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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】誘電エラストマートランスデューサー
(51)【国際特許分類】
   H02N 1/00 20060101AFI20240105BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240105BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240105BHJP
   H10N 30/87 20230101ALI20240105BHJP
   H10N 30/88 20230101ALI20240105BHJP
【FI】
H02N1/00
H10N30/20
H10N30/30
H10N30/87
H10N30/88
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018208699
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020078122
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】514285911
【氏名又は名称】千葉 正毅
(73)【特許権者】
【識別番号】510244754
【氏名又は名称】和氣 美紀夫
(73)【特許権者】
【識別番号】591005006
【氏名又は名称】マクセルクレハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正毅
(72)【発明者】
【氏名】和氣 美紀夫
(72)【発明者】
【氏名】栗田 翔
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149488(JP,A)
【文献】特開2009-041463(JP,A)
【文献】特開2016-225599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/00
H10N 30/20
H10N 30/30
H10N 30/88
H10N 30/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電エラストマー層と、
前記誘電エラストマー層を挟む一対の電極層と、
前記誘電エラストマー層を支持する支持体と、を備える誘電エラストマートランスデューサーであって、
前記誘電エラストマー層は、前記支持体から離間した可動領域と、前記支持体に支持された固定領域とを有し、
各々が給電ケーブルおよび当該給電ケーブルの芯線が導通接続された給電点を経由して前記各電極層に導通する一対の導通経路が構成されており、
前記一対の電極層は、前記可動領域に配置された主部と、前記主部から延出する延出部と、を有し、
前記一対の電極層の一方の前記延出部は、前記一対の電極層の他方の前記主部および前記延出部とは重なっておらず、
前記一対の導通経路は、前記一対の電極層の前記延出部を経由しており、
前記給電点は、前記誘電エラストマー層の前記可動領域から離間しており、
一対の中継導電部材をさらに備えており、
前記電極層の前記延出部は、前記中継導電部材に導通接続されており、
前記給電点は、前記給電ケーブルの芯線と前記中継導電部材とが導通接続されて構成されており、
前記中継導電部材は、屈曲および伸縮等の変形が可能な材料からなり、且つ一端が前記電極層の前記延出部に導通接続されており、
前記給電点は、前記給電ケーブルの芯線と前記中継導電部材のうち前記可動領域から離間した他端とが導通接続されて構成されており、
前記中継導電部材は、前記一端と前記他端との間に、前記誘電エラストマー層、前記一対の電極層および前記支持体のいずれからも離れた支持されていない部分を有し、
前記中継導電部材の前記他端は、前記誘電エラストマー層の厚さ方向において前記支持体を挟んで前記誘電エラストマー層とは反対側において前記給電ケーブルの芯線に導通接続されていることを特徴とする、誘電エラストマートランスデューサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電エラストマートランスデューサーに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電エラストマー層と当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層を有する誘電エラストマートランスデューサーは、アクチュエータ、発電要素、センサ等の様々な用途に用いられるデバイスとして提案されている。特許文献1には、従来の誘電エラストマートランスデューサーの一例が開示されている。この誘電エラストマートランスデューサーでは、誘電エラストマー層を挟む一対の電極層のそれぞれに給電ケーブルが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-188720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成においては、給電ケーブルの芯線が電極層と接続された給電点が、誘電エラストマートランスデューサーの動作に伴って変形する領域に設けられている。このため、使用の継続によって給電点に負荷がかかると、非導通等の不具合が生じ、耐久性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、耐久性を向上させることが可能な誘電エラストマートランスデューサーを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるは誘電エラストマートランスデューサー、誘電エラストマー層と、前記誘電エラストマー層を挟む一対の電極層と、前記誘電エラストマー層を支持する支持体と、を備える誘電エラストマートランスデューサーであって、前記誘電エラストマー層は、前記支持体から離間した可動領域と、前記支持体に支持された固定領域とを有し、各々が給電ケーブルおよび当該給電ケーブルの芯線が導通接続された給電点を経由して前記各電極層に導通する一対の導通経路が構成されており、前記給電点は、前記誘電エラストマー層の前記可動領域から離間していることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、一対の中継導電部材をさらに備えており、前記電極層は、前記中継導電部材に導通接続されており、前記給電点は、前記給電ケーブルの芯線と前記中継導電部材とが導通接続されて構成されている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記中継導電部材は、前記支持体に支持されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記中継導電部材は、屈曲および伸縮等の変形が可能な材料からなり、且つ前記可動領域の前記電極層に導通接続されており、前記給電点は、前記給電ケーブルの芯線と前記中継導電部材のうち前記可動領域から離間した部位とが導通接続されて構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誘電エラストマートランスデューサーの耐久性を高めることができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る誘電エラストマートランスデューサーを示す分解斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る誘電エラストマートランスデューサーを示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る誘電エラストマートランスデューサーを示す分解斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る誘電エラストマートランスデューサーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づく誘電エラストマートランスデューサーを示している。本実施形態の誘電エラストマートランスデューサーA1は、支持体1、誘電エラストマー層2、一対の電極層3A,3B、一対の給電ケーブル4A,4Bおよび一対の中継導電部材5A,5Bを備えている。本発明に係る誘電エラストマートランスデューサーは、アクチュエータ、発電要素、センサ等の様々な用途に用いられるものである。以下の説明においては、誘電エラストマートランスデューサーA1が、アクチュエータとして用いられる場合を例に説明する。
【0016】
支持体1は、誘電エラストマー層2を支持するものである。支持体1の材質は特に限定されず、樹脂等の絶縁材料を用いることが好ましい。支持体1の具体的構成は特に限定されず、誘電エラストマー層2を支持可能な構成であればよい。本実施形態においては、支持体1は、一対の外枠部11および一対の中央部12を有する。
【0017】
一対の外枠部11は、各々がたとえば円環形状の部材であり、軸方向に重ね合わされて配置されている。一対の中央部12は、各々がたとえば円形状であり、外枠部11の内側に内包されている。一対の中央部12は、外枠部11の軸方向に重ね合わされている。
【0018】
一対の中継導電部材5A,5Bは、一対の電極層3A,3Bと一対の給電ケーブル4A,4Bとを各別に導通させるためのものである。一対の中継導電部材5A,5Bの具体的構成は特に限定されず、本実施形態においては、外枠部11に固定されたCu等の金属膜によって構成されている。中継導電部材5Aは、図中上側の外枠部11に設けられており、中継導電部材5Bは、図中下側の外枠部11に設けられている。図示された例においては、中継導電部材5A,5Bは、図2に示す断面において、外枠部11の一部の上下面および径方向内外面を覆っているが、外枠部11の一部の上下面および径方向内外面から選択されたいずれかを覆う構成であってもよい。
【0019】
誘電エラストマー層2は、誘電エラストマートランスデューサーA1がたとえばアクチュエータとして用いられることを考慮すると、弾性変形が可能であるとともに、絶縁強度が高いことが求められる。このような誘電エラストマー層2の材質は特に限定されないが、好ましい例として、たとえばシリコーンエラストマーやアクリルエラストマー等が挙げられる。誘電エラストマー層2の具体的構成は特に限定されず、本実施形態においては、誘電エラストマー層2は、円形状である。
【0020】
誘電エラストマー層2は、支持体1によって支持されている。本実施形態においては、誘電エラストマー層2は、一対の外枠部11に挟まれている。また、誘電エラストマー層2は、一対の中央部12に挟まれている。一対の外枠部11および一対の中央部12と誘電エラストマー層2との具体的な固定方法は特に限定されず、たとえば接着等の手法が適宜用いられる。
【0021】
誘電エラストマー層2は、可動領域21および固定領域22を有する。可動領域21は、支持体1から離間した部位であり、たとえば誘電エラストマートランスデューサーA1がアクチュエータとして用いられる場合、変形する領域である。本実施形態においては、可動領域21は、円環形状である。固定領域22は、支持体1に固定された部位である。本実施形態においては、固定領域22は、外枠部11に固定された円環形状の領域と、中央部12に固定された円形状の領域とを含む。
【0022】
一対の電極層3A,3Bは、誘電エラストマー層2を挟んでおり、電源部(図示略)によって電圧が印加されるものである。一対の電極層3A,3Bは、導電性を有するとともに、誘電エラストマー層2の弾性変形に追従しうる弾性変形が可能な材質によって形成される。このような材質としては、弾性変形可能な主材に導電性を付与するフィラーが混入された材質が挙げられる。前記フィラーの好ましい例として、たとえばカーボンナノチューブが挙げられる。一対の電極層3A,3Bの具体的構成は、特に限定されず、本実施形態においては、電極層3Aが、主部30Aおよび延出部31Aを有し、電極層3Bが主部30Bおよび延出部31Bを有する。
【0023】
主部30Aは、円環形状の部位である。主部30Aの外径は、外枠部11の内径よりも小さい。主部30Aの内径は、中央部12の外径よりも大きい。延出部31Aは、主部30Aから径方向外方に延出する部位である。延出部31Aの具体的形状は特に限定されず、図示された例においては、先端が円弧形状とされた略三角形状である。
【0024】
主部30Bは、円環形状の部位である。主部30Bの外径は、外枠部11の内径よりも小さい。主部30Bの内径は、中央部12の外径よりも大きい。延出部31Bは、主部30Bから径方向外方に延出する部位である。延出部31Bの具体的形状は特に限定されず、図示された例においては、先端が円弧形状とされた略三角形状である。
【0025】
一対の電極層3A,3Bは、誘電エラストマー層2の両面に分かれて配置されている。主部30A,30Bは、誘電エラストマー層2の可動領域21に配置されている。延出部31A,31Bは、可動領域21から固定領域22の外側の円環形状部分に跨るように配置されている。図示された一対の延出部31A,31Bは、径方向(図中左右方向)において互いに反対側に延出している。
【0026】
本実施形態においては、延出部31Aと外枠部11との間には、中継導電部材5Aが介在している。延出部31Aと中継導電部材5Aとは、接触や導電性接合材(図示略)を用いた導電接合によって、互いに導通している。また、延出部31Bと外枠部11との間には、中継導電部材5Bが介在している。延出部31Bと中継導電部材5Bとは、接触や導電性接合材(図示略)を用いた導電接合によって、互いに導通している。
【0027】
一対の給電ケーブル4A,4Bは、一対の電極層3A,3Bに電源装置(図示略)からの電圧を印加するためのものである。本実施形態においては、給電ケーブル4Aの芯線41Aが、中継導電部材5Aに導通している。芯線41Aと中継導電部材5Aとの導通形態は特に限定されず、図示された例においては、たとえばハンダ等の導電性接合材49によって芯線41Aが中継導電部材5Aの図中上面に導通接合されている。また、給電ケーブル4Bの芯線41Bが、中継導電部材5Bに導通している。芯線41Bと中継導電部材5Bとの導通形態は特に限定されず、図示された例においては、たとえばハンダ等の導電性接合材49によって芯線41Bが中継導電部材5Bの図中下面に導通接合されている。
【0028】
本実施形態においては、芯線41Aが中継導電部材5Aに導通接続された箇所が、給電点6Aである。また、芯線41Bが中継導電部材5Bに導通接続された箇所が、給電点6Bである。
【0029】
本実施形態においては、給電点6Aを経由して導通経路8Aが構成されている。具体的には、導通経路8Aは、給電ケーブル4Aの芯線41A、中継導電部材5Aおよび電極層3Aを含んでいる。また、芯線41Aと中継導電部材5Aとの間に、導電性接合材49が介在してもよい。また、本実施形態においては、給電点6Bを経由して導通経路8Bが構成されている。具体的には、導通経路8Bは、給電ケーブル4Bの芯線41B、中継導電部材5Bおよび電極層3Bを含んでいる。また、芯線41Bと中継導電部材5Bとの間に、導電性接合材49が介在してもよい。
【0030】
誘電エラストマートランスデューサーA1をアクチュエータとして動作させる場合、たとえば図示しない錘を中央部12に取り付ける。図2において図中上下方向を鉛直方向に一致させると、中央部12は、錘の自重によって図中下方に移動する。これにより、誘電エラストマー層2の可動領域21は伸張され、可動領域21に張力が生じる。これが初期状態である。
【0031】
次に、導通経路8A,8Bから、一対の3A,3Bに電圧を印加する。たとえば、電極層3Aが正電位となり、電極層3Bが負電位またはグランド電位となるように、電圧を印加すると、クーロン力により、電極層3Aと電極層3Bとが互いに引きあう。これにより、誘電エラストマー層2は、厚さが薄くなるように変形する。誘電エラストマー層2の体積は不変であるため、薄くなることに対応して面積が大きくなる。この結果、誘電エラストマー層2の可動領域21は、上述の錘の自重にしたがってさらに伸張され、中央部12は、さらに図中下方に移動する。このように、一対の電極層3A,3Bへの電圧印加状態によって、誘電エラストマー層2の可動領域21の伸長状態を変化させ、中央部12を図中上下方向に移動させることにより、誘電エラストマートランスデューサーA1をアクチュエータとして機能させることができる。なお、誘電エラストマー層2に初期状態における張力を付与する手段は特に限定されず、錘を用いた手法のほか、構造体によって引っ張る手法等の、従来公知の手法を種々に採用可能である。
【0032】
次に、誘電エラストマートランスデューサーA1の作用について説明する。
【0033】
本実施形態によれば、芯線41A,41Bが導通接続されている給電点6A,6Bは、誘電エラストマー層2の可動領域21から離間している。このため、誘電エラストマートランスデューサーA1の動作において可動領域21に伸長や収縮等の変形が生じても、給電点6A,6Bには、顕著な変形や移動等は生じない。これにより、給電点6A,6Bにおける芯線41A,41Bの導通接続が非導通となってしまうこと等を抑制することが可能である。したがって、誘電エラストマートランスデューサーA1の耐久性を高めることができる。
【0034】
本実施形態においては、給電点6A,6Bは、芯線41A,41Bが中継導電部材5A,5Bに導通接合されることによって構成されている。中継導電部材5A,5Bは、外枠部11に設けられた金属膜によって構成されている。外枠部11は、誘電エラストマートランスデューサーA1の動作において誘電エラストマー層2の可動領域21が変形しても、ほとんどその影響を受けない部位である。したがって、給電点6A,6Bにおける芯線41A,41Bの導通接続が非導通となってしまうこと等をより確実に抑制することが可能であり、誘電エラストマートランスデューサーA1の耐久性を高めるのに好ましい。
【0035】
図3および図4は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0036】
図3および図4は、本発明の第2実施形態に係る誘電エラストマートランスデューサーを示している。本実施形態の誘電エラストマートランスデューサーA2は、主に中継導電部材5A,5Bの構成が上述した実施形態と異なっている。
【0037】
本実施形態の中継導電部材5A,5Bは、たとえば導電性の布材である。このような布材は、導電性の繊維を編み込んで構成されており、適度な柔軟性や伸縮性を有する。
【0038】
本実施形態の電極層3A,3Bは、上述した実施形態と同様に主部30A,30Bと延出部31A,31Bとを有する。電極層3A,3Bは、それぞれの全体が、可動領域21に配置されている。主部30A,30Bは、誘電エラストマー層2の可動領域21の一部を挟んでいる。延出部31Aは、平面視において主部30Bとは重なっていない。また、延出部31Bは、平面視において主部30Aと重なっていない。
【0039】
図4に示すように、中継導電部材5Aは、電極層3Aに導通接合されている。中継導電部材5Bは、電極層3Bに導通接合されている。中継導電部材5A,5Bと電極層3A,3Bとの導通接合は、たとえば電極層3A,3Bを形成するための材料と同様の材料を用いた接合手法によってなされる。また、本実施形態においては、中継導電部材5Aは、電極層3Aの延出部31Aに導通接合されており、中継導電部材5Bは、電極層3Bの延出部31Bに導通接合されている。
【0040】
図示された例においては、給電ケーブル4Aの芯線41Aは、圧着スリーブ48によって中継導電部材5Aに導通接続されており、給電ケーブル4Bの芯線41Bは、圧着スリーブ48によって中継導電部材5Bに導通接続されている。圧着スリーブ48は、リングスリーブとも称される部材であり、ケーブルの芯線と接続対象材料とに物理的な圧力を加えることにより、相互に導通接続するためのものである。なお、芯線41A,41Bと中継導電部材5A,5Bとの導通接続を実現するための手法は、何ら限定されない。
【0041】
本実施形態においては、芯線41Aが圧着スリーブ48によって中継導電部材5Aに導通接続された箇所が、給電点6Aである。また、芯線41Bが圧着スリーブ48によって中継導電部材5Bに導通接続された箇所が、給電点6Bである。
【0042】
本実施形態においても、給電点6Aを経由して導通経路8Aが構成されている。具体的には、導通経路8Aは、給電ケーブル4Aの芯線41A、中継導電部材5Aおよび電極層3Aを含んでいる。また、給電点6Bを経由して導通経路8Bが構成されている。具体的には、導通経路8Bは、給電ケーブル4Bの芯線41B、中継導電部材5Bおよび電極層3Bを含んでいる。
【0043】
本実施形態においても、給電点6A,6Bにおける芯線41A,41Bの導通接続が非導通となってしまうこと等を抑制することが可能であり、誘電エラストマートランスデューサーA1の耐久性を高めることができる。また、導電性の布材によって構成された中継導電部材5Aおよび中継導電部材5Bを用いることにより、電極層3A,3Bの全体を可動領域21に配置しつつ、給電点6A,6Bを可動領域21から確実に離間した位置に設けることができる。なお、中継導電部材5A,5Bのうち芯線41A,41Bと導通接続される箇所(給電点6A,6B)は、支持体1の外枠部11等に固定された構成であってもよいし、外枠部11等から離間した構成であってもよい。
【0044】
中継導電部材5A,5Bが導通接合された延出部31A,31Bは、平面視において主部30A,30Bとは重なっていない。このため、延出部31A,31Bは、誘電エラストマー層2の可動領域21のうち、電極層3A,3Bに電圧が印加された際に積極的に伸縮しない部分に形成されている。したがって、誘電エラストマートランスデューサーA2が駆動する際に、延出部31A,31Bに生じる歪を抑制することが可能であり、中継導電部材5A,5Bの導通接合の破損を防止するのに好ましい。
【0045】
なお、図3および図4に示された例とは異なり、電極層3A,3Bが、主部30A,30Bに相当する部位のみを有する構成であってもよい。このような構成であっても、電極層3A,3Bに中継導電部材5A,5Bを導通接合することにより、給電点6A,6Bにおける芯線41A,41Bの導通接続が非導通となってしまうこと等を抑制することができる。
【0046】
本発明に係る誘電エラストマートランスデューサーは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る誘電エラストマートランスデューサーの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0047】
A1,A2:誘電エラストマートランスデューサー
1 :支持体
2 :誘電エラストマー層
3A,3B:電極層
4A,4B:給電ケーブル
5A,5B:中継導電部材
6A,6B:給電点
8A,8B:導通経路
11 :外枠部
12 :中央部
21 :可動領域
22 :固定領域
30A,30B:主部
31A,31B:延出部
41A,41B:芯線
48 :圧着スリーブ
49 :導電性接合材
図1
図2
図3
図4