(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】空気調和機及び流路切換弁
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20240105BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240105BHJP
F25B 41/24 20210101ALI20240105BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/86
F25B41/24
F25B49/02 520M
(21)【出願番号】P 2019008841
(22)【出願日】2019-01-02
【審査請求日】2021-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 重貴
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】竹下 和志
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2728280(EP,A1)
【文献】特開2003-148817(JP,A)
【文献】特開2003-227664(JP,A)
【文献】特開2015-152275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 13/32
F25B 1/00 - 49/04
B60H 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(20a)と、利用熱交換器(31)が接続される利用回路(30a)とを含み、冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10a)とを備えた空気調和機であって、
前記冷媒回路(10a)は、前記利用回路(30a)の両端にそれぞれ接続される冷媒流路(41,42)を含み、
2つの前記冷媒流路(41,42)の各々に接続される遮断弁をさらに備え、
2つの前記遮断弁の少なくとも一方は、前記利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、前記冷媒流路(41,42)を遮断するように流路を切り換える流路切換弁(V1,V2)で構成され
、
前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、
前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)とを有するとともに、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させる状態と、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを遮断する状態とに切り換わる四方切換弁(51,52)で構成されることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷媒回路(10a)は、前記第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を前記第3ポート(P3)に導入する高圧導入回路(60)を含み、
前記四方切換弁(51,52)は、前記第3ポート(P3)に導入された高圧冷媒を駆動源とする差圧駆動式であることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2において、
前記冷媒回路(10a)は、前記熱源熱交換器(22)を放熱器とし前記利用熱交換器(31)を蒸発器とする第1冷凍サイクルと、前記利用熱交換器(31)を放熱器とし前記熱源熱交換器(22)を蒸発器とする第2冷凍サイクルとを行うように構成され、
前記高圧導入回路(60)は、少なくとも、前記2つの冷媒流路(41,42)の前記第1流路(41a,42a)のうち圧力の高い第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を、前記第3ポート(P3)に導入するように構成されることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項3において、
前記高圧導入回路(60)は、
液側の前記冷媒流路(41)の第1流路(41a,42a)と前記第3ポート(P3)とを連通させる液側導入路(61)と、
ガス側の前記冷媒流路(42)の第1流路(41a,42a)と前記第3ポート(P3)とを連通させるガス側導入路(62)とを含み、
前記液側導入路(61)には、前記第1冷凍サイクル時に開放される第1開閉弁(64)が設けられ、
前記ガス側導入路(62)には、前記第2冷凍サイクル時に開放される第2開閉弁(65)が設けられることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
前記四方切換弁(51,52)は、閉塞された第4ポート(P4)を有し、
第1状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させ且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを連通させ、
第2状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させることを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
前記四方切換弁(51,52)は、前記利用回路(30a)に連通する低圧管(55,56)を有し、高圧冷媒と前記低圧管(55,56)の内圧との差圧によって第2状態に切り換わることを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つにおいて、
前記四方切換弁(51,52)は、スプール弁の移動に伴い、前記冷媒流路(41,42)を遮断するように流路を切り換えることを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(20a)と、利用熱交換器(31)が接続される利用回路(30a)とを含み、冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10a)とを備えた空気調和機であって、
前記冷媒回路(10a)は、前記利用回路(30a)の両端にそれぞれ接続される冷媒流路(41,42)を含み、
2つの前記冷媒流路(41,42)の各々に接続される遮断弁をさらに備え、
2つの前記遮断弁の少なくとも一方は、前記利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、前記冷媒流路(41,42)を遮断するように流路を切り換える流路切換弁(V1,V2)で構成され、
前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、
前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、内部流路(77)が形成される回転部(76)と、前記回転部(76)を回転駆動する電動機(75)とを有する電動回転式であり、
前記流路切換弁(V1,V2)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる第1状態の回転角度位置と、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)を閉塞する第2状態の回転角度位置になり
、
前記流路切換弁(V1,V2)は、閉塞された第3ポート(P3)を有する電動回転式の三方切換弁(71,72)で構成され、
前記第1状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる回転角度位置となり、
前記第2状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)の一方が前記内部流路(77)を介して第3ポート(P3)と連通し、該第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)の他方が回転部(76)によって閉塞される回転角度位置になる
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項9】
請求項
8おいて、
前記利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、前記第1状態の回転角度位置の前記流路切換弁(V1,V2)を、前記第2状態の回転角度位置に切り換える制御部(57)を備えていることを特徴とする流路切換弁。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか1つにおいて、
前記流路切換弁(V1,V2)は、前記2つの冷媒流路(41,42)のうちガス側の前記冷媒流路(42)に少なくとも接続されることを特徴とする空気調和機。
【請求項11】
請求項1乃至
10のいずれか1つの空気調和機(10)の冷媒流路(41,42)に接続される流路切換弁(V1,V2)であることを特徴とする流路切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機及び流路切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内ユニットと、室外ユニットとを備えた空気調和機が開示されている。室内ユニットと繋がる冷媒配管には、電磁弁や膨張弁が接続される。冷媒漏洩検知器が室内ユニットでの冷媒の漏洩を検知すると、電磁弁や膨張弁が閉鎖される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のような電磁弁や膨張弁は、内部流路を弁によって開閉する構造である。このため、その構造上、内部流路は比較的狭くなる。特許文献1に開示のような遮断弁は、冷媒漏洩時においては閉状態となるが、それ以外の通常運転時には基本的には開状態となる。このため、遮断弁を設けることに起因して、通常運転における冷媒流路の圧力損失が増大してしまう問題があった。
【0005】
本開示は、遮断弁による圧力損失を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(20a)と、利用熱交換器(31)が接続される利用回路(30a)とを含み、冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10a)を備えた空気調和機であって、前記冷媒回路(10a)は、前記利用回路(30a)の両端にそれぞれ接続される冷媒流路(41,42)を含み、2つの前記冷媒流路(41,42)の各々に接続される遮断弁をさらに備え、2つの前記遮断弁の少なくとも一方は、前記利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、前記冷媒流路(41,42)を遮断するように流路を切り換える流路切換弁(V1,V2)で構成されることを特徴とする空気調和機である。
【0007】
第1の態様では、遮断弁が流路切換弁(V1,V2)で構成されるため、例えば電磁弁や膨張弁と比較して、遮断弁による圧力損失を低減できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)とを有する四方切換弁(51,52)で構成されることを特徴とする空気調和機である。
【0009】
第2の態様では、流路切換弁(V1,V2)が四方切換弁(51,52)で構成される。四方切換弁(51,52)を第1状態にすると、各冷媒流路(41,42)がそれぞれ導通する。四方切換弁(51,52)を第2状態にすると、各冷媒流路(41,42)がそれぞれ遮断される。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記冷媒回路(10a)は、前記第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を前記第3ポート(P3)に導入する高圧導入回路(60)を含み、前記四方切換弁(51,52)は、前記第3ポート(P3)に導入された高圧冷媒を駆動源とする差圧駆動式であることを特徴とする空気調和機である。
【0011】
第3の態様では、第1流路(41a,42a)を流れる高圧冷媒が第3ポート(P3)に導入される。この高圧冷媒の圧力を駆動源として四方切換弁(51,52)の流路が切り換えられる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記冷媒回路(10a)は、前記熱源熱交換器(22)を放熱器とし前記利用熱交換器(31)を蒸発器とする第1冷凍サイクルと、前記利用熱交換器(31)を放熱器とし前記熱源熱交換器(22)を蒸発器とする第2冷凍サイクルとを行うように構成され、前記高圧導入回路(60)は、少なくとも、2つの前記第1流路(41a,42a)のうち圧力の高い第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を、前記第3ポート(P3)に導入するように構成されることを特徴とする空気調和機である。
【0013】
第4の態様では、第1冷凍サイクル及び第2冷凍サイクルの双方において、圧力の高い高圧冷媒を第3ポート(P3)に導入できる。この高圧冷媒を四方切換弁(51,52)の駆動源として利用できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記高圧導入回路(60)は、液側の前記冷媒流路(41)の第1流路(41a,42a)と前記第3ポート(P3)とを連通させる液側導入路(61)と、ガス側の前記冷媒流路(42)の第1流路(41a,42a)と前記第3ポート(P3)とを連通させるガス側導入路(62)とを含み、前記液側導入路(61)には、前記第1冷凍サイクル時に開放される第1開閉弁(64)が設けられ、前記ガス側導入路(62)には、前記第2冷凍サイクル時に開放される第2開閉弁(65)が設けられることを特徴とする空気調和機である。
【0015】
第5の態様では、第1冷凍サイクル時に第1開閉弁(64)が開放されることで、高圧の液冷媒を第3ポート(P3)に導入できる。第2冷凍サイクル時に第2開閉弁(65)が開放されることで、高圧のガス冷媒を第3ポート(P3)に導入できる。
【0016】
第6の態様は、第3乃至第5のいずれか1つにおいて、前記四方切換弁(51,52)は、閉塞された第4ポート(P4)を有し、第1状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させ且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを連通させ、
第2状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させることを特徴とする。
【0017】
第6の態様では、四方切換弁(51,52)が第1状態になると、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、冷媒流路(41,42)が導通する。第3ポート(P3)側の冷媒は、閉塞された第4ポート(P4)を通過しない。四方切換弁(51,52)が第2状態になると、利用回路(30a)は実質的に第4ポート(P4)に閉塞される。利用回路(30a)は閉回路になる。
【0018】
第7の態様は、第2乃至6の態様のいずれか1つにおいて、前記四方切換弁(51,52)は、前記利用回路(30a)に連通する低圧管(55,56)を有し、高圧冷媒と前記低圧管(55,56)の内圧との差圧によって第2状態に切り換わることを特徴とする空気調和機である。
【0019】
第7の態様では、利用回路(30a)で冷媒の漏洩が発生すると、利用回路(30a)の内圧が低下し、ひいては低圧管(55,56)の内圧が下がる。四方切換弁(51,52)は、高圧冷媒と、この状態の低圧管(55,56)の内圧との差圧を利用して第2状態に切り換わる。冷媒が漏洩すると、四方切換弁(51,52)を自動的に第2状態に切り換えることができる。
【0020】
第8の態様は、第1の態様において、前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、内部流路(77)が形成される回転部(76)と、前記回転部(76)を回転駆動する電動機(75)とを有する電動回転式であり、前記流路切換弁(V1,V2)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる第1状態の回転角度位置と、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)を閉塞する第2状態の回転角度位置になる。
【0021】
第8の態様では、電動機(75)によって回転部(76)の回転角度位置が変更されることで、電動回転式の流路切換弁(V1,V2)が第1状態と第2状態とに切り換えられる。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記流路切換弁(V1,V2)は、閉塞された第3ポート(P3)を有する電動回転式の三方切換弁(71,72)で構成され、前記第1状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる回転角度位置となり、前記第2状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)の一方が前記内部流路(77)を介して第3ポート(P3)と連通し、該第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)の他方が回転部(76)によって閉塞される回転角度位置になることを特徴とする空気調和機である。
【0023】
第9の態様では、電動機(75)によって回転部(76)の回転角度位置が変更されることで、電動回転式の三方切換弁(71,72)が第1状態と第2状態とに切り換えられる。
【0024】
第10の態様は、第1乃至9の態様のいずれか1つにおいて、前記流路切換弁(V1,V2)は、前記2つの冷媒流路(41,42)のうちガス側の前記冷媒流路(42)に少なくとも接続されることを特徴とする空気調和機である。
【0025】
第10の態様では、液側の冷媒流路(41)と比較して配管径の大きいガス側の冷媒流路(42)に流路切換弁(V1,V2)が接続される。このため、ガス側の冷媒流路(42)における圧力損失の低下を抑制できる。
【0026】
第11の態様は、第1乃至10のいずれか1つの態様の空気調和機(10)の冷媒流路(41,42)に接続される流路切換弁(V1,V2)であることを特徴とする流路切換弁である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和機の概略構成を示す配管系統図である。
【
図2】
図2は、遮断ユニットを拡大した回路図である。通常の冷房運転時の冷媒の流れを表している。
【
図3】
図3は、遮断ユニットを拡大した回路図である。通常の暖房運転時の冷媒の流れを表している。
【
図4】
図4は、遮断ユニットを拡大した回路図である。冷媒が漏洩した状態を表している。
【
図5】
図5は、変形例2の遮断ユニットを拡大した回路図である。
図5(A)は通常運転時を表す。
図5(B)は冷媒漏洩時を表す。
【
図6】
図6は、変形例3の遮断ユニットを拡大した回路図である。
図6(A)は通常運転時を表す。
図6(B)は冷媒漏洩時を表す。
【
図7】
図7は、その他の第1の例に係る空気調和機の概略構成を示す配管系統図である。
【
図8】
図8は、その他の第2の例に係る空気調和機の概略構成を示す配管系統図である。
【
図9】
図9は、実施形態、各変形例、その他の実施形態の空気調和機の冷媒回路に使用される冷媒に関する表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0029】
《実施形態》
〈空気調和機の概要〉
本実施形態の空気調和機(10)は、対象空間である室内空間の空気調和を行う。
図1に示すように、本例の空気調和機(10)は、室外ユニット(20)と、複数の室内ユニット(30)とを有するマルチ式に構成される。本例の空気調和機(10)は、対象空間の冷房と暖房とを切り換えて行う。室内ユニット(30)の台数は、3台以上であってもよい。
【0030】
室外ユニット(20)は、室外に設置される。室外ユニット(20)は、熱源ユニットを構成する。室外ユニット(20)には、熱源回路(20a)が設けられる。各室内ユニット(30)は、室内に設置される。各室内ユニット(30)は、利用ユニットを構成する。室内ユニット(30)には、利用回路(30a)がそれぞれ設けられる。空気調和機(10)では、室外ユニット(20)と室内ユニット(30)とが連絡配管(11,15)を介して互いに接続される。
【0031】
空気調和機(10)は、冷媒回路(10a)を備える。冷媒回路(10a)には、冷媒が充填される。冷媒回路(10a)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(10a)は、室外ユニット(20)の熱源回路(20a)と、各室内ユニット(30)の複数の利用回路(30a)とを含む。冷媒回路(10a)では、複数の利用回路(30a)が互いに並列に接続される。熱源回路(20a)と複数の利用回路(30a)とは、連絡配管(11,15)を介して接続される。
【0032】
〈連絡配管〉
連絡配管は、液連絡配管(11)とガス連絡配管(15)とを含んでいる。
【0033】
液連絡配管(11)は、主液管(12)と複数の液分岐管(13)とを含む。液連絡配管(11)の一端は熱源回路(20a)の液閉鎖弁(25)に接続される。液分岐管(13)の一端は主液管(12)に接続される。液分岐管(13)の他端は利用回路(30a)の液端(液側継手)に接続される。
【0034】
ガス連絡配管(15)は、主ガス管(16)と複数のガス分岐管(17)とを含む。ガス連絡配管(15)の一端は熱源回路(20a)のガス閉鎖弁(26)に接続される。ガス分岐管(17)の一端は主ガス管(16)に接続される。ガス分岐管(17)の他端は利用回路(30a)のガス端(ガス側継手)に接続される。
【0035】
液分岐管(13)は、利用回路(30a)の液端に接続される液冷媒流路(41)を構成する。ガス分岐管(17)は、利用回路(30a)のガス端に接続されるガス冷媒流路(42)を構成する。ガス冷媒流路(42)の配管径は、液冷媒流路(41)の配管径より大きい。ガス冷媒流路(42)の配管の外径は、例えば12.7mmや15.9mmである。
【0036】
〈室外ユニット〉
図1に示すように、空気調和機(10)は、1つの室外ユニット(20)を備える。室外ユニット(20)は、熱源回路(20a)を収容するケーシング(図示省略)を備える。熱源回路(20a)には、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外四方切換弁(23)、室外膨張弁(24)、ガス閉鎖弁(26)、及び液閉鎖弁(25)が接続される。圧縮機(21)は、吸入された冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる熱源熱交換器を構成する。室外熱交換器(22)の近傍には、室外ファン(22a)が設けられる。室外ファン(22a)は、室外熱交換器(22)を通過する室外空気を搬送する。
【0037】
室外四方切換弁(23)は、
図1の実線で示す第1状態と、
図1の破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態の室外四方切換弁(23)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス端とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入側とガス閉鎖弁(26)とを連通させる。第2状態の室外四方切換弁(23)は、圧縮機(21)の吐出側とガス閉鎖弁(26)とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス端とを連通させる。
【0038】
室外膨張弁(24)は、熱源回路(20a)における室外熱交換器(22)と液閉鎖弁(25)との間に接続される。室外膨張弁(24)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0039】
室外ユニット(20)には、室外コントローラ(27)が設けられる。室外コントローラ(27)は、室外ユニット(20)の圧縮機(21)、室外膨張弁(24)、室外ファン(22a)を含む構成機器を制御する。室外コントローラ(27)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0040】
〈室内ユニット〉
図1に示すように、空気調和機(10)は、複数の室内ユニット(30)を備える。室内ユニット(30)は、天井設置式で構成される。ここでいう天井設置式は、天井埋込式及び天井吊り下げ式を含む。室外ユニット(20)は、利用回路(30a)を収容するケーシング(図示省略)を備える。利用回路(30a)には、室内熱交換器(31)及び室内膨張弁(32)が接続される。室内熱交換器(31)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる利用熱交換器を構成する。室内熱交換器(31)の近傍には、室内ファン(31a)が設けられる。室内ファン(31a)は、室内熱交換器(31)を通過する室内空気を搬送する。
【0041】
室内膨張弁(32)は、利用回路(30a)における液側継手と室内熱交換器(31)との間に接続される。室内膨張弁(32)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0042】
室内ユニット(30)には、室内コントローラ(33)が設けられる。室内コントローラ(33)は、室内ユニット(30)の室内膨張弁(32)、室内ファン(31a)を含む構成機器を制御する。室内コントローラ(33)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0043】
室内ユニット(30)には、リモコン(34)が接続されている。リモコン(34)を操作することで、対応する室内ユニット(30)の運転モードや設定温度が切り換えられる。
【0044】
室内ユニット(30)は、LEDライト(図示省略)を備える。LEDライトは、空気調和機(10)の運転時において、遮断ユニット(50)の開弁時及び閉弁時に点灯する。閉弁時と開弁時は異なる態様で点灯する。ユーザがLEDの点灯状態を確認することで、遮断ユニット(50)(厳密には、流路切換弁(V1,V2))が開いているか閉じているかを判別できる。
【0045】
〈冷媒漏洩検知センサ〉
空気調和機(10)は、冷媒漏洩検知センサ(35)を備えている。本例の冷媒漏洩検知センサ(35)は、各室内ユニット(30)に1つずつ設けられる。本例の冷媒漏洩検知センサ(35)は、室内ユニット(30)のケーシングの内部に配置される。冷媒漏洩検知センサ(35)は、対応する室内ユニット(30)の利用回路(30a)の冷媒の漏洩を検知する検知部を構成する。冷媒漏洩検知センサ(35)は、室内ユニット(30)のケーシングの外部に配置してもよい。
【0046】
〈遮断ユニット〉
空気調和機(10)は、遮断ユニット(50)を備えている。遮断ユニット(50)は、対応する利用回路(30a)で冷媒が漏洩した際、液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)を遮断するように構成される。遮断ユニット(50)は、液冷媒流路(41)と、ガス冷媒流路(42)と、第1流路切換弁(V1)と、第2流路切換弁(V2)と、高圧導入回路(60)とを含んでいる。
【0047】
第1流路切換弁(V1)は液冷媒流路(41)に接続される。第1流路切換弁(V1)は液冷媒流路(41)を遮断する遮断弁を構成する。第2流路切換弁(V2)はガス冷媒流路(42)に接続される。第2流路切換弁(V2)はガス冷媒流路(42)を遮断する遮断弁を構成する。第1流路切換弁(V1)及び第2流路切換弁(V2)は、室内ユニット(30)のケーシングの外部に配置される。
【0048】
液冷媒流路(41)は、第1流路である第1液流路(41a)と、第2流路である第2液流路(41b)とを含む。第1液流路(41a)は、液冷媒流路(41)における熱源回路(20a)側に形成される。第2液流路(41b)は、液冷媒流路(41)における利用回路(30a)側に形成される。
【0049】
ガス冷媒流路(42)は、第1流路である第1ガス流路(42a)と、第2流路である第2ガス流路(42b)とを含む。第1ガス流路(42a)は、ガス冷媒流路(42)における熱源回路(20a)側に形成される。第2ガス流路(42b)は、ガス冷媒流路(42)における利用回路(30a)側に形成される。
【0050】
高圧導入回路(60)は、液側導入路(61)、ガス側導入路(62)、及び主導入路(63)を含む。液側導入路(61)の一端は、第1液流路(41a)の途中に接続される。液側導入路(61)の他端は、主導入路(63)の一端に接続される。ガス側導入路(62)の一端は、第2ガス流路(42b)の途中に接続される。ガス側導入路(62)の他端は、主導入路(63)の一端に接続される。主導入路(63)の他端側は、第1分岐導入部(63a)と第2分岐導入部(63b)とに分岐している。
【0051】
液側導入路(61)には、第1開閉弁である第1逆止弁(64)が接続される。ガス側導入路(62)には、第2開閉弁である第2逆止弁(65)が接続される。第1逆止弁(64)は、液側導入路(61)から主導入路(63)に向かう冷媒の流れを許容し、その逆の冷媒の流れを禁止する。第2逆止弁(65)は、ガス側導入路(62)から主導入路(63)に向かう冷媒の流れを許容し、その逆の冷媒の流れを禁止する。
【0052】
本例の第1流路切換弁(V1)は、差圧駆動式の第1四方切換弁(51)で構成される。本例の第2流路切換弁(V2)は、差圧駆動式の第2四方切換弁(52)で構成される。
【0053】
図1及び
図2に示すように、各四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、及び第4ポート(P4)を備えている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、第1四方切換弁(51)の第1ポート(P1)は、第1液流路(41a)に接続する。第1四方切換弁(51)の第2ポート(P2)は、第2液流路(41b)に接続する。第1四方切換弁(51)の第3ポート(P3)は、高圧導入回路(60)に連通する。厳密には、第1四方切換弁(51)の第3ポート(P3)は、高圧導入回路(60)の第1分岐導入部(63a)に接続する。第1四方切換弁(51)の第4ポート(P4)は、第1閉塞部材(53)によって閉塞される(
図2を参照)。
【0055】
第2四方切換弁(52)の第1ポート(P1)は、第1ガス流路(42a)に接続する。第2四方切換弁(52)の第2ポート(P2)は、第2ガス流路(42b)に接続する。第2四方切換弁(52)の第3ポート(P3)は、高圧導入回路(60)に連通する。厳密には、第2四方切換弁(52)の第3ポート(P3)は、高圧導入回路(60)の第2分岐導入部(63b)に接続する。第2四方切換弁(52)の第4ポート(P4)は、第2閉塞部材(54)によって閉塞される(
図2を参照)。
【0056】
各四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する第1状態(
図1の実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通し、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切り換わる。
【0057】
図2~
図4に示すように、第1四方切換弁(51)は、第1低圧管(55)を有する。第1低圧管(55)の一端は、第1四方切換弁(51)の第2ポート(P2)に接続される。第1低圧管(55)は、第2液流路(41b)を介して利用回路(30a)と連通する。第1低圧管(55)の他端は第1四方切換弁(51)の内部の圧力室に接続される。
【0058】
第2四方切換弁(52)は、第2低圧管(56)を有する。第2低圧管(56)の一端は、第2四方切換弁(52)の第2ポート(P2)に接続される。第2低圧管(56)は、第2ガス流路(42b)を介して利用回路(30a)と連通する。第2低圧管(56)の他端は第2四方切換弁(52)の内部の圧力室に接続される。なお、
図2~
図4の各四方切換弁(51,52)では、4つのポート(P1,P2,P3,P4)を連通させるための内部流路を破線で示している。
【0059】
遮断ユニット(50)は、制御ユニット(57)を備えている。制御ユニット(57)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0060】
-運転動作-
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転とを実行する。以下には、冷媒の漏洩が生じていない通常運転時の冷房運転と暖房運転とについて、
図1を参照しながら説明する。
【0061】
〈冷房運転〉
冷房運転では、室外四方切換弁(23)が第1状態、第1四方切換弁(51)が第1状態、第2四方切換弁(52)が第1状態となる。室外膨張弁(24)が開放される。各室内膨張弁(32)は,対応する室内熱交換器(31)の過熱度に基づいて開度が制御される。室外ファン(22a)及び室内ファン(31a)が作動する。冷房運転では、室外熱交換器(22)で冷媒が放熱・凝縮し、室内熱交換器(31)で冷媒が蒸発する第1冷凍サイクル(冷房サイクル)が行われる。
【0062】
圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)で放熱・凝縮し、室外膨張弁(24)を通過する。この冷媒は、主液管(12)から各液冷媒流路(41)に分流し、第1四方切換弁(51)の第1ポート(P1)、第2ポート(P2)を順に流れ、各利用回路(30a)に流入する。各利用回路(30a)では、冷媒が室内膨張弁(32)で減圧された後、室内熱交換器(31)で蒸発する。室内熱交換器(31)では、蒸発する冷媒によって空気が冷却される。冷却された空気は、室内空間へ供給される。
【0063】
各室内熱交換器(31)で蒸発した冷媒は、各ガス冷媒流路(42)を流れ、第2四方切換弁(52)の第2ポート(P2)、第1ポート(P1)を順に流れる。この冷媒は、主ガス管(16)で合流し、圧縮機(21)に吸入される。
【0064】
〈暖房運転〉
暖房運転では、室外四方切換弁(23)が第2状態、第1四方切換弁(51)が第1状態、第2四方切換弁(52)が第1状態となる。室外膨張弁(24)は、室外熱交換器(22)を流出する冷媒の過熱度に基づいて開度が制御される。各室内膨張弁(32)は,対応する室内熱交換器(31)を流出する過冷却度に基づいて開度が制御される。室外ファン(22a)及び室内ファン(31a)が作動する。暖房運転では、室内熱交換器(31)で冷媒が放熱・凝縮し、室内熱交換器(31)で冷媒が蒸発する第2冷凍サイクル(暖房サイクル)が行われる。
【0065】
圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、主ガス管(16)から各ガス冷媒流路(42)に分流し、第2四方切換弁(52)の第1ポート(P1)、第2ポート(P2)を順に流れ、各利用回路(30a)に流入する。各利用回路(30a)では、冷媒が室内熱交換器(31)で放熱・凝縮する。室内熱交換器(31)では、放熱する冷媒によって空気が加熱される。加熱された空気は、室内空間へ供給される。
【0066】
各室内熱交換器(31)で放熱した冷媒は、各液冷媒流路(41)を流れ、第1四方切換弁(51)の第2ポート(P2)、第1ポート(P1)を順に流れる。この冷媒は、主液管(12)で合流し、室外膨張弁(24)で減圧される。減圧された冷媒は室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
【0067】
-冷媒漏洩時の流路切換弁の動作-
本例の第1四方切換弁(51)及び第2四方切換弁(52)は、通常運転時において、上述した第1状態に維持されるように構成される。具体的には、例えば各四方切換弁(51,52)の内部のスプール弁が、第3ポート(P3)から導入された高圧冷媒やバネなどの付勢手段によって押し付けられ、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させ、且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを連通させる位置となる(
図2及び
図3を参照)。これにより、液冷媒流路(41)、利用回路(30a)、及びガス冷媒流路(42)が連通し、上述した冷房サイクル及び暖房運転を行うことができる。なお、スプール弁の弁座部分は摺動抵抗の低い樹脂材料で構成するのが好ましい。樹脂材料は、例えばテフロン(登録商標)とするとよい。
【0068】
本例の高圧導入回路(60)では、冷房運転と暖房運転との双方において、高圧冷媒を第3ポート(P3)に導入するように構成される。
【0069】
図2に示す冷房運転では、液冷媒流路(41)を高圧の液冷媒が流れ、ガス冷媒流路(42)を減圧後の低圧のガス冷媒が流れる。従って、冷房運転中の高圧導入回路(60)では、液側導入路(61)の高圧液冷媒が開放状態の第1逆止弁(64)を流れ、主導入路(63)を経由して各四方切換弁(51,52)の第3ポート(P3)に導入される。この際、第2逆止弁(65)は基本的には閉状態となる。
【0070】
図3に示す暖房運転では、ガス冷媒流路(42)を高圧のガス冷媒が流れ、液冷媒流路(41)を該ガス冷媒よりもやや圧力の低い液冷媒が流れる。従って、暖房運転中の高圧導入回路(60)では、ガス側導入路(62)の高圧ガス冷媒が開放状態の第2逆止弁(65)を流れ、主導入路(63)を経由して各四方切換弁(51,52)の第3ポート(P3)に導入される。この際、第2逆止弁(65)は閉鎖状態、あるいは開放状態となる。
【0071】
このように冷房運転及び暖房運転では、各四方切換弁(51,52)の駆動源となる高圧冷媒を第3ポート(P3)に確実に供給できる。
【0072】
冷房運転や暖房運転中において、室内ユニット(30)の利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、第1四方切換弁(51)及び第2四方切換弁(52)が第2状態となる(
図4を参照)。この動作により、液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)が遮断される。この結果、熱源回路(20a)、主液管(12)、及び主ガス管(16)の冷媒が利用回路(30a)から室内空間などへ漏れてしまうことを速やかに回避できる。
【0073】
具体的には、利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、利用回路(30a)、液冷媒流路(41)、及びガス冷媒流路(42)の内圧が下がる。第1四方切換弁(51)では、液冷媒流路(41)の内圧の低下に伴い第1低圧管(55)の内圧が下がる。第1四方切換弁(51)では、第3ポート(P3)から導入された高圧冷媒と、第1低圧管(55)の内圧との差圧により、スプール弁が移動する。この結果、
図4に示すように、第1四方切換弁(51)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する第2状態となる。これにより、第1四方切換弁(51)によって液冷媒流路(41)が遮断される。
【0074】
同様に、第2四方切換弁(52)では、ガス冷媒流路(42)の内圧の低下に伴い第2低圧管(56)の内圧が下がる。第2四方切換弁(52)では、第3ポート(P3)から導入された高圧冷媒と、第2低圧管(56)の内圧との差圧により、スプール弁が移動する。この結果、
図4に示すように、第2四方切換弁(52)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する第2状態となる。これにより、第1四方切換弁(51)によって液冷媒流路(41)が遮断される。
【0075】
このように本実施形態の各四方切換弁(51,52)は、利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、低圧管(55,56)の内圧の低下を利用して自動的に第2状態に切り換わる。これにより、利用回路(30a)を確実に閉回路に切り換えることができる。
【0076】
なお、差圧駆動式の四方切換弁(51,52)を第1状態から第2状態に切り換える際、公知のパイロット管、及びパイロット弁を利用してもよい。
【0077】
-冷媒漏洩時の他の動作-
利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、冷媒漏洩検知センサ(35)がこの冷媒の漏洩を検知する。室内コントローラ(33)に冷媒漏洩検知センサ(35)の検知信号が受信されると、このことを示すサインが表示部に表示される。表示部は、例えばリモコン(34)に設けられてもよいし、室内ユニット(30)の化粧パネルに設けられてもよい。表示部では、冷媒の漏洩が生じている異常状態の表示と、冷媒の漏洩が生じていない正常状態の表示とが切り換えられる。
【0078】
-実施形態の効果-
実施形態は、圧縮機(21)及び室外熱交換器(22)が接続される熱源回路(20a)と、室内熱交換器(31)が接続される利用回路(30a)とを含み、冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10a)と、前記熱源回路(20a)が設けられる室外ユニット(20)と、前記利用回路(30a)が設けられる室内ユニット(30)とを備えた空気調和機であって、前記冷媒回路(10a)は、前記利用回路(30a)の両端にそれぞれ接続される冷媒流路(41,42)を含み、2つの前記冷媒流路(41,42)の各々に接続される遮断弁をさらに備え、2つの前記遮断弁の少なくとも一方は、前記利用回路(30a)で冷媒の漏洩が生じると、前記冷媒流路(41,42)を遮断するように流路を切り換える前記流路切換弁(V1,V2)で構成される。
【0079】
液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)の遮断弁が、流路切換弁(V1,V2)で構成される。流路切換弁(V1,V2)は、その構造上、電磁弁や膨張弁と比して流路が比較的広い。冷房運転及び暖房運転において、冷媒が流路切換弁(V1,V2)を通過する際、圧力損失を低減できる。このため、空気調和機(10)の消費電力を低減できる。冷媒漏洩時、流路切換弁(V1,V2)の流路を切り換えることで、冷媒の流れを遮断することができる。
【0080】
実施形態では、前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)とを有する四方切換弁(51,52)で構成される。
【0081】
流路切換弁(V1,V2)が四方切換弁(51,52)で構成される。四方切換弁(51,52)は、その構造上、電磁弁や膨張弁と比して流路が比較的広い。冷房運転及び暖房運転において、冷媒が流路切換弁(V1,V2)を通過する際、圧力損失を低減できる。このため、空気調和機(10)の消費電力を低減できる。四方切換弁(51,52)は、上述したとおり、外径が12.7mmや15.9mmの管に接続される。一般的に、マルチ式の空気調和機(10)の室外四方切換弁(23)においても、同じ外径の管が接続される場合がある。実施形態では、室外四方切換弁(23)として用いられる弁と同じ弁を、四方切換弁(51,52)として用いることができる。また、電磁弁や膨張弁を遮断弁として、外径が12.7mmや15.9mmの管に接続して用いる場合と比べて、閉弁時の冷媒の漏れ量を少なくすることができる。
【0082】
実施形態では、前記冷媒回路(10a)は、前記第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を前記第3ポート(P3)に導入する高圧導入回路(60)を含み、前記四方切換弁(51,52)は、前記第3ポート(P3)に導入された高圧冷媒を駆動源とする差圧駆動式である。
【0083】
第1流路(41a,42a)の高圧冷媒は四方切換弁(51,52)の第3ポート(P3)に導入される。この高圧冷媒の圧力を利用して四方切換弁(51,52)の状態を切り換えることができる。これにより、電動機等の別の駆動源を用いずとも、冷媒流路(41,42)を遮断できる。
【0084】
実施形態では、前記冷媒回路(10a)は、前記室外熱交換器(22)が放熱器となり前記室内熱交換器(31)が蒸発器となる第1冷凍サイクル(冷房サイクル)と、前記室内熱交換器(31)が放熱器となり前記室外熱交換器(22)が蒸発器となる第2冷凍サイクル(暖房サイクル)とを行うように構成され、前記高圧導入回路(60)は、前記2つの冷媒流路(41,42)の前記第1流路(41a,42a)のうち圧力の高い第1流路(41a,42a)の高圧冷媒を、少なくとも前記第3ポート(P3)に導入するように構成される。
【0085】
この構成では、冷房運転及び暖房運転の双方において、圧力の高い冷媒を確実に四方切換弁(51,52)の第3ポート(P3)に導入できる。これにより、この高圧冷媒の圧力を利用して、四方切換弁(51,52)を確実に切り換えることができる。
【0086】
実施形態では、前記高圧導入回路(60)は、液冷媒流路(41)の第1液流路(41a)と第3ポート(P3)とを連通させる液側導入路(61)と、ガス冷媒流路(42)の第1ガス流路(41b)と第3ポート(P3)とを連通させるガス側導入路(62)とを含み、前記液側導入路(61)には、前記第1冷凍サイクル時に開放される第1逆止弁(64)が設けられ、ガス側導入路(62)には、第2冷凍サイクル時に開放される第2逆止弁(65)が設けられる。
【0087】
この構成では、第1冷凍サイクル(冷房サイクル)時において液冷媒流路(41)の圧力が高くなると、第1逆止弁(64)が開放され、第3ポート(P3)に高圧冷媒が導入される。第2冷凍サイクル(暖房サイクル)時においてガス冷媒流路(42)の圧力が高くなると、第2逆止弁(65)が開放され、第3ポート(P3)に高圧冷媒が導入される。
【0088】
実施形態では、四方切換弁(51,52)は、閉塞された第4ポート(P4)を有し、第1状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させ且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを連通させ、第2状態の前記四方切換弁(51,52)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させる。
【0089】
この構成では、四方切換弁(51,52)が第1状態になると、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、冷媒流路(41,42)が導通する。この状態において、冷房運転や暖房運転が行われる。四方切換弁(51,52)が第2状態になると、第2ポート(P2)と閉塞状態の第4ポート(P4)とが連通する。この状態では、液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)が遮断され、利用回路(30a)が冷媒回路(10a)から切り離される。
【0090】
実施形態では、前記四方切換弁(51,52)は、前記利用回路(30a)に連通する低圧管(55,56)を有し、高圧冷媒と前記低圧管(55,56)の内圧との差圧によって第2状態に切り換わる。
【0091】
利用回路(30a)の冷媒が漏洩すると、利用回路(30a)の内圧が低下する。これに伴い低圧管(55,56)の内圧が低下する。四方切換弁(51,52)では、高圧冷媒と低圧管(55,56)の内圧との差圧が大きくなり、第1状態の四方切換弁(51,52)が第2状態に切り換わる。四方切換弁(51,52)は、利用回路(30a)の冷媒の漏洩に伴い自動的に第2状態に切り換わる。
【0092】
実施形態は、流路切換弁(V1,V2)が、前記2つの冷媒流路(41,42)のうちガス冷媒流路(42)に少なくとも接続される。ガス冷媒流路(42)の配管径は、液冷媒流路(41)の配管径よりも大きい。このため、ガス冷媒流路(42)に流路切換弁(V1,V2)を設けることで、遮蔽弁に起因する圧力損失の増大を効果的に抑制できる。
【0093】
〈変形例1〉
上記実施形態では、高圧導入回路(60)の液側導入路(61)に第1開閉弁である第1逆止弁(64)が設けられる。高圧導入回路(60)のガス側導入路(62)に第2開閉弁である第2逆止弁(65)が設けられる。変形例1では、第1逆止弁(64)に代わって、第1開閉弁が第1電磁開閉弁で構成される。第2逆止弁(65)に代わって、第2開閉弁が第2電磁開閉弁で構成される。第1電磁開閉弁は、第1冷凍サイクル(冷房サイクル)時に開放され、第2冷凍サイクル(暖房サイクル)時に閉鎖される。第2電磁開閉弁は、第1冷凍サイクル(冷房サイクル)時に閉鎖され、第2冷凍サイクル(暖房サイクル)時に閉鎖される。これにより、上記実施形態と同様、冷房運転と暖房運転との双方において、圧力の高い高圧冷媒を四方切換弁(51,52)の第3ポート(P3)に導入できる。
【0094】
〈変形例2〉
図5に示す変形例2は、上記実施形態と遮断ユニット(50)の構成が異なる。遮断ユニット(50)の遮断弁は、三方切換弁(71,72)で構成される。本例の三方切換弁(71,72)は、電動回転式のいわゆるロータリ弁である。
【0095】
液冷媒流路(41)には、第1三方切換弁(71)が接続される。ガス冷媒流路(42)には、第2三方切換弁(72)が接続される。各三方切換弁(71,72)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、及び第3ポート(P3)を有している。
【0096】
第1三方切換弁(71)の第1ポート(P1)は、第1液流路(41a)に接続する。第1三方切換弁(71)の第2ポート(P2)は、第2液流路(41b)に接続する。第1三方切換弁(71)の第3ポート(P3)は第3閉塞部材(83)によって閉塞される。第2三方切換弁(72)の第1ポート(P1)は、第1ガス流路(42a)に接続する。第2三方切換弁(72)の第2ポート(P2)は、第2ガス流路(42b)に接続する。第2三方切換弁(72)の第3ポート(P3)は、第4閉塞部材(84)によって閉塞される。
【0097】
各三方切換弁(71,72)は、電動機(75)と、該電動機(75)によって回転駆動される回転部(76)と、該回転部(76)を収容するケース(78)とを有する。ケース(78)には、上述した第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、及び第3ポート(P3)が形成される。回転部(76)には、内部流路(77)が形成される。本例の内部流路(77)は、軸直角断面から視た形状が略L字状に形成される。
【0098】
各三方切換弁(71,72)は、冷媒流路(41,42)を導通させる第1状態と、冷媒流路(41,42)を遮断する第2状態とに切り換えられる。
【0099】
図5(A)に示す通常運転時(冷房運転及び暖房運転)では、制御ユニット(57)により各三方切換弁(71,72)が第1状態に制御される。制御ユニット(57)は、各三方切換弁(71,72)が第1状態となるように電動機(75)を制御する。第1状態の各三方切換弁(71,72)の回転部(76)は、内部流路(77)を介して第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させる回転角度位置となる。これにより、冷房運転及び暖房運転では、液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)を冷媒が流れる。
【0100】
利用回路(30a)で冷媒が漏洩し、冷媒漏洩検知センサ(35)が冷媒の漏洩を検知すると、室内コントローラ(33)から制御ユニット(57)に信号が出力される。
図5(B)に示すように、この信号を受信した制御ユニット(57)は、各三方切換弁(71,72)を第2状態に切り換える。制御ユニット(57)は、各三方切換弁(71,72)が第2状態となるように電動機(75)を制御する。第2状態の各三方切換弁(71,72)の回転部(76)は、内部流路(77)を介して第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させる回転角度位置となる。これにより、冷媒漏洩時には、第2ポート(P2)が実質的に閉塞され、利用回路(30a)が冷媒回路(10a)から切り離される。
【0101】
変形例2では、前記流路切換弁(V1,V2)は、前記第1流路(41a,42a)に接続する第1ポート(P1)と、前記第2流路(41b,42b)に接続する第2ポート(P2)と、内部流路(77)が形成される回転部(76)と、前記回転部(76)を回転駆動する電動機(75)とを有する電動回転式であり、前記流路切換弁(V1,V2)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる第1状態の回転角度位置と、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)を閉塞する第2状態の回転角度位置になる。
【0102】
電動回転式の流路切換弁(V1,V2)は、電磁弁や電動弁と比較して流路が広い。このため、遮断弁の圧力損失を低減できる。
【0103】
変形例2は、前記冷媒流路(41,42)は、前記流路切換弁(V1,V2)における前記熱源回路(20a)側に形成される第1流路(41a,42a)と、前記流路切換弁(V1,V2)における前記利用回路(30a)側に形成される第2流路(41b,42b)とを含み、前記流路切換弁(V1,V2)は、閉塞された第3ポート(P3)を有する電動回転式の三方切換弁(71,72)で構成され、前記第1状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記内部流路(77)を介して前記第1ポート(P1)と前記第2ポート(P2)とを連通させる回転角度位置となり、前記第2状態の前記三方切換弁(71,72)の前記回転部(76)は、前記第1ポート(P1)及び前記第2ポート(P2)の一方が前記内部流路(77)を介して第3ポート(P3)と連通し、該第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)の他方が回転部(76)によって閉塞される回転角度位置になる。
【0104】
この構成により、冷媒流路(41,42)の導通と冷媒流路(41,42)の遮断とを三方切換弁(71,72)によって切り換えることができる。
【0105】
なお、三方切換弁(71,72)は、第2状態において、第1ポート(P1)と、閉塞された第3ポート(P3)とが連通し、第2ポート(P2)が回転部(76)の表面によって閉塞される構成であってもよい。この構成においても、冷房運転及び暖房運転においては、冷媒流路(41,42)を冷媒が流れ、冷媒の漏洩時には利用回路(30a)を冷媒回路(10a)から切り離すことができる。
【0106】
〈変形例3〉
図6に示す変形例3は、上記実施形態と遮断ユニット(50)の構成が異なる。遮断ユニット(50)の遮断弁は、二方切換弁(81,82)で構成される。本例の二方切換弁(81,82)は、電動回転式のいわゆるロータリ弁である。
【0107】
液冷媒流路(41)には、第1二方切換弁(81)が接続される。ガス冷媒流路(42)には、第2二方切換弁(82)が接続される。各二方切換弁(81,82)は、第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)を有している。
【0108】
第1二方切換弁(81)の第1ポート(P1)は、第1液流路(41a)に接続する。第1二方切換弁(81)の第2ポート(P2)は、第2液流路(41b)に接続する。第2二方切換弁(82)の第1ポート(P1)は、第1ガス流路(42a)に接続する。第2二方切換弁(82)の第2ポート(P2)は、第2ガス流路(42b)に接続する。第2二方切換弁(82)の第3ポート(P3)は、第4閉塞部材(84)によって閉塞される。
【0109】
各二方切換弁(81,82)は、電動機(75)と、該電動機(75)によって回転駆動される回転部(76)と、該回転部(76)を収容するケース(78)とを有する。ケース(78)には、上述した第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)が形成される。回転部(76)には、内部流路(77)が形成される。本例の内部流路(77)は、軸直角断面から視た形状が直線状に形成される。
【0110】
各二方切換弁(81,82)は、冷媒流路(41,42)を導通させる第1状態と、冷媒流路(41,42)を遮断する第2状態とに切り換えられる。
【0111】
図6(A)に示す通常運転時(冷房運転及び暖房運転)では、制御ユニット(57)により各二方切換弁(81,82)が第1状態に制御される。制御ユニット(57)は、各二方切換弁(81,82)が第1状態となるように電動機(75)を制御する。第1状態の各二方切換弁(81,82)の回転部(76)は、内部流路(77)を介して第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させる回転角度位置となる。これにより、冷房運転及び暖房運転では、液冷媒流路(41)及びガス冷媒流路(42)を冷媒が流れる。
【0112】
利用回路(30a)で冷媒が漏洩し、冷媒漏洩検知センサ(35)が冷媒の漏洩を検知すると、室内コントローラ(33)から制御ユニット(57)に信号が出力される。
図6(B)に示すように、この信号を受信した制御ユニット(57)は、各二方切換弁(81,82)を第2状態に切り換える。制御ユニット(57)は、各二方切換弁(81,82)が第2状態となるように電動機(75)を制御する。第2状態の各二方切換弁(81,82)の回転部(76)は、第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)が回転部(76)によって閉塞される回転角度位置となる。本例では、内部流路(77)が、第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)と直交する。これにより、冷媒漏洩時には、第1ポート(P1)及び第2ポート(P2)が回転部(76)の表面によって閉塞される。利用回路(30a)が冷媒回路(10a)から切り離される。
【0113】
二方切換弁は、水配管などに適用されるボールバルブ式であってもよい。
【0114】
〈変形例4〉
電動式回転式の流路切換弁は、4つのポートを有する四方切換弁であってもよい。この場合、四方切換弁のうちの例えば2つのポートを閉塞部材によって閉塞させる。四方切換弁は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させる第1状態と、第2ポート(P2)が閉塞される状態とに切り換わる。
【0115】
《その他の実施形態》
図7に示すように、空気調和機(10)において、一対の冷媒流路(41,42)に複数の室内ユニット(30)を並列に接続してもよい。厳密には、一組の液冷媒流路(41)とガス冷媒流路(42)とに、複数の利用回路(30a)を並列に接続してもよい。
【0116】
図8に示すように、空気調和機(10)は、1台の室外ユニット(20)の熱源回路(20a)と、1台の室内ユニット(30)の利用回路(30a)とが液連絡配管(11)とガス連絡配管(15)とを介して互いに接続される構成であってもよい。換言すると、空気調和機(10)は、いわゆるペア式であってもよい。この構成では、液連絡配管(11)が液側の冷媒流路(41)を構成し、ガス連絡配管(15)がガス側の冷媒流路(42)を構成する。
【0117】
室内ユニット(30)は、天井設置式に限らず、壁掛け式、床置き式などの他の方式であってもよい。
【0118】
上述した実施形態、及び各変形例における流路切換弁(V1,V2)を如何なるパターンで組み合わせてもよい。2つの冷媒流路(41,42)のうち一方のみに本開示の流路切換弁を採用し、他方に電磁弁や膨張弁を採用してもよい。
【0119】
〈冷媒について〉
上記実施形態、各変形例、及びその他の実施形態に係る空気調和機(10)の冷媒回路(10a)に使用される冷媒は、可燃性の冷媒である。なお、ここでは、可燃性の冷媒には、米国のASHRAE34 Designation and safety classification of refrigerantの規格又はISO817 Refrigerants-Designation and safety classificationの規格でClass3(強燃性)、Class2(弱燃性)、Subclass2L(微燃性)に該当する冷媒を含む。上記実施形態及び各変形例で使用される冷媒の具体例を
図9に示す。
図9中の“ASHRAE Number”はISO817で定められた冷媒のアシュレイ番号を、“成分”は冷媒に含まれる物質のアシュレイ番号を、“質量%”は冷媒に含まれる各物質の質量パーセント濃度を、“Alternative”は、その冷媒によって代替されることの多い冷媒の物質の名称を示す。本実施形態では、使用される冷媒はR32とする。なお、
図9に例示した冷媒は、空気より密度が大きいという特徴を有する。
【0120】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、空気調和機及び流路切換弁について有用である。
【符号の説明】
【0122】
10 空気調和機
10a 冷媒回路
20 室外ユニット(熱源ユニット)
20a 熱源回路
21 圧縮機
22 室外熱交換器(熱源熱交換器)
30 室内ユニット(利用ユニット)
30a 利用回路
31 室内熱交換器(利用熱交換器)
41 冷媒流路
42 冷媒流路
41a,42a 第1流路
41b,42b 第2流路
51,52 四方切換弁
55,56 低圧管
60 高圧導入回路
61 液側導入路
62 ガス側導入路
62 ガス側導入路
64 第1逆止弁(第1開閉弁)
65 第2逆止弁(第2開閉弁)
71,72 三方切換弁
75 電動機
76 回転部
77 内部流路
V1,V2 流路切換弁