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特許7412868救急搬送配車システム、および配車管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】救急搬送配車システム、および配車管理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240105BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240105BHJP
【FI】
G16H10/00
G06Q50/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023541195
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2021029798
(87)【国際公開番号】W WO2023017613
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301049157
【氏名又は名称】株式会社アルム
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂野 哲平
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086213(JP,A)
【文献】特開2013-041479(JP,A)
【文献】特開2005-071092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0295566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するための救急搬送配車システムであって、患者や患者の関係者が操作する患者用端末と、患者を搬送する車両の運転手が操作する配車用端末と、医療従事者が操作する医療者用端末と、車両の配車を管理する配車管理装置とが通信回線を介して接続されており、
前記患者用端末は、
患者のトリアージ結果を取得するトリアージ結果取得手段と、
患者の現在位置を特定する患者現在位置特定手段と、
前記トリアージ結果取得手段によって取得された患者のトリアージ結果の情報と、前記患者現在位置特定手段によって特定された患者の現在位置の情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだトリアージ結果情報を前記配車管理装置へ送信するトリアージ結果情報送信手段とを備え、
前記配車管理装置は、
前記患者用端末から受信したトリアージ結果情報に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定する疾患特定手段と、
前記疾患特定手段によって特定された疾患に基づいて、あらかじめ登録されている運転手の中から患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するための抽出処理を行う運転手候補抽出手段と、
前記運転手候補抽出手段によって抽出された各運転手の現在位置を特定する運転手現在位置特定手段と、
患者の現在位置と運転手の現在位置とに基づいて、前記運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する運転手決定手段と、
前記運転手決定手段によって決定された運転手が操作する前記配車用端末に、患者の現在位置を示す情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信する依頼情報送信手段とを備え、
前記配車用端末は、
前記配車管理装置から前記依頼情報を受信すると、患者の現在位置と患者の本人確認のための情報とを表示装置に表示する患者情報表示手段と、
運転手が患者のもとへ到着したことを検出する到着検出手段と、
前記到着検出手段によって運転手が患者のもとへ到着したことを検出した場合に、患者の受け入れ依頼先候補の医療機関を抽出する医療機関抽出手段と、
前記医療機関抽出手段によって抽出された受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先の医療機関として決定する医療機関決定手段と、
前記医療機関決定手段によって決定された医療機関の医療従事者が操作する前記医療者用端末へ、医療機関への予定到達時刻と、現在の車両の位置情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ搬送情報を送信する搬送情報送信手段とを備え、
前記医療者用端末は、
前記配車用端末から受信した前記搬送情報を表示装置に表示する搬送情報表示手段を備え、
前記運転手候補抽出手段は、前記疾患特定手段によって特定された疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行うことを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記トリアージ結果取得手段は、あらかじめ設定されているトリアージ項目ごとに、各トリアージ項目に対応するトリアージ質問を表示し、操作者から該トリアージ質問に対する回答を得ることによって患者のトリアージ結果を取得することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項3】
請求項2に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記疾患特定手段は、各トリアージ質問に対する回答の結果に基づいて、あらかじめ設定されている疾患ごとに患者にその疾患が発生している可能性をスコアで表し、該スコアがあらかじめ設定されている閾値を越えた疾患を患者に発生している可能性が高い疾患として特定することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項4】
請求項3に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記運転手候補抽出手段は、各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手を前記運転手候補として抽出するように抽出条件を設定して、前記抽出処理を実行することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項5】
請求項4に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記運転手候補抽出手段は、患者の意識があるかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が意識がないことを示すものである場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、患者の心肺が停止しているかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が心肺停止であることを示すものである場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、前記抽出処理を実行することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記トリアージ結果取得手段は、前記トリアージ項目に対応する質問とともに、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることによって搬送対象除外質問に対する回答を取得し、
前記搬送対象除外質問に対する回答の中に該当する回答がある場合には、その患者は救急搬送専用ではない車両を用いた救急搬送に適していない患者であると判定して、自身での搬送を推奨する推奨手段をさらに備えることを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記医療機関抽出手段は、患者に発生している可能性が高い疾患に対応可能な医療機関を受け入れ依頼先候補の医療機関として抽出することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項8】
請求項7に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記医療機関抽出手段は、患者に発生している可能性が高い疾患に治療のための時間制限がある場合は、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間を考慮して受け入れ依頼先候補を絞り込むことを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記依頼情報送信手段は、前記運転手決定手段によって決定された運転手が患者の搬送を受諾した場合に、該運転手が操作する前記配車用端末に前記依頼情報を送信することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記運転手決定手段は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を拒否した場合には、前記運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記搬送情報送信手段は、前記医療機関決定手段によって決定された医療機関の医療従事者が患者の受け入れを受諾した場合に、該医療従事者が操作する前記医療者用端末に前記搬送情報を送信することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の救急搬送配車システムにおいて、
前記医療機関決定手段は、受け入れ依頼先として決定した医療機関の医療従事者が患者の受け入れを拒否した場合には、前記医療機関抽出手段によって抽出された受け入れ依頼先候補の医療機関の中から患者の受け入れを拒否した医療機関の次に移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先として決定することを特徴とする救急搬送配車システム。
【請求項13】
救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するための配車管理装置であって、
患者のトリアージ結果を取得するトリアージ結果取得手段と、
患者の現在位置を特定する患者現在位置特定手段と、
前記トリアージ結果取得手段によって取得されたトリアージ結果に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定する疾患特定手段と、
前記疾患特定手段によって特定された疾患に基づいて、あらかじめ登録されている運転手の中から患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するための抽出処理を行う運転手候補抽出手段と、
前記運転手候補抽出手段によって抽出された各運転手の現在位置を特定する運転手現在位置特定手段と、
前記患者現在位置特定手段によって特定された患者の現在位置と、前記運転手現在位置特定手段によって特定された運転手の現在位置とに基づいて、前記運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する運転手決定手段と、
前記運転手決定手段によって決定された運転手が操作する端末に患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信する依頼情報送信手段とを備え、
前記運転手候補抽出手段は、前記疾患特定手段によって特定された疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行うことを特徴とする配車管理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の配車管理装置において、
前記トリアージ結果取得手段は、あらかじめ設定されているトリアージ項目ごとに、各トリアージ項目に対応するトリアージ質問を表示し、操作者から該トリアージ質問に対する回答を得ることによって患者のトリアージ結果を取得することを特徴とする配車管理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の配車管理装置において、
前記疾患特定手段は、各トリアージ質問に対する回答の結果に基づいて、あらかじめ設定されている疾患ごとに患者にその疾患が発生している可能性をスコアで表し、該スコアがあらかじめ設定されている閾値を越えた疾患を患者に発生している可能性が高い疾患として特定することを特徴とする配車管理装置。
【請求項16】
請求項15に記載の配車管理装置において、
前記運転手候補抽出手段は、各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手を前記運転手候補として抽出するように抽出条件を設定して、前記抽出処理を実行することを特徴とする配車管理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の配車管理装置において、
前記運転手候補抽出手段は、患者の意識があるかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が意識がないことを示すものである場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、患者の心肺が停止しているかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が心肺停止であることを示すものである場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、前記抽出処理を実行することを特徴とする配車管理装置。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか一項に記載の配車管理装置において、
前記トリアージ結果取得手段は、前記トリアージ項目に対応する質問とともに、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることによって搬送対象除外質問に対する回答を取得し、
前記搬送対象除外質問に対する回答の中に該当する回答がある場合には、その患者は救急搬送専用ではない車両を用いた救急搬送に適していない患者であると判定して、自身での搬送を推奨する推奨手段をさらに備えることを特徴とする配車管理装置。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか一項に記載の配車管理装置において、
前記依頼情報送信手段は、前記運転手決定手段によって決定された運転手が患者の搬送を受諾した場合に、該運転手が操作する端末に前記依頼情報を送信することを特徴とする配車管理装置。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか一項に記載の配車管理装置において、
前記運転手決定手段は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を拒否した場合には、前記運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定することを特徴とする配車管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救急搬送配車システム、および配車管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次のような救急搬送配車システムが知られている。この救急搬送配車システムでは、救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するために、患者のトリアージ結果情報に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定し、特定した疾患に基づいて患者の救急搬送に対応することができ、患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定して、決定した運転手が操作する配車用端末に患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-86213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
救急搬送を必要とする患者には、感染症に感染している可能性がある患者が含まれる場合がある。このため、救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するに当たっては、患者が感染症に感染している可能性がある場合は、感染症に感染している患者の搬送に対応した車両の運転手を手配することが好ましいが、従来の技術ではそのための技術については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、救急搬送配車システムは、救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するために、患者や患者の関係者が操作する患者用端末と、患者を搬送する車両の運転手が操作する配車用端末と、医療従事者が操作する医療者用端末と、車両の配車を管理する配車管理装置とが通信回線を介して接続されており、患者用端末は、患者のトリアージ結果を取得するトリアージ結果取得手段と、患者の現在位置を特定する患者現在位置特定手段と、トリアージ結果取得手段によって取得された患者のトリアージ結果の情報と、患者現在位置特定手段によって特定された患者の現在位置の情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだトリアージ結果情報を配車管理装置へ送信するトリアージ結果情報送信手段とを備え、配車管理装置は、患者用端末から受信したトリアージ結果情報に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定する疾患特定手段と、疾患特定手段によって特定された疾患に基づいて、あらかじめ登録されている運転手の中から患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するための抽出処理を行う運転手候補抽出手段と、運転手候補抽出手段によって抽出された各運転手の現在位置を特定する運転手現在位置特定手段と、患者の現在位置と運転手の現在位置とに基づいて、運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する運転手決定手段と、運転手決定手段によって決定された運転手が操作する配車用端末に、患者の現在位置を示す情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信する依頼情報送信手段とを備え、配車用端末は、配車管理装置から依頼情報を受信すると、患者の現在位置と患者の本人確認のための情報とを表示装置に表示する患者情報表示手段と、運転手が患者のもとへ到着したことを検出する到着検出手段と、到着検出手段によって運転手が患者のもとへ到着したことを検出した場合に、患者の受け入れ依頼先候補の医療機関を抽出する医療機関抽出手段と、医療機関抽出手段によって抽出された受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先の医療機関として決定する医療機関決定手段と、医療機関決定手段によって決定された医療機関の医療従事者が操作する医療者用端末へ、医療機関への予定到達時刻と、現在の車両の位置情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ搬送情報を送信する搬送情報送信手段とを備え、医療者用端末は、配車用端末から受信した搬送情報を表示装置に表示する搬送情報表示手段を備え、運転手候補抽出手段は、疾患特定手段によって特定された疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行う。
本発明の第2の態様によると、第1の態様の救急搬送配車システムにおいて、トリアージ結果取得手段は、あらかじめ設定されているトリアージ項目ごとに、各トリアージ項目に対応するトリアージ質問を表示し、操作者から該トリアージ質問に対する回答を得ることによって患者のトリアージ結果を取得する。
本発明の第3の態様によると、第2の態様の救急搬送配車システムにおいて、疾患特定手段は、各トリアージ質問に対する回答の結果に基づいて、あらかじめ設定されている疾患ごとに患者にその疾患が発生している可能性をスコアで表し、該スコアがあらかじめ設定されている閾値を越えた疾患を患者に発生している可能性が高い疾患として特定する。
本発明の第4の態様によると、第3の態様の救急搬送配車システムにおいて、運転手候補抽出手段は、各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手を運転手候補として抽出するように抽出条件を設定して、抽出処理を実行する。
本発明の第5の態様によると、第4の態様の救急搬送配車システムにおいて、運転手候補抽出手段は、患者の意識があるかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が意識がないことを示すものである場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、患者の心肺が停止しているかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が心肺停止であることを示すものである場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、抽出処理を実行する。
本発明の第6の態様によると、第2~第5のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、トリアージ結果取得手段は、トリアージ項目に対応する質問とともに、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることによって搬送対象除外質問に対する回答を取得し、搬送対象除外質問に対する回答の中に該当する回答がある場合には、その患者は救急搬送専用ではない車両を用いた救急搬送に適していない患者であると判定して、自身での搬送を推奨する推奨手段をさらに備える。
本発明の第7の態様によると、第1~第6のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、医療機関抽出手段は、患者に発生している可能性が高い疾患に対応可能な医療機関を受け入れ依頼先候補の医療機関として抽出する。
本発明の第8の態様によると、第7の態様の救急搬送配車システムにおいて、医療機関抽出手段は、患者に発生している可能性が高い疾患に治療のための時間制限がある場合は、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間を考慮して受け入れ依頼先候補を絞り込む。
本発明の第9の態様によると、第1~第8のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、依頼情報送信手段は、運転手決定手段によって決定された運転手が患者の搬送を受諾した場合に、該運転手が操作する配車用端末に依頼情報を送信する。
本発明の第10の態様によると、第1~第9のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、運転手決定手段は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を拒否した場合には、運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する。
本発明の第11の態様によると、第1~第10のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、搬送情報送信手段は、医療機関決定手段によって決定された医療機関の医療従事者が患者の受け入れを受諾した場合に、該医療従事者が操作する医療者用端末に搬送情報を送信する。
本発明の第12の態様によると、第1~第11のいずれかの態様の救急搬送配車システムにおいて、医療機関決定手段は、受け入れ依頼先として決定した医療機関の医療従事者が患者の受け入れを拒否した場合には、医療機関抽出手段によって抽出された受け入れ依頼先候補の医療機関の中から患者の受け入れを拒否した医療機関の次に移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先として決定する。
本発明の第13の態様によると、配車管理装置は、救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するための配車管理装置であって、患者のトリアージ結果を取得するトリアージ結果取得手段と、患者の現在位置を特定する患者現在位置特定手段と、トリアージ結果取得手段によって取得されたトリアージ結果に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定する疾患特定手段と、疾患特定手段によって特定された疾患に基づいて、あらかじめ登録されている運転手の中から患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するための抽出処理を行う運転手候補抽出手段と、運転手候補抽出手段によって抽出された各運転手の現在位置を特定する運転手現在位置特定手段と、患者現在位置特定手段によって特定された患者の現在位置と、運転手現在位置特定手段によって特定された運転手の現在位置とに基づいて、運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する運転手決定手段と、運転手決定手段によって決定された運転手が所持する端末に患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信する依頼情報送信手段とを備え、運転手候補抽出手段は、疾患特定手段によって特定された疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行う。
本発明の第14の態様によると、第13の態様の配車管理装置において、トリアージ結果取得手段は、あらかじめ設定されているトリアージ項目ごとに、各トリアージ項目に対応するトリアージ質問を表示し、操作者から該トリアージ質問に対する回答を得ることによって患者のトリアージ結果を取得する。
本発明の第15の態様によると、第14の態様の配車管理装置において、疾患特定手段は、各トリアージ質問に対する回答の結果に基づいて、あらかじめ設定されている疾患ごとに患者にその疾患が発生している可能性をスコアで表し、該スコアがあらかじめ設定されている閾値を越えた疾患を患者に発生している可能性が高い疾患として特定する。
本発明の第16の態様によると、第15の態様の配車管理装置において、運転手候補抽出手段は、各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手を運転手候補として抽出するように抽出条件を設定して、抽出処理を実行する。
本発明の第17の態様によると、第16の態様の配車管理装置において、運転手候補抽出手段は、患者の意識があるかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が意識がないことを示すものである場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、患者の心肺が停止しているかどうかを確認するためのトリアージ質問に対する回答が心肺停止であることを示すものである場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、抽出処理を実行する。
本発明の第18の態様によると、第14~第17のいずれかの態様の配車管理装置において、トリアージ結果取得手段は、トリアージ項目に対応する質問とともに、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることによって搬送対象除外質問に対する回答を取得し、搬送対象除外質問に対する回答の中に該当する回答がある場合には、その患者は救急搬送専用ではない車両を用いた救急搬送に適していない患者であると判定して、自身での搬送を推奨する推奨手段をさらに備える。
本発明の第19の態様によると、第13~第18のいずれかの態様の配車管理装置において、依頼情報送信手段は、運転手決定手段によって決定された運転手が患者の搬送を受諾した場合に、該運転手が操作する端末に依頼情報を送信する。
本発明の第20の態様によると、第13~第19のいずれかの態様の配車管理装置において、運転手決定手段は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を拒否した場合には、運転手候補抽出手段によって抽出された運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トリアージ結果に基づいて患者に発生している可能性が高い疾患を特定し、特定した疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行って搬送依頼先の運転手を決定するようにしたため、患者が感染症に感染している可能性がある場合でも運転手が救急搬送に対応することができる車両を患者の救急搬送のために配車することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】救急搬送配車システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図。
図2】患者用端末100の一実施の形態の構成を示すブロック図。
図3】配車用端末200の一実施の形態の構成を示すブロック図。
図4】医療者用端末300の一実施の形態の構成を示すブロック図。
図5】配車管理装置400の一実施の形態の構成を示すブロック図。
図6】患者用端末100で実行される処理の流れを示すフローチャート図。
図7】配車用端末200で実行される処理の流れを示すフローチャート図。
図8】医療者用端末300で実行される処理の流れを示すフローチャート図。
図9】配車管理装置400で実行される処理の流れを示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における救急搬送配車システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。救急搬送配車システム10は、患者または患者の家族などの関係者が操作する患者用端末100と、車両の運転手が操作する配車用端末200と、医師などの医療従事者が操作する医療者用端末300と、患者の救急搬送に用いる車両の配車を管理するための配車管理装置400とがインターネットなどの通信回線を介して接続されている。
【0009】
患者用端末100は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、パソコンなどが用いられる。図2は、本実施の形態における患者用端末100として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。患者用端末100は、タッチパネル101と、通信モジュール102と、制御装置103と、GPSモジュール104とを備えている。
【0010】
タッチパネル101は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、患者用端末100の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやアイコンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、患者用端末100を操作することができる。タッチパネル101は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置103へ出力する。
【0011】
通信モジュール102は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介してインターネットに接続するためのモジュールが用いられる。
【0012】
制御装置103は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、患者用端末100の全体を制御する。なお、制御装置103を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、患者用端末100を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。なお、本実施の形態では、制御装置103を構成するメモリに後述する患者用アプリケーション(以下「患者用アプリ」と呼ぶ)のプログラムデータが記録されている。
【0013】
GPSモジュール104は、GPS衛星と通信を行って、GPS衛星から現在位置を特定するための測位情報を受信するためのモジュールであり、GPS衛星と通信を行うためのアンテナや制御回路等が含まれる。
【0014】
配車用端末200は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、パソコンなどが用いられ、車両に搭載された端末や車両の運転手が所持する端末が想定される。図3は、本実施の形態における配車用端末200として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。配車用端末200は、タッチパネル201と、通信モジュール202と、制御装置203と、GPSモジュール204とを備えている。
【0015】
タッチパネル201は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、配車用端末200の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやアイコンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、配車用端末200を操作することができる。タッチパネル201は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置203へ出力する。
【0016】
通信モジュール202は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介してインターネットに接続するためのモジュールが用いられる。
【0017】
制御装置203は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、配車用端末200の全体を制御する。なお、制御装置203を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、配車用端末200を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。なお、本実施の形態では、制御装置203を構成するメモリに後述する配車用アプリケーション(以下「配車用アプリ」と呼ぶ)のプログラムデータが記録されている。
【0018】
GPSモジュール204は、GPS衛星と通信を行って、GPS衛星から現在位置を特定するための測位情報を受信するためのモジュールであり、GPS衛星と通信を行うためのアンテナや制御回路等が含まれる。
【0019】
医療者端末300は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、パソコンなどが用いられる。図4は、本実施の形態における医療者端末300として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。医療者端末300は、タッチパネル301と、通信モジュール302と、制御装置303とを備えている。
【0020】
タッチパネル301は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、医療者端末300の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやアイコンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、医療者端末300を操作することができる。タッチパネル301は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置303へ出力する。
【0021】
通信モジュール302は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介してインターネットに接続するためのモジュールが用いられる。
【0022】
制御装置303は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、医療者端末300の全体を制御する。なお、制御装置303を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、医療者端末300を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。なお、本実施の形態では、制御装置303を構成するメモリに後述する医療者用アプリケーション(以下「医療者用アプリ」と呼ぶ)のプログラムデータが記録されている。
【0023】
配車管理装置400は、インターネットに接続された装置であって、例えば、パソコンやサーバーなどが用いられる。図5は、本実施の形態における配車管理装置400として、サーバー装置を用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。配車管理装置400は、接続インターフェース401と、制御装置402と、記憶媒体403とを備えている。
【0024】
接続インターフェース401は、配車管理装置400をインターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースであり、例えば、インターネットに有線で接続するための有線LANモジュールや、インターネットに無線で接続するための無線LANモジュールなどを含んでいる。
【0025】
制御装置402は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、配車管理装置400の全体を制御する。なお、制御装置402を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。例えば、接続インターフェース401を介して読み込まれたデータは、バッファメモリに一時的に記録される。
【0026】
記憶媒体403は、配車管理装置400が蓄える種々のデータや、制御装置402が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記憶媒体403に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供され、操作者が取得したプログラムのデータを記憶媒体403にインストールすることによって、制御装置02がプログラムを実行できるようになる。
【0027】
本実施の形態における救急搬送配車システム10は、患者の救急搬送のために、車両の運転手に患者の搬送を依頼して、救急搬送用のために配車を行うことを目的として利用される。本実施の形態では、救急搬送に用いる車両は、救急車などの救急搬送を目的とする車両ではなく、タクシーやカーシェアなどのサービスによって提供される救急搬送を目的としていない車両を想定する。すなわち、本実施の形態では、救急車などの救急搬送専用の車両ではなく、タクシーなどの救急搬送専用ではない車両を患者の救急搬送のために配車するためのシステムを提供するための方法について説明する。
【0028】
従来、配車アプリを用いてタクシーを呼べるシステムなどが存在しているが、本実施の形態における救急搬送配車システム10は、このようなアプリと連携して、本来は救急搬送を目的としていない車両を患者の救急搬送のために配車するための仕組みを提供する。これにより、救急車が不足していて救急車の到着までに時間がかかるような場合でも、配車可能な車両を活用して迅速に患者を病院へ搬送することができる。
【0029】
救急搬送を目的としていない車両を救急搬送のために利用するためには、車両の運転手が患者をピックアップして病院などの医療機関へ搬送することになるため、運転手や車両が患者の救急搬送に対応できることが求められる。しかしながらタクシーなどの運転手は救急搬送を専門としていないため、患者の扱いに不慣れな可能性が高い。また、タクシーなどの一般的な車両は陰圧のための設備など、感染症の感染者を搬送するために必要な設備を備えていない可能性がある。このため、本実施の形態では、救急搬送に対応することができる運転手や車両を特定し、該運転手が運転する車両を配車対象にするための方法について説明する。以下、本実施の形態における救急搬送配車システム10における処理の詳細について説明する。
【0030】
患者に救急搬送が必要になる可能性が生じた際に、患者またはその家族などの関係者は、患者用端末100を操作して、患者のトリアージを行う。上述したように、患者用端末100にはあらかじめ患者用アプリがインストールされており、患者や家族などの操作者は、患者用端末100上で患者用アプリを立ち上げてトリアージの開始を指示することにより、患者のトリアージを行うことができる。制御装置103は、操作者によって患者用アプリの起動が指示されると、メモリから患者用アプリのプログラムを読み出して実行することにより、患者用アプリを起動する。
【0031】
患者用アプリでは、複数のトリアージ項目があらかじめ設定されており、制御装置103は、タッチパネル101上にトリアージ項目に対応する質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることで患者のトリアージ処理を行う。トリアージ項目ごとの質問内容は、患者のトリアージを行うために必要な内容があらかじめ設定されているものとする。本実施の形態では、例えば、頭蓋内出血、脳梗塞、心筋梗塞、または感染症などの疾患を想定し、以下のようなトリアージ質問がタッチパネル101に表示され、操作者はタッチパネル101を操作して各質問に回答するものとする。なお、本実施の形態では、感染の可能性を判定する感染症は、以下に示すトリアージ質問に対する回答内容に基づいて感染の可能性を判定することができる感染症を想定する。
【0032】
「顔性麻痺があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「失語障害があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「不性脈があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「両腕があがるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「発声障害があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「血圧(収縮期)は165mmHg以上か?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「眼球偏位があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「頭痛があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「既往歴に脳梗塞があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「胸痛が24時間以内にあったか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「既往歴に冠動脈疾患があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「放散痛があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「冷や汗をかいているか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「倦怠感があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「SpO2が95%未満か?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「感染症の感染者と濃厚接触が5日以内にあったか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「体温が38.5度以上か?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「流行中感染症のワクチン接種が10日以上前に終わっていないか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「発症したのは何時?」という質問に対して操作者は患者が発症した時刻を例えば13:00のように回答する。「意識はあるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「心肺停止か?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。
【0033】
また、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問があらかじめ用意されており、制御装置103は、トリアージ質問とともに、以下のような搬送対象除外質問もタッチパネル101に表示して操作者からの回答を得る。搬送対象除外質問としては、例えば以下のような質問が用意されている。
【0034】
「出血があるか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「暴れているか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。「本人が搬送を拒否しているか?」という質問に対して操作者はYESかNOで回答する。
【0035】
制御装置103は、上述したトリアージ質問と搬送対象除外質問に対して操作者による回答が完了したと判断した場合には、トリアージ質問と回答の情報、搬送対象除外質問と回答の情報、患者の現在位置を示す情報、具合が悪いのは操作者本人か本人以外かを示す情報、および患者の本人確認のための情報を含んだトリアージ結果情報を配車管理装置400へ送信する。
【0036】
このとき、制御装置103は、GPSモジュール104からの出力に基づいて患者用端末100の現在位置を特定し、この情報を患者の現在位置を示す情報とする。また、具合が悪いのは操作者本人か本人以外かを示す情報は、トリアージ質問や搬送対象除外質問とともに具合が悪いのは操作者本人かあるいは本人以外かを確認するための質問を表示して操作者に回答させることによって得ることができる。このとき、本人以外である場合は、あらかじめ登録されている家族の情報の中から具合が悪い人物を選択できるようにして、具合が悪いのは操作者本人か本人以外かを示す情報に選択された家族の情報を含めるようにしてもよい。また、患者の本人確認のための情報には、患者の氏名、年齢、性別、プロフィール写真のデータを含み、これらはあらかじめ入力されてメモリに記録されているものとする。
【0037】
制御装置103は、搬送対象除外質問に対する回答の中に一つでも該当する回答、すなわちYESが含まれている場合には、タッチパネル101上に近隣の医療機関の情報を表示して、患者又は家族などの同行者に自身での医療機関への搬送を推奨する。これによって、患者が暴れていたり、出血していたり、搬送を拒否したりしている場合など、救急搬送を目的としていない車両を利用した搬送が適していない患者の場合には、患者又は家族などの同行者に自身での搬送を推奨することができる。
【0038】
本実施の形態では、例えば、医療機関の場所を示す緯度経度情報や住所情報などがあらかじめ記録されており、制御装置103は、GPSモジュール104から取得した患者用端末100の位置情報に基づいて近隣の医療機関を特定してタッチパネル101上に表示すればよい。なお、このときにタッチパネル101上に近隣の医療機関の情報は、例えば、医療機関名、住所、電話番号などの文字情報であってもよいし、地図上に医療機関の位置を示した地図情報であってもよい。
【0039】
配車管理装置400では、制御装置402は、患者用端末100からトリアージ結果情報を受信すると、受信した情報に基づいて患者の搬送を依頼する運転手を決定するための処理を実行する。以下、配車管理装置400で制御装置402によって実行される処理について説明する。
【0040】
制御装置402は、受信したトリアージ結果情報に基づいて患者に発生している可能性が高い疾患を特定する。本実施の形態では、例えば、頭蓋内出血、脳梗塞、心筋梗塞、または感染症の4つの疾患を想定し、患者に頭蓋内出血、脳梗塞、心筋梗塞、または感染症のいずれかが発生している可能性があるかを特定するための方法について説明する。
【0041】
このために、制御装置402は、トリアージ結果情報に含まれるトリアージ質問とその回答のデータに基づいて、次のような計算処理を実行する。なお、以下の計算処理において、頭蓋内出血の可能性を示すスコアの初期値と、脳梗塞の可能性を示すスコアの初期値と、心筋梗塞の可能性を示すスコアの初期値と、感染症の可能性を示すスコアの初期値はそれぞれ0である。制御装置402は、頭蓋内出血の可能性を示すスコアと、脳梗塞の可能性を示すスコアと、心筋梗塞の可能性を示すスコアと、感染症の可能性を示すスコアに以下のようなスコア加算またはスコア減算を行うことによって、患者に頭蓋内出血、脳梗塞、または心筋梗塞のいずれの疾患が発生している可能性が高いか、または患者が感染症に感染している可能性が高いかを特定する。なお、以下に示すスコア加算例及びスコア減算例は一例であって、この内容に限定されるものではない。
【0042】
「顔性麻痺があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに2を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに3を加算する。「失語障害があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに1を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに1を加算する。「不性脈があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアから2を減算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに2を加算し、心筋梗塞の可能性を示すスコアに2点を加算する。「両腕があがるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに2を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに3を加算する。「発声障害があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに1を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに1を加算する。「血圧(収縮期)は165mmHg以上か?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに1を加算し、感染症の可能性を示すスコアに1を加算する。「眼球偏位があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに1を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアに1を加算する。「頭痛があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアに1を加算し、脳梗塞の可能性を示すスコアから3を減算し、感染症の可能性を示すスコアに1を加算する。「既往歴に脳梗塞があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、頭蓋内出血の可能性を示すスコアから2を減算する。「胸痛が24時間以内にあったか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、心筋梗塞の可能性を示すスコアに2を加算する。「既往歴に冠動脈疾患があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、心筋梗塞の可能性を示すスコアに2を加算する。「放散痛があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、心筋梗塞の可能性を示すスコアに1を加算する。「冷や汗をかいているか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、心筋梗塞の可能性を示すスコアに1を加算する。「倦怠感があるか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、感染症の可能性を示すスコアに1を加算する。「SpO2が95%未満か?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、感染症の可能性を示すスコアに2を加算する。「感染症の感染者と濃厚接触が5日以内にあったか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、感染症の可能性を示すスコアに2を加算する。「体温が38.5度以上か?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、感染症の可能性を示すスコアに1を加算する。「流行中感染症のワクチン接種が10日以上前に終わっていないか?」というトリアージ質問の回答がYESの場合、感染症の可能性を示すスコアに2を加算する。
【0043】
制御装置402は、上記の処理で算出した頭蓋内出血の可能性を示すスコア、脳梗塞の可能性を示すスコア、心筋梗塞の可能性を示すスコア、および感染症の可能性を示すスコアと、あらかじめ設定されている頭蓋内出血判定用閾値、脳梗塞判定用閾値、心筋梗塞判定用閾値、および感染症判定用閾値とを比較して、スコアが判定用閾値よりも大きいものを、患者に発生している可能性が高い疾患として特定する。例えば、頭蓋内出血判定用閾値が6、脳梗塞判定用閾値が5、心筋梗塞判定用閾値が4、感染症判定用閾値が6で、算出した頭蓋内出血の可能性を示すスコアが3、脳梗塞の可能性を示すスコアが7、心筋梗塞の可能性を示すスコアが5、感染症の可能性を示すスコアが8の場合は、脳梗塞の可能性を示すスコアと心筋梗塞の可能性を示すスコアと感染症の可能性を示すスコアが判定用閾値よりも大きいため、患者は脳梗塞、心筋梗塞、および感染症感染の可能性があると特定することができる。
【0044】
制御装置402は、患者に頭蓋内出血、脳梗塞、心筋梗塞、または感染症のどの疾患が発生している可能性が高いかの特定結果と、トリアージ質問に対する回答結果とに基づいて、患者の搬送を依頼する運転手を特定する。本実施の形態では、救急搬送の依頼先となる運転手に関する情報や車両に関する情報があらかじめ記憶媒体403に記録されているものとする。運転手に関する情報としては、例えば、運転手の氏名や性別などの情報とともに、救急搬送対応の可否を示す情報、各疾患の対応可否を示す情報、意識喪失患者の対応可否を示す情報、心肺停止患者の対応可否を示す情報が登録されている。また、車両に関する情報としては、感染者搬送対応の可否を示す情報が登録されている。本実施の形態では、例えば、陰圧式車両などが感染者搬送対応可として登録されているものとする。なお、本実施の形態では、各疾患の対応可否を示す情報は、頭蓋内出血患者の対応可否を示す情報と脳梗塞患者の対応可否を示す情報と心筋梗塞患者の対応可否を示す情報となる。
【0045】
制御装置402は、登録されている運転手や車両の中から、患者の搬送に対応可能な車両の運転手を決定するための処理を行う。このために、制御装置402は、登録されている運転手の中から候補となる運転手を抽出するための抽出条件を設定する。制御装置402は、上述した処理で算出した各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手が抽出されるように抽出条件を設定する。例えば、上記のように脳梗塞の可能性を示すスコアと心筋梗塞の可能性を示すスコアが判定用閾値よりも大きい場合には、脳梗塞患者と心筋梗塞患者の両方が対応可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件を設定する。また、制御装置402は、上述した処理で算出した感染症の可能性を示すスコアが判定用閾値を超えている場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定する。
【0046】
また、制御装置402は、「意識はあるか?」というトリアージ質問に対する回答がNOの場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件を設定する。また、制御装置402は、「心肺停止か?」というトリアージ質問に対する回答がYESの場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件を設定する。
【0047】
制御装置402は、設定したすべての抽出条件を満たす運転手を患者の搬送に対応可能な運転手候補として抽出する。そして、制御装置402は、抽出した運転手候補の中から、患者の現在位置までの移動時間が最も短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する。なお、本実施の形態では、制御装置402は、配車用端末200から運転手の現在位置を示す情報を取得して、トリアージ結果情報に含まれる患者の現在位置を示す情報と、配車用端末200から取得した運転手の現在位置を示す情報とに基づいて、公知の地図データを用いて、2地点間の移動時間が最も短い運転手を特定するものとする。このとき、制御装置402は、抽出された運転手候補が所持する配車用端末200に現在位置を問い合わせて運転手の現在位置を示す情報を取得してもよいし、所定時間間隔で登録されているすべての運転手を対象として配車用端末200から現在位置を取得しておき、最新の運転手の現在位置を用いるようにしてもよい。あるいは配車用端末200側から定期的に最新の現在位置情報を送ってくるようにしてもよい。
【0048】
制御装置402は、患者の搬送依頼先として決定した運転手が所持する配車用端末200に患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信して、患者の救急搬送を依頼する。依頼情報には、例えば、患者の現在位置を示す情報と、患者の本人確認のための情報と、具合が悪いのは操作者本人か本人以外かを示す情報と、トリアージ質問と回答を示す内容と、頭蓋内出血の可能性を示すスコアと、脳梗塞の可能性を示すスコアと、心筋梗塞の可能性を示すスコアと、感染症の可能性を示すスコアと、判定用閾値を超えている疾患を示す情報とを含むものとする。
【0049】
配車用端末200では、制御装置203は、配車管理装置400から依頼情報を受信すると、タッチパネル201に表示された配車用アプリの画面上にピックアップ先となる患者の現在位置情報と患者の情報を表示する。患者の現在位置情報は、例えば患者の現在位置を示す住所を表示してもよいし、地図上に患者の現在位置を示して表示するようにしてもよい。また、患者の情報は、例えば、依頼情報に含まれる患者の本人確認のための情報を表示すればよい。なお、配車用アプリはあらかじめ配車用端末200上で起動されていてもよいし、配車管理装置400から依頼情報を受信したときに制御装置203が起動するようにしてもよい。
【0050】
制御装置203は、運転手に対して患者の搬送を受諾するか拒否するかの確認を行うために、タッチパネル201上で受諾または拒否の指示を受け付ける。制御装置203は、運転手が患者の搬送を拒否した場合は、運転手が患者の搬送を拒否したことを示す情報を配車管理装置400へ送信する。
【0051】
配車管理装置400では、制御装置402は、配車用端末200から運転手が患者の搬送を拒否したことを示す情報を受信した場合には、上述した処理で抽出した運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定して、決定した運転手が所持する配車用端末200に依頼情報を送信する。
【0052】
制御装置203は、運転手が患者の搬送を受諾した場合は、運転手が患者のもとへ到着したことを検出する。運転手が患者のもとへ到着したことを検出するための処理は特に限定されないが、例えば、タッチパネル201上で運転手から到着済みの入力を受け付けてもよいし、GPSモジュール204からの出力に基づいて、車両が依頼情報に含まれる患者の現在位置に到達したと判断したときに運転手が患者のもとへ到着したことを検出するようにしてもよい。
【0053】
制御装置203は、運転手が患者のもとへ到着したことを検出した場合には、患者の発症から現在までの経過時間と、近隣の医療機関までの移動時間を計算する。ここで、近隣の医療機関は、あらかじめ患者の現在位置から半径何キロ以内のように、患者の現在位置から所定範囲内に位置する医療機関を想定すればよい。また、患者の発症から現在までの経過時間については、制御装置203は、「発症したのは何時?」というトリアージ質問に対する回答に基づいて発症時刻を特定し、発症時刻から現在までの経過時間を計算すればよい。
【0054】
近隣の医療機関までの移動時間については、制御装置203は、GPSモジュール204からの出力に基づいて特定した車両の現在位置と近隣に位置する医療機関の位置情報とに基づいて、公知の地図データを用いて2地点間の移動時間を計算する。なお、近隣医療機関の位置情報は、あらかじめ登録されている医療機関情報に基づいて特定するものとする。医療機関情報としては、例えば、医療機関の位置情報、各疾患の治療可否、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間、現時点での各疾患の治療可否、各疾患の連絡先の各情報が登録されている。また、各疾患の連絡先としては、チャットや通話が可能な連絡先が登録されている。
【0055】
制御装置203は、依頼情報に基づいて判定用閾値を超えている疾患を特定し、その疾患に現時点で対応可能な医療機関を受け入れ依頼先候補として抽出する。また、制御装置203は、治療のための時間制限がある場合は、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間を考慮して、受け入れ依頼先候補を絞り込む。例えば、血栓除去手術には発症から8時間以内という時間制限があり、血栓溶解薬には発症から4.5時間の時間制限があるものとする。この場合、発症が8時、現在が10時、病院までの移動に2時間、到達から治療開始まで1時間の病院の場合、発症から患者の治療開始までに5時間を要することになる。そうすると、発症から4.5時間の時間制限がある血栓溶解薬の場合は適応外となるため受け入れ依頼先候補から除外されるが、発症から8時間の時間制限がある血栓除去手術は適応内となる受け入れ依頼先候補として残ることになる。
【0056】
制御装置203は、受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、移動時間が最も短い医療機関を受け入れ依頼先の医療機関として決定し、該受け入れ依頼先医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先へ受け入れ依頼のための連絡を行う。上述したように、医療機関情報には、各疾患の連絡先としてチャットや通話が可能な連絡先が登録されているため、制御装置203は、登録されている連絡先に連絡をすればよい。本実施の形態では、配車用アプリと医療者用アプリには、アプリ間でチャットや通話を行うための機能が設けられており、運転手と受け入れ依頼先の医療機関はチャットや通話が可能となっている。このため、運転手は、チャットや通話により、移動時間が最も短い医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先の専門医と受け入れ可否の確認を行うことができる。
【0057】
制御装置203は、連絡先の専門医が連絡に出ない場合や患者の受け入れを拒否した場合には、受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、受け入れを拒否した医療機関の次に移動時間が短い医療機関を受け入れ先の医療機関として決定して、該医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先へ受け入れ依頼の連絡を行う。この場合は、運転手は、チャットや通話により、移動時間が次に短い医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先の専門医と受け入れ可否の確認を行うことになる。例えば、制御装置203は、通話やチャットが終了した後に表示する画面上に受け入れ可否を確認するためのボタンを表示し、運転手から受け入れの受諾または拒否の入力を受け付けるようにすればよい。
【0058】
連絡先の専門医が患者の受け入れを受諾した場合は、制御装置203は、医療機関への予定到達時刻、現在の車両の位置情報、トリアージ質問と回答を示す内容、頭蓋内出血の可能性を示すスコア、脳梗塞の可能性を示すスコア、心筋梗塞の可能性を示すスコア、感染症の可能性を示すスコア、判定用閾値を超えている疾患を示す情報、および患者の本人確認のための情報を含んだ搬送情報を受け入れ依頼先の医療者用端末300へ送信する。また、運転手は、受け入れ先の医療機関が決定した場合には、タッチパネル201上で受け入れ先の医療機関を確認して、該受け入れ先の医療機関へ患者を搬送する。
【0059】
医療者用端末300では、制御装置303は、配車用端末200から受信した搬送情報をタッチパネル301に表示された医療者用アプリの画面上に表示して、患者を受け入れる医師に通知する。これによって、患者を受け入れる医療機関の専門医は、事前に患者の状態や患者が到着する時刻などを把握して、治療の準備にあたることができる。
【0060】
図6は、本実施の形態における患者用端末100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図6に示す処理は、患者用アプリが実行されると起動するプログラムとして、制御装置103によって実行される。なお、患者用アプリの実行は、操作者によって指示されてもよく、端末の電源がオンされると自動的に指示されるようにしてもよい。
【0061】
ステップS10において、制御装置103は、トリアージの開始が指示されたか否かを判断する。ステップS10で肯定判断した場合には、ステップS20へ進む。
【0062】
ステップS20では、制御装置103は、上述したように、タッチパネル101上にトリアージ項目に対応する質問を表示し、操作者から質問に対する回答を得ることで患者のトリアージ処理を行う。その後、ステップS30へ進む。
【0063】
ステップS30では、制御装置103は、GPSモジュール104からの出力に基づいて患者用端末100の現在位置を特定する。その後、ステップS40へ進む。
【0064】
ステップS40では、制御装置103は、患者が搬送対象除外であるか、すなわち搬送対象除外質問に対する回答の中に一つでもYESが含まれているか否かを判断する。ステップS40で否定判断した場合には、ステップS50へ進む。
【0065】
ステップS50では、制御装置103は、上述したトリアージ結果情報を配車管理装置400へ送信する。その後、処理を終了する。
【0066】
これに対して、ステップS40で肯定判断した場合には、ステップS60へ進む。ステップS60では、制御装置103は、タッチパネル101上に近隣の医療機関の情報を表示して、患者又は家族などの同行者に自身での医療機関への搬送を推奨する。その後、処理を終了する。
【0067】
図7は、本実施の形態における配車用端末200で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す処理は、配車用アプリが実行されると起動するプログラムとして、制御装置203によって実行される。なお、配車用アプリの実行は、操作者によって指示されてもよく、端末の電源がオンされると自動的に指示されるようにしてもよい。
【0068】
ステップS110において、制御装置203は、配車管理装置400から上述した依頼情報を受信したか否かを判断する。ステップS110で肯定判断した場合には、ステップS120へ進む。
【0069】
ステップS120では、制御装置203は、タッチパネル201に表示された配車用アプリの画面上にピックアップ先となる患者の現在位置情報と患者の情報を表示する。その後、ステップS130へ進む。
【0070】
ステップS130では、制御装置203は、運転手が患者の搬送を受諾したか否かを判断する。ステップS130で肯定判断した場合には、ステップS140へ進む。
【0071】
ステップS140では、制御装置203は、運転手が患者のもとへ到着したか否かを検出する。ステップS140で肯定判断した場合には、ステップS150へ進む。
【0072】
ステップS150では、制御装置203は、上述したように、患者の発症から現在までの経過時間と、近隣の医療機関までの移動時間を計算する。その後、ステップS160へ進む。
【0073】
ステップS160では、制御装置203は、上述したように、依頼情報に基づいて閾値を超えている疾患を特定し、その疾患に現時点で対応可能な医療機関を受け入れ依頼先候補として抽出する。また、制御装置203は、治療のために時間制限がある場合は、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間を考慮して、受け入れ依頼先候補を絞り込む。その後、ステップS170へ進む。
【0074】
ステップS170では、制御装置203は、上述したように、受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、移動時間が最も短い医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先へ受け入れ依頼の連絡を行う。その後、ステップS180へ進む。
【0075】
ステップS180では、制御装置203は、連絡先の専門医が患者の受け入れを受諾したか否かを判断する。ステップS180で肯定判断した場合には、ステップS190へ進む。
【0076】
ステップS190では、制御装置203は、上述する搬送情報を連絡先の医療者用端末300へ送信する。その後、処理を終了する。
【0077】
これに対して、ステップS180で否定判断した場合、すなわち連絡先の専門医が連絡に出ない場合や患者の受け入れを拒否した場合にはステップS170へ戻り、制御装置203は、受け入れを拒否した医療機関の次に移動時間が短い医療機関の閾値を最も超えている疾患の連絡先へ受け入れ依頼の連絡を行って、ステップS180へ進む。
【0078】
一方、ステップS130で否定判断した場合、すなわち運転手が患者の搬送を拒否した場合には、ステップS200へ進む。ステップS200では、制御装置203は、上述したように、運転手が患者の搬送を拒否したことを示す情報を配車管理装置400へ送信する。その後、処理を終了する。
【0079】
図8は、本実施の形態における医療者用端末300で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す処理は、医療者用アプリが実行されると起動するプログラムとして、制御装置303によって実行される。なお、医療者用アプリの実行は、操作者によって指示されてもよく、端末の電源がオンされると自動的に指示されるようにしてもよい
【0080】
ステップS210において、制御装置303は、配車用端末200から受信した搬送情報をタッチパネル301に表示された医療者用アプリの画面上に表示する。その後、処理を終了する。
【0081】
図9は、本実施の形態における配車管理装置400で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図9に示す処理は、患者用端末100から上述したトリアージ結果情報を受信すると起動するプログラムとして、制御装置402によって実行される。
【0082】
ステップS310において、制御装置402は、上述したように、トリアージ結果情報に含まれるトリアージ質問とその回答のデータに基づいてスコアの計算処理を実行する。その後、ステップS320へ進む。
【0083】
ステップS320では、制御装置402は、上述したように、疾患ごとに算出したスコアと、疾患ごとに設定されている判定用閾値とを比較して、スコアが判定用閾値よりも大きいものを、患者に発生している可能性が高い疾患として特定する。その後、ステップS330へ進む。
【0084】
ステップS330では、制御装置402は、上述したように、患者にどの疾患が発生している可能性が高いかの特定結果と、トリアージ質問に対する回答結果とに基づいて、患者の搬送を依頼する運転手候補を抽出する。その後、ステップS340へ進む。
【0085】
ステップS340では、制御装置402は、抽出した運転手候補の中から、患者の現在位置までの移動時間が最も短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定する。その後、ステップS350へ進む。
【0086】
ステップS350では、制御装置402は、患者の搬送依頼先として決定した運転手が所持する配車用端末200に上述した依頼情報を送信する。その後、ステップS360へ進む。
【0087】
ステップS360では、制御装置402は、配車用端末200上で運転手によって患者の搬送が受諾されたか否かを判断する。ステップS360で肯定判断した場合には、処理を終了する。これに対して、ステップS360で否定判断した場合には、ステップS340へ戻り、制御装置402は、搬送を拒否した運転手の次に患者までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として特定してステップS350へ進む。
【0088】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)救急搬送配車システム10では、患者用端末100の制御装置103は、患者のトリアージ結果を取得し、患者の現在位置を特定し、患者のトリアージ結果の情報と、患者の現在位置の情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだトリアージ結果情報を配車管理装置400へ送信するようにした。配車管理装置400の制御装置402は、患者用端末100から受信したトリアージ結果情報に基づいて、患者に発生している可能性が高い疾患を特定し、特定した疾患に基づいて、あらかじめ登録されている運転手の中から患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するための抽出処理を行い、抽出した各運転手の現在位置を特定し、患者の現在位置と運転手の現在位置とに基づいて、運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定し、決定した運転手が操作する配車用端末200に、患者の現在位置を示す情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ患者の搬送を依頼するための依頼情報を送信するようにした。配車用端末200の制御装置203は、配車管理装置400から依頼情報を受信すると、患者の現在位置と患者の本人確認のための情報とを表示装置に表示し、運転手が患者のもとへ到着したことを検出し、運転手が患者のもとへ到着したことを検出した場合に、患者の受け入れ依頼先候補の医療機関を抽出し、抽出した受け入れ依頼先候補の医療機関のうち、移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先の医療機関として決定し、決定した医療機関の医療従事者が操作する医療者用端末300へ、医療機関への予定到達時刻と、現在の車両の位置情報と、患者に発生している可能性が高い疾患を示す情報と、患者の本人確認のための情報とを含んだ搬送情報を送信するようにした。医療者用端末300の制御装置303は、配車用端末200から受信した搬送情報を表示装置に表示するようにした。そして、運転手を運転手候補として抽出する際には、特定した疾患が感染症である場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手が抽出されるように抽出条件を設定して抽出処理を行うようにした。これによって、タクシー、カーシェア、配車アプリなど、利用者が必要に応じて移動手段として利用することができる車両の提供サービスを活用して、救急搬送専用ではない車両の運転手に患者の搬送を依頼することができる。このため、救急車が不足していたり、救急車の配備が十分ではなく救急車の到着までに時間がかかるような場合でも、車両を患者の救急搬送のために配車して、迅速に患者を病院へ搬送することが可能となる。さらに、トリアージ結果に基づいて患者に発生している可能性が高い疾患を特定し、その疾患に基づいて患者の救急搬送に対応することができる運転手を運転手候補として抽出するようにしたため、運転手が救急搬送に対応することができる車両を患者の救急搬送のために配車することが可能となる。また、受け入れ先の医療機関では、専門医が搬送予定の患者に関する情報を事前に確認することができる。さらに、患者が感染症に感染している可能性がある場合には、感染者搬送対応可として登録されている車両の運転手に患者の救急搬送を依頼することができる。
【0089】
(2)患者用端末100では、制御装置103は、あらかじめ設定されているトリアージ項目ごとに、各トリアージ項目に対応するトリアージ質問を表示し、操作者から該トリアージ質問に対する回答を得ることによって患者のトリアージ結果を取得するようにした。これによって、患者用端末100の操作者は、トリアージ項目ごとに用意されたトリアージ質問に回答することにより、患者のトリアージを行うことができる。
【0090】
(3)配車管理装置400では、制御装置402は、各トリアージ質問に対する回答の結果に基づいて、あらかじめ設定されている疾患ごとに患者にその疾患が発生している可能性をスコアで表し、該スコアがあらかじめ設定されている閾値を越えた疾患を患者に発生している可能性が高い疾患として特定するようにした。これによって、患者のトリアージ結果に基づいて、患者にどのような疾患が生じているかを特定することができる。
【0091】
(4)配車管理装置400では、制御装置402は、各疾患のスコアが閾値を超えているもの全てについて搬送が可として登録されている運転手を運転手候補として抽出するように抽出条件を設定して、抽出処理を実行するようにした。これによって、患者の疾患に対応することができる運転手を運転手候補として抽出することができる。
【0092】
(5)配車管理装置400では、制御装置402は、「意識はあるか?」というトリアージ質問に対する回答がNOの場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、「心肺停止か?」というトリアージ質問に対する回答がYESの場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、抽出処理を実行するようにした。これによって、意識がない患者や心肺停止状態の患者の場合は、それに対応することができる運転手のみを運転手候補として抽出することができる。
【0093】
(6)患者用端末100では、制御装置103は、トリアージ項目に対応する質問とともに、患者を搬送対象から除外するかどうかを判定するために用いる搬送対象除外質問を表示して、操作者から質問に対する回答を得ることによって搬送対象除外質問に対する回答を取得し、搬送対象除外質問に対する回答の中に該当する回答がある場合には、その患者は救急搬送専用ではない車両を用いた救急搬送に適していない患者であると判定して、自身での搬送を推奨するようにした。これによって、搬送対象除外質問によって患者が暴れていたり、出血していたり、搬送を拒否したりしている場合などを特定するようにすれば、救急搬送を目的としない車両を利用した搬送が適していない患者に対して自身での搬送を推奨することができる。
【0094】
(7)配車用端末200では、制御装置203は、患者に発生している可能性が高い疾患に対応可能な医療機関を受け入れ依頼先候補の医療機関として抽出するようにした。これによって、患者の治療に対応することができる医療機関を受け入れ依頼先候補として抽出することができる。
【0095】
(8)配車用端末200では、御装置203は、患者に発生している可能性が高い疾患に治療のための時間制限がある場合は、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間を考慮して受け入れ依頼先候補を絞り込むようにした。これによって、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間の合計時間が、治療のための時間制限を超えてしまう場合は、その医療機関への搬送はできないと判断して受け入れ依頼先候補から除外し、発症から現在までの経過時間、医療機関までの移動時間、患者が医療機関に到着してからの治療が開始されるまでの時間の合計時間が、治療のための時間制限以内の医療機関のみを受け入れ依頼先候補とすることができる。
【0096】
(9)配車管理装置400では、制御装置402は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を受諾した場合に、該運転手が操作する配車用端末200に依頼情報を送信するようにした。これによって、運転手に事前に意思確認を行って、運転手が患者の救急搬送を受諾した場合にのみ、搬送情報を送って患者の搬送を依頼することができる。
【0097】
(10)配車管理装置400では、制御装置402は、搬送依頼先の運転手として決定した運転手が患者の搬送を拒否した場合には、運転手候補の中から患者の現在位置までの移動時間が患者の搬送を拒否した運転手の次に短い運転手を搬送依頼先の運転手として決定するようにした。これによって、搬送依頼先の運転手が患者の搬送を拒否した場合でも、次に近い運転手に患者の搬送依頼を行うことができる。
【0098】
(11)配車用端末200では、御装置203は、受け入れ依頼先として決定した医療機関の医療従事者が患者の受け入れを受諾した場合に、該医療従事者が操作する医療者用端末300に搬送情報を送信するようにした。これによって、受け入れ依頼先の医療機関で医療従事者が受け入れを受諾した場合にのみ、搬送情報を送信して患者の受け入れ依頼を行うことができる。
【0099】
(12)配車用端末200では、御装置203は、受け入れ依頼先として決定した医療機関の医療従事者が患者の受け入れを拒否した場合には、受け入れ依頼先候補の医療機関の中から患者の受け入れを拒否した医療機関の次に移動時間が短い医療機関を受け入れ依頼先として決定するようにした。これによって、受け入れ依頼先の医療従事者が患者の受け入れを拒否した場合でも、次に近い医療機関に患者の受け入れを依頼することができる。
【0100】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の救急搬送配車システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、配車管理装置400において制御装置402がトリアージ結果情報に基づいて患者に発生している可能性が高い疾患を特定するに当たり、例えば、頭蓋内出血、脳梗塞、心筋梗塞、感染症の4つの疾患を想定する例について説明した。しかしながら、本実施の形態における救急搬送配車システム10を用いて患者のトリアージ結果に基づいて搬送依頼先の運転手や受け入れ依頼先の医療機関を決定し、救急搬送を目的としていない車両を用いて患者の搬送を行うように配車を行うことができる疾患であれば、対象とする疾患はこれら4つには限定されない。また、患者のトリアージを行う際の質問内容は、想定する疾患に応じて設定すればよい。
【0101】
(2)上述した実施の形態では、配車管理装置400の制御装置402は、「意識はあるか?」というトリアージ質問に対する回答がNOの場合は、意識喪失患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定し、「心肺停止か?」というトリアージ質問に対する回答がYESの場合は、心肺停止患者の対応が可と登録されている運転手が抽出されるように抽出条件をさらに設定して、抽出処理を実行するようにした。しかしながら、運転手候補を抽出するための条件であれば、その他の抽出条件も設定できるようにしてもよい。例えば、トリアージ結果情報に「女性ドライバーのみを希望」という条件が含まれている場合には、制御装置402は、性別が女性と登録されている運転手のみが抽出されるように抽出条件を追加するなどしてもよい。
【0102】
(3)上述した実施の形態では、感染の可能性を判定する感染症は、上述したトリアージ質問に対する回答内容に基づいて感染の可能性を判定することができる感染症を想定した。しかしながら、本実施の形態における救急搬送配車システム10を用いて患者のトリアージ結果に基づいて搬送依頼先の運転手や受け入れ依頼先の医療機関を決定し、救急搬送を目的としていない車両を用いて患者の搬送を行うように配車を行うことができる感染症であれば、対象とする感染症はこれに限定されない。また、患者のトリアージを行う際の質問内容は、想定する感染症に応じて設定すればよい。
【0103】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 救急搬送配車システム
100 患者用端末
101 タッチパネル
102 通信モジュール
103 制御装置
104 GPSモジュール
200 配車用端末
201 タッチパネル
202 通信モジュール
203 制御装置
204 GPSモジュール
300 医療者用端末
301 タッチパネル
302 通信モジュール
303 制御装置
400 配車管理装置
401 接続インターフェース
402 制御装置
403 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9