(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】両面露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240105BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20240105BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F9/00 Z
H05K3/00 H
(21)【出願番号】P 2017210651
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】300091670
【氏名又は名称】株式会社アドテックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】名古屋 淳
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】松川 直樹
【審判官】吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-121425(JP,A)
【文献】特開2012-243987(JP,A)
【文献】特開2004-279166(JP,A)
【文献】特開平11-54407(JP,A)
【文献】特開平8-181062(JP,A)
【文献】特開2011-227363(JP,A)
【文献】特開2000-305274(JP,A)
【文献】特開平10-22201(JP,A)
【文献】特開2000-347425(JP,A)
【文献】国際公開第2005/116577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/027
H01L21/30
G03F7/20-7/24
G03F9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールに巻かれたフレキシブルな基板を引き出して間欠的に送る搬送系と、
送られた基板を挟む位置に配置された一対の第一第二のマスクと、
搬送系が基板を停止させてアライメントが行われた後に基板に各マスクを通して光を照射して基板の両面を露光する露光ユニットと
を備えており、
基板は、露光すべき領域に対して所定の位置関係で設けられたアライメント用開口を有しており、
第一のマスクは、アライメント用のマークである第一マスクマークを有しており、
第二のマスクは、アライメント用のマークである第二マスクマークを有しており、
第一マスクマーク、第二マスクマーク及び基板のアライメント用開口を撮影することが可能なカメラが設けられており、
第一マスクマーク、第二マスクマーク及びアライメント用開口を撮影したカメラからの撮影データにより第一第二のマスクを基板の露光すべき領域に対して位置合わせするアライメント手段が設けられており、
カメラからの撮影データにおいてアライメント用開口が欠けて撮影されている場合に、当該欠けが解消される向きの移動であって当該欠けが解消される距離の移動を基板又はカメラに行わせる開口欠け解消手段が設けられており、
カメラからの撮影データにおいてアライメント用開口が欠けて撮影されている場合において開口欠け解消手段によって当該欠けが解消される向き及び距離の移動が行われた後、カメラからの撮影データにおいて、欠けが解消されたアライメント用開口
内に第一マスクマークの像
及び第二マスクマークの像
のうちの、少なくとも一方が完全に入っていないために欠けている場合に、当該欠けが解消される向きであって当該欠けが解消される距離の移動を第一のマスク
及び第二のマスクに行わせるか又は基板に行わせるマーク欠け解消手段が設けられており、
欠けが解消されたアライメント用開口の撮影データにおいて当該アライメント用開口内に第一のマスクマークの像
及び第二のマスクマークの像が完全に入っているかどうか判断するマーク欠け判定手段が設けられており、マーク欠け解消手段は、第一のマスクマークの像
及び第二のマスクマークの像
のうちの、少なくとも一方がアライメント用開口に完全に入っていないとマーク欠け判定手段が判断した場合に、
アライメント用開口に完全に入っていない当該マスクマークの像がアライメント用開口内に入り且つアライメント用開口の周縁から離れるのに必要な距離の移動を
第一のマスク及び第二のマスクに行わせる
か又は基板に行わせる手段であることを特徴とする両面露光装置。
【請求項2】
前記カメラからの撮影データにおいて前記アライメント用開口が欠けて撮影されているかどうか判定する開口欠け判定手段が設けられており、
開口欠け判定手段は、前記カメラの視野の境界から所定距離だけ内側の領域内に前記アライメント用開口の像が存在するか否かで判定を行う手段であることを特徴とする請求項1記載の両面露光装置。
【請求項3】
前記開口欠け解消手段は、前記カメラを移動させるカメラ移動機構を含んでおり、
カメラ移動機構は、基板に沿った方向であって前記搬送系による送りの方向に対して垂直な方向に前記カメラを移動させることができる機構であり、
前記開口欠け解消手段は、基板に沿った方向であって前記搬送系による送りの方向に対して垂直な方向に移動させることで解消する欠けについてはカメラ移動機構によりカメラを当該方向に移動させることで解消させる手段であることを特徴とする請求項1又は2記載の両面露光装置。
【請求項4】
前記カメラ移動機構は、前記搬送系による送りの方向に前記カメラを移動させることができる機構であり、
前記開口欠け解消手段は、前記搬送系による送りの方向に移動させることで解消する欠けについては前記カメラ移動機構により前記カメラを当該方向に移動させることで解消させる手段であることを特徴とする請求項3記載の両面露光装置。
【請求項5】
前記マーク欠け解消手段は、前記第一第二のマスクを移動させるマスク移動機構を含んでおり、
マスク移動機構は、前記第一第二のマスクを一体に移動させることができる機構であり、
前記マーク欠け解消手段は、マスク移動機構により前記第一第二のマスクを一体に移動させることで欠けを解消する手段であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の両面露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、フレキシブルプリント基板等の製造に使用されるロールツーロール方式のような両面露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定のパターンの光を対象物に照射して露光する露光装置は、フォトリソグラフィの中核的な要素技術として各種の用途に使用されている。露光装置には種々のタイプのものがあるが、その一つに、帯状の長尺な基板の両面に露光する両面露光装置が知られている。
【0003】
例えば、フレキシブルプリント基板のような柔らかな基板を露光する装置の場合、ロールツーロールで基板を搬送しながら露光を行う構成が採用されている。基板の搬送ラインの両側(通常は上下)には、一対の露光ユニットが配置されている。装置はマスクを含んでおり、露光ユニットは両側から各マスクを通して所定のパターンの光を照射し、露光を行う。
ロールから引き出しての基板の搬送は間欠的であり、搬送後に停止した基板のうち、一対の露光ユニットの間に位置する部位の両面に所定のパターンの光が照射され、両面が同時に露光される。
【0004】
このような両面露光装置も、露光装置の一種であるから、アライメント(位置合わせ)精度が問題となる。ロールツーロール方式の装置のような帯状の長尺な基板に対して露光する装置の場合、フォトリソグラフィ終了後に長さ方向の適宜の位置で切断し、最終的な製品を得る。切断位置を適宜選定することができるため、露光装置における長さ方向のアライメントは、従来はそれほど問題となっていなかった。その一方、一対のマスクは、互いの位置関係が高い精度で保たれている必要がある。即ち、一対のマスクの位置関係の精度が悪いと、最終的な製品において基板の一方の側のパターンと他方の側のパターンとがずれていることになり、製品欠陥につながり易いからである。このため、特許文献1や特許文献2のように、一対のマスクについて互いにアライメントを行い、形成されるパターンのずれがないようにしている。
【0005】
従来の状況は上記のようなものであるものの、最近では、一対のマスクを互いにアライメントしただけでは不十分で、基板に対する位置合わせも十分に高い精度で行うことが要求されてきている。この一つの背景に、製品の高機能化に伴い、多層配線のような複雑な構造を有する場合が多くなってきていることが挙げられる。
【0006】
一例を示すと、フレキシブルプリント基板において多層配線のような複雑な構造を造り込む場合、帯状の基板上に既にパターンが形成されており、その上にさらにレジストを塗布して露光を行う場合が多い。既存のパターンは、帯状の基板の長さ方向に沿って間をおいて多数形成されており、個々のパターンが形成されている部分が最終的に個々の製品となる。この場合、更なる露光においては、既に形成されているパターンに対して必要な位置精度で露光を行う必要があり、基板に対するアライメントが必要となる。
【0007】
また、製品によっては、既にパターンが形成されている部分の上に別のフレキシブルな方形の基板をラミネートし、その別の基板(以下、上層基板という。)に対してパターンを形成するべく露光を行う場合がある。この場合も、上層基板は帯状の基板の長さ方向に沿って間をおいて多数ラミネートされているから、個々の上層基板に対してアライメントがされた状態で露光を行う必要がある。
【0008】
このように基板に対するアライメントも要求される場合、一対のマスクを互いにアライメントした上で、その状態を保持しながら当該一対のマスクを基板に対してアライメントする必要がある。このため、特許文献2では、基板に設けられたアライメントマークを通して両側のマスクのアライメントマークをカメラで撮影する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2000-155430号公報
【文献】特開2006-278648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献2には、一対のマスク同士のアライメントに加えて基板に対するアライメントも要求される場合、それを達成する構成が提案されている。
しかしながら、発明者の研究によると、特許文献1や特許文献2で開示された構成のみでは各アライメントを必要な精度で行うことは実際には難しい。以下、この点について説明する。
【0011】
まず、特許文献1では、一対のマスク同士のアライメントについては説明されているものの、一対のマスクと被露光部材とのアライメントについては説明されていない。特許文献1では、被露光部材に位置合わせマークMが形成されると説明されているが、位置合わせマークはレジスト層の感光により形成されるように説明されており、露光の際には存在していないと解される。
また、特許文献2では、アライメントマークAM11,AM12A,AM12Bが撮像装置13A,13Bの光軸上に位置するように調整すると説明しているが、具体的にどのような構成でどのようにして調整するのか説明していない。
【0012】
発明者の研究によると、上述したような長尺な帯状の基板を間欠送りしながら露光する構成では、間欠送りの際の基板の停止位置の精度がアライメントに影響を与える。間欠送りの停止位置の精度には限界がある一方、アライメントについては製品の高機能化、複雑化に伴いより高い精度が要求されるようになってきている。
【0013】
この出願の発明は、上記の点を考慮して為されたものであり、一対のマスクのアライメントとともに基板に対するアライメントも要求される両面露光装置において、基板の間欠送りにおける停止位置の精度が低い場合でも高い精度でアライメントを行うことを可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この出願の請求項1記載の発明は、ロールに巻かれたフレキシブルな基板を引き出して間欠的に送る搬送系と、
送られた基板を挟む位置に配置された一対の第一第二のマスクと、
搬送系が基板を停止させてアライメントが行われた後に基板に各マスクを通して光を照射して基板の両面を露光する露光ユニットと
を備えており、
基板は、露光すべき領域に対して所定の位置関係で設けられたアライメント用開口を有しており、
第一のマスクは、アライメント用のマークである第一マスクマークを有しており、
第二のマスクは、アライメント用のマークである第二マスクマークを有しており、
第一マスクマーク、第二マスクマーク及び基板のアライメント用開口を撮影することが可能なカメラが設けられており、
第一マスクマーク、第二マスクマーク及びアライメント用開口を撮影したカメラからの撮影データにより第一第二のマスクを基板の露光すべき領域に対して位置合わせするアライメント手段が設けられており、
カメラからの撮影データにおいてアライメント用開口が欠けて撮影されている場合に、当該欠けが解消される向きの移動であって当該欠けが解消される距離の移動を基板又はカメラに行わせる開口欠け解消手段が設けられており、
カメラからの撮影データにおいてアライメント用開口が欠けて撮影されている場合において開口欠け解消手段によって当該欠けが解消される向き及び距離の移動が行われた後、カメラからの撮影データにおいて、欠けが解消されたアライメント用開口内に第一マスクマークの像及び第二マスクマークの像のうちの、少なくとも一方が完全に入っていないために欠けている場合に、当該欠けが解消される向きであって当該欠けが解消される距離の移動を第一のマスク及び第二のマスクに行わせるか又は基板に行わせるマーク欠け解消手段が設けられており、
欠けが解消されたアライメント用開口の撮影データにおいて当該アライメント用開口内に第一のマスクマークの像及び第二のマスクマークの像が完全に入っているかどうか判断するマーク欠け判定手段が設けられており、マーク欠け解消手段は、第一のマスクマークの像及び第二のマスクマークの像のうちの、少なくとも一方がアライメント用開口に完全に入っていないとマーク欠け判定手段が判断した場合に、アライメント用開口に完全に入っていない当該マスクマークの像がアライメント用開口内に入り且つアライメント用開口の周縁から離れるのに必要な距離の移動を第一のマスク及び第二のマスクに行わせるか又は基板に行わせる手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記カメラからの撮影データにおいて前記アライメント用開口が欠けて撮影されているかどうか判定する開口欠け判定手段が設けられており、
開口欠け判定手段は、前記カメラの視野の境界から所定距離だけ内側の領域内に前記アライメント用開口の像が存在するか否かで判定を行う手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記開口欠け解消手段は、前記カメラを移動させるカメラ移動機構を含んでおり、
カメラ移動機構は、基板に沿った方向であって前記搬送系による送りの方向に対して垂直な方向に前記カメラを移動させることができる機構であり、
前記開口欠け解消手段は、基板に沿った方向であって前記搬送系による送りの方向に対して垂直な方向に移動させることで解消する欠けについてはカメラ移動機構により前記カメラを当該方向に移動させることで解消させる手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項3の構成において、前記カメラ移動機構は、前記搬送系による送りの方向に前記カメラを移動させることができる機構であり、
前記開口欠け解消手段は、前記搬送系による送りの方向に移動させることで解消する欠けについては前記カメラ移動機構により前記カメラを当該方向に移動させることで解消させる手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記マーク欠け解消手段は、前記第一第二のマスクを移動させるマスク移動機構を含んでおり、
マスク移動機構は、前記第一第二のマスクを一体に移動させることができる機構であり、
前記マーク欠け解消手段は、マスク移動機構により前記第一第二のマスクを一体に移動させることで欠けを解消する手段であるという構成を有する。
【発明の効果】
【0015】
以下に説明する通り、この出願の請求項1記載の発明によれば、アライメント用開口の欠けのない状態で撮影された撮影データによりアライメントが行われる。このため、アライメントの精度が高くなる。その上、一対のマスクマークの欠けのない状態で撮影された撮影データによりアライメントが行われる。このため、アライメントの精度が高くなる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、開口欠け判定手段がカメラの視野の境界から所定距離だけ内側の領域として設定された領域にアライメント用開口の像があるかどうかで欠けの有無を判定するので、アライメント用開口の像が視野の境界線に接した状態で視野内に捉えられている状態も欠けであると判定されることになり、より精度の高いアライメントが行える。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、基板に沿った方向であって搬送系による送りの方向に対して垂直な方向での欠けについては、当該方向にカメラを移動させることで解消させるので、当該方向に基板を移動させることは不要になる。このため、搬送系の構造の複雑化が避けられる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、搬送系による送りの方向の欠けについてもカメラを移動させることで解消させるので、搬送系を何ら制御することなくアライメント用開口の像の欠けが解消でき、欠け解消のための制御動作がシンプルになる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、第一第二のマスクを一体に移動させることで欠けを解消するので、マスクマークの欠け解消のための制御動作がシンプルになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の両面露光装置の正面断面概略図である。
【
図2】アライメントにおいて必要になるアライメントマークについて示した斜視概略図である。
【
図3】メインシーケンスプログラムのうち、アライメントに関連した部分を抜粋して概略的に示したフローチャートである。
【
図4】開口検索プログラムにより基板のアライメント用開口が見つけ出される様子を例示的に示した斜視概略図である。
【
図5】開口欠け判定プログラムによるアライメント用開口の欠け判定について示した平面概略図である。
【
図6】開口欠け解消プログラムによるアライメント用開口の欠けの解消について示した平面概略図である。
【
図7】マーク隠れ判定プログラムによるマーク隠れ判定及び仮アライメントプログラム76について示した平面概略図である。
【
図8】マーク欠け判定プログラムによりマスクマークの欠けがあると判定される例及びマスクマークの欠けが解消した例を示した平面概略図である。
【
図9】マーク欠け解消プログラムによるマーク欠け解消について示した平面概略図である。
【
図10】本アライメントプログラムによる本アライメントについて示した平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、実施形態の両面露光装置の正面断面概略図である。実施形態の装置は、ポリイミドのような柔らかなもので帯状の基板Wを露光する装置となっている。
図1に示すように、両面露光装置は、搬送系1と、露光ユニット2とを備えている。
搬送系1は、ロールに巻かれたフレキシブルな基板Wを引き出して間欠的に送り出す機構である。「フレキシブルな」とは、ロールに巻くことができる程度の柔軟性を有するという意味であり、一例としてはフレキシブルプリント基板用の基板が挙げられる。
【0018】
この実施形態では、搬送系1は、基板Wを水平に引き出して水平な姿勢で搬送する機構となっている。具体的には、搬送系1は、未露光の基板Wが巻かれた送り出し側芯ローラ11と、送り出し側芯ローラ11から基板Wを引き出す送り出し側ピンチローラ12と、露光後の基板Wが巻かれる巻き取り側芯ローラ13と、露光後の基板Wを引き出して巻き取り側芯ローラ13に巻き取られせる巻き取り側ピンチローラ14とを備えている。尚、搬送系1による基板Wの送り方向をX方向とし、これに垂直な水平方向をY方向とする。Y方向は基板Wの幅方向である。XY平面に垂直な方向をZ方向とする。
【0019】
送り出し側ピンチローラ12と巻き取り側ピンチローラ14との間に、露光作業位置が設定されている。露光作業位置は、露光ユニット2により基板Wの両面に同時に露光を行う位置である。
図1に示すように、露光作業位置において基板Wを挟んで一対のマスク3,4が配置されている。以下、上側のマスク3を第一のマスク、下側のマスク4を第二のマスクと呼ぶ。各マスク3,4は、水平な姿勢である。
【0020】
露光ユニット2もマスク3,4に対応して二つ設けられている。第一のマスク3を通して露光する露光ユニット2は、第一のマスク3の上側に設けられ、下方に光を照射して露光する。第二のマスク4を通して露光する露光ユニット2は、第二のマスク4の下側に設けられ、上方に光を照射して露光する。
二つの露光ユニット2は上下に対称な配置であり、構造的には同様である。即ち、各露光ユニット2は、光源21と、光源21からの光をマスク3,4に照射する光学系22等を備えている。後述するように、この実施形態の装置はコンタクト露光を行う装置となっており、各露光ユニット2は、各マスク3,4に平行光を照射するユニットとなっている。したがって、光学系22は、コリメータレンズを含む。
【0021】
搬送系1は、露光作業位置の上流側と下流側においてバッファエリア101,102を含んでいる。搬送系1は、露光作業位置の上流側に配置された第一駆動ローラ15と、露光作業位置の下流側に配置された第二駆動ローラ16とを含んでいる。各駆動ローラ15,16は、ピンチローラである。
図1に示すように、送り出し側ピンチローラ12と、第一駆動ローラ15との間が送り出し側バッファエリア101となっている。また、第二駆動ローラ16と巻き取り側ピンチローラ14との間が巻き取り側バッファエリア102となっている。
【0022】
第一駆動ローラ15と第二駆動ローラ16は、露光作業位置を通した基板Wの間欠送りを行う要素である。即ち、第一駆動ローラ15と第二駆動ローラ16とは同期して動作するローラであり、設定された所定のストロークで基板Wを送るよう構成されている。このストロークは、一回の間欠送りの際に基板Wが送られる距離であり、以下、送りストロークという。
【0023】
一方、送り出し側芯ローラ11と送り出し側ピンチローラ12は、送り出し側バッファエリア101での基板Wの弛み量に応じて同期して駆動される。送り出し側バッファエリア101には不図示のセンサが配置されており、弛み量が少なくなると送り出し側芯ローラ11と送り出し側ピンチローラ12が同期して動作し、設定された最大値の弛み量になるまで基板Wを送り出す。
巻き取り側バッファエリア102も同様であり、不図示のセンサが配置されている。センサからの信号に従い、弛み量が限度まで多くなると、巻き取り側ピンチローラ14と巻き取り側芯ローラ13が同期して動作し、設定された最小値まで弛み量が減るように基板Wを巻き取る。
【0024】
上述した搬送系1の間欠送りにおいて、送りストロークでの送りの後の基板Wの停止中に各露光ユニット2により基板Wの両面が露光されるが、これに先立ち、アライメント手段によりアライメントが行われるようになっている。アライメント手段は、第一第二のマスク3,4を基板Wの露光すべき領域に対して位置合わせする手段である。
【0025】
この実施形態において、アライメントは、最終的には、基板W上の露光すべき領域に対して一対のマスク3,4を位置合わせすることで行われる。したがって、
図1に示すように、一対のマスク3,4はマスク移動機構5を備えており、マスク移動機構5はアライメント手段に含まれる。マスク移動機構5は、各マスク3,4をXY方向に移動させて位置を変更する機構である。マスク移動機構5は、第一のマスク3、第二のマスク4をそれぞれ独立して移動させることができるとともに、二つのマスク3,4を一体に移動させることができる機構である。この種の機構は容易に製作できるが、例えば第一のマスク3をXY方向に移動させる機構を第一のベース板に固定し、第二のマスク4をXY方向に移動させる機構を第二のベース板に固定し、さらに第一第二のベース板を一体にXY方向に移動させる機構を設けることで実現される。
尚、各マスク3,4には、不図示のZ方向移動機構が設けられている。Z方向移動機構は、コンタクト露光のため、各マスク3,4を基板Wに向けて移動させ、基板Wに密着させるための機構である。
【0026】
図1に示すように、装置は、搬送系1や上記マスク移動機構5等を含む各部を制御するメインコントローラ6を備えている。メインコントローラ6には、装置の各部が所定の手順で動作するように制御するメインシーケンスプログラム7が実装されている。即ち、メインコントローラ6の記憶部60にはメインシーケンスプログラム7が記憶されており、メインコントローラ6のプロセッサ(不図示)により実行可能となっている。この他、メインコントローラ6はエラー表示等を行うディスプレイ61を備えている。
【0027】
アライメントのためには、目印となるマークが必要である。
図2は、アライメントにおいて必要になるアライメントマークについて示した斜視概略図である。
図2に示すように、各マスク3,4にアライメントマーク31,41が形成されている。以下、第一のマスク3に設けられたアライメントマーク31を第一マスクマークと呼び、第二のマスク4に設けられたアライメントマーク41を第二マスクマークと呼ぶ。
図2に示すように、この実施形態では、第一マスクマーク31は円周状、第二マスクマーク41は第一マスクマーク31より小さな円形の点である。
【0028】
図2に示すように、アライメントのため基板WにもアライメントマークWmが形成されている。基板WのアライメントマークWmは、開口となっている。以下、アライメント用開口と呼ぶ。この実施形態では、アライメント用開口Wmは円形となっている。
前述したように、アライメントは、一対のマスクを互い位置合わせするとともに一対のマスクを基板に対して位置合わせする動作である。このためには、一対のマスクマークと基板のアライメントマークとが重なる状態を基準とし、この状態が理想的な状態(精度の基準)であるとしてアライメントを行うのが簡便である。「重なる状態」とは、
図2に示すように、各マーク31,41,Wmの中心が一直線上(基板Wに垂直な一つの直線上)に位置する場合が典型的であるが、他の状態を精度の基準とする場合もある。
【0029】
この実施形態では、アライメントを高精度に且つ容易に行えるようにするため、アライメント用開口Wmは、第一マスクマーク31よりも大きく且つ第二マスクマーク41よりも大きいものとなっている。即ち、アライメントがされた状態では、基板Wに垂直な方向から見た際、アライメント用開口Wm内に二つのマスクマーク31,41が視認される構成となっている。
図1に示すように、装置は、各アライメントマーク31,41,Wmを撮影するカメラ8を備えている。カメラ8はメインコントローラ6に接続されており、カメラ8の撮影データはメインコントローラ6に送られるようになっている。
【0030】
図2に示すように、この実施形態では、第一マスクマーク31、第二マスクマーク41はそれぞれ四つ設けられている。これらに合わせて、カメラ8も四つ設けられている。第一マスクマーク31、第二マスクマーク41は、方形の角に相当する位置に設けられており、カメラ8も同様に方形の角に相当する位置に設けられている。
各カメラ8は、光軸(内蔵したレンズの光軸)Aが垂直になるように配置されており、下方を撮影する姿勢で取り付けられている。各カメラ8を据え付けた台座には、カメラ8のXY方向の位置を変更するためのカメラ移動機構81が設けられている。
【0031】
第一マスクマーク31、第二マスクマーク41は、同一の寸法形状の方形の角に相当する位置になるように設けられている。この位置は設計情報として既知であり、四つのカメラ8は、水平方向において同様の位置関係になるように調整された状態で設けられる。但し、四つのカメラ8の光軸Aが各マスクマーク31,41の中心と同軸上になることは必須ではなく、各マスクマーク31,41が各カメラ8の視野の範囲に入っていれば良い。
【0032】
基板Wのアライメント用開口Wmは、露光すべき領域(以下、目標露光領域という。)の位置を指し示す目印であり、目標露光領域に対して所定の位置関係で設けられている。目標露光領域とは、各マスク3,4のパターンを転写すべき領域であり、
図2に破線で示す。アライメント用開口Wmは、目標露光領域Rの外側に形成されており、第一第二マスクマーク41と同一の寸法形状の方形の角に相当する位置になるように形成されている。
【0033】
尚、目標露光領域Rは、1個の製品を産出する際に利用される基板Wの部位に相当している。したがって、
図2に示すように、目標露光領域Rは、帯状の基板Wの長さ方向に沿って間をおいて多数設定されている。アライメント用開口Wmも、各目標露光領域Rに対して設計上は同一の位置関係で設けられている。尚、各目標露光領域Rのピッチは、前述した搬送系1による送りストローク(
図2にLfで示す)に相当している。
【0034】
アライメント手段は、上記のような装置に設けられた各ハードウェアと、メインコントローラ6に実装されたメインシーケンスプログラム7を含むソフトウェアとによって構成されている。そして、実施形態の両面露光装置は、カメラ8からの撮影データにおいて基板Wのアライメント用開口Wmが欠けて撮影されているかどうか判定する開口欠け判定手段と、アライメント用開口Wmの欠けを解消させる開口欠け解消手段を備えている。また、実施形態の両面露光装置は、カメラ8からの撮影データにおいて、アライメント用開口Wmを通して撮影されたマスクマーク31,41の像が欠けているかどうか判定するマーク欠け判定手段と、マーク欠けを解消させるマーク欠け解消手段とを備えている。以下、各手段について詳説する。
【0035】
図3は、メインシーケンスプログラム7のうち、アライメントに関連した部分を抜粋して概略的に示したフローチャートである。アライメントは、搬送系1による基板Wの間欠送りが完了した後に行われる動作である。メインシーケンスプログラム7は、アライメントのため、大まかには、
図3に示すように、全てのアライメント用開口Wmが撮影されているかどうか判定する開口有無判定ステップS1、全てのアライメント用開口Wmが欠けのない状態で視認されているかどうか判定する開口欠け判定ステップS2、全てのアライメント用開口Wmが欠けのない状態で視認されている場合に各マスクマーク31,41が基板Wで隠れていないかどうか判定するマーク隠れ判定ステップS3、各マスクマーク31,41の隠れがないと判定された場合にマスクマーク31,41が欠けて撮影されていないかどうか判定するマーク欠け判定ステップS4、全てのマスクマーク31,41に欠けがないと判定された場合に本アライメントを行う本アライメントステップS5を有している。
【0036】
そして、メインコントローラ6には、メインシーケンスプログラム7から呼び出されて実行されるサブプログラムとして、開口有無判定プログラム71、開口検索プログラム72、開口欠け判定プログラム73、開口欠け解消プログラム74、マーク隠れ判定プログラム75、仮アライメントプログラム76、マーク欠け判定プログラム77、マーク欠け解消プログラム78、本アライメントプログラム79が実装されている。開口欠け判定プログラム73は開口欠け判定手段を構成しており、開口欠け解消プログラム74は開口欠け解消手段を構成している。また、マーク欠け判定プログラム77はマーク欠け判定手段を構成しており、マーク欠け解消プログラム78はマーク欠け解消手段を構成している。
【0037】
開口有無判定ステップS1は、開口有無判定プログラム71を実行してその戻り値を取得するステップである。開口検索プログラム72は、少なくとも1個のアライメント用開口Wmがカメラ8の視野に無いと判定された場合に実行されるプログラムである。
開口欠け判定ステップS2は、開口欠け判定プログラム73を実行してその戻り値を取得するステップである。開口欠け解消プログラム74は、少なくとも1個のアライメント用開口Wmについて欠けがあると判定された場合に実行されるプログラムである。
【0038】
マーク隠れ判定ステップS3は、マーク隠れ判定プログラム75を実行してその戻り値を取得するステップである。仮アライメントプログラム76は、少なくとも1個のカメラ8からの画像データにおいてマスクマークが基板Wに隠れていると判定された場合に実行されるプログラムである。
マーク判定ステップS4は、マーク欠け判定プログラム77を実行してその戻り値を取得するステップである。
本アライメントプログラム79は、全てのマスクマーク31,41が基板Wによって隠れておらず、アライメント可能と判断された場合に実行されるプログラムである。
【0039】
次に、各ステップ、各サブプログラムの構成について順次説明する。まず、開口有無判定ステップS1、開口有無判定プログラム71について説明する。
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、間欠送り完了後、開口有無判定プログラム71を実行する。開口有無判定プログラム71の戻り値としては、全てのアライメント用開口Wmが撮影されている場合は正常値、そうでない場合は異常値が戻される。
【0040】
開口有無判定プログラム71は、各カメラ8からの画像データを処理し、パターンマッチングによりアライメント用開口Wmの像が含まれているかを判断するようプログラミングされている。この実施形態ではアライメント用開口Wmは円形であり、その径は設計情報として既知である。したがって、開口有無判定プログラム71は、明暗の境界線で円形と見なせるもののうち、アライメント用開口Wmであると判断できるもの探す。少なくとも一つの画像データについて、アライメント用開口Wmである見なせるものがなければ異常値を返し、そうでなければ正常値を返す。
【0041】
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、開口有無判定プログラム71の戻り値が異常値であった場合、開口検索プログラム72を実行するようプログラミングされている。
図4は、開口検索プログラム72によりアライメント用開口Wmが検索される様子の一例を示した斜視概略図である。
【0042】
開口検索プログラム72は、アライメント用開口Wmが撮影されていない場合に基板Wを移動させてアライメント用開口Wmをカメラ8の視野に入れるよう制御信号を搬送系1に出力するプログラムとなっている。
図4において、一つのカメラ8の視野Vと、見つけ出すべき一つのアライメント用開口Wmが示されている。アライメント用開口Wmは、目標露光領域Rに対して所定の位置関係で設けられている。
アライメント用開口Wmをカメラ8の視野に入れるための基板Wの移動は、X方向の移動である。この移動のストロークは、視野のX方向の長さより少し短い。以下、このストロークを検索ストロークと呼ぶ。
【0043】
この実施形態では、開口検索プログラム72は、最初に基板Wの間欠送りの向きとは逆側の移動(戻し)を行い、それでもアライメント用開口Wmが見つからない場合、間欠送りの向きと同じ側の移動(送り)を行うようになっている。例えば、前後で検索ストロークの移動を最大2回まで行うよう設定される。この例では、アライメント用開口Wmを検索する範囲は、5個分の検索ストロークLsの範囲である。
図4に示す例は、(1)→(2)→(3)→(4)→(5)の順序で検索を行った例であり、最初に2個分の検索ストロークで戻しを行い、その後、4個分の検索ストロークで送りを行った結果、アライメント用開口Wmが視野Vに入った例である。
【0044】
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、開口検索プログラム72からの戻り値を取得し、戻り値が異常値である場合、アライメント用開口Wmが見つからなかったことになるので、エラー処理を行い、プログラムを中止するようプログラミングされている。エラー処理は、アライメント用開口Wmが撮影できなかった旨をメインコントローラ6のディスプレイ61に表示する動作を含む。
【0045】
次に、開口欠け判定プログラム73について説明する。
図3に示すように、開口検索プログラム72の戻り値が正常値である場合又は最初の開口有無判定プログラム71の実行において正常値が戻された場合、メインシーケンスプログラム7は、開口欠け判定プログラム73を実行する。
図5は、開口欠け判定プログラム73によるアライメント用開口の欠け判定について示した平面概略図である。
【0046】
搬送系1による基板Wの間欠送りが完了した際又は開口検索プログラム72が正常に終了した際、各アライメント用開口Wmは、完全にカメラ8の視野に入っている場合もあるが、一部が視野に入っておらず、欠けている場合がある。開口欠け判定プログラム73は、各カメラ8からの画像データを処理し、全ての画像データにおいてアライメント用開口Wmが欠けのない状態で撮影されているかどうか判断する。欠けのない状態で撮影されていれば、正常値をメインシーケンスプログラム7に戻し、1個以上のカメラ8からの画像データについて欠けがあると判断されたら異常値を戻すよう、開口欠け判定プログラム73はプログラミングされている。
【0047】
上記開口欠け判定プログラム73は、アライメント用開口Wmの像の欠けを、カメラ8の視野Vの境界から所定距離だけ内側の領域内に前記アライメント用開口Wmの像が存在するか否かで判定を行うようになっている。即ち、開口欠け判定プログラム73において、カメラ8の視野Vの境界から所定距離だけ内側の領域(以下、禁止領域という。)Pが設定されている。禁止領域Pが、
図5においてハッチングで示されている。
【0048】
開口欠け判定プログラム73は、カメラ8からの画像データを処理した際、禁止領域Pにアライメント用開口Wmの像がないかどうか判断する。具体的には、アライメント用開口Wmの設計上の径は既知であるので、それに近い径の円弧の像がないかどうか判断する。あれば、アライメント用開口Wmの欠けがあると判定する。
図5で説明すると、(A)の場合、欠けはないと判定され、(B)(C)の場合、欠けがあると判定される。(C)の場合、欠けはないと判定しても良いが、アライメント用開口Wmの像が視野Vの境界に接した状態で視野V内に捉えられている場合も欠けであるとし、その状態からマージンを取るため、(C)の場合も欠けであるとする。
【0049】
禁止領域Pの幅(
図5にdで示す)は、上記マージンをどの程度取るか、即ちアライメント用開口Wmが視野Vの境界の縁からどの程度以上内側に位置していれば欠け無しとして良いかによる。一例としては、アライメント用開口Wmの大きさ(この実施形態では直径)に対して0%~50%とする例が挙げられる。
尚、
図5(C)の場合には欠けていないと判定しても良い。この場合には、アライメント用開口Wmの像のいずれの点も視野Vの境界上にない状態で視野V内に存在していれば、禁止領域Pに存在していても欠けはないとするよう開口欠け判定プログラム73がプログラミングされる。
【0050】
次に、開口欠け解消プログラム74について説明する。
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、開口欠け判定プログラム73から異常値が戻された場合(欠けがあると判定された場合)、開口欠け解消プログラム74を呼び出して実行する。
図6は、開口欠け解消プログラム74によるアライメント用開口Wmの欠けの解消について示した平面概略図である。
【0051】
開口欠け解消プログラム74は、各カメラ8からの画像データを処理し、欠けを解消させるのに必要な基板W又はカメラ8の移動量(向きと距離)を算出する。そして、算出された移動量を搬送系1及び又はカメラ移動機構81に送り、基板W及び又はカメラ8を移動させるよう開口欠け解消プログラム74はプログラミングされている。
この際、X方向の移動については基板Wを移動させても良くカメラ8を移動させても良いが、この実施形態では、基板Wを移動させるようになっている。また、即ち、開口欠け解消プログラム74は、欠けの解消のためのX方向の移動量(向きと距離)を搬送系1に送り、Y方向の移動距離をカメラ移動機構81に送るようプログラミングされている。
【0052】
より具体的には、X方向だけ移動させれば欠けが解消する場合、開口欠け解消プログラム74は、
図6(1)に矢印で示すように、X方向に距離d1の基板Wの移動(アライメント用開口Wmの移動)を搬送系1により行わせる。Y方向だけ移動させれば欠けが解消する場合、開口欠け解消プログラム74は、
図6(2)に矢印で示すように、Y方向に距離d2のカメラ8の移動(視野Vの移動)をカメラ移動機構81により行わせる。X方向の移動とY方向の移動が必要な場合、
図6(3)に矢印で示すように、X方向に距離d3の基板Wの移動を搬送系1により行わせ、Y方向に距離d4のカメラ8の移動をカメラ移動機構81により行わせる。
図6(3)の場合、カメラ移動機構81によりX方向の移動とY方向の移動を行わせた方が簡便であるので、その方がより好ましい。
尚、通常、欠けの量は各画像データにおいて相違するので、四つのカメラ8からの画像データについて最もアライメント用開口Wmの欠けが最も大きくなっている画像データを特定し、その画像データにおいて欠けを解消させるための移動量を搬送系1及び又はカメラ移動機構81に送るようにする。
【0053】
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、開口欠け解消プログラム74を実行した後、マーク隠れ判定プログラム75を実行するようプログラミングされている。
図7は、マーク隠れ判定プログラム75によるマーク隠れ判定及び仮アライメントプログラム76について示した平面概略図である。
開口欠け判定プログラム73で正常値が戻された場合又は開口欠け解消プログラム74が終了した状態では、各カメラ8においてアライメント用開口Wmが欠けのない状態で撮影されてはいるものの、一対のマスクマーク31,41が各アライメント用開口Wm内には位置しておらず、基板Wによって隠れてしまっている場合がある。
図7(1)には、このような一対のマスクマーク31,41の隠れが生じた状況の一例が示されている。
【0054】
マーク隠れ判定プログラム75は、各カメラ8からの画像データを処理し、一対のマスクマーク31,41の像が各アライメント用開口Wm内に存在しているかどうか判定するプログラムである。この実施形態では、第一マスクマーク31はアライメント用開口Wmより小さな円周、第二マスクマーク41は第二マスクマーク41より小さな円形の点であるから、パターンマッチングによりそれらが各アライメント用開口Wm内に存在するかどうか判定する。存在していれば正常値をメインシーケンスプログラム7に戻し、存在していなければ異常値を戻すよう、マーク隠れ判定プログラム75はプログラミングされている。
【0055】
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、マーク隠れ判定プログラム75から異常値が戻された場合、仮アライメントプログラム76を実行する。仮アライメントプログラム76は、前回の露光(一つ先の目標露光領域Rの露光)の際の一対のマスクマーク31,41の位置に従って仮のアライメントを行うプログラムである。
【0056】
後述するように、
メインシーケンスプログラム7は、本アライメントが完了した際、一対のマスクマーク31,41の中心位置(XY座標での位置)を記憶部60に記憶するステップを有している。仮アライメントプログラム76は、この情報を記憶部60から読み出して利用するプログラムである。具体的には、仮アライメントプログラム76は、この中心位置を記憶部60から読み出し、アライメント用開口Wmの中心とのずれを算出する。そして、このずれを補正して一対のマスクマーク31,41の中心がアライメント用開口Wmの中心に一致するための一対のマスク3,4の移動量(一体移動の量)を算出する。ここでも、移動量は、移動の向きと距離である。そして、仮アライメントプログラム76は、算出された移動量をマスク移動機構5に送り、一対のマスク3,4を一体に移動させる。即ち、仮アライメントプログラム76は、前回の露光の際のアライメントで最終的に位置させた位置に一対のマスク3,4が位置し続けていると想定して、その位置を基準としてマーク隠れを解消するための移動を一対のマスク3,4に行わせるのである。このようにして、
図7(2)に示すように、マーク隠れが解消された状態となる。尚、後述するように一対のマスク3,4は、不図示のZ方向移動機構によりZ方向に移動して基板Wに密着し、露光終了後にZ方向逆向きに移動して基板Wから離れる。このZ方向移動の際、各マスク3,4はXY方向に多少変位することがあり得るが、XY方向でほぼ同じ位置が保持されるとして良い。
【0057】
次に、マーク欠け判定プログラム77について説明する。
図3に示すように、メインシーケンスプログラム7は、仮アライメントプログラム76を実行した場合、マーク隠れ判定プログラム75をもう一度実行し、マーク隠れがないかどうか判定させる。そして、正常値が戻されることを確認したら、メインシーケンスプログラム7は、マーク欠け判定プログラム77
を実行する。
図8は、マーク欠け判定プログラム77によりマスクマークの欠けがあると判定される例及びマスクマークの欠けが解消した例を示した平面概略図である。
【0058】
マーク欠け判定プログラム77は、各マスクマーク31,41が完全にアライメント用開口Wmに入っているかどうか判定するプログラムである。同様に、パターンマッチングにより、各マスクマーク31,41の像がアライメント用開口Wm内に取得されるかどうかで判定する
プログラムである。
図8(1)に示すように、少なくとも一つのカメラ8からの画像データにおいて一対のマスクマーク31,41の欠けがあると判定された場合、マーク欠け判定プログラム77は異常値を返し、そうでなければ正常値を返す。
【0059】
次に、マーク欠け解消プログラム78について説明する。
図9は、マーク欠け解消プログラムによるマーク欠け解消について示した平面概略図である。
マーク欠け解消プログラム78は、マーク欠け判定プログラム77においてマーク欠けがあったとされた撮影データについて、マーク欠けが解消されるのに要する移動量(向きと距離)を算出する。欠けの量は各画像データにおいて異なるので、マーク欠け解消プログラム78は、各画像データについて欠けを解消させるための移動量を各々算出し、それらの平均を求める。移動量は距離と向きであるので、平均の距離と平均の向きを求める。そして、算出した平均の移動量のマスク移動機構5に送る。
【0060】
ある画像データについてのマーク欠け解消について
図9を参照してより具体的に説明すると、この実施形態では、第一マスクマーク31の方が大きいので、マーク欠け解消プログラム78は、まず、第一マスクマーク31の像の一部であると判断される円弧を特定し、その円弧の中心Cを求める。そして、求めた中心Cが、アライメント用開口Wmの縁から半径(第一マスクマーク31の円弧の半径)以上の距離離れるために必要な最も短い移動量(距離と向き)を求める。通常は、像(円弧)がアライメント用開口Wmの縁に接しないように多少のマージンMdを加えるので、第一マスクマーク31の円弧の半径がrであったとすると(データ処理による取得値又は設計値)、第一マスクマーク31の円弧の中心Cがアライメント用開口Wmの周縁からr+Mdの距離だけ離れるのに必要な移動量を算出する。このような演算を各画像データについて行い、移動量の平均を算出する。そして、算出した平均の移動量だけ一対のマスク3,4が移動するようにマスク移動機構5に制御信号を出力する。これにより、各カメラ8において、
図9、
図8(2)に示すようにマスクマーク31’,41’は欠けが解消した状態で撮影がされる。
【0061】
メインシーケンスプログラム7は、マーク欠け解消プログラム78を実行した場合、マーク欠け判定プログラム77をもう一度実行してマスクマークの欠けがないかどうか判定させ、正常値が戻ったことを確認したら、本アライメントプログラム79を実行する。
図10は、本アライメントプログラム79による本アライメントについて示した平面概略図である。
【0062】
本アライメントプログラム79は、本アライメント可能とされた状態において各カメラ8からの撮影データを処理する。本アライメントプログラム79は、まず、光軸A上の点を原点とする座標系において、第一マスクマーク31の中心と第二マスクマーク41の中心を求める。そして、第一マスクマーク31の中心と第二マスクマーク41の中心が必要な精度で一致しているかどうか判断し、一致していなければ、いずれか又は双方のマスクを移動させて一致させるようマスク移動機構5に信号を送る。通常は、前回以前の露光の際に両者を必要な精度で一致させており、その状態が保持されている。
第一マスクマーク31の中心と第二マスクマーク41の中心が必要な精度で一致しているのを確認した上で、本アライメントプログラム79は、それら中心の中間点を求める。そして、本アライメントプログラム79は、基板Wのアライメント用開口Wmの中心を求め、一対のマスクマーク31,41の中心の中間点とのずれを求め、そのずれを解消させるための各マスク3,4の移動の向きと距離を算出する。
【0063】
本アライメントプログラム
79は、上記のようなデータ処理を各カメラ8からの撮影データに対して行い、ずれを解消するための各マスク3,4の移動の向きと距離を算出する。その上で、各撮影データから得た移動の向きと距離について平均を求め、最終的な本アライメント用の各マスク3,4の移動指令とし、それをメインシーケンスプログラム7に返す。移動の向きと距離は、各々のベクトル(
図10中に矢印で示す)として把握されるので、各ベクトルの向きについては合成し、長さは平均を取る。
メインシーケンスプログラム7は、戻り値である移動指令をマスク移動機構5に送り、一対のマスク3,4を一体に移動させ、各中心が必要な精度で一直線上に並ぶようにする。これで、本アライメントは終了である。尚、
図3中不図示であるが、メインシーケンスプログラム7は、次の目標露光領域Rの露光の際のアライメントのために、本アライメント完了時点での各マスクマーク31,41の中心の座標を記憶部60に記憶する。
【0064】
このようにして最終的に本アライメントプログラム79を実行することで、一対のマスク3,4が互いにアライメントされるとともに一対のマスク3,4が基板Wにアライメントされる。メインシーケンスプログラム7は、上記のように各判定ステップを行い、必要に応じて各サブプログラムを実行しながらアライメントを行うようプログラミングされている。
【0065】
次に、上記構成に係る実施形態の両面露光装置の全体の動作について概略的に説明する。以下の説明は、両面露光方法の発明の実施形態の説明でもある。尚、両面露光方法の発明は、両面が露光された基板という物の製造方法の発明ということができる。
一対のマスク3,4は、Z方向において、基板Wから離れた待機位置に位置している。この位置は、各マスク3,4のアライメントが行われるXY平面が存在する位置である。
メインシーケンスプログラム7が実行されているメインコントローラ6からは、送りストロークLfの分だけ基板Wを送るよう搬送系1に制御信号が送られる。これにより、第一駆動ローラ15及び第二駆動ローラ16が同期して動作し、基板Wが送りストロークLfだけX方向前側(巻き取り側)に送られる。
【0066】
送り完了の信号が搬送系1からメインコントローラ6に戻されると、メインシーケンスプログラム7は、上述した一連のアライメントの動作を行う。即ち、各カメラ8の視野内のアライメント用開口Wmの有無を判定して無ければ開口検索プログラム72を実行し、その上で開口欠けを判定する。そして、いずれかのアライメント用開口Wmが欠けていれば開口欠け解消プログラム74を実行し、その上でマーク隠れの有無を判定する。そして、いずれかの撮影データでマーク隠れがある場合、仮アライメントプログラム76を実行する。さらに、マスクマーク31,41が欠けて撮影されている場合、マーク欠け解消プログラム78を実行する。その上で、メインシーケンスプログラム7は、本アライメントプログラム79を実行する。これにより、アライメントが完了する。
【0067】
その後、メインシーケンスプログラム7は、不図示のZ方向移動機構に制御信号を送って一対のマスク3,4をZ方向に移動させて各マスク3,4を基板Wに密着させる。この状態で、メインシーケンスプログラム7は各カメラ8からの撮影データを取得し、アライメントされた状態が維持されているか(各マーク31,41,Wmの中心が必要な精度で一致しているか)を判断する。維持されていれば、メインシーケンスプログラム7は、各露光ユニット2に制御信号を送り、露光を行わせる。
【0068】
必要な露光量のための所定時間の露光の後、各露光ユニット2は光照射を停止する。その後、メインシーケンスプログラム7は、不図示のZ方向移動機構に制御信号を送り、一対のマスク3,4を基板Wから離間させ、当初の待機位置に戻す。
各マスク3,4が待機位置に戻ったのが確認されると、メインシーケンスプログラム7は、搬送系1に制御信号を送り、送りストロークLfの分だけ基板WをX方向前側に送らせる。その後は、上記と同じ動作であり、送りストロークLfの基板Wの間欠送りの合間にアライメントをした上で露光を行う動作を繰り返す。
【0069】
動作が繰り返される際、送り出し側バッファエリア101の基板Wの弛み量が少なくなると送り出し側芯ローラ11及び送り出し側ピンチローラ12が同期して動作し、基板Wを送り出し側バッファエリア101に送り出す。また、巻き取り側バッファエリア102の基板Wの弛み量が多くなると、巻き取り側芯ローラ13及び巻き取り側ピンチローラ14が同期して動作し、巻き取り側芯ローラ13に基板Wを巻き取る。
【0070】
このような構成及び動作に係る実施形態の両面露光装置によれば、開口欠け解消手段を備えているので、アライメント用開口Wmの欠けのない状態で撮影された撮影データによりアライメントが行われる。このため、アライメントの精度が高くなる。即ち、本アライメントの際には、アライメント用開口Wmの中心座標を求めるが、この際、アライメント用開口Wmの完全な像を得て中心座標を求めた方が、より精度の高い結果が得られる。
また、開口欠け判定手段が、カメラ8の視野の境界から所定距離だけ内側の領域として設定された禁止領域Pにアライメント用開口Wmの像があるかどうかで欠けの有無を判定するので、アライメント用開口Wmの像が視野の境界線に重なっている状態も欠けであると判定されることになり、より精度の高いアライメントが行える。
【0071】
また、実施形態の両面露光装置によれば、マーク欠け解消手段を備えているので、一対のマスクマーク31,41が欠けのない状態で撮影された撮影データによりアライメントが行われる。このため、アライメントの精度がさらに高くなる。即ち、一対のマスクマーク31,41についても本アライメントの際にはそれぞれ中心座標が求められるが、完全な像を得て行った方がより精度の高い結果が得られる。
【0072】
上述したように、マスク移動機構5が第一第二のマスク3,4を一体に移動させることで欠けを解消する。この点は、第一第二のマスク3,4同士のアライメントは予め終了しているか、ずれていても僅かである点を前提としている。上記の例では、第一第二のマスク3,4同士のアライメントは、前回以前のアライメントで完了しており、Z方向の移動の際にずれたとしても僅かである。このため、第一第二のマスク3,4を一体に移動させてマスクマーク31,41の欠けを解消することができ、その方が制御動作がシンプルになる。
尚、上記実施形態において、マーク欠けの解消は、各カメラからの画像データについて移動量を算出し、その平均をマスク移動機構5に出力することで行ったが、最もマーク欠けの大きな画像データを特定し、その画像データについてマーク欠けを解消させる移動量を算出してマスク移動機構5に出力しても良い。
また、開口欠けの解消については、最も開口欠けが大きい画像データを特定してその画像データについて開口欠けを解消させる移動量を算出してマスク移動機構5に出力したが、各画像データについて平均の移動量を算出し、それを搬送系1又はマスク移動機構5に出力しても良い。
【0073】
尚、アライメント用開口Wmの欠けの解消の際、基板Wの幅方向(Y方向)の欠けについては、カメラ8を移動させることにより解消すると説明したが、基板Wを移動させることで解消することも可能である。具体的には、第一駆動ローラ15及び第二駆動ローラ16を一体に基板Wの幅方向に移動させるようにする。但し、このような移動を可能にするよう搬送系1を構成すると、構造が複雑で大がかりになり易い。基板Wの幅方向についてはカメラ8を移動させる方が構造的にシンプルで、高精度の位置調節もし易い。
また、基板Wの送り方向(X方向)のアライメント用開口Wmの欠けの解消については搬送系1を使用するとしたが、カメラ移動機構81によりカメラ8を移動させても良い。この場合は、XY方向の双方についてカメラ移動機構81に対する制御で済むので、欠け解消のための制御動作がシンプルになる。
【0074】
逆に、上記実施形態において、カメラ移動機構8が不要な場合もある。基板Wが蛇行なく送られ、アライメント用開口WmのY方向の位置のずれが特になく、Y方向でアライメント用開口Wmが欠けることがないのであれば、開口欠けの解消の際にY方向に移動することは不要であり、搬送系1によって基板WをX方向に移動させるだけで開口欠けが解消できる。また、マーク欠けについても同様であり、一対のマスクマーク31,41がY方向には欠けないのであれば、搬送系1により基板WをX方向に移動させるだけでマーク欠けが解消できる。これらの場合、カメラ移動機構81は不要である。
【0075】
さらに、本アライメントについても、基板WをX方向に移動させるだけで必要な精度を確保できる場合があり、この場合には、マスク移動機構5は不要である。即ち、アライメント手段は機構的には搬送系1のみによって構成されることになる。
但し、マスク移動機構があれば、基板Wの蛇行やアライメント用開口WmがY方向にずれて形成されている場合にも容易に対応でき、この点で好適である。また、マスク移動機構がX方向にも一対のマスク3,4を移動できるものであれば、X方向での本アライメントの際に搬送系1でなくマスク移動機構を使用できる。搬送系1は基板Wの間欠送りのための機構であり、X方向の本アライメントも行わせようとすると構造的に複雑になり易い。マスク移動機構でX方向の本アライメントをすると、搬送系1の構造が複雑化するのが避けられる。
【0076】
また、実施形態の装置では、間欠送り完了後のアライメントの際、カメラ8の視野内に基板Wのアライメント用開口Wmが入っているかを判定し、入っていなければ、基板Wを移動させてアライメント用開口Wmがカメラ8の視野に入るようにするので、アライメント用開口Wmが撮影できないことによるアライメントのエラー(アライメント不能)が防止される。このため、アライメント用開口Wmの形成位置の精度が低かったり、基板Wの間欠送りの精度が低かったりした場合でも、アライメント不能になることがなく、装置の異常停止による生産性低下の問題が防止される。この際、カメラ8を移動させてアライメント用開口Wmが視野に入るようにしても良いが、一対のマスク31,41も一緒に移動させる必要がある場合が多く、移動距離が長くなるので、基板Wを移動させる方が好ましい。
また、マスクマーク31,41が基板Wに隠れている場合にまず仮アライメントを行う構成は、マスクマーク31,41を探す手間が省力化され、アライメントに要する全体の時間を短くする効果がある。
【0077】
上述した実施形態において、搬送系1はロールツーロールで基板Wを搬送するものであったが、送り出し側のみがロール式である構成が採用されることもあり得る。即ち、露光後の基板Wを所定の位置で切断してその後の処理を行うプロセスに本願発明の両面露光装置が採用されることもあり得る。
尚、搬送系1としては、基板Wの送り方向が上下方向の場合もある。この場合は、垂直な姿勢の基板Wの両面にマスクを通して露光を行うことになり、左右に露光ユニット2が配置される。
【0078】
また、上記実施形態において、アライメント用開口Wmは円形であったが、これは単なる一例であり、方形や三角形等の他の形状であっても良い。また、基板Wの側縁から切り欠いた形状のように完全な周状の縁を成すものでなくとも良い。
さらに「開口」とは、光を通すという意味で開口ということである。これは、基板Wが遮光性であることを想定しており、レジストが塗布された場合がその典型例である。光を通すという意味で開口であることから、貫通孔でなく光透過性の部材で塞がれている場合であっても良い。つまり、光を遮断する層がそこで開いているという程度の意味である。
第一マスクマーク31、第二マスクマーク41についても、円周状や円形以外の形状が採用されることがある。例えば、一方が円形で他方が十字状でも良い。尚、第一マスクマーク31が第二マスクマーク41の内側に入り込んだ状態でアライメントがされる場合もある。
【0079】
さらに、カメラ8に対して基板Wよりも近い側のマスクマークは基板Wに遮られることはないので、アライメント用開口Wmより大きくても良い。但し、基板Wとマスクとのコントラストが小さい場合には画像データの処理が難しくなる問題がある。アライメント用開口内に一対のマスクマークが位置した状態でアライメントがされる構成では、基板Wとマスクマークとのコントラストが問題となることはなく、この点で好適である。
【0080】
上記実施形態の装置は、コンタクト方式で露光を行うものであったが、上記アライメントの構成は、プロキシミティ方式や投影方式の露光であっても同様に効果を発揮するので、それらの方式が採用されることもあり得る。
尚、プロキシミティ方式や投影露光方式の場合、一対のマスクを基板に密着させることは不要であるので、マスクをZ方向に移動させる機構が設けられない場合もある。
また、メインコントローラ6は制御ユニットの一例であるが、他の構成もあり得る。例えば、メインコントローラ6とは別に制御ユニットが設けられていたり、メインコントローラ6内の一部が制御ユニットに相当していたりする場合もある。
【符号の説明】
【0081】
1 搬送系
2 露光ユニット
21 光源
22 光学系
3 第一のマスク
31 第一マスクマーク
4 第二のマスク
41 第二マスクマーク
5 マスク移動機構
6 メインコントローラ
61 記憶部
7 メインシーケンスプログラム
71 開口有無判定プログラム
72 開口検索プログラム
73 開口欠け判定プログラム
74 開口欠け解消プログラム
75 マーク隠れ判定プログラム
76 仮アライメントプログラム
77 マーク欠け判定プログラム
78 マーク欠け解消プログラム
79 本アライメントプログラム
8 カメラ
81 カメラ移動機構
W 基板
Wm アライメント用開口
V 視野