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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
E04H17/14 103Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019084691
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020105891
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2018245833
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀敏
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-046578(JP,A)
【文献】実公昭41-016994(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 - 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの一方の端部に取付けられるキャップであって、
前記キャップは、前記パイプの端部を覆う蓋部と、
前記蓋部の裏面に設けられて前記パイプの内部に挿入される挿入部と、
前記挿入部に取付けられる弾性部材とを備え、
前記挿入部は、挿入方向に沿って形成された挿入部本体と、
前記挿入部本体に形成された押さえ部と、
挿入方向に沿って形成された一対の受け部を有し、
前記押さえ部は、前記一対の受け部の間に位置するとともに、
前記弾性部材は、前記押さえ部と一対の前記受け部によって所定の方向に付勢されて取付けられるとともに、その両端部にそれぞれ配置されて、前記パイプの相対向する内壁面に当接可能な一対の爪部を備え、
前記爪部の先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされた
ことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
長手方向に沿って中間壁部を有するパイプの少なくとも一方の端部に取付けられるキャップであって、
前記キャップは、前記パイプの端部を覆う蓋部と、
前記蓋部の裏面に設けられて前記中間壁部を間にして前記パイプの内部に挿入される一対の挿入部と、前記一対の挿入部にそれぞれ取付けられる弾性部材とを備え、前記弾性部材は、所定の方向に付勢されて前記挿入部に取付けられるとともに、該弾性部材の一端部に配置されて前記中間壁部に当接可能な第一の爪部と、該弾性部材の他端部に配置されて前記中間壁部と相対向する該パイプの内壁面に当接可能な第二の爪部とを備え、
前記第一の爪部及び第二の爪部の先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされたことを特徴とするキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塀やフェンス等に用いられるパイプの端部を塞ぐためのキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅や工場等の敷地境界部や隣地境界部に設けられる塀やフェンス等に用いられるパネルには、メッシュ状の形態、多数の縦桟を有する縦格子状の形態、板状の形態等、様々な形態が用いられている。この中で、縦格子状の形態からなるパネルは、多数の縦材を横材で固定したものが多く、このうち、縦材は、鋼管やアルミ押出型材等の内部に中空部を有するパイプが用いられており、パイプの開口部には、パイプ材の中への雨水等の浸入や、塀等の付近を通行する通行人がパイプ材の端部に触れても怪我等をしないようにキャップが取付けられている。
【0003】
キャップの形態としては、パイプ材に外嵌されるもの、パイプ材に内嵌されるもの、ビスやボルト等の締結部材でキャップとパイプ材とを接合するもの、キャップとパイプ材とを溶接や接着剤等を用いた接合手段で接合するもの、あるいはこれらを組み合わせたもの等が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、基板と、基板の周縁部に設けた周壁と、基板から周壁と同じ方向に延出しかつ中間部分を弾性変形可能としたアームの先端に設けた外向き係止爪を備え、周壁を建築用部材に外側から対向させて、外向き係止爪をアームとともに建築用部材の内部に位置させて建築用部材に設けた係止孔に内部から係止させ、周壁により係止孔を被覆した建築用部材の端部キャップが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-2173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記キャップは、アームの係止爪を格子桟等の建築用部材に設けた係止孔に係止するため、格子桟の孔開け加工が必要となり、更に外観を考慮して、係止孔を外から見えなくするための周壁を形成したものであるので、アームによって大きな弾性を得るためには、アームが外方に突出した形態のほうが好ましいところ、周壁によって制限されるため、アームの弾性が制限されるものであった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、パイプに対して強固に取付けることができるキャップを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係るキャップは、パイプの一方の端部に取付けられるキャップであって、前記キャップは、前記パイプの端部を覆う蓋部と、前記蓋部の裏面に設けられて前記パイプの内部に挿入される挿入部と、前記挿入部に取付けられる弾性部材とを備え、前記挿入部は、挿入方向に沿って形成された挿入部本体と、前記挿入部本体に形成された押さえ部と、挿入方向に沿って形成された一対の受け部を有し、前記押さえ部は、前記一対の受け部の間に位置するとともに、前記弾性部材は、前記押さえ部と一対の前記受け部によって所定の方向に付勢されて取付けられるとともに、その両端部にそれぞれ配置されて、前記パイプの相対向する内壁面に当接可能な一対の爪部を備え、前記爪部の先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係るキャップは、長手方向に沿って中間壁部を有するパイプの少なくとも一方の端部に取付けられるキャップであって、前記キャップは、前記パイプの端部を覆う蓋部と、前記蓋部の裏面に設けられて前記中間壁部を間にして前記パイプの内部に挿入される一対の挿入部と、前記一対の挿入部にそれぞれ取付けられる弾性部材とを備え、前記弾性部材は、所定の方向に付勢されて前記挿入部に取付けられるとともに、該弾性部材の一端部に配置されて前記中間壁部に当接可能な第一の爪部と、該弾性部材の他端部に配置されて前記中間壁部と相対向する該パイプの内壁面に当接可能な第二の爪部とを備え、前記第一の爪部及び第二の爪部の先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るキャップによれば、キャップの弾性部材は、所定の方向に付勢されて前記挿入部に取付けられるとともに、その両端部にそれぞれ配置されて、前記パイプの相対向する内壁面に当接可能な一対の爪部を備え、前記爪部の先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされているので、本発明に係るキャップをパイプに取付ける時に、爪部がパイプの内壁面を強く押圧して、強固に取付けることができる。
【0012】
本発明に係るキャップにおいて、前記挿入部は、挿入方向に沿って形成された挿入部本体と、前記挿入部本体に形成された押さえ部と、挿入方向に沿って形成された一対の受け部を有し、前記押さえ部は、前記一対の受け部の間に位置するとともに、前記弾性部材は、前記押さえ部と一対の前記受け部によって所定の方向に付勢されて取付けられるようにすれば、挿入部に弾性部材をしっかり取付けることが可能となり、かつ、パイプに対してキャップをより強固に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るキャップを用いたフェンスの第一の実施形態を示す正面図である。
図2】本発明に係るキャップを用いたフェンスの第一の実施形態を示す側面図である。
図3図1の支柱付近の拡大平面図である。
図4図1のキャップの拡大正面図である。
図5図1のキャップの拡大側面図である。
図6図1のキャップの拡大平面図である。
図7図4の弾性部材の説明図である。
図8】キャップの挿入部とパイプと弾性部材との関係を示す説明図である。
図9】キャップの挿入部とパイプと弾性部材との関係を示す説明図である。
図10図3のA-A線拡大断面図である。
図11図2のB-B線拡大断面図である。
図12】本発明に係るキャップの第二の実施形態を示す拡大正面図である。
図13】本発明の他の実施形態に係るキャップが取付けられたパイプの説明図である。
図14図13のC-C線拡大断面図である。
図15図13のD-D線拡大断面図、
図16図13のキャップの斜視図である。
図17図16の弾性部材の説明図である。
図18図16のキャップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0015】
図において、10はキャップ、20はキャップ10が取付けられたパイプである。そして図1図3は本形態に係るキャップ10を取付けたパイプ20を用いたフェンス100を示すものであって、図1は正面図、図2は側面図、図3図1の支柱110付近の拡大平面図である。すなわち、このフェンス100は、間隔をおいて複数の支柱110が立設され、支柱110の間に上下に間隔をおいて複数の胴縁120が取付けられ、更に複数の縦桟としてのパイプ20と、これらを支持する横桟130とからなる縦格子パネル140が胴縁120を介して取付けたものである。
【0016】
キャップ10は、本形態では、パイプ20の長手方向の一端部である下端部に取付けられており、パイプ20の長手方向の他端部である上端部には上キャップ150が取付けられている。
【0017】
なお、上キャップ150としては、従前の形態としてもよいが、本発明に係るキャップ10を用いてもよい。
【0018】
図4図6は、キャップ10の説明図であって、図4は正面図、図5は側面図、図6は平面図である。キャップ10は、パイプ20の下端部に取付ける際、パイプ20の下端部を覆う蓋部11と、パイプ20の内部に挿入される挿入部12とを備えている。本形態では、蓋部11は、薄い平板状に形成されており、また挿入部12は、蓋部11の裏面であって、図4図5において蓋部11の上面に設けられている。
【0019】
キャップ10は、更に、パイプ20内に挿入された際、容易に抜け出さないために、パイプ20内に圧入されてパイプ20内で弾性的に取付けられるための弾性部材30を備えている。
【0020】
図7図4に示された弾性部材30の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は平面図であって、キャップ10から取り外した状態を示している。弾性部材30は、薄板状の基部31と、一対の爪部32とを備えており、基部31は中央部に配置され、爪部32は該弾性部材30の両端部であって、基部31の長手方向の両端部にそれぞれ形成されて、断面コ字状に形成されている。
【0021】
挿入部12は、図4に示すように、蓋部11の裏面に設けられた一対の受け部13、13を有している。受け部13と弾性部材30との関係は、一対の受け部13、13の外側に爪部32がそれぞれ配置され、受け部13の先端部に基部31の端部付近が配置される。言い換えると、コ字状の弾性部材30において、コ字状の内側に当たる爪部32、32の間に受け部13、13が位置している。
【0022】
更に、挿入部12は、押さえ部14を有している。押さえ部14は、受け部13、13の間との間に位置している。本形態では、蓋部11の裏面の中央部に設けられた挿入部本体15は、図5図6に示すように、蓋部11の裏面の挿入部12が設けられた空間を前後に分割しており、その前後の少なくとも一方の面に押さえ部14が設けられている。
【0023】
図8図9はキャップ10の挿入部12とパイプ20と弾性部材30との関係を示す説明図である。押さえ部14の下方に弾性部材30の基部31の中央部付近が配置されており、本形態では、押さえ部14が基部31の中央部上面に当接されている。また、基部31の中央部上面が押さえ部14と当接する高さ位置H1は、押さえ部14が存在せずに、受け部13、13に弾性部材30を載置した状態(図8において破線で表示された弾性部材30)における基部31の前記中央部上面の高さ位置H2よりも蓋部11に近い高さ位置となっている。すなわち、弾性部材30は、基部31の中央部が、コ字状の弾性部材30の内側に向けて弾性変形された状態で挿入部12に固定されている。
【0024】
これにより、爪部32の先端部33間の距離L1は、弾性部材30をキャップ10に固定する前の距離L2よりも長くなるので、キャップ10の挿入部12をパイプ20内に挿入した際、弾性部材30の爪部32の先端部33に生じる内側への変形量は、単に弾性部材30をパイプ20内に挿入したときより大きくなる。すなわち、弾性部材30に生じる弾性力がより大きくなり、その結果、パイプ20の内壁面21が弾性部材30から受ける弾性力も大きくなるので、挿入部12は、パイプ20内から容易には抜け出しにくくなる。
【0025】
換言すると、キャップ10をパイプ20に挿入する際は、弾性部材30の爪部32の挿入につれて、徐々に弾性的に変形することになるので、挿入する際に大きな力を必要としない。一方、キャップ10をパイプ20に取付けた後に引き抜こうとすると、爪部32の先端部33がパイプ20の内壁面22を押圧した状態なので滑りにくいため、爪部20は受け部13から離れる方向、すなわち弾性変形を増すように作用する。したがって、先端部33から内壁面21に向けてより弾性的が大きくなるように作用するので、キャップ10はパイプ20から抜け出しにくくなる。
【0026】
弾性部材30の爪部32は、先端に向かう途中で外側に折れ曲がる折れ部34を有している。これにより、折れ部34が存在しない場合と比べて、折れ部34を有している方が、爪部32の先端部33間の距離が長くなるので、キャップ10の挿入部12をパイプ20内に挿入した際に、弾性部材30に更に大きな弾性力が生じるので、挿入部12はパイプ20内から更に抜け出しにくくなる。
【0027】
パイプ20にキャップ10を取付ける際は、図8図9に示すようにキャップ10をY方向に移動して、パイプ20の一方の端部に挿入部12を挿入する。弾性部材30の爪部32の先端部33間の距離は相対向するパイプ20の内壁面21間の距離よりも長いので、爪部32の一部がパイプ20の内壁面21に当接される。そのまま、挿入部12をパイプ20内に向けて挿入すると、爪部32の先端部33間の距離が狭くなるように弾性変形する。
【0028】
図10図3のA-A線拡大断面図、図11図2のB-B線拡大断面図である。更に挿入部12をパイプ20内に向けて挿入すると、爪部32の先端部33が内壁面21に弾性的に当接するとともに、キャップ10の蓋部11の裏面が、パイプ20の開口端部に当接されて、パイプ20に対するキャップ10の取付作業が完了する。
【0029】
これにより、パイプ20の下端部に取付けられるキャップ10であっても、ボルトやビス等の固定手段を別途講じなくても、前述のように弾性部材30に生じる弾性力により、キャップ10はパイプ20から容易には抜け出すことがないので、取付作業が容易となる。
【0030】
加えて、弾性部材30の爪部32の先端部33は、図11に示すように、鋸歯状の凹凸部を有しており、凸部がパイプ20の内壁面21に弾性的に当接されるので、パイプ20の内壁面21に向けてより強い弾性力が生じることとなり、挿入部12は、パイプ20内から更には抜け出しにくくなる。
【0031】
なお、キャップ10の蓋部11の外形は、本形態では、パイプ20の外形よりやや大きいものであるので、パイプ20の端部を確実に覆うことができるが、パイプ20の外形とほぼ同形状の外形とし、外観上はパイプ20と連続性を有したものとしてもよい。
【0032】
また、図11に示すように、本形態に係るキャップ10は、弾性部材30が、挿入部本体15を間にして前後にそれぞれ固定されている。このように、キャップ10の挿入部12をパイプ20内に挿入した際に、パイプ20内の前後それぞれに弾性部材30が配置されたものとしてもよい。
【0033】
更に、図示しないが、キャップ10の蓋部11に、厚さ方向である上下方向に貫通する水抜き孔を設けた形態としてもよい。
【0034】
図12は本発明に係るキャップ10の他の実施形態を示す説明図であって、(イ)は正面図、(ロ)は側面図、(ハ)は平面図である。図1図11に示されたキャップ10と比較すると、概ね前後を半分に分割した一方の形態であって、挿入部12において、挿入部本体15が蓋部11の一端部に偏って設けられ、押さえ部14が一個設けられている。そして弾性部材30が一個用いられたものである。すなわち、比較的大きな断面形状のパイプ20には図1図11に示されたキャップ10を用い、比較的小さな断面積のパイプ20には図12に示されたキャップ10を用いることができる。
【0035】
図13図17は、本発明に係るキャップ10の他の実施形態を示す説明図であって、図13は本実施形態のキャップ10が取付けられたパイプ20の説明図、図14図13のC-C線拡大断面図、図15図13のD-D線拡大断面図、図16図13のキャップ10の斜視図、図17図16の弾性部材30の説明図、図18図16の正面図である。
【0036】
図1図11に示されたキャップ10と比較すると、まず、キャップ10が取付けられるパイプ40の形態が異なっており、また、他の主な相違点として、キャップ10の挿入部12において、弾性部材30が並設されている点、弾性部材30の爪部32の形態が一端側と他端側とで異なる点を挙げることができる。これらの相違点を中心に説明する。
【0037】
キャップ10は、本形態では、図13に示すように、パイプ40の長手方向の両端部に取付けてられている。パイプ40は、本形態では、図14に示すように、中間壁部41によって、該パイプ40の内部に2つの中空部42、43が長手方向に沿って形成されている。キャップ10の挿入部12は、図15に示すように、中間壁部41を間にして中空部42、43にそれぞれ配置できるように一対の第一の挿入部12aと第二の挿入部12bを有している。そして、第一の挿入部12aと第二の挿入部12bと間には中間へ基部41が配置される隙間が設けられている。
【0038】
第一の挿入部12aと第二の挿入部12bとは、それぞれ受け部13、押さえ部14及び挿入部本体15を備えており、それぞれに弾性部材30が取付けられる。
【0039】
図17は、弾性部材30の説明図であって、(イ)は平面図、(ロ)は正面図である。弾性部材30は、図7に示されたものと比べると、爪部32の形態が異なっており、図17に示すように、本形態の弾性部材30は、中央部に配置された基部31と、両端部の爪部32とを備え、基部31の長手方向の両端部に屈曲部31aを介して爪部32がそれぞれ形成されて断面コ字状に形成されている。そして、爪部32は、中間壁部41に当接可能な第一の爪部35と、中間壁部41と相対向するパイプ40の内壁面44に当接可能な第二の爪部36とを有した断面コ字状であり、第二の爪部36が相対的に短いものとなっている。
【0040】
第一の挿入部12aと第二の挿入部12bとを中空部42、43内に挿入すると、図15に示すように、それぞれの弾性部材30は弾性変形して、中間壁部41と内壁部44との間に当接される。
【0041】
弾性部材30は、図18に示すように、基部31の中央部が、コ字状の内側に向けて弾性変形された状態で第一の挿入部12a、第二の挿入部12bにそれぞれ固定されることにより、第一の爪部35の先端部35a及び第二の爪部36の先端部36aは互いに離れる方向に付勢される。換言すると、基部31の中央部が相対的に蓋部11側に近づき、屈曲部31aにおける基部31と第一の爪部35、基部31と第二の爪部36とがなす角度が大きく変わることなく、先端部35a、36aが蓋部11から離れる方向に移動する。
【0042】
つまり、先端部35a、36aとの間の距離L3は、挿入部12に固定する前の距離L4よりも長くなるので、キャップ10の挿入部12をパイプ40内に挿入した際、前述と同様に弾性部材30に強い弾性力が生じることとなり、第一の挿入部12a、第二の挿入部12bは中空部42、43からは容易に抜け出しにくくなり、これによりキャップ10はパイプ40から抜け出しにくくなる。
【0043】
なお、図16に示すように、蓋部11に厚さ方向である上下方向に貫通する水抜き孔11aを設けた形態としてもよい。すなわち、図13において、下側のキャップ10には図16に示す形態を用い、上側のキャップ10は水抜き孔11aがない形態を用いてもよい。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るキャップ10は、長手方向に沿って中間壁部41を有するパイプ40の少なくとも一方の端部に取付けられるキャップ10であって、パイプ40の端部を覆う蓋部11と、蓋部11の裏面に設けられて中間壁部41を間にしてパイプ40の内部に挿入される一対の挿入部12と、一対の挿入部12にそれぞれ取付けられる弾性部材30とを備えている。弾性部材30は、所定の方向に付勢されて挿入部12に取付けられるとともに、弾性部材30の一端部に配置されて中間壁部41に当接可能な第一の爪部35と、弾性部材30の他端部に配置されて中間壁部41と相対向するパイプ40の内壁面44に当接可能な第二の爪部36とを備え、第一の爪部35と第二の爪部36との先端部間の距離は、前記付勢と連動して間隔が広がるようになされたものである。
【0045】
これにより、キャップ10に対して弾性部材30を単に取付けた場合よりも大きな弾性力を生じうるので、中間壁部41を有するパイプ40に対してキャップ10を強固に取付けることができる。
【0046】
以上、本発明のキャップについて、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、パイプに対するキャップの施工が容易になされるので、塀やフェンス等に用いられる桟材や支柱に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 キャップ
11 蓋部
11a 水抜き孔
12 挿入部
12a 第一の挿入部
12b 第二の挿入部
13 受け部
14 押さえ部
15 挿入部本体
20 パイプ
21 内壁面
30 弾性部材
31 基部
31a 屈曲部
32 爪部
33 先端部
34 折れ部
35 第一の爪部
35a 先端部
36 第二の爪部
36a 先端部
40 パイプ
41 中間壁部
42、43 中空部
44 内壁部
100 フェンス
110 支柱
120 胴縁
130 横桟
140 縦格子パネル
150 上キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18