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特許7412825ラベル付き包装シート及びラベル付き包装シートセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ラベル付き包装シート及びラベル付き包装シートセット
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/14 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B65D65/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023117390
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-07-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510023366
【氏名又は名称】株式会社永島製袋
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】永島 康裕
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3105448(JP,U)
【文献】特開平8-207940(JP,A)
【文献】実開昭51-1319(JP,U)
【文献】特開平11-165779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/14
B65D 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、一方の側の面が局所的に粘着部となっているラベルとから成り、物品を包んだ状態でシート本体の周辺部のある部位とシート本体の他の部位とがラベルで止められるラベル付き包装シートであり、
ラベルの一方の側の面は、長さ方向の順に第一粘着部と、中間非粘着部と、第二粘着部となっており、
少なくとも第二粘着部は、人の手で剥離して再粘着可能な粘着部となっており、
ラベルは、前記一方の側の面が谷となり中間非粘着部において折り線が形成されて二つに折り曲げられていて、第一粘着部はシート本体の周辺部のある部位の表面に粘着しており、中間非粘着部の谷を形成している部分はシート本体の縁を跨いでおり、第二粘着部は第一粘着部が粘着する前記周辺部のある部位の表面とは反対側の面においてシート本体に粘着しており、
ラベルの第一粘着部と第二粘着部とは互いに粘着しておらず、
ラベルの一方の側の面において、第二粘着部と第二粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっていることを特徴とするラベル付き包装シート。
【請求項2】
前記中間非粘着部の折り線が形成されている部分は、前記シート本体の縁と接触しているか又は5mm以下の離間距離となっていることを特徴とする請求項1記載のラベル付き包装シート。
【請求項3】
前記ラベルの前記第一粘着部は、人の手で剥離可能な粘着部となっており、前記ラベルの一方の側の面において、前記第一粘着部と前記第一粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっていることを特徴とする請求項1記載のラベル付き包装シート。
【請求項4】
前記ある部位が存在する前記周辺部を除いた部分において袋状となっていることを特徴とする請求項1記載のラベル付き包装シート。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載のラベル付き包装シートを複数積み重ねてなるラベル付き包装シートセットであって、各ラベル付き包装シートは、折り畳まれた状態となっており、前記第一粘着部が粘着している前記ある部位が存在する前記周辺部が最も上側に位置する状態で折り畳まれていることを特徴とするラベル付き包装シートセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、各種物品を包装する際に使用される包装シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種物品を包装する包装シートは、種々の業界で多用されている。このうち、小売り業界では、店頭で商品を並べる際に一個又は複数個の商品を包装シートで包装し、包装された単位で小売りがされている。
このような小売り業界で使用される包装シートは、単価の安い商品を包装する場合が多いために低コストであることが要請される他、箱単位で搬入された商品を従業員が1個ずつ又は数個ずつ包装するため、作業性が良いことも要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7298990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような包装シートの一例が、特許文献1において開示されている。特許文献1に開示されているのは、粘着部を有するラベル付きの包装シートである。この包装シートは、シート本体が折り曲げられ、シート本体の一方の端部とその反対側の他方の端部とがラベルで止められた構成となっている。ラベルは、他方の端部に貼り付けられた部分より先端側の領域3Cを除いて全て粘着領域となっている。この包装シートは、非粘着領域3Cの部分を摘まんでシート本体の他方の端部からラベルを剥がし、シート本体を広げてから物品に被せて包装するという使用方法となっている。
【0005】
上記包装シートは、ラベルのうち、他方の端部に貼り付けられた部分を剥がさないとシート本体を広げられない構造となっている。このため、包装作業がしにくい問題がある。ラベルを剥がすと、他方の端部に貼り付いていた粘着領域が露出するため、シート本体を広げる際に意図しない部位にラベルが貼り付いてしまい易い。
また、シート本体を折り畳んだ状態で作業場所に搬入する必要があるため、シート本体に必ず折り目が付いてしまう。この折り目が、見栄えを悪くしたり、場合によっては包装作業の障害になったりする。
【0006】
本願の発明は、このような課題を解決するために為されたものであり、包装のために広げた状態にする際にもラベルを剥がす必要がなくて剥がしたラベルが意図しない部位に貼り付けてしまう問題がなく、折り畳んだ状態にして作業場所に搬入する必要がない構造のラベル付き包装シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この明細書において、ラベル付き包装シートの発明が開示されたる。開示された発明に係るラベル付き包装シートは、シート本体と、一方の側の面が局所的に粘着部となっているラベルとから成り、物品を包んだ状態でシート本体の周辺部のある部位とシート本体の他の部位とがラベルで止められるラベル付き包装シートである。
このラベル付き包装シートにおいて、ラベルの一方の側の面は、長さ方向の順に第一粘着部と、中間非粘着部と、第二粘着部となっており、少なくとも第二粘着部は、人の手で剥離して再粘着可能な粘着部となっている。
また、このラベル付き包装シートにおいて、ラベルは、前記一方の側の面が谷となり中間非粘着部において折り線が形成されて二つに折り曲げられていて、第一粘着部はシート本体の周辺部のある部位の表面に粘着しており、中間非粘着部の谷を形成している部分はシート本体の縁を跨いでおり、第二粘着部は第一粘着部が粘着する前記周辺部のある部位の表面とは反対側の面においてシート本体に粘着している。
また、このラベル付き包装シートにおいて、ラベルの第一粘着部と第二粘着部とは互いに粘着しておらず、ラベルの一方の側の面において、第二粘着部と第二粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっている。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るラベル付き包装シートは、中間非粘着部の折り線が形成されている部分が、シート本体の縁と接触しているか又は5mm以下の離間距離となっているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るラベル付き包装シートは、ラベルの第一粘着部が、人の手で剥離可能な粘着部となっており、ラベルの一方の側の面において、第一粘着部と第一粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るラベル付き包装シートは、前記ある部位が存在する前記周辺部を除いた部分において袋状となっているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、この明細書において、ラベル付き包装シートセットの発明が開示される。開示された発明に係るラベル付き包装シートセットは、上記いずれかのラベル付き包装シートを複数積み重ねてなるラベル付き包装シートセットである。このラベル付き包装シートセットにおいて、各ラベル付き包装シートは、折り畳まれた状態となっており、第一粘着部が粘着している前記ある部位が存在する前記周辺部が最も上側に位置する状態で折り畳まれている。
【発明の効果】
【0008】
以下に説明する通り、開示された発明に係るラベル付き包装シートによれば、折り畳んで提供された場合でも、物品を包むためにシート本体を広げる際、ラベルの粘着部を剥がす必要はない。このため、包装作業の際に意図しない部位にラベルが粘着してしまうことはなく、包装作業が容易に行える。
また、シート本体を折り曲げずに提供することも可能なので、折り目のない状態での包装が可能であり、見栄えの悪化が避けられる。
また、ラベルの第一粘着部と第二粘着部とは互いに粘着していないので、この点でもラベルの剥離が容易に行える構成となっている。
さらに、ラベルの一方の側の面において第二粘着部と第二粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっているので、その非粘着部を摘まんで第二粘着部をシート本体から剥がすことが容易であり、この点でも作業性が良好となっている。
また、中間非粘着部の折り線が形成されている部分が、シート本体の縁と接触しているか又は5mm以下の離間距離となっている構成によれば、ラベルがシート本体の縁から大きく突出していないので、多数のラベル付き包装シートを梱包する際に折れ曲がったり何かに引っ掛かったりしにくく、ラベルが破れてしまうことがない。
また、第一粘着部が人の手で剥離可能な粘着部となっており、ラベルの一方の側の面において、第一粘着部と第一粘着部側の長さ方向端縁との間が非粘着部となっている構成によれば、使用後に廃棄する際にラベルをシート本体から分離する作業が容易となるので好適である。
また、ラベルが貼り付けられた周辺部を除いた部分において袋状となっている構成によれば、袋状の包装シートにおいて前記各効果を得ることができる。
また、開示された発明に係るラベル付き包装シートセットによれば、各ラベル付き包装シートが、第一粘着部が粘着している周辺部が最も上側に位置する状態で折り畳まれているので、その最も上側に位置する周辺部を摘まんで引っ張ることでシート本体は広げられ、物品を包んだ後にその摘まんでいる周辺部においてラベルの端部の非粘着部を摘まみ直してラベルを剥がすことができる。このため、各ラベル付き包装シートをコンパクトな状態で提供しつつもそれを使用した包装作業がより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態のラベル付き包装シートの斜視概略図である。
図2】ラベルの粘着部について示した概略図であり、(1)は斜視概略図、(2)は断面概略図である。
図3】ラベルのシート本体への貼り付けについて示した斜視概略図である。
図4】実施形態に係るラベル付き包装シートセットの斜視概略図である。
図5】第一の実施形態のラベル付き包装シートの使用方法について示した斜視概略図である。
図6】中間非粘着部の折り線の部分とシート本体の縁との関係について示した斜視概略図である。
図7】第二の実施形態のラベル付き包装シートの斜視概略図である。
図8】ラベルの他の形状について示した斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。図1は、第一の実施形態のラベル付き包装シートの斜視概略図である。
第一の実施形態の包装シートは、一枚もののシートであり、物品をくるんで包装するシートとなっている。この包装シートは、シート本体1と、一方の側の面が局所的に粘着部となっているラベル2とから成っている。
図1に示すように、この例ではシート本体1は長方形となっている。シート本体1は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック材料で形成されており、厚さ20μm~200μm程度の薄いシートである。シート本体1は、透明である場合が多く、包装する物品に応じて商品名等の印刷が適宜されている。
【0011】
図1に示すように、ラベル2は、シート本体1の周辺部11のある部位に設けられている。図1に示す例では、ラベル2は、シート本体1の左側の短手方向に沿った周辺部11のほぼ中央の部位に設けられている。
ラベル2は、一方の側の面が粘着面となっており、局所的に粘着部が設けられている。図2は、ラベル2の粘着部について示した概略図であり、図2(1)は斜視概略図、図2(2)は断面概略図である。図1ではラベル2は折り曲げられているが、説明のため、図2では広げた状態となっている。
【0012】
図2の図示例では、ラベル2は上側の面が粘着面となっている。下側の面には粘着部は設けられておらず、全て非粘着部となっている。図2に示すように、ラベル2の上側の面は、長さ方向に第一粘着部21、中間非粘着部22、第二粘着部23となっている。
また、この実施形態では、ラベル2の一方の側の面(図2では上側の面)において、長さ方向の両端は非粘着部となっている。即ち、第一粘着部21と第一粘着部21側の長さ方向端縁との間は第一非粘着端部24となっている。また、第二粘着部23と第二粘着部23側の長さ方向端縁との間は第二非粘着端部25となっている。各非粘着端部24,25の長さ(図2(2)にL1で示す)は、0.5~2mm程度の小さい長さである。
【0013】
各粘着部21,23は、シート本体1に対して粘着した状態において人の手により剥離可能であり、シート本体1に対して再粘着可能な粘着特性を有している。各粘着部21,23は、このような粘着特性を有する粘着材を塗布することで形成される。
中間非粘着部22については、粘着材を塗布しない構成とするか、粘着材の粘着力を解消させる材料の上塗り(いわゆる糊殺し)をすることで形成される。非粘着端部24,25についても同様であり、粘着材を設けない部位とするか、糊殺しにより形成される。
【0014】
図3は、ラベル2のシート本体1への貼り付けについて示した斜視概略図である。図3(1)に示すように、ラベル2は、まず第一粘着部21がシート本体1に対して貼り付けられる。貼り付ける部位は、シート本体1の縁からの距離が中間非粘着部22の長さ(図3(1)にL2で示す)のほぼ半分である位置の部位である。
第一粘着部21を貼り付けた後、図3(2)に矢印で示すように、ラベル2を二つに折り曲げる。折り曲げは、第一粘着部21等が形成された一方の面が谷になり且つ中間非粘着部22において折り線(図3(2)中で破線221で示す)が形成されるようにした折り曲げである。
【0015】
そして、図3(3)に示すように、折り曲げられたラベル2の一方の側の面の第二粘着部23をシート本体1に当てて粘着させる。第二粘着部23が粘着する面は、第一粘着部21が粘着する面とは反対側の面(裏面)となる。この際、図3(3)に示すように、谷を形成している中間非粘着部22はシート本体1の縁を跨いだ状態となり、折り線221の部分でシート本体1の縁に近接した状態となる。即ち、中間非粘着部22の折り線221の部分はシート本体1の縁に接触しているか又は短い距離で接近した状態となる。
【0016】
図3(3)に示す状態で、製品としての実施形態のラベル付き包装シートは完成である。この状態で多数が積み重ねられて箱等に入れられて出荷される場合もあるし、折り畳まれてコンパクトにして出荷される場合もある。複数のラベル付き包装シートが積み重ねられて提供される態様は、ラベル付き包装シートセットということができる。以下、ラベル付き包装シートセットの発明の実施形態について説明する。図4は、実施形態に係るラベル付き包装シートセットの斜視概略図である。
【0017】
図4に示すように、ラベル付き包装シートを折り畳んだ状態で提供する場合、長手方向の何カ所で短手方向に沿って折れ線を付けて折り曲げる。そして、ラベル2が設けられた周辺部11が最も上側に位置する状態で折り曲げる。ラベル付き包装シートセットは、このように折り曲げたラベル付き包装シートを多数積み重ね、箱詰め又は外装袋に袋詰めした構成となっている。
【0018】
図1~3に示された第一の実施形態のラベル付き包装シートの使用方法について、図5を参照して説明する。図5は、第一の実施形態のラベル付き包装シートの使用方法について示した斜視概略図である。図5では、包装する物品として、カットされた白菜が想定されている。
白菜は、ホール(一個全体)では一家族には大きすぎるので、スーパーマーケット等の小売店では、1/4や1/8にカットして販売している。カットしたままで売り場に並べると、衛生上の観点や見栄えの点で好ましくないので、包装シートでくるんで並べられる。
【0019】
このような包装を第一の実施形態のラベル付き包装シートが使用して行う場合、図5(1)に示すように、折り畳まれた状態のシート本体1のうち一番上側の周辺部11を摘まんで持ち上げ、シート本体1を広げる。
そして、図5(2)に示すように、カットされた白菜(以下、カット白菜)gの周囲をシート本体1でくるむ。この際、シート本体1のうち、ラベル2の第一粘着部21が貼られた側の面が上側になるようにしてくるむ。
その上で、図5(2)に矢印で示すように、ラベル2の下側に位置する第二非粘着端部25を摘まんで引っ張り、第二粘着部23を剥がす。そして、シート本体1のラベル2が設けられた周辺部11とは反対側の辺に沿った周辺部に第二粘着部23を再粘着させる。この際、シート本体1の両側の周辺部は多少重なった状態となる。これにより、図5(3)に示すように、カット白菜gの包装が完了する。
【0020】
このような実施形態のラベル付き包装シートによれば、折り畳んで提供された場合でも、物品をくるむためにシート本体1を広げる際、ラベル2の粘着部(上記の例では第二粘着部23)を剥がす必要はない。このため、くるむ動作の際に意図しない部位にラベル2が粘着してしまうことはなく、包装作業が容易に行える。
また、シート本体1を折り曲げずに提供することも可能なので、折り目のない状態での包装が可能であり、見栄えの悪化が避けられる。
【0021】
一方、図4に示すように、折り畳んだ状態で複数のラベル付き包装シートが提供される実施形態のラベル付き包装シートセットによれば、ラベル2が設けられた周辺部11が最も上側に位置するので、この周辺部11を摘まんで引っ張ることでシート本体1は広げられ、物品を包んだ後にその摘まんでいる周辺部11においてラベル2の第二非粘着端部25を摘まみ直してラベル2を剥がすことができる。このため、ラベル付き包装シートをコンパクトな状態で提供しつつもそれを使用した包装作業がより容易となる。
【0022】
尚、上記実施形態の構成において、ラベル2の第一粘着部21はシート本体1の一方の側の面に粘着し、第二粘着部23は反対側の面に粘着しており、両者は互いに粘着はしていない。第一第二粘着部21,23の長さが長く、中間非粘着部22の折り線の部分がシート本体1の縁からかなり離れた位置になっている(離れた位置で折り曲げられている)場合、第一第二粘着部21,23が互いに粘着する状態となり得るが、この実施形態ではそのような状態は排除されている。第一第二粘着部21,23が部分的に互いに粘着すると、高い粘着力のために剥離が容易ではなくなってしまい、包装の作業性が悪化する。実施形態の構成では、第一第二粘着部21,23は部分的にも互いに粘着はしていないので、このような問題はない。
また、ラベル2の一方の側の面において第二粘着部23と第二粘着部23側の長さ方向端縁との間が第二非粘着端部25となっているので、第二非粘着端部25を摘まんで第二粘着部23をシート本体1から剥がすことが容易であり、この点でも作業性が良好となっている。
【0023】
上記第一の実施形態の構成において、中間非粘着部22の折り線の部分は、シート本体1の縁に接触しているか、又はなるべく近い距離に位置していることが望ましい。この点について、図6を参照して説明する。図6は、中間非粘着部22の折り線の部分とシート本体1の縁との関係について示した斜視概略図である。
図6において、ラベル2における中間非粘着部22の折り線の部分と、シート本体1の縁との距離をdで示す。dが長くなると、ラベル2がシート本体1の縁から大きく突出した状態となる。突出が大きくなると、多数のラベル付き包装シートを梱包する際に折れ曲がったり何かに引っ掛かったりし易く、場合によってラベル2が破れてしまうこともある。距離dは0である(折り線の部分が縁に接触している)ことが理想であるが、離れていたとしても、距離dは5mm以下であることが好ましく、3mm以下、2mm以下、又は1mm以下であることがより好ましい。
【0024】
次に、第二の実施形態のラベル付き包装シートについて説明する。図7は、第二の実施形態のラベル付き包装シートの斜視概略図である。
第二の実施形態のラベル付き包装シートにおいて、シート本体1のある周辺部11にラベル2が設けられている。そして、図7に示すように、第二の実施形態では、シート本体1は、ラベル2が設けられた周辺部11を除いた部分において袋状となっている。以下、シート本体1のラベル2が設けられた周辺部11を蓋部と呼び、それ以外を袋部と呼ぶ。蓋部11と袋部12の境には、折り目が形成されている。
【0025】
この実施形態においても、ラベル2は、中間非粘着部22において折り線221が設けられて二つ折りされており、一方の側の第一粘着部21が周辺部11の一方の側の面に粘着し、他方の側の第二粘着部23が当該周辺部11の反対側の面に粘着していて、中間非粘着部22の谷を形成している部分がシート本体1の縁を跨いでいる。折り線221と縁との距離は0又は5mm以下の短い距離となっている。また、第二粘着部23は、人の手で剥がして再粘着可能な粘着特性を有している。
【0026】
図7に示す第二の実施形態のラベル付き包装シートを使用する場合、袋部12に物品を入れ、折り目で折って蓋部11を袋部12の外面に近づけた状態とする。そして、第二非粘着端部25を摘まんでラベル2を引き上げ、第二粘着部23を剥がす。そして、ラベル2を広げた状態とし、第二粘着部23を袋部12の外面に貼り付ける。これで、物品の包装が完了する。
この実施形態においても、物品を袋部12に収容する際にラベル2の第二粘着部23を剥がす必要がないので、収容する際に意図しない部位にラベル2が粘着してしまうことはなく、包装作業が容易に行える。
【0027】
尚、第二の実施形態のラベル付き包装シートを製作する場合、細長い長方形(帯状)のシート材を用意し、長さ方向の中央から少しずれた位置で二つに折り曲げる(折り線は幅方向)。一方の側の端部が少しはみ出た状態になるが、この部分が蓋部11となる。二つに折り曲げたシート材を両側端部を合わせてヒートシール等により接合することで、袋部12が形成される。その後、上記のような構成をラベル2を中間非粘着部22で谷折りして蓋部11に貼り付けることで、第二の実施形態のラベル付き包装シートが完成する。
【0028】
上記各実施形態において、ラベル2は、中間非粘着部22において内側に湾曲して幅が狭くなった形状を有している。各粘着部21,23では十分な粘着強度を確保するために一定の幅が必要であるものの、中間非粘着部22ではそのような配慮は不要なので、幅を狭くして材料コストを低減させることを意図している。また、使用者が、第二粘着部23を剥がすのではなく中間非粘着部22の部分を手で破って物品を取り出すこともあり得るので、ある程度容易に破けるようにするという配慮もある。
【0029】
上記各実施形態では、ラベル2は、左右対称であり、第一粘着部21も人の手で剥がして再粘着可能な粘着特性であるので、実際の使用態様としては、第一非粘着端部24を摘まんで第一粘着部21を剥がして物品を取り出すということもあり得る。但し、本願発明の実施に際しては、いずれか一方の粘着部が剥離可能・再粘着可能であれば足り、その粘着部の側の端部が非粘着端部となっていれば良い。但し、双方の粘着部が人の手で剥離可能であると、使用後にラベル2を剥がして廃棄する際に好適である。
【0030】
上記以外にも、ラベル2は種々の形状を取り得る。図8は、ラベル2の他の形状について示した平面概略図である。図8には、左右対称でないラベル2の形状が示されている。
ラベル2は、例えば図8(1)に示すように、長方形の横に小さな方形が突出しているような形状であっても良く、図8(2)に示すように楕円形の横に小さな方形が突出しているような形状であっても良く、図8(3)に示すように円形の横に小さな方形が突出しているような形状であっても良い。
【0031】
図8(1)~(3)において小さな方形の部分が、第二非粘着端部25に相当している。そして、大きな長方形の部分、楕円形の部分、円形の部分に、それぞれ第一粘着部21、中間非粘着部22、第二粘着部23、第一非粘着端部24が設けられている。図8に示す各例のラベル2の形状は、第二非粘着端部25が小さい幅で長く突出した形状ということができる。即ち、第二非粘着分25の幅を第二粘着部23に比べて狭くしつつその幅よりも突出長さを長くした形状である。この形状には、第二非粘着部25を摘まみ易くして第二粘着部23の剥離・再粘着をより容易にする意義がある。
【0032】
また、上記説明では、包装される物品としてはカットされた白菜を例にしたが、本願発明のラベル付き包装シート及びラベル付き包装シートセットは、他の野菜や果物、肉、魚介類等の生鮮食料品について使用することもでき、他の食品や食品以外の物品の包装にも使用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 シート本体
11 周辺部(蓋部)
12 袋部
2 ラベル
21 第一粘着部
22 中間非粘着部
23 第二粘着部
24 第一非粘着端部
25 第二非粘着端部
【要約】
【課題】 包装のために広げた状態にする際にもラベルを剥がす必要がなくて剥がしたラベルが意図しない部位に貼り付けてしまう問題がなく、折り畳んだ状態にして作業場所に搬入する必要がない構造のラベル付き包装シートを提供する。
【解決手段】 一方の側の面が長さ方向の順に第一粘着部21、中間非粘着部22、第二粘着部23となっているラベル2が中間非粘着部22において谷折りされてシート本体1の縁を跨いでおり、第一粘着部21はシート本体1の周辺部11の表面に粘着し、剥離及び再粘着可能な第二粘着部23は反対側の面でシート本体1に粘着している。ラベル2の第一粘着部21と第二粘着部23とは互いに粘着しておらず、ラベル2の第二粘着部23と第二粘着部側23の長さ方向端縁との間は第二非粘着端部25となっている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8