(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】段ボールシートのバッチ分割装置及びバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/98 20170101AFI20240105BHJP
B65H 33/08 20060101ALI20240105BHJP
B65G 59/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B31B50/98
B65H33/08
B65G59/06 101Z
(21)【出願番号】P 2020048466
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 雄介
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 洋一
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-1245(JP,A)
【文献】特開2013-116597(JP,A)
【文献】特開2011-230441(JP,A)
【文献】特開平3-293259(JP,A)
【文献】実開昭63-133557(JP,U)
【文献】特公昭49-6583(JP,B1)
【文献】特公昭45-4014(JP,B1)
【文献】特開2015-126845(JP,A)
【文献】特開2016-8095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
B65H 33/00
B65G 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置であって、
前記バッチを下流側へ排出する排出コンベアと、当該排出コンベアの下流側上方に配置され前記バッチの前端部と当接するストッパ部材と、当該ストッパ部材を上下動させるストッパ昇降装置と、前記ストッパ部材の上流側で前記バッチの上面を下方へ押圧する押圧部材と、前記押圧部材を上下動させる押圧部材昇降装置とを備え、
前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチの前端部と、前記ストッパ昇降装置を作動させて前記分割位置に対応する下降位置まで下降させた前記ストッパ部材とを、前記押圧部材昇降装置を作動させて前記押圧部材が前記バッチの上面を押圧した状態で当接させ、前記バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに分割することを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項2】
請求項1に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記ストッパ部材の上流側には、前記バッチの厚さを計測する計測装置を備え、
前記ストッパ昇降装置は、前記計測装置が計測した前記バッチの厚さに基づいて、前記ストッパ部材の下降位置を調節することを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項3】
請求項2に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記計測装置は、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチのみを対象に厚さを計測し、前記ストッパ昇降装置は、前記最初に分割するバッチの前記厚さに基づいて、前記最初に分割するバッチ及び2番目以降に分割するバッチに対する前記ストッパ部材の下降位置を設定することを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記排出コンベアは、前記ストッパ部材より上流側の停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項5】
請求項4に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記排出コンベアは、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチのみを対象に前記停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記押圧部材昇降装置は、前記バッチを分割する際に、分割される前記バッチの厚さが、前記ストッパ部材の前記下降位置に対応する厚さとなるように、前記押圧部材によって前記バッチの上面を押圧させることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記ストッパ部材には、当該ストッパ部材を振動させる振動機構を備えていることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割装置。
【請求項8】
段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタであって、
前記バッチ分割装置の上流側に、バッチ形成装置を備え、
前記バッチ形成装置は、所定の収容領域に積載される前記段ボールシートを分離して所定のシート枚数の前記バッチを形成するために水平方向に進退可能なレッジと、前記所定の収容領域の下方に配置され、所定のシート枚数の前記段ボールシートが積まれた状態の前記バッチを搬出方向に送り出すための送出コンベアと、前記バッチが載置され、前記所定の収容領域から前記送出コンベアまで前記バッチを運搬するために昇降運動を行うエレベータとを有し、
前記バッチ分割装置は、前記バッチを下流側へ排出する排出コンベアと、当該排出コンベアの下流側上方に配置され前記バッチの前端部と当接するストッパ部材と、当該ストッパ部材を上下動させるストッパ昇降装置と、前記ストッパ部材の上流側で前記バッチの上面を下方へ押圧する押圧部材と、前記押圧部材を上下動させる押圧部材昇降装置とを有し、
前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチの前端部と、前記ストッパ昇降装置を作動させて前記分割位置に対応する下降位置まで下降させた前記ストッパ部材とを、前記押圧部材昇降装置を作動させて前記押圧部材が前記バッチの上面を押圧した状態で当接させ、前記バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに分割することを特徴とするカウンタエジェクタ。
【請求項9】
段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割方法であって、
前記バッチを形成するバッチ形成ステップと、
前記バッチ形成ステップで形成した前記バッチを下流側に移動させる排出コンベアまで、送出コンベアで送り出す送出ステップと、
前記排出コンベアの下流側上方に配置され、前記送出ステップにて送り出された前記バッチを分割するストッパ部材を、前記分割位置に対応する下降位置に位置決めする位置決めステップと、
前記送出ステップにて前記排出コンベアまで送り出され、前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチを、前記下降位置に位置決めされた前記ストッパ部材に当接させて、上下2つの小バッチに分割するバッチ分割ステップと、
前記バッチ分割ステップにて前記バッチを分割する際に、分割される前記バッチの厚さが、前記位置決めステップにて位置決めした前記ストッパ部材の下降位置に対応する厚さとなるように、押圧部材によって前記バッチの上面を押圧するバッチ押圧ステップとを備えていることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割方法。
【請求項10】
請求項9に記載された段ボールシートのバッチ分割方法において、
前記バッチ分割ステップには、前記ストッパ部材より上流側の停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させる一時停止ステップを備えていることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載された段ボールシートのバッチ分割方法において、
前記バッチ分割ステップには、前記ストッパ部材より上流側でリフタ部材を前記排出コンベアより上方へ上昇させ、前記2つの小バッチの内、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと協働して支持する小バッチ支持ステップを備えていることを特徴とする段ボールシートのバッチ分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートのバッチ分割装置及びバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法に関し、より詳しくは、段ボールシート製函機において積層された段ボールシートのバッチを上下方向で分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置及び当該バッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートのバッチ分割装置は、段ボールシート製函機で形成した段ボールシートのバッチを2つの小バッチに分割する処理を行っている。その段ボールシートのバッチ分割装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示された段ボールシートのバッチ分割装置は、
図22、
図23に示すように、段ボールシート製函機において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを上下方向で分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割装置100であって、バッチBTを下流側へ排出する排出コンベア101と、当該排出コンベア101の下流側上方に配置されバッチBTの前端部と当接するストッパ部材102と、当該ストッパ部材102を上下動させるストッパ昇降装置103とを備えている。
【0004】
そして、ストッパ昇降装置103を作動させて、先ず、ストッパ部材102を排出コンベア101のベルト上面まで下降させ、その後、バッチBTの前端部とストッパ部材102とが当接したとき排出コンベア101を停止させてストッパ部材102をバッチBTの分割位置BPに対応する上昇位置KPまで上昇させ、次に、排出コンベア101を作動させてストッパ部材102に当接しない下方の小バッチSBT1を下流側へ排出してから、ストッパ部材102に当接する上方の小バッチSBT2を下流側へ排出する。
【0005】
上記バッチ分割装置100では、排出コンベア101のベルト上面まで下降したストッパ部材102が排出コンベア101上に載置されて下流側へ搬送されるバッチBTの前端部と当接するので、バッチBTを上下方向に整列させることができる。また、ストッパ部材102をバッチBTの前端部と当接させた後、バッチBTの分割位置BPに対応する上昇位置KPまで上昇させた状態で排出コンベア101を作動させるので、排出コンベア101上で上下方向に整列させたバッチBTを、ストッパ部材102に当接する上方の小バッチSBT2と、ストッパ部材102に当接しない下方の小バッチSBT1とに上下方向で2つの小バッチSBTに分割することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、段ボールシートDSの上面と下面では、製函工程の前工程である製段工程での段ボールシートDSの貼合に伴う水分の残量が異なる場合があり、その水分残量の違いによって、段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りが生じることがあった。そして、段ボールシートDSに反りがあると、上下で隣接する他の段ボールシートDSとの間の摩擦力が小さくなり、ストッパ部材102に当接しない下方の段ボールシート同士の間で、バッチBTの分割が生じることがあった。
【0008】
すなわち、特許文献1の段ボールシートのバッチ分割装置100では、ストッパ部材102の上昇位置KPに対応する分割位置BPでバッチBTが適切に分割されず、分割位置よりも下方に積層された段ボールシートDSの間でバッチBTが分割されることが、稀に発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、上下に積層された段ボールシートのバッチを所定の分割位置で安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割装置及びバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る段ボールシートのバッチ分割装置及びバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法は、次のような構成を有している。
(1)段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置であって、
前記バッチを下流側へ排出する排出コンベアと、当該排出コンベアの下流側上方に配置され前記バッチの前端部と当接するストッパ部材と、当該ストッパ部材を上下動させるストッパ昇降装置と、前記ストッパ部材の上流側で前記バッチの上面を下方へ押圧する押圧部材と、前記押圧部材を上下動させる押圧部材昇降装置とを備え、
前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチの前端部と、前記ストッパ昇降装置を作動させて前記分割位置に対応する下降位置まで下降させた前記ストッパ部材とを、前記押圧部材昇降装置を作動させて前記押圧部材が前記バッチの上面を押圧した状態で当接させ、前記バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに分割することを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で、バッチの前端部とストッパ部材とを当接させるので、バッチの段ボールシートに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシート同士を略均一に当接させて、段ボールシート間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチの前端部をストッパ部材に当接させたとき、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0012】
また、排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動するバッチの前端部を、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材に、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材よりも下方に積層された段ボールシートを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを、ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに、所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0013】
よって、本発明によれば、上下に積層された段ボールシートのバッチを所定の分割位置で安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割装置を提供することができる。
【0014】
(2)(1)に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記ストッパ部材の上流側には、前記バッチの厚さを計測する計測装置を備え、
前記ストッパ昇降装置は、前記計測装置が計測した前記バッチの厚さに基づいて、前記ストッパ部材の下降位置を調節することを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、バッチの厚さにバラツキがあっても、ストッパ部材の上流側で計測したバッチの厚さに応じて、ストッパ部材の下降位置を調節することができる。そのため、バッチの厚さに対応した下降位置まで下降させたストッパ部材の直ぐ下方の境界部で、より一層安定してバッチを分割することができる。
【0016】
(3)(2)に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記計測装置は、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチのみを対象に厚さを計測し、前記ストッパ昇降装置は、前記最初に分割するバッチの厚さに基づいて、前記最初に分割するバッチ及び2番目以降に分割するバッチに対する前記ストッパ部材の下降位置を設定することを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、同一オーダの生産開始時に、バッチの厚さを計測するだけであるので、計測に伴う時間的ロスを最小限に抑えることができる。また、最初に分割するバッチの厚さに基づいて、最初に分割するバッチ及び二番目以降に分割するバッチに対するストッパ部材の下降位置を設定するので、ストッパ部材の下降位置を調節するための時間的ロスも最小限に抑えることができる。そのため、各時間的ロスを低減して、バッチ分割装置の生産性を高めつつ、バッチを所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0018】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記排出コンベアは、前記ストッパ部材より上流側の停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させることを特徴とする。
【0019】
上記特徴によれば、ストッパ部材より上流側でバッチの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ昇降装置を作動させてストッパ部材を所定の分割位置に対応する適正な下降位置まで下降させることができ、また、押圧部材昇降装置を作動させて押圧部材を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置で、安定してバッチを分割することができる。
【0020】
(5)(4)に記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記排出コンベアは、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチのみを対象に前記停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させることを特徴とする。
【0021】
上記特徴によれば、同一オーダの生産開始時に、バッチの移動を一時停止させるだけであるので、一時停止に伴う時間的ロスを最小限に抑えることができる。そのため、時間的ロスを低減して、バッチ分割装置の生産性を高めつつ、バッチを所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0022】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記押圧部材昇降装置は、前記バッチを分割する際に、分割される前記バッチの厚さが、前記ストッパ部材の前記下降位置に対応する厚さとなるように、前記押圧部材によって前記バッチの上面を押圧させることを特徴とする。
【0023】
上記特徴によれば、バッチの厚さが変動しても、ストッパ部材の下降位置に対応する厚さとなるように、押圧部材がバッチの上面を押圧することによって、バッチの分割位置を一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置で、より安定してバッチを分割することができる。
【0024】
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載された段ボールシートのバッチ分割装置において、
前記ストッパ部材には、当該ストッパ部材を振動させる振動機構を備えていることを特徴とする。
【0025】
上記特徴によれば、ストッパ部材が振動することによって、ストッパ部材に当接したバッチの跳ね返りに伴う段ボールシート間の位置ズレを修正して、分割後の小バッチにおける段ボールシートの不揃いを、効果的に回避させることができる。これによって、排出コンベアによるバッチの移動速度を速めて、バッチ分割装置の生産性をより一層高めることができる。
【0026】
(8)段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタであって、
前記バッチ分割装置の上流側に、バッチ形成装置を備え、
前記バッチ形成装置は、所定の収容領域に積載される前記段ボールシートを分離して所定のシート枚数の前記バッチを形成するために水平方向に進退可能なレッジと、前記所定の収容領域の下方に配置され、所定のシート枚数の前記段ボールシートが積まれた状態の前記バッチを搬出方向に送り出すための送出コンベアと、前記バッチが載置され、前記所定の収容領域から前記送出コンベアまで前記バッチを運搬するために昇降運動を行うエレベータとを有し、
前記バッチ分割装置は、前記バッチを下流側へ排出する排出コンベアと、当該排出コンベアの下流側上方に配置され前記バッチの前端部と当接するストッパ部材と、当該ストッパ部材を上下動させるストッパ昇降装置と、前記ストッパ部材の上流側で前記バッチの上面を下方へ押圧する押圧部材と、前記押圧部材を上下動させる押圧部材昇降装置とを有し、
前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチの前端部と、前記ストッパ昇降装置を作動させて前記分割位置に対応する下降位置まで下降させた前記ストッパ部材とを、前記押圧部材昇降装置を作動させて前記押圧部材が前記バッチの上面を押圧した状態で当接させ、前記バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに分割することを特徴とする。
【0027】
上記特徴によれば、バッチ分割装置の上流側にバッチ形成装置を備えることによって、シート枚数の異なるバッチをその生産性を高めつつ、形成することができる。例えば、シート枚数の少ない小バッチをバッチ形成装置で生産すると、エレベータの昇降運動等に伴う時間的ロスが多く生産速度が遅くなるが、バッチ形成装置にてシート枚数が多いバッチを形成した上で、下流側のバッチ分割装置にてシート枚数の少ない小バッチに分割すると、エレベータの昇降運動等に伴う時間的ロスが減少して生産速度が速くなる。
【0028】
また、バッチ分割装置において、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で、バッチの前端部とストッパ部材とを当接させるので、バッチの段ボールシートに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシート同士を略均一に当接させて、段ボールシート間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチの前端部をストッパ部材に当接させたとき、ストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0029】
また、排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動するバッチの前端部を、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材に、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材よりも下方に積層された段ボールシートを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを、ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに、所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0030】
よって、本発明によれば、上下に積層された段ボールシートのバッチを所定の分割位置で安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタを提供することができる。
【0031】
(9)段ボールシート製函機において製函された段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを所定の分割位置で上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割方法であって、
前記バッチを形成するバッチ形成ステップと、
前記バッチ形成ステップで形成した前記バッチを下流側に移動させる排出コンベアまで、送出コンベアで送り出す送出ステップと、
前記排出コンベアの下流側上方に配置され、前記搬送ステップにて搬送された前記バッチを分割するストッパ部材を、前記分割位置に対応する下降位置に位置決めする位置決めステップと、
前記送出ステップにて前記排出コンベアまで送り出され、前記排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動する前記バッチを、前記下降位置に位置決めされた前記ストッパ部材に当接させて、上下2つの小バッチに分割するバッチ分割ステップと、
前記バッチ分割ステップにて前記バッチを分割する際に、分割される前記バッチの厚さが、前記位置決めステップにて位置決めした前記ストッパ部材の下降位置に対応する厚さとなるように、押圧部材によって前記バッチの上面を押圧するバッチ押圧ステップとを備えていることを特徴とする。
【0032】
上記特徴によれば、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で、バッチの前端部とストッパ部材とを当接させるので、バッチの段ボールシートに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシート同士を略均一に当接させて、段ボールシート間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチの前端部をストッパ部材に当接させたとき、ストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0033】
また、排出コンベアによって下流側へ所定の速度で移動するバッチの前端部を、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材に、押圧部材がストッパ部材の上流側でバッチの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置に対応する下降位置まで下降させたストッパ部材の直ぐ下方の境界部で段ボールシート間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材よりも下方に積層された段ボールシートを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートが上下方向で複数枚積層されたバッチを、ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと、ストッパ部材に当接する上方の小バッチとに、所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0034】
さらに、上記特徴によれば、バッチの厚さが変動しても、ストッパ部材の下降位置に対応する厚さとなるように、押圧部材がバッチの上面を押圧することによって、バッチの分割位置を一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置で、より安定してバッチを分割することができる。
【0035】
よって、本発明によれば、上下に積層された段ボールシートのバッチを所定の分割位置で安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割方法を提供することができる。
【0036】
(10)(9)に記載された段ボールシートのバッチ分割方法において、
前記バッチ分割ステップには、前記ストッパ部材より上流側の停止位置にて前記バッチの移動を一時停止させた後、前記バッチを再移動させる一時停止ステップを備えていることを特徴とする。
【0037】
上記特徴によれば、ストッパ部材より上流側でバッチの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ部材を所定の分割位置に対応する適正な下降位置まで下降させることができ、また、押圧部材を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置で、安定してバッチを分割することができる。
【0038】
(11)(9)又は(10)に記載された段ボールシートのバッチ分割方法において、
前記バッチ分割ステップには、前記ストッパ部材より上流側でリフタ部材を前記排出コンベアより上方へ上昇させ、前記2つの小バッチの内、前記ストッパ部材に当接する上方の小バッチを、前記ストッパ部材に当接しない下方の小バッチと協働して支持する小バッチ支持ステップを備えていることを特徴とする。
【0039】
上記特徴によれば、リフタ部材が下方の小バッチより上流側で上方の小バッチを支持するので、下方の小バッチに作用する上方の小バッチの負荷を軽減できる。そのため、上方の小バッチの下面と下方の小バッチの上面との分割境界面で発生する摩擦力を軽減させることができる。したがって、下方の小バッチの上面の段ボールシートの位置ズレを抑制でき、安定してバッチを分割することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、上下に積層された段ボールシートのバッチを所定の分割位置で安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割装置及びバッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割装置と、バッチ分割装置を含むカウンタエジェクタを備えた段ボールシート製函機の全体図である。
【
図2】
図1に示す段ボールシートのバッチ分割装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示す段ボールシートのバッチ分割装置の側面図である。
【
図4】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における要部断面図である。
【
図5】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における電気的構成のブロック図である。
【
図6】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第1実施例のメイン制御フローチャート図である。
【
図7】
図6に示すバッチ分割処理の詳細フローチャート図である。
【
図8】
図6に示す残シート排出処理の詳細フローチャート図である。
【
図9】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第2実施例のメイン制御フローチャート図である。
【
図10】
図9に示すバッチ分割処理の詳細フローチャート図である。
【
図11】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第3実施例のメイン制御フローチャート図である。
【
図12】
図11に示す1番目バッチの分割処理の詳細フローチャート図である。
【
図13】
図11に示す2番目以降バッチの分割処理の詳細フローチャート図である。
【
図14】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるバッチ分割動作の説明用断面図である。
【
図15】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における押圧ローラとリフタ部材の上昇動作の説明用断面図である。
【
図16】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるストッパ部材の上昇とリフタ部材の下降動作の説明用断面図である。
【
図17】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるストッパ部材の下降動作の説明用断面図である。
【
図18】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における排出コンベアの一時停止動作の説明用断面図である。
【
図19】
図1に示すバッチ形成装置におけるバッチ形成動作の説明用断面図である。
【
図20】本実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割方法におけるフローチャート図である。
【
図21】
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるストッパ部材の変形例の断面図であって、(A)はストッパ部材を前後方向に振動させる第1変形例の断面図を示し、(B)はストッパ部材を上下方向に振動させる第2変形例の断面図を示す。
【
図22】特許文献1に記載された段ボールシートのバッチ分割装置におけるバッチ分割前の要部断面図である。
【
図23】
図22に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるバッチ分割時の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明に係る第1実施形態である段ボールシートのバッチ分割装置について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、バッチ分割装置を含む段ボールシート製函機の全体構成を簡単に説明し、その後、本バッチ分割装置の詳細な構成を説明する。また、本バッチ分割装置の制御方法を詳細に説明する。
【0043】
<段ボールシート製函機の全体構成>
まず、本実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割装置を含む段ボールシート製函機の全体構成を、
図1を用いて説明する。
図1に、本実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割装置と、バッチ分割装置を含むカウンタエジェクタを備えた段ボールシート製函機の全体図を示す。なお、図面に示す矢印の方向によって、装置の上下方向、前後方向を示す。ここで、前方は下流側を意味し、後方は上流側を意味する。他の図面においても、同様である。
【0044】
図1に示すように、段ボールシート製函機1には、シート供給装置11と、印刷装置12と、クリーザスロッタ13と、フォルダグルア14と、バッチ形成装置15と、バッチ分割装置10とが、上流側から下流側に向けて順に配設されている。各装置が、段ボールシート製函機制御管理装置18によって自動運転可能に制御されている。バッチ分割装置10の下流側には、結束機17が配設されている。
【0045】
なお、バッチ形成装置15とバッチ分割装置10とからなるカウンタエジェクタ20は、段ボールシート製函機制御管理装置18の指令を受けたカウンタエジェクタ制御装置181によって自動運転可能に制御され、また、バッチ分割装置10は、段ボールシート製函機制御管理装置18の指令を受けたバッチ分割制御装置182によって自動運転可能に制御されている。
【0046】
シート供給装置11は、テーブル111上に積載される平板状の段ボールシートSHを、キッカー112によって1枚ずつ下流側へ供給する装置である。印刷装置12は、段ボールシートSHの表面に印刷を施す装置であり、ここでは、複数の印刷ロールユニット121、122を備え、多色印刷を可能としている。クリーザスロッタ13は、罫線ロール131とスロッタ132とを備え、段ボールシートSHに罫線及び溝切り加工を施し、継ぎ代を形成する装置である。
【0047】
フォルダグルア14は、ガイドレール141と搬送ベルト142と接着剤塗布ロール143と折り畳みバー144と折り畳みベルト145とを備え、ガイドレール141と搬送ベルト142との間に段ボールシートSHを支持して移動させる間に、接着剤塗布ロール143により継ぎ代に接着剤を塗布し、折り畳みバー144で段ボールシートSHを折り畳み、更に折り畳みベルト145で継ぎ代を接着等することによって、折り畳まれた状態の箱状の段ボールシートDSを製作する装置である。
【0048】
バッチ形成装置15は、入口ロール157から供給される段ボールシートDSの前端部に当接する前当板154と、段ボールシートDSの後端部に当接する矯正板155と、積層する段ボールシートDSを上下動可能に支持する主レッジ151と、所定枚数積層した段ボールシートDSのバッチBTを主レッジ151から受け取る一対の補助レッジ156と、補助レッジ上のバッチBTを受け取り下方へ移動させるエレベータ153と、エレベータ153の下降位置に配置されエレベータ上のバッチBTを下流側へ送り出す送出コンベア152及び上部コンベア158とを備え、フォルダグルア14から供給される段ボールシートDSを所定枚数積層したバッチBTを形成して下流側に送り出す装置である。
【0049】
すなわち、バッチ形成装置15は、前当板154と矯正板155とで区画される所定の収容領域に積載される段ボールシートDSを分離して所定のシート枚数のバッチBTを形成するために水平方向に進退可能な主レッジ151と、所定の収容領域の下方に配置され、所定のシート枚数の段ボールシートDSが積まれた状態のバッチBTを搬出方向に送り出すための送出コンベア152と、バッチBTが載置され、所定の収容領域から送出コンベア152までバッチBTを運搬するために昇降運動を行うエレベータ153とを有している。
【0050】
バッチ分割装置10は、排出コンベア2とストッパ昇降装置3と押圧部材昇降装置7Aとを備え、所定枚数積層されたバッチBTを上下方向で分割して、積層枚数の少ない小バッチSBT1、SBT2を形成する装置である。バッチ分割装置10は、段ボールシートDSの前後方向の長さが所定値以上の場合に、作動させる。バッチ分割装置10については、後で詳述する。結束機17は、バッチ分割装置10から排出された小バッチSBT1、SBT2を後工程へ輸送するためにベルトで結束する装置である。
【0051】
<バッチ分割装置の構成>
次に、本バッチ分割装置の構成を、
図2~
図5を用いて説明する。
図2に、
図1に示す段ボールシートのバッチ分割装置の斜視図を示す。
図3に、
図2に示す段ボールシートのバッチ分割装置の側面図を示す。
図4に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における要部断面図を示す。
図5に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における電気的構成のブロック図を示す。
【0052】
図2~
図5に示すように、本バッチ分割装置10には、バッチBTを下流側へ排出する排出コンベア2と、当該排出コンベア2の下流側上方に配置されバッチBTの前端部と当接するストッパ部材31と、当該ストッパ部材31を上下動させるストッパ昇降装置3と、ストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を下方へ押圧する押圧ローラ72(請求項1の「押圧部材」に相当)と、押圧ローラ72を上下動させる押圧部材昇降装置7Aとを備えている。なお、本バッチ分割装置10には、ストッパ部材31の下流側で、分割された小バッチSBTの上面を下方へ押圧する小バッチ押圧部材4と、小バッチSBTを下流側へ搬送する小バッチ搬送コンベア8と、装置本体9とを備えている。
【0053】
装置本体9には、左右端で前後方向に延設され上下方向に起立された一対の側枠体91、91と、両側枠体91、91の内壁側に前後方向へ水平状に延設された一対の主フレーム部材92、92と、両主フレーム部材92、92の前端部に連結され左右方向に延設された補助フレーム部材93とを備えている。側枠体91、91の前端部には、後述する第5センサ67を装着するブラケット94が形成されている。側枠体91、91には、両主フレーム部材92、92を上下方向へ昇降させるフレーム駆動機構714(チェーン部材713を介して主フレーム部材92、92を上下動させる駆動機構)がそれぞれ装着され、供給されるバッチBTの種類に応じて、主フレーム部材92、92及び補助フレーム部材93の上下位置を調節することができる。チェーン部材713は、主フレーム部材92、92の前端部と後端部に、それぞれ連結されている。
【0054】
一対の側枠体91、91の間には、バッチBTを上流側から下流側へ搬送する排出コンベア2が、水平状に固設されている。排出コンベア2には、複数個のベルト21、21、21が左右方向で所定の隙間を隔てて巻回されている。排出コンベア2のベルト21は、側枠体91の前端部911近傍から前述した送出コンベア152(
図1を参照)と隣接する位置まで延設され、両コンベアのベルト上面高さは略同一である。排出コンベア2は、速度制御可能な駆動モータ22を備え、ベルト21上に載置するバッチBTを任意の速度で上流側から下流側へ搬送する。駆動モータ22は、排出コンベア2の前端部(下流側)に連結されている。
【0055】
排出コンベア2の下流側上方には、ストッパ昇降装置3が配設されている。ここでは、2つのストッパ昇降装置3(3A、3B)が、補助フレーム部材93の下流側側面であって左右方向中央部に、所定の間隔を設けて垂直状に起立した状態で固設されている。ストッパ昇降装置3は、バッチBTの前端部と当接するストッパ部材31と、ストッパ部材31を上下動させるボールネジ式の駆動機構32と、駆動機構32のネジ軸を回動させる駆動モータ33とを備えている。駆動モータ33は、例えば、位置検出機能を有するサーボモータであって、ストッパ部材31を上下方向の任意の位置に停止させることができる。
【0056】
ストッパ部材31は、上流側で垂直状に形成された縦壁部311と、下流側で垂直状に形成された縦壁部313と、両縦壁部311、313の下端を水平状に連結する横壁部312とを備え、全体で上方が開放された略U字状断面をなしている。上流側の縦壁部311には、バッチBTの前端部と当接する当接面が形成され、その当接面は上下方向でバッチBTの厚さ寸法以上の長辺を有する矩形状に形成されている。上記当接面には、表面が平滑で耐摩耗性が高いフッ素系樹脂部材311Jを被着させることが好ましい。また、上記フッ素系樹脂部材311Jの下端は、横壁部312の下面より僅かに下方へ突出して形成されていることが好ましい。なお、下流側の縦壁部313は、駆動機構32の移動体(ナット部)321に締結されている。
【0057】
ストッパ部材31には、当該ストッパ部材を通過する小バッチSBT1、SBT2の上面を押圧可能に形成された小バッチ押圧部材4が、当該ストッパ部材31の下流側に装着されている。小バッチ押圧部材4は、幅方向に延びる略円筒状の弾性ローラ体41と、当該弾性ローラ体41を軸支してストッパ部材31の下流側の縦壁部313に固定された支持具42とを備えている。弾性ローラ体41は、スポンジ状部材で形成され、ストッパ部材31を通過する小バッチSBT1、SBT2の上面を弾性変形しながら押圧する。弾性ローラ体41は、上流側から下流側へ回転可能に形成されている。弾性ローラ体41の外周面は、ストッパ部材31の横壁部312下端より下方へ突出している。弾性ローラ体41の外周面が小バッチSBT1、SBT2の上面を押圧した状態で、ストッパ部材31の横壁部312と小バッチSBT1、SBT2との間に上下方向で微小な隙間が形成されている(
図4を参照)。
【0058】
ストッパ部材31の上流側であって、排出コンベア2のベルト21、21、21間に形成される左右方向の隙間には、リフタ装置5が装置本体9に固設されている。リフタ装置5は、排出コンベア2の前端部と後端部との間で、分割対象となるバッチBTの前後長に応じて、少なくとも1つ以上配設されている。ここでは、バッチ前後長が最小となるバッチBTに対応できる下流側のリフタ装置5Aと、バッチ前後長が最大となるバッチBTに対応できる上流側のリフタ装置5Bとを備えている。リフタ装置5(5A、5B)は、バッチ下面に当接するリフタ部材51と、当該リフタ部材51を上下動させる駆動機構52とを備えている。駆動機構52は、例えば、エアシリンダ式の駆動機構である。
【0059】
リフタ部材51は、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2をストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と協働して支持するように作動する。すなわち、リフタ部材51は、排出コンベア2のベルト上面211より下方で待機し、下方の小バッチSBT1の後端部が当該リフタ部材51を通過すると同時に、上昇して、上方の小バッチSBT2を水平状に支持する。また、リフタ部材51は、下方の小バッチSBT1の後端部がストッパ部材31を通過すると直ちに、待機位置まで下降する。リフタ部材51は、例えば、支持面にゴム部材を被着して、支持面と段ボールシートDSとの間に作用する水平方向への摩擦力f3を増加させるように形成されていることが好ましい(
図15を参照)。
【0060】
排出コンベア2の上方には、押圧部材昇降装置7Aとバッチ上部規制装置7Bとが配設されている。押圧部材昇降装置7Aには、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧する押圧ローラ72を、上下方向へ移動させる駆動シリンダ73を備えている。駆動シリンダ73は、ストッパ部材31と隣接する位置で補助フレーム部材93に固設されている。バッチ上部規制装置7Bには、供給されるバッチBTの種類に応じて、ストッパ部材31に当接するバッチBTの上面を規制する上部規制ローラ71を備えている。
【0061】
押圧ローラ72は、ストッパ部材31の下流側に装着された弾性ローラ体41と同様のスポンジ状部材で形成されている。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731の上端に連結された作動ブラケット732の下端に軸支されている。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731が下方へ移動することによって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧して、バッチBTの段ボールシートDSを互いに密着させる。
【0062】
なお、押圧部材昇降装置7Aは、バッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さが、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ72によってバッチBTの上面を押圧させても良い。その場合、バッチBTの厚さが変動しても、所定の分割位置BPに基づいたストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧することによって、バッチBTの分割位置BPを一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置BPで、より安定してバッチBTを分割することができる。
【0063】
上部規制ローラ71は、左右方向で適宜間隔をあけて複数個配置されている。上部規制ローラ71は、前後方向に配列された複数個のゴムローラ711が前後方向に延設された支持フレーム712に軸支されることによって形成されている。支持フレーム712の前端部は、蝶番部材74を介して補助フレーム部材93下面に連結されている。支持フレーム712の後端部は、後述するカウンタエジェクタ20の上部コンベア158(
図1を参照)の前端部に連結され、上部コンベア158と連動して上下動する。なお、前述したフレーム駆動機構714を作動させることによって、供給されるバッチBTの種類に応じて、上部規制ローラ71の上下位置を調節することができる。
【0064】
小バッチ搬送コンベア8は、排出コンベア2の前端部と、結束機17(
図1を参照)との間に配置され、ストッパ部材31を通過する小バッチSBT1、SBT2を下流側へ搬送するコンベアである。小バッチ搬送コンベア8は、前後方向に所定の間隔で配列された複数個の円筒状ローラ81と、円筒状ローラ81に下方から接触して摩擦力を作用させることにより円筒状ローラ81を下流側に向かって回転させるベルト82A、82Bと、ベルト82A、82Bを駆動させる駆動モータ83とを備えている。駆動モータ83は、ベルト82A、82Bの前端部に配設された駆動プーリに連結されている。小バッチ搬送コンベア8の駆動モータ83は、排出コンベア2の駆動モータ22と連動して駆動する。
【0065】
バッチ分割制御装置6は、バッチ分割装置10の自動運転を可能とする制御装置である。バッチ分割制御装置6は、左側の側枠体91の外側面に沿って配置され、バッチBTの厚さ寸法を計測する計測装置61と、排出コンベア2の前後方向における中間部でバッチBTを検出する第1センサ62と、排出コンベア2の下流側でバッチBTを検出する第2センサ63及び第3センサ64と、ストッパ部材31を通過する小バッチSTB1、STB2を検出する第4センサ65及び第5センサ67と、リフタ部材51を通過するバッチBTを検出する第6センサ68及び第7センサ69と、それぞれ電気的に接続されている。また、バッチ分割制御装置6は、排出コンベア2の駆動モータ22と、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33と、リフタ装置5の駆動機構52と、押圧ローラ72の駆動シリンダ73と、小バッチ搬送コンベア8の駆動モータ83と、フレーム駆動機構714と、それぞれ電気的に接続されている。さらに、バッチ分割制御装置6は、段ボールシート製函機制御管理装置18及びカウンタエジェクタ制御装置181とも電気的に接続され、各種制御信号を交換する。
【0066】
計測装置61は、2つのストッパ部材31(31A、31B)に隣接した位置で、バッチBTの前端部上面にそれぞれ照射するレーザ光による距離測定装置であって、補助フレーム部材93に2つ装着されている。バッチ分割制御装置6は、各計測装置61によって計測したバッチBTの各厚さ寸法に基づいて、各ストッパ昇降装置3によって各ストッパ部材31を上方の待機位置からバッチBTを分割する下降位置KPまで移動させる各移動量をそれぞれ補正して、各ストッパ部材31の下端(下降位置)をバッチBTの分割位置BPに適合させている。
【0067】
第1センサ62、第2センサ63及び第3センサ64は、排出コンベア2のベルト上面211より僅かに上方で左右方向に光線を投光する投光器とその光線を受光する受光器とを有し、投光器から投光する光線がバッチBT又は小バッチSBT1、SBT2の側端部によって遮光されたとき、バッチ検出信号を出力するセンサである。第1センサ62、第2センサ63及び第3センサ64は、それぞれ投光器が一方の側枠体91に固定され、受光器が対向する他方の側枠体91に固定されている。
【0068】
第4センサ65(651、652)は、光線を下方に向けて投光する投光器65A(651A、652A)と、その光線を小バッチ搬送コンベア8の円筒状ローラ81の上面より下側で受光する受光器65B(651B、652B)とを有し、投光器65A(651A、652A)から投光する光線がストッパ部材31を通過する小バッチSBT1、SBT2の上面によって遮光されたとき、バッチ検出信号を出力するセンサである。投光器65A(651A、652A)と受光器65B(651B、652Bは、ストッパ部材31の下流側で装置の左右方向中央部に2組備えている。2組の第4センサ65(651、652)は、その左右方向に離間する距離が段ボールシートDSのスロット溝の幅よりも大きくなるように、支持具66に固設されている。なお、投光器65A(651A、652A)を固設する上方の支持具66は、補助フレーム部材93の左右方向中央部に固定され、受光器65B(651B、652B)を固設する下方の支持具66は、側枠体91に固定されている。
【0069】
第5センサ67は、小バッチ搬送コンベア8の円筒状ローラ81上面より僅かに上方で左右方向に複数の光線を投光する投光器とその光線を受光する受光器とを有し、投光器から投光する光線をストッパ部材31を通過する小バッチSBT1、SBT2の側端部によって遮光されたとき、バッチ検出信号を出力するセンサである。第5センサ67は、それぞれ投光器が一方の側枠体91のブラケット94に固定され、受光器が対向する他方の側枠体91のブラケット94に固定されている。第5センサ67は、弾性ローラ体41及び横壁部312の下方範囲を通過する小バッチSBT1、SBT2の検出を確実に行うために、弾性ローラ体41及び横壁部312の下方範囲における前後方向の距離よりも、当該第5センサ67の投光器から投光する複数の光線の照射範囲における前後方向の距離が、大きくなるように設定されている。
【0070】
第6センサ68及び第7センサ69は、バッチBTの下面にそれぞれ照射するレーザ光による距離測定装置であって、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2の下面を照射したとき、バッチ検出信号を出力するセンサである。第6センサ68は、排出コンベア2のベルト上面211より下方であって下流側のリフタ装置5Aの前端部に近接した位置に配置され、第7センサ69は、排出コンベア2のベルト上面211より下方であって上流側のリフタ装置5Bの前端部に近接した位置に配置されている。
【0071】
<バッチ分割装置の制御方法>
次に、本バッチ分割装置の制御方法を、
図6~
図18を用いて説明する。
図6に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第1実施例のメイン制御フローチャート図を示す。
図7に、
図6に示すバッチ分割処理の詳細フローチャート図を示す。
図8に、
図6に示す残シート排出処理の詳細フローチャート図を示す。
図9に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第2実施例のメイン制御フローチャート図を示す。
図10に、
図9に示すバッチ分割処理の詳細フローチャート図を示す。
図11に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における第3実施例のメイン制御フローチャート図を示す。
図12に、
図11に示す1番目バッチの分割処理の詳細フローチャート図を示す。
図13に、
図11に示す2番目以降バッチの分割処理の詳細フローチャート図を示す。
図14に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるバッチ分割動作の説明用断面図を示す。
図15に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における押圧ローラとリフタ部材の上昇動作の説明用断面図を示す。
図16に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるストッパ部材の上昇とリフタ部材の下降動作の説明用断面図を示す。
図17に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置におけるストッパ部材の下降動作の説明用断面図を示す。
図18に、
図3に示す段ボールシートのバッチ分割装置における排出コンベアの一時停止動作の説明用断面図を示す。
【0072】
(第1実施例の制御方法)
はじめに、本バッチ分割装置10における第1実施例の制御方法を説明する。第1実施例の制御方法によれば、
図3、
図6~
図8、
図14~
図18に示すように、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、ストッパ昇降装置3を作動させて分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧部材昇降装置7Aを作動させて押圧ローラ(押圧部材)72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割する。
【0073】
具体的には、第1実施例の制御方法によれば、
図6に示すように、バッチ分割制御装置6は、処理開始信号を受けると、分割対象とならない残シートを排出する必要があるか否かを判断する残シート排出要否の判定(ステップSA1)を行い、残シート排出が必要であれば、後に説明する残シート排出処理(ステップS3)を行う。また、残シート排出が不要であれば、以下に説明するバッチの分割処理(ステップSA2)を行う。なお、分割対象とならない残シートとは、正規の積層枚数より少ない積層枚数のバッチBTが該当し、例えば、正規の積層枚数が10枚の場合、積層枚数が8枚のバッチBTが該当する。
【0074】
次に、
図3、
図7に示すように、バッチ分割制御装置6は、バッチ分割処理の初めに、排出コンベア2が駆動中か否かを判断し(ステップSA3)、排出コンベア2が停止している場合には、排出コンベア2の駆動モータ22を起動させる信号を出力する(ステップSA4)。続いて、排出コンベア2の中間部で新たなバッチBTの供給有りを、第1センサ62のバッチ検出信号によって確認(ステップSA5)する。
【0075】
次に、
図7、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1センサ62のバッチ検出信号を受けると、バッチBTが同一オーダで最初に分割するバッチBTか否かを判定する(ステップSA6)。最初に分割するバッチBTのときにのみ、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させて、ストッパ部材31をバッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPに移動させる(ステップSA7)。
【0076】
なお、ストッパ部材31の下降位置KPは、ストッパ部材31の下端が、バッチBTの分割位置BPにおけるシート境界面より、段ボールシートDSの厚さ寸法の約1/2だけ上方にあるように設定されている。また、ストッパ部材31の下降位置KPへの位置決めは、段ボールシートDSの種類やバッチBTのシート積層枚数等のオーダ情報に基づいて段ボールシート製函機制御管理装置18に予め記憶されたテーブルから、押圧ローラ72に押圧されたときのバッチBTの厚みを取得して、当該バッチBTの厚みに基づいて行うことができる。
【0077】
次に、
図7、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1センサ62のバッチ検出信号を受けた後、押圧ローラ72下降の設定時間が経過したことを確認し(ステップSA8)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を上方の待機位置から下降させる(ステップSA9)。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731が下方へ移動することによって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧して、バッチBTの段ボールシートDSを互いに密着させる。その結果、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、バッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割することができる。
【0078】
次に、
図7、
図15に示すように、バッチ分割制御装置6は、押圧ローラ72の下降後、押圧ローラ72上昇の設定時間が経過したことを確認し(ステップSA10)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を待機位置へ上昇させる(ステップSA11)。すなわち、バッチBTが、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割され始めたら、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧する必要がなくなるので、押圧ローラ72を待機位置へ上昇させる。
【0079】
次に、
図3、
図7、
図15に示すように、バッチ分割制御装置6は、第6センサ68及び第7センサ69からバッチ検出信号を受けると、それぞれのリフタ装置5(5A、5B)の駆動機構52を作動させ、リフタ部材51を上方の小バッチSBT2の下面と当接する位置まで上昇させる(ステップSA12)。この場合、上流側のリフタ装置5Bが作動した後、下流側のリフタ装置5Aが作動する。リフタ部材51は、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2をストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と協働して支持するので、下方の小バッチSBT1に作用する上方の小バッチSBT2の荷重を軽減させることができる。そのため、上方の小バッチSBT2の下面と下方の小バッチSBT1の上面との分割境界面間で発生する摩擦力f1、f2を軽減させることができる。
【0080】
次に、
図7、
図16に示すように、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになり、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1の後端部がストッパ部材31を通過したことを確認(ステップSA13)した後、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させ、ストッパ部材31を上方の退避位置へ移動させる(ステップSA14)。これによって、上方の小バッチSBT2が排出コンベア2上に落下してストッパ部材31を通過するときには、ストッパ部材31の下端と排出コンベア2上に落下した上方の小バッチSBT2の上面との隙間を拡大させることができ、上方の小バッチSBT2の最上段の段ボールシートDSの前端側部が仮に反りによって上方へ変形しても、その段ボールシートDSとストッパ部材31とが干渉する恐れを低減させることができる。
【0081】
また、
図7、
図16に示すように、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになると、リフタ装置5の駆動機構52を作動させて、リフタ部材51を待機位置まで下降させる(ステップSA15)。これによって、上方の小バッチSBT2が排出コンベア2上に落下するときには、リフタ部材51が上方の小バッチSBT2を水平状に支持しながら下降して排出コンベア2上に着地させることができる。そのため、上方の小バッチSBT2における段ボールシートDSの位置ズレを、より一層抑制しつつ下流側へ排出することができる。
【0082】
次に、
図7、
図17に示すように、バッチ分割制御装置6は、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号を受けた後、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号がすべてオフとなると、上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過したことを確認する(ステップSA16)。なお、バッチ分割制御装置6は、排出コンベア2の駆動モータ22と連動して、小バッチ搬送コンベア8の駆動モータ83を駆動させるので、下方の小バッチSBT1が下流側に排出されたのに続いて、上方の小バッチSBT2も下流側へ排出される。そして、バッチ分割制御装置6は、次のバッチBTに対応するため、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させて、ストッパ部材31をバッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPに移動させる(ステップSA17)。その後、
図6に示す残シート排出要否の判定(ステップSA1)に戻る。
【0083】
ここで、2組の第4センサ65(651、652)は、前述したように左右方向の離間距離が段ボールシートDSのスロット溝の幅よりも大きくなるように、支持具66に固設されている。そのため、一方のセンサからの光線の照射位置を段ボールシートDSのスロット溝の部位が通過しバッチ検出信号がオフとなる場合にも、もう一方のセンサからの光線がスロット溝に隣接する段ボールシートのシート面に照射されセンサ検出信号が継続して出力される。したがって、2組の第4センサ65(651、652)からのバッチ検出信号が、両方ともオフになったことを検出することによって、小バッチSBT1、SBT2の後端部の通過を確実に確認することができる。
【0084】
また、バッチ分割制御装置6は、
図6に示す残シート排出要否の判定(ステップSA1)において、残シート排出が必要であれば、以下に説明する残シート排出処理(ステップS3)を行う。すなわち、
図8に示すように、排出コンベア2の駆動モータ22を作動させ(ステップS31)、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させてストッパ部材31を退避位置へ移動させる(ステップS32)。その後、残シートの排出完了を確認した上で(ステップS33)、排出コンベア2を停止させ(ステップS34)、処理を終了する。分割対象となる全てのバッチBTに対して、以上の動作を繰り返すことによって、上下に積層された段ボールシートDSのバッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0085】
なお、本バッチ分割装置10は、バッチBTを上下2等分する場合に限らず、任意の数に分割することもできる。例えば、3個の小バッチSBTに分割する場合には、ストッパ部材31の下降位置KPの高さを、バッチBTの厚さを上下3等分する高さに設定する。そして、ストッパ部材31に当接しない一番下方の小バッチSBT1から順に上方にあるSBT2、SBT3を、この順番で排出コンベア2により下流側に排出して分割することができる。
【0086】
また、
図18に示すように、バッチ分割制御装置6は、排出コンベア2の駆動モータ22を停止させて、ストッパ部材31より上流側の停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させた後、バッチBTを再移動させても良い。バッチBTの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させてストッパ部材31を所定の分割位置BPに対応する適正な下降位置KPまで下降させることができ、また、押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させて押圧ローラ72を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置BPで、安定してバッチBTを分割することができる。
【0087】
(第2実施例の制御方法)
次に、本バッチ分割装置10における第2実施例の制御方法を説明する。第2実施例の制御方法では、
図3、
図9、
図10、
図14~
図18に示すように、ストッパ昇降装置3は、計測装置61が計測したバッチBTの厚さd1に基づいて、ストッパ部材31の下降位置KPを調節することが、第1実施例の制御方法と相違する。ここでは、第1実施例の制御方法との相違点を中心に説明し、第1実施例の制御方法との共通点は簡潔に説明する。
【0088】
具体的には、第2実施例の制御方法によれば、
図9に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1実施例と同様に、処理開始信号を受けると、残シート排出要否の判定(ステップSB1)を行い、残シート排出が必要であれば、残シート排出処理(ステップS3)を行い、残シート排出が不要であれば、以下に説明するバッチの分割処理(ステップSB2)を行う。
【0089】
次に、
図3、
図10に示すように、バッチ分割制御装置6は、バッチ分割処理の初めに、排出コンベア2が駆動中か否かを判断し(ステップSB3)、排出コンベア2が停止している場合には、排出コンベア2の駆動モータ22を起動させる(ステップSB4)。続いて、排出コンベア2の中間部で新たなバッチBTの供給有りを、第1センサ62のバッチ検出信号によって確認(ステップSB5)する。
【0090】
次に、
図10、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1センサ62のバッチ検出信号を受けると、第1センサ62のバッチ検出信号を受けた後、押圧ローラ72下降の設定時間が経過したことを確認し(ステップSB6)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を上方の待機位置から下降させる(ステップSB7)。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731が下方へ移動することによって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧して、バッチBTの段ボールシートDSを互いに密着させる。
【0091】
次に、
図10、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、押圧ローラ72がバッチBTの上面を下方へ押圧した状態で、バッチBTの厚さ寸法を計測装置61によって計測させ(ステップSB8)、計測装置61によって計測したバッチBTの厚さ寸法に基づいて、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させてストッパ部材31を退避位置からバッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPへ移動させる(ステップSB9)。これによって、バッチBTの厚さにバラツキがあっても、計測装置61によって計測したバッチBTの厚さに応じて、ストッパ部材31の下降位置KPを調節することができる。その結果、バッチBTの厚さに対応した下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で、より一層安定してバッチBTを分割することができる。
【0092】
なお、押圧部材昇降装置7Aは、バッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さd1が、所定の分割位置BPに基づいたストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ72によってバッチBTの上面を押圧させることが好ましい。この場合、バッチBTの厚さが変動しても、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧することによって、バッチBTの分割位置BPを一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置BPで、より安定してバッチBTを分割することができる。
【0093】
次に、
図3、
図10、
図15に示すように、バッチ分割制御装置6は、押圧ローラ72の下降後、押圧ローラ72上昇の設定時間が経過したことを確認し(ステップSB10)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を待機位置へ上昇させる(ステップSB11)。また、バッチ分割制御装置6は、第6センサ68及び第7センサ69からバッチ検出信号を受けると、それぞれのリフタ装置5(5A、5B)の駆動機構52を作動させ、リフタ部材51を上方の小バッチSBT2の下面と当接する位置まで上昇させる(ステップSB12)。
【0094】
次に、
図10、
図16に示すように、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになり、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1の後端部がストッパ部材31を通過したことを確認(ステップSB13)した後、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させ、ストッパ部材31を上方の退避位置へ移動させる(ステップSB14)。また、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになると、リフタ装置5の駆動機構52を作動させて、リフタ部材51を待機位置まで下降させる(ステップSB15)。
【0095】
次に、
図10、
図17に示すように、バッチ分割制御装置6は、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号を受けた後、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号がすべてオフとなると、上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過したことを確認する(ステップSB16)。その後、バッチ分割制御装置6は、次のバッチBTに対応するため、
図9に示す残シート排出要否の判定(ステップSB1)に戻る。なお、バッチ分割制御装置6は、
図9に示す残シート排出要否の判定(ステップSB1)において、残シート排出が必要であれば、第1実施例と同一の残シート排出処理(ステップS3)を行う。
【0096】
(第3実施例の制御方法)
次に、本バッチ分割装置10における第3実施例の制御方法を説明する。第3実施例の制御方法では、
図3、
図11~
図18に示すように、排出コンベア2は、同一オーダの生産中に最初に分割するバッチBTのみを対象に、ストッパ部材31より上流側の停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させ、計測装置61が最初に分割するバッチBTのみを対象にバッチBTの厚さd1を計測した後に、バッチBTを再移動させること、ストッパ昇降装置3は、計測した最初に分割するバッチBTの厚さd1に基づいて、最初に分割するバッチBT及び2番目以降に分割するバッチBTに対するストッパ部材31の下降位置KPを設定することが、第1実施例の制御方法と相違する。ここでは、第1実施例の制御方法との相違点を中心に説明し、第1実施例の制御方法との共通点は簡潔に説明する。
【0097】
具体的には、第3実施例の制御方法によれば、
図11に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1実施例と同様に、処理開始信号を受けると、残シート排出要否の判定(ステップSC1)を行い、残シート排出が必要であれば、残シート排出処理(ステップS3)を行い、残シート排出が不要であれば、同一オーダの生産における1番目のバッチBTの分割か否かを確認し(ステップSC2)、1番目のバッチBTの分割であれば、以下に説明する1番目のバッチの分割処理(ステップSC3)を行い、1番目のバッチBTの分割でなければ、後に説明する2番目以降のバッチの分割処理(ステップSD3)を行う。
【0098】
次に、
図3、
図12に示すように、バッチ分割制御装置6は、1番目のバッチBTの分割処理(ステップSC3)の場合には、バッチ分割処理の初めに、排出コンベア2が駆動中か否かを判断し(ステップSC4)、排出コンベア2が停止している場合には、排出コンベア2の駆動モータ22を起動させる(ステップSC5)。続いて、排出コンベア2の中間部で新たなバッチBTの供給有りを、第1センサ62のバッチ検出信号によって確認(ステップSC6)する。
【0099】
次に、
図3、
図12、
図18に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1センサ62のバッチ検出信号を受けると、第1センサ62のバッチ検出信号を受けた後、排出コンベア2停止の設定時間が経過したことを確認し(ステップSC7)、設定時間が経過したら、最初に分割するバッチBTがストッパ部材31より上流側の停止位置TPまで進行して停止するように、排出コンベア2の駆動モータ22を停止させる(ステップSC8)。
【0100】
次に、
図12、
図18に示すように、バッチ分割制御装置6は、排出コンベア2の停止信号を受けた後、押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を上方の待機位置から下降させる(ステップSC9)。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731が下方へ移動することによって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧して、バッチBTの段ボールシートDSを互いに密着させる。
【0101】
次に、
図12、
図18に示すように、バッチ分割制御装置6は、押圧ローラ72がバッチBTの上面を下方へ押圧した状態で、バッチBTの厚さ寸法を計測装置61によって計測させ(ステップSC10)、計測装置61によって計測したバッチBTの厚さ寸法に基づいて、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させてストッパ部材31を退避位置からバッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPへ移動させる(ステップSC11)。その結果、計測装置61によって計測した1番目のバッチBTの厚さd1に応じて、ストッパ部材31の下降位置KPを調節することができる。例えば、排出コンベア2の上面に対するストッパ部材31の下降位置KPの高さd2を、1番目のバッチBTの厚さd1の1/2に、段ボールシートDSの厚さ寸法の約1/2だけ加えた高さに設定する。
【0102】
次に、
図12、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、ストッパ部材31が下降位置KPに移動した後、排出コンベア2の駆動モータ22を起動させる(ステップSC12)。その結果、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、計測装置61によって計測した1番目のバッチBTの厚さに応じて調節した下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTをより一層正確かつ安定して、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割することができる。
【0103】
次に、
図12、
図15に示すように、排出コンベア2の起動後、押圧ローラ72上昇の設定時間が経過したことを確認し(ステップSC13)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を待機位置へ上昇させる(ステップSC14)。
【0104】
次に、
図3、
図12、
図15に示すように、バッチ分割制御装置6は、第6センサ68及び第7センサ69からバッチ検出信号を受けると、それぞれのリフタ装置5(5A、5B)の駆動機構52を作動させ、リフタ部材51を上方の小バッチSBT2の下面と当接する位置まで上昇させる(ステップSC15)。
【0105】
次に、
図12、
図16に示すように、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになり、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1の後端部がストッパ部材31を通過したことを確認(ステップSC16)した後、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させ、ストッパ部材31を上方の退避位置へ移動させる(ステップSC17)。また、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになると、リフタ装置5の駆動機構52を作動させて、リフタ部材51を待機位置まで下降させる(ステップSC18)。
【0106】
次に、
図12、
図17に示すように、バッチ分割制御装置6は、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号を受けた後、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号がすべてオフとなると、上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過したことを確認する(ステップSC19)。上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過した後、バッチ分割制御装置6は、次の2番目以降のバッチBTに対応するため、ストッパ部材31を下降位置KPに移動させ(SC20)、
図11に示す残シート排出要否の判定(ステップSC1)に戻る。
【0107】
次に、
図11に示すように、残シート排出要否の判定(ステップSC1)を行い、残シート排出が必要であれば、残シート排出処理(ステップS3)を行い、残シート排出が不要であれば、同一オーダの生産における1番目のバッチBTの分割か否かを確認し(ステップSC2)、1番目のバッチBTの分割でなければ、以下に説明する2番目以降のバッチの分割処理(ステップSD3)を行う。
【0108】
次に、
図3、
図13に示すように、バッチ分割制御装置6は、2番目以降のバッチBTの分割処理(ステップSD3)の場合には、バッチ分割処理の初めに、排出コンベア2が駆動中か否かを判断し(ステップSD4)、排出コンベア2が停止している場合には、排出コンベア2の駆動モータ22を起動させる(ステップSD5)。続いて、排出コンベア2の中間部で新たなバッチBTの供給有りを、第1センサ62のバッチ検出信号によって確認(ステップSD6)する。
【0109】
次に、
図3、
図13、
図14に示すように、バッチ分割制御装置6は、第1センサ62のバッチ検出信号を受けると、第1センサ62のバッチ検出信号を受けた後、押圧ローラ72下降の設定時間が経過したことを確認し(ステップSD7)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を上方の待機位置から下降させる(ステップSD8)。押圧ローラ72は、駆動シリンダ73のシリンダロッド731が下方へ移動することによって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧して、バッチBTの段ボールシートDSを互いに密着させる。
【0110】
その結果、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動する2番目以降に分割するバッチBTの前端部と、計測装置61によって計測した1番目のバッチBTの厚さに応じて調節した下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTをより一層安定して、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割することができる。これによって、一時停止及びバッチBTの厚さ計測に伴う時間的ロスを低減して、バッチ分割装置の生産性を高めつつ、バッチを所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0111】
次に、
図13、
図15に示すように、押圧ローラ72の下降後、押圧ローラ72上昇の設定時間が経過したことを確認し(ステップSD9)、設定時間が経過したら押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させ、押圧ローラ72を待機位置へ上昇させる(ステップSD10)。
【0112】
次に、
図3、
図13、
図15に示すように、バッチ分割制御装置6は、第6センサ68及び第7センサ69からバッチ検出信号を受けると、それぞれのリフタ装置5(5A、5B)の駆動機構52を作動させ、リフタ部材51を上方の小バッチSBT2の下面と当接する位置まで上昇させる(ステップSD11)。
【0113】
次に、
図13、
図16に示すように、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになり、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1の後端部がストッパ部材31を通過したことを確認(ステップSD12)した後、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させ、ストッパ部材31を上方の退避位置へ移動させる(ステップSD13)。また、バッチ分割制御装置6は、第3センサ64からのバッチ検出信号がオフになると、リフタ装置5の駆動機構52を作動させて、リフタ部材51を待機位置まで下降させる(ステップSD14)。
【0114】
次に、
図13、
図17に示すように、バッチ分割制御装置6は、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号を受けた後、第4センサ65(651、652)及び第5センサ67からのバッチ検出信号がすべてオフとなると、上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過したことを確認する(ステップSD15)。上方の小バッチSBT2がストッパ部材31を通過した後、バッチ分割制御装置6は、次のバッチBTに対応するため、ストッパ部材31を下降位置KPに移動させ(SD16)、
図11に示す残シート排出要否の判定(ステップSC1)に戻る。
【0115】
次に、
図11に示すように、残シート排出要否の判定(ステップSC1)を行い、残シート排出が必要であれば、残シート排出処理(ステップS3)を行い、残シート排出が不要であれば、同一オーダの生産における1番目のバッチBTの分割か否かを確認し(ステップSC2)、1番目のバッチBTの分割でなければ、前述した2番目以降のバッチの分割処理(ステップSD3)を繰り返す。なお、バッチ分割制御装置6は、
図11に示す残シート排出要否の判定(ステップSC1)において、残シート排出が必要であれば、第1実施例と同一の残シート排出処理(ステップS3)を行う。
【0116】
<カウンタエジェクタの構成>
次に、本発明に係る第2実施形態であるカウンタエジェクタの構成を、
図1~
図5、
図19を用いて説明する。
図19に、
図1に示すバッチ形成装置におけるバッチ形成動作の説明用断面図を示す。
【0117】
図1~
図5、
図19に示すように、本カウンタエジェクタ20は、段ボールシート製函機1において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを所定の分割位置BPで上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割装置10を含むカウンタエジェクタ20であって、前述したバッチ分割装置10の上流側に、バッチ形成装置15を備えている。
【0118】
バッチ形成装置15は、前述したように、所定の収容領域に積載される段ボールシートDSを分離して所定のシート枚数のバッチBTを形成するために水平方向に進退可能な主レッジ(レッジ)151と、所定の収容領域の下方に配置され、所定のシート枚数の段ボールシートDSが積まれた状態のバッチBTを搬出方向に送り出すための送出コンベア152と、バッチBTが載置され、所定の収容領域から送出コンベア152までバッチBTを運搬するために昇降運動を行うエレベータ153とを有している。送出コンベア152の前端部は、排出コンベア2の後端部と隣接している。
【0119】
具体的には、
図19に示すように、バッチ形成装置15は、入口ロール157と、前当板154と、矯正板155と、主レッジ151と、補助レッジ156と、エレベータ153と、送出コンベア152と、上部コンベア158とを備えている。
【0120】
入口ロール157は、上下一対の円筒状ロール体からなり、フォルダグルア14から供給される段ボールシートDSを挟み込んで回転し、所定の収容領域を構成する前当板154と矯正板155との間に投入する。前当板154は、垂直状に起立して、段ボールシートDSの前後方向長さに対応して前後移動可能に、ネジ駆動部154Bに連結されている。矯正板155は、入口ロール157の投入口より下方で、垂直状に起立してバッチ形成装置15の本体部に固定されている。
【0121】
主レッジ151は、入口ロール157から投入される段ボールシートDSを複数枚載置させる略L字状断面の受け部151Bと、受け部151Bを上下動させる昇降部151Cと、昇降部151Cを前後方向へ進退させる進退部151Dとを有している。補助レッジ156は、前当板154と矯正板155との下方で、水平方向へ開閉可能な一対の蓋部材からなり、主レッジ151の進退部151Dが受け部151Bを後方(下流側)へ移動させることによって、主レッジ151の受け部151Bに積層された段ボールシートDSのバッチBTを受け取るように構成されている。エレベータ153は、補助レッジ156の下方で上下動可能に形成され、補助レッジ156が開放した時に補助レッジ上のバッチBTを受け取り、下方へ移動させる。送出コンベア152は、エレベータ153の下降位置に配置され、エレベータ上のバッチBTを下流側へ送り出す。上部コンベア158には、送出コンベア152上のバッチBTの上面を規制しながら回転するローラ体が装着されている。
【0122】
バッチ形成装置15によれば、フォルダグルア14から供給される段ボールシートDSを一対の入口ロール157が挟み込んで回転し、所定の収容領域を構成する前当板154と矯正板155との間に投入する。前当板154と矯正板155とで区画される所定の収容領域に積載される段ボールシートDSを、主レッジ151と補助レッジ156とによって、分離して所定のシート枚数のバッチBTを形成する。そして、所定のシート枚数の段ボールシートDSが積まれた状態のバッチBTをエレベータ153が、搬出方向に送り出すための送出コンベア152まで運搬する。送出コンベア152は、エレベータ153から受け渡されたバッチBTを、上部コンベア158によって上方から規制しながら排出コンベア2まで送り出す。なお、排出コンベア2の上方には、上部コンベア158と連結されたバッチ上部規制装置7Bの上部規制ローラ71が備えられ、所定枚数積層したバッチBTを、排出コンベア2と上部規制ローラ71とによって上下方向で規制をかけながら形状安定化させて、バッチ分割装置10に供給する。
【0123】
また、バッチ分割装置10は、前述したように、送出コンベア152によって供給されるバッチBTを下流側へ排出する排出コンベア2と、当該排出コンベア2の下流側上方に配置されバッチBTの前端部と当接するストッパ部材31と、当該ストッパ部材31を上下動させるストッパ昇降装置3と、ストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を下方へ押圧する押圧ローラ(押圧部材)72と、押圧ローラ72を上下動させる押圧部材昇降装置7Aとを有し、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、ストッパ昇降装置3を作動させて分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧部材昇降装置7Aを作動させて押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割する。
【0124】
本カウンタエジェクタ20によれば、バッチ分割装置10の上流側にバッチ形成装置15を備えることによって、シート枚数の異なるバッチBTをその生産性を高めつつ、形成することができる。例えば、シート枚数の少ない小バッチSBTをバッチ形成装置15で生産すると、エレベータ153の昇降運動等に伴う時間的ロスが多く生産速度が遅くなるが、バッチ形成装置15にてシート枚数が多いバッチBTを形成した上で、下流側のバッチ分割装置10にてシート枚数の少ない小バッチSBTに分割すると、エレベータ153の昇降運動等に伴う時間的ロスが減少して生産速度が速くなる。
【0125】
また、本カウンタエジェクタ20に含むバッチ分割装置10において、押圧ローラ72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で、バッチBTの前端部とストッパ部材31とを当接させるので、バッチBTの段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシートDS同士を略均一に当接させて、段ボールシートDS間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチBTの前端部をストッパ部材31に当接させたとき、ストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0126】
また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31に、押圧ローラ72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材31よりも下方に積層された段ボールシートDSを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに、所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0127】
<段ボールシートのバッチ分割方法>
次に、本発明に係る第3実施形態である段ボールシートのバッチ分割方法を、
図1、
図14~
図18、
図20を用いて説明する。
図20に、本実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割方法におけるフローチャート図を示す。
【0128】
図1、
図14~
図18、
図20に示すように、第3実施形態に係るバッチ分割方法は、段ボールシート製函機1において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを所定の分割位置BPで上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割方法であって、バッチBTを形成するバッチ形成ステップST1と、バッチ形成ステップST1で形成したバッチBTを下流側に移動させる排出コンベア2まで、送出コンベア152で送り出す送出ステップST2と、排出コンベア2の下流側上方に配置され、送出ステップST2にて送り出されたバッチBTを分割するストッパ部材31を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPに位置決めする位置決めステップST3と、送出ステップST2にて排出コンベア2まで送り出され、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTを、下降位置KPに位置決めされたストッパ部材31に当接させて、上下2つの小バッチSBTに分割するバッチ分割ステップST4と、バッチ分割ステップST4にてバッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さd1が、位置決めステップST3にて位置決めしたストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ(押圧部材)72によってバッチBTの上面を押圧するバッチ押圧ステップST42とを備えている。
【0129】
バッチ形成ステップST1は、入口ロール157と、前当板154と、矯正板155と、主レッジ151と、補助レッジ156と、エレベータ153と、送出コンベア152と、上部コンベア158とを有するバッチ形成装置15を備え、フォルダグルア14から供給される段ボールシートDSを一対の入口ロール157が挟み込んで回転し、所定の収容領域を構成する前当板154と矯正板155との間に投入する。前当板154と矯正板155とで区画される所定の収容領域に積載される段ボールシートDSを、主レッジ151と補助レッジ156とによって、分離して所定のシート枚数のバッチBTを形成する。そして、所定のシート枚数の段ボールシートDSが積まれた状態のバッチBTをエレベータ153が、搬出方向に送り出すための送出コンベア152まで運搬する。送出コンベア152は、エレベータ153から受け渡されたバッチBTを、上部コンベア158によって上方から規制しながら排出コンベア2まで搬送する。
【0130】
位置決めステップST3は、排出コンベア2の下流側上方に配置されたストッパ部材31と、ストッパ部材31を上下動させる駆動モータ33を有するストッパ昇降装置3とを備え、ストッパ昇降装置3の駆動モータ33を作動させてストッパ部材31を、バッチBTの分割位置BPに対応する下降位置KPに位置決めする。
【0131】
バッチ分割ステップST4は、排出コンベア2と、ストッパ部材31とを備え、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTを、下降位置KPに位置決めされたストッパ部材31に当接させて、上下2つの小バッチSBTに分割する。また、バッチ押圧ステップST42は、押圧ローラ72と、押圧ローラ72を上下動させる駆動シリンダ73を有する押圧部材昇降装置7Aとを備え、押圧部材昇降装置7Aの駆動シリンダ73を作動させて、押圧ローラ72によって、ストッパ部材31に当接するバッチBTの前端部上面を下方へ押圧する。押圧ローラ72は、バッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さd1が、位置決めステップST3にて位置決めしたストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、バッチBTの上面を押圧する。
【0132】
本バッチ分割方法によれば、押圧ローラ72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で、バッチBTの前端部とストッパ部材31とを当接させるので、バッチBTの段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシートDS同士を略均一に当接させて、段ボールシートDS間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチBTの前端部をストッパ部材31に当接させたとき、ストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0133】
また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31に、押圧ローラ72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材31よりも下方に積層された段ボールシートDSを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに、所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0134】
さらに、本バッチ分割方法によれば、バッチBTの厚さd1が変動しても、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧ローラ72がバッチBTの上面を押圧することによって、バッチBTの分割位置BPを一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置BPで、より安定してバッチBTを分割することができる。
【0135】
よって、第3実施形態に係るバッチ分割方法によれば、上下に積層された段ボールシートDSのバッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割方法を提供することができる。
【0136】
また、バッチ分割ステップST4には、ストッパ部材31より上流側の停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させた後、バッチBTを再移動させる一時停止ステップST41を備えていることが好ましい。一時停止ステップST41によれば、ストッパ部材31より上流側でバッチBTの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ部材31を所定の分割位置BPに対応する適正な下降位置KPまで下降させることができ、また、押圧ローラ72を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置BPで、安定してバッチBTを分割することができる。
【0137】
また、ストッパ部材31の上流側であって、排出コンベア2の前端部と後端部との間で、分割対象となるバッチBTの前後長に応じて、少なくとも1つ以上配設され、バッチBT下面に当接するリフタ部材51と、当該リフタ部材51を上下動させる駆動機構52を有するリフタ装置5(5A、5B)を備え、バッチ分割ステップST4には、ストッパ部材31より上流側でリフタ部材51を排出コンベア2より上方へ上昇させ、2つの小バッチSBTの内、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2を、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と協働して支持する小バッチ支持ステップST43を備えていることが好ましい。
【0138】
小バッチ支持ステップST43によれば、リフタ部材51が下方の小バッチSBT1より上流側で上方の小バッチSBT2を支持するので、下方の小バッチSBT1に作用する上方の小バッチSBT2の負荷を軽減できる。そのため、上方の小バッチSBT2の下面と下方の小バッチSBT1の上面との分割境界面で発生する摩擦力f1、f2を軽減させることができる。したがって、下方の小バッチSBT1の上面の段ボールシートDSの位置ズレを抑制でき、安定してバッチBTを分割することができる。
【0139】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更することができることは言うまでもない。例えば、本第1実施形態では、ストッパ部材31は、上流側で垂直状に形成された縦壁部311と、下流側で垂直状に形成された縦壁部313と、両縦壁部311、313の下端を水平状に連結する横壁部312とを備え、全体で上方が開放された略U字状断面をなしているが、必ずしも、上記構成に限る必要はない。例えば、
図21に示すように、横壁部312を振動機構34(34A、34B)に変更して、ストッパ部材31B、31Cには、当該ストッパ部材31B、31Cを振動させる振動機構34A、34Bを備えても良い。
【0140】
例えば、
図21(A)に示す振動機構34Aには、上流側の縦壁部311に固定され複数の磁石が配列された可動部34A1と、下流側の縦壁部313に固定され可動部34A1を前後方向(搬送方向)に微少振動させる磁気回路を有する固定部34A2と、を備えた電動シリンダ等を用いることができる。また、例えば、
図21(B)に示す振動機構34Bには、上流側の縦壁部311に固定されたピエゾ素子を有する可動部34B1と、下流側の縦壁部313に固定され可動部34B1を上下方向に微少振動させるレール部を有する固定部34B2と、を備えたピエゾステージ等を用いることができる。
【0141】
上記振動機構34(34A、34B)が、前後方向又は上下方向に微小振動することによって、振動するストッパ部材31B、31Cに当接したバッチBTの跳ね返りに伴う段ボールシートDS間の位置ズレを修正して、分割後の小バッチSBTにおける段ボールシートDSの不揃いを、効果的に回避させることができる。
【0142】
<本実施形態における作用効果>
以上、詳細に説明したように、本第1実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割装置10によれば、段ボールシート製函機1において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを所定の分割位置BPで上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割装置10であって、バッチBTを下流側へ排出する排出コンベア2と、当該排出コンベア2の下流側上方に配置されバッチBTの前端部と当接するストッパ部材31と、当該ストッパ部材31を上下動させるストッパ昇降装置3と、ストッパ部材31の上流側で前記バッチBTの上面を下方へ押圧する押圧部材72と、押圧部材72を上下動させる押圧部材昇降装置7Aとを備え、また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、ストッパ昇降装置3を作動させて分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧部材昇降装置7を作動させて押圧部材72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割する。
【0143】
したがって、本第1実施形態によれば、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で、バッチBTの前端部とストッパ部材31とを当接させるので、バッチBTの段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシートDS同士を略均一に当接させて、段ボールシートDS間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチBTの前端部をストッパ部材31に当接させたとき、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0144】
また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31に、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材31よりも下方に積層された段ボールシートDSを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに、所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0145】
よって、本第1実施形態によれば、上下に積層された段ボールシートDSのバッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割装置10を提供することができる。
【0146】
また、本第1実施形態によれば、ストッパ部材31の上流側には、バッチBTの厚さd1を計測する計測装置61を備え、ストッパ昇降装置3は、計測装置61が計測したバッチBTの厚さd1に基づいて、ストッパ部材31の下降位置KPを調節するので、バッチBTの厚さにバラツキがあっても、ストッパ部材31の上流側で計測したバッチBTの厚さd1に応じて、ストッパ部材31の下降位置KPを調節することができる。そのため、バッチBTの厚さd1に対応した下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で、より一層安定してバッチを分割することができる。
【0147】
また、本第1実施形態によれば、計測装置61は、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチBTのみを対象に厚さd1を計測し、ストッパ昇降装置3は、最初に分割するバッチBTの厚さd1に基づいて、最初に分割するバッチBT及び2番目以降に分割するバッチBTに対するストッパ部材31の下降位置KPを設定するので、同一オーダの生産開始時に、バッチBTの厚さd1を計測するだけで良く、計測に伴う時間的ロスを最小限に抑えることができる。また、最初に分割するバッチBTの厚さd1に基づいて、最初に分割するバッチBT及び2番目以降に分割するバッチBTに対するストッパ部材31の下降位置KPを設定するので、ストッパ部材31の下降位置KPを調節するための時間的ロスも最小限に抑えることができる。そのため、各時間的ロスを低減して、バッチ分割装置10の生産性を高めつつ、バッチBTを所定の分割位置で安定して分割することができる。
【0148】
また、本第1実施形態によれば、排出コンベア2は、ストッパ部材31より上流側の停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させた後、バッチBTを再移動させるので、ストッパ部材31より上流側でバッチBTの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ昇降装置3を作動させてストッパ部材31を所定の分割位置BPに対応する適正な下降位置KPまで下降させることができ、また、押圧部材昇降装置7Aを作動させて押圧部材72を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置BPで、安定してバッチBTを分割することができる。
【0149】
また、本第1実施形態によれば、排出コンベア2は、同一オーダの生産中に、最初に分割するバッチBTのみを対象に停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させた後、バッチBTを再移動させるので、同一オーダの生産開始時に、バッチBTの移動を一時停止させるだけであり、一時停止に伴う時間的ロスを最小限に抑えることができる。そのため、時間的ロスを低減して、バッチ分割装置10の生産性を高めつつ、バッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0150】
また、本第1実施形態によれば、押圧部材昇降装置7Aは、バッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さd1が、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧部材72によってバッチBTの上面を押圧させるので、バッチBTの厚さd1が変動しても、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧部材72がバッチBTの上面を押圧することによって、バッチBTの分割位置BPを一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置BPで、より安定してバッチBTを分割することができる。
【0151】
また、本第1実施形態によれば、ストッパ部材31には、当該ストッパ部材31を振動させる振動機構34(34A、34B)を備えているので、ストッパ部材31が振動することによって、ストッパ部材31に当接したバッチBTの跳ね返りに伴う段ボールシートDS間の位置ズレを修正して、分割後の小バッチSBTにおける段ボールシートDSの不揃いを、効果的に回避させることができる。これによって、排出コンベア2によるバッチBTの移動速度を速めて、バッチ分割装置10の生産性をより一層高めることができる。
【0152】
また、本第2実施形態に係るカウンタエジェクタ20によれば、段ボールシート製函機1において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを所定の分割位置BPで上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割装置10を含むカウンタエジェクタ20であって、バッチ分割装置10の上流側に、バッチ形成装置15を備え、バッチ形成装置15は、所定の収容領域に積載される段ボールシートDSを分離して所定のシート枚数のバッチBTを形成するために水平方向に進退可能なレッジ151と、所定の収容領域の下方に配置され、所定のシート枚数の段ボールシートDSが積まれた状態のバッチBTを搬出方向に送り出すための送出コンベア152と、バッチBTが載置され、所定の収容領域から送出コンベア152までバッチBTを運搬するために昇降運動を行うエレベータ153とを有し、また、バッチ分割装置10は、バッチBTを下流側へ排出する排出コンベア2と、当該排出コンベア2の下流側上方に配置されバッチBTの前端部と当接するストッパ部材31と、当該ストッパ部材31を上下動させるストッパ昇降装置3と、ストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を下方へ押圧する押圧部材72と、押圧部材72を上下動させる押圧部材昇降装置7Aとを有し、また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部と、ストッパ昇降装置3を作動させて分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31とを、押圧部材昇降装置7Aを作動させて押圧部材72がバッチBTの上面を押圧した状態で当接させ、バッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、前記ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに分割する。
【0153】
したがって、本第2実施形態によれば、バッチ分割装置10の上流側にバッチ形成装置15を備えることによって、シート枚数の異なるバッチBTをその生産性を高めつつ、形成することができる。例えば、シート枚数の少ない小バッチSBTをバッチ形成装置15で生産すると、エレベータ153の昇降運動等に伴う時間的ロスが多く生産速度が遅くなるが、バッチ形成装置15にてシート枚数が多いバッチBTを形成した上で、下流側のバッチ分割装置10にてシート枚数の少ない小バッチSBTに分割すると、エレベータ153の昇降運動等に伴う時間的ロスが減少して生産速度が速くなる。
【0154】
また、バッチ分割装置10において、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で、バッチBTの前端部とストッパ部材31とを当接させるので、バッチBTの段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシートDS同士を略均一に当接させて、段ボールシートDS間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチBTの前端部をストッパ部材31に当接させたとき、ストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0155】
また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31に、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材31よりも下方に積層された段ボールシートDSを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに、所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0156】
よって、本第2実施形態によれば、上下に積層された段ボールシートDSのバッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割できる段ボールシートDSのバッチ分割装置10を含むカウンタエジェクタ20を提供することができる。
【0157】
また、第3実施形態に係る段ボールシートのバッチ分割方法によれば、段ボールシート製函機1において製函された段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを所定の分割位置BPで上下に分割して、積層枚数の少ない小バッチSBTを形成する段ボールシートのバッチ分割方法であって、バッチBTを形成するバッチ形成ステップST1と、バッチ形成ステップST1で形成したバッチBTを下流側に移動させる排出コンベア2まで、送出コンベア152で送り出す送出ステップST2と、排出コンベアの下流側上方に配置され、送出ステップST2にて送り出されたバッチBTを分割するストッパ部材31を、分割位置BPに対応する下降位置KPに位置決めする位置決めステップST3と、送出ステップST2にて排出コンベア2まで送り出され、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTを、下降位置KPに位置決めされたストッパ部材31に当接させて、上下2つの小バッチSBTに分割するバッチ分割ステップST4と、バッチ分割ステップST4にてバッチBTを分割する際に、分割されるバッチBTの厚さd1が、位置決めステップST3にて位置決めしたストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧部材72によってバッチBTの上面を押圧するバッチ押圧ステップST42とを備えている。
【0158】
したがって、本第3実施形態によれば、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で、バッチBTの前端部とストッパ部材31とを当接させるので、バッチBTの段ボールシートDSに上下方向で僅かな反りがあっても、分割する以前にその反りを矯正でき、上下で隣接する段ボールシートDS同士を略均一に当接させて、段ボールシートDS間における摩擦力のバラツキを低減させることができる。そのため、バッチBTの前端部をストッパ部材31に当接させたとき、ストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが、安定的に生じることになる。
【0159】
また、排出コンベア2によって下流側へ所定の速度で移動するバッチBTの前端部を、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31に、押圧部材72がストッパ部材31の上流側でバッチBTの上面を押圧した状態で当接させることによって、所定の分割位置BPに対応する下降位置KPまで下降させたストッパ部材31の直ぐ下方の境界部で段ボールシートDS間の滑りが安定的に生じ、ストッパ部材31よりも下方に積層された段ボールシートDSを、慣性の法則により、そのままの速度で下流側へ移動させることができる。その結果、段ボールシートDSが上下方向で複数枚積層されたバッチBTを、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2とに、所定の分割位置BPで安定して分割することができる。
【0160】
さらに、本第3実施形態によれば、バッチBTの厚さd1が変動しても、ストッパ部材31の下降位置KPに対応する厚さとなるように、押圧部材72がバッチBTの上面を押圧することによって、バッチBTの分割位置BPを一定の位置に維持させることができる。そのため、所定の分割位置BPで、より安定してバッチBTを分割することができる。
【0161】
よって、本第3実施形態によれば、上下に積層された段ボールシートDSのバッチBTを所定の分割位置BPで安定して分割できる段ボールシートのバッチ分割方法を提供することができる。
【0162】
また、本第3実施形態によれば、バッチ分割ステップST4には、ストッパ部材31より上流側の停止位置TPにてバッチBTの移動を一時停止させた後、バッチBTを再移動させる一時停止ステップST41を備えているので、ストッパ部材31より上流側でバッチBTの移動を一時停止させた後、再移動させる間に、ストッパ部材31を所定の分割位置BPに対応する適正な下降位置KPまで下降させることができ、また、押圧部材72を適正な押圧高さに移動させることができる。そのため、より一層正確な分割位置BPで、安定してバッチを分割することができる。
【0163】
また、本第3実施形態によれば、バッチ分割ステップST4には、ストッパ部材31より上流側でリフタ部材51を排出コンベア2より上方へ上昇させ、2つの小バッチSBTの内、ストッパ部材31に当接する上方の小バッチSBT2を、ストッパ部材31に当接しない下方の小バッチSBT1と協働して支持する小バッチ支持ステップST43を備えているので、リフタ部材51が下方の小バッチSBT1より上流側で上方の小バッチSBT2を支持するので、下方の小バッチSBT1に作用する上方の小バッチSBT2の負荷を軽減できる。そのため、上方の小バッチSBT2の下面と下方の小バッチSBT1の上面との分割境界面で発生する摩擦力f1、f2を軽減させることができる。したがって、下方の小バッチSBT1の上面の段ボールシートDSの位置ズレを抑制でき、安定してバッチBTを分割することができる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、段ボールシート製函機において積層された段ボールシートのバッチを上下方向で分割して、積層枚数の少ない小バッチを形成する段ボールシートのバッチ分割装置及び当該バッチ分割装置を含むカウンタエジェクタ並びに段ボールシートのバッチ分割方法として利用できる。
【符号の説明】
【0165】
1 段ボールシート製函機
2 排出コンベア
3 ストッパ昇降装置
4 小バッチ押圧部材
5 リフタ装置
7A 押圧部材昇降装置
10 バッチ分割装置
15 バッチ形成装置
20 カウンタエジェクタ
31 ストッパ部材
34 振動機構
51 リフタ部材
61 計測装置
72 押圧ローラ(押圧部材)
151 レッジ
152 送出コンベア
153 エレベータ
BT バッチ
BP 分割位置
DS 段ボールシート
KP 下降位置
ST1 バッチ形成ステップ
ST2 送出ステップ
ST3 位置決めステップ
ST4 バッチ分割ステップ
ST41 一時停止ステップ
ST42 バッチ押圧ステップ
ST43 小バッチ支持ステップ
SBT 小バッチ
SBT1 下方の小バッチ
SBT2 上方の小バッチ
TP 停止位置
d1 厚さ