(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】非晶質エフィナコナゾール固体分散体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/454 20060101AFI20240105BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240105BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/14
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/32
A61K47/38
A61P31/10
(21)【出願番号】P 2022518659
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 KR2020013164
(87)【国際公開番号】W WO2021060950
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0118647
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518204006
【氏名又は名称】デボン エルエス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジ ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジン オ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/081940(WO,A1)
【文献】CHOWDARY, K. P. R. et al,Dissolution rate and formulation studies on solid dispersions of itraconazole,Indian journal of pharmaceutical sciences,vol. 62 no. 6,2020年09月03日,pp. 471-474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/454
A61K 9/14
A61K 47/12
A61K 47/22
A61K 47/32
A61K 47/38
A61P 31/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフィナコナゾールの非晶質形態と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
、エチルセルロース(EC)
、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、サッカリン、及びマロン酸から選ばれる1種以上の安定化担体と、を含む固体分散体。
【請求項2】
エフィナコナゾールに対する安定化担体の重量比は、1:0.1乃至5である、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
安定化担体としてポリビニルピロリドンを含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項4】
安定化担体としてポリアクリル酸を含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項5】
安定化担体としてエチルセルロースを含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項6】
安定化担体としてサッカリンを含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項7】
安定化担体としてマロン酸を含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項8】
安定化担体として
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、結晶形態が
非晶質形態であることを特徴とする、請求項1に記載の固体分散体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質エフィナコナゾール固体分散体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エフィナコナゾールは、爪真菌症の治療において活性が立証されたトリアゾール系抗真菌剤である。
【0003】
爪真菌症の治療におけるエフィナコナゾール及び他のトリアゾール抗真菌薬物の局所伝達に有用な剤形は、例えば、米国特許第8486978号明細書(特許文献1)などに記載されている。
【0004】
ところが、トリアゾール活性成分を含有する一部の剤形は、貯蔵する間に多様な程度の不安定性を示しており、特に、特定の剤形は、1日又は2日程度の短い貯蔵期間内に変色し、黄色から濃い赤色又は褐色範囲の組成物色を発生させるものと報告されている(韓国公開特許第2016-0068812号公報;特許文献2)。このような変色は、結局、変色した組成物の自己投与を患者が憚るようにし、組成物の規定された使用を妨害し得る。
【0005】
そのため、エフィナコナゾール剤形の安定化は、非常に重要な問題であると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8486978号明細書
【文献】韓国公開特許第2016-0068812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既に知られているように、一般に、無定形は、溶解度が高いので、生体利用率を大きく向上させることもでき、速効性を示す薬物としての使用に適しているという大きな長所を有するが、熱力学的に結晶形に比べて不安定であるので、安定性が低下し、流通期間が短くなり、また、薬の放出及び血中濃度の調節を困難にする。
【0008】
そこで、本発明は、無定形エフィナコナゾールであるにもかかわらず、安定化したエフィナコナゾール製剤を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであって、
エフィナコナゾールの非晶質形態と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC-AS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、サッカリン、及びマロン酸から選ばれる1種以上の安定化担体とを含む固体分散体を提供する。
【0010】
また、本発明において、エフィナコナゾールに対する安定化担体の重量比は、1:0.1乃至5である固体分散体を提供する。
【0011】
また、本発明において、安定化担体としてポリビニルピロリドンを含み、結晶形態が
図1のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0012】
また、本発明において、安定化担体としてポリアクリル酸を含み、結晶形態が
図3のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0013】
また、本発明において、安定化担体としてエチルセルロースを含み、結晶形態が
図5のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0014】
また、本発明において、安定化担体としてサッカリンを含み、結晶形態が
図7のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0015】
また、本発明において、安定化担体としてマロン酸を含み、結晶形態が
図9のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0016】
また、本発明において、安定化担体としてヒプロメロースを含み、結晶形態が
図11のXRPD回折図のように示されることを特徴とする固体分散体を提供する。
【0017】
また、エフィナコナゾールと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC-AS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、及びマロン酸から選ばれる1種以上の安定化担体とを溶媒に溶解させる段階;及び、
前記溶解された溶液をろ過及び乾燥する段階;を含む固体分散体の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の製造方法において、前記溶媒は、前記エフィナコナゾール及び前記安定化担体の全てに対して1mg/ml以上の溶解度を有する単一溶媒又は溶媒混合物であることを特徴とする固体分散体の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の製造方法において、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソアミルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、n-プロピルアセテート、n-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、トルエン、ジクロロメタン、アセトニトリル、又はこれらの混合物であることを特徴とする固体分散体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る固体分散体においては、非晶質エフィナコナゾールの向上した溶解度及び生体利用率の特性はそのまま有しながら、外部の温度及び水分による熱力学的変形が最小化され、安定性が向上するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのポリビニルピロリドン(PVP)を含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図2】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのポリビニルピロリドン(PVP)を含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図3】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのポリアクリル酸(PAA)を含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図4】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのポリアクリル酸(PAA)を含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図5】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのエチルセルロースを含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図6】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのエチルセルロースを含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図7】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのサッカリンを含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図8】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのサッカリンを含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図9】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのマロン酸を含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図10】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのマロン酸を含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図11】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのヒプロメロースを含む固体分散体のXRPDパターンである。
【
図12】エフィナコナゾールの非晶質形態及びその安定化担体としてのヒプロメロースを含む固体分散体のDSCグラフである。
【
図13】類縁物質の発生試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に対して詳細に説明する。
【0023】
本発明の一側面は、エフィナコナゾールの非晶質形態と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC-AS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、サッカリン、及びマロン酸から選ばれる1種以上の安定化担体とを含む固体分散体である。
【0024】
前記「固体分散体」は、2種以上の成分を含む固体状態で一つの系をなすものを示す。一般に、固体分散体は、多く入ったもの、すなわち、分散媒質(本発明の安定化担体に該当する)に少なく入ったもの、すなわち、分散体が均一に分散されているものであって、前記分散媒質が固体であるものを示す。
【0025】
しかし、本発明では、分散体の安定化に寄与できる程度の量であれば十分であり、分散媒質が分散体より少量であってもよい。すなわち、本発明において、分散体であるエフィナコナゾールに対する分散媒質である安定化担体の重量比は、1:0.1乃至5であってもよく、好ましくは、1:0.3乃至4であってもよい。
【0026】
前記「エフィナコナゾールの非晶質形態」は、実質的に無定形固体状態であるエフィナコナゾールであるものを示し、好ましくは、分散体のうち薬物物質の80%以上が無定形形態であるものであって、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上が無定形形態であるものである。
【0027】
前記「無定形固体」は、一般に、結晶-類似短範囲分子配列を有するが、結晶質固体から探すことができる分子パッキングでの長範囲規則性を有していないものである。
【0028】
無定形固体形態であるかどうかは、偏光顕微鏡(Polarized Light Microscopy)、X線粉末回折分析(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC)によって決定され得る。
【0029】
前記「安定化担体」としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC-AS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、及びマロン酸からなる条件から選ばれる1種以上が使用される。
【0030】
前記安定化担体は、エフィナコナゾールの非晶質形態と固体分散体をなし、X線粉末回折分析で回折ピークを特徴的に示さないので、無定形を維持するのに寄与する。
【0031】
また、前記安定化担体は、エフィナコナゾールの安定性を増加させ、類縁物質の発生を抑制する。これに対しては、後述する実施例及び実験例を通じてより詳細に理解できるだろう。
【0032】
前記固体分散体は、エフィナコナゾール及び安定化担体を適切な溶媒に溶解させることによって供給溶液を形成した後、前記供給溶液をろ過及び乾燥して製造され得る。もちろん、前記乾燥物は、粉砕されて粉末化されてもよく、このように粉末化される場合にも、固体分散体の結晶性は変化しない。
【0033】
ここで、「適切な溶媒」は、薬物物質及び重合体の全てに対する十分な溶解度を有するもの、例えば、約1mg/ml以上の溶解度を有する溶媒又は溶媒混合物を示す。もし、薬物物質及び安定化重合体が目的とする溶解度を得るために異なる溶媒を必要とする場合は、溶媒混合物であることが好ましい。
【0034】
適切な溶媒の例示として、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、メタノール、2-プロパノール、エチルアセテート、アセトン、アセトニトリル、又はその混合物を挙げることができ、好ましい溶媒としては、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノールなどを挙げることができる。
【0035】
乾燥は、減圧又は真空乾燥下で12時間から24時間程度行われることが適切である。
【0036】
本発明の固体分散体は、錠剤、パウダー、カプセル、経皮性パッチ或いは固形経口服用製剤などの薬学的組成物の形態で製造されるのに適している。
【0037】
併せて、エフィナコナゾールと安定化担体が均一な分布をなしながら無定形固体分散体をなし、溶解度を向上させ、外部の温度及び水分による熱力学的変形を最小化させることによって、無定形形態の安定性を維持させ、生体利用率を増加させるという長所を有している。
【0038】
これによって、現在、エフィナコナゾールが局所塗布剤としてのみ使用されている場合にも、本発明の安定した無定形エフィナコナゾールは、臨床的な問題がない限り、局所塗布型、経皮吸収型はもちろん、経口用製剤、注射剤にまで拡張して使用することができる。
【0039】
以下、本発明に対して実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、以下の実施例は、発明の詳細な説明のためのものに過ぎなく、これによって権利範囲を制限しようとするものではないことを明らかにしておく。
【実施例】
【0040】
実施例1-無定形エフィナコナゾール/ポリビニルピロリドンの製造(1:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.1g、ポリビニルピロリドン0.1g、及びジクロロメタン0.5mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/ポリビニルピロリドンを得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図1及び
図2にそれぞれ開示した。
【0041】
実施例2-無定形エフィナコナゾール/ポリアクリル酸の製造(1:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.1g、ポリアクリル酸0.1g、及びメタノール0.5mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/ポリアクリル酸を得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図3及び
図4にそれぞれ開示した。
【0042】
実施例3-無定形エフィナコナゾール/エチルセルロースの製造(1:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.1g、エチルセルロース0.1g、及びジクロロメタン0.5mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/エチルセルロースを得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図5及び
図6にそれぞれ開示した。
【0043】
実施例4-無定形エフィナコナゾール/サッカリンの製造(3:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.3g、サッカリン0.1g、及びテトラヒドロフラン0.9mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/サッカリンを得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図7及び
図8にそれぞれ開示した。
【0044】
実施例5-無定形エフィナコナゾール/マロン酸の製造(3:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.3g、マロン酸0.1g、及びテトラヒドロフラン0.9mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/マロン酸を得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図9及び
図10にそれぞれ開示した。
【0045】
実施例6-無定形エフィナコナゾール/ヒプロメロースの製造(3:1比率)
フラスコに(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール0.3g、ヒプロメロース0.1g、及びテトラヒドロフラン0.9mLを投入した後、23℃~28℃で1時間にわたって撹拌する。反応液の減圧濃縮によって溶媒を除去した後、真空乾燥によって無定形エフィナコナゾール/ヒプロメロースを得た。得られた結晶は、核磁気共鳴法、X線粉末回折分析(XRPD)、及び示差走査熱量分析(DSC)で分析し、
図11及び
図12にそれぞれ開示した。
【0046】
実験例-類縁物質の発生試験
本発明の無定形エフィナコナゾールを含む固体分散体(実施例1~6)の温度及び組成液に対する安定性を下記の実験方法を実施して確認し、エフィナコナゾールの安定性と比較した。
【0047】
室温及び65℃のオーブンにおいて、結晶形エフィナコナゾールと実施例1のそれぞれを1週、2週、4週間にわたって組成液に溶解された状態で放置した後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、類縁物質の含量を測定した。
【0048】
【0049】
【0050】
前記表1で確認されるように、非晶質のエフィナコナゾールを含有する実施例1は、結晶形エフィナコナゾールより優れた安定性を示しており、基準及び試験規格も全て満たした。