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特許7412767肌の色ムラ評価装置、肌の色ムラ評価方法および肌の色ムラ評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】肌の色ムラ評価装置、肌の色ムラ評価方法および肌の色ムラ評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240105BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
A61B5/107 800
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020123413
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020117
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 悠
(72)【発明者】
【氏名】宮地 克真
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雛代
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 寿
(72)【発明者】
【氏名】森瀬 綾子
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-293231(JP,A)
【文献】特開2009-297295(JP,A)
【文献】特開2011-118671(JP,A)
【文献】特開2005-293214(JP,A)
【文献】特開2011-240086(JP,A)
【文献】特開2017-192767(JP,A)
【文献】特表2014-527863(JP,A)
【文献】米国特許第8441548(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌の色ムラ評価装置であって、
評価対象者の肌画像を取得する肌画像取得部と、
取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得する肌画像解析部と、
各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定する決定部と、
を備える、色ムラ評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の色ムラ評価装置において、
前記色ムラ評価式は、標本肌画像に対する官能評価による色ムラ定量評価値と、標本肌画像に対する空間周波数解析により取得された各周波数における強度値と、を用いて強度値のパーセンタイル値毎に導出される、色ムラ評価装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の色ムラ評価装置において、
前記予め定められたパーセンタイル値は、90パーセンタイル値以上のパーセンタイル値である、色ムラ評価装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の色ムラ評価装置において、
前記肌画像解析部は、取得した前記肌画像をRGB各成分の画像に分離して、空間周波数解析を実行する、色ムラ評価装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の色ムラ評価装置において、
前記各周波数は、1~39Hzの範囲における周波数である、色ムラ評価装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の色ムラ評価装置において、
前記肌画像取得部は、汎用の撮像装置から、撮像された肌画像を取得する、色ムラ評価装置。
【請求項7】
肌の色ムラ評価方法であって、
評価対象者の肌画像を取得し、
取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得し、
各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定すること、
を備える、色ムラ評価方法。
【請求項8】
肌の色ムラ評価プログラムであって、
評価対象者の肌画像を取得する機能と、
取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得する機能と、
各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定する機能と、
を、コンピュータによって実現させる色ムラ評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肌の色ムラを評価する肌の色ムラ評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の色ムラは、見た目年齢に影響を与え、また、化粧品の効果を評価する際に重要な指標となり得る。そこで、肌の色ムラを解析する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-240086号公報
【0004】
しかしながら、上記の技術においては、専用の測定機器の使用や、予め定められた測定環境における測定が前提とされ、肌の色ムラの解析や評価は煩雑であった。また、上記の技術においては、官能評価に基づく肌の色ムラ評価と測定結果を用いる肌の色ムラ評価との間の相関関係が低く、肌の色ムラの評価精度が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、測定環境に依存せず、汎用的な機器を用いることが可能であり、肌の色ムラ評価の精度を向上させることができる肌の色ムラ評価が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本開示は以下の種々の態様を採る。
【0007】
第1の態様は、肌の色ムラ評価装置を提供する。第1の態様に係る肌の色ムラ評価装置は、評価対象者の肌画像を取得する肌画像取得部と、取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得する肌画像解析部と、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定する決定部と、を備える。
【0008】
第1の態様に係る色ムラ評価装置によれば、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定するので、測定環境に依存せず、汎用的な機器を用いることが可能であり、肌の色ムラ評価の精度を向上させることができる。
【0009】
第1の態様に係る色ムラ評価装置において、前記色ムラ評価式は、標本肌画像に対する官能評価による色ムラ定量評価値と、標本肌画像に対する空間周波数解析により取得された各周波数における強度値と、を用いて強度値のパーセンタイル値毎に導出される。この場合には、強度値のパーセンタイル値に応じた色ムラ評価式を得ることができる。
【0010】
第1の態様に係る色ムラ評価装置において、前記予め定められたパーセンタイル値は、90パーセンタイル値以上のパーセンタイル値である。この場合には、肌の特徴を反映して色ムラを精度良く評価することができる。
【0011】
第1の態様に係る色ムラ評価装置において、前記肌画像解析部は、取得した前記肌画像をRGB各成分の画像に分離して、空間周波数解析を実行する。この場合には、RGBの各成分のそれぞれについて強度値を得ることが可能となり、色ムラ評価値の精度を更に向上させることができる。
【0012】
第1の態様に係る色ムラ評価装置において、前記各周波数は、1~39Hzの範囲における周波数である。この場合には、色ムラ評価の計算負荷を軽減しつつ、精度の良い色ムラ評価結果を提供することができる。
【0013】
第1の態様に係る色ムラ評価装置において、前記肌画像取得部は、汎用の撮像装置から、撮像された肌画像を取得する。この場合には、簡易に肌の色ムラ評価を得ることができる。
【0014】
第2の態様は、肌の色ムラ評価方法を提供する。第2の態様に係る色ムラの評価方法は、評価対象者の肌画像を取得し、取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得し、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定すること、を備える。
【0015】
第2の態様に係る色ムラ評価方法によれば、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定するので、測定環境に依存せず、汎用的な機器を用いることが可能であり、肌の色ムラ評価の精度を向上させることができる。
【0016】
第3の態様は、肌の色ムラ評価プログラムを提供する。第3の態様に係る色ムラ評価プログラムは、評価対象者の肌画像を取得する機能と、取得した前記肌画像に対して空間周波数解析を実行し、各周波数について強度値のパーセンタイルを取得する機能と、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、前記取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定する機能と、をコンピュータによって実現させる。
【0017】
第3の態様に係る色ムラ評価プログラムによれば、各周波数の強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、取得した各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値とを用いて、色ムラ評価値を決定するので、測定環境に依存せず、汎用的な機器を用いることが可能であり、肌の色ムラ評価の精度を向上させることができる。
【0018】
第3の態様に係る色ムラ評価プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体、例えば、CD、DVD、ブルーレイディスク、半導体メモリに格納されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置および肌の色ムラ評価システムの一例を示す説明図。
図2】第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置および肌の色ムラ評価システムの一例を示す説明図。
図3】第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価システムを機能部によって示す説明図。
図4】第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置の機能的な内部構成を示すブロック図。
図5】第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置によって実行される肌の色ムラ評価処理の各処理ステップを示すフローチャート。
図6】取得した肌画像データに対する空間周波数解析の一例を示す説明図。
図7】各周波数の成分強度についてパーセンタイルを取得する手順の一例を示す説明図。
図8】一の色成分の一の周波数における成分強度とパーセンタイルとの相関を示す説明図。
図9】定量評価の一例を示す説明図。
図10】周波数と相関関数との検証結果の一部を示すグラフ。
図11】50パーセンタイル値における算出評価値と官能評価値との相関関係を示すグラフ。
図12】10~100のパーセンタイル値における算出評価値と官能評価値との決定係数Rを示すグラフ。
図13図12におけるパーセンタイル値と相関係数Rとの対応関係を示すテーブル。
図14】パーセンタイル値と人の知覚との相関を検証するために用いた肌画像サンプルを示す説明図。
図15】パーセンタイル値と人の知覚との相関を検証するために用いた肌画像サンプルを示す説明図。
図16図14および図15に示す肌画像サンプルに対して、50パーセンタイル値の肌の色ムラ評価式を用いた算出評価値を示す説明図。
図17図14および図15に示す肌画像サンプルに対して、99パーセンタイル値の肌の色ムラ評価式を用いた算出評価値を示す説明図。
図18図14および図15に示す各肌画像サンプルに対する官能評価の結果を示す説明図。
図19】第2の実施形態における、専用の機器を用いた場合の色ムラ評価値と、スマートフォンを用いた場合の色ムラ評価値との相関を示すグラフ。
図20図19の相関の検証に用いられた肌画像サンプルの一部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
従来の測定機器を用いた肌の色ムラ評価と人が感じる肌の色ムラとの間には依然として乖離が存在するという課題に対して、本発明者等は、人が感じる肌の色ムラには、肌に特徴的な知覚、質感とも言う、が関係していることに注目し、測定機器による肌の色ムラ評価への反映を鋭意検討した。その結果、特定の周波数成分の強度に着目することによって、肌の色ムラを客観的且つ高精度に評価できることを見出し、また、専用の機器や限定的な測定環境に依存することなく肌の色ムラの評価精度を向上できることを見出した。以下、本開示に係る肌の色ムラ評価装置、肌の色ムラ評価方法、並びに肌の色ムラ評価プログラムについて、図面を参照しつつ、実施形態に基づいて説明する。
【0021】
第1の実施形態:
図1および図2は、第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置および肌の色ムラ評価システムの一例を示す。肌の色ムラ評価装置100は、図1に示すようにタブレット端末またはスマートフォン(以下、単に「スマートフォン」と言う。)として実現されても良く、あるいは、図2に示すようにデスクトップ型として実現されても良く、ノート型コンピュータとして実現されても良い。スマートフォン100が肌の色ムラ評価装置として機能する場合、撮像部20および表示部21を備え、単体にて肌の色ムラ評価システム10を構成する。スマートフォン100においては、撮像部20によって評価対象となる肌画像が撮像され、表示部21によって肌の色ムラ評価結果が表示される。これに対して、コンピュータ100が肌の色ムラ評価装置として機能する場合、撮像装置30および表示装置31が別途用いられ、コンピュータ端末100、撮像装置30および表示装置31によって肌の色ムラ評価システム10が構成される。撮像装置30は、評価対象となる肌画像を撮像する。撮像装置30としては、肌診断機として公知であり、一定の撮像環境における撮像を可能とするVISIA(Canfield Scientific社製)や一般的なデジタルカメラ、あるいは、スマートフォンが用いられ得る。表示装置31は、肌の色ムラ評価結果、例えば、数値的な評価値あるいは評価値を用いて生成された肌年齢を表示する。コンピュータ100と撮像装置30とは有線または無線により接続され、撮像装置30からコンピュータ100に対して撮像データが送信され得る。更に、タブレット端末またはスマートフォンは、表示装置として用いられ得るので、コンピュータ100からタブレット端末またはスマートフォンに対して、無線通信によって肌の色ムラ評価結果が送信されても良い。この場合、利用者のスマートフォンに肌の色ムラ評価結果を送信することができる。無線による接続は、例えば、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった近距離無線通信規格に準拠する無線通信により実現される。なお、コンピュータ100は、複数の端末と有線または無線ネットワークを介して接続されるサーバとして機能するサーバコンピュータであっても良く、この場合には、複数の各種クライアント端末から、評価対象となる肌画像データがアップロードされ、サーバコンピュータにおいて肌の色ムラ評価値が算出され、サーバコンピュータから各種クライアント端末に対して算出された肌の色ムラ評価値が送信され得る。
【0022】
図3は第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価システム10を機能部によって示す説明図である。肌の色ムラ評価装置100は、肌画像取得部F1、肌画像解析部F2、色ムラ評価値決定部F3を備えている。肌画像取得部F1は、撮像部20または撮像装置30から肌画像データを取得する。肌画像解析部F2は、肌画像取得部F1によって取得された画像データに対して空間周波数解析を実行する空間周波数解析部F21および周波数解析結果を用いて各周波数について強度値のパーセンタイルを取得するパーセンタイル取得部F22とを備えている。色ムラ評価値決定部F3は、肌画像解析部F2、すなわち、パーセンタイル取得部F22によって取得された各周波数についての強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度と、パーセンタイル値毎に用意されている各周波数の強度値を変数とする色ムラ評価式とを用いて色ムラ評価値を決定する。色ムラ評価値決定部F3によって決定された色ムラ評価値は、表示部21または表示装置31に対して出力される。
【0023】
図4は第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置100の機能的な内部構成を示すブロック図である。肌の色ムラ評価装置100は、中央演算処理装置(CPU)101、メモリ102、入出力インタフェース103、および図示しないクロック発生器を備えている。CPU101、メモリ102、入出力インタフェース103およびクロック発生器は内部バス104を介して双方向に通信可能に接続されている。メモリ102は、肌の色ムラを評価するために肌の色ムラ評価プログラムPr1を不揮発的且つ読み出し専用に格納するメモリ、例えばROMと、CPU101による読み書きが可能なメモリ、例えばRAMとを含んでいる。メモリ102の読み書き可能な領域は、評価のために撮像された画像データを格納するための評価画像記憶領域102aを含んでいる。
【0024】
CPU101、すなわち、色ムラ評価装置100は、メモリ102に格納されている肌の色ムラ評価プログラムPr1を読み書き可能なメモリに展開して実行することによって、肌画像解析部F2および色ムラ評価値決定部F3として機能する。なお、CPU101は、単体のCPUであっても良く、各プログラムを実行する複数のCPUであっても良く、あるいは、複数のプログラムを同時実行可能なマルチタスクタイプあるいはマルチスレッドタイプのCPUであっても良い。なお、肌画像解析部F2および色ムラ評価値決定部F3は、論理回路としてハードウェア的に実現されても良い。
【0025】
入出力インタフェース103は、肌画像取得部F1として機能し、肌の色ムラ評価装置100と、他の各種装置とを接続するために用いられる物理的および論理的なインタフェースであり、例えば、USB端子、LAN端子、シリアルバス端子といった公知の端子として実現され得る。第1の実施形態において、入出力インタフェース103には、例えば液晶パネルを有する表示部21、表示装置31、例えば撮像素子を有する撮像部20、撮像装置30がそれぞれ信号線を介して接続されている。なお、表示装置31に代えて、または、表示装置31と共に、印刷媒体、例えば、紙に対して色ムラ評価値を出力、すなわち、印刷する印刷装置が備えられても良い。
【0026】
肌の色ムラ評価装置100によって実行される肌の色ムラ評価処理について説明する。図5は第1の実施形態に係る肌の色ムラ評価装置100によって実行される肌の色ムラ評価処理の各処理ステップを示すフローチャートである。より具体的には、CPU101が、肌の色ムラ評価プログラムPr1を実行することによって実現される。
【0027】
CPU101は、入出力インタフェース103を介して、評価対象となる肌画像データを取得する(ステップS100)。取得される肌画像データは、肌表面の反射や影の発生を抑制できる最適環境光である拡散照明の下、撮像装置30によって撮像された、例えば、950×950pixel(約3.5cm×3.5cm)の大きさの肌画像のRGBデータである。肌画像データは、撮像装置30によって、例えば、評価対象者の頬や腕を撮像することによって取得される。肌の色ムラは、肌の色を決定する、主としてメラニン色素およびヘモグロビン色素が局所的に過剰に生じることにより肌表面の色調が不均一となることによりもたらされる。特に赤み成分は肌の色ムラの評価に大きな影響を及ぼすことが知られている。頬は、人の肌(皮膚)の中で、シミ、そばかす、くすみといった肌の色ムラを生じやすい部位として知られている。この他に、肌の色ムラには、例えば、にきび、にきび跡、吹き出物、やけどの跡、ほくろといったメラニン成分やヘモグロビン成分といった色素成分や色彩値によって特定可能な種々のものが含まれ得る。
【0028】
CPU101は、取得した肌画像データの解析を実行する(ステップS102)。具体的な処理手順については、図6図8を参照して説明する。CPU101は、先ず、図6に示すように、RGB肌画像データをR成分、G成分、B成分の色成分画像データにそれぞれ分離し、各成分画像データについて、平均画素値を求め、各成分画像データを構成する各画素値と平均画素値との差分を算出し、空間周波数処理を実行して空間周波数の成分強度を示すパワースペクトル画像を得る。空間周波数処理は、2次元離散フーリエ変換によって実行され、本実施形態においては、窓関数に7項ブラックマン-ハリス窓を用いた2次元離散フーリエ変換により実行される。パワースペクトル画像は、既知の通り、周波数rと角度θをインデクスとして成分強度を規定する。CPU101は、図7に示すように、得られたパワースペクトル画像を極座標変換して、列方向が周波数(Hz)、行方向が角度(rad)を示す極座標変換画像を得る。CPU101は、更に、周波数毎に、極座標変換画像における成分強度値のパーセンタイルを算出し、すなわち、成分強度値を強度順にソートして行方向がパーセンタイル値(0~100)を示すパーセンタイル画像を得る。なお、極座標変換画像およびパーセンタイル画像に代えて、角度および周波数によって成分強度が決定されるテーブル、パーセンタイル値および周波数によって成分強度が決定されるテーブルが取得されても良い。この結果、周波数と、パーセンタイル値とによって、一の成分強度が決定される。例えば、一の色成分の一の周波数の成分強度のパーセンタイルは、図8に示す特性を有している。図8において縦軸は対数変換された強度、横軸はパーセンタイルを示している。
【0029】
CPU101は、予め用意されている以下の色ムラ評価式を用いて色ムラ評価値を決定する(ステップS104)。具体的には、CPU101は、肌画像を解析した結果得られた、各周波数の成分強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値(以下、「特定パーセンタイル値」とも言う。)におけるR、G、Bの各成分強度値を用いて、予め用意されている以下の色ムラ評価式を用いて色ムラ評価値を決定する。特定パーセンタイル値としては、90パーセンタイル値以上であることが好ましく、95パーセンタイル値以上であることが更に好ましく、99パーセンタイル値であることが最も好ましい。色ムラ評価値は、-1.000~+1.000の間の値によって表され、+1.000に向かうに連れて色ムラなし、すなわち、高評価を示し、-1.000に向かうに連れて色ムラあり、すなわち、低評価を示す。
色ムラ評価値=(a1×Ir1)+・・・+(a39×Ir39)+(g1×Ig1)+・・・+(g39×Ig39)+(b1×Ib1)+・・・+(b39×Ib39)+C(定数)
ここで、a1~a39、g1~g39およびb1~b39は、後述する手順にて予め決定された特定パーセンタイル値における係数、Ir1~Ir39、Ig1~Ig39およびIb1~Ib39は、撮像により得られた画像について算出された特定パーセンタイル値における各成分強度値である。
【0030】
CPU101は、上記色ムラ評価式を用いて算出、すなわち決定した色ムラ評価値を表示部21または表示装置31に対して出力し(ステップS106)、本処理ルーチンを収容する。
【0031】
色ムラ評価式の決定手順
先ず、標本肌画像として、ランダムに選出した肌画像30枚を用意し、38名の評価者によって官能試験を行った。具体的には、肌画像の全ての対、すなわち、(30×29)/2=435対、について、肌の色ムラが目立たない肌画像(一方)に対して1点、肌の色ムラが目立つ肌画像(他方)に対して-1点を配点して評価を行った。得られた評価結果を用いて、シェッフェの一対比較法(中屋の変法)により、肌画像の色ムラを定量評価して官能評価による色ムラ定量評価値、すなわち官能評価値を得た。図9は定量評価の一例を示す説明図である。図9において、横軸上側の番号は肌画像サンプルの番号を示し、横軸下側の番号は色ムラ定量評価値を示す。なお、シェッフェの一対比較法としては、中屋の変法以外の方法、例えば、浦の変法が用いられても良く、あるいは、一対比較法として、例えば、サーストンの一対比較法が用いられても良い。
【0032】
定量評価に用いた標本肌画像のRGB肌画像データに対して、既述のように、R成分、G成分、B成分への分離を行い、各成分画像データについて、平均画素値を求め、各成分画像データを構成する各画素値と平均画素値との差分を算出し、空間周波数処理を実行して空間周波数の成分強度を示すパワースペクトル画像を得た。取得したパワースペクトル画像を極座標変換し、更に、1~512Hzの各周波数について成分強度を強度順にソートし、パーセンタイル値と周波数とをインデクスとする成分強度のテーブルを得た。
【0033】
次に、官能評価により得られた色ムラ定量評価値(-1.000~+1.000)、すなわち、官能評価値を目的変数とし、各パーセンタイル値における各周波数の成分強度を説明変数として、PLS回帰(偏最小二乗回帰)によって、回帰係数および定数を求め、各パーセンタイル値における色ムラ評価式を導出した。なお、色ムラ評価式は、直線を近似する他の回帰法によって求められても良い。この結果得られる色ムラ評価式は既述の通り、RGBの各成分についての係数×周波数の成分強度および定数を備える一次多項式である。得られた各パーセンタイル値における色ムラ評価式は、メモリ102の不揮発的且つ読み出し専用に格納される。なお、以下で説明するように、メモリ102には特定パーセンタイル値に対応する色ムラ評価式のみが格納されても良い。
【0034】
得られた色ムラ評価式の検証
使用する周波数の上限について検証した。一般的に、肌すなわち肌画像は高周波成分をほとんど有しておらず、例えば、40Hzの周波数は毛穴の変動に対応するレベルである。また、影やしわの影響は、概ね1~30Hzの周波数範囲にて顕著となることが知られている。また、対象とする周波数が多い場合、演算負荷が増大する。そこで、1~512Hzの周波数のうち、色ムラ評価式として、算出評価値の精度、すなわち、官能評価値との相関から有意な上限となる周波数について検証した。図10は、検証結果を示すグラフの一部、すなわち、20~60Hzの周波数範囲についての相関係数Rを示している。図10から明らかなように、相関係数R=0.927を示す35Hzを境に相関関係の増大が顕著に緩やかとなり、相関係数R=0.9284を示す39Hzにおいて1回目のピークを迎え、その後も相関係数Rは0.927~0.929の間で変動する。したがって、35Hz以上、更には39Hz以上の周波数に対応する成分強度を用いても相関係数は顕著に変化せず、35Hz以下、より好ましくは39Hz以下の周波数に対応する成分強度を用いることにより官能評価値との相関係数R=0.927以上の高い相関関係を有することが理解される。また、使用周波数を35Hz以下または39Hz以下とすることによって、512Hzまでの周波数、更には100Hzまでの周波数を用いる場合と比較して、演算負荷を軽減し迅速な算出評価値を得ることができると共に、同等で良好な相関関係を得ることができる。この結果を受けて、図5のステップS104においては、39Hzを上限とする色ムラ評価式が用いられている。
【0035】
次に、使用するパーセンタイル値について検証した。すなわち、予め定めたパーセンタイル値について、算出評価値と官能評価値との相関を検証した。例えば、図11は、50パーセンタイル値における算出評価値と官能評価値との相関関係を示すグラフである。既知の算出式を用いて得られた50パーセンタイル値における算出評価値と官能評価値との相関係数は、R=0.9108であった。同様にして、10、20、30、40、60、70,80、90、95、99および100パーセンタイル値について、10~100のパーセンタイル値の範囲で官能評価値と算出評価値との相関係数Rを評価した。図12は、10~100のパーセンタイル値における算出評価値と官能評価値との決定係数Rを示すグラフである。図13図12におけるパーセンタイル値と相関係数Rとの対応関係を示すテーブルである。図13に示すように、相関係数Rは、10パーセンタイル値にて0.9188を取り、40パーセンタイル値にて最小値である0.9082を取り、50パーセンタイル値以上で0.9108を取る。更に、90パーセンタイル値では0.9214の相関係数Rを取り、99パーセンタイル値では0.9283の相関係数Rを取り、100のパーセンタイル値では0.9282の相関係数Rを取る。したがって、90パーセンタイル値以上のパーセンタイル値が官能評価値との相関性が高く、特には、99パーセンタイル値の場合に最も相関性が高いと言うことができる。一方、40パーセンタイル値以下のパーセンタイル値については、0.90程度の相関係数Rを取るが、以下に示すように肌の赤みの判定において官能評価と一致しない。
【0036】
パーセンタイル値と人の知覚との相関について図14図18を参照して説明する。図14および図15には、パーセンタイル値と人の知覚との相関を検証するために用いた、同一の肌部分を対象として撮像された2015年および2018年の肌画像サンプルが示されている。図16には、図14および図15に示す肌画像サンプルに対して、50パーセンタイル値の肌の色ムラ評価式を用いた算出評価値がプロットされている。図17には、図14および図15に示す肌画像サンプルに対して、99パーセンタイル値の肌の色ムラ評価式を用いた算出評価値がプロットされている。図16および図17において、縦軸は色ムラの算出評価値を示し、横軸は肌画像サンプルの番号を示し、2015年の算出評価値は△、2018年の算出評価値は○にて示している。図18には、図14および図15に示す各肌画像サンプルに対する官能評価の結果として、2015年および2018年の肌画像サンプルのうち色ムラが少ないと判定された肌画像サンプルが示されている。なお、図18に示す官能評価においては、主に、肌の知覚において人に強い印象を与える赤み成分の色ムラが評価された。
【0037】
図16および図17を参照すると、50パーセンタイル値における算出評価値は、肌画像サンプル1、4、6および8については2015年の肌画像サンプルの算出評価値が大きく、肌画像サンプル2、3、5および7については2018年の肌画像サンプルの算出評価値が大きい。一方、99パーセンタイル値における算出評価値は、肌画像サンプル1および4~6については2015年の肌画像サンプルの算出評価値が大きく、肌画像サンプル2、3、7および8については2018年の肌画像サンプルの算出評価値が大きい。図18における官能評価の結果を見ると、肌画像サンプル1および4~6については、2015年の肌画像サンプルの色ムラの評価が高く、肌画像サンプル2、3、7および8については、2018年の肌画像サンプルの色ムラの評価が高い。この結果から、50パーセンタイル値における算出評価値は、肌の知覚において人に強い印象を与える赤み成分に関する官能評価結果と一致しないことが理解される。これは、統計値として画像中における平均以下の成分強度を示す50パーセンタイル値の成分強度によっては、人が画像から知覚する画像の特徴や印象を与えることができず、特に、人に対して肌を印象づける赤み成分を表現することができないためである。したがって、50パーセンタイル値以下のパーセンタイル値を用いて算出された算出評価値は、人の知覚とは乖離し、肌の色ムラの評価には不適である。
【0038】
以上述べたように、本実施形態に係る肌の色ムラ評価装置100によれば、各周波数の成分強度値を変数とし、パーセンタイル値毎に用意されている色ムラ評価式と、各周波数の成分強度値のうち、予め定められたパーセンタイル値の強度値を用いて色ムラ評価値を決定するので、測定環境に依存せず、汎用的な機器を用いることが可能であり、肌の色ムラ評価の精度を向上させることができる。すなわち、予め定められたパーセンタイル値として、90パーセンタイル値以上、より好ましくは95パーセンタイル値以上、更により好ましくは99パーセンタイル値を用いることにより、相関係数R=0.92以上の相関により、肌に対する人の知覚に適合する肌の算出評価値、すなわち、色ムラ評価値が求められ得る。すなわち、成分強度のパーセンタイルを考慮しない場合には、肌画像サンプルから平均的な特徴を抽出できるに止まり、肌に特有の特徴を精度良く抽出できない結果、肌に対する人の知覚との間に乖離が生じ、肌の色ムラを精度良く評価することができなかった。これに対して、本実施形態においては、肌画像サンプルに含まれる強い成分強度を選択的に用いるので、肌に特有の特徴を精度良く抽出し、算出評価値と肌に対する人の知覚と整合または一致させることが可能となり、肌の色ムラを精度良く評価することができる。
【0039】
また、色ムラ評価式において用いる成分強度の周波数として1~39Hzの周波数を用いることにより、色ムラ評価値の精度を低下させることなく、色ムラ評価値の算出負荷を低減して迅速に、また、肌の色ムラ評価装置100の演算能力、すなわち、機器種別に依存することなく色ムラ評価値を算出することができる。
【0040】
第2の実施形態:
第1の実施形態においては、肌の色ムラ評価装置100として、専用の機器を用いて説明したが、第2の実施形態においては、肌の色ムラ評価装置100としてスマートフォン/タブレットを用いた場合について、専用機器を用いた場合との差異について検証した。図19は専用の機器を用いた場合の色ムラ評価値と、スマートフォンを用いた場合の色ムラ評価値との相関を示すグラフであり、図20図19の相関の検証に用いられた肌画像サンプルの一部を示す説明図である。図19におけるプロットの各数字はサンプル番号である。
【0041】
図20に示す3種類の肌画像サンプル(サンプル番号3、4、5)を含む11種類の肌画像サンプルについて検証が行われた。図20の肌画像サンプルから看取できるように、肌の色ムラ評価装置100、より具体的には汎用的な撮像装置としてスマートフォンを用いる場合、環境光、すなわち、撮影光が拡散光とならないため、影が多く見られる。一方、図19に示すように専用機器を用いた撮像画像の評価値とスマートフォンを用いた撮像画像の評価値とは高い相関関係を有していることが理解でき、実際に、図19に示す直線を示す回帰式の決定係数R=0.9027であり、また相関係数R=0.9501であり、専用機器を用いた撮像画像の評価値に対してスマートフォンを用いた撮像画像の評価値とは極めて高い相関関係を有していることが確認された。
【0042】
以上述べたように、本実施形態によれば、肌の色ムラ評価装置100としてスマートフォンを用いた場合であっても、専用機器を用いた場合と同様の算出評価値を得ることができることを確認できた。すなわち、撮像画像に影が写り込んでいる場合であっても、影の影響を受けることなく、官能評価値と相関性が高い算出評価値を取得することができる。したがって、予め定められた撮像環境、すなわち、影を発生させないために拡散光照明を用いることなく、スマートフォンによって手軽に撮像された撮像画像を用いて肌の色ムラを高い精度で評価することができる。また、肌の色ムラ評価装置100としてスマートフォンが用いられる場合には、本実施形態において用いられる肌の色ムラ評価式を含む肌の色ムラ評価プログラムPr1をアプリケーション提供サーバからスマートフォンにダウンロードすることによって、簡便に肌の色ムラ評価を実行することができる。肌の色ムラ評価装置100として、スマートフォンが用いられる場合には、撮像と色ムラの評価結果の表示を1台の機器によって実行することができるので、利用者は気軽に肌の色ムラ評価を試みることができる。更には、専用の機器を備えることなく、常設または臨時の美容サロンや美容コーナにおいて、購買予定者に対して簡易且つ迅速に肌の色ムラ評価を提示することができる。
【0043】
その他の実施形態:
(1)上記各実施形態において、得られた肌の色ムラ評価値は、数値によって示されても良く、あるいは、グラフによって示されても良い。グラフで表示される場合には、利用者に対して感覚的に肌の色ムラ評価の把握を促すことが可能となり、数値によって表示される場合には、より具体的および直接的に肌の色ムラ評価を示すことができる。更には、表示部21または表示装置31には、色ムラの評価結果と共に、撮像した肌画像が同時にまたは、選択的に表示されても良い。この場合には、利用者は、肌の状態と併せて肌の色ムラ評価を理解することが可能となる。
【0044】
(2)上記各実施形態においては、取得した肌画像データをRGB成分の画像に分離しているが、RGB成分以外の色成分、例えば、CMY成分、Lab成分、YIQ成分、YUV成分、XYZ成分に分離しても良い。また、肌画像データとしてRGB肌画像データに代えて、CMY肌画像データが用いられても良い。
【0045】
以上、種々の実施形態に基づき本開示について説明してきたが、上記した実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本開示にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10…肌の色ムラ評価システム、100…肌の色ムラ評価装置、101…中央演算処理装置(CPU)、102…メモリ、102a…評価画像記憶領域、20…撮像部、21…表示部、30…撮像装置、31…表示装置、F1…肌画像取得部、F2…肌画像解析部、F21…空間周波数解析部、F22…パーセンタイル取得部、F3…色ムラ評価値決定部、Pr1…肌の色ムラ評価プログラム。
図1
図2
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