(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】テープカッター
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B65H35/07 L
(21)【出願番号】P 2023514851
(86)(22)【出願日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2023007465
(87)【国際公開番号】W WO2023074917
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-032166(JP,U)
【文献】米国特許第04417677(US,A)
【文献】実開昭58-176838(JP,U)
【文献】実開昭61-139956(JP,U)
【文献】特開2019-137553(JP,A)
【文献】特開2018-177523(JP,A)
【文献】特開2003-095520(JP,A)
【文献】実開昭56-006853(JP,U)
【文献】実開平02-072268(JP,U)
【文献】実開昭53-090586(JP,U)
【文献】実開昭59-108761(JP,U)
【文献】実開昭55-136744(JP,U)
【文献】実開昭59-137235(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0158017(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0260759(US,A1)
【文献】米国特許第04898312(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02559643(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、
前記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記一対の側板部の側端どうしを連結し、当該側端間の所定の範囲内に前記粘着テープの引出部を案内する案内部と、を備え、
前記案内部は、
前記底板部から離間しており、前記引出部が通過する開口と、
前記開口に連設され、前記引出部が貼着される貼着部と、
前記開口を通過した前記引出部を切断する切断刃と、を有
し、
前記底板部の厚み方向について、当該底板部は、前記切断刃を挟んで前記貼着部の反対側に位置し、
前記開口の左右方向の長さは、前記一対の側板間の間隔よりも小さいことを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
巻回された粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、
前記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記一対の側板部の側端どうしを連結し、当該側端間の所定の範囲内に前記粘着テープの引出部を案内する案内部と、
前記一対の側板部の上端どうしを連結するとともに、前記粘着テープの内側に挿通される挿通部と、を備え、
前記案内部は、
前記底板部から離間しており、前記引出部が通過する開口と、
前記開口に連設され、前記引出部が貼着される貼着部と、
前記開口を通過した前記引出部を切断する切断刃と、を有
し、
前記底板部の厚み方向について、当該底板部は、前記切断刃を挟んで前記貼着部の反対側に位置し、
前記一対の側板部は、前記粘着テープの巻回部の一部のみを側方から覆っている
ことを特徴とするテープカッター。
【請求項3】
巻回された粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、
前記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、
前記各側板部の下端に接続された底板部と、
前記一対の側板部の側端どうしを連結し、当該側端間の所定の範囲内に前記粘着テープの引出部を案内する案内部と、を備え、
前記案内部は、
前記底板部から離間しており、前記引出部が通過する開口と、
前記開口に連設され、前記引出部が貼着される貼着部と、
前記開口を通過した前記引出部を切断する切断刃と、を有
し、
前記底板部の厚み方向について、当該底板部は、前記切断刃を挟んで前記貼着部の反対側に位置し、
前記一対の側板部の前記側端どうしは、前記案内部のみによって連結されていることを特徴とするテープカッター。
【請求項4】
請求項
1乃至3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部は、前記開口から前記一対の側板部の外側に向かって張り出しているテープカッター。
【請求項5】
請求項
4に記載のテープカッターにおいて、
前記切断刃の先端は、側面視で、前記貼着部よりも内側に位置するテープカッター。
【請求項6】
請求項
4に記載のテープカッターにおいて、
前記切断刃の先端は、側面視で、前記貼着部よりも外側に位置するテープカッター。
【請求項7】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の貼着面は、前記底板部と平行であるテープカッター。
【請求項8】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の貼着面は、前記一対の側板部の外側に向かって下方に傾斜しているテープカッター。
【請求項9】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記切断刃の先端は、前記貼着部から離間しているテープカッター。
【請求項10】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の幅は、前記粘着テープの幅よりも小さいテープカッター。
【請求項11】
請求項
10に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の前記幅は、前記粘着テープの前記幅の50%以下であるテープカッター。
【請求項12】
請求項
11に記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の前記幅は、前記粘着テープの前記幅の20%以下であるテープカッター。
【請求項13】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記貼着部の長さは、前記開口の上下方向の長さ以下であるテープカッター。
【請求項14】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記開口は、側面視で、前記側板部の前記側端に重なるテープカッター。
【請求項15】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記案内部は、前記一対の側板部に対して着脱自在であるテープカッター。
【請求項16】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
前記一対の側板部、及び前記底板部は、同一の材料からなるテープカッター。
【請求項17】
請求項
16に記載のテープカッターにおいて、
前記一対の側板部、及び前記底板部は、紙類からなるテープカッター。
【請求項18】
請求項1乃至
3の何れかに記載のテープカッターにおいて、
セルロースナノファイバーを材料として含有するテープカッター。
【請求項19】
請求項
2に記載のテープカッターにおいて、
前記挿通部は、前記一対の側板部の前記上端どうしが連結された連結状態と、当該上端どうしが連結されていない非連結状態とを切り替えられるように構成されているテープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ用のテープカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテープカッターとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたテープカッターは、芯に巻回された粘着テープを回転可能に保持する。粘着テープは、巻回部、及び引出部からなる。巻回部は、芯に巻回された部分である。引出部は、巻回部から引き出された部分である。このテープカッターは、、一対の側板部(面板)、底板部、及び切断刃を備えている。一対の側板部は、粘着テープを両側方から覆っている。底板部は、側板部どうしを連結するように、各側板の下端に接続されている。切断刃は、底板部の端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のテープカッターにおいては、粘着テープの引出部を指で摘んで、底板部に沿って引っ張ることにより、一対の側板部間の隙間から粘着テープを繰り出すことができる。繰り出された粘着テープは、切断刃によって切断される。しかしながら、切断後の粘着テープの引出部は、底板部上に残ることになる。そのため、粘着テープを次に繰り出すとき、底板部が邪魔になって粘着テープの引出部を摘みにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、繰り出す際に粘着テープの引出部を摘みやすいテープカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるテープカッターは、巻回された粘着テープを回転可能に保持するテープカッターであって、上記粘着テープを両側方から覆う一対の側板部と、上記各側板部の下端に接続された底板部と、上記一対の側板部の側端間の所定の範囲内に上記粘着テープの引出部を案内する案内部と、を備え、上記案内部は、上記底板部から離間しており、上記引出部が通過する開口と、上記開口に連設され、上記引出部が貼着される貼着部と、上記開口を通過した上記引出部を切断する切断刃と、を有することを特徴とする。
【0007】
このテープカッターにおいては、一対の側板部の側端間の所定の範囲内に粘着テープの引出部を案内する案内部が設けられている。案内部は、底板部から離間した開口を有している。開口を通過した引出部は、切断刃で切断される。切断後の引出部は、開口に連設された貼着部に貼着される。これにより、引出部が開口を通過した状態が維持されるため、底板部から離間した位置で引出部を摘むことが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繰り出す際に粘着テープの引出部を摘みやすいテープカッターが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるテープカッターの一実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図8】
図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図9】
図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10】
図1のテープカッターの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図11】
図1のテープカッターの使用方法の一例を説明するための端面図である。
【
図12】
図1のテープカッターの使用方法の一例を説明するための端面図である。
【
図13】案内部30の一変形例を説明するための図である。
【
図14】案内部30の他の変形例を説明するための図である。
【
図15】案内部30の他の変形例を説明するための図である。
【
図16】貼着部34の一変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1、
図2、
図3及び
図4は、それぞれ、本発明によるテープカッターの一実施形態を示す斜視図、側面図、正面図及び平面図である。
図3は、
図1のテープカッターを右側から見た図に相当する。また、
図5は、
図1のテープカッターを示す端面図である。
【0012】
テープカッター1は、巻回された粘着テープ90を回転可能に保持するテープカッターであって、粘着テープ90を繰り出して切断するのに用いられる。粘着テープ90は、円環状の芯に巻回されている。粘着テープ90の裏面には、粘着面が露出している。粘着テープ90は、裏面にのみ粘着面が設けられていてもよいし、両面(表面及び裏面)に粘着面が設けられていてもよい。前者の例としては、例えばセロハンテープが挙げられる。後者の例としては、例えば両面テープが挙げられる。両面テープは、裏面にのみ粘着面が露出していてもよいし、両面に粘着面が露出していてもよい。前者の両面テープにおいては、表面に剥離紙が貼着されている。なお、
図1乃至
図4においては、粘着テープ90の図示を省略している。
【0013】
粘着テープ90は、巻回部92、及び引出部94からなる(
図5参照)。巻回部92は、粘着テープ90における芯に巻回された部分であり、全体として円環状をしている。巻回部92の各部分の裏面は、巻回部92の他の部分の表面、又は芯に貼着されている。引出部94は、粘着テープ90における巻回部92から引き出された部分である。それゆえ、引出部94の裏面は、巻回部92の表面にも芯にも貼着されていない。
【0014】
テープカッター1は、一対の側板部10、底板部20、及び案内部30を備えている。一対の側板部10は、粘着テープ90を両側方から覆っている。
図5は、側板部10に平行で、かつ一対の側板部10の中間に位置する端面を示している。側板部10は、粘着テープ90の巻回部92の一部のみを側方から覆っている。すなわち、側板部10は、側面視で、巻回部92の一部にのみ重なっている。各側板部10は、矩形の板状をしている。各側板部10には、後述する爪部38の差込口となる切込12が形成されている。側板部10の材料としては、例えば、紙類、プラスチック、金属、又は木材を用いることができる。紙類には、加工紙、及びセルロースナノファイバー(CNF)も含まれる。プラスチックは、生分解性プラスチックであってもよい。
【0015】
底板部20は、各側板部10の下端10aに接続されている。これにより、一対の側板部10の下端10aどうしは、底板部20によって連結されている。底板部20は、各側板部10の下端10aの全体に接続されていてもよいし、一部にのみ接続されていてもよい。底板部20は、板状をしている。底板部20の厚み方向は、側板部10の厚み方向に垂直である。底板部20は、側板部10と一体に形成されることが好ましい。底板部20は、側板部10と同一の材料からなってもよいし、異なる材料からなってもよい。
【0016】
案内部30は、一対の側板部10の側端10b間の所定の範囲内に粘着テープ90の引出部94を案内する。すなわち、案内部30は、側面視で引出部94が側端10bと所定の範囲内で交わるように、引出部94を案内する。案内部30は、底板部20から離間している。案内部30は、各側板部10に接続されている。具体的には、案内部30は、各側板部10の側端10bに接続されている。これにより、一対の側板部10の側端10bどうしは、案内部30によって連結されている。本実施形態において一対の側板部10の側端10bどうしは、案内部30のみによって連結されている。それゆえ、一対の側板部10の側端10bどうしは、案内部30の反対側においては連結されていない。案内部30は、側板部10と同一の材料からなってもよいし、異なる材料からなってもよい。
【0017】
図6は、案内部30を示す斜視図である。案内部30は、開口32、貼着部34、切断刃36、及び爪部38を有している。開口32は、粘着テープ90の引出部94が通過する部分である。開口32は、底板部20から離間している。開口32は、側面視で、側板部10の側端10bに重なっている。開口32の全体を含む平面の垂線は、側板部10の厚み方向にも底板部20の厚み方向にも垂直である。上述の「所定の範囲」は、開口32の範囲に等しい。開口32は、正面視で、横長の矩形をしている。開口32の左右方向(側板部10の厚み方向に等しい)の長さd1(
図3参照)は、一対の側板部10間の間隔d2よりも小さい。長さd1は、粘着テープ90の幅よりも大きい。
【0018】
貼着部34は、開口32に連設されている。具体的には、貼着部34は、開口32の下端に連設されている。貼着部34は、開口32から一対の側板部10の外側に向かって張り出している。貼着部34には、
図5に示すように、粘着テープ90の引出部94が貼着される。具体的には、貼着部34の貼着面34aに、引出部94の裏面が貼着される。貼着面34aは、貼着部34の上面に等しい。貼着面34aは、平面状をしている。貼着面34aは、底板部20と平行である。貼着部34の幅w1(
図4参照)は、粘着テープ90の幅よりも小さい。すなわち、幅w1は、テープカッター1において使用することが想定される粘着テープ90の幅よりも小さく設計されている。幅w1は、貼着面34aの左右方向の寸法として定義される。幅w1は、粘着テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。貼着部34の長さd5は、開口32の上下方向(底板部20の厚み方向に等しい)の長さd6以下であることが好ましい。長さd5は、貼着面34aの張出方向(貼着面34aの面内で、左右方向に垂直な方向)の寸法として定義される。本実施形態において長さd5は、長さd6に等しい。
【0019】
切断刃36は、開口32を通過した引出部94を切断する。切断刃36は、引出部94の裏面に当接した状態で引出部94を切断する。上述の開口32及び貼着部34は、引出部94に沿って、巻回部92と切断刃36との間に設けられている。切断刃36の先端は、引出部94を切断しやすいように、外向き(側端10bから遠ざかる向き)になっている。切断刃36の先端は、側面視で、側板部10の側端10bから食み出している。また、切断刃36の先端は、側面視で、貼着部34よりも内側に位置している。すなわち、切断刃36の先端から側端10bまでの距離d3(
図2参照)は、貼着部34の先端から側端10bまでの距離d4よりも小さい。切断刃36の先端は、貼着部34から離間している。切断刃36の先端は、底板部20からも離間している。すなわち、側板部10の上下方向について、切断刃36の先端は、貼着部34と底板部20との間に位置している。切断刃36は、案内部30の下端に設けられている。切断刃36の幅は、粘着テープ90の幅以上である。
【0020】
切断刃36は、案内部30の他の部分と同一の材料からなってもよいし、異なる材料からなってもよい。後者の場合、例えば、切断刃36の材料として金属を用いるとともに、他の部分の材料として紙類を用いることが考えられる。また、切断刃36は、案内部30の他の部分と一体に形成されてもよいし、他の部分と別々に形成された後に当該部分に取り付けられてもよい。
【0021】
爪部38は、案内部30を側板部10に取り付けるための部分である。爪部38は、案内部30の両側端の各々から一対の側板部10の内側に向かって延在している。ただし、
図6においては、2つの爪部38のうち片方の爪部38の図示を省略している。爪部38を側板部10の切込12に差し込むことにより、側板部10に案内部30を取り付けることができる。本実施形態において爪部38は、各側板部10の外面から内面に向かって差し込まれている。爪部38を切込12から引き抜くことにより、側板部10から案内部30を取り外すことができる。このように、案内部30は、一対の側板部10に対して着脱自在である。ここで、着脱自在とは、側板部10及び案内部30を損傷することなく、側板部10に対する案内部30の取付け及び取外しを繰り返し行えるということである。
【0022】
図1に戻って、テープカッター1は、さらに挿通部40を備えている。挿通部40は、粘着テープ90がテープカッター1から脱落しないように、粘着テープ90の内側(芯の内側)に挿通されている。挿通部40は、板状をしている。挿通部40の厚み方向は、底板部20の厚み方向に等しい。挿通部40は、各側板部10の上端10cに接続されている。2つの挿通部40は、重なり合った状態で互いに固定されている。これにより、一対の側板部10の上端10cどうしは、挿通部40によって連結されている。各挿通部40は、側板部10と一体に形成されることが好ましい。挿通部40は、側板部10と同一の材料からなってもよいし、異なる材料からなってもよい。挿通部40は、連結状態と非連結状態とを切り替えられるように構成されている。ここで、連結状態とは、一対の側板部10の上端10cどうしが連結された状態をいう。また、非連結状態とは、上端10cどうしが連結されていない状態をいう。
【0023】
図7乃至
図10を参照しつつ、テープカッター1の製造方法の一例を説明する。まず、充分な大きさのシートを切断し、
図7に示す形のシート52、及び
図8に示す形のシート54を準備する。本例において各シート52,54は、紙類(厚紙)からなる。シート52は、側板部10となる部分10p、底板部20となる部分20p、挿通部40となる部分40p、及び爪部42からなる。部分10pには、切込12が形成されている。挿通部40pの一方には、爪部42が接続されている。挿通部40pの他方には、爪部42の差込口となる切込44が形成されている。シート54は、開口32となる部分32p、貼着部34となる部分34p、及び爪部38となる部分38pからなる。
【0024】
次に、
図9に示すように、折目L1、折目L2及び折目L3に沿ってシート52を直角に谷折りにする。折目L1は、部分10pと部分20pとの境界に位置する。折目L2は、部分10pと部分40pとの境界に位置する。折目L3は、部分40pと爪部42との境界に位置する。このとき、部分40pが粘着テープ90の内側に挿通されるように、一対の部分10p間に粘着テープ90を配置する。その後、切込44が形成された部分40pの上に、爪部42が接続された部分40pが重なるようにして、一対の部分40pどうしを固定する。この固定は、爪部42を切込44に差し込むことにより行われる。これにより、連結状態と非連結状態とを切り替えられるようにすることができる。このように、本例において側板部10、底板部20及び挿通部40は、1枚のシートから形成されている。
【0025】
また、
図10に示すように、折目L4に沿ってシート54を直角に谷折りするとともに、折目L5に沿ってシート54を直角に山折りする。折目L4は、部分34pの下端に位置する。折目L5は、部分38pの根元に位置する。これにより、部分34pが抜けた部分が、部分32pと共に開口32となる。さらに、開口32の下方に切断刃36を取り付けることにより、案内部30が形成される。その後、爪部38を切込12に差し込むことにより、案内部30が側板部10に取り付けられる。以上により、
図1乃至
図5に示したテープカッター1が得られる。
【0026】
図11及び
図12を参照しつつ、テープカッター1の使用方法の一例を説明する。まず、
図11に示すように、粘着テープ90の引出部94を指で摘んで、引出部94を貼着部34から剥がした後、引出部94を側板部10の外側に引っ張る。これにより、開口32を通して、一対の側板部10の側端10b間の隙間から粘着テープ90が繰り出される。次に、
図12に示すように、引出部94の裏面を切断刃36の先端に押し当てるようにして引出部94を切断する。切断後、引出部94は、再び、貼着部34に貼着された状態となる(
図5参照)。このとき、引出部94の端94aは、切断刃36の先端上に残ってもよいし、切断刃36の先端から離れてもよい。このようにして、テープカッター1から粘着テープ90を繰り出して、所望の長さの切断片を得ることができる。
【0027】
テープカッター1の効果を説明する。テープカッター1においては、一対の側板部10の側端10b間の所定の範囲内に粘着テープ90の引出部94を案内する案内部30が設けられている。案内部30は、底板部20から離間した開口32を有している。開口32を通過した引出部94は、切断刃36で切断される。切断後の引出部94は、開口32に連設された貼着部34に貼着される。これにより、引出部94が開口32を通過した状態が維持されるため、底板部20から離間した位置で引出部94を摘むことが可能となる。したがって、繰り出す際に粘着テープ90の引出部94を摘みやすいテープカッター1が実現されている。
【0028】
このように粘着テープ90を貼着部34に貼着しておくことにより、粘着テープ90の巻戻り(引出部94が巻回部92に戻ること)を起こりにくくすることができる。
【0029】
貼着部34は、開口32から一対の側板部10の外側に向かって張り出している。これにより、貼着部34が側板部10の内側に向かって張り出している場合に比して、貼着部34に貼付された引出部94を摘みやすくなる。
【0030】
切断刃36の先端は、側面視で、貼着部34よりも内側に位置している。この場合、貼着部34に対して切断刃36が引っ込んだ状態となるため、テープカッター1の安全性を高めることができる。
【0031】
貼着面34aは、底板部20と平行である。この場合、切断刃36で引出部94を切断する際、貼着面34aが引出部94の裏面に強く接触するため、引出部94を貼着面34aに貼着させやすくなる。
【0032】
切断刃36の先端は、貼着部34から離間している。この場合、貼着部34に貼付された引出部94を切断刃36から離れた位置で摘めるため、粘着テープ90を繰り出す際に指が切断刃36に触れにくくなる。このため、テープカッター1の安全性を高めることができる。
【0033】
貼着部34の幅w1は、粘着テープ90の幅よりも小さい。この場合、幅w1を変えることにより、貼着部34と引出部94との接触面積、ひいては貼着部34と引出部94との間の粘着力を調整することができる。これにより、貼着部34の材料の選択肢を増やすことができる。
【0034】
粘着テープ90における貼着部34に貼着されていた部分は、貼着部34から剥がした後に粘着力が低下しやすい。それゆえ、幅w1を小さくした方が、粘着テープ90の粘着力を維持するのに有利である。かかる観点から、幅w1は、粘着テープ90の幅の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。他方、幅w1が小さすぎると、貼着部34と粘着テープ90との間の粘着力が不充分になりかねない。かかる観点から、幅w1は、粘着テープ90の幅の1%以上であることが好ましい。
【0035】
開口32の左右方向の長さd1は、一対の側板部10間の間隔d2よりも小さい。この場合、左右方向についての引出部94の位置を開口32によって規制することができる。これにより、粘着テープ90を繰り出す際、引出部94が左右方向にぶれにくくなる。
【0036】
貼着部34の長さd5が開口32の上下方向の長さd6以下である場合、開口32及び貼着部34を1枚のシートから容易に形成することができる。すなわち、
図10で説明したように、1枚のシートを折り曲げることにより、開口32及び貼着部34を同時に形成することができる。
【0037】
開口32は、側面視で、側板部10の側端10bに重なっている。このように開口32の位置を側端10bに揃えることにより、一対の側板部10の側端10b間の所定の範囲内に粘着テープ90の引出部94を確実に案内することができる。
【0038】
案内部30は、各側板部10に接続されている。この場合、案内部30を、テープカッター1の形状(一対の側板部10が一定の間隔で対向した形状)を維持するための部材としても機能させることができる。
【0039】
案内部30は、各側板部10の側端10bに接続されている。これにより、開口32の位置を側板部10の側端10bに揃えやすくなる。
【0040】
案内部30は、一対の側板部10に対して着脱自在である。これにより、側板部10又は案内部30の何れか一方のみを交換することが可能となる。
【0041】
一対の側板部10及び底板部20が同一の材料からなる場合、側板部10及び底板部20を一体に形成しやすくなる。このように側板部10及び底板部20を一体に形成することにより、テープカッター1の製造工程を簡略化し、それによりテープカッター1の製造コストを削減することができる。
【0042】
一対の側板部10及び底板部20が紙類からなる場合、テープカッター1の軽量化を図ることができる。テープカッター1がCNFを材料として含有する場合、テープカッター1の軽量化及び高強度化を図るのに有利となる。また、CNFを用いることは、環境負荷の低減にも資する。
【0043】
側板部10は、粘着テープ90の巻回部92の一部のみを側方から覆っている。これにより、側板部10の材料を節約することができる。このことも、テープカッター1の製造コストの削減に資する。ただし、側板部10は、粘着テープ90の巻回部92の全体を側方から覆ってもよい。
【0044】
挿通部40は、一対の側板部10の上端10cどうしを連結するとともに、粘着テープ90の内側に挿通されている。これにより、粘着テープ90がテープカッター1から脱落するのを防ぎつつ、側板部10の材料を大幅に節約することができる。
【0045】
挿通部40は、連結状態と非連結状態とを切り替えられるように構成されている。この場合、非連結状態にすることにより、粘着テープ90を新しいものと交換することが可能となる。これにより、テープカッター1を繰り返し使用することができるため、経済的である。
【0046】
一対の側板部10の側端10bどうしは、案内部30のみによって連結されている。この場合、案内部30の他には、側板部10の側端10bどうしを連結する部材が不要である。これにより、テープカッター1の材料を節約することができる。このことも、テープカッター1の製造コストの削減に資する。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、貼着部34の貼着面34aが底板部20と平行である場合を例示した。しかし、例えば
図13に示すように、貼着部34の貼着面34aは、一対の側板部10の外側に向かって下方に傾斜していてもよい。この場合、開口32を通過した引出部94を切断刃36まで円滑に誘導しやすくなる。
【0048】
上記実施形態においては、切断刃36の先端が側面視で貼着部34よりも内側に位置する場合を例示した。しかし、例えば
図14に示すように、切断刃36の先端は、側面視で、貼着部34よりも外側に位置してもよい。この場合、貼着部34に対して切断刃36が出っ張った状態となるため、切断刃36で粘着テープ90を切断しやすくなる。
【0049】
上記実施形態においては、貼着部34が開口32から一対の側板部10の外側に向かって張り出している場合を例示した。しかし、例えば
図15に示すように、貼着部34は、開口32から一対の側板部10の内側に向かって張り出していてもよい。その場合、貼着部34は、一対の側板部10の間に挟まれた状態となる。
【0050】
上記実施形態においては、貼着面34aの左右方向の寸法が一定である場合を例示した。しかし、貼着面34aの左右方向の寸法は、例えば
図16に示すように、一定でなくてもよい。
図16は、貼着部34を上から見た図である。同図において上記寸法は、貼着部34の先端に近づくにつれて単調に小さくなっている。これにより、貼着部34に貼付された引出部94を一層摘みやすくなる。このように貼着面34aの左右方向の寸法が一定でない場合、貼着部34の幅w1は、当該寸法の最大値として定義される。
【0051】
上記実施形態においては、貼着部34の幅w1が粘着テープ90の幅よりも小さい場合を例示した。しかし、幅w1は、粘着テープ90の幅に等しくてもよいし、粘着テープ90の幅より大きくてもよい。例えば、幅w1は、開口32の左右方向の長さd1に等しくてもよい。
【0052】
上記実施形態においては、案内部30が側板部10に対して着脱自在である場合を例示した。しかし、案内部30は、側板部10に対して着脱自在でなくてもよい。その場合、案内部30は、側板部10と一体に形成されてもよいし、側板部10と別々に形成された後に側板部10に取り付けられてもよい。かかる取付けは、例えば接着剤を用いて行うことができる。
【0053】
上記実施形態においては、挿通部40が連結状態と非連結状態とを切り替えられるように構成された場合を例示した。しかし、挿通部40は、テープカッター1が連結状態のみで使用されるように構成されていてもよい。その場合、2つの挿通部40どうしの固定は、例えば接着剤を用いて行うことができる。
【0054】
上記実施形態においては、粘着テープ90の裏面に切断刃36が当接するように粘着テープ90が保持される場合を例示した。しかし、粘着テープ90は、粘着テープ90の表面に切断刃36が当接するように保持されてもよい。すなわち、
図5において粘着テープ90を繰り出す際に巻回部92が反時計回りに回転するように、粘着テープ90が保持されてもよい。かかる保持の仕方は、粘着テープ90が表面に剥離紙が貼着された両面テープである場合に適している。この場合、開口32の上端に引出部94を貼着させてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 テープカッター
10 側板部
10a 下端
10b 側端
10c 上端
12 切込
20 底板部
30 案内部
32 開口
34 貼着部
34a 貼着面
36 切断刃
38 爪部
40 挿通部
42 爪部
44 切込
52 シート
54 シート
90 粘着テープ
92 巻回部
94 引出部
94a 端