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  • 特許-安定乳化組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】安定乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/10 20160101AFI20240105BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240105BHJP
   A23D 7/005 20060101ALI20240105BHJP
   A23D 7/01 20060101ALI20240105BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240105BHJP
【FI】
A23L29/10
A23L29/269
A23D7/005
A23D7/01
A23L5/00 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023546353
(86)(22)【出願日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2023009109
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301016997
【氏名又は名称】株式会社上野忠
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】有本 文也
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136639(WO,A1)
【文献】特開昭60-014933(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008715(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/030605(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23D
A21D
B01J13/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中鎖脂肪酸トリグリセライドと、ブドウ糖と、レシチンと、シュガーエステルと、キサンタンガムと、水を含み、
前記中鎖脂肪酸トリグリセライドの重量割合が、20~45重量%であり、
前記ブドウ糖の重量割合が、14~34重量%であり、
前記レシチンの重量割合が、0.5~4重量%であり、
前記シュガーエステルの重量割合が0.5~4重量%であり、
前記キサンタンガムの重量割合が、0.1~0.5重量%であり、
前記水の重量割合が、30~55重量%であり、
前記中鎖脂肪酸トリグリセライドとして、脂肪酸の炭素数が8~14である中鎖脂肪酸トリグリセライドのみを含むことを特徴とする安定乳化組成物。
【請求項2】
前記中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量に対する前記水の含有量の比が[水の含有量]/[中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量]=2.75/1~1/1.5である請求項1に記載の安定乳化組成物。
【請求項3】
前記キサンタンガムの含有量に対する前記シュガーエステルの含有量の比が、[シュガーエステルの含有量]/[キサンタンガムの含有量]=1/0.025~1/1である請求項1又は2に記載の安定乳化組成物。
【請求項4】
水中油滴型の乳化組成物である請求項1又は2に記載の安定乳化組成物。
【請求項5】
前記シュガーエステルのHLB値が、7~15である請求項1又は2に記載の安定乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
中鎖脂肪酸トリグリセライドは疎水性が高く、水と混合しても速やかに分離してしまうことは、知られている。
また、中鎖脂肪酸トリグリセライドと水との混合物において、これらが分離しないように、界面活性剤を加えて乳化させる方法も従来より知られている。
【0003】
特許文献1には、リン脂質、トリグリセリド、非イオン界面活性剤、及び水を含み、トリグリセリドの含有率が水中油型乳化組成物の全質量に対して0.5質量%を超え20質量%以下であり、トリグリセリドの含有率に対する非イオン界面活性剤の含有率の質量比が0.4~2.5であり、トリグリセリドの含有率に対するリン脂質の含有率の質量比が0.05~0.7であり、pHが7~11であり、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下である、水中油型乳化組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-210222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような水中油型乳化組成物では、トリグリセリド(特に、中鎖脂肪酸トリグリセリド)の含有量が少ないので、水中油型乳化組成物の乳化安定性は比較的高かった。
しかし、水と中鎖脂肪酸トリグリセライドとの混合物において、中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有割合が多くなると、乳化安定性が低くなり、乳化層と水層及び/又は油層とが分離してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、乳化安定性が高く、乳化層と水層及び/又は油層とが分離しにくい安定乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の安定乳化組成物は、中鎖脂肪酸トリグリセライドと、ブドウ糖と、レシチンと、シュガーエステルと、キサンタンガムと、水を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の安定乳化組成物は、シュガーエステルを含む。乳化組成物にシュガーエステルが含まれていると、乳化粒の強度を向上させることができる。そのため、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
【0009】
本発明の安定乳化組成物は、キサンタンガムを含む。乳化組成物にキサンタンガムが含まれていると、乳化組成物の粘度が向上する。乳化組成物の粘度が向上すると、乳化粒が壊れにくくなり、乳化粒の移動を抑制することができる。そのため、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
なお、レシチン及びシュガーエステルも、乳化粒の移動を抑制していると考えられる。
【0010】
本発明の安定乳化組成物はレシチンを含む。乳化組成物にレシチンが含まれていると、乳化組成物の流動性を向上させることができる。
【0011】
本明細書において、乳化安定性が高いとは、乳化粒が壊れにくいこと、並びに、乳化層と水層及び/又は油層とに分離しにくいことの両方を意味する。
【0012】
本明細書には、以下の事項が開示されている。
【0013】
本開示(1)は中鎖脂肪酸トリグリセライドと、ブドウ糖と、レシチンと、シュガーエステルと、キサンタンガムと、水を含むことを特徴とする安定乳化組成物である。
【0014】
本開示(2)は上記中鎖脂肪酸トリグリセライドの重量割合が、20~45重量%である本開示(1)に記載の安定乳化組成物である。
【0015】
本開示(3)は上記水の重量割合が、30~55重量%である本開示(1)又は(2)に記載の安定乳化組成物である。
【0016】
本開示(4)は上記シュガーエステルの重量割合が、0.5~4重量%である本開示(1)~(3)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0017】
本開示(5)は上記キサンタンガムの重量割合が、0.1~0.5重量%である本開示(1)~(4)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0018】
本開示(6)は上記レシチンの重量割合が、0.5重量%以上である本開示(1)~(5)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0019】
本開示(7)は上記中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量に対する上記水の含有量の比が[水の含有量]/[中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量]=2.75/1~1/1.5である本開示(1)~(6)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0020】
本開示(8)は上記キサンタンガムの含有量に対する上記シュガーエステルの含有量の比が、[シュガーエステルの含有量]/[キサンタンガムの含有量]=1/0.025~1/1である本開示(1)~(7)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0021】
本開示(9)は水中油滴型の乳化組成物である本開示(1)~(8)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0022】
本開示(10)は粘度が300mPa・s以上である本開示(1)~(9)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0023】
本開示(11)は上記シュガーエステルのHLB値が、7~15である本開示(1)~(10)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【0024】
本開示(12)は上記中鎖脂肪酸トリグリセライドを構成する中鎖脂肪酸の炭素数が、8~14である本開示(1)~(11)のいずれかに記載の安定乳化組成物である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、乳化安定性が高く、乳化層と水層及び/又は油層とが分離しにくい安定乳化組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、レシチンの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
図2図2は、シュガーエステルの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
図3図3は、キサンタンガムの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の安定乳化組成物について詳述する。
本発明の安定乳化組成物は、中鎖脂肪酸トリグリセライドと、ブドウ糖と、レシチンと、シュガーエステルと、キサンタンガムと、水を含むことを特徴とする。
本発明の安定乳化組成物は、上記構成を有していれば、本発明の効果を奏する限り、他の化合物を含んでいてもよい。
【0028】
本発明の安定乳化組成物は、シュガーエステルを含む。乳化組成物にシュガーエステルが含まれていると、乳化粒の強度を向上させることができる。そのため、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
【0029】
本発明の安定乳化組成物は、キサンタンガムを含む。乳化組成物にキサンタンガムが含まれていると、乳化組成物の粘度が向上する。乳化組成物の粘度が向上すると、乳化粒が壊れにくくなると乳化粒の移動を抑制することができる。そのため、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
なお、レシチン及びシュガーエステルも、乳化粒の移動を抑制していると考えられる。
【0030】
本発明の安定乳化組成物はレシチンを含む。乳化組成物にレシチンが含まれていると、乳化組成物の流動性を向上させることができる。
【0031】
すなわち、本発明の安定乳化組成物は、レシチン、シュガーエステル及びキサンタンガムを含むので乳化安定性が高い。
【0032】
本発明の安定乳化組成物に含まれるブドウ糖及びレシチンは、栄養源である。
そのため、本発明の安定乳化組成物を摂取することにより、栄養を補給することができる。
また、本発明の安定乳化組成物は、経口摂取することが好ましい。
【0033】
本発明の安定乳化組成物は、水中油滴型の乳化組成物であってもよく、油中水滴型の乳化組成物であってもよいが、水中油滴型の乳化組成物であることが好ましい。
【0034】
本発明の安定乳化組成物の粘度は、300mPa・s以上であることが好ましく、300~10000mPa・sであることがより好ましく、500~7500mPa・sであることがより好ましい。
本発明の安定乳化組成物の粘度は、300mPa・s以上であると、乳化粒の移動が阻害され、乳化層と水層及び/又は油層とが分離しにくくなる。そのため、安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
【0035】
なお、本明細書において、安定乳化組成物の粘度は、東機産業(株)製:R100型(E型;REタイプ)粘度計、ロータコードNo.4(3°×R14)により測定した値を意味する。
【0036】
本発明の安定乳化組成物では、中鎖脂肪酸トリグリセライドの重量割合が、25~45重量%であることが好ましい。
また、本発明の安定乳化組成物では、水の重量割合が、35~55重量%であることが好ましい。
さらに、本発明の安定乳化組成物では、中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量に対する水の含有量の比が[水の含有量]/[中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量]=2.75/1~1/1.5であることが好ましく、1.6/1~1/1.25であることがより好ましい。
このように、中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量に対する水の含有量の比が大きかったとしても、本発明の安定乳化組成物は、シュガーエステル及びキサンタンガムを含むので、乳化粒の移動を抑制することができ、乳化の長期安定性が充分に高い。
【0037】
本発明の安定乳化組成物において、中鎖脂肪酸トリグリセライドを構成する中鎖脂肪酸の炭素数は、8~14であることが好ましい。
中鎖脂肪酸の炭素数が上記範囲であると、安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
【0038】
本発明の安定乳化組成物では、シュガーエステルの重量割合が、0.5~4重量%であることが好ましく、1~2重量%であることがより好ましい。
シュガーエステルの重量割合が、0.5重量%未満であると、乳化粒の強度が向上しにくくなる。また、安定乳化組成物の粘度が低くなる。
シュガーエステルの重量割合が、4重量%を超えると、安定乳化組成物の粘度が高くなりすぎ、扱いにくくなる。
【0039】
本発明の安定乳化組成物において、シュガーエステルのHLB値は、7~15であることが好ましく、8~14であることがより好ましく、9~13であることがさらに好ましい。
シュガーエステルのHLB値が上記範囲である場合、安定乳化組成物は、水中油滴型の乳化組成物となりやすい。
【0040】
なお、本明細書において、HLB(Hydrophile Lypophile Balanceの略)値は、親水性か親油性かを知る指標となるもので、0~20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。
【0041】
本発明において、HLB値は、下記Griffin式より算出される。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
【0042】
本発明の安定乳化組成物では、キサンタンガムの重量割合が、0.1~0.5重量%であることが好ましく、0.2~0.35重量%であることがより好ましい。
キサンタンガムの重量割合が、0.1重量%未満であると、安定乳化組成物の粘度が低くなりやすくなる。
キサンタンガムの重量割合が、0.5重量%を超えると、安定乳化組成物の粘度が高くなりすぎ扱いにくくなる。
【0043】
本発明の安定乳化組成物では、キサンタンガムの含有量に対するシュガーエステルの含有量の比が、[シュガーエステルの含有量]/[キサンタンガムの含有量]=1/0.025~1/1であることが好ましく、1/0.05~1/0.5であることがより好ましい。
上記割合であると、本発明の安定乳化組成物の粘度及び乳化粒の強さが好適になる。
そのため、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
【0044】
本発明の安定乳化組成物では、レシチンの重量割合が、0.5重量%以上であることが好ましく、0.8~1重量%であることがさらに好ましい。
レシチンは界面活性剤であり、本発明の安定乳化組成物を製造する際に、中鎖脂肪酸トリグリセライドと水との乳化に寄与している。レシチンの重量割合が上記範囲であると、中鎖脂肪酸トリグリセライドと水とを好適に乳化することができる。
レシチンの重量割合が、0.5重量%未満であると、安定乳化組成物の粘度が高くなりすぎ扱いにくくなる。
また、レシチンの重量割合が、4重量%以下であると、本発明の安定乳化組成物全体のバランスが良好になり、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
なお、レシチンの重量割合が、4重量%を超えると、長期間保存した際に、乳化層と、水層及び/又は油層とが分離しやすくなる。これは、シュガーエステルによる乳化安定性が向上する効果が阻害されることが理由と予測される。
【0045】
本発明の安定乳化組成物において、レシチンは、動物由来レシチンであってもよく、植物由来レシチンであってもよい。動物由来レシチンとしては、卵黄レシチンが挙げられる。
植物由来レシチンとしては大豆レシチンが挙げられる。
【0046】
本発明の安定乳化組成物では、ブドウ糖の重量割合が、14~34重量%であることが好ましく、20~25重量%であることがより好ましい。
ブドウ糖の重量割合が上記範囲であると、本発明の安定乳化組成物を摂取する際に、充分に栄養を補給することができる。
【0047】
本発明の安定乳化組成物では、pHが5~9であることが好ましい。
pHが上記範囲であると、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性が向上する。
なお、本発明の安定乳化組成物のpHが5~6であると、弱酸性となるので乳化安定性は若干低下するが、細菌が繁殖しにくくなる。そのため、細菌を繁殖させたくない場合には、このようなpHにすることが好ましい。
なお、無菌状態で本発明の安定乳化組成物を製造する場合には、本発明の安定乳化組成物のpHを6~8とすることが好ましい。このようなpHの範囲であると、本発明の安定乳化組成物の乳化安定性がより向上する。
【0048】
本発明の安定乳化組成物は、クエン酸、乳酸、酢酸、リン酸、コハク酸、酒石酸等の酸及びこれらの塩を含んでいてもよい。
このような化合物を用いることにより、本発明の安定乳化組成物のpHを調整することができる。
【0049】
本発明の安定乳化組成物は、添加剤としてさらに、香料、フレーバー、着色料等を含んでいてもよい。
【実施例
【0050】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例)及び(比較例)
表1に示す組成物を混合し、PRIMIX社製:ホモミクサーMARK II 2.5型により攪拌することにより乳化させ、各実施例及び各比較例に係る乳化組成物を製造した。
なお、表1における組成の数値は、「重量%」である。
表1において、中鎖脂肪酸トリグリセライドは理研ビタミン株式会社製:食用油脂アクターM-6(炭素数:8~14)を用いた。
表1において、レシチンは大豆レシチン(J-オイルミルズ社製:レシチンCL)を用いた。
表1において、シュガーエステルは、三菱ケミカル社製:リョートーシュガーエステルS-1170Fを用いた。なお、シュガーエステルのHLB値は11であった。
表1において、キサンタンガムは、オルガノフードテック社製:エクセルガムXTを用いた。
【0052】
【表1】
【0053】
(粘度測定)
実施例1、実施例2-1、実施例2-2、実施例3-1、実施例3-2、実施例4-1、実施例4-2、比較例2-1、比較例3-1及び比較例4-1に係る乳化組成物について、東機産業(株)製:R100型(E型;REタイプ)粘度計、ロータコードNo.4(3°×R14)を用いて粘度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0054】
また、実施例1、実施例2-1、実施例2-2及び比較例2-1に基づき、レシチンの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を図1に示す。
図1は、レシチンの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
また、実施例1、実施例3-1、実施例3-2及び比較例3-1に基づき、シュガーエステルの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を図2に示す。
図2は、シュガーエステルの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
また、実施例1、実施例4-1、実施例4-2及び比較例4-1に基づき、キサンタンガムの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を図3に示す。
図3は、キサンタンガムの含有量の変化に伴う、乳化組成物の粘度の変化を示すグラフである。
【0055】
(遠心分離安定性試験)
各実施例及び各比較例に係る乳化組成物について、日立工機(株)製:himac CT6Eを用いて、4000rpm、10分間の条件及び4000rpm、70分の条件で遠心分離を行い、乳化状態が維持されているか否かを目視にて確認した。なお、本試験は、過酷な条件下に置き、意図的に乳化組成物の劣化を進めて品質を検証する過酷試験である。
結果を表1に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:乳化層と水層及び/又は油層とが分離しておらず、乳化状態が維持されていた。
〇:一部、水層及び/又は油層が分離した部分があったが、乳化状態が維持されていた。
×:乳化層と水層及び/又は油層とが分離しており、乳化状態が維持されていなかった。
【0056】
(経時安定性試験)
各実施例及び各比較例に係る乳化組成物について、常温で30日間静置し、乳化状態が維持されているか否かを経時的に目視にて確認した。
また、各実施例及び各比較例に係る乳化組成物について、50度で30日間静置し、乳化状態が維持されているか否かを経時的に目視にて確認した。なお、本試験は、過酷な条件下に置き、意図的に乳化組成物の劣化を進めて品質を検証する過酷試験である。
結果を表2に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:乳化層と水層及び/又は油層とが分離しておらず、乳化状態が維持されていた。
〇:一部、乳化層と水層及び/又は油層が分離した部分があったが、乳化状態が維持されていた。
×:乳化層と水層及び/又は油層とが分離しており、乳化状態が維持されていなかった。
【0057】
【表2】
【0058】
表1及び表2に示すように、各実施例に係る乳化組成物は、乳化安定性が高く、安定乳化組成物といえる。
また、実施例5と他の実施例とを比較すると、クエン酸の有無は乳化安定性に殆ど影響しないことが判明した。
【0059】
表1及び表2に示すように、レシチン、シュガーエステル及びキサンタンガムの内、いずれか一つを含まない各比較例に係る乳化組成物は、乳化安定性が低いことが判明した。
【要約】
乳化安定性が高く、乳化層と水層及び/又は油層とが分離しにくい安定乳化組成物を提供する。
本発明の安定乳化組成物は、中鎖脂肪酸トリグリセライドと、ブドウ糖と、レシチンと、シュガーエステルと、キサンタンガムと、水を含むことを特徴とする。
図1
図2
図3