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特許7412890油圧機器の検査装置、油圧機器の検査システム、作業車両および油圧機器の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】油圧機器の検査装置、油圧機器の検査システム、作業車両および油圧機器の検査方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 21/041 20190101AFI20240105BHJP
   F15B 21/044 20190101ALI20240105BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F15B21/041
F15B21/044
G01N21/85 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019059067
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159460
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-007782(JP,A)
【文献】登録実用新案第3168161(JP,U)
【文献】国際公開第2018/198498(WO,A1)
【文献】特開2019-183571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 21/041;21/044
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐バルブを含む油圧回路と、
前記分岐バルブに接続され、異物を捕集するフィルタを備えた検査油路を有する光学検出部と、
前記油圧回路に油を供給するポンプと、
前記検査油路への油の供給を停止した状態の前記分岐バルブを、異物の検査の際に動作させ、前記検査油路に油を供給する制御部と、を備え、
前記光学検出部は、
前記フィルタの上流側に配置され、異物を検出する第1異物検出部と、
前記フィルタの下流側に配置され、異物を検出する第2異物検出部と
前記フィルタの下流側に配置され、検出の精度に関するデータを取得するために前記フィルタの通過後の油に含まれる気泡を検出する気泡検出部と、を有し、
前記気泡検出部は、カメラであり、
前記検査油路は、前記分岐バルブを介して前記油圧回路から分岐して、前記ポンプの上流側において前記油圧回路に合流し、前記気泡検出部は、前記フィルタと前記ポンプの間に配置されている、
油圧機器の検査装置。
【請求項2】
前記ポンプを駆動する原動機を更に備え、
前記制御部は、前記原動機が低回転状態のときに、前記分岐バルブを動作させることによって前記検査油路に油を供給し、前記光学検出部を用いて異物を検出する、
請求項1に記載の油圧機器の検査装置。
【請求項3】
異物の量に関するデータと、前記検出の精度に関するデータを外部に送信する送信部と、を備えた、
請求項に記載の油圧機器の検査装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の油圧機器の検査装置を備え、
前記油圧回路は、ギアを有するトランスミッションを含む、
作業車両。
【請求項5】
請求項に記載の油圧機器の検査装置と、
前記第1異物検出部と前記第2異物検出部の検出結果に基づいて、異物を判定する異物判定部と、
前記気泡検出部の検出結果に基づいて、気泡を判定する気泡判定部と、を備えた、
油圧機器の検査システム。
【請求項6】
油圧回路に配置され、検査油路への油の供給を停止した状態の分岐バルブを、異物の検査の際に操作して、前記検査油路に油を供給する油供給ステップと、
前記検査油路に配置されたフィルタの上流側と下流側の双方において異物を検出する異物検出ステップと、を備え、
前記検査油路は、前記分岐バルブを介して前記油圧回路から分岐して、前記油圧回路に油を供給するポンプの上流側において前記油圧回路に合流し、
前記異物検出ステップは、検出の精度に関するデータを取得するために、前記検査油路に供給された油に含まれる気泡を、前記フィルタと前記ポンプの間においてカメラで検出する、
油圧機器の検査方法。
【請求項7】
前記油供給ステップは、前記油圧回路に油を供給する前記ポンプを駆動する原動機が低回転状態のときに、前記分岐バルブを操作して前記検査油路に油を供給する、
請求項に記載の油圧機器の検査方法。
【請求項8】
異物の量に関するデータと前記検出の精度に関するデータを外部に送信する送信ステップを更に備えた、請求項に記載の油圧機器の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧機器の検査装置、油圧機器の検査システム、作業車両、および油圧機器の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルドーザやホイールローダなどの作業車両には、トランスミッションなどの動力伝達装置に潤滑油を供給する油圧回路が設けられている。
このような油圧回路には、金属摩耗粉などの異物が混入する場合があり、遮光式検出器によって油への異物の混入が検出されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-7782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、油に気泡が混入した場合に気泡を異物であると誤検知することがあった。
本発明は、油圧回路に混入した異物の検査を精度良く行うことが可能な油圧機器の検査装置、油圧機器の検査システム、作業車両および油圧機器の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明にかかる油圧機器の検査装置は、油圧回路と、光学検出部と、ポンプと、制御部と、を備える。油圧回路は、分岐バルブを含む。光学検出部は、分岐バルブに接続され、異物を捕集するフィルタを備えた検査油路を有する。ポンプは、油圧回路に油を供給する。制御部は、分岐バルブを動作させ検査油路に油を供給する。光学検出部は、第1異物検出部と、第2異物検出部と、を有する。第1異物検出部は、フィルタの上流側に配置され、異物を検出する。第2異物検出部は、フィルタの下流側に配置され、異物を検出する。
【0006】
発明にかかる油圧機器の検査方法は、油供給ステップと、異物検出ステップと、を備える。油供給ステップは、油圧回路に配置された分岐バルブを操作して検査油路に油を供給する。異物検出ステップは、検査油路に配置されたフィルタの上流側と下流側の双方において異物を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、油圧回路に混入した異物の検査を精度良く行うことが可能な油圧機器の検査装置、油圧機器の検査システム、作業車両および油圧機器の検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明にかかる実施の形態1の作業車両の管理システムを示す図。
図2図1の作業車両が有する油圧機器の検査装置を示す図。
図3図1の作業車両の管理システムの構成を示すブロック図。
図4】摩耗粉量と閾値の関係のグラフを示す図。
図5図1の作業車両の動作を示すフロー図。
図6図1の管理装置の動作を示すフロー図。
図7】本発明にかかる実施の形態2の作業車両の管理システムの構成を示すブロック図。
図8図7の作業車両の動作を示すフロー図。
図9図7の管理装置の動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<構成>
図1は、本実施の形態の作業車両の管理システム100を示す図である。
本実施の形態の作業車両の管理システム100は、作業車両1の管理を行うシステムである。作業車両の管理システム100は、作業車両1と、管理装置2と、を備える。作業車両1は、油圧回路の検査データを管理装置2に送信する。管理装置2は、受信した検査データに基づいて、作業車両1の状態(摩耗粉の発生、気泡の発生)の判定を行う。
図1は、本実施の形態の作業車両1を示す側面図である。本実施の形態に係る作業車両1は、ブルドーザである。作業車両1は、車体11と、走行装置12と、作業機13と、油圧機器の検査装置20(図2参照)と、受信部27(図3参照)と、を備えている。
【0010】
(作業車両の概要)
車体11は、運転室14とエンジン室15とを有する。運転室14には、図示しない運転席が配置されている。エンジン室15は、運転室14の前方に配置されている。走行装置12は、車体11の下部に取り付けられている。走行装置12は、左右一対の履帯16を有している。なお、図1では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、作業車両1が走行する。
【0011】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトシリンダ19と、を有する。
リフトフレーム17は、車幅方向に延びる軸線Xを中心として上下に動作可能に車体11に取り付けられている。リフトフレーム17は、ブレード18を支持している。ブレード18は、車体11の前方に配置されている。ブレード18は、リフトフレーム17の上下動に伴って上下に移動する。リフトフレーム17は、走行装置12に取り付けられてもよい。
リフトシリンダ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトシリンダ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、軸線Xを中心として上下に回転する。
【0012】
(油圧機器の検査装置)
図2は、本実施の形態の作業車両1の油圧機器の検査装置20の構成を示す図である。図3は、作業車両の管理システム100の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施の形態の油圧機器の検査装置20は、油圧回路21と、油圧ポンプ22(ポンプの一例)と、エンジン23(原動機の一例)と、光学検出部24と、制御部25と、送信部26と、を有する。
油圧回路21は、作業車両1のトランスミッション37に潤滑油を供給するために設けられている。油圧ポンプ22は、油圧回路21に接続されており、油圧回路21に油を供給する。エンジン23は、油圧ポンプ22を駆動する。光学検出部24は、光学的に摩耗粉を検出する。制御部25は、エンジン23の回転数に基づいて、光学検出部24を用いて摩耗粉(異物の一例)を検出する。
【0014】
(油圧回路、ポンプ、エンジン)
油圧回路21は、潤滑油タンク31と、サクションフィルタ32と、分岐バルブ33と、潤滑油フィルタ34と、トルクコンバータ35と、クーラ36と、トランスミッション37と、リリーフ弁38と、管路L1~L7とを有する。
本実施の形態では、サクションフィルタ32、分岐バルブ33、および管路L1~L2は、潤滑油タンク31から油圧ポンプ22への潤滑油の吸引路39を構成する。また、管路L3~L6、潤滑油フィルタ34、トルクコンバータ35およびクーラ36は、油圧ポンプ22からトランスミッション37に潤滑油を導く給油路30を構成する。給油路30では潤滑油の油圧が維持されており、給油路30を流れる潤滑油には、油圧ポンプ22によって加えられた圧力がかかっている。このように、油圧回路21に接続される油圧ポンプ22によって油圧回路21に潤滑油が供給される。
【0015】
潤滑油タンク31は、潤滑油を貯留する。サクションフィルタ32は、潤滑油タンク31に貯留された潤滑油中に配置される。サクションフィルタ32は、潤滑油に混入した異物(比較的大きな金属摩耗粉など)を濾過する。サクションフィルタ32の目開きは、潤滑油の流れを妨げない大きさに設定することができる。
分岐バルブ33は、管路L1を介してサクションフィルタ32に接続されている。管路L1は、分岐バルブ33の入口ポートに接続されている。分岐バルブ33の出口ポートには、管路L2と検査用管路L11(後述する)が接続されている。分岐バルブ33は、電磁バルブであり、管路L1から供給されてきた潤滑油の供給先を、管路L1または検査用管路L11に切り替える。
【0016】
油圧ポンプ22は、管路L2を介して分岐バルブ33に接続される。油圧ポンプ22は、エンジン23の回転駆動力によって駆動される。油圧ポンプ22は、潤滑油を給油路30に供給する。油圧ポンプ22は、潤滑油タンク31側から吸引路39を介して潤滑油を吸引して内部で圧縮した後、潤滑油フィルタ34側に潤滑油を吐出する。油圧ポンプ22から吐出された潤滑油は給油路30を通ってトランスミッション37に導かれる。油圧ポンプ22としては、例えば、固定容量ポンプを用いることができる。
【0017】
エンジン23は、油圧ポンプ22を駆動する。エンジン23からの駆動力が後述するトランスミッション37に伝達される。エンジン23の回転数を検出する回転数検出センサ23aが設けられており、検出した回転数rは、後述する制御部25に送信される。
潤滑油フィルタ34は、管路L3を介して油圧ポンプ22に接続されている。潤滑油フィルタ34は、潤滑油に混入した異物(比較的小さな金属摩耗粉など)を濾過する。潤滑油フィルタ34の目開きは、サクションフィルタ32の目開きより小さくても良い。
【0018】
トルクコンバータ35は、管路L4を介して潤滑油フィルタ34に接続されている。トルクコンバータ35は、エンジン23からの回転動力をトランスミッション37に伝達する。
クーラ36は、管路L5を介してトルクコンバータ35に接続されている。クーラ36は、トルクコンバータ35において加熱された潤滑油を冷却する。クーラ36は、例えば冷却ファンから空気流を受けることによって潤滑油を冷却する。
【0019】
トランスミッション37は、トルクコンバータ35から伝達されるエンジン23の回転動力を変速して図1に示す走行装置12に駆動力を伝達する。トランスミッション37は、前進走行段に対応する前進ギアと、後進速度段に対応する後進ギアと、各速度段に対応する1以上の速度段ギアとを有する。トランスミッション37では、進行方向、所望駆動力および所望速度に応じて各ギアが選択的に係合されることによって変速が行われる。
【0020】
トランスミッション37の各ギアには、管路L6から潤滑油が供給される。潤滑油は、各ギアによって攪拌される。攪拌の際に潤滑油には気泡が生じて白濁する。白濁した潤滑油は、管路L7を介して潤滑油タンク31に戻される。
また、リリーフ弁38は、給油路30における圧力の調整を行う。リリーフ弁38は、管路L3から分岐した管路L8と、管路L4に合流する管路L9との間に接続されている。
【0021】
(光学検出部)
光学検出部24は、検査油路41と、第1コンタミセンサ42(第1異物検出の一例)と、第2コンタミセンサ43(第2異物検出部の一例)と、カメラ44(気泡検出部の一例)と、を有している。
検査油路41は、分岐バルブ33の出口ポートに接続されており、管路L2に合流している。検査油路41は、検査用フィルタ45(フィルタの一例)と、検査用管路L11、L12と、を有する。検査用管路L11が分岐バルブ33の出口ポートに接続されている。検査用フィルタ45は、検査用管路L11を介して分岐バルブ33に接続されている。検査用管路L12は、検査用フィルタ45と管路L2を接続する。検査用フィルタ45の目開きは、潤滑油に混入した異物(比較的小さな金属摩耗粉など)を濾過する。検査用フィルタ45の目開きは、サクションフィルタ32の目開きよりも小さい。検査用フィルタ45の目開きは、潤滑油に混入した気泡が通過可能な大きさである。
【0022】
第1コンタミセンサ42は、検査用管路L11を流通する潤滑油の異物を検出する。
第2コンタミセンサ43は、検査用管路L12との合流点Pよりも下流側の管路L2を流通する潤滑油の異物を検出する。
第1コンタミセンサ42と第2コンタミセンサ43は、それぞれ光学式の検出器である。第1コンタミセンサ42および第2コンタミセンサ43の各々は、図示していないが、潤滑油に対して光(例えば、レーザ光)を出射する投光部と、投光部からの光が入射する受光部と、を有する。第1コンタミセンサ42および第2コンタミセンサ43は、出射光が潤滑油中の摩耗粉によって遮られる度合いに基づいて、潤滑油中の摩耗粉量を検出する。具体的には、投光部からの出射光に対する受光部への入射光の光度低下率を電圧に換算して摩耗粉量を検出する。第1コンタミセンサ42によって検出された摩耗粉量α(異物の量に関するデータの一例)は、後述する送信部26に送信される。また、第2コンタミセンサ43によって検出された摩耗粉量β(異物の量に関するデータの一例)は、後述する送信部26に送信される。
【0023】
カメラ44は、検査用管路L12との合流点Pよりも下流側の管路L2を流通する潤滑油を撮影する。カメラ44は、例えばハイスピードカメラなどであってもよい。カメラ44によって撮影された画像δ(検出の精度に関するデータの一例)に基づいて潤滑油の気泡を検出する。具体的には、カメラ44によって撮像された画像δに基づいて、潤滑油の透明度が検出される。透明度が所定閾値よりも低い場合に、潤滑油に気泡が混ざっていると判断される。カメラ44によって撮像された画像δが制御部25に送信される。
【0024】
制御部25は、回転数検出センサ23aからのエンジン23の回転数rが所定の回転数よりも低くなった場合に、低回転時(アイドリング時)であると判断し、分岐バルブ33に切替信号を送信する。これにより、分岐バルブ33は、管路L1と検査用管路L11を接続するように切り替えられ、潤滑油が検査用管路l11に流入する。なお、制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって実行することができる。
【0025】
また、制御部25は、分岐バルブ33への切替信号の送信後、第1コンタミセンサ42、第2コンタミセンサ43およびカメラ44に動作信号を送信する。
これにより、第1コンタミセンサ42は摩耗粉量αを検出し、第2コンタミセンサ43は摩耗粉量βを検出し、カメラ44は画像δを撮影する。
送信部26は、摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを管理装置2へ送信する。
【0026】
受信部27は、管理装置2において気泡の発生もしくは摩耗の発生が有ると判定された場合に、その判定結果を示す信号を受信する。
制御部25は、判定結果を示す信号を受信すると、運転室14に設けられているコーションランプ14aを点灯させる。
【0027】
(管理装置)
管理装置2は、図3に示すように、受信部51と、気泡判定部52と、摩耗判定部53と、記憶部54と、表示部55と、送信部56と、を有する。
受信部51は、作業車両1の送信部26から送信された摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを受信する。
気泡判定部52は、画像δのデータから透明度を検出し、検出した透明度が所定閾値よりも低い場合には、気泡が発生していると判定する。
摩耗判定部53は、摩耗粉量αと摩耗粉量βの値から摩耗が発生していることを判定する。具体的には、摩耗判定部53は、α/(α+β)の値が所定閾値γ以上の場合に摩耗が発生していると判定する。
【0028】
図4は、摩耗粉量α、βと閾値の関係のグラフを示す図である。ここで、気泡が発生している場合には、気泡は検査用フィルタ45を通り抜けるため、気泡を摩耗粉と誤検知するときの気泡の検出はαとβの双方に含まれることになる。
一方、摩耗粉が流通する場合、摩耗粉が検査用フィルタ45によって捕集されるため、摩耗粉の検出はβに含まれずαのみに含まれることになる。
【0029】
このため、横軸をα+βの値とし、縦軸をαの値とすることで、気泡による摩耗粉の誤検知を低減することができる。そして、α/(α+β)の値が閾値γ以上の場合に摩耗が発生していると判定され、閾値γよりも小さい場合に正常と判定される。
記憶部54は、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果、および摩耗判定結果のデータを記憶する。また、記憶部54は、透明度に関する所定閾値と、摩耗粉量に関する閾値γを記憶する。
【0030】
表示部55は、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果、および摩耗判定結果のデータを表示する。
なお、本実施の形態では、気泡の影響を低減して摩耗の発生を検出しているが、気泡が発生している場合には、摩耗の発生の検出精度が低くなる。そのため、表示部55を確認するオペレータは、気泡判定部52によって気泡が検出された際に検出された第1コンタミセンサ42による摩耗粉量αおよび第2コンタミセンサ43による摩耗粉量βの値はデータの検査精度が低いと判断することができる。
【0031】
送信部56は、気泡が発生していると判定された場合もしくは摩耗が発生していると判定された場合には、その判定結果を示す信号を作業車両1に送信する。
なお、本実施の形態1の気泡判定部52、および摩耗判定部53は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって実行することができる。
また、本実施の形態1の油圧機器の検査システムの一例は、油圧機器の検査装置20、受信部51、気泡判定部52、および摩耗判定部53を有する構成に対応する。
【0032】
<動作>
次に、本実施の形態1の作業車両の管理システムの動作について説明する。
(作業車両の動作)
はじめに、作業車両1の動作について説明するとともに、本発明の油圧機器の検査方法の一例についても同時に述べる。図5は、作業車両1の動作を示すフロー図である。
【0033】
ステップS10において、回転数検出センサ23aの値が所定閾値よりも低くなった場合、制御部25はエンジンが低回転状態になったと判断し、制御がステップS11(油供給ステップの一例)へと進む。なお、ステップS10において、回転数検出センサ23aの値が所定閾値以上の場合、所定閾値よりも低くなるまで作業車両1における油圧機器の検査処理は待機状態となる。
【0034】
ステップS11において、制御部25は、分岐バルブ33を切り替えて、管路L1と検査用管路L11を接続する。
次に、ステップS12(異物検出ステップの一例)において、制御部25は、カメラ44、第1コンタミセンサ42、および第2コンタミセンサ43に検査指示を行い、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δのデータが取得される。
次に、ステップS13において、送信部26が、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δのデータを管理装置2に送信する。
なお、検査終了後には、分岐バルブ33は元に戻され、管路L1と管路L2が接続される。
【0035】
(管理装置の動作)
次に、管理装置2の動作について説明する。図6は、管理装置2の動作を示すフロー図である。
ステップS20において、受信部51が、作業車両1から送信されてきた摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δのデータを受信する。なお、ステップS20において、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δのデータを受信するまで、管理装置2は待機状態となる。
【0036】
次に、ステップS21において、気泡判定部52が、画像δから潤滑油の透明度を検出し、検出された透明度が所定閾値よりも低いか否かによって気泡の発生の判定を行う。気泡判定部52は、透明度が所定閾値よりも低い場合には、気泡が発生していると判定し、透明度が所定閾値以上である場合には、気泡が発生していないと判定する。ここで、「気泡が発生していない」とは、摩耗粉量の判定精度に影響を与えるような量の気泡が発生していないことを意味し、所定閾値も摩耗粉量の判定精度に影響を与えない値に設定されている。
【0037】
ステップS21において、気泡の発生が無いと判定された場合には、制御はステップS22に進み、摩耗の判定が行われる。
ステップS22において、摩耗判定部53が、摩耗粉量α、βのデータからα/(α+β)の値を演算し、演算した値が所定閾値γ以上であるか否かによって摩耗の発生を判定する。摩耗判定部53は、α/(α+β)の値が所定閾値γ以上である場合に摩耗が発生していると判定し、α/(α+β)の値が所定閾値γより小さい場合には、摩耗が発生していないと判定する。
【0038】
ステップS22において、摩耗の発生が無いと判定された場合には、制御はステップS23に進む。
ステップS23において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS24において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、表示部55に表示される。なお、表示は、オペレータの作業によって必要なときのみ行えばよい。
【0039】
一方、ステップS21において、気泡が発生していると判定された場合、制御はステップS25に進み、ステップS25において摩耗の発生について判定が行われる。ステップS25における摩耗の判定はステップS22と同様である。
そして、ステップS25において摩耗が発生していると判定された場合は、ステップS26において、送信部56は、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生有り」を示す信号を作業車両1に送信する。作業車両1は、受信部27において、その判定結果を示す信号を受信すると、制御部25が運転室14に設けられているコーションランプ14aを点灯させる。
【0040】
次に、ステップS23において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS24において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、表示部55に表示される。
また、ステップS25において、摩耗が発生していないと判定された場合は、ステップS26において、送信部56は、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生無し」を示す信号を作業車両1に送信する。作業車両1は、受信部27において、その判定結果を示す信号を受信すると、制御部25が運転室14に設けられているコーションランプ14aを点灯させる。
【0041】
次に、ステップS23において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS24において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、表示部55に表示される。
また、ステップS22において、摩耗が発生していると判定された場合、制御はステップS26に進み、ステップS26において、送信部56は、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生有り」を示す信号を作業車両1に送信する。作業車両1は、受信部27において、その判定結果を示す信号を受信すると、制御部25が運転室14に設けられているコーションランプ14aを点灯させる。
【0042】
次に、ステップS23において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS24において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、表示部55に表示される。
【0043】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の作業車両の管理システム200について説明する。本実施の形態2における作業車両の管理システム200は、気泡判定および摩耗判定が作業車両において行われる。
<構成>
図7は、本実施の形態2の作業車両の管理システム200の構成を示すブロック図である。作業車両の管理システム200は、作業車両201と、管理装置202と、を備える。
【0044】
(作業車両)
本実施の形態2の作業車両201は、実施の形態1の作業車両1の構成に加えて、気泡判定部252と、摩耗判定部253と、記憶部254を更に備えている。なお、作業車両201には、受信部27が設けられていなくてもよい。
気泡判定部252は、気泡判定部52と同様に画像δのデータから透明度を検出し、検出した透明度が所定閾値よりも低い場合には、気泡が発生していると判定する。
摩耗判定部253は、摩耗判定部53と同様に摩耗粉量αと摩耗粉量βの値から摩耗が発生していることを判定する。具体的には、摩耗判定部253は、α/(α+β)の値が所定閾値γ以上の場合に摩耗が発生していると判定する。
【0045】
記憶部254は、気泡判定結果、摩耗判定結果、摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを記憶する。また、記憶部54は、透明度に関する所定閾値と、摩耗粉量に関する閾値γを記憶する。
送信部26は、気泡判定結果、摩耗判定結果および摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを管理装置202に送信する。
また、制御部25は、気泡判定部252によって気泡が発生していると判定された場合には、コーションランプ14aを点灯させる。
なお、制御部25、気泡判定部252、および摩耗判定部253は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって実行することができる。
【0046】
(管理装置)
本実施の形態2の管理装置202は、実施の形態1の管理装置2と比較して、気泡判定部52、摩耗判定部53および送信部56を備えていない。
管理装置202では、受信部51が作業車両201から送信される気泡判定結果、摩耗判定結果および摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを受信する。
【0047】
記憶部54は、受信した気泡判定結果、摩耗判定結果および摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを記憶する。
表示部55は、記憶した気泡判定結果、摩耗判定結果および摩耗粉量α、摩耗粉量β、および画像δのデータを表示する。
なお、本実施の形態2では、油圧機器の検査システムの一例は、送信部26を除く油圧機器の検査装置20、気泡判定部252および摩耗判定部253を有する構成に対応する。
【0048】
<動作>
次に、本実施の形態2の作業車両の管理システムの動作について説明する。
(作業車両の動作)
以下に、本実施の形態2の作業車両201の動作を説明するとともに、本発明の油圧機器の検査方法の一例についても同時に述べる。
【0049】
図8は、作業車両201の動作を示すフロー図である。
ステップS210において、回転数検出センサ23aの値が所定閾値よりも低くなった場合、制御部25はエンジンが低回転状態になったと判断し、制御がステップS211(油供給ステップの一例)へと進む。なお、ステップS210において、回転数検出センサ23aの値が所定閾値以上の場合、所定閾値よりも低くなるまで作業車両1における油圧機器の検査処理は待機状態となる。
【0050】
ステップS211において、制御部25は、分岐バルブ33を切り替えて、管路L1と検査用管路L11を接続する。
次に、ステップS212(異物検出ステップの一例)において、制御部25は、カメラ44、第1コンタミセンサ42、および第2コンタミセンサ43に検査指示を行い、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δのデータが取得される。
【0051】
次に、ステップS213において、気泡判定部52が、画像δから潤滑油の透明度を検出し、検出された透明度が所定閾値よりも低いか否かによって気泡の発生の判定を行う。
ステップS213において、気泡の発生が無いと判定された場合には、制御はステップS214に進み、摩耗の判定が行われる。
ステップS214において、摩耗判定部53が、摩耗粉量α、βのデータからα/(α+β)の値を演算し、演算した値が所定閾値γ以上であるか否かによって摩耗の発生を判定する。
【0052】
ステップS214において、摩耗の発生がないと判定された場合には、制御はステップS215に進む。
次に、ステップS215において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS216において、送信部26が摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生無し」を管理装置202に送信する。
【0053】
一方、ステップS213において、気泡が発生していると判定された場合、制御はステップS217に進み、ステップS217において摩耗の発生について判定が行われる。ステップS217における摩耗の判定はステップS214と同様である。
そして、ステップS217において摩耗が発生していると判定された場合、制御はステップS218に進み、ステップS218において、制御部25は、コーションランプ14aを点灯させる。
【0054】
次に、ステップS215において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS216において、送信部26が摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生有り」のデータを管理装置202に送信する。
また、ステップS217において、摩耗が発生していないと判定された場合、制御はステップS218に進み、ステップS218において、制御部25は、コーションランプ14aを点灯させる。
【0055】
次に、ステップS215において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生無し」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS216において、送信部26が摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生有り」および摩耗判定結果「発生無し」のデータを管理装置202に送信する。
また、ステップS214において、摩耗が発生していると判定された場合、制御はステップS218に進み、ステップS218において、制御部25は、コーションランプ14aを点灯させる。
【0056】
次に、ステップS215において、摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生有り」のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS216において、送信部26が摩耗粉量α、β、画像δ、気泡判定結果「発生無し」および摩耗判定結果「発生有り」のデータを管理装置202に送信する。
【0057】
(管理装置の動作)
図9は、管理装置202の動作を示すフロー図である。
ステップS220において、受信部51が、作業車両1から送信されてきた摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果および摩耗判定結果のデータを受信する。なお、ステップS220において、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果および摩耗判定結果のデータを受信するまで、管理装置2は待機状態となる。なお、気泡判定結果は、気泡有りまたは気泡無しの判定結果を含み、摩耗判定結果は、摩耗有りまたは摩耗無しの判定結果を含む。
【0058】
次に、ステップS221において、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果および摩耗判定結果のデータが、記憶部54に記憶される。
次に、ステップS222において、摩耗粉量α、摩耗粉量β、画像δ、気泡判定結果および摩耗判定結果のデータが、表示部55に表示される。なお、表示は、オペレータの作業によって必要なときのみ行えばよい。
【0059】
(特徴等)
(1)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査装置20は、油圧回路21と、光学検出部24と、油圧ポンプ22と、制御部25と、を備える。油圧回路21は、分岐バルブ33を含む。光学検出部24は、分岐バルブに接続され、摩耗粉(異物の一例)を捕集する検査用フィルタ45(フィルタの一例)を備えた検査油路41を有する。油圧ポンプ22は、油圧回路21に油を供給する。制御部25は、分岐バルブ33を動作させ検査油路41に油を供給する。光学検出部24は、第1コンタミセンサ42(第1異物検出部の一例)と、第2コンタミセンサ43(第2異物検出部の一例)とを有する。第1コンタミセンサ42は、検査用フィルタ45の上流側に配置され、摩耗粉を検出する。第2コンタミセンサ43は、検査用フィルタ45の下流側に配置され、摩耗粉を検出する。
【0060】
このように、検査用フィルタ45を挟んで上流と下流側の2箇所にコンタミセンサを配置することにより、気泡の影響を低減し、精度良く摩耗粉を検出することができる。すなわち、検査用フィルタ45が摩耗粉を捕集するが、気泡を通過させるため、気泡の影響による摩耗粉の誤検出の場合、第1コンタミセンサ42と第2コンタミセンサ43の双方が検出することになる。一方、摩耗粉の場合、第1コンタミセンサ42でのみ検出される。
このため、第1コンタミセンサ42の検出結果と第2コンタミセンサ43の検出結果を用いることによって、気泡の影響を低減して摩耗粉を精度良く検出することができる。
【0061】
(2)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査装置20は、エンジン23(原動機の一例)を更に備える。エンジン23は、油圧ポンプ22(ポンプの一例)を駆動する。制御部25は、エンジン23が低回転状態のときに、分岐バルブ33を動作させることによって検査油路41に油を供給し、光学検出部24を用いて摩耗粉(異物の一例)を検出する。
エンジン23が低回転状態のときには、潤滑油の流速が遅いため気泡の発生を抑えることができる。そのため、気泡による影響を低減した状態で潤滑油中の摩耗粉を検出することができるので、精度良く摩耗粉の検出を行うことができる。
【0062】
(3)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査装置20では、光学検出部24は、カメラ44(気泡検出部の一例)を有している。カメラ44は、検査用フィルタ45の下流側に配置され、検出の精度に関するデータを取得するために検査用フィルタ45通過後の油に含まれる気泡を検出する。
気泡の影響を出来るだけ低減して摩耗粉の検出を行った場合であっても気泡が発生しているときには、検出結果に誤差が生じやすい。そのため、気泡の発生によって、摩耗粉の検出結果の精度が良いか否かを判断することができる。
【0063】
(4)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査装置20は、送信部26を更に備える。送信部26は、摩耗粉量αおよび摩耗粉量β(異物の量に関するデータの一例)と、画像δ(検出の精度に関するデータの一例)を外部に送信する。
【0064】
これによって、外部の管理装置2において、作業車両1の状態を判定することができる。例えば、管理装置2が、摩耗粉量αと摩耗粉量βより潤滑油中を摩耗粉が流れているか否かを判定することができる。また、画像δより摩耗粉の検査の際に潤滑油中に気泡が発生していたか否かを判定することができる。
そして、必要があれば、作業車両1のコーションランプ14aを点灯させたり、オペレータに連絡を行ったりすることができる。
【0065】
(5)
本実施の形態1、2の作業車両1、201は、油圧機器の検査装置20を備え、油圧回路21は、ギアを有するトランスミッション37を含む。
これにより、トランスミッション37に供給される潤滑油に摩耗粉が含まれているか否かを精度良く検出することができる。
【0066】
(6)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査システムは、油圧機器の検査装置20と、摩耗判定部53、253(異物判定部の一例)と、気泡判定部52、252とを備える。摩耗判定部53、253は、第1コンタミセンサ42(第1異物検出部の一例)と第2コンタミセンサ43(第2異物検出部の一例)の検出結果に基づいて、摩耗粉(異物の一例)を判定する。気泡判定部52,252は、カメラ44(気泡検出部の一例)の検出結果に基づいて、気泡を判定する。
これによって、気泡および摩耗粉の判定を行うことができる。
【0067】
(7)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査方法は、ステップS11またはステップS211(油供給ステップの一例)と、ステップS12またはステップS212(異物検出ステップの一例)と、を備える。ステップS11またはステップS211は、油圧回路21に配置された分岐バルブ33を操作して検査油路41に油を供給する。ステップS12またはステップS212は、検査油路41に配置された検査用フィルタ45(フィルタの一例)の上流側と下流側の双方において摩耗粉(異物の一例)を検出する。
このように、検査用フィルタ45を挟んで上流と下流側の2箇所で摩耗粉の検出を行うことにより、気泡の影響を低減し、精度良く摩耗粉を検出することができる。
【0068】
(8)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査方法では、ステップS11またはステップS211(油供給ステップの一例)は、油圧回路21に油を供給する油圧ポンプ22を駆動するエンジン23(原動機の一例)が低回転状態のときに、分岐バルブ33を操作して検査油路41に油を供給する。
エンジン23が低回転状態のときには、潤滑油の流速が遅いため気泡の発生を抑えることができる。そのため、気泡による影響を低減した状態で潤滑油中の摩耗粉を検出することができるので、精度良く摩耗粉の検出を行うことができる。
【0069】
(9)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査方法では、ステップS12またはステップS212は、検出の精度に関するデータを取得するために、検査油路41に供給された油に含まれる気泡を検出する。
気泡の影響を出来るだけ低減して摩耗粉の検出を行った場合であっても気泡が発生しているときには、検出結果に誤差が生じやすい。そのため、気泡の発生によって、摩耗粉の検出結果の精度が良いか否かを判断することができる。
【0070】
(10)
本実施の形態1、2の油圧機器の検査方法は、ステップS13(送信ステップの一例)を更に備える。ステップS13は、摩耗粉量α、β(異物の量に関するデータの一例)と画像δ(検出の精度に関するデータの一例)を、外部に送信する送信ステップを更に備える。
【0071】
これによって、外部の管理装置2において、作業車両1の状態を判定することができる。例えば、管理装置2が、摩耗粉量αと摩耗粉量βより潤滑油中を摩耗粉が流れているか否かを判定することができる。また、画像δより摩耗粉の検査の際に潤滑油中に気泡が発生していたか否かを判定することができる。
【0072】
<他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態1,2では、第2コンタミセンサ43は、管路L2を流通する潤滑油の摩耗粉量を検出しているが、これに限らなくても良く、検査用管路L12を流通する潤滑油の摩耗粉量を検出してもよい。
(B)
上記実施の形態1,2では、カメラ44は、検査用フィルタ45の下流側の管路L2を撮像しているが、管路L2に限らずに検査用管路L12を撮像してもよい。検査用フィルタ45は、気泡を通過させるため検査用管路L11を撮像してもよい。
【0073】
(C)
上記実施の形態1、2では、エンジン23が低回転状態になると、分岐バルブ33の流路は管路L2から検査用管路L11に完全に切り替えられていたが、これに限られるものではない。例えば管路L2に供給される潤滑油のうち一部のみ検査用管路L11に流通するように制御されてもよい。
【0074】
(D)
上記実施の形態2では、気泡の発生と摩耗の発生のいずれか一方でも検出された場合には、コーションランプ14aを点灯させているが、どちら一方が検出された場合にのみコーションランプ14aを点灯させてもよい。例えば、気泡判定部52によって気泡が発生していると判定された場合にのみコーションランプ14aを点灯させてもよい。
また、気泡の発生と摩耗の発生について別々にランプが設けられていてもよい。
【0075】
(E)
上記実施の形態2の作業車両201は、気泡判定部52と摩耗判定部53の双方を備えているが、どちらか一方のみ備えていてもよい。その場合、作業車両201が備えていない方は、管理装置202が備えることが好ましい。
【0076】
(F)
上記実施の形態2では、作業車両201において気泡判定および摩耗判定を行うため、管理装置202による管理を行わない場合には、油圧機器の検査装置20に送信部26が設けられていなくてもよい。
(G)
上記実施の形態1、2では、制御部25は、エンジン23の回転数が所定回転数以下になったときに低回転状態であると判定しているが、所定回転数以下の状態が所定時間以上連続して続いた場合に、低回転状態であると判定してもよい。
【0077】
(H)
上記実施の形態1、2では、エンジン23の回転数を検出することによって、低回転状態であることを検出しているが、パーキングブレーキが操作されたことを検出して低回転状態であると判断し、制御部25が分岐バルブ33に切替指示を行ってもよい。
(I)
上記実施の形態1、2では作業車両1、201としてブルドーザを例に挙げて説明したが、これに限らず、ホイールローダ、ダンプトラックまたはグレーダなどであってもよい。
【0078】
(J)
上記実施の形態1、2では、油圧機器の検査装置20として、トランスミッション37に供給する潤滑油中の異物について検査を行うシステムを例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、油圧機器に作動油や潤滑油を供給するものであれば適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の油圧機器の検査装置は、油圧回路に混入した異物の検査を精度良く行うことが可能な効果を有し、作業車両などとして有用である。
【符号の説明】
【0080】
20 :油圧機器の検査装置
21 :油圧回路
22 :油圧ポンプ
23 :エンジン
24 :光学検出部
25 :制御部
33 :分岐バルブ
41 :検査油路
42 :第1コンタミセンサ
43 :第2コンタミセンサ
45 :検査用フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9