記半導体基板が前記ダミーフォトダイオードとして機能する。前記第1領域は、電気的に浮遊状態にある。前記第2領域は、第1導電型の前記半導体基板に接合している。前記半導体基板は、第1電位に電気的に接続されている。
【0012】
これにより、第1領域の周囲だけでなく、第1領域と半導体基板の間が第2領域で覆われる。従って、第1領域に光が入射することで光電流が発生しても、この光電流が半導体基板を介して処理回路領域に流れることを高い信頼度で抑制できる。また、第2領域と半導体基板でダミーフォトダイオードを構成できる。また、第1領域は電気的に浮遊状態にあるが、第2領域で覆われているため、第1領域で発生した光電流が処理回路領域に流れない。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の半導体集積回路装置が提供される。即ち、この半導体集積回路装置は、半導体基板と、処理回路領域と、第1領域と、第2領域と、を備える。前記処理回路領域は、前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う。前記第1領域は、第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する。前記第2領域は、第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する。前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有する。少なくとも前記第1領域と前記第2領域が前記ダミーフォトダイオードとして機能する。前記第1領域は、第1電位に電気的に接続されている。前記第2領域は、前記第1導電型の前記半導体基板に接合している。
【0014】
これにより、第1領域の周囲だけでなく、第1領域と半導体基板の間が第2領域で覆われる。従って、第1領域に光が入射することで光電流が発生しても、この光電流が半導体基板を介して処理回路領域に流れることを高い信頼度で抑制できる。また、第1領域がダミーフォトダイオードとして機能するので、第1領域で発生した光電流を即座に回収することができる。
【0015】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の半導体集積回路装置が提供される。即ち、この半導体集積回路装置は、半導体基板と、処理回路領域と、第1領域と、第2領域と、第3領域と、を備える。前記処理回路領域は、前記半導体基板に形成されており、信号処理を行う。前記第1領域は、第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する。前記第2領域は、第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、前記半導体基板と前記第1領域の間に位置し、前記第1領域の周囲の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域に接合する。前記第3領域は、前記第1導電型であり、前記半導体基板と前記第2領域の間に位置して双方に接合するとともに、前記第2領域の周囲の少なくとも一部を覆うように位置する。前記パッド若しくは前記表示体を透過した光、又は、前記パッド若しくは前記表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして機能する部分を有する。少なくとも前記第2領域と前記第3領域が前記ダミーフォトダイオードとして機能する。前記第1領域は、電気的に浮遊状態にある。前記第3領域は、第1電位に電気的に接続されている。
【0016】
これにより、第1領域の周囲だけでなく、第1領域と半導体基板の間が第2領域で覆われる。従って、第1領域に光が入射することで光電流が発生しても、この光電流が半導体基板を介して処理回路領域に流れることを高い信頼度で抑制できる。また、第1領域が第2領域と第3領域の両方で覆われ、第2領域と第3領域がダミーフォトダイオードとして機能するので、第1領域で発生した光電流が処理回路領域に流れにくくなる。
【0017】
前記の半導体集積回路装置においては、前記ダミーフォトダイオードは、前記パッドを透過した光、又は、当該パッドの周囲から入射された光に起因する光電流が前記処理回路領域に流れることを抑制することが好ましい。
【0018】
これにより、パッドを用いる構成の半導体集積回路装置において、不要な電流が処理回路領域に流れにくくなる。また、第1領域が浮遊状態にあるため、パッドと第1領域が電気的に接続されても、パッドに不要な電流が伝達しにくい。
【0019】
前記の半導体集積回路装置においては、前記第1領域の厚みが、前記第2領域のうち当該第1領域の厚み方向一側に接合されている部分の厚みよりも薄いことが好ましい。
【0020】
これにより、比較的浅い部分で第1領域と第2領域が接合するため、特に短波長の光に起因する光電流を効率的に回収することができる。
【0021】
前記の半導体集積回路装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、視線の方向と前記第1領域の厚み方向とを揃えて前記第1領域及び前記第2領域を見たときに、前記第1領域と前記第2領域の境界線に、当該境界線の長さを長くするための繰返しパターンが含まれている。
【0022】
これにより、第1領域と第2領域の接合面積(特に厚み方向に平行な方向の面積)を大きくできるので、空乏層を大きくすることができる。
【0023】
前記の半導体集積回路装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、視線の方向と前記第1領域の厚み方向とを揃えて、前記第1領域と、前記パッド又は前記表示体と、を見たときに、前記パッド又は前記表示体と重なる位置、及び、前記パッド又は前記表示体の外側の位置の両方に前記第1領域が位置している。
【0024】
これにより、パッド又は表示体の外側にある第1領域についてもダミーフォトダイオードとして機能させることができる。
【0025】
前記の半導体集積回路装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、半導体集積回路装置は、外部からの光を遮る遮光部と、当該光を透過させる開口部と、が形成された遮光膜を更に備える。前記開口部によって外部に露出した箇所に前記パッド又は前記表示体が位置している。
【0026】
パッド及び表示体は基本的に遮光膜で遮光しないため、外部からの光を完全に遮ることが困難であるが、本発明を用いることで、不要な光電流が処理回路領域に及ぼす影響を軽減できる。
【0027】
前記の半導体集積回路装置においては、前記ダミーフォトダイオードは、p型領域側に接続される電位がn型領域側に接続される電位以下になるように電気的に接続されていることが好ましい。
【0028】
これにより、ダミーフォトダイオードを効率的に動作させることができる。
【0029】
本発明の第2の観点によれば、前記の半導体集積回路装置と、外部からの光を案内する光学系と、を備える光センサが提供される。前記半導体集積回路装置は、外部からの光を検出するためのフォトダイオードを備える。
【0030】
光センサの一部として構成される半導体集積回路装置には外部からの光が照射され易いので、検出対象でない光電流が処理回路領域に及ぼす影響が大きくなる傾向にある。この点、本発明を用いることで、検出対象でない光電流が処理回路領域に及ぼす影響を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】各実施形態の光学センサの概要図及び半導体集積回路装置の平面図。
図2】第1実施形態の半導体集積回路装置の断面図。
図3】第2実施形態の半導体集積回路装置の断面図、その第1変形例の断面図、その第2変形例の平面図。
図4】第3実施形態の半導体集積回路装置の断面図。
図5】別の例の半導体集積回路装置の断面図、その変形例の断面図及び平面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、各実施形態の光学センサ1の概要について説明する。
【0033】
光学センサ1は、外部光を検出するためのセンサである。外部光とは光学センサ1の外部から入射した光である。外部光は、具体的には、自然光であるか、別途配置された照明装置が照射した光である。図1(a)に示すように、光学センサ1は、光学系2と、半導体集積回路装置3と、を備える。
【0034】
光学系2は、レンズ、ミラー、又はプリズム等の光学部品であり、外部光を半導体集積回路装置3に向けて案内する。
【0035】
半導体集積回路装置3は、フォトダイオード5を含む集積回路(いわゆるPDIC)である。フォトダイオード5は、n型領域とp型領域が接合された構成であり、入射された外部光を光電流に変換して出力する。半導体集積回路装置3は、この光電流に基づく信号(光検出のための信号)を出力する。
【0036】
半導体集積回路装置3は、フォトダイオード5以外にもn型領域とp型領域を含む。そのため、外部光が半導体集積回路装置3に入射されると、不要な(検出する必要がない)光電流が発生する可能性がある。それを防止するために、図1(b)に示すように、半導体集積回路装置3の表面には遮光膜6が配置されている。遮光膜6は、例えばアルミニウム等の金属であるが、光を遮蔽可能であれば他の材料を用いてもよい。
【0037】
遮光膜6のうち、フォトダイオード5が配置されている箇所には、開口部6aが形成されている。開口部6aは、外部光を透過させる部分である。これにより、必要な部分にのみ外部光が照射される。
【0038】
また、半導体集積回路装置3の表面には、パッド7が配置されている。パッド7は、例えばボンディングパッドであり、半導体集積回路装置3に形成された回路と、他の箇所とを電気的に接続する(ボンディングする)ための電極である。なお、パッド7は、ボンディングしないパッド(例えばテストパッド)であってもよい。
【0039】
パッド7の特性上、パッド7を完全に遮光膜6で覆うことは困難又は好ましくないため、パッド7の周囲にも開口部6aが形成されている。また、フォトダイオード5及びパッド7以外にも遮光膜6で覆うことが好ましくない物として、表示体がある。表示体とは、半導体集積回路装置3の表面に文字又は図形等を表示するためのものである。表示体は、半導体集積回路装置3の表面の絶縁層上に、絶縁層とは異なる色の材料(例えばアルミニウム等の金属)を用いて形成されたものである。表示体は、例えば半導体集積回路装置3の型番、識別情報、名称、ロット番号等を示す。表示体を視認できるようにするため、表示体も遮光膜6で覆われない。
【0040】
このように、パッド7(及び表示体)は遮光膜6で覆われないため、パッド7(又は表示体)の周囲、つまりパッド7(又は表示体)と遮光膜6との隙間から外部光が半導体集積回路装置3の内部に入射される可能性がある。また、外部光がパッド7(又は表示体)を透過して半導体集積回路装置3の内部に入射される可能性がある。その結果、不要な光電流が発生し、半導体集積回路装置3の処理(具体的には後述の処理回路領域8で行われる処理)に悪影響を与えるおそれがある。
【0041】
それを防止するために、各実施形態の半導体集積回路装置3は、不要な光電流を回収するためのダミーフォトダイオードを備える。以下、各実施形態のダミーフォトダイオードの構成について詳細に説明する。また、各実施形態ではパッド7を例として説明するが、パッド7の代わりに表示体が配置されていてもよい。
【0042】
以下、各実施形態に共通の用語について説明する。各実施形態では、p型とは、通常の不純物濃度の部分(狭義のp型)と、通常よりも不純物濃度が高い部分(p+)を含む。n型についても同様である。つまり、導電型がp型と説明している箇所が2つある場合において、これらの2つの箇所で不純物濃度が異なっていてもよい。例えば、GND又はVccに接続される箇所の近傍のみを、電位との電気接続性を高めるために、p+又はn+としてもよい。また、平面視とは、視線の方向と半導体集積回路装置3等の厚み方向とを揃えて見ることであり、例えば図1(b)が平面視で見た図(平面図)に相当する。また、パッド7(表示体)の直下とは、平面視でパッド7(表示体)と重なる部分であって、かつ、パッド7に最も近い側(最上層)に位置することである。また、遮光膜6又はパッド7が配置される側を半導体集積回路装置3の上側と称する。
【0043】
初めに、図2を参照して、第1実施形態のダミーフォトダイオードについて説明する。
【0044】
第1実施形態の半導体集積回路装置3は、処理回路領域8と、基板(半導体基板)10と、第1領域11と、第2領域12と、を含む。処理回路領域8には、信号処理回路が含まれている。上述した不要な光電流が処理回路領域8に到達した場合、処理回路領域8による信号処理に悪影響を与える可能性がある。
【0045】
第1領域11は、p型(第1導電型)である。第1領域11は、パッド7の直下に位置している。第1領域11は、GNDやVcc等の電位に電気的に接続されておらず、電気的に浮遊状態にある。そのため、例えば検査時において、検査ツールがパッド7と第1領域11の両方に接触する事態が生じても、パッド7がVcc等に電気的に接続されない。
【0046】
第2領域12は、n型(第2導電型)である。第2領域12は、第1領域11と接合している。第2領域12は、第1領域11の側面側に接合する第1部分12aと、第1領域11の下側に接合する第2部分12bと、を含む。第1部分12aは、図1(b)に示すように、第1領域11の周囲を隙間なく囲んでいる。第2領域12は、Vcc(第2電位)に電気的に接続されている。
【0047】
なお、第2領域12の第1部分12aが第1領域11を隙間なく囲む理由は、第1領域11が基板10(又は基板10に接続されるp型領域)と接合することを防止するためである。従って、第1領域11が基板10と接合しないのであれば、第2領域12が第1領域11の周囲の一部のみを覆っていてもよい。例えば図1(b)において、第1領域11よりも左側にp型領域が存在しない場合は、第2領域12は第1領域11の左側を覆わなくてもよい。
【0048】
基板10は、第2領域12の下側及び処理回路領域8の下側に接合している。なお、第2領域12と処理回路領域8の間には、基板10又は別のp型領域が位置している。基板10は、直接又は別のp型領域を介してGND(第1電位)に電気的に接続されている。
【0049】
第2領域12と基板10が電位に接続されているため、第1実施形態では、基板10と第2領域12がダミーフォトダイオードとして機能する。そのため、外部光が第1領域11に照射されることで発生した光電流は、このダミーフォトダイオードによって回収される。
【0050】
ここで、特許文献1から3の構成では、パッドの直下の半導体層が基板に接合している。そのため、パッドの直下の半導体層で発生した光電流が基板を経由して処理回路領域に到達する可能性がある。これに対し、本実施形態では、パッド7の直下の第1領域11の下側及び周囲が第2領域12(ダミーフォトダイオードの一部)に接合しているため、基板10には接合していない。そのため、第1領域11で発生した不要な光電流が基板10を介して処理回路領域8に到達しにくい。
【0051】
また、第1実施形態を含む各実施形態では、p型領域側に接続される電位(GND)が、n型領域側に接続される電位(Vcc)より小さい。これにより、逆バイアス状態となって空乏層が生じるので、光電変換効率が高くなる。そのため、不要な光電流をより効果的に回収できる。なお、p型領域側に接続される電位はGNDに限られず、またn型領域側に接続される電位もVccに限られない。また、ダミーフォトダイオードは、ゼロバイアス状態であってもよい。
【0052】
次に、図3を参照して、第2実施形態及びその変形例のダミーフォトダイオードについて説明する。
【0053】
第2実施形態以降の説明では、第1実施形態と同一又は類似の部分については説明を省略する場合がある。また、基板、第1領域、第2領域については、各実施形態で機能が異なることがあるので、異なる符号を付して説明する。
【0054】
図3(a)に示すように、第2実施形態では、第1領域21がGND(第1電位)に電気的に接続されている。第2領域22及び基板(半導体基板)20については、第1実施形態と同様である。従って、第2実施形態では、第1領域21と第2領域22がダミーフォトダイオードとして機能するとともに、第2領域22と基板20がダミーフォトダイオードとして機能する。これにより、不要な光電流をより効率的に回収できる。
【0055】
また、第1実施形態でも同様であるが、第1領域21は、平面視でパッド7と重なる部分だけでなく、パッド7よりも水平方向の外側(言い換えれば、第2領域22の第1部分22a側)にも位置している。そのため、第2実施形態では、パッド7と開口部6aの隙間の下方についてもダミーフォトダイオードとして機能させることができる。また、第1領域21が電気的に浮遊状態である場合、各部の位置関係や電位の大きさ等によっては、Vccに流れる電流がパッド7に悪影響を与える可能性が僅かにある。しかし、第2実施形態では第1領域21がGNDに接続されているので、Vccからパッド7への悪影響を抑制できる。
【0056】
図3(b)は、第2実施形態の変形例を示す。この変形例では、第2実施形態よりも第1領域21の厚みL1が薄い。例えば、第1領域21は、第2領域22の厚みL2よりも薄い。厚みL2は、第2部分22bの厚みであり、言い換えれば第1領域21の下側に接合されている部分の厚みである。
【0057】
ここで、短波長の光は半導体集積回路装置3の比較的浅い部分までしか到達しない。また、この変形例では第1領域21の厚みL1が薄いので、比較的浅い部分で第1領域21と第2領域22が接合する。以上により、この変形例では、特に短波長の光に起因する光電流を効率的に回収することができる。
【0058】
図3(c)は、第2実施形態の別の変形例を示す。また、図3(c)は、図面を見易くするために遮光膜6を除いた状態を示している。この変形例では、平面視での第1領域21と第2領域22の境界線の長さが長い。具体的には、この境界線は、平面視で凹凸状の繰返しパターンを含む線である。なお、境界線の長さが長くなるのであれば、境界線は、凹凸状に限られず、例えば波状であってもよい。言い換えれば、この境界線が実質的に正方形又は長方形である場合、それらの4頂点を接続する各線が一直線ではなく、多直線であるか、曲線を含む。
【0059】
この構成により、第1領域21と第2領域22の接合面積(具体的には水平方向に垂直な面の面積)を大きくすることができる。その結果、ダミーフォトダイオードとしての光電変換効率が高くなる。そのため、不要な光電流をより効果的に回収できる。
【0060】
次に、図4を参照して、第3実施形態のダミーフォトダイオードについて説明する。
【0061】
第3実施形態は、基板(半導体基板)30、第1領域31、第2領域32に加え、更に第3領域33が含まれている。第1領域31及び第3領域33がn型であり、基板30及び第2領域32がp型である。また、第1領域31は電気的に浮遊状態である。第3領域33は、Vccに電気的に接続される。基板30及び第2領域32は、GNDに電気的に接続される。なお、第3実施形態では、n型が第1導電型であり、p型が第2導電型であり、Vccが第1電位であり、GNDが第2電位である。
【0062】
第2領域32は、上記実施形態と同様に、第1部分32aと第2部分32bとを含む。第3領域33は、第2領域32の側面側に接合する第1部分33aと、第2領域32の下側に接合する第2部分33bと、を含む。図示は省略するが、第1部分33aは、第2領域32の周囲を隙間なく囲んでいる。また、第2部分33bは基板30にも接合されている。
【0063】
第3実施形態では、第2領域32と第3領域33がダミーフォトダイオードとして機能するとともに、第3領域33と基板30がダミーフォトダイオードとして機能する。これにより、第1実施形態と比較して、不要な光電流をより効率的に回収できる。
【0064】
第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態の長所を併せ持っている。以下、具体的に説明する。第3実施形態では、第1領域31が電気的に浮遊しているので、検査時の検査ツールがパッド7と第1領域31の両方に接触する事態が生じても、パッド7がVcc等に電気的に接続されない(第1実施形態の長所)。一方で、第1実施形態では、各部の位置関係や電位の大きさ等によっては、Vccに流れる電流がパッド7に悪影響を与える可能性がある。しかし、第3実施形態では、第1領域31と、Vccに接続される第3領域33と、がGNDに接続される第2領域32で仕切られている。そのため、Vccからパッド7への悪影響を抑制できる(第2実施形態の長所)。
【0065】
なお、第2及び第3実施形態では、2つのダミーフォトダイオードが機能するが、何れか一方を機能させない構成であってもよい。
【0066】
次に、図5を参照して、第2領域を含まない半導体集積回路装置3の例について説明する。
【0067】
図5(a)に示すように、この例の半導体集積回路装置3は、基板40と、第1領域41と、を含む。基板40はp型(第2導電型)であり、GND(第2電位)に電気的に接続されている。第1領域41がn型(第1導電型)であり、Vcc(第1電位)に電気的に接続されている。第1領域41の下側に基板40が接合されている。また、第1領域41と処理回路領域8の間には基板40又は別のp型領域が配置されており、第1領域41と処理回路領域8が仕切られている。第1領域41は、パッド7の直下だけでなく、その周辺にも位置している。ただし、第1領域41は、パッド7の直下だけに位置していてもよい。この例では、基板40と第1領域41がダミーフォトダイオードとして機能する。
【0068】
また、この例の半導体集積回路装置3は、第1領域41がVccに接続され基板40がGNDに接続されているので、VccとGNDの間において、静電気放電による破壊を防止するためのダイオード(ESD保護用ダイオード)として機能させることができる。あるいは、この変形例の半導体集積回路装置3は、デカップリングコンデンサとして機能させることもできる。従って、半導体集積回路装置3の領域を有効に活用できるので、例えばパッド7の直下に大面積の素子を配置することができる。
【0069】
図5(b)から図5(d)は、この例の変形例を示す。図5(b)では、通常の不純物濃度よりも高い領域にプラスを付けて表示している。この変形例の半導体集積回路装置3は、埋込み領域42を含んでいる。埋込み領域42は、n型であり、第1領域41よりも不純物濃度が高い。また、この変形例では、基板40と第1領域41に加え、更に埋込み領域42がダミーフォトダイオードとして機能する。
【0070】
埋込み領域42は、基板40と第1領域41の境界部分に複数位置している。埋込み領域42は、図5(c)に示すように平面視で線状であってもよいし、図5(d)に示すように平面視で点状であってもよい。何れにせよ、第1領域41と基板40が接合する部分と、埋込み領域42と基板40が接合する部分と、の両方が存在する。
【0071】
この構成により、埋込み領域42の周囲では空乏層の厚みが大きくなり、埋込み領域42から離れた位置では空乏層の厚みが小さくなる。ここで、長波長の光は半導体集積回路装置3の深い部分まで到達する。本変形例では、長波長の光が半導体集積回路装置3に入射して深い部分まで到達しても、空乏層の厚みが大きい部分を用いて、この光に基づく光電流を回収できる。
【0072】
また、図5(a)の例において、第1領域41の表面部(上側の端部の領域)に不純物濃度が高い領域(N+)を追加してもよい。N+の領域は、第1領域41の表面部の全体に位置していてもよいし、第1領域41の表面部の一部に位置していてもよい。この構成により、第1領域41の電気抵抗を下げることができるので、強い光が入射して強い光電流が発生しても、それらを早期に回収できる。
【0073】
以上に説明したように、第1から第3実施形態の半導体集積回路装置3は、基板10,20,30と、処理回路領域8と、第1領域11,21,31と、第2領域12,22,32と、を備える。処理回路領域8は、基板10,20,30に形成されており、信号処理を行う。第1領域11,21,31は、第1導電型であり、装置表面に配置されるパッド7、又は、装置表面に配置されて文字若しくは図形を表示する表示体に最も近い側に位置する。第2領域12,22,32は、第2導電型であり、第2電位に電気的に接続されており、基板10,20,30と第1領域11,21,31の間に位置し、第1領域11,21,31の周囲(平面視で輪郭となる部分、側面部分)の少なくとも一部を覆うとともに当該第1領域11,21,31に接合する。パッド7若しくは表示体を透過した光、又は、パッド7若しくは表示体の周囲から入射された光に起因する光電流が処理回路領域8に流れることを抑制するダミーフォトダイオードとして少なくとも第2領域12,22,32が機能する。
【0074】
これにより、第1領域11,21,31の周囲だけでなく、第1領域11,21,31と基板10,20,30の間が第2領域12,22,32で覆われる。従って、第1領域11,21,31に光が入射することで光電流が発生しても、この光電流が基板10,20,30を介して処理回路領域8に流れることを高い信頼度で抑制できる。
【0075】
また、第1実施形態の半導体集積回路装置3において、第2領域12と基板10がダミーフォトダイオードとして機能する。第1領域11は、電気的に浮遊状態にある。第2領域12は、第1導電型(p型)の基板10に接合している。基板10は、第1電位(GND)に電気的に接続されている。
【0076】
これにより、第2領域12と基板10でダミーフォトダイオードを構成できる。また、第1領域11は電気的に浮遊状態にあるが、第2領域12で覆われているため、第1領域11で発生した光電流が処理回路領域8に流れない。
【0077】
また、第2実施形態の半導体集積回路装置3において、少なくとも第1領域21と第2領域22がダミーフォトダイオードとして機能する。第1領域21は、第1電位(GND)に電気的に接続されている。第2領域22は、第1導電型(p型)の基板20に接合している。
【0078】
これにより、第1領域21がダミーフォトダイオードとして機能するので、第1領域21で発生した光電流を即座に回収することができる。
【0079】
また、第3実施形態の半導体集積回路装置3において、第1導電型(n型)であり、基板30と第2領域32の間に位置して双方に接合するとともに、第2領域32の周囲(平面視で輪郭となる部分、側面部分)の少なくとも一部を覆うように位置する第3領域33を更に備える。少なくとも第2領域32と第3領域33がダミーフォトダイオードとして機能する。第1領域31は、電気的に浮遊状態にある。第3領域33は、第1電位(Vcc)に電気的に接続されている。
【0080】
これにより、第1領域31が第2領域32と第3領域33の両方で覆われ、第2領域32と第3領域33がダミーフォトダイオードとして機能するので、第1領域31で発生した光電流が処理回路領域8に流れにくくなる。
【0081】
また、第1、第3実施形態の半導体集積回路装置3において、ダミーフォトダイオードは、パッド7を透過した光、又は、当該パッド7の周囲から入射された光に起因する光電流が処理回路領域8に流れることを抑制する。
【0082】
これにより、パッド7を用いる構成の半導体集積回路装置3において、不要な電流が処理回路領域8に流れにくくなる。また、第1領域11,31が浮遊状態にあるため、パッド7と第1領域11,31が電気的に接続されても、パッド7に不要な電流が伝達しにくい。
【0083】
また、第2実施形態の半導体集積回路装置3において、第1領域21の厚みL1が、第2領域22のうち当該第1領域21の厚み方向一側に接合されている部分の厚みL2よりも薄い。
【0084】
これにより、比較的浅い部分で第1領域21と第2領域22が接合するため、特に短波長の光に起因する光電流を効率的に回収することができる。
【0085】
また、第2実施形態の半導体集積回路装置3においては、視線の方向と第1領域21の厚み方向とを揃えて第1領域21及び第2領域22を見たときに、第1領域21と第2領域22の境界線に、当該境界線の長さを長くするための繰返しパターンが含まれている。
【0086】
これにより、第1領域21と第2領域22の接合面積(特に厚み方向に平行な方向の面積)を大きくできるので、空乏層を大きくすることができる。
【0087】
また、第2実施形態の半導体集積回路装置3において、視線の方向と第1領域21の厚み方向とを揃えて、第1領域21と、パッド7又は表示体と、を見たときに(平面視において)、パッド7又は表示体と重なる位置、及び、パッド7又は表示体の外側の位置の両方に第1領域21が位置している。
【0088】
これにより、パッド7又は表示体の外側にある第1領域21についてもダミーフォトダイオードとして機能させることができる。
【0089】
また、第1から第3実施形態の半導体集積回路装置3は、外部からの光を遮る遮光部と、当該光を透過させる開口部6aと、が形成された遮光膜6を更に備える。開口部6aによって外部に露出した箇所にパッド7又は表示体が位置している。
【0090】
パッド7及び表示体は基本的に遮光膜6で遮光しないため、外部からの光を完全に遮ることが困難であるが、本実施形態を用いることで、不要な光電流が処理回路領域8に及ぼす影響を軽減できる。
【0091】
また、第1から第3実施形態の半導体集積回路装置3において、ダミーフォトダイオードは、p型領域側に接続される電位(GND)がn型領域側に接続される電位(Vcc)以下になるように電気的に接続されている。
【0092】
これにより、ダミーフォトダイオードを効率的に動作させることができる。
【0093】
また、第1から第3実施形態の光学センサ1は、半導体集積回路装置3と、外部からの光を案内する光学系2と、を備える。半導体集積回路装置3は、外部からの光を検出するためのフォトダイオード5を備える。
【0094】
光センサの一部として構成される半導体集積回路装置3には外部からの光が照射され易いので、検出対象でない光電流が処理回路領域8に及ぼす影響が大きくなる傾向にある。この点、本実施形態の構成を用いることで、検出対象でない光電流が処理回路領域8に及ぼす影響を軽減できる。
【0095】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0096】
第1導電型はp型であってもn型であってもよい。第2導電型は、p型であってもn型であってもよい。
【0097】
上記では、各実施形態の説明だけでなく、どのような変更が許容されるかについても説明した(典型的には第2実施形態の変形例)。これらの変更は、該当する実施形態に限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態にも適用可能である。例えば、図3(c)を用いて説明した変更(境界線を長くする構成)は、第2実施形態に限られず、他の実施形態にも適用可能である。また、図5を用いて説明した例に関する記載についても、矛盾が生じない限り、各実施形態に適用可能である。
【0098】
上記では、半導体集積回路装置3を光学センサ1に適用する例を説明したが、光学センサ1以外の装置にも半導体集積回路装置3を適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 光学センサ
3 半導体集積回路装置
7 パッド
10,20,30 基板(半導体基板)
11,21,31 第1領域
12,22,32 第2領域
33 第3領域
図1
図2
図3
図4
図5