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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ガラス破砕機
(51)【国際特許分類】
   B25D 1/00 20060101AFI20240105BHJP
   B60R 21/00 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
B25D1/00
B60R21/00 330
B60R21/00 310N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022542318
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 KR2021014552
(87)【国際公開番号】W WO2023282393
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089738
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522263987
【氏名又は名称】シャッフェンゴット カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、イク ファン
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0080085(KR,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0366139(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0301088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕する強化ガラスの表面に一定面積接触して配置され、板面にチップ移動孔111aが形成される支持部110と、
前記支持部110の上部に昇降可能に結合され、中心領域に下降しながら前記チップ移動孔111aを介して強化ガラスを打撃する破砕チップ123が備えられる打撃部120と、
前記支持部110と前記打撃部120との間に挿入されて前記打撃部120の任意下降を防止する安全ピン140と、を含み、
前記支持部110は、
前記チップ移動孔111aが貫通形成され、破砕する強化ガラスの表面に配置される支持板111と、
前記チップ移動孔111aの外周縁に垂直に形成され、前記破砕チップ123の下降を案内する破砕チップ案内管113と、
前記破砕チップ案内管113の外部に前記破砕チップ案内管113と同心円状に配置される下部外部案内管112と、を含み、
前記打撃部120は、
下降のために加圧される上部ケーシング121と、
前記上部ケーシング121の中心領域に下部に垂直に形成され、前記破砕チップ123の下端が下部に露出するように前記破砕チップ123を収容し、前記破砕チップ案内管113に沿って下降するチップ固定軸122と、
前記チップ固定軸122の外周縁に同心円状に備えられ、前記打撃部120の下降時に前記下部外部案内管112に外接するように下降する上部外部案内管125と、を含み、
前記安全ピン140は、
安全ピン本体141と、
前記安全ピン本体141の内部に備えられ、前記下部外部案内管112の外径に対応するように形成され、前記下部外部案内管112に弾性的に結合される外部管嵌込み環143と、
前記安全ピン本体141の後方に備えられる取っ手145と、を含み、
前記外部管嵌込み環143の先端には、前記下部外部案内管112の嵌込み方向に一定長さの直線状に形成され、前記下部外部案内管112の外壁を弾性的に接触加圧する加圧ネック143aと、
前記加圧ネック143aの端部から外側方向に折り曲げ形成される外部折曲端143bと、を含み、
前記外部折曲端143bと前記安全ピン本体141の側壁141aとの間には、前記外部管嵌込み環143が前記下部外部案内管112の脱着時に弾性変形が可能になるように弾性離隔空間144が形成される、強化ガラス破砕機。
【請求項2】
前記下部外部案内管112は、一定角度の間隔で円弧状に配置される複数の案内板112a、112bと、隣接する案内板112a、112bの間に配置され、前記案内板112a、112bよりも高い高さに形成される複数の姿勢保持板115と、を含む請求項1に記載の強化ガラス破砕機。
【請求項3】
前記破砕チップ案内管113の上端と前記チップ固定軸122の下端には、互いに係止結合され、前記チップ固定軸122の下降を案内する下部フック113aおよび上部フック122cが対応する形状に備えられる請求項に記載の強化ガラス破砕機。
【請求項4】
前記上部ケーシング121の上面に脱着可能に結合される表示部130をさらに含む請求項に記載の強化ガラス破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ガラス破砕機に関するものであって、より具体的には、車両や建物などの緊急状況で強化ガラスを破砕する平板型の強化ガラス破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路、一般道路などで車両の衝突事故、追突事故、転覆事故、転倒事故、逆突事故および墜落事故、浸水事故などによって車両に火災が発生して車両外に避難できない場合、大きな人命被害が発生している。
【0003】
特に、現在国内だけでなく全世界的にバス内の火災による財産、人命被害が増加する傾向であり、政府の非常口、消火器関連の是正勧告は、5年間で1千件を超えている。しかし、このような政府の措置にもかかわらず、事故は毎年急増する様相を見せている。
【0004】
このような事故で大部分の死亡原因は、窒息死であり、火災時の煙による視野確保が難しく、脱出が遅延されることはもちろん、ただ一度の煙吸引だけでも気道狭窄が発生して窒息死する場合が大部分である。
【0005】
火災以外にも車両が水に落ちた場合、車両内部に水が流入し、車両内外の圧力差によってドアが簡単に開かなくなり、車両から脱出時間が長くかかり、生存率が極めて低くなる問題が発生することもある。
【0006】
車両に備えられる窓ガラスは、ほとんど強化ガラスであり、強化ガラスの強度は、一般ガラスの4~5倍高い熱処理された特殊ガラスであるため、簡単に割れない。最近、静かな室内空間を確保するために次第に使用が増えている二重接合ガラスは、さらにガラスの破砕が難しい。
【0007】
バスで主に使われる脱出用安全装置は、ハンマーである。ところが、非常時の急な状況で救助者が直接ハンマーを探してガラスを割らなければならないため、その使用が極めて不備であるという問題があり、盗難防止のために縛っておいたり、遺失した場合が多く、実際の状況で使用できない場合が多い。バス火災を例に挙げると、火災発生時のそれによる煙のため、安全ハンマーを探すのが難しいだけでなく、探しても強化ガラスで製作されたバスガラスを速やかに割ることができず、脱出時間が遅れ、より多くの人命被害が発生したことがよく報告されている。特に海外とは異なり、中間ドアがない国内高速バスは、火災時の脱出がより難しく、最近普及台数が増加している電気自動車の場合もバッテリー放電でドアが開かず、車で火災によって死亡したり、真夏の屋上駐車場でドアが開かずに通りがかった市民に救助される事件も頻繁に発生している。
【0008】
したがって、最近は、ハンマーの代わりに簡単に強化ガラスを破砕できるガラス破砕装置が車両に備えられている。
【0009】
最近、車両に備えられるガラス破砕装置の一例が韓国公開特許第10-2020-0144433号「ガラス破砕装置」に開示されている。開示されたような従来のガラス破砕装置は、硬度を有する破砕部がケーシング内部に圧縮スプリングによって圧縮した状態で位置し、使用者が圧縮スプリングについての固定力を解除すると、圧縮スプリングの弾性力によって破砕部が作動し、強化ガラスを破砕することになる。
【0010】
ところが、このような圧縮スプリングの弾性力を用いた従来のガラス破砕装置は、圧縮スプリングの誤作動で正常に動作できない場合が頻繁にあり、内部に圧縮スプリングが収容されなければならないため、上下に高さが高い形状を有して窓ガラスに付着したとき、美観を損なったり、使用者の通行に制約を与える不便さがあり、スプリング品質と使用頻度、保管環境によって均一な品質を維持できず、常に最適な性能状態を維持しなければならないガラス破砕装置として不足している。
【0011】
また、市販のガラス破砕ハンマーに取り付けられた破砕チップの多くが安価なプラスチックまたは金属熱処理製品を使用して実際のガラスを割ることができない場合がほとんどであり、ガラスの角などの特定部位を打撃すると、やっと破損することができて実効性が落ち、関連製品メーカーもコスト削減と低い市場性を理由で強化ガラスを簡単に破損できる高硬度の破砕チップを材料として使用しない場合が一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の問題を解決するためのものであって、高さの低い平板状に製作され、窓ガラスに突出せずに付着できる強化ガラス破砕機を提供するものである。
【0013】
本発明の他の目的は、弾性部材を使用せず、誤作動なしに使用できる強化ガラス破砕機を提供するものである。
【0014】
本発明の前記目的と様々な利点は、この技術分野の熟練者によって本発明の好ましい実施形態からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した本発明の目的は、平板型強化ガラス破砕機によって達成できる。本発明の強化ガラス破砕機は、破砕する強化ガラスの表面に一定面積接触して配置され、板面にチップ移動孔111aが形成される支持部110と、前記支持部110の上部に昇降可能に結合され、中心領域に下降しながら前記チップ移動孔111aを介して強化ガラスを打撃する破砕チップ123が備えられる打撃部120と、前記支持部110と前記打撃部120との間に挿入されて前記打撃部120の任意下降を防止する安全ピン140と、を含み、前記支持部110は、前記チップ移動孔111aが貫通形成され、破砕する強化ガラスの表面に配置される支持板111と、前記チップ移動孔111aの外周縁に垂直に形成され、前記破砕チップ123の下降を案内する破砕チップ案内管113と、前記破砕チップ案内管113の外部に前記破砕チップ案内管113と同心円状に配置される下部外部案内管112と、を含み、前記打撃部120は、下降のために加圧される上部ケーシング121と、前記上部ケーシング121の中心領域に下部に垂直に形成され、前記破砕チップ123の下端が下部に露出するように前記破砕チップ123を収容し、前記破砕チップ案内管113に沿って下降するチップ固定軸122と、前記チップ固定軸122の外周縁に同心円状に備えられ、前記打撃部120の下降時に前記下部外部案内管112に外接するように下降する上部外部案内管125と、を含む。
【0016】
一実施形態によると、前記下部外部案内管112は、一定の角度間隔で円弧状に配置される複数の案内板112a、112bと、隣接する案内板112a、112bの間に配置され、前記案内板112a、112bよりも高い高さに形成され、前記打撃部120の下降時に前記支持板111から除去可能に結合される複数の姿勢保持板115と、を含み得る。
【0017】
一実施形態によると、前記安全ピン140は、安全ピン本体141と、前記安全ピン本体141の内部に備えられ、前記下部外部案内管112の外径に対応するように形成され、前記下部外部案内管112に弾性的に結合される外部管嵌込み環143と、前記安全ピン本体141の後方に備えられる取っ手145と、を含み、前記外部管嵌込み環143の先端には、前記下部外部案内管112の嵌込み方向に一定長さの直線状に形成され、前記下部外部案内管112の外壁を弾性的に接触加圧する加圧ネック143aと、前記加圧ネック143aの端部から外側方向に折り曲げ形成される外部折曲端143bと、を含み、前記外部折曲端143bと前記安全ピン本体141の側壁141aとの間には、前記外部管嵌込み環143が前記下部外部案内管112の脱着時に弾性変形が可能になるように弾性離隔空間144が形成され得る。
【0018】
一実施形態によると、前記破砕チップ案内管113の上端と前記チップ固定軸122の下端には、互いに係止結合され、前記チップ固定軸122の下降を案内する下部フック113aおよび上部フック122cが対応する形状に備えられ得る。
【0019】
一実施形態によると、前記上部ケーシング121の上面に脱着可能に結合される表示部130をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明による強化ガラス破砕機は、別の弾性部材を使用せず、破砕チップが下降して衝撃を加えて強化ガラスを破砕する。別の弾性部材を使用しないため、従来の錐のような上下に長い形をとらず、平たい構造を有する。
【0021】
これにより、窓などに付着しても外観を損なうことなくきれいに保管できる利点がある。
【0022】
また、弾性部材を使用しないため、従来の弾性部材の故障によって正常に作動しなかった誤作動の問題を解決することができる。
【0023】
また、タングステンカーバイドのような硬度の破砕チップを使用し、平たい構造であるにもかかわらず、打撃に必要な最小距離を確保して安定的に強化ガラスを破砕できる効果がある。
【0024】
また、一度使用した強化ガラス破砕機は、姿勢保持板が折れたり曲がったりするため、管理者が使用可否を簡単に肉眼で確認し、最上の状態を維持できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による強化ガラス破砕機に取っ手が結合された状態を互いに異なる角度で示す斜視図である。
図2】本発明による強化ガラス破砕機に取っ手が結合された状態を互いに異なる角度で示す斜視図である。
図3】本発明による強化ガラス破砕機の構成を互いに異なる角度で分解して示す分解斜視図である。
図4】本発明による強化ガラス破砕機の構成を互いに異なる角度で分解して示す分解斜視図である。
図5】本発明による安全ピンが支持部に結合された平面状態を示す例示図である。
図6】本発明による強化ガラス破砕機から安全ピンが除去された状態を示す例示図である。
図7】本発明による強化ガラス破砕機が強化ガラスを破砕する過程を示す断面例示図である。
図8】本発明による強化ガラス破砕機が強化ガラスを破砕する過程を示す断面例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を十分に理解するために、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の実施形態は、様々な形態に変形でき、本発明の範囲が以下で詳細に説明する実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。本実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されて表現されることができる。各図面において、同一の部材は、同一の参照符号で示される場合があることに留意するべきである。本発明の要旨を不要に曖昧にすることができると判断される公知の機能および構成についての詳細な説明は省略する。
【0027】
図1および図2は、本発明による強化ガラス破砕機100に取っ手145が結合された状態を互いに異なる角度で示す斜視図であり、図3および図4は、強化ガラス破砕機100の構成を互いに異なる角度で分解して示す分解斜視図である。
【0028】
図示のように、本発明による強化ガラス破砕機100は、破砕する強化ガラスの表面に配置される支持部110と、支持部110の上部に上下に移動可能に備えられ、強化ガラスを打撃して破砕する打撃部120と、平常時に打撃部120が下降しないように打撃部120と支持部110との間に挿入される安全ピン140と、打撃部120の上部に結合される表示部130と、を含む。
【0029】
本発明による強化ガラス破砕機100は、支持部110と打撃部120と一定面積を有する平板状に互いに並んで形成され、全体的に平たい形状を有する。これにより、バスの窓ガラスなどに付着しても外部に突出せずに外観を損なわないという利点がある。
【0030】
また、打撃部120が別の弾性部材なしに安全ピン140の除去後、使用者の加圧によって下降し、強化ガラスを打撃して破砕することになるため、弾性部材の誤作動が発生するおそれがなく信頼性のある動作が可能な利点がある。
【0031】
支持部110は、破砕する強化ガラスの表面に接触して打撃部120が安定的に下降し、強化ガラスを打撃して衝撃を与えるように支持する。支持部110は、図3および図4に示すように、中心領域にチップ移動孔111aが貫通形成された支持板111と、チップ移動孔111aを包むように上部に垂直に一定の高さに形成された破砕チップ案内管113と、破砕チップ案内管113と同心円状に一定の高さに形成された下部外部案内管112と、を含む。
【0032】
支持板111は、一定面積を有する板状に備えられ、強化ガラスの表面に接触して打撃部120が下降して衝撃を加えるように支持力を印加する。支持板111は、図示のように三角形の形だけでなく、様々な多角形の形または円板の形で備えられ得る。
【0033】
支持板111の中心領域には、打撃部120と破砕チップ123が下降して強化ガラスに接触できるようにするチップ移動孔111aが貫通形成される。
【0034】
破砕チップ案内管113は、チップ移動孔111aの内壁面に沿って一定の高さに垂直に形成され、打撃部120が下降するときに破砕チップ123をチップ移動孔111aに案内する。破砕チップ案内管113は、円周方向に沿って上端に一定角度の間隔で下部フック113aが複数形成され、下部フック113aが形成された破砕チップ案内管113の外壁面には、下部フック113aを支持する補強リブ113bが備えられる。
【0035】
図7は、打撃部120が上昇した打撃前の状態を示す断面図であり、図8は、打撃部120が下降して強化ガラスAを打撃する状態を示す断面例示図である。
【0036】
図7および図8に示すように、破砕チップ案内管113は、打撃部120の破砕チップ123を包むチップ固定軸122を包み、チップ固定軸122がチップ移動孔111aに移動するように案内する。
【0037】
破砕チップ案内管113は、チップ固定軸122よりも大きい外径を有するように形成される。このとき、下部フック113aは、チップ固定軸122に形成された上部フック122cと噛み合うように結合され、打撃部120が支持部110から離脱することを防止する。
【0038】
図7に拡大して示すように、下部フック113aは、地面に対して垂直な角度で形成されず、下部方向に向かって傾斜した第1鋭角θ1を有するように形成され、上部フック122cは、第1鋭角と対向する方向から上部方向に傾斜した第2鋭角θ2を有するように形成される。これにより、下部フック113aの下面と上部フック122cの上面が互いに斜めにすれ違って結合され、上部フック122cが破砕チップ案内管113の外部に離脱しようとすると、下部フック113aに物理的に引っかかることになる。
【0039】
このような構造により破砕チップ案内管113は、チップ固定軸122に向かう方向に力を受け、チップ固定軸122は、破砕チップ案内管113に向かって力を受けて互いに近づく方向に集まる効果が生じる。
【0040】
これにより、上部フック122cが結合されたチップ固定軸122が破砕チップ案内管113に拘束された状態を維持することになる。
【0041】
それぞれの下部フック113aの背面に形成された補強リブ113bは、破砕チップ123とチップ固定軸122が下降するときに、破砕チップ案内管113の外壁面を補強して破砕チップ123の下降圧力によって壊れずに位置を強固に維持するように支持する。
【0042】
下部外部案内管112は、破砕チップ案内管113と同心円状に破砕チップ案内管113よりも大きい外径を有するように支持板111に一定の高さに形成される。下部外部案内管112は、一定角度の間隔で配置される複数の案内板112a、112bと、隣接する案内板112a、112bの間に配置される複数の姿勢保持板115が結合して形成される。
【0043】
下部外部案内管112は、外径が打撃部120に形成された上部外部案内管125の内径に対応するように形成され、図8に示すように、打撃部120が下降するときに上部外部案内管125の内壁面が下部外部案内管112の外壁面に接触して移動する。これにより、打撃部120は、チップ固定軸122が破砕チップ案内管113に沿って移動し、上部外部案内管125は、下部外部案内管112に沿って移動し、揺れずに安定的かつ正確に破砕チップ123がチップ移動孔111aと当接する強化ガラス表面を打撃する。
【0044】
姿勢保持板115は、隣接する案内板112a、112bの間に配置され、使用者が打撃部120を加圧しなければ、打撃部120が支持板111から上昇した待機位置を維持させる。姿勢保持板115は、案内板112a、112bよりも一定の高さに高く形成される。そして、姿勢保持板115の上端外側には、上部外部案内管125の下端が据え置かれる据置き段差115aが外部に一定の高さに突出するように備えられる。
【0045】
据置き段差115aの上端には、上部外部案内管125の下端125aが据え置かれ、支持板111と据置き段差115aとの間には、安全ピン140が挿入される。図3に示すように、支持板111から据置き段差115aまでの高さd1は、安全ピン140の側壁141aの高さd2に対応するように備えられる。これにより、安全ピン140が支持板111と打撃部120との間に挿入されると、図5に示すように、安全ピン140が支持板111と据置き段差115aとの間に挿入される。
【0046】
そして、図7に示すように、待機位置で上部外部案内管125の下端125aは、据置き段差115aに据え置かれ、打撃部120が支持部110に下降せずに上昇した位置を維持させる。
【0047】
一方、据置き段差115aは、使用者が打撃部120を加圧すると姿勢保持板115から折れ、姿勢保持板115は、支持板111に垂直に固定されず、破砕チップ案内管113の方向に曲がるようになり、打撃部120の下降を可能にする。このために、姿勢保持板115の下端と支持板111の結合領域には、図4に示すように、切開溝116が形成される。姿勢保持板115の下端は、支持板111に薄い厚さに結合され、後方に切開溝116が一定幅形成される。これにより、上部から姿勢保持板115に圧力が加わると、姿勢保持板115は、切開溝116が形成された外方向に折れたり曲がったりすることになる。
【0048】
据置き段差115aが折れると、上部外部案内管125を据え置いた据置き段差115aが除去されるため、図8に示すように、打撃部120が支持板111に向かって下降する。
【0049】
使用者は、据置き段差115aが折れたり曲がったりしていることを見て、強化ガラス破砕機100の使用可否を確認できる。
【0050】
打撃部120は、支持部110の上部から下部に下降し、強化ガラスAを打撃して破砕する。打撃部120は、図3および図4に示すように、上部ケーシング121と、上部ケーシング121の中心領域に下部に向けるように形成されるチップ固定軸122と、チップ固定軸122が内部に収容され、強化ガラスAを打撃して破砕する破砕チップ123と、チップ固定軸122の外周縁に同心円状に配置され、下部外部案内管112に沿って下降する上部外部案内管125と、を含む。
【0051】
上部ケーシング121は、破砕チップ123を固定し、使用者が手で加圧して破砕チップ123を下降できるようにする。上部ケーシング121は、支持板111に対応する平板状に内部に収容されたチップ固定軸122を覆うことができるように、側面が一定の高さに備えられる平たい筐体の形に形成される。
【0052】
上部ケーシング121の板面には、表示板131の結合レッグ133が結合されるレッグ係止溝121aが複数形成される。レッグ係止溝121aには、表示板131の下部に形成された結合レッグ133が挿入され、結合レッグ133の下部に形成された係止フック133aが係止結合される。
【0053】
上部ケーシング121の下部には、ストッパ挿入溝121bが切開形成され、図1に示すように、安全ピン140が支持部110に結合したときに安全ピン140の上部ストッパ147がストッパ挿入溝121bの内部に挿入できるようにする。
【0054】
チップ固定軸122は、上部ケーシング121の上部の内壁面に下部に向かって垂直に形成されて破砕チップ123を支持する。チップ固定軸122は、図4および図7に示すように、破砕チップ123のみを下部に露出させる。すなわち、チップ固定軸122は、強化ガラスAと接触する破砕チップ123の接触面積を最小化し、打撃時の打撃効率を最大化させる。
【0055】
チップ固定軸122は、図7に示すように、内部にチップ挿入孔122aが形成される。チップ挿入孔122aには、破砕チップ123のチップ支持軸123aが挿入される。チップ支持軸123aの上端に形成される結合拡張端123bは、チップ挿入孔122a内に係止結合され、チップ支持軸123a内に破砕チップ123の位置を固定させる。
【0056】
チップ固定軸122の下端には、円周方向に沿って複数の上部フック122cが備えられる。下部フック113aは、半径方向の外側に突出して備えられ、図7に示すように、チップ固定軸122の上部フック122cと互いに噛み合うように結合されて破砕チップ123の離脱を防止し、打撃部120が安定的な下降を可能にする。
【0057】
このとき、チップ固定軸122の外周面には、打撃部120が下降するときに、上部フック122cと噛み合った下部フック113aの移動を案内する下部フック案内溝122bが板面に対して陥没形成される。これにより、打撃部120が下降するとき、複数の下部フック113aがこれに対応する下部フック案内溝122bに沿って移動しながら、打撃部120を揺れずに定位置に下降できるようにする。
【0058】
破砕チップ123は、チップ固定軸122の下端を介して下部に露出して打撃部120が下降するとき、図8に示すように、強化ガラスAと接触し、衝撃を加えて強化ガラスAを破砕する。
【0059】
破砕チップ123は、小さなサイズでも、強化ガラスAと接触するときに大きな衝撃を与えることができるように、大きな硬度を有する材質で形成される。このために、破砕チップ123は、タングステンカーバイドまたはこれに準ずる硬度を有する材質で形成される。
【0060】
破砕チップ123は、チップ支持軸123aの下端に逆三角形の形で形成され、強化ガラスAと接触部位を最小化し、打撃時の衝撃を最大化させる。
【0061】
上部外部案内管125は、チップ固定軸122の外周縁に同心円状に形成され、打撃部120が下降するときに下部外部案内管112に沿って移動し、打撃部120が安定的に下降できるように案内する。
【0062】
上部外部案内管125は、図8に示すように、下部外部案内管112の外径に対応する内径を有するように形成され、打撃部120が下降するときに下部外部案内管112の外壁面に沿って移動し、打撃部120を揺れずに安定的に下降させる。
【0063】
ここで、打撃部120を形成する上部ケーシング121とチップ固定軸122および上部外部案内管125は、射出成形を通じて一体に製造され、破砕チップ123は、チップ固定軸122にインサート挿入されて位置が固定される。
【0064】
表示部130は、打撃部120の上面に備えられ、打撃部120の強度を補強し、使用者に緊急状況で強化ガラス破砕機100を使用して強化ガラスAを破砕した後に脱出できることを表示する。
【0065】
表示部130は、上部ケーシング121の上面に結合される表示板131と、表示板131の縁領域に下部に突出形成されて上部ケーシング121に結合される複数の結合レッグ133と、を含む。表示板131は、上部ケーシング121の上面に対応する平板状に備えられ、上部ケーシング121に結合されて上部ケーシング121の強度を補強する。
【0066】
また、表示板131の板面には示していなかったが、緊急状況で使用する強化ガラス破砕機であることを示す文句が直接印刷されるか、または印刷用紙が貼付されて使用者に強化ガラス破砕機100の使用用途と使用方法を表示する。また、表示板131には、ロゴなどのデザインの要素を貼付できる。
【0067】
表示板131の下部には、図4に示すように、外周縁に沿って変形防止溝135が備えられる。変形防止溝135は、表示部130の射出時に波形状の射出物の特性上、変形できる性質に応じて表示部130の変形を防止する。
【0068】
安全ピン140は、支持部110と打撃部120との間に結合され、緊急状況でない場合に打撃部120が任意に下降することを防止する。安全ピン140は、平常時は支持部110と打撃部120との間に挟まれて打撃部120が下降することを防止し、緊急状況では使用者が安全ピン140を除去して打撃部120が降下できるようにする。
【0069】
安全ピン140は、図3および図4に示すように、垂直板状の安全ピン本体141と、安全ピン本体141の内側に結合され、支持部110の下部外部案内管112に脱着可能に結合される外部管嵌込み環143と、安全ピン本体141の後部に備えられ、使用者が安全ピン140を把持できるようにする取っ手145と、を含む。
【0070】
安全ピン本体141と取っ手145、外部管嵌込み環143は、射出成形によって一体に形成される。安全ピン本体141は、取っ手145とともに全体的に上部ケーシング121の外側を包む形で備えられる。
【0071】
安全ピン本体141の外側には、取っ手145と連結されるように側壁141aが備えられ、側壁141aと安全ピン本体141の内部に外部管嵌込み環143が形成される。外部管嵌込み環143は、前方が開放された環状に形成され、図5に示すように、下部外部案内管112に嵌込み結合される。
【0072】
ここで、安全ピン本体141の側壁141aの高さd2は、図3に示すように、支持板111から姿勢保持板115の据置き段差115aの間の高さd1に対応するように備えられ、支持板111と据置き段差115aとの間に安全ピン140が挿入される。
【0073】
外部管嵌込み環143は、下部外部案内管112の外径に対応する外径を有するように形成され、弾性的に広がり、内部に下部外部案内管112が収容される。
【0074】
外部管嵌込み環143の端部には、前方に向かって一定の長さが直線状に備えられ、下部外部案内管112の外壁面を接触加圧する加圧ネック143aが形成される。そして、加圧ネック143aの端部には、側壁141aに向かって折り曲げ形成され、加圧ネック143aが弾性的に広がったり縮まったりするように支持する外部折曲端143bが形成される。
【0075】
ここで、外部折曲端143bと側壁141aとの間には、第1幅W1の弾性離隔空間144が離隔して備えられる。弾性離隔空間144は、安全ピン140が下部外部案内管112に挟まれたり、下部外部案内管112から分離されるとき、加圧ネック143aが広がったり縮まったりするように余裕空間を形成する。
【0076】
これにより、図5に示すように、外部管嵌込み環143が下部外部案内管112に挟まれると、加圧ネック143aが広がり、弾性離隔空間144の第2幅W2は、第1幅W1よりも狭くなる。
【0077】
弾性離隔空間144なしに側壁141aに外部折曲端143bが固定される場合、加圧ネック143aの弾性変形に側壁141aが抵抗を形成し、使用者が簡単に安全ピン140を結合したり分離できなくなる。
【0078】
取っ手145は、安全ピン本体141の後方に備えられ、図1に示すように、安全ピン140が支持部110と打撃部120との間に結合されたときに外部に突出する。これにより、使用者が取っ手145を手でつかんで後ろに引っ張って安全ピン140を分離することができる。
【0079】
一方、安全ピン本体141の中心領域の上端と下端には、上部ストッパ147および下部ストッパ148がそれぞれ備えられる。上部ストッパ147と下部ストッパ148は、安全ピン140が支持部110と打撃部120との間に挿入される挿入深さを制限するとともに、支持部110との結合で安全ピン本体141の回転を抑制する。
【0080】
このような構成を有する本発明による強化ガラス破砕機100の使用過程を図1図8を参照して説明する。
【0081】
本発明による強化ガラス破砕機100は、バス、車両、建物などの窓ガラスに付着して保管される。すなわち、支持部110の底面に両面テープを付着して、非常時に破砕される窓ガラスの表面に強化ガラス破砕機100を付着して保管する。通常の保管状態において、強化ガラス破砕機100は、図1図2に示すように、安全ピン140が結合した状態で保管される。
【0082】
図5に示すように、安全ピン140の外部管嵌込み環143が支持部110の下部外部案内管112を包むように挟まれ、緊急状態ではない状況で任意に打撃部120が下降しないように、安全ピン140が支持部110と打撃部120との間に位置する。
【0083】
安全事故が発生した場合、使用者は、図6に示すように、取っ手145を後方に引き、安全ピン140を支持部110と打撃部120との間で分離する。
【0084】
安全ピン140が除去されても、図6および図7に示すように、打撃部120は、上部外部案内管125の下端125aが姿勢保持板115の据置き段差115aに据え置かれ、下降せずに位置を維持する。
【0085】
使用者は、上部ケーシング121の上面を下部に加圧する。上部ケーシング121の加圧によって姿勢保持板115が曲がり、据置き段差115aが折れる。チップ固定軸122は、破砕チップ案内管113の内部に沿って下降する。
【0086】
このとき、上部フック122cは、破砕チップ案内管113の内壁面に沿って移動し、下部フック113aは、下部フック案内溝122bに沿って移動し、打撃部120の垂直移動を案内する。
【0087】
また、上部外部案内管125は、下部外部案内管112の外壁面に沿って下降し、打撃部120を揺れずに安定的に下降させる。
【0088】
打撃部120が下降すると、破砕チップ123は、チップ移動孔111aを介して強化ガラスAの希望位置を打撃し、衝撃を加えて破砕する。
【0089】
以上で説明したように、本発明による強化ガラス破砕機は、別の弾性部材を使用せずに破砕チップが下降し、衝撃を加えて強化ガラスを破砕する。また、本発明による強化ガラス破砕機は、別の弾性部材を使用しないため、従来の錐のような上下に長い形をとらず、平たい構造を有する。
【0090】
これにより、本発明による強化ガラス破砕機は、窓などに付着しても外観を損なうことなくきれいに保管できる利点がある。
【0091】
また、本発明による強化ガラス破砕機は、弾性部材を使用しないため、従来の弾性部材の故障によって正常に作動しなかった誤作動の問題を解決することができる。
【0092】
また、タングステンカーバイドのような硬度の破砕チップを使用し、平たい構造であるにもかかわらず、打撃に必要な最小距離を確保して安定的に強化ガラスを破砕できる効果がある。
【0093】
また、一度使用した強化ガラス破砕機は、姿勢保持板が折れたり曲がったりするため、管理者が使用可否を簡単に肉眼で確認できるという利点がある。
【0094】
以上で説明した本発明の強化ガラス破砕機の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形および均等な他の実施形態が可能であることがよく分かるであろう。したがって、本発明は、前記の詳細な説明で言及した形態のみに限定されるものではないことをよく理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護の範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物と均等物および代替物を含むものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0095】
100:強化ガラス破砕機
110:支持部
111:支持板
111a:チップ移動孔
112:下部外部案内管
112a、112b:案内板
113:破砕チップ案内管
113a:下部フック
113b:補強リブ
115:姿勢保持板
115a:据置き段差
116:切開溝
120:打撃部
121:上部ケーシング
121a:レッグ係止溝
121b:ストッパ挿入溝
122:チップ固定軸
122a:チップ挿入孔
122b:下部フック案内溝
122c:上部フック
123:破砕チップ
123a:チップ支持軸
123b:結合拡張端
125:上部外部案内管
130:表示部
131:表示板
133:結合レッグ
133a:係止フック
135:変形防止溝
140:安全ピン
141:安全ピン本体
141a:側壁
142:環結合フレーム
143:外部管嵌込み環
143a:加圧ネック
143b:外部折曲端
144:弾性離隔空間
145:取っ手
147:上部ストッパ
148:下部ストッパ
A:強化ガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8