IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪シーリング印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-RFIDタグ 図1
  • 特許-RFIDタグ 図2
  • 特許-RFIDタグ 図3
  • 特許-RFIDタグ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】RFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20240105BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240105BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G09F3/00 M
G06K19/077 144
G06K19/07 230
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086416
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182022
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161942
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨 みどり
(72)【発明者】
【氏名】盛屋 考治
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299053(JP,A)
【文献】特開2016-110371(JP,A)
【文献】特開2014-160174(JP,A)
【文献】特開2009-252193(JP,A)
【文献】米国特許第7417550(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
G06K 19/077
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の表面基材と、RFIDインレイと、紙製の下層基材とをこの順で備えたRFIDタグであって、
該表面基材が該RFIDインレイ側の表面に接着層Aを有し、該接着層Aを介して該下層基材と接着し、
該表面基材が該RFIDインレイと非接着領域を介して接しており、
該RFIDインレイが該下層基材側の表面に接着層Bを有し、
該下層基材が該RFIDインレイ側の表面に離型層を有し、
該接着層Bが該離型層に剥離可能に接着している、
RFIDタグ。
【請求項2】
前記非接着領域が、前記接着層Aに糊止め層を有することにより形成された領域か、
または、前記接着層Aの形成されていない領域である
請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記表面基材が、前記表面基材の前記RFIDインレイ上部を除去可能なミシン目を備えた
請求項1または2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記下層基材がさらに、前記離型層を有しない側の表面に接着層Cを有する
請求項1~3のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記接着層Cと剥離可能に接着するように剥離材を備えた
請求項4に記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDインレイ、表面基材及び下層基材を有するRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグは、ラベルやICカード等として様々な情報管理に用いられている。RFIDタグは、アンテナとこのアンテナに接続されたICチップからなるRFIDインレイを備え、リーダーライタから送信された電波を受信し、タグ内の情報をリーダーライタに送り返す。これにより、リーダーライタはタグを識別する。
【0003】
RFIDタグに用いられるRFIDインレイとしては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等の樹脂製の支持体上に、アルミニウム箔等の金属箔を印刷することによりアンテナが形成されたものが多く使用されている。このようなRFIDインレイを紙製基材と組み合わせてRFIDタグとする場合、RFIDインレイと紙製基材を分離して分別廃棄できるようにすることが好ましい。
【0004】
特許文献1には、裏面に粘着剤層を有するラベル基材と、前記粘着剤層に着設されたアンテナコイルと該アンテナコイルに接続されたRFIDタグ(RFIDインレイ)とを有するRFIDタグラベルであって、前記ラベル基材は、前記RFIDタグ(RFIDインレイ)を挟み込んで折り畳むための折り畳み予定線を有すると共に、前記折り畳み予定線から前記ラベル基材を2つに折り畳んで前記粘着剤層により物品に貼付される部分から、前記RFIDタグ(RFIDインレイ)が着設された部分を分離するための切り取りミシンが形成されていることを特徴とするRFIDタグラベルが記載されている。
このRFIDタグラベルでは、RFIDインレイが着設された部分を分離するための切り取りミシンが形成されているため、物品に貼付されたRFIDタグラベルからRFIDインレイが設けられた部分を容易に切り取って分離することが可能である。
しかしながら、切り取って分離したRFIDインレイが設けられた部分において、RFIDインレイが粘着剤層によりラベル基材と接着されているため、RFIDインレイとラベル基材とを分離することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-196377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、RFIDインレイと、紙製の表面基材および下層基材とを、容易に分別して廃棄することができるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
本発明のRFIDタグは、紙製の表面基材と、RFIDインレイと、紙製の下層基材とをこの順で備えたRFIDタグであって、該表面基材が該RFIDインレイ側の表面に接着層Aを有し、該接着層Aを介して該下層基材と接着し、該表面基材が該RFIDインレイと非接着領域を介して接しており、該RFIDインレイが該下層基材側の表面に接着層Bを有し、該下層基材が該RFIDインレイ側の表面に離型層を有し、該接着層Bが該離型層に剥離可能に接着していることを特徴とする。
以上のように構成されたRFIDタグでは、RFIDインレイと、紙製の表面基材および下層基材とが容易に分離されるため、容易に分別して廃棄することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のRFIDタグでは、上記非接着領域が、上記接着層Aに糊止め層を有することにより形成された領域か、または、上記接着層Aの形成されていない領域である。
以上のように構成されたRFIDタグでは、上記非接着領域の形成が容易である。
【0010】
また、請求項3に記載のRFIDタグでは、上記表面基材が、上記表面基材の上記RFIDインレイ上部を除去可能なミシン目を備えている。
以上のように構成されたRFIDタグでは、上記表面基材のRFIDインレイ上に形成された部分を容易に除去できるため、該部分を除去後にRFIDインレイの分離が容易である。
【0011】
また、請求項4に記載のRFIDタグでは、上記下層基材がさらに、上記離型層を有しない側の表面に接着層Cを有する。
以上のように構成されたRFIDタグは、他の物品への付着が可能となる。
【0012】
また、請求項5に記載のRFIDタグでは、上記接着層Cと剥離可能に接着するように剥離材を備えている。
以上のように構成されたRFIDタグは、取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、RFIDインレイと、紙製の表面基材および下層基材とを、容易に分別して廃棄することができるRFIDタグを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るRFIDタグの、一実施形態の平面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】本発明に係るRFIDタグの、他の実施形態の断面図である。
図4】本発明に係るRFIDタグの、別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[RFIDタグ]
本発明のRFIDタグは、紙製の表面基材と、RFIDインレイと、紙製の下層基材とをこの順で備えたRFIDタグであって、該表面基材が該RFIDインレイ側の表面に接着層Aを有し、該接着層Aを介して該下層基材と接着している。また、該表面基材は該RFIDインレイと非接着領域を介して接している。さらに、該RFIDインレイは該下層基材側の表面に接着層Bを有し、該下層基材は該RFIDインレイ側の表面に離型層を有し、該接着層Bが該離型層に剥離可能に接着している。
本発明のRFIDタグは、RFIDインレイと、紙製の表面基材および下層基材とを、容易に分別して廃棄することができる。
【0017】
1.表面基材
上記表面基材は紙製であり、接着層Aを有する。上記表面基材に使用する紙としては従来公知の紙を使用できる。上記表面基材は、上記接着層Aを介して、上記下層基材と接着している。
【0018】
1-1 接着層A
上記表面基材に設けられる接着層Aの形成に用いられる接着剤としては、特に限定されないが、例えばホットメルト接着剤等が使用できる。
【0019】
1-2 非接着領域
上記非接着領域は、上記接着層Aに糊止め層を有することにより形成された領域か、または、上記接着層Aの形成されていない領域であることが好ましい。以上のように構成されたRFIDタグは、非接着領域の形成が容易である。
上記糊止め層としては、上記接着層Aの成分が染み出さないものであればよく、上記接着層Aの表面に樹脂塗膜を形成する方法、または上記接着層Aの表面にフィルムを接着させる方法等が挙げられる。中でも、上記接着層Aの表面に樹脂塗膜を形成する方法が、上記糊止め層の厚さを薄く制御出来るため好ましい。
上記非接着領域は、上記接着層Aと上記下層基材との接着を阻害しない範囲に形成されることが好ましい。
【0020】
1-3 ミシン目
上記表面基材は、上記表面基材の後述のRFIDインレイ上部を除去可能なミシン目を備えていても良い。ミシン目は、上記表面基材を切り取った後にRFIDインレイ上部が露出する位置に設ければよく、表面基材と接着層Aに設けても良く、表面基材と接着層Aと後述の糊止め層に設けても良い。また、上記ミシン目は、表面基材を下層基材と接着後に設けても良く、接着層A糊止め層を設けた表面基材に予め設置しておいても良い。
表面基材がミシン目を備えることにより、RFIDインレイ上部の表面基材を容易に除去でき、その後、RFIDインレイをより容易に分離できる。
【0021】
2.RFIDインレイ
上記RFIDインレイは、アンテナと上記アンテナに接続されたICチップを有していればよく、従来公知のRFIDインレイを使用できる。
【0022】
2-1 接着層B
上記RFIDインレイは、後述の下層基材に離型層を介して剥離可能に接着固定、仮着するための接着層Bを有している。上記接着層Bを形成する接着剤としては、従来公知の接着剤を使用できる。
【0023】
3.下層基材
上記下層基材は紙製であり、離型層を有する。上記下層基材に使用する紙としては従来公知の紙を使用できる。
【0024】
3-1 離型層
上記離型層としては、上記接着層Bと離型可能なものであればよく、例えばシリコン等が挙げられる。上記離型層の厚みは、0.1~1μm程度が好ましい。
上記離型層は、上記接着層Bと上記下層基材の接着を阻害しない範囲に形成されることが好ましい。
【0025】
3-2 接着層C
上記下層基材はさらに、上記離型層を有しない側の表面に接着層Cを有することが好ましい。以上のように構成されたRFIDタグは、他の物品への貼着が可能となる。上記接着層Cを形成する接着剤としては従来公知の接着剤、粘着剤等を使用できる。
【0026】
3-3 剥離材
本発明のRFIDタグはまた、上記接着層Cと剥離可能に接着するように剥離材を備えていることが好ましい。以上のように構成されたRFIDタグは、取り扱いが容易になる。上記剥離材としては、上記接着層Cと離型可能なものであればよく、例えば、表面に離型層を有する紙(剥離紙)等が挙げられる。
【0027】
[RFIDタグの製造方法]
上記RFIDタグの製造方法としては、1例として下記の工程が挙げられる。
(1)下層基材にシリコン等の離型層を設ける。
(2)次に、予め接着層Bを設けたRFIDインレイを、上記離型層上に接着する。
(3)表面基材に接着層Aと糊止め層を形成する。
(4)(2)で得られた積層体と、(3)で得られた積層体を、接着層Aを介して貼り付ける。
(5)ミシン目を適宜の位置に形成する。
ミシン目の形成は、上記工程(3)のところで行っても良い。
工程(3)において、表面基材の、RFIDインレイの上部となる部分に接着層Aを形成せずに、糊止め層を形成しない方法も取ることができる。
【0028】
以下に、具体的な実施形態を示して詳しく説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1ならびに図2に示す実施形態1のRFIDタグ10は、紙製の表面基材20と、RFIDインレイ30と、紙製の下層基材40とをこの順で備えている。表面基材20は、RFIDインレイ30側の表面に接着層A21を有し、RFIDインレイ30は下層基材40側の表面に接着層B31を有する。下層基材40はRFIDインレイ30側の表面に離型層41を有し、接着層B31が離型層41に剥離可能に接着している。なお、図1では、表面基材20と下層基材40は同領域を占めて重なっているが、両基材20、40がRFIDタグ10を保持するように接着層A21を介して接着できれば良く、両基材20、40の大きさや形は限定されない。
【0030】
表面基材20は非接着領域として糊止め層22を有し、表面基材20がRFIDインレイ30と糊止め層22を介して接している。表面基材20の非接着領域を糊止め層22とすることで、非接着領域を容易に形成できる。なお、図1では、離型層41と糊止め層22が同領域を占めて重なっているが、離型層41は、接着層B31が下層基材40と剥離可能となるように形成されていればよく、また、糊止め層22は、表面基材20がRFIDインレイ30と接着しないように形成されていればよく、離型層41と糊止め層22の大きさや形は限定されない。
【0031】
表面基材20は、表面基材20のRFIDインレイ30上部を除去可能なミシン目11、12または13を備えていてもよい。該ミシン目11、12または13は、図に示すように、それぞれ一対形成されていることが好ましいが、1本だけでも良い。
ミシン目11は、表面基材20の下層基材40と接着されていない部分で、且つ糊止め層22が形成されていない、RFIDインレイ30から離れた位置の表面基材20と接着層A21に設ける。この場合、ミシン目11によって切り取られる表面基材20の面積は大きくなる。
ミシン目12は、表面基材20の下層基材40と接着されていない部分で、RFIDインレイ30の幅より少し広い位置の表面基材20と接着層A21と糊止め層22に設ける。
ミシン目13は、表面基材20の下層基材40と接着されていない部分で、RFIDインレイ30の幅より少し狭い程度の位置の表面基材20と接着層A21と糊止め層22に設ける。
ミシン目11、12または13は、何れであっても良く、11、12、13のうち、いずれか一対であることが好ましい。
表面基材20がミシン目11、12または13を備えることにより、RFIDインレイ30上部の表面基材20を容易に除去でき、その後、RFIDインレイ30をより容易に分離できる。
【0032】
(実施形態2)
図3に示す実施形態2のRFIDタグ110は、紙製の表面基材120と、RFIDインレイ130と、紙製の下層基材140とをこの順で備えている。表面基材120は、RFIDインレイ130側の表面に接着層A121を有し、RFIDインレイ130は下層基材140側の表面に接着層B131を有する。下層基材140はRFIDインレイ130側の表面に離型層141を有し、接着層B131が離型層141に剥離可能に接着している。
【0033】
表面基材120は非接着領域として接着層の形成されていない領域122を有し、RFIDインレイ130と、接着層を形成されていない領域122を介して接している。
表面基材120の非接着領域を接着層の形成されていない領域122とすることで、非接着領域を容易に形成できる。
【0034】
表面基材120は、表面基材120のRFIDインレイ130上部を除去可能なミシン目111、112または113を備えていてもよい。該ミシン目111、112または113は、図に示すように、それぞれ一対形成されていることが好ましいが、1本だけでも良い。
ミシン目111は、表面基材120の下層基材140と接着されていない部分で、RFIDインレイ130から離れた位置の表面基材120と接着層A121に設ける。この場合、ミシン目111によって切り取られる表面基材120の面積は大きくなる。
ミシン目112は、表面基材120の下層基材140と接着されていない部分で、RFIDインレイ130の幅より少し広い位置の表面基材20に設ける。
ミシン目113は、表面基材120の下層基材140と接着されていない部分で、RFIDインレイ130の幅より少し狭い程度の位置の表面基材120に設ける。
ミシン目111、112または113は、何れであっても良く、111、112、113のうち、いずれか一対であることが好ましい。
表面基材120がミシン目111、112または113を備えることにより、RFIDインレイ130上部の表面基材120を容易に除去でき、その後、RFIDインレイ130をより容易に分離できる。
【0035】
(実施形態3)
図4に示す実施形態3のRFIDタグ210は、紙製の表面基材220と、RFIDインレイ230と、紙製の下層基材240とをこの順で備えている。表面基材220は、RFIDインレイ230側の表面に接着層A221を有し、RFIDインレイ230は下層基材240側の表面に接着層B231を有する。下層基材240はRFIDインレイ230側の表面に離型層241を有し、接着層B231が離型層241に剥離可能に接着している。
【0036】
表面基材220は非接着領域として糊止め層222を有し、表面基材220がRFIDインレイ230と糊止め層222を介して接している。表面基材220の非接着領域を糊止め層222とすることで、非接着領域を容易に形成できる。
【0037】
表面基材220は、表面基材220のRFIDインレイ230上部を除去可能なミシン目211、212または213を備えていてもよい。ミシン目211~213は、上記ミシン目11~13と同様に設置できる。
表面基材220がミシン目211、212または213を備えることにより、RFIDインレイ230上部の表面基材220を容易に除去でき、その後、RFIDインレイ230をより容易に分離できる。
【0038】
下層基材240は、離型層241を有しない側の表面に接着層C242を有する。
下層基材240が接着層C242を有することにより、RFIDタグ210の他物品への付着が可能となる。
【0039】
RFIDタグ210では、接着層C242と剥離可能に接着するように剥離材250を備えている。RFIDタグ210が剥離材250を備えることにより、RFIDタグ210の取り扱いが容易になる。
【符号の説明】
【0040】
10、110、210:RFIDタグ
11~13、111~113、211~213:ミシン目
20、120、220:表面基材
21、121、221:接着層A
31、131、231:接着層B
242: 接着層C
22、222: 糊止め層
30、130、230:RFIDインレイ
40、140、240:下層基材
41、141、241:離型層
122: 接着層の形成されていない領域
250: 剥離材
図1
図2
図3
図4