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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】スプレーノズル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240105BHJP
   B65D 83/76 20060101ALI20240105BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240105BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/76 120
B05B11/00 101B
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
B05B11/00 101A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020164164
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022013549
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2020113552
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04690312(US,A)
【文献】特開2014-141288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/76
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容空間を有する容器本体と、
該容器本体の口部に固定され、前記容器本体内の内容物を圧送するポンプと、
前記ポンプにより圧送された内容物を噴出させる、噴出方向が異なる複数のスプレーノズルと、
前記複数のスプレーノズルを外側から覆い、内容物を噴出させる少なくとも1つのカバー開口を有するノズルカバーと
を備えたスプレーノズル付き容器であって、
前記ノズルカバーは、前記ポンプに対して回転軸線周りに回転可能であり、
前記ノズルカバーの回転方向位置に応じて、前記複数のスプレーノズルのうち前記ノズルカバーの前記カバー開口を通じて内容物を外部に噴出可能な少なくとも1つのスプレーノズルから選択的に内容物が噴出され
前記複数のスプレーノズルのうちの1つのスプレーノズルは、内容物を略上方に向けて噴出可能であり、他の1つのスプレーノズルは、内容物を略水平方向に噴出可能であることを特徴とするスプレーノズル付き容器。
【請求項2】
前記カバー開口の少なくとも1つには、内容物の噴出方向に向かって径方向外側に広がる拡径部が設けられている、請求項1に記載のスプレーノズル付き容器。
【請求項3】
前記ポンプと前記複数のスプレーノズルとを選択的に連通させるノズル選択部材を備え、該ノズル選択部材が前記ノズルカバーと共に回転することによって、前記複数のスプレーノズルのうち前記カバー開口を通じて内容物を外部に噴出可能なスプレーノズルから選択的に内容物が噴出される、請求項1又は2に記載のスプレーノズル付き容器。
【請求項4】
前記複数のスプレーノズルを有するノズル部材に対して、前記ノズル選択部材が前記回転軸線周りに回転可能な状態で嵌合している、請求項3に記載のスプレーノズル付き容器。
【請求項5】
前記ノズルカバーの押下によって、前記ノズル部材を介して前記ポンプが作動する、請求項4に記載のスプレーノズル付き容器。
【請求項6】
内容物を略上方及び略水平方向に同時に噴出可能である、請求項に記載のスプレーノズル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器本体内の内容物を外部に噴出させるためのスプレーノズル付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスプレーノズル付き容器としては、例えば、特許文献1に示すように、容器体の口部へ装着する装着筒部と、この装着筒部より下方へ垂下されたシリンダを有するスプレー本体と、前記スプレー本体に対して上下動可能に設けられ、前記シリンダの内部から起立するプランジャ体の上部に昇降可能に押下げヘッドを取り付けた作動部材と、を具備し、前記押下げヘッドの下側に前記シリンダより大内径の補助シリンダを設けるとともに、前記プランジャ体の下部に前記シリンダ内を摺動可能な小径ピストンを、プランジャ体の上部に前記補助シリンダ内を摺動可能な大径ピストンをそれぞれ形成し、前記シリンダの下部内に第1弁体を、前記プランジャ体の上端と前記押下げヘッドとの間に第2弁体をそれぞれ設けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-218198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のスプレーノズル付き容器では、水平方向に噴出させるスプレーノズルを1つ備えているが、例えば手のひらとテーブルの双方を1つのスプレーノズル付き容器で除菌しようとすると使い勝手の点で改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、多種類の対象物に対して内容物を供給し易いスプレーノズル付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のスプレーノズル付き容器は、
内容物を収容する収容空間を有する容器本体と、
該容器本体の口部に固定され、前記容器本体内の内容物を圧送するポンプと、
前記ポンプにより圧送された内容物を噴出させる、噴出方向が異なる複数のスプレーノズルと、
前記複数のスプレーノズルを外側から覆い、内容物を噴出させる少なくとも1つのカバー開口を有するノズルカバーと
を備えたスプレーノズル付き容器であって、
前記ノズルカバーは、前記ポンプに対して回転軸線周りに回転可能であり、
前記ノズルカバーの回転方向位置に応じて、前記複数のスプレーノズルのうち前記ノズルカバーの前記カバー開口を通じて内容物を外部に噴出可能な少なくとも1つのスプレーノズルから選択的に内容物が噴出され
前記複数のスプレーノズルのうちの1つのスプレーノズルは、内容物を略上方に向けて噴出可能であり、他の1つのスプレーノズルは、内容物を略水平方向に噴出可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスプレーノズル付き容器は、上記構成において、前記カバー開口の少なくとも1つには、内容物の噴出方向に向かって径方向外側に広がる拡径部が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明のスプレーノズル付き容器は、上記構成において、前記ポンプと前記複数のスプレーノズルとを選択的に連通させるノズル選択部材を備え、該ノズル選択部材が前記ノズルカバーと共に回転することによって、前記複数のスプレーノズルのうち前記カバー開口を通じて内容物を外部に噴出可能なスプレーノズルから選択的に内容物が噴出されることが好ましい。
【0009】
また、本発明のスプレーノズル付き容器は、上記構成において、前記複数のスプレーノズルを有するノズル部材に対して、前記ノズル選択部材が前記回転軸線周りに回転可能な状態で嵌合していることが好ましい。
【0010】
また、本発明のスプレーノズル付き容器は、上記構成において、前記ノズルカバーの押下によって、前記ノズル部材を介して前記ポンプが作動することが好ましい。
【0012】
また、本発明のスプレーノズル付き容器は、上記構成において、内容物を略上方及び略水平方向に同時に噴出可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、多種類の対象物に対して内容物を供給し易いスプレーノズル付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の第1実施形態であるスプレーノズル付き容器の正面一部断面図である。
図2図1におけるA-A断面による断面図である。
図3】本開示の第1実施形態であるスプレーノズル付き容器におけるヘッド部の側面拡大断面図である。
図4】本開示の第1実施形態であるスプレーノズル付き容器において、ノズルカバーを押下して第1スプレーノズルから内容物を噴出させている状態を示す図である。
図5図4におけるヘッド部部分の拡大図である。
図6図5を正面から見た拡大断面図である。
図7】ノズルカバー及びノズル選択部材を回転軸線周りに回転させようとしている状態を示す図である。
図8】本開示の第1実施形態であるスプレーノズル付き容器において、ノズルカバーを押下して第2スプレーノズルから内容物を噴出させている状態を示す図である。
図9図8におけるヘッド部部分の拡大図である。
図10】本開示の第2実施形態であるスプレーノズル付き容器の正面一部断面図である。
図11】本開示の第2実施形態であるスプレーノズル付き容器におけるヘッド部の側面拡大断面図である。
図12】本開示の第2実施形態であるスプレーノズル付き容器において、ノズルカバーを押下して第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルから内容物を噴出させている状態を示す図である。
図13図12におけるヘッド部部分の拡大図である。
図14】本開示の第2実施形態であるスプレーノズル付き容器において、ノズルカバーを押下して第2スプレーノズルから内容物を噴出させている状態を示す図である。
図15図14におけるヘッド部部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面(図1から図9)を参照して、本開示の第1実施形態に係るスプレーノズル付き容器100を詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係るスプレーノズル付き容器100は、図1に示すように、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体Cと、内容物をスプレーノズル12a等へと圧送するポンプ20と、ポンプ20を容器本体Cに装着する装着部材3と、押下によりポンプ20を作動させるヘッド部30とを備えている。ポンプ20は、シリンダ部101、プランジャ体40、スペーサ13、吸入弁10及びリターンスプリングSPを備えている。ヘッド部30は、ノズル部材8、ノズル選択部材14、ヘッド部材15及びノズルカバー16を備えている。
【0017】
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面においては、上下方向は、図1に示すようにスプレーノズル付き容器100を正立姿勢とした状態における上方、下方を意味するものとする。また、径方向外側とは、図1におけるスプレーノズル付き容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。また、周方向とは、中心軸線O周りの回転方向である。
【0018】
図1において、符号101は、有底筒状形状を有するシリンダ本体1と、シリンダ本体1の上端部に一体形成されたフランジ部2とを備えるシリンダ部101である。フランジ部2は、図1に示すように、容器本体Cにおける口部C2の上端部にパッキンPKを介して配置されている。フランジ部2が口部C2の上端部と後述する装着部材3の肩部4との間で挟持されることで、シリンダ本体1が容器本体Cの口部C2の内側を通って下方に垂下する状態で固定されている。シリンダ本体1は、筒状部1aと、筒状部1aの中央高さよりも下方の高さ位置において内面が径方向外側に拡径する拡径部1bと、下方に向けて縮径する円錐台側面形状を有し、吸入弁10が着座する弁座1eと、容器本体Cの収容空間S内の内容物をシリンダ本体1内に導くパイプPを嵌合固定する嵌合筒部1fと、筒状部1aの上下2箇所に並んで設けられる圧力開放孔1c及び開放孔1dとを備えている。拡径部1bは、内容物の噴出が終了したときにシリンダ本体1内の液圧を拡径部1b及び圧力開放孔1c経由で逃がすことでノズルにおける液切れを改善するために設けられている。開放孔1dは、容器本体C内に外気を取り込むために設けられている。すなわち、容器本体C内が負圧状態になると、開放孔1dから外気が取り込まれて容器本体Cが復元する。
【0019】
本実施形態において容器本体Cは、合成樹脂素材により形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって形作っている。そして、容器本体Cを構成する材料には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。特に、HDPEを用いた場合には、高い剛性を備え耐衝撃性に優れた容器本体Cを製造することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって容器本体Cを形成する場合には、容器本体Cを構成する材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いてもよい。
【0020】
符号3は、フランジ部2を固定する肩部4を有し当該肩部4の上面からシリンダ本体1の内径よりも大きな内径の周壁5が起立する装着部材である。装着部材3は、側壁3aの内側にねじ部3sを有し、容器本体Cの口部C2に着脱可能に装着される。なお、ねじ部3sに代えて側壁3aから径方向内側に突出する係合突部を設けて打栓により容器本体Cに装着可能に構成してもよい。
【0021】
符号6は、装着部材3の周壁5の内側を摺動するサブシリンダ6aと、サブシリンダ6aから径方向内側に延びる水平壁6bと、水平壁6bの内周側から起立するステム6dとを一体化したヘッド基部である(図3参照)。サブシリンダ6aは、図1に示すように、シリンダ本体1の筒状部1aの内径よりも大きい内径を有している。ヘッド基部6における水平壁6bの内周端には、径方向内側に突出し後述する第1プランジャ11に当接して排出口A2を閉塞する突部6cが形成されている。
【0022】
符号8は、ステム6dを内側に嵌合する内周壁8cを有し当該ステム6dとの間に形成した空間C1を通して内容物が圧送されるノズル部材である。また、内周壁8cの径方向外側に筒状の外周壁8dを備えており、装着部材3の周壁5を中心軸線Oに沿って相対移動可能な状態で内側に嵌合させている。本実施形態に係るノズル部材8は、利用者によるノズルカバー16の押下によって押し下げられ、シリンダ本体1内に蓄えられた内容物をヘッド部30に圧送する。
【0023】
ノズル部材8には、2つのノズルチップ(第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12b)が嵌合している。第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bには、それぞれ内容物を噴出させる第1ノズル開口12a1及び第2ノズル開口12b1が形成されている。このノズル開口12a1,12b1は、それぞれ大径部と小径部からなり、圧送された内容物の流速を高めて外部に噴出させることができる。
【0024】
ノズル部材8は、ポンプ20により空間C1まで圧送された内容物を内部に導く流入路A4と、流入路A4からの内容物を第1スプレーノズル12aへと導く第1流出路A5と、流入路A4からの内容物を第2スプレーノズル12bへと導く第2流出路A6とを備えている(図3等参照)。
【0025】
流入路A4からの内容物を第1流出路A5経由で第1スプレーノズル12aに導くか、第2流出路A6経由で第2スプレーノズル12bに導くかの選択は、ノズル選択部材14により行われる。図3図5及び図6に示すように、ノズル選択部材14の流出開口14cが上方に方向づけされているときは、流入路A4からの内容物は流出開口14c及び第1流出路A5を経由して第1スプレーノズル12aに導かれる。他方、図9に示すように、ノズル選択部材14の流出開口14cが側方に方向づけされているときは、流入路A4からの内容物は流出開口14c及び第2流出路A6を経由して第2スプレーノズル12bに導かれる。
【0026】
図2及び図6に示すように、ノズル部材8に設けた嵌合筒部8aの外面がノズル選択部材14に設けた流路隔壁14aの内面に相対回転可能に嵌合しており、ノズル選択部材14の回転軸線R方向端部に設けられた矩形断面の突部14bがノズルカバー16に設けられた矩形開口16cに嵌合している。従って、ノズルカバー16を回転軸線R周りに回転させると(図7参照)、矩形開口16cに嵌合した矩形断面の突部14bがノズルカバー16と共に回転し、ノズル選択部材14は、回転軸線R周りに回転できないノズル部材8に対して回転軸線R周りに相対回転する。このような構成によって、ノズルカバー16を回転軸線R周りに回転させるとノズル選択部材14の流出開口14cが回転軸線R周りに回転する。そして、流出開口14cは、常にノズルカバー16のカバー開口16a方向に方向づけられている(図5及び図9参照)から、流入路A4及び流入開口14d(図6)から流入した内容物は、ノズル選択部材14によって選択された第1スプレーノズル12a又は第2スプレーノズル12bからカバー開口16a方向に噴出する(図5及び図9)。
【0027】
ノズル部材8において側方に突出するガイドリブ8fがヘッド部材15に設けられている挟持壁15dによって水平方向両側から挟持されている。また、ヘッド部材15に設けられているガイドリブ15eがノズル部材8に設けられている挟持壁8gによって水平方向両側から挟持されている(図2参照)。この構成によって、ノズル部材8は、ヘッド部材15に対して中心軸線O周りの回転及び回転軸線R周りの回転が規制されている。
【0028】
ヘッド部材15は、図1等に示すように、外面が略球形状を有するヘッド本体15fと、ノズル部材8の外周壁8dを更に外側から囲む外カバー15gとを備えている(図3等参照)。ヘッド本体15fには、第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bに対応した位置にそれぞれ上部ノズル開口15a及び側部ノズル開口15bが設けられている(図3)。また、回転軸線R上における突部14bと対向する位置には、ノズルカバー16の軸受凹部16dに嵌合する軸部15cが設けられている(図2参照)。そして、軸部15cが軸受凹部16d内で回転軸線R周りに回転可能とされている。このような構成によって、ノズルカバー16は、軸部15c及びノズル選択部材14を介してノズル部材8の嵌合筒部8aにおいて回転可能に支持されている。
【0029】
ノズルカバー16は、図1及び図4に示すように、第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bを覆う筒状部材であり、先端部にカバー開口16aを備えている。また、カバー開口16aは、内容物の噴出方向に方向づけられている。すなわち、ノズルを選択するノズル選択部材14の流出開口14cが回転軸線Rから見て常にカバー開口16aと同じ方向に方向づけられているため、カバー開口16aと同じ方向のスプレーノズル12a又は12bから常に内容物が噴出される。
【0030】
カバー開口16aを形成するノズルカバー16の先端部には、径方向外側に広がる鍔16f(拡径部)が設けられている。このように鍔16fを設けることで、図4に示すように、筒状のノズルカバー16のカバー開口16aに手のひらを当てて内容物で手のひらを除菌する際に、手のひらがノズルカバー16に接触する接触面積を抑制しつつ利用者がカバー開口16aに手のひらを当て易くすることができる。
【0031】
ノズルカバー16における回転軸線R上には、ヘッド部材15の軸部15cが嵌合する軸受凹部16d及びノズル選択部材14の突部14bが嵌合する矩形開口16cが形成されている。軸受凹部16dが軸部15cの周りを回転し、矩形開口16cがノズル選択部材14を介して嵌合筒部8aの周りを回転することによって、ノズルカバー16のカバー開口16aの向きを変え、これに連動してノズル選択部材14の向きを変えることで、内容物を噴出させるスプレーノズル12a又は12bを選択することができる。
【0032】
図3等において、カバー開口16aに対向するノズルカバー16の基端部には、ヘッド部材15、ノズル部材8との機構的な干渉を回避するための底部開口16bが設けられている。図3に示すように、底部開口16bの大きさを第2スプレーノズル12b側に大きく切り欠くように設けることによって、図9に示すように第2スプレーノズル12b側から内容物を噴出するようにスプレーノズルを切り替えた場合であっても、ノズルカバー16の基端部とヘッド部材15及びノズル部材8との機構的な干渉を回避することができる。
【0033】
符号9は、シリンダ本体1の内側を液密状態に摺動する摺動部9aと、サブシリンダ6aの内側を液密状態に摺動する第2ピストン9bとを有し、内容物を吸引、加圧及び圧送する第2プランジャである。第2プランジャ9は、ノズル部材8の押し下げ及び復帰の繰り返しに応じてシリンダ本体1及びサブシリンダ6aの内側をそれぞれ摺動する。第2ピストン9bは、図1に示すように、第2プランジャ9の上端部に形成されている。摺動部9aは、第2プランジャ9の下端部に形成されている。
【0034】
符号10は、第2プランジャ9の摺動に応動してシリンダ本体1の下端に形成した吸入口A1を開閉する吸入弁である。本形態では、吸入弁10をボール弁で構成している。
【0035】
符号11は、第2プランジャ9の摺動に応動して排出口A2を開閉してノズル部材8に内容物を圧送する第1プランジャである。第1プランジャ11の上部には、上方に向かって縮径する円錐台側面形状を備えた弁座11bが設けられており(図3参照)、ヘッド基部6の突部6cとの間で排出口A2を開閉する排出弁を形成している。第1プランジャ11は、その下部に段部11sが形成されており、この段部11sで、第2プランジャ9の下端部を保持している。
【0036】
本実施形態では、第1プランジャ11及び第2プランジャ9によりプランジャ体40が構成されている。第2プランジャ9は、図1に示すように、第1プランジャ11の径方向外側に設けられている。プランジャ体40は、後述するリターンスプリングSPによりシリンダ本体1に対してスペーサ13のフィン13aを介して上方付勢されている。また、プランジャ体40は、シリンダ本体1に対して上下動可能とされている。ヘッド部30のノズルカバー16を押下し、プランジャ体40の上方に取り付けられたノズル部材8を押し下げることで、プランジャ体40が下方に押し下げられる。
【0037】
第1プランジャ11は、図1に示すように有頂筒状形状を備えており、その内部空間Nは、圧送された内容物を上方に導く流路を形成している。本実施形態では、内部空間Nの上部において内部空間Nと第1プランジャ11の外周面を連通させる開口部A3が設けられている。第1プランジャ11の下部には、シリンダ本体1の内面に摺動する第1ピストン11dが形成されている。
【0038】
また、第1プランジャ11の外周面には、上下方向に延びる液体流路Lが設けられている。液体流路Lは、ノズル部材8が押し下げられることによってシリンダ本体1内を圧送され開口部A3から径方向外側に押し出された内容物を上方の排出口A2へと導く。
【0039】
また、第1プランジャ11は、リターンスプリングSPを介してシリンダ本体1内に弾性保持されている。これにより、第2プランジャ9は、第1プランジャ11と共に、リターンスプリングSPを介してシリンダ本体1内に弾性保持されている。
【0040】
図1において、符号13は、吸入弁10の上方に配置されたスペーサである。スペーサ13は、下端外縁に周方向に間隔を空けて複数のフィン13aを有し、これらのフィン13aは、リターンスプリングSPを介して第1プランジャ11を弾性保持する。
【0041】
また、フィン13aの相互間はそれぞれ、複数の流路として構成されている。これらの流路から導入された内容物は、スペーサ13の上端部を構成するピン13bを案内に、第1プランジャ11に設けた開口部A3から第2プランジャ9との間の液体流路Lを通って排出口A2に圧送される。
【0042】
なお、スプレーノズル付き容器100を構成する各部材は、例えば合成樹脂材や金属などで形成することができる。
【0043】
図1の構成を有するスプレーノズル付き容器100において、ヘッド部30のノズルカバー16を下方に押下すると(図4の状態)、軸受凹部16dから軸部15cに押圧力が伝達され、ヘッド部材15は下方に押し下げられる。また、矩形開口16cから突部14bにも押圧力が伝達され、更に流路隔壁14aから嵌合筒部8aに押圧力が伝達されることによって、ノズル部材8も下方に押し下げられる。そして、ノズル部材8の押し下げによって、内周壁8cから水平壁6bに押し下げ力が伝達されることによって、ヘッド基部6そしてプランジャ体40に押し下げ力が作用する。
【0044】
この押し下げ力の作用によって、シリンダ本体1及びサブシリンダ6aの内部は等しく圧力が上昇するが、シリンダ本体1と比較してサブシリンダ6aの方が内径が大きいため、サブシリンダ6aの内面に摺動する第2ピストン9bの受圧面積が、シリンダ本体1の内面に摺動する第1ピストン11dの受圧面積よりも大きくなる。従って、シリンダ本体1内の液圧がプランジャ体40を押し上げる力よりも、サブシリンダ6a内の液圧がプランジャ体40を押し下げる力の方が大きくなる。このため、プランジャ体40は、ヘッド部30に対しても下降し、排出弁が開放される。これによって、シリンダ本体1内の内容物が内部空間N、液体流路L、サブシリンダ6aの内部及び排出口A2を通って空間C1から流入路A4を経由してノズル部材8内に圧送される。図4のノズルカバー16の姿勢においては、図5及び図6に示すように、ノズル選択部材14が容器本体Cからの内容物を流出開口14c経由で第1流出路A5へと供給するため、内容物は第1スプレーノズル12aの第1ノズル開口12a1から噴出される。更にノズルカバー16の押し下げを継続すると、排出弁が開いたままで第1ピストン11dは下がり続ける。
【0045】
ノズルカバー16を可動範囲の下限まで押し下げると、第1プランジャ11の下端部がシリンダ本体1の拡径部1bを覆う位置まで到達する。これによって、シリンダ本体1及びサブシリンダ6aの内部の液圧は拡径部1b及び圧力開放孔1cを経由して解放される。シリンダ本体1及びサブシリンダ6aの内部の液圧の解放によって、プランジャ体40に作用していた下向きの押し下げ力も解放され、突部6cが弁座11bに着座して排出弁は閉塞される。これによって、第1スプレーノズル12aの第1ノズル開口12a1からの内容物の噴出は停止される。また、シリンダ本体1及びサブシリンダ6a内の液圧が急激に開放されるため、液切れよく内容物の噴出を終了させることができる。
【0046】
ノズル選択部材14が第1スプレーノズル12aを選択する図4の状態では、ノズルカバー16のカバー開口16aにおける鍔16fの領域でのみ利用者の手のひらとノズルカバー16が接触することになる。従って、利用者は必要最小限の領域を押圧することで内容物を噴出させることができる。そのため、スプレーノズル付き容器100が不特定多数が利用する場所に置かれていたとしても、利用者がノズルカバー16を押圧する操作を不衛生であると感じることが少なくなると考えられる。
【0047】
特に図4の状態では、第1スプレーノズル12aから噴出された内容物が利用者の手のひらに供給されるほか、ノズルカバー16の鍔16fにも供給される。従って、内容物にアルコール等の消毒液を用いた場合には、ノズルカバー16の鍔16fも消毒されることになる。従って、利用者が直接接触するノズルカバー16の鍔16fの衛生状態を改善することができる。
【0048】
また、本実施形態では、ノズルカバー16の先端部に径方向外側に広がる鍔16fを設けたので、ノズルカバー16を押下する際に利用者の手のひらに集中応力が作用することが無く、容易に内容物を噴出させることができる。
【0049】
次に、図7から図9を用いて、本実施形態に係るスプレーノズル付き容器100の第2スプレーノズル12bから略水平方向に内容物を噴出させる場合について説明する。
【0050】
図7に示すように、ノズルカバー16を回転軸線R周りに回転させると、ノズルカバー16の矩形開口16cに嵌合するノズル選択部材14がノズルカバー16と共に回転軸線R周りに回転する。これによって、図8に示すような態様でノズルカバー16を押下すると、図9に示すように、ノズル選択部材14が容器本体Cからの内容物を流出開口14c経由で第2流出路A6へと供給する。このため、第2スプレーノズル12bの第2ノズル開口12b1から略水平方向に内容物が噴出される。従って、テーブルを除菌するのに適した態様で内容物を噴出させることができる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態は、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体Cと、容器本体Cの口部C2に固定され、容器本体C内の内容物を圧送するポンプ20と、ポンプ20により圧送された内容物を噴出させる、噴出方向が異なる複数のスプレーノズル12a,12bと、複数のスプレーノズル12a,12bを覆い、内容物の噴出方向に開口する筒状のノズルカバー16とを備えたスプレーノズル付き容器100であって、ノズルカバー16は、ポンプ20に対して回転軸線R周りに回転可能であり、ノズルカバー16の回転方向位置に応じて、複数のスプレーノズル12a,12bのうちノズルカバー16の開口方向に噴出可能なスプレーノズルから選択的に内容物が噴出されるように構成した。このような構成の採用によって、ノズルカバー16の回転位置を変更することによって内容物が噴出されるスプレーノズル12a,12bを選択することができるので、例えば、利用者の手のひらとテーブルなど、多種類の対象物に対してスプレーノズル12a,12bを切り替えて内容物を供給し易くすることができる。また、ノズルカバー16を回転させることによって内容物を噴出させるスプレーノズル12a,12bを切り替えることができるので、切り替え操作をスムーズに行うことができ、切り替えに伴う内容物の漏出を抑制することができる。
【0052】
特に、本実施形態では、ノズルカバー16の先端部の領域でのみ利用者の手のひらとノズルカバー16が接触することになる。従って、利用者は必要最小限の領域を押圧することで内容物を噴出させることができる。そのため、スプレーノズル付き容器100が不特定多数が利用する場所に置かれていたとしても、利用者がノズルカバー16を押圧する操作を不衛生であると感じることが少なくなると考えられる。また、第1スプレーノズル12aから噴出された内容物が利用者の手のひらに供給されるほか、ノズルカバー16の先端部にも供給される。従って、内容物にアルコール等の消毒液を用いた場合には、ノズルカバー16の先端部も消毒されることになる。従って、利用者が直接接触するノズルカバー16の先端部の衛生状態を改善することができる。
【0053】
また、本実施形態では、ノズルカバー16の先端部に、径方向外側に広がる鍔16fが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、ノズルカバー16を押下する際に利用者の手のひらに集中応力が作用することが無い。従って、利用者は、押圧操作を不快に感じることなく容易に内容物を噴出させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、ポンプ20と複数のスプレーノズル12a,12bのいずれかとを選択的に連通させるノズル選択部材14を備え、ノズル選択部材14がノズルカバー16と共に回転することによって、複数のスプレーノズル12a,12bのうちノズルカバー16の開口方向に噴出可能なスプレーノズルから選択的に内容物が噴出されるように構成した。このような構成の採用によって、簡素な構成でノズル選択部材14とノズルカバー16の動きを連動させてスプレーノズル12a,12bの選択を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、複数のスプレーノズル12a,12bを有するノズル部材8に対して、ノズル選択部材14が回転軸線R周りに回転可能な状態で嵌合するように構成した。このような構成の採用によって、ノズルカバー16をノズル選択部材14を介して回転可能に支持することができるので、ノズルカバー16を回転支持するための軸受部材を削減することができる。
【0056】
また、本実施形態では、ノズルカバー16の押下によって、ノズル部材8を介してポンプ20が作動するように構成した。このような構成の採用によって、利用者の手のひらとの接触面積が小さい筒状のノズルカバー16の先端部を押圧部とすることができるので、スプレーノズル付き容器100が不特定多数が利用する場所に置かれている場合であっても、利用者がノズルカバー16を押圧する操作を不衛生であると感じることが少なくなると考えられる。また、第1スプレーノズル12aから噴出された内容物が利用者の手のひらに供給されるほか、ノズルカバー16の先端部にも供給される。従って、内容物にアルコール等の消毒液を用いた場合には、ノズルカバー16の先端部も消毒されることになる。従って、利用者が直接接触するノズルカバー16の先端部の衛生状態を改善することができる。
【0057】
また、本実施形態では、複数のスプレーノズル12a,12bのうちの1つのスプレーノズルは、内容物を略上方に向けて噴出可能であり、他のスプレーノズルは、内容物を略水平方向に噴出可能であるように構成した。このような構成の採用によって、上方に噴出される第1スプレーノズル12aを手のひら消毒用に用いるとともに、略水平方向に向けて噴出される第2スプレーノズル12bをテーブル消毒用に用いることができる。
【0058】
次に、図面(図10から図15)を参照して、本開示の第2実施形態に係るスプレーノズル付き容器200を詳細に説明する。なお、本実施形態にかかるスプレーノズル付き容器200は、第1実施形態と比較して、図11等に示すようにノズル選択部材14に更なる流出開口14c2を設けることによって、図12に示すように、手のひらを除菌する際に上方に開口するカバー開口16aに加えて側方に開口するカバー開口116bからも内容物を噴出させるように構成した他は、第1実施形態の構成と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点について主に説明する。また、第1実施形態と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付して説明する。
【0059】
符号8は、図10及び図11に示すように、ステム6dを内側に嵌合する内周壁8cを有し当該ステム6dとの間に形成した空間C1を通して内容物が圧送されるノズル部材である。また、内周壁8cの径方向外側に筒状の外周壁8dを備えており、装着部材3の周壁5を中心軸線Oに沿って相対移動可能な状態で内側に嵌合させている。本実施形態に係るノズル部材8は、利用者によるノズルカバー16の押下によって押し下げられ、シリンダ本体1内に蓄えられた内容物をヘッド部30に圧送する。
【0060】
ノズル部材8には、2つのノズルチップ(第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12b)が嵌合している。第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bには、それぞれ内容物を噴出させる第1ノズル開口12a1及び第2ノズル開口12b1が形成されている。このノズル開口12a1,12b1は、それぞれ大径部と小径部からなり、圧送された内容物の流速を高めて外部に噴出させることができる。
【0061】
ノズル部材8は、ポンプ20により空間C1まで圧送された内容物を内部に導く流入路A4と、流入路A4からの内容物を第1スプレーノズル12aへと導く第1流出路A5と、流入路A4からの内容物を第2スプレーノズル12bへと導く第2流出路A6とを備えている(図11等参照)。
【0062】
流入路A4からの内容物を第1流出路A5及び第2流出路A6経由で第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bの両方に導くか、または、第2流出路A6経由で第2スプレーノズル12bのみに導くかの選択は、ノズル選択部材14により行われる。
【0063】
ノズルカバー16を回転軸線R周りに回転させると、ノズル選択部材14は、第1実施形態と同様に、ノズルカバー16に連動して回転軸線R周りに回転する。このような構成によって、ノズルカバー16の回転軸線R周りの回転によって、ノズル選択部材14の流出開口14c,14c2は、回転軸線R周りに回転できないノズル部材8に対して回転軸線R周りに相対回転する。
【0064】
図11から図13に示すように、ノズル選択部材14の流出開口14c,14c2が上方及び側方に方向づけされているときは、流入路A4からの内容物は一方の流出開口14c及び第1流出路A5を経由して第1スプレーノズル12aに導かれると共に、他方の流出開口14c2及び第2流出路A6を経由して第2スプレーノズル12bに導かれる。
【0065】
他方、図14及び図15に示すように、ノズル選択部材14の流出開口14cが側方に方向づけされているときは、流入路A4からの内容物は流出開口14c及び第2流出路A6を経由して第2スプレーノズル12bに導かれる。このとき他方の流出開口14c2は図15に示すように閉塞されている。
【0066】
ノズルカバー16は、図10及び図12に示すように、第1スプレーノズル12a及び第2スプレーノズル12bを外側から覆う筒状部材であり、先端部にカバー開口16aを備えるとともに、側方から下方にわたってカバー開口116bを更に備えている。ノズルカバー16は、カバー開口16aに向かって径方向外側に拡径する拡径部116fを備えている。このように拡径部116fを設けることで、図12に示すように、筒状のノズルカバー16のカバー開口16aに手のひらを当てて内容物で手のひらを除菌する際に、手のひらがノズルカバー16に接触する接触面積を抑制しつつ利用者がカバー開口16aに手のひらを当て易くすることができる。
【0067】
カバー開口116bは、図12に示す2方向噴出モード、及び図14に示す水平方向噴出モードにおいて、ノズルカバー16がヘッド部材15及びノズル部材8と機構的に干渉しないようにするための開口部としての役割も有している。
【0068】
なお、スプレーノズル付き容器200を構成する各部材は、例えば合成樹脂材や金属などで形成することができる。
【0069】
図10の構成を有するスプレーノズル付き容器200において、ヘッド部30のノズルカバー16を下方に押下すると(図12の状態)、第1実施形態と同様に、ヘッド部材15、ノズル部材8、ヘッド基部6及びプランジャ体40は下方に押し下げられる。
【0070】
この押し下げ力の作用によって、プランジャ体40は、ヘッド部30に対しても下降し、排出弁が開放される。これによって、シリンダ本体1内の内容物が内部空間N、液体流路L、サブシリンダ6aの内部及び排出口A2を通って空間C1から流入路A4を経由してノズル部材8内に圧送される。図12のノズルカバー16の姿勢においては、図13に示すように、ノズル選択部材14が容器本体Cからの内容物を流出開口14c経由で第1流出路A5へ供給するとともに流出開口14c2経由で第2流出路A6へ供給する。そのため、内容物は第1スプレーノズル12aの第1ノズル開口12a1から噴出されるとともに第2スプレーノズル12bの第2ノズル開口12b1からも同時に噴出される。
【0071】
このように、2方向噴出モードにおいては、第1スプレーノズル12aと第2スプレーノズル12bの双方からカバー開口16a,116b経由で内容物を外部に噴出させることができるので、図12に示すように利用者は、片手の手のひらでノズルカバー16の拡径部116fを下方に押圧してポンプ20を作動させながら、両手の手のひらで内容物を容易に受け取って使用することができる。
【0072】
図12の状態では、ノズルカバー16のカバー開口16aにおける拡径部116fの領域でのみ利用者の手のひらとノズルカバー16が接触することになる。従って、利用者は必要最小限の領域を押圧することで内容物を噴出させることができる。そのため、スプレーノズル付き容器200が不特定多数が利用する場所に置かれていたとしても、利用者がノズルカバー16を押圧する操作を不衛生であると感じることが少なくなると考えられる。
【0073】
特に図12の状態では、第1スプレーノズル12aから噴出された内容物が利用者の手のひらに供給されるほか、ノズルカバー16の拡径部116fにも供給される。従って、内容物にアルコール等の消毒液を用いた場合には、ノズルカバー16の拡径部116fも消毒されることになる。従って、利用者が直接接触するノズルカバー16の拡径部116fの衛生状態を改善することができる。
【0074】
また、本実施形態では、ノズルカバー16の先端部に径方向外側に広がる拡径部116fを設けたので、ノズルカバー16を押下する際に利用者の手のひらに集中応力が作用することが無く、容易に内容物を噴出させることができる。
【0075】
次に、図14及び図15を用いて、本実施形態に係るスプレーノズル付き容器200の第2スプレーノズル12bのみから略水平方向に内容物を噴出させる場合について説明する。
【0076】
図12の状態から図14に示す状態へと、ノズルカバー16を回転軸線R周りに約90度回転させると、ノズル選択部材14がノズルカバー16に連動して約90度回転する。その結果、図15に示すように、ノズル選択部材14の流出開口14cが略水平方向に向けて方向づけられ、空間C1と第2流出路A6とを連通する。この状態でノズルカバー16を押下すると、図15に示すように、ノズル選択部材14が容器本体Cからの内容物を流出開口14c経由で第2流出路A6へと供給する。このため、第2スプレーノズル12bの第2ノズル開口12b1から略水平方向に内容物が噴出される。従って、テーブルを除菌するのに適した態様で内容物を噴出させることができる。
【0077】
以上述べたように、本実施形態は、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体Cと、容器本体Cの口部C2に固定され、容器本体C内の内容物を圧送するポンプ20と、ポンプ20により圧送された内容物を噴出させる、噴出方向が異なる複数のスプレーノズル12a,12bと、複数のスプレーノズル12a,12bを外側から覆い、内容物を噴出させるカバー開口16a,116bを有するノズルカバー16とを備えたスプレーノズル付き容器200であって、ノズルカバー16は、ポンプ20に対して回転軸線R周りに回転可能であり、ノズルカバー16の回転方向位置に応じて、複数のスプレーノズル12a,12bのうちノズルカバー16のカバー開口16a,116bを通じて内容物を外部に噴出可能な少なくとも1つのスプレーノズル12a,12bから選択的に内容物が噴出されるように構成した。このような構成の採用によって、ノズルカバー16の回転位置を変更することによって内容物が噴出されるスプレーノズル12a,12bを選択することができるので、例えば、利用者の手のひらとテーブルなど、多種類の対象物に対してスプレーノズル12a,12bを切り替えて内容物を供給し易くすることができる。
【0078】
なお、ここでいう「選択的に」とは、ノズルカバー16の回転方向位置に応じて複数のスプレーノズルから1又は複数のスプレーノズルが選択されるという意味である。ノズルカバー16の回転方向位置に依っては、全てのスプレーノズルが選択される場合も含み得ることに留意されたい。特許請求の範囲における「選択的に」の意味も同様である。
【0079】
また、本実施形態では、カバー開口16a,116bの少なくとも1つには、内容物の噴出方向に向かって径方向外側に広がる拡径部116fが設けられように構成した。このような構成の採用によって、ノズルカバー16を押下する際に利用者の手のひらに集中応力が作用することが無い。従って、利用者は、押圧操作を不快に感じることなく容易に内容物を噴出させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、ポンプ20と複数のスプレーノズル12a,12bとを選択的に連通させるノズル選択部材14を備え、ノズル選択部材14がノズルカバー16と共に回転することによって、複数のスプレーノズル12a,12bのうちカバー開口16a,116bを通じて内容物を外部に噴出可能なスプレーノズル12a,12bから選択的に内容物が噴出されるように構成した。このような構成の採用によって、簡素な構成でノズル選択部材14とノズルカバー16の動きを連動させてスプレーノズル12a,12bの選択を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態では、内容物を略上方及び略水平方向に同時に噴出可能であるように構成した。このような構成の採用によって、利用者は、片手の手のひらでノズルカバー16の拡径部116fを下方に押圧してポンプ20を作動させながら、両手の手のひらで内容物を容易に受け取って使用することができる。
【0082】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0083】
例えば、第1及び第2実施形態では、ノズルカバー16の先端部に鍔16f又は拡径部116fを設けたがこの態様には限定されず、鍔16f又は拡径部116fを設けない構成としてもよい。
【0084】
また、第1及び第2実施形態では、ノズル選択部材14がノズルカバー16と共に回転することによってスプレーノズル12a,12bが選択されるように構成したが、この態様には限定されない。例えば、ノズルカバー16の回転位置に応じてノズル選択部材14の並進位置が変化してスプレーノズル12a,12bが選択されるように構成するなどしてもよい。また、ノズルカバー16の一部がスプレーノズル12a,12bに向かう流路を直接制御するようにしてもよい。
【0085】
また、第1及び第2実施形態では、ノズル部材8に対して、ノズル選択部材14が回転軸線R周りに回転可能な状態で嵌合するように構成したが、この態様には限定されず、例えばノズル選択部材14がヘッド部材15に対して回転可能な状態で嵌合するように構成してもよい。
【0086】
また、第1及び第2実施形態では、ノズルカバー16の押下によって、ノズル部材8を介してポンプ20が作動するように構成したが、この態様には限定されず、ヘッド部材15やノズル部材8等を直接押下するように構成してもよい。
【0087】
また、第1及び第2実施形態では、複数のスプレーノズル12a,12bの1つは、内容物を略上方に向けて噴出可能であり、他のスプレーノズルは、内容物を略水平方向に噴出可能であるように構成したが、この態様には限定されず、複数のスプレーノズル12a,12bが上記とは異なる方向に内容物を噴出可能に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、例えば、アルコール等の消毒液を内容物として収容したスプレーノズル付き容器100,200として採用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 シリンダ本体
1a 筒状部
1b 拡径部
1c 圧力開放孔
1d 開放孔
1e 弁座
1f 嵌合筒部
2 フランジ
3 装着部材
3a 側壁
3s ねじ部
4 肩部
5 周壁
6 ヘッド基部
6a サブシリンダ
6b 水平壁
6c 突部
6d ステム
8 ノズル部材
8a 嵌合筒部
8c 内周壁
8d 外周壁
8f ガイドリブ
8g 挟持壁
9 第2プランジャ
9a 摺動部
9b 第2ピストン
10 吸入弁
11 第1プランジャ
11b 弁座
11d 第1ピストン
11s 段部
12a 第1スプレーノズル
12a1 第1ノズル開口
12b 第2スプレーノズル
12b1 第2ノズル開口
13 スペーサ
13a フィン
13b ピン
14 ノズル選択部材
14a 流路隔壁
14b 突部
14c,14c2 流出開口
14d 流入開口
15 ヘッド部材
15a 上部ノズル開口
15b 側部ノズル開口
15c 軸部
15d 挟持壁
15e ガイドリブ
15f ヘッド本体
15g 外カバー
16 ノズルカバー
16a カバー開口(開口)
16b 底部開口
16c 矩形開口
16d 軸受凹部
16f 鍔(拡径部)
20 ポンプ
30 ヘッド部
40 プランジャ体
100,200 スプレーノズル付き容器
101 シリンダ部
116b カバー開口
116f 拡径部
A1 吸入口
A2 排出口
A3 開口部
A4 流入路
A5 第1流出路
A6 第2流出路
C 容器本体
C1 空間
C2 口部
L 液体流路
N 内部空間
O 中心軸線
P パイプ
PK パッキン
R 回転軸線
S 収容空間
SP リターンスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15